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1959-03-19 第31回国会 参議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十九日(木曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————   委員の異動 本日委員苫米地義三君辞任につき、そ の補欠として前田佳都男君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     手島  栄君    理事            新谷寅三郎君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            石坂 豊一君            黒川 武雄君            前田佳都男君            宮田 重文君            最上 英子君            鈴木  強君            三木 治朗君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 寺尾  豊君   政府委員    郵政政務次官  廣瀬 正雄君    郵政省貯金局長 加藤 桂一君    郵政省簡易保険    局長      大塚  茂君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   —————————————    本日の会議に付した案件 ○郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金  部資金所属運用資産増加額の一  部を交付するための大蔵省預金部等  損失特別処理法第四条の臨時特例等  に関する法律案内閣提出衆議院  送付) ○簡易生命保険法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 手島栄

    委員長手島栄君) ただいまから開会いたします。  郵便貯金の旧預金等に対し旧預金部資金所属運用資産増加額の一部を交付するための大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例等に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続いて御質疑のおありの方はどうぞ御発言願います。
  3. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 前回委員会におきまして、森中委員からの保険募集目標について御質疑がございまして、そのときに私の方で十分事実を検討して次回にお答えするということがございました。でありますから、ただいま貯金についての御審議でありますが、その前に森中委員前回質疑に対してお答えさせていただきたい、かように存じますが……。
  4. 手島栄

  5. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) それじゃ、前回森中委員の御質問の御要旨は、保険募集目標を毎年きめる。このきめ方について、これは国民所得とかあるいは国の財政状態経済事情、あるいは理論的に、合理的に、このきめ方については根拠のある各種のデータ、その他諸般情勢を分析をして、そして合理的な保険募集目標をきめるべきではないか、おそらくかような御質疑であったと存じます。ところが、今回のこの保険目標というようなものを三十四年度十八億にいたし、またその中に新種保険を二億と、こういうような目安を作ったということにつきましては、これは毎年の保険募集目標をいわゆる財政上の要請逆算をした、逆算から考えるというようなことではなくて、多年の経験と申しまするか、そういう実績をもとにして、なお保険募集従事員等実績等も勘案して、一応この目標を作ったという実情であります。このことは、森中委員が御指摘のように、まず少しそうした根拠ある諸般実情に即して、それから計算をして目標をきめるべきであるということは、私ども森中委員の御指摘の点は十分検討して、そういう根拠ある目標をきめるべきであるということは、さように考えるわけであります。しかし、今回の目標といたしましては、今申し上げましたような実際に即した実情にかんがみてこれをきめる、こういうことで、はなはだこの点においては御質問の御趣旨に沿い得なかったということは遺憾でありますけれども、今後におきましては、そういったような面をもあわせ十分検討いたしまして募集目標をきめたい、かように考えますので、この点御了承を願いたいと思います。
  6. 森中守義

    森中守義君 大臣の一夜づけの勉強にしては大体上できです。従って、了承してくれということでありますが、それで了承できる面とできない面もある。ただし、法案の審議を続行中でありますから、この審議の経過の中に漸次、大臣のただいまの大へん苦しい御答弁内容についてただすべき点もあるようでございますから、ただいまの答弁答弁として承わっておきたいと思います。
  7. 松平勇雄

    松平勇雄君 私は前回委員会で中座いたしましたので、他の委員質問と重複いたすかもしれませんが、以下数点に関しまして政府の御意見を伺いたいと思います。  まず、この郵便貯金の第二封鎖預金というのは一体どういうふうないきさつでできたか、それをお伺いしたいと思います。
  8. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お答え申上げます。  御承知通り、終戦後間もなく出現した悪性インフレーションを防止するために、経済危機の解消のために、昭和二十一年の二月に金融、通貨、財政、食糧、物価など広範囲にわたって総合的な緊急措置がとられたのでございますが、金融面におきましては、同年の二月十七日に金融緊急措置令という緊急勅令施行されまして、その際現存しておりました郵便貯金及び郵便振替貯金というものが、民間金融機関の預貯金と同様に封鎖されたわけでございます。そういたしまして、一定額までの生活費であるとか、定期的給与などの支払いの場合を除きまして支払いを禁止されたわけでございます。その後続きまして、二十一年八月になりまして、金融機関に生じました損失を適正に処置する基礎をさらにかためるため、封鎖預金につきまして、八月十一日午前零時現在の金額をもちまして、第一封鎖預金と第二封鎖預金ということに区分せられたのでございますが、この第一封鎖と第二封鎖はどういういきさつでできたかと申しますと、当時一口三千円未満の貯金につきましては全額を第一封鎖といたしたわけでございます。それから一口三千円以上の貯金で、個人の貯金といたしましては、一世帯ごとに、かつ一金融機関ごとに名寄せをいたしまして、一世帯について世帯主及び世帯員、おのおのの一人につきまして四千円の割合で計算いたしました金額、ただし三万二千円までを最高限度といたしまして、この三万二千円と、それから世帯員の員数に関係なく一万五千円、そのどちらか多額の金額をとりまして、それまでを第一封鎖とする。それ以上を第二封鎖ということになったわけでございます。  また法人その他の団体の貯金につきましては、一口三千円以上の貯金法人のものは一万五千円までを第一封鎖といたしまして、その残りの金額が第二封鎖ということになった次第でございます。
  9. 松平勇雄

    松平勇雄君 この切り捨てられた貯金を旧預金者に返すということは当然なことであって、今回の政府措置はまことにけっこうだと思うのでありますが、そのためにこのような立法措置をとらなければならない理由はどこにあるのでありましようか。
  10. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お答え申し上げます。郵便貯金の第二封鎖預金切り捨て措置は、御承知通り大蔵省預金部等損失特別処理法に基いて行われたのでございますが、その第四条によりますと、切り捨ての行われました昭和二十四年二月二十一日以後におきまして損失に立てられました資産から回収金が生じましたときは、まず一般会計から借り入れを受けました補償金三十六億一千八百万円をまず返済いたしまして、なお残額があるときは政令でその処分をきめるということが規定せられておるのでございまして、従いまして、この一般会計から借り入れを受けました三十六億一千八百万円を返済した暁におきましては、政令でこの第二封鎖によって権利切り捨てられた旧預金者等返済してかまわないのでございますが、まだ回収金金額昭和三十三年十二月末日におきまして二十六億円余にしか達しておりませんので、まだ十億ほどの回収金が出てきませんと一般会計に返すことができませんので、それを待ちますとまだ四、五年の年月を要しますので、この際、この二十六億の回収金の中から一応預金者に返す元利合計の二億四千百万円というものを先食いと申しますか、一時それから持って参りまして、それを財源といたしましてこの際預金者交付しようと、こういう旧大蔵省預金部等損失特別処理法の第四条に定められておりまする順序を変えるわけでございますので、その臨時特例を定める必要がございます。従いまして、こういった特別の法律案を御審議願わなくちゃならぬことになったわけでございます。
  11. 松平勇雄

    松平勇雄君 そうすると、この交付金に今度は利息を加算して支払うというようなことになっておりますが、この利息昭和二十四年二月二十一日から昭和三十四年三月三十一日までの間の利息を払うわけなんですか。
  12. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) この第二封鎖によりまして切り捨てられた金額を旧預金者等交付するのでございますが、それには、まあこれは法律交付と申しておりますが、実質的には旧預金の債権の復活措置でございますので、もし昭和二十四年二月二十一日以後その貯金が継続して運用されておったといたしました場合に計算いたしました利息を、本年の、昭和三十四年の三月三十一日までの利息を計算いたしまして元金に加えてお払いするわけでございます。その利率は、御参考までに申し上げますと、通常貯金につきましては、途中昭和二十七年に一度郵便貯金利率変更がございまして、現在は三分九厘六毛になっておりますが、それ以前におきましては二分七厘六毛でございましたので、昭和二十七年までの利率は二分七厘六毛、その後は三分九厘六毛で利息を計算いたしまして加算するわけでございます。また振替貯金につきましては利率変更がございませんでしたので、ずっとその間二分二厘八毛という利率で計算いたしました利息を加算してお返しすることになりました次第でございます。
  13. 松平勇雄

    松平勇雄君 そうすると交付金総額、それから交付を受ける人員と、一人当りの、平均受取金額はどのくらいになるのですか。
  14. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お答え申し上げます。  交付金の額は、元本に相当する切り捨て額が一億六千九百万円でございます。で、これに対しまして、利子に相当する加算額は七千百万円でございますので、合計いたしまして二億四千百万円ということに相なる次第でございます。また交付対象となる人員は約八万一千三百人でございまして、その内訳は、郵便貯金の旧預金者が約八万人、郵便振替貯金の旧加入者は約千三百人ということになっておりまして、一人当り平均受取金額は、郵便貯金の旧預金者が二千八百八十五円、振替貯金の旧加入者は七千百四十七円ということに相なっておる次第でございます。
  15. 松平勇雄

    松平勇雄君 この切り捨てが行われた昭和二十四年から今日までもうすでに十年くらいたっておるわけなんで、当時の通帳ども相当紛失しているものが多いんじゃないかと思いますが、こういった通帳を紛失した者が交付金を受けられないということがあると気の毒な状態になるわけですが、その通帳を紛失した者に対してはどういったような処置をされるのですか。
  16. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お示しのように、切り捨てが行われましてから十年ほど経過いたしておりまするので、あるいはこの旧預金者方々におかれましては、通帳その他の証明資料その他を持ち合せられないという方も多数おられるかと推察できるのでございますが、私ども全国に二十八の地方貯金局がございまして、そこにおきまして当時第二封鎖を設定せられましたときに、第二封鎖設定報告書というものを郵便局からとっておりまして、それからまた、第二封鎖預金切り捨て額報告書というようなものもとっておりまして、二十八の地方貯金局でほとんどその証拠資料を保存いたしておりましたので、現在もうすでにそういった書類によりまして調査を進めかけておる次第でございますので、もしこの法律案施行になりましたら、こちらから各旧預金者方々案内状を差し出すことにいたしておりまして、周知徹底をはかりたい。また、旧預金者の方が実際に申し出られた場合に、証明資料がない場合は、省令その他によりまして適当な保証人を立てたり、いろいろいたしまして、権利確認といったような措置もとって万全を期したいと考えておる次第でございます。
  17. 松平勇雄

