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1959-03-06 第31回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月六日(金曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 瀬戸山三男君 理事 南  好雄君    理事 上林與市郎君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    井原 岸高君       大久保武雄君    川崎末五郎君       久野 忠治君    砂原  格君       武知 勇記君    中村 寅太君       橋本 正之君    服部 安司君       村瀬 宣親君    森下 國雄君       小川 豊明君    東海林 稔君       塚本 三郎君    武藤 武雄君       山中 吾郎君    山中日露史君  出席政府委員         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局長) 樺山 俊夫君         建設政務次官  徳安 實藏君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (計画局長)  美馬 郁夫君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君  委員外出席者         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局計画         第一部長)   水野  岑君         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局計画         第二部長)   石塚 久司君         通商産業技官         (公益事業局施         設課長)    三谷  昇君         参  考  人         (東京電力株式         会社取締役)  水野 久男君         参  考  人         (東京電力株式         会社常務取締         役)      吉田 確太君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 三月五日  委員砂原格辞任につき、その補欠として薄田  美朝君が議長指名委員に選任された。 同日  委員薄田美朝君辞任につき、その補欠として砂  原格君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員荒舩清十郎君、島村一郎君、林唯義君及び  松澤雄藏辞任につき、その補欠として武知勇  記君、久野忠治君、中村寅太君及び森下國雄君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員久野忠治君、武知勇記君、中村寅太君及び  森下國雄辞任につき、その補欠として島村一  郎君、荒舩清十郎君、林唯義君及び松澤雄藏君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  大蔵委員会連合審査会開会申入れに関する件  首都高速道路公団法案内閣提出第一〇四号)  首都圏既成市街地における工業等の制限に関  する法律案内閣提出第二三号)(参議院送  付)  都市計画に関する件      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。ただいま大藏委員会において審査中の揮発油税法の一部を改正する法律案は、当委員会と深い関係がございますので、この際、当委員会連合審査会を開催の申し入れをいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、首都高速道路公団法案を議題として審査を進めます。この際徳安政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。徳安政務次官
  5. 徳安實藏

    徳安政府委員 首都高速道路公団法案の審議に当りまして、先回の委員会で、山中委員その他から御質疑がございまして、答弁を補足して本日申し上げることを約束いたしておりましたので、私どもの統一いたしました見解を申し上げたいと思います。  まずこの公団業務範囲は、首都圏全域を対象とすべきではないかという御質問がございました。政府としては、現在首都圏整備計画にも策定されておりまする通り自動車交通のネックとなっている既成市街地自動車専用道路整備を行うことが急務でありますので、この公団業務範囲を、その地域に限定したわけでありまして、当面これで十分であると考えておりまするが、もし将来これを首都圏全域に拡大する必要が生じたような場合におきましては、さらに検討をいたしたいと考えております。  次に、公団業務範囲首都圏全域に拡大することは、この法律の一部改正によっては不可能であり、この場合には、この公団を解散し、別の公団を設立すべきではないかという御質問でございました。これに対しましては、政府としては、法律論といたしましては、この法律の一部改正によって処置することは十分可能であると考えております。最近の例に徴しましても、昭和十一年制定の東北興業株式会社法を、東北地方開発を積極的に行わせるために、昭和三十二年に法律の一部改正の形式によりまして、社名東北開発株式会社と改め、さらに会社目的等を大幅に改正いたしたこともございます。  次に、公団役員は、管理委員欠格条項に該当する者であるのに、理事長管理委員会構成員になっているのはおかしいではないかという御質問でございました。政府としては、法律的に申しますと、法案第十三条は、委員欠格条項を定めたものであり、理事長は、管理委員会構成員ではありますが、委員でありませんので、同条と第十条との間には、何ら法律上の矛盾はないと信じます。また実態的に管理委員は、学識経験者等公益代表や、出資者代表等部外者の公正な意見を求めて、公団業務運営を適正ならしめようとするものでありますから、法案第十三条において、公団役員及び職員を管理委員としないことといたしたのであります。一面執行部門との遊離を防ぎ、公団業務の円滑な運営をはかる必要がありますので、執行機関代表者たる理事長管理委員会構成員に加えた次第であります。同様の立法例といたしましては、帝都高速度交通営団法日本住宅公団法等がございますので、そうした例に見ましても、決して矛盾はいたしていないという考え方を持っておる次第でございます。  以上御答弁を申し上げます。
  6. 堀川恭平

  7. 武藤武雄

    武藤委員 ただいま徳安次官の方から、この前の質疑に対して統一的解釈を表明されたわけですけれども、やはり東北開発株式会社社名変更を理由にして前例がある、こういうことであります。しかし、これはこの前も山中委員指摘をいたしましたように、何といいましても、国会へ今回出しております首都高速道路公団の持っておる性格というものは、東京都に限るということは第一条からも明らかなんです。これは、一点疑う余地もないのであります。そういうことを考えますときに、ただいま、将来必要があれば、一部改正程度にして、そういう要望にこたえることができる、だからそれでいいじゃないかという御意見でありますけれども、われわれとしては、やはりこの前から議論をしておりますように、少くとも東京都を中心とする広範な道路交通網整備をする。特に今殺人的とだんだんいわれてきておるこの交通量のはんらんに対して、一つ抜本的にこの解決を考えなければならぬということは、日本社会党としても必要以上に真剣に考えておるわけでありますが、そういう建前に立って、今回政府の提案をいたしました首都高速道路公団計画を見てみますと、前々から指摘をしておりますように、決して高速度道路事業とはいえない。単に交通が非常に複雑になっておるのを、代替道路を作って、多少それをノン・ストップでいけるという程度考え方でありまして、これでは、これから予想される雄大な首都圏全体の交通網、全体を考え意味のいわゆる交通網整備対策とは、どうしても相当かけ離れた考え方だと思うのであります。それで、われわれとしては、どうしてもほんとうに全体の道路整備考えていくとすれば、やはり首都圏全体を計画していく道路政策でなければならぬ、公団でやるという場合でも、そういう考えに立たなければならぬ、そういうことを考えます場合に、われわれとしては、どうしても現在のこの東京都という限られた範囲でこういうものを設立するということは、納得できないのであります。この前の私の質問に対しまして、次々とこういう公団を作っていくというような考えは、今のところ毛頭考えていない、こういうお答えがあったようでありますけれども、そういう点を明確にする意味でも、また首都全体の道路網整備をはかるということを考え立場からいっても、やはりこの際首都圏という性格にして、そこで抜本的な高速度道路計画というものを立てていくべきだ、こう考えるのであります。この法案も、将来そういうのが出てくればいいじゃないかという御意見でありますけれども、私は、何といいましても、今問題になっておるこの交通危機を打開していく計画を立てる場合に、まず立法当初にそういう必要があるならば、そういうことができるように明確にしておいた方がいいと思う。従いまして、この法案内容を見てみましても、そういうふうに性格を変えることには、そんなに大きな問題はないのではないかと思います。一つ事業のなわ張りみたいなものを考えると、むずかしいのでありますけれども、そういうものがない限り、この法案をそういう理想的なもの、しかも現実必要に迫られてくる最も近い将来に必要なものとか、あるいは高速道路そのものがそういう計画でないと、高速度道路意味をなさない。こういうことから考えますと、これはやはり首都圏高速道路公団と、こういうふうに明確に直していくべきだと思うのであります。  またその次に、内容の点でただいま問題になりました、管理委員会機構の問題でありますけれども、これはやはり今の次官の御答弁では、われわれは納得できないのであります。何といいましても、理事会構成を見てみましても、かりにこの法案のままで参りますと、五人の委員が定められるわけですけれども、そのうち委員長を代理するものと、それから理事長またはほかの委員を加えて二名の出席があれば、委員会構成する、しかも過半数の同意を得てきめるということになりますと、かりにその場合に、委員長を含めて三人で構成するわけですから、そうすると、理事長委員長一緒になっても多数になりますし、委員長理事長一緒になればもちろんでありますけれども、とにかく理事長の果す役割というものは、非常に大きくなる。従いまして、特にこの公団の全体の責任者である理事長が、そういう管理委員会において、自分の行なった業務執行と同時に、それを管理する重大な役目を同時に果していくということは、だれが考えてもおかしい問題であります。しかも、この前からたびたび指摘されておりますように、この種の公団等が出て参りますと、必ずそれにからまるいろいろの利権問題とか、いろいろなものがくっついてきて、数寄屋橋みたいな問題とか、いろいろな問題がからまってくる場合が多いのであります。そういうものを、適正にこの公団運営をはかるためにも、やはり管理委員会は、相当な管理役目を果さなければならぬと思うのです。その場合に、公団責任者であり直接の担当者である、執行者である理事長が、その管理委員会管理性格を帯びる、しかも、それが委員会構成の中では、場合によってはごく少数のものと意見が一致しただけで態度の決定ができるということであれば、これは、だれが考えてもおかしな運営機構になると思う。ですから、私としては、やはり最初に述べました、首都圏高速道路公団というはっきりした将来の構想に立ってこういう公団を作るのであれば、これは、全面的に賛成をいたしますけれども、今言ったような、単に東京都を考えておる公団ということでは、納得できないのでありまして、これは、政府もそうでありますけれども、自民党の諸君も、この前だれかの議論のように、そういう計画そのものにはだれも反対されていない、また政府の方でも、そういう必要は十分認めておられる、ただ当面は、東京都だけでいいのだと、こういう答えであります。今の次官解釈を聞いても、そうなんであります。将来必要があれば、そういうふうに一部改正考えていく、こういうことでありますけれども、そういうように、皆さんは、必らず将来はそういう必要がある、しかも、今の高速道路計画では、ほんとう意味高速道路計画とはいえないということは、認めておられるわけでありますから、一つ率直に、この程度修正は、今まで仲よく建設問題についてはやってきた委員会建前上、当然これはやってもいいことじゃないかと思う。ぜひそういう点で、修正をしてもらいたいと思います。
  8. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの武藤委員の御説につきまして、お答えいたしますが、非常に積極的な御推進のお話でございまして、私どもも非常に意を強うする次第でございます。ただ現在の情勢から考えまして、百キロにわたります首都の全体にわたって、この事業を直ちに実施いたしますようなことにつきましては、勧告もございませんし、また計画に非常な支障を生ずる面もございまして、そうした面につきましては、計画局長なり道路局長から御説明申し上げたいと思いますが、すぐさまそうした案に切りかえるような段階に、ただいまはなっておりません。いろいろな問題もございまするし、道路公団との関係もございまするからして、すみやかにそうした問題を解決して、圏内全部に手を伸べるような大構想というものは、今日の場合はちょっと不可能でございます。従って、ただいま申し上げましたように、既成市街地自動車専用道路整備を行うという刻下の急務に即応した案といたしまして、この程度が一番適当ではなかろうかと考えて、本案を提出しておるような次第でございます。その他詳細にわたりましては、両局長から御説明を申し上げたいと思います。  また、委員会の問題について言及がございましたが、なるほど三名出席すれば会議が開かれ、そのうちの二名で決定するというようなことは、突き詰めて考えれば、そうしたことも一応は考えられるのであります。しかしながらこの事柄は、委員会決定と申しましても、これは大体大臣承認を必要とする事柄でございますから、そこで決定して、すぐさま実施せられていくものではございません。大体は主管大臣承認を得べきものでございます。こちらの方にも監理官もおりますし、十分監督いたしておりまするから、五人のところを三人寄って、二人できめて無理押しをするというような案を、監督官庁承認するはずもございませんし、個人会社ではございませんから、相当各方面の世論もそれを監視するでございましょうし、そういうでたらめな予算案事業計画決定するものとは考えられません。もちろん厳格にいいましたら、五人全部が出席して決定していただくことが必要と思いますけれども、さような手続も、あるいは場合によっては困難かと思いまして、従来の諸種の公団の例によって、こうした法案を出したわけでございますけれども、今申しましたように、委員会決定しましたものが直ちに実行されるわけではありません。そういうものは、予算にいたしましても、決算にいたしましても、事業計画にいたしましても、すべて主務大臣の承設を得なければならぬ、かような点もございまして、こうした面で十分監督いたしますから、公団側もそうした案件を議決するにつきましては、ただ数でやればいいんだというような考えは、おそらく持たないと思います。また持ってもいけぬと思います。そういう点については十分監督しまして、誤まりなきを期したい考えでございます。
  9. 木村守江

    木村(守)委員 ちょっと関連して。ただいまの武藤委員質問政務次官答弁のうちで、ちょっとわからないところがあるのです。首都高速道路公団、これは、東京都の交通緩和をはかるために作られる公団であります。東京都の交通緩和ということになりますと、東京都並びにその周辺、これは、区からちょっと離れたところまで含まなければならない必然性が出てくると思うのです。東京都と連続した東京都以外のところ、そういうところも結局は含まれて、初めて東京都の交通緩和ができると思うのです。こういう点から、これの目的のところに「首都高速道路公団は、東京都の区の存する区域及びその周辺地域において、」と書かれてあります。そういう点からいいますと、これは首都圏の一部ですね。武藤委員質問されておるのは、首都圏の全部のように考え答弁されるところに、食い違いがあると思うのです。首都高速道路公団目的の中には、武藤委員の言われるような意味が含まれておると私は思う。そういう点で、東京都だけの交通緩和をはかるためにこの公団ができるんだというのですが、東京都の交通緩和をはかるためには、ほんとう東京都と関連した、すぐ隣接した市町村も、それは東京都じゃないからかまわないんだ、そういうことでは、東京都の交通緩和はできないと思う。これは関連している関係上、どうしても隣接した土地の交通緩和をはかって、初めて東京都の交通緩和がはかられると思うのです。そういうことからいうと、これは、首都圏のきわめて小部分ですが、そういう意味も含まってるんだと解釈しても差しつかえないと思いますが、いかがですか。
  10. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいま御説明しました通り既成市街地を含めておりますから「東京都の区の存する区域及びその周辺」という地域は、文字でごらんの通り、決して東京都だけに限られておるわけではありません。その周辺ももちろん加えてやるわけであります。
  11. 木村守江

