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1961-06-02 第38回国会 衆議院 外務委員会農林水産委員会連合審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月二日(金曜日)    午前十一時二十八分開議  出席委員  外務委員会    委員長 堀内 一雄君    理事 北澤 直吉君 理事 竹内 俊吉君    理事 野田 武夫君 理事 森下 国雄君    理事 岡田 春夫君 理事 戸叶 里子君    理事 松本 七郎君       賀屋 興宣君    正示啓次郎君       床次 徳二君    橋本 龍伍君       松本 俊一君    穗積 七郎君       森島 守人君    受田 新吉君       川上 貫一君  農林水産委員会    理事 芳賀  貢君       川村善八郎君    藤田 義光君       本名  武君    北山 愛郎君       楢崎弥之助君    西村 関一君       山田 長司君    湯山  勇君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         農 林 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         外務政務次官  津島 文治君         外務事務官         (大臣官房長) 湯川 盛夫君         外務事務官         (経済局長)  牛場 信彦君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君         大蔵事務官         (主計局次長) 佐藤 一郎君         農林事務官         (食糧庁長官) 須賀 賢二君  委員外出席者         大 蔵 技 官         (主税局税関部         関税調査官)  宗  知武君         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正  し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交  渉の結果に関する文書締結について承認を求  めるの件(条約第二〇号)      ————◇—————   〔堀内外務委員長委員長席に着く〕
  2. 堀内一雄

    堀内委員長 これより外務委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  前会に引き続き質疑を行ないます。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 前回の連合審査会質疑を保留した点でありますが、第一の点は、これは委員会大蔵大臣農林大臣外務大臣出席を得て、そこで政府の責任ある所見を明らかにしてもらいたいということであったのですが、そのうち特に大豆自由化に関連しまして、政府国内産大豆に対する保護政策というものを前提としてこれは完全に行なうべきである、しかも行なうということをしばしば国会言明してきているわけでありますが、これが全然行なわれておらないじゃないか、この点に対しまず農林大臣にお尋ねしておきたいと思う。特にこれは、分けて三十五年産国産大豆に対する処理、三十六年産以降の大豆に対する処理についてであります。
  4. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいま国会に提案しております大豆に関する法案、これを通していただきますことによりまして、大豆に対する保護をいたす考えでございます。三十五年産大豆価格に関してのお尋ねと思いますが、これに関しましては従来のいろいろの経緯がございますので、これは農家手取り三千二百円ということになるように処置をいたすつもりでございます。三十六年産につきましては、これは現在予算価格としては大体三千二十円を計上いたしております。この三十六年の大豆をどういうふうな実行価格にするかということは、大豆ができましたこの秋に新しい法案に基づいてきめられることでございます。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 今の御答弁のうち特に三十五年産大豆については、これは農林委員会でも論議した点ですが、今の言明によりますと、三十五年産大豆については、これは全販連が扱った五万トンについでありますが、農家手取り三千二百円にする。それは大臣が先般農林委員会で言われた通り農家大豆生産して自己の手によってそれを調製して、包装して、俵やかますに入れて、そうして食糧事務所でいわゆる生産検査を受けたものを対象にして手取り三千二百円ということで処理する、それに間違いないですね。
  6. 周東英雄

    周東国務大臣 さようでございます。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 それではそれはいつごろから実行されますか。
  8. 周東英雄

    周東国務大臣 法案通り次第実行いたします。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、三十五年産は御承知通り法案関係ないのですよ。そうなると、法案が通らぬ場合は実行しないということになれば、これは公約違反ということになる。
  10. 周東英雄

    周東国務大臣 それは法案によってある価格助成交付金をいたしますことになっております。法案の通らぬ前においても、その趣旨をくんで、今日までやってきておりますから、大体そういうふうにやっていくつもりであります。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、三十五年産は今政府が出しておる大豆なたね交付金法案には入っていないのです。三十五年産については、政府がこの七月一日から無理やり貿易自由化を行ないたいということで、その前提条件として国内農民には絶対御迷惑はかけない。そのためには農家庭先手取り価格三千二百円、全量買い上げしますということをかつて福田大臣あるいは三浦大臣、あなたと三代にわたって国民に約束しておるわけです。ですからそれは法律関係ないわけですから切り離して、三十五年分についてはいつからこれを実施するかということを明確にしてもらいたい。
  12. 須賀賢二

    須賀政府委員 私から補足をいたしましてお答えをいたしますが、三十五年産は約五万トンが農業団体自主調整をいたしまして集荷をいたしたものでございます。この五万トン全部を対象といたしまして、先ほど農林大臣からお答えになりましたような措置によって措置をするわけでございます。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、三十六年産以降について今大臣からも言われたが、三十五年は手取り価格三千二百円にする、三十六年以降は三千二十円にするというのはおかしいじゃないですか。所得倍増を進めると言いながら大豆については一俵百八十円も無理に下げる。これもやはり自由化が下げさせることになるわけなんですが、国民に迷惑をかけないと言いながら一方においては国内関税定率法改正を行ない、あるいはアメリカとの関税貿易交渉の中においては、従来の譲許税率をさらにわずかであるが三%引き上げて税収の増大をはかっておる。こういうことをやりながら、農民に対しては三十五年よりも一俵について百八十円手取りを下げるということでは、これは保護政策にならぬじゃないですか。
  14. 周東英雄

    周東国務大臣 三千二十円というものを予算価格としましたのは、大体従来の重要農産物安定法に基づく関係におきましての考え方を予算価格としてきめております。これはあなたがよく御承知のことだと思います。実際上の動きとしては、日本大豆もただ単に価格の高いことを支持して保護するということでなくて、実質的に反収を上げ、また品質を上げ、そして生産合理化しつつ対抗し得るような形に育成していくことが大きな農政でなくちゃならぬと思うのであります。その経過的にこれに対して外からの圧迫に負けないような処置を講ずる、それに対して一部助成をするという形でありますから、三十六年産につきましては、一応三千二十円の予算価格にしておりますが、先ほど申し上げたように、新しい法制に基づきまして、出来秋に、その規定に従って、いかなる価格にするかということをきめることになっております。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 その三千二十円に大幅に下げるということが、先般の当委員会においては、政府委員から、農林省としてはそういう考えはない、しかし相手があるからなかなか三千二百円の維持ができないというような言明が行なわれたのです。私は、その相手なるものは、これは関税交渉関係ですから、アメリカ日本国産大豆を下げさせて生産を縮小させるようなことを持ち出したと思いまして、その相手アメリカかと聞いたわけです。ところが、そうではない、その相手大蔵省だということになったわけですね。そうなると、国産大豆値段を下げて圧迫する元凶は大蔵省だということになると、これはなかなかゆゆしい問題であるので、それじゃぜひ大蔵大臣農林大臣を並べて、事態を明らかにしてもらいたいということになったが、大蔵大臣がまだ来ていないわけです。
  16. 周東英雄

