運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-11-14 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十四日(土曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 南條 徳男君    理事 江崎 真澄君 理事 田村  元君    理事 綱島 正興君 理事 前尾繁三郎君    理事 三田村武夫君 理事 岡本 隆一君    理事 小林 正美君 理事 佐藤觀次郎君    理事 塚本 三郎君       今井  耕君    小川 平二君       大坪 保雄君    岡本  茂君       木村 俊雄君    小島 徹三君       小林かなえ君    坂田 英一君       世耕 弘一君    田口長治郎君       辻  寛一君    渡海元三郎君       徳安 實藏君    中垣 國男君       丹羽 兵助君    堀内 一雄君       八木 一郎君    山手 滿男君       足鹿  覺君    伊藤よし子君       太田 一夫君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    田中幾三郎君       辻原 弘市君    八木 一男君       横山 利秋君  出席国務大臣         農 林 大 臣 福田 赳夫君         運 輸 大 臣 楢橋  渡君         建 設 大 臣 村上  勇君         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         自治政務次官  丹羽喬四郎君         文部事務官         (監理局長)  小林 行雄君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         食糧庁長官   須賀 賢二君         林野庁長官   山崎  齊君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         議     員 五島 虎雄君         議     員 太田 一夫君         議     員 横山 利秋君         議     員 滝井 義高君         議     員 辻原 弘市君         水産庁次長   高橋 泰彦君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君     ————————————— 十一月十四日  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に係る私立学校児童生徒  等の授業料徴収免除に関する補助及び資金の  貸付に関する特別措置法案辻原弘市君外十六  名提出衆法第一五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた  農地除塩事業助成に関する特別措置法案(  内閣提出第二号)  昭和三十四年七月及び八月の豪雨、同年八月及  び九月の暴風雨又は同年九月の降ひようによる  被害農家に対する米穀の売渡特例に関する法  律案内閣提出第三号)  昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共  同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別  措置法案内閣提出第四号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた中小企業者に対する国有の機  械等の売払等に関する特別措置法案内閣提出  第七号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における公衆衛  生の保持に関する特別措置法案内閣提出第八  号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた社  会福祉事業施設災害復旧費に関する特別措置  法案内閣提出第九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた都道府県の災害救助  費に関する特別措置法案内閣提出第一〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた者に対する母子福祉  資金貸付に関する特別措置法案内閣提出第  一一号)  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融  通等に関する特別措置法案内閣提出第一三  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における失業対  策事業に関する特別措置法案内閣提出第一四  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害並びに同年八  月及び九月の風水害に関する失業保険特例法案  (内閣提出第一五号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害に伴う公営住宅法特例等に関する法  律案内閣提出第一六号)  昭和三十四年台風十五号により災害を受けた伊  勢湾等に面する地域における高潮対策事業に関  する特別措置法案内閣提出第一七号)  天災による被害農林漁業者に対する資金融通  に関する暫定措置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債  の特例等に関する法律案内閣提出第二〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた市町村職員共済組合  の組合員に支給する災害見舞金の額の特例に関  する法律案内閣提出第二一号)  昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆(  たい)積土砂及び湛(たん)水の排除に関する  特別措置法案内閣提出第二二号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた公立学校等建物等災害  復旧に関する特別措置法案内閣提出第二三  号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた私  立学校施設災害復旧に関する特別措置法案(  内閣提出第二四号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に際し災害救助法が適用され  た地域における国民健康保険事業に対する補助  に関する特別措置法案内閣提出第二五号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた農林水産業施設の災  害復旧事業に関する特別措置法案内閣提出第  二六号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた公共土木施設等の災  害復旧等に関する特別措置法案内閣提出第二  七号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害による任意  共済に係る保険金支払等にあてるための資金  の融通に関する特別措置法案内閣提出第二九  号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた医療機関復旧に関する特別  措置法案内閣提出第三〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又  は同年八月及び九月の風水害により被害を受け  た者の援護に関する特別措置法案伊藤よし子  君外十四名提出衆法第一号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案  (角屋堅次郎君外十六名提出衆法第二号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(角  屋堅次郎君外十六名提出衆法第三号)  農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する  法律案角屋堅次郎君外十六名提出衆法第四  号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  角屋堅次郎君外十六名提出衆法第五号)  天災による被害中小企業者等に対する資金の融  通等に関する特別措置法案田中武夫君外十七  名提出衆法第六号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受け生計が困難  である者の生活の保障に関する特別措置法案(  八木一男君外十九名提出衆法第七号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害による消費生活協同組合の協  同施設等災害復旧に関する特別措置法案(岡  本隆一君外十六名提出衆法第八号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受けた公務員等  に対する国家公務員共済組合等給付特例等  に関する法律案横山利秋君外十六名提出、衆  法第九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における失業対  策事業に関する特別措置法案五島虎雄君外十  五名提出衆法第一〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に関する失業保険特例法案(  五島虎雄君外十五名提出衆法第一一号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害による病院及び診療所並びに  薬局災害復旧に関する特別措置法案滝井  義高君外十八名提出衆法第一二号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債  の特例等に関する法律案太田一夫君外十六名  提出衆法第一三号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に係る私立学校児童生徒  等の授業料徴収免除に関する補助及び資金の  貸付に関する特別措置法案辻原弘市君外十六  名提出衆法第一五号)      ————◇—————
  2. 南條徳男

    南條委員長 これより会議を開きます。  五島虎雄君外十五名提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地域における失業対策事業に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害に関する失業保険特例法案太田一夫君外十六名提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律案横山利秋君外十六名提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害により被害を受けた公務員等に対する国家公務員共済組合等給付特例等に関する法律案滝井義高君外十八名提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害による病院及び診療所並び薬局災害復旧に関する特別措置法案、以上の五案を一括議題といたし、順次提出者趣旨説明を求めます。五島虎雄君。
  3. 五島虎雄

    五島議員 私は、日本社会党を代表しまして、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地域における失業対策事業に関する特別措置法案提案理由を御説明申し上げます。  すでに御承知通り伊勢湾台風を初めとしまして、六号、七号、十四号台風等災害による被害甚大をきわめ、その惨状まことに見るに忍びないものがあります。特にこの台風災害によりまして、職を離れ、生活方途を失ったものは相当の数に達し、緊急に就労の要を認めるものは一万人をこすと推定されております。従って、このような離職者を早急に就労させることが必要なのでありますが、地方公共団体財政逼迫状態及び当災害復旧地方公共団体が支出する事業費増加等を考慮いたしますとき、このことは言うべくして困難なのであります。このような現状から、離職者の早急にして、かつできるかぎり多数の就労国庫負担によってはかることを目的として本法案提案したのでありますが、本法案要点は次の通りであります。  第一点としましては、失業対策事業全額国庫負担によって実施することといたしました。従って労務費事務費資材費について、その国庫負担を十割としたのであります。  第二点としましては、この全額国庫負担による失業対策事業期間を、労働災害を受けた日から同年十月一日までの範囲内において政令で定める日から、昭和三十五年九月三十日までとしたのであります。  以上二点が本法案要点でありますが、離職者をして早急に就労させ、生活基礎を確立させることは緊要事と考えられますので、何とぞ本案を御審議の上、御可決あらんことを願うものであります。  次に、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害に関する失業保険特例法案提案理由を御説明申し上げます。  すでに御承知通り伊勢湾台風初めとしまして、たび重なる台風災害により、東海地方を中心とする被災地惨状ははなはだしいものが見られるのであります。この台風災害によりまして、家屋を流失、損壊して生活基礎を失った者は数多いのでありますが、このような事態の根本的な原因としまして、特に政府施策の不備が指摘されねばならないのであります。政府防堤工事その他必要な事業費用を惜しみ、その結果として、このような事態深刻化を招いたものであることは明白でありまして、そのために多くの被災民を悲境に陥れた責任はきわめて重大であると考えるものであります。特に問題とされねばならないことは、この災害によって、本意ならずも一時離職した者の数は十六万人以上に達するものと推定されておることであります。このような一時離職者失業保険法を適用してその緊急な救済をはかることは当然のことでありますが、特にこのたびの被災甚大さを考え、二十八年災害当時の施策より高度の施策を必要とすると考えられるものであります。このような見地に立ちまして、日本社会党は本法案提案したのでありますが、次に本法案要点を御説明いたします。  第一点といたしましては、本法案におきまして、交通途絶して事業所に通勤し得なくなった場合も休業認定したことであります。交通途絶の場合の休業はいろいろの状態が考えられるのでありますが、道路その他の復旧事業も早急に進んでおりますため、このような交通途絶の場合の休業は具体的にはきわめて短期間であり、また、さして多額の支出を要しないと見て、あえてこのような規定をいたしたのであります。  第二点といたしましては、待期規定特例を設けたことであります。失業保険法におきまして待期規定が設けられた理由は、失業認定を厳正にするとの趣旨からであります。ところが今次の災害におきましては、災害によって一時休業した者の認定市町村においてはすでに明らかにされているところであり、待期規定の意義は一時的に消失したものと考えられるものであります。  以上が本法案提案する理由でありますが、要するに、今次の災害の結果多くの被災者離職のうき目を見て、生活方途を失っている現状にかんがみ、早急に救済の手を差しのべるよう、本法案のすみやかなる御審議と御可決をお願いするものであります。
  4. 南條徳男

    南條委員長 次は、太田一夫君。
  5. 太田一夫

    太田議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいまの議題となりました昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律案につきまして、その提案理由の御説明を申し上げます。  本法案提出いたしました理由は、昨年来特に地方財政は窮乏し、地方公共団体においては事業の打ち切り、徴税の強化、人員整理等を行ない、財政上の圧迫はすべて地方住民にしわ寄せされているのが現状であります。従って、今次災害によって被害を受けた地方公共団体においてはなおさらのことであり、地方財政の立ち直りのためには、相当の年月を要するものと思われます。しかも災害による窮乏は、地方公共団体責任によるものではなく、当然国の責任において適切なる措置を講ずべき性質のものだと確信する次第であります。  こういう見地に立ちまして、本法案提出したものであります。すなわち、今次の災害を受けた地方公共団体に対して、一、財政収入の不足を補うため、または災害対策の財源とするため、地方債の発行を認め、元利補給を国が全額行なうこと。二、公共土木施設公立学校施設の小災害にかかわる地方債元利補給を国が全額行なうこと。三、農地その他の農林水産施設の小災害地方債のワクを、当該経費の百分の九十に相当する額まで認め、被旨激甚地については、当該経費に相当する額まで、この元利補給を国が全額行なうこと。四、災害被害を受けた地方公共団体のうち、財政再建団体となっているものについては、その再建債利子補給全額国が行なうことにいたしているのであります。  以上、本案の概略を御説明申し上げました。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願いをいたします。
  6. 南條徳男

    南條委員長 次は横山利秋君。
  7. 横山利秋

    横山議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害により被害を受けた公務員等に対する国家公務員共済組合等給付特例等に関する法律案につきまして、その提案理由を申し上げます。  今回七月、八月、九月の水害並びに風水害被害は、各位御存じ通り史上空前とも申すべきものがあり、これによって死亡し、あるいは家財を滅失した国家及び地方公務員並びに公共企業体職員は数多くあり、まことに窮状忍びがたいものがございます。  これらの職員諸君は、それぞれ共済組合組合員として、弔慰金災害見舞金支給の制度がございますが、今回の災害の激甚なことに考えますとき、現行規定は少額に失する感を免れません。すでに昭和二十八年災におきましても、特例を開いて増額をいたしたのでありますから、この際、これらの支給額を特に増額いたしますとともに、これらの組合組合員でない地方公共団体職員等に対しましても、地方公共団体弔慰金及び災害見舞金を支給することにいたす必要があると痛感されますので、本法案提案いたした次第であります。  次に、その概要を申し上げます。  まず、国家公務員共済組合組合員もしくはその被扶養者が死亡した場合は、国家公務員共済組合法によりまして、本人の場合は俸給一カ月分となっておりますが、二カ月分を、被扶養者の場合は同じく半月分となっておりますが、一カ月分を支給いたすことにいたしました。  また、住居もしくは家財については、同法の別表によって、三カ月以内において定められておりますが、二十八年災の場合を参考とし、これに加えて、別に運営規則で三カ月の範囲内で定めた月数を加えた月数によって、災害見舞金を支給することといたしました。  公共企業体職員共済組合市町村職員共済組合につきましても、右と同様の趣旨において改正を行ない、罹災者に支給いたすことにいたしました。  地方公共団体職員であって、これらの組合組合員でないものについては、弔慰金については右と同様、一カ月または半月分を支給し、災害見舞金については、従来の経緯並びに共済組合法の精神から、二カ月の範囲内で支給することといたした次第であります。  しこうして、国はこの組合員でない職員に支給される災害見舞金並び弔慰金につきましては、これに要する費用の二分の一を負担することとし、二十八年災と同様、地方財政負担を軽減することとした次第であります。  なお、この法律施行前に支給された弔慰金等につきましては、本法の内払いとみなすこととした次第であります。  身に罹災を受け、家財を失いながら、なお災害復旧に挺身いたしております国家地方公務員公共企業体職員諸君の活動は、災害地において明らかなところでありますが、これら諸君をして後顧の憂いなく活動してもらう一助として、本法案提案いたしました。  何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  8. 南條徳男

    南條委員長 次は滝井義高君。
  9. 滝井義高

    滝井議員 私は、日本社会党を代表して、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害による病院及び診療所並び薬局災害復旧に関する特別措置法案提案理由を御説明いたします。  申すまでもなく、本年七月、八月、九月の風水害による医療施設等災害甚大をきわめ、早急に復旧を必要とする病院は約二百五十、診療所薬局に至っては無慮数千を数えているのであります。この事態をこのままに放置しておきますならば、被害地域住民医療を確保することが困難になるものと憂慮されます。従いまして、このような医療施設薬局に対し、その風水害によって生じた災害に必要な復旧費についての金融措置につきまして、国が一定の特別措置を講ずることがこの際必要であります。  このため本法案では、第一に、公的医療機関災害復旧費に対し、国が三分の二の補助を行なうことができるものといたしました。  第二、私的医療機関及び薬局災害復旧費につきましても、その資金貸付条件貸付額二百万円以内、利率は年六分五厘以下、その償還期間据置期間経過後十年以上、据置期間貸付の日から起算して二年以上といたしたのであります。  簡単でございますが、以上をもちまして提案理由説明を終わることといたします。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  10. 南條徳男

    南條委員長 午後は一時から開会いたします。  暫時休憩いたします。     午前十時五十五分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  11. 綱島正興

    綱島委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより、内閣提出昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する法律案外二十四件、及び本日提案理由説明を聴取いたしました五件の法律案を含めまして、伊藤よし子君外十四名提出の、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害により被害を受けた者の援護に関する特別措置法案外十二件を一括して、質疑を継続いたします。堀内一雄君。
  12. 堀内一雄

    堀内委員 私は、この際運輸大臣に対しまして、災害時における輸送機関の徴用、そのほかの問題について、お伺いいたしたいと思います。  今度の災害に対しまして、政府予備費六十億、さらに補正予算で四百億というような多額予算を計上しまして、この災害救助並びに復旧に努力しておられることに対しましては、国民がひとしく敬意を表しておるところでございます。ただ私は、ここで問題になりますのは、災害とかいうことになれば、いわゆる机上の計画といったようなものはすみやかにできるのでございますが、これを実行部面に移した場合に、非常に困難がある。一例を申しますれば、今回の災害におきましても、当局が非常に努力したにもかかわらず、名古屋付近におきまして、海部郡のごときは、北方の締め切りが最初の計画よりおくれて、十五日でなければできない。さらに南方の締め切りにつきましては、今月一ぱいかかるということで、たびたび計画の変更というようなことを見ておる。それがために、ややもすると罹災者から、やれ政府が裏切ったというような言葉まで出てきておるのでありますが、そういうようなことを考えまするときに、現地における災害応急処置並びに復旧というようなことを検討いたしますれば、最も重要なものは、私は機械を含む労働力と、資材輸送ということになると思うのであります。そこで労働力の方に対しては、自衛隊があって、いわゆる予備隊的な任務を持ってこれを補って成果を上げておるのでございますが、輸送の方面においては、何らそういったようなものがない。しかも災害に際しましては、鉄道はずたずたに切られ、道路が破壊され、また港湾が破壊されるというようなことから、この資材輸送ということは非常に困難になっておると思うのでありますが、そうしたような場合におきまして、何か災害救助のために特別処置がとられておるかどうか、まずその点につきましてお伺いいたしたいと思います。     〔綱島委員長代理退席、委員長着席〕
  13. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 今堀内委員の申されました点についてでありますが、今回の台風にあたりまして、輸送関係が一体どういうことをやっておるのか、補給計画とか、あるいは港湾の復興計画とか、海陸貨物の運搬計画等についての御指摘がありましたが、運輸省としてとりましたことを、この際、御報告申し上げておきたいと思います。  第一に機帆船、これは愛知、三重両県下の沿海の地域の河川堤防、護岸等は随所に寸断されましたので、これらの決壊口は陸上からの交通が不可能であるので、勢い海上からの小型船舶にたよらざるを得ないことになりまして、機帆船はもとより、漁船をも動員して、土のうとか石のう、そだ、木材等の復旧資材輸送しておった次第であります。現にまた輸送している次第であります。また、人員の輸送でありますが、災害地におきます人員の輸送につきましては、次の区間を、旅客船によりまして臨時輸送を行ないました。それは、第一、名古屋から尾張横須賀間でありますが、愛知観光船株式会社は、名古屋—尾張横須賀間に登一丸という四十一トン、旅客定員八十名の船、そのほか二隻を配船いたしまして、一日五往復就航させましたが、十月十七日以降は名鉄バスが開通いたしましたので、廃止したのであります。また名古屋—四日市間は、愛知観光船株式会社及び志摩観光汽船株式会社の二社は、名古屋—四日市間に十月五日以降、三河丸、百二十四トン、定員二百名等八隻を配船いたしまして、一日十二往復就航させました。十一月五日、道路開通によりまして使命を達成したのでありますが、なお、一、二航海を続けておるような次第であります。なお、名古屋—桑名間でありますが、志摩観光汽船株式会社が名古屋—桑名間につつじ丸、三十二トン、定員百十七名等、五隻を配船しまして、一日十一航就航させまして、十一月五日の道路開通により所期の目的を達成したので、これは今中止したのでございます。  なお、災害輸送で、御存じのように関西線が不通になりましたので、国鉄のとりました輸送手配といたしましては、草津線に貨物列車を増発して紀勢線に対する輸送確保をいたしますとともに、全般的には災害地民生安定用の物資及び復興資材の優先的輸送を指令して、旅客輸送として那智号を草津線にかえまして、東京—新宮間を結ぶ輸送の手配をいたしたのであります。  なおまた運賃の減免については、罹災者の救恤用の輸送品に対しましては無賃輸送罹災者生活必需品並びに応急建築資材、応急仮設住宅用の原木、あるいは波どめ用の丸太等の応急復旧資材につきましては、五割減を実施いたしたのであります。  なお収容施設におる罹災者に対しましては、私あちらに参りましてから、家族に対しましても、愛知、三重、岐阜県等の相互間の無賃乗車を特別手配いたしたような次第であります。  自動車輸送につきましての手配は、局長から説明いたしたいと思います。
  14. 國友弘康

    國友説明員 自動車関係の輸送について申し上げますと、自動車輸送に対しましては、災害対策本部との連絡を緊密にいたしまして、輸送需要に即応する態勢を整えたのでありますが、旅客輸送の関係で申しますと、電車代行、列車代行、迂回輸送等を行うための期間限定免許ということで、乗合バスに対しまして二十四件、八業者、二百二十両ほどを臨時限定免許いたしました。それから一部貸し切りバスを乗合バスに転用することを特に承認いたしまして、輸送の確保をいたしまして、この転用車両が二十両ほどに上ります。それからまた、名古屋地区の罹災民の足を確保するために、ハイヤー、タクシー車両二百両の臨時増車を認めました。  さらに、今大臣からもお話がございました罹災者に対する無賃乗車の取り扱いでございますが、名古屋市営バスにつきましては、電車も同様でありましたが、罹災証明書によりまして無賃乗車の取り扱いをし、その他関係業者からは、罹災者に対しまして三万枚ほどの無賃乗車証を発行して、罹災者の利便をはかりました。  貨物輸送に関しましては、災害発生と同時に、愛知、岐阜、三重の災害対策本部と緊密な連絡をとりまして、人身救助輸送、救恤品輸送等、所要のトラック輸送に万全を期したのでありまして、災害発生後十一月五日までに、鉄道貨物集配のトラックの輸送を含めまして、近県からはもちろん参りましたが、東北、信越、北陸、近畿地方からも自動車が参りまして、一日平均二百六十四両、延べ一万両に及びますトラックと、一日平均四百五十五名の作業員を緊急動員いたしたのでありますが、これは契約によって運行したわけであります。名古屋地区関係の路線トラック事業に対しましては、約二十回の臨時運行回数の増加を認可いたしまして、さらに区域トラック事業に対しましては二百八十両の増車を認可して輸送力の確保をいたしました。  復興資材輸送につきましては、県、市その他関係個所と十分に連絡をいたしまして、これに即応する態勢を整えておりまして、特に名古屋地区の各駅貨物の集配関係は、一日三百二十九両のトラックが出動いたしまして、平生の約二倍をこえておるという状態でございまして、旅客輸送、バス輸送及びトラック輸送に関しましても、臨時増車その他の手配で極力遺憾のないようにしておりますが、復旧に従いまして、この態勢は緩和されてきているという状況でございます。
  15. 堀内一雄

