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1958-07-02 第29回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月二日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 簡牛 凡夫君    理事 堀内 一雄君 理事 井岡 大治君    理事 土井 直作君       宇田 國榮君    小淵 光平君       川野 芳滿君    菅家 喜六君       關谷 勝利君    高橋清一郎君       羽田武嗣郎君    三池  信君       河野  正君    久保 三郎君       島口重次郎君    下平 正一君       杉山元治郎君    館  俊三君       松岡 駒吉君    山田 長司君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     吾孫子 豊君         参  考  人         (志免鉱業所調         査委員会委員         長)      青山秀三郎君         参  考  人         (志免鉱業所調         査委員会委員         長)      今井 一男君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 七月二日  委員池田禎治者及び中崎敏君辞任につき、その  補欠として河野正君及び下平正一君が議長の指  名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道志免鉱業所に関する件      ――――◇―――――
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。   本日は志免鉱業所の問題について、参考人各位より御意見を承わることにいたします。参考人として出席をお願いいたしておりました田口良明君が所用のため欠席いたしたいとの通知がございましたので、この際お知らせいたします。本日出席されております参考人の方は青山秀三郎君、今井一男君、以上であります。   この際参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多用中のところ、本委員会のためにわざわざ御出席して下さいまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。何とぞ本問題につきまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べ下されば幸いと存じます。  それでは、これより参考人より御意見を承わりますが、御発言の順序は青山秀三郎君、今井一男君といたします。まずお二人の御意見を伺った上で、委員側より参考人各位に対して質疑を行うことにいたします。  青山参考人よりお願いいたします。青山秀三郎君。
  3. 青山秀三郎

    青山参考人 ただいま御紹介のございました私青山秀三郎でございます。御提出いたしました資料に、私ども構成いたしております委員会名簿も入っておりますので、外七名の委員についても御了承のことと存じ上げます。  この委員会は、かねて御承知通り本年の四月七日に発足いたしましたのでありまして、ただいままで日本国有鉄道総裁の御諮問に応じまして御答申をいたして参ったのであります。主としてその委員会で討議いたしましたことにつきまして、御参考になるかいなかと存じますが、ありのままを申し上げたいと存じます。  委員会の構成は、国鉄の方で御選出になりまして、その四月七日の第一回のときに、私にその委員長を勤めろというお話でありまして、御辞退申し上げたのでありますけれども、やむを得ずお引き受け申し上げたのであります。この問題は、国有鉄道とされましても大きな問題であり、また、わが国の石炭鉱業におきましてもかなり注目されている問題でございます。従いまして、この問題を処理いたしますについては、委員それぞれの立場におきましてできるだけ公平な、また何ものにもとらわれない立場調査を進め、また公正な結論総裁に御答申いたして御参考に供したい。もっともこれは諮問機関でありますので、十分われわれの意のあるところはおくみ取りいただけると期待はいたしております。  そこで、委員会といたしましては、今申しました通り四月七日に発足いたしましたが、それまでの経過について冒頭に国鉄総裁から詳しくお話を承わりまして、その後現地から出てこられました方を加えて、当局からわれわれ委員のために現地の事情も加えましてかなり徹底したと申しますか、十分な御意見を私どもは伺うことができました。もっともこの委員の中には、御承知のように現在九州地区に勤務いたしております者も二名おりまして、委員会の発足以後も絶えず現地から出てこられまして、いろいろそれらの立場において得られたことも、われわれが委員会の中で話を進めます間に聞き取ったのであります。  最初に御諮問を受けましたのは第一号でありますが、基本的に、この志免鉱棄所の措置をいかにしたらいいかという根本問題であります。これは国鉄としてはいろいろただいままでの御経験からのお考えもありましょうが、委員はまた委員といたしまして、その名簿にございますような経歴もあり、私は何でございますが、ほかの方々はみな相当高い権威の立場におられます方であり、この問題についても非常に熱心に、隔意なき意見を交換いたしまして、だんだんその基本問題を進めていきます間に私が特に感じましたことは、現在の志免鉱業所鉱区あり方であります。総裁は、終始、現在熱心に現場で働いておられます方々の不安な状態を早く解消したい、安心して仕事につかしたい、しかも、ただいま相当成績を上げておられるのでありますから、これを低下せしめないように、さらに不慮の事故でも起ってはこれはもう取り返しのつかないことだということで、現在将来にわたってこの問題を非常に深く憂えておられたのでありますが、私はこれは縦軸として十分肝に銘じておるのであります。  ことに私どもといたしましては、地下資源開発におきましての鉱区の現状、鉱業の権利の認められておる範囲でございますが、そこに存在しておりますのが石炭であれば、石炭資源開発するのに最も好ましい形であってほしいと常々思っておるのであります。御承知のように志免鉱業所鉱区は、その下に埋蔵しております石炭資源あり方、あるいはこれを開発する方法としては、必ずしも適当でないということを強く感じたのであります。と申しますのは、普通の鉱区であれば、地表においてある区画を定めますれば、その多角形の線を垂直に下げて、その下に含まれる立体的な容積の中は一つ鉱区に属しているわけであります。ところが志免は、御承知のようにその鉱区、あるいは鉱業権者の持っております範囲が非常に複雑であります。灰層によって鉱区の形がでこぼこしている。従いまして、地表考えております鉱区にある石炭開発するといたしましても、この形では実際この貴重な石炭資源開発する上には非常な支障が起るのじゃないか。かてて加えて、これは御承知のようにどこの炭鉱にもあることでございますが、その鉱区内に炭層がある傾きをもって規則正しく入っておらなくて、ところどころ好ましくない断層、褶曲が存在するわけでありますが、志免も御他聞に漏れず、かなり好ましくない炭層が数カ所存在しておりますことは御承知のことと思います。われわれ技術者立場であればできるだけこの自然の条件を克服していかなければならぬのでありますが、こういう二つの問題がからんでおりまして、あの区域の資源開発するのには、今の鉱区状態のまま開発するということは必ずしもとる策でないということを痛感したのであります。  なおもう一つは、一つ炭鉱におきましてその資源開発をする量であります。年の生産額でありますが、たとえば志免といたしますと五十万トンのかなり大きなベースに上ってきておるのでありますが、その鉱区に適正な生産量というものはおのずからあるわけであります。この鉱区状態においてはどれくらいの生産を持つのが適当であろうか。これは日本全体としてもそうであろうと思います。日本にこれだけ資源があるという場合に、将来一体どれだけ石炭を採掘するのが適当であるかという、日本生産適正量があるわけであります。これを著しく超過した場合は、それに伴って将来にいろいろな問題を残すと考えざるを得ないのであります。志免としてもどれくらいが適正な生産であるかということを、ある三年なり五年なり十年なりの先を見通し考えなければ、そこに安心した仕事状態は成り立たないのであります。従って、志免としてはどれくらいの石炭を採掘するのが適当であろうか。ただいまの状態は、いろいろ資料で拝見いたしますと、ことに最近一、二年かなりその成績も向上していることはだれも認めているところでありますが、私どもはなるべくそういういい状態を、安心して長く続けられるような資源開発段階に持っていきたい。そうでなければ、ただ今日の状態だけに酔うているわけにいかないのであります。そういう意味でやや長期的にこれを考えて、どうしたらよかろうか、生産をどういう範囲に持っていったならば、働かれる諸君にも、またその地元の皆さんの生活に対しても繁栄をもたらせるのであるかということを、この際根本的に考えなくてはならないと思ったのであります。そいうい事柄を横線といたしまして、総裁のお考えの線、われわれの考え線等を織り込んで適当な結論を持って、委員会としても、またほかのどなたがお考えになりましても、それは適当であろうわいとおっしゃるところに持っていきたいというのが、われわれの考えた骨子であります。  そういう意味でいろいろな内容検討いたして参りますと、すでに御承知と思いますが、一応その中間答申を第一号に対して申し上げたのであります。それは内容とも御披露になっておりますので繰り返しませんわけでありますが、その中間答申内容において主たるものは、お手元にあります志免を含んだ地区資源を有効に合理的に開発したいということで、現在あそこにあります――これは貴重な施設でありますが、こういうものを有効に利用して、長く安心して仕事ができる形に持っていくためには、ただいまのままで、あの制限された複雑な鉱区状態において仕事を続けるということは適当でないということで、これは一応志免鉱業所経営国有鉄道と分離されるのが適当であるという結論に達しまして、さように御答申しておるのであります。  それに付随しましていろいろ問題もあろうかと思いますが、根本はそこにあることをよく御了承願いまして、あまり時間も長くなりますので、御質問に応じまして私のわかりますこと、知っておりますことは率直にお答え申し上げたいと思います。
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 ありがとうございました。  次に今井一男君。
  5. 今井一男

    今井参考人 私は石炭関係につきましては全然のしろうとでございまして、そういった意味からも、今度のこの関係している委員に選ばれましたこと並びに本日御出頭を仰せつけいただきましたことも、若干不適任ということを感ずるのでありますが、ただ、以前七年ばかり公共企業体仲裁委員会の方に関係しておりましたので、国鉄の経理並びに労働問題には若干の関心を持ちまして、知識も持っておりまするし、また志免炭鉱だけの賃金問題を指導仲裁した経験はございます。しかし、炭鉱業につきましてはずぶしろうとなのでございます。国鉄総裁が今回こういう委員会を設けられまして、お顔ぶれを拝見いたしましたところ、大部分石炭に関する日本の権威ある方々でございます。また大部分の方は私初対面の方でございました。青山委員長は私ももちろん初対面でございまするが、われわれしろうとでも前々から御存じ申し上げておるごとく、炭鉱業にかけましては東大教授時代以来、また日本におきまして石炭技術に関する神様といわれるような方でございます。全然ずぶしろうとがこの問題の委員会に入りまして、私いろいろな所用上終始席を汚すわけに参りませんで、だいぶなまけさせていただきましたが、それでもその間に石炭技術的に専門的なお立場からいろいろの話を伺ってみますと、特殊な地理的条件、また技術的な条件、また山経営関係等から、われわれしろうとといえども、やはりこれは国鉄から切り離すことが妥当であるという結論に御賛成申し上げないわけには参らぬという判断に相なりました。  私も実は政府関係のいろいろな委員会に顔を出し経験はだいぶ持っておりますが、この委員会は、人数の少い関係もございましょうが、たびたび純然たる秘密会を開きまして、委員だけでほんとうにさらけ出した討論をしたことも数少くないのでございます。特に中間報告的に出しました結論におきましては、全くそういった独立した立場から皆様の御意見が一致したものであることは、ここではっきり申し上げられると思います。石炭技術的な面については、私がたった一人のしろうとのようでありまして、受身的に判断したのでございますけれども、それ以外に国鉄という立場からいたしまして、国鉄経営調査会あるいはまた行政管理庁の監査といったところからも、国鉄運輸に専心すべきである、従って運輸と直接の関係のない仕事はなるべく切り離すことが適当だ、こういったことは、すでに各方面から圧倒的な御意見が出ておるところでございます。  なお、昨年公共業体あり方につきまして、公共企業体審議会というものが行政管理庁に設けられまして、約半年ばかりいろいろな角度から、大所高所の立場から、大づかみな意見の交換をいたしまして、ある程度結論出しましたが、私もその委員会の席を汚したものでございます。この委員会答申には具体的には載っておりませんけれども、しかし、その際におきましての各委員の御意見として、やはり国鉄運輸にだけでもしょいきれないような今大きな役割をしておる上におきまして、兼営ということは望ましい姿ではないということを私も各委員から伺い、また全くその通りであろうと感じたのであります。炭鉱業のようなものは、果してどういうようなところがどういうような形で経営するのが能率が上るかといったことにつきましては、いろいろ専門的な見方もございましょうし、特にこの通常国会結論を出されました通産省関係資源開発法等立場から見ましても、私は問題があるところだろうと思います。従いまして、志免のような特殊な歴史を持っておる炭鉱経営がどういうような形で行われるかは、これはまだまだ検討の余地があるかもしれませんが、とにかく国鉄から切り離すということにつきましては、国鉄という運輸業立場からいたしましても、また炭鉱経営という技術的、地理的条件といったことを専門的に検討された結論からいたしましても、やむを得ないといいますか、決定的な方向と申さざるを得ないような判断を、私しろうとといえども持った次第でございます。こまかい技術的な問題は、遺憾ながらしろうとなのでうまいこと申し上げられませんが、しろうとが伺って、とにかくなるほどと思わざるを得ない条件下にあるということは、これは私、委員会に席を列しまして得ました結論として申し上げられると存じます。しかしながら、今後話を進めていく場合には、とにかく歴史のある炭鉱であり、さらにまた何千人という労働者がついたままどこかへ国鉄から切り離されて移行するとなりますと、この問題はなかなか一通りや二道りで簡単に片づく問題ではなかろう、その意味における検討は、おそらく今後引き続いて相当にこねる必要があろう、こういう感想は持っておるものであります。  私もきわめて簡単でございますが、出頭を命ぜられました御趣旨があまりとりかねますので、一応きわめて大ざっぱな感想だけを申し上げて、あと御質問によりまして申し上げたいと存じます。
  6. 塚原俊郎

