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1957-09-28 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第57号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月二十八日(土曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 田口長治郎君    理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       伊東 岩男君    石坂  繁君       川村善八郎君    椎名  隆君       永山 忠則君    丹羽 兵助君       原  捨思君    松浦 東介君       伊瀬幸太郎君    石山 權作君       川俣 清音君    楯 兼次郎君       成田 知巳君    細田 綱吉君       山田 長司君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   高木 文雄君         農林政務次官  本名  武君         農林政務次官  瀬戸山三男君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     岡崎 三郎君         農林技官         (農林経済局統         計調査部作物統         計課長)    石川  里君         農林事務官         (畜産局長)  谷垣 專一君         農林事務官         (畜産局酪農課         長)      松田 壽郎君         食糧庁長官   小倉 武一君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      武田 誠三君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   中西 一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 九月二十八日  委員伊東岩男君及び内藤友明君辞任につき、そ  の補欠として松田鐵藏君及び大石武一君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農産物価格対策に関する小委員会設  置及び小委員、小委員長選任に関する件  食糧検査に関する件  乳価安定対策に関する件  農産物価格安定に関する件  はっかの輸出振興対策に関する件  消費者米価に関する件     —————————————
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議を開きます。  瀬戸山農林政務次官より新任のあいさつをいたしたい旨の申し出があります。この際これを許します。瀬戸山農林政務次官
  3. 瀬戸山三男

    瀬戸山説明員 先般農林政務次官の重職を仰せつかりまして、さっそく委員会皆さんにごあいさつをいたすべきでありましたが、ちょうど私東北地方を歩いておりましたので、大へんごあいさつを申し上げることがおくれまして恐縮でございます。  農林行政については、皆さん承知通りに全くと言っていいくらいにしろうとであります。ただ、農山漁村生活の安定をはかりたいという熱意だけは燃えております。  どうか一つ皆様の御鞭撻、御指導と今後の御協力をお願いいたします。(拍手)     —————————————
  4. 小枝一雄

    小枝委員長 本日は昨日からの農産物、特にカンショ及びバレイショ価格安定対策の問題、乳価安定対策の問題について調査を進めます。  まずイモ類価格問題について議事を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。田口長治郎君。
  5. 田口長治郎

    田口委員 私、イモ類価格問題につきまして大臣に御意見を承わりたいと思うのでありますが、まずこのイモ類価格決定を、例年は十月末にやっておられたのでございますが、決定がおそいために、決定前に農民は買いたたかれるということで非常に困っておったその事実にお考え下さいまして、今年九月末にこの価格決定される、こういうことに方針を変えられましたことにつきましては、農民として非常に感謝するところと思いまして、私どもも非常に喜んでおるような次第でございます。ただ大臣も御承知通りに、イモ作地帯イモによって生活をするというような実情のところが非常に多いのでございますから、価格決定ということにつきましては非常な心配農民はしておるのでございまして、この決定については非常な慎重を要する事柄でないかと思うのでございます。そこで私どもは、昨日も食糧庁長官とともにこの問題を研究いたしたのでございますが、この価格決定要素になる一つ一つを拾い上げまして検討をしたのでございますから、この要素につきましてよく一つ大臣に御了解を願いたいと思うのであります。  まずこの価格決定の大きな一つ要素は、本年のイモ生産量の問題でございまして、今年は生産量が昨年よりも非常に少くなっておる。これを数字的に申しますと、昨年は十八億八千六百万貫程度イモ生産されたのでございますが、今年は著しく減少しまして、十六億七千万貫程度でございまして、少くとも二億一千六百万貫程度減産になっております。この減産原因作付面積が約二万町歩少くなっておるというような、はなはだ喜ばしからざる原因によって減産をされておる。この事実が一つでございます。それから第二に経済の諸情勢を考慮してということがあるのでございますから、いわゆる物価だとか、あるいは目下澱粉商況、こういうような関係研究してみますと、物価指数日銀調査指数によりましても、昨年と比べまして今年はわずかでございますけれども上っておる、決して下っていない、こういうような状態でございますし、目下澱粉商況は、大体昨日食糧庁長官からも承わったのでございますが、千八百円程度——承知通り澱粉政府支持価格は千五百六十円と思うのでございますが、これをはるかに上回っておるような実情でございます。そういたしますと、この価格決定要素でもう一つ大きな問題といたしましては、今澱粉が四千万貫程度滞貨をしておる。この滞貨しておる澱粉を今年の、いわゆる原料としての数量に加えるか加えないか。加えるとすればどの程度加えるか、こういうことが大きな問題でございますが、私ども考えといたしましては、今年のイモは二億一千六百万貫減産をしておる。これを澱粉に換算いたしますと大体四千五百万貫程度澱粉量になる。全部が澱粉にいかない。こういうような考えからいたしまして、イモの今年の減産数量の三分の二が澱粉にいく、こういうことを計算いたしましても、とにかく三千万貫程度のものが減産されておる。この事実と今政府が持っておられる滞貨澱粉数量を比較研究してみますと、この減産した部分だけで今の滞貨澱粉は補うて余りある、こういうような観点にあるのでございますから、この滞貨澱粉はむしろ今度の減産によって減少したその分ととんとんであるというような結論になるのでございます。かりに一歩譲りまして、この滞貨澱粉を昨年と同じように二分の一だけ原料供給、こういうことに計算をいたしてみますと、二十五円四十銭、あるいは四十三銭、こういうような数字になるようでございまして、この滞貨澱粉をそのままにして全部を今年原料供給に入れてしまう。こういうようなことでおそらく食糧庁としては二十三円程度でないかという計算が出ると思うのでございますが、この滞貨澱粉については、ただいま申しますように、イモの今年の減産、この問題を考えなければなりませんし、また滞貨澱粉処置は、今までの、いわゆる澱粉界に放出するのでなしに、結晶ブドー糖でこれを消化してしまおうという考えもあるのでございますから、今食糧庁でお考えになっているような意味において滞貨澱粉を全部澱粉界に供給してしまうような考えは、誤まりと思うのでございまして、いろいろな要素を昨日来研究しておったのでございますが、いずれの要素といえども今年のイモ及び澱粉価格を昨年よりも下げる、こういう要素一つもないのでございまして、農民としては減産になっておって値段が下る。イモ生産者価格が下るのに、米は上っておる、こういうような矛盾を生ずる。要素がなしに下げるということは何といっても説明がつかないことである。こういうような実情にあるのでございますから、今年のイモ類価格問題については、かような要素をよくお考えになりまして、少くとも昨年の価格を下回ってはいかない。むしろ昨年の価格以上でなければならぬ。こういう要素ばかりでございます。昨年を上回れということは申しません、昨年の価格を下回ってはいかぬ、こういうような考えを持っておるのでございます。  さらにこのイモからできます切りぼしカンショの問題につきましては、これは大体アルコール、酒の原料に全部使用される。酒は御承知通り原料がことしは安かったから、できた酒は安く売りましょう、こういうような性質のものでありませんで、生産した石数によって税金がかかる。言いかえますと、原料を安くするということは、農民を搾取いたしまして酒屋にもうけさせること以外に何ものもない、こういうような実情でもございますし、また外貨事情からいたしまして切りぼしと競合いたしますところのマイロだとか糖蜜だとかトウモロコシだとか、こういうものをできるだけ輸入を少くするということが今の外貨事情で最も必要でございますし、また農民を育てるということにおきまして、ぜひ競合物資輸入というものは押えなければならぬ実情にもあるのでございます。酒屋の利潤ということからいたしまして、今年の事情といたしましては、切りぼしにつきましては、これも昨年よりも価格を高くする要素こそあれ価格を下げるというような要素はさらに発見することができないのでございますが、今年度の価格決定につきまして、農林大臣といたしましては、これらの言要素をお考えになりまして、いかような価格決定をされんとするか、その点を一つお伺いいたしたいと思うのであります。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただいまお話がありました通りカンショバレイショ等価格決定は九月中にいたします。あらためて申し上げます。価格決定の諸般の要素等につきましては、事務当局からもお手元に資料説明をいたしたはずでありますし、今田口委員からも詳細にわたってお話がありました。価格につきましては上げる要素もありますし、また事務的に計算して下げる要素もあります。問題は今お話のありました政府手持ち澱粉供給量の中にどの程度見ていくか、こういうところに問題があろうかと思います。これによりまして価格の点につきましても非常に左右されることになるかと思います。これにつきましてはただいまお話にもありましたような考え方を私も持っておるのであります。実は一面におきまして結晶ブドウ糖によって砂糖化する、こういうこともいずれ立法措置等をとりましてやっていきたい。というのは国内の砂糖の需給度を増していくということが一つ、それから畑作振興というような意味におきまして、イモ類あるいは澱粉等の消化という点も考え結晶ブドウ糖工業化ということも進めておるわけでございます。あるいはまた澱粉輸出というようなことも考えて、手持ち澱粉等をさばいていくということも考えておるのでありますが、これは価格決定の時期にそれが大幅に行われるというわけにいきませんので、今いろいろ考えております。これは畑作振興方策等が実現化する場合には、イモ類価格等につきましても相当の生産費を下げるなり、価格決定についてもあるいは下げなければならぬということになるかと思いますが、時期的にわれわれの考えておることと今並行しておりませんので、今の事情等もよく考えまして妥当な線で価格決定していきたい、こういうふうに考えております。
  7. 田口長治郎

    田口委員 今農林大臣は、価格決定要素が、あるものは上げなければならぬ要素があり、あるものは下げてもいい要素があるというような御答弁でございますが、私らが調査したところでは、その下げるべき要素は今年は一つもないということでございます。それから滞貨澱粉につきましては、大臣も御承知通り、昨年は、滞貨澱粉の半分を原料供給量として算定をいたしまして二十四円五十銭という数字が出たのでありますが、今年は、イモ減産によりまして、大体今政府が持っておられる澱粉滞貨数量程度がこのいわゆる減産によるものとほぼ同じ数量であるというようなこと、及び滞貨澱粉処置を今までの用途でなしに新しい結晶ブドウ糖方向に持っていくということで、これは一般澱粉価格の圧迫にならないというような観点に立つのでございます。減産は非常に不幸でございましたけれども、この滞貨澱粉考える場合におきまして、この減産数量が非常に大きな作用をする。昨年も計算には滞貨の半分だけは入れているというようなことで、今年こういうような条件下にあるにかかわらず、われわれが滞貨澱粉を半分だけ計算に入れましても二十五円四十銭程度にはなる事情でございますから、二十四円五十銭の前年の価格は絶対に下回る要素一つもない。下げる要素もあり、上げる要素もあるというようなお話でございましたが、その点はざらに一つ研究をしていただきたいと思うのであります。ただいま大臣の御答弁につきましては、私大体において満足をしておるものでございますが、その点だけを一つさらに資料によって御研究を願いたいと思うのであります。  それからこの結晶ブドウ糖の問題でございますが、このイモの問題を校本的に解決いたしますのには、どうしてもこの問題を解決しなければいかぬ。二、三年来技術的の問題につきまして研究いたしました結果が、ようやくこれを工業化するところまで大体いっていると思いますから、この点は一つ勇敢に踏み切っていただきまして、この国内資源の活用によりまして外貨の節約とイモの問題を根本的に解決いたしまして、イモ作農民生活の安定に資してもらいたい、こういうような事情まで技術的にも進んでおるのでございますから、これは一つ思い切ってその方向に進んでいただきたいのでございます。  それから価格の問題に関連いたしまして、御承知通り、このイモ生産地は非常に土地条件が悪い。いわゆる急傾斜地帯なんかに作っているのが多いのでございまして、このイモには堆肥をやりますと生産がずっと増すのでございますけれども土地条件関係堆肥を十分に使われない、こういうような事情もあるのでございますから、将来これらの地帯に対しましては、農土改良だとかあるいは共同施設でケーブルをかけるとか、あるいは品種の思い切った改良をやってみますだとか、あるいは畑地灌漑の問題を解決するだとか、農地の保全問題を解決するだとか、こういうようなことを思い切って施策していただきまして、そうして生産費の低下をおはかりになる、その場合になって初めて価格がある程度下ってくるのじゃないか。今そういう施設が何にもないのにここに値段を下げるということは、この地帯農民といたしましては、米は上り、本年不作であるのにイモ値段は下るということはどういうことであるか、どうしても了解に苦しむ、さような事情になるのでありますから、価格の問題と同時に、一つ農地条件をよくするという問題と、精製ブドウ糖に対しまして思い切って踏み切っていただきたい、この二点をさらにお願いを申しておく次第でございます。別に答弁は要りません。
  8. 小枝一雄