    堀内委員 ただいま大臣並びに局長から、災害の際の輸送に対する応急処置について御説明をいただきましたが、私のお伺いいたしましたのは、ただいまの御説明ももちろん希望しておるのでございまするが、こうした災害のときに、現在の鉄道、ことに私鉄、船、バス、トラックというようなものを徴用して使うということが、法制的にできておるかどうかということをお伺いしたのですが、その点についてお答え願いたい。
  16. 國友弘康

    國友説明員 私鉄、バス、船舶等関係するところは多いのでございますが、自動車に例をとりまして一応御説明申し上げたいと思うのであります。  今回の災害対策輸送に関しまして、今申し上げましたように、トラックその他非常な両数手配をいたしましたが、これは県あるいは市と業者間の随意契約によるような形で運行されまして、災害救助法の発動はいたしませんでした。態勢といたしましては、今先生がおっしゃいますような徴用という形は、現在のところ認められておりませんが、道路運送法の第三十四条に「運輸大臣は、当該運送が災害の救助その他公共の福祉を維持するため必要であり、且つ、当該運送を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、自動車運送事業者に対し、運送すべき旅客若しくは貨物、運送すべき区間、これに使用する自動車及び運送条件を指定して運送を命じ、又は旅客若しくは貨物の運送の順序を定めて、これによるべきことを命ずることができる。」というふうに、運送に関する命令をすることができることになっておりまして、これは補償という形で金が支払われることになっております。こういう制度が一つございます。他の海上運送法等にもこれに似た制度があることと考えておりますが、そのほかもう一つ、災害救助法の第二十四条に従事命令という制度が規定してございまして、これには医療、土木建築工事、輸送関係というようなものが包括して規定してございます。たとえば輸送関係者に対して救助に関する業務に従事させることができる、この場合には実費を弁償するという制度がございまして、こういう制度が活用され行ると考えております。
  17. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 自動車関係につきましては、今局長が説明いたしましたが、船舶の徴用に関することについてお答えを申し上げたいと思うのであります。現在の制度で徴用ということはできないのでありますが、ただ次のような船舶輸送、荷役についての制度があるのであります。すなわち、災害時における緊急輸送については、海上運送法第二十六条に「運輸大臣は、本邦の各港間の航海であって、当該航海が災害の救助その他公共の安全の維持のため必要であり、且つ、自発的に当該航海を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、」航海命令を発行することができることになっておるのであります。またこの場合、国は一定の補償を支払うべき義務があるのであります。また港湾荷役につきましても、港湾運送事業法第十八条の二に「災害の救助その他公共の安全の維持のため」こういう場合に、公益命令を発することができる制度になっております。またこの場合にも、国が一定の補償を支払うべき義務があることは同様であります。今次の災害におきまして、この航海命令及び公益命令を発するに至らなかったことを御報告申し上げておきます。
  18. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまの御説明で船と自動車の問題は大体わかりましたが、私鉄に対する処置並びに国鉄自体において何か内規というようなものがありまするならば、そうした問題をお伺いしたい。
  19. 山内公猷

    ○山内説明員 国鉄と私鉄の関係につきましては、国鉄につきましては日本国有鉄道法、私鉄は地方鉄道法の管理するところでございます。現在までほとんど国鉄としてその関係について問題が起こっておりませんのは、業者間におきまして、そういう災害時において、代替すべき線路がある場合、そこを通すのは、公益事業同士でございますので、ほとんど当然であるというふうな考え方でございまして、従事災害が起こりまして国鉄がとまった場合に、別途私鉄を通じて、国鉄の輸送がある程度迂回輸送ができるという場合には、何ら支障なくその線路を通して国鉄の輸送を完了いたしておる現状でございます。これはまた、私鉄の場合でも同じようにお客さんを輸送しております。で、法律的にはまだはっきりそのことを対象にいたしました条文はございませんが、相互乗り入れあるいは連帯運輸ということにつきまして、監督官庁が命令し得るという規定がありますので、もしもそういう場合に当事者の一方がいやだといったようなときには、そういった公益命令が発し得るものである、かように考えております。その場合には無料というわけじゃございませんで、従来そういう場合に、当事者間において料金の算定方式がほとんど慣習的にきまっておりますので、そういう料金を払うことになると思いまして、その点につきましてはさしたる立法の必要もない、従来非常にスムーズに行なわれておると考えております。今回ははなはだ遺憾でございますが、近鉄線、国鉄線ともにとまってしまいました。現在は、近鉄の養老線を通しまして、セメント輸送の関係で、国鉄車一日六十三車を十月一日から、関西線の桑名経由を大垣経由といたしまして送っておる、これが現在私鉄、国鉄の、ただいま御質問の趣旨輸送手配でございます。
  20. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまの御説明で大体わかったのでございまするが、この際、今度の災害に対する輸送におきまして、運輸当局として思う通り輸送ができたか、またはこうした点において欠陥があったというような経験がありましたら、それをお伺いいたしたいと思います。
  21. 國友弘康

    國友説明員 災害が起こりまして、災害対策本部ができましてから、運輸省からも石原長官のもとに関係官が派遣されまして、県及び市と連絡をとって十分対策を立てて、いろいろな手配をしたわけでございますが、復旧に関しまして、いろいろ問題点及びやるべき点はございましたが、従事員、陸運局、海運局初めみな一生懸命やりまして、相当な成績を上げたと私どもは考えております。ことに運輸大臣も向こうに参りまして現地を視察し、そのほか、いろいろな手配をされまして、効果が上がったと考えておる次第であります。
  22. 堀内一雄

    堀内委員 今度の災害につきましてもさようでございますが、運輸大臣みずから現地指導をされるというような、いろいろな御尽力によって円満にいったことと存じますが、とにかく、災害というときには、申し上げるまでもなく、瞬間的に処置をしなければならない場合が非常に多いのでありまして、そういう意味から、われわれの委員会におきましても、いわゆる災害法といったような特別な法令を考えて、ただ輸送ばかりでなく、救助の方法等におきましても、一々中央の指図を受けないでも、現地において直ちに実行できるというようなことが必要じゃないかという意見が強いのでございますが、そういうようなことにつきまして、将来運輸行政におきましてもなさっておくことがいいじゃないかというふうな感じを持ちますが、大臣の御所見をお伺いしたい。
  23. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 ごもっともな御意見でありまして、私は災害地のあちらを視察して参りまして、帰りましてから、閣議におきましても、どうしても、こういう突発的な大きな災害が起こった場合において、直ちに機に応じ変に臨むような行政的体制を整える必要がある。それには、やはり日本のように年々定期的に襲ってくる災害に対して、全くいろいろな点において、どろなわ式と申しては何ですが、統一した総合的な、機動性のある対策をとっておらない。従って、これは災いを転じて幸いとするといいますか、こういうことを契機として、やはり総合的に有機的な災害の対策をする必要がある。それにはやはりいろいろな関係法規、たとえば水防法に例をとりましても、水防法は直轄河川の法律でありますが、高潮については、海岸のものについては全然水防法の適用を受けていないし、何もない。従って、水防法に基づくいろいろな警告その他の問題も、今回のようなああいう高潮について、何らの法的裏づけの規定もないというような状態でありまして、全く御指摘のありましたような点で総合的に全体を規制する必要があるということを考えまして、できれば通常国会に災害に対するそういう法的措置、有機的な機動性のある措置をとることを何らか考えたいということで、実は提案しておるような次第であります。
  24. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまの大臣の御説明でよくわかりましたが、先ほど局長のお話の中に、円満にいったということでありまするので、それはけっこうでございまするが、しかし、円満にいったときはいいのでございますが、やはりそこには法的の根拠を持つというようなことも必要なことじゃないかと思うのでございます。さらに申しますれば、運輸行政におきましては、ほとんど各種類の機関が許可、認可制になっておると存じますので、そういうときに、やはり許可、認可のたびにその条件をつけておくというようなことも私は必要なことではないかと思うのでございます。これは一つの意見として申し上げておくわけでございます。  次にお伺いいたしたいのは、これからあの三重、名古屋付近を中心として非常に大きい復旧作業が起こると思うのでございます。従って、この資材というものは大へんなものになると思います。しかも鉄道道路も、復旧はしたとはいえ、これが実際に役に立つには非常におそくもなろうし、能率も落ちるというようなことにもなりましょう。ことに民事におきましても、あの長い間、八十日間にわたって水の中に入っておるといったような罹災者生活を考えますときに、あらゆるものが役に立たないというようなことで、ちょうど戦争の際における空襲を受けた人と同じように、ほとんど何にもなくなってしまう。しかも、一たび電気洗濯機の使い方を覚えた主婦たちは、やはり電気洗濯機にあこがれを持つというようなことを考えてみますれば、民事の方面におきましても非常に輸送量が多くなると思うのでございます。そこで、この復旧対策といったような意味において、運輸省は今後の運輸行政の行き方についてどういうようなお考えを持っておるか、お伺いいたしたいと思います。
  25. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 運輸省といたしまして、今陸上輸送に対しまして、やはり自動車貨物輸送及び鉄道輸送等の緊密なる連係的態勢を整えまして万全を期したいと思うのであります。また、港湾等につきましても、先般港湾局から発表いたしましたようなああいう構想をもちまして、名古屋港のあの口に、高潮の波のエネルギーを減殺するために、約九キロの突堤を作りまして、そこでああいう高潮を防ぐことをやろう、また、海岸線につきましても、高潮対策に対して従来のような行き方ではいけないというので、相当復旧改良の方法をとるようにいたしておるのでありまして、私の方は、御指摘のように、気象庁並びに海上保安庁、及び港湾、船舶、相当海に関する行政面を担当いたしておりますので、今回の災害を契機といたしまして、まず海に対するそういうような対策、並びに河川に対する対策、これから起こってくる輸送の総合的な一つの強化、調整等について、省内でも数回会議を開きまして、万全の策を講じたいとして、今やっておるような次第であります。
  26. 堀内一雄

    堀内委員 私は復旧資材輸送ということを中心としてお伺いいたしておるのでありますが、さて何によってこれを輸送するかということになりますれば、それぞれの機関がありましょうが、船舶も非常に貧弱な日本の状態におきまして、貨物自動車というものが今後一番その中心にならなければならぬと思うのでございます。そこで、この貨物自動車の許可、認可とかいうようなことについて、先日新聞にも出ておるようでございますが、この際英断をもってすみやかに処置されて、そうして復興の上に少しも支障のないように一つ配慮を願いたいと存じますが、その点についてお伺いいたします。
  27. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 御存じのように、国鉄が、貨物輸送について非常に貨車が足らないというような状態であり、ますます経済的な発展の段階にあります日本の現状におきましては、やはり陸上輸送の大動脈をなすものは、御指摘のように貨物輸送でありますから、その自動車輸送というものが非常に大きな役割を持つのでありますから、そういう線に沿うて、社会情勢の変化等に沿うて、そういう問題に対して弾力のある許可、認可等を実はやりたいと考えておるようなわけであります。
  28. 山内公猷

    ○山内説明員 復旧資材輸送につきまして、先生の御質問は、鉄道輸送力だけでは不足ではないかという御心配もあるように考えられますので、現在における鉄道輸送状況につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。一番問題になりますのは、あの神武景気の三十一年ごろに、国鉄の輸送力が非常に隘路になっておった。昨今の輸送情勢を見ますと、あのような状態が再現するのではないかという御心配を、各方面——かつまた、現在国鉄におきましては、こういう資材を中心とする輸送、あるいは復旧物資というものを最優先に送っておるので、それらと一般輸送との関係がどうなるかという御質問もたびたび受けておるわけであります。これらを総合いたしまして御説明申し上げたいと思います。  輸送力の設定から御説明申し上げますと、本年度の第三・四半期、いわゆる秋冬繁忙期とわれわれは言っておりますが、この秋冬繁忙期の輸送対策につきまして、国鉄は四千八百万トン程度の輸送量を想定いたしまして、これにほぼ見合う輸送力を設定いたしております。全体といたしましては、三十一年度に見られましたような程度であれば、輸送の隘路はそう大きく見られないのではないかというように一応考えております。ただ、伊勢湾台風によります災害が発生をいたしましてから、国鉄の貨物輸送がどのようになったかということでございますが、これがほぼ正常に復したと見られます十月下旬までの約一カ月間におきます国鉄の貨物輸送量を見ますと、ほぼ想定目標から九十二万トン下回っております。駅頭在貨が、十月下旬には百五十万トンをこしまして、十月の末には百六十万トンに大体達したというような状態でございます。これは大体三十一年度の水準でございます。現在の国鉄の輸送力は、当時からいいますと、相当程度ふえておりますので、今後さらに運用効率の向上に努力することによりまして、三十一年度に見られましたような輸送隘路が起こることを極力避けるというふうに現在努力いたしております。これの数量の動きでございますが、現在の見通しでは、三十一年度の数量であれば、そう大きな隘路は出ないであろうということでありますが、貨物の動きによりましては、あるいはまた一部にそういう点はあるかもしれません。できるだけ輸送効率を向上いたしまして、この輸送を完遂するよう努力するというふうに現場当局は期しております。
  29. 堀内一雄

    堀内委員 この際、貨物トラック輸送に関してどんなふうな計画と考えを持っておられるか、事務的の問題で局長にお伺いいたしたいと思います。
  30. 國友弘康

    國友説明員 トラック輸送に関しましては、先ほど申し上げましたところでございますが、緊急動員輸送といたしまして、延べ一万両ほどのトラックを動員したのでございますが、名古屋の地区の関係におきまして、路線トラック事業に対しまして、約二十回の臨時運行回数の増加を認めまして、ただいま復旧資材輸送その他に充てております。それは既存の回数にプラスしておるわけでございます。そのほか、区域トラック事業に関しまして、二百八十五両の増車を認可いたしまして、輸送力を確保するようにいたしております。復旧資材輸送鉄道に相当負うところが多いのでございますが、これは必然的に通運関係の輸送もふえることになりますので、これに対しましては十分連絡をいたしまして、即応の態勢をとっておるのでございますが、この集配関係も平生の二倍程度ございますので、一日三百二十九両ほどのトラックがこの関係で動いておるのでございまして、目下のところはこの態勢で参りますが、輸送力の増強に関しましては、この上とも早急に手を打っていきたいと考えております。
  31. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまの御説明で大体わかったのでございますが、私どもが一番心配するのは、この復旧または改良のいろいろな工事の際に、材料の輸送というものが非常に重要な条件になるということで、心配しておるのでございます。そこで、われわれの最も信頼する、しかも政治力の強い運輸大臣がおられることでございますから、この際一つこれを契機として万全の処置をとると一緒に、英断をもって今後の復旧に万遺憾のないようにやっていただきたいということをお願いして私の質問を終わります。
  32. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 ただいまトラックによる輸送の問題が出ましたが、私、運輸大臣となりましてからまだ何もしていませんが、トラック輸送に関する根本的な対策を立てたい、これは鉄道輸送とトラックの輸送の持つ一つの重要性と、社会的情勢の変化等を考えまして、従来の認可、許可の線だけにとらわれることなく、やはり実情に即した方向でもって社会的な活動の充足に向けたい、こういう考え方を持っておりまして、いずれそういうような政策のもとにそういう問題を取り扱いたいと思っております。
  33. 江崎真澄

    ○江崎委員 関連して運輸大臣にちょっとお尋ねをいたします。実は、だんだん日がたちましたので、多少われわれも気持が落ちついてきたが、本来ならばあなたにちょっといや味を言わなければならなかったわけです。それはどういうことかと言うと、忘れもしませんが、あなたが十月の六日の日に、愛知県庁内に置かれた中部日本災害対策本部へいらっしゃっていただいて、そうして罹災者には、先ほども緊急措置としてとったとおっしゃる、いわゆる無賃乗車優待の方法ということをやっていただいた。これは、あの当時、裸一貫で疎開をした人、あるいはまた、罹災現地に再建を志してその日その日を送っておる人、こういう人々にはきわめて温情のある政治のあり方であるというので、非常に感謝をされたわけであります。ところが、大臣、一つよく現地の状況をお調べになっていただきたい。あなたが今こういう措置をとったとおっしゃるから、私はひょいとこういうことを言わざるを得ないことになった。それは、あの当時そういう優遇措置がとられたのでありますが、現地においては、残念ながらそういうふうじゃなかった。なるほど、無賃乗車証をもらうのだが、ちょうど現在も没しておる海部地方あるいは名古屋の南陽町というところから名古屋駅まで、トラックでなり、あるいはてくてく歩くなりして、名古屋駅の構内に設けられた優待乗車証交付係というところまで行って、一枚一枚一ぺん一ぺん証明書をもらったわけです。その証明書を持って窓口へ行って切符を買った。そこで、そんな手間のかかる、いかにもお役所式の様子というものにもう罹災者は腹を立てた。それよりも、そんなひまがあるなら、ほかのことに奔命しなければならぬ、少々の運賃は人に借りてでも、能率を上げることの方がいいんだということで、結局あの優遇策は、なるほど、恩典に浴した人もあるにはありますが、大部分の人は、その手続があまりにも複雑で、あまりにも迂遠な労力をかけるあり方に憤慨をして、実際上には行なわれなかった。これが実情であります。しかも、この優遇措置は十月の終わりでもう終わっておるわけでありますから、今日われわれは、済んだことであるから、とやこう言わないというところであるかもしれないが、しかし将来のために、今度の運営がどうであったかということを十分お調べになっておいてもらいたいと思います。  それから、関連質問でありますから、話を続けて申し上げますが、関西線の復旧のことについて、先ほど堀内さんからいろいろお説があったのであります。関西線は現在も水没をしておることは、御承知通りであります。よくラジオやテレビのクイズで、日本じゅうで一番低い土地にある駅はどこでしょうかというのが出る。そうすると、これがたまたま海面下三十センチのところにある海部郡の永和駅であるというような解答を、その昔私もおもしろく聞いておったので、これを記憶しておる。今度幸い、海面下三十センチのところですから、満潮になり、大潮になると線路にかぶってきましたが、永和駅はどうやらすれすれのところで残っておったわけです。ところが、敷設された線路というものは、御承知通り水没しておる。この間の御答弁を聞いても、今の排水が行われたあとでないと、被害の度合いがわからぬから、それに従ってまあ七日間程度でこれは復旧をする、こういう話であります。今日、関西線は、なるほど、東海道線とは違った一つの支線ではあるかもしれませんが、名古屋と大阪を結ぶ幹線であることには間違いございません。また同時に、伊勢市を結ぶ、三重県全体に資材その他を輸送する動脈であることにも間違いありません。これが、じんぜん五十日以上も水の引くのを待たなければならぬということで、ただこれが復旧に一週間かかったら、それでいいというものではなかろうと思うのであります。関西線の復旧の見通しは先般承ったのでありますが、これについての今の復興計画、将来はこうあるべきだというような計画というものはおのずからあると思いまするが、その辺についてどんなことを考えておられるのか。とりあえず日本じゅうで一番低い永和駅というものはそのままにして、また水が引けば海岸堤防で将来は守られるから、もう関西線はそのままでいいというお考えに立っておられるものであるか、五十日以上も不通になったということにかんがみて、何かこれについての新たなる対策というものをお持ちであるかどうか、たまたま堀内君から積極的なお尋ねもありましたので、関連してこういった構想について端的率直な御答弁を承りたいと思います。
  34. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 ただいま江崎委員から申されました無賃乗車の問題でありますが、今お話を承って、私も非常に遺憾に思っておるのでありますが、私が参りましてから、その日即刻、簡単に、しかも、こういう非常時だから、あまり官僚的なやり方をせずに、多少ラフでもやれということを命令して、実はすぐ印刷をさしたような状態であります。海部郡のそういう一番深刻な被害を受けておられる方々に、そういう繁雑な手続のためにいろいろ御迷惑をかけたということは、まことに恐縮に存ずるのでありますが、その他のところにおいて相当にこれは活用された点もありますので、その点は御承知を願いたいと思うのであります。今後のこともありますから、十分その点について注意をいたしたいと思うのであります。  関西線の締め切り工事は、十日に開始いたしまして、排水の準備完了が十五日、排水完了が二十日、工事の着手が二十一日、二十七日に開通の見込みということで、全力をあげているような次第であります。関西線というものは、国鉄当局にいわせますと、非常な赤字線であるということでありますけれども、東海道線が不通になった場合には、先般もそういう経験があったんですが、やはり関西線を通じてつなぐという重要な線であると私は思いますので、今回関西線がこういうような深刻な被害を受けた、しかもそのために三重県その他に対する動脈が断たれておる、こういうことを契機として関西線を強化しろ、そして関西線というものは、ある場合においては少なくとも東海道線にかわるべき役割を持つ、こういうことで、この線に対する強化、並びに、すぐに水につかるようなことではいかぬのだから、やはりこれを補強する一つのことをやれということを国鉄にも申しておるのでありまして、ここの電化問題あるいは複線化の問題等も、深刻な地元の人々の要求がありますが、赤字の問題も、サービスをよくし、スピードをかけ、あるいは複線にすれば、自然人もふえるということになるのだから、その点について、少なくとも関西線の持っておる国家的な重要な役割ということを考えて、この関西線という問題と取り組むようにしたい、こういうことを実は指示しておるような次第であります。
  35. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ただいま運輸大臣から御答弁がありましたように、関西線は、国鉄といたしましても非常に重要な線だと考えております。それで、御質問の趣旨とちょっとはずれますが、将来の関西線の強化ということにつきましては、来年度一ぱいに完成する目的をもちまして、王寺—奈良間の複線化に着工いたすつもりであります。なお、できるだけ早い機会に名古屋—四日市間を複線化いたしたいと考えております。しかし、ただいまの御質問のように、水害対策として、線路の規格をどうするかということにつきましては、ただいまのところ、水の引きますのを待って一刻も早く輸送の開始をいたしたいということに追われておりまして、将来あの地区の水害対策が国家的にもどういうあり方になるかというようなことも一緒に関連して強化をはかって参りたい、こう考えております。
  36. 江崎真澄

