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1958-04-01 第28回国会 衆議院 社会労働委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月一日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 植村 武一君 理事 大坪 保雄君    理事 田中 正巳君 理事 野澤 清人君    理事 八田 貞義君 理事 滝井 義高君    理事 八木 一男君       小川 半次君    大橋 武夫君       亀山 孝一君    小島 徹三君       小林  郁君    田子 一民君       藤本 捨助君    古川 丈吉君       山下 春江君    五島 虎雄君       中原 健次君    山花 秀雄君       吉川 兼光君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 堀木 鎌三君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 三月三十一日  国際労働条約第八十七号批准に関する決議案(  淺沼稻次郎君外五名提出決議第四号) 同日  医業類似行為既存業者業務存続に関する請願  (灘尾弘吉紹介)(第二五五四号)  傷病手当給付期間延長等に関する請願鈴木  茂三郎紹介)(第二五五五号)  結核回復者優先雇用に関する請願鈴木茂三  郎君紹介)(第二五五六号)  生活保護法基準額引上げ等に関する請願(鈴  木茂三郎紹介)(第二五五七号)  同(門司亮紹介)(第二五五八号)  同(三宅正一紹介)(第二六六七号)  同(帆足計紹介)(第二六六八号)  同(足鹿覺紹介)(第二七〇五号)  戦傷病療養者の保障に関する請願門司亮君紹  介)(第二五五九号)  同(三宅正一紹介)(第二六六六号)  民間電気治療営業禁止反対に関する請願外四十  一件(受田新吉紹介)(第二五六〇号)  同(大坪保雄紹介)(第二区五六一号)  同外二十六件(原彪紹介)(第二五号六一一  号)  同外三件(福田篤泰紹介)(第二五上六三  号)  同外八件(松岡駒吉紹介)(第二五六四号)  同外一件(佐伯宗義紹介)(第二六〇五号)  同外九件(千葉三郎紹介)(第二六〇六号)  同外四件(古井喜實紹介)(第二六〇七号)  同(渡邊良夫紹介)(第二六〇八号)  同外二十件(受田新吉紹介)(第二六六二  号)  同外十七件(首藤新八紹介)(第二六六三  号)  同外五件(渡海元三郎紹介)(第二六六四  号)  同外一件(福田昌子紹介)(第二六六五号)  引揚者給付金等支給法の一部改正に関する請願  (首藤新八紹介)(第二六六〇号)  職業訓練制度確立に関する請願首藤新八君紹  介)(第二六六一号)  社会保険診療制限撤廃に関する請願帆足計  君紹介)(第二六六九号)  私設保育所保母待遇改善等に関する請願(高  岡大輔紹介)(第二七〇四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  社会福祉事業法の一部を改正する法律案(内閣  提出第三四号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  社会福祉事業法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑を許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 社会福祉事業法の一部を改正する法律について非常にたくさんの質問点があるのですが、時間の関係がありますので、おもな点だけ時間を倹約して質問さしていただきたいと思います。  まず第一に最近全国的に町村合併が非常に進展をしてきました。そして同時に新しい市が誕生して、たとえばわれわれ福岡県のごときは地方事務所が廃止せられるという状態が出てきたわけです。地方自治体の中にある程度行政機構改革というものが進んできておるということです。従って、そういう情勢から見ますと、当然福祉事務所等管轄区域も著しい変動を起してきつつあると思うのです。今度の改正の第三点として指定都市以外の市政令で指定する人口二十万以上の市は、条例で二以上の福祉事務所を設置することができるものとしておりますが、こういうことはおそらく一面そういう問題を反映してのことではないかと思うのですが、先般当委員会身体障害者福祉司の問題を質問いたしたときに、全国の五百有余の市が結局身体障害者福祉司というものを置くことができるということで、必ずしもそのために置いていなかった、こういう事態があったわけです。従って、客観的な日本町村合併進展や新しい市の誕生、地方自治体行政機構改革、こういう状態から考えると、福祉事務所の再編成が当然問題になってくるだろうと思いますが、社会局としては、こういうような地図の塗り変えに伴う福祉事務所の再編成をどういうようにお考えになっておるのか、これを一つ聞かしてもらいたい。
  4. 安田巖

    安田(巖)政府委員 大へん重要な御質問でございまして、お話のように現在福祉事務所が九百六十七のうちで五百八十が市の福祉事務所になっておるわけであります。そのうちで人口の三万から五万という市が大部分を占めておるわけなんでありますが、そうすると今の福祉事務所の再編成というものは二つの問題が出てくるわけです。つまり三万から五万程度地域一つ福祉事務所を設けるということが果して適当であるかどうかということは、福祉事務所を作りましたときには大体人口十万というものを福祉地区といたしておりますから、その程度では規模が小さ過ぎて福祉事務所組織としての組織的な活動というものについて十分でないのじゃないかという問題が一つあると思います。それからもう一つは、従来県の管轄でありました郡部がどんどんと市の中に入ってくるということであります。そういたしますとほんとうに市らしからぬ山の奥までが市になっておるために、管轄区域が、早く申しますと飛び地のようなものが出てくるというようなこと、この二つの問題があると思うのであります。これをもし是正しようということになりますと、やはり市に福祉事務所を設けないで県に全部福祉事務所をやらせたらどうかという問題も起きてくるし、あるいはまた一定の人口以上の市にだけ福祉事務所を置くというようなことが、これは組織管轄のことだけから考えればそういうような問題も出てくるわけです。しかしこれは御承知のように、市といたしましては福祉事務所を持ちたいという要望が非常に強いのでありまして、そういうことをいたしますことは政府部内でもいろいろ意見がございますので、実はいろいろ研究いたしておりますけれども、具体的ないい案が出てこないということなのでございます。そのかわり今御指摘になりましたように、今回の改正におきましては二十万以上でもやはり市には一つだという現在の規定を改めまして、二十万以上になりますならば、大体十万につき一カ所の福祉事務所というような基準もあるのでありますから、二つ以上置くことができるというこういう規定に改めまして、御指摘の点につきましては少しでもよくしたい、一歩前進したいという気持を表わしたわけであります。
  5. 滝井義高

    滝井委員 今局長さんから、二つの問題があると言われた。一つは、三万、五万の地域福祉事務所を、そういう市ができたためにだんだん置くことになると思うのですが、それから山の奥まで町村合併のために市に入るということになりますと、県に福祉事務所を移して県の所管にした方がいいというような一つ考えも出てくる。問題は、前者の、三万か五万の地域福祉事務所を置くという、この問題ですね。最近、町村合併で三万、五万の市ができたと思うのです。今改正法が出ているかどうかはちょっと記憶ありませんが、今度人口三万くらいのものも一つ市にしてくれという陳情書がわれわれのところにたくさん来ておったと思うのであります。そうしますと、県所管福祉事務所から、今度は町であった三万くらいのものが市になるということになると、当然これは福祉事務所を持つことになるわけです。そういう傾向のもの、つまり三万ないし五万という小規模の市で福祉事務所を持っているものが今全国的に見てどのくらいあって、持たないものがどのくらいあるのか、そういうものの機構というものは、財政的に見ても福祉行政を遂行する上に非常な支障を来たしている情勢が一体あるのかないのか、こういう点について一つ御説明を願います。
  6. 安田巖

