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1958-03-04 第28回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月四日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 阿左美廣治君 理事 内田 常雄君    理事 笹本 一雄君 理事 長谷川四郎君    理事 加藤 清二君 理事 松平 忠久君       有馬 英治君    川野 芳滿君       菅  太郎君    神田  博君       齋藤 憲三君    櫻内 義雄君       椎名悦三郎君    首藤 新八君       中村庸一郎君    南  好雄君       山手 滿男君    佐々木良作君       佐竹 新市君    田中 武夫君       永井勝次郎君    水谷長三郎君       八木  昇君  出席政府委員         通商産業政務次         官       白濱 仁吉君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君         通商産業事務官         (繊維局長)  小室 恒夫君         工業技術院長  黒川 眞武君         中小企業庁長官 川上 爲治君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 二月二十八日  委員賀谷真稔辞任につき、その補欠として  山口シヅエ君が議長指名委員に選任された。 三月三日  委員植木庚子郎君辞任につき、その補欠として  櫻内義雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月一日  中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律  の整理等に関する法律案内閣提出第一一七  号) 二月二十八日  小売商業特別措置法制定反対に関する請願(岡  田春夫紹介)(第一一八二号)  同(永井勝次郎紹介)(第一一八三号)  同(石山權作君紹介)(第一二三六号)  同(中原健次紹介)(第一二三七号)  同(森三樹二君紹介)(第一二八一号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第一二八二号) の審査を本委員会に付託された。 三月三日  第四次日中貿易協定締結促進に関する陳情書外  二件(第五  七七号)  石油資源開発株式会社への国家投資に関する陳  情書外五件(第五七  九号)  中小企業に対する財政投融資増額等に関する  陳情書(第五八〇  号)  輸出人絹織物滞貨処分に関する陳情書  (第五八一号)  鉱業法の一部改正に関する陳情書外二件  (第五八三号)  設備等輸出為替損失補償に関する陳情書  (第五九  五号)  亜炭坑における災害防止に関する陳情書  (第六〇六号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本貿易振興会法案内閣提出第八八号)  中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律  の整理等に関する法律案内閣提出第一一七  号)      ――――◇―――――
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  まず、去る一日、本委員会に付託されました中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案議題とし、審査に入ります。  まず、その趣旨の説明を求めます。白濱通商産業政務次官。     —————————————
  3. 白浜仁吉

    白濱政府委員 大臣が閣議中でありますので、私、かわりまして、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案について、提案の理由及び法律案の概要を御説明申し上げます。  政府といたしましては、中小企業に対する信用補完制度拡充強化をはかるため、その機構の整備については、さきに中小企業信用保険公庫法案を提出いたしましたが、さらに中小企業信用保険法その他の関係法律改正する必要がありますので、本法律案を提出することとした次第であります。  次にそのおもな内容について御説明申し上げます。  第一は、中小企業信用保険法の一部改正であります。すなわち、中小企業信用補完制度につきましては、昨年十二月、金融制度調査会から、今後における中小企業者に対する信用補完は、すべて信用保証協会保証によらしめ、中小企業信用保険は、信用保証協会債務保証に対する再保険的機能を営むものとして運営し、かつ、その保険の種類も包括保証保険によることを原則とするも、ただこれが円滑に行われるよう、信用保証協会現状等を勘案して必要な経過措置を考慮すべき旨の答申がありました。そこで、今回この答申趣旨にのっとり、中小企業信用保険法の一部を改正し、信用保証協会相手方とする包括保証保険制度を大幅に拡大する反面、従来の融資保険普通保証保険制度は、その機能を縮小して、実情に即してしばらく存置せしめるとともに、金融機関相手方とする保証保険は廃止するという措置をとることといたした次第であります。  第二は、公庫予算及び決算に関する法律改正であります。すなわち、中小企業信用保険公庫予算決算につきましては、公庫予算及び決算に関する法律所要改正を加え、特に、公庫会計制度弾力性を与え、実情に即した措置を実施し得るよう、公庫保険金等あらかじめ指定を受けた費目に予備費を使用する場合には、大蔵大臣承認を要しないものとしたことであります。  第三は、法人税法所得税法等改正して、公庫について非課税の措置をとったことであります。  第四は、行政機関職員定員法中小企業庁設置法等関係法律について、中小企業信用保険特別会計が廃止され、公庫が設置されますことに伴い、所要改正を行なったことであります。  以上が中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案の主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げます。
  4. 小平久雄

    小平委員長 本案に関する質疑は、後日に譲ることにいたします。     —————————————
  5. 小平久雄

    小平委員長 次に、日本貿易振興会法案議題とし審査を進めます。  質疑を継続いたします。内田常雄君。
  6. 内田常雄

    内田委員 私は、目下審査中でありまする日本貿易振興会法案、すなわちジェトロの改組による貿易振興策関連をいたしまして、目下不況のどん底にある繊維産業関連をして、政府に御質問いたしたいと思います。  今日、国際収支改善というものは、あらゆる政策の中核をなしている。またこのゆえに、金融引き締め政策というものも行われまして、日本産業全体、特に中小企業というものに、非常に大きなしわが寄せられておることは言うまでもありませんが、この中小企業の中でも、いわゆる機屋というようなものが、非常に小さい業者が多いために、繊維産業の上から下までの不況の中でも、一番大きい苦しみをなめておることは、これは政府当局においても御承知のことと思います。ところが、私は、政府が全体として国際収支改善政策あるいは機業不況対策中小企業振興対策というようなことをやりながら、ここに、どうも政府趣旨が徹底しない盲点のような現象一つ現われていることを指摘して、これに対する政府のお考えをただしたいのであります。  それは、これは私自身に非常に関心のある事項でありますが、お互いの着ておる洋服なり外套なりの裏地であります。この洋服外套裏地というものは、戦争前は、大体絹の裏地か、そうでなければアルパカ裏地というものが、大部分でありましたが、しかし、戦争アルパカ原毛などの輸入ができなかったという関係もありまして、戦後におきましては、国内産化繊裏地というものが、洋服の大部分を占めるようになりまして、一時はほとんどもうこのアルパカというものの使用が国内においてなかったのであります。しかるに、最近に至りまして、この国内供給をもって十分に足りる裏地原料として、またまたアルパカなりモヘア原毛というものの輸入がふえ始めまして、そのために、政府業界も非常にこれに力を入れて、これまで育成したところの国内産服裏地企業というものが、非常な打撃を受けてきておるのでありますが、これはわれわれは、まことに不可思議な現象といわなければならぬと思います。今日、業界の非常な努力によりまして、国内産人絹裏地というものが、非常に改良改良を重ねられまして、往年のアルパカ裏地遜色がないというところまできておりますこと、これはもう知る人ぞ知る、実質的には知られておることでありまして、決してアルパカでありますとか、モヘアでありますとか、わざわざ外貨を食いつぶす原毛を外国から輸入してまでも、その国内的に振興した服裏地産業というものに悪影響を与えるようなことをする必要もないし、すべきではないと私は考えておるのであります。元来、アルパカとかあるいはモヘアとかいうような服裏地原料になる羊毛というものは、大体が英国とかあるいは南米なんかの特殊な方面から産するので、従って英国では、自分の領土内あるいは連邦内から、その原毛が産出されておりますから、その関係で、今日では英国ではそのアルパカというものを使用しておるが、その反面、アルパカ裏地などというものを用いている国は、世界中で英国のほかは日本しかない。他のあらゆる洋服を着る国々は、今日発達した化繊裏地というもので全部まかなわれておる。こういう状況にあるのに、いつまでも日本英国と同じような、領土内に何らの原毛をも産出しないのに、アルパカ裏地というものを作らせておる。また、そのために貴重な外貨を割り当てておるというようなことは、何と申しましても私には理解されません。これは、一体政府は、この点についてお気づきになられたことがあるかどうかということを、まず私は繊維局長お尋ねをいたしたいと思います。
  7. 小室恒夫

    小室政府委員 ただいまのお尋ねに対してお答えいたします。アルパカ羊毛が最近輸入が増加しておるという状況については、十分承知しておりまして、ただいま御配付した資料の中にも、その数字が載っておる状況であります。最近、衣料品消費は、高級品売れ行きがいいというような傾向もありまして、アルパカ裏地というものが、高級の洋服地と相伴って、消費が増加しておるという傾向を反映しているかと思います。
  8. 内田常雄

