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1960-09-14 第35回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年九月十四日(水曜日)委員長指名 で次の通り小委員追加選任した。  公職選挙法改正調査小委員       鍛冶 良作君 ————————————————————— 昭和三十五年九月十四日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 押谷 富三君 理事 加藤 高藏君    理事 中井 一夫君 理事 古川 丈吉君    理事 島上善五郎君 理事 中井徳次郎君    理事 山下 榮二君       福田 篤泰君    山本 猛夫君       柏  正男君    堀  昌雄君       北條 秀一君    門司  亮君  委員外出席者         衆議院法制局参         事         (法制次長)  三浦 義男君         衆議院法制局参         事         (第一部第二課         長)      日下 千章君         検     事         (刑事局刑事課         長)      河井信太郎君         自治事務官         (選挙局長)  松村 清之君         自治事務官         (選挙局選挙課         長)      皆川 迪夫君         自治事務官         (選挙局管理課         長)      桜沢東兵衛君     ————————————— 八月二十五日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠として  赤松勇君が議長指名委員選任された。 同月二十六日  委員赤松勇辞任につき、その補欠として島上  善五郎君が議長指名委員選任された。 九月十四日  委員高橋英吉君及び門司亮辞任につき、その  補欠として山本猛夫君及び北條秀一君が議長の  指名委員選任された。 同日  委員山本猛夫君及び北條秀一辞任につき、そ  の補欠として高橋英吉君及び門司亮君が議長の  指名委員選任された。 同日  理事島上善五郎君八月二十五日委員辞任につき、  その補欠として島上善五郎君が理事当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  小委員追加選任  公職選挙法改正に関する件      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。去る八月二十五日理事島上善五郎君が委員辞任され、翌二十六日再び委員選任されましたが、このため理事が一名欠員になっております。この際理事補欠選任を行ないたいと存じますが、同君を再び理事指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。      ————◇—————
  4. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次に、小委員員数増加の件についてお諮りいたします。  去る八月十日に設置いたしました公職選挙法改正調査小委員会員数は八名となっておりますが、この際これを一名増加いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、小委員選任につきましては委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認め、小委員には鍛冶良作君を指名いたします。      ————◇—————
  7. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 続いて、公職選挙法改正に関する件について議事を進めます。  この機会に、今日までの小委員会審議経過について御報告申し上げることといたします。  小委員会は、八月二十五日以来昨日まで三回にわたり開会いたし、各党改正意見中共通の問題を中心に取り上げることといたしたのでございますが、さらに小委員会研究の進展に応じて調査審議する事項として数項目を追加いたし、これらの点について慎重なる検討を加えて参ったわけでございます。  小委員会検討いたしました事項は、立候補に関する事項項目選挙運動に関する事項項目寄付制限に関する事項項目確認団体政治活動に関する事項項目罰則その他の制裁に関する事項項目、その他選挙速報法定費用議員定数に関する事項でありまして、できる限り選挙品位を高め、公明選挙の施行を期することを眼目といたしまして、腹蔵のない意見を交換いたして参りました。一部についてはまだ意見調整ができておらない点もございますが、大よその歩み寄りができた部分もありますので、もちろんこれが最終的決定までにはいろいろ各党機関の御了解などということもございましょうが、一応まとまった点、さらに検討を要するものとして保留されている点について、この際、便宜上三法制局次長より説明をしていただくことにいたしたいと思います。それでは三浦次長にお願いいたします。
  8. 三浦義男

    三浦法制局参事 それでは、私から便宜、小委員会におきまして御決定になりました点、さらに検討を要する点等につきまして、簡単に御説明申し上げます。  御手元に「公職選挙法改正に関する要綱」という刷りものと「公職選挙法改正法律案要綱」、こういう刷りものがあると存じますが、そのうちの公職選挙法改正に関する要綱中心といたしまして、御説明を申し上げます。  第一は、立候補に関する事項でございまして、一は郵便による立候補禁止でございます。立候補届出については、郵便による届出を認めないこと。  二は立候補辞退の問題でありまして、立候補辞退立候補届出期限内、補充立候補の場合には、当該立候補届出期限内に限ることといたしまして、立候補辞退とみなされる場合、たとえば候補者が特定の公務員になるとか、あるいは選挙事務関係者になるとかというような場合を除きまして、それ以後の辞退は認めないようにする。  三は重複立候補禁止でありまして、重複立候補は全面的に禁止する。その違反に対しては、一年以下の禁固または一万五千円以下の罰金を科することとする。  