    松平勇雄君 最後に、交付金予算的措置はどのようになっておるか。受け取りにこない旧預金者ども多いと思いますが、不用額処理はどのようにするのか、それを一つ伺いたいと思います。
  18. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お答え申し上げます。先ほど御説明申し上げました交付金の、元利合計総額は二億四千百万円でございまして、その財源は、いわゆる元本に相当いたします一億六千九百万円は、旧預金部資産の中から出るわけでございます。それから旧勘定に上って参りました回収金は、現在の資金運用部におきまして資金運用部積立金と一緒にいたしまして、運用をすでにいたしておるわけでございまして、この利息当りまする七千百万円の分は、資金運用部特別会計から歳出に立てまして、元本合せまして郵便貯金事業特別会計の方に繰り入れを受けることになっておる次第でございます。  それから、旧預金者申し出られる期間は二年間となっておりまして、施行の日から二年以内に申し出られませんと、交付できないことになるわけでございます。それから、その一たん申し出られてからの時効は、会計法上のいわゆる時効と同じで五年間ということにいたしておる次第でございますので、かりに仮定いたしまして、一番最後申し出られたという方につきましては、七年間交付する事務が続くことになるわけでございます。従いまして、七年たちましてもなお何らの申し出もなく、おとりにならないという方もあるいは生ずるかもしれないと考えられるのでございまして、こういう際に余りました金額は、これは郵便貯金特別会計から資金運用部特別会計に返しまして、そうして元本に相当する分は、資金運用部特別会計から運用部資金の方に返すということになっておる次第でございます。
  19. 森中守義

    森中守義君 一、二承わっておきたいと思いますが、民間金融機関はこういう問題についてどうなっておりますか。金融機関再建整備法というのがございますね。これに基いて大体同様な措置がとられていると思うのです。この民間関係実情を承わりたい。
  20. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お答え申し上げます。民間におきましては、郵便貯金におきましては第二封鎖を設定いたしまして、第二封鎖から切り捨て措置をいたしましたのは三割相当額切り捨てたわけでございます。その際に、当局といたしましては、郵便貯金国家事業であるというような点、あるいは大衆的な零細貯金であるという意味からいたしまして、この切り捨て措置をやめてくれということを大蔵省に数度折衝いたしたのでございますが、三割というものを切り捨てられたのでございますが、その際に、民間切り捨ては平均いたしまして六割七分に当るのが切り捨てられたわけでございます。郵便貯金の方は特に切り捨て率民間の半分にしたというようないきさつがあったわけでございます。その後、民間におきましては、いわゆる調整勘定と申しておりますが、旧勘定から、その後経済情勢の好転に伴いまして相当多くの益金と申しますか、回収金が生じて参りまして、一般会計から借りました分も返済をいたしましてなお余りが出て参ったものでございますから、旧預金者等分配を始めたのでございますが、大体昭和二十八年の二月に地方銀行の一部が利益金分配を開始いたしました。次いで三十年の五月に至りまして六大銀行分配を行いまして、昨年の十二月をもって全部の銀行分配を完了いたして、調整勘定を閉鎖したということを聞いておる次第でございます。また、保険会社におきましても昭和三十二年一月から三月までの間に調整勘定利益金分配を完了しておる次第でございます。なお、まだ分配が済んでおりません金融機関といたしましては、前に無尽と申しましたが、現在の相互銀行、それから信用組合の大部分、農林中央金庫、庶民金庫等が現在まだ預金者に対しまして分配を完了していない状況でございます。
  21. 森中守義

    森中守義君 今のお話から申しますと、二十八年にすでに金融機関再建整備法に基いて民間金融機関は、この種の作業を初め、三十三年の十二月にはほぼ完了した、こういうことですね。そうしますと、大体郵便貯金利用者は非常に小口ということになりましょうし、民間関係割合大口だというようなことであれば、おのずから財界あるいは大口利用者の方から、ぜひこれを早目にやってほしいという要望等大蔵省初め関係機関にあったと思われる。それが圧力という表現になるかどうかわかりませんが、少くとも国の機関である郵政省のこの貯金が、民間では二十八年であったのに、それから六年もおくれた今日これを手をつけたというのは、そこにどうしても郵便貯金国民に親しまれている事業でありながら、はなはだ時期を失っている。こういうように思うのですが、この間大蔵省あたりにどういったようなお話をされたのですか。
  22. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お答え申し上げます。民間におきましては、御承知のように、調整勘定内容をなしますものが不動産が非常に多かったということを聞いております。そういうようなことで、その後の値上り等によりまして、思ったより非常に早く回収金の額がふえて参りまして、一般会計から借りました金額を早く返済できたということで、なお余剰ができたということで、この法律金融機関再建整備法に基きましてこの措置が非常に、特別なこういった郵便貯金のように法律案を出さなくても、思ったより早く返済ができたという次第でございますが、郵便貯金の方におきましても、一般会計から三十八億という借り入れをいたしておったわけでございまして、これを返した上になお益金が出た場合は、旧預金者分配してよろしい、政令でやってよろしいという法律の建前になっておりますので、こういった特別の法律を必要といたすわけでございまして、私たちは銀行の一部に分配が始まったということを聞きますと、さっそく大蔵省等に参りまして、強く郵便貯金の第二封鎖の返還ということを交渉をしたのでございますが、こういった特別なめんどうな法律を要するということが一面と、またもう一つには、民間のいわゆる先ほど御説明いたしましたような相互銀行であるとか、信用組合、あるいは農協とか、そういった部面におきまして、まだ全然一般会計から借り入れ金額返済するめどがつかめないといったような状況でございましたものですから、その郵便貯金とのつり合いといったようなことからいたしまして、大蔵省の方ではなかなかこれに要する二億四千百万円の予算というものを認めてくれなかった次第でございまして、大体三年以上にわたりまして、毎回こういった法律案を出すことを折衝いたしましたのですが、今回ようやく提出の運びとなった次第でございます。
  23. 森中守義

    森中守義君 それから、実際の支払い業務を行う場合に、戦後すでに十四年を経過している今日において、預金者通帳その他を紛失したり、あるいはもうこれはだめだろうというので焼却をしたというようなことが多分にあると思うのです。それで、当局の方でこの法律案の表として出されている中に、対象人員が八万一千三百七十九、こういうことになっているのですね。この対象になっている八万一千三百七十九名の人が、間違いなく通帳を持っているかどうかというのは、はなはだ疑問があると思います。そういうような際にどうなりますか、非常に煩瑣な手続を必要として、つまり通帳がない、しかも持っていたという立証すべきものがないという場合に、貯金局原簿だけでおそらくここにこういう数を出されている以上は、各地方貯金局あたり原簿は保管されていると思う。原簿中心主義でお払いになりますか、それともはなはだ繁雑な手数を必要とするということになりますか。
  24. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お答え申し上げます。お示しのように、通帳をなくしたとか、あるいはもうあきらめて、そういったものを整理されたというような方々が中にはあるかと思います。しかしながら、先ほど松平先生の御質問にお答えいたしましたように、二十八の地方貯金局におきまして、当時の第二封鎖設定額報告書とか、あるいは切り捨て報告書というようなものを幸いにして保管いたしておりますので、そういった面でほとんど全部といっていいぐらいはっきり、旧預金者の氏名その他が私どもの方にわかっておりますので、それに基きまして、法律施行になりましたならば、さっそく御通知状を全員の方に差し上げたいと思っておる次第でございます。  なお、周知宣伝その他いたしますが、しかし、そういった御通知を差し上げましても、御本人の方が転居その他で、どうしてもそういった私ども通知が届かないというような場合で、また証明資料もないというようなことで、まあお申し出になりましたような場合は、現在私どものやっておりまする、災害等によりまして通帳その他全部を焼かれてしまったという方々にとってやっておりまする、いわゆる権利確認手続と申しますか、適当な保証人を立てまして郵便局にお申し出になりますと、私どもの方で原簿、その他の一切の証拠書類を調査いたしまして、真実であると郵便局長が認めました場合はお支払いをしておるというような、権利確認手続によって処理いたしたいと考えておる次第であります。
  25. 森中守義

    森中守義君 これは預金者の立場からいえば、郵便局窓口に行きまして、できるだけ簡便に支払いを受けるということが、こういう法措置を講ずる一つ目的でもあろうと思うのです。しかし、往々にして非常に仕事が繁雑になり、しかも原簿所管庁から通知が行って、それで持っていっても、本人であるのかどうかという、そういう非常にむずかしい煩瑣な手続を往々にしてとられがちなものですが、この際は大体原簿中心にして、たとえば預金者が死亡していたとかいうような場合に、継承をどうしたこうしたという、むずかしい法律上の手続によらなくても支払いを行うという、こういうことですか。
  26. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お答え申し上げます。一応その権利者の方が死亡されておるというような場合におきましては、この法律にございます「相続人その他の一般承継人を含む。」となっておりまして、その相続人の方にお支払いをするわけでございますが、そういった場合も、非常に法律上のめんどうな点等は、この金額が非常に少いという点もございますし、また非常に十年間もお待たせいたしましたというような点もございますので、私どもの、郵便局に対する通牒その他におきまして、なるべく簡便にして——簡便と申しますか、便利なやり方を研究いたしまして、通牒通り処理いたしまして、御不便のないようにいたしたいと考えておる次第であります。
  27. 森中守義