  9. 芳賀貢

    芳賀委員 イモ類澱粉の質問に入る前に、昨日農林大臣がお答えになった早場米地帯を主にした検査問題について若干お尋ねしておきます。昨日の大臣答弁によると、ことしの早場米地帯最盛期態勢としては、非常勤職員の増加をやるということが第一点、それから応援検査態勢を従来より強化するというのが第二点、それから出先職員に対して業務旅費とかあるいは超勤手当、あるいは宿日直手当等増額措置を講ずることによって事態を何ら混乱のないようにしたいというような御説明があったのでありますが、これは単なる抽象的な大臣の発言であって、それでは具体的に昨年度に比べてこれらの三点はどういうふうに配慮を行うかというような点をもう少し敷街してもらいたいのであります。  もう一つ問題になっているのは、現在現地食糧検査所職員が、公務員の執務規則に準じた八時半から午後五時までの執務で、一応それが正しいことであるということでやることになっておるわけですね。そういうことに対して、あたかも開き直るような形で小倉さんからまた、それでいい、そうやれというようなことが九月十四日の長官通達で出ておるわけです。そうなると、従来でさえも非常に繁忙期は十分な処理ができなかったのが、原則として五時までということでやるということを組合側も言うし、政府側もそうやれというような形のもとに置かれた場合は、大臣の言われた三点の緊急措置等もまだ十分でないと思う。そういうことになると、最盛期における態勢というものを具体的にこうするから、現地職員もまた早場米地帯農民諸君も安心してくれということになれば、内容をもう少し明確にしてもらう必要があると思うので、その点に対してお尋ねしておきます。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今お話がありましたように、私どもといたしまして三つの点を強く指示して、そういう措置をとるということで現地承知しているはずであります。昨年度と比較してということになりますると、詳細にわたりますから食糧庁長官から説明をさせたいと思います。  それから昨日も申し上げたのですが、五時で打ち切れということでなくて、五時までになるべく受付をして、そうして検査をできるだけ多くしてもらうように——それは一面においてはいろいろ体力的その他で検査員は骨が折れましょうが、農民の方でも一日も早く出荷をしたい、こういうことでありまするから、受付を五時ごろまでにして、そしてなるべく検査が多くできるようにという気持で五時ということを言ったので、五時で打ち切ってあと検査をしない方がいいということではないことでありますことは、超勤手当も出すし、臨時の職員も増すし、ほかの食糧事務所等でそう早場として忙しくない方面から余裕があればこれを動員させる、こういうことでありますので、五時で打ち切ってもう検査をしないということでなくて、五時までに受付をしてなるべく検査をして農民早場米供出に支障がないようにという好意的といいますか、そういう気持でやったので、それで打ち切って仕事をするなという意味ではないことは昨日も申し上げた通りであります。具体的な措置についてどういうことになっているかということにつきましては食糧庁長官から御説明申し上げます。
  11. 小倉武一

    小倉説明員 米の最盛期に当りましての諸手当の問題でございますが、これは費目といたしましてはいわゆる超過勤務、それから業務旅費、それから季節的臨時雇いの非常勤、この季節的な非常勤の雇用の費用、そういったものが主でございます。なおそのほかに宿日直手当、こういったものがございます。昨年との比較についてでございますが、これはものによってでこぼこがございますけれども、総額といたしてみますと若干むしろふえております。たとえば大きくふえておりまするのは業務旅費でございますが、これは私どものただいま考えております配分から申しますと、昨年は約六百万円ぐらいであったわけでございますが、本年はたしか一千九百万円ぐらいにふやしております。なお他に若干減っておるものもございますが、そういう大幅にふえているものもございますから、総体としては若干ふえているということで御了承を願いたい、かように存じます。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 これでことし変っているのは結局、その執務時間内で能率を上げるということなんでしょう。四角ばって五時以後やるとかやらぬとかそういうことは私はそう問題にしたくないのですが、とにかく行き方としては、五時までにほとんどの作業能率を上げて終らせなければこれは進行しないのですが、そういう場合には、従来に比べて短時間内に作業能率を上げるということになれば、非常勤職員の増員とかそれから応援態勢を確立するとか、諸手当を増額して能率を上げるための督励措置を講ずるとか、そういうことが顕著に行われなければ、この五時まででいいんだということにはならないと思うのです。そういう点やはり現地に対する安心感を与えるような態勢がとられれば農民も安心して、できるだけ計画出荷の線にも沿うであろうし、そういうことが不明確のままに置かれればますます不安が高まるからして一ぺんに押しかけてくるということになると思うのです。だから現地における好ましくない事態を起さないようにさせるためには、やはり政府としても速急に具体的な措置というものが必要なんです。そういう点がまだ明確にされていないわけです。  それからあわせてお伺いしたい点は、これは昭和二十七年の七月二十日に白井通達というものが出されているのです。これは元食糧庁検査課長をやった白井という人です。今は出世して大蔵次官ぐらいになっておると思うのですが、これは米の集荷能率をあげるためにはとにかく夜の十二時までも勤務しなければならぬというのがこの白井通達です。当時は終戦からまだ間もないようなときだったので、政府としても真剣に、いかにしたならば集荷能率的にやるかということを苦慮しておった時代だから集荷に対しても熱意があったと思うし、そういうことでこういう通達が出されたと思うのです。ですからこれらの通達というものは一つ慣行となって、検査員は五時から夜中までもやるのが当然だというような慣行というものが今日までずっと一つ惰性になってきているのではないかというように考えるのです。それを今日いきなり今度は小倉長官の名前で、五時までやるのが本来の姿だというようなことをはっきり打ち出したわけです。それで今度は現地の方でも、長官がそういうのだからやはり私たちも当然その通りやらなければなりませんということになるわけです。ですからこの白井通達なるもののその後の処置というものは一体どういうふうになっているかということをお伺いしたいわけです。
  13. 小倉武一

    小倉説明員 ただいま御指摘のものは、おそらく二十七年、検査課長名をもつて処置をいたしたものだろうと存じます。これは要するに五時過ぎて受け付けも時間がなくなってその日に検査できないという事態が生ずる、これは起り得ることです。現在でもそれは起り得ると思います。そういう場合には、検査が済んでいないから翌日回しになったがために早場米奨励金二百円減らすということでは気の毒である、これはもう陣容、制度その他からしてできる点はやりますけれども、これも限度がございます。そういう場合に断わるのはいかがかということで便宜的に翌日検査しても前日受け付けたものについては前日までの早場米でもつて処理する、こういう趣旨でございます。それは現在もそういう趣旨でいたしておる、こういうふうに存じております。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないのです。こういうことをやる場合は当然時間内勤務等だ対してはやはり国としては当然支出するものはするということが、これは言うまでもないことで、そういうことは行われていないでしょう。全然とは言いませんけれども、これは一つ慣行だということになってしまうと、そうするのがあたりまえだからやっても別にそれは超勤でも何でもないのだというふうに一般の風習はなってしまう。ですからこういうものはいつもこういう慣行惰性になって、何年も先に続いていくということになれば、それに乗じて政府は定員の削減とか、それから諸手当の縮減ということがどんどん行われていくから、これはうまくないということで、なお現地職員もやはり態度を明らかにしてもらいたいということになったと思うのです。だから今度の小倉さんの通達によっても最終日には五時までに受け付けた分はどこかへ保管しておいて、そうしてそれはあと二日かかっても五日かかっても検査は終らして、そうして期日内に買い入れすることにするというようなはっきりした通達を出されたらその点は心配はないと思うのですが、しかし今度仕事が二つに分れて、倉庫の方へだんだん未検のままで保管された分の検査と、それから規定の場所で検査する仕事というものは必ず二分されてくると思うのです。そういうことは現実の事情を知らない人はわからぬのですが、やはり相当の混乱とかむしろ事務の非能率性というものがそれによって生ずると思うのです。ですからこういう点はやはり現地実情に即したようなことで解決するように進めたらいかがかと思うのですが、どうですか。
  15. 小倉武一

    小倉説明員 現地実情なり、これまでしきたりなりにおいてやるということも一つの方法でございます。私どもそれをこの際根本的に変革するといったようなつもりではございません。ただこれまでやってきたもののうち、あるいは現地実情にもいいものと悪いものとがいろいろございますから、必ずしも今まで通りがよろしいというわけではございませんけれども、できるだけの範囲あるいは事情の許す限りにおいて必要な措置をとる、こういうことが必要だろうと思います。今回の通達趣旨としてはその範囲を出ていないわけでありまして、従いまして必要な超過勤務と申しますか、時間外の勤務については、いわゆる形式的な名前での超過勤務だけで処置するということでなくて、業務旅費なり、宿日直手当なり、全般を通じて手当するという方が実態に即しておるようでございますから、そういうことで処理したい、そういうことで処理していく以外にないように私ども考えておるのであります。なお現地に所によってはいろいろいざこざと申しますか物議をかもしておるところもあるようでございますけれども、なおわれわれの措置と申しますか、それについて御了解のいっていない上でのそういうこともむろんあるようであります。今後できるだけそういう趣旨一つ話し合いを進めてやっていきたいと思っております。  なお九月に米が殺到するということにつきまして必要な措置ということについても、出荷をされる生産者に迷惑をかけないような措置をとることは、昨日も大臣からお話がありました通りでございまして、そういう措置を講じまして遺憾のないようにしたい、こう存じておるのであります。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 今月の三十日が第一期の末期ですから、第一回の現象というのは今月の末に現われるから、そういうふうな生じた事態に対しては、やはり政府としては政府の態度を是正しなければならないということにもなると思うのです。そういう場合には適宜な措置を反省して講ずるというわけですね。
  17. 小倉武一

    小倉説明員 反省してということではございませんで、実態に即して必要な措置をとって御迷惑のかからないようにいたしますということです。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 迷惑がかかるような事態をわれわれは今から予見しておるのです。あなたの方はわからないと言っておるけれども、そういう事態がはっきり現われたときはやはり政府の今回のやり方のどっかに手落ちがあったということに必ずなるわけですから、それを是認して、態度とか取り扱いを改めるというお考えがあるかどうかということを聞いておるわけです。
  19. 小倉武一