    安田(巖)政府委員 今のお話の中で、三万から五万くらいの市で福祉事務所を持っているものと持っていないものというお話がありましたが、実は市になりますと必ずこれは持たなければならぬ規定でございますので、全部持っております。  それから、これも御承知でありましょうけれども、今の自治庁基準というものは五万になっておりますから、そこで三万から五万というのが経過的にできたわけであります。これは私は確かな数字は覚えておりませんが、二百くらいあるのじゃないかと思います。そこで、現在はすでに万万というふうに自治庁が引き上げたということは、行政組織としての市の資格にはやはり人口五万くらいが適当ではないかという一つの標準がなされたというふうにも考えるわけでありますから、さしあたりの問題としては三万から五万の市は福祉事務所を持たないで県でやったらどうかという問題もあるわけであります。しかしこれは、せっかく三万から五万の市ができたときに福祉事務所を持つことになったわけでございますから、それをまたすぐもとに返すということになると、いかにも朝令暮改でありまして、いろいろ問題が起きるわけでございますので、そういう点につきましてもいろいろ考えたことはございます。五万までは持たないことにしたらどうかということは考えたことはございますが、さしあたりの点では踏み切りがつかないというのが現状であります。  それから、三万くらいの市におきまして、福祉事務所組織なり売笑の状況はどうであろうかというお話、これもはなはだごもっともお話でございまして、私ども実は心配いたしておるのでありますが、しかし現在のところでは、新しく町村合併したりしまして人員をたくさんかかえたような関係もございまして、福祉事務所は案外充足率がいいのでございます。ただし、その人的な内容を見ますと、資格のない者がおったり、あるいは相当老齢者がそういうところに入っておるというような関係で、必ずしも全部がいいとはいえない。しかし数の上では一応の充足率を示しておって、県よりかえって充足率がいいというようなところもある、こういった状態でございます。
  7. 滝井義高

    滝井委員 問題は、三万から百万の市というものが二百カ所あるということは、九百六十七の福祉事務所の約二割ちょっとを占めておるわけなんですね。そうしますと、まあ枯れ木も花のにぎわいで、失礼な言葉でございますが、人がたくさんおってもそこに質的に内容が充実いたしておらなければ——福祉事務というものは非常に専門的な能力を必要とする仕事でございます。具体的に申しまするならば、たとえば社会福祉主事、こういう福祉行敷の中核になる人間というものがそこにやはり当然充足されてこなければならぬと思う。ところがいなかの役場で衛生係もやるし福祉もやるし税務もやる、国民保険もやる、八百屋で何もかにもやっておったのでは工合が悪いと思うのですが、一体三万から五万ぐらいの市でれっきとした社会福祉主事が置かれておるところが、二百カ所のうちでどのぐらいありますか。
  8. 安田巖

    安田(巖)政府委員 三万から五万までの市だけの調査が今手元にないのでございますが、市部郡部福祉事務所職員状況をちょっとお話しいたしますと、郡部の方、つまり県の方は現業員つまりケース・ワーカーの方の充足率が三十二年九月一日現在で七九・八%、それから市部の方が九四%、相当いいわけでございます。それから今度はこの逆に資格率になって参りますと、有資格率郡部の方は七三・九、市部の方が六五・六でございますから、私が今申しましたようなこと、あるいはまた滝井委員の御指摘になったようなにとが出てくるわけでございます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 問題は従って郡と名のつくところはケース・ワーカー等充足率は低いけれども、そこには名実とも実力者がおるということなんですね。これは結同その吏員の身分の所属するところが、行政的にいって一段高い県であるということにこういう結果が出てきていると思う。ところが三万から五万の市、そういうものが全国の市の非常に大きな部分を占めておるのだが、そこでは充足率は九四%も人間はおるけれども、実際に資格のある者は六割五分だ、こういう明らかに逆の結果が出てきているところに、私はやっぱり問題があると思うのです。何といっても近代における生存競争の、悪い言葉で言いますれば、敗北者というようなものがやはり都市に多くなっているということなんですね。そでしますと、あとでまた触れますが、福祉行政というものは、郡部はまだ家族制度があってどうにか防いでいけると思うのです。ところが市部はやはりそうはいかぬ。日本家族制度が新しい憲法によって崩壊過程をたどっておるということになると、それは端的に市部で先行して進んでいく、こういうことになりますと、やはり福祉行政の重点というものが少くとも新しくできる市なりすでにできておる市にある程度置かれなければならぬ、特に機構と人事の面において置かなければならぬという感じがするのです。これは機構の面から見ても、その救済の対象の、防貧政策を遂行する対象の面からいっても、そういう状態が明白に出てきておると思うのです。一体そういう重点的な行政をとられておるのかどうかということなんです。
  10. 安田巖

    安田(巖)政府委員 今のお話は全く同感でございまして、生活保護の問題は大部市に多いということは、これはまあお話通りなんでございます。そこで先ほど私は市全般についての数字だと申し上げたのであります。けれども、やはり新しくできた小さい市の方に問題があって、それから福祉事務所制度ができました当初から大きな市でありましたところでは、今日までに非常に充実いたしております。大都市のごときは、これは大体県よりはいいぐらいの内容を持っておるのでありまして、待遇等におきましてもむしろ県よりいいんじゃないかというようなことを考えておるわけでございます。問題はやはり三万から五万くらいの市にあるわけでございます。そこで私どもも、お話のようにそれでは三万から五万の市を県に返したらどうかというようなことを考えたことがあるのでございます。しかし県の方が今の充足率になるためには、ほとんど六、七年私どもがいろいろ苦心をし、県当局努力いたしましてようやくここまで来たわけでありまして、それを考えますと、新市とはいいながらやはりこれから努力すれば改善の余地があるのではないか、こういうことも考えられるわけであります。同時にまた、新しく市になったところは県からはずれたわけなんでありますが、それをまた県の方へ返すというと、それでは県がそれをまた受け入れてすぐに充実させるかというと、やはりまた四、五年の努力が要るのではないかということも考えるわけであります。そういうことを天びんにかけまして私どもその辺が踏み切りがたいところになっておるわけでございます。今お話のようなことは、今後今の制度が続く限りは、できるだけ努力いたしまして内容を充実するようにいたしたいと思います。
  11. 滝井義高

    滝井委員 すでに福祉事務所における人的な構成というものが非常に脆弱な状態にあることは、局長さんもお認めになった。従って今後新しい町村合併においてできた市においても、やはりこれを充実していくためには、財政上のバツク・アップが必要になってくるわけです。そうすると人件費その他が交付税交付金によってまかなわれておるひもつき財源でないというところにも一つ欠陥があるわけです。今回二十万以上の都市二つ以上の福祉事務所を設けてよろしい、こういうことが一つと、それから課題は、新しい市に対する財政上の措置をどういう程度にされておるのか、これは今度法観が通れば三十三年度から実施されることになるのでしょうが、そういう場合の町村合併も大体終止符を打たれてきておるわけです。今後はできたものを健全に育てていくということになるわけなんですから、どういう財政上の手が打たれることになるのですか。
  12. 安田巖

    安田(巖)政府委員 この前も御質問がございましたので申し上げたのでありますけれども福祉事務所職員費用というものは、現在の交付税交付金で見込んであるわけでありまして、府県市町村を合せますと約二十五億九千八百万円が見込んであるわけであります。これはそれぞれまた根拠がございますが、もし必要がございましたら御説明申し上げます。それでは新しく二以上の福祉事務所を置いた場合にその費用は見込んであるかどうかということなんでありますが、これは現在のところでは福岡と川崎というのがそうなるということがはっきりわかっておりますから、その二つは見込んであるわけでございます。これは二以上置くことができるということでありまして、必ず置かなければならぬというふうにはなっていないわけでございますので、とりあえずの財政的措置としましては、今申し上げたようなことがやってあるわけでございます。
  13. 滝井義高

