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1960-09-13 第35回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十五年九月十三日(火曜日) 午前十一時九分
開議
出席委員
委員長代理
理事
吉川
久衛君
理事
大野 市郎君
理事
小枝 一雄君
理事
内藤 隆君
理事
中村
寅太
君
綾部健太郎
君
小澤佐重喜
君
押谷
富三
君
加藤
高藏君
鍛冶
良作
君
鴨田
宗一
君
倉成
正君 田邉 國男君
高石幸三郎
君
中馬
辰猪君
中井
一夫
君
古川
丈吉
君
赤路
友藏
君
茜ケ久保重光
君 中澤 茂一君
受田
新吉
君 神田 大作君
委員外
の
出席者
農林政務次官
田口長治郎
君
農林政務次官
宇田
國榮
君
農林事務官
(
大臣官房長
) 齋藤 誠君
農林事務官
(
農林経済局
長) 坂村
吉正
君
農林事務官
(
農地局長
) 伊東 正義君 農 林 技 官 (
農地局建設部
災害復旧課長
)
中村
武夫君 農 林 技 官 (
振興局農産課
長) 石川 里君
農林事務官
(
食糧庁総務部
企画課長
)
亀長
友義君
水産庁次長
高橋 泰彦君
通商産業事務官
(
軽工業局化学
肥料部長
) 富谷
彰介
君
自治事務官
(
財政局理財課
長)
佐々木喜久治
君 専 門 員 岩隈 博君
—————————————
九月十三日
委員安倍晋太郎
君、
天野光晴
君、
加藤精三
君、
加藤常太郎
君、
松岡嘉兵衛
君、
松田鐵藏
君、八
木徹雄
君、
保岡武久
君及び
小松信太郎
君
辞任
に つき、その
補欠
として
綾部健太郎
君、
鴨田宗一
君、
鍛冶良作
君、
中井一夫
君、
古川丈吉
君、押
谷富三
君、
加藤
高藏君、
小澤佐重喜
君及び
受田
新吉
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員綾部健太郎
君、
小澤佐重喜
君、
押谷富三
君、
加藤
高藏君、
鍛冶良作
君、
鴨田宗一
君、
中井一
夫君、
古川丈吉
君及び
受田新吉
君
辞任
につき、 その
補欠
として
安倍晋太郎
君、
保岡武久
君、松
田鐵藏
君、
八木徹雄
君、
加藤精三
君、
天野光晴
君、
加藤常太郎
君、
松岡嘉兵衛
君及び
小松信太
郎君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
派遣委員
より
報告聴取
農林漁業災害
に関する件(
九州
、
山口
及び
岐阜
県下の
旱魃
、
水害等
による
農林漁業災害
問題)
農林水産業
の
振興
に関する件(鰹節の輸入問題、 肥料問題)
昭和
三十五
年度
干ばつ及び
水害
による
農林被害
等
対策
に関する件 ————◇—————
吉川久衛
1
○
吉川
(久)
委員長代理
これより
会議
を開きます。
委員長
が所用のため、
指名
により私が
委員長
の職務を行ないます。
農林漁業災害
に関する件について
調査
を進めます。
九州
、
山口
及び
岐阜
県下の
旱魃
、
水害等
による
農林漁業災害
の
実情調査
のため、過
日本委員会
より
現地
に
委員
を派遣いたしましたが、この際
派遣委員
より
報告
を聴取いたしたいと存じます。 第一班
高石幸三郎
君にお願いいたします。
高石幸三郎
2
○
高石委員
旱害調査
第一班の
報告
を申し上げます。 われわれ
調査班
は
高石
、
中馬委員
、
赤路委員
の三名をもって編成し、本月五日から九日まで
熊本
、
鹿児島
、
大分
、
福岡
の各県の
旱害状況
を
調査
して参りました。そこで、その
概要
を御
報告
申し上げますとともに、
対策
について若干の所見を申し述べたいと存じます。 まず
調査
の経路及び地点について申しますと、
調査
第一日たる九月五日、われわれは
航空機
により羽田から板付に飛び、直ちに
熊本
市におもむいたのであります。われわれの搭乗した飛行機が岩国に不時着したため、
予定
より二時間以上遅延いたしましたので、
予定
を変更して、直ちに
県庁
において
県当局
及び
農業団体等
より
説明
及び
陳情
を受けることといたしまして、それから市の近郊にあります
託麻台地一帯
の
被害状況
を
調査
して第一日を終了いたしました。翌六日は汽車により
鹿児島
県伊集院市に参り、これから加世田市、枕崎市、知覧町、つまり
薩摩半島一帯
を
調査
して
鹿児島
市に至りました。翌七日は引き続き
鹿児島
県加治木市、
隼人
町、国府町等の
方面
の
調査
に至り、
隼人
駅より乗車、
大分
県に向かったのであります。八日は速水郡向野町、
宇佐
郡
宇佐
町東大畑、
駅同時矢部
、西国東郡真玉町等の
被害状況
を視察し、また
農民諸君
の悲痛な
訴え
を承りつつ、
中津
市に到着、ここにおいて
中津
、
下毛農林事務所管内
の
被害概況
の
説明
と
被災地町村長等
の
陳情
を聴取いたしまして、
大分
県の
調査
を打ち切り、続いて
福岡
県に入りました。
福岡
県におきましては、まず
築上
郡椎田町、築城町を視察しつつ行橋市に至りました。ここで京都郡、
築上
郡下の
被災市町村
の各
代表
から
説明
及び
陳情
を受け、引き続いて同
市内鳥井原地区
を見ました後、田川郡に入り、方城町を
調査
し、さらに嘉穂郡鎮西村を経て
福岡
市に帰着し、これをもって全行程を終わり、翌九日
航空機
により帰京した次第であります。 今年の
旱魃
の
一般的状況
と
九州
各県の
農業
に与えた
被害
の
概況
を述べますると、六月は平年
並み
の
降雨
がありましたために、
水稲
の
植付
は辛うじて完了したのでありますが、七月、八月に至って
西日本一帯
には太平洋の高気圧が張り出し、来襲をむしろ期待された
台風
をも全く受け付けず、両月の
降雨量
はわずかに百ミリ
程度
にすぎない有様でして、これがため
水田
、畑地を通じ、全
植付面積
の約四割に対しまして大
なり小
なりの
被害
をもたらすことと相なった次第であります。 各
県別
に
被害割合
を見ますると、
福岡
県では
平均
五六%、
うち水田
が五〇%、畑では全
面積
について
旱害
を受けており、
佐賀
県は
平均
五九%、
うち水田
で同様に五〇%、畑で総
面積
の一〇〇%、
長崎
県では
水田
の約半分が、
熊本
県では
平均
二九%、
うち水田
一七%、畑四六%が、
大分
県では
平均
三二%、
うち水田
二七%、畑四一%、
鹿児島
県では
平均
四〇%、
うち水田
三一%、畑四七%がそれぞれ
被害
を受け、
被害面積
は
水田
約十四万
町歩
、畑約二十四万
町歩
に達しているのであります。ただし宮崎県は幸いにして小
面積
の
被害
にとどまったようであります。 かような
旱魃
に対し、各県とも
対策本部
を
設置
し、
海上自衛隊
に要請して、およそ一万数千リットルの水を散布して、
人工降雨
をもたらすよう努め、
自衛隊
に依頼して
さく
井を行ない、また県、
市町村
において
機械
の
購入
、
借り入れ等
により水を補給し、
水利調節
を
実施
する等、あらゆる可能な
対策
を講ぜられたのでありますが、遺憾ながら完全なる
旱害防止
に成功いたしません。
相当
の
損害
を発生することと相なったのであります。その
被害総額
は九月に入って以来の雨によって軽減された面もありますが、あるいは逆に増大した面もあって、いまだ最終的な数字の確定を見ないのでありますが、大よそ百億に近いものがあろうと推定されておるのであります。 以下われわれが親しく
調査
を行ない、また
陳情
を受けたところにより、今次
災害
の若干の特徴を申し述べてみますと、まず
被害
を受けない
地域
は、全体としてはすでに
政府
が発表をいたしているようにすばらしい
豊作
でありますが、
旱害
を受けた
地域
は、先述のように
全滅
のところもあって、田と田が相接し、
旱魃
と
豊作
との対照があまりにもはっきりしておりまして、
被災農民
は悲嘆のどん底に沈み、みじめな思いをしておるのであります。しかも
水稲
の
植付
後に
旱魃
がやってきたために、すでにある
程度
の
肥料代
、
農薬代
を支出し、また灌水または保水のために
相当
の資材、労力を投下しておりまして、これらの経費が全くロスとなっておるのであります。全体的にいって涌水がかり、
小沼池がかり
の
水田
、あるいは看天田はほとんど
全滅
に近いといっても差しつかえありません。 御
承知
の
通り晩稲種
は目下
幼穂形成期
を迎えております。この時期にはおよそ
幼穂
は十センチ前後の伸長を見ていなければならないはずでありますが、われわれが
各地
で引き抜いてみたところでは、今後
稔実
の
可能性
はほとんどないと断言し得るものが広範に見受けられたのであります。一部の
地域
ではもはやあきらめて刈り取ってしまい、そのあとにソバ、
大根等
の代作を植えておりましたが、いまだにこれを
たんぼ
に残しておるものが多い
状況
でありました。その理由はおよそ二つあるのではないかと思っております。その
一つ
は、少しでも
収穫
を得ようという
農民心理
の発露であり、他は
共済制度
との
関係
であります。すなわち
収穫皆無田
となるためには
統計調査事務所
の
一筆調査
が必要となるのでありますが、迅速かつ全面的に
統計調査
を
実施
する余力がないためであります。これは資源の
利用方法
といたしましてはきわめて非効率であり、
改善
の要ありと認めた次第であります。
水稲
について特筆すべき点は、
早期裁培種
はほとんど全く
被害
皆無であるということであります。来年は一段と
早期裁培
の進展を見るものと予測されますが、たとえば
越路わせ
のような
適品種
の普及に一そうの
努力
を要するものと思われたのであります。
陸稲
につきましては
普通種
は各県とも全く
全滅
に近いところが多く、
早期陸稲
は
植付
時期、
品種
にもよるようでありまして、平年作の
地域
とこれまた収獲皆無に近い
地域
とがあるように見受けました。 次に
カンショ
でありますが、われわれが
鹿児島県内
で数カ所において引き抜いて調べてみますると、数日来の
降雨
で葉はいかにも生き生きとしておるのでありますが、結実は悪く、
親指程度
のものが一個、または二個ついているものが多く、
予想外
に
作柄
は不良であると判断いたしたのであります。時あたかも
カンショ価格
の
決定期
が近づいておりますが、
政府
は
作柄予想
につき特に慎重を要するものと存ぜられ、この点
当局
の
注意
を喚起しておく次第であります。 次に果樹でありますが、御
承知
のごとく
九州
にはわせ
温州種
の柑橘が多いのでありますが、特に持ち帰りました見本でごらん願うように、玉は肥大せず、例年の半分
程度
の大きさのところが
相当
に見受られたのであります。 以上
被害
の大要をおもな農産物について申し上げましたが、このような
被害
を受けた
地域
は三十三年の
被害地域
と重複している
地帯
が非常に多いのであります。いわゆる
常習旱魃地帯
が本年もまた手ひどい
打撃
を受けているのであります。また
北九州
の英彦山の西方の
炭鉱地帯
は
井戸
を掘っても水は出ず、結局
ダム
による
灌漑
を行なう以外にはないのでありまして、いわゆる
旱害恒久対策
を
実施
する以外にこれらの地方を救済する
方法
はありません。
石炭不況
と関連して
政府
の
施策
を促進する必要があると認めた次第であります。 次に
旱魃害対策
について
現地側
の
要望
をお伝えすることにいたします。この点については、すでに九月一日の本
委員会
において
九州
、
山口代表
から、また本日は
福岡県知事
ほか
各位
から詳細なる
説明
が行なわれておりますので、われわれが直接耳で聞いた
現地側
の声を中心に申し上げることといたします。 まず
応急対策事業費
についての国の助成についてであります。すなわち
揚水機
、
原動機等
の
購入
、敷設、
運転等
、
井戸
の掘
さく
、
水路
の開設、仮
締め切り工事等
が五百数十の
市町村
において、六千の
団地
について
実施
されまして、たとえば
鹿児島
県
隼人
町においては千数百メートルの
水道管
を鉄道のトンネルを利用して敷設し、みごとに数十
町歩
の
灌漑
に成功している事例を見受けましたが、至るところ
現地
の
努力
はなみなみならぬものがあるようでありまして、これらに対する国の
補助
について強い
要望
が表明されております。八月三十日現在で
熊本農地事務局
が調べましたところによりますと、
機械購入費
、
工事費
、
燃料費等
を総計して六億一千四百万円と記録されておりますが、この金額はその後次第に増加しているように見受けるのであります。 この場合三十三年災におきましては、
河川
の仮
締め切り
、
井戸
、
水路
掘
さく
、
揚水機
の輸送、据付、
動力線架設
、
送水管
の
設置等
に対し、
事業規模
が一
団地
五万円以上の
事業
をとり、その
事業費
の六五%について
補助
を行なっておりますが、この五万円を三万円に引き上げてほしいという
希望
が
各地
において表明されたのでありまして、
政府
の善処を
要望
しておく次第であります。 次に
天災融資法
の発動であります。
池田総理
が
九州遊説
の途次
福岡
において同法に基づく大
災指定
を公約されたやに
新聞紙
上伝えられ、
現地側
もその
実行
を深く期待しているのであります。この際特に
注意
を要する点は
累年災害者
の
既貸付金
の
返済延期
または借りかえの
措置
について遺憾なきを期していただきたいということであります。 次に
自作農維持創設資金
の
資金ワク
の拡大であります。
農地事務局
の
報告
によりますれば、現在までに
九州管内
で約十三億円の要求が行なわれておるようであります。三十三年災においては四億円の
追加貸付
が行なわれたようでありますが、今年は少なくとも十億円
程度
の
計上
が強く望まれることを申し添えておきます。 次に
水陸稲
が
全滅
に近い
状態
の
地域
におきましては、
救農土木事業
を
実施
することが絶対に必要であるということであります。ただいまも
現地
の切々たる
陳情
がございましたが、特に
福岡
