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1959-10-19 第32回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月十九日(月曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員長異動 七月三日西川甚五郎委員長辞任につ き、その補欠として上原正吉君を議院 において委員長に選任した。   委員異動 七月三日委員金丸冨夫辞任につき、 その補欠として上原正吉君を議長にお いて指名した。 七月四日委員仲原善一君及び紅露みつ辞任につき、その補欠として林田正 治君及び赤間文三君を議長において指 名した。 九月三十日委員前田久吉辞任につ き、その補欠として奥むめお君を議長 において指名した。 十月一日委員林田正治辞任につき、 その補欠として仲原善一君を議長にお いて指名した。 本日委員基政七君辞任につき、その補 欠として藤田進君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上原 正吉君    理事            野本 品吉君            小柳  勇君            矢嶋 三義君    委員            青柳 秀夫君            大谷 瑩潤君            川上 為治君            上林 忠次君            木内 四郎君            高野 一夫君            西川甚五郎君            谷村 貞治君            相澤 重明君            東   隆君            北村  暢君            坂本  昭君            島   清君            武内 五郎君            藤田  進君            森中 守義君            奥 むめお君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    通商産業政務次    官       内田 常雄君    通商産業大臣官    房長      斎藤 正年君    通商産業大臣官    房会計課長   阿部 久一君    通商産業省通商    局予算課長   加藤 悌次君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    中小企業庁長官 小山 雄二君    会計検査院事務    総局第四局長  宇ノ沢智雄君    会計検査院事務    総局第五局長  平松 誠一君    日本専売公社総    裁       松隈 秀雄君    日本専売公社企    画管理部長   小川 潤一君    日本専売公社販    売部長     冠木 四郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十二年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十二年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十二年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十二年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  ちょっとごあいさつを申し上げます。このたび私が院の選挙によりまして決算委員長に就任をいたしました。御承知のように未熟者でございまして、この重任にたえられるかどうかをみずから危ぶんでおる次第でございますが、何しろいろいろやりそこないもございましょうし、時には間違いなんかも起さないとも限らぬと思うのでございますが、どうか皆様方の御寛恕をいただきまして、決算委員会という重大な職責をになう委員会委員長を無事に勤めたいと存じますので、どうぞ何分よろしく御支援のほどをお願いする次第でございます。(拍手)   —————————————
  3. 上原正吉

    委員長上原正吉君) まず、委員の変更を御報告申し上げます。七月三日、金丸冨夫君が辞任されまして上原正吉君が補欠として選任されました。七月四日、仲原善一君、紅露みつ君の辞任に伴い林田正治君、赤間文三君が補欠として選任されました。九月三十日、前田久吉君の辞任に伴い奥むめお君が補欠として選任されました。十月一日、林田正治君の辞任に伴い仲原善一君が補欠として選任されました。   —————————————
  4. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 本日の委員長及び理事打合会におきまして、日程につきまして御相談いたしました結果、かねてお手元にお配りしてあります印刷物の通り臨時国会の前の五日間に審議することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上原正吉

    委員長上原正吉君) それではさように決定いたします。   —————————————
  6. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書を議題といたします。  本日はまず日本専売公社の部を審議いたします。検査報告批難事項は第四百七十八号であります。  本件に対して御出席の方は、会計検査院第五局長平松誠一君、専売公社販売部長冠木四郎君、専売公社総裁松隈秀雄君、専売公社企画管理部長小川潤一君でございます。  まず会計検査院から概要説明を願います。
  7. 平松誠一

    説明員平松誠一君) 昭和三十二年度の日本専売公社関係について御説明申し上げます。  個別事項とししましては百六十九ページに掲示してございます四百七十八号、職員不正行為により公社損害を与えたもの、一件でございます。これは一宮出張所経理係員鈴木某支払職補助事務に従事中、昭和三十年三月から三十三年一月までの間に、一宮市及び木曾同時に納付すべきたばこ消費税正当額より少額に払い込み、一方職員等に対する諸給与の小切手を偽造または変造いたしまして、たばこ消費税正当払込額と実際払込額との差額相当額をつけ増しいたしまして、八百三十一万円を領得いたしたものでございます。  なお、百六十七ページから百六十八ページに事業概要と損益の状況について記述してございますが、特にこれにつきましては補足説明申し上げる点はございません。  以上で説明を終ります。
  8. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 次に、日本専売公社から概要説明を願います。
  9. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 日本専売公社昭和三十二年度決算に関しましては、検査報告書百六十七ページに記載してある通りでございまして、事業はおおむね順調な推移をたどっております。  たばこ事業におきましては、益金が千二百四十二億九千二百余万円でありまして前年度に比べて増加をいたしております。  塩事業、しょう脳事業につきましては、それぞれ、塩においては十一億三千六百余万円、しょう脳においては九千六百余万円の損失となっておりましてその損失の理由は報告書記載通りでございます。  ただ、ただいまも指摘されました通り不当事項といたしましては、職員不正行為によりまして八百三十一万円の領得金額がございました。そのうち一部は補てんされましたけれども残額につきましては日本専売公社損害をこうむった次第でございまして、その点まことに遺憾に存じておる次第でございます。
  10. 上原正吉

    委員長上原正吉君) なお補足説明がありましたらお願いいたします。以上をもって説明は終りました。  では、これより質疑を行います。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 ちょっとその前に。ここにせっかくりっぱな資料専売公社から出ているんですがね。たばこ事業についてあるいは「塩購入調」、「塩販売調」などがありますが、こういう資料の要点だけ簡潔に一つ説明を願いたい。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 それとあわせて今委員長からほかに補足説明がないかという質問があったのに、当局から別にないようですが、今回の台風に関連して特別にあなたの方では御報告することはないのですか、その点私は一つお尋ねしておかなければいかぬと思う。
  13. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) ただいまは三十二年度の決算の御審議を願っておるというふうに承知いたしましたので、第十五号台風によりまする被害のことを申し上げませんでしたのでありまするが、御質問がございましたからその点について概略を申し上げますと、今回の第十五号台風によりまして名古屋地区を中心にいたしまして愛知、三重、岐阜奈良等の方面、それからごくわずかではありまするけれども、やはり大阪府下であるとかあるいは長野県等にも被害がございまして名古屋といたしましては名古屋地方局製造工場があるのでありまするが、その工場台風によりまして屋根がはがされたり、あるいはへいが倒れたり雨漏りがしたというわけでありまするが、比較的被害が僅少でありまして土曜日の被害でありましたが、日曜日に応急処置をして月曜日の昼ごろから工場を動かす程度にはなっておりますることは、たばこ製造不足の折から非常に喜んでおるところでございます。そのほか工場といたしましては、岐阜工場に少し被害がありましたが、これも軽微なものであり、浜松工場磐田工場はほとんど被害がございません。それから公社の塩、葉たばこを貯蔵いたしまする倉庫海陸連絡のためにどうしても海岸倉庫を選びますものですから、その海岸倉庫民間倉庫を選んで、そこに寄託してありました塩が、倉庫の浸水によりまして流れたりあるいは葉たばこがぬれたと、こういうような損害相当金額に上っております。  それから職員につきましては死亡した者はございません。家族についてはごくわずかの者が死傷いたしております。しかし職員のうち南の方の三区に住宅を持って工場あるいは事務所に勤めておる者につきましては、水害のために出勤不能に陥りまして、それがために、工場は再開したことは先ほど申し上げた通りでありまするけれども、作業能率が当分落ちるということは免れない事情でございます。  なお塩、たばこ小売人卸売人に、塩の場合は小売卸売、それからたばこの場合については小売人相当被害がございました。たばこの場合につきましては汚損いたしましたものは引きかえるということになっておりまするので、その引きかえ作業を行なっております。塩につきましては現在ぬれたとかいうようなものを引きかえるという規定がございません。これについては塩の卸、小売の方からたばこと同様な制度を設けてもらいたいという陳情がございまするので、その点取扱いを改めるためには法律改正を要する点でもございまするので、来たるべき臨時国会にその点を改正したいという考えをもって目下検討をいたしております。  それから被災地で水に浸っておる期間の長かった地区につきましては、たばこを特配するということにいたしまして申請を災害対策本部あてに送りまして、救済の一助といたしておるというようなことをやっております。  以上きわめて概略でありまするが、十五号台風のことについて報告申し上げた次第であります。  それからお手元参議院決算委員会提出資料、(三十二年度分として提出してございますが、これをごらん願いますると、第1はたばこ製造数量調べでありまして、三十一年度、三十二年度、三十三年度と三カ年の数字を掲げてございます。全体で申しますと合計のところに書いてあります通り口付、両切、きざみ、その他というのを合せまして三十一年度が一千四十二億四千三百万本、三十二年度が一千八十四億三千二百万本、三十三年度が一千八十二億四百万本、これが製造数量でございます。三十二年度に比べまして三十三年度の少しく製造数量が減っておりますのは、労働争議がございまして予定通り超過勤務ということができなかったという関係が響いておると思うのであります。  次は製造たばこ輸入調べでありまして、数量で申し上げますと三十一年度が一千九百七十四万ポンド、三十二年度が二千二百七十一万二千ポンド、三十三年度が一千九百三十九万四千ポンド、金額にいたしまして三十一年度が三千七百余万円、三十二年度も三千七百余万円、三十三年度も三千七百余万円、大体金額にいたしますと、ドル三百六十円換算で年十万ドル程度製造たばこ輸入しておるという実情でございます。  次は製造たばこ販売高でございまして、これは口付、両切、きざみの合計におきまして三十一年度の数量が一千三十七億二千六百万本、三十二年度が千七十億一千五百万本、三十三年度が一千百二十六億七千万本、大体先ほども申し上げましたように順調な伸びを示しております。それに伴いまして金額の方でも二千百六十九億円から順次伸びまして、三十三年度は二千四百四十二億円になっておるという実情でございます。  次は葉たばこ受払表をお示ししてございます。三十二年度のところでは、受け入れましたものが一億四千百余万キロということになっております。越高はその左に書いてございます。三十三年度で受け入れましたのは一億三千八百余万キロ、越高はその左に書いてございますが、これによってもごらんになれます通りに、黄色種というのが最近非常に豊作の関係、それから農業技術の発達いたしました関係で、わずかずつ減反はしておるのでありまするが増産になりまして、三十三カ月分という越高を持っておるというようなわけでありまして、この点公社が一番原料の需給関係としては悩みを持っておる点でございます。  それから次は葉たばこ輸入調べでありまして、これも統計で申し上げますと三十二年度は百八十万キロほどであります。この年少かったものですから翌年少しよけい入れてカバーをするという意味で、三十三年度は五百七十余万キロを入れております。金額にして三十二年度は十三億円余り、三十三年度が四十三億円余り、こういう状況であります。  それから次は塩の購入額でございまして、これは内地塩輸入塩とございますが、内地塩の方で申し上げますと、三十一年度六十四万トン収納いたしましたが、三十二年度八十三万トン、三十三年度百三万トン、大体年に二十万トンずつくらい内地塩増産になりましてそこで内地需要といたしましては一般用塩は百万トン程度で足りるということでありますので、塩業整備の問題が起っておりまして、先般の国会補償費及び塩業整備に関する法律の御審議をいただいたというのは、まあこういうような状況から出てきておるというわけであります。輸入塩といたしましては大体多いときには二百万トンをこし、少くても百七、八十万トンの輸入をいたしておるということでございまして、金額は右の方に書いてあるような金額と相なっております。  それから塩の販売状況でありますが、一般用塩先ほども申し上げました通り三十一年度、三十二年度、三十三年度大体百万トンということに相なっております。ソーダ工業用塩も年によって少し違いますが、百九十万トンないし百七十万トンくらいの需要があるというわけであります。金額は右に示してある通りでございます。  以上配付申し上げました資料について大体の説明を申し上げました。なおこまかい点は御質問がございましたらその際お答えを申し上げたいと思います。
  14. 高野一夫

    高野一夫君 専売公社に伺いまするが、製造たばこ輸入統計は今御説明になってここにも出ておりますが、やみたばこ輸入状況についてはお調べの結果はどういう状況になっておりますか。
  15. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) 製造たばこ輸入状況につきましてはただいま総裁から申し上げました通りでございまして、大体年間に二千万ポンドほど輸入しておるのでございまするが、この製造たばこ輸入しております趣旨と申しますか、これを簡単に御説明申し上げますと……
  16. 高野一夫

    高野一夫君 それはいいですから、やみたばこがどういう状況になっておるかのお調べの結果だけでほかのことは要りません。
  17. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) やみたばこの問題でございますが、終戦後外国やみたばこが非常に横行いたしまして、専売益金に対する侵害も非常に大きな金額に上っておったのでございますが、その後社会情勢の安定いたしましたことや、また駐留軍の撤退というようなこと等のためにだんだん漸減して参っております。しかし最近におきましてもまだやはりかなり出回っておりまして、昭和三十三年度の専売取締り検挙件数を見ましても、外国たばこ関係検挙件数が大体一万六千件程度に上っておりまして、たばこ専売法違反事件の大体七割近くは外国たばこ関係事件になっております。こういうような情勢でございまして、現在でもなおこの外国たばこの出回りによりまして、専売益金に対する侵害というのは相当金額に上るのじゃないかというふうに考えております。従いまして、外国たばこ取締りということにつきましても現在力を入れてやっておるわけでございます。
  18. 高野一夫

    高野一夫君 やみですから大体の見当がつきかねるかもしれないけれども、専売局相当干渉されておるはずだから、一万何千件は摘発された違反のはっきり表面に現われた事件の数でしょう。大よそここにたとえばいろんな正規製造たばこ輸入調べが出ておりますが、こういうのと比べてどの程度ぐらいの本数のものが輸入されていると、大よその見当をつけておられるか、見当はつかないのかどうか。そのへんちょっと伺いたい。
  19. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) 外国たばこやみで出回っております数量の推定ということは、非常に困難でございますが、一応私どもが推定いたしております数量は、最近におきまして大体五億本程度には上っておるのじゃないかというふうに推定しておるわけでございます。
  20. 高野一夫

    高野一夫君 五億本というと正規輸入額より非常に多いことになるわけですが、そういうことになりますね。
  21. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) その通りでございます。正規輸入が二千万本程度でございますので、それに対してやみが五億本程度と推定しております。
  22. 高野一夫

    高野一夫君 そのやみたばこ取締りは、正規輸入をなさる以上は、ことに日本の状態として十分取締らなければならぬが、どういう方法をもって監視取調べをなさっておるか、その具体的の監視取締り方法一つ聞かして下さい。
  23. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) その前に、正規輸入たばこ販売につきましてちょっと御説明申し上げたいのでございますが、大体年間二千万本正規輸入をいたしておりますが、これの輸入しております趣旨は、大体日本に参ります外国人旅行者、そういう人たちの便宜のために外国たばこを供給するというような趣旨で、外貨予算が認められまして輸入しておるのでございまして、そういうような次第でございますので、その販売につきましても、ホテルとかあるいは羽田とか伊丹とかいうような飛行場等外国人が多く出入する所に限りまして、販売を認めておるわけでございます。もちろんこういうような販売しております所で日本人の方がお買いになることは一向差しつかえはないのでございますが、全体の数量が非常に少いところへもって参りまして、販売する場所もそういうような大体外国人相手場所販売しておりますので、この正規たばこ日本人の方がお買いになるという数量は、この二千万本のうちでまた非常に少い数になるのじゃないかと考えております。そういうような次第でございますので、一般に市中で吸われております外国たばこの多くはやはりやみたばこが実際問題として多いのでございます。そういうような次第でございますので、専売取締りにつきましては、駅頭とかあるいは観光地等につきまして消費者につきましても取締りを実行いたしておりますが、お吸いになっているのを発見いたしました場合に、正規たばこであるかあるいはやみたばこであるかということの区別が困難な場合には、一応どこから入手されましたかということをお尋ねするというようなことでやっております。正規たばこをお吸いになっておる方に対しましては大へん失礼かと思いますけれども、現在の外国たばこやみの出回りの状況から考えまして、現在の段階では一応そういうような取調べもやむを得ないんじゃないかというように考えておる次第でございます。
  24. 高野一夫

    高野一夫君 そうすると吸っている人だけ調べて、あとそれを輸入するとかなんとか元売りさばきといったようなことをやみでやっているような点についての摘発はおやりにならないのですか。
  25. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) 外国たばこ取締りにつきましても、専売公社といたしましてもっとも力を入れておりますのは、ブローカーというような悪質の反則者に対してでございまして、ただこういうような悪質のブローカー等の発見も、消費者駅頭等取調べで、どこから入手されたかということをたどって参りまして、悪質のブローカーの糸口をつかむということが非常に多いのでございますので、そういうような意味において消費者の方の取調べも実行しておるのでございますが、もちろんその主眼は悪質のブローカーを取り調べるということに主眼を置いておるわけでございます。
  26. 高野一夫

    高野一夫君 各地の専売公社出張所みたいのがあるが、あれはたばこ監視員と申しますか、その一々聞いたりなんかするのは。
  27. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) 専売監視職員がやっております。
  28. 高野一夫

    高野一夫君 全国の専売公社の役員、特にたばこ監視員衆議院議員参議院議員の、バッチをつけているのを承知しておりましょうか。見きわめのつかない、何のバッチか知らない監視員相当おりますか。
  29. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) この多くの監視職員夫経験者というのは非常に少いのでございまして、長年監視に従事している職員が多いのでございますので、大体は知っておる者が多いかと思いますが、しかし中にはまた知らない者も若干あるかと思います。
  30. 高野一夫

    高野一夫君 私は与党であるがゆえに特にやかましく申し上げたいのでありますが、監視員というものはいろいろな悪いことがあるかもしらぬということで摘発等いろいろな仕事をするわけでしょう。それが国権の最高機関に議席を持っている衆議院議員バッチ参議院議員バッチ県会議員バッチか、何かほかの会社のバッチかわからぬような者がたばこ監視に当って、そしてほんとうにその一例を持ってきても、的確な監視ができるとお考えになりますか。総裁いかがですか。
  31. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 監視員の中にも国会議員のマークをはっきり認識しておる者もあると思います。またその方が多いと思うのでありますが、近ごろバッチもなかなか種類が多くて似かよったのもございますので、はっきりした区別をつけにくいということで、バッチをつけている限りにおいては質問しないようにというような指導も非常にむずかしいんじゃないかと考えておるわけであります。
  32. 高野一夫

    高野一夫君 私が言うのは、国会議員バッチをつけていた者にいろいろな質問をしちゃいかんとかいいとかいうことを言っているのじゃございません。国会議員バッチの見分けがつかないような者が果して悪いことをしているかいないかの摘発とか監視とか、そういうことができるだろうかと私は疑問を持つのです。そしてまたその監視員は警察官や司法官と同じものなんですから、そういうようなふうのものの見方をして、あれは悪いたばこを吸っているのじゃないか、こういうような見方で始終見るわけです。それくらいの頭を働かせる者が、相手方のいろいろな人の見わけのつかぬような低級なことでほんとう監視ができるでしょうか。私は国会議員のバッジをつけているから、やみたばこを吸っているんじゃないかと聞いちゃいけない、こういうことを言っているのじゃない。大いに聞いてけっこうです。けっこうだけれども、そういうことがわかっているのかわからないのだろうかという私は疑問を、まず一般論として持つのです。これは総裁一つ考えにならなければならないのは、監視員というものは、ただいまも販売部長からお話のあった通りに、相手が悪いことをしていやしないかということを頭において監視をするのですから、相当の良識を持った人が監視員になってお当りにならぬと、私はとんでもない事態が起ると思う。ここでやみたばこが五億本だとおっしゃる。正規たばこが二千万木前後、そうすると、大部分の外国たばこを吸っている日本人やみたばこを吸っているものだと、こうもう最初から思っておられる。しかも正規製造たばこ輸入は外人に向けるのがまず建前なんです。だからホテルとか空港とかそういう所に置いてあるし、日本人がそれを買って吸っちゃいけないとはいわれない、こうおっしゃる。われわれも買いますよ。そういうときにぶつかれば買う。少くとも二千万本くらいしかない正規たばこであるけれども、正規の証印を張って専売局では売っているからだれが買ってもかまわない。そうすればこれをのんでいる。のんでいれば、やみたばこの数が多いからあれはやみじゃないだろうか、こういって一々駅頭や汽車の中で聞くなんということは、これはどんなものですか。それを一々聞かなくちゃならぬものでしょうか。実例を申し上げますと、つらつきが悪いせいかしらぬが、私は二回ぶつかった、私がぶつかったから言う。ついこの夏前に横須賀線をおりましたとたんに新橋のホームで、あなたは外国たばこを吸っていらっしゃいましたねと言ったから、吸ったものをポケットから出した。私はこれは何ら監視員と思わなくて何となく出した。りっぱな証紙が張ってある正規輸入たばこです。どうもすみませんでしたと言ったから、私ははっと感じたから、すみませんでしたとは何だ、君一つ氏名の証明を出せ、こう言って名前も記憶いたしまして決算委員会の事務室の方に連絡しておきました。それから一ぺんは昨年熊本の駅の改札口でやはりそういう目にあいました。そのときも私はやはりちゃんとしたものを持っておったから出した。君はだれだ、証明を出せと言ったら、熊本専売公社の何とかいう監視員でした。そうしてすみませんでした、ただこう言って一言のもとにあやまった。ただあやまって去って行かれた。私は人だかりがするものだから大きな声を張り上げていつまでもいるわけにも参りませんから、それで帰って来ましたけれども、もしもそういうことをするならば正規輸入たばこをおやめなさい。そうして日本人が買っちゃいかぬ、外国人の証明がなければ売ってはいかぬ、こういうような方法でもおとりにならない限り、われわれが正規輸入たばこを買ってそれを吸っておってそうしてそのだびにあるいは駅あるいは車中において、あなたは外国たばこを吸っていらっしゃいましたがやみじゃありませんか、こういう注意を受けなければなりません。これは一体やみたばこ正規たばこよりも非常に数が多くてそれを調べなければならぬとはいいながら、このやり方は私は改善すべきだろうと思うのです。これをどういうふうにお考えになりますか。私の考え方は間違っているでしょうか。
  33. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 非常にむずかしい問題でございまして、抜本的には国内において外国たばこを売らぬということになれば、質問する必要もなくなるということはお示しの通りでありますけれども、しかしまた外国人相当来ます。その場合において日本たばこになれていないからして、ことに英米人が多いのでありますが、英米のたばこを吸いたいというのに、それに不便を与えるような所には、やはりお客というものも寄りつかぬというようなことになってくると、そこもまた考えなければなりませんので、外国人需要を満たす程度においては、外貨が窮屈であっても特に外貨の割当を受けて、外国たばこ輸入してその需要に応ずるということがやはり必要ではないかと思うのであります。その場合において日本人には売ってはいかぬ、こういうことをきめるとすれば、これはやはり国民の権利を制限しますから法律を要する事項になると思うのでありますが、そういう立法が果して行き過ぎであるといわれないで済むかどうか、というところにまた問題がございまして、それからまた売らないとしましても、現在外国から帰って来る場合にある程度数量を持ち帰ることを認めておりますが、それももう一切税関で没収してしまうというようなことになりましても、そこもまたなかなか問題がむずかしくなります。それからプレゼントとしてある程度のものをもらうということも、これも数量が少なければ認められておるわけでありますが、そういう外国人からのプレゼントも一切拒否して送り返させる、こういうようなことになってもそこにまたやはり摩擦ができまするので、現在程度数量日本販売するということ、及び現在程度の持ち帰りとかあるいは贈与を認めるということは、存続したいと考えておるのであります。率は取締りの行き過ぎにあるということにあるのでありまして、その点がまずいから売らないとか贈与を認めないということになると、何か角をためて牛を殺すような感じがいたしますので、公社考えといたしましては監視の点について御注意のありました点を、十分考慮しつつ、制度としては現状の制度を存続したいと、かように考えます。
  34. 高野一夫