    滝井委員 交付税交付金で二十五億が府県及び市町村分として交出をされておるのですが、問題はひもがついていないために、一般財源として市町村財政あるいは府県財政ではこれが使われることになるのです。従ってそういう二十五億ということがはっきりしておるということになると、それぞれの各県にそれが配分される状態も大体ある程度わかってきておるのではないかと思うのです。そういう点を府県なり市町村にやはり社会局長さんの方から指示をして、そしてそれだけのものはひもつき財源ではないけれどもそれに準ずる形をとっていかないと、福祉行政というものはなかなか伸展しないと思うのです。あとでもまた出ますが、政府財政政策というものが僕ら見通しがある程度誤まってきつつあると思うのですが、次第に不況が進化する、世界的な不況というものは、アメリカならアメリカ一国で今までは済んでおったもののが、最近の不況状応を見ると、やはりすでにヨーロッパ、イギリスその他においても、もはや不況が同じような状態で出てき始めた。こういう状態になるともう、春になって日本の景気が好転するなんということは考えられぬ。どうしてもこれは、やはり日銀の山際さんが言うように、秋から来年の初頭にまで及ぶという客観情勢があるときなんですから、この際やはり防貧、救貧の福祉行政というものは相当拍車をかけなければならぬと思うのです。そういう点で二十五億の金がとれたならば、それはやはり明白に二十五億にプラス・アルファを今度は市町村なり県なりがつぎ込んで、福祉行政を推進するという形を作ってもらわなければいかぬと思う。ところが実情はなかなかそうはいかぬところに福祉行政の問題があると思うのです。こういう点はどういう御指導を府県なり市町村にされておるのか、これは大臣でもけっこうだし、安田さんでもけっこうですが……。
  14. 安田巖

    安田(巖)政府委員 今の財政の問題というのが、やはりこういった福祉行政についても重要な問題であることはお説の通りなんでありまして、私ども常々そういう点についてはいろいろと考えておるわけでありますが、しかしこれは滝井委員のよく御存じ通りで、交付税交付金というのはただ基本の財政需要に見込んだというだけでありますから、現実にはそういう費用がこないところもあるわけであります。そこでそれをひもつきにするということは意味がないわけなんで、交付税交付金である限りはそういったものなんで、それで私ども地方には交付税交付金が見込まれておるという数字はちゃんと示しておりますけれどもいろいろ全体的な財政のバランスからいってそれが実現しない。そこで私ども、はなはだしく充足率が悪かったりあるいは有資格率が悪い、そして私どもが監査をいたしまして非常な欠陥があるというようなことがわかりますときには、もうこれは生活保護費用というものは、ほんとうならば清算払いが原則なんでありますから、金を出さないぞというくらいのきついことを言って充足さしております。そういうふうにしてここ六、七年の間にようやくここまできたわけでありますが、今後もいろいろ考えまして、今お話のように、人員の上におきましても質の上におきましても内容を充実するように一そうの努力をして参りたいと思います。
  15. 滝井義高

    滝井委員 どうも今の答弁は私はあまり納得ができないのです。というのが、御存じ通り地方財政が非常に窮迫をしている。今年度はだいぶ自然増その他が出てよくなってきましたが、ここ数年来はずっと福祉事務所充足率が悪いし、監査しても欠陥があるそれを悪いからといって、今度は生活保護費用をやらぬぞと言うと、市町村はどうなるかというと逆に弱い者をしぼってくる。どうせ出す金はないから、国から文句言われるから、ここをしぼろうじゃないかといって保護費をしぼることになる。そういうことに現実はいっておる。従ってやはり私はこの際福祉行政を推進しようとするならば、それを交付税の形じゃなくて、明白なひもつき財源国庫補助金負担金の形でこういうものをする必要があると思う。そうしないと、これはもうどうせやらなければならぬ金なんですからね。貧しい人に金をやらぬと言ったって、要するに干ぼしにするわけにいかぬのですから、政治に人道主義を貫いておるとすれば、やはりこれは上げなければならぬ金なんですよ。そうすると交付税なんかでしてあるところに問題がある。おそらく全国福祉事務所はそう言いますよ。交付税だからいかぬのだ、きちっと金を出してくれるならこちらも何とかする……。ところが大蔵省へ行けば交付税で出してでおる。何もかも十ば一からげで交付税で片づけられるところに問題がある。それで責任態勢を明らかにするためには、二十五億というものをとったのだ。そしてこれを一つアンバランスのないように全国にそれぞれ行政に応じて配分していくという方針をとれば、あなたの方の行政も身が入りますよ。しかも統制力が強くなるといってはおかしいけれども、やはり意思が浸透しますよ。ところが交付税じゃ、あれは普通交付税特別交付税でおれらが陳情したからとれたのだということになってしまう。この点は大臣どうですか、この福祉行政については来年度あたりからは大蔵省と折衝して、大きなプールみたいな交付税の中へ入れておかぬで、貧しいながらもわが家の池を一つ作ってもらって、そこへ金魚でも泳がせてもらった方がいいと思うのです。だから小さいながらもわが家の地を作るという意味で、交付税からこれをある程度どけるということが、現在の福祉行政を推進する一つのポイントになってくると思う。この点大臣はどうお考えになりますつか。
  16. 堀木鎌三

    堀木国務大臣 交付税交付金でもって総額的に算定の基礎に立って出したときに、実際に地方の自治体においてその趣旨目的に使われないで、他の費用に充当されるというふうなことが考えられないでもないのであります。そういう福祉行政を推進する上からは中央意思地方に浸透するためには、補助金なりその他の方法によって的確にそれがその方途に使われる必要があるということは、私は一つ方法であろうとは考えますし、現に他の行政部門におきましては、いろいろの事例を残しておるのでありますが、これは滝井さん率直に申しますが、私が厚生大臣になってからの悩みは、一つはそれなんです。あなたもしばしばいろいろな問題で私に指摘されるように、現場の機関を充実しなければ、中央だけではだめだ。真に民衆の生活に入って参らないという点が一の悩みでありますが、それかといって地方自治法自体に基く地方自治体自主性を尊重するということも実は大きな目的である。率直にいって一番大切なことは、地方自治体自身国民生活を守ることではなかろうか。むしろこの種の問題につきましては、地方自治体が率先して設けてくれという要求が強く出てくるのが、地方自治体をあずかっておるものの責任ではなかろうかということも考えられるのであります。と同時に補助金制度が御承知通りにいろいろな方面から批判の対象になって、しかもそれが滝井さんの言われるように、世界情勢が不景気になればなるだけ財政がきびしく、その場合に福祉行政の方面に対して、国がウエートをより置いていくという方針をとっても、現実の問題としてそういうふうな方向になかなかいきにくいということも事実でありまして、地方自治の本旨を貫きながら、厚生行政、社会福祉行政現実に民衆の間に区取り入れていく方法については、三十三年度はともかくとして、今後この問題の調整についてばぜひ解決していかなければならぬ問題であるが、どういう解決法が一番いいかということを各般から今検討いたしておるような次第でございます。その点に関しましては、すでに自治庁長官の方にも、私ども考え方と自治庁考え方をどう調節するか、自治庁肉身においても一ぺん思いをひそめて考えてもらいたいということを申し入れておるような次第でございまして、いずれにしても今後の重要な問題の一つとして考えていかなければならぬと思っておるような状態でございます。
  17. 滝井義高