県におきましては
炭鉱不況
に関連し、
離職者対策
に苦慮している
現状
におきましては、
旱害恒久対策
を兼ねた
救農土木工事
の
実施
がぜひとも望まれているところであります。また
農業共済
の仮払い、
概算払い
の
旱魃期実施
を行なうべきであることはもとより当然であります。
最後
にわれわれが特に痛感し、また
調査地域
の随所において強く
訴え
られましたことは
旱害恒久対策
の
全面実施
であります。さきにも触れましたように、今回の
被災地
はおおむね
常習旱魃地帯
であります。これらの
地帯
については
恒久対策
の確立とその着実かつ
早期
の
実行
が何よりも肝要であります。三十三年の
被害
にあたってもこの点は強く叫ばれましたが、われわれの感じではその後力強く展開されているとはどうしても見えなかったのであります。
現地側
の
熱意
に欠けるところがあった点も否定できないところでありましょうが、国の
指導態勢
と
援助
が不十分であることは何よりの欠陥と相なっていることを明白にわれわれは感じとったのであります。
恒久対策
といたしましては小
規模
のもの、大
規模
のもの、国の
補助
を伴うもの、
融資
によるもの等
各種
の
施策
があるわけであります。すなわちそのおもなるものを述べますれば、まず
地域開発
によるものであります。たとえば
大分
県では駅館川の
特定総合開発事業
でありますが、われわれがちょうど
中津
市に参りました当日、
新聞紙
においてその
実現見込み薄
という
東京情報
が伝えられたというので、
現地
は非常な衝撃を受けまして、憂色に包まれておった様を現実に見て、われわれも非常な感激を受けたのであります。また
大分
県の山国川の
開発
、国東半島の
開発
、
福岡
県の
弁城ダム
、
内住ダム
の
建設
についても切々たる
訴え
を聞かされて参りました。 次に小
団地土地改良事業
でありますが、その
補助条件
の
改善
につきましては一
団地
五
町歩
の
制限
を、一
町歩
に引き下げるように強い
希望
が述べられました。
北九州
及び
南九州
のごとく
山間地域
の小
面積
の
水田
についてはこの
制限
の改訂が必要だとわれわれも痛感した次第であります。 また
南九州
の
特殊土壌地帯
では
深層地下水
の探査が必要であり、年々の
予算計上額
があまりにも僅少なことははなはだ遺憾である、
市町村
に
熱意
があっても非常に残念であるということを言われておることもお伝えしておきます。
現地
においてわれわれが痛感いたしましたことは、非
補助小団地土地改良融資事業
に対する評判がすこぶるよろしいということでありました。この三分五厘
資金
の活用をはかり、さらにその内容を充実することは、
旱害恒久対策
としてはなはだ有益でありますので、これを一そう推進されるよう
要望
する次第であります。 要するに
土地
の
実情
に応じ、これら
各種
の
方法
を組み合わせ、工夫をこらして、一日も早く根本的に
旱魃被害
から抜け出る道を開くことが肝要であります。 以上簡単に御
報告
いたしましたが、
最後
に、
政府
に対しましては
被災農民
の窮状を察し、三十三年の
対策
に劣らない万全の
措置
を講ずべきことを強く要求すると同時に、今回の
調査
に協力いたされました各
県知事
以下
担当官
、
市町村行政当局
、
農業団体各位
並びに
農林省出先機関
に対し深甚の感謝の意を表明し、
被災者各位
の一日も早い立ち直りを祈念いたして、私の
報告
を終わることといたします。
吉川久衛
3
○
吉川委員長代理
次に第二班、
倉成正
君。
倉成正
4
○
倉成委員
私は第二班を
代表
して
調査
の
概要
を
報告
いたします。 本班に参加せられた
委員
は、自民党からは
吉川委員
と私、社会党からは
西村委員
の
都合
三人で、九月七日から十二日までの六日間にわたりまして、
旱害
については
長崎
県、
佐賀
県及び
山口
県下を、
水害
については
岐阜
県下を
調査
して参ったのであります。 まず
旱害
について申し上げます。
旱害
の発生の
原因
及び
農作物
の
被害
の
状況
並びにこれが
対策
につきましては、第一班の
報告
において十分尽きておりますので、重複を避けまして本
調査班
としては
調査地
の
実情
を
調査日順
に従って簡単に申し述べるにとどめたいと存じます。
最初
の九月七日は
長崎
県の島原の
被害地小浜
町、南有馬町及び
北有馬
町を
調査
いたしたのであります。 われわれ一行は、七日朝七時
東京
を出発したのでありますが、 〔
吉川
(久)
委員長代理退席
、
中村
(寅)
委員長代理着席
〕 途中異常な悪気流にあい飛行時間が延び、
福岡
には一時間も
予定
よりおくれて到着したのであります。このおくれのため、
予定
の
長崎
行の列車に間に合わず、やむを得ず自動車で
長崎
県に入ったのでありますが、
諌早
市に着いたときはすでに午後五時半を過ぎていたのであります。しかし
被害農民
の心情を考えて、時間にこだわらず
日程通り
の
地区
について
調査
を決行することといたしたのであります。 まず
諌早市役所
に参りまして
激甚被害市町村長等関係者
から
被害
の
実情
を承り、次に
島原半島
の
西海岸沿い
の
被害地
を
調査
しつつ
北有馬
に到着したときは夜の八時三十分となり、そこから
北有馬
までの
被害箇所
を
ゴム長ぐつをはき
、片手に
懐中電灯
を持って、
被害農民
の熱心さにこたえ、言われるままに
たんぼ
に入り、
水稲被害
の
状況
をつぶさに
調査
したのでありまして、
調査
が終わったときには時計はすでに十時を過ぎていたのであります。 この
島原半島
は、
火山地帯特有
の
降雨
が直ちに
地下深層
に吸取せられるため、この
辺一帯
の
農業
は
ため池
に依存しているのが
現状
でありまして、平
年度
においても
用水
の絶対量が不足している
地域
であります。そのために
長崎
県下の三分の一に当たる七百個所の
ため池
がこの
地域
にあることを見ても、いかに
用水
に苦慮しておるかがわかると思うのでありまして、
ため池
の
整備拡充
と
地下水利用
についての
援助
を強く
訴え
ていたのであります。 翌九月八日、金山村の
干拓被害状況
を
調査
いたしたのであります。
干拓地
はいずれの
干拓地
でも同じでありますが、
水利
が十分配慮されていないのでありまして、今後の問題として
干拓地造成
にあたっては
用水確保
についても
重要要件
の
一つ
として計画をされねばならないものと深く感じたのであります。 八日の午後は
長崎
県の
調査
を終え、
佐賀
県に入ったのであります。まず
県西部
の多良町に参り、
被害関係町村長等
から
陳情
を聴取し、続いて同町が
実施
している低地の遊水を高い
水田
に送る
揚水施設
を
調査
したのであります。時間の
関係
で見ることができなかったのでありますが、
有明海岸沿い
の
干拓地
が
塩害
を起こしていたのであります。
塩害
の
原因
は、
干拓地
の表面が乾燥したため、
地下
に流れておる塩水を
毛細管現象
で地上に吸い上げ
塩害
を起こしたのでありまして、
干拓地用水確保
については、この
方面
からもとくと検討さるべきであると感じたのであります。続いて白石町を経て北方町朝日にある
貯水量
百二十八万立方メートル、
灌漑水路
十三キロ、二千ヘクタールの
水田
に給水しておる総工費三億円で
建設
された
大型ため池
を視察したのであります。 次に
南多久町花祭部落
における鉱害による
水稲被害
を
調査
し、多久市を経て
唐津
市に参ったのであります。
唐津
市においては
調査
を
予定
していた東松浦郡が時間の
都合
でとうてい
現地
に行くことができないため、
離島
の
町村長
に
唐津
市にお集まりを願い、親しく
実情
と
陳情
を承ったのであります。この
地帯
は
丘陵地帯
で平
年度
においても水不足に悩まされておる
地域
でありまして、
貧農
中の
貧農
が多く、自力では何事もできないのが
実情
でありまして、国において早急に
用水
の
確保
のための
ため池
の
設置
を行なうとともに
営農改善
の
指導
と国の
援助
が強く望まれていたのであります。 九月十日は
山口
県を
調査
いたしたのであります。
山口
県においては七月上旬までは平年
並み
の
降雨量
があったのでありますが、中旬から八月上旬にかけて
降雨
は
皆無状態
であり、その後も雨らしい雨を見ず、
海岸線
は全域にわたって
被害
を受けており、
水稲
、
園芸作物
を主として、その
被害
は十二億円に達しておるのであります。
被害激甚地
としては
大島
郡を初め
離島
でありまして、われわれも
屋代島
の
大島
町に渡り、
最初
に
ミカン
の
旱害
を
調査
したのであります。
被害ミカン
は平
年度
に比へ
収穫
は二割減となり、さらに
商品価値
は十分の一に低下して、
収入面
から大きな
打撃
を受けていたのであります。次に橘町役場にて
屋代島
内の各町長より
陳情
を開くとともに
被害
についてのカラー・スライドを見て、
農作物
の枯死に至るまでの経過につき認識を新たにしたのであります。
海上
から上関村
被害地
を
調査
しながら下津村に上陸し、平生町を経て田布施町に参り、電探により探知した
水層
に
揚水用ボーリング
を行ない、非常に効果をおさめた
実施現場
を
調査
したのであります。 以上
旱害
についての
報告
を終わります。 次に、
岐阜
県における
水害
についての
概要
を申し上げます。
岐阜
県をおそった
豪雨
は、八月十日から十三日の未明にかけて
四国
に上陸し、
中国
を経て
日本海
に抜けた
台風
第十一号及び第十二号と八月二十九日に同じく
四国
、
中国
を通過して
日本海
に去った小型の
台風
の影響によるものでありまして、この
豪雨
は
岐阜
県の
山岳地帯
に
集中豪雨
を降らせ、中でも
長良川
及び揖斐川の
上流
は、五百ミリをこえる
連続豪雨
に見舞われ、
長良川
のごときは、昨年の
伊勢湾台風
のときの
水位
をさらに一メートル上回る
増水
となり、流域に大きな
被害
をもたらしたのでありまして、
農林水産業
の受けた
損害
は二十三億円を上回るというのであります。 われわれは、まず
県庁
において
関係部課長
から
災害
の
実情
と
対策
についての
要望
を承り、直ちに
長良川本流沿い
に
現地調査
を行なったのであります。
長良川本流
は、五メートル以上の
増水
をしたため、
警戒水位
をはるかにこえ、両岸の堤防は、至るところ、原形をとどめぬまでに破壊されており、
国鉄高岡線
のごときは、二個所の鉄橋と、寸断的に線路は
流失
、決壊し、これが
復旧
の見通しさえつかぬままになっていたのであります。 われわれはまず白鳥町に参り、郡上郡下の
被害町村長等
から
被害
の
実情
及び
復旧対策
についての
要望等
をつぶさに承り、次いで二日町の三十ヘクタールの
水田
が
流失
、埋没した
激甚地
を
調査
いたし、さらに
上流
にある
干田野部落
に歩を進めたのであります。 この
部落
の中を流れる小
河川
は、
山岳地帯
に
集中豪雨
を受けたために山くずれを起こし、直径一メートルもある岩石を伴った山津波となって、この
部落
の人家を初め、
耕地等
を押し流したのでありまして、一カ月を過ぎた現在にても当時の惨状をそのままながめることができ、その
現状
は、
復旧
の困難さを物語っていたのであります。 次に
大島
町
万場部落農民
の懇請によりまして、
万場部落
の百ヘクタールの
水田
に
灌漑
している唯一の
水路
が二カ所にわたって山くずれのために決壊している
現場
に参ったのであります。この一
水路
に百数十戸の農民の全生命をかけているだけに、全農民は日夜これが
復旧
の一日も早からんことを不安のうちに見守っていたのであります。 このような
被害
の
復旧
については、
災害
復旧
の緊急工事のうちのさらに緊急工事として最も優先的に取り上げ、早急に
復旧
することが望ましく、民生の安定に貢献するゆえんであると思うのであります。 次いで武儀県事務所に参りまして、関市、美濃市を初め、管内
町村長
から真剣な
陳情
を承ったのであります。 以上で本
調査
の日程を終えたのでありますが、
最後
に
要望
事項中の重要事項について申し上げます。 その第一は、昨年の
伊勢湾台風
の際、この地方は激甚な
被害
を受けたのでありますが、その
被害
個所が現在なお
復旧
工事の継続中のものが多く、これが再び本
水害
により
被害
をこうむったのであります。しかし
伊勢湾台風
の際は特別立法もあり、高額の
補助
の対象となったのでありますが、今回の
被害
は低率
補助
となるおそれがあり、一個所の工事で二つの異なった
補助
率が適用されるようなケースのものがございます。このようなケースのものに対しては、一律に高率の
補助
を適用されるように
要望
していたのであります。 その第二は、
復旧
仕越し工事
実施
中再び
災害
を受けた場合には、
実施
した仕越し工事分についても
補助
金を交付されたいとのことであります。 第三は、農地等三万円以上の小
災害
の
復旧
工事を
市町村
が行なった場合には特別交付金で全額交付されたいことであります。 第四は、公共土木
事業
負担法には累年
災害
に対する高率台負担の規定がありますが、
農林水産業
施設
復旧
暫定
措置
法には累年
災害
に対する高率
補助
適用の規定がないが、ぜひ近い機会にこれを
実施
せられたい等であります。 以上をもって
報告
を終わります。
中村寅太
5
○
中村
(寅)
委員長代理
以上をもちまして、
派遣委員
の
報告
は終わりました。 次に、
農林漁業災害
対策
について、
政府
に
報告
を求めます。田口政務次官。
田口長治郎
6
○田口
説明
員 今回の
災害
に際しまして、当
委員会
におかれましてはさっそく
現地
を御視察下さいまして、感謝をしておる次第でございます。私も
旱魃
調査
に参ったのでございますが、今回の
旱害
が特に深刻でありますことは、三十三
年度
の
災害
は
植付
前の
災害
であったのでございますが、今回は、農家といたしましては肥料その他を投下して、あらゆる
努力
をした
植付
後の