    高野一夫君 今、私が考えておるようなことをそのまま総裁が言って下すったんですが、正規外国たばこ々やめるということは、やはり私も実際においてはむずかしいと思うんです。それから外国人でなければ売らぬということも不可能だろうと思います。それからわれわれが社交場裏において外国人から葉巻きを、もらったりたばこをもらったりします。それを吸ってもちっともそういうことは差しつかえないと思う。ところでそんならばなおさら、やみたばこを吸っているか差しつかえない正規たばこを吸っているか、ただ吸っているにおいをかいだだけで、そうして吸った吸いがらを見たんではわからない。つまり捨てた吸いがらを見てにおいをかいで、そうしてやみたばこじゃないか、こういうふうな取締りをさせることに対して問題があると思う。私の場合はちゃんと正規の証紙を張ったたばこを持っておったからいいが、もしもかりにそういうものを家に置いておいて、そのうちの何本かをケースに入れてポケットに入れてのんでおったらどうなります。それを出さなければ、駅のホームにおいて、車中において聞かれた場合に、監視員の方ではそれが正規のものであるかやみのものであるかわからない。それなら専売公社へ来てくれ、あるいはお宅へ調べに行きましょう、こういうことをやると思う。そこまでやらなければ監視になりません。だから監視というものは、まことにあいまいであってそうして場合によってはきわめて失礼千万、家に買って置いてそうして何本かをシガレットケースへ入れてポケットへ入れておいた場合には調べようがない。家宅捜索をやるか何かしなければわからぬ。そういうような場合に、どういうような監視されるのか、これも一つ伺いたいと思うのであります。そういうふうにいえば、きわめてその監視のやり方というのは不徹底千万であって、そして人に対してきわめて失礼千万、これで正規のちゃんとしたものを持っておっても、どろぼうして持っておったんじゃないかと、こういうふうなことになるのです。手っとり早くいえば、これならば私は正規輸入たばこを断然やめなければならないんじゃないかという極端論を申し上げるよりほかない。それが外国人であり、外人の証明がなければ買えない、売らない。それがまた社交場裏で、それでは日本人は買えないから、外人しか持ってないものを、われわれが二本か三本もらってポケットに入れてのんでおったらどうなるか、こういう問題も出てきます。そういう点については、私は総裁を中心として、十分たばこ監視ということのやり方をお考えになる必要がある。今のやり方ではとうていわれわれは承服できません。おやりになっても不徹底、きわめて失礼千万、これについて一つどういうふうにしたらばいいか。この問題は、私は、この七月ごろ参議院の決算委員会が開かれるということでございましたから、こういう質問をするということは、決算委員会の専門調査室から専売局の方にも通じてあるわけですから、すでに何カ月かたって今日初めて開かれたこの決算委員会においては、どういうふうにこれを考えて、どういう対策に持っていくか、現在のままでいいかどうかという点については、十分私は御研究になって、きょうこの席においでになったのだと思って私はお聞きした。それで私がきょう質問しなければ、またこれから考える、いつやるかわからぬ、こういうことでは私は怠慢だと思う。これは二、三カ月前から予告してある。これについて今矢嶋委員から何か関連質問があるならば、それもあわせて御質問願って、はっきりした今後どういう対策をおとりになるか、もう少し具体的の御意見を聞かしておいていただきたい。
  35. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連して、二問発したいと思いますが、第一問としては、正規輸入の約二十五倍のやみたばこが国内で消費されている、こう判断されておるわけですが、そのやみ外国たばこを消費する人は、日本国民の階層としてはどの階層の人が多いとあなた方判断しておるか、それをお答え願いたい。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 それに関連していま一つ、お答えをいただくことですから関連してお尋ねしておきますが、在日米軍並びに軍属、それから外交官等、いわゆる先ほど外国人の所有、これらの人が消費するたばこというものはどのくらいの見込みなのか。それから現在PX等で販売をしておるたばこというものはどの程度あるか、これもついでにお答えをいただきたい。
  37. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) 現在やみ外国たばこを消費する階層がどういうような階層かという御質問でございますが、これは数年前のやみ外国たばこが非常に横行しておりましたころには、まあ相当上層階級と申しますか、重役さんとか、そういうような方も相当多かったようでございますが、最近はそういう方面の方は比較的減少して参りまして、年輩からいいまして若い人とか、そういうような方面がだんだん割合としては多くなっているように考えております。  それから駐留軍から放出されております外国たばこでございますが、これもはっきりした数量はつかんでおりませんでございますが、大体の推計では、年間に十一、二億本程度と推定いたしております。
  38. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 販売部長さん、あなたは本心を言っていないと思うのだな。僕は監視員の認識が問題だと思う。おそらく、あなた方は監視員を次のように指導しているのじゃないですか。どうもやみたばこをのむのは、やっぱり服でもりっぱな服を着て、生活水準としては、相当上層階級に多い、そういう指導を監視員にしているのじゃないですか。正規の文書で流していなくても、無意識にそういう意識を持っているのじゃないかと僕は推察するのですね。あるいは接客業者の中でよくのんでいる人があるかもしれない。赤坂とか新橋あたりには相当流れていると思う。高野委員みたいな人をにらむところに、眼の狂いがあるわけで、僕は監視員の教育が誤まっていると思うのだね。だからやっぱり、おそらく熊本あたりのいなかの監視員だし、高野さんがりゅうとした服を着て紳士然としていたから、(笑声)この紳士なら、笑い話でなくて、誤まれる認識のもとに質問したのじゃないかと僕は思うのですね。それは根本的には、高野委員から指摘されたような対策を講ずることも大切だが、監視員のやっぱり教育を要しますよ。僕は、あなたが言ったような若い人とか下層階級の人が、生活水準の比較的低い階層の人が外国たばこをそうのむとは思わないな。のむとすれば、若くても、下層階級でも、ごく特殊な人で、認識のつかぬはずはないですよ。だから高野委員が冒頭にバッジ論を出してきたと思うのですよ。だからそういう点、先ほど僕が伺った点については、販売部長さん、ちょっと警戒して、本心でないことを僕は答弁したと思うのだが、根本的な対策を講ずるとともに、監視員の教育、これを誤まってはならないと思うのですがね、いかがですか。
  39. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) ただいま私が申し上げましたのは、決して本心でないということはございません。確かに先ほども申し上げましたように、数年前の非常に横行していた時代、あのころには身なりなんかもいい方、比較的上層階級という方面が多かったようにうかがわれましたが、その後の情勢では、そういう上層階級の方が外国たばこやみたばこを消費されるというようなことは非常に減って参っております。それで、私が申し上げましたのは決して本心でないことはなく、事実のことを申し上げておるわけでございます。  それで監視員の指導といたしまして、身なりのいい方等に力を入れてやれといった指導は毛頭いたしておりません。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 先ほど駐留軍人たちが平均消費されると見られる推定が十一億ないし十二億、こういうお話がございましたが、これは十一億ないし十二億本というものは、全部それぞれの国で送ってくるものでありますか、それとも日本の国内でも、たとえば米軍の場合には、米軍が目の丸なら日の丸のたばこを作ってくれ、こういうことで国内においても作るものがあるのかないのか、あるいは英国大使館なり、ソ連大使館なり、それぞれ各国のいわゆる外国大使館、領事館等においては、それぞれの国から全部送ってくるものなのか、こういう点についてどういうふうに把握されておるのか、その現状を一つ説明をいただきたい。
  41. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) 駐留軍の兵隊に放出されますたばこは、みんな駐留軍のPXから出ておるたばこでございまして国内でそれを別に作っておるとかいうようなことはございません。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 外国大使館と領事館の……。
  43. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) 外国の大使館、領事館等の外交官用のたばこは、これは別に公社の承認を受けて各国ともそういうたばこは入っておりますが、この数量は非常に微々たるものでございまして、そういうものは駐留軍の兵隊用のあれとは別に、大使館で使うというようなたばこについて、そういうものは別に輸入しておるわけでございます。
  44. 島清

    ○島清君 関連をして二、三点質問をいたしますが、第一点は、外国たばこを観光外人のために入れなければならないのだ。そして入れるためには、こういったような国内で矛盾をした姿が出てくるのはやむを得ないのだというお説でございましたが、私たちが外国を旅行いたしましても、日本たばこらしいものに接しないわけでございますが、そこで、日本たばこ技術というものはそれほど世界の水準から見まして非常に劣っているものであるかどうかですね。外国人たち日本に来られたときに、フジヤマ、サクラ、ゲイシャガールみたように、自慢をしてすってもらえるようなふうに技術は進んでないのかどうかですね。この点について御説明をいただきたいということと、それから監視人のことでございますが、これは国内のたばこを製造する人々が、あるいはまた葉タバコを自家用に密造するのではないかというような監視もございましょうが、この監視人の仕事の分量からいたしまして、やみたばこ監視する専門的な監視人というものが何人ぐらいに、そしてどういうような訓練をされて仕事に従事をしているか、その人数と、それから訓練の内容について御説明を願いたいということと、それからやみたばこの流入源でございますが、これは国内からいたしますと、言うところの駐留軍から流れてくると思いますが、しかしながら国内ばかりではないと思います。国外からも流れてくると思いますが、国外からだといいまするというと、大体香港であるとか沖繩というところが海外の流入源だと思いますが、区別をいたしまして国内と国外から流れて参りまする源——流入源がどういうふうになっておるか。五億本のたばこが国内と国外からどういうふうに流れてくるか、海外はどういうところが流入源になっておるかを御説明を願いたい。  それから、たばこをいろいろ技術の面で、日本人の食生活が変って参りますので、大いに技術の面で改善を加えていかなければならないと思います。今の日本人の食生活というものは、外国人に劣らないほどやはり脂肪分をとっておりますから、今までのような日本人の野菜を食べて、魚を食べるといったような食生活を対象にいたしまするたばこの嗜好からいたしますというと、私たちはこれではやはり日本人は満足しないと思います。動物蛋白質をとりまする人々の好みからいたしまして。それで外国たばこが、私どもはこれはやみたばこが跡を絶たないと、こういうふうになっているのではないか、こういったような日本人の食生活の変化に基いて、たばこの技術というものがそれに伴って改善をされているかどうか、この点について、御説明をいただきたいと思います。以上四点ですね。
  45. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) 品質の面におきまして、外国たばこ公社たばこの比較の問題でございますが、これは外国たばこと申しましても、主としてアメリカのたばことの比較について申し上げますと、日本の現在のたばことアメリカのたばことは、傾向が若干違うのでございまして、現在のアメリカのたばこは非常に味が軽くて、原料である葉タバコそのものの味というよりも、その後の香料とかを生かしてのませるというような傾向でございます。それに対して、公社の現在のたばこは、どちらかと申しますと、味がアメリカのたばこと比べますと重いというような感じがございまして、葉そのものの味を生かしているというような、どちらかと申しますと英国風に近いような傾向でございますので、品質的にどちらがいいということの比較も、その好み好みによりますので、ちょっとどちらがいいということも困難かと思います。  それから監視職員の数でございますが、現在監視に当っております職員は、全国で大体六百人でございます。これもやみたばこが非常に横行いたしました数年前には、一番多いときで千八百人ほどの監視職員がおりましたが、その後の情勢の変化で、六百人に減少いたしているのでございます。  それからその監視職員の教育につきましては、公社をいたしましても非常に力を入れておりましてこの監視職員も、入りましてすぐにそれが一本立ちで一人で仕事をするというようなことはさせませんで、二年ないし三年の訓練を経てその後に正規監視職員になる、こういうことをいたしております。なおその間講習あるいはそのほかのいろいろな訓練ということにつきましては、十分注意をいたしてやっている次第でございます。  それからやみたばこ外国から入ってくるものと、国内で出るものと、数量でございますが、外国から入って参りますのは、沖繩方面から鹿児島方面に入るとかいうようなのがかなりございますが、しかし全体の数量になって参りますと、それほどの数量ではございませんで、その大部分はやはり国内で出るものを考えております。  それからたばこの嗜好の変化でございますが、先ほど申し上げましたように、現在の公社たばこは、どちらかというとアメリカのたばこのような比較的味の軽いものというのとちょっと違う傾向がございますが、今後の公社の方針といたしましては、やはり一般的、世界的に、だんだん味の軽いものが喜ばれるという傾向にございますので、今後の方向といたしましては、味の軽いたばこをどんどん出していきたいというふうに考えておりまして、現在もいろいろ計画いたしている次第でございます。
  46. 坂本昭

    ○坂本昭君 ただいままでの御質問に若干関連して、少し続けてお願いしたいのですが、第一番目に、いろいろなその嗜好の変化に伴って、将来外国たばこ輸入の方針をどういうふうにしておられるか、これが第一番目。  それから次に、先ほど来いろいろと論議のあったことに直接関係してくるのは、今の日本たばこの質をよくするということ、これに関連してですね。一体たばこの質と、それからもう一つは、同じ一本のたばこでも、それの詰まり方がずいぶん違うのですね、質、量の監査、きょうは、これは決算の財政的な監査が主たる目的になっていますけれども、実は、こういう各所で作られておるたばこの質並びに量の監査を、どういうふうにしておるか。これは基準はどういうふうになっておるか。  これは例をとれば、きょうはたまたま専売公社が来られるからかもしれませんが、きょう私が買ったピースは、比較的いいのです。しかし、ときどき非常に悪いピースがあります。あるいはパールあたりでも、十本入りと二十本入りでは、味が違うのです。私は従来、二十本入りを非常に愛用しておったのですけれども、パールの二十本入りは、最近非常に味が落ちた。だから、これは外国たばことの関連もありましょうが、日本で作る場合に、非常に質並びに量が変っている。これの監査の基準を当然持っておられると思うし、またそれを実際やっておられると思う。販売上のいろいろな不当行為、不正行為についても監査されるでしょうが、あなた方が作られる品物についての監査の基準がどうなっておるか、これが二番目の問題。  三番目に、これは販売部長が直接知っておられると思うのですけれども、ことしの夏など、ピースが全国的に減っておったのです。都内でもピースを買いにくいことがあった。これはどういうわけで、そういう入手難、そういうことが起るか、この三つの問題について御説明いただきたい。
  47. 小川潤一

    説明員小川潤一君) その問題について、お答えいたします。  一つは、米葉の輸入問題でございますが、お手元に差し上げてございます表でごらん通りに、米葉は数量にして、ここ数年平均日本の原料葉タバコの約五%輸入しております。これは、日本にも非常にいい産地がありまして、できるだけ減少いたしたいということは、われわれ考えているのでございますが、いかんせん、日本の天候状態が、アメリカと比べまして、かなり湿気が多い。従いまして同じ種を持ってきまして同じ栽培方法をやりましても、どうも香喫味と称する、いわゆるわれわれは味のもとと称しておりますが、その香喫味が、どうしても日本では少し不足する。従っていいたばこ、たとえばピースには米葉を二割五分程度、いわゆるカクテルいたします。まぜますと、非常によいかおりが出る、その点で、これの輸入は最小限度はやむを得ないのじゃないか。もし何か雨の多い日本にも、香喫味の出る新品種が出てくれば、これは何とか解決するのではないかと思っておるのでありますが、なかなかその点、どうもまだ至らないことで、最小限度の輸入はやむを得ないというふうに、われわれは考えておるわけでございます。  次に、品質管理の問題は、御指摘があるまでもなく、非常にわれわれは頭を使っておりまして、特に独占企業でありますので、競争相手がないということで、とかくイージーな気持になってはいかぬということで、原価計算上の問題はもとより、品質の問題は、かなり頭を使っておりましてたとえば機械では約一分おきに目方を女工さんがとって、十本十グラムあるかないか調べろというふうに指導しております。かつまた、各製造工場の製品のでき上ったところには、十人ないし十五人が検査員としておりましてできた製品を抜き取り検査でやっております。  従いまして、理屈上からは、今御指摘のような点がないはずなんですが、何しろ千億本以上の数を作っておりますので、工場も四十に近い工場がございますので、中には、どうしたものか、ああいう網の目をくぐって、不良品が出てくるということがございまして、まあ毎日のように正直なところ、お客さんから不平が来るということはございます。従ってこれはまあ極力減らすべく努力はしておりますが、何しろ数の多い問題で、そういう、たまたま、いわゆるわれわれから言いますと軟巻きと申します、ぽんぽんとたたくと、上の方が一センチぐらいあくというようなことも間々生ずるのでございまして、この防止には、非常に苦心しておりますが、まだまだ至らない点があるということは、われわれも率直に認めて、改善をしなければならないと考えております。  それから第三点の、この春以来のたばこ不足の問題は、まことにわれわれ専売公社として製造をまかされておりながら、非常に恥かしい問題でございますが、何しろここ一、二年の需要は、急激に伸びて参りまして、一カ年に、大体四十億本ないし五十億本の増加になる。これを、まあ申しますと、たとえば品川工場、あるいは業平工場一つ分ぐらいの工場の製造に見合う分が、毎年ふえておるという状況になっておりまして、われわれも、その見通しはなかったわけじゃないのでございますが、ここまではという気持もありましたし、かつまた、それくらいのアローアンスというものは、職員超過勤務によって解決できるのじゃないか、全部が全部フル操業で、いつも定時間作業でやる操業というものはないので、ある程度は、超過勤務をお願いして、それによってやってもいいのじゃないかという考え方で、今言いました需要の弾力性に対するアローアンスというものは、超過勤務で期待しておったのでございますが、いろいろの労働問題のいきさつがございまして、わが三公社五現業には、いわゆるスト権が禁止してございますので、しいて労働組合として何か経営者にものをいうすべというものは、合法的には超過勤務拒否ぐらいしかないじゃないかという感覚で、この超過勤務というものを拒否されまして、労働問題にからんで、その需要に対するアローアンスということはまかなえなかった、こういう状態で、消費者の皆さんに御迷惑をかけたという実情でございます。  以上三点、お答え申し上げました。
  48. 坂本昭

