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1957-05-06 第26回国会 参議院 決算委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月六日(月曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            中野 文門君            西岡 ハル君            久保  等君            鈴木  一君            奥 むめお君    委員            石井  桂君            江藤  智君            後藤 義隆君            永野  護君            平島 敏夫君            松岡 平市君            相澤 重明君            阿具根 登君            大倉 精一君            片岡 文重君            島   清君            杉山 昌作君   政府委員    内閣総理大臣官    房会計課長   土屋  昇君    警察庁長官官房    会計課長    後藤田正晴君    調達庁総務部会    計課長     梅村 知躬君    北海道開発庁企    画室主幹    柏原益太郎君    自治庁長官官房    会計参事官   石渡猪太郎君    自治庁財政部長 小林與三次君    科学技術庁長官    官房会計課長  杠  文吉君    法務大臣官房経    理部長     竹内 壽平君    法務省刑事局長 井本 臺吉君    外務政務次官  井上 清一君    大蔵政務次官  足立 篤郎君    大蔵大臣官房会    計課長     崎谷 武男君    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局司    計課長     柳澤 英藏君    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    農林政務次官  八木 一郎君    農林大臣官房経    理厚生課長   川戸 孟紀君    林野庁長官   石谷 憲男君    水産庁長官   岡井 正男君    通商産業大臣官    房会計課長   川崎 立太君    運輸政務次官  福永 一臣君    運輸大臣官房会    計課長     佐藤 光夫君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君    郵政省経理局長 八藤 東禧君    労働大臣官房会    計課長     松永 正男君    建設政務次官  小沢久太郎君    建設大臣官房会    計課長     關盛 吉雄君    建設省計画局長 町田  稔君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省住宅局長    事務取扱    鬼丸 勝之君    建設省営繕局長 小島 新吾君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    農林省農地局建    設部長     清野  保君    建設省河川局次    長       美馬 郁夫君    会計検査院事務    総局第一局長  大澤  實君    会計検査院事務    総局第三局長  石渡 達夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○昭和三十年度一般会計予備費使用総  調書(その2)(内閣提出衆議院  送付) ○昭和三十年度特別会計予備費使用総  調書(その2)(内閣提出衆議院  送付) ○昭和三十年度特別会計予算総則第十  条に基く使用調書内閣提出、衆  議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算総則第十  一条に基く使用調書内閣提出、  衆議院送付) ○昭和三十一年度一般会計予備費使用  総調書(その1)(内閣提出衆議  院送付) ○昭和三十一年度特別会計予備費使用  総調書(その1)(内閣提出衆議  院送付) ○昭和三十年度一般会計国庫債務負担  行為調書内閣提出) ○昭和三十一年度一般会計国庫債務負  担行為調書内閣提出) ○昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第二十七回決算委員会開会いたします。  本日の理事会において申し合わせました事項について御報告申し上げます。  本日の大体の日程のことを御相談したのでありますが、本日は三十年度、三十一年度予備費関係国庫債務負担行為について、各省庁についての質疑を行いたいと思います。しかし大体時間は一時間程度で次の問題に移りたいと思います。  次の問題は、太田川の河川改修工事に伴う補償金に関する件でありまして、これは先般の委員会資料提出を求めてありましたのが、これが参りましたので、その資料に基いて説明をし、また質疑をするということをきめました。  なお、都道府県の会計経理に関する点、これは福岡県に関する問題でありますが、前回の委員会では、ちょうど本会議開会がございましたので、この問題に触れないで済んだのでありますので、これは次の委員会のときに自治庁から事情を聞き取るということにきめました。  以上の通りきめたのでございますが、理事会の申し合せの通り決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ではさよう決定いたします。  それから次は、今週の金曜日のこの委員会日程でありますが、予備費関係国庫債務負担行為につきましては、この次の委員会で議了をいたしたいと存じますりそれから引き続きまして、先ほど申し上げましたように、福岡県の問題について事情を聞き、また質問をする、それから太田川の河川改修工事に伴う件につきましては、きょうの説明質疑によりますが、もし今日議了しませんでございましたならば、この次の委員会でもこの問題について取り扱うということにいたしたいと思います。  以上、理事会できめました通り異議ございませんければ決定したいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ではさよう決定いたします。   —————————————
  5. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その2)  昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その2)  昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使用調書  昭和三十年度特別会計予算総則第十一条に基く使用調書  昭和三十一年度一般会計予備費使用総調当(その一)  昭和三十一年度特別会計予備費使用調書(その一)  以上六件並びに  昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書  昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為調書  を一括して議題といたします。  本件に関しては、足立大蔵政務次官八木農林政務次官福永運輸政務次官小澤建設政務次官宮川大蔵省主計局次長会計検査院からは大澤第一局長が出席されております。また各省からは担当の政府委員並びに説明員が見えております。  それでは以上述べました案件につきまして御質疑をお願いいたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 久保等

    久保等君 この予備費使用状況を見ますと、まあ災害復旧関係のものは除いて、その他の三十年度一般会計使用額のうちで、相当額が翌年度繰り越しされておるのです。農林省についても建設省についても繰り越しを見ておるのですが、これは一体どういう事情によったのでしょうか、それぞれ農林建設当局の方から御説明を願いたいと思います。最初農林省から一つ
  7. 川戸孟紀

    政府委員川戸孟紀君) ただいまの御質問でございますが、公共事業関係を除きましては繰り越したのはございません。
  8. 久保等

    久保等君 何を除いてですか。
  9. 川戸孟紀

    政府委員川戸孟紀君) 災害関係公共事業関係です。それ以外に繰り越しのございますのは農地災害復旧関係水産関係でございます。
  10. 久保等

    久保等君 それは幾らですか。
  11. 川戸孟紀

    政府委員川戸孟紀君) 農地関係が六百三十八万六千円になっております。それから水産、の関係が二百四十七万三千五百六十円になっております。
  12. 久保等

    久保等君 ちょっと私の質問がまずい点もあったと思いますが、災害関係のやはり復旧事業費に該当する項目だと思うのですが、今御説明があったのは農地災害と何か水産災害関係の御説明があったと思うのですが、一千三百九十二万円程度のたしか繰り越しが三十年度から翌年度に繰り越された繰越額になっているのじゃないかと思います。そうだとすると、今の両方合せて八百万円程度で全部の説明になっておらぬと思うのですが。と」
  13. 川戸孟紀

    政府委員川戸孟紀君) ただいまの数の違いでございますが、実はただいまおっしゃいました千三百九十二万二千円という数字をあとで訂正いたしまして、私が申し上げました六百三十八万六千円、二百万円は別ですから六百三十八万六千円というふうに訂正をいたしたのであります。従って六百三十八万六千円の方が正しいのでございます。
  14. 久保等

    久保等君 その事情一つ説明をして下さい、金額はわかったのですか。
  15. 清野保

    説明員清野保君) 御説明いたします。一千三百九十二万二千円の三十年度予備費繰り越しの内訳は、北海道におきますところの直轄明渠排水工事並びに山口におきますところの干拓工事のうちで阿知須地区の分、なお、開墾の代行工事といたしまして、北海道、山形の関係における岩内、白玉川地区、それぞれ例年よりかなり早い融雪水に見舞われまして、工事がそのために遅れまして、そういう理由でもって一千三百万円の繰り越しをいたした次第でございます。
  16. 久保等

    久保等君 この予備費使用決定を行なったのは、二月になってからのようですが、いわば年度末になって使用額決定せられているのです。まああと年度末わずか一カ月くらいを残して予備費使用額決定がなされたのですが、私はそういう当時の状況であれば、今言ったような事態そのものについても、相当判断がついたのじゃないかと思うので、要するに予備費をわざわざ使って災害復旧事業をやろうという場合に、せっかく予備費使用額決定しておきながら、その年度内使用できないので、翌年度に繰り越すというようなことになってくると、何かみすみす繰り越しが見越されておる。別の面で言えば、年度内にはとても使えないのだということがわかっていながら、何か使用額を、わざわざ決定したというふうに受け取れると思うのです。二月の半ば過ぎごろになって、こういう使用額決定して、しかも実際やはり使えなかったというようなことについては、何かもう少し納得されるような御説明がないと、当初使用する予定でおったが、その後事情変更があったので、実は実際問題としてそれだけの経費が要らなかったのだと、要らなかったのではない、使えなかったのだという事情変更もあろうかと思うのですが、非常に年度末押し迫っての使用額決定しておる当時の状況からするならば、それが翌年度に繰り越されるということについては、もう少し何か明確な理由がなければならないし、御説明願えるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか、農林省の場合。
  17. 清野保

    説明員清野保君) ただいま御質問になりました繰り越しをいたしました理由でございますが、なお、この閣議決定がおくれておるのであるから、当然そういうような繰り越しが起ることが予想されなかったか、こういうような御質問かと思うのですが、北海道におきますところの明渠排水工事は、例年より非常に大雪に見舞われまして、三十一年、三月の六日、七日と非常な吹雪に遭遇したことがそれの原因であります。また例年より非常に早い融雪が始まった。例年ですと、大体三月の二十日ころには融雪が始まるのでありますが、三十一年の三月の二十日ころに非常に融雪が起りまして、そのためにせっかくやりました工事が高水のために破壊する、こういうような現象が起りまして、やむを得ず一部の経費が要ったのであります。なお、この点につきましては、北海道開発庁のほか関係府県に対しましては、災害復旧予備金要求に対して完全に消化できるかできないかについて十分協議もし、念も押したのでありますが、かかる事態になりましたので、まことに申しわけないと、こう考えております。
  18. 久保等

    久保等君 次に建設省
  19. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) 建設省関係予備金繰り越し状況でございますが、お手元に配付してあります。この予備費使用調書の三十七ページが建設省関係でございまして、これが三十年度予備金使用調書でございます。これは新潟市の火災防火建築帯補助金一つございますが、これは百万円繰り越しいたしておりますが、これは新潟火災発生に伴いまする善後処置といたしまして区画整理を行いまして、それからそのあと防火帯を建設する補助金決定したのでございますが、これは例の区画整理事業というものが、審議会を作りまして、区画整理決定をいたすわけでございまして、当初予定いたしましたときよりは、審議会の発足がおくれた関係で、この年度内に全額の支出ができなかったのでございますが、工事は三十一年度の五月の半ばに完了いたしたのでございます。  それからその次に第二十二号台風関係予備金繰り越しがございます。これは三百二万円の繰り越しになっておりますが、その繰り越しのおもなる理由といたしましては、北海道関係におきまして、一月から三月にかけまして渇水期に施行することを最も適当とする護岸工事でありますとか、あるいは水制床工事等計画いたしたのでございますが、これが二月の下旬から三月の中旬にかけまして、三十一年は異常降雨、それから暖冬による早期の融雪のための出水が出ましたので、そういう自然の予想されない天候に見舞われたのと、一部は特殊資材入手がおくれた関係繰り越しを来たしたのでございます。いずれも予備金要求当時から見まして予想されなかった事態発生によるものでございます。  それからその次の三十七ページの一番終りのところにございます河川等および都市災害復旧事業に必要な経費十一億九千九百八十八万六千円のうち繰り越し額が七千四百三十六万円出ておりますが、これは予算の項をごらんになりましておわかりの通りに、直轄補助に分れておりまして、その一つのものが都市災害がございます。これが繰り越し一つの大きな原因になっておりますが、これは事業主体の方におきまして手続がおくれましたので、結局本省といたしましては承認をいたしましたけれども、完成の見込みが立たないために、年度内繰り越しをやむを得ず手続上とらざるを得なかった、こういうわけでございます。  その他はただいま申しましたような天候等関係による部分でございます。  それからあと繰り越し関係は、百三十四ページ以下にございますが、これらはいずれも天候関係でありますとか、あるいはまた用地補償予想以上の遅延でありますとか、あるいは移転補償関係とか、あるいは天候等関係で、例年より雪が早く降ってきたというような、こういうふうな関係による災害等工事繰り越し理由になっております。
  20. 久保等

    久保等君 今の御説明の中で七千四百余が円の大口が一つあるようですが、これが非常に手続的に何かおくれた関係で、年度内にせっかく決定を見た予備費使用できなかったというような御説明があったのですが、これもう少し御説明を何とか願いたいと思うのですが、この案件も何か二月のやはり十七口閣議決定したということになっておるようですが、総額で二億六千万円のらち一億七千万円程度は消化したが、あと七千万円余りが結局繰り越しになったというのですが、これなんかも金額が相当張っておるのですが、年度末ほんのあと幾十日しかない状況の中で、むしろ閣議決定での決定が非常に時期を失しておそかったために、こういろ結果になったということなんでしょうか、それとも二月の十七日に使用額決定はみたのだが、その後特殊の事情があったがために、普通の状態ならば十分に予定工事もできたのだが、特殊な事情があったので実はその年度内使用できなかったという事情なんでしょうか。その原因が一体現地工事現場における特殊な事情があって、工事がやれなかったということに原因しているのか、それとももう閣議決定なり大蔵当局等折衝等での決定が非常におくれたので、結果的にやはり年度内には実は使い切れなかった、原因がどこにあるのか、その両者のいずれにあるのか、御答弁を一つお聞きしたいと思います。
  21. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいま申しました七千四百三十六万円の繰越額の中の原因は、いずれも直轄事業がその大部分でございまして、私の方の中部地建なり、あるいは中国、あるいは九州北海道開発局関係でございまして、これらは先ほど申しましたように、自然的な気象の関係とか、あるいは資材入手遅延ということが特別の理由になっておりまして、事業主体補助金申請書による遅延というのはいわゆる都市災害部分についてであります。十六万円だけのことであります。これは非常に金額が小さいのでございますが、主としておもなる原因は自然の災害による自然の天候事情予想せざる異変に伴う工事遅延、こういうわけでございます。
  22. 久保等

    久保等君 その場所は主として何ですか、先ほどの御説明にも農林建設について、まあ北海道方面事業あたりが非業に大きく取り上げられて御説明があったのですが、この七千四百万円という金額工事はおもな場所どういったところなんでしょうか。
  23. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) この七千四百万円の工事の大部分場所は、内地の地域におきましては中部地建関係、それから中国・四国地建それが六百万円ぐらいであります。それから九州地方建設局関係が二千七百万円程度でございます。北海道関係が四千万円程度、こういうふうになっております。
  24. 久保等