    内田委員 繊維局長にも、事実の認識は若干あられるようで、これから先の対策が、私は問題だと思う。今日、御承知のように、人絹というものは、人絹自身が一番生産過剰で、売れ行き不振ということで、あなたの方の命令で五割の勧告操短をやっておる。これは人絹メーカーでありますから、中小企業には直接影響がないようであります。ところが、繊維業界は、今日は上から下までの不況でありまして、単に人絹メーカー不況というだけではないのであります。この人絹なり化繊なりを原料としている機屋さんが、その製品が非常にストックをして売れ行きに悩んでおる。また金融は詰まっておる。こういう状態にあるのでありますから、もしアルパカモヘアのようなものの輸入が最近ふえておるということでありますならば、単に貿易政策上ばかりでなしに——貿易政策につきましては、私はここに通商局長がお見えになっておりますから、またあとで伺いたいと思いますが、繊維対策上からも、放置しておいてはならぬと思います。ここで配付されました通産省資料を見ましても、三十年、三十一年、三十二年と、年を経るごとにアルパカ原毛モヘア原毛が飛躍的に輸入がふえておるということは、この辺で気がついて手を打たなければ、単に国際収支が最近やや明るくなったから、大した数量でもないし、大した金額にもならないから、このくらいはよかろうということではないのでありまして、国内あげて国際収支の均衡あるいは輸入の調整ということをやらなければならぬことはもちろんでありますが、私は今申す繊維産業上からも、これは非常に大きな問題といわなければならぬと思います。そこで、通商局長お尋ねをするのでありますが、こういうアルパカ原毛なりモヘア原毛なり、あるいはラスター原毛というようなものの輸入がふえてきておるのは、どういう見地からかようなものをふやしておるのか、政府が知らぬ間にこういうものがふえてきておるのか、どういうことでありますか。
  9. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 今、御指摘のような品物は、自動承認制下にあるわけでありまして、国内需要を反映して輸入がされる。割当ではなく、自動承認制下にあって輸入がされておる、こういう状況下にあります。
  10. 内田常雄

    内田委員 自動承認制であるから、必要があれば、だれでも保証金を積めば輸入できる仕組みにあるということでありますが、それ自体が、非常に危険なことではないでしょうか。今日、繊維局長が言われるように、必ずしも適当な事態でないという御認識があられるならば、アルパカとかモヘアとかいうものの大部分は、洋服裏地に使われておりますから、単に外貨政策操作上の見地からばかりでなしに、中小企業とかあるいは繊維対策という面を加味して、そうして自動承認制について反省をせられまして、これを自動承認制からはずす、割当制にして、貿易協定その他必要やむを得ざる分だけのものを認めていくというようなことでなければ、国内の、今日いろいろな引き締めはありましても、消費需要というものが必ずしも衰えているわけではない、だんだん文化が進むに従って高級品を好むという気持も、国民の一部にある限りにおきましては、私は非常に危険なことと思いますが、外貨割当政策等につきまして、御検討せられる用意があられるかどうか、お伺いいたします。
  11. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ただいまお答えを申し上げましたように、現在のところは、自動承認制下にあるわけでございますが、実はこの自動承認制につきましては、外貨予算を六カ月ごとに編成するに当りまして、その当該商品国内に及ぼす影響については、生産関係の現地とも十分打ち合せをして、検討をいたしておるのであります。若干私の見解が違うかもしれぬのでありますが、たしかこのアルパカにつきましても、昨年の九月において議題になったことかと思うのでありますが、その当時といたしましては、このアルパカ原毛によって作られる服地というものと、それから日本化繊によって作られる裏地というものとが、必ずしも競合するものではない。一方は、どっちかというと、やや中下級品であり、一方は非常に高級品の部類にあるのだというようなことで、そう競合するような面もないのではないかというような点もあったのでありますし、輸入はふえておりますが、さほど国内生産に対しては影響を及ぼしていないのじゃないかというふうな見方もあったと思うのであります。また、その一部は、裏地でなくて、いわゆる洋服地等原料になりまして、輸出をされているものもあるわけであります。またモヘアにつきましては、これは裏地というよりは、原毛の一部でありまして、要するに服地なりオーバー地になるものでありまして、若干、今、先生指摘アルパカとは、同一に論じ得ないと思うのであります。そういうふうな観点から、自動承認制ということで今日まできておるのであります。もちろんわれわれといたしましては、常時国内に及ぼす影響ということを検討して参ることは当然でございますので、今後、繊維局とも十分連絡をとりまして、また国際的な事情も十分考慮いたさなければなりませんので、それらも考慮いたしまして、研究をさせていただきたいと思うのでありますが、ただ一言御了解を申し上げたいと思いますことは、自動承認制にある物資を、今後どうするかということを事前に申し上げるということは、非常に影響がかえって複雑になり、逆な影響があることが多々ございますので、われわれは、この取扱いについて非常に慎重を期さなければならぬということを、一つ了解を願いたい、こう思うのであります。
  12. 内田常雄

    内田委員 ただいまのその外貨割当制度に関する問題につきまして、非常に慎重を要するということにつきましては、私も了解をいたしますから、十分善処をお願いいたします。  ただ、通商局長は御承知ないようでありますが、私はここにアルパカ見本と、国内産化繊服地見本を持ってきておるのでありますが、これは、くろうとが見ましても、しろうとが見ましても、決してしろうとだから、そう見えるのではないのでありまして、今日いかなる技術者が見ましても、国内産化繊というものは、決して従前のアルパカくらいに劣っておりません。私などの着ております洋服は、これは化繊裏地でありますが、おそらくあなたが着ておられるかもしれないアルパカ裏地よりも、はるかに見て体裁もよろしいということで、従って、嗜好の分野が違うということは、これは単に宣伝の問題であります。従って、私が申し上げておかなければならないことは、国内化繊洋服裏地というものを作っております業界というものは、非常に小さい業者の集まりでありまして、織機の数にいたしますと一方五千くらいでありますが、業者の数にいたしますと約六、七千人を下らない業者であります。しかるに、アルパカ原毛輸入して、アルパカ裏地を作っている業界というものは、これは何千人も何百人もあるのではございません。おそらく十人以下ではなかろうかと私は想像するのでありまして、この点に、私は、通産省全体の産業総合対策として、中小企業対策として、また国内繊維対策としても問題がある。単に外貨の問題だけではないのでありますから、通産省全体として、総合的に施策を講ぜられるようにお願いをいたします。また、あることは私は信じたくありませんけれども、今のアルパカなりモヘアなりの輸入が、わが国にとって百害あって一利ないということを承知しておりながら、この輸入を無理々々政府が押えつけてさせている一部の勢力があるということも私は聞いております。これは関西方面の、名前をあげてもいいのでありますが、だれが輸入してどこに入れているかということを考えますと、これは大いに考えなければならぬ。今日、政治の目的というものは、国民全体大衆の幸福ということを考えてこそ政治でありまして、決して一部のものの利益をはかったり、また一部のものの領域を侵すために政治をやっているのでない。ことに私など、地方からわざわざ国会議員となってきております者の立場から申しますと、実はこの国内化繊裏地を作っている生産の八〇%というものは私の地方でやっておりまして、私もそこから負託を受けて国会に出てきております以上は、これを無視することはできないのであります。何のために私は国会に出てきているかというと、そういう大衆利益を代表して出てきているのでありますから、いかに関西方面業者がおりましても、私は堂々と対決していかなければならないと思っておりますので、よくお考えをお願いしたいと思います。今、私が申しました、当業界が非常に中小企業が多いということにつきまして、ちょうど白濱政務次官がおられます、政務次官最高点で出ておられるわけでありますから、私の言うことは間違いであるかどうか、一つあなたのお考えを、大臣にかわって伺いたいと思います。
  13. 小室恒夫

    小室政府委員 山梨県の機業地事情については、ただいまお話しの通り承知しております。  それから、もう一つの何かうわさについては、私、きょう初耳でございまして、大へん勉強させていただきました。
  14. 加藤清二

    加藤(清)委員 ただいま内田委員モヘア・ヤーンアルパカ等輸入増大原因について、御質問をしていらっしゃいますので、それに関連して、私も一点だけ承わりたいと存じますが、趣旨内田委員と完全に一致しております。党は違いますけれども、趣旨は一致しております。そのおつもりでお答え願いたいのですが、第一点に、このモヘア・ヤーン輸入増大原因お尋ねする前に、終戦後モヘア・ヤーンアルパカ等原料輸入されて参りましたところの増大のデータがあると存じます。それを一つお漏らし願いたい。と同時に、その時期と数量とを勘案して併行して行われました日共会談ですね。そこで、当然のことながら、売りと買いですから、買わなければならなくなったところの原因とがありましたならば、一つお漏らし願いたい。第一はそこでございます。
  15. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 モヘア・ヤーン輸入状況でございますが、実は私、まだここで細かい統計資料を持ち合せておりませんので、的確なお答えができないのでありますが、別段協定関係から輸入をしなければならないということではないのでありまして、要するに、日英協定におきまして、かりにAAというものをやりました場合には、これはイギリスにも均霑をさせなければならぬというようなことであったかと思うのであります。なお、先生も御存じかと思いますが、その他のいろいろな事情から、輸入もふえたのであります。これはアルパカとは、事情がすっかり違う問題かとも思うのであります。
  16. 加藤清二

