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1960-09-13 第35回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年九月十三日(火曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長代理 理事 吉川 久衛君    理事 大野 市郎君 理事 小枝 一雄君    理事 内藤  隆君 理事 中村 寅太君       綾部健太郎君    小澤佐重喜君       押谷 富三君    加藤 高藏君       鍛冶 良作君    鴨田 宗一君       倉成  正君    田邉 國男君       高石幸三郎君    中馬 辰猪君       中井 一夫君    古川 丈吉君       赤路 友藏君   茜ケ久保重光君       中澤 茂一君    受田 新吉君       神田 大作君  委員外出席者         農林政務次官  田口長治郎君         農林政務次官  宇田 國榮君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 中村 武夫君         農 林 技 官         (振興局農産課         長)      石川  里君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   亀長 友義君         水産庁次長   高橋 泰彦君         通商産業事務官         (軽工業局化学         肥料部長)   富谷 彰介君         自治事務官         (財政局理財課         長)     佐々木喜久治君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 九月十三日  委員安倍晋太郎君、天野光晴君、加藤精三君、  加藤常太郎君、松岡嘉兵衛君、松田鐵藏君、八  木徹雄君、保岡武久君及び小松信太郎辞任に  つき、その補欠として綾部健太郎君、鴨田宗一  君、鍛冶良作君、中井一夫君、古川丈吉君、押  谷富三君、加藤高藏君、小澤佐重喜君及び受田  新吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員綾部健太郎君、小澤佐重喜君、押谷富三君、  加藤高藏君、鍛冶良作君、鴨田宗一君、中井一  夫君、古川丈吉君及び受田新吉辞任につき、  その補欠として安倍晋太郎君、保岡武久君、松  田鐵藏君、八木徹雄君、加藤精三君、天野光晴  君、加藤常太郎君、松岡嘉兵衛君及び小松信太  郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  派遣委員より報告聴取  農林漁業災害に関する件(九州山口及び岐阜  県下の旱魃水害等による農林漁業災害問題)  農林水産業振興に関する件(鰹節の輸入問題、  肥料問題)  昭和三十五年度干ばつ及び水害による農林被害  等対策に関する件      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。  農林漁業災害に関する件について調査を進めます。  九州山口及び岐阜県下の旱魃水害等による農林漁業災害実情調査のため、過日本委員会より現地委員を派遣いたしましたが、この際派遣委員より報告を聴取いたしたいと存じます。  第一班高石幸三郎君にお願いいたします。
  3. 高石幸三郎

    高石委員 旱害調査第一班の報告を申し上げます。  われわれ調査班高石中馬委員赤路委員の三名をもって編成し、本月五日から九日まで熊本鹿児島大分福岡の各県の旱害状況調査して参りました。そこで、その概要を御報告申し上げますとともに、対策について若干の所見を申し述べたいと存じます。  まず調査の経路及び地点について申しますと、調査第一日たる九月五日、われわれは航空機により羽田から板付に飛び、直ちに熊本市におもむいたのであります。われわれの搭乗した飛行機が岩国に不時着したため、予定より二時間以上遅延いたしましたので、予定を変更して、直ちに県庁において県当局及び農業団体等より説明及び陳情を受けることといたしまして、それから市の近郊にあります託麻台地一帯被害状況調査して第一日を終了いたしました。翌六日は汽車により鹿児島県伊集院市に参り、これから加世田市、枕崎市、知覧町、つまり薩摩半島一帯調査して鹿児島市に至りました。翌七日は引き続き鹿児島県加治木市、隼人町、国府町等の方面調査に至り、隼人駅より乗車、大分県に向かったのであります。八日は速水郡向野町、宇佐宇佐町東大畑、駅同時矢部、西国東郡真玉町等の被害状況を視察し、また農民諸君の悲痛な訴えを承りつつ、中津市に到着、ここにおいて中津下毛農林事務所管内被害概況説明被災地町村長等陳情を聴取いたしまして、大分県の調査を打ち切り、続いて福岡県に入りました。福岡県におきましては、まず築上郡椎田町、築城町を視察しつつ行橋市に至りました。ここで京都郡、築上郡下の被災市町村の各代表から説明及び陳情を受け、引き続いて同市内鳥井原地区を見ました後、田川郡に入り、方城町を調査し、さらに嘉穂郡鎮西村を経て福岡市に帰着し、これをもって全行程を終わり、翌九日航空機により帰京した次第であります。  今年の旱魃一般的状況九州各県の農業に与えた被害概況を述べますると、六月は平年並み降雨がありましたために、水稲植付は辛うじて完了したのでありますが、七月、八月に至って西日本一帯には太平洋の高気圧が張り出し、来襲をむしろ期待された台風をも全く受け付けず、両月の降雨量はわずかに百ミリ程度にすぎない有様でして、これがため水田、畑地を通じ、全植付面積の約四割に対しまして大なり小なりの被害をもたらすことと相なった次第であります。  各県別被害割合を見ますると、福岡県では平均五六%、うち水田が五〇%、畑では全面積について旱害を受けており、佐賀県は平均五九%、うち水田で同様に五〇%、畑で総面積の一〇〇%、長崎県では水田の約半分が、熊本県では平均二九%、うち水田一七%、畑四六%が、大分県では平均三二%、うち水田二七%、畑四一%、鹿児島県では平均四〇%、うち水田三一%、畑四七%がそれぞれ被害を受け、被害面積水田約十四万町歩、畑約二十四万町歩に達しているのであります。ただし宮崎県は幸いにして小面積被害にとどまったようであります。  かような旱魃に対し、各県とも対策本部設置し、海上自衛隊に要請して、およそ一万数千リットルの水を散布して、人工降雨をもたらすよう努め、自衛隊に依頼してさく井を行ない、また県、市町村において機械購入借り入れ等により水を補給し、水利調節実施する等、あらゆる可能な対策を講ぜられたのでありますが、遺憾ながら完全なる旱害防止に成功いたしません。相当損害を発生することと相なったのであります。その被害総額は九月に入って以来の雨によって軽減された面もありますが、あるいは逆に増大した面もあって、いまだ最終的な数字の確定を見ないのでありますが、大よそ百億に近いものがあろうと推定されておるのであります。  以下われわれが親しく調査を行ない、また陳情を受けたところにより、今次災害の若干の特徴を申し述べてみますと、まず被害を受けない地域は、全体としてはすでに政府が発表をいたしているようにすばらしい豊作でありますが、旱害を受けた地域は、先述のように全滅のところもあって、田と田が相接し、旱魃豊作との対照があまりにもはっきりしておりまして、被災農民は悲嘆のどん底に沈み、みじめな思いをしておるのであります。しかも水稲植付後に旱魃がやってきたために、すでにある程度肥料代農薬代を支出し、また灌水または保水のために相当の資材、労力を投下しておりまして、これらの経費が全くロスとなっておるのであります。全体的にいって涌水がかり、小沼池がかり水田、あるいは看天田はほとんど全滅に近いといっても差しつかえありません。  御承知通り晩稲種は目下幼穂形成期を迎えております。この時期にはおよそ幼穂は十センチ前後の伸長を見ていなければならないはずでありますが、われわれが各地で引き抜いてみたところでは、今後稔実可能性はほとんどないと断言し得るものが広範に見受けられたのであります。一部の地域ではもはやあきらめて刈り取ってしまい、そのあとにソバ、大根等の代作を植えておりましたが、いまだにこれをたんぼに残しておるものが多い状況でありました。その理由はおよそ二つあるのではないかと思っております。その一つは、少しでも収穫を得ようという農民心理の発露であり、他は共済制度との関係であります。すなわち収穫皆無田となるためには統計調査事務所一筆調査が必要となるのでありますが、迅速かつ全面的に統計調査実施する余力がないためであります。これは資源の利用方法といたしましてはきわめて非効率であり、改善の要ありと認めた次第であります。  水稲について特筆すべき点は、早期裁培種はほとんど全く被害皆無であるということであります。来年は一段と早期裁培の進展を見るものと予測されますが、たとえば越路わせのような適品種の普及に一そうの努力を要するものと思われたのであります。陸稲につきましては普通種は各県とも全く全滅に近いところが多く、早期陸稲植付時期、品種にもよるようでありまして、平年作の地域とこれまた収獲皆無に近い地域とがあるように見受けました。  次にカンショでありますが、われわれが鹿児島県内で数カ所において引き抜いて調べてみますると、数日来の降雨で葉はいかにも生き生きとしておるのでありますが、結実は悪く、親指程度のものが一個、または二個ついているものが多く、予想外作柄は不良であると判断いたしたのであります。時あたかもカンショ価格決定期が近づいておりますが、政府作柄予想につき特に慎重を要するものと存ぜられ、この点当局注意を喚起しておく次第であります。  次に果樹でありますが、御承知のごとく九州にはわせ温州種の柑橘が多いのでありますが、特に持ち帰りました見本でごらん願うように、玉は肥大せず、例年の半分程度の大きさのところが相当に見受られたのであります。  以上被害の大要をおもな農産物について申し上げましたが、このような被害を受けた地域は三十三年の被害地域と重複している地帯が非常に多いのであります。いわゆる常習旱魃地帯が本年もまた手ひどい打撃を受けているのであります。また北九州の英彦山の西方の炭鉱地帯井戸を掘っても水は出ず、結局ダムによる灌漑を行なう以外にはないのでありまして、いわゆる旱害恒久対策実施する以外にこれらの地方を救済する方法はありません。石炭不況と関連して政府施策を促進する必要があると認めた次第であります。  次に旱魃害対策について現地側要望をお伝えすることにいたします。この点については、すでに九月一日の本委員会において九州山口代表から、また本日は福岡県知事ほか各位から詳細なる説明が行なわれておりますので、われわれが直接耳で聞いた現地側の声を中心に申し上げることといたします。  まず応急対策事業費についての国の助成についてであります。すなわち揚水機原動機等購入、敷設、運転等井戸の掘さく水路の開設、仮締め切り工事等が五百数十の市町村において、六千の団地について実施されまして、たとえば鹿児島隼人町においては千数百メートルの水道管を鉄道のトンネルを利用して敷設し、みごとに数十町歩灌漑に成功している事例を見受けましたが、至るところ現地努力はなみなみならぬものがあるようでありまして、これらに対する国の補助について強い要望が表明されております。八月三十日現在で熊本農地事務局が調べましたところによりますと、機械購入費工事費燃料費等を総計して六億一千四百万円と記録されておりますが、この金額はその後次第に増加しているように見受けるのであります。  この場合三十三年災におきましては、河川の仮締め切り井戸水路さく揚水機の輸送、据付、動力線架設送水管設置等に対し、事業規模が一団地五万円以上の事業をとり、その事業費の六五%について補助を行なっておりますが、この五万円を三万円に引き上げてほしいという希望各地において表明されたのでありまして、政府の善処を要望しておく次第であります。  次に天災融資法の発動であります。池田総理九州遊説の途次福岡において同法に基づく大災指定を公約されたやに新聞紙上伝えられ、現地側もその実行を深く期待しているのであります。この際特に注意を要する点は累年災害者既貸付金返済延期または借りかえの措置について遺憾なきを期していただきたいということであります。  次に自作農維持創設資金資金ワクの拡大であります。農地事務局報告によりますれば、現在までに九州管内で約十三億円の要求が行なわれておるようであります。三十三年災においては四億円の追加貸付が行なわれたようでありますが、今年は少なくとも十億円程度計上が強く望まれることを申し添えておきます。  次に水陸稲全滅に近い状態地域におきましては、救農土木事業実施することが絶対に必要であるということであります。ただいまも現地の切々たる陳情がございましたが、特に福岡県におきましては炭鉱不況に関連し、離職者対策に苦慮している現状におきましては、旱害恒久対策を兼ねた救農土木工事実施がぜひとも望まれているところであります。また農業共済の仮払い、概算払い旱魃期実施を行なうべきであることはもとより当然であります。  最後にわれわれが特に痛感し、また調査地域の随所において強く訴えられましたことは旱害恒久対策全面実施であります。さきにも触れましたように、今回の被災地はおおむね常習旱魃地帯であります。これらの地帯については恒久対策の確立とその着実かつ早期実行が何よりも肝要であります。三十三年の被害にあたってもこの点は強く叫ばれましたが、われわれの感じではその後力強く展開されているとはどうしても見えなかったのであります。現地側熱意に欠けるところがあった点も否定できないところでありましょうが、国の指導態勢援助が不十分であることは何よりの欠陥と相なっていることを明白にわれわれは感じとったのであります。恒久対策といたしましては小規模のもの、大規模のもの、国の補助を伴うもの、融資によるもの等各種施策があるわけであります。すなわちそのおもなるものを述べますれば、まず地域開発によるものであります。たとえば大分県では駅館川の特定総合開発事業でありますが、われわれがちょうど中津市に参りました当日、新聞紙においてその実現見込み薄という東京情報が伝えられたというので、現地は非常な衝撃を受けまして、憂色に包まれておった様を現実に見て、われわれも非常な感激を受けたのであります。また大分県の山国川の開発、国東半島の開発福岡県の弁城ダム内住ダム建設についても切々たる訴えを聞かされて参りました。  次に小団地土地改良事業でありますが、その補助条件改善につきましては一団地町歩制限を、一町歩に引き下げるように強い希望が述べられました。北九州及び南九州のごとく山間地域の小面積水田についてはこの制限の改訂が必要だとわれわれも痛感した次第であります。  また南九州特殊土壌地帯では深層地下水の探査が必要であり、年々の予算計上額があまりにも僅少なことははなはだ遺憾である、市町村熱意があっても非常に残念であるということを言われておることもお伝えしておきます。  現地においてわれわれが痛感いたしましたことは、非補助小団地土地改良融資事業に対する評判がすこぶるよろしいということでありました。この三分五厘資金の活用をはかり、さらにその内容を充実することは、旱害恒久対策としてはなはだ有益でありますので、これを一そう推進されるよう要望する次第であります。  要するに土地実情に応じ、これら各種方法を組み合わせ、工夫をこらして、一日も早く根本的に旱魃被害から抜け出る道を開くことが肝要であります。  以上簡単に御報告いたしましたが、最後に、政府に対しましては被災農民の窮状を察し、三十三年の対策に劣らない万全の措置を講ずべきことを強く要求すると同時に、今回の調査に協力いたされました各県知事以下担当官市町村行政当局農業団体各位並びに農林省出先機関に対し深甚の感謝の意を表明し、被災者各位の一日も早い立ち直りを祈念いたして、私の報告を終わることといたします。
  4. 吉川久衛