    久保等君 まあ四国あるいは九州九州の場合相当やはり金額になっていると思うのですが、天候異変とか何か天災、そういったようなことで思わない支障があったといろ事情は、これは時期は年度末ごろなんですが、南方といいますか、あったかい方面地域にも何かそういった事態が考えられることがあったのでしょうか。それから北海道の場合、これは先ほど来農林省の場合にも説明があったのですが、一月から三月ごろは、これは北海道はわれわれの常識からすれば、やはり災害復旧をやるといっても、一月—三月ごろというと豪雪時期なんで、それが時と場合によってはあったかくなって解けるということもあるかもしれないが、しかしいずれにしても冬期でしかも雪が非常に積っているときのことで、大体ああいう方面年度末になってあるいは一カ月か一カ月半で仕事のピッチを上げてやるというような予定を立てること自体が私は無理だと思う。普通雪が積るようなところではなかったが、雪が非常にその年は豪雪で多かったのだというようなことだったら話はわかるのですが、北海道ですから、これは雪が一月から三月ごろはあるのが当りまえだし、またそれが時と場合によってはあったかくなって比較的融雪が多いということも考えられる事態ではないかと思うのでありますね。従って、一カ月程度の間に予算を計上してばたばたとやるといっても、年間通じて一番時期的に悪い時期じゃないかと実は思うので、何かそれが予想の立たなかった非常に悪い実は時期にぶつかったのは、ちょっとわれわれ聞いても納得しかねるのです。九州の場合にはなおさら二月から三月にどういう一体事情があったのか、もう少し何か具体的に御説明をそれぞれについてお聞きしたいと思うのですがね。
  25. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまの北海道災害につきましては、主として災害復旧は川の中の護岸工事であるとか、あるいは川に近いところの堤防の決壊であるとか、そういうのが多いのでございます。従いまして、水が非常に少い場合には付近に雪がありましてもできるわけでございます。そういう関係でございまして、さらに必要性からいいますと、四月、五月になりますと、雪解けの水がふえますものですから、そういうものは早く復旧しておかなければならぬという点が一方にございます。従いまして、現地とこの際におきましても十分検討いたしまして、普通の年ならば水がよけい出なければ護岸などの仕事は十分できるわけでございます。ところがこの年におきましては比較的雪が早く解けまして、雪解け出水が早く参ったというような事情もございまして、普通の年ならば十分できるものができなかったという状況なのでございます。それから西の方に参りましても、北陸あたり河川につきましては、やはり同じことが考えられたわけでありまして、あるいは中部地建の管内におきましても、深い山から出て来る河川につきましては、ただいま北海道で申し上げたと同じような、程度の差こそあれ、同じような事態が考えられたのでございまして、当時におきましては十分できると思いましたのが、そういうような事態のためにできなかったというのが実情でございます。そんなふうな状況で、川の中の仕事は普通の年ならばできますが、水が非常に高くてできないというのが実情であります。
  26. 久保等

    久保等君 九州の問題はどういうふうになりますか。先ほど九州地区で二千七百万円ですかの繰り越しがあったという御説明であったのですが……。
  27. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) おもなるものは北海道、東北及び中部地方の雪の深い地帯に水源を持つ河川でございまして、その他の河川につきましては、天候理由も、多少水の高いというような理由もございましたが、資材等の問題でできなかったというものが多少あるだけでございまして、先ほどの七千何百万円のうちのおもなる繰り越し原因は先ほど御説明申し上げたものでございます。
  28. 久保等

    久保等君 さっきの御説明で、九州河川関係が二千七百万程度繰り越されたという御説明があったと思うのですが、そうですか。さっきの御説明はそうではなかったですか。
  29. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の九州の問題は主として二千何百万でございますが、資材入手関係がおもでございます。
  30. 久保等

    久保等君 だからそういう問題になると、それはもう年度末を控えて使用額決定するぐらいなんですから、もうあと何日残っているか、これははっきり予想された事態なんです。従って、それが何か当然もう数日か一週間かぐらいで調達できるような物資だったのだが、何か特殊な事情があって  一カ月あるいは一カ月以上も資材入手が実は手間取ったという何かやはり事情がなければ、ただ単に資材がうまく手に入らなかったので、予算が使えなかったんだというお話ならば、これは一般論としても、年度末押し迫って、予備費を特別にその方へ回わすという予定のもとにやっていることなんですから、その資材入手手違いの起きた理由は、主としてどういうことなんですか。
  31. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 御説明がまずかったのでございますが、今申しますように、北海道北陸等の資の多い地帯につきましては、そういう出水があるし、九州におきましても天候等関係もございまして、資材買付の間に合わなかった分もございますが、その運搬等におきましても、天候工合等にも左右されまして、思う通りにいかなかったという事情があるわけでございます。
  32. 久保等

    久保等君 天候工合という簡単な一言でうまくいかなかったということでなくて、私は、天候理由ももちろん若干あるだろうが、むしろそれは、当面そういったことに関係しておった人たちか何かのやはり手違いでもって入らなかったということが大きな理由だと思うのですが、何かお天道様の工合で非常におくれたような理由にばかり言われておるのですが、もう非常に、一カ月程度あるいは一カ月以上くらいしかない年度末押し迫っての仕事をやるのですから、これはもうよほど当初から綿密な計画と、それから的確な見通しをつけながら、当然やられたと思うのです。従って、天候工合でうまくいかなかったというお話は、九州でたまたま台風時期であったので、台風にぶつかったとかということでも理由として言われるなら納得できるのですが、そういう時期でもなさそうですし、それからまた、具体的にどうこうという御説明もないので、ちょっとその点ふに落ちかねるのですが。お天道様のせいばかりなんですか。
  33. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 九州地区におきましては、二月の半ばから三月にかけて、非常に天候の悪い日が普通の年よりも多かった。それで、道路などが非常にいたみまして、資材入手が思う通りにいかなかったという状況が加わっております。
  34. 久保等

    久保等君 こんにゃく問答みたいな話ですが、どういうものを資材としては調達されようとしておったのですか。それで、それが天候工合と一体どういう関係があるのか、もう少しすっきりした御説明願えませんか。
  35. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 私どもの河川工事に使いまする材料といたしましては、非常に重量物と考えられますのは、石材がおもなものでございます。そのほかに木材等もございます。そういうものの運搬が、思う通りにいかなかったという点、それから、コンクリートを使いまして復旧をいたしますが、天候が悪いと、その養生等が非常に時間がかかるという点も加わりまして、こういう結果に相なったわけでございます。
  36. 久保等

    久保等君 何かすっきり理解できないので、やはり年度末に少し無理して、使用額決定が多過ぎたんじゃないかというような気がするのですが、会計検査院はこの問題について、三十年度の問題ですからお調べになってもいる問題だと思うのですが、どういうふうにこの問題をごらんになりますか。
  37. 大澤實

    説明員大澤實君) 予備費を使いました関係建設省所管は、実は建設検査課という方で検査しておりますので、私ちょっと担当が違いますので、本件に対しての具体的な話は何も聞いておりません。はなはだ恐縮でございますが、何とも申し上げられません。
  38. 久保等

    久保等君 それじゃ、その方は一つ次の機会にでも事情を一応お調べになって、御説明実は願いたいと思います。  それで、それじゃ別の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、この予備費使用決定を——ここに載っております案件は、いずれも二月になってやられておる問題なので、非常に年度末押し詰って決定をせられておるのですが、ただいま申し上げたように、いずれも相当額繰り越しを結果的にやはりなさざるを得ないということになっておるのですが、これが大蔵当局で予備費の支出を承認するに当って、一体どういう方針でもってこういう問題を扱っておられるのか。あるいは事務的にはよほど前からそういう要請をしておったのだが、結果的になかなかどらもスムーズに事が運ばなかった結果、手続的におくれたのだ。従ってそういったようなことも原因して、年度内に思ったように工事ができなかったのだというような影響も私は絶無でもないと思うのですが、そういう点、こういう予備費使用について、しかも災害復旧の問題等についての予備費の支出については、やはり私は厳密な査定を行わなければならぬことはもちろんですが、しかし、さればといって、非常に手間取って時期を失するということに相なっては、こういうあまりおもしろからぬ結果がやはり出てくると思うのです。そういうことについて大蔵省の方では、これらの具体的な問題等を中心にしてどういう方針でおいでになるのか。それからまた、こういったような事態にかんがみて、昭和三十二年度等の予算の編成に当って、一体各省あたりに対する督励なり、あるいはまた指示なり、そういったことを何かやられたのかどうなのか。そこらのあたりを少し今度は大蔵当局の関係の方から御説明を願いたいと思うのですが。
  39. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 久保委員の御指摘の点は、まことにごもっともな点でございまして、大蔵省といたしましては、予備費使用につきまして各省から要求がありました際は、もちろん査定は厳重にいたしますが、予備費の性質からいたしまして、できるだけ迅速に、かつ適正な使用が行われまして、効果が上るように原則的には配意いたしておるのであります。特に災害につきましては御案内のように、ここ二、三年来……、八十億円の予備費でございますが、大部分災害に、五十数億円ほど使われておるような現状でございまして、災害関係の支出が多いのでございます。災害につきましては、私どもといたしましては、やはり一日も早く災害が復旧されることが望ましい。現在、御承知のとこと思いますが、直轄事業につきましては大体二年、補助事業につきましては大体三年を目途に完成するようにいたしておるのであります。勢い御指摘のように、年度末近くになって予備費をそういう大体の率で出しますと、消化し切れぬという面が出てくるわけでございます。そこがかね合いでございまして、一日も早く復旧するように、できるだけ予備費がほかに使用の当てがなければ出したい。しかし別途繰り越しが生ずるということは、これは予備費の性質からいいまして、適当ではございませんので、やはりその辺のところは、事業実施官庁でありまする建設省でありますとか、農林省その他の関係省と十分打ち合せいたしまして、これだけの予算をつけても、果して年度内に消化が可能かということを、十分念を押してやっておる次第でございます。ただいま御指摘になりました点につきましては、まあ総額十二億程度予備費のうちで七千万円くらいの繰り越しが生じたわけであります。一件二億六千万円のうちの七千万円ということになりますと、相当大きな額の繰り越しでございまして、こういう繰り越しが生じたということにつきましては、私どもといたしましても遺憾に存じております。従来とも予備費使用に当りまして繰り越しの生じないようにいたして参りたいということは、査定の際にも申しますし、執行に当りましても、その後の進行状況はどらかということを、随時関係各省と連絡をとっておりまして、私どもの出先機関であります財務局に対しましても、予備費の性質からいいまして、年度を越して繰り越しを生ずるということのないように、十分に事業実施官庁の出先機関を御指導願いたいというような趣旨の通牒を出しまするし、またそういうことにつきましては関係省とも、本省の方において十分注意をいたしておるわけであります。ただ繰り越しを生じないようにいたしますために、また不当な使用をいたしましたり、またむだな使用をいたしますこと、これもむろん避けねばならぬ点でありまして、もちろん繰り越しの生じないようにすることは本旨ではございますが、その辺のところもあわせ考えつつやっておるような状況でございます。
  40. 相澤重明

    ○相澤重明君 大蔵省にお尋ねをしたいのですが、総額三十五億七千七百万からの予備費というものが支出された。そのうち一億百七十四万円からの繰り越し額が出た。これはまあ率直にいえば、今使用方についての意見について久保委員から言いましたが、私はむしろ予算編成上の問題にやはりどうも問題があるように思うのです。ということは、大蔵省が各省の査定に対して、やはり当初予算についてどうしても無理をやっているのじゃないか。あまり健全財政だということだけれども、実は健全財政を通り過ぎて、実際には各省があるところは仕事ができないところが出てくる。それをむしろ各省ではもうやむを得ずなって、いわゆる年度末に予備費の支出方を承認を求めてくる、こういうようなことがいわゆるしわ寄せされたのが、とのわずか一カ月か四十日の間にどさっと予算がおりてくるから、今度はそれを消化することができないというような、予算編成上の問題に私はなるのじゃないかと思うのだが、そういう点どうなんですか。どらも国民の立場から見ると、大蔵省はかたくやっておると、査定については十分国民の納税の立場を考えてやるのだといっておっても、年度末に多額な、とにかく三十五億も三十六億もの、いわゆる月割りにしていけば相当な額なだけに、そういうものから考えていくと、無理な支出をさせておると、むしろ私は予算編成上の不始末がこういう結果になってくるのじゃないか、こういうように思うのですが、あなた方はどういうふうなこの予備費の支出行為について考え方を持っておったか、その点一つ説明願いたい。
  41. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 三十五億近くを年度末近くになって予備費使用決定したわけでありますが、予算編成の問題は非常に大きな問題でございまして、私たち事務家の御返答申し上げる限りではございませんが、予算の査定に当っておる者といたしまして申し上げますと、災害関係につきましては、大体残年量につきまして、全体の財政需要のバランスを考えつつ査定いたしておるわけでございまして、過年度の分につきましての予備費支出ということは考えないわけでございます。ただ、当該年度発生いたしました災害につきまして、予算で不足する分を予備費で出すのが大部分でございます。その他一般の事務費系統になりますと、これはやはり原則的には当初予算の際に一応計上されたもの、あるいは計上されてないまでも、各省との折衝の間におきまして、予算の上で片がつきましたものにつきましては予備費を出さないという建前にいたしております。しかしながら、予備費八十億程度のものがございまして、災害に数十億出しましても、なお二、三十億の予備費が残るであろう。しかも各省の予備費要求が相当強く、かつその内容も適正である。しかも年度内に消化できるというものにつきましては、大体予備費でございまするので、大体よく災害の起りまする九月から十一月ごろにかけまして、もう災害がなくなって、もうあとは大ていは大丈夫だろうと思われましても、なお若干の余裕を持っていなければならない。そういう余裕を残しつつ各省の予備費要求を、その面から出て参りましたものを検討しつつ、もうこの辺のところで総括的に予備費支出をいたしましても、不時の用に備える予備費支出というものは起らないだろうというような見通しを立てて、大体二月か三月ごろに残ったものを出すというふうにいたしているのでございまして、相澤委員御指摘のように、予算査定の際にきびしくやられたために、それがしわ寄せになって、そのしわが年度末になってたくさんの金を出すということは、私ども予算査定に当りまして毛頭考えていないところでございます。その点御了承願いたいと存じます。
  42. 相澤重明

    ○相澤重明君 もしあなたの言うように、予備費の支出行為について大蔵省の見解がそういうふうになれば、逆に言うならば、いわゆる各省ができるだけその実績を作るために、やはり予備費というものをよけいに今度は請求をする。政治的に閣議決定をされたというからこそ、結局は先ほどのウナギ問答じゃないけれども、のらくら問答のように、大陽がどうの、天候がどらのということになってしまう。大陽が過ぎたものを、まさか扇をもって呼び戻すわけにはいかぬわけです。そういうことから考えていくと、やはり各省の予算要求に対して、それぞれ専門的な立場で査定を厳重にすれば、そうした繰越額が多くなるということはあり得ない。あなたが最初に御返事になったように、繰越額の多くなるということは、行為そのものからいって私は決していいことではないと思います。そういう点が私としては非常に誤解を招くもとになると思います。大蔵省の予備費を支出する際のそういう根本的な考え方というものを、私は各省に徹底してもらっているかどうかということがちょっと疑われるのですが、この点いかがですか。
  43. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) なかなか各省の方には、大蔵省の方でそう繰り越しが生ずるような甘い査定をされるものと、おそらく各省は期待していないと思うのでありまして、繰り越しが生じないように大蔵省が査定するであろうということは徹底していると思います。
  44. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますと、結論的に申しますというと、各省の繰越額が出たのは、実際には計画が非常にずさんであった。いわゆる予備費のできるだけ多くを、いわゆる閣議に申請をしてできるだけ取って、できるだけ使おう。しかし使い切れなかった。こういう結論に私はなると思うのであります。きわめて私は遺憾だと思うのであります。国民がとにかく納税をするためにどのくらい苦労しているかということを考えたならば、こういうふうな問題についてもっと私は謙虚な立場でやはり支出というもの、あるいは使用というものを考えてもらいたい。この点は厳重に私からその点については警告を発しておきたいと思うのであります。
  45. 大倉精一