    滝井委員 地方における行政が当然住民に及ぶ場合には、特に福祉行政というものが財政の豊かなところは非常に豊富な福祉行政が行われ、貧弱なところでは非常に劣悪な福祉行政であるという、同じ国民に単なる行政区域が違う、住居が違うからといってアンバランスであってはならぬと思う。やはり一国を形成しておる運命共同体であるならば、当然少くとも貧しい階層に対する施策というものは全国アンバランスのない、平均的なものが与えられなければならぬと思う。ところがさいぜんの御説明にもありました通り充足率が惑いというようなことになり、またそれから監査して欠陥があるということになると、実際はそんなことをしたくなくても、まあ冗談にでも生活保護費をちょっとしばれと言わなければならぬことになる。実際はそうじゃないでしょうけれども、そう言わざるを得ぬことになる。ところがしぼられる大衆は何の責任もないのですよ。たまたまその住んでおる自治体が財政的に貧弱であったがゆえにそういうお言葉をいただかなければならぬ、こういう結果が出てくる。これは安田さんが悪いわけじゃない、それはよくわかる。一体それはどこに原因があるかというと、結局豊かなところでもその自治体の長がそんなものに熱意を持たないという気持があれば金を出さぬわけです。そしてもっと選挙に有利なところに金を出そう、道路をやろう、橋をかけよう、こうなる。ところが補助金の形が負担金の形で、自治体が二分の一つけなければならぬということになっていれば、有無を言わさずそれはとれるわけです。それはある程度地方自治体自主性はそれによって阻害されるかもしれません。しかし私はその程度自主性の阻害は、住民の福祉という点から考えたら、むしろ住民の福祉が向上するという比重の方を重く見ていいのじゃないかと思う。そういう点で私今大臣にぜひやってくれという言質をもらおうとは言いません。滝井さんに約束ばかりさせられるからと言われますから、そういうことはいたしません。大臣の良識にきょうは期待をしておくわけです。ぜひそういう根本的な欠陥というものが現実福祉行政の伸展の上にあるということだけを一つ御記憶になっていただきたいと思います。そしてできればそういう努力をしていただきたいと思います。  次は、私は行政機構も大事だけれども人間だという感じを持っておる。やはり人間がまじめな行政を推進するという形が充足されればそこの行政はうまくいくんだという感じを持っておる。そうしますと、福祉行政を推進する上において、地方に社会福祉協議会というものがあります。これはその地域社会が社会福祉の向上という共同の目的のもとに篤志家とか、社会教育家とか宗教家、PTAとか青年団とかいろいろの団体の有志が集まってできたのが社会福祉協議会だと思うのです。いわば地域の社会福祉を向上させるために組織化されたものだと思いますが、一体この社会福祉協議会の目的を達成するための事務機構というものはどういうことになっているのか、簡単に説明してくれませんか。
  18. 安田巖

    安田(巖)政府委員 社会福祉協議会は、今お話のように、民間のそういうことに対する関係者だとか、志を持っております者が集まって行うところの自主的な一つ組織運動でございますが、その本来の性質の通りに事務的な組織をどうしなければならぬという規定は全然ないのであります。大ざっぱに申しますと、法律に書いてありますのは府県の社会福祉協議会だけで、市町村の社会福祉協議会については触れてないわけです。そうして府県の社会福祉協議会につきましては相当の人員を置いてやっておりますけれども、末端に参りますと、いろいろ財源等の関係で、ほんとうにヴォランティアが集まるということで、月給をもらって専門的に事務をやるという人は大体ないのが普通じゃないか。ただ町村単位でございますので、町村の役場の方がそれをいろいろ援助している場合が相当あるというような状態であります。
  19. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、大体事務的な機構はわかりましたが、この会を運営していく財政の基盤というものは、よくなくなった方がいらっしゃると、あとで香典返しみたいなのがありまして、それは何々社会福祉協議会にこれこれの金を寄付しておきましたという通知が来る。ああいうものも財政の基盤になっていると思うのですが、一体主たる財政基盤というものは何に置い、おりますか。
  20. 安田巖

    安田(巖)政府委員 自主的な組織にいたしましても、お金の方がなければ活動できないのでございますから、その点はやはり社会福祉協議会の組織の上に非常に大きな問題だと思いますさ現実においてもこの点が一番難点だと思っているのであります。普通理想的にいうならば、自分たちが集まって自分の村をよくしよう、自分のところの近隣の人たちの社会福祉をはかっていきたいということでございますから、会費制度によるのが一番いいわけでございますが、これを出しているところもありましょうけれども、あまり効果が上っていないというのが実情でないかと思っております。そういたしますと、あるいは町村から一種の委託費を出して、それが財源になっている。それから一般の今のお話のような寄付金がありました場合に、それに基いてやる。それから共同募金を自分のところで集めますけれども、その中でただ福祉協議会の活動費として出すのでなくて、こういうことをこういうやり方で行いたいというふうな具体的な計画があります場合には、共同募金の中からそちらの方に若干流しているとか、今申しましたようなものを全部集めて一つの財源になっているのが実情であろうと思います。
  21. 滝井義高

    滝井委員 財政基盤は会費制度、委託費、寄付金、共同募金の金、こういう四つくらいのものが出てきましたが、きわめて不安定な財源規模で、恒常的に、確実に入る金とはちょっと言えないことになるわけであります。従って事業活動というようなものも、大体質問せぬでもわかるような感じがするのです。問題はこの世帯更正資金の貸付、いわゆる世帯更生運動、それから低額所得層に対する医療費の貸付、こういうものの貸付機関は都道府県の社会福祉協議会、第一線の機関は市町村の社会福祉協議会なんです。これは少くとも福祉行政の中では、世帯更生の運動にしても、低額所得層に対する対策にしても、相当重要なポイントになる問題だと思うのです。ところが、それが第一線の市町村の協議会が事務機構もなければ財政基盤も確立していない。そういうものが一体順調にやれるのかやれないのかという問題になる。この点どうお考えになっていらっしゃるのか。全国社会福祉協議会、都道府県社会福祉協議会、市町村社会福祉協議会、一連の系統的なものは一応あります。しかしこれは府県にしても、全国にしても、財政的に見れば五十歩百歩だと思うのです。そうすると、この機関に公私の社会福祉事業関係者が寄り集まって、その地域の社会福祉活動を総合的に調整するという機能を持っているわけですが、その掲げているスローガンはいいのだが、実体は今のような財政基盤と機構でいけるのかどうかということです。それならば福祉事務所に事務その他をやってもらわなければならぬ。市町村の役場がやるということは福祉事務所がやるということと同じ結果が出るのじゃないか。町村なら生活保護をやる人が一緒に扱うことになる。そうすると、福祉事務所と大して形が変りがないことになる。名前は自主的な地域社会の組織になっておるが、実際は福祉事務所行政と同じだ、こういう関係が出てくる感じがするのです。やはりここでこの際福祉行政を推進していこうとする民間の自主的なものに活を入れるならば、この社会福祉協議会というものに何らかの動けるような財政基盤と機構とを与える必要があるのではないかと思うのです。これはもちろん自主的な組織なんですから、官庁が上から与えるものではないと思う。しかし今日本の社会を見るときに、そういうものが会費制度で自主的に起るような経済基盤が日本経済の中にあるかということなんです。私は悲しいかなそういうものはなかなか伸びる余地がないような感じがするのです。だとするならば、この社会福祉協議会が福祉行政の自主的な補完的な役割を演じようとするなら、何かそこに官庁としてもいい知恵をしぼってみる必要があるのじゃないかという感じがするのです。この点何かあなた方が、こういう方向に社会福祉協議会というものをやってみたらというような御意見でもあればお教えを願いたいと思います。
  22. 安田巖