    小倉説明員 態度とかやり方を改めるということになりますと、これはむずかしい問題でございまして、職員の配置なりあるいは給与のやり方なり、いろいろ根本的な問題はあろうかと思います。しかし、当面そこまでさかのぼってそれをどうするということでは、たとえば九月末の問題をどうするということの解決にはならないわけであります。現在やってきておる実態に即して必要な措置をとる、こういう以外には急場の間に合わないわけでありまして、そういうことで措置をいたしたというふうに考えております。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 九月末が一回で終るのではない。十月十日、十月二十日、三十日とあるのです。だから第一回の試みが、こういうやり方がうまくなかったとわかったら、今度十月十日までの分は大いに手を変えてやらなければならないということは当然だと思うのですが、大臣はどうですか。
  21. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 おとといから、きょうあしたにかけては土曜、日曜でありますから、また月末であるから出荷できないということでは非常に困るので、これにつきましては代休、かわりに休むということなども地元の職組といいますか、そういうものとも話し合って、実はそういうことにきまっておりますし、それから超勤等につきましても、食糧庁長官から話しておるように方向を一にして出す、こういうふうに措置をしておるのであります。かたがた地元からきのうきょうなども聞きますというと、私の方ではできるだけ徹底させておるつもりなんですが、どういうことか、ほかの方からのいろいろな圧力というか、そういうことなどもあって、なかなかそれを実行に移していないという向きもあってわれわれも心配しておりますので、実は食糧庁長官から通達していることにつきまして、なお今連絡をしてそういうことをしておるのであります。農民に迷惑のかからないようにお互いに早くやれ、こういうことを連絡しておる次第でございます。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 長官通達考えようによってはこれは現地で起きるいろいろな好ましくない事態に対する最終的な責任は食糧庁長官が負うからというような意味にも解釈されるのです。そういう点からいうと、親心でこういう通達を出して現地職員に迷惑とか責任があまり及ばないような意味で配慮をしたというようにとれるけれども、しかし考えようによっては、通達の効果というものは必ずしもそういうことには響いていない。だから今後どういう事態が起きるかということもここで具体的にはっきりしてはいないわけだけれども、大体予想されるわけだから、そういう事態がもし生じた場合には、さらに十分な検討を加えて、そうして特にこのことによって、この早場米奨励金の制度が、これを理由に政府がやめてしまうということになると術策に陥ったということにまずなるからそういうことには必ずならぬようにぜひしてもらいたい、こう思うのです。  それからこれに関連してことし会計検査院が食糧庁の出先の業務の状態というものを検査した結果の何らかの指摘がなされておるわけです。これは大臣は御承知でしょう。
  23. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 まだ実は見ておりません。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 これは全国的な食糧事務所の人的の配置とか業務の分量等に対して適正を欠くような面があるというようなことも、これはやはり一つの指摘事項になっておるわけです。それで先般北海道地域における食糧事務所の実態白書というものが出されておる。これは食糧庁長官も見られたと思うのですが、これらの資料によって見ると、府県ごとに非常に職員の分担する業務の分量がでこぼこになっておる。私は一例を北海道にとってみると、一年間にたとえば昭和三十一年度の五月現在でみると、一カ年間に検査を行なった数量が米とか雑穀とか一切のものを入れて約一億四千四百万個くらいになっておる。そのうち北海道地域内において約二千六百七十万個の検査をやっておる。これは全体に比べると総体の約一八・二%くらいに当っているわけです。これは北海道の一つの特殊性だと思いますが、そういう場合において、じゃ人間一人々々の分量が地域的にどう変っておるかということを申し上げると、全国の職員の数が二万九千人くらいいる。そのうち北海道に対しては一千三百四十人くらいが配置されておる。その定員の北海道における比率は全体の四・七彩、業務の分量は一八%というようなことになると、これは非常に仕事の負担量が極端に過重であるということもいえるわけです。ですからこういうような全国的な地域ごとにおける職員の業務のアンバランスというものは、やはり大所高所から見て当然これは是正されるべきだと思う。こういうことが適正に行われていないから、たとえば早場米の時期等において、こういう最盛期におけるいろいろな苦情とか問題が提起されるのではないかというふうに思いますが、これは今直ちにどうするということはできないとしても、少くとも今後においてはこれらの不合理性を是正される御意思があるかどうか、その点はいかがですか。
  25. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今の御指摘のようなことがあろうかと私も考えておったわけでありますが、そういうことであってはいけないと思いますから、よく調査の上配置転換といいますか、適当な措置をしていきたい、こう考えております。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 時間がありませんから……。こういう問題もやはり今回のいろいろな動きの重要な底流をなしている一つの問題だということは見のがすことはできないと思います。これは大臣の今後の善処に期待するものです。  次にお尋ねしたい点は澱粉価格の問題でありますが、この点については昨日来主として与党の権威ある委員諸君が非常に心配されて質問を続けておるわけです。特に典型的な権威者の本名君も政務次官になっておるので、政府部内における今回のイモ類澱粉の基準価格決定等に対する措置は、絶対遺憾がないというようにわれわれは信じておるのですが、与党の諸君があまり心配をして質問する点を見ると、必ずしも不安がないともいえないと思うのですね。それで、この際農林大臣から率直な見解の披瀝を願いたいと思うのですが、第一点は、最近農林省において農林水産政策要綱なるものをおきめになったわけですね。この中における、特に畑地振興を中心にした、たとえば同じ農民の間においても、この水田地帯と畑作地帯における農家の経済均衡といいますか、所得の水準等においても相当差異があるわけだからして、水田を軽視するわけではないけれども、やはり畑地帯の農家経済の向上振興等に対しては重点を置くということを、これは先般農林大臣が北海道へ来られたときも強調しておられたのですが、そういうような一つの政策の基本の上に立った場合、政府が指示して、あるいは買い上げ等を行う農産物価格決定等に対しては、やはり一つの基本的な政策の上に立って物事を処理されるお考えであるかどうか、その点はいかがですか。
  27. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただいまお話しの通り、畑作の振興ということに力を入れていきたいと思うのであります。畑作の振興につきましては、振興が相当軌道に乗ってくるということでありまするならば、その結果はやはり農産物生産費ども低くなるということになろうと思います。しかし先ほど田口委員にも申し上げましたように、これと今の価格支持政策を今月中に行なうかということとはテンポが合っておりません。合っておりませんので、畑作の振興という基本方策の関連においてこれはやるのでありますが、テンポの点においては必ずしも一致していない、こういうことでありますから、価格決定については妥当な線を出したい、こう考えておるのでありますが、今お話しのように基本線に沿うて政策を強力に推し進めていくということにおいては、ただいま御指摘の通りであります。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 特にこの場合、たとえばあとで問題が出まする乳価安定にしても、この畑地振興とか、酪農振興に対する政府の積極的な配慮は非常にけっこうなんですが、一方において増産されたものが直ちに消費されるという、いわゆる消費面における拡大、消費拡大というような施策がどうしてもおくれておったわけですね。逆に今度は生産が伸びて消費があまり伸びないということになると、それが物価暴落の一つの要因をなすので、どうしても根本的には生産されたものが必ず順調に消費されるという道を開いていかなければうまくないと思うのです。そういう点に対してやはり今後たとえば政府澱粉を現在四千万貫くらいを持っておるわけですが、こういうものもだんだん手持ちがふえれば、価格安定のためにそれは買い上げて保管しておるのですが、それがやはりいろいろな意味からも悪材料になって、そういうことがむしろ値下りの要因をなすようなことにもなるわけですからして、膨大な政府の保管ということも今後考えなければいかぬと思う。それには先ほどお話のあったような結晶ブドウ糖工業の問題とか、特に先ほど大臣が言われた海外にこれを振り向けるというような問題、これは非常にいい思いつきだと思う。先般私たちが中国を回ったときも、そういうような面の調査もやったのですが、一例をあげると、オランダの澱粉が香港経由で入っておるのですね。価格は日本の場合よりもある程度安いと思う。大体香港着で十二貫一単位とすると、二千円くらいの価格で香港にオランダ澱粉が入っている。そうなるとバレイショ澱粉では太刀打ちできませんが、今後カンショ澱粉がそれくらいの価格でもし輸出が可能であるということになれば、これはやはりブドウ糖工業化の問題よりも一番きき目の早い問題であるというふうにも考えられますので、こういう点に対しても、やはり政府としても速急に具体的な調査を進められて今大臣の言われたような打開の道があれば非常にけっこうだと思うので、そういう点に対する調査の態度とか方針等があればお聞かせ願いたい。
  29. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 全くお話通り価格支持をしていながら消費の面が聞けませんとこれが悪材料になることはわれわれも憂えております。そこで輸出の面等につきましては、今輸出振興ということが政府の政策の基本線でもありますから、特に進めていきたいと思います。それにつきましてはやはり海外の市場の調査ということを、すでにアメリカその他においても行なっておるわけであります。この澱粉等につきましても、お話のように、中国あるいはアフリカいろいろ方面がありますので、そういうところを調査いたしまして、これができるように進めていきたいというふうに考えております。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、この問題は自民党の政府に尋ねるのは無理かもしれませんが、やはり生産に対しても一つの計画性を与えるということが大事だと思う。特に澱粉の全国的な生産の趨勢を調べると、昭和二十六年にはバレイショ澱粉が二千五百万貫、カンショ澱粉が六千万貫だったのですね。バレイショ澱粉の場合には昭和二十六年から三十年までそれほどの伸びは示していないのです。三十年にはバレイショ澱粉が約二千八百万貫、そのかわりカンショ澱粉が約倍に伸びて一億一千八百万貫という数字を示しておるわけですね。そうなると二十六年から三十年までの五カ年間に、カンショ澱粉は六千万貫が一億一千八百万貫にふえておるわけですね。こういうふうな顕著な傾向をたどっておるわけですね。特に二十九年が甘澱が六千万貫であったのが三十年には一躍一億一千八百万貫ということになっている。こういう点に対してもある程度生産面に対する指導といいますか、計画性を与えるということにしなければ、この問題も非常に重大だと思う。だから今後の畑地振興とか価格安定という場合においても、こういうような生産面に対する適正化の問題を農林大臣としてはどういうふうにお考えになっておるのですか。
  31. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 自民党の政府ではそれはできないではないかということですが、そういうことではありませんで、やはり農民が迷惑するといいますか、価格の面でたたかれるということがあってはいけませんので、たとえば今お話澱粉もそうでありますが、果樹類など、こういう面につきましても、非常にむずかしいことでありますが、市場の状況とか消費の状況とかにつきましては、速報といいますか、いろいろ予想等を出していきたいと思います。法的に生産制限とかいうことは考えておりませんので、消費が適当にできるような措置は私どもとしてもやっていくつもりであります。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう点にやはり手抜かりがあると私は思う。特に麦類のごときは国内において品種改良とか増産をどんどんやらなければならぬわけですが、それがやはり最近は麦が菜種に転換していってそうしてこういうふうなカンショとか澱粉が非常にふえ、一番大事な要求しなければならぬような畑地等の農作物があまり伸びていかぬというようなことになるので、こういう点は政策面においていろいろな施策を講じて、やはり経済的に作物はこの方が有利だというような形が現われてくれば、無理に権力的な指導をしなくても、やはり一つの計画に沿った生産というものを確保できるというふうに考えるのです。こういうような傾向にあるわけですから、バレイショ澱粉は、北海道の場合には単作地帯だし、畑地農業の場合はこれ以外のものをそう作れない。それが内地のカンショとかカンショ澱粉にだんだん圧迫されて、北海道の特産物の声価とか地位というものは全く失われるような危険な状態も今日の北海道の畑地農業の中には現われておるわけですから、価格決定をする場合においても、政治的な配慮、いわゆる農林大臣経済的な配慮というか、そういう配慮というものが今後の澱粉イモ類等の価格決定の場合の最終的な役割を当然果すのではないかというふうに考えられるわけですが、この点に対しては農林大臣はどういうふうな配慮をして価格維持をするか、お考えを聞かせてもらいたい。
  33. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 やはり基本的な、今の畑地農業の振興というような面を一番先に考えなくちゃならぬと思います。それからやはりこれは言い古されたことでありますが、適地適作的なことは技術面その他においても指導していきたい。それに、生産されたものにつきましては、価格安定をしているものにつきましては価格の安定面から支持をしていきますが、価格安定だけではなかなか容易ではない面もありますので、市場の状況等につきまして常に調査をし、それが農民といいますか、生産者によくわかるような方法をとって調整をしていく、こういうようなことを一応考えております。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 特に単作地帯では、畑地農業の場合には地域によってもこれは違いますが、とにかく畑で一反歩一万円くらいの粗収入が上らないと百姓はやっていけないのです。ですから、たとえば北海道のことしのバレイショが反当二十六俵ということになるとしても、一万円ということになれば、やはり一俵が三百三十円か五十円くらいにならなければ一万円の粗収入ということにならないのです。特に昨日不用意にも、これは小倉長官かと思ったのですが、試算の過程においてという前提があったと思いますが、カンショに対しては一貫匁二十三円ですか、バレイショに対しては一貫匁十九円というようなそろばんもあるというような意味のことを言ったわけです。そうなると、カンショバレイショも去年よりも二円ないし三円原料価格が下るということになれば、反当の畑地帯の粗収入というものは目に見えて激減することになる。こういうばかなことを最終的にきめるということにはならないと思うのですが、ただ一つの約束に基いていろいろな計算をすればそういう数字も出ることはあるわけですが、それに対して農林大臣の適切な配慮とか勘案を加えることによって、やはり適当な値段というものはきまるとわれわれは全部期待しているわけなんです。そういうような配慮を必ずやると思うのですが、どうですか。
  35. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 食糧庁の方におきましては、いろいろな試算といいますか、いろいろなデータによってこれは計算を出しております。私はまだ詳しくは見ておりませんが、価格の問題につきましては適当なところで、最後的にはこれを見た上で決定をしていきたい、こう考えております。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に申し上げますが、先般の十一日の委員会において、特に大臣に対しまして、価格決定の場合には、従前通り、当局の価格の試算が進むのに対応して、委員会の方でもいつも若干の委員等をあげてそういうものを検討して、委員会の意見等もそこへ加えるような努力をして、そうして最終的には政府がきめたというのが今までの前例になっておる、そういうことをことしもおやりになった方がいいだろうということを私は老婆心ながら申し上げたんですが、あのときはまだ就任間もないときでもありましたし、検討を十分するという返事であったので、もうすでに検討が終ったことと思います。当委員会としても、この問題にはどう対処するかということも理事会においては大体方針がきまっておるので、一応農林大臣に所見を聞きたいと思うのです。
  37. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 行政当局である私の方から、国会の委員会に小委員会を作って、これを価格決定にどうこうと言うわけにはいきませんので、この委員会においてお作りになるかどうかということは自主的にお考えになった方がいいのではないかと思います。私の方からその点まで申し上げることはどうかと思っております。
  38. 小枝一雄