    ○大倉精一君 三十一年度の一般会計の予備費の表を見ますというと、治安対策の強化に必要な経費、これが非常に大きな金額を占めているように思うのであります。すなわち、総理府関係で九千万円、法務省関係で同じく治安対策の強化に必要な経費、これが二千百万円ですか、この経費のうちで、法務省関係のものは半分くらいのものがまだ使用していない。総理府関係では九千万円のうち二千五百万円というのが使用していない。これは支出見込みであるというふうにこの表では載っているのですが、年度内にお使いになりましたか。
  46. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 正確なところは総理府の方から、あるいは法務省の方からお答え願った方がいいと思いますが、私どもの調査では、年度内に全部消化できている見込みにいたしております。
  47. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは非常に膨大な経費でありますが、治安対策の強化にこれほどの金を使わなければならぬ、予備費を使わなければならぬということは、結局治安が非常に悪化をするという何か具体的な見通しなり、あるいはそういう徴候が現在認められるという状況がなければならぬと思うのでありますが、そういう状況について御説明を願いたい。
  48. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 補足いたしまして法務省あるいは警察の方から御答弁があると思いますが、大倉委員の御指摘のように、特別の徴候というものはございません。ただ最近外国人の入国する数が非常にふえましたとか、あるいは在外公館の数が逐年増加いたしておりますとかいうような関係で、外国人の保護並びに外国人に関係する犯罪の防止に万全を期する必要がある。かような見地に立ったものでありまして、詳細なる答弁はそれぞれ所管庁からお願いしたいと思います。
  49. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 三十一年度の治安対策強化に必要な経費といたしまして八千七百五十万円、警察庁関係で支出を願ったのでございますが、その必要性につきましての御質疑だと思いますが、ただいま宮川次長から御説明があった通りでございますが、主としては、私の方の関係では、外事警察の整備強化、この面に経費が必要になりまして支出を願ったのであります。御承知の通りに、外事警察につきましては昭和二十七年に独立達成とともに発足をいたしまして、その後逐次強化をいたして参りましたけれども、発足早々のことでございますので、外事警察面に、われわれの立場からいたしますと、相当な穴があったのでございます。ところが他方、外事警察対象につきまして見ますというと、当初は朝鮮人の犯罪並びに朝鮮人の保護、この二つの面をほとんど対象にした外事警察でございましたが、最近内外情勢の複雑化とともに、来住する外国人の数が多くなり、従ってその保護並びに不良外国人の犯罪が相当激増をして参ったのでございます。対象として比率を考えてみますというと、ここ一、二年の間に二倍ないし三倍程度の外事警察対象の増加をみておるのでございます。これに対応せねばならぬという立場に立ちましたゆえに、昨年度大蔵当局の方に、私どもとしては外事警察を整備強化をぜねばならぬ、この経費を出していただきたいということでお認めを願ったのでございます。
  50. 大倉精一

    ○大倉精一君 法務省の方はいかがですか。
  51. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) お答え申し上げます。まず第一点の、この予備費が全部使用されたかどうかという点でございますが、これは全部使用されておりまして、繰り越し経費はないわけでございます。それから第二点の、どういうわけで予備費使用要求したかという点でございますが、これは法務省の治安機関といたしまして、御承知のように検察庁、地方入国管理官署、それから公安調査庁と、こう三つの機関があるわけでございますが、このいずれの機関におきましても、特に公安関係の調査その他におきまして、従来経費不足のために、十分その機能を発揮し得ない状況になっておったのでございまするが、御承知のように、昨年秋ごろから逐次共産圏の諸国との国交を回復するということに立ち至りまして、諸般の機能を強化充実するということの必要に迫られまして、合計二千百八十万円の予備費を承認される次第になったわけでございます。
  52. 大倉精一

    ○大倉精一君 治安対策強化に対する目標、目的というのは、今御三人の御説明を聞くと少し食い違っておる。いわゆる外国人の数が多くなって、その犯罪が多くなったから、これを保護しなければならぬという、こういう御答弁があったのですが、衆議院の方でお出しになった資料によりますと、そういうことではない、こう書いてある。「最近の治安情勢の変化に伴い、激増する警備対象に対応するため、主として外事警察を急速に増強し、また、国際共産勢力とその活動の実態を調査する必要があったので予備費使用した。」、こういうような前置きになっておるのですが、ソ連と国交を回復した、それによって何か日本の方に急速に治安状況が悪化してくるような、そういうような要素がある。こういう前提に立ってこういう膨大な経費を計上になったと思うのですが、こういうふうであれば、そういう見通しはどうなんですか。実態はどういう事実があるのか。両方の費用を合せますと、一億一千何百万円といろ、非常に膨大な予備費の支出になるのですが、その将来を予見されたところの具体的な内容について説明をしてもらいたいと思う。
  53. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) ただいま御質問のように、日ソの関係が、正式に国交を回復したということによって、直ちに現在治安が悪化しておるというようには私どもも考えておりません。しかしながら、過去のいろんな事例に徴しましても、相当いろんな事件が起ってくるであろうということは、われわれとしては予測をいたしておることでございます。従いまして、国として当然これに対応する治安の体制を整備する必要性はあろう、こういうふうに私どもは考えておるのでございます。
  54. 大倉精一

    ○大倉精一君 ソ連との国交回復、これは日本国民あげて喜んでおるわけですが、これはソ連との親善関係を結ぶということがやはり前提といいますか、そうでなければ、ほんとうの国交回復があり得ないと思う。で、これを、この予算予備費の支出を承認されたのが十二月の十八日ですか、国交回復と同時に急速に一億何千万円という、治安対策を強化するという、ここに何かソ連と仲よくしようと、おつき合いをしようという、そういうことができたその瞬間に、あたかもソ連を目標にしたようなこういう予備費を計上する。しかも何ら緊急事態がないにかかわらず、予備費を計上してまでやらねばならぬという、そういうことについて、何か割り切れないものがあるように思うのです。ですから、今あなたのおっしゃった過去の実績に徴して、火炎びんや何かを御想定になるんだろうと思うのですが、それでは今の日本の共産党の動きというものはどういうように把握されておるのか。これと、今の国際共産党との関係がどういうように変化がくるかという、こういう見通しに立っておられるのか。日本の共産党の現状と、それから国際共産党との結びつき、将来の見通しについて御説明を願いたいと思う。
  55. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 私は会計課長でございまして、(笑声)共産党の戦略、戦術等につきましては、それぞれ所管部長からお答えするのが適当かと思いますが、ただ一言、日本共産党といえども、暴力革命方式は決して捨ててはいないということだけは私は承知をいたしております。  それから、日ソの国交回復があったので親善関係を結ぶのだ、これはおっしゃる通りで、私どもも両国間に親善関係を永久に維持していくということが願わしいことだ、かように考えております。しかしながら、他方、独立の国家として、内外の複雑な国際関係の間に立って独立を維持していくというために、必要な諸般の体制を国家として整備していくということは、私は必要ではなかろうか、かように考えて実は予備費を計上したわけであります。
  56. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはやはりだれか専門家に責任のある御答弁を願わないと、一億何千万円というものはどうも納得できない。先ほどの御答弁を聞いていると、何か外国人がたくさん入ってきて犯罪が多くなった、だから外国人の身辺も保護しなければならないということになると、何かしら印象が——ソ連と国交を回復したから、あちらの方から来る連中がどうも悪いことをやる公算があるから取り締るのだという印象があって、まことにどうもまずいことになると思うのです。ですから、先ほど私が御質問申し上げたことを一つ、どういう見通しに立っておられるのか、どなたか専門的な責任のある方に御答弁願いたいと思います。いなければ、総理大臣でもいいが、(笑声)これは根本問題ですから……。これは国交回復したというのに、何か罪人扱いをするようなことはけしからぬ。
  57. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  58. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。
  59. 大倉精一

    ○大倉精一君 私に対する答弁はきょうはできないようですが、こううような準備の悪い委員会は、今後委員長の方から関係当局の方へ十分に一つ申し入れをしてもらいたいと思います。十分答弁できるように、そうしてこの委員会が具体的に運営ができるように、委員長の方としても十分それをお取り計らい願いたいと思います。私に対する答弁は、次回の委員会において具体的に拝聴するとして、この際、保留します。
  60. 奥むめお

    ○奥むめお君 ちょっと前に戻りますが、農林省建設省にちょっと参考のために伺いたいのですが、建設省で七千四百万円、農林省で千四百万円ですか——という莫大な繰越金でございますね、これはどういうふうにその後お使いになりましたのか、その年月日を金額別に知らして下さい。まず建設省から……。
  61. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 三十一年度におきましてこれは使っております。三十一年度使用をいたしました。
  62. 奥むめお

    ○奥むめお君 およそ何月にどれくらい出るものですか。
  63. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 具体的には数字を持っておりませんが、四月一ぱいにはほとんど使用したと考えております。
  64. 奥むめお

    ○奥むめお君 考えているのですか、もう少し精確に知りたい。
  65. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 四月、五月にどのくらい使ったという具体的な資料は今手元にございませんが、年度の当初におきまして、ほかの企業よりも優先的に使っておりますから、わかったといたしましても、五月の初めには全部使用したというふうに考えております。
  66. 奥むめお

    ○奥むめお君 農林省はいかがですか。
  67. 清野保

    説明員清野保君) 農林省建設省と同様に、この額の金は全部三十一年度に入りましてから、おおむね四月、または五月の初めまでに予定通り工事を終らしております。
  68. 奥むめお

    ○奥むめお君 数字はお持ちでないのですか。
  69. 清野保

    説明員清野保君) 繰り越しました額をいつ終ったかというような精確な数字につきましては持ち合せがございません。
  70. 奥むめお

    ○奥むめお君 私、きょうは予備費を問題にあげて、決算をしてこれを議了しょうとしているのでございますが、こういう特別たくさんの予備費を二月十七日におきめになって、そうしてたくさん余って、翌年度繰り越していらっしゃる。ところがその数字を明細に持っていらっしゃらないということは、非常に決算委員会に対してあなた方の態度が不まじめだと思うのです。こういう問題が私たち審議する重点になると思うのですが、いかがですか。建設省どうですか、御答弁いただけましようか。
  71. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいまお尋ねのありました資料につきましては、至急に取りまとめまして、お手元に差し上げたいと思っております。
  72. 奥むめお

    ○奥むめお君 農林省は……。
  73. 松岡平市

    ○松岡平市君 一つどうですか。ないようですから、次回までに、繰り越し予備費使用をどういうふうにいつまでに終ったかというのは、全関係官庁が次回の委員会資料をもって答弁ができるようにしてもらうということを要求しておきます。
  74. 三浦義男

    委員長三浦義男君) よろしゅうございますね。
  75. 大倉精一

    ○大倉精一君 この前の委員会でもやはりそういう仲裁が入って、そうしてこの次の委員会で十分に準備をしてということであったのですよ。またきょうも仲裁が入って、この次の委員会でと……。これは一体、決算委員会に対して当局はどういうふうに考えておるのか。予算委員会はどんどん新聞に出るから、あれは一生懸命やって、決算委員会はふうふう言って答弁しておけば、あれはちょんになるというつもりでおるのか。これではさっぱりじゃないですか。この前も今の仲裁が入った。きょうも仲裁が入った。これは参議院の決算委員会あってなきがごとしで、まことに遺憾なことだと思う。
  76. 奥むめお

    ○奥むめお君 関連して、大蔵省に伺いますが、二月十七日といえば、そのあとにもまだ閣議で決定して予備費をきめていらっしゃいますけれども——各省見ておりますとね。工事関係の費用を二月十七日に莫大な金額をきめて、それが年度内に使えるとお考えですか。それからまた、これはやはり予備費から出さなければならないものであるとお考えでございますか、この二つの問題。
  77. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 災害関係につきましては、これは一日も早く復旧をするのが筋だと思います。従いまして、予備費支出には最も適用する費目であると考えます。ただ御指摘のように、二月中ごろ等におきまして多額の予備費支出をしていることが、果して消化できると考えたかどうかということになりますと、先ほど相澤先生でしたか、久保先生でしたか、御質問にお答えしましたような考えで臨んでおりまして、一応は私どもといたしまして、年度内に消化ができる、不測の事態が起らなければ消化できると、かように考えて、予備費支出に同意いたしまして支出いたしております。かような考えでおります。
  78. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  79. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  昭和三十年度、三十一年度予備費使用調書六件と、国庫債務負担行為調書二件につきましては、まだ質疑が残っておりますので、次回に譲りたいと思います。   —————————————
  80. 三浦義男