    安田(巖)政府委員 こういった自主的な組織運動というものはいつも財源が問題になってくるわけでありまして、これは福祉行政だけじゃないと思うのであります。それだからといって財源を政府から与えるとか、あるいは県から補助するということであれば、これは角をためて牛を殺すようなことになるわけでありまして、現実にもたとえば今の防犯協会だとかあるいは町内会というような形でどんどんと会費でも取っていけば、これはもっと簡単にそういった財源措置ができるかもしれない。しかし今考えておりますところの地域組織運動というものは、社会福祉においては少くともそういうことになりたくないということなんでございます。そこでこれはむずかしいことではありますけれども、しかし絶望しないで今後そういうことについて、じみではございますけれども少しずつでも前進していきたいというのが私どもの願いなのでございまして、現実にも、今お話になりましたけれども、全部が全部うまくいってないというわけじゃない、いいのもあるわけなのであります。そこで、今世帯更生資金の例をお上げになりましたけれども、うまくいってないところでも、少くとも民生委員活動というものが社会福祉協議会の中核をなしておるわけであります。そして民生委員の協議会というのがございます。昔常会といっておったのでありますけれども、その民生委員協議会の中に民生委員部会というものがあるわけであります。同時にまた民生委員個々の人もそのままの資格で会員になっている人もある。その民生委員部会は少くとも活動しておるわけであります。それでその費用なんかは、場合によれば民生委員が自分たちのもらった実費、手当のようなものも集めて、それを自分のふところに入れないで出して、そして仕事をしておるというのが実情であります。今の世帯更生資金にいたしましても、これは御承知のように国から三分の二が参りまして、県で三分の一を足して資金にするわけでありまして、それを大体府県の中の市町村単位の協議会に割当をするわけであります。そうしてそれを貸し付けていくという仕事を民生委員が主としてやっておるということでありますから、事務組織として何か月給をもらっている制度というものではありませんけれども、比較的間違いがなくうまくいっているのじゃなかろうか、こういうふうに思われるわけであります。ただ事務費は今利子が三分でございますけれども、そのうち二分を事務費に使ってあとの一分を償還の補償のための積立金にするという措置をとっておるわけであります。なおまた今回も民生委員一人について大体五百円ぐらいの経費を見込んだわけであります。そういったようなにとで十分とは申しませんけれども、しかしもともとこの運動は民間から自主的に自発的にできた運動でございますので、そういったような線で伸ばしていくべきじゃないかというふうに考えております。
  23. 滝井義高

    滝井委員 私がお尋ねしたい点を先に言ってくれたのですが、実は私は民生委員協議会との関係を聞きたかったわけであります。別に民生委員協議会というものがれっきとしてあるわけなんです。そして実質的には社会福祉協議会というものはいろいろな人が入っておりますが、その中核になっているのは民生委員です。そして別に民生委員協議会というものがある。私は部会があるのは知りませんでしたが、その社会福祉協議会の中には民生委員部会というものがあるそうであります。民生委員協議会が出ましたが、実は青少年不良化防止という問題を一つ取り上げた。そうしますとまずこの問題をやはり一番先に取り上げてやろうというところはどこかというと、警察の中にある防犯協会です。これは一つの警察の後援団体的な役割もやるが、市町村の自治体警察のときは、防犯協会の警察官の柔道着や何かの金ば県からなかなか出にくいから、やっておったにとも記憶しておる。そういうときには、やはりその地域の住民から警察官の柔道着の寄付金を集めるわけにはいかないから、青少年の不良化防止というような運動を同時に取り上げて、地域から代表が出て防犯協会を作ってやるわけだ。それから社会福祉協議会の方も防犯運動をやっておる。いま一つどういうものがやっておるかという、今度は社会教育団体、公民館活動でやるわけだが、それらのものの間に有機的な連係がない。同じ防犯運動をやっているけれども、人は同じだ。調べてみると、公民館で一生懸命にやっている人も、社会福祉協議会で一生懸命やっている人も、防犯協会でやっている人も同じだ。民生委員で熱心な人は、防犯協会の役員になってもらっておるし、公民館の世話役にもなってもらっておる。そうすると何ということはない。三つの会合が同時に開かれて一人の人が引っぱりだこだ。こういう実態があるわけだ。従って社会福祉協議会が、今あなたの御説明がありました通り、民生委員の協議会の中核のような形になっておるということになりますと、その社会福祉協議会の地域活動における有機的な連係と申しますか、公民館活動なり、民生委員の活動なり、防犯協会なり、社会福祉協議会なり、少つくとも目的を同じくするこれらのものの連絡調整をとった活動を起さなければならぬのに、それがない。福祉事務所福祉事務所の道を歩いており、社会教育団体はその教育団体の道を歩いておって、この間の連係がないところに、会議のみ多くして実踐ができないという一つの問題がある。従って今言ったようなものの調整が行われて、共同の目的について共同に金を出し合ってやることになると、少い経費で能率が上って実績が上ってくることになるわけです。こういう点を十分行政上の指導の問題として考えてもらう必要があるのではないか。そうしないと事務機構もなければ財政茶盤もないものが、あっちの会議、こっちの会議に引っぱり出されて、民生委員がもらった自分の手当を出してまで運動しなければならぬのは、よほどの篤志家か何かでなければ、貧しい日本ではなかなかできぬということになる。そういうことになると、大会のときははなばなしく花火を打ち上げられるけれども、それだけのことで、帰ったときにはもとのもくあみになったということでは困るので、そういう点ぜひ一つ何か今までにやられたことがあれば、こういうことをやったことがあるということをお教え願いたい。
  24. 安田巖