    木村(守)委員 そういう点から考えますと、私は広義解釈して、首都圏のきわめて一部分ですが、そういうものまで含んだ公団だと解釈することができると思うのです。そういうふうに解釈しますと、武藤委員質問趣旨も、この中に織り込まれているというように解釈してもいいのではないかと思います。
  12. 武藤武雄

    武藤委員 今、首都圏という意味も多少含まれておるという誘導質問があったのでありますが、「その周辺地域」という字句は、東京都の高速道路公団を作る場合に、道路の持っておる性格上、どうしても連絡をしたり、あるいは向うとつないだりというようないろいろな場合があって、その場合に関連のある最も狭い範囲でこの表現は考えられておると、法文の建前上われわれは見るのです。それが今言われたように、首都圏全体として、非常に範囲が広く、私の言っているような趣旨と同じであるというならば、首都圏高速道路公団という名前に直していかなければならぬという、私の修正すべきだという意見が通るわけでありますから、御再考を願いたいと思います。  それから先ほど、これは民間会社じゃないから、強引にやるようなことはないと言われた。民間会社なら心配はないのです。こういう種の公団だから心配が多いのです。しかも、今までいろいろ問題が発生しておるのは、この種の公団に多いのであります。そういう意味で、この間も山中委員指摘したように、委員任期は二年、理事長任期は四年であります。しかも、理事長は全体の責任を負って職務を執行しておるのでありますから、そのベテランと、もう一人の委員が来れば委員会は成立するのでありますから、それは強行でなく、なれ合いでやられる場合が非常に多い。しかも建設大臣指揮監督するから心配ない、こういう御説明でありますけれども大臣指揮監督するから心配がなければ、今までいろいろの問題が起きて新聞をにぎわしたり、指摘されたりすることはないのでありまして、やはり大臣指揮監督の中には、書類整理でとどまる場合が非常に多い。そういうことを考えると、こういう公団だからこそ、委員会構成心配のないように、将来問題を起さないようにやっていきたいというのが、われわれの主張であります。次官の御答弁とはまるで反対でありまして、こういう公団だからわれわれは心配して、作るときには、管理機構そのもの責任あるものにしたいのです。これは、当然の主張じゃないかと思う。
  13. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいま木村委員武藤委員とのお話がございましたが、再々申し上げますように、首都圏全体を営業区域としてやるという考えではございませんで、既成市街地を結ぶところの東京都、すなわち首都交通緩和ということを第一前提としてこの法案ができておるのでありまして、もちろん「その周辺」につきましての字義の解釈広義解釈する場合と狭義に解釈する場合とあると思いますが、総地域周辺だとも考えられないのでございまして、これは、常識で考えられることだと思いますが、将来そうしたことについては大きな疑義があり、あるいはまた全地域に及ぼすことが妥当だという御見解ができましたら、国会におきまして御修正を受けましても、あるいは政府自身がまたその案を提出いたしまして改正されましても、これは、またそのときになって常識的に判断願うということもあろうかと思います。ただ今の段階では、先ほど申し上げましたような関係で、この法案に出しております程度が、一番妥当公正ではなかろうかと考えておる次第でございます。もし全地域に及ぼさないような現在の実情につきまして、いろいろな御主張がございますれば、両局長もおりますから、そちらの方から御答弁を申し上げたいと思います。  それから管理委員会のことでありましたが、重ねて私ども抗弁するわけでありませんが、公団等でしばしば問題を起しておりますのは、執行部の方の関係において、監督不行き届きであるとかいうようなことにおいて起っておるのでありまして、管理委員会等が横暴で、むちゃくちゃな決議をしたというようなことはあまり聞いておりません。従って、そうした点につきましてあまり——管理委員でありながら、管理委員会出席しない、年中出てこないような方は、監督官庁がございますから、取りかえることもあるでございましょうし、管理委員としてまじめに使命を果すような人を選ぶことが、妥当だと思います。同時に、この委員会には、それぞれ相当な責任を帯びた人が出るわけでございますから、ただ名誉職でもございません。報酬はあまり出しておりませんけれどもただの名誉的な地位でございませんで、十二分にそうした責任は認識して御就任になると思いますから、よほどの事情のない限り、欠席がそうたくさんございまして、三人くらいの出席で、二人の賛成でやることもおそらくあるまいと思います。もしこの委員会で、そういうような結果が生ずるような場合がございましたら、おそらく大臣の方から、監督官庁から、十分注意いたしまして、全員が出席するように、多数が出席されるように、もし病気等によって出られないような場合には、あるいは他の方に変ってもらえるような処置もとれると思います。でありますから、そうした点については、おそらく大臣責任を持ってその衝に当りますし、また大臣は、国会責任を持って御答弁もし、責任を負うわけでございますから、そういう点についてふしだらなことがありましたり、皆様のお考えで、どうもけしからぬというようなことがございましたら、一つどんどん叱責していただきまして、是正する方法もあろうと思いますから、どうぞこの点は、そう御心配なさらずに御了解いただきたいと思います。
  14. 武藤武雄

    武藤委員 幾ら言っても、これは平行線だと思いますけれども管理委員会が横暴するとは言ってないのであります。こういう機構であれば、必ず管理委員会としての機能を実際に発動できないような運営に陥るおそれがあるのではないか。公団最高責任者理事長、しかも任期四年の、経歴を持つベテラン理事長が、新しくかわってきた任期二年の管理委員会運営するときに、同じ資格で、同じ立場運営するわけですから、その場合に、執行の面に都合のいいような管理面だけが行われるのではないかという心配がある。ですから私は、管理委員会が横暴の決議をしたり何かすることはないと思う。なれ合いの管理が行われることを、私は非常に危惧しておるわけであります。  それから首都圏の問題ですが、これは、当面はこれでよいという次官説明ですけれども、やはり首都圏という構想のもとに法案が制定されても、当面この程度の問題をいわゆる事業計画として取り上げるということは、一向差しつかえないことであって、だんだんと事業を拡大していくということは、これは差しつかえないことなんで、その点は、一つ意見の食い違いはないと思います。ただ法案を制定するときに、単に東京都というものを考え公団を作るか、それとも首都圏という全体の立場に立って構想考えていくかというところが、意見の相違であります。これは、全く質疑応答の格好では相対立をいたしておりまして、平行線だと思います。それで、審議の時間が許されれば、私はわが党の理事を通じまして、修正提案をいたしたいと思いますけれども、自民党の諸君のこの間からのお話を聞いておると、そういう時間はないということで、盛んに主張しておられるようですから、強行されるということであればやむを得ませんけれども議論としては、私は納得いたしません。対立したままであります。
  15. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今お聞きしておりますと、さっき木村委員の発言に対して、次官答弁賛成しておるのです、趣旨としては。東京都の交通を緩和するためには、東京都だけでなく、結局そこの関連する都市にも及ぼさなければできないのじゃないかという質問に対しては、そういうことがあり得ると思う、これは、付近の市町村に対して及ぼすことがあり得るということを、あなたはさっき答弁しておられる。それに対して武藤委員の方から、それでは、私の意見にもあなたは賛成したのだから、首都圏にしたらいいじゃないかと言っておる。首都圏にするしないは別として、あなたの方も、そういうふうに認めておるならば、なぜ東京都、いわゆる首都というものにこだわらなければならないか。これに対しては、さしあたり東京都だけでやっていきたいという話ですが、そういう拡大解釈をしていくこと自体が——こういうものを作るときには、すべて外郭団体の問題が多いわけですから、従って、こういう一つの団体を作られる場合には、努めて問題のないようにしていくべきである。そういう点から、私は、さっきの御答弁ならば、言葉は首都圏でもいいじゃないかと思う。  もう一つは、あなたの答弁は、非常にすべてを善意に解釈しておる。これはけっこうです。管理委員会構成は五人ですか、理事長においては任期四年、委員任期は二年、三人あればできる。こういうことは、建設省もあることだから、十分に監督をするから間違いはない。またそういう人たちが出るはずはないのだ。こういうことで、あなたは、すべて差しつかえないのだ、いいんだ、間違いないにきまっているじゃないかというような前提に立っての答弁だ。ところが、すべてのこういう公団その他が問題を起しているのは、そういう善意の解釈から出ておるので、私はむしろ任期が五年も十年もない、会社ならばこれは利害の関係があるから責任を持ってやる。任期二年くらいでやっていったならば、どうせ任期は二年間だということで、おそらく職員の行政になってしまうことが心配される。従って、首都圏に対してそういう拡大解釈をしていくということをやれば、委員の選任に当っては、人をふやすなり、任期をもっと増すなりして、委員が十分責任を持ってやれるようにすべきではないか、こういう点をお尋ねいたします。あなたの方で十分に監督するから、そういう間違いはありませんと言う。間違いがありませんという前提に立っているが、公団組織はずいぶん間違いが多いわけです。決算のあれを見ると、ずいぶんたくさんあります。その点から見ると、これは十分お気をつけになるべきだ、こういうことについて御答弁を願います。
  16. 徳安實藏

    徳安政府委員 先ほどから申し上げますような点で、御了解をいただきたいと思いますが、ただいまの小川委員の御質問に対しまする、首都圏全体を対象にしていった方がよくはないかという点につきましては、先ほど申し上げましたような事由もございまするし、なお詳細につきましては、計画道路局長が参っておりますから、そちらの方から御答弁した方が、あるいはかゆいところへ手が届くような御答弁ができるかと思いますので、そちらから一つお聞きを願いたいと思います。  それから委員会構成でございますが、これは、先ほど武藤委員からもお話がございましたように、平行線で御了解が得られないかと思いますけれども、これまで公団等が多少でも行き過ぎをいたしましたり、あるいは世間に醜聞を流しましたりしたことの大部分というものは、やはり執行部の方のやり方が悪かったために起きているように考えますので、こうした問題は、各主務大臣が十二分の監督をせなければならぬ、かように考えております。従って、どろぼうが出るからというような考え方で、初めから考えていてもいけないと思いますが、同時に先ほど私が申し上げますように、いいものだからというだけの前提で考えることも、あるいは間違いかと思います。しかしいずれにいたしましても、この管理委員会できめたものを、独断専行で、どんどん仕事へ移すわけではございませんで、先ほど申し上げましたように、十分な審議をいたしましたものにつきましては、すべて建設大臣承認を得るという形になっておりまして、行き過ぎをいたしましたり、そのやることが不可解な点がございますれば、十二分に、これは建設省にも専門の監理官もおりますから、こういう点につきましては、違法のないように、また世間の疑惑が起らないように、大臣が十二分の監督をいたしますることは当然だと思いますから、御懸念は要らないかと思います。ただ執行に当りましていろいろな疑惑を生みましたり、不正が伴いますことにつきましては、これはまた別な形におきまして、建設省の方が十分に監督をいたすというように御了承いただきたいと思います。その他詳細な点につきましては、一つ政府委員の方から御答弁を申し上げます。
  17. 三鍋義三

    ○三鍋委員 一つ、そのものずばりでいきましょう。私が心配するのは、一たん法律ができますと、これが一人で走るんです。独走するんです。そこに非常に心配がありますから、あらゆる面で心配して、できるまでにより完全なものを作りたい。こういう気持で、社会党は出て審議しておるわけでありますが、どうですか、一つここらあたりで、この法案に対して修正する意思があるかないか、この点を一つ政務次官にお聞きしたいと思います。
  18. 徳安實藏

    徳安政府委員 政府といたしましては、この法案が、現段階におきましては妥当だと考えておりますので、相なるべくば本案で御審議を願い、そのまま御通過をさしていただきたいと考えております。
  19. 堀川恭平

    堀川委員長 この際お諮りいたします。本案に対する質疑は、これにて終局するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認めます。質疑は終局いたしました。  これより討論に入ります。討論の通告がありますから、これを許します。塚本三郎君。
  21. 塚本三郎

