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1960-07-23 第35回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年七月二十三日(土曜日)    午前十時二十三分開会   —————————————   委員長異動 七月二十二日堀本宜実君委員長辞任に つき、その補欠として藤野繁雄君を議 院において委員長に選任した。   —————————————   委員異動 七月二十一日委員田中茂穂辞任につ き、その補欠として松野孝一君を議長 において指名した。 七月二十二日委員松野孝一辞任につ き、その補欠として田中茂穂君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤野 繁雄君    理事            秋山俊一郎君            田中 啓一君            大河原一次君            森 八三一君    委員            植垣弥一郎君            重政 庸徳君            田中 茂穂君            高橋  衛君           小笠原二三男君            亀田 得治君            藤田  進君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   衆議院議員            大野 市郎君            小枝 一雄君   国務大臣    農 林 大 臣 南條 徳男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林政務次官  宇田 國榮君    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      酒折 武弘君    食糧庁総務部長 岡崎 三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○農林水産政策に関する調査  (ビール麦に関する件)   —————————————
  2. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  七月二十一日田中茂穂君が辞任、その補欠として松野孝一君が選任されました。同月二十二日松野孝一辞任、その補欠として田中茂穂君が選任されました。   —————————————
  3. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) この際お諮りいたします。  理事仲原善一君から理事辞任いたしたい旨の申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決定いたしました。  ついては、理事補欠互選を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。互選の方法は、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。よって委員長は、理事秋山俊一郎君を指名いたします。   —————————————
  7. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) この際、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  8. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 私がこのたびの池田内閣農林大臣を拝命することになりまして、まことに浅学非才でございますが、特に農林行政については全くのしろうとでございまして、従いまして、皆さんの御期待に沿うような仕事ができるかどうかを非常に危惧しておるような次第でございます。  何と申しましても、貿易の自由化あるいはこの政府所得倍増というような計画に関連いたしまして、そのしわ寄せが農民、農村に最も影響が多いといわれている時代、いわゆる日本農林行政の曲がりかどだといわれておる時代にあたって、きわめて重要な時期でございます。一般諸方面のいろいろな方々の知恵をしぼって——農林漁業基本問題調査会等もあって、これらの答申等もあるのでございますが、政府といたしましても、かような答申にも十分耳を傾け、農地法の改正とか、あるいは農業法人問題等国会にも審議されておる時代でございますので、十分これらについても検討いたしまして、大過なく過ごしたいと考えておるので、皆様方の十分今後の御協力をお願いする次第でございます。  とりあえず新任の御挨拶を申し上げまして、皆様に御協力をお願いする次第でございます。(拍手
  9. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 次に、政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。
  10. 宇田國榮

    説明員宇田國榮君) 私はあらゆる点において微力、貧弱なものでございますが、皆様方の御支援と御尽力によりまして、責任を全ういたしたいと思います。  選出は、鹿児島県の選出でございまして、ここにおいでになる田中委員は非常に農政通でありまするが、こういう人たちのかねて教えを私受けておる一人でございますが、どうか今後ともよろしく御尽力をお願いを申し上げます。(拍手
  11. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 次に、この際、大野農林政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。
  12. 大野市郎

    衆議院議員大野市郎君) 委員長のお許しをいただきまして、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  過去一年と二十日ほどでございましたが、農林政務次官といたしまして皆様の大へんな御指導、御協力をいただいて今日退任をいたしました。顧みますと、ちょうど一年の間には災害が続きまして、大へん不幸なことではございましたが、災害に明けて災害に暮れた一年のような印象が深いのでございます。委員長初め理事諸君、それから委員皆様の非常に卓抜な御卓見とともに、非常なお力強い御支援をいただきまして大過なく過ごさしていただきましたことを心から御礼を申し上げます。  なお、今後も農政の問題につきましては、いろいろお世話になることが多いと存じますが、公私とも一つぜひとも御指導をお願い申し上げ、ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)   —————————————