    ○江崎委員 大へん明確な御答弁をいただいて、関西線の復旧ということがなおざりにされておらぬということがわかって、非常にけっこうだと思います。ただ問題は、今お説にあった名古屋—四日市間は、関西線としてこれはペイするはずです。今近鉄がはやるから赤字になるので、関西線そのものももう少し勉強なされば、これは完全にペイするところなんです。そこで、名古屋—四日市間を複線にする、こういうような計画を示されたわけですが、この複線化と今度の水害対策とは、当然これは並行して同時に行なわなければいかぬと思うのです。あの辺はもうもともと海面より低いのですから、どんな強固な堤防を作りましても、低いのです。それが、あの名古屋という大都会を中心にして大阪と結ぶ関西線が、五十日以上つぶれておるということは、これは天下の国鉄として大いに考えていただかなければならぬ点だと思います。どうぞ一つそういった根本的な対策についても、ぜひとも積極的な研究を願いたいと思います。そこで、そういう構想ができましたら、最も近い機会に資料等お示し願いたいと思います。
  37. 辻寛一

    ○辻委員 関連して一点だけ。運輸大臣にお伺いかたがたお願い申し上げたいと思いますが、このごろやっと水の引きました名古屋市富田町であります。近鉄は動かず、バスは動かず、孤立の状態でありましたが、幸いにいたしまして、国鉄の御好意で戸田に仮駅を作っていただきまして、住民は非常に弄んでおるわけでございます。そこで、そうした便利についなれるというわけではありませんが、これをぜひずっと作っておいていただきたいというような欲望を持っておるわけであります。嘆願などいたしておるはずでありますが、承りますれば、あの仮駅をお作りいただきますときに、支所長あたりも、近鉄が復旧し、あるいはバスが動くようになれば、おとりいただいてけっこうでありますという一札は入れてあるそうでありまするが、一つしばらく乗降人員の程度等も見定めていただきまして、もしあそこに本駅を、直ちにとは申し上げませんが、将来お作りいただくことができますならば、今度の天災も、彼らにとりましては一つの天恵になるかと思いますので、この点を一つお願いかたがた大臣のお気持を承っておきたいと存じます。
  38. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 今お話のありました点は、国鉄当局並びに私の方の鉄道関係の局長等も相談をいたしまして、客観情勢等をよく見きわめまして、なるべく御趣旨を尊重いたしたいと思います。      ————◇—————
  39. 南條徳男

    南條委員長 この際、辻原弘市君外十六名提出の、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害に係る私立学校児童生徒等の授業料徴収免除に関する補助及び資金貸付に関する特別措置法案議題とし、提出者趣旨説明を求めます。辻原君。
  40. 辻原弘市

    辻原議員 ただいま議題となりました、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害に係る私立学校児童生徒等の授業料徴収免除に関する補助及び資金貸付に関する特別措置法案につきまして、その提案理由の御説明を申し上げます。  本法案提出いたしました理由は、今次災害において被害を受けた国立学校の学生、生徒児童等に対して、国はその授業料の減免を行なっており、公立学校においてもこれに準じその措置がとられているのであります。にもかかわらず、ひとしく教育を受ける立場にある私学の学生、生徒児童等については、これと均衡をとる措置が国においては考慮せられず、ただ私学振興会等の融資によってのみ期待いたしているのであります。私学の現況よりかんがみ、とうていこれでは国立、公立に準ずる公平な減免処置は期待できず、ここに私学にたいし国の援助を与えることにより、国立、公立と同様の減免を行なおうとするものであります。  すなわち、国は、私立学校児童生徒、学生もしくは幼児が、昭和三十四年七月及び八月の水害または同年八月及び九月の風水害で、特に政令で定める地域において水害等を受けた場合においては、政令で定める基準に従って、昭和三十四年十月から昭和三十五年三月までの半年間にわたり、これらの児童生徒等にかかる授業料の額の全部または一部を予算範囲内において私学に対し補助することができるものとし、さらに私立学校振興会は、私立学校振興会法で規定している業務のほか、右の風水害を受けたものに対しては、国が補助した額に見合って必要な資金を貸し付けることができることといたしているのであります。  以上、本案の概略を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願いいたします。      ————◇—————
  41. 南條徳男

    南條委員長 ただいま提案理由説明を聴取いたしました法案も、あわせて質疑を行なうことにいたします。
  42. 江崎真澄

    ○江崎委員 角屋君の質問に入られる前に、先般御要求をしておきましたが、いわゆる締め切り、排水促進の水没地帯の進捗状況、これを建設大臣にその後の状況について承りたいと思います。しかも、今関西線の復旧の問題で、運輸大臣は、十五日から全面排水にかかって、二十日には排水が完了するという言葉があったようでございます。これはほんとうなのですか。建設大臣から最新情報をこの機会に承りたいと思います。
  43. 村上勇

    ○村上国務大臣 締め切り及び排水の今朝までの状況について御報告いたします。  海部北部地区におきましては、御承知のように、十日に締め切りが完了いたしまして、先般の御質問に対して私がお答え申し上げましたのは、二十五日までには排水を完了するということでありましたが、これはその後鋭意総力をあげて努力した結果、大体二十三日には排水が完了する予定と相なっております。従いまして、この地区における津島市方面の非常な困難な状態にかんがみまして、上流におきましても一部別途な排水をしておりますので、逐次減水しつつあるのであります。それから、最後まで残る、先般御報告申し上げました海部南部でありますが、これは十一月末日の予定であったのでありますけれども、これも鋭意努力した結果、まだ確定ではございませんけれども、来る二十四、五日の干潮時を利用いたしまして締め切りを完了する予定と相なっております。それから木曽岬は、九日に締め切りが完了しましたので、十八日には排水を完了の予定であります。長島南部は、十六日に締め切りを完了いたしまして、二十五日には排水を完了する予定でございます。桑名地区方面は、十二日に排水が完了いたしました。
  44. 江崎真澄

    ○江崎委員 あと一言だけ。今の二十五日が二十三日に早まりましたことは、感謝にたえません。関西線は、なるほど、これは土盛りがしてあるから、排水完了が二十三日だが、関西線は二十日にはもう復旧工事にかかれる、そういうような意味でしょうね。
  45. 山本三郎

    ○山本政府委員 お説の通りだと思いまして、二十三日は、一番低いところの水も全部引き揚げることができる日だということは確かめてございます。
  46. 江崎真澄

    ○江崎委員 よくわかりました。
  47. 南條徳男

    南條委員長 では、角屋堅次郎君。
  48. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、主として建設大臣、農林大臣に対しまして、台風十五号を中心にいたしましたいろいろな問題について、重点的にお伺いをいたしたいと思います。  すでに政府の方からもそれぞれ各省関係法案が出尽くしまして、本委員会といたしましても、これに基づいて、わが党の方からは必要な特別立法等も出して、並行審議という形で審議が進められて参っておるわけであります。いよいよ本日は補正予算について最終段階ということに相なっておるわけでございますが、私ども、今日までの予算委員会あるいは特別委員会審議を通じて焦点の一つとなりました被害激甚地の指定、こういう問題について考えてみましても、この問題については幾たびか論議が重ねられて参って、政府の一応の案が示されたわけでございますけれども、伊勢湾台風の中心であった愛知、三重、岐阜、こういう三県の今後の災害復旧という立場から見ますと、当然私どもは全県指定ということを期待しておったわけでございますし、総理自身も本会議の席上において、十五号台風史上空前の大災害であるということを言われたにもかかわらず、現実に政府原案で示されたところはきわめて不満足な結果でございます。これらの点については、今後さらに特別委員会審議を通じて、より前進をした結論を得たい、こういうふうに考えておりますので、大蔵大臣の出席も仰がねばなりませんから、本日の機会はこの問題については避けたいと思います。  そこで、十五号台風に焦点を合わせていろいろ考えて参ります場合に、あの甚大被害を受けた愛知、三重、岐阜寺の海岸地帯の復旧をどうするか、これが一つの大きな問題でございます。なおまた、海岸に関連するところの河川等の災害復旧をどうするか、こういうことが一つの大きな焦点になるわけでございます。そこで、海岸堤防設計の問題でございますけれども、この点については、大臣御承知のように、海洋法の第十四条において「海岸保全施設は、地形、地質、地盤の変動、侵食の状態その他海岸の状況を考慮し、自重、水圧、波力、土圧及び風圧並びに地震、漂流物等による振動及び衝撃に対して安全な構造のものでなければならない。」こういうふうに規定をされております。従来海岸保全地域の所属が、あるいは建設省に所属し、あるいは農林省、運輸省等に所属しておる、それらの所属の設計の基準というものについて、海岸保全施設構築基準というもので明示をされて参って、その後においては、こういう形において現実にはやらなければならぬということになっておるわけでございます。しかし、今度の台風十五号の災害の場合にいろいろ指摘をされましたことは、海岸の保全区域というものが三省にそれぞれまたがっておって、三省にまたがっておるそれぞれの設計基準というものがいろいろまちまちである。不統一である、そういうことが、今度の災害が発生をする一つの要因になったのだ、さらにまた、今日までのいわゆる海岸工学というものが歴史も非常に浅く、そして十分なる日本におけるところの態勢が整備されておらぬ、こういう点等も指摘をされて参ったわけでございます。御承知のように、建設省においては、土木研究所の中でこういう問題については鋭意研究をされておるわけでございますけれども、しかし私ども、昭和二十八年度に大災害を受けた三県のあのあとの海岸復旧が、今度の場合において決して万全でなかったということをまざまざと見せつけられた場合に、今度の台風十五号の海岸復旧というものをどうすべきか、あるいはまた、それに伴うところの河川復旧というものをどうすべきかということについては、真剣に考えさせられておるわけでございます。そこで建設省といたしましても、農林省といたしましても、あるいは運輸省といたしましても、この問題については、いわゆる伊勢湾海岸地帯の堤防の構築基準、こういうものについていろいろ検討が進められておるということは聞いております。あるいは堤防の高さを七メートルにするとか、あるいはパラぺットをつければさらにそれよりも前進をするとか、いろいろなことが伝えられておりますし、同時に、従来とられて参りました直立型等の形式についても、工費はかかるかもしれないけれども、これを傾斜型に改めるということについても検討しなければならぬじゃないか、あるいは直立型と傾斜型との混成の型等についても検討すべきじゃないか、こういうことがいろいろいわれておることも私ども承知しておるわけでございますが、この機会に建設大臣にお伺いをしたいのは、今度の台風十五号の経験を生かしまして、今日の段階において、伊勢湾の海岸地帯の堤防構築というものについて、基本的にどういう考え方で臨もうとしておるか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  49. 村上勇

    ○村上国務大臣 今次伊勢湾等の海岸堤防の災害に対しまして、従来の考え方を一応再検討する必要があろうと思います。従いまして、建設、農林、運輸、この三省におきまして、これらを主体とする高潮対策協議会——仮称でありますが、こういう一つの機関を設ける、それには、もとより三省のあらゆる専門技術官をその委員といたしまして、なお土木工学界あるいは民間の学術経験者等もこれに参加を願いまして、そうして科学的に、しかも総括的に、これらの堤防の高さ、あるいは構造、また強度等につきましては十分検討いたしまして、その最終決定を見た上で、私どもは今後この工事を施行いたして参りたいと思っておる次第であります。
  50. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 昭和二十八年度の災害のときの伊勢湾の海岸地帯の設計の基準の前提について、私は、愛知県から出されております「昭和二十八年十三号台風海岸復興誌」というりっぱな書籍の内容を検討したわけでございますが、それによりますと、たとえば風速の問題についても、風速二十五メートルという前提に立っておる、あるいは吹続時間についても五時間という前提に立っておるというふうなことで、あのときの海岸堤防の設計の基準の前提条件、こういうものが、やはり安全度の見方が非常に少なかったということを痛感せざるを得ないわけであります。そこで、あの二十八災の海岸堤防を作るときの最も重要な要素になった前提条件について、もう一度建設大臣もしくは所管の局長からお伺いしたいと思います。
  51. 山本三郎

    ○山本政府委員 昭和二十八年の災害の直後におきまして、海岸堤防の改良復旧工事と申しますか、そういうものの計画を立案したわけでございますが、あのときの基礎になりましたのは、十三号台風によって起こりました潮位並びに波高、それらを勘案いたしまして、しかも満潮時にそれがきたということを対象にいたしまして計画いたしたわけでございます。
  52. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣にいたしましても、河川局長にいたしましても、すでに済んだことについて、具体的な前提条件の風速なり何なりについては明らかになっておる設計の基準があろうと思うが、非常に抽象的に答えられました。このことをさらに深く追及することについては、資料も私の方にあることですから、避けたいと思うわけでございますけれども、今度の伊勢湾の海岸地帯の設計の前提条件について、現在構想されておるところを一つ具体的に明らかにしてもらいたいと思います。
  53. 山本三郎

    ○山本政府委員 今回の台風の結果によって起こりました潮位と波高をいろいろ研究いたしまして、実際に起こりましたものをまずつかまえる、しかも、それが潮の高いときにきたらばどういうことになったかという研究をいたしまして、今回のような台風と風速が参りましたときにも安全であるようなものを作りたいということで計画するつもりでございます。
  54. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 堤防構築の形式として、傾斜型あるいは直立型、混成型等あるわけでございますけれども、今日までの台風被害の経験にかんがみて、いずれの形式を中心に考えていこうとしておるのか、この点についてお伺いしたい。
  55. 山本三郎

    ○山本政府委員 その点に関しましては、二十八年の災害直後にやりました堤防の今回の被害状況等を十分見きわめまして、それによって計画を立案するつもりでございますけれども、おおむね、二十八年に建設省関係でやりましたのは、傾斜型と申しますか、非常にゆるいものではございませんけれども、ある程度の傾斜を持った護岸をやっております。あの程度のものによりますれば、高さの問題は、先ほど申し上げたことによってきまるわけでございますけれども、形といたしましては、ああいう形のものをしっかりやりさえすれば、十分持ち得るのではないかというふうに考えております。
  56. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 新聞の報道するところによりますと、京都大学の防災研究所員の矢野教授あたりの現地を視察した話、その他、この問題については非常に重要な問題でございますので、数次にわたっていろいろの角度から新聞で報道されているわけです。それによりますと、堤防の構築については、これは経費はかかるかもしらぬけれども、鉄筋の堤防構築ということを真剣に考えなければならぬのじゃないかということが提唱されているわけですが、その点について建設省としては十分検討しておるのであるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  57. 山本三郎

    ○山本政府委員 御説のように、私も現地のある部分につきまして被害を受けた点を勘案いたしまして、コンクリートの打ち継ぎ目、継ぎ目がやはり丈夫でないといけないということは実感しております。従いまして、鉄筋をある程度入れなければならぬというような点も検討中でございます。私は、そういう措置をした方が、コンクリートの厚さをうんと厚くするよりも、継ぎ目の点の方が重要ではないかと考えておる段階でございます。
  58. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 建設省の中部建設局関係で、今度の海岸堤防に対する設計案というのを中央に押し上げておると思います。それの資料を私、新聞で見たわけでございますが、それによりますと、そういうふうにいけば大へんいいと思いましたのは、海岸に関連する河川の上流四キロないし五キロまでは、海岸と関連して、がんじょうな河川の護岸をぜひやらなければならぬ。これは予算委員会あるいは当委員会における審議の中でも出たのです。海岸地帯を何ぼがっちりしてみたところで、それに関連をしておるところの河川関係の上流部が弱いということでは、被害を非常に大きくする。そういう点から、上流部四キロないし五キロまでは、海岸の強度と十分にらみ合わせながらこれをがんじょうなものにしていく、こういうことが中部建設局の方から提唱されていることを見まして、私、大へんけっこうだと思うのですが、今日実際に進めておる腹案には、そういう点はどういうふうに織り込まれておるか、お伺いしたいと思います。
  59. 村上勇

    ○村上国務大臣 その点につきましては、ただいま御指摘の通り、ただ波の正面がぶつかるところだけを強固にするだけでは事足りないのでありますから、河口の部分も、何キロまでということについては研究を要する点があろうと思いますけれども、今後高潮等によって破堤しないような十分に強固なものを取り入れたいと思っておる次第でございます。
  60. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは法案の関係あるいは補正予算の関係とも関連をいたしまして、基本的に大臣がそういう方向でやりたいと言っても、はたしてそれだけの裏づけができるかどうかということが、私は問題だと思う。と申しますのは、今度の台風十五号による被害の状況を見ましても、被災の非常に激甚な海岸線もあれば、比較的被害が軽微な程度で終わったというところも、御承知のようにあるわけです。これは私が過般も申し上げましたように、満潮の関係と台風の襲来時間との関連において、たとえば三重県関係について見ましても、鈴鹿以北の海岸地帯はひどい被害を受けておる。ところが、鈴鹿から南、大体伊勢の方面までの海岸地帯は比較的安全であった。ところが、またさらに南下をいたしまして、志摩方面から南西、南東あるいは南北牟婁の方にかけては壊滅的な被害を受けておる、こういう状況であるわけですけれども、その際に、一定の設計基準に基づいて災害復旧をやる場合に、被害を受けておる全壊部分、半壊部分、あるいはそれと効用を同じくする膚接部分、そういう場合に、被害が比較的軽微に済んだところのかさ上げ工事その他というものが、ややもすると従来は軽視されがちになる。この辺のところから、次の相当大きな被害を受けたときに、そこがウイーク・ポイントになって、やられる、こういう事態はしばしば経験するわけです。これは単に三重県ばかりでなくして、愛知県でも同様なことが同じ条件で言えると思う。そこで、伊勢湾を中心として、熊野灘あるいは三河にかけての海岸の復旧をやる場合に、いわゆる災害復旧と関連して、どこまで積極的に災害関連の改良復旧をやっていくか、これが私はやはり重大な問題であろうと思います。このことを完全にやらなければ、再度災害を防止するということはできないと思う。私どもは、今度政府から出して参りました諸法案を見て残念に思うのは、これは建設省ばかりではない、農林省についても言えることですが、なぜ公共土木施設害復旧事業国庫負担法あるいは農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の、根本的な法律の中身における従来の原形復旧主義というものは置きかえて、積極的な改良復旧というように本文においての改正をやらぬのか。そういうことを避けまして、いわゆる特例法でもって、そういう精神をある程度織り込んで、当面の問題としてやっていこうという考え方に立っておられる。これはむしろ、今度の災害の経験を生かして、いわゆる国庫負担法なり暫定法なりの本文を改正をいたしまして、従来ややもすれば非難をされて参りました原形復旧主義というものを揚棄して、積極的な改良復旧主義をとっていく、そして災害関連についても、今度政府みずから特例法でも提唱しておるように、あるいは三分の二にするとか、あるいは重要なものについては八割にする、こういう考え方をなぜ積極的に本文において考えなかったのか、こういう感じもいたすわけです。その問題は、いずれそれぞれ小委員会において十分論議することにいたしましても、今申しましたいわゆる災害被災部分の全壊あるいは半壊、それに関連するものを、もう少し全体的な視野からながめられまして、いわゆる被災はしてないけれども、防災上、再度災害の防止上、当然やらなければならない改良復旧、こいうものについても積極的にやられるという前提で考えておられるかどうであるか、この点については、建設大臣、農林大臣からお伺いいたしたいと思います。
  61. 村上勇

    ○村上国務大臣 今次災害の経験にかんがみまして、十分、将来再びかようなことのないような海岸堤防を作るということを私どもとしては、原則といたしております。従いまして、今回のいわゆる特別立法措置につきましても、伊勢湾等高潮対策の立法を特に設けましたのも、これは結局、ただ単に原形復旧とか、あるいはその破堤個所だけの改良復旧ということだけでなく、将来この危険のある、科学的にそういう結論の出たところに対しましては、これをどこまでも関連事業とし、あるいは改良事業として今後事業を遂行していくということでありまして、あの部分はまあ危険だが、ほっておこうというようなことは断じてしないつもりで予算要求等もいたすつもりであります。
  62. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま建設大臣からお答えした通りでございまして、災害が再度発生することを防止するために必要な改良施設は、積極的にこれを行ないます。
  63. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の伊勢湾を中心にした海岸の災害復旧の問題に関連をして、伊勢湾等高潮対策で法案が出ておるわけでございますが、この点については、昨日わが党の辻原委員からもいろいろ御質問がございました。そしてこれは単に愛知県、三重県ということでなくて、それに膚接する和歌山県についても、これは十分範囲の中に加えて検討すべきであるということを言ったわけでございます。この機会にさらに私から再度お伺いするわけでございますが、私ども承知しておるところでは、この高潮対策の範囲というものについては、これは当然愛知県、三重県等の海岸地帯に入る、さらに、和歌山県その他の問心について目下検討中である、こういうふうに判断をしておるわけですが、その通りでございますか。
  64. 村上勇