災害
であったために、むしろ三十三
年度
以上の、農家としては苦痛問題が生じておる、こういうふうに考えておるのでございます。 第二の問題といたしまして、この
災害
地の大部分が、三十三
年度
に
災害
を受けたところがまた
災害
を受けておる、こういうような累年
災害
の形をとっておりますために、非常にその点も深刻であると考えるのであります。それと、この
災害
地全体と申しますか、
山口
、
九州
方面
では、全般的に
土地
改良が非常におくれておる、こういうような
関係
で今回の
災害
も大きくなったのではないか、かような見方もできるようでございます。 第四といたしまして、ただいま非常に深刻な問題は、三十三
年度
は
植付
前の
災害
でありましたから、稲に対するいろいろな
対策
ができたのでございますが、今回の
災害
は
植付
後の問題でございますから、稲を植えかえるというようなことは全然できないのでございますから、やむを得ず代作を
各地
で考えておるのでございますが、この代作をするためには、今田の中にある稲を刈り取ってしまわなければならぬ。ところが、この稲は、農家からいたしますと、自分の子供を育てるような気持で今日まで育ててきたのであります。その後の雨で、外面的には非常に復活したような格好をしておりますけれども、専門家の見るところによりますと、ほとんどそういうようなところでも
収穫
皆無だ、こういうような
実情
でございまして、外面的に非常にいい稲を今刈り取るということが、農民感情としてどうしても踏み切れない
状態
にあるのでございます。冷静に考えてみますと、こういう稲は
収穫
皆無のところでございますから、刈り取って代作をして、稲の
農業
災害
の概算金でも払って、そうして代作の収入を寄せますと非常に助かるのでありますけれども、農民感情がどうしてもそこまでいかない、こういうようなことで、
各地
の
指導
者、農民が毎日協議をしておりますが、その点がなかなか踏み切れない。ところが代作するにいたしましても、期日の
関係
がありまして、あまりおくれてしまいますと、せっかく代作をいたしましても
収穫
が十分でなくなる。たとえば秋バレイショなどにいたしましても、九月の十日か、おそくも十五日くらいまでに種を植え付けなければならないのに、農民はそういう感情でなかなか踏み切らない。こういうようなことで非常に深刻なる
実情
になっておるようでございます。 〔
中村
(寅)
委員長代理退席
、
吉川
(久)
委員長代理着席
〕 かような観点からいたしまして
政府
といたしましては、今回の
旱害
問題は非常に深刻であるという認識のもとに、いろいろな
対策
を講じておるのでございますが、まず第一に金融問題を急いで解決しなければならぬ。このためには
農業共済
の
概算払い
を急ぐ、また天災法の適用を急いで発動しなければならない、どうしても困る農民に対しましては、天災法だけで埋まらない分は自作農創設維持
資金
で
一つ
急ごう、こういう金融処置を今急いでおるのでございます。 第二の問題といたしまして、この
旱害
に対しまして水を
確保
するために
井戸
を掘ったり、あるいはポンプを買ったり、動力機を使って水を揚げたり、あるいは
水路
を改修したり、いろいろなことで各町村とも
相当
多額の金を使っておるのでございますが、この問題につきましては、大体三十三
年度
のあの方式で善処をしたい、かように考えておるのでございます。 第三の問題といたしまして種苗
対策
の問題でございますが、これは三十三
年度
は稲についていろいろな
対策
をいたしましたけれども、今回は、先ほど申し上げましたように稲に対する
対策
は講じられないのでございますから、結局代作による種苗費の
補助
というようなことで、この処置を適当にやっていきたい、かようなことで大蔵省とも折衝しておるのでございますが、大体大蔵省も農林省の言い分を認めておるのでございまして、計数の折衝だけが残っておる、かような
状態
になっておるのでございます。 さらに、
被害農民
の減税問題につきましては、今大蔵省と折衝中でございます。それから公共団体などがこの問題につきまして
相当
金を使っておるのでございますから、地方交付税の問題について自治省と折衝をしておるのでございます。 救農土木の問題につきましては、
実情
に即して、どうしてもやらなければならないというところに限って
一つ
考えていきたい、こういうことでこの財源を今研究中でございます。
恒久対策
につきましては、こういうような
旱害
を毎年繰り返しておるべきものでない、かように考えますから、
深層地下水
の問題、あるいは
ダム
の問題、あるいは老朽
ため池
のかさ上げの問題だとか、
水路
の改修の問題だとか、そういうことについて将来の問題として予算を
確保
して、そうしてこのような
旱害
が年々起こうないような処置を講じなければならないということで
努力
をいたしたいと思うのでございます。 大体
政府
が今考えております問題について御
報告
申し上げます。
齋藤誠
7
○齋藤
説明
員 ただいま政務次官に一般的な
対策
の
概況
を御
説明
願ったわけでありますが、私から補足して若干申し上げたいと思います。ただいまお話がありましたように、今回の
災害
は、三十三年の
旱魃
に比べまして、いろいろの特色がありまして、その第一は、今もお話がありましたように、今回の
旱魃
は
植付
後における
旱魃
であるということでありまして、
被害
の
程度
は、三十三年の場合におきましては約二百億の
農作物
被害
であったのでありますが、今回は百五十億というふうな
被害
額になっております。しかし今申しましたような
関係
で、今回の
被害
の与えられた
地域
につきましては、なかなか深刻なものがあるようでございまして、今政務次官がお話しになりませんでしたが、農林省といたしましては、両政務次官が班を組みまして、
旱魃
地について親しく視察をしていただいた次第でございます。その
報告
によりましても、
被害
を受けた
地域
々々におきましては、まことにお気の毒にたえないところが多々あるようでございます。われわれといたしましては、三十三
年度
の
旱魃
の
対策
の例もございますので、何よりも早急に
対策
を決定する必要がある、こういう観点に立ちまして、具体的な計数等につきましてはいまだ折衝中のものもございますけれども、方針だけは早く決定する必要がある、こういう考え方に立ちまして大蔵省とほぼ話し合いをつけた次第でございます。 その大要につきましては、今政務次官からお話があった通りでございますが、なおもう少しつけ加えて申し上げますと、第は、早害を防止するために
実施
する
揚水機
あるいは揚水専用の動力機、掘り
井戸
の
設置
、
水路
の掘
さく
、その他
用水確保
のための
事業
の
実施
については、これは助成を行なう、こういうことにいたしております。 それから次は
融資
措置
でありますが、
被害激甚地
におきまする経営
資金
の
確保
のための
天災融資法
の発動、それから自作農維持
資金
の追加割当、それから
揚水機
等の
購入
に必要な
資金
融通については、公庫
資金
から必要な
資金
融通
措置
を講ずるということにいたしまして、
融資
につきましては今言ったような
方法
で
措置
をとる、こういうことにいたしております。 それから第三は、
被害地
における今後の種子
確保
の点でございます。今回の
災害
の事情からいいまして、一部すでに
相当
代作等の行なわれているところもございますが、なかなか植え付けた後における
旱魃
でありますので、その後時期を失したというふうなところもあるようでありますけれども、一応今後考えられる代作、たとえば秋バレイショであるとかソバであるとかいったようなものに対する代作種子の
確保
につきまする助成を行なって参りたい、同様にそれに伴いまするところの技術
指導
についての助成も行なって参りたいということにいたしております。それから、従来とも
旱魃
のありました場合、あるいは
水害等
のありました場合に、
農業
災害
補償法の運用によりまして
概算払い
を行なう、あるいは共済金の仮渡しを行なうというような
措置
につきましては、すでに当
委員会
におきましても
報告
いたしました通り、各県にそれぞれの手配をいたしておるような
実情
でございます。 それから今申し上げましたような事項につきましては大体予備費で要求するという考え方で大蔵省とは折衝いたしておりますが、今回の
災害
に伴って、特に開拓
地域
等におきましては
相当
飲
用水
にも事欠くような農家も出てきて、そのために飲料水
確保
のための掘り
井戸
の
設置
というようなことが行なわれておるわけでありますが、これらに対する経費につきましては、農林省の手持ち予算の中で助成の
措置
を講ずるというようなこともすることにいたしております。大体三十三
年度
の早越
対策
に伴う
措置
といたしましては、今申し上げたようなことが
対策
の主要な内容になっておったわけでございますが、今回も大体そういう
措置
に準じまして
対策
を講ずることに両省の間において話がきまっておるわけでございます。従いまして今後はこれらの計数等につきましてさらに大蔵省の方と折衝いたし、できるだけ早い機会に各県に対しますこれらの
対策
を明示いたしまして、自後の
対策
に遺憾ないような
措置
を講じて参りたい、かように考えておる次第でございます。簡単でございますが、以上でございます。
—————————————
吉川久衛
8
○
吉川
(久)
委員長代理
農林漁業災害
に関する件について質疑の通告があります。これを許します。
赤路
友藏
君。
赤路友藏
9
○
赤路委員
ただいま田口次官と齋藤官房長の方からるる御
説明
を願ったわけであります。早く基本的な方針をきめてやりたい、計数の面についてはただいま折衝中だということでありますが、今までお聞きした点では少し納付がいかないのでありますが、どうも抽象論であって、今の
災害
地の諸君は、そういう方針はもちろん立てていただかなければならぬが、早く手を打ってもらいたい、早くやってもらいたい、こういうことが
要望
されておるわけであります。派遣されました各
委員
からの
報告
をお聞き取り願ってその点は御了承願えておると思うのでありますが、まず私は具体的にお尋ねいたしますが、応急
対策
費の助成をする、これははっきり基本方針としてきめておる、しかもそれは三十三
年度
の
旱魃
のときと同様な
措置
をとる、こういうことです。非常にけっこうだと思います。この前の
委員会
で、大蔵省との折衝はすでにやっておられる、当時二億四千八百万円という額で折衝されておったようでありますが、今日どういうふうになっておるか、具体的な金額をお示し願えるならば
一つ
お示し願いたいと思う。
伊東正義
10
○伊東
説明
員 今御質問の点でございますが、この前御答弁いたしましたのですが、大体二億四千八百万、約二億五千万ということでやってきました。これは八月十五日現在の数字でやっておりましたが、その後県から数字をとりました応急
事業費
がふえておりますので、現在は大蔵省には大体四億四千くらいの数字で話しております。これは今交渉の段階で、官房長が言いましたように計数としましてはまだはっきりときまっておりませんが、そういうことで交渉いたしております。 それからもう一点自作農
資金
の点は、これはこの前三十三
年度
におきましては約九億という数字が決定になったのでございますが、本
年度
は少なくともこれを割らぬ
程度
のものを
確保
したいということで、これは近日中に話し合いが大体つくということになっております。
赤路友藏
11
○
赤路委員
八月十五日現在であったので、その後ふえておりますから、こういう処置をとっていただいてけっこうだと思います。 そこで一点、こまかいことになりますが、この応急
措置
の
補助
につきましては御
承知
の通り雨の降るまでやっておったわけなんですね。だからいろいろな施設をした場合に、これはやはり一定の時期というものはあるのではないかと思いますので、雨が降り出しましたのは九月の五日だと思いますが、その時期はいつまでのものにこういうような
補助
助成をする、こういうふうにお考えになっておるか、この点ちょっとお聞きしたい。
伊東正義
12
○伊東
説明
員 今の時期の問題でございますが、三十三年は八月十五日というようなことで切ったのでございますが、今年は、実は今申し上げました四億四千万という数字は八月末までの集計でございます。私どもとしましてはまだ大蔵省と何月何日までということははっきりきめておりませんが、これは八月一ぱいということをきめたわけでもございませんし、また八月十五日ぐらいということでもございませんので、今後の折衝に待って
実情
に合ったような要求をしたいというふうに考えております。
赤路友藏
13
○
赤路委員
その点は少し
希望
条件を述べておきます。答弁は求めません。ただ今度の場合、御
承知
の通り
植付
時期は済んでしまった。あと雨を待っておる。ここにまあ農民側の方にもある
程度
手落ちがあると思う。豆
台風
が出てきておるので、それに非常に期待をかけておって、おくれていったということもありますが、いずれにいたしましても
降雨
があるまではいろいろな
措置
をやっているわけですから、大蔵省との折衝の場合、この点十分
一つ
腹の中に入れて御折衝願いたい、この点を
希望
いたしておきます。 それからこれは
水害
地も同様なのでありますが、一
団地
——今度の場合、集
団地
の大きなものもありますが、かなり集団の小さいのがありますから、
事業
量を五万円ということでなしに三万円まで下げてくれという要求が非常に多い。三十三
年度
の場合はそれぞれ適当な
措置
がとられたようでありますが、この点について今回何か適切なことをお考えになっておりますかどうか。
伊東正義
14
○伊東
説明
員 今の一
団地
五万円の話は、今
年度
も一
団地
五万円ということで要求いたしております。
団地
のとり方その他でいろいろ問題はあるかと思いますが、これを今先生のおっしゃいましたように三万とかに下げていくという交渉は実はいたしておりません。三十三
年度
と同じに五万ということで、
団地
のとり方等で考えられるものは考えていくという、
実情
に沿ったやり方でやったらどうかというふうに思っております。