    塚原委員長 ありがとうございました。  それでは、参考人に対して質疑を行います。順次これを許します。簡牛凡夫君
  7. 簡牛凡夫

    簡牛委員 青山委員長さんにお尋ねいたします。志免鉱業所国鉄経営から分離すべきものであるという結論をお出しになっておりますが、この志免炭鉱のいわゆる国有財産を、はなはだしく損失を生ずることのないような、いわゆる妥当な価格でこれを引き受けてくれるものがあるという確信と即しますか、見通しのもとにそういう結論をお出しになったものと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  8. 青山秀三郎

    青山参考人 お答え申し上げます。ただいまの問題でありますが、私どもは、今、今井委員もおっしゃったように、これは各委員が八名一致した意見で、国鉄から分離した方が適当であるということを御答申いたしておるのでありますが、さてその場合にどういう形態でほかの企業体に移譲さるべきものであるかということは、これは相手のあることであり、今井さんのおっしゃったように、いろいろ条件もあることでありますので、これこそ十分慎重に考慮して、適当な方法をとっていただかなければならないと思いますが、大きな見通しといたしましては、九州地区石炭資源は、御承知のように相当老境に入っております。老視というのは少し言い過ぎかもしれませんが、もう中年期をある程度過ぎているかもしれませんけれども日本石炭資源としては非常に貴重なものであり、なおこの糟屋地区石炭は、北九州地区としましては、相当今後適当な技術あるいは進歩した方法を加えますれば、まだ十分日本として開発する余力も残っているところであろうかと思いますので、そういう意味で、現在石炭鉱業を営んでおります側から見ますと、やはりこれは、できればおれがやってみたいというものが必ずやあるだろうと予想されるのであります。ただ、それがどういうふうな形で落ちつくかということは今後の問題でありますが、よし国鉄からこれを分離されましても、これを引き受ける相手は、ただいま北九州石炭資源開発しております企業体の形からいいますと、いたずらな楽観はできませんけれども、折衝の暁は、必ずや適当な話がどこかにまとまるのじゃないかということを予想はいたされます。まだ具体的に私どもは詰めてもおりませんし、ただ基本の線を申し上げているところであります。そういう解決が非常に円満に行われることを私は希果しておる次第であります。
  9. 簡牛凡夫

    簡牛委員 まあどこかに払い下げが可能だというお見込みのもとに調査が進められておるのだということでございますが、詳しいことはわかりますまいが、今でも大体どのくらいならば払い下げが可能だ、またこの程度なら引き受け手があるというような見当がおつきでございましょうか。採算のとれないようなものはだれも引き受けてくれませんので、そういうような点で財産価値ということよりも、あと引き受ける人の、いわゆる採算上の考慮から値段がきめられるというようなことになると、そこにさまざまといろいろな疑惑を生ずるようなことにもなります。これがかりに払い下げなければならない、また払い下げて新しい民間の企業に移すというようなことになりましても、その間に忌まわしい暗い影をつけることのないような、すっきりとした形でこれの払い下げが行われませんと、将来の経営の上にも非常な問題でございます。また私ども社会的にもゆゆしい問題が起ると存じますので、そういうような財産価値を基準にして払い下げられるようになりますのか、あるいは新しい企業採算を中心として払い下げるようになるのか。これが今日すでにどこか引き受け手があるというお見込みをお立てになりましたのにはその根拠がおありだろうと思いますが、どうでしょうか。
  10. 青山秀三郎

    青山参考人 ただいまこの委員会の中に二つ分科会ができております。一つは、基本問題に関係いたしまして委員会の協議をもう少し具体的に取り扱うためのものでございます。もう二つは、すでに資源の、ことに石炭を主体にいたします資源価値がどうであろうかということを、この意味から検一討いたしますための分科会ができております。筑一分科会の方は、ただいま結論出しますためにこの分科会からいろいら中間報告を受けておるのでありますが、評価の方は、まだそう日もたちませんので、結論を下すにはまだ時間がかかることと思いますが、これは石炭資源立場から、あすこにどれくらいの石炭があり、これを確保すればこの価値はどうであろうかということを見よとするものであります。まだにわかに結論に到達するわけにはいくまい、こまかい調査が必要であろうと思っております。それを聞いた上で私どもはその価値はその立場から見る。さらに問題は、過去の長年の関係からいろいろ地方に鉱害問題がございます。こういう問題もやはりこの際明らかにいたしませんと、将来に禍根を残すことでもありますので、これも私の希望としてはできるだけ適正な、公区平な立場から鉱害補償価格を見たい、こう思っております。これはさらに時間を要することと私は思っております。そういうものをだんだん積み上げまして、価格の面ではこうであろう、また鉱害補償の上ではこうであろうということを、それぞれ御答申いたすつもりでおりますが、それと先ほど来お話のありますこれらのものだけではございませんで、新たに企業を引き受けるところがきまりますれば、その企業体国鉄の間において十分な話し合い期待したい。そうして今の多数の、三千九百名にわたる労務者の皆さん要望もそこに織り込まなければなるまいし、また将来に対しての国鉄の新企業者に対する要東もいろいろあろうと思いますので、これらを織り込まれて、それこそいわゆるどこにも暗い影のない、明朗な結論出していただかれますことを委員会も希望いたします。国鉄もさようなさることと期待しておる次第であります。
  11. 簡牛凡夫

    簡牛委員 この評価がこれから進められまして、今の鉱害問題なども加味して適正だと見られる評価が出ました場合に、もしそういう値段では引き受けられないというようなことが出てきた場合には、この鉱業所に従事しております者の心理的影響――今日御承知のように、しきりに反対の陳情を繰り返しておるような実情でございますが、国鉄からは分離すべきものであるというように結論、つけられ、しかも価格の点では、これを具体的に引き呼、ける人がなかなか見出せぬというようなことになった場合にはゆゆしい問題が生ずると思いますが、そういうような懸念は持たなくてよろしゅうございますか。
  12. 青山秀三郎

    青山参考人 ただいまの御質問でございますが、うこれは先のことで、私もこれはこうなるということでここで申し上げる段階ではないと思いますが、委員の中では、たとえば植村委員のごとき、は国有財産中央審議会に出ておられます。そういう立場でもごらんになると思います。また国鉄御自身のお考えもあろうと思います。ただ、私はさっき申しましたように、これは残されたと言いながら、あの地区資源相当業界ではまだ期待をつないでおるところでありますので、話し合いによっては、両方満足されるところまではいかなくとも、適当な価格ができて落ちつく、あるいは落ちつけてほしいと希望するものであります。ただいまそう悲観的には私は考えておらないのであります。
  13. 簡牛凡夫

    簡牛委員 そういうようなことを考えますと、物を売ろうとか払い下げようとかいうような問題は、一応どの程度値段でこれは払い下げられるというところまで吟味を遂げられて、そしてこれは払い下げるんだという結論出していただくのがほんとうじゃないか。そういうようなところまでまだ検討を進められる前に、今の炭鉱必要性とか、あるいは今後の経営見通しとかいうような点からは、もちろん払い下ぐべきものという結論が当然お出になったと思いますが、そういう価格の点などに関連して、これを引き受ける者のあるかないかというような見通しをお立てになって、結論出していただくべきじゃないかというような気がいたしますが、少し払い下げ、分離すべきものだという結論の出方が早遇ぎておるような、特にその点をお急ぎになり遇ぎておるような感じを持つのでありますが、いかがでございましょう。
  14. 青山秀三郎

    青山参考人 第一号諮問としてさっき申し上げましたように基本方針を一応立ててくれという国鉄の御要望もありまして、それで逐次次々と御諮問をいただいて、それにお答えしていこうという委員会の心がまえであります。もう一度振り出しに戻ってその第一諮問に影響するということがあっては相ならぬということを、私もその通り考えまして、また今お話通り、具体的に譲渡の相手がどうなる、どこにいくということには、そういう段階ではございませんけれども、第一号の諮問に対してお答えしましてからあとも、なお引き続きわれわれの方では今日までその裏づけとなるようなことをいろいろ調査を進めておるのでございまして、ただいまのところ、今日までのところは、私ども調査委員会において出ておりますところは、この第一号の基本方針、つまり分離していくのか適当であるという考え方をくつがえすような事情は、今日まで何も起こっておらないと見ておりますので、かかってこれは今後の具体的な処置のいかんにかかわる。それにつきましても、ただいまお話のようにいろいろ問題は伏在しておりますけれども、今までよく処理していただいております国鉄の方の御経験や、あるいは現在の力でもってお進めいただければ、なおこまかい問題はたくさんございますけれども委員会のこの答申を根本的にゆるがすような問題はただいまないと私はそう信じております。
  15. 簡牛凡夫

    簡牛委員 もう一点お伺いいたしたいのでございますが、ただいまも申し上げますように、地元の従業員並びに町民こぞって非常に深刻にこれを取り上げておりまして、熱烈な反対を陳情いたしております。今の鉱区の事情などから考えて、現状のまま国鉄がこれを経営しても、先行き非常に行き詰まるおそれがある、だんだん経営が細っていくようなことになるので、これを民間に払い下げようという御結論のようでございますが、調査をお進めになるうちには、この地元なり従業員の反対の意向というものも相当お含みの上で検討をお進め下すったものだと思いますが、今まだ戦後のこういうような経済界の十分立ち直っておりません状況でございますので、政府でもあるいは民間の企業体でも失業者を出さないように、また周辺の経済状態に悪い影響を及ぼさないように、いろいろ無理をして、相当困難な仕事をかかえておるようなところも相当多いと思います。また国民も多額の重い税金にたえておるのでございますが、そういうふうにみなたえ忍び合って、ともかくもほんとう日本の再建のために協力をしております際でございますが、国鉄としましても、ただ本来の業務に専念するのだということばかりをそんなにお急ぎ下さいませんで、経済的に非常な負担になるということであればもちろんいけませんが、もっと違った角度から、これを民間に払い下げるという前に、何かお考え下さいましたようなことはございませんでしょうか。私どもの知っておりますところでも、同じ炭鉱でも資本というものを切り離しまして、いわゆる経営陣と労務者とが一体になって非常な成績を上げておる事例などもございます。大きな国鉄企業の中からいえば小さなものでございますが、これも独立採算制でやっておりますので、価値のある炭鉱であり見通しのつく山でございますれば、周辺の鉱区などを統合して、志免鉱業所が中心となって何か理想的な経営をするというようなことについて、調査会で御検討下さいましたことがございましょうか。
  16. 青山秀三郎