  13. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 次に、農林水産政策に関する調査を議題といたします。  ビール麦に関する件を問題といたします。
  14. 千田正

    千田正君 ちょっと待って下さい。それに入る前に、先国会におきまして会期延長がなされておるのでありますが、われわれとしては会期延長を認めない方針をとっておった。その間に農林委員会は継続されて単独審議されたようなことであります。また法案もかかっておる。そういう事情のもとに、われわれが知らない面において単独通過した農林関係法案等に対して多少疑義のある点もありますし、また補足説明を求める点もあると思うのです。こういう問題につきましては、本日は別としまして、次の機会にあらためてこの問題に対しての質疑その他について一つ考えおき願いたいと思うのです。新委員長、旧委員長とも自民党の方でもありますし、事情はよく御存じのことと思います。われわれもある程度了解の点もありますが、また十分承知しない点もある。そういう点について、一応この委員会の次の機会においてただしたいと思いますから、そういう機会を与えて下さいますよう、特に一言要求しておきます。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 ビール麦に関しまして、若干お尋ねをし、希望も申し上げたいと思います。  畑作振興の問題が最近における日本農政の非常に重要な役割を持ってきておりますることは申すまでもございません。その一環として、麦作の問題がこれまたきわめて重要な立場に立っておりますことは、あえて多言を要しないところであります。そういう観点から、ビール麦の問題がきわめて重要な立場を占めて参ってきておる。ところが、このビール麦の問題をめぐりまして、消費いたしまする醸造会社生産者立場に立つ団体との間にいろいろのトラブルが発生してきておりまして、きわめて遺憾なことであり、この発展いかんによりましては、きわめて憂慮すべき重大な事態をも発生するであろうということをかねがね私どもも憂慮いたしまして、この委員会でもこの問題を取り上げまして審査をし、政府にも善処を求めてきたところであります。幸い、醸造会社を代表せられる立場にいらっしゃるビール醸造組合の会長である山本氏と、生産者団体でありまする農業協同組合中央会の荷見さんとの間に、私の承知しているところでは、三月三十一日の日に、一応、本年度取り扱いにつきましては、双方互譲の精神をもって円満にこれをやっていこうというような話し合いにまとまった。もちろん、その間において、当委員会におけるいろいろの質疑を通しての政府善処を求めて参りました立場から、政府におきましても格別の御努力を願った結果であろうと存ずるのであります。  そこで、私どもは、そういうような経過をたどってきましたわけでありますので、本年もビール麦については何ら問題なく、スムーズに取りきめがつくであろう。そうして生産者諸君も安心して臨んでいくことができる。将来に向かってもさらにビール消費の増高してくること等も勘案いたしまして、これが生産に精進していくということになるであろうということで、非常に安心をし、期待もいたしておったのでありまするが、いよいよビール麦生産されまして、具体的な取引段階に入った、この重要なときになりまして、そういうような抽象的に申し合わせをされたことがほとんど実効を上げておらない。このために生産者諸君が非常に困惑をしておるという事態を聞くのであります。かねて問題になっておったことでありますので、あるいはそういうことをためにしておるのではないかというような懸念もなかったわけではございませんので、私も現地に参りましてつぶさに実情調査して参りました。その結果に基づきますると、私の耳に入ってきております取引が円滑にいっておらないということがまさに事実であるということを昨日確認をして参ったのであります。このことを放置して参りますれば、これは重大な結果になると思う。当局におきましても、かつてこの委員会が取り上げまして問題にし、善処を求めて参ったという経過にかんがみまして、それぞれお取り運びを願っておると私は承知をいたします。また、そうでなければならぬと思う。どういうような運びをされておるのか、まず最初にその後における政府措置等につきましての経過をこの際承っておきたいと思うのであります。これは関係局方々にまたがりますので、関係局それぞれから一つ実情について状況の御報告をいただきまして、その報告に基づきまして、私の耳に入っております資料に基づいてさらに御質疑を申し上げ、早急に解決をすべき点についての希望を述べたいと思うのでございますが、とりあえず、その後の経過なり、取り運んでこられた模様についてお話を承りたいと思います。
  16. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) ビール麦取り扱いにつきましての最近の経過を簡単に御説明申し上げます。  ただいまお話がありましたように、四月七日にビール酒造組合農協中央会との間で取り扱いについての協定ができまして、その期間的な内容といたしましては、本年のビール麦取り扱いについては、単協会社との契約済みのものについてはそのまま実行し、全販連の系統ルートに乗せる手続の済んでいるものについては、そのルートを通じて取り扱う、それらの具体的な取り扱い状況については、従来の実績を尊重して必要のある場合さらに協議をする、そういうような取りきめがなされたわけであります。その後、この取りきめに基づきましていろいろ具体的な取引について協議したわけでありますが、最近の情勢といたしましては、二、三の問題が残っておるわけでございます。その一つは、いまだに受け渡しをいつどうするかというような話し合い末端段階において具体的にできていない。これは主としてビール会社側の主張としては、八月末までに引き取ればいいんだから、そう急ぐことはないのじゃないかというようなことを言っておるらしいのですが、団体側としては、できるだけ早く引き取ってもらいたいということで、その時期について問題がある。それから次に受け渡し数量の問題でございますが、大体従前は一割の増減は許容されておったわけであります。その点について、ことしは向こうは何らか違う措置——一割の増減の余裕を認めないというような従前と違う措置でやっていきたいというような考えがあるようでございます。その点の意見調整が残っておる。それからもう一つは、契約数量の問題でございまして、茨城県の契約をどちらが扱うかという点につきまして、なお最終的な結論が出ていないというような現状でございまして、この点につきましては、酒造界の方はある程度こちらの考えを理解して、その線に沿うように努力しておるようでありますが、末端工場段階現実取引の問題といたしましていろいろその点が工合が悪いというのが実情でありますので、早急の間にそういった点を折衝を進めまして具体的な取りきめをしたいと、そう考えておるのであります。  なお、この問題につきましては、従前同様、われわれといたしましては、内面的に団体と連絡し、指導もしておりますけれども表面には現段階においても立っておらないというのが現在の状況でございます。