    ○塚本委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、本案に対する反対の討論をなさなければならぬことを、きわめて遺憾とするものであります。  本法律案の実質的な審議に入りましたのは、二月の十八日でありまして、以来数回にわたって審議をして参ったのでありますが、その間においてわれわれがるる御質問申し上げましたことに対する政府答弁には、幾多の明確を欠く点が残されておるのであります。のみならず私共の主張に対して、政府側におかれては、しばしば同感の意を表されたのであります。従いまして、それらの点につきましては、今後も引き続き審議を行うべきであると考えるのであります。私どもは、法の不備や欠点につきましては、発足する公団のよりよい前進のために、率直に修正すべきであると考えておるのであります。  しかるに、本日、審議半ばにして採決を行うことになりましたことは、きわめて遺憾に思うのであります。  次に、本案に対しまして、社会党が何ゆえに反対しなければならないかという点を明らかにしておきたいと思うのであります。  最近の首都における自動車交通量の激増は、必然的に交通の混乱を招来して、きわめて不便な状態にあることは、だれしもいなむことのできない現実であります。かかる現状に至らしめたそもそもの原因は、当然政府道路政策に対する基本的計画の貧困、さらには東京都の都市計画の無計画さによるものでありまして、これに関して政府は重大なる責任を感じなければならないのであります。このように、どうにもならなくなった現実に対する場当り的な対策として、あるいは昨今の道路ブームに便乗して出て参りましたのが、この首都高速道路公団法案なのであります。  われわれは、決して東京都における交通難を、このまま放置してよいというものではありません。のみならず、この法案の意図している趣旨には賛成であります。しかしながら、物事には筋道というものがあるのであります。しかるに本案の内容を検討してみまするに、幾多の矛盾と不合理が発見されるのであります。  そのおもな点について二、三申し上げますならば、まず第一に、何ゆえに日本道路公団とは別個に新しく公団を設立しなければならないかという点であります。政府答弁によりますと、資金面における東京都の協力が必要であること、また東京都の街路事業との関係においてぜひ必要であるというのでありますが、この理由は、とうていわれわれを理解させる力はないのであります。現在ある日本道路公団に対して、東京都が資金面並びに技術的な面において協力していくことにすれば、日本道路公団において十分やれるではありませんか。また必要とあれば、日本道路公団機構を拡充すれば、それでよいのであります。さらにまた、近き将来において、東京以外の大都市においても、自動車交通の行き詰まりがくることは必至でありまして、かかる際に、必ずや本公団の設立が前例となって、他の大都市にも幾つもの同様の公団が生まれるということになるでありましょう。かくのごとく屋上屋を重ねるがごときことは、道路政策として好ましからざる姿であると、われわれはかたく信ずるものであります。  第二点といたしましては、本案によりますと、公団の基本計画は、首都圏整備計画に基かなければならないことになっておるのでありますが、その路線計画を見ますと、その大部分東京都内でありまして、高速道路網として、諸外国にその例を見ない小規模なものでありますことは、建設省より提出された参考資料が指摘しているところによっても明らかであります。われわれは、このような計画で、果して首都自動車交通対策といえるかどうかという点に、深い疑念を持っているのであります。せっかく首都圏整備委員会において、首都圏道路整備計画を立てるわけでありますから、単に既成市街地範囲ということだけでなく、首都圏全体の高速自動車道路網考えるべきであって、そのような観点からいたしますならば、首都圏高速道路公団修正すべきものと考えているのであります。その点、本案は、その出発点において根本的な誤まりを犯していると断ぜざるを得ないのであります。  第三点は、世間で怨嗟の的となっております東京高速道路株式会社との関係であります。本問題は、与野党を問わず、本委員会において活発に議論された点でありますので、重ねて申し上げることを避けますが、いずれにいたしましても、本公団が、会社の不始末のしりぬぐいをしてやる結果となる危険性を含んでいるからであり、さらに本公団業務等を検討してみるとき、再び本公団が、東京高速道路株式会社と同様に、忌まわしい風聞の立つ性格を持っており、この点は、やはり本計画会社線とを別個のものとして、すっきりした形にすべきであると考えるのであります。  第四点といたしましては、本法案の第十三条において、管理委員会委員の欠格条件として、公団役員または職員を掲げておるにもかかわらず、委員会構成員の一人として、公団代表者である理事長を加え、これに議決権を与えているという矛盾であります。さらに委員のうち二人は、公団に出資した地方公共団体の長が推薦した者のうちから、任命しなければならぬと規定してあることであります。もしかりに理事長が地方公共団体から選ばれるようにでもなれば、本公団は、実質的にその性格さえも失うことになるのであります。しかも、この点に関する政府側の答弁が、単に他の公団の例によるものだというがごとき無責任な態度に至っては、まさに言語道断と言わざるを得ません。  以上のごとく、本法案は、その趣旨には賛成するところがあるにもかかわらず、基本的に多くの不合理と矛盾をはらんでおるものでありまして、かかる見地よりいたしまして、わが党といたしましては、本法案に対して反対せざるを得ないのであります。  重ねて申し上げますが、われわれは、都市の交通難をこのまま放置してよいと言っているのでは断じてありません。ただ、より合理的な方法によって処理すべきであることを主張しておるのでありまして、政府は、もう一度考えを新たにして、出直してくる必要があると思うのであります。  以上簡単でありますが、討論にかえる次第であります。
  22. 堀川恭平

    堀川委員長 瀬戸山委員
  23. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております首都高速道路公団法案賛成の討論をいたします。  日本の道路が先進諸国に比してきわめて劣悪である、従ってそれが日本のすべての生産、経済、あるいは文化、国民の生活等について非常な不利、不便を来たしておるということは、周知の事実であります。そういうことで、私どもの自由民主党におきましても、この国民的要望にこたえるために、道路政策を抜本的に切りかえて、それを推進する必要があるという方針を固めまして、前の衆議院の総選挙におきましても、この問題を一つの大きな党の公約といたしまして、いわゆる五カ年間に一兆円の道路投資をして、このおくれた道路整備を大いに推進しようということを、国民の皆さんに公約をいたしました。その公約に従って今進めておりますが、政府におきましても、この方針を踏襲いたしまして、いわゆる三十三年度から五カ年間、一兆円の投資をして、道路整備をいたそうということを、先般の閣議においても決定をいたしたのであります。  御承知のように一兆円の計画内容は、一般道路について六千百億円、それからいわゆる有料道路について二千億円、そのほか国の計画とは別個に、いわゆる地方の公共団体の単独事業として一千九百億円、合計一兆円の計画を閣議において正式に決定いたしまして、それに応ずる資金計画を立てて、これを着実に実行しようという政策を今進めておるわけであります。この場合、申し上げておきますが、道路の建設、道路整備をいたします場合においては、これは申し上げるまでもなく、原則としていわゆる無料公開の道路を作るのが当然であります。しかしながら、先ほども申し上げましたように、日本の道路交通というのはきわめて劣悪でありますから、一般原則に従って、この劣悪な道路を早急に整備するということは、今の日本の国民経済力、従って今の政府の財政力のみをもってしては、なかなかその目的を達することは困難であります。従って、一つの例外といたしまして、有料道路の制度を設けて、国民の直接の負担、いわゆる税金以外の他の資金を導入して、そうして一つの例外の有料道路制度を先般から作っておるわけでありますが、それによってできるだけすみやかに道路整備をいたそうという、二本立の行政を今進めておるわけであります。  そこで、問題になっておりますこの首都高速道路の問題でありますが、有料道路においても、原則として、ただいま別途にできております、現在の日本道路公団によって、日本全国の必要なる有料道路を建設するということが、これはまた第二の原則でございます。ところが首都高速道路公団を作ろうというのは、その原則のうちで、もう一つの例外を作らなくちゃならない。日本全体の道路交通が、先ほど申し上げましたような事情でありまするが、しばしば世間でもいわれております、まただれしもよく承知をいたしておりますように、最近の文化の発達とともに、いわゆる自動車交通が非常に逼迫いたして参りました。特にその中でも、いわゆる東京都を中心とする自動車交通の状況は、申し上げるまでもなく専門家の推定にいたしましても、昭和四十年ごろになりますと、ほとんど自動車の機能を発揮することができないような状態になってくる。これは、毎日私どもが目の前に見ておる状況であります。そこで、この東京都、首都を中心とする道路交通をどうするかということが大きな問題になってきたのであります。そこで、先ほど申し上げましたように、一般の財政によりましてこの東京都の道路整備をすることは、きわめて困難でありますから、そこで有料道路の制度を適用いたしまして、ここに道路整備をできるだけすみやかにいたそうというのが、この問題の起りであります。そこで、先般来首都圏についての立法がなされまして、首都圏整備の問題が検討されておるわけでありますが、その一環といたしまして、首都圏道路整備計画が、首都圏委員会等においてなされております。現在の計画、全体で御承知の通り六十九キロの、いわゆる高速の自動車道路整備しよう、こういう計画がなされておりますが、それも、当委員会においてもしばしば議論になりましたように、これは全体の交通問題からいたしますと、その一小部分にすぎません。これは将来の検討を待たなくちゃなりませんが、全体の構想から見ると、一小部分にすぎないのであります。しかしながら、その一小部分たりといえども、今の日本の経済財政力、それと早急に整備をするということからいえば、単に理想論だけを述べて、理想の紙上計画だけを立てましても、実際上の道路交通の問題は解決いたしませんから、まず着手し得る、実行可能な案を立てようというのがこの計画であります。そこで、現在東京都を周辺とする高速道路のいわゆる五カ年計画は、その全体計画の六十九キロのうち、まず四十三キロを五カ年で整備をいたそう、こういうことが計画をされておるのであります。そこで、それならば先ほど第二の原則である有料道路、いわゆる日本道路公団においてなぜやらせないか、これも一つの理論でありまして、やらせることは可能であります。しかしながら日本道路公団は、日本全国の有料道路の方式による道路整備をいたそうということで、これがいわゆる東京都の特殊なこういう事情にありますところまでその仕事の内容にいたすということは、理論的には必ずしも間違いではございませんけれども、実際問題としては、なかなかそう簡単にいかない。と申しますのは、日本全国の有料道路を管轄してやっております日本道路公団が、かりにこの首都の、東京都の高速道路に着手いたしますということになれば、資金の問題はどちらでも同じでありますけれども、実際の仕事の上から、どうしても緊急の度が違いますので、東京都だけにその力が集中されるきらいがないでもない。もう一つの理由は、率直に申し上げますが、東京都政において、この道路交通がきわめて重大なるにかかわらず、しかも私どもから見ると、東京都の都政というものが、道路交通にそれほど重大なる努力をされておらないというきらいが従来からあった。そこで、今回は第二の原則として、日本道路公団の原則にもう一つの例外を設けまして、一番急迫いたしております首都の高速道路整備するために、もう一つ道路公団を作ろうというのがこの法案のできてきたゆえんであります。  そこで、東京都においても、この道路整備のために資金を出すということ、そしてみずからの責任をこれに加えて、首都道路整備をしようというのが、この首都高速道路公団法を作る最も直接の原因であります。私どもは、こういう意味において、この首都高速道路公団の設立は、きわめて時宜に適したものである、こういうふうに考えております。  そこで、今申し上げました全体計画のうちに、これが事業費として大体一千二百二十四億円を要する計画になっておりますが、そのうち資本金として八十億を予定しております。その八十億のうち、半分ずつ国と都で持つということ、さらにそのほかに東京都は百七十一億の資金を、補助金と申しますか、いわゆる交付金という形で事業費を出す。五カ年計画においては五十億の資本金のうち二十五億ずつ、半分を東京都が持つ、また東京都の交付金七十九億を出す、こういう特別な組織による道路公団であります。一般の日本道路公団とその趣きを異にするところがここにあるわけであります。私どもは、こういうことで東京都の道路交通を一日も早く完備させる必要がある、こういう考え方であります。  そこで、社会党の諸君からしばしば当委員会において論議を尽されまして、首都圏全域における道路網について、なぜそれを目的としてこの法律を制定しないか、これも一応の御議論であります。御議論でありますが、先ほど私が一般論から申し上げましたのは、第一に原則としては、道路は無料公開によって作るべきものである、やむを得ざる事情によって、すみやかに日本の道路整備するという一つの手段として、有料道路の日本道路公団を作った、この原則によってやるべきものに、さらにもう一つの特例を設けたのがこの道路公団でありまして、これは、首都圏全域を必ずしも目的とすべき性質のものではございません。もちろん道路網整備という意味からいえば、先ほども議論がありましたように、この中心地だけを整備いたしましても、道路交通整備ということにはなりませんから、首都圏全域及びそれ以外の日本全国を通ずる道路網計画をし、それを進めなければならないのは当然でありまして、そういう場合においては、その必要性に応じ、また財政あるいはその他の資金の能力に応じて、これは原則として、第一段に日本道路公団にやらすべきものであります。しかしながら将来の問題でありますから、その能力あるいは機能等の関係から、先ほど政府から御説明のありましたように、必要があれば、場合によっては首都高速道路公団法の改正等によって、その管轄範囲を広げるということも必ずしも不可能ではありませんが、道路行政の原則として、私が今ここで申し上げましたことがわれわれは正論である、こういうふうに考えておるわけであります。  こういう事情によりましてこの制度を作るのでありますが、残念ながら社会党の諸君は、その趣旨自体については賛成であるという御意見でありますが、これに反対されるということは、私率直に申し上げますが、きわめて遺憾であるし、また残念であります。そこで、私は先ほど社会党の方から御議論がありましたので、簡単にその点に触れて、反対をいたしておきます。  日本道路公団のほかに、こういう道路公団を作る必要はないではないかという御議論に対しては、今私が申し上げたつもりであります。また首都圏を全部含むべきではないかという御議論に対しても、簡単に今触れておきました。  それから東京高速道路株式会社、あの問題については、先般来の委員会において、これは一部解決をされております。もちろん東京高速道路株式会社の問題は、きわめて遺憾でありましたが、これは、率直に先般の委員会においても私が申し上げておきましたけれども道路行政を担当しておられる建設省が、ある意味において怠慢であったことは間違いありません。しかし、これは今日各般の検討をされて、東京高速道路株式会社責任においてその終末をつけるという話し合いができておりますので、これはこれで一応の落着をいたしたわけであります。今後の推進は、建設大臣、建設省の監督のもとに実行されることを特に希望をいたしておきます。  それからしばしば問題になりました管理委員会の制度についてでありますが、これに簡単に反論をいたしておきます。社会党の諸君の方で、管理委員五人のほかに、公団理事長を加えて管理委員会構成するということはきわめて不合理であり、しかも法律の明文において、管理委員の資格要件として、公団役員または職員は欠格条項になっておるじゃないか、公団理事長は、もちろんこれは公団役員の大将でありますから、欠格条項にある理事長管理委員会に加わって、その構成員となること、きわめて論理的にも不合理である、こういう議論をされておるのでありますが、私どもはさようには考えません。管理委員会の職務は、第九条に書いてありますように、公団予算事業計画及び資金計画、さらには決算を議決するということになっておりまして、国会とか政府というように、公団執行当局を監督するという趣旨のものではございません。第九条に書いてありますようなことを議決するのが、この管理委員会の職責であります。そこで、先ほども申し上げましたように、しばしば議論になるような帝都高速度交通営団、それから日本住宅公団、こういうものに管理委員会の制度が設けられておりますのは、いずれも政府だけの資金によってやるものではありません。住宅公団においても、関係の都道府県がこれに資金を出して、住宅公団事業をやる部面があります。さらにまた帝都高速度交通営団においても同じであります。この首都高速道路公団においては、先ほど申し上げましたように、東京都の相当額の出資が行われておる。こういう場合においては、お互いその事業に対して出資をしておる部面の意見をこの運営に反映させるということは当然でありまして、この場合に、東京都の推薦により、また国の別個の立場において任命する、こういう二つのものが相集まりまして管理委員会というものを作るのであります。そういう意味において、お互い双方出資をしておるものが公団事業について発言をする、あるいはこれについて意見を述べるという機関が管理委員会の制度であります。そのほかに第三として、いわゆる理事長その他の公団の当事者がおるわけであります。この三者が相集まって公団事業計画、資金計画、決算あるいは予算というものを協議して、そうして公団の仕事をしていこうというのが、この管理委員会の制度でありまして、管理委員会の協議に理事長が参加するということは、全然矛盾をいたしておりません。公団役員または職員は、第十三条によりまして、管理委員としての資格はないのだということは、ただいま私が申し上げましたように当然なことであります。管理委員となるものは、出資者である国及び東京都、これから推薦されました人々が管理委員としてこの事業に参画するというだけのことでありまして、執行当局が管理委員になり得ないのは当然でありますから、欠格条項にいたしておる。ややくどく申し上げましたが、いかにもこの法律矛盾撞着を来たしておるような議論がしばしば行われましたから、私は明らかにいたしておきたいと思います。こういう意味において、法律の条文の構成からいっても、この首都高速道路公団法の案については、何ら異議をさしはさむべきものはありません。趣旨から申し上げても、私どもはきわめて適切なるものであるというふうに考えるわけであります。  ここで私は建設省、特に政府に対してものを申し上げておきます。  この仕事は、今申し上げましたように、社会党の諸君といえども趣旨においては御賛成であります。われわれも、適切なる趣旨であるということを申し上げましたが、実際問題として、人口稠密な東京都においてこの仕事をするということ、きわめて困難であります。困難ではありますけれども、きわめて急速に整備をしなければならないという重要な仕事でありますから、どうか公団理事長その他の役職員については、この近代的な道路政策を推進するについて最もふさわしい人を選んで、万遺憾なきを期してもらいたい。  第二には、しばしば当委員会においても議論がありました、陳情等もありましたが、この仕事をいたしますについては、関係住民との間にきわめて困難な状態が出てくると思います。国の大政策によって、また国民経済から必要だといって大事業をするわけでありますが、その必要性と、国の力によって関係住民を痛めつけないということが、最も政治家のとるべき態度でありますから、そういう面においても、いわゆる関係住民の利害得失、立場というものを十分理解をして、それを尊重しながらこの重要な仕事を進めるよう、十分なる指導と監督をしてもらいたい。  それからこの仕事をいたしますについては、しばしば問題になりますように、河川敷等を利用することになります。これは、先ほど申しました東京高速道路株式会社においてもしばしば問題になったのでありますが、そういう場合においては、水害あるいは火災等の問題にも触れて十分なる注意をいたしてもらいたい。  それから東京都の街路整備がきわめて不満足であります。事業の実施のやり方についても、きわめて問題を残す場合が多いのであります。現在あります街路の整備を急速に進めるということは、この高速道路を作る一環としてうたわれておりますけれども、街路の整備をないがしろにしておいて高速道路を先にやるということは、本末転倒であります。どうか一つこの点については、十分なる留意をしてもらいたい。  もう一つ、私どもがこの東京都内の街路の状況を見ておりますと、これは、しばしば従来から当委員会において申し上げておる事項でありますけれども、なおそれが実行に移されていない部面がある。最近においては、駐車場等の設備が順次進められつつありますけれども、こういうように国が心配し、あるいは国民全体が心配して貴重な投資をして道路を作っておりますが、その道路を、あたかも私有物のようにこれを占拠して、道路としての機能を害している部面が東京都内にはございます。特にひどいのは、自動車が多くなりますと、それぞれの場所において自動車修理工場が多くできておりますが、この自動車修理工場が、あたかも道路を自分の工場敷地のように使っているところが、都内においてたくさん見受けられる。こういう点を、道路行政を担当している建設省として等閑に付するということは、道路政策に熱心でないということを言われても、私は過言ではないと思いますから、一つ今後こういう点に特段の御留意を願いたい、これだけを申し上げまして、私の賛成討論といたします。(拍手)
  24. 堀川恭平