赤路友藏
15
○
赤路委員
官庁側の方の答弁としてはよくわかりますが、もう少しその
実情
をよくお聞き願って、そしてやはりあたたかみのある行政をやってもらいたい。今ここでどうせいと言ったって無理でしょうから、これは次官もおられることですから、よく御相談になって
現地
の
実情
に即した
対策
をおとり願いたい、このことを要求いたしておきます。 それから自創
資金
の方ですが、これも大蔵省と折衝中というので、いつになるか時期的にはわかりませんか。
天災融資法
の適用もありますが、いつごろには大体それを出してやれるんだという具体的な時期ですね。もう絵にかいた餅は困るんだから、その具体的な時期を、もし予想がつくなればここで御答弁願いたいと思います。
伊東正義
16
○伊東
説明
員 自創
資金
の問題で、実はまだ私決定的なお答えをいたしませんのは、今先生おっしゃいましたように
天災融資法
で幾ら出るかということの
関係
が若干ひっかかっておりますので、はっきり申し上げないのでございますが、私どもの見通しとしましては、今週中には金額をきめまして県に通知をするという段階にまでいきたいということで実は交渉をいたしております。額につきましては先ほど申し上げましたように、三十三
年度
を下らぬということでやりたいというふうに思っております。
赤路友藏
17
○
赤路委員
その次は先ほど政務次官の方から作付転換の話が出まして、私も
現地
を見てみまして痛切にその点を感じたのでありますが、政務次官の御
説明
になったように、農民自身の方でもなお雨が降ってくるし、何か少しでもという
希望
もありますし、それから感情的にもなかなか愛着がありまして切りきれないという面もあるやに見受けられます。しかしそれ以外に
一つ
の要素があるのじゃないかと思うのですが、これは共済との
関係
がある。あのままでほっておきますと非常にむだだと思うのです。だから早くああいうものは刈り取ってしまって、そうして作付転換をさせるということが農民のためだと思う。ところがもし今刈り取って、あと作を植えた場合、あと作で出てきた
収穫
の所得というものを、この共済の場合には差引かれてしまう。こういうような懸念をどうも
現地
の方では持っておるようなんですが、そういう点は明確にして、そしてそういうことは絶対ないのだ、だから今共済の方と、あるいは作報等の技術員が立ち会って、もうだめなものならここではっきり切らしてしまって、あと作に少なくとも早く転換させるという
方法
を講じるべきだと思いますが、その点どういうふうになっていますか。
坂村吉正
18
○坂村
説明
員 あと作の問題と共済の
関係
でございますが、現在共済金の支払いについては
現地
でいろいろな
調査
をやっておると思いますので、
損害
調査
をいたしまして、だめなものはだめなもので、だめだということであればそれは当然共済金の支払いになるわけでございますので、そういうことで
現地
の方でも仕事をしていると存じております。また先ほどもちょっと官房長からお話がありましたように、今の
状況
で
損害
評価をやりまして、そして
収穫
皆無であるという異常
災害
になって、国の方から再保険金を払わなければいかぬというふうな
状態
であれば、国としても再保険金の
概算払い
をする、こういうことで各県に通牒を出して、その中から手配をさせております。
赤路友藏
19
○
赤路委員
そうしますと、こういうふうに確認しておきます。現在
政府
で
調査
をしておる
災害
の
被害
実態について、それが済み次第刈ってしまう。刈ってしまったらこれはあと作が早かろうとどうしようと、それとは全然
関係
がない。あと作の
収穫
とは
関係
がない。だから
被害
を受けたものに対して、それだけのものをやはり支払って、あと作の
収穫
とは毛頭
関係
がない、こういうふうに……。
坂村吉正
20
○坂村
説明
員 仰せの通り現在の作物についての
損害
評価をやりまして、その
損害
の評価を基準といたしまして共済金の支払いをやる、こういう建前でありますので、御趣旨の辿りであります。
赤路友藏
21
○
赤路委員
その次に応急の
救農土木事業
ですが、これは非常に
各地
でも
要望
が多いのです。
救農土木事業
について何か構想とかあるいは予算面、そうしたものはおわかりになりますか。
伊東正義
22
○伊東
説明
員
救農土木事業
につきましては、この前大臣も検討するというようなことをおっしゃっておりましたが、私ども事務的には、まずとりあえず今手持ちの予算から、早越に集中的に、たとえば
ため池
でありますとか、そういうものに使いたいと考えております。
赤路友藏
23
○
赤路委員
これは
救農土木事業
といっても恒久
措置
とからんでくると思う。今回やられているところを見てみますと、たいてい三十三年にやられたところが、そのままやられている、そういう面が非常に大きいと思う。これは全部国がやるということはなかなかむずかしいのであって、結局
現地
の人たちもある
程度
負担を願わなければならぬと思うのですが、いずれにしましても累年
災害
を受けて困っておるところなのでありますから、高率
補助
ということが、恒久
措置
の場合、
救農土木事業
とからまして考えられるかどうか、これが一点。 もう
一つ
は小
団地
の改良の
資金
——公庫で六十五億入れて、それでやっておるのがありますね。あれは結局原資ワクには食い込めない。出てきた金利だけで回転しているので、それではほとんどわずかな
事業
量にしかならぬ、こう私は思うのですが、これを何とか食い込んで、小
団地
改良
事業
の
資金ワク
をこの際拡大する、そうして
現地
の諸君にもこうしたものをどんどん活用してもらって、それに国の高率
補助
が加わって、応急土木
事業
と恒久
措置
とがからんだ仕事というものがぐんぐん伸びていくような
措置
はとれないかどうか、この点
一つ
お考え方をお示し願いたい。
伊東正義
24
○伊東
説明
員 二つ御質問でございますが、あとの点の三分五厘のワクをふやして、基金に食い込んでいくということは考えられぬかという御質問でございますが、これは実は今年は九十億でございますが、来年は百三十億という実は大蔵省に要求をいたしております。こういうふうになってきますと、百三十億と仮定いたしますと当然三十九年くらいで、金利だけで三分五厘にしていくという操作はできなくなって、元金に食い込んでいくというような
措置
に実はいたしております。今
年度
どうかという御質問でございますが、これは公庫の
資金
全体の金繰りの問題も実はございますので、まだ今の段階でこれをどうするというところまでは、実は現在の段階では考えておりません。ただ元金に食い込む時期は早くなるであろうということは、すでに本
年度
九十億やりましたときからそういう傾向は出ておるわけであります。 それから
恒久対策
の問題でございますが、これは実は大部分が畑地でございますので、畑地に
井戸
を掘りますとか、あるいは
灌漑
施設等をやるわけでございますが、これの適当な施設等につきましては、実はかなり金もかかります問題ですし、どういうふうにして畑地の問題を考えていったらよいかということは、これ
一つ
現地
と私の方で
調査
をしまして、
地帯
ごとにどういう
事業
が必要かという点を当たってみたいと思います。たとえば
鹿児島
あたりでありますと、従来は
特殊土壌地帯
というようなことでやっておりまして、いわゆる
旱魃
対策
というような予算は、今の
実情
ではあまり行っておりません。でありますので、そういうようなところに一体
旱害
対策
としてどういうことが考えられるかというようなことは、県と私の方で
一つ
調査
をしてみたいと思っております。実は今
年度
は
旱害恒久対策
として
大分
県、
熊本
県等には
ため池
を作るということを三十五
年度
から新しくやったのでございますが、その点につきまして来
年度
どうするかということは、もう少し
調査
して
恒久対策
を考えたいと思っております。 それから
補助
率の点は、今年の
旱害
にかんがみましてこれを上げるかどうかということは今後の問題でございますので、従来やっておりました
旱害恒久対策
とのバランスをやはりとらざるを得ないだろうというふうに思いますので、これは検討さしていただきたいと思います。
赤路友藏
25
○
赤路委員
よくわかりましたが、
恒久対策
はそういうふうにやっていただきまして、特に小
団地
の
資金
の問題については、部内において
一つ
十分御検討をおやり願いたい、こういうふうに考えます。 それから自治省に伺います。この
被災地
の地方公共団体に対して、自治省としては何か御構想をお持ちだと思いますが、その
対策
について御
説明
願いたいと思います。
佐々木喜久治
26
○佐々木
説明
員 自治省といたしましては、
九州
地方の早越について、現在の早越
被害
に伴う
被害
額あるいはその応急
対策
等の経費については、その内容がおおむね農民の負担になる経費になって参りまして、それにつきましては農林省においても種々の
対策
あるいは
農業
関係
の共済金の支出ということも考えられるわけでありまして、
市町村
なりあるいは府県なりの地方団体がその財政支出としてどれだけの負担になってくるかということについては、いろいろと検討を要する問題があるかと思いますが、農林省の方からの地方負担の
状況
並びに地方団体の負担
状況
というものを考慮いたしまして、もし必要があれば必要な
対策
をとって参りたいということでございまして、まだ具体的なその地方負担の
状況
等について把握いたしておりませんので、現在のところこういう
状況
でございます。
赤路友藏
27
○
赤路委員
ただいまのお話では、おおむね今度の
災害
の負担は、農民側の方であるが、
政府
の方でも
措置
をする、こういうことで地方公共団体の負担計数というものが明確でない、こういうことだと思いますが、それが明確になれば、必要であればやるということなんですね。そういうことですね。これは当然やってもらわなければいけないと思うのです。なるほど今度の
災害
は農民の受けた
災害
でありますが、地方公共団体としても、手前たち勝手に
災害
を受けたんだからいいじゃないかといってほっとくわけにはいかぬわけです。当然これは起債の要求もありましょうし、あるいは特別交付金の要求等も出てこようと思う。その場合は十分善処していただきたい。しかしそれは私は自治省として待っておるということではなくて、その線は積極的に各省と連絡をとって、あるいは各
被害地
の公共団体等と連絡をとって、すみやかにそれに対する
対策
を立てていただきたい、こういうことを
希望
しておきます。 それから食糧庁に
最後
にお尋ねしておきますが、今度の
被災地
を回りましていろいろ作物の
状況
を見てきたわけです。特に
カンショ
につきましては、御
承知
の通り、今月末に大体
カンショ価格
の指示をする。例年の通りであります。
カンショ価格
を指示する時期にもうきているわけですね。ところが、行ってみると、案外葉は茂っておるが、抜いてみると、イモの小さいこんなのが
一つ
、二つしかついていない。あとは毛ばかりだというような実態なんです。もう時期もきておるんだが、食糧庁の方で推定数量等は大体出ておるかどうか。この点
一つ
お聞きしたい。
亀長友義
28
○
亀長
説明
員
カンショ
の価格につきましては、現在の法律で十月中にきめることになっておりますが、実際は例年九月末にきめております。今度の
被害
の
関係
もありまして、作況の把握は私どもでもまだ十分いたしておりません。
統計調査
部の集計の
方法
といたしましては、例年九月下旬に出るということになっておりますので、食糧庁といたしましては、例年のように
統計調査
部の
調査
の数字を見まして、原料イモの価格を算定いたしたいと考えております。
赤路友藏
29
○
赤路委員
大体いつごろまとまりそうですが。
亀長友義
30
○
亀長
説明
員 イモの原料指示価格及び澱粉の買い入れ価格の点でございますが、御
承知
のように
統計調査
部の生産量並びに商品化率というふうな統
計上
のいろいろなデータを使用いたしまして計算をいたします
関係
上、九月下旬ごろには私どもで大体の目安が立って、九月末にはおそくも例年のように最終的に決定をいたしたいと考えております。
赤路友藏
31
○
赤路委員
よくわかりました。そこで食糧庁の方へ
一つ
希望
要件だけを述べておきます。 今度
調査
に回ってみますと、あちこちで本年のイモは二十三円五十銭というような放送が盛んにされております。これはどうもけしからぬと僕は思う。僕はこんなことは農林省の方で流したものではないとは思います。しかしながら二十三円五十銭というのはだれも知らないのです。ところがそれが盛んに流れてくる。これはいい影響を及ぼしませんよ。与える印象は実に悪い。だから、
一つ
こういう点のあることも頭に置いていただくということが 一点。 それからことしのイモは、これは
統計調査
から出てきましょうが、われわれが
現地
に行って、それぞれ掘り抜いてみた結果から見て、決して昨年同様な生産は見込まれない。これは減収は必至だ、こういうにも考えますから、それを大体目標にして何か要らぬことを吹き回ってもらっては困るので、この点
希望
として述べておきます。答弁は求めません。
吉川久衛
32
○
吉川
(久)
委員長代理
ただいまの
赤路委員
の発言について、
委員長
から田口政務次官に申し上げておきたいと思う。 本
委員会
の
委員
懇談会を今月末三十日に開会の
予定
でございますから、それまでにただいまのイモの価格を
政府
として決定をして提示できるように、御用意を御注文申し上げておきます。
田口長治郎
33
○田口
説明
員 その通りに準備をすることにいたします。
吉川久衛
34
○
吉川
(久)
委員長代理
倉成正
君。
倉成正
35
○
倉成委員
九州
、
山口
の
旱害
対策
につきましては、
政府
におかれましても田口政務次官初め
関係
者がいち早く
現地
を御視察いただきまして、つぶさにその
実情
を見ていただきました。また事務
当局
におかれましても、いろいろな点でこの
対策
に万全を期しておられる点について、
被災農民
を
代表
しまして心からお礼を申し上げたいと思います。またただいま同僚