    吉川委員長代理 次に第二班、倉成正君。
  5. 倉成正

    倉成委員 私は第二班を代表して調査概要報告いたします。  本班に参加せられた委員は、自民党からは吉川委員と私、社会党からは西村委員都合三人で、九月七日から十二日までの六日間にわたりまして、旱害については長崎県、佐賀県及び山口県下を、水害については岐阜県下を調査して参ったのであります。  まず旱害について申し上げます。旱害の発生の原因及び農作物被害状況並びにこれが対策につきましては、第一班の報告において十分尽きておりますので、重複を避けまして本調査班としては調査地実情調査日順に従って簡単に申し述べるにとどめたいと存じます。  最初の九月七日は長崎県の島原の被害地小浜町、南有馬町及び北有馬町を調査いたしたのであります。  われわれ一行は、七日朝七時東京を出発したのでありますが、     〔吉川(久)委員長代理退席中村   (寅)委員長代理着席〕 途中異常な悪気流にあい飛行時間が延び、福岡には一時間も予定よりおくれて到着したのであります。このおくれのため、予定長崎行の列車に間に合わず、やむを得ず自動車で長崎県に入ったのでありますが、諌早市に着いたときはすでに午後五時半を過ぎていたのであります。しかし被害農民の心情を考えて、時間にこだわらず日程通り地区について調査を決行することといたしたのであります。  まず諌早市役所に参りまして激甚被害市町村長等関係者から被害実情を承り、次に島原半島西海岸沿い被害地調査しつつ北有馬に到着したときは夜の八時三十分となり、そこから北有馬までの被害箇所ゴム長ぐつをはき、片手に懐中電灯を持って、被害農民の熱心さにこたえ、言われるままにたんぼに入り、水稲被害状況をつぶさに調査したのでありまして、調査が終わったときには時計はすでに十時を過ぎていたのであります。  この島原半島は、火山地帯特有降雨が直ちに地下深層に吸取せられるため、この辺一帯農業ため池に依存しているのが現状でありまして、平年度においても用水の絶対量が不足している地域であります。そのために長崎県下の三分の一に当たる七百個所のため池がこの地域にあることを見ても、いかに用水に苦慮しておるかがわかると思うのでありまして、ため池整備拡充地下水利用についての援助を強く訴えていたのであります。  翌九月八日、金山村の干拓被害状況調査いたしたのであります。干拓地はいずれの干拓地でも同じでありますが、水利が十分配慮されていないのでありまして、今後の問題として干拓地造成にあたっては用水確保についても重要要件一つとして計画をされねばならないものと深く感じたのであります。  八日の午後は長崎県の調査を終え、佐賀県に入ったのであります。まず県西部の多良町に参り、被害関係町村長等から陳情を聴取し、続いて同町が実施している低地の遊水を高い水田に送る揚水施設調査したのであります。時間の関係で見ることができなかったのでありますが、有明海岸沿い干拓地塩害を起こしていたのであります。塩害原因は、干拓地の表面が乾燥したため、地下に流れておる塩水を毛細管現象で地上に吸い上げ塩害を起こしたのでありまして、干拓地用水確保については、この方面からもとくと検討さるべきであると感じたのであります。続いて白石町を経て北方町朝日にある貯水量百二十八万立方メートル、灌漑水路十三キロ、二千ヘクタールの水田に給水しておる総工費三億円で建設された大型ため池を視察したのであります。  次に南多久町花祭部落における鉱害による水稲被害調査し、多久市を経て唐津市に参ったのであります。唐津市においては調査予定していた東松浦郡が時間の都合でとうてい現地に行くことができないため、離島町村長唐津市にお集まりを願い、親しく実情陳情を承ったのであります。この地帯丘陵地帯で平年度においても水不足に悩まされておる地域でありまして、貧農中の貧農が多く、自力では何事もできないのが実情でありまして、国において早急に用水確保のためのため池設置を行なうとともに営農改善指導と国の援助が強く望まれていたのであります。  九月十日は山口県を調査いたしたのであります。山口県においては七月上旬までは平年並み降雨量があったのでありますが、中旬から八月上旬にかけて降雨皆無状態であり、その後も雨らしい雨を見ず、海岸線は全域にわたって被害を受けており、水稲園芸作物を主として、その被害は十二億円に達しておるのであります。被害激甚地としては大島郡を初め離島でありまして、われわれも屋代島大島町に渡り、最初ミカン旱害調査したのであります。被害ミカンは平年度に比へ収穫は二割減となり、さらに商品価値は十分の一に低下して、収入面から大きな打撃を受けていたのであります。次に橘町役場にて屋代島内の各町長より陳情を開くとともに被害についてのカラー・スライドを見て、農作物の枯死に至るまでの経過につき認識を新たにしたのであります。  海上から上関村被害地調査しながら下津村に上陸し、平生町を経て田布施町に参り、電探により探知した水層揚水用ボーリングを行ない、非常に効果をおさめた実施現場調査したのであります。  以上旱害についての報告を終わります。  次に、岐阜県における水害についての概要を申し上げます。岐阜県をおそった豪雨は、八月十日から十三日の未明にかけて四国に上陸し、中国を経て日本海に抜けた台風第十一号及び第十二号と八月二十九日に同じく四国中国を通過して日本海に去った小型の台風の影響によるものでありまして、この豪雨岐阜県の山岳地帯集中豪雨を降らせ、中でも長良川及び揖斐川の上流は、五百ミリをこえる連続豪雨に見舞われ、長良川のごときは、昨年の伊勢湾台風のときの水位をさらに一メートル上回る増水となり、流域に大きな被害をもたらしたのでありまして、農林水産業の受けた損害は二十三億円を上回るというのであります。  われわれは、まず県庁において関係部課長から災害実情対策についての要望を承り、直ちに長良川本流沿い現地調査を行なったのであります。  長良川本流は、五メートル以上の増水をしたため、警戒水位をはるかにこえ、両岸の堤防は、至るところ、原形をとどめぬまでに破壊されており、国鉄高岡線のごときは、二個所の鉄橋と、寸断的に線路は流失、決壊し、これが復旧の見通しさえつかぬままになっていたのであります。  われわれはまず白鳥町に参り、郡上郡下の被害町村長等から被害実情及び復旧対策についての要望等をつぶさに承り、次いで二日町の三十ヘクタールの水田流失、埋没した激甚地調査いたし、さらに上流にある干田野部落に歩を進めたのであります。  この部落の中を流れる小河川は、山岳地帯集中豪雨を受けたために山くずれを起こし、直径一メートルもある岩石を伴った山津波となって、この部落の人家を初め、耕地等を押し流したのでありまして、一カ月を過ぎた現在にても当時の惨状をそのままながめることができ、その現状は、復旧の困難さを物語っていたのであります。  次に大島万場部落農民の懇請によりまして、万場部落の百ヘクタールの水田灌漑している唯一の水路が二カ所にわたって山くずれのために決壊している現場に参ったのであります。この一水路に百数十戸の農民の全生命をかけているだけに、全農民は日夜これが復旧の一日も早からんことを不安のうちに見守っていたのであります。  このような被害復旧については、災害復旧の緊急工事のうちのさらに緊急工事として最も優先的に取り上げ、早急に復旧することが望ましく、民生の安定に貢献するゆえんであると思うのであります。  次いで武儀県事務所に参りまして、関市、美濃市を初め、管内町村長から真剣な陳情を承ったのであります。  以上で本調査の日程を終えたのでありますが、最後要望事項中の重要事項について申し上げます。  その第一は、昨年の伊勢湾台風の際、この地方は激甚な被害を受けたのでありますが、その被害個所が現在なお復旧工事の継続中のものが多く、これが再び本水害により被害をこうむったのであります。しかし伊勢湾台風の際は特別立法もあり、高額の補助の対象となったのでありますが、今回の被害は低率補助となるおそれがあり、一個所の工事で二つの異なった補助率が適用されるようなケースのものがございます。このようなケースのものに対しては、一律に高率の補助を適用されるように要望していたのであります。  その第二は、復旧仕越し工事実施中再び災害を受けた場合には、実施した仕越し工事分についても補助金を交付されたいとのことであります。  第三は、農地等三万円以上の小災害復旧工事を市町村が行なった場合には特別交付金で全額交付されたいことであります。   第四は、公共土木事業負担法には累年災害に対する高率台負担の規定がありますが、農林水産業施設復旧暫定措置法には累年災害に対する高率補助適用の規定がないが、ぜひ近い機会にこれを実施せられたい等であります。  以上をもって報告を終わります。
  6. 中村寅太