    委員長三浦義男君) では次に、  昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書  を議題といたします。  前回の委員会に引き続き、太田川の河川改修工事に伴う補償金に関する件につきまして、質疑を続行いたします。  本件に関し御出席の方は、建設省小澤政務次官、山本河川局長、美馬河川局次長、關盛会計課長会計検査院から石渡第三局長が御出席でございます。  先般御提出を願いました資料について御説明を願います。
  81. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先般の委員会で御要求のございました資料を御提出いたしましたが、それにつきまして御説明申し上げたいと思います。これは「太田川放水路開きくに伴う漁業補償に関する資料」ということで、私どもの方から提出いたしておりますが、これにつきましては、建設省といたしまして当然お出しすべきものと、中には当然でないものとがございますが、私どもといたしましては、そういう観点に立ちまして、できるだけの資料を収集いたしまして御提出申し上げたわけでございます。  それでは資料の目次を最初にごらんいただきますと、第一番目といたしましては、当初協定の二億六千六百万円の対象人員、個人別の金額、配分基準等に関する資料でございまして、これにつきましては、建設省が算定いたしたものでありまして、当然の資料と考えておるわけでございます。第二番目は、竹本四方一の現住所及び職業に関する資料でございます。第三番目は、交付した補償金の保管状況、預金銀行等に関する資料でございます。これは向うから資料をとってありまして、それによりまして出したものでございます。第四番目は、支給済みの金額及び年月日、並びに対象者の一覧表でございまして、これは竹本四方一氏が支給いたしました金額並びにその交付の年月日並びに対象者の一覧表でございまして、私どもの集めた資料になっております。五番目は、昭和三十二年度太田川改修費における補償金計上の費目及び金額でございまして、これは先般成立いたしました三十二年度予算の中に、補償金が幾ら計上されておるかという資料でございます。それから六番目は、刑事事件の内容に関するものでございますが、これは私どもといたしまして、当然には持っておらない資料でございますが、関係方面の了解を得まして写して出したものでございます。七番目は、協定書の写し及び付属図書でございまして、これは後にも御説明申し上げますが、中国四国地方建設局長と竹本四方一氏の間に作りました協定書の写しでございます。八番目は、太田川改修の草津地区対策委員会からの報告書でございまして、これは正式に地方建設局長に対しまして竹本四方一氏からの会計報告が出ております。それから当初の補償の要求書が出ております。それから九番目は、対策委員会の規約、内規、内容等に関する資料でございます。それから十番目は、委任状に捺印した者の資料でございます。十一番目といたしましては、補償交渉当時における建設省の当事者の名簿でございます。  以上が集めることのできました全部の資料でございます。  それでは具体的に御説明申し上げますと、第一番目は、当初協定の二億六千六百万円の対象人員、個人別金額、配分基準等につきまして御説明申し上げます。初めの分は、ちょっと読みますると、「この補償金額は、導流堤の突端より二粁半径の弧に囲まれた海域を補償の対象漁業区域とし、この中には別記(一)に示す漁業権及び許可漁業、届出漁業がありこれらに対して「建設省直轄公共事業の施行に伴う損失補償基準」の規定に基いて左記の通り評価したものであって、個人別金額、配分基準は定めていない、強いて対象人員について謂うならば、これらの漁業権を所有して居る漁業協同組合の組合員数は別記(二)の通りであり、この組合員等の中から実害を受けるものが現実に補償金を受領するべき者である。」、こういうふうに考えております。「記」といたしまして、補償金を算定いたしました方法が書いてありますが、これは年平均の漁獲金額に収益率を掛けまして、それにこの放水路の放水によりまして被害を受ける被害率を掛けたものを年利回りで割りまして、その八割を補償額とするというのが、建設省直轄公共事業の施行に伴う損失補償基準の規定でございます。この式に平均漁獲金額を一億九千四百万円余りの額を当てはめ、それから収益率といたしましては〇・五、それから被害率といたしましては、その場所あるいは漁種によりまして〇・〇五ないし〇・五を採用いたしまして、年利回りといたしましては八分をとりまして計算いたしましたところが、二億六千六百万円となったのだという計算の過程を掲げてございます。  次は、別記の(一)でございまして、それは補償区域内におきます漁業権の一覧表を掲げてございます。第一は、共同漁業権でございまして、これには種別、免許番号、漁業の種類、それから漁業権者というのがございまして、それらの具体的の漁業の種類と、それから協同組合になっておりまする組合名並びにそれを代表いたしまする代表組合が掲げてございます。その二キロの区域内におきましては、ここに掲げてありますように、共同漁業権といたしましては八つの共同漁業権があるわけでございます。  次に、六ページに参りまして、第二の区画漁業権でございます。これはそこに掲げてありますように、免許番号が二百四、二百五というふうに並んでおりまして、ずっと一連番号になっておりますが、二百十四というのが抜けておりまして、二百十五までの十一の区画漁業になっております。免許の面積であるとか、漁業の種類、それから漁業権者の名前をそとに掲げてございます。  それから別記(二)におきましては、漁業組合及びその組合の員数を掲げてございます。  ただいま御説明申し上げました協同漁業あるいは区画漁業等に関係ありまする漁業権の関係組合といたしましては、そこに掲げてありまする広島市漁業協同組合からずっと大河漁業協同組合に至る十組合が関係ございまして、それらの協同組合の組合員数は、広島市漁業協同組合の千百十七人からずっと並びまして、これらを全部合計いたしますると、二千七百十二人ということに相なっております。  以上が第一番目の資料の御説明でございます。  次は、第二の、竹本四方一の現住所及び職業でございます。  一番目といたしましては、現住所でございますが、昭和二十四年以来、現住所の広島市己斐中木町二千五百三十三番地に住んでおります。なおそれまでは草津浜町の八百五番地に居住いたしておったのでございます。第二番目といたしましては、職業でございますが、広島市の漁業協同組合員として、ノリ、アサリの養殖業を営んでおります。そのかたわら草津東町七十番地の草津食品工業株式会社の代表取締役に在職しております。  次は第三番目の、交付した補償金をどういうふうに保管しておるかという一覧でございまして、昭和三十二年三月十二日現在におきまして次の通り預金をしております。預金先は、第一銀行、平和信用金庫、広島信用金庫、広島銀行、広島県厚生信用組合、山口銀行等に、順序に五十万円、五百三十四万円余り、五千二百三十三万八千円余り、三千六百二十二万円余り、それから千九十九万七千円余り、最後に百万円でございまして、これらの計は一億六百四十万三千二百九十二円と相なっております。  次は第四番目でございますが、支給済金額及び年月日並びに対象者の一覧表でございます。最初は、草津地区以外のものに対しましての支給した年月日、金額、対象者が掲げてございます。最初に支給いたしましたのが、三十一年の八月三十一日でございまして、広島市漁業協同組合長の岡垣茂氏に二百五十万円、広島市江波地区代表の柳井巌氏に六百五十万円、井口村漁業協同組合長の平井米蔵氏に二百十五万円、五日市漁業協同組合長の松岡春三氏に五十五万円、矢野漁業協同組合長の田丸一真氏に三十七万円、海田市町漁業協同組合長の今中義人氏に四十二万円、丹那漁業協同組合長の池田為綱氏に四十七万円、大河漁業協同組合長の三村明徳氏に四十二万円、日宇那漁業協同組合長加藤清太郎氏に四十二万円、広島市漁業協同組合の観音地区代表の寺田利一氏に百七十五万円を次の日付でございますが、三十一年の九月二日に交付しております。次は三十一年の九月十二日に四十五万円を坂町漁業協同組合長の三登玉市氏に交付しております。それから三十二年の二月七日に三十五万円を広島市漁業協同組合長の岡垣茂氏に交付しております。以上、合計いたしますると千六百三十五万円に相なるわけでございます。  次はBといたしまして、草津地区内にいかに交付したかということでございまして、漁業別といたしまして、漁撈、ノリ、カキ、採貝等の種類に分けまして、三十年八月十二日、三十年十二月二十五日、三十一年八月十二日、三十一年十二月二十八日の四回にわたりまして、総計三千九百七十六万八千円を交付支給いたしております。  次は、第五番目の、昭和三十二年度太田川改修費における補償金計上の費目及び金額でございます。それにつきましては、項といたしまして、「河川等事業費」という項がございまして、その中に「直轄河川改修費」という目がございます。さらにその目の細分といたしまして「太田川改修費」というのがございますが、これに四億九千万円積算しております。この内容といたしまして「用地費及び補償費」といたしまして五千五百七十三万二千円を積算しておりますが、その内訳といたしましては、五千二百万円が漁業補償、三百七十三万二千円がその他の一般の補償ということで積算しております。  次は、第六番目の刑事事件の内容ということでございまして、これにつきましては、私ども直接扱っておらないのでございまして、当然私どもが出す資料ではないと考えられるわけでございますが、この起訴状というものにつきましては了承を得ましたので、ここに提出した次第であります。起訴状は、「左記被告人竹本四方一外一名に対する業務上横領被告事件につき公訴を提起し公判を請求する」という起訴が三十一年の十一月二十一日に広島地方検察庁の検察官、検事の松田政夫氏から広島地方裁判所に提起されております。被告人は竹本四方一氏と高木美之氏という人に相なっております。公訴事実は、ここに書いてございますが、これにつきましては説明は省略さしていただきたいと思いますが、それが第一回の起訴状でございまして、第二回の起訴状が三十一年の十二月三日に、やはり広島地方検察庁の検事でありまする松田政夫氏から広島地方裁判所に提起されております。内容につきましては、やはり業務上横領ということに相なっております。  細部につきましては説明を省略さしていただきます。  次に、七番目といたしまして、協定書がございます。これを御説明申し上げますと、まず読んで参りますと、「多年にわたり折衝を重ねてきた太田川放水路開きくに伴う漁業の損失補償についてその区域並びに補償額につき左記の条件により円満なる意見の一致をみたので、後日のため協定書五通を作成しそれぞれ各一通を保有する。昭和二十九年五月十五日」でございます。契約の当事者は、建設省中国四国地方建設局長宮田隆一郎と、関係漁業者代表の太田川改修草津対策委員長の竹本四方一氏でございます。なお、立会人といたしまして、広島県知事の大原博夫氏、広島市長浜井信三氏、広島市漁業協同組合長の岡垣茂氏、広島市漁業協同組合理事小橋勘太郎氏が立会人といたしまして調印をしております。  その内容といたしましては、「記」というところにございますが、第一番目といたしましては、漁業の損失補償金として総額金二億六千六百万円を建設省より関係漁業者に交付するものとする。補償金支払いについて必要な書類は建設省要求により直ちに提出するものとする。  二番目といたしましては、補償の対象とする漁業権その他は、別紙図示の協定線内の次の通りとする。図面が、一枚おきまして、「太田川放水路付近漁業権総合連絡図」というのがございまして、協定書付属図二万五千分の一の図がついておるわけでございます。「補償の対象とする漁業権その他は、別紙図示の協定線内」というのがございますが、ここに円弧が書いてございます。円弧が書いてありますが、その中が補償の対象とする区域であって、その中には次に掲げるような漁業権がある。補償の対象とする漁業権その他は、別紙図示の協定線内の次の通りとするというふうに相なっております。第一番目といたしまして、漁業権といたしましては、さらにその(イ)といたしまして、共同漁業権が第一種一号、六号、第二種三十七号、それから第二種の三十九号並びに四十号、第三種の百五号、百六号、百十三号、こういうことに相なっております。  次は(ロ)の区画漁業権でございますが、二百四号、二百五号、二百六号、二百七号、二百八号、二百九号、二百十号、二百十一号、二百十二号、二百十三号、二百十五号ということに相なっております。  さらに、第二番目の、その他といたしまして、許可漁業、届出漁業、その他一切の損害ということに相なっております。  それから、第三番目といたしましては、補償金の支払い方法は、昭和二十九年度以降おおむね五カ年間に分割して支払いするものとする。ただし、昭和二十九年度分の支払いは六月中に行うものとするということにしております。  さらに、第四番目といたしまして、昭和二十九年五月十五日以降協定線内の漁業損失については、一切異議を申し出ないとともに、他より異議を申し出る者があったときも、本協定書調印関係漁業代表者において責任をもって解決し、建設省に対しては決して迷惑をかけないものとする。  第五番目は、建設省は、本補償支払いの上は、将来に向って太田川放水路に放水する一切の権利を取得するものとする。これが昭和二十九年五月十五日に結びました協定書でございます。  次に参ります。八番目といたしまして、太田川改修草津地区対策委員会からの報告書が中国四国地方建設局長に参っております。昭和三十二年三月十三日付で太田川改修草津地区対策委員会委員長であります竹本四方一氏並びに代行委員長の網岡登氏から来ております。これは漁業補償金現在高の報告でございます。読んでみますと、「本委員会建設省より交付を受けている太田川改修草津地区漁業補償金について現在保有している金額は別紙の通りでありますから御了承下され度く参考のため御報告いたします。」この内容といたしましては、「項目」「受入」「支払」「残高」ということになっておりますが、受入補償金累計が一億六千三十六万九千円余り、支払いの補償金が、草津以外の他地区に払ったのが千六百三十五万円、草津地区が三千九百七十六万八千円で、これは先ほどの支払いの報告書とぴたり合っているわけでございます。それから受入れといたしまして、受入れの預金の利息が、昭和三十一年十月二十二日までに五百五十四万七千円余り、それからその後三十二年の三月十二日までに四百万円余りということになっております。それから支払いといたしましては、経費の支払金額が、昭和二十五年から昭和三十一年の十月二十三日までに六百四十万八千円余り、三十一年の十月二十四日から三十二年三月十二日までに百一万一千円余りということに相なっておりまして、受入れ総額が一億六千九百九十四万円、支払いが六千三百五十二万七千円余りでございまして、残高が一億六百四十万三千円余りでございまして、さきの預金の量と合致しておるわけでございます。預金現在高証明が、「別紙各銀行証明書之通り」ということに相なっております。  以上、そういう報告が参っております。  次は、これは報告書とも考えられますし、あるいは陳情書でございますが、昭和二十九年一月五日付をもちまして建設省補償金の陳情書が参っておりますが、昭和二十九年四月三十日に受け付けたものでございます。それは「太田川改修工事施行に伴う草津地先放水口付近に於ける漁業に及ぼす損害補償額金三億五千四拾五万四千円也」、それを広島市の草津町の太田川改修損害補償委員会太田川改修草津対策委員会委員長として竹本四方一から当時の建設大臣の戸塚九一郎にあてまして陳情書が提出されております。これはその以下の表にございますように、関係漁業者といたしましては、草津、観音、江波、広島、大河、井口、五日市、その他関係の組合等も列記してございます。それで最近の漁獲数量等をあげておりますし、それから区域内における年当りの減産額等を計算いたしまして、第四番目のところに参りまして、以上掲げた資料に基いて補償要求額、(一)、二億九千二百四万五千円なり、漁業損害額といたしましてとれだけの額をまず要求しておりますし、それからさらに(二)といたしまして、金五千八百四十万九千円たりといたしまして、漁業従業者の転廃業に伴う補償として漁業補償要求額の二割を要求するということに相なっておりまして、合計いたしまして金三億五千四十五万四千円なりを書類をもって陳情の形で要求して参っております。  次は、第九といたしまして、対策委員会の規約、内規、内容等に関しましての資料でございます。まず最初に説明でございますが、対策委員会は、その前身である太田川改修工事計策草津地区同盟会が昭和二十五年四月四日設立せられました。その後昭和二十八年の十月総会を開催の結果、その名前を対策委員会変更いたしまして、対策は別記(二)に書いてありますが、役員はほとんど従前のままで継続いたしまして今日に至っております。まか、対策委員会といたしましては、補償金の受け入れ態勢を作るために二十九年の六月に配分委員会、その規約は別記口に書いてありますが、配分委員会を総会に諮って結成いたしまして、主として補償金の内部的配分調整を行うこととなりましたが、役員はほとんど重複しております。太田川改修の草津対策及び配分委員会委員の名簿は別記(三)に書いてございます。  次に、別記(一)といたしまして、太田川改修工事対策草津地区同盟会というのが最初に設立されましたが、そのときの会則が、ここに掲げてございます。第一番目といたしまして、本会は広島市漁業協同組合員の草津地区総員にて構成しております。第二番目といたしまして、本会の目的は、「県市の要望に依り広島市内に設定計画せられる太田川放水路の改修工事に懸る万々的影響を顧慮し、昔年計画せられたる既定放水路の問題を白紙に立返らしめ之が変更に必死の努力をなし地元関係漁民の永久に漁業に従事する事を以って主眼とする。」こういうふうな目的を掲げてございます。さらに、「本会は総会並びに委員会の決議に依り前項目的を遂行する」ということになっておりまして、その他におきましては、解散の時期であるとか経費の問題、それから役員の問題等が規定されております。なお、二十八年の十月に対策委員会と名称が変更されましたけれども、会則におきましてはその際改正されていないように聞いております。  別記(二)に、太田川改修草津地区漁業実害補償金配分委員会の規約がございます、これは、第一条といたしまして「太田川改修工事実施に伴う漁業損害補償区域(昭和二十九年五月十五日建設局長との協定区域)内に於ける補償金の適正なる配分を決定するを以って目的とする」、第二条は「本委員会太田川改修草津地区漁業実害補償金配分委員会と名称する」、それから事務所の位置は草津町の十九番地である。第四条といたしましては、「委員は広島市草津町地区の関係漁業者の選任する者を以って組織し其の数は十五名以内とする」、次には、委員の任期、それから委員長または副委員長の選任方法、委員長の職務。第八条には「配分に必要ある資料を得るため左の通り漁業実態調査員を置く」というふうな規定が書いてございます。その他は、事務を進める上におきましての必要な事項並びに職員の手当であるとか、委員会の事務局の構成、それから「委員会の経理の状況は総会の都度報告する」、それから「委員会運営上必要なる規定は委員会に於て其の都度制定する」、「補償金配分額の決定と同時に本委員会は自然解散するものとする」、こういうふうに解散の時期等が規定されております。  別記目におきましては、太田川改修草津対策委員並びに配分委員の名簿が書いてございます。一番上の欄に対策委員会、次に配分委員会というのが書いてございまして、その次に氏名、それから漁業を営んでいる種類、それから副業、住所等が書いてございまして、両方ほとんど兼務でございますが、しるしのない方は配分委員会を兼務していないわけでございまして、対策委員の中から配分委員を選んでいるというふうな形に相なっております。  次は、第十番目の委任状に捺印をしている者の氏名でございまして、広島市漁業協同組合長の岡垣茂さん、矢野漁業協同組合長理事の田丸一真さん、五日市漁業協同組合長の松岡春三さん、坂野漁業協同組合長理事の三登玉市さん、井口漁業協同組合長理事の平井米蔵さん、海田市漁業協同組合長理事の今中義人さん、日宇那漁業協同組合長理事の加藤清太郎さん、丹那漁業協同組合長の池田為綱さん、大河漁業協同組合長理事の三村明徳さん、仁保漁業協同組合理事代理の豊島勝一さんでございます。  次は、十一番目といたしまして、補償交渉当時における建設省の当事者が掲げてございます。これは、昭和二十六年の十二月から二十九年の五月に至る間、二十九年の五月に協定書ができ上ったのでございますが、二十六年の十二月当時から具体的の折衝に入りましたので、それ以降、協定書のでき上るまでの当事者、地方建設局の局長、庶務部長、工務部長、太田工事事務所長を掲げてございます。それから建設の本省関係といたしまして、大臣、事務次官、河川局長、同次長、同治水課長の、その期間における当事者の名前を掲げてございます。  以上、簡単でございますが、資料の御説明を申し上げた次第でございます。
  82. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上で説明は終りましたが、御質問のある方は順次御発言を願います。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の御説明の中で、数字ですがね。この前のいただいた漁業補償費支出総額単位幾らというふうになっていますね。その資料ですと一億六千三十六万九千九百三十円、今のあなたの御説明になった中で、預金総額と、それから支給済み金額ですね。今の御説明になったそれの合計とちょっと違うようですが、この点はどうなんですか。預金総額は一億六百四十万三千二百九十二円ですね、それから支出済金額が千六百三十五万円と三千九百七十六万八千円ですね、今あなたの御説明になったのは。それのトータルでいきますと、一億六千二百五十二万一千二百九十二円ということになるわけですね。これはちょっとこまかい数字の点ですが、この点いかがですか。よく御説明願いたい。  私の今申し上げているのは、あなたの今御説明になったこの預金総額ですね、保管状況という3の項の、銀行に預けておるのが一億六百四十万三千二百九十二円でしょう。それから4の、支給済金額及び年月日並びに対象者一覧表というので、A、草津地区外が千六百三十五万、B、草津地区内が三千九百七十六万八千円でしょう。そのトータルは一億六千二百五十二万一千二百九十二円ということになるでしょう。数字ですから間違いないと思うのですが……。それでこの前に「太田計画の概要」というのを、あなたの方で御説明資料を出していただいたのですが、そのときの「補償費支出額調」というのは、一億六千三十六万九千九百三十円と、こうなっておるわけです。その間のいきさつはどうなっておるかということです。
  84. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先般差し上げました一億六千三十六万九千九百三十円、これは私どもで支出いたしました金額その通りでございます。それから先ほど御説明申し上げました8番という資料で、漁業組合から報告が来ております現在高報告というのがございまして、その項目に受入補償金累計金額というのがございます。これが一億六千三十六万九千九百三十五円ということになっております。ここで五円の違いがございますが、これは漁業組合の報告をそのまま載せたわけでございまして、私の方から支払った金は五円がないわけでございます。
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 五円じゃない、だいぶ追弔。
  86. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) あるいは見当が違っておったらまた訂正いたしますが、先生がおっしゃった3と4のトータルを出しますと一億六千二百万、一方が一億六千で、二百万違いができますが、この保管状況は、これはこちらから交付した金額は、預金利子がつきますから、ですからその利子がおそらく保管状況の中には入っているだろうと思うのです。ですから保管状況とプラスしてもおそらく合わぬだろうと思うのです。そういうことじゃないかと私は想像しておるのですが……。
  87. 相澤重明