    森中守義君 今の加藤局長の御説明で非常に安心をしましたが、努めてこの法改正趣旨あるいは目的に照らしまして、できるだけかかる預金者に煩瑣な手続をわずらわさないように、しかも八万一千三百七十九の人が全員漏れなく受領できるように特段の配慮を強く要請をしておきたいと思います。  それと、この八万一千三百七十九名の人が二年間にわたって支払いを受けるということになっておりますね。そうしますと、勢い仕事ということになるのですが、いただきました資料によれば、この種関係で概算の増員要求が六百三十一名、これに対してゼロ査定復活要求が三百十六名、決定ゼロ、こういうことのようですが、おそらく八万一千三百七十九名の支払いをするのに二年間という時間を費す中に、現状においては相当困難な貯金業務内容のようです。そこに持ってきてこういうものを新しく新業務として加える場合に、定員の配置が行われないで、窓口において、あるいは原簿所管庁において円満に業務の遂行ができるかどうかということは、はなはだ私は問題があろうと思う。これは貯金局長にそこまで責任を追及すべきかというのは、これは私も大蔵省との関係でよくわかります。わかりはしますが、ゼロ査定、ゼロ決定ということが要するに私は問題になってくると思うのです。従ってこういう場合に、たとえば正規な定員の配置ができなければ、賃金要員の配置をする、こういったようなことはどうでございますか。
  28. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お答え申し上げます。私どもの方の、御要求になりました資料のこの順位のつけ方が、私ども悪かったのでございまして、先生が第一番に御要求になりました資料がこの一番最後になっておりましたので、まことに申しわけなかった次第でございますが、この六百三十一人の要求と申しますのは、三十四年度の為替貯金事業全体の増員要求でございまして、本件につきましての要求につきましては、実は八万件窓口支払いをするわけでございますが、これを一万五千の郵便局で割ってみますと、大体一局五、六件の程度でございまして、しかも非常に分散的に御要求があるかとも思いますので、特にこれにつきまして増員を必要とするというふうには私どもでは考えなかったわけでございます。従いまして、この法律案施行のための特に大蔵省に対して人員要求はいたさなかったわけでございます。ただ、それならば本件の事務遂行につきましてどういう経費を考えたかという御質問もあろうかと思いますので、お答え申し上げたいと思いますが、これはむしろ郵便局よりも地方貯金局におきまして、先ほど御説明いたしましたような処理をするわけでございますので、超過勤務手当といたしまして八百万円ございますが、二十八の地方貯金局に、これは予算のワク内で超勤を見込んでおる次第であります。なお、御通知状を出したり、いろいろいたしますが、支払いに必要な式紙類の調達に要する経費として約十三万円ほどを見込んでおる次第でございます。
  29. 森中守義

    森中守義君 確かに今御答弁のように、一番最初の表がこの関係増員要求でないということが明らかになりました。ただ、今、貯金局長の言われる中で、どうしても納得できませんのは、なるほど特定郵便局が一万三千に近い、それに普通郵便局を含めて割ってみた場合には、一局に、五、六件ということもわかります。しかし、貯金事業全体という視野に立つ場合に、やはり八万一千件という原簿は、実は今までは眠っていた、いわば業務のワク外に置かれていたわけです。ところが、それが今度動き出すということになりますと、個々の地方貯金局別にいえば一局幾らということになりはしましょうが、全体的な見方からすれば、やはり私は人員増ということは必要であろうと思う。もちろん、今日の貯金事業の定員算出の積算の基準は、原簿幾らに対して何名というようになっておるかどうか知りませんが、しかし、常識的に判断し得ることは、やはり貯金局あたりにおいては原簿中心仕事ですから、原簿幾らに対して定員幾らというような配置が一つの定員算出の積算の基準になっているのじゃないかと思います。で、そうすると、眠っていたのが動き出したということですから、やはり八万一千件に対して定員配置をするのが当然だと思う。それをきわめて微細に、かつ詳細に、どこの局に何件というようなことまで勘定していけば、今局長の言われるようなこともわからぬでもない。しかし、事業全体という立場に立てば、どうしても局長のお答えは承服できない。それにかわるべきものとして超勤を経常予算のワク内から八百万円と、こういうことのようですが、これも私は経常予算のワク内から八百万ということについては、何としてもおかしいと思う。経常予算といえば、経常予算の中に八万一千件が動き出したということがこの際勘定に入った経常予算の編成であるかどうか、これが一つ明確にならぬと、この八百万円というのはどうしても了承できない。むしろこういう特殊な事業を特別に大蔵省と折衝して話がつく限りには、どうしても正規の定員配置ができないならば、特別のワクとして人員配置をするという約束をする。それができなければ、経常予算のワク外に超勤なら超勤の約束をする、こういったような行き方をしないと、たとえ弾力条項があるにしても、単に郵政省事業を拡張していっても経常予算のワク内でまかなっているということになりますと、すぐ郵政事業というものの伸張性において一つの壁に突き当る時期がくると思うのです。これはこの問題のみを指摘するわけじゃありませんが、おおむね、郵政省予算の編成の仕方、予算執行の方法というものがそういう方向に行きつつあります。この際、私は意見と同時に、こういうような方策をおとりになる意思が当初あったのかなかったのか。あったけれども、結果的にそれがだめになったのか、その辺の事情をもう少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  30. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) お答え申し上げます。お示しのように、地方貯金局の定員の基礎といたしましては、たとえば一万口座につきまして一人というようないろいろの基準を設けてやっておるわけでございます。しかしながら、ここに八万口座と申しましても、実は口座を新しく開設して、その後払いが続くというようなものではございませんので、実は別に一まとめにしてあるわけでございまして、先ほど申しました第二封鎖設定額報告書あるいは第二封鎖切り捨て額報告書といったようなものによりまして、もうすでに大半、大部分は旧預金者に御通知がすぐできるというような状況になっておるようなわけでございますので、私ども初めからこれによりまして定員の要求ということは実は考えなかったわけでありまして、地方貯金局等におきまして相当繁忙になるだろうということで、超過勤務手当等におきましては考慮したいということを考えておったわけでございます。
  31. 森中守義

    森中守義君 大へん局長大蔵省に遠慮したお話のようですが、やはりものの考え方としましては、経常予算は経常予算、新しく新規事業を始める場合には、たとえそれがニカ年という時限的なものであったにしても、その分は別のワクとしてとっていくというのが、これが予算編成のあるべき姿であろうと思います。もちろん、これは来週あたりから予算の分科会に入りますから、その際にもう少し具体的に大蔵当局も招致して、こういう問題を整理したいと思いますが、ここでとれていないものをなぜとらなかったか、こう言ってもしようがないのですが、大体あるべき姿としての定員配置、つまり行わるべき状態としての予算措置というものは、こういう特殊立法が出る際においては特段の配慮が望ましいと、私はこう思います。大体この種のことを将来の問題として特に御配慮いただくように、そして、でき得ることであるならば予備費の支出なり何なり、実際この法律が動き出して具体的に仕事を始める段階で、必ずそういうような場面が時に発生をするとも思える。また労働組合あたりからも非常に歓迎すべき仕事であるけれども、しかし、その仕事を遂行していくについては人が足りない、あるいは予算上の問題があるというような意見等も出てこないとも限りませんから、そういう際に適時適当な措置がとれるように強くこれまたお願いをしておきたいと思います。
  32. 手島栄

    委員長手島栄君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認めます。よって本案に対する質疑はこれをもって終局いたしました。   ━━━━━━━━━━━━━
  34. 手島栄

    委員長手島栄君) お諮りいたしますが、本案に対する討論、採決は便宜あと回しにいたしまして、簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題とし、その質疑を行うことといたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認めます。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  それでは前回に引き続いて御質疑のおありの方はどうぞ御発言願います。
  36. 森中守義

    森中守義君 大臣にお尋ねをいたします。簡易生命保険法の六十八条に、「郵政大臣は、被保険者の健康を保持し、又はこれを増進するため必要な保健施設を設けることができる。」こういう条項があります。この法六十八条を具体的にどういったように郵政省ではお進めになっておるか、あるいはどういう計画を将来お持ちであるのか。そのことをまず最初に大臣から承わっておきたいと思います。
  37. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 本条項に対しましては、すでに御承知のように、特にいわゆる被保険者に対する健康増進、あるいは保持というようなことに必要な施設を、現在各地にもそういう施設を作っておるわけであります。あるいは巡回診療施設というようなものも設けまして、これが相当加入者に歓迎をされ、また利用されておるという状況でもありますし、なお老人ホームというようなものもすでに数カ所これを建設いたしまして、加入者がこれを利用することによりまして健康の保持はもちろん、療養等に対しても万全を期する、こういったようなことを考えて、いろいろ施設も、内容の充実でありますとか増設でありますとか、こういうことによって被保険者の健康保持あるいはその増進ということに努めているというわけであります。
  38. 森中守義

    森中守義君 これに必要な予算は簡易保険事業費の何%を組み入れられておりますか。
  39. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) パーセンテージは詳しく出しておりませんが、大体この福祉施設に使います一年間の経費は、人件費を別としまして八千八百万円、大体九千万円程度でございます。
  40. 森中守義