以上が立候補に関する事項でございます。  第二は、選挙運動に関する事項でございまして、その一は、車上の連呼行為の問題でありますが、これにつきましては、午前八時から午後七時までの間、自動車の上で連呼行為をすることを新たに認めるようにすること。ただし、選挙期日の前日に限りましては、午後九時まで連呼行為ができるようにすること。右の措置は、衆議院参議院知事五大市長選挙に限り認めることといたしまして、それ以外の地方選挙につきましてはこれを認めない、こういうことでございます。  二は選挙運動用自動車でございまするが、選挙運動のために使用することができる自動車は、有蓋乗用自動車に限ることといたします。有蓋乗用自動車内容につきましては、さらに法文化の上におきまして検討を要する点がございまするが、大体屋根及び側壁等が開放できる構造を持っておるものは除外するというような建前において考えていく、こういうことでございます。なお、乗用自動車に限定いたしますと不便な場合もございますので、これは現行にございまするが、積雪、泥濘等の悪路その他やむを得ない事情がある場合には、従来通りトラックの使用を例外として認めること。  次は、選挙運動用はがきでございます。選挙運動のために使用することができる通常はがき枚数を、各選挙を通じまして、およそ二倍程度に増加することにするというわけでございますが、その内容は、要綱の中の別表に掲げてございます。現行改正案と比較してございまするので、それで大体の数量を御了承願いたいと思いまするが、衆議院につきましては一万五千枚が三万枚になる。それから参議院全国区は六万枚が九万枚になる。これはちょうど二倍ではございませんが、参議院等関係につきましては、委員長においてなお参議院との調整をはかるということになっております。通常はがき有料無料区別につきましては、現行通り建前によることといたしまして、無料として交付されておりますのは衆議院参議院知事選挙でございまして、それ以外は、通常はがき枚数はふやすといたしましても、従来通り原則として有料とする、こういうことでございます。  次は、選挙事務所表示の問題であります。選挙事務所表示するためのポスター立て札看板の類は、通じて三個とすること。現在はこれにつきましては制限がございませんので、無数にこれらのものを掲示ができるようになっておりまするが、いろいろ問題もございまするので、三個に限定するということでございます。  それから、その際に新たに問題となりまして、ここには刷ってございませんが、街頭演説場所における表示の問題でございます。現在は、御承知通り街頭演説場所におきまして、その演説中使用するポスター立て札及び看板の類につきましても枚数制限がございませんが、これを二個に限定する、二個以内とする、こういうことに改めることが新しく加わっております。  それからさらに、候補者用たすきでございます。現在、候補者は、選挙運動期間中、たすき胸章と腕章を使用することができることになっておりまするが、その中のたすき類はこれをやめることにするということになっております。  次は、選挙運動用ポスターの問題でありまするが、これはいろいろ検討の末、増加することもいろいろ考えられておりましたが、結局におきまして選挙運動用ポスター枚数を増加しない、こういうことになりまして、これとの関連におきまして公営掲示場という制度を設けまして、各候補者がそこに選挙運動用ポスターを一枚ずつ張れる、こういうような措置を講ずることによりまして、その点の補いとするということになっております。その点につきましては、六に書いてございますように、ポスター掲示場の問題でございますが、「市町村の選挙管理委員会は、選挙運動用ポスター掲示するための公営掲示場を一投票区につき一箇所以上設置すること。」最低限一カ所でございまして、予算その他準備等の都合もございますのでこうしてございますが、将来事情が許せば、その個所をふやしていくということになるだろうと思います。右の措置は、衆議院参議院地方区、それから知事選挙につきましては義務制といたしますが、その他の選挙につきましては任意制といたしまして、地方選挙等につきましては、条例によってそういう掲示場を設ける道を講ずるように法的措置を講じたい、こういうことになっております。参議院全国区におきましては、非常に人数も多いし、事実上不可能でございますので、これは除くことになっております。  以上が選挙運動に関する事項でございます。  それから第三は、寄付制限に関する事項でございます。  その一は、後援会寄付禁止でございまして、候補者または候補者となろうとする者、その中には現在公職にある者、たとえば衆議院議員の職にある者を含むことになっておりますが、そういう後援会あるいは後援団体と申しますか、そういう後援団体当該選挙に関しまして、その選挙区内にある者に対して寄付をしてはならないものとする、つまり後援会選挙区内に対する寄付禁止ということでございます。  それから次は、後援会あるいは後援団体等総会等におきます供応接待等禁止の問題でございます。これは「何人も、後援会総会その他の集会又は後援会の行なう見学、旅行その他これに類する行事において、その参加者に対し、饗応接待をし又は金銭若しくは記念品その他これに類する物品を提供してはならないものとすること。」これは後援会がいろいろ集会を催しましたり、後援会の主催で行ないますところの行事におきまして、後援会がそういう参加者に対して供応接待をしたり、金銭物品を提供することはもちろんのこと、後援会以外の人であっても何人もそういうものを提供してはならない、こういうことになっております。それから右の違反に対しましては、五千円以上五万円以下の罰金を科するということによってこれを強制的に措置する、こういうことになるわけでございます。  第四は、政治活動に関する事項でございまして、一は政談演説会回数の問題であります。現在、衆議院選挙におきましては、御承知通り、二十五人以上の候補者を持っておりますのが確認団体ということになっておりますが、その確認団体が開催することのできる政談演説会回数を、現行の二倍に増加するということでございます。  それから次は、自動車の台数の問題でございます。それから三は、街頭政談演説における選挙運動演説の問題。その次は、連呼行為の問題でございます。