    青山参考人 お答え申し上げます。ただいまの御質問はまことに適切なことでございますが、国鉄皆さんの御意見も十分伺ったのでありますが、ただいまの現状は、先ほど来のお話通りであります。私どもの一番懸念いたしますことは、この五十万トン近い志免鉱業所生産がどういうふうに維持されるであろうか、もしこの量が著しく減衰するとか仕事の量が減りますれば、必然的に、そこに仕事をしておられます従業員の諸君にも、また地元の繁栄にも響くのであります。これは総裁も、冒頭にお話があった通りに憂えておられることであり、また地元の力の御心配になられることも当然のことであろうと思うのであります。私どももその考え方は全く同じであります。もしこの形のままで生産も続けられ、また町の繁栄も続けられることであれば、それが最も望ましいことでありますが、ただいまのあの鉱区状態で、たとえば志免鉱業所を中心として仕事をしておられます場合に、先の見通しはどうであろうということを、国鉄でも十分お調べになっており、その結果も伺いました。また、さっき申しましたわれわれの第一分科会でも、この点は非常に基本のことでありますので、詳しく調査いたしました。ところがこの分科会答申を私が受けましたのを見ましても、現在志免鉱業所の中心は、御承知の四層の炭層がありますが、下層であります。これは坑口としては御承知の縦坑及び八坑関係でありますが、これが生産の主体であります。ところがこの八坑並びに縦坑区域の範囲においてとられます石炭の埋蔵量、またこれを続けますための先の見通しは、分科会で調べました方が、国鉄でお考えになっておりますよりも、一そう悲観的なのであります。もっと早くそういうベースは維持できないであろうということを切実に訴えております。これは専門的立場から詳しく検討したことであります。それでこの方がむしろ楽観的であれば私は幾らか安心ができるのでありますが、国鉄を離れて分科会で審査しました結果が、八坑、縦坑の先き行きに対しては非常に悲観的である、非常に衰え方が早いということを聞きまして、これこそ、われわれも、また組合の方も地元の方も認識してもらわなければならぬ重大問題だと思うのであります。今いいのだが――これは事実でありますけれども、先どうなるのだということは、やはりお互いが考えなければならぬ。そういう意味で先細りをすることであれば一日も安心しておれないという気持になるのが当然だと私は思うのであります。  それでは、その状態をどういうふうに改善していくかということでありますが、これは一つには国鉄側のお考えであります。一つには新しい企業体としてこれを日本石炭資源開発の上でどうするかという広い視野に立った考え方、この二通りあると思うのでありますが、大体国鉄の皆様方のお話を伺いますと、これはほかの炭鉱の例も同様でありますが、やはり私としては同じ印象を受けざるを得ない。つまりその生産を維持するためにどういうことをしていかなければならぬかということが、炭鉱経営上必然的にあるわけでありますが、そういう処置をするには相当継続した資本投下を必要といたします。資本を投下いたしませんと、それだけの仕事が継続していけないということがあり得るわけであります。これはただいまのような物価状態でありますと少くないものであります。昔話を申し上げますが、前は石炭を年間一トン掘りますのに十円くらいの投資をしたらどうかというのが日本の平均相場でありました。一トンに十円であります。ただいまの価値にしますれば、一トン三千円か四千円になるだろうと思います。従いまして百万トンの生産とすれば、そこに四十億でありますか、そういう金を考えなければ事業が経営、維持されていかないわけであります。石炭経営については企業の上に相当金のかかることで、それを続けていかなければその力はその鉱区の中でも維持されないのであります。そういうことに対しての国鉄皆さんのお考えはどうであろうかということを私どもよくお尋ねいたします。ところが先ほど来お話のことで、国鉄としてはさらに資本をかけて、しかも自然条件がさっき申します通り、だんだん日本は、ことに九州は困難になって参ります。水の量も、坑内の温度も、また運搬距離も、みな好ましくない方向にのみ進んでいくのでありまして、これこそ高度の技術をもって当らなければ処理していけないほどのことであろうかと思います。そういうことも加えまして、これはやはりできることならば新企業体において、そういう心がまえで、崇高な目的をもってその資源開発をやってもらいたい。しかも生産も著しく落さないで、働いておられる皆さんにも町の繁栄にも響かないような方法を一刻も早くとらなければ解決しないと私どもは見ておるのであります。そういう意味で申し上げておるのでありまして、現在の仕事を続けて今の経営状態が不安なくいくことならば、これは私、問題はむしろ別個の性質を帯びると思うのでありますが、先の見通しが、分科会答申においても、国鉄でお考えになるよりもさらに激しく減衰するということが出ております以上、私は何かここで処置をしてもらわないと、せっかくの皆さんの希望も実現し得ないのではないかということを御同様憂えているのであります。
  17. 塚原俊郎

    塚原委員長 井岡大治君。
  18. 井岡大治

    ○井岡委員 青山委員長さんにお尋ねをするわけですが、この委員会では速記録とか議事録をおとりになっておるのでありますか。
  19. 青山秀三郎

    青山参考人 この委員会国鉄皆さんと御一緒に討議しておることもございます。今井さんがおっしゃったように、委員だけでいろいろ協議いたしておる場合もございますが、私は間違いがあってはならないと思って、重要な面は個人的なメモはとっております。しかしこれを通して速記をとっていただくとか、記録をとっていただくということは、私ども要望いたしておりませんが、必要に応じて国鉄の方の側である程度記録をとっておられるものはあろうかと思いますが、私は拝見いたしておりません。しかしそういうものが参考に将来なるという考えから、国鉄の方と御一緒に協議しております場合には、何らかのメモ、記録はあろうかとも思います。私は個人ではそういうメモをしております。
  20. 井岡大治

    ○井岡委員 この志免の問題は、お話を聞いておりましても、今後非常にむずかしい問題が予想できると思うのです。そういう意味から私は、これは十分ガラス張りの中でおやりになるという御意見であれば、速記をとって、そうしてどなたが見てもいいということで、なるほどというように納得のできるものでなければならぬと思うのですが、そういうものはとられておらない、単なるメモ程度だ、こういうことでありますが、私はこの点についてまことに遺憾なことだと思います。まあそれはそれといたしまして、委員長さんのお話では、総裁考え方ということが繰り返し出ておるわけですが、その考え方について具体的なことが言われておらないわけなんです。総裁考え方というのはどういうお考え方か、この点を具体的に御説明をいただきたいと思います。
  21. 青山秀三郎

    青山参考人 これは私が申し上げるのがいいか悪いかわかりませんが、立場上申し上げますが、冒頭において総裁がおっしゃったのは、今までの志免鉱業所問題についての経過につき詳細にお話がありました。それぞれの公的機関においてもこういう話が出ておったけれども、やはり第三者として、白紙に立った御批判も伺いたいのでこの委員会を設置したというところから始まりまして、それからおっしゃることで一番終始出ておりますのは、こういう不安な状態で長く続けていくことはできない、国鉄としてもそうだが、現場の皆さんの心もくんで、何か将来を見通し一つの成案を持って進んでいく日の一日も早からんことを期待するということを、世俗な言葉でありますけれども、声涙ともに下るといった御様子で何度もお話がありまして、具体的な今後の解決の処理については委員皆さん意見をよく聞くけれども、自分の考えはそこにあるのだということを絶えずおっしゃっておるのであります。かかるがゆえに、その答申もできるだけ早くしてもらいたい、今の鉱害問題等々時日を要するものはやむを得ないけれども、できるだけ早く結論を聞かせてほしいということをおっしゃった。私どもはそれは聞きますけれども、やはり委員会がある以上、また委員の方それぞれみな見識のある方でありますから、やはり委員の持っておられる意見を私は聞きまして――個々に伺ったこともあり、この八人が寄って話したこともありますが、できるだけ委員意見が一致したところだけを申し上げよう、一致しないところはまた委員の間で話し合い国鉄の事情も聞いて進めていこう。ただいままで申し上げておりますことは、われわれの得ました資料によって全委員が完全に意見の一致したところだけを申し上げております。国鉄総裁は今のような根本思想あるいは根本の信念を述べておられますので、それ以上総裁としては委員会にこうしてくれとか、こうあってほしいということは一言もおっしゃいません。当然のことと思います。われわれは委員会立場においてこの処置をやっておるということは申し上げ得ると思います。
  22. 井岡大治

    ○井岡委員 国鉄総裁は、この問題を通じて、約三年間私たちにはこういうふうにおっしゃっておられるわけです。今お話になった行政管理庁の勧告並びに経営調査会の勧告は非能率的だ、従ってできれば切り離すべきだ、しかしなお慎重に考慮しろということがあるが、自分としては切り離すことが正しいと思う、けれどもそこに働いておる諸君のことや、あるいは関係の市町村等のことを考えれば、この点は直ちに結論を出すわけにはいかぬ、こういうようにいつも答弁をなさっておる。従っておそらく私は皆さんに御説明なさる上においても、そういうようなことが発表されなければ、総裁考え方というものにはならぬと思うのです。いろいろこういう経過で自分としては迷っておるから一つこうやってくれというのではないと思うのです。この点はどうなんです。
  23. 青山秀三郎

    青山参考人 お答え申し上げます。総裁のおっしゃった、われわれの委員会において承わりましたことは、今の御質問と私はあまり変らないと思います。またそういう印象を私どもも持っております。だから私ども委員会も、総裁の御意見によって束縛を受けるものではありませんが、また総裁委員会答申いたしましたことをどうお取り上げになるかわかりませんけれども委員会としては今まで申し上げましたことをお答えするほかないということをきめておりますので、それに対しましてのいろいろな調査、あるいは資料を含んでの委員会における討議は、相当精細をきわめて今日まで参っております。
  24. 井岡大治

    ○井岡委員 そうしますと、委員会総裁諮問した問題が三つここに出されておるのですが、私はこれは二つだと思います。志免鉱業所をいかにすべきかというのは日本数字の一であって、アラビア数字は、志免鉱業所を現在のまま国鉄経営して将来どうすべきかというのが第一のことにならなければならない。それから、国鉄から分離するとすればその時期とか方法をどうするかということが第二のアラビア数字で、評価が第三、こういうことになって初めて三つの諮問になると思いますが、これには二つしか出ておらない。いかに処置すべきかということは根本的な問題で具体的な問題じゃないのです。具体的にはあとの二つを例示しておきながら第一の問題を例示されておらない。ですから総裁考え方というものは、最初から売却するのだというような考え方が強く働いておる、こういうふうに私たちは推測するわけです。この点はどうですか。
  25. 青山秀三郎

    青山参考人 お答えいたします。私どもがいただきました第一の諮問について検討いたしました順序を御参考に申し上げたいと思いますが、これは三つの段階において討議いたしました。御承知のように、第一の案は、さらにこれを合理化して、国鉄としてこの仕事を継続していくことができるかどうかということであります。第二は、炭鉱を現物出資して、そうして何らかの形式で共同でこれを経営していく方法はないか。第一、第二の案が適当でない場合、あるいは不可能である場合には、第三の案として譲渡の線はどうであろうかということでございます。私どもとしては、その第一の案に一番主力を置きまして、これについてもいろいろな中に含まれる因子がございますが、それらをそれぞれ拾い上げまして、先ほども申しました資源の問題、鉱区の問題も一つでありますが、そういう問題もたくさん拾って、そうして第一の案を検討いたしたのでございます。その第一の案については、先ほど申しました中間報告の御答申のところにありますが、第二の案は、これははなはだむずかしいことで、あるいは理想案かもしれませんが、委員としてはほとんどどなたからも賛成を得られないでかえって混乱するのじゃないか。これについてもいろいろ案が出ておりました、その中の要素はいろいろ検討いたしましたが、結局これは委員として推し進める案ではない、並べて検討する案ではあるかもしれないけれどもということで、第二案は否決してしまって、そうして落ちつくところただいまの第三案になった、こういう次第であります。
  26. 井岡大治

    ○井岡委員 審議の経過はよくわかりましたが、いわゆる委員長さんの言われる第一案を審議される場合の資料はどの資料におよりになったのですか。
  27. 青山秀三郎

    青山参考人 第一案の討議については、これは現状をよく調べなければならないし、それから現状も単に志免鉱業所だけでなしに、広い視野からこれを見なければならぬことでありますが、やはり骨子となるものは、先ほど来申しますように、あそこにあります石炭資源あり方、あるいは鉱区あり方相当大きなファクターであり、またこれを経営されます国鉄側というものもやはり相当大きなファクターとして出てくるのじゃないかと思って、それぞれの資料に関する問題あるいは国鉄側の御意向等は十分伺って参っております。
  28. 井岡大治