  17. 森八三一

    ○森八三一君 まあ内面的に指導をし、助言をしておるという態度、これらにつきましても、この段階に参りまして農林省としてそういう姿でよろしいのかどうかという面についても、私は問題があろうと思いますが、その前に、今、内面的な立場に立って助言をし、指導もされまして、四月七日ですか、一応取りきめがついたという結果の内容は、今お話がありましたように、それぞれの系統にまとまったものについては、本年度に限りその数量を確認して従来通り取り扱いをするというふうに私は承っているのであります。従来通り取り扱いだということになりますると、今お話しになりましたように、受け渡しの時期について、八月末までにやればいいのだからそれまではほうりっぱなしておくということは、少なくとも四月七日における数量についていざこざがあった、そのいざこざは一応そこでもって、その時点において解決をしてその後の取引取り扱いについては従前の例によるということでありますれば、そういう措置はとらるべき姿のものではないと思うのです。表面的か内面的かということは別にして、とにかく介入をして助言をし、指導もされたということから申しますれば、そういう点については、すみやかに解決する方途を講ずべきである。指導立場に立つ政府としては、当然の措置をなさなければならぬと思うのです。今お話のように、八月末までにやればいいということで一体どうなるのか、農林省、御承知でございましょうか。  これは検査所食糧庁の方にも承りたいのですが、私が聞いて参った、調べて参ったところでは、検査を受けますると三日以内に受け渡しが完了されなければ、あらためてもう一ぺん再検査を受ける、受けぬことには取引ができない。政府へ売る場合でもそういうような措置が、法律とか規定ではございませんけれども、要領か要綱かなにかできまっているのです。このことについても私は非常に疑問を持つのですが、同時に、一つ食糧庁の方からもお答えをいただきたいのです。政府買い入れ価格を決定いたします。これは米審の答申に基づきまして、政府意見によって決定される。その政府自分検査したものは、今全部国営検査ですから、自分検査したものが三日たつとその検査が無効であるということは、一体正しいのであるかどうか。自分検査をして三日たつというとその検査はペケになってしまう、もう一ペン検査はやり直しだ、こんなでたらめな検査は私は少し了解できかねるのです。生きているものですから、土用を越すとか、三カ月も四カ月も先になるということになれば、これはあるいは乾燥度が進んで参りますれば量目が足りなくなる、あるいはこういう時期でございますので、コクゾウムシがわいて品質が悪くなるという心配もあろうとは思います。思いますが、きょう検査したものがあさって過ぎるというともうその検査はやり直さなければならぬというでたらめな検査一体やっていらっしゃるのかどうか、これは検査所の方にお伺いいたしたい。  そういうことでございますので、八月末まで受け渡しをしないということは一体どうか。もしそれが全体に共通することでありますならば、一応わかるような気もいたしまするが、ここで役所も中へ入って円満に協定が進んだ、従前の例によって取引をする、こういうことが宣言されながら、従来のルートによるものについては、検査が受かると同時に受け渡しを完了する、今回トラブルを起こしてきた別のルートによるものについては、八月末までじんぜんと日を送っていくというこの二通り取り扱いが今発生しているのです、現実の問題として。そこで一体生産指導していく農林省として放置されているという姿が私はどうしても了解できかねる。これは両者けんかの中に介入するというのではないのです。農林省としては、ビール麦生産について指導もし、その取引の円滑について指導されていると思う。そうでなければならぬと思う。その場合に、今申し上げましたように二様の取り扱いがされている。そうして検査の面からいうと、三日たてばもう一ぺん再検査を受けなければいかぬよ、こういうことが検査所の方から言われているのだ、要綱にも書いてあるのです。そういたしますると、麦はもうとれているのですから、今検査を受けるでしょう。受けたものが、八月末まで受け渡しはできませんよということになると、そこでもう一ぺん検査を受けなければ取引は完了しない、こうなるのです。しかも、今日零細農民諸君生産でございますので、生産が完了すれば一刻も早くお盆の買い入れをしたいというのが当然なのです。それが一方のものはきょうでもあすでも検査を受ければすぐ受け渡しを完了してやるが、一方のものは八月末までずっと引っぱっていって、そこで再検査を受けなければ取引をしない、こうなりますと、現金化するわけにいかない。農民生活の上にも非常にこれは重大な問題が巻き起こるのです。そういう差別的な待遇が現に行なわれておるという事実を承知されれば、早急な解決策といっていらっしゃいますけれども、早急ではないのです。現に物は出ておるのです。検査はどんどん進行しておるのです。どうされますか、これを一つお伺いしたい。
  18. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 森先生のおっしゃいますように、受け渡しの時期の問題につきましては、ビール会社の側の態度は、われわれとしましてもはなはだ遺憾であります。ことに従前取引実情から見ましても、そういう問題は当然起こらないはずのものである、それが何となく故意にそういうことが起こっておるのじゃないかという感じもいたすのであります。ただ現実の問題といたしましては、先般、あるいは中央会事務当局、それからビール会社とで折衝しておりましたけれども、それがなかなか了解がつかないので、最近の機会に、最高首脳部同士そういうことについてさらに具体的に話をしたいという考えで準備をしております。その場合の結論を待ちたい、そう考えておる次第でございます。
  19. 森八三一