    加藤(清)委員 輸入増大された数字が、急激にふえておるのです。非常に急上昇をたどっております。その原因につきまして、通商局長は、AA制だからとおっしゃったわけですが、私は必ずしもそれだけではないと思います。それは、日英会談からくるところのやむを得ざる状況一つと、もう一つ国内の問題で、外貨割当方式に大きな原因がある。言葉をかえていいますと、モヘア・ヤーン輸入すると非常にもうかるようにできているから、それで急激に伸びておるわけでございます。と申しますのは、モヘア・ヤーンそのもの輸入して、それを加工するという仕事では、さほどもうけはないのであります。ところが、このモヘア・ヤーン輸入いたしますと、それが実績に数えられるというところに原因があるのでございます。何の実績に数えられるかと申しますと、毛製品輸入外貨割当の場合に、モヘア・ヤーン輸入した、それが実績に数えられるという誤謬を犯している。ここに問題がある。毛製品輸入実績がほしいために、そこで、またもうかるから、モヘア輸入して加工することでそんなにもうけなくとも、それが実績となって、毛製品輸入してこれでもうける。ここにこのモヘア・ヤーンが次から次へ、特にその輸入増大した原因があるのじゃないかと思われるのであります。それで、これについて、一体どのように当局としてはお考えでございますかをお尋ねしたいのでございます。そもそも、御承知通り毛製品輸入を、日英会談からくるやむを得ざる措置として、毛製品業界は目をつむっているという状況でございます。御承知通り毛製品は、すでに内地では十分でき過ぎて、輸出し得る能力が十分にございます。アメリカにもイギリスにも輸出して、遜色のないほどりっぱな毛製品ができているのでございます。にもかかわりませず、イギリス毛製品を買わなければならないということは、需給の問題ではなくして、外交上の問題なんです。やむなく製造業界は目をつむっているのでございます。そのかわり、イギリス毛製品輸入するのだが、日本製品もよりよく輸出できるようにしよう、買うかわりに、売ることもできるようにしようというので、毛製品輸入実績を、輸出実績に当初はつけていったのでございます。従って、毛麻輸出組合輸入のことも扱っていた。ところが、だんだん業務が大きくなってきたから組合が二つに分れ、分れてしばらくたってから、毛製品輸入実績は、前の輸入実績を見て外貨割当をする、こういうふうに方式が変った。けれども、精神は、輸出した者に実績をつける、この当初の精神と変りないはずです。にもかかりませず、毛製品輸出を何もやらずに、ただモヘア・ヤーンだけを入れた、それに毛製品輸入実績をつけるようにしたものだから、こういうふうになってきた。そこで私は、これはとんでもないことが起きるぞというので、樋詰次長がやっておられますころに、再三このことについて当局反省を促すようにした。その結果モヘア・ヤーン輸入実績に対しては、毛製品輸入外貨割当をしない、こういうことに話し合いができたはずでございますが、その後いかが相なっておりますか。ここが一番モヘア・ヤーン輸入増大のポイントである。原因の一番大きいものである。業界は、もうからなければやらないのです。もうかればこそ、やるのです。この点を一つお聞きしたい。
  17. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 毛製品イギリスからの輸入をいたしております事情につきましては、今、先生からの御指摘のように、日英協定との関係で、輸出を伸ばすために、いわばやむを得ず輸入をやっておることは、その通りでございます。ところが、毛織物の輸入をいたします場合に、だれに割当をいたすかという、適当な割当の基準が結局できなかったということと、他方、毛織物の輸出を大いに振興させたいという——毛織物の輸出は、現在はかなりの量に達しておりますが、その当時はもう微々たるものであったというような事情もありまして、便宜毛織物の輸出業者に毛織物の輸入を割り当てたというような事情であったわけです。その後、イギリスからも、こういう国際慣行に反するような行為はやめてくれというような話も、たしか、もう数年前にあったりいたしまして、それはやめまして、御存じのような輸入実績によって毛織物輸入割当をするという方式になったわけです。ところが、それでしばらくきたわけでありますが、また御存じのように、過去のそういう実績でもって割り当てていくのもけしからぬ、少し新しい風も吹き込んだらどうだというような議論も非常に強くなった。そこで、新しい風を吹き込むにしましても、なかなか適当な方法がございませんので、類似の輸入をいたしておる実績を基準にしたらどうかというようなことで、モヘア・ヤーンを——たしかモヘア・ヤーンだけではないかもしれませんが、類似のそういう輸入をしている実績も加味して、毛織物の輸入割当をした、こういう経緯になってきておるわけであります。その後、毛織物の輸入割当をより多く獲得せんとする動機から、モヘア・ヤーン輸入を非常にたくさんするというふうな方が見えて参りました。いわば利害的な原因も出て参ったわけであります。ここで、はっきりは時期を覚えていないのでありますが、去年の上期であったかと思いますが、そのころから、そのモヘア・ヤーン実績にするということ、いわば新しい風を吹き込むということもけっこうではあるが、そういう弊害ができて参った以上、しばらくこれはやめようというふうなことにしまして、しかし、一挙にやめるのもいかがかということで、漸減をする。毛織物の輸入割当に当りまして、モヘア・ヤーン輸入実績を一部加味するというやり方は漸減をするということで、一期でありましたか、二期でありましたか、はっきり覚えておりませんが、ともかく漸減の方向できております。従いまして、いずれはそれはやめていくということになろうかと思うのでありますが、それは三期、四期でやめることにしておりましたかどうか、それがちょっとはっきり記憶しておらないのでありますが、方向といたしましては、漸減をしていくということで、現在のところ参っております。
  18. 加藤清二

    加藤(清)委員 モヘア・ヤーン輸入が変じて山梨県の絹織物、特に洋服裏地業者を圧迫しておるということについては、これは政府としては十分考慮の余地があり、至急に改善してもらわなければならぬと思いますが、どんなに改善しようとしても、モヘア・ヤーン輸入にうまみがあれば、これはなかなか容易に変ることではありません。それはAA制であるものを、正式な外貨割当制にすればまだしも、AA制そのままにしておいてしぼるといってみたって、それはできることではございません。そこで、AA制は自然な行き方である。普通の流れであるとするならば、このうまみを取り上げることが何より大切なことだ、こう思われるし、またそのつけたうまみとういうものは、これは不当なうまみなんだ、やがてそれは日本毛製品輸出意欲を削減する結果を招来してきておる。そこで、今、漸減の措置をとっていると御答弁いただきましたが、その漸滅の時期は、二期にわたって零にする、こういうことになっておったはずであります。モヘヤ・ヤーンの輸入金額が、毛製品輸入の総体の金額の約三割六分から四割を占めておったのでございます。こうなって参りますと、毛製品輸出までがこれに食われる。山梨県の絹機が食われるだけではなくして、日本毛製品総体の輸出が、モヘヤ・ヤーンの輸入のおかげで食われておる、こういう結果が生じてきておるのでございます。この点を、一つ通商局長のみならず、この道の責任者であらせられる繊維局長さんも、よく御存じのことと存じますので、ぜひ至急これが対策を確立していただきたい。と同時に、毛製品も軒並みに三割操短をしなければならない状況に追い込まれております。すでにこの関係の商社の倒産は、名古屋通商局管内での調査によれば、戦後最高を示しているということです。そこで、この際、ジェトロの法案がかかっておりますが、この毛製品、絹織物等の輸出に対しては、どのような具体的なあっせんとか紹介をなさろうとしていらっしゃるのか、毛製品輸出振興の具体策がございましたならば、一つここでお漏らしを願いたいのでございます。
  19. 小室恒夫