これらの問題につきましては、いろいろ検討いたされましたが、将来さらに根本的な改正をする場合におきまして、これらの点につきまして十分に検討を加えるということにいたしまして、この際は現状通りにしたらどうかということで、そういうことに今の三点の問題については小委員会ではなっております。  それから第五は、罰則及びその他の制裁に関する事項でございます。  一は連座制強化の問題でございますが、連座制強化の問題につきましてはいろいろ問題がございまして、その方向においていろいろ考えるということにおきましては大体の意見が一致したわけでございまして、その方式としまして、(1)、(2)、(3)の要綱に書いてございますような三つの案が一応考えられると思いますが、その中の(3)としてございますところに掲げてございます当選無効訴訟及び免責規定現行通りといたしまして、検事当選無効訴訟を提起するような道を新たに開く、こういうことによりまして連座制強化をはかる、こういうことにしようということに小委員会意見がなったわけでございます。この点は、要するに総括主宰者とか出納責任者買収その他の違反行為をやりました場合におきまして、おとり等によってその行為が行なわれたというような場合を除きまして、当選人当選が無効になるわけでございますが、その場合に当選無効の訴訟手続をとることになっておりますので、その訴訟手続は、選挙人とかあるいは候補者が提起することになっておりますが、これでは十分でないというので、そういう事故が起これば、刑が確定いたしました場合におきまして、当然検事公益代表立場におきましてそういう訴訟提起措置を講ずるということによって連座制強化をはかろう、こういうことでございます。  それから二は、公民権停止強化の問題でございます。これにつきましては、ここに書いてありまするように、(1)は「禁固以上の刑に処せられた者は、必ず公民権停止することとするか、」つまり「公民権停止の宣告をできないようにするか、」あるいは、(2)は悪質な違反者——買収とか、そういうものに類しましたような犯罪につきまして右の措置をとるようなことにするかどうか、こういうことで禁固以上の刑についてそういう措置をとるか、犯罪罪質によりましてそういう措置をとることにするかどうかという点等が考えられるのであります。この点につきましては、きのうの小委員会におきましてはいろいろ御議論がございましたが、最終的にはまだ決定を見ませんで、研究をしよう、そういう意味でこの委員会報告しようということになったと私は存じております。  それから次は、時効期間延長の問題でございます。これにつきましては、(1)に書いてありますように、事前運動についての時効期間現行の二倍、六カ月を一年とするということによりまして事前運動防止をはかる、こういうことになったわけでございます。従いまして、この時効期間延長のところの(2)に書いてあります悪質な違反者については、時効期間現行のおよそ二倍程度にするかという問題、それから逃亡の場合についての問題をどうするかという問題等は、将来の検討に譲るということになったわけでございます。ことに逃亡の場合等につきましては、前の選挙法改正におきまして時効期間倍程度延長いたしましたこともございますので、この際におきましては、事前運動についての時効期間延長という問題を中心にしてその違反行為防止をはかり、悪質犯を防ごう、こういうことに皆さんの御意見はなったのでございます。  それから第六は、選挙結果の速報に関する問題でございます。「選挙の結果については、報道機関その他選挙人に対してすみやかに通報するような措置を講ずること。」これは、現在もこういうようなことは講ぜられているわけでございますが、実際新聞社等が選挙結果の中間報告等をいろいろいたしまする場合におきまして、その費用面等におきまして十分でない面等もございますので、国の費用におきましてこういう措置を講じまして、できるだけ一般選挙民有権者にその状況がわかるような措置を講ずる、こういう根拠規定選挙法の中に置く、こういうことにいたしまして、それに伴いますところの費用は国の負担とするという規定を設けることになるわけでございます。  それから第七は、法定費用額合理化に関する事項でございます。この点につきましては、選挙運動法定費用額は、現在単価七円ということになっおりまして、それをその選挙区の定員数をもちまして選挙区の有権者総数を割りました数を七円にかけるということになっております。それでそれぞれの選挙区の法定額が出ているわけでございますが、この点につきましては、公営面もある程度拡充することにもなりますし、なおまた、この際、選挙費用の増額をはかるということがいいかどうかにつきましていろいろな議論もございますので、この際におきましてはその点の問題には触れないで見送る、こういうことになりましたわけでございます。  それから第八は、議員定数改正に関する事項でございます。これは「衆議院議員定数及び選挙区別定数改正するか。」という問題でございまして、要するに、公職選挙法別表にございますところの衆議院選挙区別定数等が、現在、人口増加等によりまして各選挙区ごとにアンバランスの状態でございますので、それを再検討して、有権者数に比例した正しい定数に改めたらどうか、こういう問題でございます。これはかなり根本問題でございまして、さらに小委員会等におきまして十分に審議を尽くしたい、こういうことになっておりまして、現在はまだ結論を得ておりませんが、いずれ小委員会等におきましても検討を一そう加えられる、こういう状況になっておると思います。  大体以上が小委員会におきますところの経過報告でございます。
  9. 鹿野彦吉

  10. 中井一夫