    ○坂本昭君 今軟巻きという専門的な御説明がありましたけれども、先般、これは夏だと思いますが、たばこの中に働いている人の化粧の部分品が何かまぎれ込んでおったということがありましたね。こういうことは、今のような品質管理をかなりやっているが、なかなかやむを得ないというお言葉でしたけれども、私は、そういうことでは済まないことじゃないかと思う。特に軟巻きの程度というのは、相当ひどいのですね。これは会計検査院の検査の対象にはならぬかもしれないけれども、大きい意味では、これは一番本質的な大事な点です。そうしてまた、そういう軟巻きなどを作るものだから、アメリカのたばこ、あるいは外国たばこやみたばこをすわざるを得ぬということにもなってくるので、今のようなお考えでなくて、もっと厳重に、この品質管理は徹底してもらいたい。特にその工程の中で、いろいろな異物が入るということは、カン詰の中に指の先が飛んできたというような事件もありましたけれども、たばこの中に、いろいろな装身道具の一部が入るということは、これはもってのほかだと思う。これは決算とは関係のないことだけれども、きわめて重要なことでありますので、そういうような製造過程の中では、どういうまた財政上の非行為が行われるかもしれない。もっと私は厳重にしていただきたい。  それから次に、今の毎年四十億本ないし五十億本もふえるということで、超勤の拒否というようなことで、それに対する十分な製造量を増すことができないというお話でしたけれども、私は、これも今のやみたばこのことにも関連があると思うのですね。だから、これに対しては、当然定員を増すとか、そういう措置によって、積極的に国民の需要に対する処置をしていただきたい。どうもただいまの御説明では、はなはだ手ぬるいと思うのです。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 私は、項目別に一つ質問をいたします。  まず葉タバコの受け払い表と葉タバコの輸入調べというのがナンバー四、五に出ておりますが、このうちで、先ほど説明をいただいた中で、黄色種が非常に三十三カ月分、三十二年度持ち越しになっておる。現在三十三年度末の在庫高が三十六カ月分、こういうふうに数字が出ておるわけでありますが、この裏のナンバー五の輸入のところを見ますと、米国の黄色種というものが、やはりここに見えておりますが。先ほど説明では、全体で輸入葉タバコは五%くらいある、こういう御説明でありましたが、昨年私は、この決算委員会でやはり葉タバコの問題で御質問をした際に、黄色種については、制限耕作をさせるということで、たしか減反をしたと思うのですが、その経過は、どういうふうになっておるのか。それから同じ黄色種でも、やはり日本外国では違うという理由が先ほどの御説明だけでは、ちょっと納得できないような気がするわけですが、いま少しく詳しく御説明をいただきたい。  それから三十三年度の在庫高を見ますというと、平均をして三十カ月分になっておるわけですね。そうすると、三十四年から五年にかけて、この黄色種について、さらに減反をしたい考えでおるのかどうか、こういう点を黄色種について、一つ例を上げて御説明願いたい。  第二は、輸入葉タバコについてはわかりましたが、昨年も御質問いたしておきましたが、輸出の葉タバコは、現在はどうなっておるのか、その数量、種類、こういうものを一つ説明をいただきたい。それから、この輸入葉タバコの輸入価格と、それから輸出葉タバコの輸出価格、これを一つ例示をしていただきたい。  それからその次に、今の御説明で、三十三年度の本数、第一ページのこれですが、本数の減ったというのは、労働争議があった、こういうことで、今の御説明を坂本委員質問に対してお話がございましたが、これは明らかに私どもが伺うところによると、専売公社総裁と組合との話し合いが不十分に行なわれておったように私どもは考えられるのであるが、三十六条協定というものが、当然法に基いたことであるので、それは双方が従い、いわゆる尊重されなければならぬことであるが、現状について、専売公社職員の一人あたりの給与単価、それと定員、それに対して、どの程度今後定員をふやさなければならぬかということも、計画の中に私は数字が出てくると思うのでありますが、もしおわかりになったならば、そのことも御説明をいただきたいと思います。  それからいま一つは、昨年やはり同じく私から御質問をしておきましたが、タバコ耕作者に対するところの肥料のあっせんの問題がありましたが、これについて高砂商事という会社があったのでありますが、それがその後どうなっておるのか、当時の御説明では、決して一商社の肥料を耕作者に買えというようなことを言ったことはない、こういうような御説明を昨年いただいたのでありますが、私が聞いたところによると、その後高砂商事というのが、すでに会社がつぶれてしまった。しかし、その後資本金を新たにして耕作者に対する肥料販売の方式をとっておるやに聞いておるのですが、その現状はどうなっておるか。  最後に専売公社の専売法の改正をする考えがないかどうか。これは、いわゆる一昨年わが社会党が専売公社の専売法の修正のときに、タバコ耕作組合法等に基いて、いろいろ御意見を申し上げたのでありますが、一応暫定期間としての法律を当時制定いたしましたが、これはあくまでも暫定法でありましていわゆる恒久立法というものは、新たに制定しなければならぬと私は思うのでありますが、それに対する当局としての法改正の準備をされておるのかどうか、その中における法改正については、耕作組合のいわゆるあり方、こういうものについて、収納価格についての取り扱いは、どうするか、あるいは鑑定制度というものを、どういうふうにしていくのか、あるいは災害補償制度というものを、どうするのか等の問題が、私ども社会党としては、耕作農民に対する非常に大きな問題であると思いますので、これらに対するところの根本的な、いわゆる研究をされたことを一つ説明をいただきたい、こう思うのであります。以上であります。
  50. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 政策的な問題は、総裁にお答えしていただくことにいたしまして事務的に今の御質問に関しましてわかっている範囲を要約いたします。  黄色種は、非常に在庫が多くして、その後どうしたかという問題に関しましては、私らの方で率直に認めまして、耕作審議会なる利害関係人の委員会を組織いたしまして、それによって判断していただきまして、毎年逐次、一挙に減らすということは、なかなか無理であろうから、逐次減らしていこうということで、昨年も七・五%、ちょっと数字はあいまいなんですが、七%ないし八%、本年もやはり同程度の減反をお願いしたわけです。従いまして面積といたしましても、三十三年は六万八千八十六町歩が、三十四年は六万四千二百十九町歩というふうに減反をいたしております。かくのごとくいたしまして、逐次在庫調整をはかっておりまして、もう今のところの数字では、来年からは、しいて意識的減反をせずとも、三十九年度あたりに参りますと、需給のバランスがとれるという状況になっております。わが社といたしましては、二十四カ月くらいの在庫をもって理想在庫としておりますが、それに近づくことができるという状況でございます。  それから葉タバコの製品並びに葉タバコの輸出に関しましては、製品は非常にいろいろ努力しておりますが、遺憾ながらどうも税金が大部分で、製品の輸出というものはできない。よく世間から、すべての製品が日本のものは出るのに、何をしているのだといわれまして、われわれもあれやこれや研究工夫しているのですが、どうもこれはかんばしくない。今かすかに出ておりますのは、特需の関係で、朝鮮の米軍からの安タバコの注文を受けている。それから沖繩に若干のものが出ているという程度で、ほとんど問題になる数字ではございません。しかし一方原料葉タバコは、逐次輸出が増加の傾向になっております。たとえば日本の東北方面でできまする松川葉、われわれは第二在来種と申しておりますが、これは非常に癖がなくて外国のタバコのかさ増しに使うという意味で、かなり需要がございます。かつまた東北にございますバーレー種とか、これが米国のバーレー種が非常に高い関係上、日本のバーレ一種が安いということで、かなり出ておりまして、両方合せますと、ちょうど輸入相当します約五百万キロ、先ほど五%と申し上げましたが、それ相当ぐらいのものが出ております。非常にわれわれもこの点においては、今後も努力していきたいと思っております。  それから輸出価格は、もちろん国内の輸入は、日本の大体倍、米葉はわれわれ輸入しておるものはキロ当り倍ですが、われわれの出しておるのは、従って輸入の二分の一で残念ですけれども、安くないと買わないものですから、われわれの収納価格、買い上げ価格で出しております。  それから組合の問題は、ちょっとややこしいので、総裁から……。高砂商事の問題も、あれです、専売制度改正も、総裁が御説明になると思います。
  51. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 三十三年度のたばこ製造数量が、三十二年度に比較しまして、わずかではありましたが減っております。そのことは、労働問題と関係があるということは、冒頭の説明で申し上げた通りでありますが、実は昨年の夏以来、一部の工場につきまして機械化ということを行なっておるのでありまするが、それに関連して、管理運営事項であるか、労働条件であるかということについて、組合側と公社側とに見解の相違がありましたために、かなり紛争が続いたわけであります。その間、公社に抗議するというような意味で、時間内職場大会というようなこともありまして、ある程度正規の時間に食い込んで作業が休止した、こういうようなこともございます。  それから超勤拒否ということがあったということは、先ほど話が出ました通りであります。超勤問題については、超勤するかしないかということは、組合と話し合ってきめるべきことで、超勤拒否に会ったからといって、直ちに組合側が悪いということはいえないわけであります。ただ、現在の製造設備の関係から申し上げますというと、所要の製造たばこ数量を超勤なしに製造するということは困難で、従来、全体の三%ないし四%ぐらいは超勤によってカバーするという見通しを立てておったわけであります。それが、昨年においては、時間内食い込みの関係と、超勤の拒否によって、わずかながら前年度よりも製造実績が減った、こういうわけであります。  そこで、公社といたしましては、一方におきまして本年度から製造のための作業職の欠員を補充する、あるいはわずかばかりの人員を補充することによって、作業のアンバランスが是正されて、相当能率が上ってくるという工場もありますので、そういう所に増員をするというようなことを計画して実行いたしております。なお、超勤も、できるだけこれに依存する度合いを少くしたいという考えをもちまして、需要の変化からして、刻み工場の方を両切り工場に転換するという計画を立てまして本年度すでに二工場の転換を行い、来年度も一工場の転換を行う計画を持っております。  それから浜松の工場の拡張ないしは岡山、あるいはもう一カ所ぐらいの工場を拡張することによって、製造数量相当増し得るという計画を持っておりますので、明年以降は、超勤に依存する度合をすっと減らすことができると考えておる次第であります。  それから肥料に関連して、高砂商事のお話がございましたが、高砂商事が不渡手形を出して会社経営が一時困難に陥り、再起不能を伝えられたということは、私どもも聞いております。その後、各方面からの援助によりまして、旧債をたな上げしてまた再発足をしたということは聞いておりまするが、一肥料会社のことであって公社と直接関係があるわけではありませんので、公社といたしましては、高砂商事の再建計画には、何ら関与いたしておりませんので、詳しいことを承知いたしておりません。  次に専売法の改正についての方針でございまするが、たばこ耕作組合法が成立いたしまして、新法に基きまする新しいたばこ耕作組合が発足いたしましたので、その新組合の運営の状況等を見まして、たばこ耕作法自体を改定する方がいいかどうかということは検討して参りたいと思うのであります。  なお葉タバコの収納価格あるいは災害補償等について、法律を改訂するかどうかという点でございまするが、葉タバコ収納価格の改訂につきましては、たばこ耕作組合法の創設とからみまして御議論がありましたことはよく承知いたしております。収納価格を生産費補償方式あるいは所得補償方式に切りかえてほしいという要望が、耕作農民の側に強いわけであります。これにつきましては、米の場合とタバコの場合では、多少取扱いが違ってもやむを得ないのではないか、米のような国民の主食糧である場合と、葉タバコのような嗜好品である場合とでは、価格算定の方式をある程度変えることもやむを得ない、こういうふうに存じておるのでありまするが、一方、御承知の通り米価審議会におきまして生産費を調査して生産費補償方式に切りかえるというような研究も進んでおるようでありますので、その成果も見まして、根本的には米と葉タバコを同じ方式にすることは、どうかと考えておりまするけれども、米価算定方式の改訂いかんによりましては、現行制度に幾分の手直しと申しますか、改訂を要する部面が出てくるかとも思って、それとあわせて考えたいと思っております。  それから、災害補償につきましては、やはり現在、葉タバコの場合には、別な制度がありまして、無拠出であるというところが特徴でありまして、そのかわり災害で収穫がゼロであっても、損失の四割のところで補償を打切られておるということになっておるのでありますが、その四割で打切るというのは、頭打ちが低過ぎる、これをもう少し上げろというような意見がございます。その場合において、無拠出のまま上げるという場合においては、一般の災害補償とのつり合いをどうとるか、それで、もし上げるという場合において、拠出金と申しますか、保険料に当るものを出すというようなことについて、農民側がどう考えておるかということについては、たばこ耕作組合の方とも話し合っておるのでありますが、なかなかこれが結論を得にくい問題でありますので、もう少し研究を続けて参りたい、かように存じております。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 先ほどの御答弁の中で、なお明らかにしていただきたいのは、朝鮮、沖繩等に対する製造たばこの輸出が、どのくらいの本数であるかということ。それから外国への——東北で生産しておるところの在来種、あるいはバーレ種の五百万キロというのは、一キロどのくらいの輸出値段であるのか、外国の葉タバコの二分の一とただ言われても、ちょっとわからぬので、どのくらいの価格であるのか。  それから、米国から輸入しておる黄色種、特殊葉の金額数量というものがあるから、これを割れば出るのでしょうが、簡単に言って、どのくらいになるのか。その下のギリシャ、トルコ等の、これは一キロ当りどのくらいの値段になるのか、ちょっと御説明をいただきたい。  それから、次に労働争議云々の問題については、これは、総裁も若干認めているようでありますが、これはもっと、私から率直に言わしむれば、非常に需要の多い、しかも国内的としては、大蔵省としても非常に関心を持っておる専売益金でありますから、とにかく十分組合員と話し合ってそうしてそういうことのないようにして、とにかく収益を上げてもらう、これは一番大事なことじゃないか、こう思いますので、そういう御報告がないように、今後は一つ努力していただきたい、こういうことです。  それから次の高砂商事の問題については、いずれあらためて私は決算委員会の中でお尋ねすることもありますが、長くなりますから、きょうは省略します。  そこで今の法改正の問題でありますが、これは、私ども日本社会党は、すでに三十二年、三十三年と、常に皆さん方に御意見を申し上げてきたわけでありますが、何といっても補償方式の問題と、それから収納価格の問題非常に重要な問題です。しかもこのいわゆる鑑定制度いかんによりましては、鑑定によって等級が非常に、いわゆる農家の収入が違ってくるわけです。従って耕作農民の意向というものを十分反映をしていただくために、当局も、専売公社としても、耕作組合の確立ということを指導されてきたと思うのです。  そこで、今非常に耕作組合そのものが、意見が多いということでありますが、私も全国的に調査をしておるわけでありますが、まだまだ在来の、いわゆる葉タバコ組合の域というものを脱しておらないのが現状ではないか、そこでやはり新しい法律に基く指導監督体制というものを私は強化されなければならないだろう、その中には、単に天下り的な官僚的な指導体制だけではなくて、今あなたのおっしゃるように、農民の意向というものを十分取り入れる、こういうところに、生産意欲も出てくれば、よいものも私は作られる。この前も私は、先ほど委員ですかの御質問の中で、どうも日本のいわゆる内国産の葉タバコと外国輸入葉とでは香料、あるいはその湿度といいますか、そういうものが違うというのですが、私は神奈川県の秦野の研究所のことを昨年申し上げたのですが、非常によくなっている。私は、数回外国に行っておっても、決して日本の葉タバコも負けないという自信を持っておるわけでありますから、一つ自信を持って、なおせっかく研究されている技師の諸君が一生懸命やっておる、それを大衆化して、それでできるだけ外国輸入葉タバコを少くして日本の農民の生活というものを向上させるように一つ努力していただきたい。  そういう中における収納価格に一番大きな鑑定制度の問題、それから災害の場合に、私は先ほど冒頭に、今回の十五号台風についても御報告がないのかという点をお聞きしたのは、実は災害といっても、受ける事態によって大へん違う、全然ゼロの場合の四%の補償法という場合だけでなくて、根本的に補償方式については考える必要があるのじゃないかと思う。  そこでたとえばあなたの方で、当局の中で、そういう専門的な委員会、対策会議というものをお持ちになるのもわかりますが、農民組合、日本には、日本農民組合というのがあります。この全日本農民組合の人たちや耕作組合の人たち、それから専売に従事している職員組合、こういう人たちの英知を傾けて、当局の方々が諮問されて、そうして優秀な方式というものを出していくお考えというものはないものかどうか、私としてはできるだけ、そういう単に官製だけでなく、衆知を集めてそうしていいものを作り出していく、こういう考え方に立ってもらいたいと思うのであるが、総裁としては、おそらく今すぐ法改正といってもむずかしいでしょう、私もその点はよくわかります。わかりますが、これは課題ですから、私ども社会党としては、どうしてもでぎるだけ早い期間に、そういういわゆる農民の、あるいはまた当局の立法化についても、一つ促進をしてもらいたい、こう思っておりますから、そういうふうなお考えを持たれるかどうか、この点、米の問題とも関連をいたしますが、特に専売公社たばこの問題については、私どもとしても非常に重要な関心を持っておりますので、一つ総裁の再度御答弁をいただきたいと思うのです。
  53. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) まず最初に、朝鮮に対する特需、それから沖繩に対する輸出でございますが、朝鮮に対する特需も、年によってかなりの多い、少いがございますが、最近の数字では、大体年間に一億本よりはちょっと多くなっているというところでございます。それから沖繩の方は、これは特需でございませんで、普通の輸出でございますが、この方は沖繩でも、最近たばこの製造がだいぶ起って参りまして、そのために日本からの輸出は、だんだん減少しておりまして、最近で数千万本というくらいの数字でございます。  それからタバコの輸出入の値段の問題でございますが、アメリカから輸入しておりますアメリカの黄色種、これは、キロ当りの単価が大体七百六、七十円に相なっております。これは非常に高くなっているのでございますが、今専売公社輸入しておりますアメリカの葉タバコは、富士とかあるいはピース等の高級品の味つけということで輸入しておりますので、アメリカの葉タバコの中でも上級の方を輸入しておりますので、値段が相当高くなっております。なおこの七百六、七十円という中には、運賃その他の経費も入っておりますので、こういうような値段になっております。  それから日本からの輸出の単価でございますが、これは平均いたしまして大体のところが二百三、四十円というところかと思います。日本の葉タバコの外国に出ますのは、比較的下級葉が多く出ておりますので、値段の点も、あまり大きくならないというような関係がございます。
  54. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) ただいま相澤委員から御質問のありました葉タバコの収納価格の改正について公社も改正する方向で研究を続けるかどうかということ、それから災害補償についても、現行制度にも必ずしも満足すべき点ばかりでない、従ってこれも改正するかどうかというような点について御質問がございましたのですが、公社といたしましても、改正を検討するという熱意は持っております。一例を上げますれば、災害補償なんかにつきましても、一年の葉タバコの収納代金は三百三十六億円に上っているわけですから、もし共済的な意味で業者も支出し、それに見合うような金を公社も出すというようなことを考えるとすれば、一%出すとしても業者から三億六千万円、それに見合うものを公社がやはり予算的に措置するということになれば、合せて七億ぐらいの金ができるとすれば、通常の年に起るような災害は、大体カバーできる、こういうような考え方もできるので、無拠出のまま改正する方がいいか、やはり政府耕作者一体となって共済といったような意味の方向がいいか、そういうことについては、どうしても耕作農民の意向がそちらへ向かなければ、共済という建前には進みにくいということで、たばこ耕作組合中央会の方にも話をしているのであります。従いまして、耕作農民の意向を参酌しつつ改定の方向に向うという大方針については、御意見を十分尊重したい、かように考えております七
  55. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間が迫っておりますから、若干伺いますが、簡単にお答え願いたいと思います。  専売公社にお伺いする前に、緊急案件として私は会計検査院法の運用について一点承わりたいと思います。本日、会計検査院はおいでになっておるのは、第五局長と承わっておりますが、実は検査官か、あるいは事務総長でないと不十分だと思いますが、わざわざおいで願うのは気の毒ですから、一応第五局長に承わって、私満足しないときには、いずれ検査官においで願おうと思います。  そのことは、名古屋を中心に大きな災害が起っておりますが、やがて開かれる臨時国会で五百億円前後の補正予算を組むということが伝えられております。復旧のために、これはぜひやらなければならないと思いますが、しかし予想されることは、非常に残念なことであるが、恥ずかしい予想であるが、公共土木関係を中心に補正予算を組まれた場合に予算の非能率な運用、綱記の紊乱、低効率の運用を行われるということは、そういうことが起るであろうということは、百パーセント間違いないと思います。必ず起ってくると思います。それは、過去の大災害のとき、いつもそうです、起ってきます。それで会計検査院が、収入支出の決算のことをやられるわけですが、はっきりと今、日本の行政機構と行政運用から、そういうことは予想される、おそらくそれは、何十億ぐらいの単位で私は起ると思います。これは行政管理庁が、あなたの所以上に関係が深いと思いますが、しかし会計検査院法の二十条を見ますと、収入支出の決算の検査、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る、ということが調われております。だから会計検査院は、内閣とは独立した機関ではありますけれども、しかし国政という場合を考えたとき、こういう大きな災害があり、いまだかつて見ないような補正予算が組まれる。その運用に当っては過去の経験から、こういうことが予想されるという場合に、そういう不正、不当なことが未然に起らないように、内閣とは独立した機関であるけれども、行政管理庁、さらに会計検査院で、何らか私は配慮することが適切ではないか、かように考えますが、そういう点、一応局長に承わりたいと思いますが、会計検査院の運用について、どういうお考えを持っておられますか、緊急案件として伺いたいと思います。
  56. 平松誠一

    説明員平松誠一君) ただいまの御質問でございますが、主として公共事業費の関係でございまして私の局の直接の関係ではございませんが、私として答えられる範囲で、お答えしたいと思います。  今度の災害につきましても、巨額の補正予算が組まれるということでございますが、災害等の起きました場合には、主として補助金が多いかと思いますが、補助金につきましては、必ずしも補助金が支出され、仕事ができた上で、あとから行って、この補助金は目的外に使われたとか、あるいは補助金の範囲内で実際の事業費がまかなわれたというような、決算が済んでしまつてからの検査以外に、これは、二十八年頃からかと思いますが、中央の建設省なり、あるいは農林省なりが現場に行きまして、災害復旧費なんかにつきまして、幾らの事業費に対して幾らの補助金を出すということを査定して参りますが、その査定の段階になりましたときには、これは一応、国としても債務を負ったものである、こういうふうな見方をもちまして、実際に債務を負った段階であるということをもちまして、そういたしますと、会計検査院法の中にも、国の債務の増減ということについては、会計検査院は検査をする権限を持っております。  従いまして査定の済んだ段階におきまして、すぐ検査に参りまして、これから実施いたそうという計画が適正なものであるか、あるいは補助金をやろうとするその金額が適正なものであるか、こういう点を検査をいたしております。その検査を通常、これを査定検査あるいは事前検査というふうに、通俗的には言っておりますが、そういたしますと、検査の結果につきましても、二十八年頃からであったと思いますが、毎年度の検査報告に、その結果が載っているような状態でございます。
  57. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 こういう質問があったということを事務総長と、それから検査官に報告しておいてもらいたいと思います。  査定の迅速適正、これは復旧能率に非常に影響するわけですから、そういう角度から考える場合には、これは、あなたには関係ない僕の私見ですが、台風常襲地帯、たとえば九州なり、そういうような所には、大蔵省の出先機関では財務局あたりもエキスパートがいる。そういう点、会計検査院、そういうところのエキスパートが、力をあわせて能率的に働らくということが大切だ。これは内閣全般の問題でありましてここで、私はそういう考えを持っている、こういうことだけ私は申し上げておきますから、ぜひとも上司の方に、こういう質疑があったということを伝えておいていただきたい。これはぼんやりしておったら、何十億の僕は単位で、非能率な好ましからぬ事態が必ずおこるということを僕は相当の確率を持って予言できると思うがゆえに、あえて伺ったわけです。  そこで、専売公社に若干伺いますが、現在公社の資産は、およそどのくらいと推定されておられますか。簡単にお答え願います。
  58. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 二千五百億ぐらいでございます。
  59. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その数字を承わっておきます。そこで、あなたのところで遊休の施設設備はありますか、ありませんか。あるとすればどのくらいでございますか。
  60. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 目ぼしいものはございません。大きな資産、世帯ですから、いわゆる常識的な範囲のものはございますけれども、かたまって気になるという程度のものはございません。
  61. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 毎年需要が激増して、生産が極力されているということだから、御答弁の通りだと思います。恐れますことは、具体的に一つ伺いたいのですが、たとえば九州の佐賀県の鳥栖は、相当近代化の新しい設備をして、それをお使いにならないで、その事業を、すぐ福岡の方に持っていかれて遊んでいるように私は記憶しているのですが、これなどはどういうわけで、ああいう設備を近代化して、そうしてすぐ大して使わないで、福岡に事業を移されたのか、計画が、当初の計画と変ってこられたのか、平素から不審に思っておったので、具体的な例として伺ったのですが、いかがでしょうか。
  62. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 御指摘の点は、ある時期においてはございましたけれども、ただいまでは解消いたしまして、フルに鳥栖の工場は動くように、設備が最近でき上りました。
  63. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 フルに動くようになったのは、何月から……。
  64. 小川潤一

    説明員小川潤一君) たしか先月ぐらいだと思いますが。
  65. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先月ですか。それでは、少くとも一年ぐらいは遊んだということになりますね。そういう計画のずさんなことではいけない。まあ、しかし、改めた点は了とします。  そこで、時間がないから次に移りますが、会計検査院局長さんに伺います。専売公社から出された資料によりますと、「内部監査に対する支出予算として特に認められたものはない。」と書いてありますが、これは他の行政機関並びに政府関係機関とも、いずれも、内部監査に対する支出予算というものはないのですか。  これは、行政管理庁にただすのが筋だと思いますけれども、伺いたいと思うのですが、私は、あなた方の仕事が決算委員会で繁盛することは、国としてはあまり好ましくないことで、行政管理庁の事前の仕事、まあ各省庁について言うならば、内部監査制度の能率化ということが非常に大切だと思うのですが、きょうこの専売公社資料をいただきますと、内部監査に対する支出予算としては特に認められたものがない。そうして約八千二百万円お使いになられておられるのですが、会計検査院としては、どういうふうに承知しておられますか。承わりたい。
  66. 平松誠一

    説明員平松誠一君) その点、見当りませんですが……。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 専売公社から出された資料ですよ。一ページの一番左の予算額というところです。あなたのところには配ってないそうです。
  68. 平松誠一

    説明員平松誠一君) 各省とも、内部監査に力を入れておられまして、それぞれ予算的にも、内部監査の経費は組まれておりまするので、専売公社の分も、予算的には組まれておることのように私承知いたしておりますのです。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 専売公社の方に承わりますが、他の三公社とか、あるいは政府機関でない行政機関ですね。そういう所は、全部お宅のように、内部監査に対する予算はないのですか、お宅だけなんでしょうか、よそのことはよく知っていると思うのですが、それは、どういうふうに認識されているのですか。
  70. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 最近は、いずれの三公社も五現業も、かなり内部監査の方向に力を注いでいるわけであります。  それから大蔵省は、主計局に主計課がございまして、そこで主として内部監査的のことをやって各省を見ておられます。それは予算はあります。
  71. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 第五局長に伺いますが、あなたの眼から見た専売公社の内部監査状況は、いかように評価されておられますか。
  72. 平松誠一