    小室政府委員 毛製品については、各種の輸出振興策を遂行した点もあったり、業界の努力もございまして、最近毎年相当の勢いで伸びております。ただ、伸びたために、アメリカ市場等において、かえって現地の反対を招いておるというような事情もございます。また最近においては、国内の需給がアンバランスでありますために、売り急いで、とかくダンピングと見られるような種類の安値の輸出もございますので、われわれとしては、対外事情もありますし、また国内的な事情からいっても、外貨手取りをできるだけ増していかなければならぬという点からいたしまして、過当競争を防止するということが、やはり一番大事な点ではなかろうか。同時にまた、新規市場を開拓するということが大事でなかろうか、その両面の努力をいたしておる次第でございます。
  20. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは、最後に、このモヘヤ・ヤーンを、毛製品輸入外貨割当の場合の実績としていることを、おやめになる意思があるかないか。当然のことながら、これはやめてもらうという約束が、すでに樋詰次長のときにできておるのでございますが、そのころ、松尾通商局長はアメリカにいらしたわけでありますので、新しい局長におなりになったあなたの覚悟のほどを、一つ示してもらいたいと思います。
  21. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ただいま申し上げましたように、漸減の方向で参っておりますから、いずれは楽になると思っておりますが、なお十分研究しまして、善処いたしたいと思います。
  22. 内田常雄

    内田委員 私は最後に要望を申し述べまして、私の質問を終ります。  先ほど来申し述べますように、アルパカ輸入——アルパカというのは、おっしゃる通りアルパカばかりではないのでありまして、モヘアとか、あるいはラスターというようなものを横糸にして、縦糸に綿糸を加えると、いわゆるアルパカになるのでありますが、こういうものを輸入すればするほど、中小企業である繊維産業というものは圧迫されて、しかもその製品というものは、決して輸出に向きません。先ほど申し述べますような、アルパカを使っておるというのは、世界広しといえども、英国だけでありますから、輸出にならぬのであります。ところが、研究に研究を重ねて、今日の段階まで発展して参った化繊裏地というものは、世界的に使っておるのでありますから、ぼつぼつ輸出が出ておるのであります。これは輸出商社と、それから私どもの方の産地のメーカーとが協力して、輸出に努力しているのでありますが、何しろ業者の力がない中小企業でありますから、これを輸出に向けるためには、今度開始されます貿易振興会というようなものが、加藤君が言われた毛製品輸出と同じように、相当これの市場対策なり宣伝なりに努力していただきたい。そのために、政府も補助金を今度の予算に組んでおりますが、かようなことを十分御認識の上で、当局として総合的にやられますことを私は期待して、またその成果を監視いたしまして、私の質疑を終ります。
  23. 小平久雄

    小平委員長 松平忠君。
  24. 松平忠久

    ○松平委員 ただいまの内田君の質問に関連しまして、冒頭、ちょっと関連質問的に申し上げたいのですが、現在、繊維製品の非常な混乱状態の中の一つとして、私は絹のことについて若干伺いたいのです。御承知のような状態で、生糸も十九万円台を割るような全く未曽有の不況にあえいでいるという状態ですが、この問題について、絹製品もしくは生糸、これは農林省の所管だろうと思いますけれども、しかし絹製品として、繊維局の管轄内にもあり、また繊維全般という立場からいって、生糸の不況打開ということについて、一体、通産省はどういうようなことをお考えになっているか。これはきわめて重大な影響を各農村に与えていると思いますが、これに関する対策について、具体的にお伺いしたいと思います。
  25. 小室恒夫

    小室政府委員 お話のように、生糸の問題は非常に深刻な問題でありますが、これは農林省の蚕糸局で所管いたしております。ただ、私の方は、絹製品輸出関係は担当しております。アメリカが中心でありますが、絹織物の輸出は、前年かなり好調に伸びております。ただ、いずれかというと、やはり毛製品同様、過当競争で値段が下っているというような面があります。十五匁の羽二重を中心に、この過当競争をいかに防止するかということを、現在努力しているわけでありますが、そういう見地から申しますと、生糸の国内価格がくずれてくるということは一そう悪影響があると思います。農林省とよく連絡して、私どもの分野でできることについては、協力いたしたいと思っております。
  26. 松平忠久

    ○松平委員 ただいまのお答えだと、過当競争ということを言われたけれども、この過当競争というものは、絹と、ほかの化学繊維との間の競争という意味であるのか、あるいは絹の輸出業者の間の過当競争が行われているのか、この辺の、過当競争というものは、どういうことを意味しているか、ちょっと御解明願いたい。
  27. 小室恒夫

    小室政府委員 ただいま申し上げた意味は、羽二重なら羽二重の輸出業者あるいはその背景にある機屋さん、要するに絹の範囲内においての競争の激化ということを、はやり言葉の過当競争という言葉で申し上げたのであります。
  28. 松平忠久

    ○松平委員 そういうことのほかに、生糸、絹織物の関係は、化繊との間の競合関係が、きわめて重大であると思いますが、繊維局考えは、一体絹というものは、今の多くの人々が心配しているがごとく、これは衰微していく産業であるかどうかということです。つまり、今後絹織物というものは、ある程度の改善を加えていくならば、これはしかるべき数量を維持していくかどうか。つまり、繊維局としてのお考えは、絹の将来ということに対して、一体どういうふうに見ておるかということをまず伺いたい。
  29. 小室恒夫

    小室政府委員 なかなかむずかしいお尋ねでありますけれども、大体世界的にいって、衣料の消費は高級化し多様化するような傾向にございます。わが国においても、実は絹織物の消費のうちで、比較的好調であるのは、これはいいことか悪いことか知りませんが、非常に値段の高い高級絹物の分野でありまして、値段の安い絹織物というようなものになると、現在では五〇%以上人絹をまぜたものが、絹織物と称して売られているような現状でありまして、そういう分野の比較的中級以下の衣料ということになりますと、先ほど言ったこととやや矛盾したようなことになりますけれども、もっと生糸か安くならないと、なかなか大慶的な織物にならない。それに対して、反面高い生糸を使って、デザインその他十分努力をして参るならば、これはまた高級な織物の面で、相当需要が伸びるのじゃないかと思いますので、むしろ今の高級化という分野をねらって進むべきものじゃないかと思いますけれども、それだけで現在の生糸の生産量を全部消化し得るような態勢にもなっておりませんので、なかなか困難かと思います。
  30. 松平忠久

    ○松平委員 私も、大体小室君と同じような考え方を持っているのですが、この絹というものを高級化したところの繊維として、そこに価値を認めていくというやり方ならば、今日政府のとっておる態度というものは、根本的に考え直す必要があるのじゃないか。すなわち、現在やっておる生糸を作る製糸業にしても、あるいは横浜の生糸の検査の法律制度にしても、そういう高級の繊維製品を作っていくという法律体制、制度には、私はなっていないと思う。これはやはりアメリカの婦人用の靴下を作るのに都合のいいような繭を作り、繊維を作っていくという機械を作っておるし、検査の制度もそうであろうと思う。これは根本的に考え直していかなくちゃならぬ。この関係については、農林省の分野でありますが、もし通産省がそういう考え方であるならば、その高級の織物を作るところの原料である繊維は、かくかくなものでなければならない、こういうふうに改めていかなければならないということを、通産省は出す必要があると思う。通産省にも、繊維工業試験所等がありますから、ここでおそらく研究していると思うけれども、絹というものは、どういう理想的なパターン、理想的な繊維というものであるか、理想的にするには、どういうふうに改革したらいいかということを、絹繊維自体においてまず考えて、その理想に合うような繊維を作っていくということをしなければならぬけれども、その元締めは、繊維製品全体を取り扱っている繊維局の責任であろうと思うのです。従って、今あなたが言われたところの高級の繊維を作っていくというためには、高級の繊維というのは、しからば何であるかということを具体的に考えて、農林省と相談して、そういうような繊維を作っていくというような指示を与えているかどうか、このことを伺いたい。
  31. 小室恒夫

    小室政府委員 そういう方向の努力は、むろん農林省としてもいたしておるようであります。ただ、先ほど申したように、現在の生糸の生産のうちで、そういう高級な織物として消費され、また順調な売れ行きを見ているというものは、量的に言うと、それほど大きなものではないのでありまして、それ一本にもなかなかいきにくい事情があるかと思います。これは関係者も工夫していると思いますし、ただいまお話しのような見地から、私どももさらに勉強して、農林省と協力いたしたいと思っております。
  32. 松平忠久