    ○井岡委員 私たちの調べたところによりますと、これは日本炭鉱業会の資料ではかなり有望な山だと考えるわけです。従って、専門家ばかりお寄りになっているんだから現地を調べる必要がないと申されるならば、私はあえそのことを追及しようとは思いませんし、お尋ねしようとは思わなないのですが、少くとも問題は非常に重要な問題であります。働いておる諸君にしても、関係の市町村にしても、国の財産の処分というような見地から考えても重要な問題であると思う。従って、この資料が単に専門家だからというだけでは私は少し物足りないような感じがするわけなんですが、こういう点についてはどういうようにお考えになりますか。
  29. 青山秀三郎

    青山参考人 お答えいたします。まず資源の問題でありますが、的確なことはいよいよその仕事をしてみなければわからないことでありますけれども、幸いにただいま全国にわたりまして、ある程度日本石炭資源の最近の調査もできております。糟屋地区も同様であります。ことに志免国鉄の方で十分な資料を持っておられます。そこで、たとえば志免鉱業所範囲において今日残されておる、あるいは採掘し得る炭量がたとえば千二百万トン、こう出ておるといたします。けれどもども実際の仕事をします場合には、先ほど申しましたような鉱区関係あるいは炭層関係で、それをそのままうのみにするわけにはいかないのであります。そのうちどれだけがほんとうに実収率高く採掘できるか、採掘の対象になるかということは、これはこまかく検討しなければいけないのであります。これは一日、二日地方を回ってもわかることでありますが、幸いなるかな、先ほど申しました国で行いまして数年前に完成した基本調査があります。そういうところは専門家がやりまして――だた私が、言いますのは、こういう資源調査で地質関係者がやっておる埋蔵量は、実際の稼行の対象として掘るには少し甘過ぎる。実際安全率、実収率を考えますと、掘れる量はずっと減って参ります。だから、かりに千二百万トンという数字が出ても、すぐそれだけあるんだという安易な考え方はわれわれは用いません。付近の鉱区にしても同様であります。一応私どもは、糟屋地区に現在埋蔵されております炭量につきましては、そういう調査を頭に入れております。ただ、あの地区でどれだけの深さまで仕事をしたらこれだけ安全にとり得るかということは、ある程度現地の御意見を伺えばわかることであります。そういうことで埋蔵量千二百万トン、年に五十万トン掘ったら何十年という考え方は、私どもにははなはだ危険で、ちょっととれないのであります。真に当って国鉄以外の適当な資料も見まして検討しなければならぬ。それは私どもも、幸いそういう機会がありましたので、ある程度見ておりますが、そういう意味から申しまして、たとえば志免区域で見ましても、将来ここ三年、五年稼行対象になるものはこれで、ここにはこれだけあろうということは一応踏んでおります。なおこれに関連した鉱区においても、これは今直ちによその土層に入ってあら採しをするわけには参りませんが、そういう国家的な立場に立って調べたものもありますから一応それも見ますけれども、そういう意味で埋蔵の適正な量あるいは妥当な生産量というものを踏んでいくわけであります。そういう意味で私ども申し上げておるので、第一の問題についても、主として志免石炭の量でありますけれども、私どもそういう立場でながめております。
  30. 井岡大治

    ○井岡委員 今のお話でちょっと私わからないところがあるので、もう一度お尋ねをいたします。実際の埋蔵量と石炭の採掘をする際の量との違いは、それはわかります。わかりますが、実際に調べて見ないとわからない、こういうことを二回ほどおっしゃったわけなんですが、それと今国で総合開発立場から調べておるというのと、この点において私は若干わからないのです。ということは、先ほど同僚の簡牛さんがお尋ねになった際に、少くとも基本的な問題、いわゆる評価あるいは今後一切の問題が終った後に、これは売るべきなら売るべきだ、こういう理由でこういう金が要る、だから売るべきだという結論をお出しになるのであれば私は今のお話はわかるわけなんですが、そうでなくて、これだけぽいと先に出てしまった。その結果、総裁が一番心配なさっておることが――総裁は、現在そこに働いておる諸君が非常な不安な状態に陥っている、これをすみやかに解決してやらなければいかぬのだ、ういうことで、私たちもその意を体してと、こうおつしやったわけなんですが、これだけをぽいと出してしまったから、今日ではその不安は一そう増大をしているわけです。たとえば待遇の問題、これは私ここで申し上げたくありません、もっと先にしたいと思いますが、待遇条件の問題をどうするか。現在糟屋地区のほかの炭鉱状態を――いわゆる専門的の立場ではございませんけれども、働いておる者の勘からくる不安の状態というものは感じているわけなんですね。これはだれよりもその諸君が一番感じるのが早いと思うのです。ですから一そう不安の状態に陥ってしまっているわけです。そういう点から考えると、今の委員長さんのお話は少しわかりにくくなってくるわけでありますが、この点どうなんですか。もう一度お伺いしておきます。
  31. 青山秀三郎

    青山参考人 資源の問題になりますが、先ほど来申し上げておりますように、一応そういった概括的な調査はいたします。そうして、糟屋地区には何千万トンあるというようなものが出ております。さらに志免としては、そのうち千二百万トンなら千二百万トンあるという予想はされておると思います。けれども、現実にこれを将来掘ってみるといたしますと、思わざるところにまた断層が出てきたり、いろいろなことで制約を受けて、量が減っていくことがあり得る、こういうことを申し上げておりますので、ほんとうの量は、これは石炭よりも鉱山の関係の方ならもっとはっきりしますが、鉱山などでは、とてもそういうことではわかりませんので、ボーリングをやるとか、坑道掘進をやるとか、あるらしいところをさらに再調査して確実な設計をいたして参ります。それほどではないにしましても、石炭もやはり地下資源でございますので、十分な調査――ボーリングもその一つであり、坑道掘進もその一つでありますが、そういうことを進めていって確実なところがわかるのだ、私はこう申し上げておるのであります。要は、理想的にはその数字に近づけたいというのが私の希望でありまして、そのままにはいかぬことがあるということを申し上げているのであります。  それから、先の不安の問題でありますが、これは総裁総裁立場からそういうことをおっしゃっておられましょうが、私どもは、特に志免資源立場からの見通しが、現在のあの状態でいきますと予想以上に早く生産が落ちるということを見通しております。これは、一つにはこういうこともございます。たとえば一つの施設がある。縦坑なら縦坑で下へおりていきます。それから下の縦坑のつぼ切り、底から切羽が出ていきますが、現在の日本開発形式を見ますと、あまりに坑口から切羽まで長過ぎる。そこで非常に時間がかかり、せっかくの貴重な時間がそういう往復のときに失われるということは好ましくないのであります。できるだけ早く切羽に到達して仕事にかかるということが、むだな労働が省かれるのであります。たしかアメリカあたりでは、これを三十分くらいに限定しておりますので、坑口から切羽まで三十分くらいに切り上げてはというようなことを考えますが、それには坑口を適当に開く、坑口までの運搬施設をつける、いろいろなことをせなければなりません。ところが、日本ではなかなかそういうふうに理想的にいかなくて、往々にして一時間あるいはそれ以上かからなければ現場に到着しないという事情であります。だから問題は、現在の施設を有効に利用するといたしましても、だんだん坑内が広くなり奥へ進んでいきますれば、それだけ切羽に到着する時間がおくれます。従って、そういうことについて適当な施設を加えなければならぬ問題が起って参ります。そういう採掘技術上の問題も、生産を維持していくとすればいろいろ起ってくるのであります。これがいわゆる専門の立場考えることであろうと思います。そういうことから合理的という言葉も出て参りますが、真に有効な資源開発をするということを、技術立場から深く私ども考えなければならぬのであります。そういうことをいろいろ考えました結果、やはり今のままであのような制限を受けた条件のもとで仕事をするということは、国鉄経営の上からしまして容易でないということを私どもはただいま見通しておるのでございます。そういうことも大体これらの委員を加えて話し合ったのであります。
  32. 井岡大治

    ○井岡委員 専門的なことですから、私はしろうとであまりよくわかりませんが、先ほどのお話を聞いておりますと、いわゆる推定炭量と実際の炭量と違う。これは先ほども申し上げますように、そういうことがあり得るだろうと思うのですが、しかし志免をどうするかという場合に、まず経営の問題から考えていった場合、国鉄がおやりになっても民間がおやりになっても、その実際量と推定量の違うということについては、これはもう変りはないですね。それから今の坑口から切羽まで行くのに時間がかかる。そういうものを解消する、合理化する。これは当然民間がおやりになっても、それをやらなければ現在のままだということになるわけです。そうなって参りますと、志免のいわゆる開発資源の問題というよりは、経営の問題が主体になってきているように思うわけです。従って、私は、先ほど総裁考え方という中に、自分は切り離したい、切り離すということが、自分は一番正しいのだ、こういうことが強く支配をしているのではないか。そうでなければ今の窮屈なままでという委員長さんのお言葉は出てこないのではないかと私は思いますが、この点はどうなんですか。
  33. 青山秀三郎

    青山参考人 お答えいたします。経営の問題につきましては、私ども委員立場から国鉄皆さんに御意見を伺いまして、ただいままでの合理化の程度であればやるけれども、さらに先ほど申しましたような莫大な投資をして大がかりにこれをやろうという御意思は、私どもの受けました印象では国鉄にはないと見ております。そういう将来の開発に備えて経営上打つべき手が開発の上には起ってくると思います。しかし、それは新たに経営されるものがそういう考えを持ってやらなければならぬことでありまして、このままやったならば、国鉄としても合理化の点では限度にきているわけでありまして、さらに進んだ抜本的な経営をやるには今までの考えではいけないということであります。  それからもう一つは、志免に関することでありますが、そこにある資源の量は変りございませんけれども、これを有効に開発するにはどうしたらよいかというような、開発の根本方針というものがあるわけであります。そのやり方によっては、とれる石炭もさらにとれなくなる。ですから先ほど申したような経営考え、あるいは徹底的に大規模な開発方針をとらなければ、あそこの資源は安心してあの状態を続けられないと思うのでございます。これはだれかがやらなければならぬことであります。それを国鉄本来の運輸の方に専念されて、そういったような石炭の方にさらに莫大な投資をしてあの地区開発をするというお考えがないと承わる以上は、これは処置をしなければならぬということが必然に出てくるのではないか、こう思います。
  34. 井岡大治

    ○井岡委員 だんだんわかってきました。結局国鉄経営する意思がない、こういうことでありますから、これはもう莫大な資本の投下が要る。こういうことから、これはもうだめだというように結論出したということですか。
  35. 青山秀三郎

    青山参考人 簡単に言いますとそうなるかもしれませんが、いろいろファクターはございます。
  36. 井岡大治

    ○井岡委員 これはわれわれの調べているものですから、必ずしも正確なものとも言えないわけです。国鉄鉱業所生産を担当しておる方々志免鉱業所に対する十カ年計画を立てておられる。先般平出さんはこれはないと言っておられたのですが、持っているわけです。それによりますと、その莫大な費用というものはそんなに大きなものではないわけなんです。これは皆さん方の立場から見る開発志免鉱業所から見る開発との違いかもわかりませんが、そんな莫大なものではないわけです。僅々三億か五億程度の資産の投下によって――十年間は若干現在の五十万トンぺースが下りまして、四十万トンから四十五万トンぺースになるわけです。これは単に炭層鉱区からくるものばかりでなくて、職員は高齢者でありますから年々退職しております。これに対して国鉄は補充しておりません。そういう人為的なものからくる低下ということも考えられる。そういう点等を考慮してみると、われわれの資料、あるいは国鉄志免鉱業所資料ですから、これは正しいとか正しくないとかいう判断は別として、そういうように考えられるので、こういう点を一応御検討なさったかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  37. 青山秀三郎