    説明員平松誠一君) 内部監査は、最近になりまして、特に各省とも相当力こぶを入れてやっておられるようでございますが、その点につきましては、専売公社は、ほかの省なんかと比べましても、一歩先がけて、相当前からこの内部監査ということには、力を入れて実施されておるように見受けております。
  73. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 なるほど、私もこの資料をいただいて、専売公社の内部監査は、非常に整っているのじゃないかという感じを持っておったのですが、あなたも、そういうふうに認識されているとするとけっこうのことだと思います。  具体的に伺いますが、しかるに、わずか一件不正行為が批難事項として出ているのですが、四百七十八号ですね。これは小さな出張所が三カ年約八百三十一万円にわたって不正が行われたということは理解に苦しむのです。しかも一宮市及び木曾同時というのは、比較的小さな自治団体で、一宮市は、かなり予算規模も大きいのですが、木曾同時という町なんか、しれたものだと思うのですね。それが、これだけのたばこ消費税が少額に払われるとなると、専売公社の内部監査が、あるいはこの自治体の方の収入の方から、どちらからも、早くわかりそうなものだと思うのだが、お互い、フラフラでやっておったのではないかというふうな感じがするのですが、少しだらしないと思うのです。だらしなくなければ、無能力だと思うのですが、局長は、どういう見解をもっておられますか。局長の答弁後に専売公社側の答弁も願います。
  74. 平松誠一

    説明員平松誠一君) なるほど期間が長いという点は、お話の通りでございますが、これは担当者に、一切の仕事をまかせておったということ。それからこの消費税の納付につきましては、実際納付した額、市なりそれから木曾川の町なりに納付すべき額というものと、それから実際の支払った額というものを一致させておった。そのほか、内部的ないろいろな関係資料も、うまくつじつまを合せておったという関係で、こんなに長くなったわけでございますが、期間が長かったという点は、はなはだ遺憾な次第であると考えております。
  75. 小川潤一

    説明員小川潤一君) まことに、あれだけ内部監査をやりながら、わからなかったということは、まことに申しわけございません。事実この発覚も、今御指摘の通りに、市町村側から、どうもほかの財政収入、税収はふえておるのに、専売の方から出ている消費税はふえない。おかしいなということで、問い合せに見えたのが、御指摘の通り発覚の端緒でございましてそれまでは、どうしてそんなに内部監査をやっていながらわからないか。今、会計検査院局長が指摘されましたように、きわめて巧妙に、小切手の偽造なり、支出伝票の変造ということをやられておりましたのが、大きな原因でございます。一つには、出張所は十人内外の経済単位、事業単位の場所でございますので、かなり人間関係の信頼関係があり過ぎた。ざっくばらんに申しますと、その鈴木なにがしに対しては、責任者である支払職出張所長は、結婚の仲人までやっておる。まさか、あいつがというような感じで、注意が足りなかった。その二点から、こうい4問題が起きたのでありましてただ制度としては、こういうことがあり得ないように、その後いろいろ工夫しまして、未然に防ぐ対策というものは、十分立てておりますので、今後は、この事案に関しては、もう絶対大丈夫だとわれわれは感じておるのでございますが、まことに申しわけない次第だと思っております。
  76. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 少数定員の出先機関にいけばいくほど、これは人情の常として自然だと思うのですが、家族主義的になるのですね。だから、やっぱりはっきりした根拠で、牽制組織というものをしっかりやっておかないというと、わかっておっても見過ごしていく。そうして、それがだんだんと大きくなって、上司も下僚も、ともどもに不幸になるという事態が起るわけですから、その点は、今後も一つ、十分配慮していただきたい。  それから次に、総裁に承わりますが、やや具体的な問題から離れるわけですが、一般会計の歳入減を専売公社の納付金に依存し過ぎる傾向があると僕は考える。これはあなたの方としては、どうお考えになっているか。  なぜこういうことを承わるかというと、来年度の予算編成に当っては、さっそく困ってくる。そうすると、あなたの方でしっかりした考えを持っていないと、いよいよあなたのところに存依するという、今までの傾向が、さらに強化されると思うのですが、こういう方向というものは、私は間違っていると思う。そうして、さなきだに、直接税中心のが間接税にウエートがかかっていくわけですが、これを放置しておくと、さらにさらに間接税というものがふえていき、それが大衆課税になっていく。こういうことが懸念されるだけに、専売公社総裁として、どういうふうにお考えになっているか承わっておきたい。
  77. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 専売公社といたしましては、たばこ関係におきましては、財政専売で一般会計に専売納付金を納付する、こういう制度になっておるのでありまするが、その納付金の金額が、一般会計において占める割合が重いと見るか軽いと見るかということは、これは制度の立て方だと思うのであります。たばこ益金を納付金の形で納めますけれども、これは専売という制度をとっておることからきておるのであって、もしたばこが民営であれば、たばこ消費税の形において歳入を上げると思うのであります。従ってたばこ専売益金というものは一極の消費税というふうにして税体系の中に当てはめて考えまするというと、酒の消費税と双壁をなすものであります。  で、わが国の間接税と直接税の比率は、戦前は直接税が三分の一で間接税が三分の二でありましたが、最近におきましては、約半々になっております。これをさらに直接税を軽減して、間接税の方にウエートを移すというような意見を持っておる者もありますが、どの程度ならば、そのバランスが果して日本の財政なり、あるいは社会経済の点からいっていいかということは、これは、なかなか議論が分れるところだと思うのであります。それから間接税の中で、日本は酒、それから砂糖、それからたばこは、専売益金の形をとっておりますが、その三つのものにウエートを置きすぎているということは、税制調査会での批判も、大多数が一致しておるところであります。  従って、今後の問題といたしましては、まず直接税と間接税のウエートをどの程度ににらみ合せるかということ、それから間接税の中において、比較的重いとされておるところの酒と砂糖の消費税、それからたばこ益金というものを、他の消費税のかかっておるような物品、あるいは消費的支出に対する課税とのつり合いをどうとるかということで、これは御承知の通り、今回法律に基く税制調査会ができまして三年ぐらいの日子をかけて根本的に検討をするということになっておりますので、その結論を待って、公社としては専売納付金の問題を解決していくべきだと思うのであります。  現実の問題としては、御指摘のように、専売納付金が重たい、それは結局、たばこ益金が多い、そのことは即たばこにかかっておる消費税相当部分が大きいということであります。御承知の通りたばこ益金は、国に納付します納付金と地方のたばこ消費税、合せますと、三十四年度で千七百五十億円ぐらいになっております。売上販売フェーヴァーに対しましては六割六、七分というような高率になっております。酒の方は約二千億円の消費税が納まっておりますが、この方は、平均は五割ぐらいではないかと思っております。従って、酒とたばこのつり合いが、それでいいかどうか、たばこを下げた場合に、酒の方にどう響くか、あるいはさっき申し上げました重いといわれる酒なりたばこなり砂糖なりの消費税をぐんと下げるか、その場合に、間接税のかわり財源が何かあるか、そういうふうな下げ方をした場合において、直接税と間接税のウエートが、果して今の半々で維持されるか、されないとしたらば、どうすべきかというような点と関連をいたしますので、公社といたしましても、関心は持っておるのでありますが、今すぐ、これをどうするということはむずかしいと思います。
  78. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私も、数字を準備して参ったのですけれども、時間がないし、また決算委員会ですから、税制のことは、あまりここで質疑応答をやりません。やめますが、私は、最後に一つ聞きたいことがあって、その前提として、ちょっと聞いたわけです。  最後の質問を発する前の前提として、もう一つ簡単にお答え願うために伺いますが、昭和三十四年度には、納付金は三十三年度に比べて五十五億円の増加を見込んだ予算を組んでおるわけですね。今、内閣の方で補正予算の編成を、どういうふうにやられているか、つぶさにわからないのですが、今度の補正に当って、納付金を増額補正するというようなことをやられるのかどうか。やられるとすると、どの程度の話し合いがされているのか。それから、また、自治庁長官は、公言しているのですが、たばこ消費税率の引き上げ、これに対しては、どういう話があって、あなたの方では、どういう態度を持っておられるのか。  次の質問をする前提として簡単にお答え願いたい。
  79. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 災害のための補正予算を出す場合において、専売納付金の増額をしてほしいという話は、大蔵省の方から聞いております。ただ、また具体的には、何ほど出すかということはきまっておりません。その場合において、専売の方の、専売事業会計の予算を直すというのであるか、一般会計だけを直すのか、そういう具体的のことは、まだきまっておりません。  ただ、一般的に申し上げることができますることは、本年度の予算をきめましたのは昨年の秋から暮にかけてであります。そして、本年度の実施は、本年の四月以降でありますので、その間に時期的ズレがございます。最近の情勢を見まするというと、昨年の秋ないし暮に予想をいたしましたよりも、たばこの売り上げが上昇しておりまして本数においても増加し、それから十本当りの平均単価においても、ある程度上回っております。しかし、予算は一年のものでありまするから、現在の状況で、三月末までの本年度一ばいとして十分に増収を期待できるかどうかということについては、なかなかむずかしい問題でありますので、結局現在までの売れ行きの増勢、十本当りの消費金額の増ということで、まあこのくらいの金額は補正予算の方に入れても大丈夫かどうかという、その見通しの問題でありましてそれがむずかしいだけに、まだ話はきまっておりません。  それから、たばこ消費税を引き上げたいという話が、地方団体側にあることは御指摘の通りであります。これは主として来年度の問題でございます。住民税が、国税の所得税の改正によりまして住民税が減るのでありまするが、住民税の課税は、一年おくれでありまするから、三十四年度の改正の結果が三十五年度に響いてくる。そうしまするというと、総額百二十二億円ぐらい住民税の減が立つ。これをカバーするために、たばこ消費税の税率を引き上げたい。こういう希望があることは事実でございますけれども、来年度の予算の全体の見通しの問題、それから、そういう場合において、地方団体側の自然増収をどう見るか、それから地方団体側の歳出を当然増との見合いにおいて、どう考えるかというような問題がからんで参りますので、まだその問題については、私どもとしては、何ら決定的なことは聞いておりません。  公社といたしましては、まあ国に納めるのも、地方団体に納めるのも、結局益金の中から出るから、どっちでもいいと言っちゃ、ちょっと語弊があるのでありますが、まあ困るのは、しいて困ると申しますれば、公社は、地方団体に納めまするものは、売り上げに対して何パーセントというものを拠出されるのであります。その場合に、経費というものを見てくれません。国に納めまするものは、総益金から、総損金を引いた差し引きの金額を納めるということになっておるのですが、地方団体は、売り上げの頭金をはねるというふうな、ちょっと言葉は悪いのですけれども、そういう格好になっているので、そういうものが、なお多くなると、収益状況が悪くなって、何か公社の能率が下ったように見られるという感じがするので、まあ、そういう感じを持っておるということだけ申し上げます。
  80. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後に一項目承わるわけですが、今、そういう質問をしたのは、次の質問をしたいためです。  次の質問は、今の時期に伺って——あなたの方で、政府側との間に補正予算の編成に当っていろいろと交渉があるでしょう、そういう場合に、強く意見を反映さしていただきたい、そういうチャンスだと思って伺うわけなんですが、それは、小売手数料の問題です。  お宅から出された専売事業のあらまし……、これは、なかなかわかりやすい、小中学生あたり非常に喜ばれる参考になるような、りっぱなパンフレットを出されてあるのですが、これにもピースを例にとって解明してありますが、税金が四十円のうちに二十六円八十四銭、原価は九円九十六銭、小売手数料は三円二十銭だと、こういうふうに図解してわかりやすくしてあります。  で、この製造たばこ販売調というお宅の資料を見ましても、三十一年度、三十二年度、三十三年度と非常に急増してきて、三十三年度で二千四百四十二億余円と売り上げをやっているわけですね。で、おそらく今後私は、政府としては、特に大蔵省としてはこの売上金額の増大というものは、さらに推進してくるんじゃないかと思うのです。ところが——もう時間がないから詳しいことは議論しませんが、小売手数料というものは、元は一〇%であったわけです。この、皆様方の末端の販売機構として努力されている、こういう方々は、おおむね零細な資本で——零細な商業者ですね。それで、ずいぶんと要望があって、一〇%に復元してほしいというような要望があったに対して、昭和三十四年度の予算編成に当っては報償費を、皆さん方努力されたんで二億円というものを出されましたですね。この配分は、私の今承わっているところによるというと、月売上高十二万円以下のところだけに配分するんだとかいうふうに承わっているんですが、実際これは末端で取り扱う場合には、非常に技術上むずかしいと思うのです。で、そういう内部問題があるのに、この災害が起った。さあ補正を組む、財源がない、それでは専売公社の納付金をふやそうと、昨年の補正の場合も、そうです。ことしも、またそうです。  それで、製造をよけいする、販売もやる、こうなれば、やはり製造に努力する労務者、それから末端で販売に協力するところの小売業者——全部で十五万ぐらいあるそうですが、そういう人に対しても、やはり専売公社総裁としては、またあなたを補佐する首脳部の方々としては、やはりあたたかい気持で臨まれなくちゃ私はならぬと思うのです。専売事業そのものが、国家の財政収入を目的として作られたものにしても、時代は変ってきておるのです。もともと一〇%であったのですから、二億円なんか端っぱは、実際困ると思うのです。これは与党の方でも、こういう点に対して、前から主張されておるわけなんですが、少くとも来年度の予算編成の前哨戦であるこの補正予算編成当時から、私は専売公社の首脳部としては、そういう点を政府部内に十分反映さして、来年度からは、この八%というのを一〇%に復元するように、ぜひすべきであり、していただきたい。そういうことを今から主張すべきである。かように私は思うのですが、いろいろ数字も持っておるわけですが、時間がないから、ここで切りますが、まず販売部長はどういう見解を持っておられるのか、それからまた公社の最高責任者としての総裁は、どういうあたたかい考えを持っておられるのか承わっておきたいと思います。
  81. 冠木四郎

    説明員冠木四郎君) たばこ小売店の手数料の問題につきましては、昨年度におきましても、業界からの要望が非常に熾烈でございまして、それで公社といたしましても、いろいろと慎重に検討いたしたのでございまするが、これまでのいろいろな資料から申しまして、すぐに手数料を一割に上げるというようなことは、なかなか困難であるというふうに考えまして、結局、今お話のありましたような二億円の報償金ということで落ちついたわけでございますが、三十五年度の予算において、どうするかという問題につきましては、まだ公社といたしましても、そうはっきりした態度もきめておらない状況でございまして、今後も、十分慎重に検討いたしたいと考えておりまする
  82. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 販売小売手数料について、歩率引き上げの要望の強いことはただいま販売部長から申し上げた通りであります。  公社といたしましては、もちろん数字的にも調査をいたしまして、戦前と戦後の値比較等も、貨幣価値の変動を考慮しつつ調査したものも持っておるのでありまするが、現在の段階では、八%程度小売手数料であれば、戦前の一割時代に対して、非常に酷であるというふうにも思えないという資料も持っております。このことは、参議院の大蔵委員会であったかと思うのでありますが、三十四年度の予算を審議するときにも、公社側にも質問があり、また大蔵省の監理官にも質問があって、たしか大蔵省の監理官から、資料について詳しい説明をされたと思うのでありまするが、大蔵省側にも、そういう見解がありますので、公社としても、歩率の引き上げということは、よほど慎重に考えた上、大蔵省と予算的交渉をしないと、これを認めてもらうことはむずかしいと思うのであります。  それから公社事業が、製造高にしろ販売高にしろ、だんだん上っていく、これはやはり、全部を納付金としないで、一部は、従業員あるいは公社事業関係のあるたばこ小売人とか、あるいはタバコ耕作者に還元すべきであるという御議論は、これはある意味において、ごもっともであると、かように思うのであります。現在専売公社制度について、いろいろの批判があるのでございまするが、どうも企業的に見て、能率が上っておらない、民間会社であれば、もう少しきびきびした働きができるはずだというような声を聞くのでありますが、これは、人の問題もあって、われわれ至らないところもあるのでありまするが、制度の上から申しましても、現在の専売納付金というものは、事業年度末における総益金から総損金を引いた残りが、全部納付金になってしまう。これが通常の株式会社でありますれば、そこに出てきた純益というものが、一部は、株主に配当し、一部は従業員、役員が賞与として取る、それから、そういういい決算になったという場合には、お得意先にも、何らかの形でリベートするとか、こういうことが許されるわけでありまするけれども、現在の専売納付金の制度では、とにかく年度末に余ったものは、全部それが納付金だと、こういうことになりますものですから、勢い企業意欲というものが上らない、こういう欠点がございます。  今回、別途に専売制度調査会というものができて、専売制度についての検討が始まっておりますので、われわれとしましては、専売納付金の納付の方法に改正を加えたらどうかというような考えを持っております。それは何らかの標準で、消費税に当る部分と、それから企業の利潤に当る部分を分けてもらえないだろうか、この標準を求めることが非常に困難であるために、今までずっと続いてきたのでありますけれども、公社制度を根本的に論じて、能率が上っているか上っていないかということを議論するのであれば、やはり制度についての改正ということをやってみないというと、従来のままでは、非常に改善の実が上らないんじゃないか、こういうことが議題になろうとしております。従って、そういう時代がきますれば、従業員に対する報奨の問題、それから小売人の手数料の問題というような問題も、その中で解決がついていくと、こういう見通しと申しますか、一つの希望があるわけなんですが、今のところでありますと、なかなか小売手数料の引き上げはむずかしい、ことに金額が少ければいいのでありますけれども、一分上げましても二十四、五億円、もし二分上げれば五十億円というような金額になりましてそういう金額が、今度は支出されるということになると、従業員の方の業績賞与なんかについても、相当金額を出すべきである、また今度は葉タバコの収納代金が低過ぎるから、そんな益が出たのなら、これはもっと収納代金を上げることによって、利益の一部は耕作農民にも還元すべきである、こういう論にまで発展して参りますというと、専売益金というものが非常に減ってしまうというようなおそれがあるわけなんでして、そういう問題を、あれこれからみ合せて考える必要がありまするので、私としても慎重を期しておるのでありますが、たまたま、ただいまも申し上げたような専売制度調査会というような調査機関もありますので、そういうところでも、御意見があれば承わってみたい、かように考えております。
  83. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間がないから、もう最後にしますが、専売制度調査会で云々という、あなたのお考えには、僕は大体同感です。  しかし、それが結論が出るまで放置しておくということは、僕は適当でないと思うのです。僕も前に、参議院の予算委員会の分科会で、この件、承わったことがあるのですがね。その当時、大蔵省でいろいろ言っていましたけれども、了解できなかったわけです。時間がないから、数字はあげませんけれども、大体たばこ専売制度発生の歴史的過程を考えても、私、はっきり記憶してないけれども、日露戦争、あの前後から、はっきり確立されてきたように思うのですよ、国の予算規模が急に膨張する、歳入源を求める、専売制度がその当時としては日本の軍国主義進展のために、一つの突っかい棒になったかもしれませんがね。そういう過去の歴史も僕はあると思うのですが、そういう考えで今臨んだらいけないと思う。さっき総裁が、あるべき理想像として一つを述べられていましたが、私はやはり、そういう感覚でもっていかなければならんと思う。しかし現在一つ、大蔵省がこういう問題を考える場合に、それは、なんですよ、歳入源にしようというので、あなた方の意見に、すぐ同調するはずはないし、私らが要望することを、ごもっともだなんと言やしませんよ。当然大蔵省の主計局なんて、さか立ちしたって言やしませんよ、そこは、専売公社側で抵抗されて、八%が一挙に一〇%にならなければ、少くとも配分技術上苦労しないように、九%程度には持っていくとか、やはりその点は、専売公社の方で努力されなければ、大蔵省の見解を先に出していったんでは、とても私は解決できないと思う。  これは、労務者についても、耕作者についても、小売業者についても、同一に言えると思うのですが、ぜひ一つ……私はきょうは質問は切りますが、公社側で、十分御研究御善処いただきたいことを要望申し上げて、ほかの承わりたい点がありますけれども、きょうは終ります。
  84. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  85. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記つけて。
  86. 小柳勇

    小柳勇君 私も質問ありますけれども、最後に時間がないので、一つだけ聞いておきたいと思うのです。  今、総裁が言われたので概略的にわかりましたけれども、生産とそれから労働と公社職員の給与の問題で、この決算に関連したものだけを質問しておきたいと思います。  それは、要望にもなりますので、これから補正予算なり、あるいは来年度の期末手当の問題で考慮してもらいたいと思うために質問するのですが、この百六十八ページにも書いてあるように、専売納付金として国庫に納付した額は、前年度に比べると七十九億八千七百余万円の増加、予定額に比べて四十一億八千四百余万円の増加、こういうふうに決算が前年度に比べて増加しておる、しかも予定額に比べて四十一億八千四百余万円も増加となっておる、このような増加は、いろいろ原因もありましょうが、主としてこの本数増加による、労働強化による増加であろうと、さっき総裁の答弁を聞きながら私も判定いたしております。従いまして、そういう四十一億円、初めの予定からふえたこの決算に対して、たとえば昭和二十七年に仲裁裁定が出まして、業績手当制度等もできておりますが、そういうようなとき、これは一般公務員と違いまして、そういう現業の職員ですから、四十一億も予定額よりふえたならば、その中で何割かは出すという、はっきりした制度、業績手当制度を確立しておくことが、企業努力をする大きな一つの原因ではないかと思うのです。  あれから、昭和二十七年からすでにもう七年もなっておりますが、いまだ業績手当の制度というものが確立されておらない、従って年々歳々期末になりますと、期末手当要求の、さっき総裁の言われた、いわゆる紛争というものが発生するのです。しかも三十二年度の実績を見るというと、四十一億八千余万円、予定額よりふえたにもかかわらず、その年の期末手当として支給されたものは〇・二三のわずか二億円であったと数字は示しておる、約二億円しか出しておらない、従って、そういう四十一億円、予定額よりふえたのに、二億円しか期末手当を支払わないで、年々歳々労働強化されておるという、しかもこれは、たばこをのむ人は、学校を卒業して参りまして年々ふえましょうから、これは本数については、増加はしても減少はしないでしょう、そういうものを考えますと、この際根本的に、総裁が今答弁されたものの中にも、含まれていると思いますけれども、そういうものを考えなければならぬのではないかと思いまするが、この三十二年度の決算のときに支払われた業績手当の概略と、それから、これから将来業績手当の支給基準などきめられるのかどうか、それから三番目は、業績手当の制度を確立して職員の企業努力を旺盛にして能率ある経営をしようという意図はないか。  この三点を答弁願いたいと思います。
  87. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 三十二年度に支給いたしました業績手当は、お話の通りであります。  それから業績手当の、業績賞与の制度を確立したいということは、われわれも考えておるわけであります。現在予算総則に業績賞与に関する規定がございますけれども、きわめて広範囲な書き方をしておりまして、その解釈とか運用の仕方というものが、いまだに確立しておらない。これが非常な欠点になっておりまして、組合側からも要望があり、公社としても、その点は、やはり具体的な一定の規則というものを確立すれば、年末に至って一々押し問答をしないで済む、かように考えております。  それから、先ほど益金相当上っておる、これは、前年度に対しても伸びておれば、予算金額に対しても伸びている、それの割合に、業績賞与の金額が少いというお話がございましたが、益金の増というものが、即業績賞与の基準ということではございませんで、益金の増の中には、公社が新しい機械を入れたとかいうような投下資本が生み出す、こういう部分がございます。それで業績賞与は、職員の努力によって利益が増した分と、こういうことになっておりますので、機械力が働き出したものは除外する、こういうことになっております。  ところが、職員の努力によってという、その見方というものが非常にむずかしいのです。一方、消費水準が向上するとか、あるいは景気がよくなったということも売れいきに影響がありますので、また、その点をどう割り引きずるかということで、いつも基準がぐらぐらして、その間に紛争があるわけであります。  でありますから、どうしてもそういうものは、抽象的な言葉ではいかぬので、これとこれとこれを見ればいいとか、これに対して何割くらいのものをかければいいとかいうような点をきめないというと、解決がつかぬと思っております。まあできれば、そういう解決を早い機会に得たい。これは専売制度調査会で消費税部分と公社益金の部分を分けるということにいけば、それに越したことはないのですけれども、それまでいかないでも、現在の抽象的に書いてあるものを基準として、その範囲で具体化をはかるということでも、もう少し前進し得る、かように考えております。
  88. 小柳勇