    ○松平委員 今のお答えでは、不満足でありまして、重ねて申すようですけれども、世界の繊維製品のおそらく〇・五%くらいが絹であろうと思う。従って、通産省のあり方としては、これは高級品化していってもいいわけです。その程度の数量ならば、通産省自体がこれを高級品化するという一つの方向を定めて、その方向に沿ったところの生糸を生産させる。このことを、むしろ通産省は、全体の繊維の立場から考えて、そういう分野を与えていくという立場に立って、指導性を持たなければならぬと思う。これは、農林省自体は、惰性に基いてやっていると思いますので、新しい化学繊維というものの刺激を十分体験しているものが、そばから注意をしてやらなければ、これはだめです。そういう意味から、繊維局においては、その観点で取り上げてもらいたいと思います。  それから、もう一つ御質問申し上げたい点は、今日の日本輸出産業全般に通ずる問題でありますけれども、ことに、その中で生糸の問題が、一番数量的にも金額的にも多いので、これを取り上げたいわけですが、今日の為替レートの一ドル三百六十円というものは、生糸の生産業者、輸出業者というものに、非常な圧迫を加えているという結果になっております。とにかく、あくせく働いて約九千万ドルの外貨をかせいでいる。非常に多くの零細な農民まで含むこの生糸産業というものは、もうけがあまりに少い。そうして、この外貨を使ってくる砂糖その他の輸入業者らが、ぼろもうけをしているという貿易が、今日、日本では行われているわけであって、こういう点に対する改善を行わなければならぬ。かってリンク制というものがありましたけれども、この生糸の輸出に関して、リンク制ということを考えておられるかどうかということを、通商局長にお伺いしたい。
  33. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 生糸のリンク制につきましては、今のところ考えておりません。
  34. 松平忠久

    ○松平委員 私は、リンク制に対しては、かなり弊害もあるので、これは全般的に取り上げる問題でないと思います。しかしながら、特殊の生糸のようなものについては、日本の国策として維持していかなければならぬという立場からいくならば、やはりそれに何らかのことを考えてやって、輸入業者ばかりもうけるというような現在の制度は、是正していかなければならぬと思う。ほんとうに一生懸命働いている輸出業者が、あまりもうからずに、黙って外貨割当を受けるものが、もうけていく現在の貿易制度は、根本的に考え直していく必要があると思うのです。そういう意味で、リンク制度がいけないというならば、それにかわる制度を考えていかなければならぬ。私は、そういうことで通商局の再考を促したいと思うのですが、何か特別の研究をするというような考え方になっているかどうか、お伺いしたい。
  35. 小室恒夫

    小室政府委員 御質問のようなリンク制の実施については、生糸輸出関係業界から、強い要望があったのでありますけれども、これに伴う弊害、また貿易自由化の方向等に照らしまして、これは実施しないということに、私ども考えているわけでありますが、反面において、生糸を輸出いたしますと、内地で取引される場合以上に検査料その他がかさむので、内地取引の方が、かえって有利だという点もありまして、そういう矛盾をできるだけ是正したいということで、農林省側もいろいろ努力しておられるのでありますが、正直にいって、直ちに効果の上る特別措置があるというふうには申し上げられないのでありまして、今、検討中というところであります。
  36. 松平忠久

    ○松平委員 これは、委員長に申し上げたいのですが、今の問題は、内田君の関連質問で申し上げた点でありまして、農林省の蚕糸局長も呼んで、このことは、もう少し深く質問してみたいと思いますので、その機会を作っていただくことを要望し、それを留保いたしまして、次の問題に移りたいと思います。  そこで、ジェトロを中心として日本貿易のことに関して、お伺いしたいのですが、大臣でなければ御答弁願えないような問題もあるかと思います。この点は留保いたしまして、質問を続けたいと思います。  第一番に伺いたいのは、日本貿易自由化の問題であります。この問題については、日本政府部内において、貿易自由化の思想統一ができておるかどうかということであります。すなわち、いうならば、東南アジアにおける日本貿易自由の態度というものは、率直に言って、民族意識の非常に強い東南アジアに、日本が進出していく場合において、貿易自由化ということを頭から振りかざしていって、果してうまくいくかどうかということがあると同時に、すでにこの地域においては、相当オープン・アカウント協定も現在まで結ばれておる。こういうような実情なんです。このオープン・アカウントを、日本は漸次やめていくということになるのかどうか。この貿易自由化の問題を、どの程度具体的に通産当局考えておられるかということを、まず冒頭に伺いたい。
  37. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ただいまの御質問は、実は非常に広範な問題でありまして、私自身も、的確なお答えができないと思いますが、貿易自由化の方向というものは、やはり貫くべきものであろう、こういうふうに考えております。しかしながら、そのテンポにつきましては、海外の情勢あるいは日本事情等も判断して、若干早いときもあれば、若干おそくすべきときもなければならぬのではないかというふうに考えておるのでございまして、ここ数年間の世界の貿易の趨勢が、非常に自由化の線に早く来たのであります。日本も、それに従いまして、最近までのところは、かなり早いテンポできたかとも思うのであります。従いまして、今、御指摘のようなオープン・アカウントにつきましても、当初は十五、六程度あったかと思いますが、今のところは、それは漸次やめて参りまして、五つ六つぐらいに減って参っておるかとも思うのであります。他方、貿易自由化の問題を議論する場合には、ただオープン・アカウントの問題だけではございませんで、二国間の通商貿易協定も、あわせて考えなければいかぬと思うのでありますが、オープン・アカウントにつきましては、今申しますように、全廃の方向にきたことは事実でありますが、それにかわりまして、当該国との間の貿易拡大のための通商貿易協定というものは、どっちかというと、より多く締結をして参っておろうかと思うのであります。いわゆる決済面と貨物の輸出入の面とを区別して参っておるのであります。しかしながら、貫く線は、貿易自由化の線で今日まできたかとも思うのであります。しかしながら、日本国内の最近の経済状況あるいは海外の状況から見まして、この速度でいき得るかどうかということについては、われわれとしても、十分検討いたさなければならぬわけでございまして、相手国の事情によって、それぞれ事情が違いますので、原則的な議論は、なかなかしにくいわけであります。われわれといたしましては、その国々の事情、相手国の要望等をケース・バイ・ケースで研究して措置すべきである、こういうふうに考えております。
  38. 松平忠久

    ○松平委員 そういうお答えになるだろうと思うのですが、その場合に、具体的に、たとえば欧州の共同体の方向というものがあり、一方において、東南アジアには、ああいう民族意識的な国家ができてきておる、こういう情勢でありますが、それに対処して、地域的にはどういう方向に向って、自由化を今後どの程度のテンポで進めていくかというような、具体的なお考えを持っておるかどうかを伺っておきたいと思うのです。
  39. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 貿易自由化の問題と地域化の問題は、観念的には相背反する要因でありまして、貿易自由化という以上は地域別な観念がないのが通例であります。欧州六万国の共同市場の問題は、経済的な問題よりも、やや政治的な要因の方が強うございますので、一がいに経済のブロック化ということも言えないかもしれませんが、経済的な観点に立てば、確かにブロック化の方向には違いないのであります。しかし、そうかといいまして、従来の六カ国以外の国との関係につきましては、やはり自由化の方向を貫こうとしておるわけであります。そこで、翻って日本の場合を考えてみました場合に、われわれとしては、そういうある特定の広域圏というものを考えます場合には、どうしても地理的な近接地域を考えることになる。当然東南アジア地域ということになるわけでありますが、東南アジアとの間におきまして、そういう経済共同的な構想を盛り上げますためには、まだその前にいろいろいたさなければならぬ条件があるのではないかと思うのであります。われわれといたしましては、いま少し東南アジア諸国の経済的な条件が、成熟をしなければならぬのではないか。従って、今、東南アジア共同市場という問題よりも、東南アジアの経済開発に協力するというような面でいくべきではないかということで、今回の御審議願いました予算におきましても、東南アジアにおける技術協力の問題、経済協力の問題におきまして、若干の予算を計上して、その方向に努力しておるのでございます。
  40. 松平忠久

    ○松平委員 今の御答弁の中で、東南アジアの問題が出てきたのですが、そこで伺いたいのは、総理も、いろいろ経済開発等の構想を持って行かれて帰って来られたのですが、この東南アジアとの貿易のことに関連して考えなければならぬことは、いわゆる地域間の貿易協議の問題、地域間貿易促進の問題がありまして、これは日本考え方とインドの考え方が、全く対立しているという実情ではなかろうかと私は思うのです。日本は、いつの会議におきましても、右顧左眄して、国内関係各省の意見がばらばらであって、この地域間貿易協議の問題については、いつでもあいまいな態度をとっているというのが、現在までの日本の態度であった。ことに、それは東西貿易の問題がありますために、そういう結論がいつでも出てきて、日本は東南アジアの会議におきまして、貿易については孤立無援のような状態が続いておった。そこで、現在中共との間にも、かなり貿易は進むという方向にきておるのであるから、従って、東南アジアにおける地域間貿易促進というあの構想は、日本考え直す必要がある。そういう重大な段階に来ておると思う。今までのように、インドと日本が対立しておるというような状態であっては、なかなかうまく東南アジア貿易の問題も進まないと思いますが、一体、どういうふうに通商当局考えておられるのか、このことを伺いたい。
  41. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 先生の御指摘の点は、このアジア地域内における貿易促進の問題であろうかと思うのであります。実はエカフェの会議におきましても、日本といたしましては、かなり多数の国の賛同も得て、地域内の貿易促進のための会談を持とうというような提案もいたしたのでありますが、これにも必ずしも賛成をしない国が実はありまして、今のところは、最終的な結論が出ていないのでありまするが、近く開かれまするクアラルンプールにおきましてのエカフェの総会におきまして、いま一度その議題を出しまして審議を願う、こういう格好になっておるのであります。私、その案につきまして、インド側が反対をしておるかどうかということについては、あまりよく承知をいたしておりませんが、日本側の提案につきましては、若干反対をする国もあって、今そういうふうな状況になっておることを御報告いたします。
  42. 松平忠久