    小枝委員長 細田綱吉君。
  39. 細田綱吉

    ○細田委員 大臣はお急ぎのようで時間の制約があるようですから端的に伺いますが、去年、たとえば茨城県でなまカンショが十五円くらいで買えた、しかもこれは例外でなくしてずいぶん多いということは、大臣御存じですか。
  40. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 十五円という額はどうか知りませんが、政府価格を発表する時期が非常におくれましたので、発表したときにはもう間に合わないで非常に安くたたかれておった、こういう事情は私もよく承知しております。
  41. 細田綱吉

    ○細田委員 今大臣が御指摘のように、買上価格の発表がおくれた、それが確かに一番大きな原因だと思います。ことしはまだ発表になっておりませんが、もちろんこの委員会になおかけられるというふうに聞いていますが、大体大臣の構想は、価格の発表がいつごろになる御予定でございますか。
  42. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今月末までには発表したいと思っております。
  43. 細田綱吉

    ○細田委員 きのうの小倉長官の御説明を伺うと、結晶ブドウ糖の砂糖混入で、その価格は砂糖の輸入価格ととんとんぐらいか、あるいは若干上回るかという程度で、まだ計算中だということであります。先ほど田口委員の御指摘にあったように、ことしは非常に減産して——減産というのは、去年あまり買いたたかれたので農民がこりた、そこで耕作反別を減反したということが、二億何千万の減産の一番大きな原因であると思う。そこで考えなくてはならぬことは、カンショの利用方法であります。要するに利用度を高めると申しますか、利用範囲を広める、これを考えることが非常に必要であり、将来の対策でなくてはならぬ。これは当然な意見だと思う。そこでブドウ糖の工業化について、輸入の砂糖とにらみ合せて、どの程度価格であるか、まだ結論が出ていないということは、これは事務当局の怠慢である。ブドウ糖工業の拡大と家畜の飼料、これは大臣が一番よく御存じだと思うのですが、農林省が一生懸命酪農を奨励するので、なけなしの資産を充てて乳牛を入れるが、飼料が高い。そして牛乳は森永と明治の独占です。こんなことではいかに酪農を奨励しても、また蛋白資源を農民に与えようとしたって、とても普及しないと思うのですが、このカンショのブドウ糖工業化、飼料化の点ではどういうふうな御計画なり御構想を持っておられるか、この点を一つお聞きしたい。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 結晶ブドウ糖工業化について価格調査がないじゃないかということでありますが、現在ちょっとやっておるところもありますので、調べてありますが、今の段階では生産費が相当高くつくというようなことになっております。しかし生産費は高くつくということであっても、畑作の振興上からもあるいはまたカンショバレイショ澱粉の消費面からも進めていきたい。こういうことで進めるということになりますれば、企業としてどういうふうにやっていくべきか、ちるいはまた立法措置というようなこともこれに伴って必要になるか。立法措置なしでこれを工業化するということができるということならば、これを工業化していきたい。それで近辺の各県の知事などにも集まってもらって、県としてやれるような方法もあるかどうかというようなことなども探って進めておるような次第でございますが、私の方といたしましては、いろいろな資料を集めまして、企業として工業化していく場合にやっていけるか、あるいは立法措置をする場合にどういうことが法律化されることが必要か、目下調査中でありますが、これはぜひ次の国会等におきましてこの問題を軌道に乗せるといいますか、やっていきたい、こう考えております。  次に飼料の面でありますが、今のような状態では酪農もちっとも進まないじゃないか、こういうことでありますが、実は相当進んでおります。この間も政府が酪農等を奨励して乳価が安定しないというのはけしからぬというふうに言われたくらいですが、ちっとも進まぬではなくて、非常に進んでおります。それにつきましてはテンサイ糖のものから出た残りを飼料化するとか、それからまたカンショ澱粉のかすを飼料化するとか、あるいはまた草地造成というようなことで飼料を自給するといいますか、そういう方面あるいはまた飼料の種のいいものを選んで、それをまいて飼料にするとか、えさの問題でもいろいろ苦心をして相当やっておる次第であります。ことに飼料の問題とはちょっと離れますが、酪農等について手放しではないかというようなお話でありますが、十二分にはいきませんが、牛乳等につきましても、市場の拡大というような方面からこれが対策を進めておりまするし、相当具体化しておるような次第であります。
  45. 細田綱吉

    ○細田委員 結晶ブドウ糖の実用化といいますか、拡大ですね。結局コストの問題だと思う。これは現在のごとき規模に放置しておくならば、単位農協のきわめて小さい規模にまかしておく限りは、これはどうしたってコストが高くついて、輸入糖の混入ということもあまり意味をなさぬというか、価格形成の上においても意味をなさないということになる。これはもう少し農林省が系統農協、特に全販連なんかに力を尽して、そして大規模でやらせるならば、私はもっとコストが下ってくると思う。それは当然な話ですが、そこまでいかないと、大臣の言われる適地適作がほんとうに実が実らない。去年は豊作であったのか、あるいは普通作か知りませんが、買いたたかれて、ことしはまたこりてしまって減産だというようなことでは、畑作地帯では畑地灌漑が農林省の施策においてもほとんど問題にならない。それで大臣も適地適作と言われた政策を掲げられたと思うのだが、そういうようなことでカンショの適作地であっても、なおカンショを作っていかれないようなことになる。特に先ほども大臣が言った、これは市場の点から申し上げるわけですけれども、酪農は振興しておる。確かにあなたのおっしゃる通りです。農林省が奨励するものだから、高い利息の金を借りてきて乳牛を買ってしまった。買って始めたのだけれども、どうもうまいように利益も上っていかない。かといって、これをたたき殺して肉食にするわけにいかないから、につちもさっちもいけないところに今農民がきているんじゃないか。そこで先ほども申し上げましたように、農林省と申しますか、あるいは全購連、全販連なんかのアイデアを少し変えなくちゃいかぬ。資本主義のワク内で市場の開拓とか、やれ何とかかんとか言っているのだが、たとえてみますれば牛乳の価格が四円だ五円だというようなことで一歩も進まないというならば、系統農協でチーズなりバターなりをこしらえてしまうんです。もう森永や明治なんかには製品で出してやろうじゃないかというようなところまでいかないと、森永、明治なんかに一切製品だけはまかして、これに一歩も出ないということになったら、乳価というものはおのずから形成されてしまう。これはどうにもならないものになってしまう。だからそこまでいかないと——それからいろいろとあるので、極端に言えば、数十軒のアルコール業者のために澱粉業者が押えられてしまう。今度は澱粉業者に農家が買いたたかれる。こういうようなことになるから、資本主義というもののワク内で操作させようとするから、発展に限度がある。一つアイデアを変えて、大臣の立場から、資本主義をどうというわけにいかないかもしれぬが、少しチェックくらいする気持で外郭団体を督励、奨励しない限りは、これは今のままでやったところが、ブドウ糖の工業化もものにならなければ、飼料の解決にもならない。一面には農林省は四千六百万貫の澱粉をかかえてふうふう言ってるというような矛盾が出てきて、どうにもならぬ。今までのような全販連や全購連のやり方に対しては、大臣はもう少し活を入れる、独自の立場で農民求済の方法を——ほかの、たとえばアルコール業者あるいは酪農で言うなら、明治、森永の手を借りないで、ある程度まで補償できるような態勢に持ち込むだけの意図はございませんか。この点を一つ伺いたい。
  46. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 非常に根本的な大きなことで、資本主義をやめて——農協を利用するのが資本主義をやめることになるわけでもないと思いますが、資本主義を修正する意思があるかどうかということでありますが、私どもといたしましては、手放しの資本主義の状態ではないと考えまして、政府はできるだけ福利増進のためには、やはり権力というか統制というか、そういう形も打ち出さなければ弱い方に対しての保護にはならぬと思いますから、そういうことは今までもやってきておりますし、これからもやるわけであります。そこでブドウ糖につきまして系統農業団体などに力を入れさせる気持があるかどうかということでありますが、結晶ブドウ糖工業化ができるということでありますならば、ぜひとも系統農協等にも骨を折ってもらいたい、こういうように考えております。非常に広範な御質問でありますので、十分にお答えできませんが……。
  47. 細田綱吉

    ○細田委員 もとへ返るんですが、去年、大臣は十五円であったかどうかということですが、実際は十三円、しかも農林省の今の澱粉価格形成を分析してみると二十四円五十銭とあるが、十三円で買えた。こういうようなことは少くとも赤城農林大臣就任中は絶対ないように願いたいのだが、一つ大臣は農林省の打ち出した価格は末端まで行きわたるような確信をもってお進みになっていただきたい。この点を最後に伺いたい。
  48. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話通りにやるつもりであります。
  49. 成田知巳

    ○成田委員 関連して。今の結晶ブドウ糖の育成に関しまして、外国砂糖輸入関係が論議されたんですが、結晶ブドウ糖を企業化さすための立法措置、その他必要な措置をとりたい、ただ問題が大きいから具体的にはなかなかできないということですが、そこで具体的にお答え願いたいと思うことが一つある。というのは小倉長官に昨日お尋ねしたのですが、結晶ブドウ糖のみならず、テンサイ糖の採算の問題につきましても、輸入砂糖との関係がある。そこで輸入砂糖の関税をもう少し上げる。末端の消費価格は、御承知のように物品税の体系をみだりまして酒、たばこ、砂糖の物品税は割高になっております。物品税を下げたちょうどいい時期でありますから砂糖消費税を下げる。そうして輸入関税を増徴するということによって、結晶ブドウ糖なりテンサイ糖の採算がとれる、こういうことが最も具体的やり方であり、ただ一つの方法だと小倉長官考えて検討中であるということですが、長官としてはやるということは言えないと思います。大臣としてはこれは言えると思いますので、その意思ありやいなやをお尋ねいたします。
  50. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 砂糖の自給度を増すということでテンサイ糖とカンショの砂糖化ということ、こういう政策を押し出していきたいと思います。それにつきまして具体的な方法として、関税を引き上げて物品税を下げるということで、消費者には同じような形で手に入るということがいいのじゃないかということにつきましては、お説の通り私も考えておるわけであります。ただ税金の率等につきまして、これは他との均衡ということもありますので、そういう点につきましては、実は大蔵当局ともいろいろ打ち合せをしなければ直ちに決定するというわけにはいきませんが、そういう考え方は私どもとして持っておるわけであります。
  51. 成田知巳