    小柳勇君 最後に問題がありますから、もう一つ、これは蛇足かもしれませんが、質問をしておきますが、そういうような総裁考えであるならば、期末奨励手当も、初めから率が公務員に比べまして、三十一年のときは専売公社職員は二カ月、それから三十二年度は二カ月、三十三年度は二・四カ月。公務員は三十一年度予算は二・二二カ月、三十二年度予算は二・四カ月、三十三年度は二・五五カ月、その差は、専売公社職員の方は三十一年度予算が〇・〇五カ月、三十二年度予算が〇・四カ月、三十三年度予算が〇・一五カ月、初めから期末手当の率は少いわけです。仲裁裁定の精神は、そういうものを含んで業績手当として考えるというように、われわれは理解しているわけです。そういたしますと、もちろん四十一億全部が労働によって生み出したものではないということは、私も理解いたします。機械もありましょう。そうとするならば、初めから公務員と差をつけないということが第一原則ではないか。もしそれが労働から生れたものであるから、業績手当はそれによって勘案しますというならば、公務員と差をつけてもかまわぬ。この矛盾があるわけです。私は、さっきそこまで言わなかった。従って私が言いますのは、そういうものを十分検討されて、少くとも公務員よりも若干違った、働いて働いて、たばこの愛好者に対して心配をかけないような生産をやるという、そういう建前とするならば、業績手当の方も、もう少し確立しておいて、そうして一生懸命働こうではないかというような制度を確立しておくことが、年々歳々繰り返す紛争を避ける道ではなかろうか。  これは、さっきと同じ質問になりますが、そういうことを考えますので、あらためて繰り返さなくてもおわかりでありましょうから、答弁があるなら答弁を、決意があるなら決意を聞かせていただくことにいたしまして、私の質問は、これで終ります。
  89. 相澤重明

    相澤重明君 僕の質問に答弁を漏らしている。  それは、今小柳委員も言っていたけれども、全体の給与総額と、職員一人当りの平均額、それと定員増の問題だけ、ちょっと総裁が一部は話されたけれども、そういう全般の問題については、説明が足りない。時間がないから、そういう問題は、資料で提出してもらいたい。そうして今の小柳委員の言うこともわかりますから、そういう検討をされたことを資料で提出してもらいたい。
  90. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  91. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を起して下さい。  ほかに、御質疑もないようでございましたら、これで日本専売公社の部検査報告批難事項第四百七十八号の質疑は、一応終了したこととすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  以上で、午前中の質疑を終りまして、午後は二時から再開いたすことにいたします。  二時まで休憩いたします。    午後一時十七分休憩    —————・—————    午後二時十五分開会
  93. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ただいまより委員会を再開いたします。  委員の変更がございましたので、お知らせいたします。基政七君が委員辞任し、藤田進君が補欠として選任されました。   —————————————
  94. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 昭和三十二年度決算中、通商産業省の部を審議いたします。検査報告批難事項は第四百十六号から第四百二十号までであります。本件に関し御出席の方は池田通商産業大臣会計検査院第四局長宇ノ沢智雄君、通商産業大臣官房会計課長阿部久一君、通商産業大臣官房長斎藤正年君、中小企業庁長官小山雄二君、中小企業庁指導部長馬場靖文君、通商産業省鉱山局長福井政男君、通商産業省鉱山保安局長小岩井康朔君であります。  まず会計検査院から概要説明を願います。
  95. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 検査報告の百十六ページをごらん願いたいと思います。四百十六号について御説明申し上げます。  本件補助金は、中小企業者で輸出向けの新規試作品を試作しようとするものに対しまして、都道府県を通じ交付するものでございますが、本件は、この交付に当りまして審査が十分でなかったために補助対象とは認められないものに補助金を交付した案件でございます。  次に、百十七ページの第四百十七号から四百二十号の案件について御説明申し上げます。  この制度は、中小企業振興資金助成法に基きまして、各道府県が自己資金と国庫補助金と、それから償還金を道府県の特別会計の財源といたしまして、中小企業の経営合理化のために、中小企業協同組合が行います施設及び設備の改善に必要な資金を貸し付けるものでございまするが、本院におきましてその貸付の当否及び貸付金の使用状況を調査いたしましたところ、計画通りの設備を設置していなかったり、貸付の対象とならない企業者に対し貸し付けるなど、資金の使用が当を得ませんで、ひいては国庫補助金が所期の目的に反して使用されたと認められるものでございます。  以上で説明を終ります。
  96. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 次に通商産業省から概要説明を願います。
  97. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) ただいま会計検査院より御報告のありました通商産業省関係昭和三十二年度決算検査報告事項につきまして、その概略を御説明申し上げます。  不当事項といたしまして報告せられましたものは、五件、二百五十六万三千円でございます。当省といたしましては、三十一年度に引き続き、予算執行に当りましては、常時格別の配慮をいたしまして、その適正を期して参ったのでありまするが、ただいま御指摘のような事項がございましたことは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。  会計検査院の指摘されました事項につきましては、当省におきましても、十分実情の調査、把握に努め、是正を要する点につきましては、極力是正の措置を講じて参りました結果、三十二年度五件のうち、返還命令を出しまして、その金額が返還済みとなりましたものは四件、いまだ完済に至らぬもの一件につきましては、現在までに約十六万円を収納し、残額は三十余万円でありまするが、これは近く完納される予定でございます。何とぞ、よろしく御審議のほどをお願いいたします。  なお、今後この種の事態の発生を未然に防止するため、事務運営の合理化、関係係官の訓練に努めまするとともに、内部監査につきましては、考査官制度を一そう活用いたしまして、その徹底を期し、予算執行の適正を期する所存でございます。  以上をもって、概略の御説明といたします。
  98. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  99. 相澤重明

    相澤重明君 今、通産大臣からの御説明をいただきましたが、まず第一に、この四百十六号の不当事項というのは、試作に対する補助金の出し方だと思うのでありますが、それに対して、事前あるいは事後の審査というものが十分行われておれば、こういうことはなかった。そこで、今の大臣の説明では、今後は考査官制度を十分に活用して、そういう事態を起さないようにしたい、こういうことだと思うのでありますが、実際に輸出振興のためにとる中小企業のいわゆる振興策、こういう面での適用の仕方だと私は思うんですが、そういう点について、いま少しく御説明を私はいただきたいと思うんですが、それは、試作品をこの場合に、アメリカにすでに輸出しておったということが書いてあるわけですね。ところが、試作品を相手に輸出したのか、それとも、もうすでに完全なる製品としてできておったものであるにもかかわらず、いわゆる助成金を横取りしようと、こういう考え方によってやったのか。まあ、後段の説明では、東京都の指導が不十分であったやに書いてあるわけですね。こういう点について、そのいずれなのか、この点、いま少し詳しく御説明をいただきたいと思う、これは担当官でもけっこうだと思うんですが。  そこで、私は大臣に——大臣は、三時からインドの大蔵大臣と何か御懇談があるそうですから、そこで私は、大臣がおる時間だけ、少し基本的な問題をお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、実は私ども参議院議員も、八月の二十日から九月の七日まで、ここにおる野本委員を団長に、私ども東南アジアを回ってきたわけです。そうしてインドの銀行関係の方にも、あるいはネール首相初め各首脳部にも、実はお会いをしてきたわけです。  そこで、この指摘事項の中には、今回は別に記入してありませんが、外米輸入について、今年度の方針というものは、どういうふうになっておるか。それから、特に私どもが、現地でいろいろ陳情を受け、あるいは相手の国の政府の人たちとのお話の中に受け取ったことは、日本が、三年連続豊作ということで、米は買わなくなったけれども、しかし飼料ですね、牛や馬、豚等に対するもの、そういうもの、あるいはトウモロコシ、そういうようなものについて、もっと日本の、いわゆる通産省なり、政府としては、お考えを持たないのかどうか、そうすれば、われわれも喜んで日本との貿易について、一つ協調したい、こういうようなお話があったのでありますが、東南アジアとの貿易について、一体どう考えておるのか。これが第二点です。  それから第三点といたしましては、ジェトロの問題がありますが、これは時間がありませんから、後刻またお話を承わることにして、池田通産相は、輸出振興についての何かそういう特殊的なものを今お考えになっておるのではないかと私は思うんですが、この輸出振興に対する——岸内閣としても、特に明年度予算編成に当って、いわゆる外貨獲得ということは一番重要な問題であると思うのでありますが、東南アジア開発についての、そういう輸出指興については、どういう構想をお持ちになっておるのか、この点を第三点としてお尋ねをしておきたいと思うのです。  それから第四点といたしましては、すでに前の総理大臣であった石橋湛山先生や、あるいは昨晩も松村先生が中国をお訪ねになっておるわけでありますが、中国との経済交流について、一体通産大臣は、どうお考えになっておるのか。特に私ども香港で、いろいろこの国際貿易の関係をお聞きをいたしたわけでありますが、日本がよほど、いわゆる対外貿易、国際政策についてお考えにならないというと、口では外貨獲得、いわゆるこの日本の産業発達、国民生活の安定ということを言っておっても、それが計画倒れになってしまう。この間ちょっと新聞で、何か外貨の手持ちが二億何ドルですか、ふえておるから、絶えず好転をしておるというようなことを言われておりますが、私は、まあ私どもも、東南アジアを回って、そしていろいろ相手の国のお話を聞いてみると、ドイツなり、英国なりのいわゆる攻勢というものは、なかなか大へんである。一つの例をとっても、ビルマのいわゆる鉄道車両の輸出は、日本がかなりやっておったのでありますが、今は、ドイツの車両がどんどん入ってきておるわけですね。こういうような面を、いわゆる通商関係、貿易関係の問題を一つ一つ取上げれば、もうたくさんな問題が私はあると思う。  そういう点で、いわゆる日中貿易の関係、あるいは日本と朝鮮との三国間貿易、こういうようなものについて一体どういうふうにお考えになっておるのか、この点、これは、どうしても大臣でなければならんと思いますが、一つお答えをいただきたいと思うのであります。  それから第五点としては、今新聞でだいぶ賑わって参りましたが、ガス料金の値上げについて池田通産大臣は、どう考えていますか。これは、今回の台風十五号のいわゆる影響によって、東邦ガスですか、これがついに料金値上げということを自主的におやめになって、協力をされるということを聞いておるのでありますが、しかし他のガス会社については、何かすでに通産省は値上げを認めておると、——池田大蔵大臣——というわけじゃなかったと思うのですが、通産大臣でありますから。まあ、そういうようなことを、ちょっとちらほら聞くのでありますが、そういうことは、私はないと思うのだけれども、通産省としては、ガス料金の値上げの問題について、どういうふうにお考えになっておるのか。  それから第六点、最後に、中小企業振興について、特に国内の中小企業というのは、非常に多角的にわたるわけでありますけれども、金融難で非常に困っておるわけであります。特に今回の災害対策については、政府は臨時国会の中で特別予算を編成するようでありますが、一般的に言う中小企業対策、金融関係というものは、私は一審問題点だと思う。  そこで前国会におきましても、この中小企業関係の法案で、特にそういう点を政府としても努力されたと思うのですが、たとえば大蔵省関係のいわゆる資金放出についても、一般銀行に、その取扱いを任しておる、こういう場合に、一般銀行としては、いわゆる自己資金と、政府のその中小企業対策資金というものとを勘案をして、貸し付ける場合に、ともすると、中小企業の人たちの意見よりは、自分の銀行のお得意のことが問題になってくる、こういうおそれがあるように私は思う。で、あとでもし私は時間があれば、事例をあげて大臣に実は迫ってもいいが、きょうは三時までですから、時間がないけれども、そういう中小企業に対する金融政策というものを、一体通産大臣は、どう考えるか。これは、大蔵省の立場でいけば、なるべく金はしぼって、なるべく出さん方がいいかもしれませんが、通産省は私はそうでないと思う。中小企業の振興こそ、あなたの省の一番大事なことであろう、こう思うのですが、この点について、どうお考えになっておるか。  以上の点を一つ、御説明願いたいと思うのです。
  100. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一点の米の問題でございます。御承知の通り豊作が続きまして、今では、外米にたよるパーセンテージが非常に少くなっておる。上期の予算では三万トン、下期の予算で大体二十万トンということにいたしておりまするが、なかなかこの二十万トンよりもふえざるを得んのじゃないかというので、予算審議の場合に農林大臣等の了解も実は得ておると申しまするか、輸出のために、もう少し米の輸入をしなければならんかもわからんということの了解は得ております。一年で二十三—四万トンということになりますと、これは、十年前、七年前と比べると、格段の相違でございます。従いまして、どうしても東南アジア貿易を振興するためには、東南アジア諸民族の輸入力、経済力を強めるということが第一番でございます。  従いましてこれは輸出振興ということになりまするが、いろんな方法を講じまして彼ら東南アジアの諸国が日本のものを買い得るように、そのためには東南アジアの開発が第一でございます。それにつきましてできるだけの措置をとりたいと考えておるのであります。全般の輸出といたしましては、御承知の通り従来アメリカ合衆国と日本との貿易は片貿易と言われておりましたが、今年に入りましてから、今度は非常に逆になりまして、為替統計では、アメリカに対しての輸出超過国に相なり、大体昨年に比べまして五割をこえる増加を見ておるような状況でございます。従いまして、われわれといたしましては、こういう工業国に対して輸出の振興をはかると同時に、それによって得た外貨等によりまして、東南アジアの開発に努めまして、全体としての貿易の増大をはかっていきたいという考えでおります。中国との貿易でございますが、われわれは中国との貿易を促進することに非常に熱意を持っております。しかしいかんせん政治と経済が一緒だということになりますと、なかなかほどけにくいのでありまするが、機会を得ましてこの中国との貿易が促進されるよう念願をいたしておるのであります。  第五点のガス料金でございまするが、御承知の通り東京、大阪、名古屋の三都市を除きまする他の地区のガス会社、数十ございますが、これは、石炭の価格の引上げとかあるいは設備の拡充等々いろんな原因によりまして、従来ガス料金の値上げを見ておったのでございます。しかし東京、大阪、名古屋の三大都市につきましては、昭和二十七年以来ガス料金の値上げをいたしておりません。しかもこの三大都市におきましては、新規の架設が非常に多いのでございます。設備投資が非常に増大いたしまして、そうしてこれを補うために、適正な償却をしていくということにつきましては、どうしても私は考えなければならんのじゃないか。一時値上げはいやだというので、ずっとそのままでありまして、会社の赤字が増大することになりますると、事業が公共事業であります関係上、将来に非常な累を残すということになりますので、適正な値上げにつきましては、私は考慮しなければならんのじゃないか、こう考えまして、会社の申請をただいま検討中でございます。いろんな方法で、引上げをせずにでもやっていく見通しがつけばよろしゅうございますが、どうしてもできない場合におきましては、合理化のため、またガス事業が公共事業であるという点から、幾分の値上げはやむを得ないじゃないかと思っております。しかしまだ結論は出しておりません。十分検討したいと思います。  で、名古屋の東邦ガスにつきましては、こういう災害のときでございますから、値上げをしないというのではなしに、今しばらく値上げの問題はたな上げにして、将来一つ考えることにしようということに相なっておるのでございます。  最後に、中小企業の振興でございまするが、私は通産大臣になりまして、これに一番力を入れたい。これには私は三つあると思います。一つは、やはりお話のような金融対策でございます。一つは、やはり組合制度の拡充強化を考えます。また第三には、やはり個々の業者について指導員を置いて指導していく。こういう三つの点でやっていきたいと思います。  お話のごとく、金融は大事でございまして私は、今後の財政資金の融通につきましては、大企業に対して、いわゆるどちらかというと、マンネリズム的なところがあるんじゃないか。中小企業に財政投融資の相当いけるように努力しなきゃならんと思っております。  何分にも聞くところによりますと今年の中小企業金融公庫、国民金融公庫あるいは商工中金への財政投融資は、大体生産が五、六%伸びるというので、五、六%多く融資するような予算であったように承わっておりますが、あにはからんや、経済は非常な伸びでございます。これだけでも足りない。そこヘもってきて、商工業の一つの中心地である名古屋方面のこの状況考えますと、私は、相当思いきった融資をしなければならん。そこで、また三機関ばかりで、これをまかなえるものではございません。従って市中銀行あるいは相互銀行、信用金庫等の金も、これを中小企業にもっと向けていくためには、信用保証協会の保証限度等につきまして、今後十分の検討を加えて、金融の円滑化に努めていきたいと思っております。  また組合関係、指導関係につきましては、従来の商工会議所のみによることなしに、私は商工会というものを法制化いたしまして、彼らの組合の活動をよくすると同時に、個人の業態の監査指導等につきまして十分育成の措置を講じていきたいという考えで進んでおるのであります。
  101. 相澤重明

    相澤重明君 通産大臣の、第一のこの外来輸入の問題についての心がまえはわかったのでありますが、同時にですね、この日本のものを輸出をする以上、やはり相手の国の売る、いわゆる日本にとれば輸入の問題も考えてみなければならない。  そこで私は、先ほど一つの例として、たとえばトウモロコシにしろ、飼料にしろ、そういうものについて、通産省としてはバーター協定なり、あるいは特種のものとしてお考えになっておるものがあるのかどうか、これをいま少し聞きたい。  それから第二点は、東南アジア開発資金、この前は、五十億の構想を持たれておったと私は思うのでありますが、こんな程度ではこれは、全然私は問題にならない。この今のジェトロの問題についても、まあいわゆる専門家の首脳者の人たちの立場で、私ども話を聞くというと、それくらいのあの程度のことならば、われわれ自身に、いま少し外国との話し合いをさせてくれるならば、もっと、まあよいことができるのだというくらいのことを言うようなものであります。従って政府が、本腰を入れて東南アジア開発あるいは貿易振興ということをおやりになるということになれば、私はその考え方としては少くとも五百億、一千億というようなものをお考えにならんというと、ほんとうにそこに、その基盤をおろすということにはならんじゃないか。つまり外国が、すでにもう根を張ってしまって、あと修繕関係であるとか、こまかいものしか輸出ができないというようなことであったら、これは私は日本の積極的ないわゆる貿易政策には私はならんと思う。こういう点は、私ども四人の参議院議員が東南アジアを回ったときに、みんな意見が一致したわけで、その通り議長には報告をしておいた次第でありますが、この東南アジア開発の問題についても、通産大臣の立場としては、非常に大事なことでありますから、この点、いま少し詳しいお答えをいただきたい。  それから同じく今年度の、いわゆる三十五年度の、政府の方針の中の重要な施策として、外貨獲得の問題があるわけですね、国際貿易促進だ。その中で日中問題、日朝問題というものは、私はやはり無視することのできない問題だと思うのです。  先ほど通産大臣の御答弁のように、確かに貿易の振興ということは、私どもよくわかっておりますが、さらに日本の現状から考えるならば、積極的施策こそ私は必要ではないか。特に政治と経済とが別であるという立場と、政治経済を切り離すことができないという、たとえば中国の言い分というものも、もっと話し合ってみれば、私は実は打開をする道があるのではないか。また他面において、たとえば日本と朝鮮の場合においては、すでに日韓会談の中で、無煙炭の何ですか三万トンとか四万トン輸入するとか、どうとかいうことがきまったそうでありますが、これも一つ、もしきまっておれば、どのくらいきまっておるのか、いつから実施をするのか、こういう点も、一つお知らせをいただきたいし、たとえば北朝鮮の問題についても、北朝鮮は、貿易は直接体制、直接貿易をやりたい、こういうことをいっておるんであるが、それは今、通産大臣の言うように、政治、経済は別であるという建前であるならば、それならば、それで貿易をやるのかどうか。まあこういう点について、東南アジア、アジア貿易の問題について特に私ども関心を強く持っておりますので、この点のお答えを再度いただきたいと思うのです。
  102. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 東南アジアとの貿易で、飼料等を考えたらどうかというお話でございます。もちろん考えましてやっておるのですが、何分にもあまりございません。タイから入るだけで、片貿易を是正するほどの飼料はないので、カナダ等から来る飼料が多いのでございます。しかし東南アジアのものをできるだけ輸入しようということには努力いたしております。従いまして棉花にいたしましても、飼料にいたしましても、砂糖にいたしましても、こういうところからまず買いつけようという考えでいっておるのであります。  なお、東南アジア開発基金の五十億円、これはお話の通りで、われわれは、そういう関心を持っているということの一つの証拠で、これによって、まかないがつこうとは、これで足ろうとは考えておりません。たとえばインドに対しましても、昨年の二月、五千万ドルの借款協定——五千万ドルと申しますと百八十億円です。その後千万ドルずつ二回ふやして、七千万ドルのあれをやっている。またインドネシアにつきましても、一昨日帰りましたスバンドリオ外務大臣とで総計、賠償も加えますが、大体四、五千万ドル、それからフィリピンの今のマリキナ・ダムあるいはコミュニケーション等につきましても、数千万ドルをやるような格好でございまして、岸総理が、先年五十億円の基金を積み立てられました。これは、考え方を現わしたに過ぎないので、これによって東南アジアの開発ができようというものではございません。われわれといたしましては、どちらかといえば延べ払いぐらいにして日本の商品に親しみを持たし、またその延べ払いの金で、彼らの国土を開発してそして彼ら自身の力で、日本の物が買えるというふうな素地を作ることが大切だという気持で進んでおるのであります。  それから今の中共との問題につきまして、先ほど答えた通りに、われわれは、そういう貿易再開の機会を念願しております。北鮮との関係につきましては、前、中共貿易がありましたときは、北鮮の品物が中共を通して、大連その他から来ておったのでございますが、中共がとまってしまった場合におきまして、あるいは香港を通過したり、あるいは他の地域を通過してきておるようでございます。原産地証明その他につきまして、いろいろな問題が起って参りまするが、お話の通りに、北鮮とは政治経済が一体というようなところまでいっておりませんので、北鮮との貿易を促進することはやぶさかではございませんが、御承知の通り、韓国との交渉がございますので、いろいろな私は問題は聞いておりますが、今ここで、こうやる、ああやるということは、差し控えたいと思います。  韓国との貿易再開の問題も、今北鮮帰還の問題で、日本の立場が大体わかりまして、韓国の方も、日本の立場を了承しつつあるようであります。従いましてお話の無煙炭等々につきましても、今後、私は貿易ができるのじゃないか、先般の肥料問題のときは、尿素の方は、日本の方が落札いたしましたが、硫安の方は、外国の方が非常に安かったのであれでございますが、徐々に韓国、北鮮等との貿易の拡大をはかっていきたいと考えているのであります。
  103. 相澤重明