    周東国務大臣 三千二百円という価格を三十五年産についてきめたのは、前三カ年の平均ということになっておりますが、今までの価格に応ずるように一つ保護する。しかし将来に向かっては、ただいま申しましたように、ただ単に農家に対しては、価格の高いだけが農家保護じゃない。ほんとう合理化された形において反収増加をするとか品質改良をするとかいうことでなければ、いつまでもいつまでも外国大豆圧迫されるわけです。そういう方面に新しい大豆生産に対する指導がなされ、研究助成がされるというところに、私は大きな観点があると思う。しかしながら、その点は今後における輸入される大豆価格の見合いもございましょう。しかし、一応予算価格としては三千二十円でありますが、それは三千二十円になるか、それより上になるかということは、今年秋にでき上げた当時における事情によって価格が決定される。これで私は十分保護ができていくと思う。いつまでも、実際上の事情を無視して、三千二百円でなければならぬとは考えません。もし生産合理化され、反収が上がり、そうして品質が向上してくる、そうして市場に対して応じ得るような形、損をしないような形に農家を指導していくのがほんとう農政だと思います。その点を考えなければならぬと思いますし、ただ、今の、アメリカ圧迫でなくて大蔵省圧迫だということではないと私は思います。私は、実際問題として農政を正しい方向に、いつまでも保護の形だけによっていくのでなくて、実際上自分らの生産における合理化生産における反収増加品質改良ということ等ができ上がることによって手取りがふえていくという方向で指導していくのが根幹でなければならぬと思いますので、その間における処置といたしましては、一応予算上の価格はこうなっておりますが、これは出来秋における状況によって、あらためて決定される、実行価格ができる、かように思います。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、今回の貿易自由化措置の中で、大豆については政府としては七月一日から自由化を実施したいという方針できておるわけです。従来もドル地域以外はFA制になっておったのですが、ドル地域についてはFA制できたわけです。それで自由化をやるということになると、まず一番大きなしわ寄せが日本大豆生産している農民の上にかぶさってくるわけです。それで関税協定との関係もありますが、関税制度というのは御承知通りその目的の主たるものは国内産業保護というところに重点を置いておるわけです。あるいはまた関税の収益をもって国の経営の費用に充てるということも次の目的になりますが、それでこの際FA制をやった場合はアメリカ輸入大豆価格日本国産大豆価格の上において大きな競争が生ずるわけです。それは結局国内的には農家所得の減退ということになるので、政府としても貿易自由化をやる場合には、大前提として国内産大豆価格あるいは農家所得に対しては絶対に悪影響が生じないように事前の措置を完全に行なうということが言明されてきたわけであります。そういう意図政府としても国内法においては関税定率法の一部改正を行なって、今度は大豆については従来の従価税を廃して従量税にして一キロ四円八十銭の関税を課するということにしたわけです。それから国際的にはアメリカとの間において譲許税率の改定を行なって、従来の一〇%を十三%に大豆の面においては引き上げたわけです。ですから国家としてはこのいずれを採用しても、現在より相当大幅な輸入大豆による税の増収が行なわれるわけです。ですからそういうことを考えた場合に、国内産大豆に対する完全な保護というのは、一つは現在の価格維持し、手取りを減少させないということ。もう一つ国内大豆の消流関係を見ると、現在は大体年間百二十万トンないし百三十万トンの需要が行なわれておるわけです。そのうち国産大豆市場出回りは大体二十万トンですから、総体の二〇%にも達していないわけです。たとえばこれを政府農業基本政策に照らした場合には、当然これは農業生産選択的拡大のうちの特に拡大すべき品目になるということは言うまでもないわけです。そういうことになると、国産大豆保護については、一つ生産の増強が行なわれるような積極的な施策が必要である。もう一つ自由化による影響というものを排除して、大豆生産する農民所得が減退しないように、また所得倍増の線に沿って上昇するような、そういう各面における保護政策もとるということになるわけですが、これが今日まで全然行なわれていないわけであります。農政を担当する農林省はこのことを配慮して、周東さんを初め一生懸命熱意をもってやっておりますけれども、その相手方と言われる大蔵省の方では全く熱意を持たないで、これらの達成を阻害しておるということが国会においても政府当局から言明されておるわけです。これはゆゆしい問題だと思うわけです。この点に対して大蔵大臣のまじめな答弁をしてもらいたい。
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 どうも大蔵省が阻害しているというのは事実が違うようです。この自由化をわれわれはやりたい、やるためにはどういう措置をとったらいいかというので、国産保護のために関税を一部上げる、なお価格の面の補給をするというふうな措置をとってこの自由化への踏み切りを私どもは非常に積極的にやったわけですから、私が阻害しているという事実は、大豆交渉の限りでは全然身に覚えはございません。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは具体的にお尋ねいたしますが、これは農業生産政府方針ですよ。選択的拡大の中で、大豆拡大を期待する品目であるかどうか、それはどう考えておるのですか。大いに拡大して生産を上げてもらいたいと思うか、なるたけ生産を縮小してもらいたいと考えておるのですか、どっちですか。
  20. 水田三喜男