    ○村上国務大臣 今回の破堤個所については、御承知のように、高潮等対策の特別立法が出ております。これによって、破堤個所はそれぞれそのスケールによって復旧できると思います。なお、今御指摘になりました熊野灘方面につきまして、この地点も、やはり高潮等による被災のおそれありとすれば、別な方法で改良復旧をやる必要があろうと思っております。
  65. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の大臣のお話によりますと、伊勢湾等高潮対策は、熊野灘あるいは愛知県の三河方面は入るというふうに考えられないような御答弁のようでしたが、その点、もう少し明確にしていただきたい。
  66. 村上勇

    ○村上国務大臣 ただいまちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、熊野灘とか、あるいは愛知県の半田方、而も、伊勢湾ということ、でなくても入  ると思います。
  67. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 海岸問題については、いずれ、また小委員会において伺うことにいたします。そこで、今度の災害で、特別委員会でも非常に取り上げられた問題は、長期湛水地帯の修築あるいは湛水の排除ということが非常に重大な問題に相なりまして、私どもも、こういう惨禍を再び繰り返してはならない、そういうためには、今度の災害の教訓というものを十分くみ取らなければならぬ。この点については、予算委員会で塚本委員からもいろいろ出ましたが、大臣は専門家でございますので、うまく切り抜けられたようです。けれども、切り抜けたとか、切り抜けないとかいう問題ではなくて、やはり、こういう長期湛水状態が二カ月あるいはニカ月半も起こるという事態、こういう姿を見た場合に、私どもは、いわゆる堤防等の仮締め切りという工法、これは、現在サンド・ポンプでやるとか、その他の方法でいろいろやられておりまするが、諸外国の例、あるいは従来の災害の教訓、こういうものから見て、予算が少々かかっても、一番早くでき上がるのはどういう工法か、こういうことについても、やはり積極的に検討を加え、そして、台風襲来期には十分万全の態勢をとっていくということが考えられないと、こういう災害惨状というものは、再びどこで起こらぬとも限らない、私はこういうことに相なろうと思う。そこで、従来から伝統的にとっておるところの工法というものに拘束されるのではなしに、やはり、こういう事態に対しては、一番早い方法——予算はいろいろかかるかもしらぬけれども、一番早い方法、あるいは沈船工法であるとか、ドラムカン工法であるとか、いろいろなことを今度、部分的には考えられたわけですけれども一番早い工法というものはどういうものであるか諸外国の例から見て、こういう点については十分検討する必要がある。さらに、こういう場合のサンド・ポンプその他の問題についても、日本全体の所有量はどうであるか、あるいは、台風の場合にどういうふうに配置すべきであるか、こういうこと等についても、やはり、将来の問題として十分考えておかないと、将来とも万全な態勢にはならないと思う。こういう点について、今度の教訓を生かして、建設省としてどういうふうな考え方でおられるか、お伺いしたい。
  68. 村上勇

    ○村上国務大臣 今回の締め切り、排水事業につきましては、今日の近代技術といたしまして、私は決して恥ずかしくない措置をとったつもりであります。また、これ以上のことが、今の日本の技術の段階でできようとは私は思っておりません。それほどに、技術的もに、これより方法はなかったと私は思っております。また、経済的と申しますか、国費は、たとい一円たりとも粗末に使うべきものではないのでありますが、今回の締め切り工事につきましては、角屋委員も御承知のように、補助におきまして三十三億、直轄でも八億五千万というような膨大な——もう本堤ができれば取り片づけなければならないような暫定的なものに対しましても、これだけの国費を打ち込んでやっておりますし、その関係職員は、ほとんど不眠不休で、テント生活をしながらこの締め切りに従事してやっておりますので、私といたしましては、これ以上のことは、たといどのように責められてもできないというところまでやったつもりであります。ただ、その間に、まあ、日本の国内におけるサンド・ポンプ等の事情は、まことに遺憾でありますが、十二、三万馬力ぐらいしかない。その中で——みんなそれぞれの用途についておるのでありますが、それを突如としてのあの災害に対して、まず、当初は一万八千馬力ぐらい集めればいいと思っておりましたが、修繕その他を要するポンプ船もありますので、二万一千七百馬力だけのものをあの地点に短期間に集結いたしましたのも——その点についてはいろいろと隘路もありましたが、どうにかこうにか予定の日程にそれを集めることができたことも、私といたしましては、最善を尽くしたと思っておる次第であります。
  69. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、当面の事態に対処する建設省あるいは政府の御努力については、高く評価するにやぶさかではございません。しかし、今度の台風の長期湛水地帯の被災民の立場から、刻も早く水を引かしてもらいたい、そう願う人々は、まず専門的な技術については十分承知していない。現実に、愛知県と三重県の間でサンド・ポンプの配船についてはいろいろな問題があったろうと思う。私どもも、その点については承知しております。そういう点から申しまして、サンド・ポンプ船の日本全体の能力というものについても、必要ならば、これをもっとプラスして考えていく、こういう、将来の態勢についても十分考えてもらいたい。  さらに、工法等の問題についても、今日の段階ではこれが限度だということに相なるかもしれませんけれども、科学は前進しなければなりません。こういう緊急事態については、一刻も早く、湛水を排除するということが至上命令でございますから、この点については、十分科学的に検討してもらいたい、こういうことを要望申し上げておきたいと思います。  なお、また海岸の問題で、御承知のように、それぞれ海岸保全区域については海岸保全区域台帳というものを設けることになっております。この海岸保全区域台帳の中には、平面図なり、横断面図なり、水準面図なり、いろいろな要項を書き込むことになっておる。こういう海岸保全区域台帳にも関連して、私は大臣に要望しておきたいと思いますことは、やはり、それぞれの海岸保全区域の海岸の安全度というものです。たとえば、東京湾の中等潮位はどれくらいか、あるいは過去における最高の潮位はなんぼであるか、大体風速はどれだけ、水位はどれだけのものに耐えるか、こういう点を海岸保全区域に関連のある地域の人々が十分承知をする、いわば科学する国民の立場から、台風襲来の予報その他から見て、風速がどれだけで、どういう強度でくるならば、自分のもよりの海岸はそれに対して安全であるのか、危険であるのか、こういう点を十分認識する態勢を考えておく必要がある。そういう意味においては、海岸保全区域台帳というものは、単に帳簿の中で眠っておるのではなくて、これはもっと整備をされて、これが緊急避難その他の問題とも関連をして十分生かされる、内容の充実したものにする必要があろうと私は思う。これらの点については、従来から施行規則等でいろいろ内容のことが書かれておりまするけれども、今後、こういうものを活用しながら、関係するところの人々が、台風の襲来期に備えて、自分の関係する堤防の強度がどういうものまで耐え得るか、そういうことを十分周知せしめるという点について、どう考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  70. 村上勇

    ○村上国務大臣 海岸面における、ただいま御指摘のようなものは、これは専門的にはみな出ておりますし、だれもみなわかっておりますが、しかし、しろうとにわかりやすくというような点につきましては、これは、私どもも十分検討いたして参りたいと思っております。特に、この台風の速度、あるいはその高潮のあり方、満潮時における波の高さというようなことにつきましては、従来も研究しておるつもりでありますが、今後、特に今次の災害にかんがみまして、十分な検討を科学的にした上で、だれにでもわかるような方法をとって参りたい、かように思っておる次第であります。
  71. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 海岸の復旧の問題と関連をして、特に、愛知あるいは三重、岐阜等の関連においては、地盤沈下という問題がやはり非常に大きな比重を占めておることは、御承知通りであります。これは、愛知県の復興史を見ましてもそうでありまするし、ひどいところでは、大体一メートル近く地盤沈下がある。普通のところでも四、五十センチある。こういうことについては、昭和二十八年度の地理調査所の測定、あるいはその後の建設省でやられたいろいろな測定、こういうものから、すでにいろいろな資料が出ておるわけでございます。私は、自然に地震その他の要因によって地盤が沈下していく、こういう問題についても、やはり海岸防備上の問題としては、これが明らかになっていないと、うちの海岸は非常に安全な海岸だという安心感から、被害が非常に大きくなるということもあり得る。地盤沈下対策というものと災害復旧との関連は当然であるわけでございますけれども、こういう問題について、建設省として、従来どういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思う。
  72. 山本三郎

    ○山本政府委員 地盤沈下につきましては、特に南海震災以来の、異常なる天然現象によりまして起こりました地盤沈下につきましては、地盤沈下対策事業というのを設けまして、ずっと長くやっております。まだ若干事業費が残っておりますが、あと二カ年ぐらいでほとんど完了したいということにしております。それから、その他の地区におきまして、工業用水のくみ上げ等によりまして地盤沈下を起こしておるのもございます。それに対しましては、地盤沈下対策事業費の補助を国費の中に計上いたしましてやっております。しかし、この問題につきましては、原因と結果等の問題につきまして、あるいは将来の見通し等につきまして、非常にむずかしい問題を含んでおりますので、地盤沈下対策審議会というのが内閣に設けられまして、その辺の因果関係、あるいは国としてどういうふうに取り扱っていくかという点を、目下審議中でございます。
  73. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もありますので、簡単に伺います。  今度の災害を契機にしたわけでも必ずしもございませんが、前々から、治山治水の恒久的な対策ということがよくいわれておるわけでございます。私ども三重県のような場合を見ましても、特に、たとえば、櫛田川の上流の治山問題、それから櫛田川の沿岸の治水問題、御承知のように、上流部の飯南飯高地方というのは壊滅的な打撃を受けて、約一カ月近くヘリコプターによって食糧の投下をしなければならぬ、りっぱな永久橋がたくさんできておりましたけれども、永久橋さえ流される、国鉄の鉄橋も、櫛田のところでこれが全部流されてしまうというほどの大惨害を生じたことは、御承知通りだと思う。そこで、従来からも河川法でいろいろな規定がございますけれども、これは、やはり直轄河川に編入をして、抜本的な治水対策をやってもらいたい、さらに、大きいところについては、抜本的な治山対策をやってもらいたい、こういう要請が出て参っておるのは、私は当然のことだと思うんですけれども、これは単に櫛田川だけに限らず、三重県の場合には、雲出川もそういうことが言えるし、鈴鹿川についてもそういうことが言える。いろいろありますけれども、現実に、南勢方面で申しますと、宮川の場合は、宮川の多目的ダムができておったために、今度の災害は、そういう方面からはほとんど起こらなかったという例がある。きのうは辻原委員から、防災ダムといえども必ずしも安全でないと言われたが、そういう例もたくさん出てこようと思う。安全度の問題は別の性格の問題だと思いますけれども、やはり、いわゆる多目的ダムの建設によるところの洪水量の調節の問題、それは、また予算との関連がありますが、直轄河川というものをふやしていって、国の責任において治水事業というものを積極的に進める、こういうことが必要な段階にきていると私は思う。私どもは、台風の大小によって小河川の被害が非常に多くなってきた、こういうふうな傾向を読み取っておったところへ、今度大河川の被害が非常に多く出てきた。揖斐川、長良川、木曽川等の惨害を見ますと、河川の大小を問わず、惨害の状況というものが次々に起きてきておる。こういうことになる。これは、大小を含めて根本的な治水対策を考えなければならぬ緊急の事態にきていると思う。こういう問題に関連して、来年度の予算編成でもこれが焦点の一つのようになっておるのですけれども、特別会計の設置の問題、いろいろ出ているようです。従来から新治水五カ年計画とかなんとかいわれておりますけれども、現実に予算の段階になると、計画通り進まない、こういう問題に私どもは直面をしております。この点について、根本的な治山、治水対策、あるいは三重県等の災害の状況から見ての直轄河川編入の強い要望が出ておるこれらの問題について、どういうふうに対処される予定であるか、お伺いしたい。
  74. 村上勇

    ○村上国務大臣 ただいま櫛田川のお話が出ました。櫛田川につきまして、私も、あの十月一日に現地をつぶさにヘリコプターによって視察をすることができましたが、いわゆる未曽有の大出水であったということが原因でありましょう。しかし、上流部の山腹が相当荒らされておる、こういうようなことが原因となった。いわゆる砂防にもう少し力を入れて参りませんと、異常な出水による水位以上にその後水位が上がって、あのような被害を受けたものと、かように思っております。従いまして、これを直轄河川に編入して、直轄でやるかどうかという具体的問題につきましては、全国各地から直轄河川編入の相当な要望がありますので、これは一応調査した上で、何とか措置いたしたいと思っております。  次に、治山、治水の抜本的な対策、いわゆる五カ年計画という、ただ単に絵にかいたもちであってはならぬということにつきましては、私もそのように考えております。来年度予算には、何といたしましても、私どもの多年の宿願でありまする、いわゆる特別会計等も、何とか困難を排して、どこまでも予算をつけまして、そうして、この治山、治水についての計画を進めて参りたい、かように思っておる次第であります。
  75. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次は、農林大臣に、数点についてお伺いいたしたいと思います。  先ほども申し上げたわけですが、建設関係の公共土木施設害復旧事業国庫負担法の問題、あるいは農林省関係の農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の問題、これらについて、私は、当初建設省としても、農林省としても、本法の改正ということはやはり真剣に検討されたんじゃないかと思う。従来から指摘されている原形復旧的な考え方を揚棄して、積極的に改良主義をとる、そのためには、やはり本法の関係条項の改正をやらなければならぬ。ところが、そういうことを回避されて、当面の特例法で今日を過ごされようとしておられる。われわれの方からは、暫定措置に関する法律については、本法のこういう趣旨に基づく基本的な改正ということを提案しております。これとの関係で、今後小委員会の中でも審議を進めなければならぬと思っておりますが、これらの問題について、建設省としても、農林省としても、今後の問題としてどういうお考えで対処されようとしておられるか、農林大臣から、この点についてお伺いしたい。
  76. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 今回の災害につきましては、かようなことが再び起こらないようにということを念願といたしておる次第でございます。それを実現するためにはどうすればいいかというと、これは、必要なる場合におきましては、いわゆる改良主義でいかなければならない。これは御説の通りであります。しかし、そのために法律改正が必要であるかどうかということを検討してみたのです。会計検査院等とも相談してみましたが、現在の法律で十分やっていける、こういうことでありまして、別に私どもは改良主義に対して制限を加えるとか、あるいはそういう主義をとらないとか、そういう趣旨ではないのであります。ただ、法律は今のでいいのであって、あれで十分やっていけるからということで、現在の法制のもとにおいてやるということを考えております。
  77. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣は、そういうことで逃げられましたけれども、私は、現実に、過去の災害の場合の査定等の実態におきましても、これは予算委員会でも、本委員会でもしばしば指摘されているように、建設省、農林省と一緒に同行して、大蔵省の査定官がこられる。そうして、査定するものさしというのは、災害地区を原形に復旧するという頭で、ぴしゃりとやっておられる。これは否定のできない現実だと思う。やはり、これは法の建前が、よく読んでみればわかるように、法の本文の方で原形復旧ということで貫いている。それに関連して、改良主義的なことが条項としてある。こういう形になっていると思う。しかも、現実に予算の裏づけの問題からいきましても、たとえば、災害復旧に対して、災害関連という改良主義的な要素を含めるところの予算の比率というものは、皆様方のお説によりますると、従来は五%であったのを八%に前進をさしたのだと言っておる。しかし、一体八%というふうな比率で、どこまで災害関連によるところの積極的な改良復旧工事ができるかということは、これは、結論はおのずから明らかだろうと思う。私どもは、災害関連についての予算の上では、少なくとも二割以上の裏づけをしなければ、いかに改良主義をとるのだ、とるのだといっても、現実に現地に行った農林省、建設省の査定官にしても、現地の要望にこたえるような査定というものはなかなかできにくい。あるいはまた、大蔵省はことに金を締めるところですから、厳密な査定をやるということになるのです。現実に、たとえば現地の報告を聞いてみますと、三重県でも志摩から南西、南東、南北牟婁にかけての海岸地帯の非常に激甚地の海洋査定という問題について、——これは漁港も含めてですけれども、依然として、やはり原形復旧という頭で査定にきておる。こういうことで、非常に心配をしておられる。最近また行かれましたけれども、これはやはり太平洋に直面しておる熊野灘地帯としては、この機会に積極的な改良復旧をやってもらいたい、現実にそうい提案を持ってきておる。それから、現地の災害復旧で一番心配になるのは、原形復旧主義で依然としてやられるということに対する心配なんです。そういう心配を払拭するためには、やはり今申しましたような考え方が、その方針であるならば、国庫負担法なり暫定法なりの改正をやって、従来の考え方を切りかえる、こういうことを明らかにすることが必要ではないかと思うのですが、その点について、再度お伺いしたいと思います。
  78. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私どもも、いたずらに原形に復旧するという主義にこだわっておるわけではないのであります。さようなことでございますので、伊勢湾地帯につきましては、特に十分な関連工事費をとってやろう、こういうようなことで、一般のところにおきましては、伊勢湾地帯ほどのことはありませんから、八%というような関連費をとっておりますが、必要なところには、その八%の金を五〇%でも六〇%でも回しまして、十分やっていくつもりなんです。ただ、いろいろ相談してみましたけれども、現在の法制で、さようなやり方をやっていくことについて一向妨げにならない、かようなことで、法の改正には手をつけない、かようにいたしたいと思います。
  79. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 資金関係の問題で、われわれの方からは農林漁業金融公庫法の一部改正ということで、政府出資等も考えて提案をしておるわけですし、同時に、天災融資法等の問題についても、政府からも相当前進をした案を出してきておりますが、われわれの方でも、融資ワクの問題、あるいは、こういう天災の際の融資の利率の問題について、現地の罹災民の要請から、さらに政府案よりも前進した案を出しておることは御承知通りです。こういう問題の中で、特に本日お聞きしたいのは、自作農維持創設資金の問題です。自創資金については、これは農林漁業金融公庫の今度の融資ワク百四十二億六千九百万円、こういう融資ワクの中で、八五%の百二十一億二千九百万円を大体今年度使う予定で、それを土地改良、林業、漁業、虚業、共同利用あるいは主務大臣指定の問題、さらに自創資金の問題、こういうことで、それぞれ割り振っておられる。そうして、自創資金には四十七億二百万円、こういうワクが示されておるわけです。ところが、現実にいろいろ農林漁業金融公庫なり、あるいは農林省の関係方面で聞いて参りますと、今手持ちは二十九億五千百万円だ、これで台風十四号、さらに激甚の被害を受けた台風十五号に対処しようとしておる、こういう実情にあるわけです。そこで、たとえば台風十五号の中心であった愛知県、三重県、岐阜県等の被害の自創資金の需要額はどうか、こういうことになると、現実に需要額として上がってきておるのは、三県だけでも百二十九億から上がってきておる。最小限、やはり五十億は、自創資金としておりてこないと困る、こういうことを切実に訴えられておるわけです。ところが、手持ちは二十九億五千百万円程度である。これは三県のみならず、その他の関係県にも当然分けなければならぬ。こういうことになると、三県の需要量というものはきわめて減少されるという問題がある。こういう問題等に関連をいたしまして、災害農民が融資の問題で一番求めておるのは、こういう自創資金にたよってくる。これは三年据置、二十年以内年賦償還という問題があるし、いろいろ条件が多い。一戸当たり十五万円というような限度がありましょうけれども、こういう問題が当然起こる。災害がひどければひどいほど、大きくなる。ところが、手持ちが二十九億そこそこということになると、現実に罹災民の要求にこたえられないということになる。そこで、政府は四十億借り入れをやって、農林漁業金融公庫の融資はこれで十分だと言わんばかりの態度でございますけれども、やはり政府出資の問題なり、あるいは、さらに借入金の増額の問題なりを考えて、特に、今取り上げました自創資金の問題等については最小限、やはり八十億以上百億をこえるようなところにめどを置いて検討する必要があるのじゃないかと思いますが、その点、いかがでございましょう。
  80. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 災害にあたりまして、被災者が立ち上がるという際に、国のいろいろな補助金等の支出も大事でございますが、さしあたり、緊急に手早くいくというような角度からは、融資、これは非常に私は大事だろうと思う。さようなことで、今回は、特に融資につきましては、事こまかに検討いたしまして、ただいま論議をいただいておりますような提案になっておる次第でございます。天災融資法につきましては、過去におきましても、たとえば、二十八年の災害の際に、特別な扱いはいたさなかった。今度は貸し出しの対象につきましても、貸し出しの限度につきましても、また、金利につきましても、あらゆる方面から検討いたしまして御提案をいたしておるようなわけでございます。また、農林漁業金融公庫につきましても同様な問題があって、ただいまお話しのような内容になっておりますが、特に自作農維持創設資金につきましては、これは非常に需要が多いわけでございます。多いのでございますが、大体、私ども被害県の知事から事情を聞きまして、このくらいの程度で御期待に沿い得るのではあるまいかというふうに考えまして、前からありまする十七億円の上に、さらに三十億円というものを乗っけまして、四十七億円という額をもって、この災害の自作農維持創設資金にするというふうにいたしておるわけであります。農家に関する限りにおきましては、金融措置はずいぶん私は整備されておると思う。この整備されているのが非常に複雑でございまして、一つの農家が、あるいは天災法からも金を受け、あるいは自作農維持創設資金からも復旧資金を受け、さらには、住宅金融公庫からも金を借りる、また、人によりましては、育英資金からの借り入れもするというので、非常にいろいろな口がありまして、一つの農家が、さようないろいろな条件のいずれにも該当するという際には、これは多額の金を借りることになるのではないかと思うのです。そういうようなことを考えてみますると、これは、ただで補助をされるのと違うのですから、その償還も、またなかなか容易ではあるまいというふうにも考えられるのでありまして、自作農資金といえども、多ければ多いほどいいのだというふうには、私ども考えていないのです。やっぱり、この程度の金があって、農家の立ち上がりのためのつなぎとして必要であるという額をにらんで貸すべきものではないか、こういう考えを持っておる次第でございます。さようなことで、地元の要請からいえば少ないかもしれぬが、さようないろいろな角度から検討いたしまして、今回の三十億円の増額という程度が適切である、かように考えておる次第でございます。
  81. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの自創資金の問題については、私は、今度の災害罹災民の実態からすれば、かけ離れた僅少の額であると思いますので、いずれ、これはさらに小委員会で検討することにいたしますが、この機会に、天災融資法の融資限度額について伺いたい。これは御承知通り、政令で出すことになっておるわけであります。これは昭和三十一年度の場合には二十二億、あるいは三十二年度の場合には三十一億、三十三年度の場合には五十五億というのを、政令で融資の限度にしたわけですが、今回も昭和三十四年度の災害に対する天災融資法の一部改正が出て参っておりまして、融資限度を引き上げる、その他いろいろな問題が出て参っておりますが、いつ政令を出され、いつ融資限度をきめられるのか、この機会にお伺いしたいと同時に、大体、融資限度というものについて、どれぐらいを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  82. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 融資限度といたしましては、今回は百三十億円を考えておる次第でございます。政令がいつ出るかということでございまするが、政令は、法律が改正され次第、これは直ちにできるように準備をいたしております。なお、提案をしております法律案が通過するという前提をもちまして、諸般の準備を進めておる次第でございます。
  83. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して。今、角屋委員から自創資金の問題について、主としてワクの拡大等の御質問がありましたが、これに関連をいたしまして、借り入れ手続等の簡素、迅速化の問題はいかようにされておられますか。これは、先日農地局長に非公式にお話を聞いた際には、これはきわめて簡易化しておるのだ、こういうお話で、私どももそうだと思っておった。ところが、現地からたくさん人が見えまして、地方庁を通じて罹災農民に通達をされておりますことは、一つも変わっておりません。たとえば、自作農維持創設資金適格認定申請書、いわゆる農業経営安定計画書をまずつけまして、それに膨大な、こまかい、非常にめんどうなものの提出を求め、さらに、農業委員会の意見書の添付書類を付して、一つも簡易化されておらぬ、こういう声が次々とくるのであります。簡易化しておられるならば、どういうふうに簡易化しておられるか、その趣旨をどういうふうにして地方庁を通じて罹災農民、また、一般に周知徹底をさせておられるか、この点をこの際具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  84. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今、先生から御質問になりました点で、従来のを改正いたしまして、手続を簡素化したいということを二つ実は考えております。一つは、今、先生がおっしゃいましたように、安定計画書を作りまして、農業委員会を通じまして県知事に出しまして、そこで認定を受けました上で、さらに戻って、今度は農協から信連の方へいくというような手続になっております。これにつきましては、そういう二段の手続をしますと時間がかかりますので、同じ申請書を、農業委員会を通じて県庁へ出すものと、それから農協を通じて信連へ出すものを同時に出しておきまして、県がいいという場合には、すぐ信連もいいというように、同時に決定できるようにということで、手続としましては改正をいたしております。もう一点は、安定計画書の内容でございますが、一番大きく改正いたしましたのは、安定計画書の中で、将来の営農を安定さしていきますために、初年度にはどういうことをやって、どういう収支計算になるか、次年度にはどういうことになるかという計画を、三年間にわたりまして計画書を作りまして、そうして実は出すことになっておりますが、そういう計画書につきましては、非常にむずかしい問題がございますので、それは、各年どういう収支計算になるかということでなくて、三年間なら三年間という据え置きの間には、自分はこういうふうな安定計画をしたいのだという希望になり、あるいは自分の見通しだけを出してもらえばいい、従来のような、年次別に非常にこまかいものは出してもらわぬでいいというふうに、安定計画書の一番眼目になることを改正いたしております。従来よりは、そういう点で私は簡素化されたのじゃないかというふうに考えております。これを出しましたのは十月上旬でございまして、従来よりも、手続としましては計画書の内容は簡素化されているというふうに私ども考えております。
  85. 足鹿覺