    中村(寅)委員長代理 以上をもちまして、派遣委員報告は終わりました。  次に、農林漁業災害対策について、政府報告を求めます。田口政務次官。
  7. 田口長治郎

    ○田口説明員 今回の災害に際しまして、当委員会におかれましてはさっそく現地を御視察下さいまして、感謝をしておる次第でございます。私も旱魃調査に参ったのでございますが、今回の旱害が特に深刻でありますことは、三十三年度災害植付前の災害であったのでございますが、今回は、農家といたしましては肥料その他を投下して、あらゆる努力をした植付後の災害であったために、むしろ三十三年度以上の、農家としては苦痛問題が生じておる、こういうふうに考えておるのでございます。  第二の問題といたしまして、この災害地の大部分が、三十三年度災害を受けたところがまた災害を受けておる、こういうような累年災害の形をとっておりますために、非常にその点も深刻であると考えるのであります。それと、この災害地全体と申しますか、山口九州方面では、全般的に土地改良が非常におくれておる、こういうような関係で今回の災害も大きくなったのではないか、かような見方もできるようでございます。  第四といたしまして、ただいま非常に深刻な問題は、三十三年度植付前の災害でありましたから、稲に対するいろいろな対策ができたのでございますが、今回の災害植付後の問題でございますから、稲を植えかえるというようなことは全然できないのでございますから、やむを得ず代作を各地で考えておるのでございますが、この代作をするためには、今田の中にある稲を刈り取ってしまわなければならぬ。ところが、この稲は、農家からいたしますと、自分の子供を育てるような気持で今日まで育ててきたのであります。その後の雨で、外面的には非常に復活したような格好をしておりますけれども、専門家の見るところによりますと、ほとんどそういうようなところでも収穫皆無だ、こういうような実情でございまして、外面的に非常にいい稲を今刈り取るということが、農民感情としてどうしても踏み切れない状態にあるのでございます。冷静に考えてみますと、こういう稲は収穫皆無のところでございますから、刈り取って代作をして、稲の農業災害の概算金でも払って、そうして代作の収入を寄せますと非常に助かるのでありますけれども、農民感情がどうしてもそこまでいかない、こういうようなことで、各地指導者、農民が毎日協議をしておりますが、その点がなかなか踏み切れない。ところが代作するにいたしましても、期日の関係がありまして、あまりおくれてしまいますと、せっかく代作をいたしましても収穫が十分でなくなる。たとえば秋バレイショなどにいたしましても、九月の十日か、おそくも十五日くらいまでに種を植え付けなければならないのに、農民はそういう感情でなかなか踏み切らない。こういうようなことで非常に深刻なる実情になっておるようでございます。     〔中村(寅)委員長代理退席吉川   (久)委員長代理着席〕  かような観点からいたしまして政府といたしましては、今回の旱害問題は非常に深刻であるという認識のもとに、いろいろな対策を講じておるのでございますが、まず第一に金融問題を急いで解決しなければならぬ。このためには農業共済概算払いを急ぐ、また天災法の適用を急いで発動しなければならない、どうしても困る農民に対しましては、天災法だけで埋まらない分は自作農創設維持資金一つ急ごう、こういう金融処置を今急いでおるのでございます。  第二の問題といたしまして、この旱害に対しまして水を確保するために井戸を掘ったり、あるいはポンプを買ったり、動力機を使って水を揚げたり、あるいは水路を改修したり、いろいろなことで各町村とも相当多額の金を使っておるのでございますが、この問題につきましては、大体三十三年度のあの方式で善処をしたい、かように考えておるのでございます。  第三の問題といたしまして種苗対策の問題でございますが、これは三十三年度は稲についていろいろな対策をいたしましたけれども、今回は、先ほど申し上げましたように稲に対する対策は講じられないのでございますから、結局代作による種苗費の補助というようなことで、この処置を適当にやっていきたい、かようなことで大蔵省とも折衝しておるのでございますが、大体大蔵省も農林省の言い分を認めておるのでございまして、計数の折衝だけが残っておる、かような状態になっておるのでございます。  さらに、被害農民の減税問題につきましては、今大蔵省と折衝中でございます。それから公共団体などがこの問題につきまして相当金を使っておるのでございますから、地方交付税の問題について自治省と折衝をしておるのでございます。  救農土木の問題につきましては、実情に即して、どうしてもやらなければならないというところに限って一つ考えていきたい、こういうことでこの財源を今研究中でございます。  恒久対策につきましては、こういうような旱害を毎年繰り返しておるべきものでない、かように考えますから、深層地下水の問題、あるいはダムの問題、あるいは老朽ため池のかさ上げの問題だとか、水路の改修の問題だとか、そういうことについて将来の問題として予算を確保して、そうしてこのような旱害が年々起こうないような処置を講じなければならないということで努力をいたしたいと思うのでございます。  大体政府が今考えております問題について御報告申し上げます。
  8. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 ただいま政務次官に一般的な対策概況を御説明願ったわけでありますが、私から補足して若干申し上げたいと思います。ただいまお話がありましたように、今回の災害は、三十三年の旱魃に比べまして、いろいろの特色がありまして、その第一は、今もお話がありましたように、今回の旱魃植付後における旱魃であるということでありまして、被害程度は、三十三年の場合におきましては約二百億の農作物被害であったのでありますが、今回は百五十億というふうな被害額になっております。しかし今申しましたような関係で、今回の被害の与えられた地域につきましては、なかなか深刻なものがあるようでございまして、今政務次官がお話しになりませんでしたが、農林省といたしましては、両政務次官が班を組みまして、旱魃地について親しく視察をしていただいた次第でございます。その報告によりましても、被害を受けた地域々々におきましては、まことにお気の毒にたえないところが多々あるようでございます。われわれといたしましては、三十三年度旱魃対策の例もございますので、何よりも早急に対策を決定する必要がある、こういう観点に立ちまして、具体的な計数等につきましてはいまだ折衝中のものもございますけれども、方針だけは早く決定する必要がある、こういう考え方に立ちまして大蔵省とほぼ話し合いをつけた次第でございます。  その大要につきましては、今政務次官からお話があった通りでございますが、なおもう少しつけ加えて申し上げますと、第は、早害を防止するために実施する揚水機あるいは揚水専用の動力機、掘り井戸設置水路の掘さく、その他用水確保のための事業実施については、これは助成を行なう、こういうことにいたしております。  それから次は融資措置でありますが、被害激甚地におきまする経営資金確保のための天災融資法の発動、それから自作農維持資金の追加割当、それから揚水機等の購入に必要な資金融通については、公庫資金から必要な資金融通措置を講ずるということにいたしまして、融資につきましては今言ったような方法措置をとる、こういうことにいたしております。  それから第三は、被害地における今後の種子確保の点でございます。今回の災害の事情からいいまして、一部すでに相当代作等の行なわれているところもございますが、なかなか植え付けた後における旱魃でありますので、その後時期を失したというふうなところもあるようでありますけれども、一応今後考えられる代作、たとえば秋バレイショであるとかソバであるとかいったようなものに対する代作種子の確保につきまする助成を行なって参りたい、同様にそれに伴いまするところの技術指導についての助成も行なって参りたいということにいたしております。それから、従来とも旱魃のありました場合、あるいは水害等のありました場合に、農業災害補償法の運用によりまして概算払いを行なう、あるいは共済金の仮渡しを行なうというような措置につきましては、すでに当委員会におきましても報告いたしました通り、各県にそれぞれの手配をいたしておるような実情でございます。  それから今申し上げましたような事項につきましては大体予備費で要求するという考え方で大蔵省とは折衝いたしておりますが、今回の災害に伴って、特に開拓地域等におきましては相当用水にも事欠くような農家も出てきて、そのために飲料水確保のための掘り井戸設置というようなことが行なわれておるわけでありますが、これらに対する経費につきましては、農林省の手持ち予算の中で助成の措置を講ずるというようなこともすることにいたしております。大体三十三年度の早越対策に伴う措置といたしましては、今申し上げたようなことが対策の主要な内容になっておったわけでございますが、今回も大体そういう措置に準じまして対策を講ずることに両省の間において話がきまっておるわけでございます。従いまして今後はこれらの計数等につきましてさらに大蔵省の方と折衝いたし、できるだけ早い機会に各県に対しますこれらの対策を明示いたしまして、自後の対策に遺憾ないような措置を講じて参りたい、かように考えておる次第でございます。簡単でございますが、以上でございます。     —————————————
  9. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 農林漁業災害に関する件について質疑の通告があります。これを許します。赤路友藏君。
  10. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま田口次官と齋藤官房長の方からるる御説明を願ったわけであります。早く基本的な方針をきめてやりたい、計数の面についてはただいま折衝中だということでありますが、今までお聞きした点では少し納付がいかないのでありますが、どうも抽象論であって、今の災害地の諸君は、そういう方針はもちろん立てていただかなければならぬが、早く手を打ってもらいたい、早くやってもらいたい、こういうことが要望されておるわけであります。派遣されました各委員からの報告をお聞き取り願ってその点は御了承願えておると思うのでありますが、まず私は具体的にお尋ねいたしますが、応急対策費の助成をする、これははっきり基本方針としてきめておる、しかもそれは三十三年度旱魃のときと同様な措置をとる、こういうことです。非常にけっこうだと思います。この前の委員会で、大蔵省との折衝はすでにやっておられる、当時二億四千八百万円という額で折衝されておったようでありますが、今日どういうふうになっておるか、具体的な金額をお示し願えるならば一つお示し願いたいと思う。
  11. 伊東正義

    ○伊東説明員 今御質問の点でございますが、この前御答弁いたしましたのですが、大体二億四千八百万、約二億五千万ということでやってきました。これは八月十五日現在の数字でやっておりましたが、その後県から数字をとりました応急事業費がふえておりますので、現在は大蔵省には大体四億四千くらいの数字で話しております。これは今交渉の段階で、官房長が言いましたように計数としましてはまだはっきりときまっておりませんが、そういうことで交渉いたしております。  それからもう一点自作農資金の点は、これはこの前三十三年度におきましては約九億という数字が決定になったのでございますが、本年度は少なくともこれを割らぬ程度のものを確保したいということで、これは近日中に話し合いが大体つくということになっております。
  12. 赤路友藏

    赤路委員 八月十五日現在であったので、その後ふえておりますから、こういう処置をとっていただいてけっこうだと思います。  そこで一点、こまかいことになりますが、この応急措置補助につきましては御承知の通り雨の降るまでやっておったわけなんですね。だからいろいろな施設をした場合に、これはやはり一定の時期というものはあるのではないかと思いますので、雨が降り出しましたのは九月の五日だと思いますが、その時期はいつまでのものにこういうような補助助成をする、こういうふうにお考えになっておるか、この点ちょっとお聞きしたい。
  13. 伊東正義

    ○伊東説明員 今の時期の問題でございますが、三十三年は八月十五日というようなことで切ったのでございますが、今年は、実は今申し上げました四億四千万という数字は八月末までの集計でございます。私どもとしましてはまだ大蔵省と何月何日までということははっきりきめておりませんが、これは八月一ぱいということをきめたわけでもございませんし、また八月十五日ぐらいということでもございませんので、今後の折衝に待って実情に合ったような要求をしたいというふうに考えております。
  14. 赤路友藏

    赤路委員 その点は少し希望条件を述べておきます。答弁は求めません。ただ今度の場合、御承知の通り植付時期は済んでしまった。あと雨を待っておる。ここにまあ農民側の方にもある程度手落ちがあると思う。豆台風が出てきておるので、それに非常に期待をかけておって、おくれていったということもありますが、いずれにいたしましても降雨があるまではいろいろな措置をやっているわけですから、大蔵省との折衝の場合、この点十分一つ腹の中に入れて御折衝願いたい、この点を希望いたしておきます。  それからこれは水害地も同様なのでありますが、一団地——今度の場合、集団地の大きなものもありますが、かなり集団の小さいのがありますから、事業量を五万円ということでなしに三万円まで下げてくれという要求が非常に多い。三十三年度の場合はそれぞれ適当な措置がとられたようでありますが、この点について今回何か適切なことをお考えになっておりますかどうか。
  15. 伊東正義

    ○伊東説明員 今の一団地五万円の話は、今年度も一団地五万円ということで要求いたしております。団地のとり方その他でいろいろ問題はあるかと思いますが、これを今先生のおっしゃいましたように三万とかに下げていくという交渉は実はいたしておりません。三十三年度と同じに五万ということで、団地のとり方等で考えられるものは考えていくという、実情に沿ったやり方でやったらどうかというふうに思っております。
  16. 赤路友藏

    赤路委員 官庁側の方の答弁としてはよくわかりますが、もう少しその実情をよくお聞き願って、そしてやはりあたたかみのある行政をやってもらいたい。今ここでどうせいと言ったって無理でしょうから、これは次官もおられることですから、よく御相談になって現地実情に即した対策をおとり願いたい、このことを要求いたしておきます。  それから自創資金の方ですが、これも大蔵省と折衝中というので、いつになるか時期的にはわかりませんか。天災融資法の適用もありますが、いつごろには大体それを出してやれるんだという具体的な時期ですね。もう絵にかいた餅は困るんだから、その具体的な時期を、もし予想がつくなればここで御答弁願いたいと思います。
  17. 伊東正義

    ○伊東説明員 自創資金の問題で、実はまだ私決定的なお答えをいたしませんのは、今先生おっしゃいましたように天災融資法で幾ら出るかということの関係が若干ひっかかっておりますので、はっきり申し上げないのでございますが、私どもの見通しとしましては、今週中には金額をきめまして県に通知をするという段階にまでいきたいということで実は交渉をいたしております。額につきましては先ほど申し上げましたように、三十三年度を下らぬということでやりたいというふうに思っております。
  18. 赤路友藏