    青山参考人 お答えいたします。これはどこの鉱山でも炭鉱でもあることでありまして、今こういう状態だ、来年はどうだ、その次はどうだということを無計画にやることはあり得ないと思います。その計画がどこまで確実なものか、どこまでアプルーヴされたものか、これはわかりません。しかしながら、自分なりの計画は持っているわけであります。国鉄さんといえども、何も計画なしに仕事をしているとは思いませんが、やはりそういう計画はあくまで真実性を持たせなければならず、それから大きな社会情勢によって動くということもありますので、その通りにいかぬことが往々にしてあると思います。しかし委員会委員会としての計画を――分科会として計画と申しますか、先の見通し立てたのであります。それと国鉄の御意見とは、最初申したように大分違うのであります。ことに最下層はほかの地区ではやっておりますが、御承知のように志免の付近では非常に深くなって、もう千メートル近くなっている。だから深さも深し、ガスも多いというので資源が眠っております。けれども、そういうことで水平的にも深さの方からも、われわれはこれをもっと検討して広げて、さらにあの地区を、貴重な資源でありますので合理的に開発したら、これくらいの規模でやれば今の生産に近いものが維持できるのじゃないかというところが勘どころでありまして、これも見通しでありますから、やってみるとその通りにならぬかもしれません。委員会立場ではそう検討しております。
  38. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、またもう一度戻るわけなんですが、少くとも専門家ばかりでありますし、非常に権威者ばかりですから、そういう立場検討をなさることについては私は当然だと思いますし、また当然していただかなければいけない問題だと思うのです。ただ、総裁が売りたいと考えているから、そのために早くこれは売却すべきだと結論を出されることに、私は少し手ぬかりがあったように思うわけなんです。ということは、あなた方は技術的な立場から検討をなさっておやりになる。これはもう私たちは感謝をいたしますし、そうなんですが、それだけをぽっかり先に出されたものですから、不安な状態が一そう不安になってきている、こういうことなんです。ですから私はその点について、せっかくお出しになったことではあるけれども、少し総裁は口でうまいことを言って、片方でこれをやっている、こういうことになるような気がしてならない。この問題は総裁と私たちの問題ですから、これ以上委員長さんの方にお伺いすることはやめますが、とにかくそういう点で委員長さん、委員さん方は、少し人がよ過ぎた、こう思うのです。この点は今後も一つ考えていただきたいと思うのです。  そこで問題は、この答申案にはもう明らかにこれは民間に移すべきものだ、こう書いてあるのです。ところが先ほどの話では、どういう方法でこれをやるかについてはまだ検討をしてないのだ。この点は委員長さんも今井さんも御同様におっしゃったわけなんですが、この点はどういうことなんですか。
  39. 今井一男

    今井参考人 先ほど来簡牛委員からもお話がございましたが、この問題は少くとも私の受けておる感じといたしましては、全般的に国鉄立場上切り離すのが妥当だという外部的な前提がございまして、さらにプラスこの委員会におきまして、専門的に炭業という立場からどうか、こういったことをさらに念押しといいますか、別の角度からメスを入れる、こういうことで設けられた委員会のように私は少くとも受け取りまして、参加したのでありますが、専門的な御意見につきましては、先ほど来青山委員長から申し上げた通りであります。その間に中間答申という名前でいたしましたことも、これは委員長はどういうふうにお考えか知りませんが、私の受けました印象といたしましては、まだまだ手続を進めていくと問題があり得る。しかしながら、炭業としての趣旨からいえば、やはり切り離す方が妥当だ、こういった結論総裁出したということだと思うのです。この場合に、切り離すということにつきましては一応全面的な各委員の一致がございましたけれども、しかし、切り離し方につきましてはまだまだ問題が若干あるようだ。一応考えられるのは、普通の順序からいけば民間ということでありましょう。しかしながら、これはその後いろいろとやっていきますと、先ほど来お話がございましたように、予定通り進行しないかもしれません。また最終的な段階になると、先ほど来お話のように、少くとも国の財産を売るという問題でありますから、幾らの値段でもよろしいというわけにはいかないという場面もあるいは起りはしないか、私個人はそういうことを頭に持ったことも若干はございます。といってまた、いやしくも国の財産でありますから、どんな値段でもいいというわけにはきっといかない面があろうと思います。さらに労働者何千というものの引き継ぎという非常にむずかしい条件もついております。と申しましても、先ほど来お話のございましたように、国鉄という国民の財産の処分でございますから、極力ガラス張りでやらなければならぬという一つのワクもございます。そういったことから、まだ委員会中間段階でございますし、いつまでこの委員会が口出しをするのか、その点も、私最後まで勤めておりませんが、そういうことから印象を受けますと、一応考えられることは切り離すということになれば、本筋はやはり民間に移すのが本筋だ、こういうことになっただけというのが、少くとも私の了解しているところでございます。従いまして、そのあとのステップいかんによりましては、また逆戻りしなければならぬというふうなこともあるいは起るかもしれない、そういう意味からもこれは中間答申といわざるを得ない、私は少くともそう了解いたしまして、この中間答申に賛成したのであります。従いまして、率直に申すとこの中間答申でありますものを、皆さんがあまり決定的に振り回されますので、よけいまた工合の悪いこともあるのではないか、そういう感じを実は私自身も持っております。
  40. 松岡駒吉

    ○松岡(駒)委員 先ほど来青山委員長お話を伺っておりますと、国鉄総裁がいつどんな不測な事態が起らぬとも限らぬといって大へん心配しておるということであります。何か志免炭鉱は特に災害の起るような状態にあるのかと、私はあなたのお話によってその疑いをきわめて濃厚に持ちますので、その内客を少しお聞かせを願いたい。  それから断層その他があって、相当な資金を投入しなければうまくいかない、資金を投入すれば、こういう工合に出炭量も過去における相当な実績を維持して、いくことが可能であるという答申をなさらなければならないのが、私は委員会の本来の役目ではないかと思うにかかわらず、ただ売るという結論を急ぐために、結局評価をするために、断層があってこうだからどれだけの投資をしなければならない、それではどうも鉄道としてはやりたくはないという気持があるらしいからというので、その総裁の意向にただ従って、これは売った方がよろしいということを簡単におきめになりましても――一体国の財産を処理するとかしないとかいうよりも、民間がやろうと国がやろうと、どうしてみたところで、地下資源というものを活用するためには相当の資金を要するだろうということは言うまでもないことです。営利を目的とする民間が払い下げることを希望いたしましてこれをやっていこうという積極的な意思があるにかかわらず、今から国営にしようというのではなくて国家が直接経営しているものを、一体なぜこれを断層があるとか鉱区状態がどうとかいって売らなければならないのか。一総裁の意向いかんにかかわらず、調査委員会は、国は合理化のためにこれだけの投資をし、こういうような方法によって経営していくべきである、でないならば、先ほど今非委員が言われる通り、共同の経営にするとかいうことになるのだが、根本的には、私の結論として言わんとするところは、総裁が何を考えようが、要するに専門家である営利事業者がやった方が国家的に見て能率が高い、だから民営に移すべきであるという結論、そういう理屈がない限りにおいては、売却すべきだという結論がしかく簡単に出し得る筋のものではないのではないか。民間でやろうと、あるいは国家の資金においてやろうと、これは同じことなんです。国有財産を処分するとかしないとか、いうことは、私に言わせれば枝葉末節の問題である。地下資源を生かすかどうかということが国にとっては重大問題です。国鉄でやれば能率が上らないという見解に立ってこういう結論を出されたのであるかどうであるか。私はもう少し掘り下げた意見を伺わなければ承知ができない。
  41. 青山秀三郎

    青山参考人 今御質問のあったところは、私ども委員会としても、もちろん一番重点的に考えたことであります。先ほど来お話がありました通り、あの地区資源開発するのには、どういう形でやったらいいかという一つの理想の考えがあるわけであります。その形を進めるために国鉄でやってもらう、国鉄でおやりになるということであれば、それは一つの解決であろうと思います。けれども委員会の見るところにおいては、私どもはだいぶおしかりをいただいておりますが、国鉄総裁がこういう考えだから、お前たちは早くそれに従って返事しろ、こういう制約は私個人としては受けておりません。どこまでも委員会立場考えるべきである、調査委員会がある以上は。そういう立場で進むべきであるという私は私なりの考えを持っております。たまたま結論は、譲渡に対する線は、先ほど申したように第一答申に出ておる。それは先ほど来申し上げますように、どういう企業体、あるいは国鉄であられようと、どこであろうと、企業体があって買われなくても、あの地区石炭資源をできるだけ合理的に開発してほしいというのが、われわれの悲願、希望であります。それが実現されないならば、われわれ国家的見地からは賛成できないのであります。そういう意味国鉄の御当局ともいろいろお話し合いをしたのでありますが、現状のまま国鉄でこれを経営して進められるということになりましては、どうしてもわれわれの希望が満たされないのであります。そこで今度企業を変えて、そういう専門の立場でこれを進めて、できるだけわれわれの希望に沿うように、また組合の方にも地元の方にも満足されるように、不安のないような形で解決していきたいということだけしか私たちは考えておりません。今の方法をとっていったならば、百パーセントその通りにならないにしても、それに近い結果が生まれるのではないかとお互いに委員考えておるわけであります。
  42. 館俊三

    ○館委員 関連して。私しろうとでわかりませんが、この委員会に付託された事柄というのは、山を国鉄経営してもいいのか悪いのかという点についての質問であると思う。だからそういう範囲内で御調査になったのはやむを得ぬとは思いますけれども、しかし石炭資源というのは国の重要産業資源である。しかも、この志免鉱山は非常に資源の多い有力な山だということも聞いております。それを処分するのですから、国の石炭資源をどう確保して、どう活用するかということが最も大事であるということを、まず先に論議しなければいけないと思うのです。その上に立って、国鉄経営させたらいいのか、民間に経営させたらいいのかという判断を下すべきだと思うのだが、その点について論議されたかどうかということをお聞きしたい。
  43. 青山秀三郎

    青山参考人 お答えいたします。先ほど来申し上げました通り、私ども全くおっしゃる趣旨によって進めております。決して国鉄にとらわれるところもなし、またこれを、どういう企業体になりますか、先のはっきりした見通しはございませんが、ある考えは持っておりまして、そういうことで今のお話通り、あそこの資源を有効に、合理的に開発していくということに主眼を置いているわけであります。
  44. 館俊三

    ○館委員 国鉄から切り離せば――結論がそうでしたから、国鉄から切り離せば、この資源を活用する道があるとお考えになりましたか、どうですか。
  45. 青山秀三郎

    青山参考人 お話通りであります。
  46. 館俊三

    ○館委員 そこで、お話を聞いておりますと、国鉄志免資源開発するものが、非常に設備投資というものにたくさんのお金がかかる。それをかける力がないから民間に払い下げをするということですが、いろいろあなたの専門的な志免開発の将来の見通しについて困難さは、民間企業においてこれを遂行することができるという確信があるのかどうか。もしもそれがなかったならば、これは姥捨山だ。国の資源をそこで捨ててしまうことになる。民間がそれを開発するだけの力があるのかないのか。ことにこのごろ鉄道では石炭の値下げを要求しておる。また政府としても、私、休んでおったからわかりませんが、石炭山の整理法か何かをこしらえて盛んに問題を提供しておる最中です。そういう際に民間がこれを引き受けて、あなた方専門委員会が希望されたように、全部を開発することのできる力のある会社があるかどうか、あるいはそういうことに対する研究をなさったかどうか、見通しがあるのかないのかということをお伺いしたい。民間は営利企業だ、営利企業であるから利潤のない仕事はしないはずだ、こういうことになってきますと、引受者の手が上ったといたしましても、その条件はきわめて困難になってくるだろうと思う。今井さんも、この問題は中間報告をしたけれども、まだまだ先が長いと言っていらっしゃる。そういうことはしろうとの私たちでもわかるのだが、そういう形において志免資源を十分に開発させなければ、国家の重大なる資源を国家経営で苦心して今日までやってきた功績をむなしくすることになる。そういうことについてのお考えをされたかどうかということをお伺いしたい。
  47. 青山秀三郎