    ○森八三一君 最近の機会に両首脳部話し合いをする、それに期待を持って待っておるという話ですが、少なくとも四月七日の日にきまった、こういう御報告があったのですね。私もそれはその通り承っておる。その線に沿えばそういう問題が起きようはずはないことなんですね、それが起きているという姿を、しかも今、時期的に、時間的に、話し合ってどうこうという、そんなゆうちょうなときじゃないのです。もう両者けんかがどうなる、こうなる、私は、そんなことは問題じゃないのです。生産農家諸君が非常に苦しんでおるこの事実を、農林行政を担当しておる農林省として、もう一日も放置すべき筋合いのものではないのです。何も今まで話し合わなかったならば、もう一ぺん話し合いをしなさいということでよろしいのでございますが、すでに基本原則というものは四月七日にきまっておるのですから、かくすべきであるということを強く命令するというわけにもいかぬかもしれませんけれども役所としては強硬な態度で、ある程度私は命令的な内容を持った助言をすべきじゃないか。話し合いに待つというようなゆうちょうなものではない。そういう態度をとることができぬのかどうか。私は法規的に命令するという権限はないと思います。けれども生産消費の間に立っていろいろの問題について指導すべき立場におる農林省としては、それくらいの行為は当然じゃないか。何もないところへやれというのは無理ですけれども基本原則については話し合いをして済んでおるのです。済んでおることを実行しなさい、直ちにやれということをおっしゃるということができない筋合いのものではないと思う。両者話し合いがそんなことでまた十日も十五日も日がたっていったら大へんな問題になる。そういうような強い態度がきょうにでも、あすにでもおとりになれるのか、なれぬのか、その辺をお伺いしたい。そんなゆうちょうな問題ではない。
  20. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) その点につきましては、中央会の方でそういう希望がありますれば、われわれそういう点に努力をすることにつきましてはやぶさかでございませんけれども、現在の段階におきましては、先ほど申しましたように、中央会の方で最高首脳会談をやって早急にみずからの力で解決したいという希望を持っていますから、われわれとしては表面に出ておらないわけであります。
  21. 森八三一

    ○森八三一君 くどく申し上げるようですが、役所介入をして四月七日の口に、本年度に関する問題については、基本的に解決したというのです。その解決した線に沿っての行動を実行しておらない。これは多数の零細農民諸君と膨大な資本との対決の場になっているのですよ、問題は。そこで、もう一ぺん話し合うという私は必要ないと思うのです。きまっている方針によってやりなさいということを強く要請されて私はしかるべきだと思うのです。今お話の中では、どこかからそういう注文が出てくればやってもいいというようなふうに聞こえる御発言があるのですが、私は、畑作振興の見地からビール麦というのは非常に重要な地位を占めておる。そういうことに関連して、農林省としては、白紙の上に地図をかくのではない、すでに地図はかかれているのです。そのことを実行しろという要求は、能動的に進んでいくべき立場にいらっしゃる、こう思いますが、それがどうしてできぬのか。両者話し合いに待つなんていってまたここで十日も十五日も話し合いが繰り返されておったらどうなるのか。もうビール麦なんか作らなくてもいいという姿のものではないはずなんです。一体どうなんですか。もう少しはっきりした態度でやってもらわぬと、ビール会社がどうだとか、農協がどうだとか、そんな問題ではなくして、ほんとうに畑作に依存している関東地区を中心とする零細農民生活に関する大きな問題なんです。しかも、内部に伏在しているものは、零細農民と、極端な表現をいたしますれば、大資本との対決ということにもつながってきておる。私はそういうふうには理解したくはありませんけれども、どうもそういうにおいがしている。こんな問題は放置すべきではないと思うが、どうなんですか。
  22. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) これは生産者の代表であります全販連及び農協指導機関である中央会折衝従前当たってきておりまして、それらの団体におきまして、最終段階のこの問題につきまして、みずから結論を出すという考えで現在折衝を続けている次第であります。そういう意味で、われわれはあえて差し控えておると申し上げたので、ただばく然とどっかから頼まれればやりますというつもりではございません。自主的な団体がみずから解決したいと努力しているところでありますので、一応表面に出ないという立場をとっているわけです。
  23. 森八三一

    ○森八三一君 どうも私の申し上げるところがはっきり理解されなかったのですね。両者の間では、農林省もアドバイスをされて、四月七日の日に基本原則がきまった。そこで、その後、両者の間にいろいろ具体的な折衝が行なわれてきているにかかわらず、今もって、いよいよ麦ができて、お盆の金にしなければならないというときになって、取引が完了しない。それが全体的に完了しないということであれば、これは包括的に問題を究明しなければならぬと思いまするが、一方のものについては、どんどん従来通り取引が進んでいるんですよ。一方のものだけが取引をされない、こういうことなんです。それを両者話し合いに待つということで、ほうりっぱなしにしておいて、生産官庁としてやむを得ぬということではないと私は思うのですがね。これは大へんな問題ですよ。権限があるとかないとかいう問題でなくて、すでにきまっていることの実行を、話し合ってきているが、妥結しないからこういう問題が起きているんですよ。この辺へ来れば、もう役所が乗り出していかなければならぬ時期が来ている。これは五月とか六月とかであれば、まだそういう話し合い期待しておっていいと思うのです、物ができておらぬのですから。もうできてしまった現段階では、そういうゆうちょうなときではない。一歩踏み込んでいかれる御意思がどうしても持てませんか。あと十日も十五日もすべったころんだで日が延びていったらどうなります。それでもやむを得ない、こういうことなんですか。
  24. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) これは先ほども申しましたように、中央会の方で数日内にみずからの力で解決をするということでやっておりますので、もう二、三日の間様子を見たいと考えております。
  25. 森八三一

    ○森八三一君 まあそういうことで、関係団体努力しておると、その努力が一両日中に妥結するということでありますれば、それも一つの方途かと思いますが、私は今までの経過なり、あるいは現地に参りまして関係の工場長等についてもつぶさに状況を聞いて参りました。中央の方できまった方針すら、地方の工場には流れておらないというようなこともたくさんあるのです。そういうような事実などを考えますると、これはほんとうに大きな問題が起きると思う。少なくとも今週中ぐらいに解決されなければ、役所は強い態度をもってこれを指導さるべきであると思う。そのことをまず希望しておきます。  それから先刻申し上げました食糧庁のその検査のこと、どうなんですか。
