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1957-05-16 第26回国会 参議院 本会議 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十六日(木曜日)    午後三時四十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十五号   昭和三十二年五月十六日    午後三時開議  第一 国務大臣演説に関する件  第二 北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第三 有線放送電話に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 福島県に国立たばこ試験場設置請願(六件)(委員長報告)  第五 寒冷地に対する税法上の特別措置に関する請願委員長報告)  第六 農家に対する課税軽減請願委員長報告)  第七 国民金融公庫資金増額に関する請願委員長報告)  第八 ラジオ放送設備耐用年数短縮等に関する請願委員長報告)  第九 薪炭手当の免税に関する請願(二件)(委員長報告)  第一〇 中小企業専門金融機関に対する財政投融資金増額請願委員長報告)  第一一 電気機械工業固定資産償却に関する請願委員長報告)  第一二 東京小岩町旧晴一九〇一部隊小岩第一大隊跡土地家屋所有権に関する請願委員長報告)  第一三 福島太田葉たばこ収納所継続に関する請願(三件)(委員長報告)  第一四 福島県東和村に葉たばこ収納所設置請願委員長報告)  第一五 旧朝鮮銀行及び旧台湾銀行預貯金全額支払等に関する請願委員長報告
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣演説に関する件  内閣総理大臣から、アジア諸国及びアメリカ合衆国訪問について発言を求められております。これより発言を許します。岸内閣総理大臣。    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  4. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は、来たる五月二十日東京出発ビルマインドパキスタンセイロンタイ及び中華民国の諸国を歴訪し、六月四日帰国の後、さらに六月十六日東京出発、七月一日帰国の予定をもって、米国訪問することとなりましたが、これら諸国歴訪の途につくに当りまして、本日ここに所懐の一端を申し述べたいと存じます。  私は、かねてより東南アジア諸国訪問した強い希望を抱いていたのでありますが、それは、アジアに対し深い関心と共感を持っており、アジア諸国との友好関係増進強化念願しているからにほかならないのであります。わが国アジアの一国として、アジア諸国とは地理的、歴史的、文化的に深いつながりを持っており、アジア繁栄と平和なくしては、わが国繁栄は望み得ないのであります。さきに、当国会勢頭施政方針演説で申し述べました通りアジア諸国との善隣友好関係確立はわが政府外交方針基調とするところであります。  東南アジア地域は、今や独立を達成して十有余の独立国となり、困難な国際情勢下にあって、幾多の障害を排しつつ、それぞれ政治的に、経済的に、独立完成国民生活近代化に向って非常な熱意をもって邁進しているのであります。これらの建設が進むことは、アジアの自由と安定、ひいて世界の平和と人類の繁栄をもたらすものでありまして、私は、これら諸国建設が、すみやかに完成されることを念願するものであります。アジア諸国は、一昨年のバンドン会議によりまして、世界平和維持のために大きな貢献をなしたのでありますが、国際社会においても、アジア諸国発言は著しくその力を増すに至りました。今日、国際政治の分野において、アジア諸国は重要なる要素であるとともに、世界平和の維持促進の上に、きわめて大きい使命を持つに至ったのであります。わが国は、今後ますますアジア諸国協力し、世界繁栄と平和に貢献したいと存ずるのであります。  多年の念願たる独立をかち得たアジア諸国が当面している最大の問題は、いかにしてその政治的独立経済的裏づけをするかということであります。これらの諸国は、各国とも産業開発計画を立てて、その実施に鋭意努力をいたしているのでありますが、産業開発には、多額の資金技術を必要とし、これらが十分でないということが隘路となっている現状であります。わが国としては、アジア諸国経済建設には深い理解と同情の念を有するものでありまして、あらゆる面から、これら諸国経済開発に大いに協力したいと考えております。  アジア諸国経済開発促進されることは、とりもなおさず、アジア諸国間の通商を促進し、アジア全体の経済発展をもたらすのみならず、世界経済発展に寄与するものが大きいと思います。  私は、今回アジア諸国首脳者と親しく会って、これら諸国歩、戦後苦難の道を歩みつつあったわが国に対し、終始与えられた好意と支援、特にわが国国連加入についての支持に薄しまして、深厚の謝意を申し遊べたいと思いますが、さらにアジア人としての立場に即し、わが国とこれら諸国との親善友好関係増進経済協力文化提携促進について話し合い、アジアの興隆と世界の平和について隔意なき所信交換を行い、わが国今後のアジア外交の積極的な展開に資したい考えであります。なお、今回の旅行は、きわめて短時日をもってする関係上、アジア諸国全部を訪問することができないのは、まことに不本意でありますが、私としては、訪米後、なるべく早く他の諸国訪問を実現する機会を得たい考えであります。  次に、アメリカ訪問につきまして、申し述べたいと思います。  自由民主主義を堅持せんとする日本が、志を同じくする他の自由民主主義諸国と協調を保ちつつ、世界平和の増進に努めることを外交基調とすべきことは申すまでもないところであります。私は、アジアの一国である日本にとって、自由世界主導的地位にあると同時に、アジアの平和と繁栄について重大なる関心を有する米国との協力関係が、重要であると信ずるものであります。  米国との協力関係維持増進することは、サンフランシスコ平和条約により、日本独立を回復して以来、歴代の内閣が踏襲してきた一貫した外交政策であり、また、現内閣においても、この基本方針にいささかも変るところはないのであります。しかしながら、日本が、昨年ソ連との国交を回復し、さらに国連に加盟して、完全なる国際社会一員となった今日においては、日米関係もおのずから新たなる段階に入ったと申さなければなりません。私の今回の訪米は、このような新たな段階に即し、あらためて今後の日米関係のあり方について、米国政府最高首脳者と率直な話し合いをなさんとするものにほかなりません。  今後の日米両国がとるべき政策を論ずるに当っては、現在の国際情勢と今後の動向についての認識を一にすることがぜひとも必要であることは申すまでもないところであります。  私は、また、米国政府首脳者に対して、戦争の防止と世界平和の維持に対する日本国民の強い希望理解せしめると同時に、日米協力関係増進するためには、両国間に真の相互信頼関係を築くことが欠くべからざるものであることを強調する所存であります。