    堀川委員長 討論はこれにて終局いたしました。  これより採決に入ります。首都高速道路公団法案賛成の諸君は御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  25. 堀川恭平

    堀川委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、ただいまの議決に伴う報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  27. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律案を議題として審議を進めます。     —————————————
  28. 堀川恭平

    堀川委員長 この際お諮りいたします。本案につきましては、前国会におきまして提案理由の説明並びに逐条説明を詳細に聴取し、数次にわたり質疑を行なってきた法案でございます。つきましては、本案の提案理由の説明を聴取せず、直ちに質疑に入りたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 堀川恭平

    堀川委員長 異議ないものと認め、さよう決します。  質疑の通告がありますから、これを許します。山中吾郎君。
  30. 山中吾郎

    山中(吾)委員 整備委員会当局にお伺いいたしますが、臨時国会のときに、私の質問は、警職法問題のどさくさまぎれにしり切れトンボになっておりますし、なお当局の明確な答弁を得ないで終っている点、二点だけ御質問いたしますから、明確にお答えを願いたいと思います。  この法案の第八条に知事の許可事項がございますが、その許可事項の四号全体を見ますときに、これが運営についてもし誤まりがあるといたしますと、ほとんどあらゆる新設設備を許可することができるような、そういう拡張解釈ができる危険がございます。たとえば第一号の場合には、人口の増大をもたらすおそれのない場合知事は許可してもいい、これは当然なことでありますが、次の第二号の場合には、人口の増加はあっても、住民の著しい不便を排除することができる場合には許可してもいいということによって、一号のワクをはずしており、三号になりますと、今度は事業経営者に著しい不便のある場合には、新設を許可してもいいということで、一号、二号のワクをはずし、四号の、その他の政令で定める場合には許可をしてもいいということによって、一号、二号、三号のワクをはずすことができるようになっております。この点について、前の臨時国会で御質問を申し上げたのでございますが、こういうふうに一号、二号、三号、四号を並べることによって、次に続く該当事項によって前のワクをはずして、全体としては、解釈の仕方によってはほとんど全部を許可することができるような態勢になっておる。この点について、厳格な指導監督が必要だと思いますので、本法による制限施設の例外として、新設を許可する場合についての第八条の解釈について、当局の明確な御答弁をお願いいたします。
  31. 樺山俊夫

    ○樺山政府委員 第八条の許可の基準につきましては、ただいま御意見がございましたように、八条で例外の場合として許可をいたします場合を定めておるわけでございます。第二号、第二号につきましては、通産省あるいは文部省と十分打ち合せをいたしまして、この解釈を極度に制限をいたしまして、特に例外的な場合のみを許可するということで話し合いをいたしております。従いまして、この線によりまして法案が成立をいたしまして、実施をされます場合には、東京都に対しましてもその趣旨を十分徹底いたさせまして、この趣旨が緩和しないように、厳重な許可ができるようにしていきたい、かように考えております。
  32. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この法案の第一条の「大規模な工場、大学その他人口の増大をもたらす原因となる施設の新設を制限し、」これが目的であり主眼でありますから、そういう趣旨から言って、第八条の二号、三号、四号は、人口の増大のおそれがある場合でも許可することができる条項になっておりますので、今事務局長が言われたその精神を厳重になさらないと、この法案は完全なるざる法になる。そうして実際に実施されるときには、目的がほとんど骨抜きになるおそれがありますので、特に御注意を申し上げたいと思うのであります。  次に第二点を御質問申し上げますが、これは、前に御質問申し上げまして明確なお答えを得なかったので、念を押しておきます。第八条の第二項において、「知事は、第四条第一項ただし書の規定により許可又は不許可の処分をするには、あらかじめ、関係行政機関の長の承認を受けなければならない。」この条文に対して臨時国会で私お尋ねいたしました趣旨は、許可する場合については、関係行政機関の承認を得なければならないことはわかるのであるが、不許可の場合にまで関係行政機関の長の承認を得なければならないという規定はおかしいのじゃないか、知事は許可、不許可のどちらも関係行政機関の長の承認を得なければならぬということならば、知事は何もしないときだけ何もしなくてもいいということになる。そういうおかしい法文はないじゃないかと私御質問したのですが、明快な御答弁がなかった。それは、第四条の「工業等制限区域内においては、制限施設を新設してはならない。」という原則があって、その原則に対する例外として、第八条の各号に該当するときは許可をしていい、こういう法制になっている。従って許可をするときにだけ関係行政機関の長の承認を得るということはわかるが、不許可のときにまで承認を得ることはおかしいのじゃないか、こういう私の質問であるので、その点をお聞きいたしたいのですが、そのときの解釈は、第八条の四つの号に該当する場合は許可をしてもいいのだということになりますと、今度は反対解釈で、不許可をした場合にも、他の行政機関の承諾を得なければならないと解釈するのが正しいというような御答弁でございました。その点をもう一度権威的にお答えを願いたいと思うのです。
  33. 水野岑

    水野説明員 ただいまの御質問に対しまして、お答え申し上げたいと思います。第八条第一号の反対解釈といたしまして、許可の申請が許可基準に該当いたします場合には、知事が許可するかいなかは自由裁量できめていく、こういうものではございませんで、やはり一種の法規裁量行為と解釈すべきでございます。この点につきましては、法制局とも打ち合せをいたしたのでございますが、やはり法規裁量行為だ、こういうのが私ども解釈でございます。従いまして制限の範囲は、対象となる事業立場も十分考慮いたしますために、許可する場合のみならず、不許可にする場合につきましても、その事業を所掌する行政機関の長の承認を受けさせることによりまして、知事の法規裁量が法律の規定により限定された範囲内において行われる、こういうことを確保することといたした次第でございます。  ただいま申しましたような解釈でございますので、不許可にする場合におきましても、関係行政機関の長の承認を得させることにいたした次第でございます。しかしながら、ただいま山中委員からお話がございましたように、できるだけ許可しないでいくというのが立法の精神でございますので、その趣旨に即しまして、許可の場合におきましては厳重に審査をいたしまして、この法制定の目的を達成いたしますように、十分指導監督して誤まりなきを期していきたい、こういうつもりでございます。
  34. 山中吾郎

    山中(吾)委員 法制局その他の参考意見を聞いて、そういう解釈をされたのでありますが、私はその解釈には反対でありますけれども、一応法制局と相談しての解釈でありますので、お聞きをしておきます。  ただこの第四条の「制限施設を新設してはならない。」という原則のあとに、例外として許可事項があるのでありますから、不許可のときにまで、あちらこちらの行政機関の御承認を得なければ不許可できないというようなことでは、法律解釈は別として、政策的にみずから自縄自縛の状況になってしまって、再びこの目的を果しがたい結果になるのではないかとおそれますので、運営については、整備委員会並びに関係官庁の、建設省関係の主体性を確立するようにお願いいたしたいと思います。  以上で私の質問は終ります。
  35. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 関連して。この首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律案趣旨には、私は賛成なんですが、そこで建設省当局のあり方の問題についてお聞きしたいと思うのです。これは、当然都市の人口の構造を規制したり、媒煙から都民を守る意味で、工場その他のことの規制がされているのだろうと思うのです。従って、この点について私は賛成なんだが、時間がありませんから、具体的に例をあげて申します。聞くところによると、麻布三連隊か七連隊か知らぬが、何連隊かあったそのあとに、東大の生産何とか研究所というのを持ってくる。その予算が二億幾らかとってある。これは溶鉱炉を持っている工場です。こういう溶鉱炉まであるものを市街地の中へ持ってくる。あなたの方はすでに賛成しているということを聞いている。しているかいないか僕はわからぬけれども賛成しておるのだ、こう聞いている。そうすると、こういう法律を一方において出しながら、一方においてはそういうことに賛成している。建設省当局が賛成しなければできないことだろうと思う。一体こういう法律には、制限があり例外はあるだろうが、認めないということが原則だ。しかるに、溶鉱炉まである、煤煙を出すそういうものを持ってくるというのは、どういうわけですか。
  36. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 私からお答えいたしますが、御指摘になりました個所は、おそらく麻布三連隊の関係の、現在アメリカ軍に接収されておりまして、いろんな施設に使っておられる個所だと思いますが、あの問題につきましては昭和二十一年に都市計画の公園の地区として決定されておる地区であります。その後接収解除もありまして、最近国有財産審議会にかかりまして、これはどういう使途にしようかというふうな問題が議論されておるのでありますが、私ども結論から申しまして、まだどこに決定したという決定した方針はとっておりません。ただ指摘がありました、この既成市街地の抑制をする法律趣旨に抵触するではないかという御意見でありますが、趣旨全般から申しますと、私も確かにそういう意見も出るとは思いますが、この法律案の個々の条文から申しますと、これは学校とかあるいは工場の規制でございまして、ただいま問題になっております東大の研究所は、直接これに該当いたしませんから、この法律の適用にはならないのじゃないかというふうに私ども解釈いたしております。これは、首都圏事務局の方ともいろいろ御相談いたしておりますが、おそらくそういう解釈が出てくるだろうと思います。ただ精神の問題としては、都内に人口集中を伴うような施設はなるべく排除するということでございまして、そういう点からは問題があるとは思いますが、この法律自体には、直接抵触することはないと思います。聞くところによりますと、これは研究所でありまして、そう大した人数も伴わないのだというような説明も聞いております。詳細につきましては、私もまだ伺っておりませんが、いずれよく検討いたしまして、次の審議会までに態度を決定いたしたい、こういうふうに考えております。
  37. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今の御答弁だが、該当しないというのはどういうことなんですか。ここは溶鉱炉があるのです。従って非常な煤煙も出る。もちろん生産技術研究所は音響も猛烈に発する。あなたの方で見ているのかどうか知らぬが、こういう法律を出していながら、そういうものを市街地の中に持ってくるということ自体がおかしいじゃないか。しかも都内にあったものを外に出した、それをまた都内に持ってくるということはどういうことです。それで該当しないというのはどういうことです。やはり一種の工場じゃないですか、名前が違うだけじゃないですか。
  38. 水野岑