    足鹿委員 これは、小委員会でいずれこまかく伺いますが、そういう措置がとられておるにもかかわらず、現地の考えは、従来のものと変わっておらぬ。災害を受けまして、ほとんど資料も喪失した者もありましょうし、将来どういうふうにして営農計画を立て直すかという、その構想もまとまっておらぬままに書きましても、どの程度にそれが責任を持てるものか、あまりこの書類の形式等にこだわることなしに、思い切った措置をこの際やられて、そうして、一応事態が安定をしてから、さらにこまかく将来の償還計画その他の点についても腰を落ちつけて考えさす、また、それにふさわしい書類等の手続もさせるという便法を、もっとおとりになる必要があろうかと思うのです。先ほど角屋委員が言われましたように、現地の声は非常に多いが、出しても、それが適格の証明がもらえない場合が多い。従来の例から言いますと、百人中一、二名という比率になっております。この際は、もっとこれを簡素化していただきたい。私自身がこれを書こうとしましても、とても書けません。膨大なものであります。なお、これは伊勢湾台風というふうに記入せよというように書いてあるところを見ますと、特別の示達によるものとも考えられます。若干修正されておるとは思いますが、まだまだわれわれ専門の立場から見ても、これを書くにはとても容易ならぬ日時と努力を要すると思います。もう少し大臣の裁量において御検討になって、しかるべき措置をおとり願いたいと思います。直ちにどうということはございませんが、もう少し御配慮になっていかがですか、大臣に一つ……。
  86. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私も、この職につく前から、この手続が繁雑に過ぎるということを感じておりまして、就任直後、簡素化を検討してもらうようにお願いをしたのです。それが、ちょうど今度の台風に間に合ったというところで、今回の手続をやっておるわけなんでございますが、まだ、私も詳細なことを検討いたしておりません。まあ、適当な程度の簡素化は今後もやって参りたい。ただ、これは補助金じゃないのですから、あまり簡に過ぎるということでも、これはこの制度の建前からいっていかがなものだろうか、やはり、農家の方でも、こういうふうに私の方は再建をするのだということを考えながら、それがその手続きの中にもにじみ出るというふうな程度のことは必要であろうと考えますが、お説ごもっともでございますので、今後といえども、これを検討してみたいと思います。
  87. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 長期湛水地帯の水が引いたあとの除塩の問題でございますが、政府の方でも、今度特別立法を出してきておられるわけですけれども、この除塩の問題で、補助率が、客土については二分の一、その他の作業は九割、こういうことで補助率が出てきております。もちろん、客土の問題は、土地改良的な性格というものをそれ自体として持っておりますが、長期湛水という今度の湛水地帯の実情から申しまして、やはり、なるべく高率の補助適用というものを中心に考えなければならぬと思うのです。これは御承知通り、除塩の対象になる地域については政令で指定するということになっておる。従って、おのずから災害の極端な地域が対象になってくるわけです。そういう意味で、客土の二分の一ということについては、農林省としては、土地改良的な性格を持っておるからということが、おそらく理由でしょう。しかし、これは双方ともに含んで高率補助適用というものを考えなければならぬと思うのです。私は、そういう意見を持っておるのですが、同時に、城南にいたしましても、あるいは木曽岬、長島にいたしましても、あるいは岐阜の多芸輪中にいたしましても、また、愛知県の長期湛水の海岸地帯にいたしましても、現実に稲が残っておる。この稲刈りというものは、普通刈るよりも何倍かの労力が要る。これは、やはり刈って、そして除塩という仕事に入らなければならぬ。農林省の方では、こういう現地側の稲刈りその他の除塩に関連する作業についての助成というものが、要請として切実に訴えられてきているのですが、それは中へ織り込んでしまっても、試験場では実際に影響はないというデータが出ているのだ。こういうことで、稲を中に刈り込んでしまうという方の説明を、私にもしておられるわけですけれども、やはり、これは土質にも関係がある。ことに、北西部のところは大体粘土地帯が下層部にある。その上に耕土があるわけです。そういうふうなところで稲全部を刈り込んでしまわずに、中へすき込んでしまうということがいいのかどうかということは、相当な問題がある。根くされの心配も相当しなければならぬのじゃないかという問題が出てくる。だから、そういう心配を排除するためにも、稲刈り作業についても、現地の災害の実態から見て、この際助成というものを考えていく必要があると思うです。これは大した金にならないと思う。そういう点で、私は、政府から出して参りました除塩の法案については、除塩に関する事業という一項目を四の次に加えて、そして、こういう稲刈り等についても助成を行なう、こういうふうにすべきだと思いますが、その点について、どういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  88. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 除塩の法律案で、客土につきまして特別な扱いをいたしましたのは、お話しの通り、客土事業は、これは土地改良的性格のものであって、復旧というか、より一歩前進したものだ、こういうふうな考えなんです。しかし、具体的にどういう地帯に適用になって、そして、そのうち、客土がどの程度の部分を占めるかということを考えてみますと、客土の方はあまり大したことはないのです。ないのでありますから、そういう理論に従って、五割補助だというところでとめておいてもいいじゃないかというふうにも言えまするし、逆に、大したことでもないのなら、一緒に九割補助にしたらどうか、こういう意見もあろうと思うのでありますが、私どもは、それは大したこともないのだから、理屈に従って五割としておいたらどうだ、かようなことで、五割というふうな低率を特に設けた次第でございます。  それから、稲を中へ刈り込んじゃって、これが農作物に将来どういう影響があるかという問題につきましては、私も、そこまで検討もしておりませんか……。
  89. 伊東正義

    ○伊東政府委員 稲、それから稲作の問題でございますが、これは、われわれの方の技術的な見解といたしまして、十分水をかけますれば、かなり塩分はとれますし、これをすき込みましても、今、先生のおっしゃいましたような心配はないのじゃないか。これは試験の結果、いろいろ勘案しまして、法律では、これにつきまして補助の対象としなくても、すき込みということでやっていって差しつかえないのじゃないかという見通しのもとに、今のような法案を作ったわけでございます。また、これの調査につきましては、今後続けて調査をいたしたいと思いますが、そういう結論で、今のような法案を作っております。
  90. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の問題は、さらに小委員会でいろいろ検討することにいたしまして、次に、農協の再建整備の問題です。これは、私どもが法案を出したからということに決してこだわっておりません。今日の台風十五号を中心にした本年度の災害の実態から見て、本年の三月三十一日で、すでに再建整備法の指定という期日は過ぎておる。そして、期間五カ年で再建整備に指定されたところは、再建整備をやっておるという段階でありますが、現実に、本年度の災害の実態からして、従来は再建整備の対象にならないような組合でも、やはり壊滅的な農協の被害が出ておる。たとえば、木曽岬とか長島というところは、従来は非常に経営の内容のいい農協でございますが、今度は壊滅的な打撃を受けた。こういうところも含んで、岐阜、愛知、三重の三県では相当の再建整備を要する農協等が出てこようと思う。これは単に三県のみならず、全国的に言えると思う。この際、私は、再建整備の本年の三月三十  一日で終わっている期限というものを当初来年の三月までと考えましたが、これでは、やはり長期湛水地帯では、それまでに再建整備の指定を受ける態勢ができるかどうかわからぬ。こういうことから、安全を見まして、二年間、再建整備の指定の期間を延長して、そうして、そういう被害激甚地の農協の立ち上がりを促進する、こういうことを、やはり直剣に検討しなければならぬ。農林省の関係方面にもお伺いをしましたところ、それは必要だから、われわれも検討しておるのだと言われますけれども、この際、やはりこの機会にやるべきだろうと思う。そこで、こういう災害の実態から見て、農協の再建整備の必要性というものについて、大臣はどういうふうにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。
  91. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 農業協同組合が農村の生産、販売、その他、各方面の指導的機構といたしましてきわめて重要である、これは、特別法律措置までいたしまして、さような趣旨から農村の今後の再建整備ということをやっているわけであります。今後の災害に関連いたしまして、ことし期限の切れましたものをどうするかという問題が、御承知通り考えられる次第でございます。私どもは、農協といわず、農協等の基盤になっている農村が何とかして立ち上がらなければならぬ、そういうようなことで、非常に壊滅的な打撃を受けておる部落に対しましては、部落補助金というようなことまでやって、その立ち上がりを助成するわけでございますが、農協自体につきましては、お話しのような事態もありますので、通常国会段階までに結論を得るようにというので、今検討しておりますので、さよう御了承を願います。
  92. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に、漁船問題でございますが、これは、今度の一万数千隻からの漁船の喪失実態から見て、農林省としても、この問題については真剣に検討を加えられて、今度は従来なかった助成措置を講ずる、こういうことに一歩前進をされましたことは、私は福田大臣のその勇断に敬意を表するわけであります。しかし、せっかくそういうふうに従来から大きく前進をされましたけれども、さて、出されて参りました法案ということになりますと、これはやはりいろいろ問題が出て参る。たとえば、漁船保険をかけておるところの漁船については対象にしない、保険をかけていない漁船を対象にする、あるいは、政令できめられることになるかどうかわかりませんけれども、対象漁船は、五トン未満の動力船、無動力船、こういうことを前提にしておられる。あるいはまた、実際にこの法案を見ますと、一漁協で二十五隻以上喪失の場合、あるいは喪失漁船が全体の七五%をこえる場合、このいずれかの場合に適用するということに相なっておるわけであります。そういうふうに相なって参りまして、三隻に一隻の割合で八割補助を行なう、こういうのが結論に相なるわけでございますけれども、そこで問題点としては、漁船保険をかけておるという漁業者、これは漁協等が指導され、あるいは県が指導されて、積極的にそういうものの中に入っていく。これが対象にならない。しかも、そういう保険で当たるところの額というものが、建造資金に比べて全体の割合がどういうようになるか。私ども聞いておるところでは、保険でもらうのは、建造資金の二、三割だということを聞いておる。そういうふうな問題等もある。保険をかけ得ないというのは零細漁民でございますから、経済的にはもっとひどいのだということに相なりましょうけれども、この際やはり、保険をかけておる漁民と、保険をかけていない漁民というものとの不公平が、行政指導上起こってはいけないと思う。そういう問題についても十分やはり配慮しなければならないと思います。また、二十五隻なり、七五%なりという限度の問題についても、これではやはり大きく問題になる。もっとこの対象というものについては緩和をする必要があるだろう。さらに、三隻に一隻というこの問題についても、やはり大きく問題になる。せっかくここで農林大臣が大きく前進をさせようということで取り上げられたのであれば、今後小委員会で検討願うわけですけれども、願わくは私どもが出しております線まで前進をしてもらいたいというふうに思っておるわけです。今度の漁船を対象にした補助助成、こういうことには、冒頭に申し上げましたように、深く敬意を表するわけですけれども、この問題に対する大臣の見解を承りたいと思います。
  93. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、沿岸漁民というものは、災害がなくとも、特別の何らかの助成を必要とする階層だというふうに考えまして、今後とも一般的にさような考えを進めていきたいと思います。ところが、その零細な沿岸漁民のところに災害問題が起こっておりますので、これは何とか特別に考えなければならぬというので、こういう制度を初めてやってみるというふうにいたしたわけでございまするが、そのことにつきましては問題はないのであります。ただ、それを適用する場合にその範囲をしぼる、そのしぼり方がきついではないか、こういうお話のようでございまするが、まず第一に、その対象とする船ですが、保険に入っておる者は適用しないというような考え方も実はあるわけです。あるのでありますが、御説のように、それでは権衡がとれないではないかという問題もありますので、この点はなお考え直してみます。  それからさらに、二十五隻以上が沈没または沈没に類する災害にかかった漁業協同組合を対象とするというふうにいたしたのでございまするが、大体漁業協同組合の保有船の平均を見ますと、百隻ぐらいのものが多いのです。それで、被害を受けました漁業協同組合を見ますると、平均が二十五隻ぐらい、こういうふうになっておるわけです。そこで、その平均以上のものを今度の補助の対象にしようということから、二十五隻というものを考えたわけでありまして、大体その二十五隻というのは当を得ているのではあるまいか。それでは、しからば二十四隻以下の場合はどうするのだ、こうおっしゃられるのだろうと思いますが、それに対しましては、一漁業協同組合当たりの、被害を受けました船が何%以上に及ぶところにつきましては、二十五隻以下といえども、今度の補助を適用するというふうにいたしたいと思っております。その何%というのが、今度は、お話によりますると、七五%だというふうに農林省で考えておるが、それはきついではないか、かようなお話のようでもございまするが、これもあるいはきついかもしれないと考えます。これも少し再検討してみたい、かように今考えておる次第であります。
  94. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 暫定法の適用、あるいは政府から出して参りましたものからいきますと、特例法の適用の問題で、大臣御承知の共同利用施設関係で問題になっておりますものは、農協あるいは漁協、森林組合等の事務所の問題があるわけです。さらに、こういう共同利用施設の災害復旧助成の場合に、現在の評価額——実際に災害復旧に必要な額に対する補助率、こういうことでなくて、現在の評価額、こういうようなことになってくると、せっかく補助率は高いもので考えられておっても、実際に手元へもらうものは非常に少ない額であって、再建のためには多額の金を借金しなければならぬという現実の事態にぶつかる、こういう問題が、やはり共同利用施設の問題の中にはある。さらに、大臣も御承知のように、新農村建設計画等で進めて参りました共同利用施設等については、これは法人格があるか、あるいは法人格がないか、こういうようなことから、助成の対象になる、ならないが一つの論点になっておる。しかし、こういう問題についても、やはり私どもの方では、政令で指定する農林漁業者の組織する団体、こういうことで、そういう新農村建設計画等で推進をして参りました共同利用施設等については、これの助成の対象にいたしたいというように考えておるわけでありますが、そういう問題も、現実に共同利用施設の問題としては出てくる。これらの問題については、当初私どもが農林省の考え方として聞いておるところでは、実態から見てきわめて不十分だ、もっと前進をさせてもらいたい、こういうふうに考えておるわけですが、その点についての大臣のお考えを承りたいと思います。     〔委員長退席、綱島委員長代理着席〕
  95. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 共同利用施設につきましては、御承知通り、従来三割、補助するというふうになっておったものを、今回は大幅にこれを引き上げまして九割に持って参りたい、こういうふうにいたしたわけなんです。しからば、その二割なり九割という割合が適用になる価額をどういうふうにして見るかという問題が起こってくるわけでございまするが、お話のように、私どは補助率を非常に高く引き上げましたものですから、その評価の方は、従来のような残存価額主義でいいのではあるまいか、ただし、税法上の償却年限に四割を増して計算する、こういう方針でございますから、割合が高いという点で大体バランスがとれたやり方ではあるまいか、それから過去に比べて相当の改善になるというところで御了承が願えるのではあるまいか。かように考えるわけであります。
  96. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの点については、さらにまた小委員会で細部はやりたいと思います。  開拓問題については、別の機会にも触れたことがあるわけですけれども、特に干拓地の問題でございますが、われわれの方から出しております改正案では、政令で指定する地域の干拓地の農地、農業用施設あるいは共同利用施設等については、この際全額国庫負担でやってやるということで、やはりここまでの思い切った考え方が必要じゃないかと思う。御承知のように、今度やられました鍋田にいたしましても、城南にいたしましても、あるいは碧南、平坂にいたしましても、これを今度再び開拓地としてやる場合においては、頑強な堤防構築というものをやらなければならぬ。大臣もそういうお考えでおられる。そういう場合に、堤防の問題は、従来のように採算ベースの中で考えておったのでは、絶対にりっぱな堤防はでき上がらないということになる。そこで、こういう干拓地の災害復旧という問題について、堤防の問題はどう対処するのか、農地、農業用施設の問題にはどういう対処の仕方をするか、共同利用施設等についてもどうするのか、こういう点について特に明らかにしていただきたいと思います。
  97. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 今回の災害対策全体の中で、開拓、干拓を含めまして、開拓につきましては特にいろいろの措置がとられているということは、御承知通りです。まず干拓の堤防でございまするが、これは入植者には一切御迷惑はかけません。全部国庫でもってこれを負担する、こういう復旧のいたし方をするわけであります。それからさらに、たとえば鍋田干拓のごときを例にとりますと、湛水の時期が来年の一月ぐらいまで続く、かような悲惨なことになるわけであります。これに対しましては、特に集合住宅をあの近傍に設けまして、全部の生存者にあすこにお移りを願うわけであります。そして排土、排水等に御尽力を願うということを考えておる次第でございます。排土、排水が済みますと、いよいよ耕作に各自が着手するということになってくるわけでございますが、その際におきましては、共同施設等につきましては、御承知通り予算案の中におきましても、集団部落対策費というようなものも掲げておりますので、この方々がそう困難なく復興できるということにつきましては、これはあらゆることを考えて措置しているわけであります。
  98. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 関連して。鍋田干拓の話が出ましたからお尋ねしますが、干拓の住民は、相当国から借金をしながら家を作っております。このことについて、あの借金は棒引きにしてもらえるかどうか、こういうことを非常に心配しておるわけです。  それからもう一つは、農機具を全部流してしまいましたし、現在はほとんど痕跡もないくらいひどく参っております。そのことについて農林省はどういうような方法でこれを救済していただけるか、ちょっと干拓の話が出ましたからお尋ねします。
  99. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 入植者の方々が今後再起するということは、これはなかなか骨が折れる思うのです。ことに前に国から借りておる借金の問題というのは重荷になると思うのでありますが、これは災害にかかわらず、開拓者の負債問題というのは、一つ何とか考え直さなければならぬ時期に来ている、かように考えておる矢先に、この事件が起こってきておるわけなのであります。さようなことで、一つ農家再起の重圧にならぬようにということで、特に鍋田とかああいうひどいところにつきましては、一つ一つ取り上げて処置していきたい、かように考えております。
  100. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 全部元気でやっておりまして、甚目寺中学に全部おるのですが、毎日日雇い労働者で出ておるわけです。そして、たとい死んでももう一ぺん行きたいという、非常に強い要望を持っておるわけです。そういう点でいろいろ今までのことを考えると、国家も農林省もずいぶん金を費して、いろいろ苦労をかけたと思うのでございますが一つぜひこれらの人が希望を失わぬように、できるだけ早く処理していただくようにお願いしておきます。
  101. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 被害激甚地の共同化施設の助成の問題ですが、これは昨年の静岡の狩野川の台風のときにそういう措置をとられたのを今回も考えられておるわけです。そこで被害激甚地の共同化施設の助成の問題で、たとえば三重県あたりでも出ておるのは、長期湛水地帯というふうなところばかりでなくて、つまり農村ばかりでなくて、漁村地帯でも、志摩から南牟婁にかけての海岸地帯は、漁港をやられ、あるいは家をやられ、漁船をやられという、そういう壊滅的な被害を受けておるところが至るところにあるわけです。ですから、そういう漁村地帯の共同化施設の助成——あるいは山間部においては、先ほども申しました櫛田の上流地域においては、山手でもひどい被害を受けておる。こういう山間部においても、やはりそういう精神を生かしていく。農林省というのは、これは農地局ばかりでなくて、水産庁もあればあるいは林野庁もあるという、いわゆる総合的な農山漁村を対象にした農林省でございますから、被害激甚地の長期湛水地帯というのは、非常に悲惨でございまするし、そのことが注目を引きますけれども、やはり被害の姿というのは各種各様でありましても、農村においても、漁村においても、山村においても、至るところに悲惨な姿というものは起こっておる。従って、こういう共同化の施設の助成という問題については、広く漁村にも、あるいは山村にも適用するという前提で、積極的にこういう問題を推進していくことが必要だろうと思いますが、この点について大臣からお伺いをいたしたいと思います。
  102. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 今度、共同化の施設につきましては、高率補助を適用するというふうになっておるのでございまするが、漁村につきましては、先ほど申し上げましたように、船が最も重要な生産手段である。この船の復旧助成しようということで、共同施設につきましては、これを対象にいたさない建前になっております。それから農村につきましては、純農村並びに山村すべてくるめまして、高率補助の適用にする、こういうふうにいたしておる次第でございます。
  103. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 漁村に適用しないという考え方ですね、これは小型漁船で少々金を出すから、あとのものはと、こういうお考えかもしれませんが、私は、たとえば伊勢湾の海岸地帯で、漁具倉庫、あるいはいろんな加工施設、こういう個人の加工施設がやられたり、漁具倉庫がやられたりしている。私はそういう個々の加工施設や漁具倉庫を個個ばらばらの弱い経済力でやるというのではなしに、むしろ鉄骨の骨組みを作って、それぞれ区割りにして加工施設等もやったらどうか。そういう改良主義をとったらどうか。あるいは漁具倉庫についても、それぞれ漁具を置くところは仕分けをして、がっちりした倉庫を作って、その中に入れていく、こういう形をやはり考えていったらどうか。こういうふうなことを考えて参りますと、単に農村と山村に共同化施設の助成ということでなくて、沿岸漁業の今日の姿から見ても、やはり漁村においても共同化施設の助成をやっていく、こういう積極的な熱意が必要ではないかと思うわけですが、いかがでございましょう。
  104. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 漁村につきましては、ただいまも申し上げましたように、船が生産の一番の手段でございます。農村、山村につきましては、共同施設というものが生産の手段としてきわめて有力である、かようなことで差別が出てきているのです。しかし漁村につきましても、共同施設をいたしますとか、あるいは個人的な施設をいたしますとかいう際には、公庫の融資をいたすわけでございます。融資を行なうに際しましては、被害の状況に応まして、特に政府としても力を入れていきたい。かようなことに御了承願いたいと思います。
  105. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 漁業の問題が出ましたので、漁港の修築の問題ですが、これは御承知のように、漁港法で漁港は一種から四種まで分かれております。さらに、三種についてはまた特別のものがある。御承知のようにこういうふうに分かれているわけですが、私は、経済利用の観点から第一種から第四種まであるということについては否定はしませんが、しかし、たとえば熊野灘に面するとか、あるいは伊勢湾に面するとか、あるいは太平洋に直面しているとか、こういういわゆる前提条件というのは、どういう漁港の種類に分かれようと、同じことだと思います。ところが、これは一種漁港だからとかあるいは四種漁港であるからという経済的な価値判断からして、災害復旧等の場合に、非常に小さな漁村の漁港というものは、必要であるにかかわらず、旧態依然として原形復旧でお茶を濁されてしまう、こういう例が非常に多い。これはやはり経済の価値判断からいって、日本全国に行き渡っての利用価値がある問題と、その沿岸漁民の利用を中心にした問題との差別というものは、もちろん性格的なものはあろうと思うけれども、置かれている自然的条件に対して海岸を防備するという前提は、これはもうそういう種類にかかわらないと思う。そういう意味で、私は三重県の志摩から南北の方にかけて回ってみて、災害復旧の場合の査定の基準という考え方において、原形をとったり改良復旧をとったりする頭の中に、これは一種漁港である、これは二種である、三種であるという価値判断というものが先行しているというところに、一つの大きな災害復旧上の問題があるということを痛感しているわけです。従って、今後ともに水産庁の方で査定を進められるわけですけれども、やはり自然的条件に対して災害復旧をするにはどうするか、それに対する万全の態勢をどうするかという科学的な基礎の上に立って漁港の修築をやる、こういう基本方針が立てられなければならぬと思うのですが、そういう点について大臣の考え方を承りたいと思います。
  106. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 今度の台風によりましては、特に伊勢湾、渥美湾、これが非常に壊滅的な打撃を各漁港において受けているわけです。そこで特に問題になるのは三重県の南部でございますが、これが北部とやや事情が違うのではないかというような意見もあるのです。従って、今度の伊勢湾台風特別復興地帯として高率補助をする対象とするかどうかというところに、まだ意見の合わない点が政府としてありますが、大体三重県全域の漁港につきましては、私どもとしては、伊勢湾台風地区として指定をいたしたい、かように考えておるわけであります。そういう仕組みになりますれば、お話のように、今後改良復旧を含めまして、十分な復興ができるというふうに考えておるわけであります。
  107. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 林野関係の問題で、山の問題、治山治水関係の緊急砂防、その他の問題もありますし、ことに今度の台風十五号の場合には、莫大な風倒木が生じておるという問題もあって、風倒木対策については、先般の別の委員会でも大臣にお尋ねをしたら、これをパルプヘの利用その他でいろいろ進められておるわけですけれども、現実に風倒木の対策の問題が今どういうふうに具体的に進んでおるか。あるいはまた、実際に換金価値のない風倒木等に  ついては、これが放置されるということになりますと、病虫害の誘致という問題になってくる。こういう問題については、やはり森林組合等に対する適当な助成等によって、換金価値のない風倒木を処理してもらうということも必要だろう。さらに、実際に伐採の期限にきておらないものが風で倒れるということによる山林の資産関係の変化の問題についても、減免措置その他の問題が強く要請されていることは御承知通りですが、これは所管が違いますけれども、農林省としても、そういう要請にこたえていろいろ折衝をしておられるだろうと思う。そういう山林関係の今回の問題について、どういうふうにしておられるか。  さらに、私の地元の伊勢の場合に、神宮の宮域林が非常にやられておるわけです。これは旧来の伊勢神宮という考え方からして、神宮の方ではそういう問題については非常に遠慮しておるわけですけれども、これはそういう問題のいかんにかかわらず、私もヘリコプターの上から見ましたが、非常にやられておる。そういう状況等も加味して、風倒木その他の問題に現実的にどう対処しておられるか、あるいはそれに関連したいろいろな山林関係者からの要請の問題についてどう対処しておられるかという点について、お伺いしたいと思います。
  108. 山崎齊

