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1958-04-01 第28回国会 衆議院 商工委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月一日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 阿左美廣治君 理事 内田 常雄君    理事 笹本 一雄君 理事 島村 一郎君    理事 松平 忠久君       有馬 英治君    大倉 三郎君       川野 芳滿君    神田  博君       齋藤 憲三君    櫻内 義雄君       首藤 新八君    田中 彰治君       中垣 國男君    福田 篤泰君       山手 滿男君    佐々木良作君       佐竹 新市君    田中 武夫君       田中 利勝君    多賀谷真稔君  出席国務大臣         通商産業大臣  前尾繁三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       白浜 仁吉君         通商産業政務次         官       小笠 公韶君         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君         通商産業事務官         (石炭局長)  村田  恒君         中小企業庁長官 川上 為治君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    今井 善衞君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   海堀 洋平君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十八日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  日野吉夫君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員有馬英治君及び佐々木良作辞任につき、  その補欠として加藤常太郎君及び阿部五郎君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤常太郎君及び阿部五郎辞任につき、  その補欠として有馬英治君及び佐々木良作君が  議長指名委員に選任された。 四月一日  委員戸塚九一郎辞任につき、その補欠として  山手滿男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山手滿男辞任につき、その補欠として戸  塚九一郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十八日  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第二  五号)(参議院送付)  計量単位の統一に伴う関係法律整備に関する  法律案内閣提出第一二七号)(参議院送付)  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一四八号) 同日  小売商業特別措置法制定促進に関する請願外一  件(赤澤正道紹介)(第二三九一号)  同外二件(井原岸高紹介)(第二三九二号)  同(小澤佐重喜紹介)(第二三九三号)  同(大野市郎紹介)(第二三九四号)  同(大橋武夫君外四名紹介)(第二三九五号)  同(簡牛凡夫君紹介)(第二三九六号)  同(木村俊夫紹介)(第二三九七号)  同外一件(小泉純也君紹介)(第二三九八号)  同外一件(小坂善太郎紹介)(第二三九九  号)  同外一件(小林かなえ紹介)(第二四〇〇  号)  同(佐藤榮作紹介)(第二四〇一号)  同(坂田道太紹介)(第二四〇二号)  同(篠田弘作紹介)(第二四〇三号)  同(園田直君外一名紹介)(第二四〇四号)  同(田中久雄紹介)(第二四〇五号)  同(中曽根康弘紹介)(第二四〇六号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二四〇七号)  同(野田卯一紹介)(第二四〇八号)  同外一件(馬場元治紹介)(第二四〇九号)  同(福田赳夫紹介)(第二四一〇号)  同(福田篤泰紹介)(第二四一一号)  同(船田中紹介)(第二四一二号)  同外九件(牧野良三紹介)(第二四一二号)  同外二件(早稻田柳右エ門紹介)(第二四一  四号)  同(有馬英治紹介)(第二四四九号)  同(愛知揆一君紹介)(第二四五〇号)  同(大平正芳紹介)(第二四五一号)  同(松本七郎紹介)(第二四五二号)  同(山本正一紹介)(第二四五三号)  小売商振興のための法律制定に関する請願(愛  知揆一君紹介)(第二四一五号)  同外二十五件(床次徳二紹介)(第二四一六  号)  同(福永一臣紹介)(第二四一七号)  同外一件(松浦周太郎紹介)(第二四一八  号)  同(亘四郎紹介)(第二四一九号)  同(愛知揆一君紹介)(第二四五四号)  同(草野一郎平紹介)(第二四五五号)  同(佐々木秀世紹介)(第二四五六号)  同(町村金五君紹介)(第二四五七号)  同(芳賀貢紹介)(第二四五八号)  同(大平正芳紹介)(第二四五九号) 同月三十一日  小売商業特別措置法制定促進に関する請願(太  田正孝君紹介)(第二五六七号)  同(田中久雄紹介)(第二五六八号)  同(松岡松平紹介)(第二五六九号)  同(粟山博紹介)(第三五七〇号)  同(今松治郎君外一名紹介)(第二六一二号)  同(大橋武夫紹介)(第二六一三号)  同(川野芳滿紹介)(第二六一四号)  同(北村徳太郎紹介)(第二六一五号)  同(木村俊夫紹介)(第二六一六号)  同(黒金泰美紹介)(第二六一七号)  同(坂田道太紹介)(第二六一八号)  同(佐々木秀世紹介)(第二六一九号)  同外一件(篠田弘作紹介)(第二六二〇号)  同(田中武夫紹介)(第二六二一号)  同外一件(田中久雄紹介)(第二六二二号)  同(渡海元三郎紹介)(第二六二三号)  同(南條徳男紹介)(第二六二四号)  同(中垣國男紹介)(第二六二五号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二六二六号)  同外一件(野依秀市紹介)(第二六二七号)  同(原健三郎紹介)(第二六二八号)  同(橋本龍伍紹介)(第二六二九号)  同(藤枝泉介紹介)(第二六三〇号)  同(古井喜實紹介)(第二六三一号)  同(松野頼三君紹介)(第二六三二号)  同(町村金五君紹介)(第二六三三号)  同(松山義雄紹介)(第二六三四号)  同(山手滿男紹介)(第二六三五号)  同(山崎巖紹介)(第二六三六号)  同外二件(山本友一君外一名紹介)(第二六三  七号)  同外十九件(横井太郎君外一名紹介)(第二六  三八号)  同外二件(加藤高藏君紹介)(第二六七七号)  同外一件(世耕弘一紹介)(第二六七八号)  同(渡海元三郎紹介)(第二六七九号)  同外一件(楢橋渡紹介)(第二六八〇号)  同(中川俊思君紹介)(第二六八一号)  同(永山忠則紹介)(第二六八二号)  同(林讓治紹介)(第二六八三号)  同(前田榮之助君紹介)(第二六八四号)  同(松本七郎紹介)(第二六八五号)  同外四十八件(横井太郎君外一名紹介)(第二  六八六号)  同(内藤友明紹介)(第二七〇八号)  小売商振興のための法律制定に関する請願外二  件(古川丈吉紹介)(第二五七一号)  同外七件(芳賀貢紹介)(第二五七二号)  同(福井盛太紹介)(第二五七三号)  同(野田武夫紹介)(第二六三九号)  同(福永一臣紹介)(第二六四〇号)  同外九件(松浦周太郎紹介)(第二六四一  号)  同外三十三件(灘尾弘吉紹介)(第二六七四  号)  同(堂森芳夫紹介)(第二六七五号)  同(藤本捨助君紹介)(第二六七六号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二七〇九号)  中小企業振興助成法に関する請願早稻田柳右  エ門紹介)(第二五七四号)の審査を本委員  会に付託された。     ————————————— ○本日の会議に付した案件  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第六七号)(参議院送付)  中小企業信用保険公庫法案内閣提出第一〇一  号)  中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律  の整理等に関する法律案内閣提出第一一七  号)  工業用水道事業法案内閣提出第一二二号)  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一四八号)      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  まず、三月二十八日、本委員会に付託されました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。  まずその趣旨説明を求めます。白濱政務次官。     —————————————
  3. 白浜仁吉