赤路
議員からいろいろ御質疑がございました。また、
赤路
議員は答弁は求めないという非常に穏やかなお話でございましたが、私は
現地
の
実情
をつぶさに見て参りました
関係
上、また先般の農林水産
委員会
におきまして南條農林大臣との質疑応答において明らかにいたしましたように、今度の
対策
は迅速でかつ適切でなければならないということを申し、しかもこれが
現地
の
実情
に即しなければならないという意味で政務次官以下
現地
においでになったと思います。 そこで私は
政府
に具体的に明確な答弁を要求いたしたいと思います。従って誠意のある御答弁をいただきたいと思いますから、そのつもりでお願いを申し上げたいと思います。 まず第一点は、三十二
年度
並み
の
災害
対策
をやるという点は、先般の農林大臣のお話にもありました通り、その線で準備を進められていることはまことにけっこうなことでございます。しかし具体的にこれをどうするかという点で、たとえば期限を八月一ぱいにするかどうかというような点も、大蔵省と折衝中でまだ明確でないということでは、もうすでに九月十三日でありますし、
現地
の農民がいろいろな心づもりをする点についても、ちょっとこれは不親切な御答弁じゃないかと思うのです。まず期限の点を
一つ
明確にしていただきたいと思いますが、これについてどういうふうにお考えになるか、御答弁を要求いたします。
伊東正義
36
○伊東
説明
員 期限の点でございますが、八月三十一日まで延ばすことは、三十三
年度
に比較しまして私は可能だろうというふうに思っております。ただ八月三十一日を九月のどこまで延ばすかというようなことは実はまだ交渉いたしておりませんが、八月三十一日までということにつきましては、大体それでいけるという自信を持っております。
倉成正
37
○
倉成委員
八月三十一日までということで私も大体
現地
の
実情
に適しているのじゃないかと思うのです。ただここで、これは政務次官にお尋ねしたいのですけれども、
佐賀
県を回りまして具体的な事例が出て参りました。
井戸
を契約して一生懸命掘っております。そこへ雨が降ってきた。しかしこの工事をやめるわけにはいかぬ、そういった
事業
に対しては、この助成の対象にするかどうか、どういうふうにお考えになるか。これは
一つ
実情
を詳しく見てこられた政務次官から御答弁いただきたいと思います。
田口長治郎
38
○田口
説明
員
災害
地に
井戸
を掘り出して、まだ完成をしていない間に雨がどんどん降って、そうしてその場では
井戸
の完成は必要としないようなことになった、そういう事例が非常にたくさんありますが、
井戸
を掘ることは来年あるいは将来のために
対策
として非常に重要なことでございますから、期限を切ったその後においても工事を進めて、そうして完成するというような
井戸
に対しましては、これはもう当然その期限中の扱いをしなければならぬ、さように考えております。
倉成正
39
○
倉成委員
ただいま政務次官から非常に
現地
の
実情
に適したあたたかい御答弁がございましたので、この点はゆめ
現地
において間違った
指導
をされないように
農地局長
はよく覚えておっていただきたいと思います。非常に大事なことですから、重ねて念を押しておきます。 それから五万円のお話が出ました。これも私は具体的な実例で申し上げます。これは
井戸
を掘りますと、その
井戸
にコンクリートのワクをちょっとつければ五万円をすぐ突破します。特にこれは
長崎
県あたりの例でありますけれども、非常に農民がおとなしいものですから、よその県あたりとは違って、ワクもつけないでやっておる。そうすると、計算をしていくと、五万円を割るという場合が出てくるかもしれません。しかしこれにコンクリートのワクをつけてやれば五万円を突破することはわけはない。そういった非常に良心的に仕事をやっておる人が助成の対象からはずれて、そうして少し思い切ったというか、五万円というふうなことを頭に置いて仕事をやった方が助成の対象になるということは、これは事務的な議論は別として、私は政治的な立場から考えると、非常にまずい行き方じゃないかと思います。従ってこれも田口政務次官にお尋ねをしたいと思いますが、そういった扱いはどのようにお考えになっておるか、
一つ
御答弁をいただきたいと思います。
田口長治郎
40
○田口
説明
員 今回の一
団地
の金額につきましては、五万円以上、こういうことで助成をいたしたい、こう考えております。ただ
団地
とは何ぞやという問題がはっきりといたしませんから、そこらで
団地
の区域というものが多少動くようなことがあるかもしれませんですけれども、定義ではっきりしていないことでございますから、農林省といたしましても、一応五万円ということで切りますが、その点に多少の余裕があるのじゃないか、こういうふうに考えます。
倉成正
41
○
倉成委員
もう少し具体的な御答弁をいただきたいのでありますが、政務次官もだいぶ、事務
当局
に気がねをして御答弁になっておるようでありますから、そういった事例がありました場合に、これがゆめ落ちることのないように、これも重ねてお願いをいたしておきます。 次に、お尋ねを申し上げたいのは、いわゆる
恒久対策
で、先般の
委員会
で大臣に対する質問に対して
農地局長
がかわって御答弁になりましたが、現在あります予算の一割をレザーブしてあるので、これをできるだけ
旱害
地に回したいという御答弁でありました。そこで
現地
の
実情
をいろいろ見て参りますと、
ため池
を浚渫したりかさ上げをしたい、あるいは
水路
を改修したいという
希望
が非常に農民の間から盛り上がっておるわけであります。そこでどうしても、今度の
旱害
の体験にかんがみまして、来年の作付に間に合うようにある
程度
こういった
事業
を積極的に進めることが必要じゃないかと思うわけですけれども、事実上
事業
を進めて参りますには、
相当
の準備が要り、手続が要るということで、今からそういうことをやろうとしても、なかなか事務的にはむずかしい問題が出てくるわけであります。そこでこういった
ため池
の浚渫であるとか、改修であるとかという差し迫った、
旱害
で非常に痛めつけられました農民が切実に考えて、今やりたいという仕事については、
一つ
優先的に、いろいろな手続あるいは
事業
の順序等はございましょうけれども、これを乗り越えてやらせる、もちろんこれは
事業費
の問題、負担の問題等がございますから、そう大きな
事業
を今すぐやれということはできないと思います。しかしそうでない、ある
程度
の
事業
であれば、
一つ
積極的に
旱害
地にこういう
事業
をやらせるということが、今度の
旱害
対策
にかんがみて一番大事なことだ、
現地
の農民はある
程度
枯れた稲はあきらめて、しかし再びこれを繰り返すまいという気持が一番強いのです。ですから、この点はどういうふうにお考えになっておるか、御答弁をいただきたいと思います。
田口長治郎
42
○田口
説明
員 ただいま質問になりました問題でございますが、今回は救農土木としてはっきり銘打ってやる、そういう準備はしていないのでございます。しかし今お話にありました通りに、そういうような必要のある場所も多々あるのでございますから、救農土木的の仕事を万やむを得ないところはやりたい、こういうことでその財源について今研究中でございます。
倉成正
43
○
倉成委員
少し政務次官の御認識が私と違うようです。万やむを得ないというお考えのようですけれども、大体
灌漑
地に
ため池
のないところはほとんどございません。そしてぜひこれをやりたいという
希望
のところがほとんど全部です。ですから、これは、御研究とかいうことじゃなくて、現在ある残された予算を優先的に振り向ける、そしてなお足らないものがあれば、大蔵省と折衝して予算等の補充をする、こういうふうにお取り計らいをいただきたいと思うわけであります。そこで、来年の作付にぜひ間に合うようにというのが農民の切実なる
希望
でございますが、この点についてどういうふうにお考えか、これが質問の焦点でございますから、御答弁いただきたいと思います。
伊東正義
44
○伊東
説明
員 今政務次官から御弁弁がありましたので、補足さしていただきますと、今御質問がありましたように、
ため池
等につきましては約一割ぐらいのレザーブをとっております。それから、そのほかに団体営等も若干ございますので、農地局の考え方といたしましては、優先的にこれは
旱魃
地帯
に使っていきたいという基本方針を持っております。タイミングの問題でございますが、これは、おっしゃいますように、なるべく早くやる必要がございますので、私どもとしましては、一々
東京
で審査をするというようなことじゃなくて、なるべく出先の事務局で片がつくというようなことをしまして、手続も一々
東京
まで持ってくるというようなことでなく、
現地
で物事を解決して、なるべく早くやるようにということは考えて参りたいと思っております。
倉成正
45
○
倉成委員
今団体営のお話が出ましたが、農林漁業
資金
につきまして、これはどの
程度
のワクを
旱害
地に振り向ける余裕があるかということを、大まかでけっこうですから、わかっておりましたら……。三分五厘の問題です。
伊東正義
46
○伊東
説明
員
旱害
地の金融の問題でございますが、実は三十三
年度
には五分の金融で一億というものを一応やりました。これは
災害
のワクから出したわけでございます。先生のおっしゃいますのは、それと違いまして三分五厘の問題でございますが、実はこれは今年のワクは御
承知
の通り九十億でございます。今申し込みがありますのは約八十億ぐらいになっておりまして、残りはわずかでございます。わずかでございますが、この際はなるべく
旱魃
地帯
に残り等を振り向けるようにというふうなことで、実は作業をやりたいと思っております。ただ金額的に幾らということを今ここで申し上げかねますが、しかしそう大きなワクは実は残っておらぬということは確かでございます。
倉成正
47
○
倉成委員
水田
の
旱害
についてのいろいろな
対策
は、これはある
程度
具体的にしてあるわけでございますけれども、畑地の
旱害
について、いろいろ施設をしたりした場合について、これについての助成というものはどういうふうにお考えになっているか。特に果樹作等についてはいろいろ問題があると思います。この点
政府
の御見解を伺いたいと思います。
伊東正義
48
○伊東
説明
員 果樹
地帯
につきましての
旱害
につきましては、従来は
補助
はいたしておりませんでした。しかし今年からは
補助
をいたすことにしております。すでにもう実のなるような
状態
の果樹につきましては大体三割、まだ幼齢なものにつきましては四割というふうに
補助
率が違いまして、新しく三十五
年度
から
補助
をするということにしたわけでございますので、これにつきましても、一般の方針と同様に、今度もしそういうものが出てくれば考えていくというふうに思っております。
倉成正
49
○
倉成委員
次は、
資金
の問題について二、三お尋ねしたいと思います。 自作農維持
資金
については九億を下らないようなワクを要求したい、そうして大体そういうことになるだろうという御答弁でありましたが、大体これの割り振りというものはいつごろになるかということと、それから末端の農民にこの自作農
資金
なり天災
資金
が行くのは大体いつごろになるのか。従来の経験に徴して
一つ
御答弁をいただけば幸いだと思います。
伊東正義
50
○伊東
説明
員 第一点のワクの問題は、今先生がおっしゃいましたように、さきの三十三年を下らない
程度
のものが行くだろうというふうに思っております。時期につきましても、これは
県別
のものを少なくとも今秋中くらいに私ども作りまして、県に手交ができるというテンポでやりたいというふうに考えております。 それから、末端の農民にどのくらい行き渡るかというお話でございますが、実は全国的に見ましても県によって非常にアンバランスがございます。早いところでありますと二カ月くらいでも現金化するというところもありますし、おそい県ですと半年くらいかかっているところもあります。県によりましてその個々の実績は非常に違うのでありますが、こういう際でありますから、申請等も、県が認定するのと、信連、協同組合系統に出すのと一緒に出しまして時間を節約するとか、いろいろなことをやりまして、私どもの方としては、なるべく末端の事務が早くいきまして現金が渡るというふうなことを県も督促いたしまして、私の方からも金融機関その他にも
注意
をいたしたいと思っております。
倉成正
51
○
倉成委員
末端の農民に渡る期日の問題は非常に重要な問題で、農林省だけの御
努力
でもできない点があることもよく
承知
しております。従いまして、これは
一つ
注意
を深く喚起するという
程度
にとどめたいと思いますが、これがおくれますとせっかく大臣が
相当
なワクを決裁されましても、その間のつなぎ
融資
に非常に困るわけであります。そうすると、その金利の問題が出てくるし、せっかくの
施策
が生きてこないということになりますので、この点は、自作農維持
資金
のみならず天災
資金
についても同様のことがございますので、特に御
注意
を喚起したいと思います。 次に、開拓地の農民が今度の
災害
について非常に困っておるというか、開拓地におきましては、いろいろな
実情
を比較的つまびらかにすることができませんし、私どもの
調査
団も開拓地まで上がりましていろいろ
調査
をすることができなかったわけでありまして、いつもここが谷間になりまして
対策
がおくれるわけであります。従って、今度の
旱害
に対しまして、開拓農家についての営農
資金
等についてはどういう
措置
をお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
伊東正義
52
○伊東
説明
員 開拓地の問題は、今先生のおっしゃいますように、実は私どもの方にも的確な数字がまだ上がっておりませんで、
調査
をいたしております。先ほど官房長からは、水の問題等につきましては
措置
をするという答弁をいたしましたが、営農
資金
といいますか、
災害
関係
の
資金
につきましては、これは天災
融資
なりあるいは自作農
資金