    赤路委員 その次は先ほど政務次官の方から作付転換の話が出まして、私も現地を見てみまして痛切にその点を感じたのでありますが、政務次官の御説明になったように、農民自身の方でもなお雨が降ってくるし、何か少しでもという希望もありますし、それから感情的にもなかなか愛着がありまして切りきれないという面もあるやに見受けられます。しかしそれ以外に一つの要素があるのじゃないかと思うのですが、これは共済との関係がある。あのままでほっておきますと非常にむだだと思うのです。だから早くああいうものは刈り取ってしまって、そうして作付転換をさせるということが農民のためだと思う。ところがもし今刈り取って、あと作を植えた場合、あと作で出てきた収穫の所得というものを、この共済の場合には差引かれてしまう。こういうような懸念をどうも現地の方では持っておるようなんですが、そういう点は明確にして、そしてそういうことは絶対ないのだ、だから今共済の方と、あるいは作報等の技術員が立ち会って、もうだめなものならここではっきり切らしてしまって、あと作に少なくとも早く転換させるという方法を講じるべきだと思いますが、その点どういうふうになっていますか。
  19. 坂村吉正

    ○坂村説明員 あと作の問題と共済の関係でございますが、現在共済金の支払いについては現地でいろいろな調査をやっておると思いますので、損害調査をいたしまして、だめなものはだめなもので、だめだということであればそれは当然共済金の支払いになるわけでございますので、そういうことで現地の方でも仕事をしていると存じております。また先ほどもちょっと官房長からお話がありましたように、今の状況損害評価をやりまして、そして収穫皆無であるという異常災害になって、国の方から再保険金を払わなければいかぬというふうな状態であれば、国としても再保険金の概算払いをする、こういうことで各県に通牒を出して、その中から手配をさせております。
  20. 赤路友藏

    赤路委員 そうしますと、こういうふうに確認しておきます。現在政府調査をしておる災害被害実態について、それが済み次第刈ってしまう。刈ってしまったらこれはあと作が早かろうとどうしようと、それとは全然関係がない。あと作の収穫とは関係がない。だから被害を受けたものに対して、それだけのものをやはり支払って、あと作の収穫とは毛頭関係がない、こういうふうに……。
  21. 坂村吉正

    ○坂村説明員 仰せの通り現在の作物についての損害評価をやりまして、その損害の評価を基準といたしまして共済金の支払いをやる、こういう建前でありますので、御趣旨の辿りであります。
  22. 赤路友藏

    赤路委員 その次に応急の救農土木事業ですが、これは非常に各地でも要望が多いのです。救農土木事業について何か構想とかあるいは予算面、そうしたものはおわかりになりますか。
  23. 伊東正義

    ○伊東説明員 救農土木事業につきましては、この前大臣も検討するというようなことをおっしゃっておりましたが、私ども事務的には、まずとりあえず今手持ちの予算から、早越に集中的に、たとえばため池でありますとか、そういうものに使いたいと考えております。
  24. 赤路友藏

    赤路委員 これは救農土木事業といっても恒久措置とからんでくると思う。今回やられているところを見てみますと、たいてい三十三年にやられたところが、そのままやられている、そういう面が非常に大きいと思う。これは全部国がやるということはなかなかむずかしいのであって、結局現地の人たちもある程度負担を願わなければならぬと思うのですが、いずれにしましても累年災害を受けて困っておるところなのでありますから、高率補助ということが、恒久措置の場合、救農土木事業とからまして考えられるかどうか、これが一点。  もう一つは小団地の改良の資金——公庫で六十五億入れて、それでやっておるのがありますね。あれは結局原資ワクには食い込めない。出てきた金利だけで回転しているので、それではほとんどわずかな事業量にしかならぬ、こう私は思うのですが、これを何とか食い込んで、小団地改良事業資金ワクをこの際拡大する、そうして現地の諸君にもこうしたものをどんどん活用してもらって、それに国の高率補助が加わって、応急土木事業と恒久措置とがからんだ仕事というものがぐんぐん伸びていくような措置はとれないかどうか、この点一つお考え方をお示し願いたい。
  25. 伊東正義

    ○伊東説明員 二つ御質問でございますが、あとの点の三分五厘のワクをふやして、基金に食い込んでいくということは考えられぬかという御質問でございますが、これは実は今年は九十億でございますが、来年は百三十億という実は大蔵省に要求をいたしております。こういうふうになってきますと、百三十億と仮定いたしますと当然三十九年くらいで、金利だけで三分五厘にしていくという操作はできなくなって、元金に食い込んでいくというような措置に実はいたしております。今年度どうかという御質問でございますが、これは公庫の資金全体の金繰りの問題も実はございますので、まだ今の段階でこれをどうするというところまでは、実は現在の段階では考えておりません。ただ元金に食い込む時期は早くなるであろうということは、すでに本年度九十億やりましたときからそういう傾向は出ておるわけであります。  それから恒久対策の問題でございますが、これは実は大部分が畑地でございますので、畑地に井戸を掘りますとか、あるいは灌漑施設等をやるわけでございますが、これの適当な施設等につきましては、実はかなり金もかかります問題ですし、どういうふうにして畑地の問題を考えていったらよいかということは、これ一つ現地と私の方で調査をしまして、地帯ごとにどういう事業が必要かという点を当たってみたいと思います。たとえば鹿児島あたりでありますと、従来は特殊土壌地帯というようなことでやっておりまして、いわゆる旱魃対策というような予算は、今の実情ではあまり行っておりません。でありますので、そういうようなところに一体旱害対策としてどういうことが考えられるかというようなことは、県と私の方で一つ調査をしてみたいと思っております。実は今年度旱害恒久対策として大分県、熊本県等にはため池を作るということを三十五年度から新しくやったのでございますが、その点につきまして来年度どうするかということは、もう少し調査して恒久対策を考えたいと思っております。  それから補助率の点は、今年の旱害にかんがみましてこれを上げるかどうかということは今後の問題でございますので、従来やっておりました旱害恒久対策とのバランスをやはりとらざるを得ないだろうというふうに思いますので、これは検討さしていただきたいと思います。
  26. 赤路友藏

    赤路委員 よくわかりましたが、恒久対策はそういうふうにやっていただきまして、特に小団地資金の問題については、部内において一つ十分御検討をおやり願いたい、こういうふうに考えます。  それから自治省に伺います。この被災地の地方公共団体に対して、自治省としては何か御構想をお持ちだと思いますが、その対策について御説明願いたいと思います。
  27. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 自治省といたしましては、九州地方の早越について、現在の早越被害に伴う被害額あるいはその応急対策等の経費については、その内容がおおむね農民の負担になる経費になって参りまして、それにつきましては農林省においても種々の対策あるいは農業関係の共済金の支出ということも考えられるわけでありまして、市町村なりあるいは府県なりの地方団体がその財政支出としてどれだけの負担になってくるかということについては、いろいろと検討を要する問題があるかと思いますが、農林省の方からの地方負担の状況並びに地方団体の負担状況というものを考慮いたしまして、もし必要があれば必要な対策をとって参りたいということでございまして、まだ具体的なその地方負担の状況等について把握いたしておりませんので、現在のところこういう状況でございます。
  28. 赤路友藏

    赤路委員 ただいまのお話では、おおむね今度の災害の負担は、農民側の方であるが、政府の方でも措置をする、こういうことで地方公共団体の負担計数というものが明確でない、こういうことだと思いますが、それが明確になれば、必要であればやるということなんですね。そういうことですね。これは当然やってもらわなければいけないと思うのです。なるほど今度の災害は農民の受けた災害でありますが、地方公共団体としても、手前たち勝手に災害を受けたんだからいいじゃないかといってほっとくわけにはいかぬわけです。当然これは起債の要求もありましょうし、あるいは特別交付金の要求等も出てこようと思う。その場合は十分善処していただきたい。しかしそれは私は自治省として待っておるということではなくて、その線は積極的に各省と連絡をとって、あるいは各被害地の公共団体等と連絡をとって、すみやかにそれに対する対策を立てていただきたい、こういうことを希望しておきます。  それから食糧庁に最後にお尋ねしておきますが、今度の被災地を回りましていろいろ作物の状況を見てきたわけです。特にカンショにつきましては、御承知の通り、今月末に大体カンショ価格の指示をする。例年の通りであります。カンショ価格を指示する時期にもうきているわけですね。ところが、行ってみると、案外葉は茂っておるが、抜いてみると、イモの小さいこんなのが一つ、二つしかついていない。あとは毛ばかりだというような実態なんです。もう時期もきておるんだが、食糧庁の方で推定数量等は大体出ておるかどうか。この点一つお聞きしたい。
  29. 亀長友義

    亀長説明員 カンショの価格につきましては、現在の法律で十月中にきめることになっておりますが、実際は例年九月末にきめております。今度の被害関係もありまして、作況の把握は私どもでもまだ十分いたしておりません。統計調査部の集計の方法といたしましては、例年九月下旬に出るということになっておりますので、食糧庁といたしましては、例年のように統計調査部の調査の数字を見まして、原料イモの価格を算定いたしたいと考えております。
  30. 赤路友藏

    赤路委員 大体いつごろまとまりそうですが。
  31. 亀長友義

    亀長説明員 イモの原料指示価格及び澱粉の買い入れ価格の点でございますが、御承知のように統計調査部の生産量並びに商品化率というふうな統計上のいろいろなデータを使用いたしまして計算をいたします関係上、九月下旬ごろには私どもで大体の目安が立って、九月末にはおそくも例年のように最終的に決定をいたしたいと考えております。
  32. 赤路友藏

    赤路委員 よくわかりました。そこで食糧庁の方へ一つ希望要件だけを述べておきます。  今度調査に回ってみますと、あちこちで本年のイモは二十三円五十銭というような放送が盛んにされております。これはどうもけしからぬと僕は思う。僕はこんなことは農林省の方で流したものではないとは思います。しかしながら二十三円五十銭というのはだれも知らないのです。ところがそれが盛んに流れてくる。これはいい影響を及ぼしませんよ。与える印象は実に悪い。だから、一つこういう点のあることも頭に置いていただくということが  一点。  それからことしのイモは、これは統計調査から出てきましょうが、われわれが現地に行って、それぞれ掘り抜いてみた結果から見て、決して昨年同様な生産は見込まれない。これは減収は必至だ、こういうにも考えますから、それを大体目標にして何か要らぬことを吹き回ってもらっては困るので、この点希望として述べておきます。答弁は求めません。
  33. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 ただいまの赤路委員の発言について、委員長から田口政務次官に申し上げておきたいと思う。  本委員会委員懇談会を今月末三十日に開会の予定でございますから、それまでにただいまのイモの価格を政府として決定をして提示できるように、御用意を御注文申し上げておきます。
  34. 田口長治郎

    ○田口説明員 その通りに準備をすることにいたします。
  35. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 倉成正君。
  36. 倉成正

    倉成委員 九州山口旱害対策につきましては、政府におかれましても田口政務次官初め関係者がいち早く現地を御視察いただきまして、つぶさにその実情を見ていただきました。また事務当局におかれましても、いろいろな点でこの対策に万全を期しておられる点について、被災農民代表しまして心からお礼を申し上げたいと思います。またただいま同僚赤路議員からいろいろ御質疑がございました。また、赤路議員は答弁は求めないという非常に穏やかなお話でございましたが、私は現地実情をつぶさに見て参りました関係上、また先般の農林水産委員会におきまして南條農林大臣との質疑応答において明らかにいたしましたように、今度の対策は迅速でかつ適切でなければならないということを申し、しかもこれが現地実情に即しなければならないという意味で政務次官以下現地においでになったと思います。  そこで私は政府に具体的に明確な答弁を要求いたしたいと思います。従って誠意のある御答弁をいただきたいと思いますから、そのつもりでお願いを申し上げたいと思います。  まず第一点は、三十二年度並み災害対策をやるという点は、先般の農林大臣のお話にもありました通り、その線で準備を進められていることはまことにけっこうなことでございます。しかし具体的にこれをどうするかという点で、たとえば期限を八月一ぱいにするかどうかというような点も、大蔵省と折衝中でまだ明確でないということでは、もうすでに九月十三日でありますし、現地の農民がいろいろな心づもりをする点についても、ちょっとこれは不親切な御答弁じゃないかと思うのです。まず期限の点を一つ明確にしていただきたいと思いますが、これについてどういうふうにお考えになるか、御答弁を要求いたします。
  37. 伊東正義