    白浜政府委員 今回提出いたしました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び法律案要旨について御説明申し上げます。  石炭鉱業合理化臨時措置法は、昭和二十八年以降の石炭鉱業の深刻な不況を背景として、昭和三十年八月に制定されましたが、同法が石炭鉱業合理化計画に基いて石炭鉱業整備を行い、また坑口開設を制限すること等の措置を講ずることにより、石炭鉱業合理化をはかり、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的としたものであることは御承知通りであります。  この法律施行以来、すでに二年有半を経過いたしましたが、この間において、わが国石炭鉱業合理化は著しく進展し、その生産数量は、昭和三十年度の四千二百五十万トンから昭和三十二年度は五千二百七十万トンと大幅に増加し、その生産能率は、昭和三十年度の一二・九トンから昭和三十二年度は一五トンと上昇し、これらと並行して合理化工事のための投資も著しく増加して参りました。昭和三十年以降、わが国経済輸出飛躍的増加に伴い急速な拡大発展を示したことは、皆様御存じのごとくでありますが、この結果、エネルギー需要も著しく増大いたしましたので、政府といたしましては、将来のエネルギー需要趨勢を把握し、長期エネルギー施策を樹立することの必要性を痛感し、その検討を行なって参りました。昨年十二月、昭和三十七年度までの新長期経済計画を策定するに当りましても、特にエネルギーについては昭和五十年度までの需給見通しを作成し、その対策を検討した次第でありまして、今回の改正法案は、この中の石炭に関する計画を具体化することを目的としたものであります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一は、先ほど申し上げましたごとく、将来の増大するエネルギー需要に対処し、石炭資源開発を急速、かつ、計画的に行うため、未開発炭田開発に関する規定を設けたことであります。この未開発炭田開発をはかるため、まず、国で石炭の鉱床の状態、地質の状態その他の自然条件及び立地条件に関する調査を行い、その結果に基き、石炭資源開発が十分に行われていない地域であって、その開発を急速、かつ、計画的に行う必要があると認められる地域を指定し、この指定地域について遅滞なく開発計画を立てることといたしました。次に、この開発計画の円滑な遂行を期するため、指定地域内の採掘権者から事業計画を徴し、必要があると認められる場合には、その事業計画の変更を指示することとし、また、指定地域について、鉱業法開発着手義務を適用し、その開発を促進するとともに、指定地域内の鉱区の錯綜する地域について、合理的開発を行う上に必要がある場合には、鉱区調整を行うことができるものとし、調整について、当事者間に協議がととのわない場合の決定に当り、新しく鉱区調整協議会を設けてこれに諮ることとした次第であります。  第二は、坑口開設許可制度について、過去の運用の経験に徴し、その規定を若干変更し、あわせてその期間を延長したことであります。坑口開設許可制度は、本法制定当時の事情にかんがみ、きわめて厳重な運用を行うため、その許可基準をきわめて高いところに置き、許可に当っては、一件ごとに石炭鉱業審議会に諮ることとし、その期間を三年に限定した次第でありますが、今後、わが国石炭鉱業の円滑な合理化の推進をはかるためには、なお非能率炭鉱の発生を防止する必要がありますので、その期間を延長するとともに、エネルギー需要の増大にこたえるため、坑口開設許可基準を改め、許可手続を簡素化する等の措置を講じたものであります。  第三は、法律有効期限昭和四十二年度末までとしたことであります。石炭生産趨勢を見まするに、現有炭鉱出炭は、昭和四十年ごろをピークとして、その後は自然条件等の制約のため、減産の方向をたどらざるを得ないと考えられます。この生産の減少をカバーし、あわせて炭鉱合理化を促進し、昭和五十年度に七千二百万トンの出炭を確保するための態勢を整えるためには、新炭鉱の造成を極力推進する必要がありますので、この法律有効期限を延長した次第でありまして、また、これと並行して合理化基本計画目標年次も、昭和四十二年度と改めることにいたしました。  第四は、納付金を徴収する期間現行法期間内に限定したことであります。この納付金は、石炭鉱業整備事業団の業務に必要な費用に充てるため、採掘権者及び租鉱権者事業団に納めているものでありますが、事業団の行う炭鉱の買収は、ほぼその目標を達成できることが明かになりましたので、納付すべき期間を、当初の計画通り昭和三十五年八月末までとしたものであります。  以上が、この法律案要旨でございますが、わが国石炭鉱業合理化促進のため、この法律施行と並行して、炭鉱合理化及び未開発炭田開発に必要な長期低利財政資金の供給、未開発炭田地域産業関連施設整備、あるいは需給の安定のための輸入エネルギーによる調整等措置を講ずることにより、万全を期する考えであります。  以上申し上げましたごとく、政府といたしましては、わが国石炭鉱業の現状及びエネルギー需要趨勢にかんがみ、今回の改正案を提出いたしました。何とぞ御審議の上、御賛同あらんことを切に希望してやまない次第であります。
  4. 小平久雄