    ○山崎政府委員 十五号台風によりまして、三重、愛知、長野を中心として、民有林について約一千万石に近い風倒木を生じたのであります。これらは、御存じの通り、全部いわゆる丸太のような形で利用できないというものではないのでありまして、利用価値はもちろん減少しておるのでありますが、利用できるものが大部分ではないかというふうに考えております。これの伐採、利用につきましては、中央に風倒木処理の協議会を置きまして、関係県、あるいはパルプ、木材関係等の業界も合わせまして、この処理についての具体的な打ち合わせを進めつつあるのであります。また、それぞれの県におきましても、県森林組合、木材関係の団体というものを中心といたしまして、水害対策の処理の協議会を置きまして、具体的な処理計画を進めるということで始まっておるのであります。われわれといたしましては、なるべく早くこれを搬出して利用するということが必要と思いますので、ことし並びに来年一ぱい程度でこれの搬出を終わりたいということで、現在計画を進めておるのであります。これの伐採、搬出等に必要とします資金につきましては、農林中央金庫におきましても、優先的にこれを貸し出すというふうな方針もきめておりまして、現に、岐阜県におきましては約一億円、長野県におきましては約二億円程度の融資を、県森連として農林中金からやるという話も大体まとまったというような段階になっておりますが、三重、静岡、山梨、その他の県につきましても、そういう措置を早急に進めたいというふうに考えておる次第であります。
  109. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に、時間の関係もありますので、真珠の問題についてお伺いしたいと思う。  御承知のように、三重県の志摩から尾鷲の方にかけて、これは真珠の本場でありまして、全国の生産の大体七割は今日でも三重県で生産をする、こういう状況にあるのでございますが、今回の十五号台風は、御承知のように、風速五、六十メートルという非常な風でありましたので、大臣も写真その他で御承知のように、壊滅的な真珠の被害を受けた。被害額は大体五十四億といわれておりますけれども、ともかくも、ルース台風のときも、あるいは二十八災のときも、かつて経験しなかったような大災害を経験したわけであります。そこで、農林省といたしましては、よりよりお伺いしたところによりますと、いかだの十五台以下のものに助成をするとか、あるいは今日では大蔵省の方からさらにせびられまして、十台以下のところに大体なりそうだというようなことをいろいろ承っておるわけであります。特に真珠の場合、御承知のように、経営の台数というものは大から小までありまして、いろいろに分かれておりますが、被害を徹底的に受けた階層というものは、中間層に多いわけであります。それが十台以下のいかだ台数の経営者に対して与えられるということになると、被害のひどい階層というものは、助成から除外されてしまうということになる。そこで、かりにこれが十五台できまるにしろ、あるいは十台できまるにしろ、私どもはもっと上位のところでいかだ台数はきめられなければならぬと思いますが、最終的には十台なり十五台で政府原案としてはきまりますにしても、やはり助成の対象になるところは、それ以下の経営者というようなものでなく、それよりももっと上の、これを五十台で押えるか三十台で押えるかということについては、いろいろ検討が必要だろうと思いますが、そういう適当な経営のところで押えて、そうして十台分なり、十五台分に対して助成を認める、こういう考え方に立つのが、政府から案を出される場合において正しいと思う。私どもとしては、これはもっと前進した姿でやっていただきたい。今回の真珠の被害の実態から見てそう思う。先日も志摩町長が来てお話を伺いますと、そういう被害の激甚な状態でありますので、あの志摩地方で約七、八千人の従業員がおるわけでありますけれども、現実に仕事がなくなってしまって、静岡のミカンのカン詰なんかの方に出かせぎにどんどん出ておるという話もしておりました。私どもはそういう姿を見るにつけても、やはり真珠の経営者の立ち直りということは、即そこで働く労働者の立ち直りということにもつながっておる。そういう意味から見て、この真珠対策という問題についても、ことしの十五号台風の実態に思いをいたされて、万全の態勢をとってもらいたい。申すまでもなく、これは海外輸出の面でも、年間少なくとも七、八十億という外貨を獲得しておることは御承知通りでございまして、今後とも、関係十九県ないし二十県とともに大いに前進をさせなければならぬ舞台の一つであるわけですから、今日中心的な生産県である三重県の真珠対策という問題について、あまり消極論にならずに、この際積極的な助成策、そしてまたそれは単に真珠経営者に対する配慮ばかりでなしに、そこで働いておる真珠従業員、これはもう数千名に上るわけですけれども、これらの姿も明らかにしながら、そういう問題についてのいわゆる労働関係の対策と関連をして、万全の措置をとってもらいたい。これはやはり技術陣の問題でございまするから、これが他に流用されてしまうということになると、これはやはり将来の技術陣容の問題としても、問題が起こってくると思う。ですから、そういう総合的な問題の検討の上に立って、真珠対策についての万全な態勢をとってもらいたい。特にこういう点について熱望申し上げているわけですけれども、大臣の所見を承りたいと思います。
  110. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 真珠につきましては、御指摘のように三重、長崎方面に相当の被害があったことは事実でございます。ただ、御承知だと思いますが、真珠については非常に大きい経営体から、かなり零細な経営体まであるわけでありますが、概略を申し上げますと、このたびの被害地におきまする経営体は約二千八百経営体ございますが、このうちで、十台未満となっている経営体が約千三百八十ほどございます。従いまして、この暫定法その他で、施設につきましての九割の補助をするという経営体としては、やはりこの二千八百のうちの千三百八十経営体くらいのところを見るべきではないだろうかということで、ただいま検討しておる次第でございます。なお真珠の復興につきましては、補助金だけでは不十分でございまして、大部分は融資でこれを処置するのが筋だと思うのでありますが、その点につきましては、天災融資法及び農林漁業公庫融資の方を改善いたしまして、天災融資法によるところの経営資金につきましては、五十万というふうにワクを拡大いたしますし、また公庫の融資によりまする施設の復旧につきましては、五百万ということを想定しておりますので、このような金融措置をあわせ講ずることによって、ほぼ復旧ができるのではないかというふうに考えて、それぞれ目下検討をしている段階でございます。
  111. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの真珠の問題については、さらに小委員会でいろいろお伺いをしたいと思いますし、また、畜産関係あるいは蚕糸関係、果樹関係等、いろいろ農林関係は多方面にわたって問題もあるわけでございますけれども、細部はまた小委員会の中でいろいろお伺いをすることにいたしまして、私の質問は、本日はこの程度で終わります。
  112. 綱島正興

    綱島委員長代理 三田村委員。
  113. 三田村武夫

    ○三田村委員 建設大臣は予算委員会に行っておりますから、主管の山本河川局長から御方針をお伺いいたしたいと思います。七日の当委員会でごく部分建設大臣にお尋ねしたのでございますが、次会から小委員会になりまして、あるいは私が発言する機会もないかもしれませんので、この機会にお尋ねいたしておきたいのでございます。  御承知のように、今回の十五号台風、それからその前の八月の集中豪雨、この二回にわたりまして、岐阜県の多芸輪中、牧田川が決壊いたしたのでございます。約三千町歩完全に水びたしになりまして、この臨時国会が一月早く開かれておりましたならば、今度の伊勢湾地帯と同様に、大へんな問題になっておっただろうと私は思うのでございます。幸い、建設省の御努力によって、第二回の決壊も仮締め切りを完了し、排水も終わっておりますが、しかしながら、地元民衆の立場からいたしますと、非常に深刻な不安を持ち、また堤防、河川そのものに対する信頼度も失いつつある現状でございますから、この揖斐川、長良川両河川を中心にした問題について、建設当局の御方針を伺いたいのでございます。問題は三点ありますが、まず第一に多芸輪中の決壊個所、同時に、これも二回決壊いたしました垂井の相川の決壊個所、この二つの決壊個所に関してどのような復旧改修の計画をお持ちでございますか。冒頭に申しましたように、二度決壊の被害をこうむりまして、非常に地元の民衆は大きな不安にさらされ、再びこういうようなことがあっては大へんだという気持が一般に満ちあふれておるのでございます。だから、今度これを改修復旧されるについても、再びこういうことのないように、絶対に同じような災害が起こらないようにということが、一般関係住民の願望でございます。そういう観点から、どのような復旧改修の御計画をお持ちでございますか、具体的に一つ御説明願いたいのでございます。
  114. 山本三郎

    ○山本政府委員 多芸輪中の問題につきましては、本年の台風によりまして二回決壊をいたしまして、地元に非常な御迷惑をかけた次第でございます。この点につきましては、われわれといたしましてもまことに遺憾に存じておるところでございます。  今後の処置の問題でございますが、多芸輪中の根古地地先の堤防の破堤個所の復旧の問題がまず第一番でございます。これは全体の復旧工事が、金額  一億一千万ばかりでございますが、本年度内に全部を終わるという計画になっております。それから切れた個所ももちろんでございますが、その前後に堤防を水が越した個所がございます。この点につきましても、非常に地元の方々も不安に思っておるわけでございますので、今回の補正予算に直轄河川改修費というのを一億円計上しておりますけれども、そのうちの六割以上をこの地点の改修費に振り向けまして、これまた本年度中にかさ上げ工事を完了してしまいたいというように考えております。これができますると、現在の堤防よりも一メートル五十高くなるわけでございまして、来年の出水等に対しましても、十分持ちこたえることができる。しかも、護岸等も前面にはいたしまして、漏水等のないように考えるということでございます。さらに、そのほか牧田川につきましても、まだやらなければならぬところがあるわけでございますが、今回の災害にかんがみまして、ただいま検討をいたしております五カ年計画の中には、ぜひこの問題を強く入れて参りたいということで検討いたしておりますので、この点につきましては、来年度予算におきまして、ぜひ一つ強力に実施していきたいというように考えております。
  115. 三田村武夫

    ○三田村委員 相川の決壊のことを……。
  116. 山本三郎

    ○山本政府委員 相川の問題を落としまして申しわけありませんでしたが、相川につきましても、今回の災害によりまして破堤をいたしたわけでございます。非常に広い区域が土砂に埋まり、あるいは浸水いたしたのでございますが、この地区の復旧につきましては、単に災害復旧だけでなくて、関連工事をつけ加えまして、再びこういうことのないように処置していきたいというように考えております。
  117. 三田村武夫

    ○三田村委員 大体御計画を伺いまして、一応安心いたしました。どうぞ一つ強力に実行していただくようお願いいたしておきます。  第二の問題は、今度の八月、九月の災害によって揖斐川が非常に荒れたのでございます。この揖斐川の関係住民というのは、非常に広範でありますが、この揖斐川の始末に非常な関心を高めてきた、こういう観点から県側も強い要望を持っておるのでございますが、この揖斐川の上流に、すでに昭和三十年から計画のありました山横山ダム、これは洪水調整と農業用水の充足を主目的とした多目的ダムでございますが、これを急速に実現しろ、ぜひこれを実行してもらいたいという要望が西濃地方一帯の強い声になって参ったことは、建設省も御承知通りでございます。実は私も、この多芸輪中の問題以来、あるいは揖斐川の問題、あるいは長良川の問題で八月から今日までうるさいくらい建設省に伺って、あるいは大臣、あるいは局長にお願いしておるのでございますが、この機会に、今の根古地決壊個所の改修、復旧と同時に、そのもとをなしておる揖斐川の上流の、洪水調整を大きな任務として横山ダムの計画の内容、それから進捗状況、大体の見通し、それらについて現在おわかりになっている程度を、この際御説明願いたいと思います。     〔綱島委員長代理退席、委員長着席〕
  118. 山本三郎

    ○山本政府委員 揖斐川の上流の横山ダムの点についてのお尋ねでございますが、本ダムは、建設省の直轄の多目的ダムといたしまして、昭和三十二年度、三十三年度両年にわたりまして、実施計画、調査をいたしたわけでございます。本年度から本工事に着手する  こととなっておるわけでございます。御承知のごとく、地元の用地問題等で割合に手間取っておりまして、まことに残念に思っておりますが、その点もだいぶ好転して参りましたので、近く業者に入札をいたしまして、ほんとうの工事にかかりたいというように考えておりまして、ただいまのところは、来年度は工事費といたしまして十五億円程度を要求いたしまして、できるだけ早く完成させたい。現在のところの竣工予定は昭和三十八年度ということになっておりますけれども、今回の水害等にかんがみまして、でき得るならばそれよりも早くでかすようにしたいというふうに考えております。  なお、本ダムの計画の内容でございますが、高さは七十九・五メートルでございまして、有効貯水量が三千三百万トンでございます。そのうち洪水期には二千五百万トンの容量をあけておきまして、洪水を調節するわけでございますが、たとえば十五号台風のときにこのダムができておったとするならば、上から入ってくる量が毎秒二千五百立方メートルくらい入ってきたのが、千四百立方メートルくらい減らすことができるというふうな計画でございますので、これができておりますならば今回のような災害がなくて済んだのじゃないかと、まことに残念に思っておるわけでございまして、できるだけ早くこれを完成するように全力をあげて参りたいというように考えております。なお、このダムは洪水調節がおもなる目的でございますが、その貯水量をもちまして下流の一万町歩の灌漑用水——これは農林省とも協力いたしましてこの水を使うわけでございますが、一万町歩の灌漑用水の補給、それから発電も最大三万五千キロワットの出力が得られるということになりまして、これは大体中部電力が受け持とうということで話が進んでおりますので、ようやく軌道に乗り始めることができるわけでございまして、われわれは、これから全力をあげてその完成に努めなければならぬというふうに考えております。
  119. 三田村武夫