    ○伊東説明員 期限の点でございますが、八月三十一日まで延ばすことは、三十三年度に比較しまして私は可能だろうというふうに思っております。ただ八月三十一日を九月のどこまで延ばすかというようなことは実はまだ交渉いたしておりませんが、八月三十一日までということにつきましては、大体それでいけるという自信を持っております。
  38. 倉成正

    倉成委員 八月三十一日までということで私も大体現地実情に適しているのじゃないかと思うのです。ただここで、これは政務次官にお尋ねしたいのですけれども、佐賀県を回りまして具体的な事例が出て参りました。井戸を契約して一生懸命掘っております。そこへ雨が降ってきた。しかしこの工事をやめるわけにはいかぬ、そういった事業に対しては、この助成の対象にするかどうか、どういうふうにお考えになるか。これは一つ実情を詳しく見てこられた政務次官から御答弁いただきたいと思います。
  39. 田口長治郎

    ○田口説明員 災害地に井戸を掘り出して、まだ完成をしていない間に雨がどんどん降って、そうしてその場では井戸の完成は必要としないようなことになった、そういう事例が非常にたくさんありますが、井戸を掘ることは来年あるいは将来のために対策として非常に重要なことでございますから、期限を切ったその後においても工事を進めて、そうして完成するというような井戸に対しましては、これはもう当然その期限中の扱いをしなければならぬ、さように考えております。
  40. 倉成正

    倉成委員 ただいま政務次官から非常に現地実情に適したあたたかい御答弁がございましたので、この点はゆめ現地において間違った指導をされないように農地局長はよく覚えておっていただきたいと思います。非常に大事なことですから、重ねて念を押しておきます。  それから五万円のお話が出ました。これも私は具体的な実例で申し上げます。これは井戸を掘りますと、その井戸にコンクリートのワクをちょっとつければ五万円をすぐ突破します。特にこれは長崎県あたりの例でありますけれども、非常に農民がおとなしいものですから、よその県あたりとは違って、ワクもつけないでやっておる。そうすると、計算をしていくと、五万円を割るという場合が出てくるかもしれません。しかしこれにコンクリートのワクをつけてやれば五万円を突破することはわけはない。そういった非常に良心的に仕事をやっておる人が助成の対象からはずれて、そうして少し思い切ったというか、五万円というふうなことを頭に置いて仕事をやった方が助成の対象になるということは、これは事務的な議論は別として、私は政治的な立場から考えると、非常にまずい行き方じゃないかと思います。従ってこれも田口政務次官にお尋ねをしたいと思いますが、そういった扱いはどのようにお考えになっておるか、一つ御答弁をいただきたいと思います。
  41. 田口長治郎

    ○田口説明員 今回の一団地の金額につきましては、五万円以上、こういうことで助成をいたしたい、こう考えております。ただ団地とは何ぞやという問題がはっきりといたしませんから、そこらで団地の区域というものが多少動くようなことがあるかもしれませんですけれども、定義ではっきりしていないことでございますから、農林省といたしましても、一応五万円ということで切りますが、その点に多少の余裕があるのじゃないか、こういうふうに考えます。
  42. 倉成正

    倉成委員 もう少し具体的な御答弁をいただきたいのでありますが、政務次官もだいぶ、事務当局に気がねをして御答弁になっておるようでありますから、そういった事例がありました場合に、これがゆめ落ちることのないように、これも重ねてお願いをいたしておきます。  次に、お尋ねを申し上げたいのは、いわゆる恒久対策で、先般の委員会で大臣に対する質問に対して農地局長がかわって御答弁になりましたが、現在あります予算の一割をレザーブしてあるので、これをできるだけ旱害地に回したいという御答弁でありました。そこで現地実情をいろいろ見て参りますと、ため池を浚渫したりかさ上げをしたい、あるいは水路を改修したいという希望が非常に農民の間から盛り上がっておるわけであります。そこでどうしても、今度の旱害の体験にかんがみまして、来年の作付に間に合うようにある程度こういった事業を積極的に進めることが必要じゃないかと思うわけですけれども、事実上事業を進めて参りますには、相当の準備が要り、手続が要るということで、今からそういうことをやろうとしても、なかなか事務的にはむずかしい問題が出てくるわけであります。そこでこういったため池の浚渫であるとか、改修であるとかという差し迫った、旱害で非常に痛めつけられました農民が切実に考えて、今やりたいという仕事については、一つ優先的に、いろいろな手続あるいは事業の順序等はございましょうけれども、これを乗り越えてやらせる、もちろんこれは事業費の問題、負担の問題等がございますから、そう大きな事業を今すぐやれということはできないと思います。しかしそうでない、ある程度事業であれば、一つ積極的に旱害地にこういう事業をやらせるということが、今度の旱害対策にかんがみて一番大事なことだ、現地の農民はある程度枯れた稲はあきらめて、しかし再びこれを繰り返すまいという気持が一番強いのです。ですから、この点はどういうふうにお考えになっておるか、御答弁をいただきたいと思います。
  43. 田口長治郎

    ○田口説明員 ただいま質問になりました問題でございますが、今回は救農土木としてはっきり銘打ってやる、そういう準備はしていないのでございます。しかし今お話にありました通りに、そういうような必要のある場所も多々あるのでございますから、救農土木的の仕事を万やむを得ないところはやりたい、こういうことでその財源について今研究中でございます。
  44. 倉成正

    倉成委員 少し政務次官の御認識が私と違うようです。万やむを得ないというお考えのようですけれども、大体灌漑地にため池のないところはほとんどございません。そしてぜひこれをやりたいという希望のところがほとんど全部です。ですから、これは、御研究とかいうことじゃなくて、現在ある残された予算を優先的に振り向ける、そしてなお足らないものがあれば、大蔵省と折衝して予算等の補充をする、こういうふうにお取り計らいをいただきたいと思うわけであります。そこで、来年の作付にぜひ間に合うようにというのが農民の切実なる希望でございますが、この点についてどういうふうにお考えか、これが質問の焦点でございますから、御答弁いただきたいと思います。
  45. 伊東正義

    ○伊東説明員 今政務次官から御弁弁がありましたので、補足さしていただきますと、今御質問がありましたように、ため池等につきましては約一割ぐらいのレザーブをとっております。それから、そのほかに団体営等も若干ございますので、農地局の考え方といたしましては、優先的にこれは旱魃地帯に使っていきたいという基本方針を持っております。タイミングの問題でございますが、これは、おっしゃいますように、なるべく早くやる必要がございますので、私どもとしましては、一々東京で審査をするというようなことじゃなくて、なるべく出先の事務局で片がつくというようなことをしまして、手続も一々東京まで持ってくるというようなことでなく、現地で物事を解決して、なるべく早くやるようにということは考えて参りたいと思っております。
  46. 倉成正

    倉成委員 今団体営のお話が出ましたが、農林漁業資金につきまして、これはどの程度のワクを旱害地に振り向ける余裕があるかということを、大まかでけっこうですから、わかっておりましたら……。三分五厘の問題です。
  47. 伊東正義

    ○伊東説明員 旱害地の金融の問題でございますが、実は三十三年度には五分の金融で一億というものを一応やりました。これは災害のワクから出したわけでございます。先生のおっしゃいますのは、それと違いまして三分五厘の問題でございますが、実はこれは今年のワクは御承知の通り九十億でございます。今申し込みがありますのは約八十億ぐらいになっておりまして、残りはわずかでございます。わずかでございますが、この際はなるべく旱魃地帯に残り等を振り向けるようにというふうなことで、実は作業をやりたいと思っております。ただ金額的に幾らということを今ここで申し上げかねますが、しかしそう大きなワクは実は残っておらぬということは確かでございます。
  48. 倉成正

    倉成委員 水田旱害についてのいろいろな対策は、これはある程度具体的にしてあるわけでございますけれども、畑地の旱害について、いろいろ施設をしたりした場合について、これについての助成というものはどういうふうにお考えになっているか。特に果樹作等についてはいろいろ問題があると思います。この点政府の御見解を伺いたいと思います。
  49. 伊東正義

    ○伊東説明員 果樹地帯につきましての旱害につきましては、従来は補助はいたしておりませんでした。しかし今年からは補助をいたすことにしております。すでにもう実のなるような状態の果樹につきましては大体三割、まだ幼齢なものにつきましては四割というふうに補助率が違いまして、新しく三十五年度から補助をするということにしたわけでございますので、これにつきましても、一般の方針と同様に、今度もしそういうものが出てくれば考えていくというふうに思っております。
  50. 倉成正

    倉成委員 次は、資金の問題について二、三お尋ねしたいと思います。  自作農維持資金については九億を下らないようなワクを要求したい、そうして大体そういうことになるだろうという御答弁でありましたが、大体これの割り振りというものはいつごろになるかということと、それから末端の農民にこの自作農資金なり天災資金が行くのは大体いつごろになるのか。従来の経験に徴して一つ御答弁をいただけば幸いだと思います。
  51. 伊東正義

    ○伊東説明員 第一点のワクの問題は、今先生がおっしゃいましたように、さきの三十三年を下らない程度のものが行くだろうというふうに思っております。時期につきましても、これは県別のものを少なくとも今秋中くらいに私ども作りまして、県に手交ができるというテンポでやりたいというふうに考えております。  それから、末端の農民にどのくらい行き渡るかというお話でございますが、実は全国的に見ましても県によって非常にアンバランスがございます。早いところでありますと二カ月くらいでも現金化するというところもありますし、おそい県ですと半年くらいかかっているところもあります。県によりましてその個々の実績は非常に違うのでありますが、こういう際でありますから、申請等も、県が認定するのと、信連、協同組合系統に出すのと一緒に出しまして時間を節約するとか、いろいろなことをやりまして、私どもの方としては、なるべく末端の事務が早くいきまして現金が渡るというふうなことを県も督促いたしまして、私の方からも金融機関その他にも注意をいたしたいと思っております。
  52. 倉成正

    倉成委員 末端の農民に渡る期日の問題は非常に重要な問題で、農林省だけの御努力でもできない点があることもよく承知しております。従いまして、これは一つ注意を深く喚起するという程度にとどめたいと思いますが、これがおくれますとせっかく大臣が相当なワクを決裁されましても、その間のつなぎ融資に非常に困るわけであります。そうすると、その金利の問題が出てくるし、せっかくの施策が生きてこないということになりますので、この点は、自作農維持資金のみならず天災資金についても同様のことがございますので、特に御注意を喚起したいと思います。  次に、開拓地の農民が今度の災害について非常に困っておるというか、開拓地におきましては、いろいろな実情を比較的つまびらかにすることができませんし、私どもの調査団も開拓地まで上がりましていろいろ調査をすることができなかったわけでありまして、いつもここが谷間になりまして対策がおくれるわけであります。従って、今度の旱害に対しまして、開拓農家についての営農資金等についてはどういう措置をお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  53. 伊東正義

    ○伊東説明員 開拓地の問題は、今先生のおっしゃいますように、実は私どもの方にも的確な数字がまだ上がっておりませんで、調査をいたしております。先ほど官房長からは、水の問題等につきましては措置をするという答弁をいたしましたが、営農資金といいますか、災害関係資金につきましては、これは天災融資なりあるいは自作農資金の対象になりますれば、当然行くものというふうに考えておりますので、今のところは、特に開拓者だけについて特別にということは考えておりませんで、実情調査をいたしておるような段階でございます。
  54. 倉成正