    水田国務大臣 問題は大豆品種改良されて、しかも増産されるということがあったら、りっぱに引き合うものであると私ども考えておりますが、今のままで自由化したら外国大豆の方が安いのですから国産は非常な打撃をこうむるということになりますので、自由化するためには品種改良そのほか増産に対するいろいろな措置をしながら、国産大豆が成り立っていくまでの間のいろいろな価格補給政策をとってやらなければいけないと考えて、今度のような措置をとっているわけでございます。それで私が通産省にしましたときからこの自由化政府間できめておって、何回きめても実行できないで、今日まで来ている問題で、ようやく今回初めて解決になったということで私も非常に喜んでおります。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから拡大を期待しておるかということを聞いておるのです。国内消費の二割くらいしか生産されていないのだから。
  22. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは農林大臣の方の政策だと思うのですが、私は自由化という世界の大勢に処すためには、これが日本の農村で引き合うか引き合わないかということがおのずからそこにありますので、たとえば綿花というようなものも国産にこしたことはない。(「大豆のことを聞いているのだ」と呼ぶ者あり)大豆はどうかといったら、大豆もよほど品種改良して増産の実が上がるということでなかったら、今の国際市場から見て大豆というものはなかなか競争が困難だと考えておりますが、施策がよければこれは選択的拡大の部類に入れられまするし、そうでなければ、農産物としては、非常に不利な、なかなかこれを選べというふうに農林省が指導しかねる種類じゃないかと私は思っております。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 それは重大なことになるのですよ。政府池田総理農林大臣の宣伝は、畜産農業果樹農業に対しては、これは最大の成長部門といって宣伝しておるわけです。その次には国内自給度を高めるためには、大豆については需要はどんどん伸びておるのですよ。それにもかかわらず国内生産が、非常に政策が間違っておるから、政府のこれに対する施策が間違っておるからして、生産が伸びないでおるわけです。これは拡大を期待すると総理大臣農林大臣も言っておるわけです。ところがあなたの方は、それはそろばん勘定から見てアメリカ大豆が安いから、これは選択、縮小してもらいたいというのが今のあなたの答弁でしょう。そうなると、農民は迷うのです。一体農政基本として、需要に対して二割以下の生産しか上げていない大豆選択拡大拡大部門の方において生産が高まって、自給度が高まることを期待しているのかいないのか、ということを私は聞いているのです。
  24. 周東英雄

    周東国務大臣 お話しですが、大蔵大臣は決して拡大増産を進めていくものでないとは言っていないのです。私どもも、この大豆につきましては、輸入しておる大豆を少しでも国産化して、そうして外貨の支払いを減し、国内における農家所得を上げる、こういう方向は当然政府は一致しておることです。それに対して、どうしても先ほどから大蔵大臣が言っておるように、品質改良反収増加、労賃を少なくしてやる合理化生産、こういう方向に力を尽くしていかなければ、なかなかうまくいかないだろうということをいっておる。しかしその方に力を尽くしていくことがまず第一の問題であり、それが完全にでき上がるまではその差額を交付金補給していくという形で、この法案等を出しておるということを先ほどお話しになっております。これは政府は一致しておる点です。もとより芳賀さんの十分御承知だと思いますけれども、私は価格だけの問題じゃない、本来いえば、品質が変わらぬと——今輸入されておる含油量の多いもの、搾油大豆の原料として用いられるもの、あるいはみそ用大豆として用いられるもの、そういうものについて価格だけの問題じゃなくて、日本国産大豆について、そういうことが並び整いつつ、しかも合理化された生産方法によって、そうして反収を上げることによって単価が下がってくる、しかも手取りはふえる、こういう形に持っていかなければならぬのであります。これは過去における日本大豆に対する政策というものが、幸いか不幸か知りませんけれども満州大豆という、手近いところに経済的に入るものがあったために、米の方にいったという過去の農政がありました。当時はその農政は間違っていなかったと思う。しかし今日考えると、狭い土地に閉じ込められた日本としては、適地というものはあるわけです。しかもその適地に対して大豆増産に関する施策を今後とることによって、私は、農家にも迷惑を与えないように、しかも反収を上げ、よい大豆ができていく、こういうことによって輸入を防遇することが必要であって、あなたのように、わずか二割くらいのものだから、大豆日本で作らぬでもいいという考えではない。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 そうではない。それは大蔵大臣がそう言ったのだ。
  26. 周東英雄

    周東国務大臣 それなら別です。それが違えば取り消しますが……。そういうふうに少なければ少ないほど、私はふやしていく方向に持っていくことについてこれに対して慎重な施策を講じていくことが必要だ、こう考えております。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 それは農林大臣、取り消しなさい。私は何も縮小なさいとは言っていない。大蔵大臣がそう言ったのですよ。
  28. 周東英雄

    周東国務大臣 もしも間違っていればお取り消しいたします。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで大蔵大臣にお尋ねしますが、先ほど農林大臣言明でいうと、三十五年産については農家庭先手取り価格を六十キロ一俵について三千二百円で処理することの方針がきまったということがいわれたので、これは了承するわけです。この三千二百円というのは、FA制時代自由化以前現在までとられた制度の中において、過去四カ年間を通じて大体庭先手取り三千二百円ということになっておるので、この線は現状維持で了承します。ところが三十六年度以降については、御承知通り政府から大豆なたね交付金法というものが出ているのですが、この法律価格面方針については手取り価格を三千二十円にしようという意図を持っておられるわけですね。そうすると現在よりも六十キロについて百八十円の価格の引き下げをやる。この点についても、これは農林大臣は歴代三千二百円を下回らぬようにやるということをいっておるが、これも相手である大蔵省が、それはけしからぬということで、とうとう予算上の措置は三千二十円ということで編成されたという説明があったのですが、これはおかしいじゃないですか。一方においては、関税定率法あるいはガットの協定によって、譲許税率を従来の一〇%を一三%に引き上げた。そうすると国の税収は大幅に上がるわけですね。それにもかかわらず、国産大豆については逆に値下げを行なう法律を出すということは、これはわれわれとして絶対了承できないことなんです。ですから、法律の精神というものはあくまでも現状を下回らない価格でこれを維持するための法律であるのか、現在よりも価格を押えて値下げするような法律趣旨であるのか、その点は農林大臣大蔵大臣の見解を一致させておいてもらいたいと思うわけですが、いかがですか。
  30. 水田三喜男