また、このような相互信頼関係確立するためには、両国が基本的にいかなる政策をとるべきであるかについても、腹蔵のない意見交換を行いたいと考えている次第であります。  私は、米国が究極の目的とするところは、世界の平和と安全の維持であり、また、真の独立国としての日本との協力関係増進することが米国念願であることを信ずるがゆえに、両国間には基本的には何らの利害の対立はないと考えているものであります。私は、このような観点から、私の所信意見米国政府要路者に開陳すると同時に、また、先方からも同様に率直なる意見表明がなされることを期待しているものであります。今や完全なる国際社会一員として、真の独立国としての立場主張せんとする日本としては、みずからものを言うと同時に、相手国の言い分に対しても、堂々とこれに耳を傾ける襟度がなければならないと信ずるものであります。それでこそ、初めて真の平等関係に立脚した日米両国協力関係が実現するものと言わなければなりません。私がさきに、日米関係が新たな段階に入ったと申したのも、まさにその意味にほかならないのであります。  私の今回の訪米は、具体的問題についての交渉意味するものでもなければ、また、日米間の懸案をこの際一挙に解決することを目的とするものでもないことは申すまでもないところであります。日米協力関係は、今後の国際情勢推移とも関連して、絶えず発展すべきものである以上、一回の会談においてすべてが解決すると考えること自体が誤まりであると考えるのであります。しかしながら、基本的な問題について、米国政府最高首脳部と直接忌憚ない意見交換を行うことにより、よりよい相互理解が達成され、今後、具体的問題についての両国協力関係増進するための基礎が築かれるであろうことを、強く期待すると同時に、そのことが可能であることを固く信ずるものであります。(拍手
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの演説に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。佐多忠隆君。    〔佐多忠隆登壇拍手
  6. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ただいま岸総理によってなされた所信表明について、私は日本社会党を代表し、岸総理大臣を初め関係大臣に対して二、三の質問をいたします。  第一に、東南アジア諸国との関係についてお尋ねいたします。まず、この地域における経済協力の問題について、岸総理は、すでに石橋内閣外相就任当時から、東南アジア地域日本外交中心地であるとし、ここにおける経済協力具体的方法を考究しておられます。そのねらいとするところは、アメリカ資金援助のもとに、日本技術工業力をもって、アジア諸国経済建設協力しようとするものである。すなわち、日本技術アメリカの資本、東南アジアの資源の三位一体による開発をはかろうとする構想だと伝えられております。岸総理の構想は果してそうかどうか、今表明された所信では、この点があいまいにされておるのはなぜであるか。アメリカは最近特に対外援助を重要視し、たくさんの調査報告書を作り、それを発表をいたしました。それらによれば、アメリカ対外援助費の大半は本来の軍事援助に使われ、残り半分の過半がさらに防衛支持援助、すなわち間接の軍事援助に費され、肝心の経済開発援助技術援助は、援助総額のごく一部分にすぎません。しかもそれらの調査資料をもととして、アメリカ上院は数日前、対外援助政策について、議会として最後の結論を次のように下しております。すなわち、対外援助は依然として継続するが、その金額は削減する。経済開発援助は、贈与をやめて借款を基準とし、条件をきびしくすると結論をいたしました一かかる傾向のときに、どんな手段でアメリカ資金を動員しようとされるのか、池田蔵相は、現に来朝中の世界銀行のブラック総裁との会談で、その点をどういうふうに話し合われたのか、池田大蔵大臣から直接にお答えを願いたい。  アジア諸国、特に中立主義諸国は、外国の軍事援助を拒み、政治的ひもつき援助を警戒しております。今、ようやく植民地から脱却したものが、再び植民地的隷属に陥る危険性を含むからであります。アメリカの資本が日本を仲介とすることは、それをアジア的に粉飾するものだと、かえって警戒されるでありましょう。その警戒を解く非植民地的投資をどんな形で総理考えておられるのか。アジア諸国、特に親欧米的諸国は、日本を介する多角的な経済援助よりも直接の二国間の援助方式を望み、むしろそれを直接に実現しつつあります。この状況の中で、日本の介入の利益と必要性を何をもって論証しようとされるのか。わが党の見解によりますと、アジア諸国に対する日本協力は、正常貿易によって、日本の賠償と日本自身の資本による経済協力によって、地道にこれを達成する以外にありません。岸総理は、これらの点をどう考えられるのか、お答えを願いたい。  次に、アジア諸国に対する政治的態度についてお尋ねをいたします。今度訪問されるアジア諸国には、ビルマインドセイロンのように、東西両陣営のいずれにも属しない中立主義国もあれば、またパキスタンやタイのように、自由諸国との共同防衛を望むいわゆるSEATOグループもあり、さらに台湾のようにごりごりの反共親米の国もあります。総理所信表明でただいま言われた、アジア人としての立場に即して、わが国とこれら諸国との友好親善を増すためには、政治的にはどんな態度をとろうとされるのか、これがむしろ問題であります。岸総理の言われるアジア共通考えに立って世界平和に寄与するとは、どういうことを意味するのか、この点をもっと明確にお示しを願いたい。わが党の見解によれば、アジア諸国は、大勢として反植民地主義という命題では一致しております。そういう意味で、この地域は一つの運命協同体とも言えるでありましょう。(拍手)これらの国々はあらゆる植民地主義に反対をし、民族の独立経済の新建設平和的共存による平和保持などのために勇敢に闘争をいたしております。これら諸国のこのような正しい要求は尊重され、積極的に支持さるべきであります。特にこれら諸国世界平和に貢献をする役割は重視されなければなりません。そのためには、これら諸国のもろもろの水準や、社会制度や、イデオロギーの相違にもかかわらず、各国間の経済技術、文化の協力を一そう強め、一つの結合体とすることが必要であります。これら諸国のいろいろな面における相違に乗じて、各国の間にくさびを打ち込み、あるいは共産ブロックに、あるいは自由ブロックにと、軍事ブロック体制へ分裂させてはなりません。各方面から、かかる努力が熾烈になされつつある昨今、それは全力をもって阻止すべきであります。わが日本が特にその役割を引き受けるべきであります。岸総理は、その政治的態度をそこまで推し進める勇気はないのかどうか、お尋ねをいたします。  第二に、中国との関係についてお尋ねをいたしま重。ただいまの所信表明によれば、岸総理は、この問題について何ら触れておられません。しかし現在アジアの問題として、さらには世界の問題として、特に日本をめぐる国際問題としてこれに一言も触れないことは、まことに致命的な欠陥と言わざるを得ません。  