    ○成田委員 小倉長官もそういう検討はしていると言う。そこできょうは大臣に、そういう考えを持っているというのじゃなしに、それが正しいという方向ならやる意思があるのだ、ただ数字的な問題は大蔵省との折衝もあるでしょうが、その方向は進めるのだ、やる意思があるのだ、こういうことをお答え願いたい。きょうは大臣にその点をお伺いしたいと思います。
  52. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今の意思をもって進めておるわけであります。
  53. 小枝一雄

    小枝委員長 これより乳価安定対策に関する質疑に入ります。芳賀貢君。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 乳価安定対策について、政府は二十七日の閣議で何か決定しておるわけですね。まず大臣からその決定の内容を聞いて、しかる後に質問したいと思います。
  55. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 芳賀委員はこの方の権威者ですからよく御承知だろうと思いますので、詳しく申し述べません。乳牛の頭数がふえたことから牛乳の生産量が非常にふえて、先ほどからお話のように消費が詰まっているといいますか、消費市場の開拓に困っているので、乳価につきましても安定がもたらせられない、こういう状況でありますので、市場開拓といいますか、なま牛乳がさばけるような方法を一つ考えようということで、第一に考えましたことは、児童の栄養上の問題もありますので、牛乳を学校給食として来年の一月から三月までとりあえず供給しよう。これが大体三十万石がよけいでありますから、三十万石のうち十万石だけは一月から三月の間に学校給食としてこれをさばいていこう。人数にいたしまして約二百万近くの児童の給食ができるわけであります。この給食に対しまして国が一合四円程度の補助を出していこう、こういうことになっております。  第二は、これは根本的な問題でありますが、業者と生産者団体との間に年間を通じて団体協約というような形で契約を結ぶように指導いたしまして、乳価の安定をはかる。それからもう一つは酪農振興基金というものを設立していきたい。適正な乳牛取引を履行せしむるために、需給の不均衡を生じた場合に牛乳の受け入れ拒否あるいは乳代の遅払い等が生じないように、乳業を行う者に対し基金の円滑な供給を私どもといたしましてもあっせんいたしたいと思うのであります。しかしそのために損失を生ずる場合もありますので、政府が酪農振興基金の中に政府の出資と業者の出資とを入れまして、これによって債務を保証する制度を確立したい、これは立法措置が要るわけであります。  それから第三は乳製品の保管でありますが、この措置をとる前に、これは立法措置も要りますので、その措置をとる前に練乳等を保管するために費用が要る場合にはこれに対して必要な経費の一部を助成していきたい。大体以上の三点になりますか、そういうことを進めて、間接的でありますが乳価の安定をはかっていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 大体大綱的なお話は聞きましたが、今大臣の言われたのは三点ですね。これだけで乳価安定の役割が期待できるかどうか不安でしょう、大臣自身としても。一番大事な乳価市場をどういうふうにやるかということが具体的に出ていないと思う。たとえば適正乳価というものを政府が一応押えて、その線から絶対下らぬようにするためにはこれこれの措置とかこれこれの機構でやっていくのだということがもう一本突っかい棒が要るのじゃないか。それはことさらに落したのか、忘れたのか。いかがですかその点は。
  57. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 最低価格を設けてということになりますと、今の農産物価格安定制度ということと同じようなことになりますが、この牛乳につきましては非常にむずかしいので、直接に価格の安定と維持対策ということをとることについてはまだ研究中で、間接に消費市場を広げ、あるいはまた今のように学童の給食というような面から、あるいはまた団体協約を結ばせるように指導するというような点から間接に乳価の安定をしていきたい、というのが今考えている政策でありねらいであります。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 今お述べになった点ですね。特に今回の安定施策として政府が強調されている点は、乳業事情の分析の中で一時的現象だということを特に強調している、需給の一時的アンバランスが今生じているのでこれは一時的な措置で解決できるというような判断をしているが、これは非常に安易な考えだと思う。こういう安易なお考えが前段にあって組まれた安定措置ですが、これはきき目はないですよ。全然ないわけではない、何%かあるかもしれぬが、それによって期待に沿うようなことには断じてならぬと思うのですが、どうですか大臣
  59. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今のわれわれが措置したことが一時的なことの前提のもとに出たというお話は、これは違うのであります。一時的でなくて、とにかくことしから始まって来年度もこれを行なっていくということで、継続的に行わるべき前提のもとにことしからこれを始めるということでありますから、一時的な措置としてではないのでありますから、その点はとくと御了承を願いたい。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 とにかく十五カ月かかって三十万石の牛乳の処理をやるというんでしょう。これも最初は一年間三十万石というのを、今度また三カ月延ばしても十五カ月間に三十万石しか過剰が出ないんですか。そうなるとまたどっかで消費が好転しているわけですよ。
  61. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 年間三十万石が普通のストックといいますか、越す計算になることは芳賀委員が御承知通りであります。そのうちでとりあえずことしは、もう時期も切迫しておりますので、一月から三月までの間に十万石処理していく。また来年になれば三十万石くらいは通常の保有を越すのではないかと思いますから、それに対しましてはそれだけの処置をしていく。とりあえずことしは時期的に、一月から三月までに新しい制度として行われるものとしては十万石というものを目標にしている、こういうことです。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 要綱によると、三十三年一月から三十四年三月まで三十万石というのですから一年と三カ月でしょう。だから十五カ月ということになるのです。ここで具体的にお尋ねしたい点は、年度内の消費として三月までに十万石の分を学童給食の一端として、政府がこれに対して三億円ですかの支出を行うということですが、これは大カン練乳に十月一日から税金がかかるということと引きかえに、学童給食の政府の助成措置を講ずるというように、交換条件で支出されるわけですか。新政策とか、自民党独自の雄大な構想に基いて——十月一日から大カンに税金がかかると年間十一億ないし十三億税収入がふえるわけですね。そのうちのある程度のものをこっちへ回してくれるという、そういう妥協的な案でできたのかどうか。その点いかがですか。
  63. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 学校給食になま牛乳を入れろということは大カン練乳の税金とは関係なしに、私どもとしてはもう前から主張しておったところでありまするし、今度の党の政策としても主張しておったので、これとの取引にはなっておらないのであります。たまたまこういう時期に際会いたしましたからそういうふうにも見られるかもしれませんが、政策としてやっていこうというふうに考えておりますので、交換条件とか取引ということよりも、もっと前からの政策をこの際実行に移すということでございます。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 しかし大カン練乳の税の収入の範囲内でしかやれないのでしょう。それ以上のことはやらぬということにきまっているのじゃないですか。そういうことになると、何も新政策とか独自の構想ということにはならぬでしょう。
  65. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは基金の問題、その他を計算いたしますと、その範囲内を相当越していきます。また次年度になればなお越していくのじゃないか、こういうふうに考えております。範囲内ではないのであります。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 それから、三十万石が過剰になるというような判断ですね。これは必ずしも的確な数量の把握ではないと思うのです。先般畜産局長も、この過剰分の数字を握ることは非常に困難であると言っているのですが、われわれ調査したところによると、年間約五十万石ないし六十万石が過剰になるというような数字が出るのです。結局、非常に一時的な現象ですね。数量調節をやって乳価安定をはかるという場合においては、一番基礎になる問題は、どの程度数量が過剰になり、それが乳価安定の障害をなすかという数字の把握というものが正確でなければ全然ききめがないと思うのです。予算とか財政支出の関係上、過小評価したのだとすれば別ですけれどもへすなおな気持でこの過剰分の数量を押えるとすれば、これはあまり過剰過ぎるのじゃないですか。どうですか、局長さん。
  67. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 大体ことしの私たちの需給の推算、これは今年度から新しく乳量の予察調査をやっておりまして、それで考えますと、私たちの見通しでは今年度の牛乳の生産量が対前年比二割程度の増産になる、今までの実績その他の趨勢あるいは妊娠をいたしております牛の調査等から推測をいたしましてそういうふうに考えております。そこで今までの状況から判断いたしまして、七百四十万石ぐらいの牛乳生産になると思うのであります。その中でなま乳でそのまま飲用いたします牛乳用というものが私たちの推算では約三百二十二、三万石になるだろう、こういう推定をいたしております。従いましてあとは加工に向う、あるいは一割程度が農家の特用のものとして使われる、こういうことになっております。そういたしますと、今までの消費の状況その他から考えてみますと、大体今年度のそれを練乳換算いたしますと大体二カ月半ぐらいの在庫になる、これが通常私たちの考えておりまする今までの実績でございますが、それらに比べますと、一カ月程度約三十万石程度というものが今年度の特殊な状況といたしまして余ってくる、こういう推定をいたしております。そういう推定からこの三十万石という数字を私たちは考えております。かような状況でございます。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 一月から学童給食を実施すると、十月、十一月、十二月とこの間がブランクになります。それに対しては適宜の措置というものは考えていないのですか。
  69. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは先ほど対策として説明いたしましたが、保管をいたしておりますので保管に対する助成ということを考えております。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 乳製品保管に対して約八千万円の助成をやるということは聞いているのですが、単に保管させるとか、それに対して助成するというだけでそう大きな効果というものは生まれてこないと思う。あまりその保管分に対する助成とかストックさせるということに重点を置くと、だんだん製品手持ちがふえて、しまいになると澱粉の場合と同じようなことになるのではないですか。それ以上悪い現象が生ずるのではないですか。そういう配慮はどういうふうに考えておりますか。
  71. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 大体乳製品の特徴といたしまして、夏分には消費が非常に伸びるわけであります。そういうことも考えまして、あるいは先ほどの振興基金の仕事が始まるというようなことも考え合せまして、現在の滞貨がやはりある一定の時期まで持っておりますれば、これは自然にはける状況になるのが乳製品の特徴だと考えておりますので、そういう観点からただ現在のような状況で無理に市場に捨て値で売るというような状況がございますと、非常な価格の混乱が起きますし、農民の方に影響がひどいと思いますので、そういう観点から長期に保管をいたしますような在庫に対しまして保管費を助成する、こういう考え方になっておる、かように考えております。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 次に学童給食の場合、政府と児童側の負担区分というのはどうなっておりますか。それから実際に一合何円くらいで牛乳を児童に与えることができるか、その見通し等もはっきり示してもらいたいと思います。
  73. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 こまかい問題でありますので、私から答えさせていただきますが、大体考えておりますところから申しますと、六円五十銭あるいは七円五十銭と申しますか、七円見当でおそらく学校へ渡すことができるだろうと思います。ただこれは御存じの通りに非常に地帯によって違って参ります。北海道の場合あるいは東京というような場合、これはいろいろ乳価が違うと存じますが、私たちの達観いたしましての考え方といたしましては、その程度のもので十分渡していけるであろう、かように考えております。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 次に学童給食の場合、牛乳以外に過剰になっておる乳製品、バターだとか練乳、そういうものを与えるということも具体的な措置だと思うのです。そういうことが全然講じられていないわけですね。むしろその方に重点を置いた方が、今の需給面における過剰がどこに現れておるかということがわかるのです。それを消費面に向けるということも的確な効果が上ると思うのですが、そういう点が落ちておると思うがどうですか。
  75. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 今考えておりまするやり方は、何と申しましても牛乳そのものを渡していくのを原則と考えておりますけれども、今芳賀委員から御指摘のありましたような問題もあろうかと思います。これは給食をいたしまする学校の希望によってやはり判断しなければ相ならぬと思っておりますので、なま乳だけでやろうという考え方ではございません。なま乳を原則といたしたいと思っておりますが、今御指摘になったような、たとえば練乳その他の乳製品もあろうと思いますが、そういうものもこれは学校側が希望をいたしますならば、渡していきたい、かように考えております。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 次に基金制度の問題ですが、これは対象を主としてどこへ置くかということですね。大乳業とか中小乳業とかあるいは協同組合の系統の乳業施設を持っている団体とかいろいろあると思うのですが、実際に基金制度の恩恵を受けなければならぬ、債務保証を受けてやらなければならないというような乳業は大体どういう階層になるのですか。
  77. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 これは債務保証でございますので、債務保証を必要としない業者ももちろんあると思います。端的に申し上げますれば、おそらく非常に金融機関から営業状況その他十分に信用があると見られるようなもの——これは必ずしも大企業がそうばかりとはいえませんが、大体におきまして、大企業等の優秀な成績を持っておりますものはこの基金の厄介にならぬでも一般の金融機関の融資が十分いけるということは考えられます。従いまして、これの対象になるのは、やはり何と申しましても中小企業、あるいはこういう乳業施設を持っている協同組合というようなものになろうと思います。ただこれは決してそういう中小企業その他乳業をやっております協同組合が経営が健全でない、そういう意味で申し上げているのじゃございません。おそらくそういう中小企業の人たちも十分に堅実な経営をやることがあろうと思いますけれども、やはり信用力その他において若干問題があるような場合には、この基金が債務保証するということによりまして、十分信用力が増してくる、こういうことになろうかと思います。でありますから、おそらく実際問題といたしましては、中小企業あるいは農業協同組合というものの利用がかなり大きいのではないか、そういうふうに考えております。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 今の局長の答弁によると、結局森永、明治とか雪印とか、これはおそらく基金に依存しなくてもいいでしょう。それから農協系統の団体は系統融資があるのですから、基金制度の厄介になる必要ない。具体的にはやはり中小乳業というか、非常に弱体化した乳業会社がこの基金制度に依存することにしかならぬと思うのです。しかも中小乳業の取扱い数量というのはどのくらいのパーセンテージを持っているか。
  79. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 中小企業というものはずいぶんあると思いますが、これは乳製品の方から申しますと、大体全体の乳製品の約三割が中小企業というようになっております。市乳の方になりますと、一般のなま乳の配達とか、この方面になりますと、これは中小企業が逆に非常に大きな部面を占めております。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 結局市乳関係は別に企業不振ということになっていないんで、乳製品部面において非常に経営が不振であるし、また消費が伸びないというところに問題がある。ただわずかな比率しか持っていない中小乳業だけをこういう基金制度を設けて救済しても、それで全体の乳価安定に対する役割というものはそれほど示さないと思うのです。そういうところに問題があるのじゃないですか。基本的な問題ですから農林大臣にお尋ねしますが、基金制度というものは単に中小乳業の救済策とか安定策であるとすれば、肝心の生産者を中心にした乳価安定とはだいぶ縁遠いものになると私たちは考えております。ここに判断の間違いがあると思いますが、いかがですか。
  81. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 直接には生産者という方面にはいきませんけれども、この制度によりまして中小業者の債務を保証していく、こういう制度にいたしますれば、大体団体協約等によりまして生産者の方には相当有利に強く団体交渉に当たれるだろう、こういう見方をしております。  なお生産者の方面につきましては、今消費の面とか、今申し上げました団体協約の面、こういう面において安定をはかって生産者生産費に合うような方向に持っていきたい。ことに流通方面につきましては来年度予算についても調査を実施して適当な措置をとっていきたい。生産者にもよくいくように措置考えていこうと思います。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 乳業会社とか中小乳業の保護とか育成というものも大事ですが、当面の問題は一時的な現象でこういうことになったということをうたっておりますから、即刻にきき目の上るようなやり方でいかなければだめだと思う。長期的な中小乳業の安定とか保護というものはねらいではないでしょう。当面の一時的なアンバランスをいかにして解消するかということになれば、これは恒久対策ということでやっていくのでしょう。独占的な巨大な乳業会社の圧迫から中小企業を守るという考えでこの基金制度というものはやるんですか。
  83. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 これは基金を運用いたします場合は、もちろんこれは出資をいたしておるそういう人たちになるわけでありますので、芳賀委員の御指摘になりますような、大企業をこれから除くという考え方はないわけであります。当然大企業の方々も出資をされていくことになると思います。そういたしますれば、これはその債務保証をいたします対象に相なるわけであります。それから一時的な問題と申し上げておりますのは、これはたとえば二十九年の状況のように、私ども考え方としましては、酪農の生産、消費というものはやはり均衡がとれて急速に伸びておると考えておりますが、やはりその間に若干のひずみが、その過程におきまして生じる場合が今までの例から見ましてあるわけであります。ところがそういうちょっとしたひずみだと簡単に言いますけれども、ちょっとしたということの影響はかなり深刻なものがあると思いますので、そういう場合に備えまして、こういう基金というものにする必要があるのではないか。それからまたこういう基金というものがございませんと、たとえば、すぐにきき目があるというような芳賀委員の御指摘でございますが、この秋からいろいろやりまする対策の場合、おそらく金融の道をつけるということが非常に大きな問題になると思います。そういう問題を考えましても、やはり基金というものができるだけ早い時期にできる、こういう前提がございますと、金融その他の道を開きますのにずいぶん話が違って参る、かように考えております。そういう意味合いにおきまして、この基金制度は確かに恒久対策でございますが、やはりその設立をするということは、急場の問題といたしましても、金融その他に対しまして非常に大きな道が開けていく、こういうふうに考えております。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 時間がないからあまりこの問題だけやるわけにはいかぬでしょうが、ただ大メーカーを除かぬというても、こういう高金利につくことにはだれも向いてこないと思う。だから債務保証を受けるような会社は、高い金利しか借りられぬような会社だけなのですね。有力な会社は別にこういう基金の世話にならぬでも、自由に資金運用はできる。だから熱意を持って基金に参加するかどうか、やってみなければわからないでしょう。だからこれは当面の問題としてはあまりきき目はないということを指摘いたしておきます。  次に、酪農委員会のごときものを設けるということも一つの案となっておるようですが、これは大臣にお伺いしますが、酪農振興法の中におけるあっせん委員的なものをもっと性格を変えて、酪農委員会というようなものにされる御意向かどうか。この点はいかがですか。
  85. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 酪農審議会の答申にもありますように、各県に酪農委員会等を設けて、乳価対策等について、あるいは振興等につきまして、常に私どもと連絡をとりながら万遺憾ない措置をとりたい、こういうことでございます。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 だから新しい委員会の性格とか、権限とか、任務というものをどの程度のものにする考えか、それを聞いておるわけです。
  87. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この点につきましては、まだ具体案を持っておりませんので、これから研究いたします。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなるとあまり要綱というのは——学童に牛乳を飲ますということだけはわかりましたが、それ以外の二点に関しては、まだ非常に未熟だということになるので、この程度のやり方では、現在の乳価を果して維持していくということが可能ですかどうですか。これは政策上の問題ですから農林大臣から、現在の乳価をこの措置によって維持できる見通しがありやいなやということを、簡単にお答え願いたいと思います。
  89. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 相当程度維持していける見通しであります。
  90. 小枝一雄