  26. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) ただいま御質問ございました三日たてば効力なくなるというお話がございました。お答え申し上げますが、実は、御承知のように、米は、これは検査に農産物検査と、それからそのものを政府が買い取ります場合に、いわゆる検収ということをやるわけでございます。で、表面上はあたかも二つ検査があるようでございますが、実際は、これは農産物検査法に基づく検査と、それから政府が買い上げます場合のいわゆる物を確認して買うというその場合の検収ということがあるわけでございますが、米はそれが同時に行なわれておるわけでございますが、麦についても、大半のものにつきましては、これが同時に行なわれて、農産物検査法の検査があると同時に、政府に売り渡す、政府がこれを買うという場合でございますから、これは農産物検査法の検査と、それから政府が収納いたします場合の検収を同時に行なうということでございます。ただ、それが建前は、両方は別のものでございますから、かりにこれが一日たち、二日たつと、しかし、同じ倉庫の中に納まっておって、現物は大体確認できると、はっきりしていると、だれが見ても絶対大丈夫であるという場合には、いわゆる数量だけを確認して、そしてもう政府が買うということにする。それが一応従来は三日ということになっておりましたが、ことしからそれを一週間に延ばしたわけでございます。一週間以内におきまして、同じ倉庫内にちゃんとはい積みされておりまして、あらためて内容を確認するという必要がない場合には、これは事務所長の裁量でそのまま収納してよろしいということになっておるわけでございます。でございますから、三日たち、あるいは一週間たって、農産物検査法による検査が無効になるというわけでは毛頭ございません。これは国が物を買います場合の手続といたしまして、検収ということは、これはどうしてもやらざるを得ませんので、その場合に、まあ三日以内、あるいは一週間以内で、はっきりそのものがそのままそこにあるということが確認できまするならば、その検収という手続は終了、つまり品質につきましては省略してよろしい、こういうことになっておるわけでございます。その点御了承お願いいたしたいと思います。  それから検査につきまして、この前御審議いただきました以来とりました措置でございますが、まず第一点といたしましては、このビール麦につきまして、検査のための基本標準品をまず査定することが必要なわけでございます。昨年までは、この査定会に、査定する委員としてお願いいたした方々は、これは麦耕連関係の方々生産者代表として、それからビール会社及びビール業界の代表、これを需要者側といたしましてそれぞれお願いしてやっておったわけでございますが、今年からは、生産者代表ということの人選を改めまして、全販、全中、あるいは農業会議所、そういうところからもこれは代表を出していただきまして、広く全国団体の、ほんとうの意味で、生産者代表という意味で委員をお願して、そして査定会をやっていただいたわけでございます。これが第一点でございます。  それから第二点でございますが、昨年の御審議におきまして、下見の指導、これにつきまして、いろいろ御意見なりまた御批判をいただいたわけでございます。これに基づきまして、私どもいろいろ考えたわけでございますが、そのときお答え申し上げましたように、下見というのは、これはあくまでも私どもが農家、生産者の求めに応じまして、事前にその現物を見まして、そしてその農家の利便のためにやっているというのが筋でございますから、だれがとにかく頼んでこようと、頼んできたら、とにかくあらゆるひまを見つけて、親切に一つそこに出かけていって見てあげて指導してほしい、こういうことで実は指導しておるわけでございます。ただ、各県あるいは各食糧事務所の管内におきましていろいろ事情が違います。そこである場合にはこれはいわゆる麦耕連系統から頼んでくる場合もあり、またいわゆる経済連系統から頼んでこられる場合もございます。そのときに応じまして私の方針としましては、どなたから御依頼を受けようとも出かけていって、極力親切に見てあげてほしい、こういうことは申しておるのでございます。ただ、その場合にこの間の御審議でいろいろ出ました、たとえば何かそのあとでビール一ぱいごちそうにあずかるというようなこと、こういうことは一つ注意してほしい、極力そういうことは受けないようにしてほしい、こういう注意はいたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、県によって事情が違いますので、県によりましてはいわゆる麦耕連系統と経済連系統とで両方で一緒に頼んでこられる場合もございます。これはもちろん出かけてやっております。それから、それぞれから頼んでこられる場合もありますが、その県の情勢におきまして、その間の措置、やり方につきましては実は事務所長に一任しておる次第でございます。以上でございます。
  27. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、検査を受けたものが売買をされるのですから、そのときにそういう感覚で確認をするという機会は持たれるけれども政府検査したものをもう一ぺん検査という感覚においての再調査は持たれない、こう了解していいように思いますが、それでよろしいかどうか、もしそうだとすれば、第一線でいろいろ御指導なすっておる指導の言葉に非常に足りないものがあるんじゃないかと思うのです。今、部長お話のように、買人も検査人もこの場合は政府の場合は同一人なんですね。自分検査をしたものをあとで受け渡しをするときには数量等について確認を要する。これは当然ですからけっこうです。けっこうですが、もう一ぺん量目、品質等について再検査をしなければ受け渡しの対象にはならないというように農民諸君には受け取れる指導が行なわれておるのでありまするから、三日以内に受け渡しを完了しなければもうだめである。それを何とか私は一週間に延ばすということを聞きました、聞きましたが、原則としては三日、ただし特例として一週間、その一週間後に政府に売りたいというなら売ってしまいなさい、そうでないというと、期間を越えるというと、もう一ぺん再検査しますよ、こういうようなことが具体的には指導されておる。今の部長お話では、一週間たったってそれは数量の確認ということだけで、別に検査の実態、内容に触れての検査はいたしませんという筋は私は一応了解できる。その辺は一体どうなんですか。