    相澤重明君 ほかの委員からの質問もありますから、私は簡単にしておきますが、今の、特に大臣の説明の中であった延べ払い制度ですね、これは、非常に私はいいと思うのです。西ドイツの経済の伸びの事由は、やはりここにあるわけですから、これは、やはり今年度の、いわゆる三十五年度の予算編成の中の重要項目の中にも、一つのこの造船関係の問題もありますね、そういう点についても、私どもさらに予算編成の中で、意見を申し上げておりますが、これはぜひ、大臣がそういうお考えがあったならば、これは輸出振興に伴うことでありますから、全般的に、そういう問題の検討を進めていただきたい。  それから東南アジアの開発についての所信の表明だというお話でありますが、これは実は、私どもインドへ行きまして、カルカッタにおったときに、現地の人、いわゆるインドの人からお話を聞いたときに、岸総理が、二年ばかり前に東南アジアを回ったときに、この経済援助、友好関係を深めるという意味であったでしょう、橋をかけてやるというお話をされたそうですが、いまだにその橋がかかっておらぬと、こういうことで、実は日本の政治家は一体何を言うのかというような御意見もあったやに聞いておりますが、これはしかし、通産大臣の責任ではありませんが、少くとも、まあやはり開発ということについては、より積極的に、そういう問題について構想を明らかにしていただきたい。ただ単に所信の表明じゃなくて、じゃ、こういう何という会社を作ってやるのか、あるいは政府としては、どういうふうに通産省は関係各省と協議した結果やるのかという点を、できれば、もし本日時間がないからできなければ、後刻、そういう構想を、これは私は明らかにしていただきたい。  それから、この肥料等の問題につきましては、私は日本のこの貿易の自由化ということが進んでくるというと、より私どもは問題があると思うのです。この間の、今御指摘の尿素等の問題については、実はイタリア、フランス、ドイツ等の共同攻勢に会っているということですね、日本は単独で。そういう点が、すっかりよく事情を探っておらぬから、まあ大体、日本に落ちるだろうという安易な考えを持っておった。ここに西欧諸国が共同して、三国なら三国が一緒になって、一つ今度は、じゃタイのものを落札しよう、インドのものを落札しよう、こういう形に出てきている。これは、私たちが向うに行っておったときに、明らかに、そういう情報を得ている。だから、もっと在外公館における通産省の専門家の派遣ということを考えなければならぬのじゃないか、こう考えるのだが、大臣は、在外公館における通産省の、そういう考え方を、もっとはっきりさせるお考えがあるかどうか、こういう点について、さらにお尋ねをしておきたいと思う。  時間がありませんから、他の問題については、たくさんまだ質問があるのだが、少しほかの委員の方の御質問もありましょうから、ここで私とめますが、その点については、お答えを一ついただきたいと思うのです。
  104. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 相澤委員、大臣ちょうど三時に、大臣室で会議があるので、三時五分前に、この委員会を帰りたいということでございますが……。
  105. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 東南アジアの開発構想につきまして、今どういう機関にするかということは、検討中であります。何分にも、外貨がたまったと申しましても十二億ドルでございます。ドイツのように六、七十億ドルというわけにも参りません。先般も、ドイツのシャハトがこられましたときに、二時間ばかり話をいたしましたが、ドイツは四億七千万ドルという貸付基金という別ワクをこしらえてやるようであります。しかしそのときも、やはりシャハト氏は言っておられました。ドイツばかりでやろうと思わない、日本と協調したらどうかというよう話もしておられましたが、われわれは、われわれ自身で考えると同時に、他の国とのやはり協調を保ちつつやる、えてして東南アジアは、先進国の帝国主義というものに対して、非常な反感を持っております関係上、すべての他の国と共同でやることが非常にいいのじゃないか。第二世銀の問題も、こういうところから出てくるのではないかと思うのであります。  第二のお話の通り、もちろんヨーロッパは共同市場をあれしまして、相当強力に、アジア方面にも出ております。何と申しましても、肥料につきまして硫安を三十七ドル幾らで入札した。日本といたしましては、国内では五十何ドル、四十一ドルまでいったのでございますが、負けたというのであります。やはりこれは硫安では負けたけれども、尿素ではこっちが勝つ。それだけ尿素の方の技術が進んで、原価が安いということ、だからわれわれが打ち勝つためには、何としても国内の生産を合理化して、安いいいものを作るということに努力いたしたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、お話の通り世界各国の経済事情を知って、日本の貿易対策に対しましての、いろいろな措置をとる必要がございますので、御承知の通り有力な各国には、通産省の役人を出しております。ことに今度はヨーロッパの共同市場という新しい機構につきましても、ただいま通産関係のものを出すべく予算を要求しておるような次第でございます。常に世界の情勢を見ながらだんだんと手を打っていきたいという考えでおります。
  106. 北村暢

    ○北村暢君 私も、相澤君の質問に関連をして、東南アジアの貿易の問題について簡単に質問いたしたいと思いますが、まずその前に、大臣は、アメリカとの貿易が入超であったものが輸出超過に転換した、こういうことですが、これは貿易額の総体において、どういうことになっておるのか。輸入がうんと減って、そうして輸出が若干伸びたために輸出超過と、こういうような形で、総体的にどういうことになっておるかということを一つ質問申し上げます。  それから、それに関連をいたしまして、貿易の大宗をにぎっておるのは、やはりアメリカとの貿易が、今非常に大きいと思いますが、今説明を聞いておりますと、東南アジアとの貿易の場合において、何せ輸入するものがないので、輸出だけでは片貿易になって、なかなか貿易がうまくいかない、こういうことのようでございますが、これに関しては岸総理も言っておりましたように、技術面の輸出というものも相当強く指導されておったようでありますが、これが一体、どのような形になって、今日取り上げられているのか、この結果を一つ説明願いたい。  それからもう一つ、東南アジアからの輸入する問題について、米であるとか飼料であるとか、こういう問題については、南東アジアは後進国でもあり、未開発地域でもありまするので、農産物を輸入するということになれば、これは国内農業の圧迫ということに直接関連して参りまして、非常にむずかしい問題だと思うのであります。従って世界的に過剰になっている農産物の輸入、まあ米を輸入しているのは、日本ぐらいしかなくなってきているわけでありますから、そういう世界的な過剰の農産物を対象にしての東南アジアの貿易というものについては、非常に将来性というものについて不安があるわけでありますが、これに対して、何かいい方策があるのかないのか、これを一つ、重ねてお伺いいたしたいと思います。  それからもう一つは、木材の輸入で、従来ラワン材は、フィリピンから輸入しておりますが、フィリピンが、今みずから合板を作ってアメリカへ輸出する、こういうような関係からいたしまして、フィリピンのラワンというものが、名古屋市場等に入らなくなってくる。近い将来において入らなくなってくる。当然これは将来、ボルネオその他の方向へ行かなければならない。その場合に、なかなかむずかしいことは、インドネシアなり何なりの開発についても、相手国の政情、まあ国情の安定、そういうようなことからいたしまして、なかなかそういう面に技術面からいっても伸びにくい、こういう面があるわけでありますが、そういう場合、相当、積極的な技術援助をやるならば、相当開発は可能である、こういうふうに私ども承知をいたしておるのでありますが、そういう面についての、相澤委員からも出ておりますように、経済調査、その他についての施策というものが、どの程度に通産省としてはなされておるのか、この点について、お伺いいたしたいと思います。時間もございませんから……。
  107. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) アメリカ合衆国との貿易につきましては、輸出が非常に伸びたことでございます。昨年は、前年に対して一割四分、今年の上期は、前年に対して五割一分、これは為替統計でいっております。通関ベースで申しますと、まだ赤字になって、日本の方が輸出が少うございまするが、為替、べースでいくならば、昨年に対しまして五割一分という状況であるのでございます。  それから東南アジアの技術面でございまするが、これは、もう日本の品物が伸びていくのには、どうしても向うに技術を教えるということが必要でございますので、コロンボ会議の決議にもよりますが、できるだけ向うの学生等をこっちに呼ぶようにいたしておりますし、またこっちの技術者も、常駐をさせまして、日本の技術、その他の機械の扱い方等の宣伝に努めております。これも毎年々々技術員の派遣をふやすようにいたしております。  それから米のかわりに何かないかということでございますが、これは御承知の通りに、東南アジアの地下資源というものは、まだ未開発でございまするから、私は、こういう地下資源で向うの輸入力をつけるようにいたしたいと考えております。  最後の木材、ことにラワン材につきましては、お話の通りでございまして、プライウッドが非常にアメリカに行くということで、フィリピンのみならず、香港でも、どんどんやっておりまして、しかもいい材料は、自分のところに取っておいてやるという、なかなかプライウッドの輸出につきましても、いろいろなネックがございます。従いましてボルネオの開発等につきましては、われわれは非常な関心を持っております。御承知の通り、スカルノ大統領は、ボルネオのカリマータ諸島開発で、百万人の人を持っていくという、大へんな計画を立てておられるようでございます。日本がその計画に参加してどうこうということはございませんが、これは、インドネシア政府の考え方は、われわれの方も望むところでございますから、できるだけボルネオの開発に協力していく。最近技術者の調査団が出ることに相なっております。私はボルネオの開発は、しごくこれは木材のみならず、石油その他につきましても、非常にいいことだと考えて、協力を惜しまないつもりでやっております。  ちょっと、これで委員長、失礼さしていただきますが、よろしゅうございますか。
  108. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  109. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をおこして。
  110. 小山雄二

    説明員(小山雄二君) 先ほど相澤先生のお尋ねの点で残っておりました不当事項四百十六番、「中小企業輸出振興試作奨励費補助金の経理当を得ないもの」でございますが、この制度は、中小企業輸出面でも、相当ウエートを占めておりますが、中小企業が、いろいろアイデアを出して、そのアイデアを出したその芽を伸ばしてやって、輸出のレールに乗っていくようにという制度でございます。  ところで、お尋ねの点は、芽が出てうまく輸出できるものに、結果的に補助を出した、こういうことで、はなはだ申し訳がない結果になっておるわけであります。ただその間の事情を多少申し上げますと、補助申請いたしましたのは、三十二年の六月初めでございます。それで申請して、補助がもらえるもらえないにかかわらず、一つやってみようということで、その月一ぱい、六月の末までで金型三百十七作りまして、そうして製品を作ってみたところが、案外それが受けて、初めの試みの引き合いみたいなものだと思いますが、それが出まして、そのあとも順調にいっているというような事情があったようであります。しかし、結果的にいきますと、都の方で、あるいは通産局もよく気をつけて、そのあとの事情をはっきりつかんで補助をやるべからざるものだったことになったわけであります。そういう事情がありまして、こういう結果になったことは非常に遺憾でございまして、さっそく始末をしたような次第でございます。
  111. 小柳勇

    小柳勇君 私は先日、院議をもって新潟地方の地盤沈下の調査に参りましたから、その調査結果については、明日野本委員から御報告があると思いますが、ちょうど通産省の関係部門だけを質問いたしておきたいと思います。  第一は、九月一日付で通産省から大臣名で、沈下の激しい市街地におけるガス採取を停止するように措置をされたのでありますが、御承知のように二兆くらいの財産が、地下資源があるということで、相当の企業があそこでなされつつある、それだけの企業家並びに地元民に対して、通産省としては今後どういうような対策をもって、これを救っていこうとされておるのか、その点から質問していきたいと思います。
  112. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 御承知のように、九月一日に、大体あそこで生産しております四分の一くらいの数量の規制をいたしたわけであります。目下、かなり広範囲の規制をいたしておりまして、新潟の旧市街地と目せられます区域は、ほとんど大半入っているというような状態でありまして、本数につきましても、全部で七十八木という坑数をとめているわけであります。目下この禁止の地域につきましては、詳細に調査をいたしておりますし、その他の地域につきましても、別途のいろいろの調査を進めておりますので、それらの調査の結果の推移と見合いながら、現状では、これ以上規制をするというような考えは、目下のところは持っておりません。  もちろん、これからどういうふうに、この規制に従って、状況が推移していくかというような点につきましては、詳細に調査をいたしておりますので、それらの調査結果と見合いまして、また別途の事態が起きました場合には考慮するような機会があるかとは思いますが、目下のところ、それらについての第二段の規制というような考え方につきましては、今のところ考えておりません。
  113. 小柳勇

    小柳勇君 規制の問題はわかりましたが、私が質問しているのは、その停止することによって企業が成り立たなくなる、あるいは個人の生活すらおびやかすというような人たちに対してただ停止だけで、通産省としては済まないのではないかということで質問しているわけです。従って、そういうような業者並びに個人に対して援護の措置あるいは救援措置をやっていくのか、そのことを質問しているわけであります。
  114. 福井政男

    説明員(福井政男君) 私どもの方では、ただいま保安局長から申し上げましたように、新潟ガス田の全体につきまして、相当部分の規制をいたしておりますので、何とかこれを補給するようにいたしたいというのが通産省の考え方でございますが、ただそれを補給をいたしますと、従来のような方法でございますと、また問題が起きますので、できるだけ構造性のガスの発見、こういうことに今重点をおきまして、業界を指導いたしているわけでございます。そういたしますと、ガスの採取に伴いまして、多量の水をくみ上げるというような問題がなくなって参りますし、それから、さらに御承知のように、現在問題の超きておりますのは五、六百メーターの層を掘っておりますわけでございますが、ここが大体問題になっているわけでございまして、従いまして、それ以下の非常に深い層でございまして、約二千メーター前後の層から掘りまして補給をしたい、こういたしますと、今後実験をいたして参りませんと、ただ細詳なデータが出て参りませんが、ガスと水の比が従来の四分の一か五分の一程度ではないかというような技術者の検討の結果でございますので、そういうようなことで、しかもできるだけ沈下地帯から離れた地帯で、そういうふうな開発をやって補給をいたしたい、こういう考え方で現在進んでいる次第でございます。
  115. 小柳勇

    小柳勇君 そうすると、現在のところでは、そのような企業並びに個人の救済賠償などということまで考えておらぬ、ただ市街地の地下水並びにガス水の吸い上げを停止しているにとどまる、こういうことですね。
  116. 福井政男

    説明員(福井政男君) 仰せのようなことでございましてただ被害の復旧につきましては、建設省、運輸省等と十分な連絡をいたしまして、できるだけ被害の復旧に努力するように、私どもも力を注いでいる次第でございます。
  117. 小柳勇

    小柳勇君 今、被害のことに言及されましたから、第二に、そのことについて質問していきたいと思います。  海岸の埠頭並びに倉庫など、もう一年たたないうちに海水が入るのではないかという心配すらあります。今から数年前に一メートル五十ぐらいあった岸壁などが、もうすでに水面すれすれくらいまで沈下している、そういうことは将来やろうということでは間に合わぬのではないかという気もしますが、そういうような賠償並びに復旧対策について、たとえば補正予算あるいは新年度の予算など、早急に対策を立てなければ、地元としては安心して生活できない、あるいは埠頭の荷役すら安心してできないというような情勢にあるが、そういうものについて積極的にどのような対策をお考えか、お聞かせを願いたい。
  118. 福井政男

    説明員(福井政男君) 仰せのようなことにつきまして、私どもも非常に心配いたしておるわけでございますが、御承知のように港湾関係は運輸省が所管をいたしておりまして地港にいろいろ手を打っておりますし、そのほか建設省関係のものは建設省が担当いたしておりますが、いずれにしても企画庁、科学技術庁、こういう所と連携をとりまして、こういう所が中心になりまして、全体の復旧事業費をまとめ、大蔵省に一緒に折衝をする、こういうことで、できるだけ現状復旧にそごのないように、万全の努力をいたして参る所存でございます。
  119. 小柳勇

    小柳勇君 地元の県市、県水並びに関係官庁の話を聞いておりますと、もう県水など、地元ではお手上げの情勢です。これはご存じの通りです。  従ってその復旧なり、賠償についても非常に焦眉の問題として陳情もお聞きになっておると思います。聞くところによりますと中央の対策委員会などの動きというものが、非常に積極的でない、情熱的でないという声すら、現地に聞かれるわけです。そういうことでは、新潟の市民は、もとよりでありますけれども、関係官庁など非常に毎日々々が不安で、従って、もっと積極的に根本的な対策も立て、応急の対策も立てなければならぬと思います。今、局長のお話では、動きつつあるようでありますが、大臣がおられないので、また適当の機会に質問いたしますけれども、要望としては、もっと積極的に、特に通産省の賠償の問題などを中心に、積極的に動いていただきたいという要請で第二問を終ります。  第三問は、恒久対策として県水などの報告を聞きますと、五カ年計画として二百億くらいの金が必要である、そういうことを言っております。そういうものについて、これは簡単にというわけにいきませんが、内閣として、どういうふうな処置をとろうとされておるのか、具体案があれば、お聞かせを願いたいと思います。
  120. 福井政男

    説明員(福井政男君) 恒久対策につきましては、実は、私どもあまり詳細なことを存じないのでございますが、復旧事業と申しますか、対策事業の中身が御承知のように港湾、海岸、河川それから都市関係、こういうことに相なりまして、主として主務官庁としましては、先ほど申しましたように建設、運輸の関係が大部分でございます。先ほど申し上げましたように、私ども常時主務官庁と連絡をとっておりますが、ただいま先生の仰せのように、現地の方の皆さん方のお気持につきましては、私ども常時連絡をいたしておりまして十分承知いたしておるつもりでございます。今後とも一段と努力いたして参りたいと思いますが、恒久事業の中身につきましては、詳細に、私、まだ将来の五カ年計画については承知いたしておりません。
  121. 武内五郎

    ○武内五郎君 関連……。  新潟のガスの問題で、小柳委員からの質問があるように、きわめて重大な問題なのであります。すでに、ガス採取の規制をしなければならぬということは、勧告ですな、勧告が出ておったように聞いております。その規制の原因というのは、水溶性ガスの採取にかかっている。その水溶性ガスが、地盤沈下の大きな原因であるということをお認めになるのでございますか。それからその次、構造性ガスの発見のために努めているというお話でありますが、現在どういう発見のために作業をやっているかということをお伺いしたい。以上。
  122. 福井政男

    説明員(福井政男君) 水溶性天然ガスが、地盤沈下の原因であるというふうに認めているかどうかという問題でございますが、これは、非常にむずかしい問題でございます。科学技術庁の報告にある通りでございまして委員にも、いろいろ意見がわかれているわけであります。ただ私どもといたしましては、科学技術庁から正式に報告書が出されましたので、これにつきまして、地盤沈下の問題について通産省として、できるだけの手を打たざるを得ない、こういう立場から勧告を出して、ガスの採取を一定の地域について中止することを勧告いたしておるわけでございます。  それから構造性ガスの発見のために、どういう手を打っているかという第二の問題でございますが、これにつきましては、通産省の調査所等でも、いろいろガスの構造、存在の関係の調査をいたしておりますが、さらに帝石でございますとか、あるいはそのほかの各天然ガス採取業者に、こういうガスを掘るような調査を勧奨いたしまして、こういう会社では、そういう調査に重点を置いてやっておる次第でございます。
  123. 北村暢

    ○北村暢君 今の答弁で、どうもわからないので、もう一度お伺いしたいと思うのですが、先ほどの御答弁では、そこで使用しているところの使用量の四分の一を規制した、こういうふうに言われているのですが、今、武内委員からの質問によりましても、その地盤沈下が水溶性ガスの汲み上げのために起ったのかどうかということ、これの結論が、どうもはっきりしないようです。もしそうだとするならば、四分の一規制をしているが、四分の三は依然として掘っているわけですから、四分の一規制程度の規制ならば、沈下はしないというのか、四分の三づつ今掘っているのでありますから、この四分の三でも、将来地盤沈下が起らないという保障がないというと、これは私は、簡単に勧告とかなんとかいうことできまらない問題だと思うのです。  それで鉱山監督上の点から言って、この勧告で、現在程度の規制で将来地盤沈下が起らないという技術的な相当確信の持てる調査の結果で、この勧告をしているのかどうか、ここら辺のところをもう少しはっきりお答え願いたい。  それからもう一つ相当深度の深いところから採取すれば、地盤沈下とは関係なしに天然ガスを採取できる。こういう技術指導をしているということのようですが、これも、相当な科学的な調査の結果でなければ、これは非常に将来むずかしい問題がまた起るのではないかというふうな感じがするわけです。私もかつて予算委員会から、あの地帯を視察したことがあるわけですが、その当時は、まだ地盤沈下という問題は出ておりませんでした。出ておりませんときですが、相当程度工場の建設計画というものを持っておるわけですね。持っておるわけですから、これは通産省部内において、鉱山局と、それから工場認可の方との、新潟の産業の建設計画の中で、一体そういうことが総合的に検討されておるのかどうか。そしてまた、この天然ガスがだめだとするならば、あそこに建設された工場というのは、相当膨大なものですから、他の方法考えなければならないだろう。それが先ほど来、小柳委員が盛んに対策について質問しているのも、その点にあると思うのでありますが、この点を、もう少しはっきり御説明を願いたいと思います。
  124. 福井政男

    説明員(福井政男君) 御指摘の第一点は、非常にむずかしい点でございまして、実は、ガスの採取に伴って沈下が起きるかどうかという点に帰するわけでございますが、この点は、まあ科学技術庁の資源調査会の特別委員会でも非常にもめたわけでございまして、その結果、資源調査会の会長が報告を出されたわけでありますが、特別委員会としては結論が出なかったわけでありまして、従いまして、資源調査会の会長が、その下部の特別委員会が結論を出さないままに、一つの意見を出されたわけでございます。これは御承知と思いますが。その中で報告されておりますように、原因が非常にたくさん考えられるということで八つほどあげておるわけでございます。これは御承知と存じますが。  それでこの天然ガスの点につきましては、こういうふうに報告書の中には言っておられるわけでありまして、「この点において水準測量成果ならびに観測井の記録に基づいて表明された上記8すなわち、この沈下の主原因は地下水の急激な大量揚水であるとする説を重視せざるを得ないのであります。」、こういうふうな表現を使っております。厳密に申しますと、いろいろ解釈を、どういうふうに解釈していったらいいかという点につきまして、いろいろ疑問もないわけではございません。しかしながら、沈下という現象が毎日起きておるわけでありまして、これを、もし天然ガスの採取に伴ないます地下水のくみあげに関係があるというふうに、いろいろ調査いたしました結果、将来何年先かなるというようなことになりますと、これは現在、できるだけの手を打っておく必要があるのではないかと、こういう気持でございまして、通産省としましては、いろいろまだ疑問も持っておるけれども、公けにこういう政府機関から、今申し上げましたような報告書が出されておりますし、万一をおもんばかりまして採取を停止して、そしてさらに、いろんなデータを集めて調査を続行していこうというふうなのが、まあ通産省の考え方でございます。  それから深掘りの点につきましては、まだ詳細は、先ほど申し上げましたようにデータは出ておりませんが、非常に深い層で、この層の水とガスの比が非常に小さいというふうなことになっております。ただ現実に、この地帯の深掘りがそういうふうなことになるのかどうか、これはやはりテストしてみなければわからないと存じます。今後、そういう意味で調査いたしまして、もし水とガスの比が非常に小さいということであれば、その層から取るということをやって参りましても、沈下には影響がないのではなかろうか、こういうことでございます。
  125. 相澤重明