そこでまず中共貿易について。わが国の最も基本的な経済的必要は、貿易の拡大であびます。日本の生きる道は貿易以外にはありません。しかもアメリカとの片貿易を是正し、わが国経済自立を達成し、貿易規模を拡大して、経済繁栄をもたらすためには、中国との貿易の必要なことはここにちょうちょうを要しません。中国側経済建設を進め、人民の生活水準を引き上げるために、日本との交易の拡大を望んでおります。ことに建設資材や機械の需要は非常に大きいものであります。日本はここに輸出市場を求むべきは論を待ちません。しかるに、ココム、チンコムの対中共輸出制限の措置がとられているために、日中の貿易はなかなか進みません。これが今もなお続けられていることは、非現実的であり、不都合千万であります。この制限はすみやかに撤廃さるべきです。少くとも大幅に緩和されることを要求すべきであります。現に。パリで開かれておるチンコムの会議では、この制限緩和をめぐって、アメリカの提案と西欧諸国要求とが対立をして難航しております。日本イギリス、フランス、西ドイツなどとともに、いな、むしろその先頭に立って、制限の撤廃または緩和を主張すべきであります。しかるに事実は、ようやく西欧諸国のあとからよちよちとついて行くという醜態を演じております。この態度は、すみやかに改められなければなりません。パリ会議においてはもちろん、アメリカ本国において、アイゼンハワー大統領ダレス国務長官と直接にこれを討議し、要求を実現すべきです。岸総理は、イギリスマクミラン総理バミューダ会談で要望した以上に、強力に主張をしなければなりません。岸総理にその覚悟があるのかどうか、はっきりお答えを願いたい。(拍手)  次は、日中国交回復について。岸総理は、日中貿易は盛んにしたいが、今、中共と政治的に接近する意思はなく、外交関係を結ぶ考えはない、台湾政府との協力関係で進む、対中共問題は国連の線に沿って行くと、しばしば述べられました。国連の線に沿うことが、自由国家群指導者であるアメリカに追随をすることであるならば、岸総理方針、すなわち国連加盟後はその一員として、自主独立外交を展開をすると呼号したことと全く反します。また、事実上の問題としては、中国の本家は中共政権であり、国民政府の立場は、そのうちに弱まって行くだろう、日中国交回復の問題は、時が解決してくれる、それを待とうという態度岸総理はとられるもののようにも察知されます。もしそうだとすれば、政府態度として、不明確、無方針もはなはだしいと言わざるを得ません。岸総理の真意は一体どこにあるのか、明確な答弁を要求いたします。わが社会党ほどはっきりした態度はとれないにしても、少くともアメリカに向っては、米中接近日中友好こそが、かえってアメリカ日本、そして自由諸国の利益になり、平和を守るゆえんであると説得をすべきでしょう。日本が米へ中の間に入って、その仲介の労をとってもいいと申し入れるべきです。それならわが社会党も、文字通り超党派的に協力をいたします。  また、さらに進んでは、インドセイロンパキスタンビルマ等と共同して、その役割を果すべきことを、この絶好の機会に各国に提案したらと思いますが、総理はそれだけの決意はできないのかどうか、お尋ねをいたします。日中国交正常化について、わが党の見解は、さきに派遣した親善使節団中国側との共同コミュニケに明らかであります。すなわち両国の地理的、歴史的関係と、現在の諸情勢にかんがみ、日本中華人民共和国とが、政府間においてすみやかに正式かつ全面的に国交を回復すべき段階にきたことを認め、両国の長期にわたる積極的な協力関係を打ち立てることが、諸懸案を好意的に解決する基礎であるとの意見の一致をみました。われわれ使節団は、二つの中国の存在を認めず、台湾の処理は中国の内政問題であり、台湾をめぐる国際緊張は、関係諸国の間で平和的に解決されることを切望をする、国連における代表権中華人民共和国に対して承認さるべきであるとのわが党の基本方針を説明しました。中国政府は、これらの主張を歓迎いたしました。わが党は、この方針アメリカにも説明をし、説得を試みるつもりでおります。岸総理は、これをどう考えられるのか、その判断をお聞きしたいと思います。(拍手)  第三に、日米関係についてお尋ねをいたします。日米関係は、平和条約安全保障条約を中核とし、行政協定相互防衛援助協定など一連の約定によって、いわゆるサンフランシスコ条約体制または安保条約体制を形成いたしておりますが、その後、日本をめぐる現在の情勢は著しく変化いたしました。この情勢の変化をどう分析をし、判断するかによって、それに対処する仕方はおのずから変って参ります。岸総理は、安保条約行政協定は全面的に再検討をすべき時期、段階にきたと、しばしば言明をされました。それをどのように再検討をされたのか、その背景をなす極東情勢の変化をどう判断をされたのか、ここで表明された所信に言う、現在の国際情勢と今後の動向について、アメリカと一にすべき認識とは、その内容はどんなものなのか、明確にお示しを願いたい。同時に総理は、これまでの言明では、しかし今直ちにこれらの条約を改訂する時期ではないとして、問題を逃げておられます。これでは、総理態度方針は、いよいよ不明確になり、国民はますます混迷に陥らざるを得ません。アメリカでは、そのようなあいまいな態度は許されないでしょう。今度の日米会談は、今、所信を表明された通り、具体的問題の交渉でもなければ、両国の個々の懸案を解決することを目的とするものでもない。大局的見地に立って基本的問題を論議することでありましょう。しかしそれは、一般的、抽象的ではなく、特殊具体的でなければなりません。特に日米会談においてはそうでなければなりません。さすがに総理も、それを予想しながら準備をされたもののようです。これまで開かれなかった国防会議をたびたび開き、その第一議題である国防の基本方針は、すでに確定をしたと伝えられております。その方針とは一体どんなものなのか、まず、アメリカで説明される前に、日本国民に、この国会を通じて示されることを厳重に要求をいたします。(拍手)これらの問題をアメリカでは、どういうふうに扱おうとされているのか、あわせて明確に御説明を願いたい。  さらに、国防会議は、進んで第二の議題である長期防衛計画の策定も準備を終えたと言われております。その内容はどんなものか、そのこまかいところまでは未確定だというならば、その基本構想はどうなのか、それらについて岸総理と小瀧防衛庁長官の詳細な答弁を求めます。  池田蔵相は、かつて吉田総理の特使としてワシントンにおもむき、長期経済政策長期国防計画についてロバートソンなどと会談をし、論議を尽してこられました。その後の日本経済の発展、最近の実情、今後の経済の見通し、その他政治的、軍事的、国際的諸情勢変化等から考えて、当時の経済政策長期国防計画は相当改変をなすべきものと思われるかどうか、変えるとすれば、どう改めたらいいと考えておられるのか、池田蔵相に、それらの点の詳細な説明を求めます。  岸総理の示された所信からうかがえば、現在の日米関係においては、日本には自主性がない、少くとも自主性に欠くるところがあることは、これを認められるもののようであります。