    森中守義君 これの予算は大体どの程度のものが一番理想的であるかという——そういう根拠は私も実はない、ないけれども、一応事業を経営し、しかも、こういったように明らかに法文として明示されている以上、一つは健康を保持するという立場から、一つ事業周知宣伝を行うという立場から、あるいはサービスを提供するという立場から、郵政当局においては事業費の何%を各年次ごとにこの六十八条を満たしていくために振り当てるという程度の計画をお持ちであってしかるべきだと思う。そのことが即具体的に各年次ごとの計画をして、それを実行に移していくということにならなければいけないと思うのです。ところが、なるほど、大臣が今御説明になったように、老人ホームがあることも知っております。あるいは巡回のバスが来ることも知っておる、診療所があることも知っておる。しかし、これはまさにこの六十八条をより具体的に、より積極的に促進をしていくというような状況にはない、私はそう思う。しかも年間の事業費のうちの八千八百万円を維持費に使っておる、こういうことなんですが、おそらく北海道から九州までそういう施設を見た場合に、全くこれはただ作ったという一つの言いわけをしておるのにすぎないのであって、およそこの条文の精神には著しく踏みはずれておる。私は率直にそういう工合に指摘せざるを得ません。従ってこの際、簡易保険事業費の何%を六十八条を満たしていくために充当するというような、まあその率はここでにわかには出ないでしょうが、ものの考え方としてそういうことは言明するわけには参りませんか。
  41. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 実はそういうふうないわゆるパーセンテージ等も、一応の水準をきめて、その施設を拡充をしていくということは、私は御所見の点は全く同感でございます。ただ現在のところは、たとえば診療所というようなものにつきましても二十八カ所持っておる。しかしそれが案外高度に利用されていない利用度が割合低い、こういうような現状等によりまして、増設を若干控え目にして、むしろその内容の充実をして、できるだけ利用者が多くなることをしなければならぬ、こういったようなことも、現在そういう実情に逢着をしております。それでありまするから、一般の診療施設でありますとか、あるいは国民健康保険、こういうものがその内容において充実をしてくるということであれば、やはり省としましても、被保険者に対するそれらの施設も、従ってどういうふうに近代的な、あるいは新しい医療施設、診療に必要な諸般の施設を拡充していくか、こういうことも相当研究を要することだと思います。従って、そういう問題につきましては、とにかく御所見のように一定の方針を立てて、そうして計画を進めていくということは、確かに私は必要だと思います。ただ現在におきましてのすでに施設いたしましたところのものは、どういう方向にこれを重点を置いて拡充をしていくか、あるいは巡回診療施設のようなものは案外これは加入者に利用されておるし、歓迎をされておるわけですから、こういうものはまたこれをふやしていかなければならない。そうするとそれはどういう方向にどれだけの費用が要るか、あるいは老人ホームは大体毎年一カ所ずつきめておる、こういうことでありますから、お示しのように、これをパーセンテージを考えていくということは、今日におけばもう可能であろう。かように考えますので、そういう点は十分検討いたしまして、そういう基準を設けて一つ計画を立てるということに検討を加えていきたいとかように考えます。
  42. 森中守義

    森中守義君 大体思いつきの答弁としてはいいのですがね、これはなんですよ、非常に医療機関の一元化というものは、これは国政の上からいって必要なんです。しかも、全部国家が、国民医療という観点から一元化していくということは、これはいいでしょう。しかし、この問題はまた別の問題ですが、現存するこういう法律がある以上は、何としてもこれは社会福祉国家という建前からいっても、あるいは社会保障制度という観点からいっても、この簡易保険というのは一つの社会保障的な性格を十分持っているのです。だからむしろ積極的に計画性を持つ必要があると思うのです。しかるに、今大臣のお答えからいけば、どうも医療機関の利用度が少いというようなことで若干遅疑逡巡をしておるかのような御意見のようですが、これは運用の妙を得ていないからです。運用の妙を得ていないということは、予算が足らないから周知宣伝が足らない、あるいは医官の配置が少い、看護婦の配置が少い。そういったようなものは郵政省自体でこれは解決すべきことであって、今厚生省の医務局あたりが発表した国民の罹病率からいけば、減少の傾向ではありません。漸増の傾向です。もちろん今日のようにいろいろの系列の中に存在をする医療機関ですから、何もこれのみに頼るということではないでしょうが、運用の妙を得て加入者に対してより積極的に宣伝をして、大いに利用してくれというならば、私はあながち診療所の経営が非常に困難になる、利用度が低いから計画を見合せるというような、こういう理屈は成り立たないと思う。みずから運用の妙を得てないでいて、それで計画をしない、積極性を持たないというような大臣答弁は、いかにしても了承できません。従って私はこういう法律がある以上、今全国に二十八ある、三十あるとかいうことではなくて、何も都道府県だけではありません。山間僻地までも規模の大小、こういうことを勘案しながら、もう少しこの医療機関にしましても、あるいは老人ホームにしても、その他別にこれこれと、これをやるべきだという具体的な種類を明示しておりませんから、要するに、被保険者の健康を保持し、また、これを増進するに必要なことは、その他いろいろ検討していけば、あり得ると思うのです。従って年間の事業費の中の何%をこれに充当していくというようなことは、単なる思うとか、考えるということでなくて、この際は一つそういうことを真剣に検討を加えて、近い機会にこの問題については、検討の結果こういうような結論を得たということを委員会に出してもらわなければ、明らかにこれは法違反ということになる。労働組合に対しては法律を守れといい、国民に対しても法を守れと説く岸内閣において、こういう法律を守らないようなことがあっては困りますよ。大臣どうです。事業費のうちの……。この法六十八条を満たすために計画的に施設を作るというようなことを検討したらどうですか。
  43. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 私の答弁の表現が悪かったかもしれません。私は、ただ、いわゆる診療所というものが現在比較的に利用度が低いということには、その内容が少し貧弱であるからじゃないか、こういう考え方も持っている。従って、その施設の器具であるとか、あるいはその他の医療に必要な新しい薬、あるいは医員ということもありましょう。でありまするから、内容のよくない、充実しないものを数多くやるよりも、今どんどんふやしていくということよりも、むしろ既設のものの内容を充実することが、これが適切な現在の一つの拡充の方法じゃなかろうか、こういう点を申し上げたので、これを消極的に考えておるということじゃない。むしろこれを拡充していくべきものであるということは、あなたの御所論と私の考え方とは相違はないと思っております。ただ事業費の何%をこの施設に毎年当っていくというような、一応計画基準を設けて、その計画をしていくということに対しては、全く森中委員の御所論に対しては自分もさように考える。従って、そういう面で検討してこれをやっていこう、こういうのでありまするから……。あなたは私をいつも何か悪い方へ悪い方へ解釈するというようなふうではないかと思われるような御発言がありますが、あなたの御所論と全く同感でございます。
  44. 森中守義

    森中守義君 どうも大臣は邪気がない人ですから困る。それからもう一つ聞いておきますが、こういう予算を計画的にきめる場合に、要するに、保険経営が非常に好調であるとか、あるいは中だるみであるとか、不調であるとか、要するにこういうことによって、この施設は大蔵省との関係において変動をきたしますか。これは一つ保険局長からでもけっこうです。
  45. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) お答えをいたします。明らかに事業の不振等によって、はっきりどれだけの影響があるということは言えませんが、大体において福祉施設は、先ほど森中先生のおっしゃられましたように、被保険者の健康増進と同事に周知宣伝的な意味もあるわけでございますが、大体の考え方としては、剰余金の中から福祉施設をやっていくというような考え方を今までとって参っておりますので、従って、その考え方から当然、剰余金がたくさん出そうか、出そうでないかということがやはり影響してくるということになります。
  46. 森中守義

    森中守義君 大臣に重ねて質問をいたしますが、先刻の御答弁で大体御意思は明らかになりました。それでけっこうですが、要するに既設のものの拡充強化、同事にまた新しいものをどんどん作って、新しいものとは何もレントゲン車であるとか、あるいは巡回相談であるとか、老人ホーム、診療所、そういう今までのできている種類でなくて、そういうものも含めてさらに新しい種類のものを大いに作るというようにしていただいて、しかもそれは、事業費の何パーセントは必ずそういう方向に入れていくというようなことを、できるだけ早く一応の成案を得ていただきたい。むしろこれは法律上の義務だと思うのです。約束できますね。
  47. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) これは法律上からいえば、理屈をお返ししてあなたにたてをつくわけでもありませんけれども、そういうことができるということを書いておりますね。しかし私は義務ぐらいに考えて、これは今剰余金があったらやるのだということではなくて、そういう施設をすることによって加入者をより多く引きつけていく、こういうことで、事業としては積極性が必要だと考えるわけであります。従いまして、一つ大蔵大臣とも相談をいたしまして、そういうことについて検討をいたしていきましょう。
  48. 森中守義

    森中守義君 それから、今のお約束をいただきましたので、それでけっこうですが、もう一つ伺っておきたいのは、例の簡易生命保険郵便年金審査会というのがありますね、この審査会の運用はどうなっておるのですか。
  49. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) これは御承知のように簡易保険に関しまして問題が起りました場合に、加入者から民事訴訟を起そうとする場合に、その前提として審査を請求するということになっておりまして、最近五カ年問の統計で見ますと、審査請求の件数が六十四件ございます。うち審査会を経るまでもなく簡易保険局で請求を正当と認めて、その請求に従ったものが大体四十三件、あと二十一件につきまして審査会を開催したというようなことになっております。
  50. 森中守義

    森中守義君 審査の請求件数としてはあまり多くないようですね。しかしこの五十五条で言っている、民事訴訟を提起するに当って、その前提要件として審査会にかけなければならない。しかも審査会が六カ月の間に裁決を下さない場合には自動的に提訴ができるのだ、こういうことのようです。しかし私は、少くともこれは簡易保険という事業の性質から考えてみて、加入者にできるだけ出費を少くし、しかも擁護していこう、こういう立法の精神である。かつまた、そういう精神のもとに審査会は運用されているとは思います。しかし、一面の考えからいきますと、どうもこれは公民権を抑制しはしないかというような疑いが持てる。憲法三十二条でしたか、あの条項に抵触するのじゃないですか。精神は善意であり、運用もまた、加入者に便宜を供与するという、そういう意思であっても、これを国民固有の人権という立場からいくならば、公民権を抑制しているというような疑いが持てる。これに対してどう考えますか。
  51. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) これをきめました趣旨は、今、森中先生のおっしゃいましたように、加入対象がそう富裕な階級でございませんので、民事裁判の費用とか煩瑣な手続というものをなるべくこれを簡単にできるようにしようという趣旨からでございます。しかし憲法三十二条の、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」という規定に違反の疑いがあるというお説でございますが、一応そういうふうにも考えられるのでございますが、これは裁判所に提訴をする権利を奪ってはおりませんで、ただこれを経た後に裁判所に不服があれば申し出ようという、一つの段階としてこの段階を経るということになっておるわけでございまして、最終的に裁判所の裁判を受ける権利を奪ってはいないということでございまして、これはまあ憲法三十二条違反にならないというのが政府の従来の考え方でございまして、ほかにも例を申し上げますと、行政事件訴訟特例法というのがございまして、行政処分によって損害等を受けた者が民事裁判を提起します場合に、訴願とか異議の申し立てとかいう制度がある場合には、それを経た後でなければ裁判所に提訴できないというような、やはり同様の趣旨法律がほかにもございます。
  52. 森中守義