    小平委員長 本案に関する質疑は、後日にこれを行うことにいたします。     —————————————
  5. 小平久雄

    小平委員長 次に、中小企業信用保険公庫法案及び中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案一括議題とし、審査を進めます。  この際、中小企業信用保険公庫法案外一件審査小委員会審査報告書が提出されておりますので、同小委員会の経過及び結果について、小委員長報告を求めます。中小企業信用保険公庫法案外一件審査小委員長内田常雄君。
  6. 内田常雄

    内田委員 中小企業信用保険公庫法案外一件に関する審査小委員会は、昨月二十六日以来、数回の会合を開きまして、会議において、あるいは懇談会におきまして、慎重に審査をいたしましたが、結論を得ましたので、ここに報告をいたします。  すでに、委員諸君が御承知のように、今回の中小企業信用保険公庫に関する法案は、二つの体系をなしておりまして、一つは、公庫の設置に関するものであり、他は、従来行なっております中小企業信用保険法の一部改正等を伴いますものであります。  第一の、中小企業信用公庫設立に関する法律案は、おおむね時宜に適するものであると考えまして、小委員各位においても、これを制定施行することに異存がありませんでした。  第二の、信用保険制度改正内容といたします法律改正につきましては、若干の修正あるいは政府態度表明等を必要とするものと、結論をいたしました。  御承知のように、今度の信用保険公庫法設立に伴う信用保険制度改正のおもなる点は、政府腹案によりますと、大幅に拡張いたしまして、従来行なっておりました二十万円以下の包括保証制度のほかに、五十万円以下の保険につきましても、これをすべて包括保証保険制度に入れるとともに、なおまた、五十万円から一口五百万円までのものにつきましても、第二種保険として包括保証保険制度を設ける。その反面、従来行なっておりました普通保証保険の仕組みは、これを大幅に縮減をいたしまして、もっぱら五十万円以上のものについてのみ、特別保証保険制度を認める、こういうことでありますとともに、その反面、従来やっておりました小口普通保証保険というものはやめる。これは、従来の小口保証保険制度というようなものは、二十万円以下のものでありましたために、今回は、二十万円以下のものは、すべて包括保証保険に組み入れられますので、従来の小口保証保険というものは要らなくなるわけであります。さらにまた、従来、金融機関等を相手方として政府が締結しておりましたところの融資保険というものは、いろいろの弊害をも伴っております事情にかんがみまして、この際、包括保証保険制度大幅拡張に伴って、これはかなり大幅に縮減をする、こういうことを内容といたしておるものであります。  これにつきましては、小委員会が到達いたしました意見は、まず第一点は、包括保証保険に関する点でありますが、五十万円以下の第一種包括保証保険について、政府案では填補率七〇%、保険料率は、法律事項ではなしに政令にゆだねられておるものでありますが、融資額二十万円までのものは年七厘、二十万円をこえて五十万円までのものは年九厘とされることに伺っております。そのうちで、填補率については、政府案に若干の異議もありましたが、今回は一応政府案による填補率、すなわち七〇%というものを了承することといたしました。保険料率については、政府案のように二十万円以下七厘、五十万円以下九厘と区別することは不適当である。これは一律に七厘と定むべきであるということに、小委員会における意見決定をいたしました。  第二は、先ほども触れました普通保証保険に関する点でありますが、政府案では、法律事項でありますところの填補率は六〇%になっております。保険料率は、また年二分五厘とされることに予定されておるようでありますが、これは制度趣旨から見て適当ではない。填補率については、現行通り七〇%とすることが適当である。従って、この趣旨から、政府提案法律案については、一部修正を行うべきものである、かような結論に到達をいたしました。保険料率については、現行法では二分でありますが、政府腹案においては、政令において二分五厘と定めるやに聞いておりますけれども、さようなことは、制度の改悪であって不適当である。保険料率を定める場合においては、これも現行のように年二分に据え置くべきである、かような結論に達したわけであります。  次に、融資保険に関する点でありますが、政府案では、填補率は五〇%、保険料率は二分一厘九毛ということでありまして、保険料率においては、現行と変りはありませんけれども、填補率においては、現行から大いに後退をしておるわけであります。従って、現行制度縮減になるわけでありますけれども、これは、私が先ほど申し述べましたような、従来からの弊害等を伴う事情もあることでありましたので、この際、政府説明を了承して、政府案を認めることといたしました。  なおまた、融資額一口五十万円以下二十万円までの間の保険についても、包括保証保険制度と並行して、普通保証保険制度を存置せしめることが適当ではないかという意見も、一部にはございました。これは、かく申す小委員長みずからも、かような考えを持っておりますし、また社会党松平委員等も、熱心に主張いたしました意見でありましたけれども、小委員会多数において慎重審議をいたし、また政府説明を聴取いたしました結果、今回は、一応われわれの意見を保留をいたしまして、今後法律改正後、また法律改正に伴う制度の実施の状況を見た上で、必要な措置政府をしてとらしめるということで、落着をいたした次第であります。  以上に基きまして、普通保証保険填補率につきましては、これは法律事項でありますから、本委員会において法案修正を行い、また第一種包括保証保険並びに普通保証保険保険料率につきましては、これは政令にゆだねられる事項でありますので、本委員会において質疑を行い、これに対しまして、政府から、われわれの希望に沿うように、明確なる御答弁をいただいた上で、さらに必要によっては附帯決議を付する等その他の方法によって、これが確実なる施行を確保することといたさんとするものであります。  この段御報告をいたします。
  7. 小平久雄