    水田国務大臣 何かちょっと私にはっきりしなかったのですが、この自由化ということは、国内で値を上げる目的のことじゃなくて、国際価格にみな近寄ることで、むしろ国内消費者のために値段を下げるというための措置であることに意味があるのでございます。従ってそれをやるためには、過渡的にも、あるいは永久的な問題もあるかもしれませんが、国産保護をしなければならぬということから、これを関税政策によって調整するということを考えておるのでありまして、関税を上げたから国家の収入があるので、それでその分を何か使って値上げの材料にしろというような考えがもし根底におありでしたとすれば、これはもう全然関税制度とは関係のないことでございます。ですから、私どもは、国際価格日本のものが近寄って競争できるような強味を、どうして国内産業に与えながら、そういうふうにやっていくかというのが政策のねらいでございますから、今日本のものは高いというのでしたら、これが競争できるように、これを強化するいろんな補助金も必要でしょうし、あるいは増産とか品種改良費用も国が政策としてどんどん出すというようなことでいくのが私はほんとうだと思います。今日本合理化していないから、今は高いのだというが、将来どういう政策をとって合理化していけば、日本工業物資農業物資がだんだんに下げていけるかというところにその施策重点があるわけでございますから、今後どういう値段をとっていくかということは、これは責任官庁農林省でございますので、農林省から示された値段を、私どもは合理的だと思って、賛成しておるということでございまして、これについて特別値下げをしろとか値上げをしろというふうなことで、いろいろな細工をしておるわけでは全然ございません。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたが言う通りならいいのですよ。そうであれば、農林大臣農業関係主管大臣であるから、農林省が適正と認めてきめた方針については、大蔵大臣はそれに賛成して、必要な予算措置をするということをあなたは今言われたのであって、それを今後やるのですか。ここだけでそんなことを言って、あとでまた細工をする……。それを言明しなさいよ。
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは今現行の支持価格が三千二十円ということになっておりますので、農林省がこの値段でやっていこうということをしたのだと思いますが、今後この支持価格が必要によって農林行政として上げられるのか、上げられないかというようなことは、今後の問題だろうと思っております。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 今の数字は三千二百円を三千二十円と間違って言われた。現在の支持価格の基準は三千二百円ですから、その点は間違いのないようにして下さい。  外務大臣がお急ぎのようですから、外務大臣にお尋ねいたしますが、政府部内においてもこのような実情であるわけです。ですからいまだに国内における大豆に対する保護的な措置というものは講ぜられていない。いないにもかかわらず、協定を急いで七月から実施したいというようなことになると、なかなかわれわれとしては、せっかく努力されたことではありますが、この協定には承認しがたいということになるのじゃないかと思います。これはそう急がぬでもいいのじゃないですか。外務大臣どうです。
  34. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 御承知のようにガットというのは各国が入っておるのであります。この関税定率の会議というのは、各国の見ている前でいろいろやり合うのであります。これはアメリカとの関係のガットの協定でございますが、この前もお話ししたように、関税を引き上げる場合には、引き下げるものを提供することになっておるわけです。そこでこちらの方の引き上げの方の品目が一億二千万ドル、それに対して引き下げる方が約半分の六千万ドル、非常にうまくいっているわけです。そこでこういうことを約束しておいて、やはりどうも気に食わないからまたやめましたということでは、非常に日本の対外信用に傷がつく問題だと私は思います。しかもその内容たるや、大豆については関税を三%上げた。そしてそれもこの前いろいろお話し申し上げましたが、その点については国内の方はどうだと言われますから、今両大臣からお話がありましたように、三千二百円の価格で三十五年度はやります。三十六年度については三千二十円でございますが、それができたときにまたその当時の生産価格と見合って農家の困らぬような措置をいたします、こういうお話でございます。それは出来秋になってみなければ何とも言いようがない。従ってこれに反対だとおっしゃられても、私は、それはやはり日本の国際信用をお考えになりまして、どうぞ一つ承認を賜りたい。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 国際信義の関係は、われわれとしても何ら考え方に相違はないのですよ。ですから、それだけに国際信用が大事であれば大事であるほど、まず国内体制の処理というものを、政府部内において完全に処理しておいて、それから自信を持ってその外交上の交渉に臨むということであれば、今よりはもう少し姿勢を正した外交的な交渉ができると思うのですが、政府部内ががたがたしていてどうして外務大臣が賢明であってもへっぴり腰になっちゃってなかなかやれないでしょう。だからその点は農林大臣大蔵大臣によく言って、国際信用は大事だから、あなた方はしっかり早くきめてくれ、このくらいのことは閣内であなたも十分発言権を持っておられると思うのですが、どうなんですか。国際信用が大事か、国内体制が大事か。
  36. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 国際信用というものは、国内的ないろいろな措置というものがやはり外国に通ずるのであります。何か年じゅうがたがたばかりやっておると、国際信用は上がらない。今お話を十分お聞き願ったわけでありますが、私はそばにおって、大蔵、農林両大臣の言われたことは全く一致しております。少しも食い違っておりません。これはやっていただいて、そういう前提で私どもは国際的な約束ごとを果たしたい、こう思っておるわけです。
  37. 周東英雄

    周東国務大臣 非常に大豆生産農民のために御心配をいただきましてありがとうございます。しかしその点については十分対策をとっておりまして、大蔵大臣と私との間に何ら意見の違いはございません。三十五年産につきましては、御承知通り支持価格というものがなくて、三十四年まで三千二十円になっております。三十五年はなくて、ただこれに対してはホクレンの買い入れ価格というようなものを見て、一応平均価格をきめた三千二百円というのは御承知通りだと思います。そこで今後の問題をどうするかということになれば、一応変動する価格の実際に処置して支持価格というものを法の中には三千二十円というものを書き、これを予算として認めておりますけれども、この三千二十円はこの出来秋において大豆ができたときにいかなる実行価格にするかということはそのときにおいての生産事情、物価等を参酌し、パリティを考えてやりますということが、今度の法制に出ております。決して生産農民に対しての保護に欠けることはないと思いますし、同時に、繰り返しますが、かくのごとき保護政策は一面において生産農民の方々に対してできるだけ合理化した生産方法をとって生産性を高めるということ、及び反収を上げる、あるいは品種改良ということに対して試験場等を動員して積極的にこれを今後やるつもりであります。この三十六年度における予算措置もそういう面について考慮を払っておるわけでございます。この二つの制度が両々相待って漸次国際的に価格競争し得る大豆生産増加して、少しでも輸入大豆の防遏を現実の姿においてやっていくことが国力を増進するゆえんであると同時に、農民に対する真の農政であると私は考えるのであります。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 外務大臣にはまた外務委員会においてこの事情を十分質疑してもらうことにいたしまして、ただ頭に入れてもらいたい点は、今農林大臣が言われたことによっても明らかな通り政府が出しておる大豆、なたね法案は現在よりも値段を百八十円下げるという目的法案であって、決してこれは完全な保護措置ではない。こういう態勢で自由化を進めるということだけは十分頭の中に入れて、今後政府部内においても善処してもらいたい。これでは法律が通らぬ場合が九九%ということになりますから、あなたは国際信用上重大な黒星ということになるので、そういう点を十分留意して努力してもらいたい。
  39. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 国際信用と対内信用の関係でございますが、これは両手が合わさって鳴るようなものでございまして、どちらが悪くても鳴らない。ただ、今の説明で農家保護について政府が誠意を持って考えておるということはおわかりになったと思うのです。ただ、私一点、芳賀さんが誤解しておられると思うことは、大豆自由化ということはやってないわけじゃないのです。アメリカについてだけやっていない。中共の大豆も入る、あるいはその他の中南米の諸国の大豆も入る。アメリカだけについて差別しておるということは、これは日本の輸出振興その他に対して悪いことになる。そういうことを一つ誤解しないで、問題の重点というものを十分把握されて、国際信用に傷がつかぬようにぜひ御協力願いたい。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで大蔵大臣にお伺いしますが、今回のガットの協定の改定によって国際的関係においては従来通り従価制をとるわけです。それは国内的には関税定率法改正によって従量制をとるわけです。そうするとこの運用を今後どうするかということは非常に大事な点だと思うのですが、大蔵省としてはどのようにこれを処理されていくわけですか。
  41. 宗知武