    ○相澤重明君 それならそれでいいんですが、説明の、こまかい点だけれども金銭で違いますから……。
  88. 久保等

    久保等君 との資料、今御説明願ったんですが、この8の資料が対策委員会から出てきた報告ということになっているようですし、報告されてきた報告書はこれだけしかないんですが、しかし少くとも二十九年ごろから一年に約五千万円ぐらいずつ、ずっと毎年度交付されてきているんです。私は中国四国地方建設局長の手元の方へはそういった、一年に何べん報告させるか、少くとも、一ぺんぐらいは、金銭の授受の結果に基いてどういう経理をしておるか、要するに災害者に交付をどういう方法で交付しているか、また残っておる金額がどうか、保管状況についてこれは報告をとられるのが常識からいっても当然だと思うのですが、ここへ出されてきた報告は、たまたま本年の三月の十二日に出された報告書の写しだけが一枚出ているんですが、ほかに報告書があるだろう、と思うのですが、その点いかがですか、建設省として。これはきわめて最近の簡単な報告書が出されておるのですが。
  89. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) こういうふうなまとまった資料といたしまして報告の参ったのはこれが最初でございます。
  90. 久保等

    久保等君 建設省はそういう程度でよろしいと、出してもよいし、出さなくてもいいのだという方向なので、こういう災害補償等による交付金を交付した場合における処理は、その程度の取扱いをしておるのですか。
  91. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 私どもといたしましては、正当な受領者に払った分につきましては、その内容につきましてはよく行き渡るように望み、しかもそれをよく行き渡るように努力はするわけでございますが、その内容まで立り至りまして、それをどうしろとか、あるいはその内容を無理やりに報告しろというような点は、今までとっておらないのでございますが、これは事件もありましたために、こういうふうな報告書を出して参ったわけでございます。
  92. 久保等

    久保等君 会計検査院にちょっとお尋ねいたしますが、災害補償等によって交付金を交付する場合に、もちろん災害当事者その者に直接受け渡しをする場合には、これは最終的な交付者なんですから、私はそれの受領書等がそろえば証拠書類としてはこれは全き形になると思う。しかし少くともある代表者が何百人か何千人かのをまとめてそれで交渉をやる。それに対して災害補償金を交付するという場合には、その代表者その者が的確にこの補償金というものを配分したかどうかというようなことについて、これは当然建設省としては、私は何らかの形の報告書を取るべき筋合いのものだと思うんです。そういうことについて建設省が、少くとも莫大な国費を扱っている建設省が、そういうきわめてルーズな扱いで、一方的にやってしまえば、あとは勝手にその代表者がどう使おうがこう使おうが、そういうものに対してはタッチできないんだ。報告書さえ取れない。また報告書を取るような慣習というか、そういう方式さえ確立されておらないんですか。そういうことを会計検査院として御承知なのかどうか。もし御承知だとすれば、会計検査院手続的な何といいますか、妥当を欠く点はないんだ、それでいいんだというようなお考えなんでしょうか、どうなんでしょうか。
  93. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 私どもの方としましては、正当債権者に支払っておるというところまでの検査をしておりまして、その正当債権者が団体のメンバーにうまくいくように払ったかどうかということは、精算証明としては上って参りません。ただ実地検査の場合に、正当債権者にはなるほど行っているけれども、その正当債権者に契約受領委任した各メンバーにうまく行っているかどうかというようなことは、実地検査の場合に実情を調べまして、そうしてうまく行ってない場合におきましては、なるべく一つ行政監督といいますか、そうした監督の面において所期の目的のように各メンバーに配分されるように努力をしてもらいたいということは、検査のときに申し述べているんでございます。
  94. 久保等

    久保等君 私が申し上げてお尋ねしている点は、内容はどういうふうに適正に配分せられているかどうかというところに立ち入って調査をするかしないかということは別にして、少くとも証拠書類として、書類としてでも、代表者が受け取るんですから、その代表者がさらに何百人、何千人の人に配分するんですが、それに対して、私は少くとも普通一般の民間における金銭授受の常識からいっても、お互いに事金銭に関しては受領書を取るのが当然だと思う。そうとするならば、国費について何億何千万というような多額の金額を竹本四方一氏なら竹本四方一氏に個人的にやるのでは決してない。債権者というが、それは最終的な債権者でなくて、これは単なる代表者にすぎないと私は思うんです。従って個々の災害者に少くとも支給せられて、それらからの正式の受領書というものを私は少くとも集めるのが常識でもあろうし、従って建設省としては、それらの少くとも受領書というものは、これは取りまとめた形で出す、報告を出させるというようなことは、これは常識上当然されている性格のものだと思うのです。内容に立ち入るとか立ち入らぬの問題じゃない。国費を少くとも交付したものに対して、実際に災害者が受け取ったのか受け取らないのか、それさえわからない状態で、それをただ代表者との間の授受関係で、受領書があったからそれでいいんだと、こういうことでは済まされないと思うのですがね、だから、そういう受領書も要らないのだと、そういう扱いでいいのですか。それは常識程度の、会計経理上むずかしい問題じゃなく、常識だと思います。そういう受領書さえ必要じゃないのだと、だから、極端なことを言えば、竹本四方一氏がどう使おうがこう使おうが……、悪いことをやって刑事事件になれば刑事上の責任になり追及されるが、そうでなければ、その責任は追及しようもないのだと、またその実情さえ把握する方法がなく、何に使ったか、かにに使ったか、とにかく一切無条件に、のしをつけて代表者に渡したというようなルーズな金の交付の仕方でよろしいのですか。私は刑事事件になったとか何だとかいう問題には触れておらない。そういう問題は抜きにして、一般的な災害補償法によって補助金を交付する場合、そういう扱いでいいのだということですか。会計検査院、その点はどうなんですか。害地調査とか何とかじゃなくして、報告書を少くとも私はそろえておくことぐらいのことは、これはやれるし、またやっておくことが必要じゃないかと思うのですが、どんなんですか、それも必要ないというのですか。
  95. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 検査院としましては、この被害者三百数十名から正規の委任状をとりまして、正規の契約をする能力のある者と、正規に代金を受領する権限のある者、これと契約し、これに対して支払っておりますから、これは有効な契約であり、有効な弁済であるというふうな解釈をしまして、国の支払いとしてはそこで終っておると、検査院としまして、漁業組合内部のメンバーに適正に配分されたかどうかということにつきましては、そうした国の支出について、漁業組合を検査する権限がありませんから、検査院としましてはそこまでタッチできないと、しかしながら、これは払った目的は、冬被害者に適正に、被害の金額に応じて配合ざれることが目的なのですから、あとは行政上の監督と申しますか、そうした指導の面において適正にやってもらう、こういうほかないと思っております。
  96. 久保等

    久保等君 ちょっとここの資料の中に入っておるのか、入っておらないのか知らぬですが、金銭授受についての個々人からの全部の委任状というようなものの写しみたいなものはここにはないと思うのですが、どうですか、そういったものは取ってはおるのですか。建設省にお伺いしますが、個々人から金額受領についての委任状というものは、全部から取って、そういったものをつけて……実はおそらく代表者なんです。従って五千万円なら五千万円の金を一つもらいたいというような形で交付しているのですか。
  97. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) その委任状の関係でございますが、建設省としては、この考え方が最初にもございましたように、竹本四方一氏を相手としておりますが、これは組合の代表者としての竹本四方一という者を相手にしている。漁業権はもちろん組合が持っておりますから、組合に対してこれは補償したということで、契約はこれは竹本四方一氏と、こういうようなことで了承しております。もちろん、竹本四方一氏が金を受け取りまして、それを組合内部で、各組合員に配分する場合には、個人々々から領収書は取っておりますが、これは資料として出すと非常に複雑でございますので、原本としては用意しております。
  98. 久保等

    久保等君 私の質問しているのはそうじゃなくて、まあ当初総括的な委任状というものはあるいは取っているかもしれませんし、取っているか取っていないかも御答弁願いたいと思うのですが、私の質問している焦点は、協同組合の組合長とか何とかいうそういう人間じゃなくて、実際受ける何百人かの個々人からの委任状を、しかも、かりに二十九年度なら二十九年度で五千万円受ける際に、やはりそういった人たちの委任状をつけて少くとも交渉せられる。それで建設省がそれを確認して、五千万円なら五千万円という金額を渡している。その次も、やはり二回目に五千万円なら五千万円という金額を交付する際にも、そういった委任状をつけていることを確認して金額を交付しているかどうかということなんですよ。
  99. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 建設省が交付いたしました場合には、組合長の委任と各個人々々の委任状を持っております竹本四方一に対して金銭を支払っております。
  100. 久保等

    久保等君 それでは一つ私はそれも資料で出してもらいたいのです。どういう一体委任状なのか、これはぜひ一つ、個々人の全部を出してもらうのも大へんですから、ひな形のようなものを——ひな形じゃない、二、三実例を一つ写しの形で出してもらいたいと思うのです。そういう委任状を一体何人から取ったのか。その人名もそう大して莫大な数じゃないようですから、一覧表でも作ってもらって、その委任状を出した人の一覧表と、どういう委任状を出しておられるのか。これはここでやり取りしておってもはっきりしませんから、委任状を出しておられるならば、どういう委任状を出しておられるか、それをぜひ一つお出し願いたい。  それから今の御答弁で、竹本四方一は代表者だとは言っておりますけれども、これは私は任意団体だと思うのですよ。少くとも何ら法的な根拠に基いたものじゃないので、任意的に集まった人たちが、どういう手続でか、規約は先ほどお話があったが、とにかくそういうものは法律的に公共的な性格を持ったものじゃこれは全然ないと思うのですがね、少くとも対策委員会云々という委員会は。そういうものを全面的に信用して、数億に上る国費というものを私は交付する相手方として認定した、建設省の一体認定の仕方というものも、これは非常に実は問題があると思う。これは、はなはだしい事故が起きたから結果的に論議するのじゃなくて、これから交付しようという場合にも、少くともこの対策委員長というものは、代表者とは言っておっても、果して災害者全部を包括しているかということも実は問題があって、今日も実は尾を引いているような問題が現に出ている。そうなってきますというと、任意団体じゃなく、何かの法律に基く公共的な団体かもこれはわからないわけなんです。任意団体に対しても、だれかそこらで補償金をもらいたいという人が集まって、代表者だと言ってくれば、その人を代表者だとみなして、政府は補償金でも何でも出すのですか。
  101. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまの点につきましては、建設省が竹本四方  一を選んだわけではございませんで、竹本四方一氏に漁業組合と、それから先ほどお話のありました個人の委任状もございましたので、建設省がそれを代表としたわけではございませんで、向うの委任状を持った者に対しまして金銭を支払ったということでございまして、建設省がその人を特に選んだということはございません。
  102. 片岡文重