    青山参考人 お答えいたします。先ほど簡牛先生からもお話がございましたが、私どもは、たとえばこれを民間に今後移譲するという場合にしましても、やはりこの引受会社なり、そういう企業体考えるには、それぞれの資格を十分検討しなければなりません。またその候補者となる企業体につきましても、われわれの知り得る範囲において、先方はどう言おうと、われわれの立場において、これは真実であるか、つまりそれだけの経営的能力あるいは資本的な関連、まだほかにもございますが、いろいろな多数の項目にわたりましてそういう条件を持つものでなければならない。だれにも渡すというわけにはいきません。われわれの今日見通すところにおいて、志免資源あるいは糟屋地区資源を――先ほど来申します残された、あの地区でいえば中年の炭鉱でありますが、これをできるだけ長く、一緒にして合理的に開発するための能力があるものだということを、われわれが信ずるものでなければ移譲はできないと思います。そういうことに対する選考、取調べは、委員会としてもまだはなはだ途中の段階でありますが、十分検討することを必要とする。また、それにはこういうことを条件としてお調べなさい、ということは委員会から国鉄に申し上げる、そういうことにして、簡単に引き受けたからあとはもう姥捨山だ、そんなことでそういう不安なものに簡単に渡してしまって、あの資源が荒廃するということがあっちゃならない。またそういうことをすべきでないということは重々承知しておりますが、だんだん話が進む過程においては、これならば安心、また皆さんの同意も得られるだろうというところに落ちつけなければならぬ、私としてはそれを希望しております。
  48. 館俊三

    ○館委員 そういうお話を承わりますと、そういうことの選考を十分にやった上で中間報告をやるべきではなかったかと思う。中間報告をそういう選考をやっておらない間に発表されたというのは、きわめて権威のないものだと私は思う。そういう調査というものは単に十人ばかりの、こう言ってははなはだ失礼な話ですけれども、それだけの調査委員会でこの問題を処分なさろうという考え方は実におかしい。経済状況がどうなっておるか、石炭範囲における経済状態がどうなっておるか、その経営者がどういうふうになっておるか、どういうふうな条件ならば引き受けるかという大体の見通し、今経営をやっておる人たちがどういう経営のやり方をやっておるか、そういうやり方の上において、だれにこれを払い渡したら国家の資源が十分生かされるか、そういう見通しを十分詮議した上で、この委員会答申というものを出すべきものだと私は思う。そういうことがなされていないで、実に軽率な答申であったと私は思う。そういう答申出しておいては、売り家の札を掲げておるようなものである。それでは値段をたたかれたり、その条件のもとに引き渡さなければならないような事態が生ずるという危険を私は感ずる。そういう今の規模の小さい調査委員会では、ことに国有鉄道財産であるからというばかりでなく、国家全体の石炭資源開発立場から、しかも一たん国有として移って経営しておるのだから、それを離す場合に、そういう根本問題を考えた上でやられるべきであろうと私は思う。これを私は非常に遺憾と考えております。  それからもう一つ、さっきお答えになったかどうか知りませんけれども質問をしたいと思っておったことは、最初の総論のお話の中に、不慮の災害が起きる心配があるから、早くこの問題を片づけたいというお言葉があったはずです。不慮の災害というのは何をおさしになっておるか、それを知りたいと思います。これは松岡元生もお問いになったはずで、お答えがあったかもしれませんが、ちょっと聞きのがしましたが、不慮の災害というのは何をさしておるか。炭坑が十分整備されておらないのでガスが発生するとか陥没するということをいうのか、それとも国鉄労働組合が働くのだから大へんなことになるかもしれないからそれを早く片づけたい、こういう意味お話になっているのか。これは総裁お話になったのかあなたがお話になったのか知りませんが、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  49. 青山秀三郎

    青山参考人 お答え申し上げます。前のわれわれの中間答申に対する御批判でありますが、これは重ねて申し上げておるようでございますが、私どもは今日の段階においては先ほど来申し上げておることに変りがないということを御了承願いたいのであります。具体的な問題はもちろんただいままで尽せるだけは十分委員会としては尽しておりますが、今後の肉づけとしてはさらに委員会としても骨折りたいと思っております。  それから不慮の災害の問題でありますが、これは総裁のお立場からお考えになることであって、そうあってはならないということを言っておられます。これは全般的に申し上げていいと思いますが、昨年あたりはかなり日本の炭坑のいろいろな災害が皆さんのお骨折りで非常に減っております。多少小さな自然破壊であるとか落盤であるとかいうものはただいまもございます。最近の新聞にも出ておる通りであります。けれども、昨年来、今年は少し上回っておるようではありますが、全体的にほとんど世界の水準並みに坑内の保安が保たれておると私は喜んでおります。だから今志免鉱業所にどういう保安上、管理上の問題が起るかわかりませんけれども、私はきょうあすそういう問題がすぐ突発するという不安は、私個人としては持っておりません。けれども、これは人間の心のかまえでありまして、いかにりっぱな施設があり、いかに用心しましても、ちょっとしたはずみで災害の原因を与えるということもないとはいえないのであります。これはやはりどこまでも緊張した気持で、全山一致してゆるがせにしてはならない。また心がまえもゆるがせにしてはならないということでありますから、何かこういう不安な状態が続くということで、総裁はさらに一そうそれを強めておっしゃったのだろうと思います。今こういう災害が起るとか、きょうあす起るということを申し上げておるのでは毛頭ないと考えます。何か事故が起っては困る、今幸い成績がいいから、そういうことが起らないようにしていきたいという親心で私は言っておるのだろうと思います。
  50. 塚原俊郎

    塚原委員長 委員の皆様に申し上げますが、参考人は一時ぐらいから次の所用会議を持っておるそうですから、一時ぐらいまでにこの会議を終らせたいと思いますので、どうぞそういうおつもりで簡潔に重復しないように御質問を願いたいと思います。
  51. 館俊三

    ○館委員 大体の印象としてこの調査委員会の構成が非常に私はいけないと思います。いけないというのは、委員の人たちが不適格であるというのじゃなくて、今経済界、産業界の情勢なりその推移を考えた上でお話を私は聞きましたが、そういう意味において、もっと権威のある拡大された委員会を作るべきであると私は考えます。  もう一つは、さっきお話のありましたこの評価をする小委員会ですか、それから引き渡しの具体的な問題に対する小委員会をこしらえられたそうでありますけれども、今不安の問題が松岡さんから出ておりましたが、不安を解消する最も大事な問題として、この委員会のほかに職員をどう処理するかという問題についての委員会が抜けておる。これはこの問題を処理する場合にも考える場合にも将来を予測する場合にも、きわめて重大なる一項が欠けておる。これをなぜ入れておかなかったかというふうに私は考えるのであります。職員の不安解消ということを言われた。総裁も言われるし、あなたも言われたのだが、職員の不安解消ということは、この問題が起きたために山はどうなるんだろうという不安の問題であります。あなた方のよく言われる職員の不安の問題は、五年なり十年なり後に山の減衰がどうなるだろうということで職員が非常に不安を感じておるということも事実でありましょうが、しかし、これは五年後なり十年後における生命のことである。これは経営者側から見た不安なんです。それに伴って労働者の方も不安を持つことは事実ですけれども、もしこの売山が急速に中間報告をされてやられることになったら、三千二百人の職員の不安というのはあすからの不安なんです。五年や十年先の不安じゃないのです。もう身につまった不安なんです。そういう不安を一ぺんも、総裁もあなた方も述べられていない。単に山の行く末がどうなるかということで職員が不安を感じているのじゃない。職員はあすの生活に不安を感じているのです。そういう緊迫した問題なんです。そういう意味で私はこの売山に反対をするものでありますが、しかしあなた方の言われる通りに、どうしても切り離さなければならない問題といたしましても、その調査の機関がきわめて貧弱である。委員の人が貧弱であるというのじゃなくて、もっと広範な層を加える、労働者代表も加えることはもちろんです。それから経済界の見通しとか具体的な調査をやりながら、しかも引き受けようとする民間の力の有無、この石炭資源ほんとうに国のために十分に活用できるような経営者が実際的にあり得るのかないのか、そういう状態も広い意味で勘した上で結論を出すべきであろうと私は思う。それだけ申し上げて私の関運質問を終ります。
  52. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、先ほど今井参考人から、これは中間報告だ、あなた方があまり決定的なもののようにお考えになることは早計だ、こういう意味お話を聞いたので私は非常に安心をいたしました。と申しますのは、総裁は、これはあたかも皆さんから出されたこの中間答申なるものは決定的なもののように考えてわれわれに説明しておるわけです。従って先ほどの、中間報告だから、これはあくまで中間報告は中間報告であって、お話のように、将来どのようになるかは今後の検討を待たなければわからない。このことに私たちは多くの期待を持ちます。  それから委員長さんにお願いなり御希望を申し上げておきたいのでありますが、相当の資金の投入をやらなければ、現在の老朽化した志免炭鉱が若返らない、こういうことでありますが、おそらく民間がこれを投資するとしても、民間が金を持っていってやるのじゃないと思う。これは当然国の経済政策あるいは財政投融資計画と見合って行われるものだと思う。そういう点等を考慮するならば、民間だから金ができるのだという考え方は、私は早計な考え方でなかろうかと思う。少くとも国の財政計画の上における資金計画というものがなされない限り、単にどこからか金を持ってきてやるというわけにはいかない。また持っておるものを出すというような商売人は、これはどこの世界を尋ねてもないと思うのです。従って財政投融資等を考えるならば、民間だからできるのであって、官業ではできないという結論は間違いだと思う。この点を十分お考えの上、今後のなにを進めていただきたいと思います。  それから不慮の災害が多いということですが、これは実はそういう危険な状態がないということを委員長さんはおっしゃったと思う。いわゆる精神の弛緩からこういう問題が起るのであって、今の状態で起るとは考えない、こういうように言われておるわけです。従ってこれまた総裁が、非常に災害が多いとか、あるいは災害が危険だとか、こういうことを言っておるが、これは皆さん方の立場から考えて、決してそういうものではないということを、この委員会で明らかにされたものと思います。  そこで、きょうはお忙しい中を来ていただきまして、有意義なお話を伺いまして、私たちもなお今後続けていきたいと思いますので、私自身あるいは先生のところにお伺いしたり、あるいはまた当委員会理事会の決定があるならば、今後とも御出席をいただくことを心からお願いをしまして、私の本日の質問を終ります。
  53. 塚原俊郎