だから、独立の完成とか、自主外交の確立とか、日米関係の再検討とかが岸総理の口からも叫ばれるでしょう。が、その際の自主性の確立とは何を意味するのか。総理は、安保条約行政協定を改訂するためには、その前提として、いろいろと環境を整えなければならぬ、たとえば、自己の力でわが国の防衛ができるような自衛力の増強や、その他いろいろの準備が必要になると言われます。これは、軍備を増強し、そのために憲法改正をし、国家機密保護法等を制定し、再軍備体制を確立することにほかなりません。日本は、かかる姿においてアメリカとの協定を双務的なものに改訂をし、海外派兵の義務を負うこととなりましょう。それは、極東にはアメリカ日本を中核とする軍事同盟を確立することに通じます。そしてアメリカ原子兵器戦略体制への再編成に応じて、原子兵器日本に持ち込まれ、原子力部隊の配置が強行されることは火を見るよりも明らかであります。岸総理は、事態のかかる推移をも考慮に入れながら、なおかつ軍事的原子力反対を主張し得るのかどうか、この点は特に明瞭にされることを要求をいたします。核兵器に反対をし、日本民族を全滅に導く原子力戦争から守るためには、もはや社会党の主張に従うほかないでありましょう。わが社会党が常に主張し続けているように、日本国内における外国駐留軍の撤退、軍事基地の撤去を求め、自衛隊の増強を停止し、縮小し、廃止へ進むべきであります。沖縄、小笠原の日本復帰をすみやかに実現をしなければなりません。中国と国交を回復し、日米安保条約と中ソ友好同盟条約を相互に廃棄し、日中米ソ等を中核とする太平洋または極東諸国家間の集団的平和保障体制を確立する以外に道はありません。岸総理は、これをどうお考えになるのか。岸総理が過去の経歴を十分に自己批判し、新たに平和主義者民主主義者として徹しようとされるならば、われわれと道を同じくすべきです。が、残念ながら岸総理には、この道を選ぶ見識も勇気もないでありましょう。とすれば、いさぎよく道をわれわれ社会党に譲るべきです。  日本民族を戦争の破滅から救うために、私はこれを強く要求して、この質問を終ります。(拍手)    [国務大臣岸信介君登壇、拍手
  7. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 佐多君の御質問お答えをいたします。  第一に、アジア諸国との経済提携について、アメリカ資本日本技術と現地における資源及び労働力というものの三位一体の形でやるという考えかという御質問でございます。私は東南アジア諸国と一口に申しますけれども、国々によっていろいろ事情が違っております。経済開発の程度も違いますし、先ほどお話になりましたような政治的な考え方についても違っているところがございます。しこうして私が所信に申し述べましたように、いずれの国も、この最近かち得た独立完成するために経済開発計画というものを持っております。私どもは、あくまでもこの各国の持っておるところの経済開発計画というものに、このわれわれが謙虚な形において協力できるものを協力して行く、そうしてこれを完成せしめるというのが根本的の考え方でありまして、従って、今われわれの方で勝手に、三位一体の方式がどこにも適用されるんだ、あるいはわれわれがそういう計画を立てて、これを現地に、各国に押しつけるような考え方は、根本において私は誤まっていると思います。あくまでも、これは国々の国民なり政府なりが希望する形において、—最も有効なる協力をわれわれは惜しまないということが必要であると思うのであります。(拍手)  日本が、それでは経済的にどういう具体的の方策を持つかという第二の御質問の点であります。私は今申し上げました根本の考え方に基いて、東南アジア諸国がすでに持っておるいろいろな経済開発計画に沿うところの計画、具体的の計画がございます。これらにつきましては、その国々の希望に沿うてこれらを研究しております。そうして、われわれはそのプロジェクトに応じて、具体的に日本協力するところの方式なり、形なり、内容なりというものを個々に検討し、これに応ずるように現に施策を進めております。これを進めて行くことが、私は最も適当な方法であると思います。(拍手)  次に、政治的の見地から、このアジア諸国に対して、日米はどういう立場をとって臨むかという御質問でございます。しこうしてアジアにおいては、同じアジアというけれども、この中においては政治的に立場を異にするものがあり、いわばこれが分裂を策するような外部的の力も働いておる、こういう際に立って、日本はどういう政治的の考えでもって、これに臨むべきかという御質問であります。御意見のように、現在のアジアにおきましては、大きく言うて二つの分れがございます。また、私が今回たずねる六カ国につきましても、大体におきまして大きく分けて二つの傾向があると思います。しこうして、そういうことであることは、私は非常に遺憾なことであると思っております。あくまでもわれわれがアジアに位し、アジア日本として長い歴史的な深い関係を持っておるこれらの国々が、いろいろな関係があるとは言え、共通に、また協力によってのみ解決されるところの幾多の問題を持っておるにかかわらず、そういう政治的のこの対立や、分裂的な傾向を持っておられるということは非常に遺憾であると思います。私は日本立場はあくまでも自由民主主義立場を堅持する、これによって各国協力と、そうして平和を増進するにあります。私は世界のこの大勢が、東西二つの陣営に対立しておるとか、その間に緊張があるとか、あるいはまたアジア諸国の間にも、そういう二つの流れがあって対立しておるということを、この自由民主主義立場から、この緊張を緩和することが日本の使命であると私は信じております。(拍手)  次に、中国問題についての御質問でございますが、中国問題につきまして、過般、社会党の諸君が中国をいわゆる親善使節としてたずねられまして、いろいろな共同コミュニケも発表になっておること、また私は、お帰りになったときに詳しい御報告も聞いたのでありますが、この中華人民政府を直ちに承認し、これと外交関係を開けという社会党の御主張に対しましては、遺憾ながら私は根本的に考えを異にするものであります。現在の状態においては、私はそういう段階に達しておるとは思わないのであります。それは、先ほどもお話がありましたが、われわれは国際連合に加盟して、そうしてその一員として、われわれは世界の平和を増進することに各国協力するという態勢をとっておりますが、国際連合の現状は、この中華人民政府代表権を認めない状況であり、また、過去において侵略の決議をいたしておる、それを取り消してもおらないような状況でありまして、こういう状況のもとにおいて、私は直ちに認めろということは、責任ある政府としては、とうていできないところであると言わなければならないと思います。(拍手)  次に、中国貿易増進の問題につきましては、私どもも、この中国との間の貿易増進しなければならぬ、それを増進する上において、ココム、チンコムのこの樹限が非常な支障をなしておるという事実につきましては、お考えと同様であります。従って、この制限を将来緩和しなければならぬ。少くともチャイナ・ディファレンシャルというものをなくしなければいかぬという主張を、一貫して米国及びこれに参加しているところの西欧諸国に提議をいたして参っております。