    ○松平委員 松尾君の言うことは、反対です。松尾君の言うことは、全然実情に合っていません。そうじゃないですよ。実は日本は、あなたの言うことと反対なことをやっているのだ。地域間の貿易を促進しないという考え方を、日本の代表は持っているわけです。インドは、地域間の貿易を広げようという考え方を持っているのだ。だから、日本が多数の国と一緒になって、地域間の貿易を促進していこうというようなことを提案したことは、一度もございません。これは、あなたの言うことは、全然反対なんだ。もう少しその点は、通産当局は勉強しなければいかぬ。日本のやっていることは、反対なことをやっているのですよ。だから、僕は聞きたいのだ。インドは、地域間の貿易をもっと促進しようということを考えておる。欧州も共同体になったじゃないか、日本も含めて、東南アジアは、なるべく地域のものが一緒になって貿易をおのおの盛んにしよう、こういうのがインドその他の国の考え方なんです。ところが、日本は、そうじゃなくて、そういうことをやると、そこへ中共も引っぱり込んでこなくてはならぬということがあるものだから、東西貿易がここに出てくるものだから、この地域間の貿易を促進するということはどうしてもできない。これが、今までの日本考え方なんですよ。それを、政府部内は、今後一体どういうふうにやっていこうとするのかということを、私は質問しているわけです。
  43. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 私が先ほどお答えいたしましたのは、今当面の議題になっておりまする地域内の貿易促進の問題であります。地域内の貿易と地域間の貿易と、二つ問題があるわけでございますが、現在のところ問題になっているのは、地域内の貿易促進の問題が、実はエカフェの会議におきまして前から議題になっておりましたので、その点について、お答えを申し上げたのであります。地域間の問題につきましては、今のところ、さほど問題になっておりませんので、われわれもあまり深く研究をいたしておらぬような状況であります。
  44. 松平忠久

    ○松平委員 それは、地域内の問題にしても同じですよ。結局、東南アジア地域内が、おのおの貿易を促進していこうじゃないか。そのためには、中共も中へ引っぱり込んでやっていこうじゃないかというのが、インドを中心としての東南アジアの考えなんです。ところが日本は、今まで気がねをして、そして違ったことを考えておる。大蔵省のごときは、まさに反対のことを考えておる。こういうのが、今までの実情なんですよ。そこで、私の言わんとするのは、鉄鋼その他においても、今度相当大手が出て、本格的に貿易協定を結んできたというような段階にあるので、今までの日本の、地域内における貿易促進に対する考え方は今日改めるべきではないかというのが私の論旨なんです。しかし、このことは、通商局長に聞いても、ちょっとお答えがしにくいと思うので、私はあらためて大臣の出席を求めて、大臣政府の意向として一つこれをお聞きしたいと思いますので、この点は留保をいたしたいと思います。  そこで、次にお伺いしたい点は、伝えられる東南アジア開発計画というか、開発基金の問題、これと貿易との関連というものは、現在どういうところに置いているのか。東南アジア開発基金と貿易との関係、これをお聞きしたいのです。つまり、基金を設定して、それを海外投資して、それによって貿易を促進していくというお考えであろうと思うのですが、今の構想によるところの開発計画と、それに対する貿易との関連を、どういうふうに通産省はお考えになっているか、お聞きしたい。
  45. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 御存じのように、最近の通商政策の方向、特に低開発国に対する各国の通商政策の方向が、商品の直接的な売り込みでは十分ではないというようなことから、それらの国々に信用を供与いたしまして、建設資材、開発資材を送り込んで、その土地を開発するというような方向に向いていることは、御承知通りであります。従いまして、日本といたしましても、各国のそういう大勢に順応いたしまして、通商政策の方向も、そういう方向に切りかえて参る必要があるわけであります。これは先ほどのアジア共同市場といわれるべきような構想と相通ずるものもあろうかと思いますが、それは一応さておきまして、単純な通商政策から見ましても、そういう技術協力あるいは経済協力ということが、通商政策一つの新しい面であろうと、われわれは考えておるのであります。そこで、そういう線から見ますと、御存じのように、輸出入銀行の融資によりまして、延べ払いで資本財等を、東南アジアだけではございませんが、各国に輸出をいたしており申すが、そういう輸出入銀行の資金による延べ払いの方式も、今申しましたような線に一致をいたすのであります。そこで、いわゆる人の交流、技術者の交流による面と、それから資本財の輸出におきまする延べ払いの面が、問題として起って参るわけでありますが、輸出入銀行の延べ払いの線では、なかなかやりにくい点も多々あるような次第でありまして、今回、輸出入銀行の中ではございますが、アジア経済協力基金でございますが、そういう資金ができましたので、その資金も輸出入銀行を通じて運用されるというので、従来の機能を補完し拡大するものであろうと私は思っているのであります。それは、従来のいわゆる資本財の輸出延べ払いの線を、より拡大した規模において行えるものではないかと思うのであります。あるいは資本財だけではなしに、現地のいろいろな工事の引き受けその他も、そういうことでできるのではないかというふうに考えております。しかしながら、御存じのように、資金がわずかでございますので、果してどの程度の実績をあげ得るか、われわれは疑問とは思いますが、考え方としては、今申しましたような東南アジアとの経済協力、それは、いわば通商政策上の新しい最近の部門でありまするこの資本財等の輸出の促進の問題と密着するもので、その方向に沿うているものであります。こういうふうに考えております。
  46. 松平忠久

    ○松平委員 これは大臣に伺いたいと思うのだけれども、最近新聞等で伝えられた東南アジア開発銀行という一萬田構想です。通産省は、この構想に相談を受けておられますか、どうですか。
  47. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 非常にむずかしいお尋ねで、お答えに困るのでありますが、輸出入銀行のあの五十億の基金のもとになります法律案をごらんいただけば、おわかり願えるかと思うのであります。あれは、要するに将来設立せられるべき国際的な銀行への出資というのが、第一の目的に掲げられておりますので、われわれとしてはそういう銀行が近くできるかどうかは、よく存じませんが、できるという前提において、あそこにまず予定をされておる資金であるというふうに、了解をいたしておるようなわけであります。
  48. 松平忠久

    ○松平委員 世界銀行の中に、円の資金が今九十億くらい残っておると思いますが、この世界銀行の中の円資金は、どういうふうに東南アジアその他にお使いになるつもりであるか、通商政策上、何かお考えになったことがありますか。
  49. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 世界銀行に出資をしております日本側の円の資金でありますが、これにつきましては、世界銀行から、そういう現地に対する日本からの資本財の輸出のために使わしてはどうかというような申し出が、ときどきあるわけであります。この資金の運用につきましては数年前は、割に窮屈な考え方がとられておったようでありますが、最近は、何と申しますか、非常に信用のある世界銀行が仲立ちをする出資でありますので、資金の回収ということから見れば、一番安全な方法でもありますし、日本の資本財の輸出にも役立つということで、直接の所管は大蔵省でやっておりますので、私は、日々の連絡はよく知らないのでありますが、かなり東南アジア各国に、その資金が活用されているというふうに聞いております。最近では、インドに対しましても、かなり多額の資金がそれで使われるというふうになると思います。
  50. 松平忠久