の対象になりますれば、当然行くものというふうに考えておりますので、今のところは、特に開拓者だけについて特別にということは考えておりませんで、
実情調査
をいたしておるような段階でございます。
倉成正
53
○
倉成委員
開拓地の問題につきましては、実は自作農維持
資金
等も従来なかなか多くの負債を持っておりますから、かりにワクを県に割り当てましても、実際の農家が借りるということは困難というのが
実情
です。従って、この問題について私もまだこまかい数字を持ちませんので、これ以上申し上げませんけれども、
一つ
関係
当局
を督励していただきまして、手落ちのないようにお願い申し上げたいと思います。 それから、造林、あるいは苗が非常にやられたのでございますが、こういったのはどういうふうにお考えになっているか。官房長でけっこうです。
齋藤誠
54
○齋藤
説明
員 御質問は造林地あるいは苗畑等が
旱魃
の
被害
を受けた場合の
措置
について何か考えておるか、こういう御質問のように存ずるのでありますが、造林地の方についての
被害
は、実はまだ私の方も聞いておらないのであります。苗畑につきましては、若干各県から、そういう
被害
があったので、これに対する
措置
を
要望
されておることを
承知
いたしております。 造林の場合にどのような
被害
の
程度
になるかということでありますが、従来でありますと、一般的には公庫
融資
で造林
資金
の中からまかなっていくというようなことが当然考えられるわけでございます。これを助成の対象にするかどうかということにつきましては、いわば再造林地になりますので、これは今直ちに助成の対象になり得るかどうか、検討させていただきたいと思います。 それから、苗畑の
旱魃
に伴う種苗
購入
が問題になると思います。これは専業の林業者という場合もありますけれども、従来の例で見ますと、大体一反歩とか二反歩の苗畑を農家が持っておる、それが
旱魃
で
被害
を受けるというような場合があるわけであります。こういう場合におきましては、やはり
天災融資法
の対象として、経営
資金
の中に種苗
購入
費も含めて融通するというような
措置
で今回も参りたい、かように考えております。
倉成正
55
○
倉成委員
造林
関係
につきましては、これがほんとうに
旱魃
を受けて枯れた場合には、再度植林する
補助
金を出すという
措置
を従来とったと思います。この
措置
は、こういう
実情
が明らかになった場合、ぜひ
一つ
やっていただきたいと思います。これはいろいろ検査院その他の問題はあったかもしれませんけれども、現実にできない
施策
ではないと思いますので、御検討をお願いしておきます。 もう
一つ
、これは
農地局長
に、
岐阜
の
水害
の問題に
関係
しますが、高率
補助
の
地域
で
災害
復旧
専業をやっておる。ここが再度
水害
を受けた場合、これに対する
補助
率の問題が問題になっておるわけであります。これはどういうふうにお考えになっておるか、
一つ
伺いたいと思います。
伊東正義
56
○伊東
説明
員 今御質問の点は連年
災害
の問題だと思います。この前の
委員会
でも問題になった点でございますが、現在の法律では、そういう場合、たとえば昨年九割受けた、ことしやってみたら累進でやっても八割にしかならないという場合に、それを九割までやるということは、今の法律ではできないことになっております。連年
災害
につきましては、これは私の方でも検討すべき問題でございますが、実は過去の大蔵省との折衝の経緯を見ておりますと、現在やっておりますのは、一戸単位でやってみまして、それを村で集計して、それが一戸当たり何万円になったら累進でいくというやり方でやっておりますが、連年
災害
を受けたか受けないかという問題になって参りますと、個々の農家の問題になってきまして、個々の農家について
補助
率を上げる上げぬという問題になって参りますので、実は現在やっておりますやり方自体も再検討すべきじゃないかというようなことを財務
当局
から言われまして、過去においては片づかなかったという経緯がございます。われわれとしましても、そこまで踏み込んで検討した方がいいのか、現在のままでいいのかということにつきまして、実はまだ結論を出しておりませんので、今ここでどうするというお答えができませんが、連年
災害
の問題はやはり立法論として検討してみたいというふうに思っております。
倉成正
57
○
倉成委員
この法律改正の問題は従来の経緯等がございますが、
現地
の
被災農民
にとって非常に大きな問題であるということを
一つ
御認識いただきまして、何かの
方法
でできるだけ
被災農民
が
現地
で非常な矛盾を感じないで仕事がやれるよう、御配慮をいただきたいと思います。
最後
に、これは政務次官その他
関係
の方から御答弁いただきたいのですが、今度の
旱魃
等を顧みて考えさせられますのは、日本では、
旱魃
があるかと思うと
水害
があるというふうに、
旱魃
、
水害
と相互に繰り返していく。水の総合利用ということで、
調査
の面におきましても利用の面においても非常に欠けておる。そこで、政務次官からもちょっと触れられましたように、水資源の
調査
等今後積極的にやっていく、また恒久的な
対策
を考えていくということでございましたけれども、いつも
旱魃
とかあるいは
水害
がありますと、
政府
の御答弁はそういうことを言われます。しかし、現実には一向予算化されないし、また実際に行われないことを私が国会に出ましてからもずっと繰り返しておる。そこで、ただいまのお話は単なるお話であるかどうか。来
年度
の予算では具体的に水資源の
調査
なり、そういう水の利用の問題について検討を進められる準備をしておられるかどうか。
一つ
、もう予算編成は事務的には
相当
進められておると聞いておりますが、その結果を御
説明
いただきたい。
田口長治郎
58
○田口
説明
員 日本で一番重要な問題の
一つ
として、私は水の問題を取り上げたいのでございます。今までの日本の水に対するやり方というものは、私は野獣そのもののような感じがするのでございまして、
豪雨
で雨が降った、川から海に流してしまう、こういう水を何とか家畜化したい、言いかえますると、
ダム
その他を作って
一つ
のおりの中に入れて、そうしてこれをわれわれ十分利用していきたい、こういかなければならないということを常に私ども考えております。野獣を家畜化するということをいつも私は考えておるのでございます。これに対しまして、農林省といたしましても、水に関する公団でも作って、この公団の力によって
一つ
そういう理想を一日も早く達成したい、こういうことで、来
年度
予算にも公団に対する予算を
計上
しておるような次第でございますが、これは要するに野性的の水を家畜化するというその理想のもとに進んでおる次第でございます。
倉成正
59
○
倉成委員
公団の構想、私は初めて聞いたのですけれども、
調査
等には
相当
な資料と準備が要ると思うのです。公団の設立もけっこうですけれども、やはり水の資源の
開発
調査
という問題は、
相当
な基礎的な、
地下
水、地上水を含めておると思いますが、そういったことについてどの
程度
の準備を進められておるかということを伺っております。それから、公団も、どういう構想かもう少し詳しく御
説明
をいただかないと、ちょっとのみ込めないのですけれども、再度御答弁をお願い申し上げます。
伊東正義
60
○伊東
説明
員 公団につきましては、
事業
の対象とする
地域
といいますか、これは限定して考えております。といいますのは、今後の日本の経済の発展につれまして、特に
農業
の面からいきますと、あるいは二次産業、三次産業の面、あるいは都市の発展というようなものから考えましても、特に利根川、木曽川の
地域
が、将来水の問題というものは、現在もそうでございますが、これ以上に問題になるのではなかろうか。この
地帯
はまた大きな
農業
地帯
でもございますので、私どもとしましては、木曽川水系、利根川水系というところを
事業
の対象としまして、おもに多目的な
水利
関係
というようなものの
開発
なりあるいはそういう施設の管理なりをやっていきたいということで、現在ございます愛知
用水
公団の発展的解消をいたしまして、そういう分野を受け持っていったらどうだろうということを考えまして、木曽川といいましても揖斐、長良水系あるいは豊川
地帯
まで含めて、そういうところを
事業
の対象として考えております。そのほかには、これはほかの各省のいわれる公団とは若干異質的でございますが、八郎潟の
建設
工事が終わりましたあとの農村
建設
、学校でありますとか、病院でありますとか、いろいろなものを作って参らなければなりません。農村
建設
は国なり県なりということではまずいのではないかということで、ここの公団に請け負わしたらどうだろう。あるいは津軽
地帯
等で非常に
開発
のおくれたところでいろいろな
事業
のある
地帯
をこれに付加して考えていきたいということで、大体
事業
内容を考えているわけでございます。これは特に今申し上げましたような
地帯
の水の問題を中心に実は考えておりますが、もう一点先生のおっしゃいました全般的な水資源の問題の
調査
でございますが、これはそれとはまた別にいたしまして、従来から大きな
河川
につきましても実は総合的な
調査
をいたしております。大きい川は、五十五
河川
につきまして、そこの
水利
権の問題でございますとか、いろいろなその川につながります権利
関係
あるいは施設
関係
等の
調査
は、従来から大
河川
につきましてはやっております。そのほかに、最近からやはりその中で特に重要だと思われるような
河川
、たとえば
九州
でございますれば筑後川の水の問題だけを検討する予算でございますとか、そういうような予算も実は重要な
河川
につきましては従来に加えましてやっております。そのほかに、いろいろな営農の形態が変わって参りますので、
水稲
の
早期
栽培でありますとか、そういうものにも関連しまして、また西南暖地におきましては数
河川
をとりまして
調査
をする。そのほかこれは特に火山の山ろくの台地でございますとか、あるいは洪積台地でございますとかいうところの畑地の水資源
調査
ということで、
深層地下水
あるいは浅層
地下
水というような
地下
水の
調査
を従来よりも
規模
を広げてやりたいというようなことを実はしておるわけであります。
倉成正
61
○
倉成委員
ただいま局長から御答弁がございましたけれども、水の資源の
調査
の問題は非常に重要な問題で、一農林省だけの問題ではございません。それから、ただいま御
説明
になりました
程度
の水資源の
調査
なりあるいは
開発
の問題というのでは、今日の日本の諸問題を解決するわけにいかない、もっと腰を入れて内閣の仕事としてやらなければいけないという気持を私は持っているわけであります。この問題は
関係
するところ非常に多い問題でありますから、これ以上申し上げませんが、
一つ
特に水と
関係
の深い
農業
を取り扱っております農林省としましても、この問題に深い御関心を将来とも持っていただきたいと思います。 これで私の質疑を終わります。
赤路友藏
62
○
赤路委員
関連して。 今の水資源の問題でございますが、これは、
倉成委員
からおっしゃったように、今日の段階では非常に重大な問題です。公団の話が出たのはけっこうです。ただ、しかし、私は公団は水資源を管理するという
程度
のものからは出ないのではないか。それ以前に、資源
関係
等の大きな全体としての計画というものは、やはり
政府
の責任においてやらなければならぬ。その場合、
現状
のように水に関して
建設
、農林、厚生、企画庁、それぞれ勝手々々にやっているようなことでは、なかなか進まぬと思う。だから、やはり水そのものを
政府
部内で大きく一本にまとめて、これを大々的に
調査
検討をして、計画化していくというような機構の改革が必要だと思う。それをやらないで、今までのように各省々々で勝手にやるようなことでは、この大きな問題の解決はついてこない、こういうふうに私は思いますので、いろいろ御検討のようでございますから、十分検討されて善処されんことをお願いしておきます。
吉川久衛
63
○
吉川委員長代理
倉成委員
の発言に関連をいたしまして、私から
一つ
伺っておきたいと思います。
伊勢湾台風
のごとき累年
災害
の場合に高率助成がありましたが、累年の
災害
の場合に、今度は普通の助成だというようなことは非常に矛盾ではないかという
倉成委員
の御質問に対して、伊東局長は、立法的に検討すべき問題であるので十分検討をいたしたいというお答えでございましたが、これは私も
災害
地を視察をしてつぶさに
実情
を見たり聞いたりいたしまして、全くごもっともと思いますので、十分この点はすみやかに基本的な態度をきめるように、御検討を強く要請をいたしておきます。 それから、
岐阜
あるいは京都府のように、
伊勢湾台風
に続いて本
年度
十六号
台風
に見舞われております。そこで、昨年の
伊勢湾台風
の工事は助成が十分でないので、自己の責任において仕越し工事をやっているのでございますが、それも流れてしまって跡形もないというところが非常に多いのです。この仕越しに要した費用については、何か証明のできるようなものについては助成があってしかるべきだと思うのですが、どのようにお考えでございますか、
農地局長
の御所見を伺っておきたいと思います。
伊東正義
64
○伊東
説明
員 今おっしゃいました証明のあるものにつきましては、当然
補助
の対象とするということに考えております。 ————◇—————
吉川久衛
65
○
吉川委員長代理
昭和
三十五
年度
旱魃
及び
水害
による
農林被害
等
対策
に関し小枝一雄君から発言を求められております。これを許します。
小枝一雄
66
○小枝
委員
昭和
三十五
年度
の
旱魃
及び
水害
によるところの
農林被害
等に対しましては、先般の
委員会
及び本日の
委員会
におきまして審議をせられ、本日は特にまた両
調査
団長から詳細なる
現地
被害
の
状況
の御
報告
がありまして、これに対しましては、農林省
当局
といたしましても、田口政務次官を初め
関係
方面
からそれぞれ詳細なる御
報告
並びに答弁等があったのであります。先ほど来熱心なる
委員
諸君の御質疑もございまして、大体その審議は尽くされたのでございますが、この