    小平委員長 引き続き、両案に対する質疑を継続いたします。松平忠久君。
  8. 松平忠久

    松平委員 ただいま内田委員長から報告のありました点につきまして、若干政府の意向をただしたいと存じます。  まず、第一にお尋ねをいたしたいと思うのですが、この制度は、われわれ根本的には賛成であります。この制度自体は、若干社会政策的な金融ということを加味しておる制度であります。従って、もともと初めから赤字が出ることを覚悟の上で、政府はその予定をされて、この計画がなされておるということであります。従って、予定赤字以上に、かりに赤字が出たという場合においては、政府自体で何か考えられなければならぬことになるだろうと思うし、予定以上の赤字が続いて出るというような方向にいくならば、さらにこの資金量を増していくということも、根本的に考えなければならぬ制度自体の本質であろうと思うのです。従って、大臣は、そういう考え方で、今後必要やむを得ざる赤字がふえたというような場合におきましては、何らかの財政的な措置を今後おとりになるというおつもりがあるかどうかということを、まずお聞きしたいと思うのです。
  9. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 中小企業信用保険公庫につきましては、御承知通りに、私の最初構想では、二百億というのが構想であったわけであります。従って、二百億でありましたら、いろいろ皆さんの御希望の点が、十分いけるのではないかというのでありましたが、遺憾ながら財政との関係からいたしまして、必要額以下になってしまった。そのために、われわれとしましても、あまり十分でないということを考えながらも、その保険料率あるいは填補率につきまして、この程度になったわけであります。もちろんこの公庫の今回の出資は、最初のきっかけを作るというのでありまして、今後、財政の許す限りにおいてこの基金を増していく。そして、実は私は、赤字を出すということは予想してなかったのでありまして、今後基金を増すことによって利息をふやし、その利息だけは損していくということでいけば、安定した経営がやっていける。従って、来年度は、御承知通り剰余金最初に使い得る半額という構想で二百億であったのでありますが、それが半額になりましても、今後剰余金なんかが出る場合は、まずこういうところにほうり込むのが最も有効であるというふうに考えておるのでありますし、もちろんまた剰余金でなくても、許し得る限りにおいてはこれをふやしていく。そうして大きな構想を、将来はこれによって中小企業者の方々が、一般金融機関については、心配なしに、またそう担保を提供せずに、金を借りられるところまでは基金を増強していくのだという考えで、出発をいたしておるのであります。このことは、私は通産省の政策として、私だけではなしに、今後において、同様な考え方で進んでいっていただけるもの、かように考えておる次第であります。
  10. 松平忠久