    森中守義君 これは実情そのものから判断すればさして問題じゃない。私も大塚局長の今の説明には了承できない点はない。しかし、六カ月間という一つの制限期間を設けたということですね。これが三十二条にどうか、立法論としまして。そういうように考えるのですよ。しかしこれが極度に審査会の運用があやまちを犯して、六カ月間の制限期間という中において、いわゆる三十二条に抵触をしたという事実が今までないようですから、これはこれでいいと思うのですよ。しかしやはり憲法三十二条とこの、五十五条の六カ月間という制限期間の問題は多分に考究の余地があります。ここでそのことを法理論として白黒という、こういう答えを出そうとは思いませんが、これは審査会の運用に当って、むしろ当局もあるいは審査会の諸君も、少くともこういう違憲の多分に疑いあると思われるような条項がこの中にあるわけですから、よほど慎重に審査会の審査というものはお願いして、国民が公民権を抑制、制限を受けたというそしりを招かないような御配慮をお願いしておきたいと思います。なおまたこの五十五条については法理論として当局も一度御検討になってみて下さい。  それからもう一つお尋ねをしておきたいと思いますのは、この経営の問題ですが、どうもちょうだいをいたしました資料から判断をしますと、簡易保険の最も良好な経営状態に置くというのは長期の契約であろうということは、これはだれしも異存がないし、当局の経営の方針もその方向に置かれていると思うのです。ところが、実際問題として、資料によりますと、全然それが逆になっておる。つまり十年養老の全払い、それから十五年養老の全払い、さらに二十年養老の全払い、こういう十年、十五年、二十年というのが一番成績としてはよくなっていて、逆に今度は三十年、四十年ということになると激減しております。しかも反面においては、これが今度は解約について見れば全く逆な現象です。十年、十五年、二十年が比較的経営状態が良好であり、三十年以上になると失効、解約が多い。こういうところに大体保険事業一つの転機に立っておるのじゃないか、私はこう思うのです。それは当局の勧奨の方針が短期に中心を置いておいでになるのか、あるいはまた国民の、この加入者という対象が、保険思想ということよりも貯蓄という方向に向っておるのではないか。そのいずれをわれわれは果して正しいものとして認識をすべきか、この点を一つ承わっておきたいと思います。
  53. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) お答え申し上げます。保険はなるべく長期の保険に入るということが、加入者の面から見ましても望ましいことでございますし、また経営者としてのわれわれの立場からいたしましても、長期の契約の方が附加率その他の点から見ましても望ましいということで、でぎるだけ長期のまあ契約をお勧めするように従事員の指導をやっているのでございますが、まあお入りになる方の方から申しましても、あまり長いというよりは、やはり十年とか十五年とかいうのが比較的気持としてまあ入りやすいという点もあるかと思いますが、一つには、ざっくばらんに申しまして、募集手当の出し方というのにも問題がございまして、御承知のように、募集手当は、現在保険料月額の六割あるいは十一割制、こういうことで出しております。そのほかに、まあ八万円以上の高額契約につきましては、保険金額の千分の二というのがございますが、八万円未満の契約についてはそれを出しておりません。ところが、同じ十万円の契約に入りましても、長期の保険ですと、一カ月の保険料が非常に小さくなり、短期の保険料ですと一回の保険料が大きくなる。従って募集手当も多くなるというような関係もございまして、私どもの指導があまり徹底しないで、従事員はとかく短期のものをとりやすいというような傾向も実はあるのじゃないかというふうに考えてはいるわけでございます。しかしやはり加入者にとっても、われわれにとっても、長期の契約が望ましいので、なお一そうそういった従来の方針を一つ徹底さしていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  54. 森中守義

    森中守義君 それと、今の経営の問題に対してもう一つお尋ねしたいのは、民間保険と簡易保険の三十二年度の死亡率の比較、これにおいて、簡易保険は件数において六七%、民間保険が三五%、保険金が簡易保険七一%、民間保険三八%、はなはだどうも簡易保険の死亡率が多い。ここにもさっきの短期に集中しているということですね、しかも、解約は、長期において多い。死亡率においては簡易保険民間に比べて約倍数になっている。これで果して簡易保険が円満な正常な事業経営ができるかどうか、これも一つの私は指摘すべき問題であろうと思うんです。従ってこの簡易保険の死亡率が多い、即保険金の支払いが多いということは、一体何が原因していると思いますか。
  55. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 死亡率の点で簡易保険民間保険より高いという理由には二つ考えられまして、一つは、簡易保険は御承知のように全部無診査保険でございますが、民間保険は有診査保険がこの中に含まれているわけでございます。従って、有診査の場合は、当然死亡事が低くなるという点がございます。  もう一つは、戦後簡易保険はいち早く再建に乗り出しまして、二十三、四年ごろに非常に募集をいたしておりますが、それらの契約が相当古くなった。結局古い契約が多くなるということは死亡率が高くなるということにもなるわけでございます。ところが民間保険は立ちおくれまして、二十七、八年ごろからほんとうに本格的な立ち上りを見せて、まあ現在は非常な勢いで伸びておるわけですが、それだけに契約全体が若い、従って死亡率も低い、大体この二つの理由からこの差が出てきておるというふうに考えておるわけでございます。  それから失効解約におきましては、むしろ私どもの方が民間よりも非常に成績がいい。これは結局、民間は固定給を少くして募集手当を非常に多くいたしております関係上、募集員が非常に無理な募集をする。従って失効解約になるものが多くなるというような結果にきておるんじゃなかろうかというふうに考えますので、両方考え合せまして、簡易保険の経営が悪いというふうには私ども実は考えていないわけでございます。しかし、なお死亡率の低下あるいは失効、解約の防止というものに、これ以上とも努力をいたしていきたいというふうに考えております。
  56. 森中守義

    森中守義君 それに関連してもう一つ聞きますが、なるほど、二十条によって無診査及び面接ということがありますが、この面接は確実に励行はされていると思うのです。ただし問題になるのは、実は相当高い目標を個人別に割り当ててみたり、あるいは局別に割り当てている。そうすると各月別に競争勧奨をやらせる。そうするとどうしても募集する人たちは面接の余裕がない、こういうことも私はすこぶる具体的な問題として指摘できるように思うのです。こういうのは、もう少し定員の配置あたりを完全なものにして、少し余裕を持たせる勧奨が行い得るようになれば、面接あたりももっと完全に励行できるのじゃないですか。だからして、私は、なるほど無診査が死亡率が高くて即保険金の支払いが多いというようなことは、それはわかります。わかりはするが、面接でこれを補なっているわけですから、面接を強化するには人員の配置が必要になる。ゆとりのある事業経営を行えば、こういう問題は少し緩和できるのじゃないかと思うのです。ところが、今のような人員配置、しかも、さあ作れさあ作れというような、こういう今日の業務の遂行状態においては、なかなかこれは困難だと思うのです。このことも、しいて言うならば、当局の経営に一つの欠陥がある。こういう工合に私は指摘したいのですが、局長、どう思いますか。
  57. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 保険の採集につきまして、全国的な目標あるいは地域別の目標というものを、一応われわれはきめておりますが、これを個人別にいたしまして強制するというようなことは、過去にはどうか知りませんが、現在ではこれをやってはいかぬということで、強制的な個人別目標というようなものは避けておる次第でございます。しかし何といいましても、なるべく募集をたくさんしていただきたいということは、われわれの最も望むところでございまして、常に従業員諸君にその努力をお願いしているわけでございます。それと面接監査の関係ということになりますと、面接監査は非常に手数と時間というものがかかるということになると、まあ人員不足との関係ということも出てくるのでございますが、人員はわれわれ決して十分とは考えておりません。で、もっとほしいことは確かにほしいわけでございますけれども、直接それが面接監査に響く、そうしてそれが死亡率に響くというほどではないのじゃないかという、まあちょっとした従業員の注意によって、これはなし得ることではなかろうかというふうにも考えているわけでございます。しかし、とにかく人員を増加しまして、余裕をもって募集に当るということは、これは全般的、一般的に申しまして、良質、契約を選択するということには理論的にもなってくるわけでございまして、われわれとしては、なおそういう増員等には今後とも格段の努力をいたしていきたいというふうに考えます。
  58. 森中守義