開発
及び
水害
の
被害
対策
に対しまして完璧を期しますことは最も緊急を要するものであり、必要であるのでございまして、これに対しまして、当
委員会
といたしましても、その完璧を期するために決議をいたしたいと思うのであります。この動議を提出いたします。 以下、決議案の案文を朗読いたします。
昭和
三十五
年度
干ばつ及び
水害
による
農林被害
等
対策
に関する件
昭和
三十五年七月以降の干ばつ及び八月の
豪雨
が
九州
一円、
山口
県、
岐阜
県、京都府、新潟県等の農地、
農業
用施設、
農作物
等にもたらした
損害
額は、二百億円に達するといわれ、全般的には未曽有の
豊作
にもかかわらず、三十三年につづく累年被災者の多い
被害農民
等は深刻な不安に襲われている
現状
である。 よつて
政府
はすみやかな干害については応急
対策
と
恒久対策
の両面にわたり、三十三
年度
の例を下らない
措置
を、また、
水害
については
伊勢湾台風
の場合に準ずる
措置
を講じ、もつて
災害
対策
の完璧を期すべきである。 右決議する。
昭和
三十五年九月十三日 衆議院農林水産
委員会
以上であります。 満場の諸君の御賛成をお願いいたします。
吉川久衛
67
○
吉川委員長代理
お諮りいたします。 ただいま小枝一雄君から提案されました
昭和
三十五
年度
干ばつ及び
水害
による
農林被害
等
対策
に関する件を本
委員会
の決議とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし上と呼ぶ者あり〕
吉川久衛
68
○
吉川委員長代理
御異議なしと認め、さよう決定いたします。 なお、ただいま決定いたしました決議の
関係
当局
への参考送付等の手続につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉川久衛
69
○
吉川委員長代理
御異議なしと認め、さよう決定いたします。 次に、ただいまの決議に対する
政府
の所見を求めます。田口
農林政務次官
。
田口長治郎
70
○田口
説明
員 ただいま当
委員会
で御決議になりました
昭和
三十五
年度
干ばつ及び水書による
農林被害
等
対策
に関する件につきましては、御趣旨に沿いまして
政府
として極力善処いたします。
吉川久衛
71
○
吉川委員長代理
ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
吉川久衛
72
○
吉川委員長代理
速記を始めて。 ————◇—————
吉川久衛
73
○
吉川委員長代理
次に、
農林水産業
振興
に関する件について
調査
を進めます。 カツオぶし輸入問題について質疑の通告がありますので、これを許します。
赤路
友藏
君。
赤路友藏
74
○
赤路委員
水産庁の方へお尋ねいたしますが、最近北ボルネオの方からカツオぶしを輸入するという話があるということを承っております。この点について
一つ
水産庁の方の意見を聞いてみたい。 御
承知
の通り、魚価については、
農作物
と違いまして価格支持制度がございません。従って、従来も、豊漁であるときは魚価は極度にたたかれて安値になっております。生産者側すなわち漁民側の方におきましては、それでは困るというので、たとえばこういう一例がある。魚価を維持しなければならない。魚価を維持するために漁協が自営で加工をやるというケースが前回出てきたのでありますが、その場合既存業者の方から非常な圧力がかかって、これが押しつぶされてしまった、こういう実例があるのであります。豊漁になるとたたかれて魚価が安くなる。これを維持しようとして何か加工場を作ろうとすると、それはつぶされてしまう。たまたま魚が非常に水揚げが少なくなる。そうしますと自然に魚価が上ってくるわけなんです。こういう魚価が上がってきたときに、これでは製品が薄くなったんだから他の方から輸入する、その結果は魚価の方は非常にまた値段がたたかれる、こういうことになる。そうすると、豊漁でたたかれ、凶漁になるとまた輸入でもってたたかれる。これでは泣くにも泣けぬというのが現在の事実で、カツオ一本にして年間通じて漁業をやっておる諸君の
現状
なんです。こういうような
現状
を考えました場合、簡単に外国からふしを輸入するというようなことは、私たちは賛成できない。この点について、水産庁はどういう
措置
をとろうとされておるのか、どうお考えになっておるのか、
一つ
簡潔に要領だけをお示し願いたいと思います。
高橋泰彦
75
○高橋
説明
員 お答えいたします。 今
年度
は、現在のところカツオの漁況がこの数年来に比較して非常に悪いようでございます。まだ正確なデータが集計されてはおりませんが、ただいまの見込みでは、このままの
状況
では例年の約四割
程度
にとどまるのではないだろうかということで、心配されておるわけでございます。従いまして、これを材料とするカツオぶしの不足がただいまのところ心配されておるわけでございまして、これに関連いたしまして、カツオぶしの方の漁業者の団体からは、この際この品不足に応ずるために、ボルネオ
方面
で生産されておりますカツオぶしの一部を輸入したいという意思表示が、ただいま私どもの方に参っております。この問題は、ただいま先生御指摘のように、漁業者にとりましてかなり重要な問題だと思いますが、一方加工業者並びに消費者の立場も当然考えなければならないのでございます。いずれにしても、その実態なり御
要望
なりを慎重に比較し、総合的に検討すべき問題だと心得ておりますので、ただいま私どもの方で慎重に検討中でございます。
赤路友藏
76
○
赤路委員
今の答弁で了解しておきますが、慎重に検討した結果、零細な業者を泣かさぬように、その点はあらためて御
希望
申し上げておきます。 以上で終わります。
—————————————
〔
吉川委員長代理
退席、小枝
委員
長代理着席〕
小枝一雄
77
○小枝
委員長代理
それでは、肥料問題について質疑の通告がありますので、これを許します。神田大作君。
神田大作
78
○神田
委員
過般の当
委員会
におきまして、同僚諸君から肥料問題につきましていろいろと質問をいたしましたので、私は、これに重複しないように、また硫安の価格がきまっておらないというので、全国の農民が不安を持って大会等も開催されておりますので、この際
当局
からはっきりとした言明をいただくことが非常に必要であると考えますので、簡単に質問を申し上げます。今硫安工業について合理化案が練られておるように聞いておりますが、合理化案というようなものの内容等につきまして、この際当
委員会
にお示しを願いたい、こう考えるのでありますが、
当局
の御
説明
を願います。
富谷彰介
79
○富谷
説明
員 第二次合理化計画が三十四年、昨年からスタートしておるわけであります。法律を延期いたします際には、当時総
平均
でトン当たり五十五ドルでございました価格を、三十八
年度
で四十七ドルまで下げようという目標でスタートしたわけでございます。ところが、その後相変わらず輸出の国際競争が非常に激しくて、輸出価格も
予想外
に低落しております。昨
年度
、三十四
年度
の輸出の
平均
単価が四十一ドル五十というようなことは、肥料二法延長当時から全然予想しなかったようなことであります。目標四十七ドルではどうにもならぬということで、私ども本年の春から作業を始めまして、現在では四十二ドルということに決定いたしております。これで参りますれば、大体西欧諸国と東南アジア市場で競争いたします際にも、運賃差その他の有利さがございますので、競争には十分たえ得るというふうに考えております。これに要します
資金
が本
年度
以降三十八年までに大体四百億ばかり要るわけでございます。そのうち必要な部分につきましては開銀
融資
を考えております。その他自己
資金
による調達あるいは市中銀行からの調達というような
方法
で、この計画をぜひとも達成するように現在
努力
しております。
神田大作
80
○神田
委員
そのような合理化案に対して、
政府
は、価格差補給金と申しますか、利子補給金と申しますか、そういうことによってこの合理化を推進するというようなことも聞いておるのでありますが、この点はどのような考えでございますか。
富谷彰介
81
○富谷
説明
員 ただいま申し上げました四十二ドル目標でやりました際に、なおその目標の四十二ドルに達します間に輸出赤字が発生することはやむを得ないのでございまして、私どもの推算では約七、八十億の輸出赤字がその間に発生するのじゃないかと思っております。ただ、その赤字の処理につきまして、現在の建前として消費者転嫁ということは厳に禁ぜられておりますので、別途これを財政的な
措置
によって補てんしようということで、ただいまお話のございました価格差補給金という
方法
で、現在財政支出を求めるべく大蔵
当局
と折衝しております。
神田大作
82
○神田
委員
われわれが聞いているところによると、消費者にもある
程度
損をしてもらう、会社もある
程度
の犠牲を払う、
政府
もこの合理化案に対しまして
資金
的
援助
をするというように、
政府
、メーカー、消費者の三者にそれぞれ負担をかけるというようなことを耳にしておるのでございますけれども、今のあなたの答弁によりますと、消費者に転嫁するというようなことはやらぬ、あくまでも
政府
の責任においてこれが合理化をやっていきたいということでございますが、その通りでございますか。
坂村吉正
83
○坂村
説明
員 今の根本
対策
につきましては、これはいろいろの考え等もございまして、その過程ではいろいろな議論が出ておることはすでに御
承知
の通りでございますが、現行の肥料二法の建前、それからそれに基づきますところの政令で肥料の価格をきめる計算方式、そういうようなものをきめられておるのでございます。この建前では、消費者に輸出赤字を転嫁しない、こういう建前がはっきりしておるのでございまして、そこで輸出の赤字というものは硫安の輸出会社というものに全部積まれておるわけでございます。そういう現行の肥料二法の建前をくずさないで、そうして硫安工業の合理化をはかっていく、こういう考え方は農林省としてはぜひ貫きたいと思っておりますし、
政府
全体としてもそういう考え方に変わりはないというふうに考えております。
神田大作
84
○神田
委員
価格差補給金というようなことにつきましては、やはりいろいろ議論はあるだろうと思いますが、この際少なくとも輸出赤字を消費者には負担をかけないという点は
一つ
堅持してもらいたいということを強く
要望
いたします。 次に、一体合理化案ができるまで価格決定ができないのであるかどうか、この点を御答弁願いたいと思います。
坂村吉正
85
○坂村
説明
員 合理化計画に対する
政府
の
対策
というようなものと価格をきめる問題とは、本来別個の問題でございます。実は、先般も、七月の末の肥料審議会におきまして、現在の硫安メーカーの窮状といいますか、そういう非常に困っておる
状況
がだんだん積もってきておりますので、それに対して根本
対策
を少し考えなければいかぬ時期じゃないか、こういう空気が非常に強くて、この次に審議会を開いて硫安のマル公はきめるのであるけれども、その際には同時に硫安工業の合理化についての根本
対策
を
政府
としても示してほしい、こういう決議が述べられまして、その
要望
の趣旨に沿いまして、
政府
でも何とか硫安工業の合理化の根本
対策
を至急に考えたい、こういうようなことでいろいろ
対策
を練っておる段階でございます。そういういきさつもございますので、実は硫安工業の合理化についての
対策
をきめました上で肥料審議会を開いて、そうして本
年度
のマル公ときめたい、こういう工合に考えておるわけであります。ただ筋といたしましては別個の問題でございますが、今までの肥料審議会の審議の経過等もございますので、同時に一緒に審議会でやりたいということで、現在のところは
対策
をできるだけ早く具体化しようということで
努力
しておるところでございます。
神田大作
86
○神田
委員
本来、今局長が答弁した通り、何も合理化ができなければ価格の決定ができないというようなことじゃない。価格の決定というのは、今までの慣例から言いましても、いわゆる肥料二法の精神から言っても、これは新しい肥料
年度
がくれば、そのときにもうきめてそれを示すということでありますが、もうこれが二カ月も決定がおくれておる。これに対して消費者、農民としては大きな迷惑をこうむっておる。特にバルク・ライン方式によれば、少なくとも五十円は価格が安くなる。これは計算上はっきりと出ているわけでありますからして、農家に対する損失等に対しましては、
当局
として責任を負わなくてはならぬことじゃないかとわれわれは考えるのでありますが、一体肥料二法に基づいてバルク・ライン方式によるところの硫安価格の決定ということに対しては、あなた方ははっきりとした態度をもって臨むつもりであるか、それとも、今メーカー側が価格を
現状
維持にしたいというような
希望
を持っておるようでありますけれども、これに引きずられて、合理化案ができなければ価格の決定はできない、審議に応じないというような勝手な言い分をいつまでも聞いておるつもりであるか、この点をはっきりお伺いしたい。
坂村吉正
87
○坂村
説明
員 メーカー側におきましても、いろいろの
陳情
なり
要望
なりがございまするが、これは現在の肥料二法の建前をやはりくずさないで、そうしてできるだけ早く価格をきめたい、と同時に、硫安工業を非常にあぶないような
状態
に置くことも、農民にとっては非常に将来の不安をかもすものでございまするから、硫安工業についての合理化の根本
対策
、こういうようなものも同時にできるだけ早くきめたい、こういうことで鋭意
努力
をいたしておるところでございます。
神田大作
88
○神田
委員
そこが非常に大事なことで、価格は、今までの通りにバルク・ライン方式に従ってきちんと出るのでありますからして、それできめて、合理化案も、農民側といたしましてもあるいは国家的に見ても、これは推し進めていかなければならぬことです。いつまでも古い旧式な設備と非能率なことでは外国の硫安工業と対抗できないのでありますからして、
政府
も思い切った
施策