    水野説明員 ただいまの点でございますが、この法律の第二条三項、四項におきまして、制限施設の範囲を規定しております。この法律によりますと、工場の作業場と、それから大学または各種学校の教室で一定規模以上のものを制限していく、これがこの法律の制限対象でございます。大学の試験所、研究所を制限するということにはなっていないのでございまして、大学の教室を新増設するのを制限する、こういうような法律上の建前になっております。従いまして、この法律によりましては、大学の試験所、研究所を新増設するということは規制されていないのでございますが、この法律を制定いたしました精神からいたしますと、できるだけ試験所、研究所等の人口増加の原因になるような施設を東京都内の区域に新増設いたしますことは望ましくない、こういうようには考えておりますが、この工業等の制限の法律案におきましては、制限対象にはなっていないのでございます。
  39. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 時間がありませんから、これでしまいますが、次官にお聞きしておくが、とにかくこういう法律を出すことは賛成なんです。こういう法律賛成なんだが、そういう法律を出していながら、それは規定に触れないけれども、東大なんだから、実態はまさに学校であろうと思うんだ。それでたくさんの人が来、大へんな騒音、煤煙等を出しているということになると、法律趣旨ではなくて、そういう実態に対してあなたの方で賛成なさるのか、賛成しないのか。一たん外に出したものを都内に持ち込んでくることに対して、この法律趣旨からいけば、こういうものに対しては賛成でないのがほんとうじゃないかと思うのだが、規定にないから差しつかえないというならば、試験所でどういうことをやっても許可するのか、この点を伺っておきたいと思います。
  40. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの問題につきましては、私どもつい最近耳にいたしたことでございまして、詳細がわかっておりませんが、今政府部内で話し合いをいたしておりますから、もう少し答弁を留保さしていただきまして、御了承いただきたいと思います。
  41. 東海林稔

    ○東海林委員 時間がありませんので、簡単に三点ばかりお伺いします。第一は、本法案首都圏整備法の第二十七条に基いて提案された、こういうふうに考えるわけですが、私はどうして今までこういう法案が提案されてなかったのか。これだけおくれてきているのか。まずこの点がわからないのですが、法案の立案の手続の問題なのか。特に何か理由があるのか、そこを一つ伺いたい。  第二点でありますが、参考資料によりますと、十カ年計画によりまして、全体の予算が一兆一千七百五十億ですか、国費の分が二千二百十四億、こういうふうになっておるわけですが、三十三年、三十三年の実績を見ますと、きわめて少額なんです。今後一体十カ年計画を完全に遂行できるような予算的な見通しがあるのかどうか、この点を伺いたいのであります。それに関連しまして、これはほかの仕事と違いまして、十カ年計画で、あとで予算をよけい組んでいくのだというお考えかもしれないけれども、それだと、人間がふえてしまった後に仕事をやっただけでは、既成市街地の人口を抑制して、新しい周辺都市に持っていくということは実際上行われないのではないか、そういうふうに懸念しますが、その点の関連において、今の点を御説明願いたいと思います。  それからもう一つは、基本計画によりますと、市街地開発区域において、昭和五十年度までに二百七十万人を新しく開発地域に収容する、こういうことになっておるのですが、今までの指定済みのものは、千葉、大宮、八王子、相模原、四地域、さらに今予定地として平塚、熊谷、深谷地区、高崎、三地区をあげておるわけですが、これだけで二百七十万の収容ができるという考えなのか、それともさらに新たな地域考えておるのか、その点を一つ伺いたいと思います。  以上三点です。
  42. 樺山俊夫

    ○樺山政府委員 ただいま御質問の第一点でございますが、この法案は、もう少し早く出した方がよかったのじゃないかという点につきましては、実はこの法案は、工場と学校の新設を制限する法案でございます。従いまして、制限するだけでは、東京都に入っていきたいという工場ないし学校の措置が不十分でございますので、それを収容いたします用地を他に作ってやるということが必要でございます。従いまして、先ほど御質問の第三点でお話しになりましたように、衛星工業都市をすみやかに育成強化いたしまして、それの受け入れ態勢を作りましたあとにおいて、それと見合ってこの制限法を出すというのが至当でございますが、たまたま衛星工業都市もだんだんそれが進んで参りましたので、この機会にこの法律を出しまして、両々相待って効果を発していくということで提案申し上げたのであります。  それから第二点は、全体の予算といたしましては、ただいまお述べになりましたようなわけでございまして、三十二年度、三十三年度は、全体計画から見まして、必ずしも多い金額ではございません。大体の達成率を申しますと、十カ年計画の中で、三十二年ないしは三十三年分事業の進捗率は大体七割程度、一年に割りますと十割でありますが、大体七割程度の進捗率を示しております。それから明年度三十四年度には、大体全体計画の一年度分に見合います額に近い額の予算が、話がついておりまして、大体三十四年度からは、十カ年計画の一年度分の進捗に見合う仕事ができる見通しでございます。  それから第三の衛星都市の建設の問題でございますが、ただいまお述べになりましたように、二百七十万の人口を吸収いたしまして、これを定着させるという方途でございまして、ただいまお述べになりましたような都市をとりあえず考えておりまして、着々それの育成を進めておりますが、私どもといたしましては、大体一都市十万程度の衛星工業都市を作るという構想でございます。従いまして、二百七十万を収容いたしますためには、二十七ないし三十程度の衛星工業都市を作って育成していきたい、こういう計画で進めております。
  43. 東海林稔

    ○東海林委員 ちょっと今の最後の点ですが、二十七くらいやりたいというのに、今七つですが、そうすると、ごく最近に具体化されているような、予想されている地域がありますか。
  44. 水野岑

    水野説明員 ただいまお述べになりました候補地のほかに、たとえば太田地区とか、そのほか二、三の個所につきまして調査を進めておるという段階でございます。先ほど申しましたように、昭和五十年までに約三十ばかりの衛星都市を指定して育成をはかりたいと思っておりますが、これは昭和五十年まででございますので、ここ当分の間は、十カ所あるいは十数カ所程度指定をしていく、こういう考え方でおります。
  45. 堀川恭平

    堀川委員長 他に御質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 堀川恭平

    堀川委員長 なければ、本案に対する質疑はこれで終局することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議ないものと認め、質疑は終局いたしました。  これより本案の討論に入ります。  討論の通告があります。これを許します。山中吾郎君。
  48. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。  御承知のように、東京を中心とする首都圏既成市街地に対するところの人口過度の集中は、年々とどまるところを知らず、このために、東京の都市機能は麻痺寸前にあるといっても過言ではないと思うのであります。これが対策については、首都圏整備法に基き、首都圏整備計画が立てられ、種々の事業が行われておるのでございますが、根本的には、人口集中の根源を抜本的に取り除くことが必要であると思うのであります。この観点からして、本法案目的とするところ、多数の従業員あるいは学生を誘致するような大工場、あるいは大学等が既成市街地内に新設されることを抑制しようとするものであって、人口集中の根源を取り除く方途として、必要欠くべからざる措置でありまして、かかる観点から見て、本法案に基本的に賛成するのでございます。  しかしながら本法の運営について、果して有効適切にその目的を果し得るかいなやに二、三の疑点がありますので、次の二点だけ意見を申し述べまして、本法運営に万遺憾なきを要望するのでございます。  その第一点は、本法案第四条ただし書きにより、東京都知事の行う新設の許可についてであります。すなわちこの法案第八条に示される基準に基いて、人口の増加をもたらすおそれのない場合、及び人口の増加をもたらすおそれある場合でも、特別の事情ある場合等四つの条件に該当する場合には、知事は制限施設の新設禁止の規定に対するただし書きの運用によって、新設の許可ができるようになっておるのでございますが、同条に示される基準はきわめて抽象的な表現をもって示されておりますし、かつ客観的、合理的に判定を下しがたい基準もあり、その運用いかんによっては、ただし書きによって許可されるケースが非常に多く、また情実許可あるいは政治的許可等の不正または不当な許可が行われる危険があり、いわゆるざる法と化してしまうおそれなしとしないのであります。このようなことの起らぬよう、東京都知事のただし書き運用については、第八条に規定する各号の許可の具体例を明確に指示する等の行政指導によって、十二分の監督を行なって、法の効果をそこなうことのないように万全の措置をとることを要望いたします。  第二点は、本法の執行に当っては、さきに制定せられた首都圏市街地開発区域整備法による衛星都市の育成と相待って、初めてよく首都圏既成市街地への人口増加の防止の目的を果し得ることを忘れてはならないと思うのであります。本法案による措置は、それが的確に行われますならば、人口増加を抑制する措置として相当の力を発揮するであろうことは言うまでもありません。しかしながら、真に首都への人口の過度の集中を防ごうとするならば、本法の規定する今後の誘因増加を押える消極的対策のみでは不十分でありまして、本法案による措置とあわせて、さきに成立した首都圏市街地開発区域整備法の規定による市街地開発事業を推進し、衛星都市の育成を行う等、積極的対策を推し進めて、すなわち工場等の施設が既成市街地に入らなくとも成り立ち得るような前提条件を整備するとともに、さらに既成市街地における既存の施設が進んで外ヘ出ていけるような方途を講ずることが必要であります。すなわち本案による制限施設の新設抑制と、首都圏市街地開発区域整備法に基く新都市造成事業とを、総合的、有機的に推し進められ、首都への人口集中を合理的、根本的に解決することに十分配意せられたいと存ずる次第であります。  以上申し述べまして、本法運営上の留意すべき事項を要望いたしまして、本法案賛成の意を表するものであります。
  49. 堀川恭平

    堀川委員長 討論はこれにて終局いたしました。  これより採決に入ります。首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律案賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  50. 堀川恭平

    堀川委員長 起立総員。よって本案は原案通り可決すべきものと決しました。  なお、ただいまの議決に伴う報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議ないものと認めます。よってさよう取り計らうことにいたします。     —————————————
  52. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、都市計画に関する件につきまして調査を進めます。  当委員会は、本件に関連いたしまして、練馬区における送電線新設問題につきまして、去る二月二十五日現地調査をいたしてきたのでありますが、本日は、さらに参考人といたしまして、東京電力常務取締役吉田確太君、同取締役水野久男君の両君及び通産省三谷昇施設課長の出席を願っております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中のところ、当委員会のためにわざわざ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。委員一同にかわりまして厚くお礼を申し上げます。どうか忌憚ない御意見の開陳をお願いいたします。  それでは、これより本件につきまして、政府当局並びに参考人に対し質疑を行います。三鍋委員
  53. 三鍋義三

    ○三鍋委員 特に参考人の方に、大へん時間がおくれまして恐縮でございますが、なるべく要点を集約いたしまして、この問題に対するところの御所見を承わりまして、何らか解決のめどをきょうつけることができれば非常に幸いだ、このように考えるものであります。  最初に通産省の三谷さんにお尋ねいたしますが、このたび東京電力が新たに野方送電線を計画いたしまして、これに対して電気事業法によって許可申請をしてきたのでありますが、これに対しましてあなたの方は、三十二年九月四日に許可をしておるわけであります。そこで今問題になっておる点で、私たちも、これは何とか十分考えて見るべきではないかと思われる節がたくさんありますので、私はしろうとでございますから、十分理解できない点もあるのでありますが、これを一つ通産省の立場におきまして、今日に至ったいろいろな法的立場、またこういった問題を処理していかれる上におきまして、どういう立場に立ってこの許可をなされたか、これを、要点でよろしゅうございますから、御答弁願いたいと思います。
  54. 三谷昇

    ○三谷説明員 今御質問ございましたことにつきまして、御答弁申し上げます。まず許可のことでございますが、現在電気に関する臨時措置に関する法律というのがありまして、それによりまして、旧公共事業令の例によりまして、電気事業者が電気施設を作ります場合には、許可を受けることになっております。その許可の手続につきまして、大体電圧の高いところのものにつきまして、本省で所管いたしております。それから今問題になっております野方線のような低い電圧のものにつきましては、各地方に通商産業局がございますから、その方に一応委任してありまして、そちらの方で許可をいたしております。本件につきましては、今お話のございましたように、東京電力から東京通産局の方に申請がございましたが、これは、公共事業令の規定の定めるところによりまして、去年の八月に聴聞会を開きました。この聴聞会につきましては、一般からの利害関係者の参加もございませんで、当事者だけが出て参りました。当事者と申しますのは東京電力でございますが、それ以外は参加がございません。別段異議はございませんので、いろいろ審査をいたした結果、当方でも差しつかえないということで、東京通産局におきまして、三十三年の九月に許可になった次第でございます。これを公共事業令の規定によって許可するわけでございますが、許可の審査内容は、やはり規定にございまして、これが一般の福祉に有効であるかどうか、あるいは財政上そういうことをやる能力があるかどうか、あるいは施設が過剰でないかどうか、そういうような点を審査いたしましてやっております。そういうようなわけで、現在においてこの許可をいたす場合には、この公共事業令の規定が適用になるわけでございます。まず許可の基準といたしましては、公共事業令で、一般の需用にその計画が適合しているかどうかということが第一の対象になります。そうしてそういう送電線を作ることが、一般の利益になるかどうかということが次であります。それから三番目は、そういう計画を遂行する能力、すなわち財政的その他の能力があるかどうかということが審議されるわけでございます。そういうようなわけで許可になります。現在から振り返りまして問題になりましたので、私の方からも、本省の方で通産局の処分をもう一ぺん聞きまして、調査したわけでございますが、本計画につきましては、やはり妥当な計画である、こういうふうに感じておる次第であります。
  55. 三鍋義三

    ○三鍋委員 それぞれの手続をとって、終局的には妥当であるという御見解のもとに許可された、こういうわけでありますが、まあそういうことでしょう。しかし今お述べになりました聴聞会をお開きになったときに、事業を遂行していく上において一番対象となされる方々が参加していなかったということは、一体どういうことなのでしょうか。問題は一番これらの人々にあると思うのに、それらの人々が参加されていない、そういう聴聞会は、ほんとう意味の聴聞会にならないと思うのであります。知らせたけれども、参加しなかったことになっておると思うのでありますが、その知らせ方は、どれほど徹底してお知らせになったか、どこか役所の片すみに公告でもされてやられたのか、これらの利害関係者のそれぞれのうちへ、何かそういう書面でもお出しになって、その上で参加しなかったのか、そこら辺のところを、私やはり明確にしてもらいたいと思うのです。えてしてこういう場合に、形は一応公告した、公示したという形をとっているけれども、実際においてその当事者にわからないといったようなやり方に結果的になる場合が非常に多いのでありまして、この点、一つどういう方法をとられたか明確にしていただきたい、こう思うのです。
  56. 三谷昇