  54. 河野正

    河野(正)委員 委員長もすでに御承知のように、この志免鉱業所というものは、七十年の尊い歴史を持ってきた鉱山でございます。従いましてその七十年間におきましては、尊い犠牲も行われて参りましたし、また従業員の諸君も、山を愛する至情から非常に大きな協力も、また犠牲もあえて行なって参ったものと考えております。ところが、今日まで国鉄当局がとって参られました態度をながめて参りますと、どうも一方的な総裁の主観に基いて、この問題が強引に推し進められておるかのような強い印象を受けて参っておるのでございます。そういった立場から、私どもが残念に考えますることは、たとえば今度の調査委員会が発足いたしまして、第一回の諮問が発せられて参りましたのが、委員長も御承知のように四月七日でございます。この四月七日におきましては、総裁から志免鉱業所の措置をいかにすべきかというような基本的な諮問が行われたと思います。ところがこの第一回の基本的な、志免鉱業所をいかに措置すべきかという言葉の背後には、今後志免鉱業所をやるならばどうあるべきかというようなことも、私は大事なことだと思います。あるいは第二には、先ほども委員長からいろいろ御説明がございましたように、もし売山するならばどういうふうにやるべきかというようなこともあると思いますけれども、少くとも今日の所有権者は国有鉄道でございます。従って自分の所有でございますので、そこで、国鉄経営するというならばどうあるべきかということが、私はまず重点的に検討されなければならぬと考えます。ところがそれからわずか九日後、すなわち四月十六日におきましては、第二回の諮問が発せられておる。それは私から今さら申し上げるまでもないと思いますけれども志免鉱業所日本国有鉄道経営から分離する時期及び方法はどうあるべきか、つまり、もし売るとするならば、その時期あるいはまた方法はどうあるべきかというような諮問が発せられておるわけでございます。もちろん私どもは、手続上の問題もございましたしこの点は先般の委員会におきましてもいろいろ論及して参ったわけでございますが、調査委員会の第一回の答申は四月十九日でございます。そこでこの点につきましても、四月十六日、すなわち志免鉱業所国有鉄道経営から分離することが適当であるというふうな中間報告をされまする以前において、その分離する時期及び方法をどうきめるべきかというふうな諮問が発せられた。もちろんこの点につきましては、前会もいろいろ釈明がございましたが、私どもはこういった形式的な表現の裏から察知できますることは、どうも委員会国鉄当局が何らかしめし合わせて、こういった問題をひそかに運んでおられるのじゃなかろうかというような疑問を強く抱いておるわけでございます。しかも先般総裁はこの問題の慎重を期するために、運輸大臣に対しましても、そういう調査をするに当りましての承認方を求めたのだ、かようにるると釈明されておったのでございます。ところが運輸大臣からも回答が出て参っておりますが、その回答の中でも明らかな事実は、それは諸般の情勢にかんがみ、これが取扱いについては万遺憾なきを期せられたいというふうに、この問題はいろいろ複雑な点があるし、諸般の情勢から考えてみても、特に慎重を期せられたいというふうなただし書のついたところの回答が発せられておる。いろいろな状況からながめましても、あるいは現地の皆様方の三千数百の従業員、あるいはその家族を含みまする一万の方々、あるいはその志免鉱業所関係いたしまする四カ町村十万の住民の方々が、今日まで強くこの売山の問題に対しまして反対の態度をとって参られたことは、これまた委員長も御承知通りでございます。こういうように従業員も、またこの従業員を含みまする家族の方々も、あるいは関係いたしまする四カ町村住民十万の方々も、この問題を非常に深刻に考えられております。昨日も三十数名の代表の方が運大臣に陳情されました。十河総裁も、委員長の言葉をかりると、声涙下るあいさつがあったということでございますが、現地の代表の方々も涙を流して、自分たちの深刻な心情を強く運輸大臣に対して披瀝された事実を、私はまのあたり見て参っております。そういったような非常に慎重に考えてもらわなければならぬ重大な問題であります。この委員会の先生方が御熱心に御審議下さいました御労苦に対しましては、私どもも敬意を表します。しかしながら七十年の歴史と伝統を持ち、しかも従業員あるいは現地方々も非常に深刻な思いをもって見守っておりまするこの問題を、わずか九日や一週間の日にちをもって、売り渡すべきであるという結論を出されることにつきまして、私はやはり何か疑惑を抱かざるを得ない。まことに失礼な言葉でございますけれども国鉄総裁というものは今日まで長い間売るという強い方針をこの委員会でも示して参りました。この一つのファクターが委員会に強く影響しまして、そのために委員会がきわめて短時間に、常識的に判断すると考えられないような短時日の間に、中間的な方向というものを――結論と言われないでも、一つの方向を示されて参りましたことは、私は委員会の名誉に関しましても、委員会の権威に対しましても、非常に残念な処置だというふうに言わなければならぬと思うのでございます。こういった今日までの長い間の歴史なり伝統なり、現地方々の心血を注ぐような心情というものが十分尊重されて、しかも一週間やそこらでこういった一つの方向というものが示されるかどうか。私は非常に残念でございますけれども、一応そういった点に対します委員会の御所信を一つ明らかに承わっておきたいと思います。
  55. 青山秀三郎

    青山参考人 お答え申し上げます。ただいまの委員会の経過についての御懸念でありますが、なるほどお話のように、発足後中間の御答申を申しました時間的な期間は見た目には決して長いとは思いません。けれども先ほど来申しておりますように、委員の八名の者は、この問題の重要性にかんがみまして、私ども委員会としてできるだけの手を尽して参ったことは申し上げるまでもないことであります。その間総裁がいつもそういう考えを持っておられたということが委員会にその影響を与えたということは、これは主観の問題であって、何とも私は申し上げかねますが、この場合少くとも委員会立場においては、その間にこの大筋を立てるということに対して、及はずながらできるだけ間違いのない方針を立ててきたと思っております。ただ、先ほど来お話がありましたように、このこまかい具体的な問題につきましては、今後の推移を見なければならぬことでありますが、根本的には中間の御答申で筋を一応立てておる、こう考えております。これは先ほど実は参議院の運輸委員会をお聞きのときにも申し上げましたことでありまして、私どもは今後は御趣旨を十分慎重に――また長い何年かの問題でありますから、皆さんの御安心のいくような処理は当然しなけれればなりませんが、筋は一応立ててきたということは御了承願いたいと思います。  それから、さっき保安の問題についてちょっと御質問がありましたが、これはまさにおっしゃる通りでありまして、先ほど来申し上げた通り、これらの災害については、私どもはこういうことはあっちゃならぬ、またそれに対する十分な措置、また心がまえもしなければならぬことであります。いわゆる不慮であります。われわれの日常生活においても注意しておってもいろいろそういうものは免れ得ないこともあり得るのでありますが、できるだけそういう災害はなくしたい、起したくない、また起さないように注意しなければならぬ。けれども百パーセント災害がないということはだれもいえないことで、こういうことをできるだけ少くするように今後も同じような心がまえで進んでいきたいということを蛇足ながらつけ加えておきます。
  56. 河野正

    河野(正)委員 ただいま委員長からの御答弁をいただいたわけでございますけれども、私どもが先ほど御指摘申し上げましたように、現地方々、あるいはまた関係いたします関係者の方々というものは、この問題を非常に深刻に取り上げております。そういった現地方々、あるいはまた関係方々の陳情というものが十分尊重され、あるいはまた七十年の歴史なり伝統というものが十分に尊重され、しかもそういう尊重の上に立って将来に対する責任を十分負担するという意味で、私は一週間やそこの審議で完璧が期せられるかどうかということにつきましては非常に大きな疑問を持たざるを得ないのでございます。たまたま委員長は十分筋を通したといううことでございますけれども、この点に対しましては、先生の名誉のために私は残念と思いますけれども、了承して承るわけには参りません。私どもは少くとも私どもの意思というものが軽視されておるという一つの指摘をせざるを得ないと思うのでございます。  さらに委員長に私申し上げておきたいと思いますが、それは先ほど来ちょっと申し述べましたように、この委員会志免鉱業所の処置の基本方針をいかにすすべきかという取り上げ方として、第一番に志免鉱業所としての一つの合理化を取り上げられた点に対しましては、私は敬意を表します。そこで私はさっきもちょっと触れたことでございますが、さらに申し添えておきたいと思います。それは、やはり今日この所有権者というものは国鉄でございますから、まずこの志免鉱業所第一の答申中の、志免鉱業所の合理的な経営を依然としてやっていくためにはどうやるべきかという具体的な検討というものが行われ、その試案というものがまず示さるべきではなかろうか。ところがどうも先ほど来いろいろ御説明を承わっておりますと、検討はされつつあったけれども国鉄当局がその合理化案をのむ意思がないように察知されたので、従ってその合理化に対しますところの検討が途中で中止されたかのような印象を私は受けて参りました。少くとも今回設置されました調査委員会というものは第三者的な、公正な、中立な立場調査委員会であるといたしますならば、国鉄総裁がどうであろうとこうであろうと、まず今日の所有権者が国鉄でございます以上は、国鉄を中心とする経営の合理化といものがどうあるべきかということが具体的に検討されるということが一番妥当な方法ではなかったかということを私は強く感ずるのでございます。そういったいろいろな試案が出てきたそのいずれの案をとるか、とらぬかということにつきまして、それは国鉄の権限であるといたしましても、少くとも公正な委員会の性格の立場からながめて参りましたならば、委員会としては、まず今日の所有権者が国鉄でございます以上は、国鉄としてやるならはどうやるべきかというふうな具体的な試案というものを示さるべきだというふうに私は考えるのでございますが、その点はいかがでございますか。
  57. 青山秀三郎

    青山参考人 御指摘のありました通り、私どもも、基本方針に対しまして三案の第一案でありますこれに対しては、先ほど来申しましたように、国鉄側としては現地の副長でありましたか、初めの委員会には終始出てこられて、現状のお話をつぶさに伺いました。また国鉄の本社の御当局からも、もちろん大事な問題でありますので、委員会では十分御意見を承わって参りました。そういうものを検討した上のことであるということは申し上げて間違いないと思います。その結果、さっき申しましたような中間答申をしたのでございます。
  58. 河野正

    河野(正)委員 ただいま委員長の御答弁を承わりますと、現地の副長も出席して、あたかも委員会の御意見は同調されたかのような御意見でございましたが、私どもの仄聞するところによりますと、現地の副長も組合員の方々やあるいは関係者の方々考えておりますような志免の合理化の方針で進んでいくという方針に御同意願っておるというふうに私ども考えておるわけでございますが、どうもただいま委員長の御発言によりますと、現地の副長もこの委員会委員方々の御見解と同一であるというふうに印象を受けるのでございまいますが、さように理解してよろしゅうございますか。
  59. 青山秀三郎

    青山参考人 国鉄御当局、また現場の鉱業所の副長もわれわれに調査資料を御提出になったのでありまして、この委員会中間答申は、委員会できめて申し上げてありますので、こういう答申をしたという責任が現場の副長にあると私は思っておりません。つまり現場の副長としては、われわれの審議の過程において必要な現状を御説明になったのであります。それによってわれわれが委員会立場中間答申をしたのであります。
  60. 下平正一

    下平委員 関連して。青山さんは時間もないようでありますから、簡単に二つばかりお伺いしたのですが、先ほど同僚委員質問を聞いておりまして、中間報告であるから、これは確定議ではない、途中でどう変更されるかもわからぬし、これは不確定のものだ、こういうお話を聞いたわけでありますが、私もこの中間報告は御熱心に御討論をされたのだろうと思いますが、形の上から見ると、少し先ばしった形が出ておるのではないかと思うわけです。先ほど同僚委員からの質問に対して、たとえば民間に払い下げた場合に、所期の委員会皆さん方の考え方が実現されると予想される、それではそういう相手があるかということについても、まだ実はそこまでは検討していない。これも先ばしったということの一つの証拠になりはせぬかと私は思う。  そこでもう一つ私がお伺いしたいことは、先ほどから言われておりましたり、この答申案や行政管理庁経営調査会意見に出ておりますように、国鉄に引き継いでから志免炭鉱というものは非常に四苦八苦の苦労をしたのです。そうしてようやくこの答申にも出るような非常に経常の合理化がなされたというところまでこぎつけてきたのです。その間にはいろいろの問題もありましょうが、私はこの志免鉱業所に働いている労働者の諸君のなみなみならぬ経営合理化に対する協力があると思うのです。そこでこれを民間に払い下げるというような場合には、当然この労働者の処置というものが相当大きなウェートとして考えられなければならぬと思うのです。伝え聞くところによりますと、日鉄法の二十九条で免職にするのだといううわさも聞いておりますが、一体この売山ということと、これまで功績を上げ、あるいは経営合理化に協力し、業績を大手並み以上にまで上げてきたこの三千数百人の労働者というものを、売山という場合には一体どういう処遇をするか、どういう処置をするかということについて、御検討なさった経過を少し聞いておきたいと思います。
  61. 今井一男