    ○片岡文重君 関連して。ではその竹本四方一という人が正規の代表者である、この人が漁業者の正当な代表権者である、代理人であるという認定は、どういうふうにしてされたのですか。
  103. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) その場合は、基本協定の場合でございますか、契約の場合でございますか。
  104. 片岡文重

    ○片岡文重君 基本協定の場合にも、それから契約をされるならなおさらのこと、その交渉をするに当って、そもそも建設省がこの損害補償の交渉を受け付けるに当って、この交渉を進めていくために、この竹本四方一という者が正規の代表者であると認めたから、その交渉に応じられたのだと思うのですが、その正規の代表者である、この人を代表者として交渉していけば、この問題の解決にはなるんだ、こう考えられて交渉したのですから、その交渉をされるに当って、これが正規の代理人である、代表権者であると認定されたには何か理由があるでしょう。そのどういうところでこれを正規の代理人だと、代表権者だと、こうお認めになったのか、その点をお聞きしたい。
  105. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) それは、この漁業補償は、御承知のように総額二億六千六百万の漁業補償でございますが、そのうちで二億四千万近くの大部分は草津地区というところの被害者に対して参るわけでございまして、形式的には他の組合もございますが、実質上ほとんど九割近くの金銭がそこにいくことになるのであります。ですからそれはこの草津地区の補償と実質上は言っても差しつかえないのでございまして、そういう場合に、草津地区の有力者であり、草津地区の事実上のまあそういう力を持っている人を相手にいたしまして契約を締結するなり、基本協定を締結するということは、まあ現実の問題として、私どもは差しつかえなかったんじゃないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  106. 三浦義男

    委員長三浦義男君) なお、ちょっとここで申し上げますが、法務省の井本刑事局長がお見えになっておりますから、もし御質問があればそちらの方へ……。それで、また衆議院の方でもほかの委員会で出席要求があるそうですから、それをお含みの上で一つ刑事局長に御質問願います。
  107. 片岡文重

    ○片岡文重君 草津地区における実力者である、あるいはこの補償問題の解決に当り得る人である、こういう認定は一体どこからこられたのか。たとえ二円の権利しか持たない者でも、やはり権利者がたくさんあれば、これは当然それらの人々が相寄って、その分け前は別としてですよ、やはり一つの団体を構成するんでしょうから、その中で正当な代表者として御認定になったからこそ、この竹本を交渉の相手にお選びになったと思う。それが今の御答弁で、草津地区における実力者だと、だからこれを選んだとおっしゃるのだが、じゃその実力者だということはどうして認定されたのですか。
  108. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) それは協定書を最初作るときにおきましては、ここにございますように、広島県の知事あるいは広島市長、広島市漁業協同組合長と、こういう者が全部立ち会いのもとに竹本四方一氏を相手方にしていこうじゃないかというふうな従来のいきさつもありまして竹本四方一氏を選んだわけでございます。もちろん、契約のときにはそういういきさつもありますので、正式の委任状を持ってきました竹本四方一氏と契約を締結したと、こういうことでございます。
  109. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうすると市長や知事が一緒に行ったから、これを実力者とみなして交渉をし、それから委任状を持ってきたからこれを正規の代理人だと、こういうふうに認定されたということですか。
  110. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の点でございますが、先ほど御説明申し上げました漁業補償の陳情書等にもございまして、その竹本四方一氏は、その陳情書におきましても、太田川改修損害補償委員会太田川改修草津対策委員会という名前で陳情書を持ってきております。ここに示される通り、漁業補償の問題につきましては、その折衝の過程におきましても竹本氏がほとんど常に折衝に当っておられたという点がございます。その点と、先ほど申し上げました協定書を作るときにおきましても、大部分の漁業権を持っております広島市の漁業協同組合長も、しかも広島県の水産行政を持っております知事さんも、それから近くにおります広島市長も立ち会いの上でこの人と協定を結ぶことを認めておるわけです。そういう観点から竹本四方一氏は、こういうふうに協定を結ぶ相手として正しいと、しかも今度は実際に金を払う場合におきましては、正当な受領者の委任状を竹本氏は持って参ったのであります。それに対して支払いをいたしたということでございます。あとの場合は、委任に基いておりますから建設者が選んだということではございません。向うの委任を受けておるわけでございます。
  111. 片岡文重

    ○片岡文重君 関連質問ですから、御答弁が私納得さえいけば、この点は打ち切りたいと思いますが、結局は、知事や市長が同席をしてきたからということで、これを実力者とお認めになっておるということが一つと、それから陳情その他熱心にされたからということが一つのようでありますが、これは結果論であります。結果論で、出された資料から見ての結果論になりますが、この結果から見れば、この補償金の中から多額の横領をしておられる、こういうことは、すでにもうその当時何らかためにせんとする野心があったと見て差しつかえない。この表によれば、二十九年の五月にこの補償の話が、契約が成り立って、すでに二十九年十月二十五日には三十万円の金が横領されておる。二十九年十一月三十日には二十万円の金が横領されておる。こういうところから見れば、これはむしろ被害補償の運動をすることが目的であったのか、この補償金を自己のために役立てんとすることが目的であったのかさえわからないような結果になっております。従って熱心であったからということだけで正規の代理人である、正当な代表権者であるとお認めになるのは、少し金額が大きいだけに注意が足りなかったのではないかと思うのですが、いつも建設省ではそういう程度の御注意でこういう補償問題については御契約をなさるのかどうか。たとえば私がどっかの干拓の補償なんかについて熱心に運動をした、そしたらそれをすぐにこれは正当だといってお認めになるのかどうか、これははっきりと、この問題の解決にも、この竹本といろ方が重要なポイントになっておるのですから、その点をはっきり伺っておきたいと思います。納得のいくように御説明をいただきたい。
  112. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の御質問は、ごもっともな仰せでございまして、金を払ったり、その支払い契約をするときに、陳情してきた者をつかまえて、その人と契約するというのはおかしいじゃないか、こういうことでございますが、そういう点はもちろんやっていないわけでございまして、正式の漁業権に対する金の支払いについての契約は、正式の委任状を持った竹本四方一氏と契約しておるわけでございます。ですから万般の補償と同じように正当な受領者に払っておるのであります。
  113. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止]
  114. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記始めて。
  115. 久保等

    久保等君 手元に資料をいただいたのですが、この資料によると、本件、すなわち太田川改修に伴う漁業補償の問題のこの補償金の問題をめぐっていろいろと不正事件があり、すでに刑事事件になって、この資料によっても起訴せられておるということに相なったわけだ。ところがこの起訴せられておりまするのを見ますると、二名、今問題になっておった竹本四方一氏外一名が起訴せられておるということになっておるのですが、起訴せられておるのはこれだけなのでしょうか。
  116. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) この補償金関係で起訴されておりますのは、ただいまお尋ねの通り、竹本四方一氏と、それから高木美之というこの二人の方が業務上横領で起訴されております。
  117. 久保等

    久保等君 これはいずれも委員長、副委員長という人が起訴せられておるのですが、何かいろいろ新聞その他の報道等で伝えられたところによると、起訴せられた人は何か数人あったように報道せられておるのですが、正式にこの検察庁からの起訴状を見ますると二名ということになっておるのですが、目下調査中の状況にあるのか、あるいはもう捜査も一段落をして区切りがついたという状態にあるのか、その点一つお尋ねしたいのです。
  118. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 直接この太田川改修工事の件ではございませんが、との事件を調べておりまする途中で発覚いたしました他の事件は数件起訴しております。しかしながら、この太田川の補償金関係事件は、ただいま申し上げた二人の関係の方だけでございます。
  119. 久保等

    久保等君 それで捜査はもう何ですか、一応打ち切って一段落をしておるので、今庄でのところ、とにかく刑事事件になって起訴せられておるのはこれだけですべてが終っておるのだ、今の段階では、ということなのですか。
  120. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 明確になったものは直ちに起訴いたしましたが、この事件はまだいろいろ調べる点がありまして、これで全部おしまいというわけではございません。引き続いて調べております。
  121. 久保等

    久保等君 ちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが、二億六千万円に及ぶきわめて莫大な国費が代表者に建設省から交付せられ、それで交付せられた後は、建設省の言われるのにも、また会計検査院の言われるのにも、それ以後の処理の仕方については、これを追及するとか調査するとかいうことはできないのだというようなお話なのです。私はこれではしかし、一体莫大な金が代表者に交付せられて、それが問題は、真の被害者に公平に分配せられなければ、国が何のために災害補償金を無理をして出したかということの意義が全然なくなると思うのです。と同時に刑事的な問題としても、もし二億六千万円に上る金額が、現に支出せられておるのは一億六千万円程度ですが、これがどこか適当な銀行に預金せられ、預金しておれば、これは当然利子もついてくると思うのですが、そういったようなものが全被害者に公平に分配せられるならば問題はないのです。そうじゃなくて、そのうちの何十万円か何百万円か、適当にその代表者がこれを使うというような事態がもしあるとするならば、これは私は刑事事件になるのじゃないかと思うのですが、私の今の設問については刑事局長どうお考えになりますか。
  122. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 私の方でも二億六千万円余りの金のうち一億六千万円ほどが支出されておりますが、そのうちいまだに私どもの調べでは一億六百万円というものが配分になっていないで残っております。配分先がはっきりきまっておるような補償の金でありますれば、金が支出されて直ちに全部が配分されると思いますが、かような大金がそのまま残っておるというような点につきましては、私どもといたしましても合点がいかないので、この支出された金の使途先、配分先につきましては、正当な被害者に配付されたものにつきましてはこれは当然でございますが、かようなことでない方面に使われた場合には、かような場合は刑事事件にもなりかねないので、かかる点については引き続き調べております。
  123. 松岡平市

    ○松岡平市君 ちょっと刑事局長にお尋ねいたします。建設省から出された資料によるというと、向うの報告で、建設省が渡した金並びに銀行の利息、それらを積算して払ったものと残っているものでつじつまが合うが、検察庁が起訴したのには三百五十五万五千円横領した。この横領の金がどこにも報告が出てこない。これはどういうことになっておるか。想像されることは、途中でこの横領した金額を別途補てんした。これより以外に考えようはないわけですが、そういう事実があり得るのですか、ないのですか。
  124. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 私の方の、ただいままでに起訴した事案では、昨年の十一月二十一日の起訴状と昨年の十二月五日の起訴状で、合計竹本四方一氏関係の分が百五十万円が二つと三百五十五万五千円と合計六百五十五万五千円というのがあるようでございます。ただしこの報告によりますると、被害をかけた分につきましては、いわゆる弁償して、一応当事者の間では被害がなくなったというようになっておるというような報告がありますので、計算上は一応つじつまが合っておるのではないかというように考えております。
  125. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうすると検察庁の方で起訴された被害金額は弁償したという事実があるのですか。あるらしく思っていらっしゃるのですか。事実としてあるのですか。
  126. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) きょう突然のお尋ねで、詳しいこと並びに正確なことはわかりませんですが、この横領金額につきましては、弁償して関係漁業者との間に話し合いがついておるというだけの報告が入っておりますので、さだめし横領金額につきましては弁償が済んで計算は済んでおるということに私どもは考えております。
  127. 久保等

    久保等君 実はこの手元へ来ております対策委員会から建設省あての報告書に基いてみましても、建設省から交付した補償金額は一億六千万余りの金額になり、それから利息が約九百五十万円余りついておるのです。それでトータル、結局一億六千九百万円余りになるのですが、そのうち直接被害者に支給せられたという金額は、これも資料によって見ますると、合計して五千六百万円余り支給せられておる形になっておる。それで経費支払い金額という形で七百四十一万九千五百七円という金額が使われておるのです。私は問題はこれだと思う。経費支払い金額という形で二回にわたって、口数を言えば、六百四十万円の口と百万円余りの一口と、この金額が実は経費という形で支払われておるのです。問題はこの金がどのように使われたかということが非常に問題だと思うのです。従ってこれについての金額の中には、ただいま言われておった二名の刑事事件に関する金額も含まれておると思うのですが、しかしこの対策委員会自体が、私どもの手元へ今写しが来ておるわけですが、これを見ましても七百四十二万円ばかりが運動費やいろいろの形で使われておると思うのです。それから自分の会社の給与に支払ってみたり、とにかく横領着服をやっておる金額になると思うのですが、七百四十二万円というものの使途が明確に把握がせられておるでしょうかどうか、検察庁の立場では。もし即答……今即問いたすので、御用意がなければ、私は後日でも、次の委員会は金曜日に予定せられておるわけですが、その際にお答え願ってもいいのですが、この対策委員会から出た資料に基いての話なんですが、七百四十二万円かの金額、これの内容おわかりになりますか。
  128. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) ただいまの点につきましては、建設省の調べでは、確かに経費は七百四十一万円でございまするが、その内容につきましては、現地の広島地検でいかような調べをしておるかまだ報告を受けておりませんので、さっそく問い合せましてその事情を調べたいと思います。
  129. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっとこの資料についての説明を承わりたいのですが、一ページの補償金額を算定する算出方式があるのですが、これはすべての場合に適用されることでありますか。
  130. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 説明に書いてございますが、建設省直轄公共事業の施行に伴う損失補償基準というのがございまして、建設省内部でそういうものを作っております。それで直轄公共事業に伴いましての漁業補償につきましては、こういう方式をすべてに採用しております。    〔委員長退席、理事中野文門君着席〕
  131. 大倉精一

    ○大倉精一君 この場合の平均漁獲金額というのはどういうような要素によっておきめになるのですか。
  132. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは年平均、年という字が抜けておりますが、一年間の平均の漁獲金額ということでございまして、これは県の水産課あるいは漁業センサスとか、そういうふうなもの、あるいは漁業に関係のある学者等の意見を聞きまして決定したわけであります。
  133. 大倉精一

    ○大倉精一君 この表によりますというと、あなたの方の査定が一億九千四百万円になっておるのですが、陳情書の金額は四億六千七百万円という金額であって、非常に開きがあるのですが、これはどういうわけでこういう開きが出てきたのですか。
  134. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 四億六千七百万円というのは、この図面が、陳情書のあとに書いてございます図面がございますが、非常に範囲を広くとっておるわけでございますし、主としてこの範囲の問題が一番大きい要素になっておるようであります。
  135. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、あなたの方の査定の範囲というのは、これは陳情書の範囲とは違うわけですか。
  136. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 違いまして、範囲を狭くしております。
  137. 大倉精一

    ○大倉精一君 それから被害率というのが〇・〇五から〇・五、こういう工合に大きな開きがあるのですが、これはどういうわけですか。
  138. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 放水路を新しく作りまして、そこから濁水を海に放流するわけでございますが、その濁水を直接にかぶるところ、あるいは間接にかぶるところ、それからまた距離にいたしましても、遠近がございますので、それらを勘案いたしまして被害率の多少をきめたわけでございます。
  139. 大倉精一