最近アメリカが、これをある程度緩和する提案をいたして参っておりますが、私どもの主張との間には相当まだ大きな開きがございます。従って、私どもは従来とってきた方針を一貫して、あらゆる機会アメリカの反省を求め、またココムの取りきめに加盟している西欧諸国と緊密な連絡をとって、日本主張の実現に努めております。決して西欧諸国のあとをついてというような問題ではなくして、日本にとってきわめて重要なこの対中国貿易問題についての制限につきましては、日本立場から強くわれわれの主張をいたしており、将来もする考えでございます。  次に、アメリカとの会談において、安保条約行政協定の改正についての御質問でありますが、これは私がしばしば私の所信を申し述べました通り、私は社会党の諸君とは非常に根本的の考えを異にするのは、安保条約体制というものを今廃棄してこれをなくするという考えは、私は現実に即しないものだと思います。特に社会党で、これにかわるものとして、日、中、米、ソを中核とする集団安全保障体制を作り上ぐべきであるというこの御議論は、私はあまりにも現在の国際情勢の実情とかけ隔たったことである。こういうことができるようであれば、私はおそらく安全保障体制そのものすら要らなくなった時代であろうと思うのであります。こういうことは、きわめて私は国際の実情、実際に合っておらないと言わざるを得ないと思います。  次に、国防方針及び長期国防計画について御質問がございましたが、国防会議を最近一回開きました。そこにおいて、国防基本方針についての議論をいろいろ交換いたしましたが、結論はまだ得ておりません。最近においてさらに第二回を開いて、この国防に関する基本方針というものを一つきめたい、こういう考えでおります。長期国防計画についても準備は進めておりますけれども、まだ国防会議において審議される段階になっておりません。私は、しばしば申し上げておりますように、私自身がこの国防に関する基本方針長期国防計画についての国防会議においての審議を促進するように要求してきておるのは、決してアメリカ政府にこれを示すために私は急いでいるわけではないのでありまして、従来、こういうものがきまらず、予算の編成やあるいはこの防衛に関する各種の議論を生ずる原因が生じておるのでありまして、こういうことがはっきりと国民に示され、国民がそれを理解し、これに対して協力するという態勢が作られなければ、真の自衛の目的は達せられないと思うからであります。  なお、この安全保障条約等の改訂につきましては、私は、廃棄はしないが、これが結ばれた当時は、日本自身自衛力というものはゼロであったし、また国際連合にも加盟しておらなかった。しかしその後、この国防力を、自衛力を漸増するという、その方針のもとにやって参りまして、不完全ではあるけれども、ある程度の日本自身自衛力というものはできております。従って、全然ゼロであったときにできた何は、相当な程度において、少くとも日本防衛についてある程度責任を持ち得るような状態になっておる現在においては、これが再検討されるということは当然であり、また国際連合に加盟し、われわれは将来の理想としては、国際連合による集団安全保障体制というものができなければならぬと、こう考えておる考えから申しますと、これを再検討して、より合理的な基礎においてこれを改正する必要があると、こういう意味において、私は再検討をしたいと思うのであります。なお、この問題に関して、いわゆる双務条約にして、外国に派兵するところの海外派兵の責務を負うのではないかとか、あるいはこの機会軍事同盟を結ぶような意図はないかとか、あるいは原子力部隊日本に駐留することを認めるというようなことがあるのじゃないかというふうな御質問でございましたが、これらにつきましては、私は明確に申しておりますが、一切そういうことはございません。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  8. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  ただいま日本に来ておられまする世界開発銀行総裁ブラック氏と私との話のうちに、東南アジアについてどんなことを話したかという御質問でございます。御承知の通り世界開発銀行は、六十数カ国の国4が出資して世界の各地の開発考えておるのでございます。従いまして、開発銀行の総裁が、特定の国と話し合うて、特定の地域、国に対して、特別め措置を講ずるということはあり得ないのでございます。しかし、開発銀行は、やはり世界開発を志し、ことに東南アジア開発につきましては十分関心を持っておることは事実でございます。私といたしましては、ただいま申し上げましたような状況でございますので、東南アジア開発世界開発にぜひ必要であるとすれば、特殊の関係にある日本開発をまず援助して、そうして日本東南アジア開発に役立つようにすべきであるということを話しまして、先方の大体の了解を得たのでございます。で、私は、世界開発銀行と日本東南アジアの三角関係は結ぶべきではなしに、まず日本開発をはかって、われわれが独自の考え東南アジアの人々の考えに沿って開発して行きたい、こういうことに相なっておるのでございます。(拍手)  なお今から五年前に、私が個人の資格でアメリカ、ヨーロッパを回りました。途中アメリカにおきまして要路の人々といろいろと話をいたしました。そのときは個人の資格でございますし、しかも五年前のことでございます。そうしてまたこの間の会談は、公表しないということになっておりますので、事柄が古うもございますし、個人のあれでございますから、今回、大蔵大臣としての答弁は御遠慮申し上げたいと思います。(拍手)    〔国務大臣小滝彬君登壇拍手
  9. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 長期防衛計画ができていないことは、先ほど総理から御説明のあった通りでございます。  しかし、せっかく佐多君の御質問でございますので、国防会議において政府としての基本構想というものはできておりませんけれども、防衛関係を担当しておりまする大臣といたしまして、私の考えを申し上げまするならば、原則的には、われわれは、国力、国情に応じたところの自衛力を持とう、最小限度の自衛力を持とうと、こういう考え方でございまして、昭和三十年から三十五年度にわたるところの防衛六カ年計画は、防衛庁の試案としてこれまであったのでございまするが、この試案ができました際に、その基礎となる、それとつながりを持っておったところの経済六カ年計画というものも、その後の経済情勢変化によって改訂せざるを得ないという段階に来ており、しかも、その計画は、まだはっきり新しい経済計画もできておりませんので、従って、今はっきりと、われわれ限りといたしましても、こういう、この来たる数カ年に関する防衛計画を持つということを言明し得る段階には至っておりません。しかしながら、今申しましたように、国内の経済情勢も変っておりまするし、かつまた、最近における各国の軍の編成なり、装備なり、兵器の発達というようなこともございまするので、これらをあわせ考えまして、これまで持っておったところの防衛六カ年計画に対しては、この実情に即した修正を加える必要がある。これまでの六カ年計画は、貴重なる資料ではあるけれども、しかしこれに対しては、今申しましたような情勢に応じたところの変更を加えなければならないというので、目下事務的にいろいろ検討いたしておる次第でございます。ただしかし、新しい編成がございましても、実際上、財政上並びに日本の工業水準技術程度というようなものの制約がございまするからして、結局、私どもは来たる数カ年の間に、日本自衛力の根幹となるようなものを、できるだけ国力に応じて作り上げて行こう、こういう考えで進んでおるものと御了承願います。(拍手