    安田(巖)政府委員 これも福祉協議会の活動の上に大へん大事な点であります。しかし今おあげになりましたような例は、私否定はいたしませんけれども、悪い方の例で全部が全部そうだというわけでもないのであります。福祉協議会というものは、今おあげになりましたような公民館の活動、警察の後援団体で行いますところの青少年の不良化防止というような問題を取り上げなければならぬ。しかし福祉協議会は協議体であって実行体でないから、今申されましたような機関なり団体は、当然社会福祉協議会のメンバーであります。福祉事務所も当然入っております。そこでそういう人たちが集まって協議をいたしまして、実際にやるのが防犯協会であっても公民館でもかまわない、それはそれぞれの専門の機関にやらせる方がいいのでありまして、自分が金を出して全部引き受けるという趣旨ではないわけです。ただ民生委員の場合は、民生委員自体を見ますと、それは一つの実行組織である、社会福祉におけるところの協力機関であります。自分で仕事をするわけであります。しかし民生委員を協議会に入れました理由は、民生委員が自分たちだけで働いて、自分たちだけで物事をよくしていこうというふうな考えでありますと、今の日本の社会福祉事業というものはうまくいかない。ですから、それを社会福祉協議会の中に入れて、そして他の社会施設をうまく利用し、連係するような趣旨で入れたわけであります。昔の民生委員というものは、大体個人の人格なり能力なり社会的な地位というもので活動したわけであります。けっこうそれで効果をあげたわけです。青少年の不良化の問題を取り上げましても、これはその人がうまく指導し、家庭を救ってやり、同時にまた就職口まで見つけてやるというようなことも、一人の人がやった。あるいは低所得階層の援護問題でも、一人の民生委員の個人の力でできたわけであります。これは今後はそうしたことが非常にむずかしくなりましたということもありまして、これは社会福祉協議会の中に入り、そうして就職のあっせんならば自分の地位やいろいろな社会的なつながりでもって就職あっせんをすることもけっこうでありますけれども、同時にいろいろな他の福祉機関の中にその人たちを入れてやるとか、あるいは公的な職業あっせんの機関を利用してやるとかいうことのために、民生委員を入れたというわけであります。現実は今私が言ったようにいっていないところもあるかと思いますけれども、ねらいはそういうところにあるわけでありますから、いつもそういう指導をしておりますが、確かに今おっしゃったように、財政的な基盤が貧弱であるということは、何と申しましても一つの大きな欠陥であります。
  25. 滝井義高

    滝井委員 財政基盤が確立していないためにいたずらに会議が多くて、しかも同じ人がそのいろいろな部面に引っぱり出されていく、こういう欠陥がある。だから従って市町村のそれらの目的を同じくする団体というものは、やはりときどき連絡調整の会議を設けてやっていくことが必要だと思う。そういう役割をやはり音頭をとってやれるところは、総合調整という役割を演ずる社会福祉協議会あたりが一番いいのじゃないかという感じはしておるわけです。まあこれは民間団体の運営の問題でありますので、あまり官庁がくちばしをいれることも自主性を阻害することになりますけれども、何せ福祉事務所、そして号の協力機関である民生委員というものが中核である限りにおいては、そこらあたりが、それらの運営の問題について気を使っておかないと、うまくいかないのじゃないかという感じがするのです。  次は社会福祉事業振興会の問題ですが、これは今年出資金一億ですから、多分全部で四億三千万円になったわけです。二十九年に三千万と三十、三十一、三十二、三十三とずっと一億ずつですから、四億五千万になったわけですが、これは主として比較的小規模で急を要するようなものに金が出ておるようにあるのですね。日本の社会福祉施設というものは、非常に不足しておるし、しかも施設的に見ても老朽陳腐化の傾向があるわけなんです。しかも対象者というものはだんだん激増をしていく客観情勢があるわけです。一体今この社会福祉事業振興会の特殊法人が行う助成の経費というものはどういう方面に主として多く出ていっておるのか、少し具体的に御説明してくれませんか。
  26. 安田巖

    安田(巖)政府委員 この三十三年度の予算を入れますと、お話のように、四億三千万円になるわけでありますけれども、今までの貸付は昭和二十九年度が五十四件で二千九百九十八万円、三十年度が百三十六件で一億一千三十六万円、三十一年度が百三十七件で一億三千二百六十一万円、三十二年度の実績が、まだちょっと手元にございませんが、そういうわけで、大体の割合を申しますと、やはり児童福祉施設が一番大きいわけでありまして、あとは養老院であるとかその他の生活保護施設というものであります。その中に特異なもので、社会福祉事業になっておる医療機関に貸し付けたものも若干の件数があると思っております。
  27. 滝井義高

    滝井委員 これは主として民間の社会福祉事業に全部いっておるわけですね。どの程度のお金を一件当り平均して融通をせられておるものでしょうか。
  28. 安田巖

    安田(巖)政府委員 短期の貸付等におきましては百万円以下のものもありますけれども、大体百万円以上五百万円くらいまでの貸付が一番数が多いと思います。
  29. 滝井義高

    滝井委員 この貸付の規模によって大体民間の社会福祉事業の規模がきまってくるわけです。日本の社会福祉事業というのは、特に公的社会福祉事業というのは社会福祉三法によって行われていくわけなんでしょうが、民間のものは非常にバラエティに富んでおるわけです。そうすると、百万から五百万程度の規模で民間の社会福祉事業を行われるということにも一考を要するところがあるのじゃないか、もう少し民間は大きくてもいいのじゃないかと私は思うのです。これは篤志家の寄付その他も必要かと思います。そうすると、この社会福祉事業振興会のお金のワクがたとえば一千万円程度になるということになると、それだけに民間の社会福祉事業の規模が大きくなる。規模が大きくなるということは何かそこにゆとりができて、経営する方も心理的に温和になってくるし、入る人もやはり気持よく迎えられる、こういう形が出てくるのじゃないかと私は思う。そうすると、百万から五百万程度になると、やはり自分の福祉行政をうまくやろうということになると、セレクションするわけです、対象を選んでそうあまり成績の悪いのじゃ工合が悪い、こういうことになって、どこの民間の福祉事業からもつまはじきをされるようなものが出てこないとも限らない。そういう点でこの社会福祉事業振興会の資金の融通その他必要な助成というものは、今の民間の施設の老朽の状態や施設不足の状態から見て、もう少し拡大をする必要があるのじゃないか。これはちょっと表面的に見ると何か消費的な捨て金のような感じがいたしますけれども、これはやはり落ちぶれた国民に再び勇気と新しい気持で立ち上りを与える一つの大きな母体をなすと思う。だからそういう点でこれはまた大臣から約束をとるわけではございませんが、こういう社会福祉事業振興会の出資金なんというのはすみっこに置かれておって、だれもあまり質問しないのですよ。だからどんなことに使われておるのか、どういうことになっておるのか、おそらく大臣もお知りにならぬと思う。こういう片すみのものこそ取り上げて、われわれは振興という名前がついておるそのことをやらなければならぬと思う。ところがこういうものはえてしてすみっこに置かれて、法案が何年か前に通ったらそれきりです。だれも質問もしないし、片すみに置かれて、どういうことが行われておるかということはだれも関心を持たない。ところが日本の民間の社会福祉事業の規模をこれで決定しますよ。そうすると、一億円という金しか毎年出していないということが結局民間の社会福祉事業の規模を決定しておる。四百三十六億というたな上げ資金を一方において、ジェトロとか労働協会とかいうものには莫大な何千億という金を一ぺんに持っていくけれどもほんとうに大衆にあたたかい気持で政治の心を移してやろうという振興会には一億の金しか出ていかぬということです。そしてしかも四年間かかってわずかに四億三千万円しか出なかった。外国人がなんじの国の社会福祉事業の現状を見せよといったら、おそらくこれだけ見せたらわかりますわ。だからそういう点でもう少し考えなければいかぬと思うのです。近代的な福祉国家においては国が国民のめんどうを見ることもそれは当然だと思います。しかしやはり自主的に民間からわれわれの同胞を救おうという運動が起っても私はいいと思うのです。その呼び水として政府がそこに幾分の金を融通をしておくということも必要だと思うのです。こういう点でここ四年来、二十九年の三千万円が三十年に一億になった、その後ずっと四年間一億ずつなんですね。これでは福祉行政というものは昭和三十年の大臣から三十三年度の堀木厚生大臣まで一歩も前進していないということなんです。これは数字が示している。堀木さん解散があったらやめるかどうか知りませんが、置きみやげにこの際こういうことは事務当局に十分いって、もう少し前進させる必要があると思う。私はきょうは約束はとりませんが、やっぱりそういう考え方は持っておく必要があると思う。この点、大臣はどうお考えになるか。
  30. 堀木鎌三