    小枝委員長 川俣委員
  91. 川俣清音

    ○川俣委員 時間がありませんから乳価問題に入る前に、きのうの残りの点で、これは主計局を通じて資料を出していただきたいと思います。きのう問題にしました政府経費の中の中間経費の負担部分でありますが、大臣は三十二年度は金利も相当下る見込みだ、なぜかというと、政府の負担が無利子の金を使うので減るのだ、こういう説明でしたが、二十六年の金利の負担が石当り九十五円であったものが、三十二年の予算では二百四十六円になっております。このように金利負担の分及び保管料の分は非常にふえているのです。逆にロスは二十六年が九十円、二十七年が九十八円、二十九年が九十九円であったものが、昨年は七十円になって六十三円に下ってきております。これはおそらく検査を厳重にして、結局生産農民の負担を過重さしたということになると思いますが、その割合に金利負担が非常にふえているというようなことは説明がつかないと思うので、これは何ゆえに金利及び保管料がかくもふえていったか、取扱い数量がふえればふえるほど合理化されていかなければならないのに、石当り負担が非常にふえていった理由が明らかでありませんので、大蔵省が一つ文書でこれを出してほしいと思います。  さらに検査員の問題ですが、大臣はきのう、検査をするのになるべく昼間の間検査をする方が、農民のためにもまた適正検査をするためにも非常にけっこうなことじゃないか、そうやりたいという御希望だった。私はそれはもっともだと思う。そういたしますれば、昼間の間に全部検査を終るということは、数量を規制するという意味なのか、検査の勤務時間を制限して適正をはかるという意味なのか、この点主計局はどういうふうにお考えになっておりますか。
  92. 高木文雄

    ○高木説明員 私の方で出した通牒でございませんので、どういう意味でお出しになったか、私から回答いたしかねます。
  93. 川俣清音

    ○川俣委員 通牒を聞いているのじゃない。大臣は昼間の間に検査をすることが適当だ、こういうふうにお述べになりましたが、主計局はどういうふうにごらんになりますか、こう聞いているのです。
  94. 高木文雄

    ○高木説明員 検査仕事食糧庁でやっておられる仕事でございますので、それについて私の方からどちらがいいということは、ここで申し上げるのは申し上げかねるのであります。
  95. 川俣清音

    ○川俣委員 それでは一体あなた方が予算配分のときに、この事業量が人員に見合って適当か不適当か査定されないのですか。今後おやりにならぬと言うなら別です。今までやっておられたことを、今後全部食糧庁におまかせになる、こう言うなら別です。あなた方は査定されているのでしょう。旅費にしても手当にしてもみな査定されているのじゃないですか。査定をしないという言明を得られるならば答弁は要りません。どちらですか。
  96. 高木文雄

    ○高木説明員 査定をしておりますが、ただその点につきましては、その都度農林省からの内部資料としての御要求に基いて、お話し合いをしてきめているわけでございます。
  97. 川俣清音

    ○川俣委員 査定をすると言うからには、内容を知らないで査定をするわけはないでしょう。無責任です。
  98. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまの時間内にやるかやらないかという議論については、三十二年度の予算に関する限りそういう議論をきちっとやっておりませんので、その点については農林省からお答え願いたいと申し上げたのであります。
  99. 川俣清音

    ○川俣委員 三十二年度は査定はしておらない、おまかせする、こういう答弁了解してよろしゅうございますか。
  100. 高木文雄

    ○高木説明員 五時以内に受け付けるかどうか……。
  101. 川俣清音

    ○川俣委員 いや五時じゃない。そんなことを聞いておりませんよ。昼間の間にやることが適正検査だと大臣答弁されたが、そのようにあなたの方で理解されて今後査定されますかどうですかと聞いておる。
  102. 高木文雄

    ○高木説明員 三十二年度の問題といたしましては、時間内に検査をするか時間外に検査をするかということにつきましては、もちろん一部超過勤務手当が計上されております点その他から判断していただけると思いますが、必ずしも時間内に全部終るという前提ではございません。超過勤務手当を計上しております趣旨は、時間外にもお仕事があるだろうという前提でございます。
  103. 川俣清音