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は、終了したものと認めます。      —————・—————
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長笹森順造君。     —————————————    〔審査報告書は都合により追録に掲載〕    〔笹森順造君登壇拍手
  12. 笹森順造

    ○委員長(笹森順造君) ただいま議題となりました北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約の批准について承認を求めるの件につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を報告いたしま土。  まず、本条約の署名に至るまでの経緯と内容の概要を申し上げます。この条約は、一昨年十一月からワシントンで、日米加ソの四カ国が長期にわたって交渉を行いました結果、本年二月九日署名の運びとなったものでありまして、暫定条約という名に示される通り北太平洋のオットセイについて十分な資料を得るための科学的調査を行うことを主たる内容とするものであります。従って調査期間中、オットセイの商業的海上猟獲は禁止されるのでありますが、条約には、右の調査に関する規定のほか、米国及びソ連が陸上で猟獲した獣皮を、一定の割合で、わが国及びカナダに分配する旨の規定等が含ませております。  戦後、わが国は、新しいオットセイ条約が締結されるまで、自発的にその海上猟獲を行わずに参ったのでありますが、政府におきましては、この暫定条約に参加し、条約に定める調査を行うことによって、オットセイ資源の実態をつまびらかにし、またオットセイと他の漁業資源との関係を明らかにした上で、オットセイの適正な猟獲方法を決定し、その恒久的な保存と活用をはかることができるとの見地から、この条約は大局的に見て、わが国利益に合致するものと考えるとの説明でありました。  本件については、農林水産委員会との連合審査会を行なったのでありますが、これらの審議において、この条約実施に伴う関係漁民の救済措置、オットセイ保護条約関係取締り法規との関係、従来の国際会議におけるわが方主張内容、この条約によってわが国が行う調査の方法及び捕獲オットセイの処理方法等につき、熱心な質疑がございました。  委員会は、五月十五日質疑を了し、採決を行いましたところ、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決いたした次第であります。  右、御報告いたします。(拍手
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。  本件を問題に供します。委員長報告通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。      —————・—————
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、有線放送電話に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長剱木亨弘君。     —————————————    〔審査報告書は都合により追録に掲載〕    〔剱木亨弘君登壇拍手
  16. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 ただいま議題となりました有線放送電話に関する法律案について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本案の提出理由について申し上げますと、有線放送設備に通話装置を付置した簡易な電話に関する需要が、近時、農山漁村等におきまして急激に増加しつつありますが、現行の有線電気通信法の規定によりましては、その適正な規律が困難でありますので、有線放送設備を利用して行う電話に関する業務を合法化いたしまして、その適正な運営をはかりますとともに、有線電気通信に関する秩序の確立に資しようというのであります。  次に、内容についての概要を申し上げます。有線放送電話業務を行おうとする者は、郵政大臣の許可を受けなければならないこととし、許可の基準については、同一の市町村内にあるものであって、その住民が社会的、経済的につながりが深く、かつその相互間の電話連絡が不便な地域であること、その業務を営利を目的としないものであって、これを的確に遂行するに足りる能力を有するものであること、もっぱら通話の用に供するための線路がないものであること等でありまして、なお、この許可の有効期間は五年とし、申請によって延長することができることとなっております。  次に、業務の運営等につきましては、業務区域外において役務を提供してはならないこと、その他業務区域拡張の許可、契約約款の届出等を規定いたしております。  次に、許可の取り消し、罰則等、本法の運用に必要な限度の規定を設けてありますが、許可の取り消し等、郵政大臣の処分につきまして、その適正をはかるとともに、違法または不当な処分に対する救済策として、聴聞及び異議の申し立ての制度を設けております。  なお、本法の附則において、有線電気通信法の一部を改正いたしておりますが、その内容といたしましては、一の業務区域内の有線放送電話業務用設備と他の業務区域内の設備とを接続させてはならないこと、また有線放送電話業務用設備と日本電信電話公社または国際電信電話株式会社の有線電気通信設備とを接続させてはならないこと等であります。  逓信委員会におきましては、郵政、農林両省並びに日本電信電話公社各当局につき、日本電信電話公社の全国あまねく公衆電気通信役務提供の使命、有線放送電話業務の業務区域の明確化、有線放送電話施設に対する取締り、工事従事者の資格及び罰則規定設定の可否等、詳細にわたり質疑を行い、本案の慎重審議をいたしたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して鈴木委員より、次の二点を強く要望して本案に賛成する旨の発言がありました。すなわち、「農山漁村における有線放送電話施設の急増にかんがみ、政府並びに公社当局は、特に農山漁村電話普及に要する財源の確保に努め、もって全国あまねく、かつ公平に公衆電気通信役務を提供すべき公社本来の使命達成に一段の努力を払うべきこと、及び本法施行に当っては、業者の資格、業務区域、監督、技術基準、通信の秘密保持等の点につき十分な対策を講じ、万遺憾なきを期せられたい」というのであります。  これをもって討論を終え、採決いたしましたところ、全会一致をもって本案は原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日衆議院から左の議案を提出した。よって議長は直ちにこれを建設委員会に付託した。  宅地建物取引業法の一部を改正する  法律案本日委員長から左の報告書を提出した。  小型船海運組合法案可決報告書  東北開発促進法案可決報告書  宅地建物取引業法の一部を改正する  法律案可決報告書      —————・—————
