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滝井委員 ぜひそうしてもらいたいと思うのです。これは長谷川さんであったか言っておったかと思うのですが、社会
福祉事業には銀行はなかなか金を貸さない。差し押えもなかなかできませんしね。そして多くの施設はいろいろの不幸な人を収容しているので利潤が上るわけでもないし、金を貸さないということになると、個人の浄財というものはすぐ限界がくる。やはり個人が自分の浄財を出してでもやろうという意欲を起させるためには国が幾分の呼び水をしなければならぬ。それが年間一億
程度では民間社会
福祉事業の規模というものはそれで決定せられてしまう。こういう
関係があって国家にばかり依存する形が出てくるわけなんです。やはり民間
福祉事業を振興せしめようとするならば、どうしてもある
程度呼び水としての融資面を拡大する必要があると思う。これは貸しておっても金は返ってくるわけなんでしょうから、やりきりにはならぬわけです。ぜひ
一つこれは
考えていただきたいと思う。
だんだん時間がきましたから、最後にもう少し大事なところだけ尋ねます。低額所得層対策なんでありますが、昭和二十三年度の
不況というものはわれわれは昭和二十九年の
不況ほど深刻だとは
考えておりません。しかし最近の失業保険の
状態を見ると、やはり相当注目しなければならぬ
状態が出てきました。二十九年の
不況のときにおいては月に四十九万九千人の失業保険をもらう人が出てきておりました。三十二年は三十二年よりか七万
程度多いだろうということで月三十七万三千人くらいの予算が計上されておると思うのです。ところが昭和三十三年の一月になってみますと、失業保険を受けた人が十四万九千人になってきた。昭和二十九年の最高は十二万九千人なんです。もちろん
日本の労働
人口というものは昭和二十九年に比べたらふえてきておるということもありますが、とにかく失業保険の受給者というものが二十九年の最高よりか本年の一月はふえた。約二万
程度ふえているということ。それから失業対策事業を見ても、労働省は当初
不況が相当深刻化するだろう、操業短縮、滞貨、そして卸売物価がだんだん下り、こういう
状態になって操業短縮のために相当の失業というものが出てくるだろうということで、多分労働省は月三十万くらいの失業対策事業を要求したと思うのですが、それが二十五万に削減をされております。それからいま
一つはこの中小企業に対する
政府の金融
措置を見ますと、今年度の
措置というものは、大体相当金が返ってくるだろう、返ってきたものを今度は運転資金に回して再び貸し付けるという、こういう
状態を
考えた。ところがだんだん
不況が深化してそのしわというものが中小企業に及んできたために、必ずしも回収がうまくいきつつない。こういう大あらましの問題を
考えてみますと、当然これは
安田さんの
所管の
生活保護の
対象についてもこれは幾分おくれます。失業保険や失業対策事業よりか幾分おくれます。私は
数字を持っていますが時間がないし、皆さんよく
御存じだから出しませんが、おそらく二十九年度よりか、私は
生活保護の
対象者としてあなた方が予算に上げるのは百五十万台で、減ってきておるわけなんです。減ってきておるけれ
ども、これは
財政的にも支出は、人数も相当ふえてくるだろうと思う。ただしそれは時期的に見るとずれてくる。失業保険や失業対策事業よりは六カ月か一年はずれてくるだろうと思うのです。そういう深刻な
客観情勢があるときに、一体低所得階層の対策というものをどうしていくかというにとなんです。これをもう貧乏に陥れてしまって救貧では間に合わぬと思うのです。やはりとどめるならば、少くとも失業保険か失業対策の段階で防食政策をもってとどめなければならないと思うのです。これが政治の要諦であり、親切であるところだと思うのですが、その役割をある面は社会
福祉事業にこれは負わせるところがあると思う。世帯更生資金とか、医療の貸付金というものがあると思うのです。しかしそれだけではこれはもはや足らぬと思うのです。一体厚生省は具体的にこの問題を、
不況がこういう深刻化の
状態にあるときに、どういう工合に厚生
行政をそれに持っていこうとするのか。これは予算をお組みになったときとは
情勢が最近はだいぶ違ってきたわけですね。これはさいぜんも申し上げました
通り、この
不況というものは
政府は四月か五月くらいにはよくなるだろうくらいに思っておったのだけれ
ども、今の
状態ではそういう
情勢ではないと思うのです。そうすると深刻化の
情勢が出てくるが、単に病気になった者に金を貸すということだけで足るのか足らないのかということなんです。その点何か厚生
行政がこういう
客観情勢の変化につれて何かやることをお
考えになっているのかどうか。