    堀木国務大臣 滝井さんお承知かどうか知りませんが、私、民間にいたときにやはり福祉事業をやっておりました。自分のやっております社会福祉事業は割合に財政的な基礎が強うございましたが、他の民間の社会福祉法人のやっておる社会福祉事業が、率直にいえば今おっしゃったように、本人は非常に熱心にやっておる、しかし国家は顧みてくれないという気持が非常に強いことを痛感いたしておりました。おっしゃる通り、一方においては国家責任というものを回避するわけではございませんが、他方においてこういう事業の性質上、民間の篤志家がほんとうにみずから人類同胞のために見ていられないという気持から立って社会福祉事業をやっておる人に対してもう少し国家が考えるべきであるという点につきましては、私全く御同感でございます。そして率直にいえばこれらの事業ば、やはり国の事業とそういう民間の篤志の事業の活発な自主的な活動と相伴って完璧を期し得るのだというふうに考えておりますので、今後この点については十分努めて参りたいと考えておるような次第でございます。むろんこの振興会自身に国家財政から出ますものは少うございますが、私どもとしてはあらゆる他の資金源を動員してこれらの面に援助の手を差し伸べたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  31. 滝井義高

    滝井委員 ぜひそうしてもらいたいと思うのです。これは長谷川さんであったか言っておったかと思うのですが、社会福祉事業には銀行はなかなか金を貸さない。差し押えもなかなかできませんしね。そして多くの施設はいろいろの不幸な人を収容しているので利潤が上るわけでもないし、金を貸さないということになると、個人の浄財というものはすぐ限界がくる。やはり個人が自分の浄財を出してでもやろうという意欲を起させるためには国が幾分の呼び水をしなければならぬ。それが年間一億程度では民間社会福祉事業の規模というものはそれで決定せられてしまう。こういう関係があって国家にばかり依存する形が出てくるわけなんです。やはり民間福祉事業を振興せしめようとするならば、どうしてもある程度呼び水としての融資面を拡大する必要があると思う。これは貸しておっても金は返ってくるわけなんでしょうから、やりきりにはならぬわけです。ぜひ一つこれは考えていただきたいと思う。  だんだん時間がきましたから、最後にもう少し大事なところだけ尋ねます。低額所得層対策なんでありますが、昭和二十三年度の不況というものはわれわれは昭和二十九年の不況ほど深刻だとは考えておりません。しかし最近の失業保険の状態を見ると、やはり相当注目しなければならぬ状態が出てきました。二十九年の不況のときにおいては月に四十九万九千人の失業保険をもらう人が出てきておりました。三十二年は三十二年よりか七万程度多いだろうということで月三十七万三千人くらいの予算が計上されておると思うのです。ところが昭和三十三年の一月になってみますと、失業保険を受けた人が十四万九千人になってきた。昭和二十九年の最高は十二万九千人なんです。もちろん日本の労働人口というものは昭和二十九年に比べたらふえてきておるということもありますが、とにかく失業保険の受給者というものが二十九年の最高よりか本年の一月はふえた。約二万程度ふえているということ。それから失業対策事業を見ても、労働省は当初不況が相当深刻化するだろう、操業短縮、滞貨、そして卸売物価がだんだん下り、こういう状態になって操業短縮のために相当の失業というものが出てくるだろうということで、多分労働省は月三十万くらいの失業対策事業を要求したと思うのですが、それが二十五万に削減をされております。それからいま一つはこの中小企業に対する政府の金融措置を見ますと、今年度の措置というものは、大体相当金が返ってくるだろう、返ってきたものを今度は運転資金に回して再び貸し付けるという、こういう状態考えた。ところがだんだん不況が深化してそのしわというものが中小企業に及んできたために、必ずしも回収がうまくいきつつない。こういう大あらましの問題を考えてみますと、当然これは安田さんの所管生活保護対象についてもこれは幾分おくれます。失業保険や失業対策事業よりか幾分おくれます。私は数字を持っていますが時間がないし、皆さんよく御存じだから出しませんが、おそらく二十九年度よりか、私は生活保護対象者としてあなた方が予算に上げるのは百五十万台で、減ってきておるわけなんです。減ってきておるけれども、これは財政的にも支出は、人数も相当ふえてくるだろうと思う。ただしそれは時期的に見るとずれてくる。失業保険や失業対策事業よりは六カ月か一年はずれてくるだろうと思うのです。そういう深刻な客観情勢があるときに、一体低所得階層の対策というものをどうしていくかというにとなんです。これをもう貧乏に陥れてしまって救貧では間に合わぬと思うのです。やはりとどめるならば、少くとも失業保険か失業対策の段階で防食政策をもってとどめなければならないと思うのです。これが政治の要諦であり、親切であるところだと思うのですが、その役割をある面は社会福祉事業にこれは負わせるところがあると思う。世帯更生資金とか、医療の貸付金というものがあると思うのです。しかしそれだけではこれはもはや足らぬと思うのです。一体厚生省は具体的にこの問題を、不況がこういう深刻化の状態にあるときに、どういう工合に厚生行政をそれに持っていこうとするのか。これは予算をお組みになったときとは情勢が最近はだいぶ違ってきたわけですね。これはさいぜんも申し上げました通り、この不況というものは政府は四月か五月くらいにはよくなるだろうくらいに思っておったのだけれども、今の状態ではそういう情勢ではないと思うのです。そうすると深刻化の情勢が出てくるが、単に病気になった者に金を貸すということだけで足るのか足らないのかということなんです。その点何か厚生行政がこういう客観情勢の変化につれて何かやることをお考えになっているのかどうか。
  32. 安田巖

    安田(巖)政府委員 今この不況の見通しなんでございますけれども、滝弁委員の先ほどのお話に、二十九年のときのデフレほど今度は深刻じゃないだろうというお話が再々ありましたが、私どもも大体そういうような見通しでおるわけでございます。それはこの前の生活保護の予算を組むときの数字なんでございますけれども、この前の二十九年のデラレの影響が三十年度に現われましたときが大体生活保護の扶助人員で五・二%増、こう見込んだわけでございます。これは実績でございます。ところが今回はそれを半分の二・六%に見込んだのであります。それから人口増は一%でございますから、結局三・二%になったのであります。そうしてそのときの基準をどこに置いたかと申しますと、三十二年度の四月から九月までの生活扶助の人員の平均を出しますと、百四十四万九千人で三・二%の増ということで、先ほど御指摘の百五十万人ばかりの保護人員を見たわけでございます。ところがこの前の五・二%の出て参りました二十九年のときの数字というものは、二十九年の十一月の実績を分母にいたしまして、三十年度の実績を分子にいたしますと、五・二%ふえたというにとになります。それと同じゃり方で今回やりますと、三十二年の四月から九月までの平均は百四十四万九千人でありますけれども、十月は百四十二方人に下った。十一月には百四十万六千人になった。百四十万六千人を二十九年のデフレのときと同じように分母にしてやりますと、今度の予算では、実は約六・七、八%の増員になっているわけであります。そこでいろいろな見方があると思いますけれども生活保護の場合は、これはほんとうに見通しだけのものでございますから、今申しました数字から申しますと、大体これでまかなえるのじゃないか。どうしてもいけない場合は補正もやりますし、あるいは予備費からでも出さなければならぬ、まあこういう考え方に立っております。  それから低所得階層の対策でございますが、これは私どもの方でやります場合には、社会福祉の中でやります仕事ですから、これはほんとうに微々たる仕事でございまして、今お話にありました世帯更生資金であるとか、医療の貸付政策であるとか、あるいは公益質屋の関係であるとか、協同組合であるとか、それから同和対策であるとか、売春対策であるとかいうふうなものでありますが、これはやはり社会福祉の面だけの対策でなくて、こういった低所得階層の一番大切なことは、政府としての全体の対策だと思うのでありまして、それはやはり労働あるいはは経済といったような対策においてそういうものが出てくる。失対事業であるとか、失業保険であるとか、あるいはまた厚生省の行政で申しますと、国民健康保険が充実される、あるいは日雇健保の改正によりまして内容が充実されることによって、病気になった場合の生活保障がされていく、こういった非常に多角的なことでやっていく以外に方法がない。社会福祉だけでといいますと、結局は従来通りのにとでございますから、これはなかなか全部をカバーしていくということはむずかしいんじゃないか、こういうふうに思っております。
  33. 滝井義高