    倉成委員 開拓地の問題につきましては、実は自作農維持資金等も従来なかなか多くの負債を持っておりますから、かりにワクを県に割り当てましても、実際の農家が借りるということは困難というのが実情です。従って、この問題について私もまだこまかい数字を持ちませんので、これ以上申し上げませんけれども、一つ関係当局を督励していただきまして、手落ちのないようにお願い申し上げたいと思います。  それから、造林、あるいは苗が非常にやられたのでございますが、こういったのはどういうふうにお考えになっているか。官房長でけっこうです。
  55. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 御質問は造林地あるいは苗畑等が旱魃被害を受けた場合の措置について何か考えておるか、こういう御質問のように存ずるのでありますが、造林地の方についての被害は、実はまだ私の方も聞いておらないのであります。苗畑につきましては、若干各県から、そういう被害があったので、これに対する措置要望されておることを承知いたしております。  造林の場合にどのような被害程度になるかということでありますが、従来でありますと、一般的には公庫融資で造林資金の中からまかなっていくというようなことが当然考えられるわけでございます。これを助成の対象にするかどうかということにつきましては、いわば再造林地になりますので、これは今直ちに助成の対象になり得るかどうか、検討させていただきたいと思います。  それから、苗畑の旱魃に伴う種苗購入が問題になると思います。これは専業の林業者という場合もありますけれども、従来の例で見ますと、大体一反歩とか二反歩の苗畑を農家が持っておる、それが旱魃被害を受けるというような場合があるわけであります。こういう場合におきましては、やはり天災融資法の対象として、経営資金の中に種苗購入費も含めて融通するというような措置で今回も参りたい、かように考えております。
  56. 倉成正

    倉成委員 造林関係につきましては、これがほんとうに旱魃を受けて枯れた場合には、再度植林する補助金を出すという措置を従来とったと思います。この措置は、こういう実情が明らかになった場合、ぜひ一つやっていただきたいと思います。これはいろいろ検査院その他の問題はあったかもしれませんけれども、現実にできない施策ではないと思いますので、御検討をお願いしておきます。  もう一つ、これは農地局長に、岐阜水害の問題に関係しますが、高率補助地域災害復旧専業をやっておる。ここが再度水害を受けた場合、これに対する補助率の問題が問題になっておるわけであります。これはどういうふうにお考えになっておるか、一つ伺いたいと思います。
  57. 伊東正義

    ○伊東説明員 今御質問の点は連年災害の問題だと思います。この前の委員会でも問題になった点でございますが、現在の法律では、そういう場合、たとえば昨年九割受けた、ことしやってみたら累進でやっても八割にしかならないという場合に、それを九割までやるということは、今の法律ではできないことになっております。連年災害につきましては、これは私の方でも検討すべき問題でございますが、実は過去の大蔵省との折衝の経緯を見ておりますと、現在やっておりますのは、一戸単位でやってみまして、それを村で集計して、それが一戸当たり何万円になったら累進でいくというやり方でやっておりますが、連年災害を受けたか受けないかという問題になって参りますと、個々の農家の問題になってきまして、個々の農家について補助率を上げる上げぬという問題になって参りますので、実は現在やっておりますやり方自体も再検討すべきじゃないかというようなことを財務当局から言われまして、過去においては片づかなかったという経緯がございます。われわれとしましても、そこまで踏み込んで検討した方がいいのか、現在のままでいいのかということにつきまして、実はまだ結論を出しておりませんので、今ここでどうするというお答えができませんが、連年災害の問題はやはり立法論として検討してみたいというふうに思っております。
  58. 倉成正

    倉成委員 この法律改正の問題は従来の経緯等がございますが、現地被災農民にとって非常に大きな問題であるということを一つ御認識いただきまして、何かの方法でできるだけ被災農民現地で非常な矛盾を感じないで仕事がやれるよう、御配慮をいただきたいと思います。  最後に、これは政務次官その他関係の方から御答弁いただきたいのですが、今度の旱魃等を顧みて考えさせられますのは、日本では、旱魃があるかと思うと水害があるというふうに、旱魃水害と相互に繰り返していく。水の総合利用ということで、調査の面におきましても利用の面においても非常に欠けておる。そこで、政務次官からもちょっと触れられましたように、水資源の調査等今後積極的にやっていく、また恒久的な対策を考えていくということでございましたけれども、いつも旱魃とかあるいは水害がありますと、政府の御答弁はそういうことを言われます。しかし、現実には一向予算化されないし、また実際に行われないことを私が国会に出ましてからもずっと繰り返しておる。そこで、ただいまのお話は単なるお話であるかどうか。来年度の予算では具体的に水資源の調査なり、そういう水の利用の問題について検討を進められる準備をしておられるかどうか。一つ、もう予算編成は事務的には相当進められておると聞いておりますが、その結果を御説明いただきたい。
  59. 田口長治郎

    ○田口説明員 日本で一番重要な問題の一つとして、私は水の問題を取り上げたいのでございます。今までの日本の水に対するやり方というものは、私は野獣そのもののような感じがするのでございまして、豪雨で雨が降った、川から海に流してしまう、こういう水を何とか家畜化したい、言いかえますると、ダムその他を作って一つのおりの中に入れて、そうしてこれをわれわれ十分利用していきたい、こういかなければならないということを常に私ども考えております。野獣を家畜化するということをいつも私は考えておるのでございます。これに対しまして、農林省といたしましても、水に関する公団でも作って、この公団の力によって一つそういう理想を一日も早く達成したい、こういうことで、来年度予算にも公団に対する予算を計上しておるような次第でございますが、これは要するに野性的の水を家畜化するというその理想のもとに進んでおる次第でございます。
  60. 倉成正

    倉成委員 公団の構想、私は初めて聞いたのですけれども、調査等には相当な資料と準備が要ると思うのです。公団の設立もけっこうですけれども、やはり水の資源の開発調査という問題は、相当な基礎的な、地下水、地上水を含めておると思いますが、そういったことについてどの程度の準備を進められておるかということを伺っております。それから、公団も、どういう構想かもう少し詳しく御説明をいただかないと、ちょっとのみ込めないのですけれども、再度御答弁をお願い申し上げます。
  61. 伊東正義

    ○伊東説明員 公団につきましては、事業の対象とする地域といいますか、これは限定して考えております。といいますのは、今後の日本の経済の発展につれまして、特に農業の面からいきますと、あるいは二次産業、三次産業の面、あるいは都市の発展というようなものから考えましても、特に利根川、木曽川の地域が、将来水の問題というものは、現在もそうでございますが、これ以上に問題になるのではなかろうか。この地帯はまた大きな農業地帯でもございますので、私どもとしましては、木曽川水系、利根川水系というところを事業の対象としまして、おもに多目的な水利関係というようなものの開発なりあるいはそういう施設の管理なりをやっていきたいということで、現在ございます愛知用水公団の発展的解消をいたしまして、そういう分野を受け持っていったらどうだろうということを考えまして、木曽川といいましても揖斐、長良水系あるいは豊川地帯まで含めて、そういうところを事業の対象として考えております。そのほかには、これはほかの各省のいわれる公団とは若干異質的でございますが、八郎潟の建設工事が終わりましたあとの農村建設、学校でありますとか、病院でありますとか、いろいろなものを作って参らなければなりません。農村建設は国なり県なりということではまずいのではないかということで、ここの公団に請け負わしたらどうだろう。あるいは津軽地帯等で非常に開発のおくれたところでいろいろな事業のある地帯をこれに付加して考えていきたいということで、大体事業内容を考えているわけでございます。これは特に今申し上げましたような地帯の水の問題を中心に実は考えておりますが、もう一点先生のおっしゃいました全般的な水資源の問題の調査でございますが、これはそれとはまた別にいたしまして、従来から大きな河川につきましても実は総合的な調査をいたしております。大きい川は、五十五河川につきまして、そこの水利権の問題でございますとか、いろいろなその川につながります権利関係あるいは施設関係等の調査は、従来から大河川につきましてはやっております。そのほかに、最近からやはりその中で特に重要だと思われるような河川、たとえば九州でございますれば筑後川の水の問題だけを検討する予算でございますとか、そういうような予算も実は重要な河川につきましては従来に加えましてやっております。そのほかに、いろいろな営農の形態が変わって参りますので、水稲早期栽培でありますとか、そういうものにも関連しまして、また西南暖地におきましては数河川をとりまして調査をする。そのほかこれは特に火山の山ろくの台地でございますとか、あるいは洪積台地でございますとかいうところの畑地の水資源調査ということで、深層地下水あるいは浅層地下水というような地下水の調査を従来よりも規模を広げてやりたいというようなことを実はしておるわけであります。
  62. 倉成正

    倉成委員 ただいま局長から御答弁がございましたけれども、水の資源の調査の問題は非常に重要な問題で、一農林省だけの問題ではございません。それから、ただいま御説明になりました程度の水資源の調査なりあるいは開発の問題というのでは、今日の日本の諸問題を解決するわけにいかない、もっと腰を入れて内閣の仕事としてやらなければいけないという気持を私は持っているわけであります。この問題は関係するところ非常に多い問題でありますから、これ以上申し上げませんが、一つ特に水と関係の深い農業を取り扱っております農林省としましても、この問題に深い御関心を将来とも持っていただきたいと思います。  これで私の質疑を終わります。
  63. 赤路友藏

    赤路委員 関連して。  今の水資源の問題でございますが、これは、倉成委員からおっしゃったように、今日の段階では非常に重大な問題です。公団の話が出たのはけっこうです。ただ、しかし、私は公団は水資源を管理するという程度のものからは出ないのではないか。それ以前に、資源関係等の大きな全体としての計画というものは、やはり政府の責任においてやらなければならぬ。その場合、現状のように水に関して建設、農林、厚生、企画庁、それぞれ勝手々々にやっているようなことでは、なかなか進まぬと思う。だから、やはり水そのものを政府部内で大きく一本にまとめて、これを大々的に調査検討をして、計画化していくというような機構の改革が必要だと思う。それをやらないで、今までのように各省々々で勝手にやるようなことでは、この大きな問題の解決はついてこない、こういうふうに私は思いますので、いろいろ御検討のようでございますから、十分検討されて善処されんことをお願いしておきます。
  64. 吉川久衛

    吉川委員長代理 倉成委員の発言に関連をいたしまして、私から一つ伺っておきたいと思います。  伊勢湾台風のごとき累年災害の場合に高率助成がありましたが、累年の災害の場合に、今度は普通の助成だというようなことは非常に矛盾ではないかという倉成委員の御質問に対して、伊東局長は、立法的に検討すべき問題であるので十分検討をいたしたいというお答えでございましたが、これは私も災害地を視察をしてつぶさに実情を見たり聞いたりいたしまして、全くごもっともと思いますので、十分この点はすみやかに基本的な態度をきめるように、御検討を強く要請をいたしておきます。  それから、岐阜あるいは京都府のように、伊勢湾台風に続いて本年度十六号台風に見舞われております。そこで、昨年の伊勢湾台風の工事は助成が十分でないので、自己の責任において仕越し工事をやっているのでございますが、それも流れてしまって跡形もないというところが非常に多いのです。この仕越しに要した費用については、何か証明のできるようなものについては助成があってしかるべきだと思うのですが、どのようにお考えでございますか、農地局長の御所見を伺っておきたいと思います。
  65. 伊東正義

    ○伊東説明員 今おっしゃいました証明のあるものにつきましては、当然補助の対象とするということに考えております。      ————◇—————
  66. 吉川久衛

    吉川委員長代理 昭和三十五年度旱魃及び水害による農林被害対策に関し小枝一雄君から発言を求められております。これを許します。
  67. 小枝一雄

    ○小枝委員 昭和三十五年度旱魃及び水害によるところの農林被害等に対しましては、先般の委員会及び本日の委員会におきまして審議をせられ、本日は特にまた両調査団長から詳細なる現地被害状況の御報告がありまして、これに対しましては、農林省当局といたしましても、田口政務次官を初め関係方面からそれぞれ詳細なる御報告並びに答弁等があったのであります。先ほど来熱心なる委員諸君の御質疑もございまして、大体その審議は尽くされたのでございますが、この開発及び水害被害対策に対しまして完璧を期しますことは最も緊急を要するものであり、必要であるのでございまして、これに対しまして、当委員会といたしましても、その完璧を期するために決議をいたしたいと思うのであります。この動議を提出いたします。  以下、決議案の案文を朗読いたします。     昭和三十五年度干ばつ及び水害による農林被害対策に関する件   昭和三十五年七月以降の干ばつ及び八月の豪雨九州一円、山口県、岐阜県、京都府、新潟県等の農地、農業用施設、農作物等にもたらした損害額は、二百億円に達するといわれ、全般的には未曽有の豊作にもかかわらず、三十三年につづく累年被災者の多い被害農民等は深刻な不安に襲われている現状である。   よつて政府はすみやかな干害については応急対策恒久対策の両面にわたり、三十三年度の例を下らない措置を、また、水害については伊勢湾台風の場合に準ずる措置を講じ、もつて災害対策の完璧を期すべきである。   右決議する。    昭和三十五年九月十三日       衆議院農林水産委員会  以上であります。  満場の諸君の御賛成をお願いいたします。
  68. 吉川久衛