    中井(一)委員 本日は小委員会後の総会でございまして、本問題に関する質疑応答にも入られることと思うのでありますが、ただいま三浦次長から御報告のございました最後の議員定数改正に関する事項でございます。このことにつきましては、委員長も先般来種々御配慮をいただきまして、その結果、昨日の小委員会におきましては、留保されておりました社会党代表委員の御提案等もあった次第であります。いよいよ本委員会において、増員問題が真剣な三党一致立場審議に入るということになったわけでございます。ただ、それにつきましては、昨日の社会党の御提案には一つの条件と申すべきものがついておるように思うのでございます。そこに、この臨時国会を前にした、切迫した本委員会において、どれだけの審議及び相談ができるかということは、なかなかむずかしい問題であろうかと思うのでございます。この上ながら委員長の格段の御配慮をいただいて、できまするならこの問題の円満な解決を見るに至りたいと切望をいたす次第でございます。つきましては、昨日小委員会東京都の選挙管理委員会代表者の方から陳情と申すべきものが行なわれたのでございますが、これは小委員会人たちだけが承知いたしまして、全委員は御承知になりません。しかも、その内容はきわめて大切でありまして、他では十三万人の人口で一人の代議士が選び出されるのに、東京都においては、四十万くらいなければ一人の代議士を選び出すことができないようなところがある。いかにしてもこれは不都合なんで、東京都の都民の選挙権価値は他の選挙民選挙権価値の三分の一だというようなことは何としても許されぬ。どうかこの臨時国会、解散、選挙を前にして、このひどいところだけは改めてもらいたい。長年の要望をこの際国民の声として取り上げてもらいたいという熱烈なる御陳情なのでございます。しかも、それには東京都選出の各代議士の署名もとっておられるようでありまして、政治的な意味もきわめて重大であります。願わくば審議に先だちまして、委員長より右の陳情趣旨を本委員会に正式に御披露下さることを希望いたす次第であります。
  11. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 ただいまの中井委員発言になりました議員定数の問題については、後ほど御相談申し上げることにいたしまして、ただいまの三浦法制局次長説明のありました事項に対して、質疑もしくは意見があれば発言を許します。島上善五郎君。
  12. 島上善五郎

    島上委員 私も小委員で、大体事情承知しておりますが、この際やはりはっきりしておきませんといけない点が少しあると思うのであらためて、ここで明確にしていただきたいと思います。  第一は、選挙運動用自動車の問題です。選挙運動用自動車を、今度はトラックを廃止して乗用自動車または小型乗用自動車に限る、こうなっております。その趣旨は、今までのようにトラックに乗ってやって歩きますと、非常に候補者の健康上にも影響するし、品位にもかかわるし、そういうようないろいろな理由がございますが、要するに、候補者及び運動員自動車の進行中は自動車の中に乗っておる、こういうことなんですが、ここに表示してあります乗用自動車または小型乗用自動車に限るというようなことは、よほど明確にしておきませんと、道路運送法によるどれに該当するのであるかというような疑点があるわけであります。私は自動車の種類はよく存じませんが、このごろ、乗用車のようであり、かつ、うしろに若干荷物を積めるような形式のものができておる。きのうの自動車局長説明によると、荷物を積むところが主であって、乗るところが少ないものがトラックである、乗るところが多くて、荷物を積むところが比較的少ないのが乗用車だというように判断するという御答弁もございましたが、私は、有蓋自動車で、その自動車の中に候補者及び運動員が乗っておるならば、荷物を積むところがありまして、そこへたとえばマイクを積んでおきましても、その他の道具を積んでおきましても、選挙運動には非常に便利であって、別に不都合はなかろうと思うので、そういう点をどういうふうにここでは法律規定するかという点を、もっと明確にしていただきたいと思います。あまり窮屈にせず、要するに自動車の中に候補者運動員が乗っておる、トラックのようにうしろに立って手をあげるということさえしなければ、それでいいのではないかと私は考えるわけです。その点をはっきりと御答弁願いたい。
  13. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  14. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 速記を始めて。  ただいまの島上さんの発言の問題について委員長からお答えいたしますが、それはお互いにこれからまた相談をしてきめることでございますから、そのように御了解願いたいと思います。
  15. 島上善五郎

    島上委員 それからもう一点、きのう私から申し上げまして皆さんの御了承を得た点ですが、選挙事務所表示ポスター及び立て看板は三個にするということとも関係があるわけですが、例の街頭演説会場に立てる看板、これも私は二枚に限定する必要があると思う、皆さんにも御了承いただきましたが。と申しますのは、今まで街頭演説会場と称してあの立て看板を、地方はどうか知りませんが、都会地では終盤戦になるとずっと立てて、警察当局もどうにもしようがなかった。今までの解釈によれば、街頭演説会をする場所で、一時間程度前に準備のために立てるのはよろしいという解釈のようでした。そうすると、一時間前に至るところに、極端に言えば百本も五百本も立てて、そのうち数カ所は実際に演説をするけれども、他の場所は都合がつかなくなったという理由で演説は実際にしない、看板は立てっぱなしだ、そして終日立てっぱなしだという弊害があったわけです。ですから、今度はどうしてもこれは全体を通じて二枚に限定し、しかも厳密に、やっている時間に限り、終わったら撤去していく、立てるのは現実にやるその場で立てる、こういうふうにしませんとこの弊害はおそるべきものがある。ポスター制限しても何にもならない。また、選挙費用も大へんかさむ、こういうことになりますので、これは法文の条文化は適当におまかせするとしましても、ぜひこのように厳格にやってほしい。この点は今うっかりして、私説明、……。
  16. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 説明いたしておりました。
  17. 島上善五郎