    ○宗説明員 せんだっても私御説明いたしたかと思いますが、協定はたしか従価一三%であります。本法がキロ四円八十銭、従量税でございます。その点が一致いたします点は、CIF百二ドル五十セントがちょうど見合うわけであります。従いまして、CIF百二ドル五十セント以上の輸入品に関しましてはすべて従量税が適用になるわけでございます。それ以下のものに関しましては、協定で税率を適用し得る国に関しましては、十三%の従価税が適用になります。ただいまの実勢価格を申しますと、昨年の暮れあたりから相当上がっておりまして、五月の上中旬くらいの輸入実績では大体CIF百二十ドルくらいまでいっております。従いまして、それは本法の四円八十銭の従量税が適用になります。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう両建の選択は、随時やれるわけですか。
  43. 宗知武

    ○宗説明員 これは輸入貨物については、関税法及び関税定率法の定めるところによって税金を課すことになっておりまして、別途そのただし書がございまして、ただし協定によって特別な定めがある場合はこの限りにあらず、こうなっております。従いまして、協定が一応ある場合は優先することになりますが、ガットの第一条に最恵国待遇の問題があります。他国より不利な扱いをしないということになっております。それと第二条に同一待遇をする、こういうことになっております。従って現実に安い大豆が入って参りました場合は、協定適用国に関しましては協定税率のただし書が優先いたしまして、十三%になります。それから高くなりますと、これはAFAの関係がありますから、すべて従量税の本法のキロ四円八十銭、いずれか低い方で課税の対象になります。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、大蔵大臣にお尋ねしますが、今度の自由化をやる場合を予想して関税の税率の引き上げが行なわれたのですが、自由化がもし実施をされた場合には、従来の実績に比べてどの程度関税上の増収になるか、それをお答え願いたい。
  45. 水田三喜男

    水田国務大臣 数量がふえないとすれば大体十億円前後だということです。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 従来はFA制によって、年によっても違うが、百万トン前後ですね。そして従来は一〇%の関税ですから、そうなると九十五ドルくらいのときが多かったが、百ドルとすればこれは三十六億ということになるわけですね。しかし、自由化の場合は、大体二割くらいの輸入が伸びるという計算の上に立っておると思うのですが、そういう計算はしていないのですか。自由化になった場合は百二十万トンくらいの輸入を示すだろう、こういうことは農林委員会等において説明された点ですが、どういう見通しの上に立っておられるのですか。
  47. 須賀賢二

    須賀政府委員 自由化をいたしました場合の大豆輸入量につきましては、私どもの方でもまだ確実に数字の見積もりをしておりませんが、従来の考え方からいたしますと、大体二十万トン程度ふえるのじゃないかという見方が行なわれております。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 二十万トンふえれば百二十万トンということになるから、そうなれば結局五十七億ないし五十八億の税収ということになるのですか。そうすると、現在よりも二十億円以上関税収入がふえるということになると思うのですが、どうでしょう。
  49. 水田三喜男

    水田国務大臣 二割ふえれば、今の十億プラス七、八億円だそうです。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないでしょう。従来の一〇%を適用して百万トンとすれば、一トン百ドルとすれば三十六億円ということになる。今度はキロ四円八十銭が実質的には適用されるわけなんですね。そういう場合に百二十万トン入れれば五十七億六千万ということになるのじゃないですか。
  51. 水田三喜男

    水田国務大臣 その中には非課税のものもありますので、詳しいことは事務当局から答弁します。
  52. 宗知武

    ○宗説明員 確かに百万トンの計算でいたしますと、御指摘の通り、三十六億になるわけでございますが、関税定率法十三条によりまして、輸入大豆の中で飼料用に大豆かすを作ってやる場合は非課税になっておりまして、免税されております。そういうものが除かれますので、現実の今までの関税収入といたしましては、大豆大体百万トン弱で三十億ちょっと切れる程度であります。保税工場で搾油して油を出すのがございます。これも統計上は百万トンの中に入りますが、課税にならない。こういう点がございますので、百万トンまるまる計算では増収は出ないわけであります。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員 その百万トンのうち何トンが非課税対象になるんですか。
  54. 宗知武

    ○宗説明員 大体二割程度は非課税に該当します。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 二十万程度を非課税にしても、その後総体において輸入がふえるということになれば、この税収増加額というもののふえ方においては変わりはない。むしろ割合はよけいふえるということになる。従来は百万トンのうち二十万トンが非課税である。今度は百二十万トンのうち二十万トンが非課税ということになるならば、課税の割合がふえるということになる。それだけ増収割合も数量的にふえるということになるのではないですか。そうなれば二十億円くらいは増収ということに間違いなくなると思う。
  56. 宗知武

    ○宗説明員 増加分納二十万トンという推定でございますが、もちろん二十万トン全部また課税分とも限らないわけであります。
  57. 芳賀貢

    芳賀委員 非課税としても、百万トンは課税になる。
  58. 宗知武

    ○宗説明員 従来の百万トンベースによって、実績として大体二十万トンが非課税になっておりますが、ふえて百二十万トンになったといたしましても、純増分の二十万トンが全部課税対象になるかどうかは、輸入したあとの用途によりまして、免税に該当する、つまり飼料用あるいは油の加工輸出用が出て参りますが、二十万トンまるまるが二%あるいは四円八十銭の課税対象にはならないと思います。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 結局、関税の改定によってあるいはAA制によって輸入し得る額がふえるということで、私たちは二十億程度は大豆の面について増収分になる、こう断定をしている。これは答弁は要りません。  そこでこの使い道は別だということを大蔵大臣は言われておりますが、そう警戒する必要はないです。ただAA制と関税の改定によってそれだけ税収がふえることは事実である。そこでお尋ねしたいのは、三十五年の保護措置は、全販連が保管団体、生産団体として処理した五万トンだけを対象として検査の姿は素俵ということで三千二百円の農家手取り価格を実施するということを農林大臣言明されたが、この点は別に答弁は要りません。それを行なえば、三十五年産の全販扱いの五万トン分に対して、国の負担はおおよそ何億円ぐらいになるか、これは事務当局からでもいいです。
  60. 須賀賢二