    ○松平委員 最近どの程度使われておるか、詳しいことは通商局ではわかりませんが、いわゆるこの東南アジア開発銀行並びに世界銀行の円資金の問題について、関係大臣の出席を求めて聞きたいと思うのです。このことは、中近東においても、アメリカの資本を排除する意味で、中近東開発銀行という構想が、もう三年も前に持ち上っておる。これと同じように、軌を一にして、東南アジアにおいても、ひものつかない開発銀行というものを作りたいという考え方があるわけだが、このことは、日本としても相当考えていかなければならぬ問題であると同時に、これは、東南アジアにおける日本貿易に重大な関係があるわけでありますから、一つ、ぜひ通産大臣大蔵大臣の出席を求めて、質問したいと思います。  そこで、次に、今回の法律案によりまして、ジェトロを拡大強化する、こういうわけでありますが、この前も、横井委員からの質問もありましたが、このことについて、私も若干基本的なことをお尋ねしたいと思うのです。  まず第一に、今までのジェトロの実績というものを、今まで出してきておられますけれども、その実績をよく再検討する必要があると思う。すなわち、第一は、ここで働いている人たちです。働いている人たちは、現在、いわゆるほんとうの職員として働いておられる人もあります。それから関係各省からひもつきのような工合にしてきて働いておられる人もあるように聞いております。それで、関係各省からひもつきになってきておる人は、このジェトロの中に入り込んで、そうして二、三年外国へ行って、外国のことを勉強して、またもとの省に帰っていくというような仕組みになっておるということを聞いておるのでありまして、これは結局、その人選等を見ますと、論功行賞的な意味をもって、三年間ぐらい外国に行ってこい、こういうことになっておるということを私は聞いておるわけです。果してそうであるかどうかということと、今度できるところのジェトロの拡大強化された貿易振興会ですか、これにも、同じような意味で、論功行賞的に関係各省の役人を中に入れて、そうして海外に出張駐在させる、そういうことがまた行われるのであるかどうかということを伺いたい。
  51. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ジェトロの内地及び外地におります職員の中へ、役人を論功行賞的に入れておるのではないかというお尋ねでありますが、そういう考え方は、全然ございません。ただ、外地等に勤務する者の人選に当りまして、若干、通産省のみならず、農林省あるいは大蔵省の職員が出ていることは事実でありますが、それもはっきり数字を覚えておりませんが、七、八十名のうち、十名内外ではなかったかと思います。それは、その当時としましては、なかなか適当な候補者がないというような点が第一点、それから、特に技術者を派遣いたしたいという場合に、なかなか技術者の適当な人が得られないということで、便宜通産省の若い技術者を活用して行かせたというようなことでありまして、決して論功行賞というようなことではありません。ジェトロの活動からしまして、人材を活用するということで、そういうことになったのでありますが、その人材が、その当時としてはやむを得なかったのであります。他にもっと人材があれば、当然採用し、活用したであろうというふうに考えるのであります。今後、振興会等におきましても、当然人材の活用という原則で、人事の採用等をやるものであろうと考えております。
  52. 松平忠久

    ○松平委員 人材が集まらぬというのは、どういうわけであるか、ちょっとお聞きしたいのですが、月給が非常に安いのであるか、あるいは海外に行って活動する、その手当というものが安いのであるか、何かそういうことに原因があるのではなかろうかと思うのです。そこで、現在行っておる人たちの手当というものは、どういうふうになっておるのか。たとえば、外務省あたりの在外公館の役人と比べて、どういうふうになっておるか。聞くところによると、役人よりも少いのだということを私は聞いておる。そうすると、結局いい者は集まらないということになるのではなかろうかと思います。そこで、民間の各商社の海外駐在員というものと、このジェトロで行っておる海外駐在員の俸給というものは、どういうふうになっておるか、私は聞きたい。
  53. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ジェトロの海外勤務員の平均給与は、大体月六百ドル程度でございまして、これは在外公館に比べますと、かなり安いものだろうと思います。民間と比べましてどうなるか、はっきりわかりませんが、今申し上げたのは、平均給与で申し上げておりますが、民間ならば、たとえば支店長から末の方まで、いろいろな人がおられるわけであります。ジェトロの場合は、斡旋所にしましても、幹部だけが日本から行っておりますし、調査員になりますと、これは御存じのように、原則としてただ一人で行っておりますので、多数人をかかえておるこの民間の支店と比べることは、若干困難だと思いますが、あまり待遇はよくない、こういう状況であることは、認めなくてはならぬと思うのであります。いい人が集まらなかった原因は、これまた御説明申し上げるまでもなく、いわゆる民法上の財団法人でありましたし、法の基礎が非常に薄弱であったということにも、よっておるのでありますが、今回この新しい法律を通していただきまして、新法人になり、二十億の資本金をいただくということになれば、基礎も安定をして参りますので、いい人材も集まってくると思います。また予算面におきましても、待遇はもっと改善をして、いい人がはいれるようにいたしたいということを、今考えておる次第であります。
  54. 松平忠久

    ○松平委員 機構がうまくいくのも悪くいくのも、結局私は人の問題であろうと思うのです。今お聞きすると、平均六百ドル程度の俸給だ。これでは、アメリカ等においては、最下級の生活をするよりしようがない。おそらく商社よりも、非常に少い俸給ではなかろうかと思うのです。そういう人が行って、一体仕事ができるかどうか。結局、そういう人が行けば、日本人の商社の支店長や何かのところに行って、いろいろなことを聞いてくるというようなことが関の山であって、とても向うの商工会議所その他のものとのつき合いもできなければ、何もできないただ行って見物して帰ってくるということにならざるを得ないのです。  そこで、今お聞きすると、若い者等を派遣して、原則として単独だというわけだけれども、一体家族手当というものは、在外の調査員にはないのですか。ないようなことを私は聞いておるのだけれども、家族手当がないようなところで、一人前の人間が行って働けるかどうか。結局、独身者が行って遊んでくるということになってしまう。そこのところは、今後、この機構の拡充強化がされた場合には、どういうふうにお考えになっておるか、伺いたい。
  55. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 現在のところ、わずかではございますが、家族手当を出しております。大体百ドル程度出しております。ところが、これまた、在外公館を比較の対象にするのもいかがかと思いますが、比べまして、非常に少いことは事実であります。だからこそ、今度新しい法律をお作り願って引き上げよう、こういうことでありますので、新しい法律下におきましては、できるだけ待遇改善をはかりたい。在外公館並みには、とてもいかぬかもしれませんが、できるだけ近づけて参りたいというふうに考えておるわけであります。
  56. 松平忠久

    ○松平委員 そこで、家族手当も、今までは百ドルであったが、今度はもっと増したいと言うが、今後どの程度増すかということと、それからもう一つは、調査費、旅費、いわゆる事務費というものが、一人当り幾らくらい、今度の計画によると、予定を組んでおられるのか。私は、この活動費によって、この事業がうまくもいくし、だめにもなる、こういうふうに思うのです。結局旅費とかあるいは交際費、特別の調査委託費とかいうようなものが、各一カ所ごと一人頭に平均すると、どのくらいになるかということをお聞きしたい。それは、現在のジェトロの場合と、今度やられる貿易振興会の場合と、どういうふうな増加の比率になるかということを、あわせて伺いたい。
  57. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 この新ジェトロ下の待遇改善の問題につきましては、目下鋭意作業をいたしているわけでありまして、まだはっきりここで、現在の百ドルを何ドルに引き上げますと申し上げるところまで至っておらぬのでありますが、先ほど申しますように、できるだけ在外公館に近づけるということで考えているような次第であります。  それから、調査費につきましては、これは調査の態様がいろいろございまして、貿易斡旋所で調査する場合、調査員が調査する場合、それから特別に海外の専門調査機関を使って調査する場合、また内地から臨時に調査団を編成して調査に行く場合、四つ、五つの態様がございまして、頭割りにして何ぼふえたかということは、ちょっと申し上げにくいのでありますが、しかし調査関係の費用としましては、三十二年度に比べて、三十三年度は相当の増額をいただいておりますので、かなりな改善になり、従来よりも、より充実した調査ができるであろうというふうに考えております。
  58. 永井勝次郎

    ○永井委員 議事進行について。  ただいま当局の話を聞きますと、ジェトロの問題については、人件費もまだ十分わからないというような不備な原案であって、こういう不備な原案で審議をすることはできないと思います。また、先ほど来松平委員の質問にありましたように、この問題の基盤となるのは、国内における産業一般の問題であり、あるいは技術の問題であり、対外的には外交路線の問題であり、そういった政策的な基盤の中に立って、そして貿易振興会法の問題がしぼられてき、さらにその振興会法の中に含まれている具体的な内容というものの検討が必要なわけでありますが、今伺いますと、そのすべてが、この委員会では審議ができません。大臣がおらないで、事務当局を相手にして、そういう政策的な問題はできない。さらに、事務的な問題にしぼって質問しますと、人件費もまだわかっていない。こういうふうな不備な内容では、審議ができませんので、委員長において、今後の運びをどういうふうにするか、一つ所見を伺いたい。
  59. 小平久雄