    森中守義君 そこで、先刻来指摘しましたように、一番期待すべき長期の契約が非常に勧奨上低率にあり、しかも失効、解約が多い、この問題が一つ。しかも短期の十年、十五年、二十年、この辺がラッシュの状態になっています。しかも失効、解約は少い。のみならず、死亡率においても、民間と比べてはなはだ高いという、こういう問題は、保険経営の私は基本的な問題だと思うのです。これに対して今局長は、今後できるだけ経営の正常化をはかるために指導を行なっていきたい、こういうお答えのようですが、もちろん指導は行われる必要がある。しかし、その指導によって、果してこの今日の保険経営がピンチに瀕しているかどうか、見方によっても違いましょうが、少くともこういう数字に現われた実情からいけば、私はピンチだと思うのです。これを単に指導ということで補い得るかどうか。この基本的な経営の問題を、今一つの転機に立ったという私は気持があります。単に指導ということでこの問題を解決されていくものかどうか、これこそ放送法じゃありませんが、抜本的にこの経営の問題を、何らかの打開策を発見する、確立していくというようなお考えはありませんか。これは大臣から一つお答えをいただきたい。具体的には衆議院の附帯決議についているようですが、この親子保険の機会に、親子保険、こういったような親子を作るというようなことも一つの方法です。その他、当局で考えられる方法は、事、事業の経営の基本に関する問題ですから、単に指導をするということでは済まされないと思います。具体的にどうするか。このまま放置しておくならば、指導によって一年、二年に見るべき成果が上げ得るかどうかというのは、時間を待たなければわかりませんが、この趨勢というものは、人員配置あるいは予算、こういう点から推しても、容易に当局が指導をするということによっては問題は解決しない、私は端的にそう思う。で、従って、この保険経営のピンチをいかようにして打開されようと思いますか、これを大臣から一つ、通信国策の重要なる一つとして承わっておきたいと思います。
  59. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 御指摘のように、この十年、十五年、二十年、比較的短期契約のものが解約が多い。しかもここに死亡率もこの点に多い。しかも長期契約については解約が少くて、しかも死亡率が多いということにおきまして、御所見のように、重大なこういった現象であるということは、私もさように感じるわけであります。従いまして、このことについて、果してこういうことが今後も続いて、こういう現象がさらに度を増していくかどうかということについては、今日までの経緯、また、その実態というものも十分検討をして、これに対しては御所見のような対策が必要であるかもしれない。さように私は確かにこの統計を見まして、さきに森中さんがお感じになるようなものを私も実は感じるわけです。従いまして、これを単なる事務量というようなことによって解決ができるかどうかということは、まことにこれは確たる、いわゆる確信というものは得られないのじゃないかということに存じますから、こういう点は十分この資料に、データに現われましたことに対する経緯、何年ごろからこういったような傾向になってきたか。しかも、なお、これが果してこれの傾向がさらに濃度を増していくのじゃないか、あるいはこれが容易に払拭できないのじゃないかというような点を、十分過去の経過を検討をいたしまして、この経過を十分検討いたしまして、そうしてそういうことに対処するには、これが事実であり、それが非常な危険な、要するに転機に立っておるというような事実が証明をされるということになれば、御指摘のような点も十分考えなければならぬ、かように考えますので、この検討を一つ早急にいたしてみたい、かように考えております。
  60. 森中守義

    森中守義君 大臣のお答えは非常に慎重過ぎて困るのです。私の指摘しておることを了承しながら、さらに検討を加えるとは何ごとですか。私はこの場で具体的に何をするのか、その中身を出せとは言っておりません。少くとも短期に集中して、その契約の状態はよろしい。長期は非常に契約の状態が悪くて、失効の率が多い。いわんや死亡率との関係においてはなおさらのことである。ここに今日の保険経営のピンチが来ておるということを指摘しております。だから、過去の実績をどうとかこうとかという、そういう回りくどい答弁は要りません。郵政大臣として、ほんとうに簡易保険国民のためになる簡易保険である。その大事な仕事をあずかる郵政大臣として、ここに抜本的な検討をするならするということを言明すれば、さて、その中身はどうかというのは将来の問題ですから、そのとき聞きますよ。それを一つはっきり、ピンチが来ておるということは、あなたも了解されておるのだから、考えますということを言ってみたらどうですか。どうも少しお答えが慎重になり過ぎて私の質問に対して焦点が少し合いません。もう少し単刀直入に答弁して下さい。
  61. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) このいわゆるデータから見れば、そういうことが見られる。だからこれは非常にピンチだ。しからばこのことをさらに角度を変えて、十分これが実際そういう形をもって危機をはらんでおるかどうかということを、これはまた角度を変えて検討する、検討するということは長くどうこうじゃない。これを裏づけるものを一つ調べて、そこに事実このことがピンチに立っており、ここに簡易生命保険に対する今後のどういう方策を講じるか、これに対して対策を講じるかということでありますから、別に慎重というて、私があなたのおっしゃることをちゅうちょしているというのじゃない。あなたがおっしゃる通りピンチ、こう考えるから、そのためのことを十分これをさらに検討して、これに対処すべくやりましょう、こう言うのであります。これはやはりそれは大してあなたの言うことは別に距離がある——それは五十歩と八十歩と違うかもしれません。それはあなたのおっしゃることと私は同感でございます。どうぞ一つその点で……。これはもうこれだけですぐさっと——また、やはりそれはまた面を変えてこれを一つ検討していこう、そうして御指摘のようなことが証明、その面からも証明されるということであれば、直ちにこれに対する対策を講ずる、こういうことでございます。
  62. 森中守義

    森中守義君 少し問い詰め過ぎるかもわかりませんが、とにかく、このデータによればというのは、これははなはだ大臣はおかしいですよ。あなたがお出しになった、これ以外のものはありません、郵政省に。簡易保険局長がお出しになっても、やはりこの責任は郵政大臣だ。郵政大臣みずから出したものを私が指摘をして尋ねておるのに、これによればというならば、これは信用置けぬということです。そういう軽率な資料じゃないはずです。しかも、これはざっと積み重ねられこの表に表われておるのでございます。これ以外の何によろうとするのですか、私はそういうことを言っておるのです。いろいろな人間の問題、金の問題、あるいは日本の経済情勢や国内の保険思想の問題あたりが全部集積されてきた上でこういう表になって表われたのです。従って、郵政当局は、そういう要素の積み重なったものがこういう数字に表われた、こういうように私は、この資料は厳粛であり、しかも真実である、そういう信頼のもとに話をしているのですよ。であるならば、そういう厳粛であり信頼すべき資料がものを言っているのに、検討するもへちまもありませんよ。これはほんとうに簡易保険はこういう状態であれば、ここ数年の間にはまさに憂うべき事態がくるでしょう。しかも、それを大臣の裁量よろしきを得ないとするならば、必要以上に局長やあるいは次長、各課長、地方の幹部の皆さん方が指導統制という、指導という面にどれだけ精力を費さなければならぬか、それよりも、もう少し業務の面において一大改革をする必要はないのか。指導ということは、これは大へんな労力を伴います。しかも、場合によっては不当な紛争もそのことによって生ずるおそれがある。それは過去においてそういう実例はたくさんあります。だから不当な労力を必要とする指導をあえてしなくても、もう少し事業の改革という面から保険経営のピンチを打開していく御意思はないのか、こういうことなんです。同じことを三回繰り、返したわけですがね。
  63. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 私が申し上げますのは、このたとえば解約の度合い、あるいは死亡率の度合い、こういうもののよってくるファクターというものを一応これは調べてみなければならぬ。今局長から御指摘申し上げましたように、いろいろの特殊事情というものがファクターとなってここに表われてきておるということであれば、このファクターを除くということも必要でありましょう。また、しばらくこのままでおけば、この傾向はだんだん直ってくるとかいうようなこともありましょう。医者の診断で熱が高いからというてみたところで、何病かさっぱりわからぬというような、これはまあ卑近な例でありますが、面を変えて、いろいろの面から検討した結果、森中さんが御指摘のようなこと、これがいわゆるピンチである。何とかこれに対しては抜本的な対策を講じなければならぬということになれば、その方策というものを直ちに立てにゃいかぬと、こういうことであって、そのファクターというものは、やはり一応私が聞きましても、終戦後簡易保険の方は積極的に加入をし、一方、民間の方は二十七、八年ごろからやったということによって、非常にこちらの方は古いと、まあこういうようなことも、今局長の話を聞いてみると、そういうような因子がどういうふうに今後動いていくか、あるいは解約に対するこの事実はどういうところからよって来たったものであるかというようなことも一応検討して、この趨勢が動かすことができない、こういう趨勢というものは今後も続いていくのだというようなことに考えられる場合においては、これは早急に直ちに抜本的な対策を講ずるということであって、多少私が用心をして慎重にお答えしておるかもしれませんけれども森中先生のおっしゃる通りであることに対しての検討をその因子を調査をして、そういうことであれば、一つ抜本的な対策を講じもすると、こういうわけでございまするから、私は、先生のおっしゃる御所見と私のお答えすることとは、決して遠く離れておるということには考えておりませんので、この点は御了承願いたいと思います。
  64. 森中守義

    森中守義君 大体了解されたようですし、そのお約束ができたようですから、それはそれでいいでしょう。それで、今の問題に関して具体的にちょっとお尋ねしておきたいのは、考え得る一つの方法といたしまして、制限額の引き上げ、現行の二十五万円をさらに万万、十万引き上げるというのも、保険経営のピンチを切り抜ける一つの方法でありましょう。従って、このことについてどうお考えであるか。つまり、最高制限額の引き上げをやろうという御意思があるかどうかということを聞かして下さい。  それからもう一つは、先刻もちょっと触れましたように、この家族保険の設定を機会にして、父と子、母と子、こういう新種の設定等も、これまた保険経営のピンチを切り抜ける一つの方法であろう、こう思うのです。ここに私は二つないし三つの具体的な案を大臣にお尋ねしておきますが、これもまた、今すぐというわけじゃありません。次の臨時国会もあれば通常国会もあります。できるだけ早い機会にそういうとり得る手段によってこのピンチを切り抜けるという御意思があるかどうか、このことを具体的にお尋ねしておきます。
  65. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 簡易保険に対しまする最高制限額をさらに引き上げるということは、私は簡易保険の運営と申しますか、運用についての絶対だと思っております。従いまして、できるだけすみやかに、できるだけ早い機会にこの最高制限額を上げたい。この上るということが、省としての強い意思であるということを申し上げたいと思います。  それから、父と子、母と子というものについての、新種保険にこれを加えるべきだということの御質問も、私はごもっともだと思います。私は、そういうものがやはり備わってこそ、新種保険としての大きな使命といいましょうか、意義というものもあろうかと思います。ただ、現在のこの父母そろっての新種保険そのものは、よって来たりますところの一つの根拠と申しますか、データというものが、父と子、母と子ということになれば、全く別の一つの統計なり観点から考えられなければならぬ問題だと、そういうことからいって、ぜひこれを加えたいということにつきまして、今後、この父と子、母と子を新種保険に加える、この内容その他を十分これから検討いたしまして、できるだけ早い機会にこれも加えたいと、かように考えております。
  66. 森中守義