    相澤重明君 先ほどの大臣の答弁の中に、答弁漏れがありますから、関係者から、答弁願いたいと思うのですが。日韓会談の中における無煙炭の数量は、どのくらい輸入をするというのか。  それから、第二は、大臣は非常にユニークな答弁をされておりましたが、たとえば、日中貿易、あるいは日本と朝鮮との貿易、こういう問題についても、できるだけやりたいというお話があったが、日韓会談、あるいは北朝鮮帰国問題等の関係で、たとえば、香港の三国間貿易ですか、そういうようなことも、お話も、むずかしいであろうという中にあったと思うのですが、事実問題として、たとえば、日本と朝鮮の場合には、日本の貿易商社はいわゆる直接配船、直接貿易ということを希望していると私は承知をいたしておるわけでございます。そこで、そういう点について、できない場合でも、少くともその基本方針に向っていくのが、これは通産省の仕事ではないか。それを、いわゆる単に、政治経済は別であるとか、一緒であるとかということだけでは、私は、日本ほんとうの貿易振興にはならぬだろう、こういう点も考えられるわけでありますが、その点についての補足を少ししてもらいたい。  それから、いま一つは、先ほどのガス料金の問題について適正な料金であるならば、値上げもやむを得ないのではないかというような答弁が大臣からはされておりましたが、目下は検討中ということであって、そのときに、私が、その一番冒頭に申し上げておったのは、今回のいわゆる台風十五号によるところの被害に基いて、東邦ですか、あすこのガス会社は、自主的に料金値上げというものを撤回されたと思う。従って、この台風被害によるところの、通産省が見た中小企業の関係者の被害額というものは、どのくらいあるのか。そして、先ほど私は、臨時国会に政府としては、いわゆる補正予算を組むということを言っておるのであるが、通商産業省は、どのくらい今度の中に予算を組もうとしておるのか。それから、全体的な問題として、中小企業の金融対策というものが大事ではないか、こういう点を申し上げたところが、通産大臣からは、金融対策と組合制度の拡充と、それから指導員制度と、こういう三つの項目をあげて、御説明があったわけであります。ですから、そのことについて、中小企業に対する、たとえば、来年度は、どのくらいのいわゆる資金というものをお考えになっておるのか。こういう点についても、先ほど大臣も忙しかったので答弁が漏れておりますから、そういう点について私は御答弁をいただきたい、こう思うわけです。  それから、ガス料金の値上げの問題と関連をして、これは、ガス料金並びに電気料金とは、当然関係してくるわけでありますが、石炭産業そのものについてのエネルギー対策というものは、根本的な国策として政府が考えなければならぬ大きな問題である。今政府でも、おそらく石炭鉱業に従事しておる従事員に対する離職問題については、国策として、これは推進しなければならぬということが私は討議をされつあると思うわけであります。あれだけ大きな問題ですから。そこで、今それだけ大きな問題になっておれば、当然石炭の需用供給についての基本的な構想というものは、やっぱり監督官庁としての通産省が持たなければならぬ。そうすると、ガスなりあるいは電力に使用する石炭、これは、やはり根本的に私は対策を立てるべきだと思うわけです。そういう点について、今通産省としては、どういうふうにお考えになっておるか。単にガス料金を適正なものであればというだけでは、私は納得できない。もし適正なものであるということになれば、たとえば東京ガスの場合にも資産評価の問題あるいは現在の作業の問題、いろいろ私は検討してみる必要があると思う。これはそういう点をもしおわかりになっておったならば報告をしてもらい、もしそのことが報告が不十分であるならば、関係者を本委員会に参考人として呼び、あるいは決算委員会として証人として喚問をして、やはり実際にその内容を明らかにしなければ軽々にガス料金の値上げ、電気料金の値上げというものを行うべきではない、これは必ず国民生活に大きな影響を与える問題であるから。そういう点について私は、通産省の基本的な考え方という、単に適正なものであるというようなことは一体どういう基準を出しておるか、たとえば配当を一〇%ならばこれがやむを得ざるものである、二二%ならばこれは多い、七%、八%ならば株主配当として少いものである、こういうふうに考えておるのかどうか。これは一つの例ですよ。そういうようなこと、いろいろ私どもはお尋ねをしなければならぬ問題があると思う。従ってそういう点についての基本的な考えをこの際補足説明をしておいていただきたい。
  126. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) 日韓会談の問題は通商局関係でございますが、現在責任者が来ておりませんので、私から知り得た範囲だけでお答えいたしたいと思いますが、日韓会談では具体的に貿易、特に石炭の輸出をどうこうというような、そういう具体的な問題に入っておらないように私は承知いたしております。ただ商社筋から無煙炭を出したいという話はございまして、また韓国政府側もそれについて許可をするような、これも正式な情報ではございませんが、さような情報があるという程度でございますが、日本政府としてはもちろん現在無煙炭はどうしても一定量、特に高品質のものが必要でございますので、そういうものが従来は特に北ベトナムあたりから大量に入っておりましたのが、最近の政情不安で非常に入荷が悪くなったという関係もございまして、日本側としてはむしろ非常に歓迎するぜひ輸出をしてもらいたいという気持でございますけれども、まだ日韓会談でどうとか、あるいは先方の政府から日韓会談とは別に、正式にこうという申し入ればないように承知をいたしております。  それからガス料金の問題でございますが、大臣がお答えされましたのは、要するに適当ならばそのまま認めるのだという趣旨ではございませんで、その節は十分検討をしてぎりぎりのところで認めるのだということをお答えしたわけでございますが、ただ配当は何%にするかというふうなそういう具体的な査定の基準と申しますか、そういうものはまだ実は立てておりません。そこまでこまかく実は検討が行き届いておりませんので、それ以上お答えができないのでございますが、もしそれ以上くわしく、たとえば申請の内容その他について御質問がございますならば、担当局長を呼ぶようにいたしたいと存じております。  それから中小企業の問題は、中小企業の長官がお答えいたしますので。  最後にエネルギー対策という見地からどうか、特にガス料金の値上げに関連して御質問がございましたが、この点につきましても今通産省としては非常にいろいろな面から検討をしておる段階でございましてただ失業問題は現に発生しておる問題もたくさんございましてそれが非常に緊張した状態、社会的な緊張を起しておりますので、さしあたりその問題だけはぜひ早急に解決しなければいけないという考え方から、離職者対策関係について臨時国会に予算補正と、それから必要な法律を出したいということで現在準備をいたしておりますが、それ以外の今ちょっとお話がございました全般的な石炭の合理化とか、重油との競合関係をどうするかと、それがひいてはガスの燃料政策にも関係してくるわけでございますが、そういうような点については、まだ確定的にこういうふうにやるというところまでは固まっておらないわけでございます。現在までのとろはガスにつきましても、国内原料炭で技術的に使える分につきましては国内原料炭を優先的に使って、もらいたい。ただしできますコークスの品位その他でどうしても輸入炭を入れなければならない分につきましては、輸入礎を入れております。それからピーク調整、その他常時の需要ではなしに特別な需要の場合には原油あるいは重油使用も認めております。しかし建前としては経理と申しますか、採算面から油が有利だからそれを自由に使ってよろしいという態度は全般に、これはほかの産業についてもそういう考え方はしておりませんし、そういう扱いはガス事業についてもいたしておらないという状態でございます。
  127. 小山雄二

    説明員(小山雄二君) 中小企業関係についてお答え申し上げます。  まず第一番は今度の災害に対する対策の問題でございます。さしあたり法律とか予算とか、その他財政投融資の追加を必要としない事項については、もうどんどん実行しております。たとえば従来の借りてたものの返済期限を延ばすとか、さしあたり三機関関係で原資を補給してやるとか、また人の応援をするとか、貸し出し手続を簡素にするような事柄はすでに着々実行中でございます。今度の臨時国会を目標といたしまして準備しておりますことは、まず資金源を新しく追加してやらなければいけない。  ただいまお尋ねの災害の被害額というものは、これもなかなかいろいろだんだん日にちがたつほどはっきりしてきまして、数字が今もって変りつつあるわけでございますが、大体これで固まるだろうと思いますが、十五号台風関係で愛知、三重、岐阜三県が大部分でございますが、それ以外も全部含めまして約八百十五億程度被害総額ではないかと思っております。七月八月の前の関係を入れますと、これが約七十億くらいふえまして約八百九十億見当被害額、これに対しまする中小企業関係の所要資金の復旧の問題中小企業の間におきましても、政府関係の三機関のほかに市中金融機関にも相当やってもらっておるわけでございます。従来普通ですと、中小企業に対する貸し出しに対して三機関が受け持つのは九%から一〇%程度、分量的にはそういうことになっております。ところが災害等でありますと、どうしても政府機関の方に重みがかかってくるという関係もありますので、そういうことも含めまして被害額に応じて金額をいろいろ今大蔵省と折衝中でございます。それ以外に中小企業関係の金融につきましては、担保力がほとんど全然なくなっておる、こういう金融でございますから、やはり金融機関の方に担保なしでやれというわけにも参りませんので、信用保証協会、中小企業信用保険公庫、そういう制度を活用いたしまして、そこにある程度出資をしてもらって、そこの原資をふやして保証基金をふやしてやるというようなこと、その他先ほど申しました金融の背景になるようなところをやります。これは金利の問題等にいたしましても特別の金利を適用する、借りやすくしてやるというようなことを含めまして今対策を鋭意検討中でございます。  それから災害関係を離れまして全般の中小企業金融の問題でございます。先ほど大臣からもお話ございましたが、昨年度から今年度にかけて経済の伸びが予想よりも非常に大きかったわけでございまして、本来中小企業の金融は非常に圧迫されるということのほかに、今年度は計画的にも何といいますか、計画そのものが多少下目だったというような結果になっております。中小企業金融公庫も国民金融公庫も合せまして、今年の貸し出し規模というものは大体千五百五十億であったわけであります。その上に組合金融がございますが、直接中小企業向けの金融に対する政府財政投融資等を背景とした貸し出しの規模は今年度は千五百五十億であります。来年度といたしましては、今申しましたような規模が少し経済の伸び足りなかったという点も考慮いたしまして、今大蔵省といろいろ相談しております線はこれを千九百三十億程度に貸し出しの規模をふやしたいということでいろいろ折衝しております。組合金融につきましても相当量ふやしたいということで、金融の面につきましては、先ほど大臣言われましたような趣旨で、できるだけのことをやって参りたいと考えております。
  128. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 第四局長に伺いますが、ここで五件が指摘されているのですが、通産省関係どの程度検査した結果この五件が指摘されたのか、その点説明願いたい。
  129. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 三十二年度中に検査いたしましたものは全部で千八百六十五件に対しまして、金額は十二億八百十四万九千円であります。
  130. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 第四局長の所管関係でなくて、ほかのものでお尋ねしたいのですが、会計検査院の検査態度は、その内容も違うけれども、局、課によって——検査を受けるものの立場から立てば省庁になるわけですが、それによって若干甘い辛いの差等があるような感じがするのですが、通産省関係の検査というものはやりづらいことはないですか。検査を受ける方は逃げやすいのじゃないですか。指摘されたらさっと直してそれで検査報告まで載せないというふうなことで、ここに表面に出てくる前に手直しのできる確率は僕は大きいのじゃないかと思うのだ。そういう立場からいうと、通産省関係のは比較的に僕は検査態度というものは甘い部類に入りはしないかと思うのですが、どういうようなお感じでいらっしゃるか、所見のほどを承わっておきます。
  131. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) はなはだむずかしい御質問でありますが、ただいま御質問のように、通産省の検査は非常にやりにくいのじゃないかというお話でございまするが、私の今まで経験しました範囲では、ほかの省庁に比べまして格別検査がやりにくいというようなことはございません。それでおそらく——御質問の内容を推察してはなはだ恐縮でございますが、昨年三十一年度に比べまして三十二年度に通産省の検査報告が減っておりますのは、関係当局におかれましていろいろその後の指導監督が非常に行きわたったということと、また補助金などにつきましては関係団体が自粛自戒した結果三十二年度になりまして案件が減ったのではないか、こういうふうに考えております。
  132. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 このあなたの方の官房調査課で出された「国の決算と検査」というもので、これの五十三表によりますと、補助金関係の指摘事項の分類がございますが、確かに通産省関係は数が少くなって五件となっている、そして例のよく言われる農林省あたりに比べますと非常に件数が少いということはけっこうなんですが、しかし私は、通産省関係の予算執行というものは直ちに経済力の増強、生産の向上と直結しているだけに差等をつけるわけじゃありませんが、特に効率的な予算の運用、執行がなされなければならぬと思うのです。わずか五件にしてもこの指摘された内容というものは、これはある形から言えば幼稚だし、ある形から言えば絶対逃げられない、見つかった以上は修正がきかない、逃げられないで報告書に載らなければならぬ性質のものばかりになっている、これは氷山の一角でもう少し水の中に入っているものがあるという予感がいたすのでございます。それで伺ったわけなんでありますが、大臣にかわって政務次官がお見えになっているようでありますから伺いますが、この昭和三十二年の予算書を見ますと中小企業対策というのは重要施策になっておりますね、重要施策に。そうして中小企業対策費はわずかですが、三十一年の七億四千万円が十八億と二倍以上にふえた年なんです。貿易振興費にしても二割以上、わずかでありますが二割以上増額された議決予算です。その予算の執行に当って通産省関係のは中小企業関係だけ五件指摘されたということは、立法府の予算審議の態度に対して裏切るものであって、私は心がけが非常にけしらぬことだと思うのですが、一体お宅の出先機関だけでなくて省自体にも心がけ上不十分なところがあるわけですが、そういうものに対してはその後の行政運営に当って若干の制裁を与えてしかるべきだ、そうしなければ直らぬ、そういう点についてはどういう考えでおられるか、政務次官並びに担当局長さんから御説明を願います。
  133. 内田常雄

    説明員(内田常雄君) 政務次官の内田でありますが、決算の不当事項を毎年繰り返しまして指摘を受けておりますことは、これは先般までは私どもも指摘したり大いに通産省の反省を促したような立場でありますが、今度省に入って見ますとまことに恐縮千万な話であると思います。  今矢嶋さんのお話でありますが、中小企業関係の中で一番金額の多いのは、御承知のように中小企業の設備の合理化のために国が府県に金額を補助し、府県が国から補助を受けたものと同額の金を特別会計に出しまして、それを対象とする中小企業の合理化のために貸しつけようというのが一番金額的にも多いものでありまして、従って今回指摘を受けておりますのも、この中小企業の振興資金関係のものが何件かここに固まって多いようでありますが、これは正直に申しますと、国がそういうような目的で、中小企業の設備合理化が非常におくれておりますために、何とかして合理化を促進しないことには、親企業とかあるいは大企業だけ設備が合理化でき近代化されましても、下請に出される方の中小企業、下請企業の方の設備が非常におくれておるということでは、国の産業としていいものもできないし、また均衡ある発展も遂げられないということで、無理に国会にお願いをして、年々中小企業設備合理化のための設備資金をふやしておるわけでございます。私の記憶でありますと本年度は十億円、昨年度は六億円、この指摘を受けております一昨年はおそらく四億円ぐらいではなかったかと思います。国会の皆さんの非常な御努力によりまして、このように四億が六億になり、六億が十億にふえてきておることはまことに喜ばしいことでございますが、その反面府県を通じてその目的のために貸し出した件数も非常にふえて参ってきております。そのためにここにありますような本来貸付の対象にならないような——これは通産省なり府県がお互いに相談をしまして、今年度はこういう対象の企業の設備近代化のための資金を出そうというふうに毎年基準をきめるのですが、自分で基準をきめておきながらその基準に該当しないようなものに対して府県が貸付をするという、こういうようなことで御指摘を受けることはまことに遺憾でございます。今後はこの金額をますますふやさなければならない状況にあるわけでありますが、その反面ますますこの金が適正に処理される、国が処理する、中小企業設備の合理化を推進しなければならぬわけでありますから、一そう厳重にいたしたいと思います。で従来におきましてもこのような不行き届きのありました府県に対しましては、これは毎年この金を出すわけでありますから、将来を戒めることはもちろんのことですし、さような団体、府県に対しましては、その翌年度の政府からの補助金の額に調整を加えるなど、毎年努力をいたしておりまして、件数がふえてきて参っておる割合には、私も今回通産省に行って見ますると、割合に行跡が改まった点も見られるところもありますけれども、今後十分注意して参るつもりであります。
  134. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは十分注意していただきたいと思いますが、中小企業関係は、わずかな金額でも、その効率的使用次第では非常に、国の経済の伸長、産業の発展に大きな効果をもたらすわけですから、十分注意していただきたいと思うんです。おそらくこういう関係者は、見つかってやられたときには返せばいいじゃないか、昔のシナ人のようにどろぼうしてもあとで返せばいいのだと、けろっとしておる、そういうような感覚を依然として持っておるのじゃないかと思うんですがね。決して返したからそれでいいというわけのものでないわけですから、そういうところはある程度厳正に私はやる必要があると考えますから、その点特に注意申し上げておきます。  それから、ちょっとあえてお伺いすることを許していただきたいんですが、このころから中小企業政治連盟等の動きというのが蠢動して来たわけですが、非常にけっこうだと思うのですが、その中小企業政治連盟等の動きが出て、日本の産業構造からして当然ではありますが、中小企業対策というものが政策上非常に前進して来た、これはいいことだと思います。最近政治活動が活発になりまして先般の、名前を言って恐縮でありますが、具体的になって恐縮でありますが、先般の参議院選挙における東京地方区を中心とするところのあの中小企業政治連盟の政治活動というものは、判決があってみなければわからぬけれども、そのあとの新聞、ラジオ等で伝えられるところから考えると、日本の政治を毒することもはなはだしいと思うのですね、この運用を誤まれば。国会は予算を議決して皆さん方にお預けする。それは直接なりと間接なりと、回り回って若干ああいうところに影響してくると思う。そういう点についても十分あなた方は予算の執行に責任を感じて、注意していただかなくちゃならぬと思う。よくこういう補助金制度が新たにできますと、補助金をもらったのは、自分たちのこういう運動の結果だったんだから、まあ受けた補助金の一割はちょっとというようなことを、これはよく政界ではあることなんで、今までの日本の政界ではよくあったことです。そういうことは厳に今後廃止していかなくちゃならぬと思うので、まあ私はあの東京地方区を中心に行われたあの巨額の買収金ですね、これは一体どこから出たのか。まあ私の政治家としての感覚から邪推するならば、やはり中小企業の振興法律も作ろう、予算も組んでいただこう、そういう運動をするために、それぞれの中小企業関係から資金カンパで金をかり集める、そういうものが何らかの形で巨額の買収資金として現われて、日本の政治を毒するということと私は関連づけて考えざるを得ない。だから私は、決算報告に出てくる中小企業関係の五つの指摘事項は、それだけにとどめえないと思うわけです。政務次官は政治家ですから、どういうお考えを持っておられるか承わりたいと思います。
  135. 内田常雄

    説明員(内田常雄君) これは私は衆議院におりまして、中小企業のことには商工委員会におりまして非常に力を注いできて参りまして今おっしゃる中小企業政治連盟からも、始終いろいろ注文を持ち込まれた方の側なんです。ところがこれは言うまでもなく中小企業政治連盟は、法律などによる別に行政団体ではございません、政治結社であります。政党までに至らない政治結社で、むろん自民党とも違うわけでありますが、平素政治連盟の総裁の鮎川さんが豪語されているところを私は耳にしているわけでありますが、おれの団体は政府から補助金は一文ももらわない、くれると言ってももらわない。政府からひもをつけられてそれで動くことはまっぴらだ、政府のしりをひっぱたく中小企業者の機構としておれは作ったのだから、銭はおれがみな出して政府から一文も、くれると言ってももらわない、こういうことを豪語しておったことを私は記憶いたすのであります。中小企業関係の団体に通産省から補助金が出ておりますが、これは御承知のように、中小企業協同組合などの中央会、中小企業団体中央会というものが各県にありますが、私どももその役員のごときものをいたしておりますけれども、もう蚊の涙くらいしか中央会には補助金をつけてくれません。これは中小企業政治連盟と全く関係のない、法律上の中小企業団体法、中小企業協同組合法による関係各組合の連合体でありますが、なかなか補助金はまことに少くて、ぜひふやしていただかなければならぬような状態にある、そういう金を政治連盟が集めているという様子もないようであります。  またもう一つの中小企業に出ております金は、御承知の商工会議所に中小企業相談所というものを置かれまして、その人件費なんかについて国から半分、県から半分というような出し方で、これもわずかな金でありますが、相談所の金が中小企業政治連盟に流れているような様子も、これはないといって差しつかえないと思います。従って中小企業政治連盟の先般の参議院選挙における資金というものは、どこから出たかは、これは予算にはかかわりありませんが、おそらくはその中小企業政治連盟の内部で、あるいは総裁なりあるいは役員なり、あるいはその構成員なりあるいはその民間の同調者などから、政治結社として金が集められて使われたと考えるしかないわけであります。いずれにいたしましても、矢嶋委員の御心配になられますように、私どもはせっかく中小企業の育成強化について非常に努力をいたし、また国会にお願いをし、なけなしの予算をふやしている最中に、今おっしゃられましたような疑いをかけられるような動きが、ああいう政治結社について行われますことは、かえって逆効果であると私ども非常に憂慮をいたす一人であります。
  136. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはまあ横道ですからその程度にしておきますが、ところで指摘された四百十六号から四百二十号までの監督者並びに当事者の処分ですれ、これはお宅から出された資料によると、国家公務員法による懲戒処分というところが全部白紙になっておりますが、これはどうなっているのですか。まあこれで所管局長が厳罰になるというのはいかがかと思うのですが、一切処分というものはなかったものですか、いかように取り扱われたのか、お答え願いたいと思う。
  137. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) これは三十二年度の分でございますが、従って現在おります監督者はもちろんその後にかわった者でございますが、会計検査院から批難されました事項につきましては、その当時の責任者に対しまして大臣名で厳重な注意をいたしました。
  138. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 第四局長に伺いますが、年々歳々まあこういう部類のものが出てくるわけですが、厳重な注意というのはどのくらいするのか知らぬのですが、そのぐらいで適当とお考えになられますか、どうですか。第四局長どういう見解持っておられますか。ただ注意だけでは不十分じゃないか。その当事者並びにそれに比較的に近いところの人は、私はあまり将来に影響するようなことをすべきでもないと思うのですけれども、もう少し格好をつけなければ、これは浜の真砂になると思うのですが、まず第四局長の答弁を一応伺ってみましょう。
  139. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 責任者の処分が軽微に失するのじゃないかという御質問でございまするが、私が各省の批難事項に対して各省がとっておりまする責任者の処分状況に比べて、通産が特に甘いというふうには考えておりません。
  140. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや各省庁のバランスということを私は言っているのじゃない。あなた方は職務と義務と権限をもって検査をやっておられるわけだが、年々歳々同じことを繰り返しているのですが、こういうような事後の取扱い方で適当とあなたはお考えになっていらっしゃるかどうかという、あなたの見解を承わっているわけです。
  141. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 先ほども申し上げましたように、通商産業省関係の批難事項は年々減ってきておりまするし、相当関係当局の努力改善の跡も見られまするので、その程度の処分で適当じゃなかろうか、そういうふうに考えております。
  142. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まあ通商産業省関係のが年々減ってきている事実があるし、あなたが相当自信を持っておられるし、相当のにらみがきくという自信を持ってお答えになっているようですから、私はまああなたの意見に従うことにいたしましょう、この問題については。  次、官房長に伺いますが、お宅は何ですか、内部監査に対してはどのくらいな支出予算をなさっておられますか。
  143. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) これは全部現在考査官というものをおきまして、その下に補佐を若干つけておりますが、予算は官房の中の一般の事務費予算の中でそれぞれの費目をそのつど支出をいたしておりますので、年度当初に幾らと予定をするようなことはやっておらないのでございますが……。
  144. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは内部監査の支出予算というものは別に計上していないのですね。
  145. 阿部久一