    ○三谷説明員 聴聞につきましては聴聞及び異議申立規則というものがございまして、その手続によってやっております。聴聞は、大体役所の方で審査いたしまして、一応許可してしかるべきと考えた場合に、さらに一般の利害関係者から意見があるかどうかということで聴聞を開くわけでございますが、これにつきましては、その規則に基いて、個々については通知はお出しいたしておりません。官報に公告をいたしまして、それと役所に公告——これは通産局及び通産省の方に、全部通産局の案件につきましても公告をいたしております。そういうような形で聴聞をやっております。
  57. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 関連してちょっとお尋ねいたします。聴聞会が開かれた、ところが一方の関係者が出席しておらなかった、こういうことが今三鍋委員質問でわかったのですが、そこで通産省にお尋ねします。こういう聴聞会を開くのは、許可するために形式的に開くのか、それとも利害関係者にあくまでも理解し納得してもらうために開くのか、聴聞会を開く趣旨はどこにあるのですか。
  58. 三谷昇

    ○三谷説明員 聴聞会を開きますのは、従来ですと、こういう処分は、役所側で妥当と認めれば、そのまま処分したわけでございますが、この公共事業令ができましてからあとは、さらにもう一ぺん役所側が反省をするという意味で聴聞会を開いておりますので、その前に、役所側としては許可してしかるべきだという意見を一応持っているけれども、さらに反省すべきかどうかという次第でやっておる次第でございます。  それからもう一言、聴聞会につきましては、今言うような手続で大体やっておりますが、各方面一般の場合には、割合参加者は非常にございませんのが実情でございます。
  59. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 あなたの方は許可していいと思うけれども、いろいろ利害関係があるのだから、その皆の意見を聞こうという建前で聴聞会というのは開かれているわけなのです。ところがその個人の利害関係者へどういう方法であろうとも通知せずに、ただ聴聞会を開くということを告示するなり何なりして、それで開いたら、片方は来ていないから、それでもうこれは意見はないのだ、こういう建前は、聴聞会を開くという趣旨に対してあなた忠実だと思われますか。これが、こういう形でいいと思われますか。
  60. 三谷昇

    ○三谷説明員 私ども担当者といたしましては、規則に従ってやっておりますので、それ以上規則の内容がいいかどうかは、ちょっと担当者としてお答えしかねると思います。
  61. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 課長であろうとも、あなたの判断が、問題を円満に解決するか紛糾するかになってくる。それならば、あなたはそういう趣旨を体していくことが正しいのではないか、こう思うのであって、役目だから開いた、開いたら集まらなかった、それで意見はないものだと思ってやったということなのか。あなたの課長さんとしての職務に対する忠実さというものが疑われる。なぜそういうことに対して、もっと手をつけておやりにならないのか、もう一度お尋ねいたします。
  62. 三谷昇

    ○三谷説明員 聴聞会の参加者につきましては、たとえば料金関係の問題のようなときには、非常に参加者がございますが、施設関係につきましては、特殊な地域について反対があるような場合には参加を申し出られる場合もありますが、大部分の場合には、参加者がほとんどない状態が通例でございます。
  63. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、聴聞会を開いたけれども、集まらないから、これは意見はないものとして、その実施に対しては許可をした、こういうふうに解釈していいわけですか。
  64. 三谷昇

    ○三谷説明員 聴聞会を開きましたが、特に聴聞会の結果、新しく役所側として反省すべき意見がなかったから、従来いいと思っていたその線に従って許可した、こういう形でございます。
  65. 三鍋義三

    ○三鍋委員 課長さんは、なかなか苦しい立場におられます。ここに私はやはり問題がある、一番大事な対象をはずしてやっているんですからね。今あなたは、役所に告示して、官報に載せたとおっしゃったけれども、私たち自体が官報を読むということは、よほど必要な場合でないとあまり読まないのです。まして農村のお百姓さんで官報や何かを読まれる方は、非常に特殊な方だと思います。それから現在役所は、相当に民主化されておりますけれども、やはり農村の人からいうと、役所というものは何かまだ敷居が高い、そういう気持を持っているのです。そういう入りにくい場所に公示されまして、一応皆がわかったという建前をとって、一番問題になる立場の人がだれも来ていないものをもって異議がないのだ、こういう御判断で仕事を進めていかれるところに、あとからのっぴきならない問題が出てくる、これが現実の姿だと思います。  それから今公共事業令のいろいろの項目をお述べになった中で、やはり対象になる立場の人々のことを何もおっしゃらなかったのですが、これは、全然そういう項目の中に入っておりませんか。
  66. 三谷昇

    ○三谷説明員 許可の方は、施設の許可でございまして、さらにそれに対する通過地の人に対してどう対処するかということは、許可のあれでは、直ちに許可の対象になるものではございませんで、その計画がよろしいかどうかということが対象でございます。それを対象にして許可をしていく。そうしてそのあと、その計画に従って電気事業者がさらに実施を進めていく、こういう形になります。
  67. 三鍋義三

    ○三鍋委員 そうすると、あなた方の立場は、計画が妥当であれば、それによっていろいろと被害を受けたり、いろいろなめんどうな立場になる方々のことは全然考えないのだ、とにかく事業計画が妥当であるかどうか、こういうことだけに立って判断されるというわけなんですね。
  68. 三谷昇

    ○三谷説明員 ちょっと私の言葉が足りませんでしたので補足いたしますが、計画ということにつきましては当然ここで工事計画ということで、その工事に伴って土地が取得されるということになりますが、その土地の取得の仕方はどういう形でするかということは、許可の対象にはしていないわけでございます。従って、その土地の取得が話し合いがついて円満に行けば、それでいいわけでございますし、話し合いがつかないで、さらにそれが土地収用法なりなんかになるということになれば、今度は土地収用法の方で、それが妥当かどうか、御計画の変更があると思います。
  69. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 三谷さんにちょっとお伺いしておきます。今その許可の条件で、いろいろせっかく御説明がありましたし、なるほどそういうことだと思います。そこで、計画が妥当であればという場合に、今問題になっておりますのは、具体的な手続なんかここで議論したってしょうがないが、全体にそれほど問題になっておるようではありません。そこで、あそこに既設のたくさんの高架線がありますが、その中に、またまん中を通るような高架線ができる。それが反対の大きな原因のようでありますが、そういう場合に、いわゆる高架線で通した方がいいのか、あるいは地下ケーブルで通した方がいいのか、あるいはその下におる住民、土地等の利用というものについてどういう路線をとった方がいいものか、こういう点も、私は計画内容に入るのじゃないかと思うのですけれども、そういう点についてはどうですか。
  70. 三谷昇

    ○三谷説明員 今おっしゃいました通り計画といたしましては、そういうことが対象になります。この場合に、そこを高架線で通すのがいいか、ケーブルでやるのがいいかという問題になりますと、高架線とケーブルの問題は、高架線の方が一般的に非常に値段が安いのであります。そういうわけで、できる限り高架線をやるのが好ましい計画でございます。ただし都市の周辺の場合には、高架線を通せるかどうかということが一つ、さらにその土地に高架線を通す場合に、当然やはり通過地に対する補償の問題が対象になると思います。
  71. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は、こういう方面は全然しろうとでありますから、議論じゃありませんが、今のお話ですと、簡単に申し上げますと、高架線が非常に安いから、できるだけ高架線という計画なら非常にいいのだ、こういうお話のように承わったのです。しかし下に土地を持っている、あるいは家があるとか、問題は土地の利用をどうするかという点が非常に重要だと思うのですが、そういうことは頭からなくて、高架線が安いから、その計画ならば計画としては最上のものである、こういうふうに簡単に片づけられていいのですか。
  72. 三谷昇

    ○三谷説明員 ちょっと説明が足りませんでしたが、これは線路自体だけを問題にいたしますと、ケーブルと高架線ということになると、高架線の方が非常にけた違いに安くできますから。都市の周辺で作る場合には、そのほかに土地の問題が入ります。従って当然その土地の上を通る、その土地のある使用法が妨げられる、従って、それに対して相応の補償をしなくちゃいけないという問題があるわけでございます。従って、そういうものを勘案して一応工事計画がきめられる。その場合に、たとえば極端な例を申しますと、この付近に送電線、架空線を作るということになると、既設の家が立っております。この家をのけないと架空線が作れないわけであります。そうすると、その家をのけるためには、相当の補償が当然必要になって参ります。そういう場合には、やむを得ずケーブルという計画になる。と申しますのは、架空線にいたします場合には、架空線から他に及ぼす障害及び他から架空線に及ぼす障害、それぞれを保護するためにクリアランス、ある幅をとらなければならぬ、こういう問題があります。そういう点について検討を進めなければならない、こういうことになります。
  73. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 仕事をする場合には何でも安くていいのができるというのは、いかなる場合でも一つの原則であることは当然であります。こういう場合に、土地の補償問題の起るのは当然だと思います。日本のように非常に土地の狭いところ、地上を大いに利用しなければならない、こういう場合に、送電線とは違いますが、市中の電線なども、ああいうふうにたくさん電信柱を建てて、クモの巣のように引っぱるということは、特に近代的な都市を作るときには、そういうことは頭から考えないというのが原則じゃないか。安い高いというのは、その次の問題じゃないかというようにわれわれは考えておるのです。こういう狭い国で、クモの巣のように張ってしまって、土地が十分利用されないというようなことは、私はいいことじゃないと思うのですが、そういう点については、従来は何も判断の材料にしておられないのですか。
  74. 三谷昇

    ○三谷説明員 結局ケーブルにいたしますと、架空線に比べて非常に建設費が高くなって参ります。そのほかいろいろ問題がありますが、一番大きな違いはその点でございます。そういたしますと、そういう高い投資をしなければ電気が送れないということになれば、それだけまた電気を起すコストが高くなって参ります。従って電気料金がそれだけ上って参りますので、結局両方考えまして、電気の使い道は、世界どこでも、できる限り架空線でできるところは架空線でやっております。外国におきましても、都会の中でも、架空線ができるところは架空線でやっております。ただし特別高圧のようなものは、その下に、先ほど申しましたような見地で、あるクリアランスを設けなければいけないということになりますので、そういう特別高圧のような線は、都会の人口稠密なところでは架空線を作らさないでケーブル化さしております。そういう点で、人口稠密な地帯では、架空線は認めないでケーブルにいたしております。
  75. 三鍋義三

    ○三鍋委員 先ほどの課長さんの御答弁によりますと、とにかく公共事業令に適応しておるかどうかということを主眼として、それに適応しておれば許可するんだ、こういうことだと思いますが、あとのことはまた建設省関係になって、そして土地収用法その他の問題で、住民と事業家との直接の問題になってくるのだ、こういう御答弁だと思うのでありますが、そうすると徳安さん、これはあなたの方で、もう一ぺん念のために通産省へ、適切かどうかということをお聞きになって、慎重にお取り計らい願ったようでありますが、これは、全然問題にならぬことを念のためにお聞きになったと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、向うさんにすれば、もうすでに建設省の方に所管を委譲してしまったというような気持でおられるようでありますが、こういう点の関係は、どう処置していけばいいのでしょうか。
  76. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいま説明を聞きまして、私どもも少し驚いた点もあるのですが、いずれにいたしましても政府部内の問題でもございますから、通産省の方と私の方と一ぺん話し合いをしてみたいと思います。結局先般申し上げましたように、跡始末を建設省がせなければならないようなことはまことに迷惑千万であります。でありますから、私は先般申しましたように、東京電力にも、こういう線をする場合には、初めから私の方にも相談して、この場所には将来の都市計画的見地から架空にすべきか、あるいは地下にすべきか、あるいはまた他の方法をとるべきかというようなことを考えてから処置すべきでありまして、八分通り九分通りできた。あとがとれぬから土地収用法でとれるようなものに判を押せというのでは、建設省としては迷惑でありますから、最初からそうしてもらわなければならぬということを先般会社にも申したような次第でありまして、先ほど通産省のやっておられることを聞いておりますと、これは政府部内のことでありますので、意見を今後調整しますとか、これから通産省にも話し合いをいたしますが、少くとも地元民の利害休戚を考えて処置してやらなければならぬと思うのであります。これは、一方は公益事業でありますから、全部が全部地元民の満足されるようなことはできないまでも、少くともこういう案件に理解を持たせながら、そのしわ寄せをただ近所のものだけにさせるという行き方はいい政治じゃありません。でありますから、一ぺん私どももよく通産省と相談いたしまして、そして先ほどのお話のように、公聴会を開くにいたしましても、これに利害を持つものに周知徹底さして、初めて公聴会を開いて、その意見を求めるべきでありまして、そうでない方法で、一人も出なかったから、それでよかったと思ってやったのだ。しかもやったあと、どうもうまくいかないから土地収用法でうまくやってくれというようなことは、役所としてもあまりかんばしいことではないと思いますが、そういう実態が今日明らかになったことは、仕合せだと思いますから、ほかにもそうした例があってはいけませんから、さっそく通産省と話し合いをしたいと思います。
  77. 三鍋義三