    森中守義君 非常に的確な御答弁でけっこうです。それで、もう一つ伺っておきますが、民間保険と比べた場合に、簡易保険事業費の率、これが約一割違う、簡易保険が少い。これは三十二年度の調査によるのですが、事業費の率は、二二・六%が簡易保険、それから三三・九%が民間保険です。この事業費の率から見ても、民間生命は相当大幅に力を入れているということですね。また、民間保険の場合には、それだけが仕事ですから、やむを得ないといえばそれまでのことかわかりませんが、少くとも保険というのは非常にむずかしい仕事の中に入ると私は思うのです。それだけに、民間保険は中業費の率も三三・九%だし、これに対して郵政省は二二・六%というのは、少しこの事業費の率としては軽きに失しているのではないか、こういうことが実は保険の勧奨を無恥なものに押し込んでいるのではないかというように思うのです。もっと、これは少くとも、民間生命のところまでいけとは言わないにしても、願わくばそこまでいくべきですよ。たとえば、農協貯金も、民間生命も、どんどんどんどん顧客の吸収に日夜専念をしているようです。そういう激しい競争市場において専業費の率をぐっと下げているということは、何としてもこれは関係者の士気にも影響する。ひいては市場の開拓にも影響をもたらすということになります。こういう点について大臣はどう考えますか。
  67. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) これはまあしさいに、その事業費というものがどういう方面に特に使われているか、民間とこの簡易保険とにつきましては若干のそこに差異があると思いますが、同時にまた、民間保険が立ち上りがおそかったというようなことと同時に、民間会社というものは、主としてこういうことにはかなり宣伝費とか、あるいはそういういろいろの費用を存外使うというようなことも、簡易保険等に比較いたしまするというと考えられるわけでありまするが、しかし私は、一〇%以上も違うということについては、これはこちらが少きに失しているのではないかと、かように考えますので、なおそういったようなことについてのしさいな調査をいたしまして、こちらのが非常にその率が低いということがあれば、これに対しては対策を講じていきたい、それを増していきたいと、かように考えます。
  68. 森中守義

    森中守義君 大へんどうもくどいようですが、今、民間の方は日が浅いということですし、簡易保険は長いのだと、こういうハンデがついているかのように大臣はお答えになりましたが、こういう事業はのれんじゃありませんよ。なるほど郵政事業は八十数年という長いのれんを持っている。しかし、のれんによって仕事をしているのではない。その背景をなすものはのれんということも言えましょうけれども、従業員が保険の勧奨に行く場合に、これはやはりのれんによっては契約者はとれません。のれんじゃない。やはり、いかにして動かしていくか、いかにしてとりよいようにするか、こういうことが私は問題だと思いますので、大臣もとくと了解されたように、一割以上違うのです。これは由々しい問題であり、郵政省が簡易保険に力を打ち込んでいるといいながらも、実はこれが示しているように力を入れていない。十年一日のごとく、おざなりのように大臣事業の運営に当っているところに問題があるわけですから、この事業費というものは、この際一つ大いに検討を加えて、激しい競争市場に対抗して、簡易保険が何ら遜色のないように郵政省内の問題として私は措置していただきたいと思うのです。これはもうすでに予算がかかっていて、この機会に間に会いませんのは残念に思いますが、できるだけ次のこの種の問題を審議する際には、こういうことが再び質問したり答弁が行われなくてもいいように、もう少し保険に私は大胆として力点を注いでいただくように、これはお願いになりますが、強く要望しておきたいと思います。従ってその要望に対して大権の所見を一つ明らかにしておいて下さい。
  69. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 御所見を十分尊重いたしまして、できるだけ努力をいたして参りたい、かように考えております。
  70. 森中守義

    森中守義君 それからもう一つ伺っておきますが、非常にこまかな問題ですが、この運用の定員の問題ですよ。運用の定員のところで、何も私が熊本の出身であるから熊本を言うわけではありませんけれども、この定員の問題からいけば、熊本は事務官の配置が十四名、それから事務員の配置が五名で、十九名になっておる。しかるに、その他広島それから大阪、こういうところと比べると、どうも扱っている件数、こういうものからして、はなはだ遜色があると思うのです。これは一体どういうことなのですか。何も大阪や、あるいはその他のところがよけいに取り過ぎているからこっちに回せということではないのです。おそらく、大阪、広島が正当ではないにしても、ほぼ仕事がこなし得る定員の配置であろうと思うのです。従って熊本はそういうものに比べて非常に少い、これは一体どういうことですか。
  71. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 確かに熊本管内は引き受けの件数が多い割合人員が少いようでありまして、実は私も、はなはだうかつでございまして、それがはっきり認識しておらなかったのでありますが、御指摘を受けまして、まことにその通りと思いますので、至急検討しまして何とかやりたい。現在でも何か賃金とか超勤においてはほかよりも有利には見ておるようでありますが、何としても根本は定員でございますので、なお一つ是正の措置に努力をいたしたいと思います。
  72. 森中守義

    森中守義君 これは一つぜひこういう不均衡もありますので、全面的に保険関係の定員の問題については抜本的な再検討をお願いをしておきたいと思います。  それからもう一つお尋ねをしますが、この新種の設定に伴う予算の問題です。この予算の中で、講習会の経費が三百四十四万二千円になっていますね。三百四十四万二千円、これを全国的に講習をおやりになろうというわけでしょうが、一体どういう講習の内容ですか、これに職員の旅費等が含まっておるのですか。
  73. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 私どももこれで十分とは考えておりませんので、実はもっと要求はいたしたのでございますが、かように決定になった次第でございますが、これを使いまして、大体各府県二カ所、特別のところは三カ所ぐらいに分けまして、普通局からは必ず一人、集配特別局からは二局または三局から一人というふうに人を集めまして講習会をやりたい、新種保険の講習会をやる計画でございまして、もちろん、その中には旅費も全部、ほとんどこれは全部が旅費といっていいくらいのものでございます。
  74. 森中守義

    森中守義君 予算の要求はこの場合幾らだったのですか。
  75. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) この約倍額くらいでございます。
  76. 森中守義

    森中守義君 この場合、これは経常費のワク内でこの三百四十四万二千円というのが承認をされたものか、あるいはこの新種に伴う別ワクとしての三百四十四万二千円であるのか、その点を明らかにして下さい。
  77. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) これは新種保険の実施に必要な金として、経常費と別に別ワクで特別に認められたものでございます。
  78. 森中守義

    森中守義君 私は今郵政当局でおやりになっている外務員研修ですか、そういうような訓練の一つの常設機関もお持ちのようですが、かなりこういう転機に立っておる保険にとっては、単に各郵便局から一名ずつくらいの講習者を出して、おそらく、旅費あるいは会場費、こういうものがこの中に混入されておるとすれば、まず一泊程度の、あるいは日帰り程度の講習ではないかと思うのです。大体参加される職員の皆さんが、おのおの専門家ですから、一言しゃべればああそうかということで理解もされましょう。しかし、されはしましょうが、いろいろとこういう講習会の機会に法改正趣旨なり、あるいは経営の実態なり、こういうものが事こまかに説明を行われる必要があると思うのです。そういうことを考えていけば、三百四十四万二千円を、かりに全国の郵政局単位に割ってみても、一局三十四万程度にしかならない。これではちょっとどうもこの講習の価値そのものに疑いを持つのです。だからして、どうしてもこのワク内でやるというお考えであるのか、もし足りなければ、その他の経費をお話し会いになって支出をされようとするのか、その辺はどうですか。
  79. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 今、実は予算の使用計画を立案中でございまして、いまだはっきり確定をいたしておりませんが、保険に関しましては、そのほか種々の奨励上の会計、その他の経費もございますので、実際問題として不足だという場合には、そういう経費を差し繰り、あるいはほかの会議とかねてこれを開催するというようなことになろうかと存じます。
  80. 森中守義

    森中守義君 それから賃金が二千百六十七万五千円、これもこの欄に出ているところからしますと、やはり新種の設定に伴う別ワクとしての賃金要員の配置である、こういう工合に見ていいのですか。
  81. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) その通りでございます。
  82. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、この二千百六十七万五千円の原資で採用する職員というものはどういう資格のものですか。
  83. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 非常勤ということになりますので、特に資格というものを限定はいたしておりません。大体、普通雇います非常勤のような資格の方々ということでございます。
  84. 森中守義

    森中守義君 大体一人の単価からはじき出していけば、その人数もほぼ想定できますが、これはこのために採用してすぐ保険の募集に出すのですか、実務につけるのですか。
  85. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) これは家族保険の実施のために認められたものでございますが、実際に家族保険に従事します場合には、たとえばこの賃金で雇いました者を集金に向けるとか、そして熟練した者が実際の講習に当るとか、いろいろその辺は現業局長あるいは保険課長等が、実情に応じまして有効に使ってもらえるものというふうに考えております。
  86. 森中守義

    森中守義君 この二千百六十七万五千円がきまるに当って、来年度あたりこれを、要するに新種保険の伸びの状態ないしは全体的な保険事業の伸びの状態から判断をして、本定員に組みかえるというような約束はできておりますか。
  87. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) さしあたり新種保険がどういう伸び方をするかわかりませんが、前例にも従って、一まず賃金で要求をし、認められたわけでございますが、これが見通しが立てば、当然来年度はこれを定員化してもらわなければならぬというふうに私ども考え、また予算のときは財政当局にはそういう申し入れはしてございます。
  88. 森中守義

    森中守義君 この賃金で採用する人たちが全部本採用になり、組みかえができれば、これに越したことはありませんが、在来の情勢からいけば、それも必ずしも実現するとはにわかに判断できません。すると残った人たちは、一般の非常勤の採用条件からいけば、一年ごとに整理をするのですね。しかしそういうことになると、これは大へんなことになりますが、継続をして雇用をしていくような御意思がありますか。
  89. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 私どもは家族保険が当然、私どもの予定しておるか、それ以上に伸びるということを確信いたしておりますので、この人たちが一年限りでやめさせられなきゃならぬという事態はない。先ほど言いましたように、むしろ来年度は定員化されるということを望み、かつ確信をいたしておる次第でございます。
  90. 森中守義