    ○三田村委員 具体的な計画が明らかになりまして、非常に大きな希望をつなぐのでございますが、ぜひ一つ強力に推進していただくようお願いいたします。  それから次は、これも私八月以来うるさいくらい建設省にお願いした問題でございますが、揖斐川、長良川、この二大河川の危険個所でございます。今度の二度の出水によって、揖斐川、長良川の危険堤防——場所によっては、局長も御承知通り、決壊寸前までいったところも二、三カ所あるのでございます。揖斐川、長良川、それに藪々川、牧田川、これは直轄河川でございますが、この四つの川で決壊寸前までいった個所が六、七カ所ありましたか、それから非常に危険たという個所が合わせて十四カ所もあります。延べ四千六百五十五メートルになっておりますが、建設省でも御調査の通り、警戒水位をオーバーした個所は無数にありますし、すでに堤防を越えて岐阜市内に溢流したところも、あの長良川にあるのであります。そういうところについては、今度非常に不安の感を高めてきまして、今、揖斐川については、奥地の横山ダムが完成した場合には、大体揖斐川のはんらんについては手当ができるのだという局長の御説明でありましたが、この完成にはまだ三、四年かかる。来年もまた同じ水が出てくるといたしますと、根古地の決壊個所の手当は十分していただいたといたしましても、この間の水で切れかかった揖斐同時の上下、右岸、左岸は非常にあぶない状態まできております。この間も、右岸、左岸の両関係住民が川のまん中に対峙いたしまして、あわや血の雨を降らさんとするくらい、非常にこの問題については関心を高めてきております。でありますから、この機会に木曽川、揖斐川、長良川——伊勢湾に流れ込んで、この国会でも非常にやかましい論議になりましたいわゆる伊勢湾デルタ地帯の半分と申しますか、加害者の責任の半分を背負い込んでおる三大河川、なかんずく揖斐川、長良川、このやっかいな水に、常に不安にかられておる関係住民の立場を一つ十分にお考え願いまして、今度あぶなかったところの手当、それから同時にいわゆる復旧だけでなくて、改良復旧、こういう点を十分加味していただいて、来年の出水期までに不安のないように、ぜひ一つやっていただきたいということが強い要望でございます。この点についてもいずれ御計画がおありと思いますが、この際、現在御計画の内容をお示し願いたいと思います。
  120. 山本三郎

    ○山本政府委員 揖斐川、長良川の堤防につきましては、根古地の牧田川の堤防は不幸破堤いたしたわけでございますが、ほかの部分につきましても、堤防の上を越してしまった、あるいは堤防が半分欠けてしまったというような点が、お説の通り方々にあるわけでございまして、これらを災害復旧いたしましても、もとの強さにすることは、これはもちろんやらなければならぬわけでございますが、補強につきましても、私どもがやはりこれから早くやらなければならぬと思っておったようなところを水が越したわけでございまして、これらの点につきましては、本年度の事業もそういうところに重点的に向けていこうということと同時に、来年度以降におきましては、重点的にそれらの点を取り上げまして、補強いたしたいということでございます。  それから災害の問題につきましては、普通の直轄河川は全災害額の五〇%くらいでございますけれども、この揖斐川、長良川等の災害復旧につきましては、上流部につきましても七、八〇%本年度中に進捗をはかるということでございますし、また、来年度につきましても、出水期までにはあぶないところは全部手当を終わらせようという計画でおります。その災害復旧とあわせまして、改良工事をつけ加えまして、堤防等を高くしようという計画でございますので、その点御了承をいただきたいと思います。
  121. 三田村武夫

    ○三田村委員 大体私が主として尋おねしたい問題はこの三点でありましたが、もう一点あわせてお尋ねと申しますか、御方針を伺っておきたいことがあります。それは長良川も揖斐川も同様でございますが、今回の出水は山の中で大きく荒れたために、大量の土砂を流出して、河床が非常に高くなってきております。でありますから、今までの堤防をそのまま復旧してもらっても、河床が高くなっておりますから、水量がまたオーバーする、こういう危険が方々に出てきております。それで堤防の復旧と同時に、河床を高くするということもぜひとも一つ御検討願いたいと思うのでございます。  それからもう一点、これは局長しばしば根古地の決壊の現場においでになってよく御承知でございますが、あの個所だけでなくて、近ごろ問題になるのは河川内の民有地、私有地です。根古地の決壊個所なんか明らかにそうでありまして、川幅は相当ありますが、その堤防と堤防の中にある民有地、これがちょうどせきどめのようになっている。水の流れるところがごくわずかだ、こういうことになっております。これは長い間民有地になっておりまして、所有権の関係もありますから、簡単にこれをどうこうするわけに参りませんが、先般八月の災害以来、農林委員会でいろいろ問題の議論をした際にも、堤防の内部にある民有地の処置というものについては、非常な論議が重ねられたのでございます。これは、いずれ何とか考えなければいけないのではないか。幾ら堤防だけ手当いたしましても、川の中に大幅に民有地がある、これが常に水をはばむ、そのために水が荒れる、こういうことでございますから、こういうことについても、何か建設省としてお考えがおありだと思うので、この際伺っておきたいのであります。河床の高くなった問題、それから河川の中にある民有地の問題、二つの問題についてのお考えを伺っておきたい。
  122. 山本三郎

    ○山本政府委員 河川の川床が上がりますと、堤防を幾ら上げても同じことか、あるいは悪い状況になるわけでございまして、この点につきましては、従来、揖斐川、長良川等におきましては、川の中の土を掘るポンプ船で掘っておったわけでありますが、さらに今回の出水におきまして上流が相当荒れておりますので、土砂が流れてきておるということが想定されるわけでございますので、本年度内に調査費を計上いたしまして、それらの点につきましては、詳しい調査をいたしたいというふうに考えております。  それから河川の中の民有地、私有地、あるいは人家等の問題でございますが、私も、災害後あの付近に参りましたが、非常に民有地もありますし、あるいは民家等もちょっと高いところにはあるような状況でございます。これは、どちらかと申しますと、歴史的に見ると、比較的高いところに住んでおられるために、自分たちが越すことをあまり好まなかったというふうな経緯の方々が、むしろ住んでおられるように見受けております。しかし、今回のような洪水がたびたびくるということを考えますと、あの中に住んでおっていただくことは、まあ一つの民生安定上もまずいわけでございますし、また、川の疎通の上から言いましても、せっかくほかのところをよくいたしましてもそれらの部分が障害になるということも考えられますので、今回の調査にあたりましては、それらもあわせまして川の姿をどうしたらよいかという全体の計画を作りまして、川床の調査と同様に、川の中の状況を、民地等の状況も調べまして、これらの川の処理上、あるいは中に住んでおられる方々のお考え方等も十分承りまして、善処していかなければならぬ問題であるというふうに考えております。
  123. 南條徳男

  124. 辻原弘市

    辻原委員 これは建設関係だけでなしに、農林省にも実は一緒にお聞きしたのでありますが、まだ農林省が見えておられないようでありますから、先に建設関係についてお尋ねしたいと思います。  これは、この間から予算委員会でも非常に問題として政府に対していろいろただしておる点でありますが、いろいろ特別法ができ、あるいは予算の成立を見て、いよいよ具体的な復旧事業に取りかかる、こういう場合に、私どもとして従来の経験にかんがみて一番心配となる点は、それがはたして予算通り、また法律通り復旧事業が行われるかどうか、こういう点であります。その点で特にこの機会に伺っておかなければならぬのは、政府は、二十八年災以来、施行率については三・五・二の比率でこれはやるのだ、場合によればもう一年時間をかけて、少なくとも四年間には災害復旧を完成するのだ、こういうふうに言われ、その立場で予算も編成せられているようであります。ところが、今度の補正予算を見ますると、未確定の要素というものが非常に多いわけであります。その後、農林、建設関係とも、各地の実際の査定はどんどん進んでいるようであります。そこで伺いたいのは、現在の建設関係等では、建設関係の予算がはたして全体の計画を通じて初年度三割という形において工事が実行できるように確保せられておるのかどうか、また査定が進捗をして、そこに数字が動いてくる、そういった見込みは現在のところどうなのか。いま一つの要素は、この聞きまりました激甚地の指定地域が、当初の予想よりも、私どもの希望、災害地の希望によってかなり拡大をせられておる。そういたしますと、現在の補正予算というものは、実行にあたってはかなり動いてくるものと考えなければならぬ。はたしてそれが数字的にどの程度までどうかするという見込みに立つのか、この点をまず明らかにしていただきたい。
  125. 山本三郎

    ○山本政府委員 建設省関係の災害復旧の進行状況と申しますか、今回の予算処置されましたものによりましてどの程度の進捗ということは、しばしば御説明申し上げておるわけでございますが、少し立ち入りまして数字的に申し上げますと、建設省の総被害の報告額は、これは十月の十八日現在でございまして、千三百三十五億余りになっております。このうちには、もちろん伊勢湾の分と一般の直轄災害補助災害等が含まれておるわけでございますが、その内訳といたしましては、伊勢湾の分が約二百十億、一般のその他の分が千百二十五億余りになっております。そのうちで、今お話によりますと一番問題になるのは、一般災害補助の分が一番問題だろうと思いますから、これに例をとりまして申し上げますと、補助被害報告額が千三十億でございまして、これらを従来の申請率とか、あるいは査定率、あるいは事務費等を加えるとかいうようなことをいたしますると、事業費の査定見込み額が七百九十四億円余りに相なりまして、これに対しまして、すでに予算といたしましては、既定の予備費から十七億余り——支出されたものもありますし、近く支出されるものもありまして、それらを含めますと約十七億。それから補正予算に計上されておりますのが百九億一千四百万円、これを加えますと百二十六億一千六百万円に相なるわけでございまして、これにさらに、しばしば御説明がありますように、補正の予備費の中から出るものが約十三億くらいではないかというふうに見当をつけておりまして、この額を合わせたもので二五%の復旧ができる。この二五%というのは、先生御承知と思いますけれども、緊要の工事が全体の工事のうちに七〇%あるということで考えますと、それを三・五・二でやるということに相なりますと、二一%初めの年にやるわけです。それからその他の災害につきましては、全体の三〇%の残りの分のうち、四%を当然やるというのが従来の方式でございまして、合わせて二五%に相なるわけでございまして、今申し上げました予算をもって二五%の事業を執行する。それからそのほかに、債務負担行為といたしまして十九億七千五百万円要求しておるわけでございまして、その分が三・五%の進捗に関係するわけでございまして、それを合わせますと、本年内に二八・五%の仕事に着手できるし、しかも債務負担行為につきましては、来年度におきまして国が支払いすることを約束する、こういうことでございます。以上補助災害を代表的に申し上げましたけれども、直轄につきましては、本年度内に全部平均いたしまして総事業の五五%の進捗をはかるということでございます。それから伊勢湾につきましては、まだ災害の査定中でございますし、全体計画も、大臣からもお話し申し上げましたように、まだ未確定の状況にございますので、本年度におきましては、来年度の台風期までに原形の高さ、原形の強さに相当するものを作るという観点から、今年度予算を算定いたしておるわけでございます。先生のお話の一番の中心は補助災害の問題だと思いますので、補助災害の査定の概況をお話し申し上げた次第でございます。  それからまた、査定の状況はどうかということでございますが、目下一番大きな災害地を査定中でございまして、これにつきましては、ふえるところもございますけれども、減るところもあるというような状況で、確定したことは申し上げられないような状況でございます。  それから、先ほど申し上げるのを忘れましたけれども、補助災害に激甚地というものがどのくらい入っているかということでございますが、先ほど申し上げました数字の中には、激甚地を全災害の六〇%ということで補正予算の額は計上いたしております。さて、今回の激甚地の指定の基準がきまりましたためにどういうことになるかということでございますが、その六〇%の全国の比率が一割くらい増しまして、六六%ないし七〇%くらいの程度になりはせぬかということでございまして、そうなりました場合には、約二億から三億の間くらいが、本年度分といたしましては必要になるのではないかということでございまして、これは予備金の範囲内でまかなえるのではないかというふうに考えております。
  126. 辻原弘市

    辻原委員 少し聞き漏らしたのですが、大体補助事業については、予算で見積もった分は債務負担行為を入れて大体二八・五%という進捗で、さらに未確定な未査定の分も相当含まれているようだが、それはまだ現在におきましてはわからぬ。それから激甚地の分については、そう大きな数字の変化はない、こういうふうに今聞いたのです。しかし、われわれの考え方からすれば、最近の現地において査定をされているような状況から見れば、多少被害各地においての実情調査その他がおくれているようなところもあって、実際にはかなり上回っているところも出てくるのではないか。それと、激甚地の場合においても、これはあなた方の見込みからして若干過小に過ぎるきらいもあるのではないか、そういう感じがいたすわけであります。もちろん、数字をつかんでおりませんから、これは申せませんけれども、なぜそういう点についてわれわれが心配いたしますかといえば、これは二十八年のおりにも、私の県などでは、当初三・五・二でやる、必ず三割は初年度にやれるのだ、ところが、実際は、だんだんおくれてきて、実際に初年度にやれた分、またそれに対して、国がその事業について補助をつけた分等は、僅々一割五分内外であったと思う。そういう実情があって、おそらくこの計画は、実行にあたっては相当ずれてくるのではないか。しかし、ずれてくれば、それはほうっておくわけにいきませんから、きのうも私申し上げたように、やむを得ず、仕残しとかあるいは仕越しという形で、無理をしなければならぬ。そういたしますと、実際の災害復旧というものはおろか、場合によれば、相当改良を加えなければならぬようなところも、それを放棄しなければならぬ、こういう事態が間々従来の災害地には見られますので、そういう点について心配はないかどうかということを、私はこの機会にむしろ大臣からはっきり明言してもらう必要があると思ってお伺いするわけですが、大臣がお見えになりませんので、その点を十分留意してほしいということ、それから、今ちょっと私聞き漏らしたというのは、激甚地指定が拡大したために新しくふえる事業量、補助に対してどの程度のものがふえるか、伺っているところでは一億とか三億とかいわれているが、その範囲のものかどうか、これもはっきりしておいてもらいたい。  それからもう一つ申し上げますが、これは建設省だけではありませんけれども、政府全体として、今私が申し上げているような点で実際の運用に困る、運用に困ってくれば、いわゆる再査定ということをやられる。金が限定されておるのだから、再査定ということをしばしばやられている。要するに、その基礎になる実際の被害額というものは、かなり切り詰めたものにしなくちゃならない。これはむしろ大蔵省あたりが、そういう傾向があるんじゃないかと私は思う。そういうことになって、国の大方針なり議会における一つの希望、要望、またそれに対する政府のわれわれに与えた言質などというものは、ほんとうに災害地の末端に参りますと漸次忘れられて、実際にはなかなか思うようにその復旧が進んでいないということ、そのことを私どもはしばしば感じると同時に、各災害市町村から、従来の例によって、またそうなるのじゃないかということを非常に心配して訴えられる向きが多いのであります。ですから、私は決して査定は甘くしろとは申しませんけれども、必要以上に金の面から、実際の災害復旧を無視した査定をやる傾向が、今後において出てくるということを懸念するわけです。だからそういう点について、一体あなた方はどういうふうに考えられておるか。もし従来のようなことをまた繰り返されるとするならば、今度の災害については、特に改良復旧あるいは効用復旧ということを強調せられておる中で、それを厳密に根元において締められるといったようなことになれば、私はほとんど見るべき改良工事などというものはなくなってしまうんじゃないか、この点について伺っておきたいと思います。
  127. 山本三郎

    ○山本政府委員 お説のように、二十八年災害につきましては一五、六%程度の同年の進捗率でございましたので、各地方におきまして、これはほうっておけ、そういうことで仕越しの問題が生じまして、地方にいろいろ御迷惑をかけたわけでございます。その後昭和三十年に法律が改正になりまして、緊要工事は三・五・二でやるということに制度が定められまして、その後におきましてはずっとその方針が貫かれて参っております。本年の災害におきましても、もちろんそういう線で予算が組まれておるわけでございまして、私は、この程度の予算が組まれておりますならば、各地の要望によりまして来年の台風期までには安全な程度にまでできるんじゃないかというふうに考えております。それで、もしそのことができない場合には、債務負担行為による三・五%をさらに流用いたしまして、それによって処置してもらおうということでございます。  それから各県の割り振りの問題でございますが、これにつきましてはよく県当局と打ち合わせまして、来年の台風期まで堤防の切れた分が放置されているようなところがあると大へんでございますから、そういう点は十分に注意をして参りたいというふうに考えております。  それから再査定の問題でございますが、なるほど二十八年のあとにおきましては、おっしゃるようなことがございました。これは、当時は個所が多いのに人が少ないというようなことがございまして、現地へ一々参りませんで査定を済ましたようなものもございますので、それらのものにつきまして再査定をやるというようなことで問題が起こります。また六年も七年もかかりまして復旧したわけでございますので、その間に状況の変化等もございまして、もう一ぺん現地を見ようというようなことで非常に地方には迷惑をかけたわけでございますが、今回はそういうような問題がないようにしたいということでございます。あるいは協議設計等の問題は、本省へ持ってきてきめなければならぬというような問題はあるかもしれませんけれども、一ぺんきめたものをまたどうこうするというようなことは、現地の実情が変更になりまして、県の方でこれを要らぬとか、復旧する必要がないとか、あるいは計画を縮小してもいいというようなもののない限りは、そういうことはしないようにしたい、こういうふうに考えております。
  128. 南條徳男

    南條委員長 辻原君、六時二十分から本会議でありますから、六時までに建設大臣を終わるように……。
  129. 辻原弘市

    辻原委員 大臣がお見えになる前に、大体局長から数字的な問題を伺ったのですが、ポイントだけこの機会に、老婆心でありますけれども、今までの災害復旧の現況に照らして、一つ大臣からはっきりおっしゃっておいていただきたいと思います。  今お伺いいたしますと、大体二八・五%補助事業については初年度から確実だ、こういうお話でありました。そこで私の心配するのは、これはみんなそうであろうと思いますけれども、具体的な正確な査定がどんどん進行する、いま一つは、新しく激甚地の指定区域が拡大していく、勢い当初予定した予算をはるかにオーバーしてくるというような現状、その場合に、第二次のそれに対する追加補正の措置をとらなければ、当然そこに施行率が非常に下がってくるという問題がある。これは二十八年のときもそうであった。その点から施行率が下がるような心配はないかということが一点。それから金が限定されているという理由に基づいて、これも従来しばしば行なわれてきて、今山本局長から、前はそうであったけれども、今回の場合にはそういう心配は要らないと言われている、いわゆる再査定の問題、金を限定するために査定は現状を無視して非常に切り落とす、こういう点については、今しないと明言をせられておりましたが、これは特に建設省のみならず、会計検査院あるいは大蔵省、こういった方面とも私は非常に関係があると思う。もちろん査定について非常に甘いような査定ということは、国費の面からいって厳に戒むべき、慎むべきことてありますけれども、不必要にそれぞれ所管に応じてこれだけ切り落としてこいといったような体の査定のやり方というものは、厳に排除してもらわなければ、とうてい改良復旧というものは望み得べくもないと考えますので、その点について、これは大臣にお伺いしておきたいと思います。  あわせて、農林大臣もお見えになりましたので、農林関係についてもその点についてお伺いをいたしましたが、まず施行率、あるいは予算と今後の施行についての見合い、こういった点についての現在における大体の計画というものを、もう少し具体的に明らかにしてもらいたいと思います。
  130. 村上勇

    ○村上国務大臣 査定につきましては、御指摘のように、昭和二十八年の大災害のあと、査定額が、建設省の査定、大蔵省の査定というようなことで非常に問題になりました。その後は、建設省で査定する場合には大蔵省が立ち会って現地で査定しておりますので、今日の査定が、再査定においてそんなに変わるというようなことは、私ども考えておりません。
  131. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 農林関係の予算につきましては、当初進度率といいますか、年次計画は三・五・二と二・二・四・二の二つの基準でやっております。その基準に基づきまして、激甚地の割合が、農地及び農業用施設につきましては、大体六割というところで予算はできている次第でございます。その基準につきまして今回変更があったのでございますが、その変更になりました結果、農地及び農業用施設におきまして約二億円の増額と相なる次第でございます。また、林道につきましても基準の変更があったのでございますが、これはわずかに千二百万円程度の増加となる次第でございます。それは予備費から支出することに相なりますが、その増加所要額は、先ほど申し上げました三・五・二と、それから二・二・四・二の平均の二五%の進度率ということで計算して、さようなことに相なる次第でございます。再査定いたしまして事業計画に変更を来たすようなことはございません。
  132. 辻原弘市