  28. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) ただいまの点でございますが、かりに一週間たちまして、そうしてあるいはその同じ倉庫じゃなく、一たん農家が持ち帰って、そうしてあと政府に売ってくるという場合を想定いたしますと、その場合にはすでにこれは農産物検査法の検査を受けて票せんには検査の結果が記入されておるわけでございます。でございますから、その場合には政府があらためて検収するという立場で、その票せんに現われております、たとえば何等という等級でございますね、いわゆる品質を表わす等級と内容が一致しておるかどうかということについてはやはり責任をもって見まして、それで収納するということになるわけでございます。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 それでまあ明らかになりましたが、そうしますと、いわゆる再検査ということではない。もちろん最初に検査を受けまして、証印をきちんと張って、合格、何等々々ときまっておる。それを内容を変更しているということがございますれば、これは法規に照らしまして処罰がありますからそれは別途の問題、そういうことがないという場合には、政府売り渡しの申し込み数量と等級と現物との相違があるかないかということの形式的ないわば確認であって、検査実態に触れる再検査的な行為は、これは一週間たとうが、十日たとうが問題ではないんだ、これはそういうふうに受け取りました。そうならばこれは了解できる。できますが、検収ということが第一線ではもう一ぺん検査の実態に触れてやり直すんだというように言われておるし、農民もそういうように受け取っておる。そこに問題があり、特にいまビール麦に関連して、検査を受けたが、三日たてばだめだ、ところが一方のルートによるものは検査と同時にすぐそれを引き取ってしまうから問題はないが、一方のものは八月末まではやらぬのだ、受け渡しはしないのだ、八月末までずっと積んでおけ、それで初めて受け渡しということになれば、三日は問題でない、一週間は問題でない、もう一ぺん再検査を受けなければ受け渡しができない、私はこうなっては大へんな問題が起きると思うのです。だから、私はここで確認いたしたいことは、等級、数量の確認は当然ですからこれは問題はございません。ございませんが、第一次検査のごときはいわゆる検査法に基づく検査の実態に触れたようなものは期間が経過いたしましても存在はしないのだ、こう了解してよろしいということであれば問題はありません。そうでないということであれば問題がある。
  30. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) ただいま森先生のおっしゃった通りでよろしゅうございます。再検査をするということではございません。最初の検査のいわゆる等級の表示と内容がはたして一致しているかどうかということを確認するだけで政府は収納するわけでございますから、従って、ビール会社についても、これはいわゆる私ども検査した票せんに現われております検査の結果と内容が一致しているかどうか、一致しているというのなら、その後いわゆる手直しとか何かされておらないかという点だけを一つお調べになって、ビール会社は収納すればいいというふうに私ども考えております。
  31. 森八三一

    ○森八三一君 検査の問題はそれで一応明確になりましたから了解いたしますが、第二に受け渡し数量についていろいろ問題が起きておるから、これも今両者で調整中ということに部長からお話があったのですが、これも七月七日の日に確認されておることなんで、どうも承りますと、従来のルートによるものはいわゆる契約栽培だ、新しいルートに変更されて売買契約だ、どうもそこに二重に表現の使い分けが現地に行ってみると存在しておるらしいのです。農林省が中に入ってお取りきめになったときにそんなことがあったのかなかったのか。私はいずれも耕作者とビール会社との間に一種の契約栽培のような形が全部について存在しておる——法規的な関係は別にいたしまして——実態的にはそういう存在がある。であればこそ種子についても配布されており、ことしは何俵ぐらいをどうだということもあらかじめ約束されておるのですからね。ルートが変わったから契約栽培だ、あるいは売買契約だということで変更が行なわれるべき筋合いのものではないと思う。これは一体役所はどう認識されているか、また取りきめにアドバイスをされたときに与えられた結論をどう理解されておるか、もし私の申し上げるようなことが行なわれておるとすればこれはどう御指導されるのか。とにかく天然を相手にして栽培する作物のことでありますから、百俵ということで一応取りきめがあるといたしましても、天候が悪ければ九十俵しか生産できない場合もある。その場合、百俵出さなければ十俵分は罰則を適用されるといっても因るので、逆に天候も順調であり、技術も進んでおりますから、百俵と思っておったものが百十俵とれた場合は、やはり百十俵で取引をやっておるのが過去の慣例です。一割ぐらいのものは不作で減った場合は仕方がない、うまくいってよけいとれた場合は一割ぐらいよけいとってやるというのが契約栽培の内容として実態的には存在しておった。ところが、今度は従来のルートによるものは従来通りにやるが、そうでないものは一切契約数量というか、約束数量以内でなければならない、こういうことが主張されておるように聞くのですが、一体取りきめのときにそういうことをどう理解しておられたか。従前の例によると、当然私はその一割なり一割五分の増減というものは農業の実態から当然そういうものが伴てっくるべき性格のものだと、こう思うんです。それはどう理解されておるのか。そういうことをどう御指導なさるのか。これも農民にとっては非常に大きな問題なんです。
  32. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) この協定の前文にこういう文章があるんですが、ビール麦が多年会社との特約栽培を実行している点を尊重している点を尊重し、その趣旨に伴うよう取り扱いをすることが適当である、——つまり、従前のやり方を踏襲していきましょうということなんでして、そういう意味から申しましても、あるいは取引の常識から申しましても、一割の増減を認めるということはこれは当然の話でありまして、今さらそれが議論になるのはわれわれも全く理解に苦しむわけでございます。