    森中守義君 周知宣伝費の一千三百二十五万円というのは、具体的にどういうようなことに使うのですか。
  91. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) これは従来簡易保険で使っておりますような使い方でございまして、まあポスターも作り、ちらしも作り、またラジオあるいはテレビ等による宣伝その他に使う考えでございます。  それから契約雑費と申しますのは、御承知のように、新契約の獲得の割合に応じまして、各局に雑費として配算をする。これは大体従来の率と同じような率で配算をする性質のものでございます。
  92. 森中守義

    森中守義君 最後にもう一つ承わっておきますが、昨日、大臣にお尋ねをしたときに、保険局長の方からも同じようなお答えがありましたが、要するに十七億あるいは十八億という目標の設定に対して、国民一人当りの所得などが考慮されていない。こういうお話でありました。しかし、私は問題をそのときに徹底的なものにしないで、そのことに対する当局の考えはどうであろうかということをきょうまで持ち越しております。これは私の調査によりますと、国民世帯当りの収入は四十六万二千六百三十八円になっております。こういったようなことが、経済企画庁あたりで非常に詳しい資料を持っておりますが、大体全国平均あるいは各業種別の収入の状態等があらかた目検討で考えられて目標の算定がなされない。各地域別に目標を出していく郵政当局の奨励の方針にもかなり誤差を生ずるのじゃないかと、こう思うのです。従って本年度の算定の中でこれが入っていないとすれば、それはやむを得ないことですが、将来顧客のふところがどういう状態にある、こういったことくらいのことはお考えになって、若干各郵政局に出されていく目標にでこぼこがあったにしても、それは理論的に納得できる内容のものであればだれしも異存がないと思いますが、この目標の設定に当って、こういう国民所得の項目あたりを一つの要素としてお考えになる御意思はありませんか。
  93. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) 簡易保険の募集の目標の設定に当りましては、本委員会で劈頭に大臣から御答弁申しましたように、森中委員から御指摘のように、国民所得その他のいろいろな資料を参酌いたしまして、そうした基礎に基きまして算出すべきであるということは当然だと思うのでございまして、さような御答弁大臣がいたしたわけでございます。ところが、従来の目標の設定につきましては、前回答弁申しましたように、過去の、主として前年度の募集の目標、これに対しましてどんな実績が出たかというようなことを大体基礎といたしまして新年度の目標の設定をいたしております。国民所得ということになりますと、国民の全体の預貯金と申しますか、資金の吸収、それにつきましては、民間金融機関もございましょうし、あるいは民間保険会社もございましょうし、こういうようなあらゆる民間の、全体の国民から吸収される資金、その総額、まあこういうことにつきましては、国民全体の所得ということが基準になると思うのでございますけれども、そのうちから特に簡易保険の募集の目標というようなことになりますれば、やはりどうしても前年度の実績というようなことが基準になるべきだと考えておったのでございますけれども、御指摘によりまして非常に啓蒙されるところが多かったわけでございまして、大臣が御答弁申しましたように、将来はさようなことも十分考慮いたしまして、国民所得ということも十分考慮いたしまして、簡易保険の募集の目標も、合理的に経済の基礎の上に立っての設定が必要ではないかと、かように考えております。
  94. 森中守義

    森中守義君 これは中村次長を中心にいろいろ保険係数の上に立った算出であろうと思いますから、あえて贅言を要する必要はないと思います。ただ問題は、政務次官も言われたように、やはり国民の所得のベースというものが何よりの基礎にならなければ、非常にいろいろな点において障害があると思うのです。だからして、私は、ぜひ国民所得をこういうものの基本ベースにしていただきたい、こう思います。従って来年度の目標の設定に当っては、ぜひそのことを入れていただきたい、こういうように思うのです。それと、また実際の保険の料額なり、あるいはそういったような問題も、どの程度が正しいかというのも、要すれば国民の所得を一応の基礎にして、五万とか十万、二十万というようなのが出ていかなければ、生命保険という一つの精神に沿わない。それを完全に消化し、かつ満たしていくには、だれにもやさしく入ってもらえるような料額等の決定が必要だと思いますから、ぜひそういうことの御勘案をお願いを申し上げまして、とりあえず私の質問を終りたいと思います。
  95. 手島栄

    委員長手島栄君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認めます。よって本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
  97. 手島栄

    委員長手島栄君) 委員変更についてお知らせいたします。  本日、苫米地義三料が辞任せられまして、その補欠に前田佳都男君が選任されました。
  98. 手島栄

    委員長手島栄君) 本案の取扱い方等に関しましては、しばらく打ち合せをする必要がございますので、暫時休憩いたします。    午後三時四十二分休憩    —————・—————    午後四時十九分開会
  99. 手島栄

    委員長手島栄君) ただいまより再開いたします。  郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金部資金所属運用資産増加額の一部を交付するための大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例等に関する法律案を議題といたします。  これより、本案に対する討議に入ります。どうぞ御意見のおありの力は御発言を願います。——別に御発言もなければ、討論はないものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金部資金所属運用資産増加額の一部を交付するための大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例等に関する法律案を問題に供します。本案を可とされる方の御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  101. 手島栄

    委員長手島栄君) 総員挙手と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
  103. 手島栄

    委員長手島栄君) 次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより本案に対する討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  104. 森中守義

    森中守義君 私は、日本社会党を代表して本簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する賛成の意を表明いたします。ただし、その賛成に先立ちまして、郵政当局に特段の配慮を願っておきたい…が二、三あります。  その第一の問題は、過日来、本案の審議に当って参りました中で明らかになったのでありますが、この新種保険の設定が、今日ややもすると経営困難に陥らんとする簡易保険一つの打開策でもあろうと思われますし、かつまた、この新種の設定によりまして、相当業務量の増加が必然的に考えられるのであります。その業務量の増加の具体的な内容は、当局からの答弁等によりましても、かなり新種保険の設定に伴う具体的な内容等が述べられた中でも明らかであります。しかるに、この業務量の増加に対して、単に賃金要員の配置をもってこれに充てておる事実、これは何としても私どもの了承できないところであります。由来、定員あるいは賃金要員等の問題は、従来しばしばあらゆる機会をとらえて論議をかわし、かつ当局にも強く要請をし、その善処を促して参ったのであります。この法改正に対しましても、何ら見るべき中身のないことを遺憾とするところでありまして、極力すみやかにこの正規な定員の配置、さらにまた賃金要員の急速なる本定員への繰りかえを当局において善処されるよう特段の配慮を要望してやみません。と同時に、また予算におきましても、この新種設定に伴う業務量の増加が必然的に考えられ得るのでありますが、予算においても何ら見るべき措置がとられておりません。これは大蔵当局と郵政当局予算の編成に当り、きわめて困難な事情等をも推察はできるのでありますが、そのことをして現状を可とするわけには参りません。少くとも、この予算の増加というものは保険経営の喫緊の急務であり、しかも、質疑の中で明らかになっておりますように、民間生命保険に対し郵政省の簡易生命保険事業費の率が約一割の格差を持っておるということは、いかに郵政大臣が口をきわめて本事業に対する関心を持ち、事業の発展を日夜願いながら専念されておるということを主張されても、ただいまの一事が示しますように、必ずしも本事業に対して精力を郵政大臣が集中されておるとは考えられません。従いまして、この予算の大幅な増額、同時に具体的には事務費の率をもう少し増額するよう特段の配慮を願ってやまない次第であります。  さらにまた、事業の経営の面からも一考いたしますことは、簡易生命保険が長期の契約を最も経営の正常な状態であると言えるにかかわらず、近時におけるこの契約の状況は、ややもすると十年、十五年、二十年と短期の契約に集中されており、しかも、三十年以上の各種類については著しく契約は激減しており、反面、短期の維持状況が良好であるに対して長期の契約は維持もまたきわめて悪化しておる状態であります。この両面から見る現象は、何としてもなお簡易生命保険事業の危機を憂えざるを得ないのでありまして、先刻郵政大臣がこの質疑の中でお約束をされましたように、すみやかに検討を加えるということで事足りてはおりますが、本案の採決の前に、再度この問題に対し抜本的な検討を加えていただく、こういうお願いを申し上げておく次第であります。  以上、私は本案に対する二、三の要望を付しまして、自由民主党、日本社会党共同提案による附帯決議を付して本案に賛成の意を表するものであります。  以下、本附帯決議案の案文を申し上げます。    簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  一、最近における経済情勢の推移並びに家族保険の創設の趣旨にかんがみると、簡易生命保険の現行保険金最高制限額は低きに失し、その目的を達するに十分でないと認められる、よって政府は、なるべくすみやかに右最高制限額を引き上げるよう措置すべきである。  二、福祉施設の拡充強化等契約者サービスの向上をはかるよう努力すべきである。  三、家族保険創設の趣旨にかんがみ、政府は、加入対象から除かれている父子世帯及び母子世帯の経済生活の安定をはかるため、母子保険等の実施について研究を進めるべきである。  四、簡易生命保険及び郵便年金の積立金運用に当っては、両保険制定の趣旨にかんがみ加入者の利益を増進するよう一段の考慮を払うべきである。   右決議する。  以上であります。
  105. 手島栄

    委員長手島栄君) 他に御発言もなければ、討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を可とされる方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  107. 手島栄

    委員長手島栄君) 総員挙手と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました森中守義提出の附帯決議案を議題といたします。  森中守義提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 手島栄

    委員長手島栄君) 全会一致と認めます。よって森中守義提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。
  110. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) ただいま御可決をいただきました二法案に対しましては、特に御慎重で真撃な御審議を賜わりまして、本日ここに無事に御可決を賜りましたことを衷心より感謝を申し上げ、御礼を申し上げます。  特に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案に付せられました附帯決議の四項目に対しましては、政府といたしましては、この附帯決議の御趣旨に従いまして、このことを万遺憾なく実行をして参りまする決意でございます。今後とも一つよろしくお願いを申し上げます。まことにありがとうございました。
  111. 手島栄

    委員長手島栄君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会