    ○川俣委員 時間がありませんから簡単にします。大体早場米は千三百万石ないし一千万石の予想であります。それを約四十日で消化しなければならないわけです。それには一人当りの業務量が一体どのくらいであるというようなことが当然算定の基礎にならなければならないはずです。旅費でいくかあるいは超勤でいくか人員の増加でいくか、これは予算の内容でありましょう。しかしながら一千万石ないし一千三百万石の早場米の消化は約四十日間において消化されるからである。これをもって人員で割り当てますならば可能か不可能かということはわかるはずです。従って人員をふやして昼間の間に消化するのか、あるいは人間以上の能力を発揮させて——超勤をつけたところで人間以上の能力というものはおそらく発揮できないであろうけれども、そういった組み方をするのか。もう少し予算内容についてあなた方が査定するなら査定するだけの権威あるものが出てこなければならぬ。一日の消化量がどのくらいであるかというようなことの査定の基準がなければならぬはずだと思う。そのことを言っているのです。このことはあらためてまた別な機会に譲ります。  乳価問題に入ります。今度の閣議決定については、私ども非常にその意を多とするものであります。十分この政策に取り組まれた大臣の労を多とするのでありますが、牛乳、乳製品の需給調整対策についてという表題で閣議了解を得ておられますが、本委員会並びに自民党の農林部会も、こういつたふうに牛乳、乳製品の需給調整対策でなく乳価安定対策について農林省に施策を求めておると理解してほしいと思う。従って乳価の安定を通じて酪農の振興をはかって、農民並びに消費者の生活の向上をはかるという意味でこの対策が立てられなければならない。単に需給対策だということでなしに、やはり乳価の安定を通じて酪農振興をはかるというところに眼目がなければ対策ではないと思う。その意味一つお尋ねしたい。乳価の安定ということになりますと、今一番おそれられておりますのは、十月一日から砂糖の消費税がかかることによってさらに引き下るような傾向にある乳価に一大打撃を与えはせぬか。そうなりまするとせっかく上昇して参りました酪農に大きなブレーキをかけ、水をかけるような結果になるのではないかということが農業界における一番憂慮されておる点なのであります。そこでその対策を講じられたのでありましょうが、この大カン練乳についてこれらの対策が立つまでもう三月なり四月なり延ばされる意向が大臣になければならないと思いますが、これらの施策が立って、しかる後に乳価を安定させた上でさらに永久安定政策としてこれらの施策がとられることが非常に望ましいと思う。もう三月なり四月なり大蔵省と折衝いたしまして、大カン練乳の砂糖消費税の免税をもう一度延ばされる必要があるのではないかと思いますが、これに対する所見を伺いたい。
  104. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 閣議了解の問題は需給調整対策だ、もっと乳価対策であるべきだということはごもっともであります。しかし乳価対策を直接これに対して手を打つというのにはいろいろ問題もありますので、間接的に需給調整面から乳価の安定をはかりたい、こういう趣旨で御承知のような案を閣議において了解を得たわけであります。  第二の大カン練乳の砂糖消費税を、なお免税延期するように措置する意思があるかというお尋ねでありますが、これは前にも延期しておりますし、来年の一月からこういう対策を講ずるのでありますので、現在といたしましてこれを延期するということを交渉する気持は持っておりません。その間におきましては、先ほどから申し上げましたように保管とか消費の面におきましても夏場よりは減るわけであります。そういうことでこの対策を実行する間をつないでおきたい、こう考えております。
  105. 川俣清音

    ○川俣委員 砂糖消費税というのは牛乳並びに乳製品の消費の大きな制限になるのです。と申しますのは、今大蔵省にお尋ねしますけれども、徴税の方式からいって、あるいは徴税の便宜という名前のもとに大カン練乳については工場別に——小カンと大カンとは別々な工場設備を持たなければ製造させない。そんなことが今すぐできますか。両方やっておったところは別々な工場設備をしなければ許可しないという。そういう準備は今できておりません。御承知通り当時の消費量に応じて、生乳の多いときには大カン製造に、生乳の少いときには小カンにするというやり方をしておるわけです。需給の調節をはかっておる。ところがこの間札幌で協同乳業に聞きましたところ、大カンについては査定が困雑だから消費税をかげる。工場組織を別にしてくれなければ、査定が困難だから、そうでなければ許可しない、こういうように言うのです。みな呼び出しを受けておる。首をかしげておられますけれども、それではそれを取り消しますか、取り消せばけっこうです。
  106. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいま主税局の者が参っておりませんので、はっきりしたことを申し上げかねますが、私の聞いております範囲では、特に二つ分けなければ許可しない。少くとも十月一日切りかえのときにそういうことでなければ許可しないというようなことは、私どもとしては聞いておりません。もし、そのようなことがあるようでしたら、なお調べまして何らか申し上げたいと思います。
  107. 川俣清音

    ○川俣委員 調べてなければだめです。もう一日からです。そういう指示を与えている。取り消されるなら別です。あなたが納得いかないというのなら主税局が責任を持って調査して取り消される、これなら別です。ところがそういう方向で進んでいる。そうすると大きな制約です。消費制約なんです。一時的にせよ大きな制約になる。これはやめなければならない。大臣にもう一度伺いたい。そんなような状態では、これは大きな消費規制になります。従って大蔵省に反省を求める意味からも、やはり実効の上る、少くとも一月末までは砂糖消費税の免税を従来通り続けて、軌道に乗って、おもむろに間接対策を、永久対策、これは恒久対策である。間接対策は恒久対策だ。この恒久対策を私は認める、その労を多とするが、直接今下ろうとしておるものに対する対策がない、こういう傾向が出て参りまするならば、酪農の振興の上に大きなブレーキになるのじゃないか、さらに不安を助長するのではないか。恒久対策があるのだからがまんしろ、これでは対策にならない。やはり応急緊急対策を考えて、さらに一段進んで恒久対策を講ずるというのが今までの行政のやり方だったと思います。緊急対策はあと回しだ、恒久対策だ、恒久対策がなければ緊急対策の意味をなしませんけれども、緊急対策がない恒久対策も意味をなさない。十分その意は了としますけれども、緊急対策の上からもうしばらく三カ月間、実行されます効果のめどがついたような一月一日まで延期されることを大臣もう一度衝折されたらどうですか。これがほんとうの乳価対策だと思います。長年待てというのじゃないのです。今まで延ばしてきたのに延ばしてきた割合に対策を立てておりませんためにこの案を提議するのです。時間がありませんから、大臣もう一度考慮してほしい。
  108. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど申し落しましたが、酪農振興等の業務開始が今直ちに行われるというわけでもありませんので、その間乳業者または乳業を行う農業協同組合等が大カン練乳等を保管するには、国といたしまして必要な経費の一部について助成する。そして乳製品の需給の均衡をはかる、こういう措置をとりながら進んでいるわけでございますので、今また免税の期間を延長するというふうに小刻みに方針を変えるということは業界にも不安を与えるのではないかと考えておりますので、十月一日から行うことに私どもは同調しておるわけでございます。
  109. 川俣清音

    ○川俣委員 もう一点だけ。小刻みじゃないですよ。今までこういう対策が立っておれば十月一日から実行してよろしかったのです。しかしこういう対策がおくれておった責任もあるから、そこで緊急対策を講じなければならぬ。半年前にこういう恒久対策が立っておりますならば十月の課税もあまり大きな打撃にはならないと思う。この施策がおくれておった。十月一日の二、三日前にようやく立てられたのだから小刻みでは決してない。せっかく立てられたものの実効を上げるために三カ月延ばしてもらいたい。今度は対策が立ったからそれ以上延ばしてくれというのではない。今までは立てる立てるといって立てないで、ついに十月一日から実行することになった。今度は閣議決定をしたのであるから期限が延びることはない。今まではいつまでに立つかわからないからずるずると期限が延びたという結果になりましたが、今度こそは閣議決定をした。来年の一月や二月までは内閣がかわることはないから、確かに責任は負えるはずだ。もう一度考慮してもらいたい。質問でなくて献策です。
  110. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 せっかくの御意見で理由も相当あると思うので傾聴いたしておきますが、先ほども申し上げましたように、やはり今延期するという気持は持っておりません。
  111. 小枝一雄

    小枝委員長 それでは昨日来調査しております食糧検査の問題について、この際石山君より、昭和三十二年産米検査の適正実施に関する件について決議をいたしたい旨の申し出がございます。これを許します。石山權作者。
  112. 石山權作

    ○石山委員 委員長から言われました昭和三十二年産米検査の適正実施に関する件について決議申し上げたいのでございますが、まず案文を読みます。    昭和三十二年産米検査の適正実施に関する件  早場米出荷最盛期をむかえ、現地食糧事務所の中には検査官の手不足、超過勤務手当、旅費の不足等のため産米検査に不円滑を招来し、生産農民集荷関係者に不測の混乱と損害を与えるおそれのある地方がある。よって政府は、遅滞なく所要の措置を講じ、もって本年産米検査の適正な実施につき万全を期すべきである。  右決議する。   昭和三十二年九月二十八日       衆議院農林水産委員会
  113. 小枝一雄

    小枝委員長 ただいま石山君から提案されました昭和三十二年産米検査の適正実施に関する件を本委員会の決議といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお決議の政府への参考送付等の手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。
  116. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただいま決議されました件に対しましては、政府としても万全の措置をとりたいと思います。
  117. 小枝一雄

    小枝委員長 それでは午前中の会議はこの程度にして休憩いたします。    午後一時七分休憩      ————◇—————    午後二時三十八分開議
  118. 小枝一雄

    小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいま調査いたしておりますカンショバレイショ及び大豆等の農産物価格安定対策について専門的な調査及びその対策樹立に資するためこの際農産物価格対策に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認めます。  つきましては本小委員会の員数は五名とし、小委員及び小委員長の選任につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認めます。  小委員には    石坂  繁君  原  捨思君    田口長治郎君  芳賀  貢君    細田 綱吉君  小委員長には田口長治郎君をそれぞれ指名いたします。     —————————————
  121. 小枝一雄

    小枝委員長 次にハッカの問題について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。吉川久衛君。
  122. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 ただいま委員長から申されましたようにハッカの問題について若干の質問を政府に対していたしたいと思います。  昨日局長がおりますときにこの問題を御質問しようと思ったのでございますが、時間の関係でそれができませんでしたので本日になったのでございます。こまかい事情をよく承知いたしております局長が本日出張でございますので政務次官にお尋ねするわけでございますが、政務次官はあまり詳しいことは御存じないのではないかと思いますが、幸いに北海道の御出身でございますから、私のお尋ねする程度のお答えは十分やっていただけようと信じましてこれからお伺いをするわけでございます。  私が申し上げますまでもなく、北海道は累年の災害、昨年のごときは非常な冷害であったのでございます。この冷害の危険の多い北海道におきまして、最近農民生活の安定ということから、ビートとかハッカとかいうような比較的安全な作物がだんだんと拡大されておりますことは、私非常に好ましいことであると考えるのでございます。戦争中食糧増産一本やりで、昔日のおもかげのなくなったハッカの栽培が近年とみに回復をして参った。そこへまた冷害対策の一環としてもきわめて重要であるということで、最近は改良品種の栽培等も行われまして、非常に発展を見ておることはまことに好ましいことと思うのでございますが、戦争中長い間輸出がとだえておりましたような関係、あるいは食糧増産の国策の関係で、ハッカの生産が非常に萎縮をいたしておりました関係から、ただいまのところはブラジルとかあるいは中国、台湾等においてこのハッカの栽培がだんだん伸展を見てきているのでございます。御案内の通り日本のハッカの生産もこれが七割程度のものは輸出に振り向けられていたものでございますが、それが海外の事情から価格の点にいたしましてもあるいは輸出数量等におきましても、最近非常に不安な状態に陥っているのでございます。特に北海道の生産農家が、最近この点について非常な不安を感じておりますので、政府において何らかの安定対策を講じていただかなければならないということを熱心に要望されているのでございます。先日も参議院の農林水産委員会において、政府にこの問題を質問されたやに伺っているのでございますが、その際の政府答弁は、この問題についてただいま検討中である、こういうことでございましたので、どの程度までその検討が進み、どのような対策をただいま考えておられますのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  123. 本名武