    島上委員 それからもう一つは、今中井さんの発言に関連して明らかにしておきたいと思うのですが、アンバランスの是正はぜひしなければならないと私どもも考えております。これは今おっしゃったように、十三万台で一人出しているところと、三十数万あるいは四十万で一人というところがある。都会地の三人の権利が農村の一人の権利と同じであるというような点、私も東京都ですから痛切に感じておる。東京都民の声もよく知っておりますし、これは東京に限らず、大阪でも、名古屋でも、福岡でも、神戸でも同様の要求がありますので、これはぜひ改正しなければならない、こう考えております。ただ問題は、解散、総選挙が目の前に迫っておると予想せられておる今日ですから、広範な、非常に合理的な改正は困難である。私どもの考えからしますれば、減ったところは減らすべきものである。ふえるところはふやす。ただ減ったところをそのままにして、ふえるところだけふやすとしますれば、議員総数が限りなくふえていくということになりますから、そういうふうにすべきものだと思いますが、そのような広範な改正は困難である。そこで、今改正しようとすれば臨時措置をせざるを得ないことになるわけです。この臨時措置についても私ども十分に話し合いをして、あまり議員の総数をふやさぬような考えの上に立って改正すること、もとより賛成です。賛成どころではない、むしろ私どもこそ熱心に主張していると言ってもよいくらいです。ただその際に、その臨時措置だけをしまして、将来のことについて何も考えないということになりますと、その臨時措置で、やれやれ、一部の不合理は改正した、これでしばらくよろしいということでいくおそれがある。御承知のように、今臨時措置をしようとしますれば、昭和三十年を基礎として考えるしかないわけです。ところが現実には、ことし十月には国勢調査が行なわれる。三十年との間にまた相当開きができておる。こういう工合ですから、私どもは、かねて御承知のように、衆議院議員選挙区画審査会設置法案なるものを提案して、今日継続審議中です。これは第十条までのきわめて簡単なもので、私はそう異論があるとも思われないものですから、ぜひこの審査会設置法を、臨時措置をきめる前提といいますか、その前に筋として一本通していただきまして——これによって今度の選挙がどうこうなるというものではございませんから、今年の調査に基づいて、明年中に第三者構成による公正な委員会に答申案を出してもらって、より合理的な国民の期待に沿うものを作るという筋を一本通してもらって、それで改正をしたいという私どもの意向ですから、私ども社会党が反対しているかのように誤り伝えられている向きもありますので、決してそうではないということを——臨時措置もしますが、その際はより合理的な改正をする、こういう意思を私ども持っておるということを、この際皆さんに御了承いただきたいと思います。
  18. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 島上委員発言について、議員定数の問題は、なおこれから小委員会においてよく三党間において話し合う予定にもなっておりますので、十分御審議をお願いいたしたいと思います。  なお、先ほど中井委員から、この問題について東京都の管理委員会、五大市の選挙管理委員会連合会、ここから陳情書が出ておる問題について発表した方がよかろう、こういう発言がありましたので、この際、私の手元までこの陳情書が参っておりますから、皆さんに御披露いたしたいと思います。  東京都特別区選挙管理委員会連合会から、陳情書といたしまして、それをちょっと読みますと、    陳情書  衆議院議員選挙につきまして選挙区の定数が著しく不均衡でありますことは、今更申上げる迄もありませんが、私共常に有権者と接して居ります第一線の選挙管理委員会は、去る昭和三十三年総選挙時に於ける実態につきまして、屡々質問を受けることは、八万票を得て落選する一方三万二千票で当選する不合理はどこにあるのか。何故直そうとしないのか、どういう訳で直らないか、誰が直さないかという事であります。  議員定数アンバランス是正の件につきましては先に昭和三十三年二月二十一日二十三区長並びに議長会で請願書を提出し、続いて昭和三十四年三月四日東京都議会にて意見書を提出されたのでありますが、今回解散必至の情勢となりました為最も不均衡甚しい東京二十三区の有権者の声は、私共選管に対し之が是正に努力すべしとの要望切なるものがございましたので、先般ご通知申上げました如く、去月二十三日衆議院議員会館に於て、東京選挙管理委員会、五大市選挙管理委員会連合会と共同主催を以って、来賓の御臨席を得て議員定数改正促進大会を開催いたした次第であります。  この大会に於ける決議はさきに陳情致しました通りでありますが、茲に二十三区の定数不均衡是正に深く考慮され、且つ本趣旨に御賛同賜わりました方々の署名書を添え、東京都二十三区選挙管理委員一同を代表して陳情致します。   昭和三十五年九月十三日 東京都特別区選挙管理委員会連合会          会長 宮島幸太郎    衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員会     委員長 鹿野彦吉殿  衆議院議員選挙区の人口議員定数のアンバランス是正のため、公職選挙法別表第一につき、特に不均衡甚だしき選挙区に対し、定数の増加を行いその緩和を図ることに賛成する。   昭和三十五年九月十一日             淺沼稻次郎  そのほか、衆議院議員原彪、同加藤勘十、同宇都宮徳馬、同菊池義郎、同賀屋興宣、同本島百合子、同菊川君子、同岡崎英城、同帆足計、同中村梅吉、同神近市子、同河野密、同濱野清吾、同山口シヅエ、同島村一郎、同天野公義、同新井京太、前衆議院議員林博、参議院議員重宗雄三、同重盛壽治、同木村禧八郎、同野坂参三、その他たくさんの署名があるわけでございますが、これは一々読む煩を避けまして、会議録に掲載いたすことにいたしたいと思いますが、皆さんいかがでございましょう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議がなければそのようにお取り計らいいたします。     —————————————     〔参照〕  東京都議会議長村田宇之吉、東京都議会議員山口虎夫、同加藤清政、同守本又雄、同清水長雄、同小野田増太郎、同藤田孝子、同田村徳次、同中島喜三郎、同小山貞雄、同中田俊一、同大久保重直、同建部順、同樋口亀吉、同糟谷磯平、同中沢茂、同秋山定吉、同佐藤進、同山屋八万雄、同渡辺文政、同竜年光、同河野平次、同石塚幸治郎、同小野慶十、同斎藤卯助、同岡田幸吉、同吉峰長利、同荒木由太郎、同高橋清人、同久保田幸平、同川端文夫、同松尾喜八郎、同山岸信子、同大沢三郎、同大山正行、同醍醐安之助、同松本鶴二、同広川シズエ、同岸本千代子、同染野愛、同梅津四郎、同小畑マサエ、同斎藤清亮、同坂本重次郎、同古田秀英、同北田一郎、同窪寺伝吉、同上山輝一、同青山良道、同大森一雄、国内田道治、同豊田精三、同中山一、同川村千秋、同石川治、同岡田助雄、同葉山政男、同富田直之、同町田勝二、同柳田豊茂、同佐々木恒司、同春日井秀雄、同大山雅二、同鯨岡兵輔、同上野藤五郎、同森夢剣、同水戸三郎、同川口清治郎、同野口辰五郎、同加藤好雄、同大日向蔦次、同小林三四、千代田区長遠山景光、千代田区議会議長石和田しょう、中央区長野宗英一郎、中央区議会議長安田増太郎、港区長小田清一、港区議会議長井上正彦、新宿区長岡田昇三、新宿区議会議長石森勲夫、台東区長三木筆一、台東区議会議長国分好一、墨田区議会議長川道甚太郎、江東区長二瓶哲治、江東区議会議長小泉忠蔵、品川区長島本正一、品川区議会議長近江亀久治、目黒区長君塚幸吉、目黒区議会議長野中敏男、大田区議会議長竹内三郎、世田谷区長佐野保房、世田谷議会議長山口正光、渋谷区長角谷輔清、渋谷区議会議長花崎丈治、中野区長皆川五郎、中野区議会議長神田勘十郎、北区長職務代理者助役樋口一郎、北区議会議長並木兼松、荒川区長村山勇三郎、荒川区議会議長谷内彦兵衛、板橋区長村田哲雄、板橋区議会議長井原常蔵、練馬区長須田操、練馬区議会議長上野徳次郎、足立区長職務代理助役岡崎十止雄、足立区議会議長野沢冬蔵、葛飾区長小川孝之助、葛飾区議会議長岩崎金之助、江戸川区長中川喜久雄、江戸川区議会議長長沢透     —————————————
  20. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 なお、次は、五大市選挙管理委員会連合会から陳情書が参っておりますので、これを朗読いたします。    陳 情 書   衆議院議員選挙につきまして、選挙区の定数が著しく不均衡となって居りますことは、今更申す迄もございません。私共選挙管理委員会が、話し合い運動に従事致しまして、常に有権者の方々により質問を受けますことは、前回総選挙の際に三万余票で当選する一方、二倍以上を得て落選する人のあると云う矛盾の根拠であります。   この事につきましては、地方議会等よりも度々陳情のありました事と存じますが、この度解散・総選挙必至の情勢となりまして以来、一般人より是正要望の声が著しく上って参り、常に選挙の公正化を指導する選挙管理委員会は、その基礎である選挙権の公正化に努力すべしとの鞭撻を受けて居りますので、先般御案内申上げました通り衆議院議員会館に於て、東京選挙管理委員会並びに東京都二十三区選挙管理委員会連合会との共同主催を以って、来賓の御臨席の下に議員定数改正促進大会を開催致しました。   この大会に於ける決議は、さきに陳情致しました通りでありますが、更に有権者よりの強い要望がありますので、茲に、本旨に強き御理解を賜わる方々の御署名を添え重ねて陳情致します。   昭和三十五年九月十三日    五大市選挙管理委員会連合会         会長 青木  巽    衆議院公職選挙法改正に   関する調査特別委員会    委員長 鹿野彦吉殿 なお、このほかに、  衆議院議員選挙区の人口議員定数のアンバランス是正のため、公職選挙法別表第一につき特に不均衡甚だしき選挙区に対し定数の増加を行い、その緩和を図ることに賛成する。   昭和三十五年九月八日            菅野和太郎  そのほかに、大矢省三、押谷富三、田中伊三次、岡本隆一、大野木秀次郎、横浜市長半井清、松尾トシ子、門司亮、田上松衞、藤山愛一郎、神戸市長原口忠次郎、神戸市会議長清水重夫、五島虎雄、中井一夫、こういうような方々でございます。
  21. 北條秀一

    北條委員 二つばかり質問いたします。選挙運動の車のことにつきましては、委員長から答弁がありましたので、それでけっこうだと存じますが、ただ、現在でも車両法とか道路運送法とかいろいろありまして、その中の車種の区別というものが非常にあいまいでございますから、今回の場合は、そういうふうなことのないようにはっきりと、たとえて言いますと、現在運輸省が車種を表示しおりますナンバー・プレートの中に、三とか五とか七とかありますから、そういうものを法文化して、はっきりとするように希望をつけておきます。  そこで、それに関連しまして二つの質問ですが、一つは、車上の連呼行為ということです。車上というのと車内というのと、どういうふうに区別するのか。これはむしろ車内というふうに一定したらどうかというふうに私は考えるのです。なぜそういうことを言うかといいますと、最近車の屋根の上にいろいろな荷物を積むようになっております。そうなると、それもまた車上ということになるわけです。小委員会においては、車の屋根の上に荷物台を作って云々というようなことについては、おそらく全然考慮されていなかったと思うので、むしろ車上というよりは車内というふうにしたらどうか、その点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  22. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点につきましては、きのうの小委員会においてもちょっと申し上げましたが、車上という意味は車内を含む意味の車上だ、こう考えておるわけであります。そうしますと、どういうところで区別が出て参るかというと、大体原則的には、乗用車の屋根に上がるということは、実際問題としてちょっと考えられないだろうと思いますが、乗降口に足をかけるところがございますから、あそこのところで立ってやることは車内とも言えないものですから、それを認めるとすれば、車上という言葉の方がいいだろうということで、一応車上というふうにいたしました。しかしながら、この点につきまして車内だけに限定した方がいいという御意見でございますれば、そういうように改めてもいいと思いますが、今のところは、そういう意味で車上という言葉を使ったわけであります。
  23. 北條秀一

    北條委員 今注意いたしましたのは、よく外車でごらんになるように、屋根の上に荷物がつくことは御承知通りです。そういうことがあるから、車内というふうに規定する方がいいじゃないかという意見ですが、さらに小委員会で御検討になるようですから……。  もう一つは、ポスターの公営掲示板の問題です。従来ポスターを貼付する際には、投票所とポスター掲示個所の間に一定の距離の制限がございましたが、公営掲示板の場合には、距離の制限はないと考えてよろしいのですか。