    ○大倉精一君 この場合の被害率はどれをおとりになったのですか。数字で言って……。
  140. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この区域内にいろいろの漁業権が、先ほど御説明申し上げましたように、共同漁業権あるいは区画漁業権が幾つもあるわけであります。それで、しかもいずれも位置がきまっておりまして、放水路に対する位置が定まっております。そういたしますと、その位置並びに漁種によりまして濁水による被害度がかわってくるわけでありまして、この範囲内に入っておるという、各漁業権の損失額がその範囲に入っておるという数字でございます。
  141. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういたしますと、〇・〇五から〇・五までの間に各地域ごとに何回も計算をされて、その合計額が二億六千六百万円になる、こういうことでございますか。    〔理事中野文門君退席、委員長着席〕
  142. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その通りでございます。
  143. 大倉精一

    ○大倉精一君 この陳情書と今のような理由によって、相当生産高も違い、被害率も違うわけですが、との陳情書によって、建設省はいわゆる第一回の査定を行なったと思うのですが、建設省としては、初めから二億六千六百万円じゃないと思う。一番初めの建設省が査定されて回答した金額は幾らですか。
  144. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これにはいろいろないきさつがございまして、ちょっと長くなりますが、初めのらちは、先ほども御説明申し上げましたように、この地区は放水路を作ってもらっちゃ困るという話で、しばらくもみ合っていたわけでございます。工事の再開に対しましては、反対という空気が非常に強かった。それで建設省といたしましても、終戦後非常に洪水の被害が太田川につきまして多いので、この事業を促進しなければならないというので、地元と交渉をいたしたわけでございますが、地元は絶対反対だ——そのうちに空気が多少緩和して参りまして、補償金を示さなければいかぬというようなことがございました。しかし先ほどからも御説明申し上げましたように、補償額の算定に当りましては、まず第一にその被害の及ぶ区域と、その中におきましての被害の程度をきめるということが一番必要な要件でありますし、また困難な問題であったのでございます。そのために県の水産課並びに広島県におります水産の専門の学者等にいろいろと資料を作ってもらうしように要求もいたしたのでございますが、具体的金額といたしまして、漁業の当事者に対しまして示した金額ははっきりした金額ではございませんでした。そしてそれに対しまして、先ほど御説明申し上げました陳情書等が提出せられて参ったわけでございますが、その間におきまして、私どもといたしましては、学者の意見も出て参りますし、また広島県の水産課の意見も出て参りましたので、それらをしんしゃくし、しかも関係漁業者と折衝の結果、二億六千六百万円という全額において妥結した、こういうのが実情でございます。
  145. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体私がいろいろ聞いておるところによると、地元からは大体三億何千万円という要求があり、ただいまの県当局からの意見もあったというお話もありましたが、県当局から一の意見は二億九千何千万円とか二億何千万円とかいう意見があり、そういう観点から言えば、区域が違う、実害補償か権利補償かという問題が出てくるかと思いますが、あなたの今の御説明によると、権利補償という格好になって、一億一千万円くらいのものが出てきているのだというように聞いているのですが、その点いかがですか。  関連して伺いたいのは、こういう場合には、権利補償になるのか、実害補償になるのか。
  146. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) まず第一にこういうふうな補償につきましては権利補償であるという考えでおります。  それから一億一千万円というような金が出たじゃないかというお話でございますが、補償額の決定に至る過程におきまして、一つの試算というようなもので、そういう数字が出たということも私どもは聞いておりますが、それは具体的に漁業関係者に示して、それで折衝したというふうには聞いておりません。ただ内部的にそういう話が出て、県や市の担当者にそういう数字でお話ししたこともあるというようなことは聞いております。正式にそれを数字でもって具体的な交渉をしたということはなかったというふうに聞いております。
  147. 大倉精一

    ○大倉精一君 試算によって一億一千万円というものを一応はじいたということを聞いておるということなんですが、その当時の担当者はおいでにならぬのですか、きょうは……。
  148. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは地方の、中国地方の建設局でやっておった過程におきまして、そういうことが出たということを聞いておりますので、本日は、実際に扱った者は参っておりません。
  149. 大倉精一

    ○大倉精一君 試算によって一億一千万円という数字が出た、あくまでもこれは試算をおやりになったのですが、その試算のときは、さっきお尋ねしたところの、こういう方程式を利用して、こういう方程式でもって試算をされたのですか、試算をされる場合には。もしあなたの方でやっていないとするならば、これは広島でやろうが、あなたの方でやろうが、普遍的な方程式だと思うのですが、この方程式に基いてそういう試算をされたのだ、こう考えて差しつかえないですか。
  150. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 当時の試算は非常にごく内部的なものでありましたし、また、最終的に二億六千六百万円で妥結いたしたのでございまして、現在それの試算をどういうふうにやったというような資料は、まことに残念でございますがございません。
  151. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは私は今この資料を見て非常に疑問に思ったところなんです。この方程式でもって試算をすれば、多少金額は違うかもしれない。しれないが、一億一千万円という一応試算が出たものを、二億六千六百万円、倍以上の金額が出るというところに、これは何かの私は間違いじゃないかと思うのです。
  152. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほども御説明申し上げましたように、被害区域の問題、それから総被害額の平均の漁獲金額、あるいは収益率、あるいは被害率等の見込み方によりまして、非常にその結果として出てくる数字は変ってくるわけでございまして、ことに被害区域をどうとるかによりまして、非常に変ってくるわけでございますので、一億一千万円というかりに数字がございましても、これは区域とかあるいは被害率等につきまして非常に違っておった。算式は同じものを用いても、違うということは予想されるわけでございまして、私どもといたしましては、二億六千六百万円につきましては、こういう算式によりまして、しかも、平均漁獲とか収益率、被害率等につきましては、当時考えられる専門家の意見も十分聴取したということで、妥当なものであると考えておるわけであります。
  153. 大倉精一

    ○大倉精一君 この区域をどうするかによって違うというお話ですが、むろん違うと思います。それで、今私はここで実害補償にすべきか、あるいは権利補償にすべきかということは論じようと思わない。一億一千万円から二億六千六百万円の違いなんですが、一億一千万のときにはどういう区域で計算したのか、二億六千六百万のときにはどういう区域で計算したのか。一つ図面で御説明していただきたいと思います。
  154. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、一億一千万円というような話もあったというふうに聞いておりますが、その具体的な資料がつまびらかでありませんので、比較はできないわけでございますが、あるいは二キロというのを一キロというような範囲にいたしますると、そういうような数字が出てくるかもわかりません。
  155. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはよくあることなんですが、何キロにするとか、あるいはどれをとるとかいうようなことは、これはあとからどうでもできることなんです。金額を先にきめて、それにあとは合わして計算するような、いろいろな要素をひっつけていけば、そういう数字になる。私のお聞きしたいのは、おそらく建設省が試算をして、一億一千万というふうにお出しになったのは、官庁として、これが正しいという工合にお出しになったと思う。にもかかわらず、二億六千六百万円という、いわゆるいろいろ代表が上京したり、あるいは折衝されて、一億一千万が二億六千万にもはね上った。これはどうも私しろうとでよくわかりませんけれども、何かここに初めから間違いの起るような要素があるのじゃないか、こういうような気がするのです。私はこれまたはっきりした資料がないようですが、この試算の一億一千万円とそれから決定金額の二億六千六百万円、この計算の基礎の相違を一応具体的に説明願いたいと思う。
  156. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お説ごもっともな次第でございまして、建設省といたしましては、できるだけ補償金は少くしょうということを考えているわけでございまして、常に私どもといたしましても、それに努力いたしているわけでございますが、先ほどから御説明申し上げましたように、一億一千万円というのは、正式に話をしたものでもありませんし、それについての資料は地建に参りましてもございません。従いまして、その的確な比較をして御報告申し上げるわけに参らぬ、こういうふうに思っております。
  157. 大倉精一

    ○大倉精一君 非常に重要な点が説明が聞かれないで残念ですが、協定書によりますと、第一条ですか、第一項ですか、「補償金支払について必要な書類は建設省要求により提出する」のだということがあるのですが、肝心な資料について書類の提出は求められておりませんか。
  158. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 書類は建設省要求によりまして提出することでございまして、ここに書いてある書類と申しますのは、支払いをするときに必要な書類というふうに考えているわけでありまして、これに要する書類は、支払いに際しましては全部とっているわけでございます。
  159. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは支払いについては必要な書類を出すという、文句はその通りです。その通りですが、査定をする場合に、やはりその計算の基礎となるべきものは、やはりあなたの方で書類をとっておられると思うのです。みずからも調査になっていると思うのです。そういうようなことから、あなたのおっしゃった、一応試算をしたら一億一千万円になったという、これは公式ではないが、そういう数字が出たということも事実であります。ですから、一億一千万というときには、やはりばく然としたものではなくて、たとえば総生産額は幾らか、あるいは利益率が幾らか、何々は幾らだ、こういうものを掛け合わして、足し合わした、そうして一億一千万円という数字が出たのだろうと思います。それを今度は代表が上京して相談をする、そういった場合に、二億六千万円という数字を出すためには、また何か変った資料なり、あるいは計算の基礎に基いて計算をされなければならぬと思う。そういうものが私はあると思うのだ。
  160. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 二億六千六百万円につきましては、建設省といたしまして計算した資料はございます。ただし、これはまだ支払いも完了いたしませんし、それを公表する段階になっておらないわけでございます。
  161. 大倉精一

    ○大倉精一君 観点を変えて、今のお話は、公表できないというのはどういうわけですか。
  162. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これはまだ支払いの進行中でございますし、先ほどもお話がありましたように、分配の問題等につきまして、それをやったために支障が起きるというようなことも想像されますので、発表しない方がいいと考えているわけでございます。
  163. 大倉精一

    ○大倉精一君 きわめて不明朗だと思う。その計算の基礎を発表したら支払いに支障をきたすということは、何か食い違いがありはしませんか。そういうようなものこそガラス張りにして、こういう計算の基礎でもって二億六千六百万出ました。でありますから、このお金を差し上げますから、公平に分配して下さい、こうなって、受け取る者も、なるほどこういうことで二億六千六百万円になったのか、こうなるわけですが、公表すれば支払いに支障があるというのは、どういうわけで支障があるのですか。
  164. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 建設省から支払いをするときには、別にそういう点も考えられませんけれども、そのために分配等におきまして、支障があるということになりますると、さらに拍車をかける心配もありますので、そういうことにしているわけでございます。
  165. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はこういうものは全然しろうとでわかりませんが、そういうものを発表してどうも分配に支障があるという、どういうことなんですか。具体的に、たとえばこういうのがあるという、どういう場合があるということを説明してもらわぬと、われわれどうもしろうとにはわからぬのです。
  166. 鈴木一

    ○鈴木一君 関連。むしろ個々の人に対する配分の計画ができなければ、建設省の方としても金の支払いをしないというくらいまでやっていかなければ問題が起るだろうと思う。問題がむしろ起るような形において建設省は金を払っておるというふうにわれわれは見ているのですけれども、個々の金を受け取る人たちに対して配分計画ができて、そこで払うのが至当だと思うのですよ。それを内訳を公表すれば配分計画に支障を来たすというのはちょっとおかしいと思うのです。
  167. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 支払いをそれじゃなぜ基準がきまらないうちに払うかということでございますが、先ほどからいろいろ御説明申し上げておりますように、正式の委任を持って参ったものに対しましては払うことを拒むわけにはいかないということで払っておるわけでございます。それから先ほどちょっと話がこんがらかったような観点がございますが、一億一千万円というのは、ほんの内部的にそういう話が出たというような程度のものでございまして、それの算定の基礎は今どうしてもつかむことができないのでございます。それから二億六千六百万についての、お前らはどうして払ったかということにつきましては、しっかりした基礎がありまして払っておるわけでございますが、それについては今公表はしばらく待ちたい、こういうふうに考えております。
  168. 大倉精一

    ○大倉精一君 待たなければならんという理由を聞いておるわけです。一億一千万円にいたしましても、つかみ勘定で一億一千万円、国費を使うのにそんなばかなことはないと思う。やはりちゃんとした計算の基礎があって一億一千万円になったと思う。それから二億六千六百万円もそうだと思う。それはおのおの不正だとか、不当だとか、そういうことを言っておるのじゃない。経過が明らかになればいい。ただその計算の内容を今公表すると配分に支障があるということでは、どうも私は納得できない。
  169. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今二億六千六百万円の基礎と言いますのは、建設省がこれを支払いするに当りまして作った基礎でございまして、漁業組合はそれによってこの契約を作ったわけじゃございません。ですから、漁業組合側に立ちますと、それは関知をしない書類でございまして、そういう点で申し上げたわけであります。
  170. 相澤重明

    ○相澤重明君 全くもう話がこんがらがって、わからなくなっちゃうのですが、漁業組合の方が建設省に補償要求額というものを提示しておりますね。太田川改修工事に伴う草津地先放水口附近における漁業に及ぼす損害補償要求額というものは、漁業損害額二億九千二百四万五千円、関係水域における年当生産高四億六千七百六十八万五千円、漁業従業者の転廃業に伴う補償として漁業補償要求額の二割の五千八百四十万九千円、こういうようなもので三億五千四十五万四千円、こういうものを出したのだけれども、先ほどあなたの説明では、一つの算定基準を作って二億六千六百万円を出すことにした、こういうことなんでしょう。そうすると、漁民の要求をした金額に対して、こういう考え方で二億六千六百万円というものは、建設省は妥当なものと認めるということになると、その基準というものは当然あるわけですね。それをしなければこれは納得しないでしょう。要求といわゆる査定をしたものと違うのだから、あなたの言うようにこれは漁民を納得させる、協力をさせるというには、当然建設省がきめたのを理解をしてもらわなければ、これは納得できないと思う。そういう点がどうして発表できないのですか。それをちょっとお尋ねしたいのです。この資料に基いて私は聞いているのです、よ。
  171. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 私ども普通補償の場合におきまして、大体の考え方といたしましては、補償はトータルの金額としては一億なら一億という数字は基本的にはきまりますが、ただその内部の配分の問題が非常にありまして、問題になるのはその内部の配分があらゆる場合に問題になるのであります。ですから、その内部の配分が最終的にきまるまでは、対外的には今局長が申し上げましたように、そういうことを顧慮いたしまして、便宜的には発表しないというふうな方針をとっております。この場合におきまして、もちろん私どもが積算した方針は、その資料の一にございますが、これは御承知のように各権利別、漁業組合別に出しておりますが、ただそういう権利別の間とか、あるいは許可漁業者、届出漁業者と各権利の漁業権との間というふうに、いろいろな数字がございまして、これが今直ちに部外に出ますと、今いろいろ委員会を作って配分をやっている最中でございますが、そういうところにあるいは影響するのじゃないかというふうな点も考慮されますので、その点は、具体的な点になりますと、道義的に発表を差し控えた方がいいのじゃないか、そうした方が私どもも今後これは補償がまとまる上におきまして、非常に円滑にいくのじゃないかというふうに考えている次第でございます。
  172. 相澤重明