  20. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、小型船海運組合法案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長戸叶武君。    〔審査報告書は都合により追録に掲載〕    〔戸叶武君登壇拍手
  22. 戸叶武

    ○戸叶武君 ただいま議題となりました小型船海運組合法案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、小型船、すなわち木船及び小型鋼船による海運業が海上運送において重要な位置を占めておるにもかかわらず、それらの業者はおおむね、いわゆる一ぱい船主であるために、不合理な経営を行なっている状態にありますので、これが組織化をはかって、カルテル行為を認め、もって小型船海運業の合理化と安定を確保しようとするものでありまして、そのおもなる内容を簡単に申し上げますと、次の通りであります。  第一は、運輸大臣の認可制のもとに小型船海運業者は小型船海運組合を設立し得るものとし、組合は、貨物運賃等の運送条件、貨物の引き受け、船腹、運航用燃料の購入等について規程を定めて調整事業を行い、また団体契約を結び得るものとされておることであります。第二は、小型船海運組合は連合会を組織し得ることであります。なお、連合会は、他の連合会または小型船海運組合とさらに連合会を組織することができます。連合会の設立、事業及び団体契約の締結については、おおむね小型船海運組合に対すると同様に規定されております。第三は、貨物運賃等の運送条件、貨物の引き受け及び船腹について、小型船海運業者の大部分が同一内容の調整規程の適用を受けることとなった場合、運輸大臣は、組合または連合会の申し出に基いて、組合員以外のものに対しても事業活動及び保有船腹に関して規制命令をなし得ることであります。この命令は、組合員以外のものの事業活動が小型船海運業の安定を阻害しており、これを放置しては国民経済発展に著しい支障があるにかかわらず、組合または連合会の自主的活動をもってしては、これを除去し得ない場合に限り認められるものであります。  本法律案は衆議院議員の提出にかかり、衆議院において修正議決されたものでありますので、委員会におきましては、提案理由及び修正事項の説明を、それぞれ衆議院議員木村俊夫君及び井岡大治君より聴取いたしましてから質疑に入ったのであります。  質疑におきましては、松浦委員より、「本船による海運業者はその捕捉が困難な実情にあるので、組合の結成を任意に放置しておいては所期の目的達成上不十分と思うが、これに対する行政措置いかん、また、経済力の強い回漕業者の木船船主に対する支配力をいかに調整するか、また、これに対する行政措置いかん」、その他、組合の役員構成について質疑が行われましたが、これらの質疑に対する提案者木村衆議院議員及び政府委員の答弁を取りまとめて申し上げますと、「現在、大船業界には組合結成の機運が盛り上っているので、多数の組合が設立されるものと期待している。業者の組合加入については、政府においても種々の面からその勧奨に努力したい。木船業界においては、船主がおおむね一ぱい船主であるため、集荷機能が劣弱であって、輸送貨物のほとんど大部分が回漕業者の手を経ている実情にあるので、回漕業者を本法案による組合に加入せしめなければ、かえって業界の混乱を招き、また調整規程の実施も実効をおさめることが困難と思われるので、組合加入を認めたが、本法案においても回漕業者の不当な支配を排除するよう、組合員の議決権、代理権の行使、除名等について規定してある。また調整規程も、一回漕業者の利益偏重にならないよう十分検討して、その適正をはかるほか、組織を通じて、みずからの利益を守らんとする船主の自覚を強めるよう応ずる等、行政指導よろしきを得たい中との趣旨の答弁がありました。その他の点につきましては会議録に譲ることをお許し願います。  討論に入りましたところ、松浦委員より、「本法案の実施により小型船業界の安定をはかり、ひいては従業員の生活の安定をもたらすよう、適切なる行政指導の行われることを要望して賛成」の旨、意見の開陳があり、また、高良委員より、「木船による海上運送業は、荷主の圧迫を受けやすい弱い事業なので、本法案は適切なものであるが、その運営に当っては、小資本の業者が圧力を受けることのないよう留意されたい」という趣旨の賛成意見が述べられ、また、大倉委員よりは、「本法案について衆議院運輸委員会において付された決議はきわめて適切なものであるから、政府においては十分尊重されたい」として賛成意見が述べられたのであります。  次に、採決に入りましたところ、本法律案は、衆議院送付通り可決すべきものと多数をもって決定されたのであります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、東北開発促進法案(内閣提出衆議院送付)  宅地建物取引業法の一部を改正する法律案(衆議院提出)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。建設委員長中山福藏君。     —————————————    〔審査報告書は都合により追録に掲載〕    〔中山福藏君登壇拍手
  27. 中山福藏