  24. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点につきましては、法律の案文を作る場合におきまして、御意見のような措置をしたいと思っております。と申しますことは、要するに、投票所の入口から百メートル以内の区域におきましては、ポス夕ーその他の掲示を、投票当日及びその前日においてはしてはいかぬ、した場合は、選挙管理委員会等においてそれを撤去する、こういうことになっておりますが、公営の掲示でございますれば、百メートル以内の区域にありましても、それは当然そのまま掲示しておく方が適当であろうと考えます。そこらのところは、改正の際に措置したいと思っております。
  25. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 ただいまの北條君の発言中、車の詳細なる問題について御意見がありましたが、それは小委員会において三党間でお互いに十分検討いたすことにしますから、御了承願います。
  26. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 小委員会でいろいろ問題になったことではございますが、きょうは正式の委員会でございますので、一つだけ法務省の見解をただしておきたいと思うのであります。  それは、罰則及びその他の制裁に関する事項でございます。この間からいろいろ議論を進めまして、最初は非常に元気よく出たのでありますが、いろいろ検討いたしました結果、罰則及びその他の制裁に関する事項改正案は、実際の面においては後退の形をとっております。それは現実と照らし合わせまして、そういうことにもなる実際上の要求もあるのではないかと思うのでありますが、ただその中で、私は公民権停止強化につきましては、前々回の小委員会で、今の法律では何か一部軽い者が公民権停止になって、それより道義的にも実際上も重いもので、公民権停止が判事の裁量にまかされているというふうなものがあるやに聞いておるのでありまして、その点を改めようじゃないかということにはなっておるのでありますが、そういう議論を進めております過程におきまして、選挙違反に対する罰則といたしましては、政治のことは政治で片をつける、政治に関与する根拠を剥奪するという意味において、罰金何千円とか禁固何カ月とか、場合によっては懲役というものもあろうかと思いますが、それよりも選挙違反に対する罰則公民権停止する、これにむしろ重点を置くべきではないか、そういう感じを、私小委員の一人として非常に強く感ずるようになって参っております。今もその心境でございますが、この公民権停止とその他の禁固罰金あるいは懲役、そういうものとの関連、あるいは私が今申しましたような選挙違反公民権との関係につきまして、法務省の率直な見解をお聞かせいただきたい。同時にまた、きのうちょっと法務省の方からもお話があったが、諸外国の例等をお調べでございましょうから、そういう点にも触れて法務省の見解をこの際伺っておきたい、かように思います。
  27. 河井信太郎

    ○河井説明員 お尋ねの点につきましては、まず公民権停止というものが選挙犯罪についてどのような役割を演じておるかという点につきましては、選挙違反にかかってくる人たちが、おおむね政治活動中心として、それをいわば生命としておる方々が多い立場から、勢い公民権停止になるかならないかということが、罰金の多寡というふうなことよりもはるかに重要な問題であるということは、裁判に現われた結果に照らしまして、きわめてはっきりいたしておるのでございます。公判請求をいたしまして、体刑になりまして、執行猶予になるということも非常に重要な問題でございますが、略式命令を出してもらう手続等におきましては、問題は罰金の額というふうなことではなくて、もっぱら公民権停止を不停止にするか、あるいはその期間を短縮するかという問題にかかっておる状況でございます。ここに従来の統計を持っておるのでございますが、従来は、公民権停止しないという不適用の判決を得たいために、控訴、上告が行なわれた例が非常に多いのであります。ところが、法律改正になりまして、原則として適用されるということになって参りまして、裁判所の考え方も、公民権停止するということを原則とするという建前に変わって参りましたので、今度はその停止期間を短縮するということに、もっぱら控訴、上告の理由が変わって参ったということは言えると思うのでございます。たとえば、昭和二十八年におきまして、公職選挙法の二百五十二条、いわゆる選挙権及び被選挙権停止の例を申し上げますと、有罪になりました総人員が、昭和二十八年では一万六千三百十二人でございます。この中で、いわゆる公民権停止をしないという数は、八千七百三十六人に達していたのでございます。ところが、数も違うのですが、昭和三十二年になりますと、選挙違反で有罪になりましたのが二千三百十七人、そのうちで不適用というのが千三百十八人、その割合を見ますと、昭和三十年には有罪人員が三万六千五百二十三人、不適用になりましたのが一万七千百八十八人、パーセンテージを見ますと、昭和二十八年には、不適用になりましたのが、公民権停止せずというのが五三、六%、三十年には四七、〇%になっておるのであります。ところが、期間を短縮されましたのは、昭和二十八年には有罪の総人員に対しまして四・六%、七百五十三人しかなかったのでございます。ところが、昭和三十年になりますと四千百二十三人、一一・三%というふうに、期間短縮がふえて参ったというふうな実情になっておるのでございます。以上申し上げましたような数字の上から見ましても、公民権停止ということが非常に重要な問題になっておるということは、否定し得ない事実でございます。裁判の例から申しましても、公民権の問題で争われておるという例が、非常に選挙犯罪においては多いということは事実でございます。  先般、諸外国の例のうちで、ちょうど昨年九月行なわれましたイギリスの総選挙のときに、法務省の在外研究員として、私はイギリスの各地、いなかの方まで回って実情を見てこいという命令を受けまして、見て参ったのでございますが、いろいろな要素がございますので、ただ単に公民権停止が非常に長いからということだけで選挙犯罪が少ないという結論を下すということは早計でございますが、ただ、ほとんどあそこには選挙犯罪がないという最も大きな原因は、一つは、小選挙区制であるということです。そして戸別訪問が自由である、そして買収等が行なわれるのじゃなかろうかということで各省で、いろいろな方面にいろいろ尋ねてもみ、調べもしてみたのでございますが、一番大きなところは、要するに、選挙区内買収を犯しますと十年間公民権停止で、一切公職につくことができないという厳重な制裁があるために、とても一票や二票を買い集めるために、さようなことをしては引き合わないからという答えが多かったということでございます。その点は、コンサーヴァチブとレーバー・パーティの両方が二大政党になっているのですが、これがお互いに監視し合って、もし違反があればすぐ告発してくるというのが選挙運動員の一つの大きな仕事であるということも、何かこの犯罪が少ないという大きな原因になっておるのではないかというふうな感じを受けて参った次第でございます。