    松平委員 今の大臣の御答弁で、非常にはっきりいたしました。私も、二百億あれば、とにかく理想的なことができたのではなかろうかと思います。しかし、それが半分ちょっとになったということのために、不満足な点ができたわけでありまして、従って、小委員会等におきましても、その不満足な点をこういうふうに改めるべきであるという結論が出されて、先ほど内田委員からも報告があったわけであります。従って、一応政府の当初の考え通りに、つまり現在出されておる法案通りにしていくということであれば、あるいは赤字ということがなくてという前提で、計画が進められてきたわけでありますが、われわれが今申しましたような修正をするとか、あるいはここに、政令等によるところの保険料率というものも下げてもらうというようなことになりますと、当初の計画より足がはみ出すということに私はなると思うのです。そういった場合におきましては、これは、結局年度内に解決すべきことであるか、あるいは翌年にこの解決をゆだぬるかということになるだろうと思うのですが、いずれにいたしましても、ただいまの大臣答弁によりますと、そういう赤字が出ても、それは政府部内で一つ始末をする、そうして、さらに余裕金があれば、どんどん増強して理想的なものにする、こういう御趣旨のように承わったわけですが、そういうことでございますか、重ねて念のために御答弁をお願いします。
  11. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいま小委員長の御報告のありました修正案につきましては、私も当初の考えからいたしますと、ごもっともだと思います。ことに、今よりも料率を上げたり、いろいろ条件を悪くするということは、極力避けねければならぬというつもりで参りました。たとい御修正がありまして、そのために赤字が出るような場合がありましても、これは極力今後も政府で処理していくというふうに考えたいと思っております。
  12. 松平忠久

    松平委員 それでは、念のために川上長官にお伺いしたいのですが、第一種保険について、二十万円を限度として二つに分けるという考えで進んでおられるようですが、二十万円超五十万円までのものを、二十万円と同様に七厘程度ということにしてもらいたい。すなわち、政令等によってきめられる場合に、九厘という内意のようでありますけれども、それを七厘というようなことにしてもらいたいというのが、小委員会の一致した見解なのです。それについては、この政令は、いつごろ出るか知りませんが、いつごろその政令を用意されて、またその政令内容としては、小委員会意見通りにしていくというような御覚悟があるかどうか、これを一つ明確に伺っておきたいと思います。
  13. 川上為治

    ○川上政府委員 この法律施行につきましては、七月の一日から実施することになっておりますので料率等につきましての政令につきましても、それまでに準備をいたしまして、七月一日から完全に施行ができるように持っていきたいというふうに考えております。  それから包括保証保険につきまして、二十万円をこえまして五十万円までのものを、私どもが最初考えておりました九厘を七厘まで下げていくということにつきましては、この委員会の皆さんの御意見がさようでございますし、また私ども自身としましても、料率はなるべく低い方がいいと考えておりますし、先ほど、また大臣からもお話がありましたように、もし現在の計算と違いまして、ある程度マイナスが大きくなる場合においては、何とか政府において措置をするというような話もございますので、私どもとしましては、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。
  14. 松平忠久

    松平委員 それでは、念のために次にお伺いしたいのですが、普通保証保険です。これを現行の二分に据え置いていく、こういうのが小委員会結論であります。これについても、政府当局としては異議がないと思いますけれども、念のために御答弁をお願いしたいと思います。
  15. 川上為治

    ○川上政府委員 普通保証保険につきましても、先ほどお話がありましたように、私どもといたしましては、現行制度を、今度の案におきましては相当変えておりますが、やはり現行制度をそのままやった方がいいのじゃないかというような意見もありましたので、私どもとしましては、極力その通りに実行していきたいというふうに考えております。
  16. 松平忠久

    松平委員 その次にお伺いしたいのですが、これは、小委員会において結論として出たわけではございませんが、少数意見として述べられた意見であります。それは、包括保証保険填補率、これが七〇%というふうに法律案ではなっておりますが、理想としては、もっと填補率が高い方がいい。つまり八〇%とか、あるいは現行の九 〇%というところまで行けば、非常に理想的であるが、その理想の方向へ持っていくことが望ましいわけであります。従って、その填補率を将来上げていこうというお考えがあるかどうか。ともかく一年ぐらいやってみて、そうして漸次これを理想の方向へ持っていくというお考えであるように思うのですが、このことについて、念のために大臣のお考えを、この際伺っておきたいと思うのであります。
  17. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 正直な話をいたしますと、料率は政令でありますので、今後の動きいかんによってまた下げていける、こういうので、むしろ填補率の方を私は上げたいつもりで、——これは法律でありますから、希望通りには参りませんが、そういうつもりでおったのであります。またいろいろの御意見を伺った結果、こういうことに一応落ちついたのであります。将来、基金を増していくとともに、また実行に移しました結果を見まして、極力私は填補率を上げていくべきだというふうに考えている次第でありますので、私は少くとも、もう来年度は必ず八〇%ないし九〇%に上げていきたい、こういう強い考えを持っているわけであります。
  18. 松平忠久