を施して、実際に役立つ筋の通った合理化案であるならば、われわれは賛成する。またそうしなければならぬと思う。だからして、価格は、
一つ
規定通りに、法律の規定に基づいて決定する、合理化案は合理化案でもって、外国の硫安工業と太刀打ちできるような設備
改善
を推し進めていく、こういう二つの線をはっきりと出して、そして消費者に迷惑をかけない、そういう点
当局
としてははっきりとした態度で臨んで、合理化案ができなければ審議会に出てこないなどというような、そういうわがまま勝手な言い分を聞いておったのでは、肥料行政は混乱すると私は思うのです。この点をいま一度局長からはっきりと、筋の通った態度をとってもらいたいということについて御答弁願いたいと思います。
坂村吉正
89
○坂村
説明
員 御質問の御趣旨のように、価格の決定につきましては、現在の肥料二法の建前というものをくずすという考え方はもちろん農林省としてはとっておりませんし、それから、一方硫安工業の合理化につきましても、これは当然国家的な見地で合理化を進めていく、農林省としても当然そういう方向は同調して考えていっていいじゃないかというふうに実は考えているわけであります。もちろん、御質問のように、これは別個の問題であるから、きぜんたる態度で、価格の決定については別途に切り離してやってもいいじゃないかという御意見もあろうかと思いまするが、実際問題としては、先ほど御
説明
申し上げましたように、肥料審議会の経過というようなものもありまするので、できるだけ早く合理化の
対策
の方も考えて、価格もできるだけ早くきめたいという態度でやっておるわけでありまして、そういう今までの事情がございました
関係
上、両方をできるだけ早くこの際きめるということで
一つ
考えたらどうかというふうに
努力
いたしておるわけでございますので、その辺の事情をどうぞ御了承いただきたいと思う次第でございます。
神田大作
90
○神田
委員
どうも合理化案と価格の決定をごっちゃにする考え方はまずいということを前提にしておいて、
最後
には
一つ
一緒にやらしてくれないかという、なかなか巧妙な御答弁でございますが、われわれは今日まで二カ月もそうやって何かうやむやに過ごしてきた。しかしそれで迷惑をこうむるのは一体だれだ、だれがそのために迷惑をこうむっているかというと、これは肥料を買う農民なんだ。だから、理屈はこうなんだけれども、どうも
一つ
一緒にやりたいというようなことじゃなしに、何も離れたってかまわない。価格は価格で決定をして、合理化案は合理化案で出す。そして、そうあわててというのではなく、合理化案はゆっくり練ってやったらいいと思う。そういうように消費者に迷惑をかけるようなことを農林
当局
がやっておると、大きな誤解を生む、こう私は思うのです。その点
一つ
よくお考えを願いたい。一体それじゃいつこの価格の決定をやるのか、この点をはっきり御答弁願います。
田口長治郎
91
○田口
説明
員 お答えいたします。 この合理化も徹底的にやる、そうして肥料価格は二法案通りにやる、こういうことにつきましては全く神田さんと同じでございまして、その線に沿うて
努力
をしておるのでございます。今、このマル公決定と合理化は分離してもいいじゃないか、こういうお話でございますが、経済局長から御答弁申し上げましたように、肥料審議会の
関係
もありまして、そういう方向をとっておるのでございますが、神田さんのお話もまことにもっともでございますから、その点
一つ
研究をさしていただきます。 それと同時に、マル公をいつ決定するかという問題でございますが、合理化案を作成することに今非常に骨を折っておりまして、きょうも大蔵大臣、通産大臣、農林大臣がその問題で会われることになっておるのでございます。さような会見の結果もありまして、私といたしましては、今月中にはどうしてもマル公を決定したい、かような考えでおるのでございます。
神田大作
92
○神田
委員
肥料審議会で附帯決議のようなものを作ったことはどうも私は筋に合わぬと思うのでありまして、合理化案をやるということそれ自体はいいけれども、そのために価格決定をからませておくらせるというようなことに対しては、肥料審議会の精神をはずれていると私は思うのであります。次官もこの点はわかっていると思うのでありますから、このように価格決定がおくれているために農民に思わざる
損害
を与える点については、どのような補償の考えを持っておるか。私は、農民がほんとうにこのことがわかって——二カ月前に決定しておるのと今月一ぱいに決定になるのとでは、大へんな損失を私はこうむっておると思うのであります。そういうようなことがはっきりと農民がわかると、これはいろいろ問題が起きてくるのでありますからして、今月一ぱいに次官はきめたいと言うのが、今月一ぱいどころか、あすにでも価格の決定だけはすみやかにやるべきだ。審議会を開いて、もう数字にはちゃんと載っておるのでありますからして、そう時間のかかる問題ではないのであります。硫安の価格が決定されないために、ほかの肥料も非常に価格の点で混乱しておるのでありますから、この点は
一つ
次官は責任を持って当事者にこのことを伝えてすみやかに決定されるよう、私は特に望むと同時に、もし決定がおくれると、全国の農民が非常な憤激をしておるのでありますから、非常に重大なことになるのではなかろうか、私はこう考えます。この点は特に強調しておきますが、メーカー側が今日そのように価格決定をおくらせる大きな
原因
としては、私は、合理化案を自分の思うように有利に導いていきたい、そのためには価格決定を一緒に共連れにしていこう、そういう考え方があるのではなかろうかと思うのでありまして、それが誤解を生む大きな
原因
になっているとわれわれは考えるのであります。この点は
一つ
農林省は農民の側に立ってこの問題を公平に解決してもらいたい、こう考えます。 次に、今われわれはメーカー側が共販会社を作るというようなことを聞いております。この共販会社を作るということになりますと、今の場合で言いますと、これは独占禁止法の違反にもなるのではなかろうか。このような大きなメーカーが出資をして、そうして販売を一手に握るということになりますと、自由競争の建前からしても、消費側にとって大きな脅威をもたらすのでありますからして、この共販会社の設立に対しましては農林省
当局
としてはどのような考えを持っておられるか、お伺いを申し上げたいと思います。
坂村吉正
93
○坂村
説明
員 メーカー側が共販会社を作るという動きではございませんで、実は配給といいますか、流通面を担当しておりまするところの商人系統で、一部のものが集まって共販会社を作りたい、こういう動きがあるようでございます。御
承知
のように、現在の肥料の流通
関係
は半分以上のものが全購連系統で、大体
農業
協同組合を通じて流れておりまするし、その残りのものが商人系統を通じて流れておるこういう格好でございまして、ごく最近はそうでございませんけれども、一、二年前までは、マル公をきめましても、たとえば非常に値くずれ、そういうものが起こりまして、末端におきまして流通
関係
が非常に混乱したというような事態もありましたのでございます。ですから、そういうマル公の制度があります以上は、できるだけ安定した姿で肥料が農民に配られる、こういうことが必要であろうというふうに考えまして、去年の春でございますか、実は商人系統の側におきまして肥料の公開販売、こういうことを
実施
いたしたわけでございます。その結果、商人系統におきまする肥料の値段もそう混乱なく大体落ちついて、農協側で扱っておりまするのと同じような動きでもって安定をして参ったというような結果になっておるのでございます。そういうようなことで、公開販売というようなものをいつまでも続けておくということもどうかと思うので、これを共販会社のようなもので、商人系統としてもメーカー側に対して
相当
強く当たれるようなもの、それから全体の肥料の価格の混乱等が起こらないようにこういうようなことで共販会社というようなものを考えているようでございます。この点はもちろん公正取引
委員会
その他との問題になるのでありまして、その点につきましてはそれぞれの担当のところで検討をいたしておる段階でございまして、今これがはっきりできるとかできないとかいうような結論を得ているような段階ではございません。ただ、農林省といたしましては、もちろん肥料の配給につきまして全部を
農業
協同組合でやるということがいいのか、あるいは一部はやはり商人系統も扱いまして、そうしてその
農業
協同組合と商人系統の競争という面もやはりあっていいのではないかという考え方をいたしておるのでありまして、そういう意味からいたしまして、肥料商の動きに対しましても、これは公正に肥料商が商売ができますようにということは、農林省としても同時に考えなければならない問題だろうと思っております。そういう点も十分
一つ
考慮に置きまして、今後この問題を検討したいというふうに実は考えております。
神田大作
94
○神田
委員
業者がそういう共販会社を作るということについては、今局長が言われたようなことであれば、これは組合組織としてやっていく。卸業者が
一つ
の組合を作って、そうしてメーカーと交渉するということであれば、これはある
程度
話の筋は通っておると思うのですけれども、共販会社ということになりますと、やはり独禁法等に触れるおそれがあるんじゃなかろうか、こういうように考えるのであって、そうなると、マル公では価格はきまるけれども、硫安等の特定な肥料の場合、そのほかの配合肥料とかその他の肥料を共販会社が扱うということになると、もちろんこれは硫安だけ扱うわけじゃない、ほかの肥料も扱うことになるのでありますから、消費者にとっては大きな脅威である。これに対して農林省側がこういうものを作ってもいいのではなかろうかという考えがもしあるとすれば、これは消費者側として黙って見ておるわけにいかぬことになるのであって、この点いま少しあなた方の考えをはっきりさせてもらいたい、こう思います。
坂村吉正
95
○坂村
説明
員 商人側におきまして共販会社を作るという場合にも、もちろん、先ほど申し上げましたように、公正取引
委員会
で、いわゆる独禁法の問題とどういう
関係
になるか、こういう問題を慎重に考えてもらわなければならぬことになるだろうと思います。それと同時に、扱う場合に、公定価格のありますものと、それからないものと、物によって非常に影響が違うと思うのでありまして、そういう点は、農林省におきましても、消費者にそのためにいろいろ迷惑がかかるというようなことのないように、十分に
一つ
そういう点を頭に置きまして、慎重に検討いたしたいというふうに考えております。
神田大作
96
○神田
委員
このことにつきましては、われわれの見解としては独禁法の違反に該当する、こう思われるのでありますから、今後この点農林
当局
としては十分考慮の上、このような消費者を不利に陥れるような問題については、農林省側としては十分
注意
をして善処してもらいたいということをお願いする次第です。 それから、肥料価格の決定がおくれているので、消費者側としては大きな
損害
をこうむっておるのでありますが、この点については次官はいかなる考えを持っておるか、これに対しての補償というような点について何らか考えておるのかどうか、お尋ねします。
田口長治郎
97
○田口
説明
員 マル公決定がおくれておることは非常に恐縮しておる次第でございますが、私らがいろいろ流通面の
調査
をいたしましたところによりますと、大体八月、九月、二カ月
程度
はおくれましても、取引に混乱を来たさない。現に現物が円滑に流れておるのでございます。しかしながら、これがあまり長くなりますと、全購連系統はともかくといたしまして、商人
方面
の末端の生産というものが混乱をするおそれがあるものですから、その点は私らも一応
調査
しておるのでございます。さらに、このマル公がおくれるということにつきましては、できるだけあらゆる会合に農林省からも出まして、そうしておくれる理由につきまして
説明
をし、会合者に対する了解を受けておる、こういうような手は打っておるのでございまして、今品物が動かないで困るという問題は
一つ
もないのでございますから、補償その他の問題につきましては、国としては考えていないのでございます。
神田大作
98
○神田
委員
次官も農村の事情はよくわかっておるだろうと思うが、秋肥は短期間において手当をしなければならぬのでありまして、もうまきものを目前にして一挙に取引をするということになると、貨車回りの問題やいろいろの問題で私はこれは混乱を起こすと思う。また、暫定価格でもってやっておるのでありますから、事務的な繁雑というものははかり知れないものがあります。そういうふうに、春肥と違って、秋肥というものは短期間のうちに需要を満たさなければならぬというような
状態
でありますので、これは何もわれわれが計算したわけではないけれども、綿密な計算をすれば、これは全国にわたっては莫大な
損害
をこうむっておるとわれわれは考えるのであります。このように実質的に農民に迷惑をかけておるマル公決定のおくれておるというようなことにつきましては、
当局
としても責任を感じて、一刻も早くこの問題解決のために
努力
してもらいたい、またそれらの
損害
等に対しましてもこれは考慮してもらいたいということを、私は強く
訴え
をする次第でありますが、これに対しまして局長はどうお考えになっておりますか。
坂村吉正
99
○坂村
説明
員 先ほどの政務次官の御答弁と同じでございます。
神田大作
100
○神田
委員
それでは
一つ
、
損害
を補償する意志はない、マル公の決定はできるだけ今月中にやる、こういうことのようでありますが、われわれは、追って、この問題等につきましては、実質的な
損害
額を調べて、これはやはり
当局
の責任は責任として追及しなければならぬと思いますから、次回の
委員会
において私はこの問題を御質疑したいと思います。
一つ
硫安価格の決定は、われわれは、今月一ぱいというような
当局
の
説明
でございますけれども、もうあすにでもあさってにでも早く決定をして、全国農民に安心のできるように
措置
してもらいたいということを強く
要望
いたしまして、私の質問を終わります。
小枝一雄
101
○小枝
委員長代理
次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十六分散会