    ○中山福藏君 ただいま議題となりました東北開発促進法案及び宅地建物取引業法の一部を改正する法律案について、建設委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、東北開発促進法案について申し上げます。本法案は、東北地方における資源の総合的開発促進し、もって国民経済発展に寄与せんとするものであります。  その内容のおもなる点は、第一に、内閣総理大臣は、東北開発審議会の審議を経て東北開発促進計画を作成することとし、右の審議会マル左設置、所掌事務、組織その他必要な事項について規定いたしております。第二に、開発促進計画に基く事業の実施は、国、地方公共団体その他のものが行うこととし、関係行政機関の長がそれぞれ毎年提出する事業計画及び資金計画について、経済企画庁長官が調整を行うことといたしております。第三に、開発促進計画を実施するため、政府は必要な資金の確保をはかり、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施の促進に努めなければならない旨規定するほか、地方財政再建促進特別措置法に特例を設けております。すなわち、財政再建団体及び財政再建法準用団体が開発促進計画に基く事業を実施するため、財政再建計画に変更を加えようとする場合、自治庁長官は、これらの事業の実施が確保されるよう配慮すべきものとし、また重要な事業に要する経費の国負担割合については、九割を限度として、通常の負担割合の二割、引き上げの高率補助を行うことといたしております。  次に、委員会における質疑のおもなる点は、国土総合開発法と本法案との関係、東北開発審議会の組織、国の負担割合が二割、引き上げとなる重要な事業の範囲及び東北開発における資源問題、輸送問題等でありまして、政府からそれぞれ答弁がありました。その詳細は会議録で御承知願いたいと存じます。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して大河原委員から、「東北地方の後進性は、明治維新以来の政府の政治、行政施策の貧困に由来するものであるから、太法案の実施に当っては、従来の施策に深い反省を加え、その成果を反映させるとともに、審議会委員の学識経験者には独創的な抱負経綸を有する人を選考して、本法案が画餅に帰せざるよう希望を付して賛成する」旨の発言がありました。  次いで採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、宅地建物取引業法の一部を改正する法律案について申し上げます。宅地建物取引業法は、宅地建物取引業を営む者の登録と事業に対する必要か規制を行い、その業務の適正な運営をはかる目的をもって、昭和二十七年六月に制定ざれたものでありますが、同法施行後の実績にかんがみ、今回新たに宅地建物取引業を営む場合の取引員の資格並びに営業保証金の供託等の規定を設け、業者の健全な発達と業務の運営の一そう適正化をはかろうとするのが本法律案の提案の趣旨であります。  その内容を申し上げますと、第一は、都道府県知事の行う試験に合格した者を宅地建物取引員とし、業者の設置する事務所には、取引員を専任の取引主任者として一人以上置かなければならないこととしております。ただし、その実施は、法律施行の日から二年以内に政令で定める日から適用することにしております。第二に、事務所ごとに一定額の営業保証金を供託しなければならないこととし、その額は、主たる事務所について十万円、その他の事務所ごとに五万円とし、合計額は三十万円をこえないことといたしております。また、宅地建物取引業者と物件の取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、供託した営業保証金について債権の弁済を受ける権利を有することになっております。なお、現に営業している者については、昭和三十四年七月三十一日までは適用しないこととしております。第三に、宅地建物取引員の品位の保持と業務の進歩改善に資するため、都道府県の区域ごと及び全国を単位として、宅地建物取引員会及び宅地建物取引員連合会を設立することができることといたしております。その他、無登録業者に対する取締りの強化、宅地建物取引業を行なっている信託会社等の同法の適用等について規定しております。  委員会における質疑のおもなる点は、本法案に対する政府見解、取引員に対する行政指導等についてでありますが、詳細は会議録で御承知を願います。  かくて、質疑を終了、討論を省略して採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まず、東北開発促進法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立]
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  30. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、宅地建物取引業法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    [賛成者起立〕
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  32. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第四より第十五までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事西川甚五郎君。    〔西川甚五郎君登壇拍手
  34. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 大蔵委員会におきましては、特に小委員会を設け、慎重に審議をいたしましたが、その結果は次の通りであります。  日程第四は、福島県下に国立たばこ試験場を設置されたいとの趣旨であり、日程第五は、寒冷地に対し、税法上特例措置を講ぜられたいとの趣旨であり、日程第六は、農家に対する課税について、今後承減税措置を講ぜられたいとの趣旨であり、日程第七は、国民金融公庫資金の増額を考慮せられたいとの趣旨であり、日程第八は、ラジオ放送設備の現行耐用年数を短縮し、また、テレビジョン放送設備の耐用年数の制定に際しては、事業の特殊性を勘案せられたいとの趣旨であり、日程第九は、薪炭手当について免税措置を講ぜられたいとの趣旨でありますが、政府において検討せられたいと考えられ、日程第十は、国民金融公庫、中小金融公庫等への融資ワクを増額し、中小企業の育成をはかられたいとの趣旨であり、日程第十一は、電気機械工業固定資産償却について特別の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、日程第十二は、東京小岩町元陸軍小岩第一大隊跡の土地、家屋の所有権の明確化について善処せられたいとの趣旨であり、日程第十三は、福島太田葉たばこ仮収納所を廃止せず存続せられたいとの趣旨であり、日程第十四は、福島県安達郡東和村に葉たばこ収納所を新設せられたいとの趣旨であり、日程第十五は、旧朝鮮銀行及び旧台湾銀行の預金について、一部支払われた歩、その全額についてすみやかに支払う等の措置を講ぜられたいとの趣旨でありまするが、それぞれ妥当と考えられます。よって以上二十件は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  35. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時十一分散会      ─────・───── ○本会議に付した案件  一、日程第一 国務大臣演説に関する件  一、日程第二 北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条件の批准について承認を求める件  一、日程第三 有線放送電話に関する法立案  一、小型船海運組合法案  一、東北開発促進法案  一、宅地建物取引業法の一部を改正する法立案  一、日程第四乃至第十五の請願