    今井参考人 あるいは委員長からお答えするのが順序かもしれませんが、ちょっとこの機会に私委員長の説明を補足するような意味合いで若干御質問外の点にまでわたらしていただきますと、私は冒頭申し上げましたように、いろいろ各方面の委員会には顔を出しておる男でございますが、少くともこの委員会は、総裁がこう言えばその通りになる、そういった独立性のない意味合いの審議は重ねておらないということは、私は責任を持って申し上げられると思います。特に皆さんは、ある場合には一切関係者を退席させまして、秘密会で長い時間意見の一致を見るために討議を重ねられたこともございます。最後にまとまったものを中間答申はしておりますが、その理解におきましては各委員に少しずつズレがあることも確かでございます。しかしながら、まとまったところをとにかく一本出さなければならぬ、こうなりますと、いわゆる皆さん独自の立場におきまして、列席委員等の討議の結果から自分たちの考え方に対しましても最大公約数を発見するような御議論の展開をなさっておられます。変な言葉でございますが、いわゆるひもつき的に発言される委員は一人もおられない、こう申し上げてよろしいかと思うのでありまして、私を除く方は皆さん権威者でいらっしゃいますが、とにかくその意味では公正妥当な結論を得るため非常に御熱心な、しかも一週間に三回も四回も討議を重ねるような御努力をされておることをこの機会にはっきり申し上げておきたいと思います。  それで、中間答申がとかく問題になりましたが、これは国鉄からの質問の仕方が、まず切り離すべき式の意味を持った炭業的に見ての山であるか山でないか、こういったことから出ました以上、これは技術的に判断しましたならば比較的早く結論が得られるのでありまして、この点は諸先生方と若干私は意見を異にいたします。ただしそれをその次に実行する方法いかんとなりますと、これはいろいろ制約はあろうと思うのであります。先ほど来お話のように、国の地下資源を有効に開発するためには一体どういうふうな条件をつけて、どういう相手でなければならぬ、またどういうふうな約束をしてもらわなければならぬ、特に御指摘のように労働問題につきましては、最近志免における能率は確かに九州では誇るに足る成績を上げておることもその通りでありまして、しかもこれだけの労働者の移譲というような形になりますと、これはいわゆる普通の国有財産払い下げで、高いものであれば幾らに売っても高いほどよろしい、そんなふうに簡単に片づく問題だないということ、これも明らかであります。しかしながら、そういうことはいま少し問題が具体的になって参りませんと、その次の段階的なところまで参りませんと、具体的には申し上げられるところに遺憾ながらなっておりません。もちろんその場合におきましても、あるいは国有財産ということに重点を置きまして、値段が高くなれば高いほどということに重点を置くような場合もあるかもしれません。また先ほど、どなたかが御質問になりましたように、予定価額に達しない、そういう場合にどうするか、そういう問題もあるいはあるかもしれません。また引受手がない場合に何か新しい方法考えなければならぬ、こういう問題もあるいは起るかもしれません。そういの意味におきまして、少くとも私は中間答申というものは、そういうふうな条件がついていない、筋として切り離すべきである、そういう結論を抽象的に出したにとどまっておりますから、その次の実行のワクを何でもかんでもいいから切り離せというのなら簡単でありますが、いろいろな制約下における条件切り離しでありますから、従って国鉄という、特に国民の財産ということを中心とし、さらにまた一方これだけの労働者を抱えた問題でありますから、なかなか簡単にいかない面もあろうかと存ずるわけであります。そういう意味から、あるいは――私はあるいはと申し上げる、あるいは結局そのワクの中では何とも動きがとれないというふうなことになる可能性も私自身は想像しておる意味におきまして、あえて中間答申というのに私は御賛成申し上げた次第であります。しかし問題の出し方が、切り離すべき筋の炭鉱なりやいなや、こういう形になりますと、満場一致そういうことに御賛成申し上げたわけであります。従いまして、その間の趣旨はぜひおくみ取りいただきたいと同時に、そういう労働条件等に関する問題は、やはり引き渡し価額等もからんでくる問題でありまして、その点を具体的にプリンシブルを立てますまでは、まだこれからこねなければならぬ問題がたくさんございます。そういう意味合いにおきまして、もちろん検討しなければならぬことにつきましては各委員ともに十分御認識でございますが、具体的になります場合に、しからば資源埋蔵量に対する、あるいは設備等に対する、あるいは公売等に対する評価等とからませるとどういうことになるかという問題は、非常にめんどうな、むずかしい問題でございまして、先ほど委員長が申し上げましたように、ただいまのところ結論は得ておりません。しかし、だれが見ても御納得いただけるような合理的な筋を出さなければいかぬという点におきまして、各委員ともに苦労されておるのが現状でございます。あるいは満ち足りないところがあるかもしれませが、意のあるところを一つおくみいただきたいと思います。
  62. 下平正一

    下平委員 時間がありませんので、今の今井さんの御答弁では私の聞きたいことが聞けないことが大へん不満足でありますが、いずれ何かの機会にお伺いすることにしたいと思います。  しかし委員長さんにお願いしたいことは、具体的に志免炭鉱の問題を考えていただくということは、具体的な国有財産の処理であります。ただ一つの筋道だというだけの形で結論を出すということについては、軽率とまではいかなくても、考え方の及ぼす点が足りなかったのではないかというふうに私は感じているのです。やはり具体的に国有財産の処分をするのだという結論を出すのには、その処分がかくかくこのようにすれば分離ができるのだというところまで確信をお持ちになって、その後に答申出しても決しておそくはないと思うのです。今この問題について、青山先生その他の方々の御存じないようないろいろ複雑な情勢がからまってきっておるのです。御承知のように新聞報道を見ても、中央紙でもいろいろな報道をされる。あるいは国鉄の十河総裁についてもいろいろな報道をされる。いろいろな問題がからまってきておりますので、この答申案の日付や、あるいはいろいろな点をお聞きしたい。今日の段階では何か審議会の皆さん方が作為的に踊らされておるのだ、そうして結論が政治的に早く引き出されてきておるのだという印象をどうしてもぬぐうことができない。しかしこの中間結論については、次会にお伺いすることにして、時間がないので、簡単でいいからお答えいただくことにして、この四月十九日付の青山さんの第一回答申を見ますと、志免炭鉱払い下げるということに対する結論を出すについておよそ三つの観点を報告されておるわけです。第一の観点が、国鉄が将来志免鉱業所経営を持続する必要が存するかいなかについては、現段階においてはすでにその必要が認められない。これが売山の第一の理由だと思うのです。以下石炭資源の合理的開発、あるいは現有施設の有効活用と三点に分れておりますが、きょうの御意見の御開陳を聞いておりまして、この第二点、第三点は十分私どもも、異論はありましてもお伺いはできましたが、大へん重要だと考えます第一点に対する結論をどう導き出してこられたか。第一点のこの結論が出てきた経緯について御説明はなかったし、質問の中にも触れていなかったような気もしますので、この第一点についての経緯、委員会においてどの程度の論争がどういう角度からなされたか、おそらく数点にわたっての論争が行われたと思うのでありますが、その内容をでき得る限り一つ詳しくお知らせいただきたいと思うのです。
  63. 青山秀三郎

    青山参考人 先ほど来問題になっております第一回答申の理由書の内容でありますが、私は自分の立場石炭資源の合理的開発の点からも、また現有施設の有効活用という点からも、かなり強く申し上げたわけであります。もちろん第一の今御指摘の問題につきましては、これは委員会としては国鉄御自身の立場から持っておられる意向がわれわれ一番知りたいところでありまして、それにつきましては第一に掲げてあります通り、この内容につきましては多少先ほど来言葉の中には出ておりますけれども委員会としては遺憾のないように十分この内容検討して参ったことは事実なのであります。これをどういう点が御疑問か存じませんが、委員会としては国鉄の御説明によってはやはりこう申し上げざるを得ないという結論になったというよりほかないと私はただいま思っております。
  64. 下平正一

    下平委員 簡潔に委員長さんにお伺いしますが、どういう項目とどういう項目についてどういう点が検討されたか。現に今まで国鉄経営をして合理化の実績も上げている、そのためには国鉄としてもいろいろのこれらに対する実績もあり、功績もあったのです。それを現段階においては国鉄経営する必要性は認められない、これが売山をする一番大きな理由なのです。もし国鉄が持っているということがはっきりすれば、あと二、三項目は抜けると思うのです。やはり一番大きな問題ですから、相当大きな論戦が戦わされたと思うのですが、私はきょうは時間がありませんから、委員長さんにそう詳しい説明、報告は求めません。どういう点とどういう点が論議をされてこういう結論だったということを、きわめて項目的に簡単でいいですから伺いたい。あとで十分論議しますからそれだけお願いします。
  65. 青山秀三郎

    青山参考人 お答え申し上げますが、これは私ども委員会として承わったことを申し上げるのも非常に適当と思いますが、一方これは国鉄御自身の中においてそういう確信を持っておられることがあろうと思いますので、適当な機会に国鉄の方からもお確かめいただきたいと思うのであります。私ども委員会で伺いました範囲においては、現在の国鉄でお使いになります燃料炭、その運転用炭の割合、現在志免に出ております五十万トン何がしの比率から見ましても、これは御承知のように八%か一割にも満たないものでありまして、過去とはかなり情勢が変っておるということが、現在使われております運転用炭の中味をごらんになれば、志免の占める位置が量においていかにあるかということは御想像つくこと思います。また今後国鉄石炭をお使いになります需要量がどうなろうか、これは平たく言えばエネルギーに関係することでありますが、国鉄としても石炭にどういうウェートを持っておりますことか、そういうことからいわゆる国鉄として将来石炭の需要量に対しての見通しでありますが、そういうこともよく伺いまして、これはもちろん減少するものと考えますが、そういう意味から志免国鉄の運転用炭としてどういう立場にあるかということも私どもよく伺いました。それが先ほど申しました現段階においては専有の必要は認められないという大きな原因になっておると思います。
  66. 河野正

    河野(正)委員 委員長がお時間もないようでありますから、引き続いての質疑はいずれ別な機会にいたすといたしまして、一点だけ最後に一つ念を押しておきたいと思います。  それは今日までいろいろ論議されて参りましたいろんな意見の中で、一貫して考えられますことは、どうも私は志免鉱業所そのものに対して、民間がやれば非常に合理的な経営ができるが、現在の国鉄のままでは合理的な経営が不可能だというような考え方が一貫して流れておったというふうに考えるわけでございます。ところが、私は委員長に十分頭にお考えを置いていただきたいと思いますことは、国家的な立場国鉄立場というものはおのずから相違があると思うのです。それは国鉄国鉄でございましょうし、さればといってまた国鉄立場というものが即国家的な立場ではない、かように考えます。ところが、どうもきょうの論議を承わって参りますと、国鉄立場というものが非常に重要視されて、国家的立場というものが軽視されておるというような印象を強く承わったわけです。従って、たとえば炭層の複雑性であるとか、あるいは生産量の問題とか、あるいはまた推定埋蔵量の問題、こういった問題についても、どうも一方的な資料に基いて検討が加えられ、そういった検討に基いて中間的な一つ答申がなされておるというように私は判断するわけです。しかしまた一方におきましては、別の考え方というものに組合その他におきましては強く支配されておるということを強く感ずるわけです。そこで今まで行われた論議では、一方的な資料なり、一方的な見解なり、一方的な国鉄考え方に基いて報告がなされたというふうに判断いたします。  従って、最後にお尋ねしておきたいと思いますことは、いろいろ国鉄あるいはまた専門的な資料に基いて判断されたわけでございますから、実際現地の状況なり、あるいはまた現地のなまの声なり、あるいはまた現地ほんとうの生きた資料というものと相違する点も起ってくるかもしれない。私どもも七日から現地に参りまして現地調査いたしますが、私ども専門家でございませんから十分な資料が出るとは思いませんが、一応行います。そういったことで、さっきも今井さんからお話がございましたが、中間報告というものは、いわゆる暫定的な中間報告であって、将来別な資料、別な見解が出てくれば、当然この中間報告を変更せられるんだというふうに今井さんがおっしゃった。今井さん個人の見解かもしれませんけれども、そう理解していいものかどうか。もう時間がありませんから、簡単でけっこうであります。後ほどまたいずれ御質問いたしますけれども、その点だけ一つ伺います。
  67. 青山秀三郎

    青山参考人 中間答申内容につきまして、またその考え方については先ほど来私が何度も申し上げておりますが、そういう考え方で委員会としては進めるということで、ただいま変っておりません。ただ、答申をいたしました正式な書類は、四月十九日でありますか、その後今日まで引き続きその裏づけとなるようなことを絶えず続けております。今日の段階においても私どもはこの委員会の御答申を根本的に動かすというような事態は、私どもの方においてはそういう考え委員会として正式には持っておらぬということは申し上げ得ると思います。ただ、先ほど来お話がありました通り、具体的な問題に対しますれば、いろいろ皆さんの声も聞かねばならず、もっと調べなければならぬことも多かろうと思います。それには万全慎重を期していきたいと思っております。  なお、これは御質問にはございませんけれども、私どものただいまの考え方としては、いつまでもこういうものの最終の結論が出ないではいけないと思いまして、なるべくすみやかに相当具体的な結論にまでいきたいと希望しておりますので、でき得べくんばこの三十三年のうちには、十二月までには、そのうちでもできるだけ早く最終のほんとうの具体的な結論を得たい、こう思っております。おそくも三十三年度の終り、三月までには――これは私は希望しないのであります。そういつまでもこの問題を懸案にしておきたくない、最終結論を早く出したいと希望しておりますことを申し添えます。
  68. 塚原俊郎

    塚原委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたします。  参考人方々におかれましては、御多忙のところ本委員会に御出席下さいましてまことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十二分散会