    吉川委員長代理 お諮りいたします。  ただいま小枝一雄君から提案されました昭和三十五年度干ばつ及び水害による農林被害対策に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし上と呼ぶ者あり〕
  69. 吉川久衛

    吉川委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、ただいま決定いたしました決議の関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 吉川久衛

    吉川委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次に、ただいまの決議に対する政府の所見を求めます。田口農林政務次官
  71. 田口長治郎

    ○田口説明員 ただいま当委員会で御決議になりました昭和三十五年度干ばつ及び水書による農林被害対策に関する件につきましては、御趣旨に沿いまして政府として極力善処いたします。
  72. 吉川久衛

    吉川委員長代理 ちょっと速記をやめて。     〔速記中止〕
  73. 吉川久衛

    吉川委員長代理 速記を始めて。      ————◇—————
  74. 吉川久衛

    吉川委員長代理 次に、農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  カツオぶし輸入問題について質疑の通告がありますので、これを許します。赤路友藏君。
  75. 赤路友藏

    赤路委員 水産庁の方へお尋ねいたしますが、最近北ボルネオの方からカツオぶしを輸入するという話があるということを承っております。この点について一つ水産庁の方の意見を聞いてみたい。  御承知の通り、魚価については、農作物と違いまして価格支持制度がございません。従って、従来も、豊漁であるときは魚価は極度にたたかれて安値になっております。生産者側すなわち漁民側の方におきましては、それでは困るというので、たとえばこういう一例がある。魚価を維持しなければならない。魚価を維持するために漁協が自営で加工をやるというケースが前回出てきたのでありますが、その場合既存業者の方から非常な圧力がかかって、これが押しつぶされてしまった、こういう実例があるのであります。豊漁になるとたたかれて魚価が安くなる。これを維持しようとして何か加工場を作ろうとすると、それはつぶされてしまう。たまたま魚が非常に水揚げが少なくなる。そうしますと自然に魚価が上ってくるわけなんです。こういう魚価が上がってきたときに、これでは製品が薄くなったんだから他の方から輸入する、その結果は魚価の方は非常にまた値段がたたかれる、こういうことになる。そうすると、豊漁でたたかれ、凶漁になるとまた輸入でもってたたかれる。これでは泣くにも泣けぬというのが現在の事実で、カツオ一本にして年間通じて漁業をやっておる諸君の現状なんです。こういうような現状を考えました場合、簡単に外国からふしを輸入するというようなことは、私たちは賛成できない。この点について、水産庁はどういう措置をとろうとされておるのか、どうお考えになっておるのか、一つ簡潔に要領だけをお示し願いたいと思います。
  76. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 お答えいたします。  今年度は、現在のところカツオの漁況がこの数年来に比較して非常に悪いようでございます。まだ正確なデータが集計されてはおりませんが、ただいまの見込みでは、このままの状況では例年の約四割程度にとどまるのではないだろうかということで、心配されておるわけでございます。従いまして、これを材料とするカツオぶしの不足がただいまのところ心配されておるわけでございまして、これに関連いたしまして、カツオぶしの方の漁業者の団体からは、この際この品不足に応ずるために、ボルネオ方面で生産されておりますカツオぶしの一部を輸入したいという意思表示が、ただいま私どもの方に参っております。この問題は、ただいま先生御指摘のように、漁業者にとりましてかなり重要な問題だと思いますが、一方加工業者並びに消費者の立場も当然考えなければならないのでございます。いずれにしても、その実態なり御要望なりを慎重に比較し、総合的に検討すべき問題だと心得ておりますので、ただいま私どもの方で慎重に検討中でございます。
  77. 赤路友藏

    赤路委員 今の答弁で了解しておきますが、慎重に検討した結果、零細な業者を泣かさぬように、その点はあらためて御希望申し上げておきます。  以上で終わります。     —————————————     〔吉川委員長代理退席、小枝委員   長代理着席〕
  78. 小枝一雄

    ○小枝委員長代理 それでは、肥料問題について質疑の通告がありますので、これを許します。神田大作君。
  79. 神田大作

    ○神田委員 過般の当委員会におきまして、同僚諸君から肥料問題につきましていろいろと質問をいたしましたので、私は、これに重複しないように、また硫安の価格がきまっておらないというので、全国の農民が不安を持って大会等も開催されておりますので、この際当局からはっきりとした言明をいただくことが非常に必要であると考えますので、簡単に質問を申し上げます。今硫安工業について合理化案が練られておるように聞いておりますが、合理化案というようなものの内容等につきまして、この際当委員会にお示しを願いたい、こう考えるのでありますが、当局の御説明を願います。
  80. 富谷彰介

    ○富谷説明員 第二次合理化計画が三十四年、昨年からスタートしておるわけであります。法律を延期いたします際には、当時総平均でトン当たり五十五ドルでございました価格を、三十八年度で四十七ドルまで下げようという目標でスタートしたわけでございます。ところが、その後相変わらず輸出の国際競争が非常に激しくて、輸出価格も予想外に低落しております。昨年度、三十四年度の輸出の平均単価が四十一ドル五十というようなことは、肥料二法延長当時から全然予想しなかったようなことであります。目標四十七ドルではどうにもならぬということで、私ども本年の春から作業を始めまして、現在では四十二ドルということに決定いたしております。これで参りますれば、大体西欧諸国と東南アジア市場で競争いたします際にも、運賃差その他の有利さがございますので、競争には十分たえ得るというふうに考えております。これに要します資金が本年度以降三十八年までに大体四百億ばかり要るわけでございます。そのうち必要な部分につきましては開銀融資を考えております。その他自己資金による調達あるいは市中銀行からの調達というような方法で、この計画をぜひとも達成するように現在努力しております。
  81. 神田大作

    ○神田委員 そのような合理化案に対して、政府は、価格差補給金と申しますか、利子補給金と申しますか、そういうことによってこの合理化を推進するというようなことも聞いておるのでありますが、この点はどのような考えでございますか。
  82. 富谷彰介

    ○富谷説明員 ただいま申し上げました四十二ドル目標でやりました際に、なおその目標の四十二ドルに達します間に輸出赤字が発生することはやむを得ないのでございまして、私どもの推算では約七、八十億の輸出赤字がその間に発生するのじゃないかと思っております。ただ、その赤字の処理につきまして、現在の建前として消費者転嫁ということは厳に禁ぜられておりますので、別途これを財政的な措置によって補てんしようということで、ただいまお話のございました価格差補給金という方法で、現在財政支出を求めるべく大蔵当局と折衝しております。
  83. 神田大作

    ○神田委員 われわれが聞いているところによると、消費者にもある程度損をしてもらう、会社もある程度の犠牲を払う、政府もこの合理化案に対しまして資金援助をするというように、政府、メーカー、消費者の三者にそれぞれ負担をかけるというようなことを耳にしておるのでございますけれども、今のあなたの答弁によりますと、消費者に転嫁するというようなことはやらぬ、あくまでも政府の責任においてこれが合理化をやっていきたいということでございますが、その通りでございますか。
  84. 坂村吉正

    ○坂村説明員 今の根本対策につきましては、これはいろいろの考え等もございまして、その過程ではいろいろな議論が出ておることはすでに御承知の通りでございますが、現行の肥料二法の建前、それからそれに基づきますところの政令で肥料の価格をきめる計算方式、そういうようなものをきめられておるのでございます。この建前では、消費者に輸出赤字を転嫁しない、こういう建前がはっきりしておるのでございまして、そこで輸出の赤字というものは硫安の輸出会社というものに全部積まれておるわけでございます。そういう現行の肥料二法の建前をくずさないで、そうして硫安工業の合理化をはかっていく、こういう考え方は農林省としてはぜひ貫きたいと思っておりますし、政府全体としてもそういう考え方に変わりはないというふうに考えております。
  85. 神田大作

    ○神田委員 価格差補給金というようなことにつきましては、やはりいろいろ議論はあるだろうと思いますが、この際少なくとも輸出赤字を消費者には負担をかけないという点は一つ堅持してもらいたいということを強く要望いたします。  次に、一体合理化案ができるまで価格決定ができないのであるかどうか、この点を御答弁願いたいと思います。
  86. 坂村吉正

    ○坂村説明員 合理化計画に対する政府対策というようなものと価格をきめる問題とは、本来別個の問題でございます。実は、先般も、七月の末の肥料審議会におきまして、現在の硫安メーカーの窮状といいますか、そういう非常に困っておる状況がだんだん積もってきておりますので、それに対して根本対策を少し考えなければいかぬ時期じゃないか、こういう空気が非常に強くて、この次に審議会を開いて硫安のマル公はきめるのであるけれども、その際には同時に硫安工業の合理化についての根本対策政府としても示してほしい、こういう決議が述べられまして、その要望の趣旨に沿いまして、政府でも何とか硫安工業の合理化の根本対策を至急に考えたい、こういうようなことでいろいろ対策を練っておる段階でございます。そういういきさつもございますので、実は硫安工業の合理化についての対策をきめました上で肥料審議会を開いて、そうして本年度のマル公ときめたい、こういう工合に考えておるわけであります。ただ筋といたしましては別個の問題でございますが、今までの肥料審議会の審議の経過等もございますので、同時に一緒に審議会でやりたいということで、現在のところは対策をできるだけ早く具体化しようということで努力しておるところでございます。
  87. 神田大作

    ○神田委員 本来、今局長が答弁した通り、何も合理化ができなければ価格の決定ができないというようなことじゃない。価格の決定というのは、今までの慣例から言いましても、いわゆる肥料二法の精神から言っても、これは新しい肥料年度がくれば、そのときにもうきめてそれを示すということでありますが、もうこれが二カ月も決定がおくれておる。これに対して消費者、農民としては大きな迷惑をこうむっておる。特にバルク・ライン方式によれば、少なくとも五十円は価格が安くなる。これは計算上はっきりと出ているわけでありますからして、農家に対する損失等に対しましては、当局として責任を負わなくてはならぬことじゃないかとわれわれは考えるのでありますが、一体肥料二法に基づいてバルク・ライン方式によるところの硫安価格の決定ということに対しては、あなた方ははっきりとした態度をもって臨むつもりであるか、それとも、今メーカー側が価格を現状維持にしたいというような希望を持っておるようでありますけれども、これに引きずられて、合理化案ができなければ価格の決定はできない、審議に応じないというような勝手な言い分をいつまでも聞いておるつもりであるか、この点をはっきりお伺いしたい。
  88. 坂村吉正

    ○坂村説明員 メーカー側におきましても、いろいろの陳情なり要望なりがございまするが、これは現在の肥料二法の建前をやはりくずさないで、そうしてできるだけ早く価格をきめたい、と同時に、硫安工業を非常にあぶないような状態に置くことも、農民にとっては非常に将来の不安をかもすものでございまするから、硫安工業についての合理化の根本対策、こういうようなものも同時にできるだけ早くきめたい、こういうことで鋭意努力をいたしておるところでございます。
  89. 神田大作

    ○神田委員 そこが非常に大事なことで、価格は、今までの通りにバルク・ライン方式に従ってきちんと出るのでありますからして、それできめて、合理化案も、農民側といたしましてもあるいは国家的に見ても、これは推し進めていかなければならぬことです。いつまでも古い旧式な設備と非能率なことでは外国の硫安工業と対抗できないのでありますからして、政府も思い切った施策を施して、実際に役立つ筋の通った合理化案であるならば、われわれは賛成する。またそうしなければならぬと思う。だからして、価格は、一つ規定通りに、法律の規定に基づいて決定する、合理化案は合理化案でもって、外国の硫安工業と太刀打ちできるような設備改善を推し進めていく、こういう二つの線をはっきりと出して、そして消費者に迷惑をかけない、そういう点当局としてははっきりとした態度で臨んで、合理化案ができなければ審議会に出てこないなどというような、そういうわがまま勝手な言い分を聞いておったのでは、肥料行政は混乱すると私は思うのです。この点をいま一度局長からはっきりと、筋の通った態度をとってもらいたいということについて御答弁願いたいと思います。
  90. 坂村吉正