    ○三鍋委員 ただいま政務次官から、まことに責任ある立場で明快な御答弁を願って、私満足しております。そして会社側の常務さんの吉田さん、水野さんにお尋ねするのでありますが、あなた方はあなた方の立場で、それぞれのお考えのもとに事業遂行の努力をされていることはよくわかるのでありますが、私たち当建設委員が、十名近く現地を視察したその感じから申し上げますと、こうなんです。武蔵野変電所が頭の上にあるわけなんです。そして左の方に南葛線、板橋線が二本高圧線がいっておるわけです。右の方には北多摩線と高井戸線がいっておるわけです。頭の上に変電所があって、高圧線が二本からだの周辺を流れておるわけなんです。そして、ちょうどその胸のあたりを国鉄の高圧線が通っておるのです。これは大へんなことです。私は、これだけですでに土地所有者、ここに住まいしておられる方からいえば、生命線を断たれておる形だと思うのです。もう動きがとれないようになってしまっておる。それを、もう一つ頭のてっぺんの変電所から心臓の上をまっすぐに突き切ろうというのです。そして、この用地関係事業遂行過程を見ますと、大体において承諾を得ておられるようです。これは非常に巧妙な、会社側からすれば非常に能力のある社員の仕事で、そういう形において遂行されておるのです。各戸に、部分的に承諾させて、どういう方法でやられたか、これは私はわかりませんが、承諾させられておるのです。そうして今申しましたところの、最後のところにいって、どっこいそうはいかないというところにこの問題があるのであります。私たちの言わんとしておることは、当然あなた方のお耳にも入っておりましょうし、先ほどから通産当局の御答弁によりましても、この問題はそう簡単に片づかないということは、おわかりだろうと思うのでありますが、やはり電気事業は公益事業でありますから、コストが高くなれば、それがまた消費者に高くいくという建前から、できるだけ安くしていかなければならぬという気持はわかる。だから、一キロ約三千万円くらいでできるだけやりたいでしょう。しかし、こういった場合は特殊な場合でありますから、これは大体二キロくらいだと思うのです、何とか地下ケーブルにならないものでしょうか。現に練馬の方は住宅があるから地下へ通っておるわけです。これは、今住宅はそうありません。ありませんが、緑地地帯に指定されておりますから、そう簡単に住宅は建ちません。しかし、これは将来どんどんと住宅地になっていく可能性があるのです。これによって、どっこいそうはいかないといった形になっておるところに、住民の納得のいかないものがあるのです。先ほど申し上げましたからだの両側、そうして胸で切られて、また頭のてっぺんから心臓部を通して縦に切ろうとしておる。このクモの巣のように切られておるところのこの部分だけでも、せめて地下ケーブルにならないか。それくらいのことはわかっているけれどもやらない。それをやると、全部地下ケーブルを要望された場合は、とても公益事業として成り立たない、こういう御答弁になるんじゃないかと思うのですが、私は、そうでない、特殊な事情にあるんだ、特殊な地域である。これだけは地下ケーブルにやっても、他に影響を与えないんじゃないか、こういう見解を持っておるのでありますが、これに対して御所見を承わることができれば幸いであります。
  78. 吉田確太

    ○吉田参考人 ただいまのお話は、私の方の送電線を作るにつきまして、皆様にいろいろと御迷惑をかけまして、これは万々承知しております。特に二キロの地域を、特定の地域だからケーブルにしないかという御質問でありますが、一度ここで、非常におわかりにくいかと思いますが、ごく簡易に御説明申し上げますが、六万ボルト、十五万ボルトという電圧の高い送電線を作ります場合に、皆さんに電気を御供給申し上げる場合の電気の量というようなお話でなくて、電気の技術の本質の中にむずかしい課題を実は持っておりまして、送電線が、変電所から変電所までいくのに、できますことならば全部が架空線か、そうでなかったらば地中線であるのが、電気のそういう設備を運営しますのに事故が起りにくいというような本質を持っておりますので、送電線は、途中にケーブルがあり、また架空があり、またケーブルがあり架空がありというのは、諸外国でも研究を重ね、日本でも研究を重ねておりますが、できますことならば、これはケーブルそれ自体の特性と、架空線の単純な特性との正反対の性質を持っておりますので、これはずいぶんわれわれも研究を重ねてきております。そうしてこういう送電線で末端の皆様にお送り申し上げる場合に、これを回路といっておりますが、そういうものが複雑になった場合の運営をうまくやりたいと、皆と研究を重ねて、これが保護装置のようなものをずいぶん研究しておりますが、できますことならば、この場合の実例で申しますと、人家が現在あります練馬の付近、これも実はやりたくないのでございます。それから先まだ六万ボルトの架空線につながるのであります。そうして変電所から出まして架空線—ケーブル—架空線—ケーブル、こういう回路は、実は非常に困っておる問題で、電気技術者としてこれは諸外国で、特にドイツではそれを研究しておりますが、日本もおくればせながら研究して、これの解決に努力しておりますが、たとえば架空線に遠方から雷の誘導がある、こういう場合に、ケーブルが非常に災いをいたすのであります。そういう点で、できますことならば、こういう送電線は単純にケーブルか架空か——こういうことを実は申し上げて説明をお聞きとり願うのは、われわれ技術の社会の話なんでございますが、そういう点を本質的に持っておりますので、その点、特に御理解願いたいと思います。  それから、これは先ほど私がお答え申し上げましたのを、そちらさんでお返事していただいたような形で、この場合約二キロと架空線との差額というのは、一億数千万円かと思います。それで、この場合は特定だということを、東京都全部の人が了承して下さればけっこうでございますが、これが事例になりますので——というのは、これ以上まだむずかしい場所を昨年の暮れにも、架空線を改造いたしまして、ケーブルにしないでやらしていただいて、やっと昨年末の東京の武蔵野地区の電力の供給をやってきましたので、まことに申しわけございませんが、まげてこの点を、現在緑地帯のあいているところを使わしていただきたい、かように申し上げます。
  79. 三鍋義三

    ○三鍋委員 ずいぶん専門的な話になりまして、そういうことになりますと、私たちは全然わからないのであります。しかしそうであればあるほど、こういうわけだということを、直接の利害者に十分納得させる、そういう会合といいますか、そういう話し合いというものをどれだけなされたかということに、私は問題があると思う。納得の上においてやるということが、初めは非常に時間がかがるようでありますけれども、結局早く事業ができるのであります。  それからもう一つ、私、理解しがたいのでありますが、現在よりももっと条件の大きな影響を与えるところでも、高架線でやらしてもらった事例も昨年末にあるから、今度も何とか、こういうのでありますが、そこら辺のところになると、非常に微妙な問題になってくるのでありますが、たまたまこういうことが私たちの耳に入ったから、私たちは取り上げるのではなくて、やはり土地収用法の第一条、第二条の規定におきましても、個人の所有権というものを非常に尊重しておるのでありまして、そういう観点から考えまして、多少今お金がかかりましても、私はそういう無理なことを申し上げておるのではありませんので、この二キロの特殊な区間だけ、技術的ないろいろな問題があるようでありますが、何とかしてあげていただけないか、これが土地収用法の目的にも合するのではないか、こういう考え方に立っておるのであります。  そこで、政務次官にお願いしたいのでありますが、だいぶ時間も経過いたしましたし、私たちの考えていること、要望していることを、あくまで土地収用法の立場に立って、また公益事業という立場に立っての両方とも納得のいける、そういう線が何とか出ないかというのが私たちの主眼でありますので、何とかこれらの私たちの委員会において取り上げている問題の趣旨を十分おくみとり下さいまして、関係当局、通産省、そうして電力会社、そうして建設省、ここらあたりで、当委員会の要望している、考えている点をまとめていただけないでしょうか、一つお願いしたいのですが……。
  80. 徳安實藏

    徳安政府委員 今のお話でございますが、政府部内の問題につきましては、私どもがこれからよく相談いたしまして、調整をはかって、お答えできるようになろうかと思います。ただ一たん出願に対して許可したことでありますので、先般も大臣と相談して、これは取り消しはできぬかという露骨なお話もございましたけれども、それは一応今日のところではできませんという御返答を申し上げたわけでございますが、行政的な措置によりまして、お互いに話し合いが円満にいく道がありますれば、私が多少自分らの権限を逸脱する問題でございましても、両方が納得がいって満足がいける方法がございますれば、なるべく骨を折りたいと考えておりますが、一応これは、大臣とも相談せんければなりませんし、また通産省の方とも一ぺん相談し合いまして、後ほど御返答申し上げることにいたしたいと思います。
  81. 木村守江

    木村(守)委員 関連して。ただいま電力会社の吉田さんから、技術的ないろいろなことを拝聴いたしましたので、これらの問題に関連いたしまして、私は通産省の三谷課長にお伺いしたいのですが、三谷課長は、現場に行って見たことがあるかどうか、現場の状態を御承知かどうか、まずお伺いしたい。
  82. 三谷昇

    ○三谷説明員 本件は、先ほども申し上げましたように、処分は東京通産局でやっておりまして、私どもの方へは最近になりまして参りました。私自身は、まだ現地に行っておりませんが、私の課の課長補佐に現地を視察させました。
  83. 木村守江

    木村(守)委員 そうしますと、その聴聞会の様子も、結局直接の関係者は、これに参加してなかったということもお認めになられますか。
  84. 三谷昇

    ○三谷説明員 聴聞会の方も、主催いたしましたのは、やはり東京通産局の方でやっておりまして、本省の方では行っておりません。
  85. 木村守江

    木村(守)委員 先ほどから、高電圧のときには直接本省が許可する、低電圧のときには地方の局でもって許可するのだ、そういうためにわれわれはわからなかった、実際見ていない、それから聴聞会も、地方の局でやっておるのだというようなことでありますが、地方の局でやった聴聞会に、受益者というか、実際の該当する方々が出ることができなかったというようなこともあり、またそういう点からいって、聴聞会の性質というものは、その問題になった方々を聴聞会に呼んで話し合うことに聴聞会の真の意義があると思うのですが、その意義を失なった聴聞会だとすると、あるいは法的には、官報で告示したから、何ら差しつかえないということになりますが、実際問題としては、聴聞会の意義をなさなかった。そういう点は、手落ちであったというふうに解釈できるとも思うのですが、その見解はどうですか。
  86. 三谷昇

    ○三谷説明員 先ほどもちょっと申し上げましたが、聴聞会につきましては、要するにこの許可は、本件につきましては東京通産局がやるわけでございますが、役所側は、やるについていいと思っても、さらにその計画が悪い場合もあるかもしれないということで聴聞会を開きますわけでございます。聴聞会で意見がないから反対がないのだということで処分をしたわけではございませんので、役所側としては、この計画が一番いいという信念のもとに処分をいたしたわけでございます。
  87. 木村守江

    木村(守)委員 そうすると、聴聞会の意見というのは、決定する場合に、許可をする場合に、あまり取り入れないということになりますね。
  88. 三谷昇

    ○三谷説明員 聴聞会で、役所側が気がつかなかった問題があるかもしれないということで、さらに聴聞会を開いておるわけでございます。
  89. 木村守江

    木村(守)委員 どうも役所の仕事というのは、いつでもそうだと思うのだが、この聴聞会は実際は形式的であって、実際の意味をなしていないのじゃないかと思うのです。こういうようなことでもって、聴聞会を開いたからこれでいいのだ、一つの形式を踏めばいいのだというのが役人の考え方であって、これが役人の一番の間違いだと思うのですが、そういう場合に、聴聞会の開き方が、あなた方の下部系統である地方の局でやったことが実際に徹底しなかったというような点に対しましては、何か反省すべき点がありませんか。
  90. 三谷昇

    ○三谷説明員 聴聞会のやり方につきましては、先ほども申し上げましたように、規則によってやっておりますが、聴聞会の方で反対意見が出たから許可をしないとか、あるいは賛成だったからするとかいうことに規則はなっておりませんので、役所側が信念を持って調査するけれども、さらに手落ちがあってはいけないから、聴聞会を開いて、役所側で考えた以外の、思いつかなかったことがあるかどうかということで聴聞会を開いておるわけでございます。従って聴聞会に反対意見があるなしにかかわらず、計画が悪いと感じますれば、それは許可いたさないわけでございます。
  91. 木村守江

    木村(守)委員 ちょっと私の聞いておることと答弁が違うと思うのです。この聴聞会は、少くとも関係者の方々を呼んで、そして役所で気のつかない点があるかどうかを聞いて、許可の参考にするためにやるのだと思うのです。ところがあなた方の下部機関でやった聴聞会が、その本質の意義を失ったような聴聞会を開いた場合に——これはこの問題だけではなく、すべての問題が、役所というものはこういう格好なのです。形式さえ整えれば、格好さえつけば、実質はどうでもいいのだというようなのが現在の役人のやり方ではないかと思うのですが、そういうことについて反省する点がないかどうか聞いているのです。
  92. 三谷昇

    ○三谷説明員 今度の件につきまして、先ほどは私らの方の手続を申し上げたのでございますが、今度は、今度の送電線が妥当であるかどうかという問題かと思いますが、送電線につきましては、私の方に上って参りまして、私の方としては、課長補佐をやりまして現地を調査させまして、やはり東京通産局で処分したその計画が一番いいのじゃないか、こういうふうに感じておりますので、聴聞会の参加者が反対がなかったということは別に重要ではございませんので、それとはちょっと問題が違うのじゃないかと思いますが……。
  93. 木村守江

    木村(守)委員 どうも役人というのは、なかなかずるくて……。こういうことは、全くずるいと思うのだ。このことだけじゃないのです。何でもそうなのだ。形式さえ踏めばそれでいいのだ。実際聴聞会というものを作った趣旨に沿っていないようなことをやっておる、それでいいのだというような考え方があると思うのです。これ以上、法の根本の問題についてあなたに質問してもしようがないと思うのですが、これは役人全体として、ことに通産省関係は、公益企業というようなものに名をかりて、個人の権益を害するようなことがかなり多いのじゃないか。このことだけじゃないのです。これは、ほんとう考えてもらわなければならぬ問題だと考えております。  それから、しろうとでまことに申しわけありませんが、吉田さんにお願いしたいのですが、実際あそこに行ってみますと、もう高架線が何本も引っぱってありまして、クモの巣を張ったようなのです。われわれしろうとは、あの下に住んでおることに、何かちょっとおそれを感じる。危険を感ずる。どうも何かおそろしいものが頭の上に乗っかっておるような感じがして、非常な圧迫感を感じているのですが、実際問題としては、そういうことはないですか。
  94. 吉田確太

    ○吉田参考人 お答えいたします。これは、一般の方はごもっともだと思います。これは、われわれが、こういう架空送電線が郊外を走っておることにつきまして、十分皆さんにPRしなければならぬ点と思っております。今後も、こういう点は皆さんに御理解を求めていくようにいたしたいと思っております。たとえば六万ボルトの架空送電線でありますと、鉄塔の一番両側の最左端と最右端にあります電線から、三メートル以内には家があってはいけない。なぜかと申しますと、暴風というようなものを対象にいたしまして、やはり電線の振れがあります。従って人家は、水平距離で三メートル以上離さなければならない。それから屋根の軒と電線の間の最短距離は幾らにしなければならぬかという距離があります。十五万ボルトの送電線でありますと、それが大きくなるというようにして、三メートル、四メートル、五メートルという幅を両側に持っております。それ以外の場所ですと、これは架空送電線が従来諸外国で発達して参り、日本もこれを採用いたしまして、すでに大正の十二、三年ごろからこの経験をわれわれはしており、またそれを監督しております主務官庁におきましても、経験上から、この範囲内に家を建てないように、こういうふうなものを作っておりまして、従来の経験から見まして、皆さんに御心配はない、こういうふうに考えております。
  95. 木村守江

