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鶴岡政府委員 第一点の、
事前に
日本のPRを十分行なうべしという御
趣旨、全くその
通りであろうと私は存じます。しかし、
日本もそれを全然やらなかったわけじゃございませんので、ちょっと申し上げたいと思うのでございますが、たとえば、一九五五年に、これは私
自身小者でございますけれ
ども、一応私が行けということになりましたときに、私は
ローマにすでにおりましたわけで、イタリアやフランス、それからイギリス、スペイン、スイスというようなところを回りまして、それぞれの
権威者に会って
日本の
海洋生物資源保存に関する
考え方につきまして、いただきました資料などに基づいて相当
意見の
交換をいたしたわけでございまして、手前みそでございますが、割合に同じ
立場をとるもの同士の
関係が緊密になるために幾らか役立った、こういうようなことを
考えております。第一次のときは、私も、そのときは、
日本からでなく、向うに任命されておりまして、バチカンにおりましたのですが、私はやはり
ローマのときに会いました
代表たちに手紙を出したりいろいろいたしまして、そういう連中との緊密な
連絡をとることをいたしましたわけでございます。御
承知のように、
ローマにおきましても、
ジュネーブの第一次
会議におきましても、この
会議は、
沿岸国、いわば小国、
後進国というものと、
遠洋漁業をやったり大きな
海運を持ったりしておるところとの対立でございましたが、比較的
先進国グループといたしましてはかなり緊密な
関係ができた、こう思っております。今度の場合、なるほど御
指摘の
通りでございます。大体十一日ころに立ちましたわけで、余すところ二、三日というときに着くわけでございますか、
アメリカなどがその
首席代表を方々回しておるということに比べましては非常に径庭があるようでございます。ただ、それにいたしましても、私ともの方でも、至るところ、
関係諸国に電報などを打ちまして、それぞれの大使館あるいは公使館を通じて先方との協議をさせ、その報告をとったようなわけでございます。しかし、今後御
指摘のような方法でもっと
会議というものは十分の準備を尽くして臨むということは、私
どもの切に希望するところでございます。
それから、今度の
海洋法会議に
日本政府としてはどういう
態度で臨むかという問題でございます。この点につきましては、
藤山外務大臣から
千田先生の御質問に対してお答えがあったようでございます。私
どもといたしましては、三海里の線をなるべく守るように懸命の
努力をいたすべきでありますし、いたすつもりでございます。ただ、しかし、
世界の一般的な
情勢といたしましては、第一次
会議の
経験から申しましても、また、第一次
会議の始まるその前から戦後今日に至る
情勢を見ましても、いろいろの
国々におきまして三海里以上と
主張するものがずいぶんある。この前の
会議の
経験から申しますると、大体
領海六海里というところくらいはおりなければならぬじゃないか。なぜかと申しますれば、この
国際会議で
一つの案を成立せしめるためには三分の二の多数を要するわけでございます。おそらく、今度の
会議に
出席いたしますのは、この前八十六でございましたが、その後若干の
国々が
国際連合加盟国として新しく加盟しておりますので、八十六以上、八十九くらいになるのじゃないか。この
数字は調べておりませんのでよくわかりませんが。従って、その三分の二と申しますと、五十五とか六、こういう
数字になるわけでございます。ひょっとすると六十近いものになるわけでございます。そこで、問題は、大いに三海里を
主張して、それを固執して
会議の決裂をも賭するのがいいかどうか。それよりも、やはりこのままほうっておきますれば
海洋法が無秩序になってしまうおそれがある。その原因は現在の
国際法を守らないで勝手な広範な
領海を
主張するものがあるのだから、違法から法律が生れるというのがけしからぬというそういう正しい議論もございますけれ
ども、いずれにいたしましても、実際面ではこの
状態を放置いたしておきますと
海洋法そのものが無秩序になるおそれが非常にあるわけでございます。そこで、やはり、私
どもといたしましては、三海里の線をなるべく守るのでありまするけれ
ども、なるべく三海里に近い線で
諸国の権利、利益、そういったものの調和の上にもし三分の二をとることのできるような
可能性のある案が出ました場合には、その案に賛成して
海洋法の安定をはかった方が将来の
日本の
海運、
水産、海の
活動一般に対してより以上の利益もたらすことになるのではないか、こういうような
考えに基づきまして対処するつもりでございます。