    松平委員 しごくごもっともなお話であると思います。そこで最後にお伺いしたいのですが、これは先般、実は小委員会でも問題になりまして、一応の御答弁はいただいておるわけであります。しかし、本日の委員会には、大臣もお見えになっておりますので、大臣から明確な御答弁をいただいておく方が筋であるというふうに思いますので、御質問申し上げるわけでありますが、それは保証協会への貸付金であります。この貸付金につきましては、弱小の保証協会等におきましては、一つの心配を持っておる。その心配は、どういう心配であるかというと、原則として包括保険の方へ移行していくわけでありますが、中には、どうも包括保険の保証料が、全体としてどうしても額が大きくなるので困るというような、弱小の保証協会があるように聞いております。従って、それらの弱小保証協会というものの中には、包括保険の契約をしないというものも出てくるのではないかと私は懸念しているわけですが、そういう場合におきましても、いわゆる二十億の貸付金につきましては、これは今後できる公庫として、今度のこの法律による新しい規定における貸付といたしましても、それらの包括保険の契約をしないというものに対しても、貸付をするのかどうかということ。むしろ、これは逆に、そういう弱小の組合にこそ、よけい貸すべきであるというふうに思うわけでありますが、念のためにそれを伺っておいて、安心をさせていただきたいと思うのです。
  19. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 今度の公庫法を作りますにつきまして、私の一番心配をしておりますることは、地方の信用保証協会というものであります。私自身は、地方の信用保証協会を強化してから、中央を強化すべきでないかという気持も持ったのでありますが、これはやはり、まず中央を強化して、そうして地方を漸次強化していこう。そうしませんと、これが実行できませんので、今度のような姿をとったのであります。従いまして、今後におきましては、極力地方を強化していこう。それにつきましては、率直に言いますと、極力包括保険に入ってもらって包括保険にしていく。しかし、その面の施策は、貸付金ももちろん考えなければなりませんし、あるいは交付金という制度考えましたのも、そこにあるわけです。将来は包括保険に持っていかなければならぬというふうに考えたのであります。ただ、包括保険を受けられない保証協会も、できるのではないかという点も、実は私は心配をいたしまして、五十万円以下につきましても、普通保険を置いたらどうかという意見を最後まで言うておったのであります。しかし、極力包括保険に切りかえるという意味からいたしまして、原案のようなことになったのでありますが、それだからといって、この保証協会の育成ということを怠ってはなりませんので、極力包括保険に持っては参りますが、そうでない場合におきましても、私は、将来包括保険を国でやっていただけるような方向に、極力育成をしていきたいというように考えておりますので、それに対しましては、貸付についても十分考えていきたい、かように思っております。
  20. 松平忠久

    松平委員 大体私の聞かんとすることは、以上であります。以上が、小委員会において問題になったところであり、かつ、政府当局の明確なる御答弁をいただかなければならない点なのであります。非常にはっきりした御答弁をいただきましたので、私はこれで打ち切りますが、ぜひこれは無理をしないことにして、理想的な方向に持っていってもらいたい、こう考えるのであります。  最後に、特にお願いしたい点は、今度できるいわゆる公庫というものの運営の仕方であります。今までの特別会計における再保険制度というものは、いわゆる官僚による運営のされ方をいたしております。国家の資金であるから、きちきちの規則等によって縛られることは、当然ではあろうと思うのですが、しかし、どうも金融というような面からいって、とかく円滑な運営ができておらぬというふうに、われわれは見ておるわけであります。従って、今後そのような考え方が、そのままこの公庫の中に入り込んでくるということになれば、私は、そういう面から、かなりまた不評判が出てくると思う。従って、もっと適切な運営をしていただきたい。書類等の要求等に関しましても、もしくは事故発生のときの保険金の支払いというようなことに関しましても、もっと被保険者の立場を考えて、迅速な、簡便な方法をとってもらって、これがほんとうにいい制度であるというふうな運営の仕方に、改めてもらわなければならぬのじゃないか。私はこういうふうに思いますので、特にその点を要望いたしまして、私の質問を終ります。     —————————————
  21. 小平久雄

    小平委員長 次に、工業用水道事業法案議題とし、審査を進めます。  質疑を継続いたします。笹本一雄君。
  22. 笹本一雄

    ○笹本委員 工業用水道について、一、二お尋ねしたいと思います。工業用水道事業者を、地方公共団体とその他の者とに分けて、取扱いを区別しているが、それはどういう理由によるものであるか。元来、工業用水道事業は、公共性がきわめて強く、用水料の低廉が要請されておるのでありますが、これは純然たる営利事業として採算ベースに乗りがたい事業であることは言うまでもありません。従って、現在行われている事業は、ほとんど公共団体か組合形態によるものが多く、将来もまた、このような形で発展していくものと考えられるのであります。従って、両者を一本として規制する方がよいではないかと考えられるのでありますが、この点はいかがでありましょうか。
  23. 松尾金藏

    ○松尾(金)政府委員 ただいま御指摘のございました点は、お話のように、現状におきましても、そのほとんど大部分が、公共団体の経営にかかる工業水道事業でございます。将来も、おそらく大部分のものが、そういう形をとって参ると思います。従いまして、そのような地方公共団体が経営いたします工業用水道事業の場合には、もともと地方公共団体というものは、その地域内の公共的な利益なり、地域内の利益を十分考えていく立場にあるものでございますので、この場合は、事実上あまり強い認可とかいうようなことをしなくとも、この法律にございますように、一定期間の事前の届出で、事実上の行政指導をやって参りますれば、十分その目的を達成し得るということで、このような建前をとったのであります。ただ、まれにそのような地方公共団体でない場合につきましては、もともと工業用水道事業というのは、だんだんと水源について乏しくなってきた状態において、工業用水道事業を営みます場合には、事実上、いわゆる独占的な形をとるわけであります。この場合には、やはり公益事業的観念が入って参りますので、まれな場合ではあると思いますけれども、地方公共団体以外の事業者がやります場合には、公益事業的な性格ということで、認可というような監督なりその他をして参る必要があろうということで、そのような区別をいたしたわけであります。
  24. 笹本一雄