  28. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 堀君。
  29. 堀昌雄

    ○堀委員 選挙運動用自動車のことについて、要綱の二番目のところに「右の自動車有蓋車に限ること。(屋根又は側壁が開放できる構造のもを除く。)。」とございますが、要するに、目的は、オープンな状態で他の人との間に特別の差が生じては困るということがこの規定趣旨だろうと思うのです。そうすると、たとえば現在のほろ型のジープであっても、横にもちゃんとものがついているわけですし、屋根もついているということになれば、オープン・カーの場合でも、屋根がついてちゃんと横にものがついておるということならば一般の乗用車と何ら区別する必要はないわけで、特にこれを、こういうふうに規定したというのはどういう理由でしょうか。候補者というものは、人の見ないところあるいは警察のないところでは、そういうものは必ず屋根をとって、窓を開いてやるものだという認識の上に立ってこういう規定を設けておるのかどうか、そこを一つ伺っておきたいと思うのです。
  30. 三浦義男

    三浦法制局参事 自動車の点につきましては、先ほど委員長からも、お話がございましたように、さらに小委員会において検討していただく部分がまだあると思っております。従いまして、この要綱におきましては、そういうことも前提といたしまして、小委員会といたしましては、ここに書いてございます文句とはちょっと違いまして、有蓋乗用自動車に限る、そうしまして、有蓋乗用自動車というのはどういうものかといえば、屋根及び側壁が開放できる構造のものを除く、こういう概念をそこに入れたらどうかということでございまして、これが最終的な決定という意味じゃございませんが、一応の案としてまたお考え願う意味におきまして、書いてあるわけでございます。従いまして、屋根及び側壁が開放できる構造のものを除くというような、構造自体がそうなっておるものをさすのでございますので、たとえば屋根の方がほろでオープンになるようなものとか、側壁がやはりほろでそれがオープンになるとか、あとの方に人間が二人か何か乗れるようにバックのところがなっておる構造のもの、こういうものは一応この中から除いたらどうかという意味において、この問題を提起してあるわけでございます。しかし、そこの点につきましては、なおきのうも専門の方の運輸省の自動車局長等の話もございまして、さらに法的に限定いたします場合におきましては多々研究を要するところがございますので、もう少し小委員会においてどういうものまで認めるかということを御検討願う、こういうことにした上で最終的な法律案を整備したいと思っておりますので、御了承を願いたいと思います。
  31. 堀昌雄

    ○堀委員 お話の意味はわかるのですが、考え方の問題を私伺っておるのです。考え方の問題というのは、私も、オープン・カーの上をはねて走ったり、あるいは横をとって走るということは、走ってもとまっても、これはこの問題を考えた趣旨に反すると思う。しかし、オープン・カーといえども、屋根をちゃんとつけて、窓もちゃんと横のものをはめて、普通に乗用車として動くのが大体は建前になっておる。そういう建前になっておるものも、ともかく除くのだということの前提は、そういう車を使う者は、人が見なければはずすのだというものの考え方の上に立っているかどうか、ここを伺っておる、技術的なことでなく。だから、私どもは、少なくもこういう選挙に出る者の人格を、初めから多少、ろくなやつは出ないのだというようなかまえ方で選挙法を扱うということなら、私はそれでもいいと思う。そういうことでもいいけれども、そういう趣旨で作られた法律が一体どういう効力を持つかということも、私はやはり皆さんに考えていただきたいと思う。だから私は、こういう選挙に出る人は、少なくも法律の定めた趣旨に反しないのだ、お互いが守るのだという精神の上で出るということであるならば、こういう規制をする必要はないと思う。有蓋であるということと、側壁があるということを規定してあれば、オープン・カーであろうとなかろうと、それはその規定が問題なのであって、車の構造自体の問題ではない。それを取りはずすとすれば取りはずした人間が悪いのであって、法律自体としては、私は、そういうふうに人を見ればどろぼうと思えというような精神で法律を作ってもらっては困る、こういうふうに思いますので、この点については小委員会で御検討いただくことだと思いますが、委員長の方でも十分一つお含みを願いたいと思います。ジープをたくさん持っている人もあるのです。あるいはオープン・カーを持っておる者もあるのです。実際にこういうことになれば、この人たちは新たにまた車の手配その他をしなければならぬ。しかし、そういうものを持ったりしておる人が、すべてがそういうふうに、ないしょで人に抜けがけて、自分だけがいい条件で選挙をしようなどと心得ておる者がありとすれば、それはその人が悪いのであって、法律の側としてそこまで考える必要はないのではないか、こういうふうに考えますので、今後御検討いただくことはけっこうですが、考え方の基本としてそういうことを一つ……。
  32. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 堀君の発言に対しまして委員長としてお答えいたしますが、また小委員会でよくあなたの御意見も参考にいたしまして審議し、皆さんとともに御相談いたしたいと思いますから、御了承を願います。  それでは、本日は、これにて散会をいたすことにいたします。     午後零時六分散会