    滝井委員 これで終りますが、広義の社会福祉関係で、われわれが厚生行政の中で見ておりまして、たとえば生活協同組合の運動は初めは非常に推進されておったんです。最近はこれがぴたっととまったんです。ところが、たとえばことしの予算をごらんになっても九百万円ですか、一千万円だったのが百万円削られておる。日本の農村における協同化、中小企業における協同化と、至るところで協同化ということが唱えられておりますが、低所得階層、消費者大衆、こういうものの生活協同組合化というものが、最近厚生行政では推進する傾向がなくなったんですね。こういう点も、もちろんこれは中小企業との関係も相当あります。しかしそれはお互いが分野をはっきり確立しておけば、その問題も割合少くなってくるだろうと思うんですよ。やはりそこらあたりの厚生行政が、何か福祉行政までで、一歩積極的な面が欠けておるんです。やはり防貧政策というからには、積極性がなくちゃならぬ。救貧ならば消極的でもいいかもしれぬけれども防貧というからには何か積極性が出てこなければいけないと思うんです。福祉行政の裏づけをするものとして公益質屋とか、今言ったような生活協同組合の運動とか、世帯更生資金とかが出てくると思う。世帯を更生するということは世帯の支出が合理化されなければならぬ。世帯の女出を合理化するためには弱い者が寄り集まるよりはかはない。毛利元就の昔からわれわれが小学校で習っておる三本の矢を寄せれは強くなるにきまっておる。弱い者が寄り集まって安く物を買う以外にはない。安く物を買うというためにはやはり協同化をさせなければできないのです。協同化した者が自分で店を持って売ったり買ったりするということになると、今度は中小企業との関連の問題が出てくるが、そこらあたりは行政の指導である程度調整ができると思う。それに一千万になんなんとするボーダー・ライン層がおるときに、国民の中で九人に一人という、今すぐにも生活保護に陥ろうか陥るまいかのボーダ・ライン層がおるわけですから、それらの諸君に何か積極的な施策を講ずるということがなくてはならぬ。ところがさいぜんの振興会と同じです。最近は生活協同組合の予算というものはすみっこにやられて、消費生活協同組合貸付金は九百万円ですよ。ボーダー・ライン層が一千万もおる、二百四十五万世帯だったか、一千百十三万と多分それに書いてあったと思う。演説をときどきするから覚えているんですが、それらの人に協同化をやって貸し付ける金が九百万円だというのはあまりにも情ないんですよ。もう少し考えなければいかぬと思う。そうして積極行政をやれば消極的な生活保護なんかに予算は要らなくなる。そしてそれだけ大衆が希望を持てるということです。生活保護の金をうんともらっても希望は持てませんよ。みずから得た金の中からそれを合理的に使っていく、家計を合理化するということが何としても——これは自民党内閣の唱える経済基盤の強化であり、資本の蓄積にも役立つんです。どうもはなばなしく皆保険とか、結核対策とか、大きく花火を打ち揚げられるけれども、これはから花火が多いのです。血の塩となるところの行政というものが見落されているんです。だから厚生行政というものは血の塩となる行政をやってもらいたい。こういう社会福祉事業法の一部を改正する法律は、早く上げるばかりが能じゃないと思う。この法律ほんとうに血となり肉となって国民生活の中に躍動する形ができたとき、初めて私はりっぱな厚生行政ができていくと思う。だからそういう点で今の生活協同組合というものはもう少し検討してもらわなければいかぬ。おそらく社会局等では生活協同組合というものはあまり検討したことはないだろうと思う。九百万円くらいだから、まあ出しておけば大蔵省が勝手につけてくれるだろうというくらいのところだと思う。熱意がないのです。ですからそういう点に熱意があるならばあるような形を示していただきたいということなんです。これの御答弁をいただいて、そうして一つ社会福祉事業を血の通うものにしていただきたいのです。
  34. 堀木鎌三

    堀木国務大臣 私は滝井委員の言われることは全く御同感でございます。私ども率直に申しますと、厚生行政全般を通じまして、終戦後の厚生行政考えられることは、国の責任だというふうな考え方から国がやるので、大臣の責任の地位に立ったのはいいのでありますが、しかし財政上の制約が多い。しかも社会事業は民間の自主的な活動というものを援助していって、それが活発に動いていくという姿が必要であ。ることに防食の点から今生活協同組合や公益質屋やその他の問題をお取り上げになりましたけれども、私どもも、この点はむしろある意味においては、あまり国の責任だということを言っていてしかも十分民間の期待に沿わない、民間の人が自主的にそういう活動を大いにやりたいというときに、それに対して国家が援助しないというふうな状況ではだめだ。さらに協同組合にしても、今おあげになった各種の従来ありました協同組合活動、あるいは公益質屋活動、国民生活から見て欠くべからざるものはたくさんあるわけであります。それらに対して予算が少いからお前は熱意がない、こうおっしゃいますが、私はこの点はむしろわれわれ自身の反省すべき重要な一つの点であると思いますので、今後はこの問題について十分やって参りたい。今度御審議願っております社会福祉事業法改正にいたしましても、あるいは過般御審議を願いました身体障害者の問題につきましても、その他の問題につきましても、民間の活動を今後十分積極的に国の施策と相照応いたして参るように努力いたして参りたいと思います。確かに今の点は、私はまだ非常に行き届かない面が多い一つの大きな部面である、こういうふうに考えております。
  35. 滝井義高

    滝井委員 どうか一つ福祉行政が救貧政策に陥ることなく、同時に防貧的な役割をも演ずる方向に持っていっていただくとともに、他の積極的な防貧政策をも福祉行政にあわせて一つ行なっていただくことを要望して私の質問を終ります。
  36. 植村武一

    ○植村委員長代理 ほかに本案に対する御質疑はございませんか。——なければ本案についての質疑は終了したものと認めます。  次に討論に入るのでありますが、別に通告もないようでありますから直ちに採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  37. 植村武一

    ○植村委員長代理 起立総員。よって本案は原策の通り可決すべきものと決しました。  なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  38. 植村武一

    ○植村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこれをもって散会いたします。     午後零時四分散会