    ○笹本委員 地方公共団体の行う事業については、事業の開始、供給の規程等は、届け出ればよいことになっておりますが、これに対する措置は、一定の基準に合致していない場合、単に通産大臣が指示することができるだけであります。これで本法の目的達成に支障はないかどうか。国の補助金の交付、地方債の引き受けその他等とも関連して、通産大臣の指示は、十分効果を発揮できるのでありましょうが、国の予算には限度があるので、各事業全部に対して、資金援助するわけにはいかないが、これら援助を得られる事業が、大臣の指示を聞かなかった場合は、これはどうなりましょうか。この点について一つ……。
  25. 松尾金藏

    ○松尾(金)政府委員 先ほど申し上げましたように、地方公共団体の立場は、地元の工業なり工場の育成という立場にもありますし、本来、地方公共団体は、地元の工場に対して、できるだけ安定した安い工業用水を供給しようと努力する立場にあるだろうと思います。従いまして、そのような立場にある地方公共団体に対して、工業用水道事業法に基いて、いろいろな行政指導をやって参ります場合には、今御指摘のございましたような、それに従わない、あくまで反対をするというようなことは、事実上起らないであろうというのが、われわれの考え方でございます。
  26. 笹本一雄

    ○笹本委員 もう一点、もうこの法案についてはいろいろ質問がありまして、立法の精神についても、了解することができるようでありますけれども、今も話にありましたごとく、工業用水の不足は、工業生産拡大のネックとなっており、今後のわが国の工業の発展は、全く工業用水の取得いかんにかかっておると言っても、過言ではないと思うのでありまして、従って、今、事業に対する国の援助は、強力に推進する必要があると考えるのであります。さきにも申し上げましたごとく、工業用水は全くその工業発展上、もうこれは重大なことでありますので、本法案規定を一歩前進させて、国は工業用水道の施設に対するところの費用の一部を援助することがくきるとか、または、その施設に必要な資金の確保に努めなければならない、というようなところまで踏み切って、助成措置を講じてはどうか。もう今までのように計画を立てて、四分の一なりを助成するとかいうことでなく、もっと強く、資金の確保に努めるという助成措置を講ずるような考えはあるかどうか、それをお伺いいたします。
  27. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 工業用水の今後の工業発展のために重要な問題でありますことは、これはもうおっしゃる通りであります。通産省としましては、産業の育成という見地から、あくまでこれに重点を置いて参らなければなりませんし、また本年度の予算につきましても、乏しいながらも、昨年よりは、かなり多額を組み込んでいるという点からも、その点はおわかり願えるだろうと思います。この法律におきましても、第二十条において「必要な資金の確保その他の援助に努めるものとする。」というふうに書いておるのであります。これは、結局は、今後政府が実質的にその努力をいかに表現するかということでありますが、この条文は、簡単に「努めるものとする。」というふうに書いているのでありますが、その精神は、私は相当強く通産省の政策として取り上げて参るつもりでありますし、またそういうつもりで書いているのでありまして、御趣旨の点につきましては、将来極力沿っていけるように努力をする覚悟であります。
  28. 小平久雄

    小平委員長 これにて質疑は終局いたしました。  引き続き討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。  よって、工業用水道事業法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  30. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  32. 小平久雄

    小平委員長 次に、去る三月十四日、参議院より送付せられ、本委員会に付託せられました輸出保険法の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。  質疑に入ります。通告がありますのでこれを許します。笹本一雄君。
  33. 笹本一雄