    辻原委員 次の問題に移りますが、いま一つ今後の災害復旧について障害となっておる問題は、過年度災であろうと思うのです。それぞれの町村においては、御承知のように、昨今の財政事情から、自己負担でやるということはなかなか不可能である。そこに再び今度の災害にあったというようなところは、今度の災害については高率補助が適用されるが、過年度の分については、どうにもならぬという状況になっておると私は思います。従って、この点は自治庁にも関係がありますが、結局過年度災に対する起債をかなり確保していくという道において従来の災害復旧を促進する、こういうことにいかなければならぬと思うのでありますが、農林、建設とも、いわゆる過年度災についての起債という問題についてどの程度の方針を持っておられるか。もちろん、配分はそれぞれ、具体的になりますと、町村によっていろいろ率等は違っておると思いますが、ひどいところになれば、過年度災が約五〇%程度しか起債が認められておらない、こういうところもあるやに聞いておるわけです。そういうことでは、過年度災を含めて今次災害についても、私は非常な支障になるのではないかと思うので、従って、これは私の個人的考えでありますが、最低八〇%くらいの過年度災は政府としても認めていくべきだ、こういうふうに考えるのでありますが、農林、建設及び自治庁においては、この過年度災の取り扱いについてどう考えられておるか、一つ承っておきたいと思います。
  133. 丹羽喬四郎

    丹羽政府委員 ただいま辻原委員の御質問でございますが、確かに、仰せの通り過年度災につきましても、許す限りの起債を充当させなければならぬと思っておる次第でございますが、大体におきまして、今までは過年度災につきましては七割程度を認めているところでございます。しかしながら、今回みたいな特殊と申しますか、非常に被害甚大でございまして、しかも早急に改良復旧を要するというようなところにありましては、そのワクの許す限り、もっと大きく認めていきたいという方針で進んで参りたいと思っております。本年度の起債のワクにつきましても、それらを勘案いたしまして要求していきたい、こう思っておる次第であります。
  134. 辻原弘市

    辻原委員 私のお伺いしたのは、今度の災害が来年になって過年度になるという問題もありますけれども、従来、たとえば昨年の十七号台風なんというものによってやられて、本年は過年度になっておる、そういうものが、今度の災害とぶち当たっている。大体災害対策というものは、起こった年は、率直に言って、政府部内も一般の人も認識があるから力が入る。それが年がだんだんずれて参りますと、前の災害は、勢い次の問題に追われて忘れられがちになるという傾向がある。ところが、実際そのしりぬぐいをしておるのは市町村、末端である。それに対して、過年度だからというので、かりに今長官が言われたように、大体七〇%の充当率を考えていけば、おそらくこれは、市町村にそれぞれ参りましたときには、いろいろなさじかげんで五〇%、あるいはそれ以下に落ちるようなこともしばしば起きてくるのではないか。だからそういう点について、やはり全体の災害、いつの災害ということでなしに、町村にとってみればいずれの災害もみな同じ形において復旧していかなければならぬのですから、ひっくるめて私はこの過年度災も早く終息がつけられるように、せめてその起債措置について、町村の要望する八割程度は満たすような方法を講ずべきではないかということなんです。具体的には、一体ことし、過年度災についてどの程度の措置ができておるかということをお尋ねいたします。
  135. 丹羽喬四郎

    丹羽政府委員 ただいま仰せの通りでございまして、私どもも、市町村負担をできるだけ少なくする、また財政需要に対しましてできるだけ充足させたいということは、念願しておる次第でございますが、とかく前年災がなおざりになりがちだというのは、御指摘の通りでございます。しかしながら、それをできるだけ補正いたそうというのでただいま苦心をしておるところでございまして、たとえば、昨年の静岡の災害につきましては七〇%を相当上回りまして、八〇%近い起債の充当を見たという様子でございまして、そのほか、できるだけ御趣旨に沿うようにやっていきたい、こう思っておる次第でございます。
  136. 辻原弘市

    辻原委員 自治庁政務次官に、これは別の問題でありますが、一つぜひとも考慮していただきたいという問題をお伺いいたしたいと思います。それは今、新市町村建設計画で、町村に無線電話等の設備について、国が若干補助してこれを設置さしておりますが、私は災害の際にいつも感じ、また災害のあとにもそういったことを感ずる。ことに、今回の災害においても、いわゆる災害時の根本対策として、今盛んに科学技術的に、どうすれば一体風水害台風といったようなものを回避することができるのか、これはおそらく、災害をしばしば受けているわが日本の国民としては、何人も考える一つの願望であろうと思います。そのことはしばしおくといたしましても、少なくても水の出た、あるいは高潮が襲ってくる、こういう点についていち早くその連絡がとれ、通報が行なわれるということだけでも、私は被害をかなり僅少に食いとめられると思う。現に自分の県においても、二十八年には相当の死傷者を出した。ところが、災害の程度においてはほとんど変わらない今回の災害については、公共事業その他一般の被害は相当であったけれども、幸いにして人の被害というものは、きわめて僅少に食いとめられておる。そのことは何かといえば、数次にわたる災害の経験から、そういった点についてかなり以前よりも前進をしている。その中で特に私が感ずるのは、今言ったような特に山間部とか、そういう不便なところに通報措置が完備していることである。しかし、まだ今回の災害でも、約一週間程度災害被害の状況が全然不明であった地域があります。これは探ろうにも探りようがない。そういう点で、私は、少なくとも各市町村なり都道府県において、そういう災害時に備え、また災害の事後の復旧等に便宜をはかるために、いわゆる通報施設、こういうものを完備すべきではなかったか、そのことによって尊い人命が救われ、被害がある程度僅少に食いとめられるということになれば、かなりの国費を投じてもいいと思う。幸いにして若干の補助がありますが、それが非常に僅少であり、窮屈であるために、思うように設置ができておりません。この点について、もう少し国が力こぶを入れてやる必要があるのではないか。私は極端なことを言うのじゃありませんけれども、災害常襲地帯というようなところは、たとえば都道府県にあっては無線電信等も備え、場合によってはヘリコプターを一台くらい置いて、いち早く出勤してどこが水没しているか、どこが孤立しているかということも、逐一即刻判明できる措置があればどれだけ助かるか、それを考えるのであります。これは自治庁の所管だけではないかもしれませんが、そういう点について、もう少ししさいに検討を加えて、援助を与えるべきではないか、私はこういう意見を持っております。一つ最近のあなたの方でやっておられる建設計画に基づく設備状況はどうなのか、またそれによってかなりのものが確保できる見込みがあるのか、また、今後もう少し構想を新たにして、町村または都道府県にそういうことを慫慂するようなお心組みがあるかどうか、承っておきたいと思います。
  137. 丹羽喬四郎

    丹羽政府委員 ただいまの御質問の御趣旨補助金の点に関しましては、新市町村建設の振興補助費であろうと思う次第でございますが、これは町村合併に伴いまして若干の補助をいたしておりますが、金額も非常に僅少でございます。しかも、私の承知いたしております範囲におきましては、まだ無線電信までは手が届きませんで、有線の電話施設その他の補助を若干いたしているような次第でございまして、まことに施設等もまだ非常に貧弱でございます。ただいま直接担当の局長、課長が参っておりませんものですから、どのくらいの個所があるかということは詳細わかりませんが、いずれまた御必要でございましたら書面なり、あるいはまた、局長を呼びまして御説明を申し上げたいと思っておる次第でございます。御趣旨の点につきましては、連絡をよくとれば人命の死傷が非常に少なかったろうということは、まことにごもっともでございまして、それらの点につきまして通報連絡を密にするというような点は、今回政府におきましても、災害基本法その他を制定しようかどうかということも考慮している点でありまして、被害の情報その他を迅が速に、的確に知らしめるということ何よりも大切であります。こういうことは、やはり水防法あるいはまた災害救助法等の関係もございますので、大体の所管である建設省あるいは厚生省、その他とも十分連絡をとりまして研究していきたい、こう思っておる次第でございます。
  138. 辻原弘市

    辻原委員 最後に農林大臣に、これは先ほど同僚角屋君からも質問がありましたが、今度の災害での一つの特徴は、沿岸漁業が地域によっては壊滅的な被害を受けているということ、そのために、共同利用に供する沿岸小型漁船に対する国の補助特別に出そうという法案提出されておりますことは、これはまことにわれわれとしても、時宜に適した措置だと実は歓迎をいたすのでありますが、先ほど角屋君も触れられたように、内容を見ますとまことに私は実情にそぐわない過酷なものではないか、こういうふうにいわざるを得ないわけであります。共同利用に供するもの、しかも三隻に一隻の割合、まあ補助率のことはしばらくおくといたしましても、被害額が七五%であり、所有船舶が二十五隻以上、非常に何重にも制限がかかっていて、はたしてそれで実際被害を受けた個々の船舶、漁船が、ほんとに復旧をして、再びその生業につくということが可能かどうか非常に疑わしい。これは農林大臣あるいは御存じないかもしれませんけれども、漁業組合は、大てい海岸にもちろんおります。これがまずまつ先にやられる。そうすると漁業者の家がやられる。同時に船がやられる。全く沿岸漁民は、何一つ持っていないというような実情が、今度の災害においては私は大きな特徴だと思う。従って、この内容を高めて、少なくとも被害を受けた小型漁船は、おしなべてそれに対して援助、補助を与えて早期に建造させる。三隻に一隻、一体どういうふうにして具体的にやるのか、私にはわけがわからない。多少行政的に含みがあるにいたしましても、実際三隻に一隻の割合でやるということになれば、どれをはたしてそれに選別していくか、非常に困難な問題ではないかと思うのです。だからその点について、わが党からも、この内容を高めるための所要の法律案提出いたしておりますが、もう少し実情に即し、実際かゆいところに手が届いたというような形で、沿岸零細漁民の災害復旧を考慮してもらわなければならぬと私は思います。従来、比較的こういった面についての災害復旧は、どちらかといえば、おろそかにされたきらいがあるのではないか、そういうふうに感ずるわけです。同時に、こういった特別法から除外をされておるいわゆる大型漁船、あるいは先ほども触れられておった保険に加入をしておる漁船、木造船の保険料は、大臣も御承知通り、非常に高額であります。そういう点で、高額な保険を、いわば泣く泣く、不時の災害に備えるために納める。しかし、それを納めたために、全然国の援助が受けられぬ。これはあまりにも不公平ではないか、あまりにも気の毒ではないか、こういうように思うのです。  それといま一点は、従来、あるいは天災融資法、あるいは農林中金、農林漁業金融公庫等の融資はありました。ありましたが、大体は漁業組合があっせんをするか、窓口になっているか、そういう形でやっております。ところが、昨今の非常に景気の悪い沿岸漁業の中では、漁業組合もこれは四苦八苦しております。それに対する保証能力、こういったものは皆無である。お伺いをすれば、いや、そういう保証は要らないのだとおっしゃるわけだ。しかし現実には、どうもお前の漁協は、借金ばかりが多くて非常に成績が悪いから、これにはあまり融資はやれない、こういう実情があって、国ではそれぞれの機関があって金を貸そうとしているけれども、実際には、ほしいところに行き渡らないという現状がある、こういう点をどうして打開をするか。補助率あるいは償還年限、据置期間、それぞれ法律にはきまっておるが、なかなかその通り金が行き渡っていない現状を大臣は御承知かということを私は申し上げて、何がし、そういった今度の特別法による特別補助を受けられない、その他多くのいわゆる被害漁船に対して、適切なこの融資に対する手を、もう少しお考えいただきたいということを考えるわけであります。その点について、一つ御所見を承っておきたい。
  139. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 漁船の損害につきましては、先ほど角屋委員からもお尋ねがありましてお答え申し上げたのですが、これが復興という問題は、今回の災害がなくとも問題なのでありまして、これで何とか特別施策をしなければならぬというふうに考えてきておるのであります。こういうような災害がありますと、その復興は、どうしてもこれは共同化というような考え方を入れるというのが一つの行き方ではあるまいか、かような考え方を持つわけでございます。さようなことから、今度は共同化の方式、すなわち、共同施設として船を保有しようという者に限りまして、高率の補助をいたそうという仕組みを採用いたしたわけなんであります。その補助をいたす対象につきまして、いろいろ制限がきびし過ぎるじゃないかというお話でございまするが、これはここではっきり、どういう制限をするということを、きょうはまだ申し上げられないのです。検討いたしておりまするが、お話のように、保険に入っておる船は、これは対象にしないのだというところまで窮屈な考え方はとっておりません。  それから二十五隻以上、これは二十五隻というのが、大体今度の被害における平均被害率でございます。でありますので、大体それ以上のものという範囲を指定するということ、これは適切な考え方ではあるまいかというふうに考えております。そうすると、二十四隻以下のものはどうするかというお話でございましょうが、それに対しましては、被害船舶数が、その漁業協同組合の保有する総隻数に対する一定の比率、今七五%というふうなお話でございまするが、これもそれほど窮屈には考えていないのであります。実情に即した比率にいたすべきものではないかと考えておる次第でございます。さような考え方で、これは相当手広く対象が拡大すると思うのでございますが、この拡大した対象にもはまらない船につきましては、今回天災融資法の改正をいたしまして、船の取得資金天災融資法の対象になるということにもいたしましたし、またさらに購入資金につきましても、最高は千万円までも出せるという仕組みになっておるわけなんです。こういう制度にはなっておるけれども、実際には担保能力とかなんとかで、なかなかうまくいかないところがあるじゃないかというお話でございますが、いかに考えてみましても、どうにもならぬというようなものにつきましては、これは格別な考え方をとらなければならぬと思います。しかし、一般の資金融資がうまくいけば、これは再建できるのだというようなものにつきましては、できる限り高率に定める融資が確実に行なわれるように極力指導をいたしていきたい、かように考えております。
  140. 南條徳男

    南條委員長 横山君。関連質問は簡単に願います。
  141. 横山利秋

    横山委員 今の辻原委員の質問に関連いたしまして、簡単に質問いたしたいと思いますが、私は現物と写真を持って参りました。これは南陽町の、今度決壊いたしました二十号や十六号などの決壊口の堤防の一部なんであります。この堤防は、手でこういうふうにぼろぼろ落ちるんです。こう割りますと——こういうものです。これはぜひ一つ大臣お二人、見て下さい。この場所です。  今、辻原委員の御質問を聞いておりますと、河川局長でありましたか、答弁をされました。それによりますと、補助事業の報告は一千三十億であるが、従来の進捗率、査定等によって、約七百数十億とわれわれは考える、こういうお話がいとも率直に出ておるのであります。これは従来の経緯がどうであったか知りませんが、各県から、私のところはこれだけ被害を受けましたといって千三十億の報告をいたしましたのが、従来からの経緯といって、いとも簡単に削られる。先般ここで私学の参考人が意見を述べて、まさに血色を変えて憤慨しておりましたことは、たとえば、私立学校被害は六億である。きょうの報告を聞きますと七億になっておりますが、六億である。その六億に、文部省は七五%をかけ、さらにそれに、どういうわけだか知らぬけれども、七〇%をかけて、三億一千万円くらいになる。それに対して、今度は国庫が半分補助をする。だから一億五千万円である。それを二年かかってくれるのであるから、本年は七千万円くらいである。七億の被害に対してそれくらいの話であるといって、憤慨をしております。今度激甚地の問題がここで修正をされて、そして私ども大いに叫んだのでありますが、今農林大臣並びに建設大臣の話を聞きますと、あれを改正しても、農地で二億、林道で一千二百万円でございます、こういうお話をいとも簡単におっしゃるのであります。これは大臣、どういう心境であるか知りませんけれども、私どもの感覚から遠いことおびただしいわけであります。今回の伊勢湾台風災害というものは、日にちを経るに従って被害額が増大して参ります。従来と異なるものであります。それに対して大蔵省なり、建設省なり、農林省が把握をいたし、大蔵省と交渉し、査定をいたした報告を受けましたが、その報告の基礎にしておる数字は、今の御報告でも十月の十八日、最初の基礎は十月の五日でございましたね。そういう途中の数字が使われておるということ、その途中の数字からさらに七五%、さらにまた、ある場合には七〇%というふうな査定があって、簡単にぶった切りが行なわれていること、さらにこれが現実の問題となっていきますれば、個々の被害個所をあなた方視察に行って、さらに厳重な、言うならばどろぼう扱いにして、そして厳密な査定が行なわれることが想像されるのであります。私の想像に間違いがありましたならば、どうぞ一つ誠実に答えていただきたいのであります。そういうことがわれわれには展望されるわけであります。従いまして、そういうふうに切られて、詰まったお金で予定の仕事をやらなければいかぬ。それは十三号台風のものでありますが、そういう状況のもとに、どうしてもこの堤防だけは一応格好をつけなければならぬということが、セメントの少ない、まるでたたけばすぐにこわれるような堤防を現出するおそれがあったのではないか、そういうきらいがあったのではないかと痛嘆せざるを得ない。今回は、そういう堤防の質の問題であるばかりでなく、写真でごらんになったように、表側の海に面しただけやったのではいけないんだという問題が起こりました。これはもう各位の御存じのことであります。低さについても問題がある。ところが、どんなに低かろうと、どんなに裏側がやってなかろうと、そういう国民をきわめて愚弄した堤防の中身というものは、私は断じて許さるべきではないと思う。これを簡単に請負業者の責任と帰するか、また県の責任と帰するか、これは人によって議論がございましょうけれども、しかし、予算を主張する立場にある人が、この地元の報告を、あれは水増しだとまずきめてかかって、いとも簡単に次から次へと査定していく、机上の査定を慣習上していくという態度に問題がありはしないかと私は痛感したのであります。  意見にはなりましたけれども、お二人の大臣にお伺いしたい点が三つございます。一つは、本委員会でも予算委員会でも問題になりましたが、一体十月五日なり十月十八日現在で報告を受けて、あとでそれがふえたとところで、わしゃ知らないということになるのか、被害がふえた場合、あとの追加の額をまじめに受け取って下さる用意があるか。  第二番目には、査定の問題であります。慣習上、伝統上、従来の行きがかり上査定を画一的にきめるという態度については、この際お考え直しを願った方がいいのじゃなかろうか。現地を尊重して、査定をやっていくお気持はないのであるか。  第三番目には、私は落岩だと言っておりますが、そのような落岩の土へまた堤防を作るようなことでありましたならば、これは何としても国費の浪費であります。言葉の上でわれわれが原形復旧とか、改良復旧とか言っておりますが、目で見える改良復旧よりも、ほんとうに魂のこもった改良復旧をされなければならぬと思いますが、この点につきましても、農林省の作ったやつはどうとか、建設省の作ったやつはどうとか、同じ政府でありながら堤防の格好が違うとか、いろいろ毀誉褒貶が現地に乱れ飛んでおりますが、今後改良復旧の考え方についてどうであるか。あるいはもうだれかが聞いたことがあるかもしれません。しかし、その堤防、その落岩を見ながら、南陽町の人々は一カ月有半泥水の中におったわけであります。私が行きましたら、どうぞこれを持っていって大臣の目の前に置いて、この落岩はどうだえと、一つ名古屋弁でやってちょう、と切実な話を受けました。まさにそれは落岩であります。たたけばすぐにこわれるような堤防で、どんなに万里の長城を築きましても、これは台風一過ということができると思います。  以上、三つの点について両大臣の誠意ある御答弁をお伺いいたしたいと思います。
  142. 村上勇

    ○村上国務大臣 報告額を査定して、それをどこまでも締め上げて過小評価していくということにつきましては、昔はどうか知りませんが、今日では、現地からの報告は台風のほとんど直後でありまして、多分これくらい掘れているだろうというような仮定のもとに報告する場合が、今までの例から申しますと、多いのであります。しかしながら、本省から査定に参りました者は実際の破堤の深さ、あるいはその延長というものをちゃんとスケールを当ててりっぱにはかったものでありまして、決してこれには間違いはないと私ども信じております。また間違いがあっては大へんであります。なお改良復旧等を要する面につきましては、また別途にこれを検討して改良復旧して参るのでありますから、今後さような心配はないものと思います。また、現地の報告といささか違う点につきましては、まだまだ現地では、極端なことを申しますと、これは今回の災害ではありませんが、幾年か前の災害報告は、昨晩台風がやんだ、きょうはもうすでにわが県の災害は、公共土木事業で百億というような報告もきたことを私どもは承知いたしておりますので、この災害報告をそのままうのみにするわけには絶対にいきません。従いまして、これはもう厳格な査定を行なって、そうして改良すべきところは、改良復旧をやるだけのものをつけていくことが妥当であろうと思います。これはどの地区か私はよく存じませんが、かような工事は、昔はどうか知りませんが、今日では、こういう仕事をするものがあれば、もしもそういう業者なりあるいは監督なりというものがありとすれば、これは不正工事でありますから、こういう点については今後十分厳重な監督をいたしまして、かようなことのないようにしなければならないと思います。
  143. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま建設大臣からお答えした通りであります。
  144. 南條徳男

    南條委員長 本会議の予鈴が鳴りましたが、そこで、今太田君の通告がございますが、いかがですか、小委員会で文部、労働等の委員会がございますから、その方で御質疑になるようなことにできませんか。できたらそうしていただければ、明後日から小委員会を開きます。
  145. 太田一夫

    太田委員 もう時間がありませんから、そういたしましょう。
  146. 横山利秋

    横山委員 簡単に要望だけ申し上げておきます。両大臣のお話につきまして、時間がございませんから多くを申しませんが、どうぞ一つ私が申し上げたところを十分にくんでいただき、善処していただきたいとお願いしておきます。
  147. 南條徳男

    南條委員長 明後日午前十時から四つの小委員会を開きまして、慎重な御審議を願いたいと思います。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時十四分散会