    木村(守)委員 その話を聞きまして、何かよけいおそろしいような感じがするのであります。あそこは宅地帯でなくて、緑地帯だから、家は建てられないということを聞くのでありますが、あんなに六本も七本も引っぱってありますと、あの下ですき、くわを持って働く農民は、雷のときなんか、安心して仕事ができないじゃないかというような心配もあるのですが、そういうようなことについてはどうですか。
  96. 吉田確太

    ○吉田参考人 御質問に対してお答えいたします。この十五万ボルトのが何カ所も通って、皆さんに御迷惑をかけていると思いますが、雷に対しては、特に特別の配慮がしてありまして、鉄塔の一番上に雷をよけるような架空地線があって、電線に危害を与えないように——電線に危害を与えますと、周囲に影響がありますので、たとえば六本電線がありますと、もう一本架空地線というものをまん中の一番上に張りまして、それが鉄塔の足を伝わりまして、地中に逃げるようになっております。こういう点の周知徹底については、特に現地の人々に対して十分御理解をいただくよう、今後われわれは進めたいと思います。われわれ自身としては、周囲の土地の人が、この下を歩くとか、いろいろな場合に御迷惑のかからぬように、極力われわれの技術の達し得る範囲でいたしております。
  97. 木村守江

    木村(守)委員 最後に、私はこの間あすこへ行ってみまして、今度新しくできるやつを地下ケーブルにするというのでは、これは意味をなさないのじゃないかと思うのです。もしも地下ケーブルにするとしたら、今までのやつも全部地下ケーブルにして、初めてあの地方が救われると思うのです。そういう点で、たくさん鉄塔が立っていますね。ああいうやつを全部地下ケーブルにしたら、経費も安くて済むのじゃないか。そうして、ある程度のところにいって、ところどころから分散していったらいいんじゃないかというような考え方を持っておりますが、それは、やはりしろうと考えで、間違っておりますか。
  98. 吉田確太

    ○吉田参考人 この点については、特によく御理解願いたいと思いますが、架空送電線路を作ることと、地中送電線路を作ることとは、従来の考えでいきますと、コストが、架空線ができる場合、地中線の場合は十になるのが常識でございます。その後、やはり線下の補償というような関係で、幾分地中送電線路は公道を通らす、特に公道の中でも、永久不変に変らないというのが私の方の願いでございます。と申しますのは、作っておりますのは大きなコンクリートの箱で、中にコンクリートのパイプを打って、その中をケーブルが通るのでございます。
  99. 木村守江

    木村(守)委員 みんな一緒に、こうやってできないのですか。
  100. 吉田確太

    ○吉田参考人 できますが、御承知じゃないかと思いますが、架空送電線というのは、それと同じ容量の地中送電線を作るにしましても、一つの管路の中に十六本も入りますと、熱の逃げどころが——これはわれわれとして技術的に解決しようとしておりますが、数が多くなればなるほど、その電気を送る量が逆比例的にずっと減って参ります。数がふえればふえるほど、一本の場合一ボルト送っているものが、十六本になったら十六ボルトになるかというと、そうじゃございませんで、八ぐらいしか送れません。従って、それらは特に東京の丸ビル、東京のビルディング街でやっておりますが、これらの工事費は、ちょっとやりましてすぐ二十億というような数字になる。これは目に見えないで、議会の隣を通っておりますが、これも二十七、八億かけるということでいたしております。架空線というのは、そういう点では、送電容量が非常に多いのでございます。といいますのは、空気にさらされておりますので、電線から出る熱が空気中に逃げますが、地中ですと、われわれは逃げる方法を作ります。逃げる方法を作ると、やはり雨水の浸害その他の関係で、架空線に比べまして地中線というのは、一つの管路で回数を多くふやして送るということは、これはわれわれの技術では困難でございまして、従って、幾つもやはりそういう筋道を通って、回路を多くふやさなければできないという現状でございまして、まだ欧米におきましても、やはり架空線はできるだけ尊重されなければならぬというのが実情でございます。
  101. 堀川恭平

    堀川委員長 小川豊明君。
  102. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 通産省の三谷さん、あなたの方は、許可権のある通産省の態度としては、非常に無責任ではないか。たとえばさっきの答弁を聞いてみると、許可はするけれども、その土地の取得、その他の方法までは許可には関係はないのだ、こういう答弁です。そういう形で許可して、聴聞会を開いても、来なければそれでかまわない、形式はそれで整ったとして許可をする。そうして問題が起ったら、土地収用法でやらなければならぬから、建設省よろしく頼むと、建設省にしりを持ち込む。こういう無責任なやり方というものは、役人として許さるべきでないと思う。これは、あなたの方で反省すべきだ。  それから吉田取締役にお尋ねしますが、きょうここにちょうだいした架線計画というものを見ると、地下に埋没するのには莫大な経費がかかるから、従って電力料金も高くつくようになるので、公益事業として、経費のかからない地上の架線をとらなければならない。こういうふうに書いてありますが、これは、この通り解釈してよろしゅうございますか。
  103. 吉田確太

    ○吉田参考人 架空線と地中線の工事費を比べますと、先ほど来申し上げましたように、非常に比率が違いますので、やはりこういうふうなあいている土地をできるだけ架線でやらしていただく。地中線を全般的にやるとなりますと、年間の建設費もふえ、従ってひいては電気料金の——抑制に努めておりますが、その点に大きな影響を及ぼしますので、われわれは努めて皆さんに御理解を願って、架空線でいく。もちろん人口稠密の市街地、これは許されておりません。そういう点におきましては、われわれはやむを得ず架空線をやらないで、地中線でやっております。もちろん都会地の人口の稠密といいましても、三千ボルトの、すぐお客さんに届くような配電線につきましては、架空線が許されておりまして、見てみっともないとおっしゃられるかもしれませんが、架空線によって経費の節約をはからしていただいております。
  104. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 つい二十日ほど前に、関西の電力会社の私の知人が来て、いわゆる電気事業の隘路は送電の架線にある。どういうわけで架線が隘路かといったら、土地を借り上げようと思っても、なかなか農民は貸してくれない。従って、これは買わなければならない。これは、農民の要求を入れて高く買うように努めているけれども、私は、一つのこういう仕事に当っておる立場考えてみると、そうした巨額の金が農民に行っても、それがあとで見ると、農民の場合、使ってしまって生きていない。だから電力会社としては、それが生きて農民の生活と生産に役立つような方法をとりたいというのが、今の私どもの隘路でもあり苦心しておるところでもある、こういうことをいっておられた。私は、電力会社としては、これは非常に苦心をするところでもあるし、よくそこに配慮しておる、こういうふうに考えて感心しておったわけですが、きょうあなたの方の計画を見ると、あなたの方の会社はかなりずるい、巧妙過ぎる、こういうふうにも言わざるを得ない。というのは、今言ったように、通産省としては聴聞会を開いてやるべきでしょう。しかし、それは形式的だったとしても、あなたの方は当事者だ。従って何回となく、あるいは何十回でも仕方ない。誠意を尽して農民にも、関係者にも、理解し納得もしてもらってやるべきだ。そこには金額の問題も出てくるだろう、その金額をどう生かすかということも、関西の電力のように出てくるだろう。そういうことをこれで見ると、あなたの方では、何回地元と交渉したかということは出ていません。それを聞いていると、また長くなるから結論から申しますが、そういうふうにして理解も納得もさせないで、土地収用法でやるのだ、建設省よろしくこれを許可してくれ、そういう行き方というものは、私は許さるべきではないと思う。あなたの方は、電気は公益事業だという。しかしあなた方の会社は、利益を対象にする会社だ、そういうやり方ならば、公益の名に隠れて私益をむさぼるものだ。ことにあなたの方では、こういう架線をするならば巨額の金がかかるから、電気料金が高くなる、これは公益事業の本旨に反すると、しきりに言っている。これは、私はごもっともだと思う。しからば、あなたの方ではこの間なんか何だ、東京電力は石炭汚職なんかで、実に聞くにたえないような事件を起して、会社役員はみな責任をとっておる。そういうことこそあなた方はもっと自省して、こういう農民の補償というような問題に対しては、誠意をもって努力すべきだ。どうやったら安く土地を取ることができるかというような態度は私は公益事業の名に隠れてやっているといわざるを得ない。この点について、あなたの方では今後どういう方策をとられるのか。ただここで議論しておっても仕方がない。あなたの方で地元ともっと折衝なさるつもりか。折衝するについて、あなたの方の会社自体でもって、先般の問題のような、ああいうことに対する十分な反省と批判の上に立って、こういうことは折衝なさるべきではないか。ただ私は、技術家じゃないから、技術のことはわかりませんけれども、技術上どうしてもできないからこういかなければならないというなら、それはわかる。ところが冒頭にお聞きしたように、経費がかかるからできないというならば、そのかかる経費を全部出せというようなことは言わないが、やはりあなたの方でも、農民はそれによって土地の価値が消滅するのだから、減殺されてくるのだから、それに対する対策というか補償というか、そういうものに対して、ぜひ十分誠意をもってやらるべきじゃないかと思うが、吉田取締役は、この点についてどういう態度をとるお考えがあるか、伺いたい。
  105. 吉田確太

    ○吉田参考人 その問題は、水野からかわって答えさせていただきます。
  106. 水野久男

    水野参考人 お答えいたします。ただいまの御質問で、何回ぐらい交渉したかということでございましたが、回数といたしましては、はっきりした記憶はございませんけれども、三十一年六月ごろから再三交渉を申し上げておる次第でございます。今後とも十分に御協議を申し上げたい、こう思っております。ただ、もうすでに御承知かと思いますが、未解決の方は、ただいま吉田常務がお答えいたしましたように、架空でするかケーブルでするかということで、まだ解決いたしておりませんので、補償その他の関係はその後になると思います。私どもといたしましては、事業認定が行われましたけれども、まだ関係の方が協議したいということでございましたら、私の方ではいつでも誠意をもって交渉に当りたい、こう思っております。
  107. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 あなたの方では、架空にするか地下にするか、態度がきまっていないと言うが、架空にするということで土地の折衝をしている。態度はきまっているのでしょう。
  108. 水野久男

    水野参考人 私の方では架空にしていただきたい、こう申し上げて御折衝に行っておりますが、地元の方で御反対がありますので、その先に進めない状況になっております。言葉が足りませんでしたが……。
  109. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それではお尋ねしますが、東京電力では、この事業は公益事業であるから、土地収用法の発動をしても接収するということを地元の人に言っておる。これは、あなた方が言っておるのではなくて、あなた方の会社のだれかが言っただろうが、そういうことを言っておる。そこで地元の農民は、そういう土地収容法というものがあってとられると、それはただでとられるのじゃないかというので、非常に恐怖して賛成した者もあるということです。あなたの今のお言葉では、まだ架線にするかどっちにするか、地元との交渉がついていないのだから、態度は未決定であるというようなことですが、先ほど私がここで申し上げたように、これについては、十分地元の人に納得させて——私は架線に決して反対するものではない。ただあなた方が、公益事業であるから、これを埋没すると電気料金は高くなるから、そういうことはできないのだ、何でも架線でやるのだ、君らが言うことを聞かないなら、土地収用法によってやるのだということは、それは、公益事業であろうと許さるべきことじゃございませんよ。地元に対して、もっと理解させるという努力をあなた方は払うべきである。そういう努力を払わず、こういうことを強行しようとすれば、私は、午後は決算委員会があって、そっちへ出なければならぬが、こういうあなた方の問題なんか触れたくはないけれども、あなた方が公益事業を振りかざしていくならば、私どもは、あなた方の石炭汚職の問題も、今度決算委員会で取り上げる。こういう点からも、ぜひ地元に対する理解を尽して、納得してもらうような努力をしてもらいたい、こういうことを申し上げておきます。
  110. 水野久男

    水野参考人 ただいま御指摘のございました、すぐに土地収用法にかけるとか言って、地元の方をおどかしたとかいうお話がございましたが、こういう点については、従来とも私どもは、かたく戒めておるのでございまして、個々によくPRをして、十分御納得をするように協議をして進めるようにということは、厳に注意しておりますので、さような事実はないものと私は存じますけれども、いろいろお互いに意思の不疎通なんかがございまして、もしそのような非難が出ましたとすれば、まことに申しわけないと思っております。なお今後のことにつきましては、さらに指導監督を厳重にいたしまして、かりそめにもそのような非難を受けることのないようにいたしていきたい、こう思っております。
  111. 三鍋義三

    ○三鍋委員 だいぶ時間も経過して、大へん参考人には恐縮であります。私は現地へも行って実情を調査し、いろいろ農民の声も聞いたのでありますが、大体において、たやすく自分のものにした土地は、たやすくほうり出しております。しかし今問題になっているのは、祖先伝来の地主の方だと私は思う。これらの人々は、先祖代々、自分の生命が土の一くれにまでしみ込んでおるのであります。こういう点を無視して事業をやられようと思っても、それは私はできないと思う。よく金は一年土地は万年、こういったような表現もありますが、私は、これはやはりその土地に長い間生活した人の、しみじみとしたほんとうに心からの願いであり、声である、こう思うのであります。そこで、最後にもう一度政務次官にお願いしておきますが、そしてまた吉田常務その他東電の方々にもお願いしておきますが、どうかあの土地だけは、特殊な場所であるという観点を絶対に忘れないでおいてもらいたいのであります。そして、これに対するところの処置を、どうあるべきかということを、良識をもって一つ結論を出していただきたい。これは、特に政務次官に心からお願いして、私の質問はこれで終ります。
  112. 堀川恭平

    堀川委員長 参考人の方々には、長時間ありがとうございました。  本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十九分散会