    須賀政府委員 これは五万トンの大豆が実際に幾らで売れたかというような実績が全部固まりませんと額が確定いたしませんが、先ほど申し上げました手取り三千二百円にいたしますための政府負担がふえます分も含めまして、ごく大ざっぱな計算でございますが、約三億ぐらいの見当に見ております。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 政府としてはありがたいことになったわけですね。最初九十五ドルで計算したのですから、そういう関係で三十億予算が通った中の八億円というものは、実は五万トンに用意されたわけですね。八億円使わぬで三億円で済んだのですから、五万トン残ったということは、皆さんから見ればまことにありがたやありがたやということになるわけですね。ですからそういうことになれば、三十六年度予算の三十億円のうちから見ると、あと二十七億円残っておるわけですね。そういう親切な予算を確保しておきながら、三十六年産については百八十円安い値段保護しなければならぬということは、一体この確保された予算は何に使うお考えなんですか。大蔵大臣、小さい金はわからないとしても、何億というのはわかると思うんです。
  62. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは予算査定のときのいきさつにも戻りますが、私どもは今の関税はとにかく若干上げるということですが、これはどこも歓迎しませんで、みんなよその国は反対なんですが、日本が押し通してやっとここまで来た。そうしてなおかつこれで保護はし切れないんだから、補給金を出し、ほかに増産の奨励費とかいろいろなものも出すでしょうが、どのくらいの金額があったらまかなえるかという計算のときには、いろいろ農林当局と私どもの方でやりましたが、私は三十億は要らなくて済むという大体の見込みでした。見込みでしたが、長い間懸案になっておるこの問題を踏み切るのには、相当余裕を持った予算も組んでいかなければ農家に不安もあるだろうということで、大蔵省としては最初の見込みよりも大きい予算を計上してあったのですから、実際においてアメリカ大豆が上がってきているし、国内産大豆の値も上がってきているということになれば、予算が少し余ってくるのは私は当然じゃないかと考えております。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから三千二百円が維持できるんですよ。三千二百円を三十六年度維持してもなお余るんです。われわれ国費の乱費を好んでおるものではないんです。しかし国会承認を受けて、この三十億はこれこれのために使いますということで成立した予算を、ことさらに今度は一俵百八十円も値段を下げて、特別予算を余さなければならぬということにはならないと思うんです。三千二百円の水準を維持するということで実行して予算が余ったということについては、何もわれわれは異論をはさむものではないが、この点はもう少し良心的に処理してもらはなければいかぬと思うのです。
  64. 周東英雄

    周東国務大臣 これは芳賀さんはよく御存じのはずだと思うんです。三十五年産について早く処理しておりますれば当然もっと下がって——外国産大豆は安いんです。ところが九十五ドルで、当時の予算編成の場合においては、その実態に即して保護しょうとして組んでおるわけです。ところがその後の事情によって、これは一番よく御存じの芳賀さんが知らぬのはおかしいと思うんですけれども、現在百二十五ドルぐらいになっておるんです。そこで差額が縮まってきたということです。私は政府として組んだ価格交付金というものに対しては、正当に計算されて三十五年度について八億円が組んであったと思う。その後の値上がりによって差額が少なくなってきたということであります。これは私はその結果によって起こった問題であると思います。予算の編成については間違いがなかったと思います。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 だから私は言うのですよ。いいですか。アメリカ大豆についても九十五ドルが百二十五ドルまで上がったということは、これは三十ドル上がったでしょう。一俵についてアメリカ産の大豆は大体六百円ないし七百円値上がりを示しておるわけなのです。それにもかかわらず、日本国産大豆は三千二百円の実績を示しておったのを政府政策を通じて三千二十円に押えようとする考えの誤りを私は繰り返して指摘してきた。外国大豆は六百円、七百円上がっても、それは自由化でどんどん持ち込んで、国産大豆については政策を通じて百八十円も二百円も意図的に下げるというやり方は、これは断じてわれわれとしては了承することができない。だから向こうが上がれば均衡上国産大豆も上がる方向をとるような措置をするのが当然であります。しかも関税の改定によって、実収二十億円以上の増収が今後も持続するでしょう。そういうことになれば、この保護措置を講ずる場合においても財源はその面から確保されるということになるじゃないですか。特に去年の国会では、福田農林大臣のごときは、大豆関税を一〇%から二〇%にこれを引き上げる。そうしますとおおよそ四十億円くらいの税収がふえるから、これで完全に三千二百円の全量買い上げを行なえるということをすでに言明しておる。福田さんも農林官僚の出身じゃないですか。先輩がそういう筋の通ったことを良心的に言っておる。しかも彼は今日自民党の政調会長ですよ。政府のやることは全部自民党の政調会の意向に従うということになっておるのですから、これはうまくいくと思うのです。前農林大臣がたまたま政調会長であって、農政に通じているということになれば、何も無理に政府独断でやらぬで、与党の政調会長と十分相談なされば、当然これは三十六年度以降も三千二百円以上にすべきであるというふうに福田君は言うと思うのですよ。これは政調会長と相談したらどうですか。
  66. 周東英雄

    周東国務大臣 そこが私は芳賀さんによくわかっていただいておらぬと思うのですよ。今の問題は、もちろん交付金国際価格に影響される点があります。しかもそれはあなたは上がった上がったとおっしゃるけれども、ことしの値上がりというものは異常なものであります。アメリカにおける早害による不作、これは中共、ソ連も同じような形です。そういう形における値上がりですから、この値上がりはいつまでもそうだとは断定できない。向こうの生産費その他から見ればもっと安く入るから、そういう値段日本競争に耐え得るような形でまず合理化し、反収を上げるというようないろいろなことをやるべきであって、まずこの問題を考えつつ、なおかつ差額があれば補給していこうという考えから出発しておるのであって、しかも一応予算支持価格は、三千二百円が三十四年度までとってきた支持価格であります。しかもその支持価格がどういうふうに変化するかということは、この出来秋において三十六年産について……。   〔発言する者あり〕
  67. 堀内一雄