  33. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、ここ一両日中にまとまるであろうことに期待されているというんだが、その際には、そういう点も含めて、受け渡しの時期についてそんなへんぱな二様の扱いは断じてこれは認めるべきでないと思う。同時に、その数量についても、今前文にありまするように措置されるということを強く約束していただきたいことをこの際希望し——それがもう時間をかしちゃいかんと思うんです、この段階へくれば。早く一つそういうことが、そういう末端まで透徹をして、すみやかに取引が完了するというように措置されることを、特に私は希望をしておきます。  それから、ビールを醸造するときの麦芽ですね、これが不足をしておるから輸入をするということが一面に企画されておる模様であります。これはまた実におかしなことなんです。麦芽用のものは作ろうと思えばそんなむずかしい問題ではないように、私しろうとでございますからよくは承知いたしませんが、承っておる。国内の麦は、過剰のような状態に大麦がなっておるんです。そのときに、麦芽をあらためて大量に輸入するなんということは、私にはどうしても理解ができかねるんですが、農林省——これは通産省の関係もあると思うんですが、そういうことについてどういうように措置されようとしているのか。これは断じてそういうことをやるべきではなくて、もし週内において麦芽生産の設備が不足しておるということでございますれば、そのことを改訂することこそが、畑作振興を担当しておる農林省としても、また貿易の点から申しましても、当然の措置でなければならぬはずなんです。それは一体どうお考えになるのか。  まあ、私一人で質問しておってもいけませんが、その次にもう一つ承っておきますが、こういうことで、一方では政府の醸造免許ということで、独占的な形態に置かれておる醸造業であるる。生産農民の方は多数不特定の人が作っておる。どうしても力関係で問題が起きると思うんです。そこで、もし生産農民の諸君が正常な取引をしようと思いましても、そういうことが不可能であるということになりまするというと、今度は一方だけに損失がしわ寄せをせられるという結果が生まれてくると思う。これではほんとうに零細農民の地位を守っていく姿にはならぬと思う。もしそういう場合には、生産農民だけで加工をする、ビールを作る。自分たちも自分たちの作ったビールを飲むというところまでこれは発展をしなければ、解決にならぬと思うんです。その場合に、一方では醸造免許という一つの押えがあって、それは相ならぬと、こうなりますると、もう生産農民はにっちもさっちも動けない。慢性的に、どういう無理を言われてもそれに追従をしていかなければならぬ。救済の対策というのは一つもないんですね。ですから、もしここで問題がどうしても解決されぬということに相なりますれば、将来に向かって農民の自主的な加工というものを認めなきゃならぬということに理論的には発展してくると思うんです。今やれとかやらぬとかいう問題ではなく、理論的には、そういう方向をたどっていかなければ、零細農民の経済的地位というのを守ったことにはならぬと、こう思うんですが、もしそういうことになって、国内の醸造工業というものが混乱するからやっちゃいかんということであるのであれば、生産農民の言い分というのが通るように、それがよこしまなむちゃな注文であればこれは別ですが、正しい注文というのは通るようにしてやらなきゃならぬ。そういうことを考えていくのが農林省だと思うんですが、しかし、それはどういうことになるんですか。もしどうしても話し合いがうまくいかぬということになった場合には、一方でやりたいというときには、これは政府として踏み切ってやるという態度をおとりになるべきだと思いますが、そういうお気持があるのかないのか。近ごろは農民だって十分ビールを飲みますから、分自で作って自分で飲むということはこれは可能なんですよ。独占的にまかしておく必要はない。国の定めた税金だけを納めればいいわけです。それくらいの踏み切りは国がやるべきだし、やらなければ問題にならぬという感情を私は理論的には持つのです。この点どういうように措置されるおつもりか。その点も第二の問題としてあわせて伺っておきたい。麦芽の問題と、最終の場合に問題が起きたとき、農民を守るという手段がなければならぬと思うが、どうか。この二点です。
  34. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) ただいまお話の第一点でございますが、いわゆるモルトの輸入問題についてでございます、この関係は、これは私どもの方の経済局関係、それから、食糧庁も関係するわけでございますので、現在のところまだ検討中でございます。その検討の主眼点は、やはりただいま森先生お話にございましたように、やはりビールはこれは将来どんどん需要が伸びていくわけでございますが、幸いに、この原料であるビール麦、これは国内産で十分自給し得べきものでございます。極力これは国内産だけでもってまかなうというのが、これは理想であると思います。でございますが、残念ながら現状におきましては、いつかもお話が出ましたように、いわゆるモルトを製造する設備、これが現在非常に少ないようでございます。この二、三年、急速に伸びますビールの需要増に対しまして、残念ながらこの——精麦設備とこう言っておりますが、この精麦設備は、大体今の約倍ぐらいに拡張しなければならぬような計画のようでございます。でございまするので、ただこの設備の拡張は、まあ資金その他の手当は別にいたしまして、やはり全体で、工事に取りかかってから約一年かかるということを私ども聞いております。従って、まあ今年は、これはどうしてもこれをすぐ間に合わせと言っても無理のようでございます。従って、ことしと来年ぐらい、これはまあ仕方がないというようなことでございますが、当初ビール酒造組合、あるいはまたビール会社の方では、各工場とも、これは今その精麦設備の拡張に取りかかろうとしております。でございまするから、おそらく来年あたりまでには——来年度の末ごろまでには、これは今の倍ぐらいの精麦設備を作らせるということで、実は計画の再検討を命じておるわけでございます。非常にビール会社でも、資金の調達、あるいは実際、工場拡張につきましていろいろな問題があるので、非常に苦しいと、こう言っておりまするが、しかし、理想的な姿といたしまして、国内のビール麦をもって自給するのだ、しかも、なるべくそれを早く実現したいということで、当初ビール会社では、これをあともう三年ほど認めてほしい——ことしも入れまして、今年三十五年、三十六年、三十七年にも、やはりどうしても足りないから少し認めてくれというようなことを言っておりますが、そんなことではいかん、これはまあ極力一つ早くやれということで、今の精麦設備拡張の再検討、従いましてモルトの需給の再検討、これをまあ命じてやっておるわけでございます。従いまして、まあ本年または来年、これは将来いわゆるビールの需要が伸び、ビールの麦のまた従って生産が伸びるということになりますれば、これは非常に農家のためになることでございまするので、この際まあビールというものは、これは大いに伸ばして——伸びていった方が非常にいいわけでございます。ただ、この需要が伸びるに対しまして、生産が追つかんということになれば、そこでまあブレーキがかかるわけでございますから、やはり将来の姿というものを頭に描きましても、ここ一、二年、まあ今年と来年ぐらいは、これはある程度のモルトの輸入はやむを得ないのじゃなかろうかと、こう思って考えておるわけでございます。ことし、来年にかけまして、三割程度ずつビールの需要は伸びていくのじゃなかろうか、というような、会社はそういう目算でやっておるわけでございまして、私どもも、それは非常にけっこうであるが、さっき申しました精麦設備の拡張を、一つフルに大馬力でもって速急に作れということで、今再検討しておるわけでございます。そのようなわけでございまするから、ことし及び来年程度は、これは多少はモルトの輸入はやむを得ないのじゃないか、こう思っておる次第でございます。ただ、その数量等につきましても、今検討しておるわけでございます。以上でございます。