    ○相澤重明君 何か答弁が奥歯に物のはさまったよらな気持で困るのだが、あなたの方で出した資料ですね、この中に漁民はこういうものについてどれくらいの損害を見積り、このものについてどういうふうに生活補償を要求するという具体的な事項があがっているわけです。それで総額幾ら要求したいということを言っているわけです。そうすると、そのまま出せばもちろん漁民は喜ぶでしょう。しかし建設省の方はそうはいかないから第一表にあるように、先ほど大倉委員が言ったように算出基準というものを作った。ところがそれを作るには、それでは漁民の要求している項目について、どれは削らなければいけない、どれは減額しなければいけない、こういうことは当然あなたの方でお考えになっていると思う。そういうことが具体的に算出基準の中に入っているからこそ、今減額されているわけです。減額されたものは、そういう基準を作って当然二億六千六百万というのが出なければ、これはつかみ取りで、それじゃしょうがないから、あらかじめともかく話はしたけれども、なかなかまとまりそうもないから一つ一億一千万で、うんと値を安くして話を持ち込んだ。ところが一億一千万では漁民は納得できない。それでだれか第三者を入れて、そこで一つ政治折衝しようということで一億ぐらいふやしてやろうかという格好で金額をきめたのですか。そういうふうにしか受け取れない。これで、あなたが今説明された資料の中に、漁民の要求の考え方が出ているじゃないか。しかも漁民の要求はそっくり容れられないけれども、第一表による算出で二億六千六百万というものを作った。こう言っている。その作ったというのはどういう基準かということを発表しろというのだから、だれが聞いても発表できないはずはないのです。発表すると困るというのはどういうことか。いま少しざっくばらんに、話を私らにわかるように、これは与党も野党もないです。皆聞いている人たちがあなたの説明ではちょっとわかりかねると思うのです。その点いま少しわかるように御説明願いたいと思うのです。
  173. 鈴木一

    ○鈴木一君 さっきの次長さんのお話を聞いていますと、大体この件についてはどれだけの補償金を出すというつかみ金を与えておいて、あと配分は下の方にまかせるというようなことで、建設省の補償は今までしているのですか。たとえば総合開発の関係のダムの工事とかいろいろありますね。そういうものは皆そういうふうにせられているのですか。そういう形で出しているのですか。
  174. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) そういうことではございませんで、いろいろ皆正確な積算に基いて出しております。
  175. 鈴木一

    ○鈴木一君 あなたはつかみ金を出してあと適当に配分してもらうのだ。従って基準を出せば配分の際とにかく問題が起るから、今のところ言えないというふうに言われたと思う。私はこれについてちょっと思い出すことがあるのですけれども、秋田県の鎧畑というところのダムの工事をやったのです。ところが水没する農民からいろいろ補償金額が少いというので苦情が起った。私いろいろ調査してみて、ほかの藤原ダムとかああいうところの基準と比べて、たしかにいろいろな全部の項目について金額が、単価が少いのです。それでうるさく質問書を出したりかけ合ってみたところが、現地の方の事務所長が、おれの方でももっと出していいつもりであったけれども、あまり議員なんかに頼んでわいわい言うから出しにくくなった、あまり上の方からやらないでくれというふうなことを被害者たちに話があって、結局三百万円か何かこれはあとで出していただいて、一応それでおさまったのですけれども、その経過を見ても、何かうるさいやつがおってわいわい騒ぐか、あるいはあらかじめ相当政府に顔のきくような者がおって、もう少し高く出せというようなことでもあると、結局高く出すというようなことで、非常に補償の積算があいまいなやり方をしているのじゃないかというような疑惑を持つのですよ、今までの自分の体験からして。それじゃうまくいきっこないですよ、この補償問題は。ですからやはり補償を出す金額を積み上げていくその積算した具体的内容をはっきり示して、これによってこれだけの金額が出たのだということであれば、分ける方も簡単だし、何もそこに問題が起らないし、一億六千万の金を出して、一億も銀行でぶらぶら遊んでいるというようなばかげたことも私はなくて済むだろうと思うのですよ。どうもやり方がボス的というか、実際被害を受けた人たちの立場をほんとうに親切に考えてやっていないのじゃないかというような気がするのですね。
  176. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 私の説明が非常にすげないということでございましたが、漁民から出ておりまする三億五千万円は、これを基礎にいたしまして、私どもが一々査定したということではございません。御承知のようにこの漁民が出した計算を見ますと、年間の全被害額を基礎にいたしまして、これの一年分と、それからその二割に相当する転廃業補償金ということで三億五千万といろ考え方をとっております。私どもの考え方はそういうことをとりませんで、まあ現在各省が行なっておりまする公共事業の補償というふうな例の算式に基きまして、年の漁獲生産高を基準といたしまして、そいつについていろいろ被害率とか収益率をかけまして、その十年分というふうな計算をいたしておりまして、一々その漁業組合から出した数字を査定して積み上げていったものではございませんから、そのところは御了承を願いたいと思います。
  177. 相澤重明

    ○相澤重明君 だからそれを基礎に査定しなくとも、漁民を納得させる考え方が建設省になければ、幾ら事業に協力してくれといっても協力できないじゃないですか、そうでしょう。問題はその事業建設省はスムースに一つ行うために、それでは漁民の人の要求額全部にはいかないけれども、何とかできるように一つこういう程度千話し合いをつけてくれ、こういうのがきまった額でしょう。そういうものはこういうふうにしてこの金額というものがきまったということの説明ができないということは、どうしてもちょっと話がぼけてしまって、何を言っているのかわからぬということになるのですよ。そういう点を僕らとしてははっきりしてもらいたいと、こう言っているわけですよ。  それからこまかい点ですが、さっき私は数字的なことをちょっと申し上げましたけれども、この金銭の、預金等の問題についても利子の問題もあったようですが、これは一般の銀行に預ける場合と、金庫に預ける場合と、そういうようなものの先ほどの検察庁から指摘されている事項、あるいはすでに返済をしたというようなことも言っておったけれども、そういうものについてもまだ具体的に出ていないのですね、だからそういうこともできれば資料を私は提出してもらいたい。一番肝心なのはなぜこれの基準というものが説明ができないのか、そういう点をここで一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  178. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) どこまでも基準はこの第一項にありますように、平均漁獲金額を出しまして、それに収益率、被害率を勘案いたしまして、それを資本還元するという考えでございまして、全体で申しますと一億九千四百万円で、年平均漁獲金額がそうだということで計算しておるわけでございまして、全般的に申しますると、これが算定の基礎でございます。いずれの地区におきましても、こういう方法をとっておるわけでございます。
  179. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは今どうも私の質問に私が了解できる答弁でないのが残念ですが、これは私は何とか答弁できる方に来てもらって、してもらいたいと思うのです。  それでもう一点お伺いするのですが、補償金現在高報告というのが出ておるのですが、これは報告をとりっぱなしでなく、どらも内容に疑問をもっといった場合には、やはりその内容について、建設省なり、あるいは出先の地方の建設局なりが調査なさるのですか、これは報告のとりっぱなしなんですか。
  180. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほども御説明申し上げましたように、こういう内容の問題につきましては、私どもといたしましては、それを強制的にとるという権限に基くあれはないのでございますが、必要とあるならばそういうふうな資料を出すように求めます。ただし、それは先方といたしまして応ずるか応じないかということは、また別の問題ではないかと思いますけれども、必要と考えるならばとるように話はいたしたい、こういうふうに考えます。
  181. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは私がしろうとでふっと見てピンとくることなんですが、経費支払金額が合計七百万円になっているのですね。こういう経費まで補償金として支払うのですか、建設省は。この経費はやはり補償金の中に経費を見積って補償金を支払うのですか。
  182. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 補償金は漁業の実際の実害を算定いたしまして、それに対して補償を支払います。
  183. 大倉精一

    ○大倉精一君 この報告の中に七百万円という相当膨大な経費——こんな経費が要るわけはないと私は思うのですが、その経費、か補償の対象になっていると思う。事実上大ぴらに報告されておる、これは不問に付するわけですか、これは補償の対象になっているわけですか。
  184. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 私どもといたしましては、補償は先ほど申し上げましたような漁業の実害を補償してやっておるわけでございまして、これをどういうふうに使っているかということは、先方の内部の問題でございますので、これについて私どもが権限を持って干渉するというようなことはできないわけでございます。
  185. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは十分権限を持って干渉してもらわなければ困る。明らかに向うから七百万円経費に使いました、こう言ってきているのですね、これはあなたの方でやはり干渉できない分野ですか、これは国家の金です。
  186. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これを支弁したために補償金がふえるということじゃないわけでございまして、従いまして私どもといたしましては、できるだけ正当に使わなければならぬということは考えておるわけでございますが、どういうように使えというような点につきまして指図——指揮監督するというようなことはできないわけでございます。
  187. 大倉精一

    ○大倉精一君 補償金を補償として使うときには、これは先方の方で配分の技術はいろいろあるでしょう。が、しかしながら経費というものは、これは実際に経費が要るものなら、補償金以外に費用を捻出して経費に使う、それを補償金の中から七百万円という膨大な経費を使っておる、その報告を受けておるにもかかわらず、あなたの方はこの使い方については何ら干渉しない。こちらに三十万円、あちらに五十万円使っておっても、これは経費経費です。あるいは料理屋で相談する金を払う、それも経費だ、そういう料理屋で相談する経費補償金の中から出されては、国民はたまりません。しかもあなたの方に報告されておって、これに干渉する権利がないとおっしゃるのですか。
  188. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) これは直接こちらから交付した金から支払われるのではなくて、ここの補償金は、この対策委員会の内部の会計を示しておるのでありまして、預金利息がありますから、その預金利息を関係者の総会で承認しまして、適当な事務費として使うということは、私どもはそれは差しつかえないのじゃないかというふうに考えております。
  189. 大倉精一

    ○大倉精一君 この預金利息も補償金の中から出てきたものです。そしてあなたの方の計算では、計算の基礎が利息どれだけとあるでしょう。ちゃんとあるじゃないですか年利回り〇・〇八、こういう係数にかけ合せて補償金が出ている。その補償金の中からやはり出すのでしょう。当然この〇・〇八という年利回りの利息も補償金として還元されなければならない。それを十百万円もの大きな金を使って、それはそういうところから使うのは差しつかえないとか何だとか。これは総会の承認を得るかどうかということが書いてありますね。書いてありますけれども、それにしても十百万円という経費が要るものかどうか、一応疑問を持たざるを得ないじゃないですか。
  190. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) 実は最初協定を結びましたときに、二億六千六百万円五カ年で支払う。それによって今後苦情を言わないというようなことでありまして、建設省といたしましてはその二億六千六百万円を五カ年で払うということで解決しているというふうに考えております。
  191. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも今日の答弁は納得できません。また仲裁に入ってもらわなければならぬかもしれぬが、どうもこう疑問が次から次へ出て来る。であるからして漁業組合がどうこうということは、これは民間団体ですから、ここで取り上げるべき問題かどうか、これは刑事問題になっているから。この決算委員会としてはこういう疑問がたくさんある。こういうものに対しまして、その決定された経過なり算定の基礎なり配分のの実態なりというものをここで明らかにして、それでこれは不当じゃなかったか、不当であったか、これはこうした方がよかったといろ結論が出るのが、それの説明ができない、公表できない、支障があるというのでは何のために審議したのかわからない。委員長どうしますか、これ……。
  192. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  193. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。
  194. 大倉精一

    ○大倉精一君 これ以上ここで質問をしても出ないと思いますので、参考のために次の資料を出してもらいたいと思います。一億一千万ないし二億二千六百万、との算定した経過並びにその内容、使途について資料を出してもらいたい。  それから総会の承認を得たという七百万円に及ぶところのこの経費及び使途内容、これを一つ出していただく、この二つの資料要求します。
  195. 相澤重明

    ○相澤重明君 次いで銀行預金利子の資料、これも出していただきたい。
  196. 久保等

    久保等君 ここへ出してもらった資料で、実はこの前委任状を取った、その写しを出して下さいという話だったんですが、ここへ羅列して誰あてにいつ委任状を出したのだか、こういうずさんな資料を出してもらったんでは、われわれはどの程度信頼していいかわからない。ここへ出したのは先ほど私が出してもらいたいと言った資料にも関係がある。これには特に代表者と目される十名前後のものがあるが、これについては日時がいつなのか、一体どういったことについて委任状を出しているのか、委任状を書いただけでは内容がわからない。だから委任状の内容をつけてもらうこと、それから先ほど申し上げたのは、その業者の、一枚々々は要りませんが、名前と、一枚だけはどういう内容になっているか、これは写しを出してもらいたい。従って、それは日付をつけてもらわないとわかりませんから、そういうことを一つお願いしておきます。  それからこれは一番最初のところの資料になりますが、例の一億九千万円という金額、あるいは大倉君が要求しておれば私けっこうですが、建設省でもって一億九千四百余万円の平均漁獲金額ということを算定しておられるが、これが一体どういう、十年間のどういう具体的な積算に基いてこの金額が出たのか、この積算の基礎を明らかにしたものをお出し願いたいと思う。  質問は私時間がございませんから省略いたしますが、資料だけにとどめます。以上です。
  197. 三浦義男

    委員長三浦義男君) それではもろ時間もだいぶたちましたから……
  198. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) ただいまお示しになりました資料は、あとう限り早く集めて提出したいと思いますけれども、先ほど申し上げました一億一千万、前の補償費の一億一千万の内容でございますが、これは先ほども河川局長が申し上げました通り、試算の過程でこういうことができましたので、今となりましてはこれに対してどうということは、私は地検に参りましてもないと思います。  それから二億六千六百万の問題でございますけれども、これも先ほども申しましたように、ただいま松岡委員から言われましたように、補償が進行中でございまして、算定した基礎とそれから配分の基礎とが別々でございますから、これもお示しすることは、あるいはできないのじゃないかと思います。  それから経費の問題でございます。それから預金利子の問題でございますが、これは向うに問い合せまして、あとう限り集まれば集めたい、そういうふうに考えます。
  199. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうすると、今の一億一千万円、二億六千万円というものの計算の内容はわからぬわけですか。
  200. 三浦義男

    委員長三浦義男君) わからぬと言っております。
  201. 大倉精一

    ○大倉精一君 わからないのじゃなくて、出すとまずいから出せないということなんでしょう。
  202. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) ないのです。
  203. 久保等

    久保等君 きょうはこの程度で、さらに推移することもできないと思うのですが、次回はぜひ一つ建設大臣並びに法務大臣に御出席を願いたいと思う。こういう問題について、一つ万障繰り合せて両大臣の御出席を特に委員長からお願いをしてもらいたいと思います。これを要望しまして私は終ります。
  204. 三浦義男

    委員長三浦義男君) それではきょうはこの程度質疑は終りたいと思います。  次回は五月十日、金曜日でございまして、昭和三十年度、三十一年度予備費使用調書国庫債務負担行為の総調書につきまして質疑、討論、採決をやりたい。  それから先ほど申し上げたように、福岡県の会計の経理についての話は、これは自治庁から一応説明を聞こうと思います。  それから今の問題の太田川の河川改修については質疑を続行する、こういうことでございまして、御了承願います。  本日は、これをもって散会いたします。    午後五時三十六分散会