    説明員(阿部久一君) お答えします。一応計画といたしましては、先ほど大臣お答えになりました考査官室の内部監査経費といたしまして、当初計画といたしまして約三十万程度計上しております。年度間におきましてその実行に伴いまして不足を来たしました場合には、先ほど房長からお答えいたしましたように、必要な経費の支出はいたしております。
  146. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あと二問で終りますが、まことに失礼なことを伺いますけれども、私は通商産業省の指摘事項が割合に少いのを見て、よくやっているなと感心しているわけなんですよ。他の省庁よりは比較的に、ここは相手相手だけにまあ誘惑なんかもあるところですし、若い公務員にはうっかりするとあやまちを起すことがあると思うのですよ。それで内部監査、牽制組織というものは十分にして、そうして消極的には誤まりなきよう、積極的には高率の運用ができるようにしていただかなければならぬという立場からちょっと伺ってみたわけですが、失礼な伺い方というのは、伺う問題というのはこれは失礼ですが、しかしあえて承わるのですが、人のうわさによると、まあ通産省の性格からでしょうがたとえばゴルフというものの招待が割に多いというのですね。私は、今なくなられたですが鳩山さんが吉田内閣の跡を継いだときに、あとしり切れトンボになったですけれども、ゴルフ、マージャンの招待に応ずることの禁止とか、あるいは公邸公舎の利用等について一つの方針を打ち出されたのは、非常に当時国民に明るい影響を与えたと思うのです。あと若干しり切れトンボになったけれども、それでもやはり効果があったと思うのですね。ところが通産省は他の省庁と若干趣きが違うから、お互い人間同士ですからおつき合いというものがあることは当然ですが、常に心しておかなければならぬことだと思うのですね、特に若い公務員に対しては。卒業直後はないでしょうが、お役所に入って五年から十五年ぐらいのころが一番警戒を要するので、世間でもやはりそういう招待がどうもよそよりは多いらしいというひがみ目で見ている他の省庁の役人も若干おるのですよ。なければけっこうですがね。若干のいましめをもって失礼ながら伺ったのですが、政務次官なり官房長、どういう御心境でいらっしゃるかお伺いいたします。
  147. 内田常雄

    説明員(内田常雄君) 矢嶋さんからまことに御親切な御注意をいただきましてありがとうございます。これは私ども肝に銘じておかなければならぬことであります。ことに今日は三権分立といいましても、国会が行政府を監理するという建前になっております。私ども国会議員が通産省に政務次官として行っておりますのは、いわば通産省の監理官のつもりでおりますので、御趣旨は肝に命じまして、本来の公務員の諸君にも通産省の諸君にも十分戒告をして参りたいと思います。ただ私は短かい期間でありますが、通産省に行ってみて思いますことは、いかにも外から見ますと通産省は業界との接触が多いところでありますから、そういう誘惑や危険のチャンスが一番多そうに見えますが、中に入ってみますると案外でありまして、正直に申しまして通産省におる人たちは御身お大切で、ことに幹部諸君になる人たちは中途半端で変なことになったらば一生大損をするということで、必要以上に身を慎んでおることがありありと見えます。たまたま下級職員等に遺憾なことがありまして、従来新聞などに載ったことも私どもは知っておりますが、幹部諸君には少くともここにおられるような局長、課長諸君はお互いに相寄り相いましめまして、将来の自分を大切にされておるようでありますから、なお一そう部下の公務員を督励いたしまして御趣旨に沿いたいと思っております。まことにありがとうございました。
  148. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう官房長の答弁要りません。それでけっこうです。そこにいらっしゃる局長、部長さんなんかそういうことはないですよ。そういう心がけ不十分の人ならば局長、部長なんかにならないですよ。届かないところにあるわけです。あなた政務次官になられて思ったほどでないとおっしゃいますけれども、今岸ばかり歩いておって本流に入ってないかもしれませんから、そこはやっぱり注意に注意した方がいいと思います。しかしあなたの答弁で私はそれでけっこうです。  最後に承わりたい点は、昭和三十四年度の予算から汚水処理問題がだんだんと表面に出て参りつつあるわけで、これは非常にけっこうだと思うのですがね。狭い国土に工業立国ということになると、日本国中いたるところに汚水問題が将来起ってくるおそれがあると思うのですけれども、そういう一般的な根本的なことをきょう伺おうというわけじゃないのですが、せっかくおいでになった機会に一つだけ、一つのサンプルとして御承知と思いますから伺っておきたいと思うのですが、必ず耳に入っておると思うのですけれども、熊本県の水俣市に日本窒素の工場がありますがね、そこに水俣病というのが起った。これは本院の社労委員会でずいぶんと取り上げられ、それから議員派遣もなされ、それに基いて所管の厚生省でいろいろと原因の究明あるいは療養者に対する対策等をやってこられているわけなのですが、はっきり原因がわからないでだんだんと病人がふえる。そして病気になったらこれは非常に死亡率が高くて、不治の病で、からだは動かなくなるし、言語障害をきたすし廃人同様で、あの地域は鹿児島県の北部から熊本県の南部は非常に恐怖に襲われている。そうしてその企業家に対しては補償しろ補償しろといって漁業者とか、いろいろの団体交渉でしょっ中もめているわけですね。しかし、工場をつぶすわけにいかぬと思うのですね。従って、これらは厚生省の厚生行政だけでよくするものじゃありませんし、生産部門からいえば当然通産省、お宅の問題ですし、こういう問題というのは私は将来あっちこっちに起ってくるのじゃないかと思うのです。もちろん農林省あたりも関係があるわけですが、この水俣病問題というのはおそらく御承知と思うのですが、通産省当局としてはこういうものに今後どういうふうに対処していかれようとしているのか、大まかな見解だけ一つ承わっておきたいと思います。
  149. 内田常雄

    説明員(内田常雄君) これはあとで官房長あるいは関係局長に補足をしていただきますが、実は私が政務次官に就任いたしましてからその話を持ち込まれまして、これはその政務次官ということで私はいいかげんにこの話を聞き流してはいけないと思いまして——これは政務次官なんていうものは一年たてばどっかへ行っちまうものでありますから、それが通産省の内部の行政に浸透しなければ何もならぬと思いまして、先般私はわざわざここにおられる官房長——この官房長は通産省のいろんな局長を歴任した人で、今官房長になっている方で、行政に明るい人でありますが、官房長を呼びまして私の部屋に来てもらって立ち会いのもとに、あの熊本県の地方から来られた方々の御意見やらまた訴えをよく聞きまして、しかも、これは通産省の中に、今もお話の工業汚水の処理につきましては、工業用水課というのがあるのですが、これは企業局であります。ところが一方、水俣病のあるいは原因をなしているのじゃないかと言われている化学工業は、これまた軽工業局の所管だということで、これが責任のなすり合いのようなことになってしまって、またじんぜん日をむなしくするようなことでは相ならぬと思ったものですから、官房長に立ち会ってもらったわけでありますが、従来も通産省は通産省なりの調査をしてきたそうであります。がしかし、その原因は究明されるまでに至っていないし、さればといって、あやしきものは、疑わしきはなきにしかずというわけで工場をつぶすわけにも参らないわけでありますから、先般そういう話を私の就任後聞きましたから、あらためて通産省としてもそれに対する調査の対策を各局あるいは各課、中央、地方それぞれ打ち合せた仕組を作ってやらねばなるまいと、さようなことで通産省当局に官房長に注文をいたしたわけであります。これから先は官房長、ちょっとお考えを補足して下さい。
  150. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) この問題は御存じかと思いますが、相当歴史の古い問題でございまして、三年ぐらい前に私が所管の局長をやっておりましたときもこういう問題ございまして、ただこの問題がほかの汚水のように非常にはっきりしたデータが何もございませんで、何が原因かということも全然まだはっきりいたしませんし、それから原因となりますものがありましても非常に微量なもので、しかも、それがそのものの自体として害をなすのではなしに、その害が流れる水の所に住んでおる魚がまずやられまして、その魚を食べた人がやられるということでどうも排水自体ではなしに、排水の中に入っております微少な成分が魚の中でまた他の物質に転化して、その転化した物質が害がある。こういうものだというようなことでございまして、主として厚生省が医学上の見地からずっと調査をしてきておられますが、まだはっきりした結論は出ておりませんのでございます。ところがごく最近、さっき政務次官からもお話がありました、ごく最近の陳情によりますと、従来は御存じのように水俣湾のある特定の個所でとれる魚というふうにほとんど限定されておりましたので、そこの個所での魚をとらないということでまあ被害が広がることも大体防げておったのですが、ことしになりましてから湾外にだいぶまた被害の魚が出て、被害者が出てきたというようなことでございますから、こうなりますと、確かに従来のように消極的に危険地域の魚をとらないというだけでは、問題が解決しないように思いますので、大至急調査をやりたい。そこで今のところまだ決定的な結論はとても出ないのじゃないかと思いますけれども、この前、先ほど新潟の地盤沈下問題で御説明いたしましたように、はっきり決定的な科学的な結論が出ませんでも、ある程度確実だろうと推定されるような事態が出て参りますれば、その原因に対しては至急通産省としては手を打たなきゃならない。この問題は単なる運営上の問題ではなしに、もう少しシリアスな問題でありますから、われわれもそう考えておりますが、最近まではとにかく原因がはっきりしない点と、比較的被害が局部的に制限されておりまして、そこの付近の魚をとらないということで、被害の蔓延は防止されておったというような形から、調査結果待ちになっておったわけでございまして、先ほど申しましたように、相当広がってくるというようなことになると、大至急もう一度従来の調査態勢を立て直して、調査をやりまして措置をとりたい。措置をとりますについて、これはあそこの河川に排出をしておりますならば、水質汚染法の手続をとりまして、正式に法律によって必要な除外命令を出すなり、操業についての必要な命令を出せることになっております。しかし、直接海に放出いたしました場合には、ちょっと水質汚染法の適用がございませんので、その場合は行政措置でやるということになると思います。
  151. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後に政務次官に一つだけお答え願いたい。これは昭和三十二年の決算事項と違うのでありますけれども、今後こういう事態はあちこちで起ってくると思うのです。だから前国会以来から汚染問題が政治問題として出てきたわけでありますが、これを農林省とかあるいは厚生省とか通産省というように、一省庁のよくするところでないと思うのです。これをうまくやらないと工業の進展にも障害を来たしますし、それから国民の保健とか、民生安定をおびやかすことになるのですから、ぜひ一つ政務次官の方で、政府部内の関係各省庁で連携をとって、それぞれ責任回避にならぬようにして、政府という立場でこういう問題を真剣に一つ保健上から対処してもらいたい。これは要望を申し上げて終りたいと思いますが、御要望に沿っていただけるかどうか、それだけお伺いいたします。
  152. 内田常雄

    説明員(内田常雄君) 実は私も国会議員として同じ感を深くいたします。先般話を聞いてみますと、農林省へ話に行ったところが、どうも工場をふやしたからでその工場をつぶしてしまえば済むので、通産省へ行けといったが、それは地方経済上また国民経済上、その工場がなくて済むというならばいいのですが、なかなかそうもいかない。どうしてもこれは政府全体として取り上げて参らなければならぬということは同感であります。ついては、次官会議なり官房長会議などもありますから、そういう機会に御趣旨に沿うように、また私どもの考えております通りに各省に持ち込みまして、これはほかの面でも例があります。たとえば火薬を海に捨てた問題でありますとか、それに類する問題がありまして、とかく各省が責任回避をすることは、はなはだけしからぬと思いますので、これはなるかならぬか知りませんが、とにかく内閣には官房長官、あるいは官房にも職員などがおりますから、そういうところにも持ち込みまして取り上げていきたいと思います。
  153. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいま矢嶋委員から質問のあったことですが、私も実は前からこの工業立国政策の推進ということと、農漁民一般大衆の生活、経済というものはなかなか両立しない、矛盾するといいますか、利害関係の一致しない面が非常に多いので、この点につきましては、総合的な施策を講じていただきたいということは、前々から希望しておったところです。そこで、根本の問題につきましては、いずれあらためて伺いたいと思いますが、そういう考え方から、先般、例の公共用水域の水質の保全に関する法律ができた。別に工場排水等の規制に関する法律ができた。そこで私は具体的にお伺いしたいのは、公共用水城の水質の保全に関する法律によりまして調査会を設けて幾つかの河川の水質を調査するということになっておるわけであります。その河川の水質の調査は現在どの程度に、どういう方法で進められておるか、御存じでしたらお教え願いたい。
  154. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) これは審議会で五河川が指定になりまして、調査をやるということになっておりますが、ここに担当者がおりませんので、どういう具体的な方法で、どの程度ということは、ちょっと今私からは答弁いたしかねますが、もし必要でございましたならば、資料か何かでお届けすることにしたいと思います。
  155. 野本品吉

    ○野本品吉君 審議会が五河川を指定して、そうして水質に関する調査を始めるということになっておるので、実はそれらの河川に関係を持っております地方の農民、あるいは一般の者が非常にそれに期待をかけておるわけです。従って私としては、できるだけ早くそれらの審議会が、調査結果に基いて、具体的な方策を立てるように進めないと、農民の非常な要望からできましたこの法律に対して、農民が失望するというふうに私は考える。従ってできるだけなるべく早い機会に、どの河川とどの河川と、指定五河川についての調査の現状というものはどうなっておるかもわかるようにしていただきたいと思います。  それからもう一つ。あとの工場排水等の規制に関する問題でありますが、これにつきましてもいろいろと御苦労なさっておることは承知しております。そこで、各工場等も、行政指導その他によりまして、着々その施設を講じておると思うのですが、大体この問題も現状がどういう程度に進行しておるものか。これも具体的に幾つかの事例をあげて御説明いただきたいと思います。
  156. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) 先ほどお答えいたしましたように、今のところ担当者がおりませんので、詳しく資料説明するようにいたしたいと思います。
  157. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は、通産行政の衝に当っておる皆さん方がおられるんですから特に申し上げるんですが、日本の産業政策として工業立国として進むというこの大筋は、これはくずすわけにはいかない。そうなって参りますと必然的に農漁民その他とのいろいろな問題が起ってくる。そこで、通産省の方は産業振興、産業政策の強力な推進という立場に立たれますから、やむを得ないかもしれませんけれども、こういう問題につきましては、ただいま矢嶋委員も指摘されましたように、通産省的な感覚でばかりものを考えずに、いつも関係各方面の立場からものを考えていただきたいということを重ねて申し上げるわけです。例の公共用水域の水質の保全に関する法律のできる経過を見ましても、特に私はその点を主張したい。当時あの問題につきまして、通産省は通産省の立場から、農林省は農林省の立場から、厚生省は厚生省の立場から、それぞれのその省の立場からいろいろとこうしたらいいだろうと思う、ああしたらいいだろうと思うという具体案が出て、各省庁の間で話がつかないでやむを得ずこれを経済企画庁に持ち込んで、あそこで立案したという立案の経路を私は知っておるわけです。そういう状態がいつまでも継続するということは、役所の方は別といたしましても関係農漁民その他にとりましては、きわめて困ることなんであります。この点につきましては、ただいま矢嶋委員の指摘と全く私は同感でありまして、その点について重ねて御考慮をわずらわしたい。このことを申し上げておきます。時間もおそいようですから、簡単に申し上げます。  それからもう一つは、これは本日の委員会の冒頭におきまして、相澤委員から、いろいろ東南アジアの視察の結果に基いての所見の発表と、なお政府の施策の進め方についての御意見の発表がございました。私はやはりそれに関連いたしまして、一つ残った問題を申し上げたいと思います。それは、実は向うへ参りまして、いろいろな角度から考えたのでありますが、いわゆる経済援助、技術援助その他いろいろな方法がありますが、東南アジアの大衆を日本がどう把握するか、このことを考えますと、私の目のつけどころの一つ日本の映画がいかに南方へ進出しておるかということなんです。そこで物好きのようでありますが、私は向こうへ行ってバンコックともう一ところどこでしたか二つ映画館を見たのです。特に日本映画を見たわけなんです。ところが向こうの人に聞きますと、日本からきた映画で一番受けて、つまり興行者が一番もうけたのは「無法松の一生」であったという話もよく聞いてきたわけです。これは何べんやっても入るということなんです。そこでやはり大衆を把握するという立場から見ると、いい映画を作って輸出するということが、これは非常な政治的な意義と申しますか大事なことになってくる。そこで映画の製作その他の問題は別といたしまして輸出の問題を考える場合に、映画のことを一体通産省は考えたことがあるかどうか、これをちょっと伺いたい。
  158. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) 輸出の関係につきましては、国際的なコンクールに出ましていい成績をおさめることによって非常な成果を得るとか、いろいろな映画会社自身の努力もございますが、国といたしましてもジェトロで映画の見本市を開きますとか、あるいは優秀な映画の宣伝をいたしますとかいうことで、海外機関を通じまして今振興をはかっております。
  159. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の優秀な映画の製作と、それをできるだけ海外へ輸出するということは、私は笑い話でなしに非常に大事なことだと思っておりますので、この点につきましては映画の製作業者その他とも十分関連を保たれまして、映画の輸出について格段の御考慮をわずらわしたい。これは先ほども申しましたように日本の映画を見るということの楽しみ、喜びの中に南方の人たち日本に対する非常な親しみを持ってくることなんで、ぜひそういう点をお考え願いたいということを申し上げたいのであります。  それから最後に一つこれはお願いなんですが、先ほど矢嶋委員から会計検査院から指摘された不当事項、これに関係する公務員と申しますか、それらの処分の問題についてお話がございました。このことはやはり国といたしましても大事な点であると思いますので、これは委員長においてお取り計らい願いたいのでありますが、三十二年度の決算報告を今審査しておるわけでありますから、三十二年度中会計検査院の指摘された事項に関連して処分をした者の一覧表をいただきたい。それはどういう件についてどういう役所のなんという人間を、たとえば懲戒免職にした、あるいは減俸した、あるいは降格した、そういうようなものの一覧表をぜひほしいと思います。これを委員長においてお取り計らい願いたいと思います。
  160. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ただいまの野本委員の御要望を委員長においてしかるべく取り計らいます。
  161. 武内五郎

    ○武内五郎君 ちょっとお伺いしたいのですが、通産省の関係で、これは電発工事のような工事について、その請負業者等に関して、通産省ではそこまで監督しているわけですか。
  162. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) 直接今担当者がおりませんので、あるいは違うかもわかりませんが、私は承知している限りでは、そこまでの監督は、これはほかの事業も引っくるめまして、どの工事者に請け負わせるかというところまでの監督はやっておらないと思っております。
  163. 武内五郎

    ○武内五郎君 それでは突っ込んでお伺いしたい。いやしくも電発工事のような工事になりますと、国の金を使っておるので、国の金をどういうふうに使われているかということについて、やはりこれは監督しなければならぬ責任があると考えます。従って電発工事そのものについてではなく、その下の請負業者、これが非常に工事の現地において現地の住民に対していろいろな迷惑をかけておる。しかも金銭上の莫大な迷惑をかけておるような業者が工事の中に入っておる。しかも大きな業者として直接請負工事を請け負ってやっている所もあるのです。具体的に申しますと、これは名前だけは伏せますが、只見川の発電工事に関係いたしまして地元の小さい衣服業者、食料の業者であるとか、あるいは自動車の部分品の業者であるとか、機械、自動車等の修理をする業者であるとか、あるいは石油、ガソリン等の小さい販売業者であるとかいうような、そういう零細なる業者に対して支払いを全然しないで現地を引き揚げている。その債権の請求に当たると、会社の名義を変更して責任の所在を明らかにしないというような事実があるのです。そういうようなことで、私は政治というものはすべての国民が平等に恩恵を受けなければならぬと考える。一部の業者だけが国の金を使って、そうして小さい者がその被害を受けなければならぬ。一時あの地方には電発ブームという言葉がはやったが、全く今日の私は電発台風考えるような実態が行われておる、そういうような事実に対して通産省はこれをやはり監督する立場から厳重に見てもらわにゃいかぬ、そういうふうなことについてのお考えを伺いたい。
  164. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) 先ほどお答えいたしましたように、個々の請負業者についてだれを指定すべきか、だれを指定すべきでないかというようなことについては、これは当然会社の経営の内容そのものでございまするから、これが最も安くかつ適正な工事が行われるようにと、一般的な意味においての監督はともかくといたしまして、個々の請負業者についてそういう監督はいたしておらぬと思います。なお今お話のような問題でございますと、直接電源開発会社からの請負をいたします業者は、これは御存じのように指定制度になっておりまして相当大きな業者以外は参加しておらぬことになっておりまするので、おそらくそのまた下の下請業者ではなかろうかと思われますが、しかしこれは直接通産省の監督すべき問題ではございませんが、今お話のような点がありといたしますれば、その点一ぺん担当の局に調査をさしてみたいと、このように考えております。
  165. 武内五郎

    ○武内五郎君 これは直接請負業者です、指名を受けた。よくお調べになればわかると思います。非常に地元民が迷惑を受けておる。しかもその支払いについて電発の現地の責任者が、これは当社で責任を負いますからという一札を出しておきながら、今日まで未払いになっておる。そういう事実をお調べになれば庁内の職員の間違いと私は同じような状態だと思う。よくお調べになって今後間違いのないようにお願いしたいと思う。
  166. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) 十分調査をいたしてみたいと思いますが、どういう処置をとるかにつきましては、ちょっとここで申し上げかねると思います。
  167. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  168. 上原正吉

    委員長上原正吉君) では速記を起して。  ではこれをもって通商産業省の部、検査報告批難事項第四百十六号から四百二十号までの質疑は一応終了したものとすることにつきまして、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  次回は明日午前十時より防衛庁の部を審査する予定であります。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時四十五分散会