  35. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 農協ビール工場を作り、ビール生産するという点につきましては、法律上は、これは農村工業として当然認められるはずのものでございます。従いまして、先ほど森先生のおっしゃいましたように経済的な理由、あるいは社会的な理由によって、どうしても農協をしてビールを買わせなければならぬというような状況になれば、農協といたしましてもこれをバック・アップする立場におきまして十分検討したいと思います。
  36. 森八三一

    ○森八三一君 最後に取りまとめて申し上げますが、麦芽の輸入につきましては、需要上の計画というものは、少なくとも私は一年以前くらいには翌年のものがきまるはずだと思います。でなければ、工員の関係、工場の関係でマッチするわけではございませんから、どろなわ式にやるわけにいかぬと思います。自然そういうことから醸造等についても事前に十分打ち合わせがあると思うんです。ですから、そういうこともタイアップすれば、私は技術者ではありませんからわかりませんが、麦芽——モルトとしては、そういうものの生産についても、これは計画的になし得る姿のはずのものであると思うんです。それがどうもちぐはぐになっておるというところに問題があるわけですから、これは今年度はやむを得ないといたしましても、最小限度の輸入にとどめ、少なくとも来年度の醸造石数がどのくらいになるかという策定は、今日できると思うんです。できなければうそだと思います。少なくとも昭和三十六年度の予算を組むときには、税金の計算をする観点からも出てくるのですから、対応するその精麦ですか、設備をやろうと思えば、当然そういう場合にこそ私は投融資等がはかられていかなければならぬ姿のものと思うんです。そういう点については十分一つ最善を尽くされまして、ちくはぐにならぬようにやっていただきたいと思います。  それから戻りまして、とにかく、今年度受け渡しについてはへんぱな二様の取り扱いがされるということでありますると、問題がますます将来に向かって混乱が激成をしていくという姿をたどると思うんです。ですから、四月七日ですかの申し合わせ通りすみやかに、ほんとうに極端にすみやかに、従前の例によりまして農林省検査が済めば、すぐそこで受け渡しをやる、同時に、数量等についても過去の慣例によって一割くらいの増減というものは当然のものとして妥結するということで、一つ強く助言をしていただきたいし、そういう取りきめをやらせるように運びをしていただきたいと思います。どうしてもこれがきまらぬということになれば、さらに関係の者を集め、那辺にそういうことが存在するのかをわれわれとしては究明しなければならぬと思うんです。そういうような手続をやることは非常に遺憾なことかもしれないが、すみやかに一つ妥結いたしまするように配慮を願えたいと思います。一体、農村団体の中には摩擦もある、これは見にくいことなんですが、戦後の日本農政は、封建的な思想を民主的に切りかえていくという精神的な一つのものがある、その一つの形の現われとして農地の改革があった、一方には農業協同組合というものが作られた、この二つが戦後における農政の根幹である。そして相当の成果を上げてきたと思うのです。そしてそこでビール麦耕作組合とか何とかいろんな団体があって、それが必ずしも法規に基づいた法的根拠を持ったものではない、そういうものがあっちこっち簇生をしておって農政の根幹は立っておる、農業協同組合間にいろいろな摩擦を起こしておる、それが外部からつけ込まれておる起因になっておる実態を見るのです。農林省指導方針をどこに置いておられるのか、最後のきめ手として方針を承っておきたいのです。農産物の処理について流通過程を分担する場合、一体どういう姿のものが正しいのか、農政を進めていくという大きな見地から何を一体ねらっていらっしゃるのか、その大方針というものがはっきりするなら、これは強制命令はできません、できませんけれども指導としてはかくあるべきだという方針くらいは堅持されてしかるべきだと思う。お前さん方はいいかげんにやりなさい、こういう姿で農政の根幹というものが乱れていくということは私には放置することは許されない。これは一体どうなんですか。自由だから勝手にやりなさいということでいいのか、農政を推進していく基本的な観念を持っていらっしゃるのか、どうなんですか。そういう点を最後に承っておきたい。
  37. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 現在の農協は実際的にいろいろ欠点はございますが、しかし、農林省といたしましては今後農協をできるだけりっぱなものにして、これによって農産物の流通問題の解決、あるいはさらにまた進んでは、生産方面への農協指導体制の確立ということをはかっていきたいというのがわれわれの基本的な考え方だと思います。その点は今さら申し上げるまでもないことと実は考えておる次第でございます。
  38. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御発言もなければ本件については、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  39. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) この際、小枝前農林政務次官から発言を求められております。これを許します。
  40. 小枝一雄

    衆議院議員(小枝一雄君) 一言この際ごあいさつをさしていただきたいと思います。  私、先般の内閣の総辞職に伴いまして農林政務次官を辞することになりました。在任中不敏な私のことでございますので、何かと御期待に沿い得なかったことが多多あったと思いますが、にもかかわりませず、御指導御鞭撻をいただきまして大過なくここに退任することに相なりました。皆さんの御厚情に対して深く感謝をいたしお礼を申し上げる次第でございます。  なお、やめましても、皆さんの驥尾に付して農政のためには大いに勉強さしていただきたい、かように考えておりますので、この上の御指導御鞭撻をお願いいたしまして、簡単でございますがごあいさつにかえたいと思います。ありがとうございました。(拍手
  41. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 本日はこれをもって散会いたします。    午前十一時二十八分散会