    堀内委員長 静かに願います。
  68. 周東英雄

    周東国務大臣 この出来秋において生産事情なりいろいろ参酌してこの実行価格がきめられるのです、こう申し上げておるのでありますから、その実行価格によって三十億組んである三十六年度産の大豆に対する処置は、政府はいたしますと、こう申し上げておるのであります。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 具体的に問題を移しますが、それでは現在は百二十五ドルですが、これがすぐ下がるとは考えられない。一ぺん上がったものはアメリカもなかなか下げぬです。ですから九十五ドルなんかには絶対戻らぬですよ。何ぼ首を振ったって戻らぬですよ。ですからたとえば百二十ドルということにしても、これはCIF価格にして、日本の金にすれば一俵大体三千二百円ということになる。これは東京の市場に上場して取引するということになれば、やはり三千四百円くらいの取引価格になると思うわけです。そういうことを前提考えた場合には、三千二百円の国内産価格維持するということについては、それほど大きな格差というものは、予算編成当時から見たらないと思うのです。ですからその点を考慮して考えた場合、たとえば三十六年に二十万トン出回るとしても、これを対象にした場合、国産大豆を三千二百円で維持する場合にはおおよそどのくらいの国の負担分が要るか、そういう点は計算されておると思いますので、その点の御説明を願いたいと思います。
  70. 須賀賢二

    須賀政府委員 予算の上では、御承知のように九十五ドル・ベースで計算をいたしておるわけであります。この出来秋に実際にアメリカ産の輸入大豆がどのくらいで輸入されるかというようなことは、現段階ではほとんどこれは見通しがつけられません。従いまして現在のところまだ予算ベース以外に、実行上三十六年産大豆についてどの程度の国の負担になるかという計算はいたしておりません。
  71. 堀内一雄

    堀内委員長 しばらく休憩いたします。理事会を開きます。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後零時三十四分開議
  72. 堀内一雄

    堀内委員長 会議を開きます。  芳賀委員。——芳賀委員に御注意いたしますが、時間の関係がありますので、なるべく質問を簡単に願います。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、委員長からの御注意があったんですが、政府としても真剣な答弁を簡単にしてもらいたい。
  74. 水田三喜男

    水田国務大臣 何か政府の私ども答弁が悪いと言うようですが、そうじゃなくて、今後大豆支持価格を幾らにしようかという問題は、私は別だと思うのです。幾らにするかということは、今一ぺん予算を立てた金が余っているから、幾らまで出せるんじゃないかということは、話は別でございまして、支持価格というものをどうきめるかということは、これは農林行政として今後の問題でありまして、今せっかくきめておった金が余っているから、幾らまで出せるんじゃないかといったら、あるいは三千五百円まで出せるかもしれませんし、議論は全然筋が違うんですから、私はそれを言っているのであります。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ問題を整理しますが、国内価格についてはわれわれはでたらめなことを言っているのではない。三千二百円というものを基礎にして議論をしているのです。この輸入大豆との格差というものは浮動するわけです。九十五ドルで入ってくる場合と、百二十ドルの場合では、これは違うんです。国内市場における輸入大豆国産大豆価格面における変動性というものは、これは変転しておるから、それはおわかりだと思うのです。ですから輸入大豆が高くなって、それが市場に上場されても高値になるわけです。そうなると国産大豆との格差というものはずっと圧縮されるわけですね。そういう場合に、格差負担をやろうという場合には、政府の負担は少額で済むわけなんです。好ましいことではないが、輸入価格が上がれば、国の負担分は、この価格支持をする場合とか、不足払いをする場合には少額で済むから、これは予算上余裕が出たり余るということは当然なことです。われわれとしては、三千二百円というものは、政府方針からいっても予算的な措置からいっても、当分維持できるのではないかという考え方の上に立っておるし、国産価格支持価格を下げるということは、これは国内的には農家所得を減らすということになるし、これは所得倍増に背反するということになるし、またそれは生産の減退を刺激する要素になるわけですね。拡大をしてもらいたいとすれば、生産が上昇する措置というものを、品種改良の面とがあるいは価格の安定の面において講じなければ、生産の上昇は絶対できないでしょう。そういうことを憂慮して、われわれは三千二百円の従来の実績維持をやるべきじゃないかということを一貫して主張しておるわけです。今回出された政府法案も、大豆なたねの交付金法案も、法の精神をそこに置かない限り、われわれは審議に協力することは絶対にできないということをもう前回明らかにしておるわけです。国内措置を完全にしたいというのであれば、その点を熱意を持って政府処理することが明らかにならなければ、野党のわれわれも真剣に法案審議に臨むことができないということになる。法案が審議されなければ、今国会においてせっかくの法案が成立しないという事態になる。成立しなければ国内措置ができないからして、これはFA制を実施することができない。当分延びる。そういう連鎖的な関係がだんだん出てくるわけですね。むしろわれわれが心配しておるわけです。だから、予算は十分あるんだからしてここ当分はやはり三千二百円を支持するという方針で今後法案審議にも臨む考えがあるかないかということをここで明らかにしてもらえば、議論は尽きるわけです。それを大蔵大臣が阻害しているというので、われわれはこれは大へんだということできようは来てもらっておるわけなんです。問題は簡単なんです。
  76. 水田三喜男

    水田国務大臣 私の聞いているのは、政府のきめている支持価格というのは三千二十円だ、三十五年度はホクレンが別にきめた価格だったが、すでにそういうことを発表しているから、三十五年度においてはその価格を変更しないでやっていく、これが妥当だろうというようなことだったと聞いておりますが、違えば訂正いたします。今後の問題をどうするかはまた今後の支持価格のきめ方の問題でありますし、  一方アメリカの方が上がったから、国内もそれにつれて上げるという議論は、一般論としては成り立たないと思っています。たとえば自動車を例にとれば、日本の自動車が高い。外国の自動車が安い。自由化を前にしてどうするかというのですが、できるだけ日本の自動車の合理化をやって下げる、外国値段競争できるところまで一方では下げるという計画をもって臨むのに、たまたま何かの原因で外国自動車が上がったからして国産自動車を上げるというような政策をとったら、これは政策方向に逆のことでございますから、あくまで合理化して国内値段は下げるという方にいくべきものでございますが、その合理化がうまくいかないために、一時これだけの値段をきめるとかなんとかいうことは、これは農林行政として今後検討されるべき問題だと思いますが、一般論としては、私は、外国が上がっても、非常に差があるのでこれを合理化そうというための努力をしているのですから、一方が上がろうともこっちは上げなければならぬという理屈は成り立ちませんし、(「それは違うよ。農業基本法にはそんなこと書いてない。」と呼ぶ者あり)それは農業の実態によって農業行政としていろいろきめていけばいいのであって、私は原則論としてはそうだと思います。
  77. 芳賀貢