    ○笹本委員 まず輸出保険制度全般の概要について、お尋ねしたいと思います。現行輸出保険制度昭和二十五年に創設されてから、約八年になりますが、この間の保険契約件数並びに保険契約高の累計を、年々の大体の推移について、保険の対象となった主なる事件をあわせて御説明願いたい。これは、いずれ局長が来てからでもけっこうであります。また特に昭和三十二年度の実績推定及び明三十三年度の運営見通しにつきましては、それぞれ前年度に比して輸出が若干ずつ伸びておりますが、この関係で、保険契約件数及び保険金額は、どの程度より増加する見込みか。さらに、前年度からの収支バランスの見込みについても、御説明願いたいと思います。  なお、この輸出保険制度は、特に西欧諸国において発達いたしているのでありますが、これらの諸国の制度に比して、わが国の現行制度の特色や利点及び欠点と思われる点はどうであるかについて、お尋ねしたいと思います。  それでは、輸出保険運営の根本方針についてでありますが、この保険は、政府の経営であり、輸出振興の重要性にかんがみましても、もうける目的で運営してはならないことは、言うまでもありません。従いまして、保険料収入と保険金支払いとの収支バランスに、必ずしもとらわれることなく、黒字が出たらば、直ちに保険料の引き下げに回すことはもちろん、さらに進んでは、収支が赤字になることも、ある程度やむを得ないつもりで、保険料を極力低くすることが必要であると考えるのであります。政府はこれについて、どのような方針のもとに運営をされまするか。また、以上の観点からすれば、政府保険事業の運営上必要があるときにおいては、保険関係を停止得るという現行法規定については、商社側に、よほどの低意とか悪意のない限り、寛大にしてやるべきであって、私は、いささかこの点に対して、不満を抱かざるを得ないのでありますが、これについても、あわせて運営方針を伺いたいと思います。
  34. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 輸出保険につきましては、もとより政府がやっておることでありますし、これによって利益を得るという考えは、毛頭持っておりません。すでに黒字の面につきましては、直ちにと申してもいいくらい、料率の引き下げをやってきておるわけであります。と申しましても、補助金とも違いますので、ある程度事務費的なものは、補助的に出してもいいわけであります。ただ、大きな赤字を出しながら、どんどんそれを埋めていくというわけには、保険の性質上、できないと思います。しかし、不足の面におきまして、そういうようなことが出ましても、これは政府として考えていくべき問題だと思います。また、急に危険がふえたから、特別の措置をやるというわけのものでもないのであります。ただ問題は、ときどき保険を対象として不当に利益を得ようというようなことが起る場合があるのでありまして、ちょっとかけごとのようなことに利用される場合がときどき起るのであります。その面では、極力そういうことのないように考えて、措置をいたした場合もあるのでありますが、決してそれは、危険になったから停止するというようなことではありませんで、それでは保険の用をなさぬ、こういうことになりますから、その点は十分注意をいたしておるつもりであります。
  35. 笹本一雄

    ○笹本委員 本改正案は、普通輸出保険に対するものでありますが、この保険は、創設も頭初であり、現行制度の根幹をなすものでありますので、ごく簡単に、現在までの運営の状況と、将来の見通し等について伺いたいのであります。特に、昨年のインドネシア向けの化繊の問題に関する保険の状況等をお伺いしたいと思います。  続いて、今回の改正案趣旨、主要点は、普通輸出保険を、政府の直接引き受け制に改めることでありまして、この趣旨は、まことにけっこうなことと思うのです。全体的には了承するのでありますが、一部に懸念される面がないではないと考えるのであります。それは、第一が、窓口が狭くなって、保険利用者、すなわち輸出者が不便を感ずることはないか。第二は、保険事務が官僚的となり、サービスが低下しないか等の点であります。これらについて、政府の御見解を伺いたいと同時に、直接引き受けによって、保険料率を引き下げるとのことでありますが、引き下げによる恩恵は、中小企業者の手になるところの輸出では、すなわち、繊維等についてはどの程度及ぶのか。また保険金支払いの迅速化は、われわれが常に要望してきたところでありますが、これについては、政府の直接引き受け制はどのように寄与し、法律改正以外にも、迅速化の手段をとる考えがあるか等について、お考えを伺いたい。
  36. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 今回の対象になりました輸出保険につきましては、これが一番最初施行したものでありますために、全く様子がわかりませんで、政府の再保険という形をとったのであります。その後の推移をいろいろ見ておりますと、結局はすべて輸出組合が中間に入りまして、個々の保険会社を利用するということにつきましても、輸出組合が仲立ちをして、中に入って保険会社に保険をする。そうして、それに対して政府の再保険をする、こういうような格好になっておりますが、これなら、むしろ直接にやって、料率を下げた方がいいという結論に到達をいたしました次第でありまして、保険をかけられる方が、従来より以上にお困りになるという点はないと思っておるのであります。しかし、役所仕事なるがゆえに、どうも不親切になる、あるいは迅速に処理をしないということになりましては大へんでありますので、その点は十分注意をいたしまして、そういうことのないようにいたす所存であります。
  37. 笹本一雄

    ○笹本委員 今、大臣答弁にあったごとく、商社の底意とか悪意によってといいますが、なるほど、それはおもわくだとか、いろいろなことがあって、その点については、非常に厳重にやらなくちゃなりませんが、そういう点も、今までの例にないことではないと思う。その点は、大臣の言う通り、ただ迅速に、そして保険料金も、黒字が出たら、すぐ引き下げたらいいといっても、一様にはいかないかもしれませんが、とにかく輸出関係については、そういう点をよく指導しながら、まじめに、そういうふうに手数をわずらわさないように、ふだんの行政指導が必要だと思うのであります。  なお、今質問しました一項、三項については、あとで通商局長が来てから、詳しくお伺いすることにいたしまして、私はこれで終りとします。大臣、ありがとうございました。
  38. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいまの御趣旨、非常にごもっともでありますので、われわれとしましても、十分今後においても注意いたしていきたいと思っております。
  39. 小平久雄

    小平委員長 笹本委員の質問のうち、大臣より答弁のなかった部分につきましては、他日政府委員より答弁を求めます。  本日はこの程度にとどめまして、次会は明二日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。     午前十一時四十一分散会      ————◇—————