    小平委員長 永井委員の御発言、ごもっともの点もございます。従って、明日理事会を開きまして、今後の運び方について御相談の上、善処したいと思います。
  60. 加藤清二

    加藤(清)委員 議事進行。  もうだいぶ時間も過ぎておりますので、この際、私は委員長の所見を承わりたいのでございますが、実は、委員長御存じの通り、二、三日前の某最有力紙に、委員会の勤務評定が出ました。その勤務評定によりますと、この商工委員会が一番劣等、落第点をつけられておるのでございます。これはしかし、勤務評定をつけられることを、いやだというわけでもなければ、その内容が間違っておったというのでもございません。いずれも正しい。何が悪いかと言ったら、本委員会の、きょう出席しておる人が悪いんじゃない。出席してない人間が悪いのだ。そのおかげで、出席している者までが一視同罪に扱われている。ほかのときならば、私はしんぼうもしますが、やがて一月先には、もうわれわれは散っていくのだ。そういうやさきに、せっかく毎日のように出てきている者が、ああいうことを書かれるということは、非常に遺憾にたえない。なぜ遺憾にたえないかといえば、第一、われわれの命はもうあと一月だというが、再びここに相まみえる人がどれだけいるかといえば、平均値は六割か七割は出てくるはずだ。ところが、商工委員会に限っては、半分しか出てこれないのだ、委員長みずからが落ちる、大臣みずからが落ちる。そうでしょう、大西委員長落ちた、坪川委員長落ちた、岡野清豪通産大臣落ちた。全く悲しいきわみです。なぜそういう結果になるか。それは第一、予算委員会が済んだら、大臣は出てくるはずになっておった。何がゆえに、こんな重要な問題を扱わせるときに、通商局長一人に孤軍奮闘させなければならないのか、見ておっても、あまりにもかわいそうだ。こんな広範な重大な問題を審議するときに、なぜ大臣を出してくれないのか。大臣の責任ある答弁を承わらなければ、もうわれわれは審議に応ずることもできない。きょう出てきておった人が悪いのじゃないから、出てこぬ人間が出てくるようにならなければ、僕らは審議に応ずることはできません。以上、これについて委員長の所見を承わります。
  61. 小平久雄

    小平委員長 きょう大臣が出席できなかったことは、今朝来、閣議がありまして、それに引き続いて参議院の予算委員会が開かれまして、社会党の佐多委員が通産大臣の出席を要求されておる。そういう関係で、こちらからも催促したのでありますが、出席がで弐なかったのであります。この点は、御了承を願いたいと思います。ただ、明日からの当委員会の出席についてはなおよく連絡をとりまして、極力当委員会に出てもらうようにいたしたいと考えております。  なお、新聞記事の点につきましては、ただいま加藤委員がお述べになった通りでありますので、かれこれ申すこともいかがかと思います。委員長といたしましては、あらかじめ委員会の開会予定日、議題等も、公報以外にも通知いたしまして、御出席願っておるようなわけでありますが、今後とも、さらに御出席願うように、善処いたしたいと考えております。
  62. 永井勝次郎

    ○永井委員 この商工委員会は、いつでもそうでありますが、衆議院に予算がかかっておる間、大臣はその方にとられるし、それから重要法案はあまりこの委員会に出てこない。重要法案がこの委員会にかかるときは、予算審議は最終段階で、衆議院を予算が通ってから重要法案の審議がちょうど始まるころになる。そのころは、もう大臣は参議院の方へほとんどとられて、こちらに出てこない。こういうような時間的ズレは、毎国会状況であります。またこの委員会の特殊な一つの性格として、たとえば内閣なら、定員法が出る、あるいは恩給法が出るといえば、その条文の解釈だけをやっていても、十分に議案の審議ができるわけです。ところが、この委員会における法案というものは、単に条文の一字一句の吟味の問題ではなくて、この法案の基盤である産業、経済、外交、そういう広い分野における政策的なものを明確にしながら、法案の意味するものをしぼっていかないと、問題がはっきりしてこない。こういうようなことで、法案が、常に大臣がいないままに、事務当局と、こういう生きて動いていく経済、産業、外交の問題についての吟味が不十分のままに、常に審議を進めなければならないというような、こういう状態になっておるのであります。でありますから、これはもう毎度のことで、こういう事態を起したということは、政府の責任であると思いますし、また委員長が、その職責に対して責めを尽さないという責任もまた重大であると思います。でありますから、今後こういう残された時間を、十分に効率的に、効果的にやりますためには、相当政府当局及び与党側の格別な努力が伴いませんと、今後の審議が停滞することを警告せざるを得ないのであります。これについて、松平君の今までのいろいろな質疑にいたしましても、前半は、ほとんど政策的なものであります。事務当局から答弁を求めるものではなくて、大臣の答弁を求めなければならないものです。さて具体的にジェトロの問題に入ろうとすると、提案の内容が非常に不整備だ、こういう事態でありますから、これは委員長において、理事を集めて一つ十分に今後の議事運営について、及びこの委員会の今後の運営について、十分協議を願いたい。そうでないと、われわれはこの委員会の議事に協力することは不可能であります。
  63. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 おそらく運営につきましては、常に理事会で相談されてやられることだと思いまして、私どもは常に理事に要望しておるのでありますけれども、実際にこの委員会がずっと低調であったという事実は、私はいなめないと思う。それは、やはり重要な議案がなかったことに、原因があるだろうと思う。それならば重要な議案でないものに調子を上げろと言ったって、上るわけもない話なんだから、そういう低調な議案ならば、やらぬようにしてもらいたい、こっちはいろいろ忙がしいのですから。しかるに、いろいろつまらぬ法案が出るようでありますが、ほんとうのことを言うと、法律に重要なのと重要でないのとあるはずはないと思うのですけれども、どうもここにかかってくるのは、一般に重要でなさそうです。重要でない議案ならば、重要でない扱いをすればいいのだから、やかましく言って、重要でない議案を一生懸命重要らしくやる必要はない。従いまして、委員長並びに理事会で十分検討されて、重要なものだけを一つ審議できるようにしてもらってつまらぬ委員会を開かぬようにしてもらいたい。むしろ、逆もお願いをいたしておきたいと思います。
  64. 小平久雄

    小平委員長 永井委員及び佐々木委員の御発言でありますが、当委員会に、所管の大臣の出席が意のごとくなりないということは、われわれも日ごろ遺憾に思っているところです。しかし、このことは、ひとり当委員会に関する問題ばかりでなくて、程度の差はあるかもしれませんが、予算の審議あるいは予算委員会の運営と、各常任委員会の運営と関連する、非常にむずかしい基本的な問題だろうと思います。しかしながら、今後も極力出てもらうように、理事の諸君にも御協力を願って善処いたします。  佐々木委員の御発言ですが、重要でない法案をやるなというようなお話のようですが、とにもかくにも、われわれの委員会に付託された議案も、記載したものがお手元にあると思いますが、ただいま八つか九つの議案があります。中には、予算の執行に非常に関係のある議案もあるわけですから、これらにつきましては、引き続き御審議を願わなければならぬと思っています。
  65. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 国民的にはあまり重要でないから、おそらく、ここで重要な審議らしい状態も展開できないのじゃないかと思う。従って、これを重要であるとかないとか、予算関係あるとかということは、勝手に思っている話であって、国民にあまり関係ないから、私は重要な感じが出ないのだろうと思う。従って、そういうそのままの姿を私は出せばいいと思う。国民が重要でないと思っているものを、ここで一人で重要だ、重要だと言ってみたところで、しょうがないのです。従いまして、私はこの委員会で、はっきりと、みんなが出てきてやらなければならぬような重要なものなら、やればいいのだし、みんなが出てこぬでいいようなものなら、自然に流れても仕方がないという形で、自然の形で委員会を運営されるように、希望申し上げます。
  66. 松平忠久

    ○松平委員 それでは、私はこれでやめて、質問を留保いたしますけれども、永井委員の議事進行の発言にもあるがごとく、この法案を審議するに当って、事業計画の根本になるところの職員の俸給とか、手当とかいうようなものまで、まだ決定してないというようなことでは、法案の審議に応ずるわけにいかぬ。だから、これは一つ理事会を開いて、その点を協議するようにしてもらって、本日はこれで散会してもらったらどうかと思う。
  67. 小平久雄

    小平委員長 当局でも十分資料を整えて、一つ答弁できるようにして下さい。  本日はこの程度にとどめます。  次会は明五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時二十二分散会