    ○坂村説明員 御質問の御趣旨のように、価格の決定につきましては、現在の肥料二法の建前というものをくずすという考え方はもちろん農林省としてはとっておりませんし、それから、一方硫安工業の合理化につきましても、これは当然国家的な見地で合理化を進めていく、農林省としても当然そういう方向は同調して考えていっていいじゃないかというふうに実は考えているわけであります。もちろん、御質問のように、これは別個の問題であるから、きぜんたる態度で、価格の決定については別途に切り離してやってもいいじゃないかという御意見もあろうかと思いまするが、実際問題としては、先ほど御説明申し上げましたように、肥料審議会の経過というようなものもありまするので、できるだけ早く合理化の対策の方も考えて、価格もできるだけ早くきめたいという態度でやっておるわけでありまして、そういう今までの事情がございました関係上、両方をできるだけ早くこの際きめるということで一つ考えたらどうかというふうに努力いたしておるわけでございますので、その辺の事情をどうぞ御了承いただきたいと思う次第でございます。
  91. 神田大作

    ○神田委員 どうも合理化案と価格の決定をごっちゃにする考え方はまずいということを前提にしておいて、最後には一つ一緒にやらしてくれないかという、なかなか巧妙な御答弁でございますが、われわれは今日まで二カ月もそうやって何かうやむやに過ごしてきた。しかしそれで迷惑をこうむるのは一体だれだ、だれがそのために迷惑をこうむっているかというと、これは肥料を買う農民なんだ。だから、理屈はこうなんだけれども、どうも一つ一緒にやりたいというようなことじゃなしに、何も離れたってかまわない。価格は価格で決定をして、合理化案は合理化案で出す。そして、そうあわててというのではなく、合理化案はゆっくり練ってやったらいいと思う。そういうように消費者に迷惑をかけるようなことを農林当局がやっておると、大きな誤解を生む、こう私は思うのです。その点一つよくお考えを願いたい。一体それじゃいつこの価格の決定をやるのか、この点をはっきり御答弁願います。
  92. 田口長治郎

    ○田口説明員 お答えいたします。  この合理化も徹底的にやる、そうして肥料価格は二法案通りにやる、こういうことにつきましては全く神田さんと同じでございまして、その線に沿うて努力をしておるのでございます。今、このマル公決定と合理化は分離してもいいじゃないか、こういうお話でございますが、経済局長から御答弁申し上げましたように、肥料審議会の関係もありまして、そういう方向をとっておるのでございますが、神田さんのお話もまことにもっともでございますから、その点一つ研究をさしていただきます。  それと同時に、マル公をいつ決定するかという問題でございますが、合理化案を作成することに今非常に骨を折っておりまして、きょうも大蔵大臣、通産大臣、農林大臣がその問題で会われることになっておるのでございます。さような会見の結果もありまして、私といたしましては、今月中にはどうしてもマル公を決定したい、かような考えでおるのでございます。
  93. 神田大作

    ○神田委員 肥料審議会で附帯決議のようなものを作ったことはどうも私は筋に合わぬと思うのでありまして、合理化案をやるということそれ自体はいいけれども、そのために価格決定をからませておくらせるというようなことに対しては、肥料審議会の精神をはずれていると私は思うのであります。次官もこの点はわかっていると思うのでありますから、このように価格決定がおくれているために農民に思わざる損害を与える点については、どのような補償の考えを持っておるか。私は、農民がほんとうにこのことがわかって——二カ月前に決定しておるのと今月一ぱいに決定になるのとでは、大へんな損失を私はこうむっておると思うのであります。そういうようなことがはっきりと農民がわかると、これはいろいろ問題が起きてくるのでありますからして、今月一ぱいに次官はきめたいと言うのが、今月一ぱいどころか、あすにでも価格の決定だけはすみやかにやるべきだ。審議会を開いて、もう数字にはちゃんと載っておるのでありますからして、そう時間のかかる問題ではないのであります。硫安の価格が決定されないために、ほかの肥料も非常に価格の点で混乱しておるのでありますから、この点は一つ次官は責任を持って当事者にこのことを伝えてすみやかに決定されるよう、私は特に望むと同時に、もし決定がおくれると、全国の農民が非常な憤激をしておるのでありますから、非常に重大なことになるのではなかろうか、私はこう考えます。この点は特に強調しておきますが、メーカー側が今日そのように価格決定をおくらせる大きな原因としては、私は、合理化案を自分の思うように有利に導いていきたい、そのためには価格決定を一緒に共連れにしていこう、そういう考え方があるのではなかろうかと思うのでありまして、それが誤解を生む大きな原因になっているとわれわれは考えるのであります。この点は一つ農林省は農民の側に立ってこの問題を公平に解決してもらいたい、こう考えます。  次に、今われわれはメーカー側が共販会社を作るというようなことを聞いております。この共販会社を作るということになりますと、今の場合で言いますと、これは独占禁止法の違反にもなるのではなかろうか。このような大きなメーカーが出資をして、そうして販売を一手に握るということになりますと、自由競争の建前からしても、消費側にとって大きな脅威をもたらすのでありますからして、この共販会社の設立に対しましては農林省当局としてはどのような考えを持っておられるか、お伺いを申し上げたいと思います。
  94. 坂村吉正

    ○坂村説明員 メーカー側が共販会社を作るという動きではございませんで、実は配給といいますか、流通面を担当しておりまするところの商人系統で、一部のものが集まって共販会社を作りたい、こういう動きがあるようでございます。御承知のように、現在の肥料の流通関係は半分以上のものが全購連系統で、大体農業協同組合を通じて流れておりまするし、その残りのものが商人系統を通じて流れておるこういう格好でございまして、ごく最近はそうでございませんけれども、一、二年前までは、マル公をきめましても、たとえば非常に値くずれ、そういうものが起こりまして、末端におきまして流通関係が非常に混乱したというような事態もありましたのでございます。ですから、そういうマル公の制度があります以上は、できるだけ安定した姿で肥料が農民に配られる、こういうことが必要であろうというふうに考えまして、去年の春でございますか、実は商人系統の側におきまして肥料の公開販売、こういうことを実施いたしたわけでございます。その結果、商人系統におきまする肥料の値段もそう混乱なく大体落ちついて、農協側で扱っておりまするのと同じような動きでもって安定をして参ったというような結果になっておるのでございます。そういうようなことで、公開販売というようなものをいつまでも続けておくということもどうかと思うので、これを共販会社のようなもので、商人系統としてもメーカー側に対して相当強く当たれるようなもの、それから全体の肥料の価格の混乱等が起こらないようにこういうようなことで共販会社というようなものを考えているようでございます。この点はもちろん公正取引委員会その他との問題になるのでありまして、その点につきましてはそれぞれの担当のところで検討をいたしておる段階でございまして、今これがはっきりできるとかできないとかいうような結論を得ているような段階ではございません。ただ、農林省といたしましては、もちろん肥料の配給につきまして全部を農業協同組合でやるということがいいのか、あるいは一部はやはり商人系統も扱いまして、そうしてその農業協同組合と商人系統の競争という面もやはりあっていいのではないかという考え方をいたしておるのでありまして、そういう意味からいたしまして、肥料商の動きに対しましても、これは公正に肥料商が商売ができますようにということは、農林省としても同時に考えなければならない問題だろうと思っております。そういう点も十分一つ考慮に置きまして、今後この問題を検討したいというふうに実は考えております。
  95. 神田大作

    ○神田委員 業者がそういう共販会社を作るということについては、今局長が言われたようなことであれば、これは組合組織としてやっていく。卸業者が一つの組合を作って、そうしてメーカーと交渉するということであれば、これはある程度話の筋は通っておると思うのですけれども、共販会社ということになりますと、やはり独禁法等に触れるおそれがあるんじゃなかろうか、こういうように考えるのであって、そうなると、マル公では価格はきまるけれども、硫安等の特定な肥料の場合、そのほかの配合肥料とかその他の肥料を共販会社が扱うということになると、もちろんこれは硫安だけ扱うわけじゃない、ほかの肥料も扱うことになるのでありますから、消費者にとっては大きな脅威である。これに対して農林省側がこういうものを作ってもいいのではなかろうかという考えがもしあるとすれば、これは消費者側として黙って見ておるわけにいかぬことになるのであって、この点いま少しあなた方の考えをはっきりさせてもらいたい、こう思います。
  96. 坂村吉正

    ○坂村説明員 商人側におきまして共販会社を作るという場合にも、もちろん、先ほど申し上げましたように、公正取引委員会で、いわゆる独禁法の問題とどういう関係になるか、こういう問題を慎重に考えてもらわなければならぬことになるだろうと思います。それと同時に、扱う場合に、公定価格のありますものと、それからないものと、物によって非常に影響が違うと思うのでありまして、そういう点は、農林省におきましても、消費者にそのためにいろいろ迷惑がかかるというようなことのないように、十分に一つそういう点を頭に置きまして、慎重に検討いたしたいというふうに考えております。
  97. 神田大作

    ○神田委員 このことにつきましては、われわれの見解としては独禁法の違反に該当する、こう思われるのでありますから、今後この点農林当局としては十分考慮の上、このような消費者を不利に陥れるような問題については、農林省側としては十分注意をして善処してもらいたいということをお願いする次第です。  それから、肥料価格の決定がおくれているので、消費者側としては大きな損害をこうむっておるのでありますが、この点については次官はいかなる考えを持っておるか、これに対しての補償というような点について何らか考えておるのかどうか、お尋ねします。
  98. 田口長治郎

    ○田口説明員 マル公決定がおくれておることは非常に恐縮しておる次第でございますが、私らがいろいろ流通面の調査をいたしましたところによりますと、大体八月、九月、二カ月程度はおくれましても、取引に混乱を来たさない。現に現物が円滑に流れておるのでございます。しかしながら、これがあまり長くなりますと、全購連系統はともかくといたしまして、商人方面の末端の生産というものが混乱をするおそれがあるものですから、その点は私らも一応調査しておるのでございます。さらに、このマル公がおくれるということにつきましては、できるだけあらゆる会合に農林省からも出まして、そうしておくれる理由につきまして説明をし、会合者に対する了解を受けておる、こういうような手は打っておるのでございまして、今品物が動かないで困るという問題は一つもないのでございますから、補償その他の問題につきましては、国としては考えていないのでございます。
  99. 神田大作

    ○神田委員 次官も農村の事情はよくわかっておるだろうと思うが、秋肥は短期間において手当をしなければならぬのでありまして、もうまきものを目前にして一挙に取引をするということになると、貨車回りの問題やいろいろの問題で私はこれは混乱を起こすと思う。また、暫定価格でもってやっておるのでありますから、事務的な繁雑というものははかり知れないものがあります。そういうふうに、春肥と違って、秋肥というものは短期間のうちに需要を満たさなければならぬというような状態でありますので、これは何もわれわれが計算したわけではないけれども、綿密な計算をすれば、これは全国にわたっては莫大な損害をこうむっておるとわれわれは考えるのであります。このように実質的に農民に迷惑をかけておるマル公決定のおくれておるというようなことにつきましては、当局としても責任を感じて、一刻も早くこの問題解決のために努力してもらいたい、またそれらの損害等に対しましてもこれは考慮してもらいたいということを、私は強く訴えをする次第でありますが、これに対しまして局長はどうお考えになっておりますか。
  100. 坂村吉正

    ○坂村説明員 先ほどの政務次官の御答弁と同じでございます。
  101. 神田大作

    ○神田委員 それでは一つ損害を補償する意志はない、マル公の決定はできるだけ今月中にやる、こういうことのようでありますが、われわれは、追って、この問題等につきましては、実質的な損害額を調べて、これはやはり当局の責任は責任として追及しなければならぬと思いますから、次回の委員会において私はこの問題を御質疑したいと思います。一つ硫安価格の決定は、われわれは、今月一ぱいというような当局説明でございますけれども、もうあすにでもあさってにでも早く決定をして、全国農民に安心のできるように措置してもらいたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  102. 小枝一雄

    ○小枝委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十六分散会