    芳賀委員 それで、大蔵大臣農政に対しては非常に冷酷な考え方を持っておるということは今の答弁で明らかになったわけなんですが、この際数字の上でお尋ねしたいのは、予算編成の当時は、政府としては、国産大豆に対して一俵について大体八百円程度の補償をしなければならぬだろうという試算をされたことは、これは事実です。ところが現在輸入大豆がずっと高騰した関係があって、それだけの負担をすることは必要ないですね。そこでいろいろな数字は大蔵省の皆さんも持っておられると思うし、食糧庁長官も持っておると思う。一応二十万トンを対象にして、一俵八百円にした場合どれだけの数字になるか、あるいは六百円の場合はどうか、四百円の場合はどうか、大体三段階ぐらいでどういう数字の変化が出るか。これはおよそ見当がつくわけですから、この点だけは事務的に明らかにしておいてもらいたい。
  78. 水田三喜男

    水田国務大臣 その計算を今いたしています。
  79. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは計算ができるまで待っています。
  80. 須賀賢二

    須賀政府委員 ただいまの芳賀委員の計数の点に関するお尋ねにつきまして、これはごく荒い計算でありますが、お答え申し上げます。  当初三十六年産大豆につきましては、輸入価格九十六ドル・ベースで交付金を計算いたしておるわけでございまして、これは単価にいたしますと一俵当たり約八百円で、八百円といたしまして三十六年度予算に計上いたしてありまものが約十六億でございます。これに対しまして単価が六百円になりますれば十一億、それから四百円になりますとその額が八億、これはきわめて大ばっぱな計算でありますが、大体そういう見当になります。
  81. 芳賀貢

    芳賀委員 それは長官おかしいですよ。私は二十万トンに対して一俵八百円ずつ出した場合に幾らになるか、六百円の場合幾らになるか、四百円の場合幾らになるかと聞いたので、輸入価格なんか聞いてないですよ。
  82. 須賀賢二

    須賀政府委員 ただいまの計算は、十二万六千トン分が三十六年度予算に組んであるわけでございます。従いまして、三十六年度予算に計上してある分だけについて申し上げておるわけでございますが、これを二十万トンに直しますれば、これを十二分の二十でふくらませばその額になるという計算をしております。  二十万トンについて計算をいたしますと、八百円の場合は二十七億、六百円の場合は二十億、四百円の場合は十四億でございます。
  83. 堀内一雄

    堀内委員長 芳賀委員に御注意申し上げますが、連合審査会は本日も御承知のように三十分程度ということでありまして、実は外務委員会としても引き続きいろいろ会議の都合もあります。しかしもうすでに二時間余になっておりますので、問題のうちの細部のこと等につきましては、農林委員会でやっていただけるような点もあるようでございますから、この際連合審査会といたしましては、ごく簡単にお願いしたいと思います。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 では委員長の御趣旨を尊重して申し上げますが、大蔵大臣に申し上げますと、今食糧庁長官が言われた通り、たとえば国産大豆の出回りは現在まで実績が大体二十万トンということになっております。ですから法案を成立させてこれを対象にする場合は二十万トンが対象になるわけですね。その場合、一番最高の負担をする場合も、政府の事務当局は御存じでありますが、一俵八百円程度、総額約二十七億円近くになるわけですね。六百円の場合には二十一億、四百円の場合には八百円の半分ですから十三億五千万ということになるのであって、この数字を農林大臣大蔵大臣も頭に入れておいてもらいたい。そして関税協定改正等によって、とにかく税収増加の二十億程度というものは推定できる。関係あるなしにかかわらずこれを一つ頭の中に入れて、今後国産大豆生産拡大、あるいは農家所得増大ということが政府方針ですから、これを踏みはずさないようにぜひ進めてもらいたいし、その御趣旨で進まれるかどうか御両人から聞いておきたいと思います。
  85. 周東英雄

    周東国務大臣 お話の点でありますが、私どもはお話を聞くまでもなく、先ほどから申し上げますように一応支持価格をきめておりますが、出来秋に十分農家生産事情なり、経済事情考え実行価格をきめたいと思いますし、同時に予算を使う方向といたしましては、農家がより高い生産性を上げるように、より品質のよいものを作って競争にたえ得るようにそして反収の上がるような方向への指導措置、研究措置品種改良措置等にも予算を使って一面において生産農家保護し、取引上農家保護するということについては十分検討いたしたいと思います。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に一点です。それはトウモロコシの譲許税率が今度は変わって、えさ用のトウモロコシは今度は無税ということになったのですが、これも国内畜産農業を進める場合の、特に自給飼料の生産の面等については、無税にするということは重大な関係があると思う。それで農林大臣大蔵大臣にお尋ねしますが、そのような無税措置になった場合、今後われわれとしては国内におけるトウモロコシの生産については、これは大豆よりも、まだまだ品種改良生産奨励も行なわれていないのです。トウモロコシは、大臣も御承知通り品種改良がすみやかに行なわれるわけです。一代雑種でやればすぐできることで、これに十分力を入れれば、むしろ大豆よりも農家にとっては生産の技術や探算上上からいって非常に利点が多い作物なんです。これに対しても、やはり国内増産措置と、それから所得増大の措置というものを同時に行なっていく必要があると思うのです。税金だけ無税にしたら、安いトウモロコシが入ってきて、えさの関係はよくなるという、そういう安易なものではないと思うのです。ですから、この点に対しても十分具体的な措置を講ずる必要があると思うが、その方針と、それに対する大蔵大臣のこれは予算的な協力がなければできませんが、この点だけをはっきりしてもらって、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  87. 水田三喜男

    水田国務大臣 従来もそうですが、私は主管大臣である農林大臣には百パーセント御協力をいたします。
  88. 周東英雄

    周東国務大臣 トウモロコシの問題は、実は今度無税にしたわけではないのです。もとから無税です。それでトウモロコシについては、内地のトウモロコシについてもまだまだ改良する点は多々あります。この点は大豆よりも比較的やり方がやさしいように思いますが、その点はあわせて考えて、お話のようによく努力をしたいと思います。
  89. 堀内一雄

    堀内委員長 これにて外務委員会農林水産委員会連合審査会を終了することにいたします。  これにて散会いたします。    午後零時五十三分散会