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森中守義君 私は、日本社会党を代表して本
簡易生命保険法の一部を改正する
法律案に対する賛成の意を表明いたします。ただし、その賛成に先立ちまして、郵政
当局に特段の配慮を願っておきたい…が二、三あります。
その第一の問題は、過日来、本案の
審議に当って参りました中で明らかになったのでありますが、この
新種保険の設定が、今日ややもすると経営困難に陥らんとする簡易
保険の
一つの打開策でもあろうと思われますし、かつまた、この新種の設定によりまして、相当
業務量の増加が必然的に考えられるのであります。その
業務量の増加の具体的な
内容は、
当局からの
答弁等によりましても、かなり
新種保険の設定に伴う具体的な
内容等が述べられた中でも明らかであります。しかるに、この
業務量の増加に対して、単に賃金要員の配置をもってこれに充てておる事実、これは何としても私
どもの了承できないところであります。由来、定員あるいは賃金要員等の問題は、従来しばしばあらゆる機会をとらえて論議をかわし、かつ
当局にも強く
要請をし、その善処を促して参ったのであります。この
法改正に対しましても、何ら見るべき中身のないことを遺憾とするところでありまして、極力すみやかにこの正規な定員の配置、さらにまた賃金要員の急速なる本定員への繰りかえを
当局において善処されるよう特段の配慮を要望してやみません。と同時に、また
予算におきましても、この新種設定に伴う
業務量の増加が必然的に考えられ得るのでありますが、
予算においても何ら見るべき
措置がとられておりません。これは大蔵
当局と郵政
当局が
予算の編成に
当り、きわめて困難な事情等をも推察はできるのでありますが、そのことをして現状を可とするわけには参りません。少くとも、この
予算の増加というものは
保険経営の喫緊の急務であり、しかも、
質疑の中で明らかになっておりますように、
民間生命
保険に対し
郵政省の簡易生命
保険の
事業費の率が約一割の格差を持っておるということは、いかに郵政
大臣が口をきわめて本
事業に対する関心を持ち、
事業の発展を日夜願いながら専念されておるということを主張されても、ただいまの一事が
示しますように、必ずしも本
事業に対して精力を郵政
大臣が集中されておるとは考えられません。従いまして、この
予算の大幅な増額、同時に具体的には
事務費の率をもう少し増額するよう特段の配慮を願ってやまない次第であります。
さらにまた、
事業の経営の面からも一考いたしますことは、簡易生命
保険が長期の契約を最も経営の正常な
状態であると言えるにかかわらず、近時におけるこの契約の
状況は、ややもすると十年、十五年、二十年と短期の契約に集中されており、しかも、三十年以上の各種類については著しく契約は激減しており、反面、短期の維持
状況が良好であるに対して長期の契約は維持もまたきわめて悪化しておる
状態であります。この両面から見る現象は、何としてもなお簡易生命
保険事業の危機を憂えざるを得ないのでありまして、先刻郵政
大臣がこの
質疑の中でお約束をされましたように、すみやかに検討を加えるということで事足りてはおりますが、本案の採決の前に、再度この問題に対し抜本的な検討を加えていただく、こういうお願いを申し上げておく次第であります。
以上、私は本案に対する二、三の要望を付しまして、自由民主党、日本社会党共同提案による附帯決議を付して本案に賛成の意を表するものであります。
以下、本附帯決議案の案文を申し上げます。
簡易生命保険法の一部を改正する
法律案に対する附帯決議
一、最近における
経済情勢の推移並びに家族
保険の創設の
趣旨にかんがみると、簡易生命
保険の現行
保険金最高制限額は低きに失し、その
目的を達するに十分でないと認められる、よって
政府は、なるべくすみやかに右最高制限額を引き上げるよう
措置すべきである。
二、福祉施設の拡充強化等契約者サービスの向上をはかるよう努力すべきである。
三、家族
保険創設の
趣旨にかんがみ、
政府は、加入
対象から除かれている父子
世帯及び母子
世帯の経済生活の安定をはかるため、母子
保険等の実施について研究を進めるべきである。
四、簡易生命
保険及び郵便年金の
積立金の
運用に当っては、両
保険制定の
趣旨にかんがみ
加入者の利益を増進するよう一段の考慮を払うべきである。
右決議する。
以上であります。