    ○本名説明員 ハッカの問題につきましては、ただいま吉川先生からお話のありました通り政府においても鋭意検討いたしております。また中には対策の実行に一歩踏み入った点もございます。あわせて御報告を申し上げておきたいと思いますが、その前に、実はお前は北海道出身であるからハッカのことは詳しいだろうというお話でございますが、しごく不熱心でございまして、あまりハッカのことはよく知らないのでございます。むしろ吉川先生の方がよく御存じだろうと思いますけれども、一応私の仕事の上において承知いたしましたこと、並びにとりました方策について申し上げたいと思います。  ただいまお話のございましたように、畑作の経営の上からいって、特に寒冷地の北海道などはこのハッカを件付の計画に入れることは必然でありまして、今日までの生産がなされたことはまことに当然といわなければなりません。しかし世界の市場を相手にしなければならない運命にあるところのハッカの製品は、実はお説の通り非常に前途は明るくない状態に置かれていることは事実であります。大体におきまして世界の生産量は約二百十万斤でございますが、それに対して今年度の需要の見通しは大体二百万斤を期待いたしているのであります。しかもそのうちブラジルや台湾、中共などにおいて生産ざれる毛のもございますが、本年は大体日本国内におきまして九十万斤の生産が見込まれたのでございます。そのうち、北海道では病気などの関係で若干減収の見込みでございますが、それにいたしましても大体八十万斤以上のものが日本でとれるということになっております。この八十万斤の始末ができません限り、御心配のような細作振興の上にも、あるいはまた寒地農業の対策の上にも非常に問題になって参りますので、先般来御注意もございましたし、また農林省としてもいろいろ検討いたして参りましたが、実はこの対策としては基本的な対策と、それから直ちに今日の応急処置としてとらなければならない対策と二通り考えられるのでありますが、基本的な対策というのは非常に実はやってみましてむずかしいのでございます。今後におきましても御指導いただかなければならぬと思いますが、一応の考え方は持つに至ったわけであります。応急策といたしましては、何といいましてもこれは販路の拡張と価格の安定をはからなければならない。販路は国内の消費増も若干見込めないことはないと思いますが、何といっても海外市場に依存しなければならない。そういうところからさしあたりの手といたしまして、たまたまジェトロがアメリカ及びカナダにおいて特別の宣伝機関を持っております。これをこの際一つ活用しようということであります。これは大体六百万円の予算をもってやっておりますから、この中にハッカを加えまして、直ちに向うにおける友好的な市場の開拓と製品の理解と、そして取引の促進をはかるようにいたしまして、これはすでにもう現地に対して指令済みでございまして、やがて運動の、あるいは対策の経過が今後日本の方に報告されることと考えております。  それからちょうど今、日仏と日ソの通商交渉をいたしております。この機会に一つフランスとソ連に、ぜひその交渉の中にハッカを入れまして、買い取ってもらう約束をしようではないかということで、その交渉の中にこれを織り込むことにいたしました。さしあたりましてフランスに対しては約十万ドルのワクを設けてこれをハッカに充てる。それからソ連に対しましては百八十万ドル相当のハッカをぜひこの協定の中に成立さしてほしいということで交渉いたしております。  それからもう一つは、三十三年度の予算に対してこれは全く新規の要求でございますが、農林省の中に輸出農林水産物需要増進補助金というのがありますが、この中にぜひ来年度は一つハッカを入れまして、海外における市場の開拓であるとか、宣伝であるとか、そういうことを積極的にやって、今までは買いにきた者に売るというようなほど消極的であったのを積極的に売り出すために国の費用をもってこれをやろうというので、アメリカに対して五千ドル、英国に対して四千ドル、これだけの予算を要求いたしております。このようにして来年度はぜひ一つ積極的に市場開拓をやっていきたい、このように考えております。  それからもう一つは、やはり基本策を講じませんと、いたずらに生産の結果を見て苦労するということではこれは安定になりませんから、何かめどをつけたいという考え方から、実はハッカの輸出をいたしますことを一つの大きな仕事の目標といたしまして、輸出共販のような会社をこしらえる、こういう考え方を今持っておりまして、これを検討いたしております。このことは申すまでもなく非常に問題がございましょうけれども、まず第一に考えられることは、輸出対象の製品は全部この会社が買いとっていきたい。けれども、先ほど申し上げましたような対策を取り上げましても、海外市場が一ぺんに好転することは考えられません。従って、当初この会社はある程度の欠損を見込まなければならぬ、その欠損に対して政府はできるだけ助成する方がいいのではないかという考え方をいたしております。さらにまたこの会社が積極的に仕事をすることによりまして、海外市場の拡大であるとかあるいは価格の安定であるとか、あるいは輸出に対する資金の融通の道を講ずるとかいうようなことで、努めて生産に安定感を与え、そしてできた製品は努めてこれを輸出に重点を置いて消化していきたい、このように考えております。ただここで問題になりますのは、なるほど寒地農業としてはぜひ必要な作柄のものでございますけれども、これを放置いたしまして、大へん失礼な言い方でありますが、かりに政府の施策よろしきを得、また先生方の御指導のよろしきを得て、価格その他需要の面で好転いたしたときに作付がふえるということは、これは非常に問題になりはしないかという心配があります。従いまして、需給の状況と作付面積といいますか、国内生産量輸出振興その他の対策とが、常に計画的にしかもあまり急激な変化のないような態勢をとっていかなければならない。言葉を変えて端的に申し上げますならば、国内でこれ以上の増産がはかられたときには、増産を望みますけれども、増産をはかられたときにはかえって今までの対策がまた元の状態に帰りはしないかというような心配も実はいたしているわけでございます。この心配は杞憂に終ればいいと思いますが、いずれにいたしましても今日生産される量は、安定した上に立って価格を維持し、さらに貿易を促進していきたいというのが今日まで考え、またやりました対策の内容のあらましでございます。
  124. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 本名政務次官はあまりハッカの問題は勉強していないということでございましたが、今御説明を伺いますと、非常によく勉強しておいでになって、私どもこれから一つ一つこういう問題について、どういうように考えるのか、どういう対策を立てようとしているのかということをお尋ねしようと思っていたのでございますが、非常に詳しく御説明を下さって、ある程度満足したのでございます。勉強しないというのでその程度でございますならば、いま一段と御勉強を願ったならば、おそらく生産地の農家の皆さんが御安心なさるような施策が確立されるのではないかと思います。生産地の方々の要望しておいでになることの一つに、生産者価格の補償制度の問題をとなえておいでになりますが、これは諸般の事情から考えまして非常にむずかしい問題だと思っているのでございます。輸出振興対策とかあるいは国内の消費の増大計画とかいうようなことは、そうむずかしい問題ではない。特に生産コストの低下方策等については、私は農林省は予算的な措置をとってもこの問題は相当力を入れられてしかるべきではないかというように考えているのでございます。流通面においての共販態勢の問題等、これは非常に適切なお考えだと思いますから、一つすみやかにその実現のできるように御配慮を願いたいと思います。生産農家の生活の安定と、しかも本問題は外貨を確保する上に相当寄与する業種でございますので、その点を十分お考えいただいて、今おっしゃったような施策を、お考えだけでなしに、一つすみやかに規律実行されることを要望いたしまして私の質問を終ります。
  125. 小枝一雄

  126. 芳賀貢

    芳賀委員 今のハッカの問題ですが、政府の農林施策の方針の中に、農林水産物の販路の拡大という点がある。その中で、農林水産物の輸出振興の問題が取り上げられておりますが、これは主として生糸、真珠、カン詰類及び冷凍の魚類等がおもですが、この際吉川委員や本名次官からお話があった点を総合すると、農産物の中のたとえばハッカであるとか除虫菊であるとか、そういうものは今後輸出農産物として取り上げて、この振興に乗り出していくというのだが、そういう積極的なお考えを持っているのかどうかということですね。
  127. 本名武

    ○本名説明員 先ほども申し上げましたように、実は積極的にハッカあるいは除虫菊の輸出その他安定等振興対策をはかりたいと考えております。ただ、政策要綱の中に文字が入っていないということでございますが、これは実はハッカも除虫菊も入れたかったのでございますが、あと具体的なそういう品目を羅列いたしますと文章も非常に見にくくなりはしないかということで——しかし、腹の中では必ず入れて、しかも先ほど申し上げましたように、三十三年度予算では、途中でありますけれどもジェトロに対してのいろいろの対策もとっておりますし、なお、書くことが適切であるというお話ならばそこに書き込むこともやぶさかではないと思いますが、いずれにいたしましても、芳賀先生のおっしゃるように、一つ身を入れて積極的に対策を練っていきたい、かように考えております。
  128. 芳賀貢

    芳賀委員 別に掲げなくてはならぬということはないのですが、積極的にやるということになれば、輸出農産物として輸出に重点を置いた振興とか指導をやるということになる。国内において余って何ともならぬからこの際海外に処分するという場合には、これはやはり消極的な輸出対策ということになる。今言われた答弁によると、積極的に輸出農産物としてこれを扱うということであれば、むしろ輸出面に相当ウエートを置いて、今後海外市場の開拓等に対してやられるということで、それは非常にけっこうだと思いますが、そうなると結局国際市場で競争するということになり、その場合の対策というものが必要になってくると思うのですが、現在の国際市場における日本からの農産物ではなかなか簡単に太刀打ちできないと思うのです。そういう場合には、やはり国の保護助長の政策というものは、相当期間てこ入れの作業をすることに持っていかなければ、国際市場に進出することは当然困難だと思うので、もし調査ができておるとすれば、このハッカとかあるいは除虫菊等もそうでありますが、諸外国のこれらの特産物に対する生産面の振興対策、あるいは輸出に対する保護政策というものを研究されておるとすれば、この際発表してもらいたいと思います。
  129. 本名武

    ○本名説明員 お話通り、かりに積極的に国内において生産並びに輸出対策を取り上げましても、農産物は特に世界の競争の代表的な物資でありますので、ハッカといえども容易じゃない、むしろハッカは苦しいじゃないかと想像いたしております。実は午前中に御質問があると思って資料を持ってお伺いしていたんですけれども、今来ておりませんから私からその点をおわび申し上げます。  そこで問題は、やはりさっき申し上げました海外市場の開拓と国内生産の手段の二つの面があるのではないかと思われるのですが、国内生産の面では、少くとも寒地農業対策からいっても、あるいは今日岡山県の一部でも耕作されていますが、一万二、三千町歩の耕地というものは確保していかなければならないんじゃないか。そうしますと、そのままで進んだといたしましても、価格の面で果してコストの低下なりなんなりという手は打てるかどうか、ほうっておいてはいけないのではないか。ハッカ自体の品種改良でありますとか、あるいは耕種肥培管理を徹底させるということも今日までかなり進んでおりますが、ざらにその点も徹底させていかなければなりませんし、また蒸留施設どももっと合理的に改善していかなければならない。そのためには国としてもできるだけのお手伝いをしなければならないのではないか、こういうふうに考えております。  それから海外の問題は、先ほども申し上げましたように、いろいろな機関を通じ、特に国の予算をもつて海外市場開拓の道は講じて参りますが、これは申し上げていいかどうかわかりませんけれども、今のところ世界で一番生産の競合する国はブラジルのように考えております。これは芳賀先生御承知通り、ブラジルは今もハッカを作らなければならぬという実情にないと思いますので、日本の生産コストが下るなり、あるいは貿易技術の上で一、二年間の犠牲を払って輸出対策をとったならば、ブラジルの生産もある程度押えられやしないか。願わくばブラジルの生産を減退させていけるのではないか。これは甘い考えかもしれませんが、そういう一つの希望も持っております。  ただおそろしいことには、台湾や中共は、このままにしておきますと、かなりの増産がありゃしないかという心配でありますが、向うも生産費が安いといいましても、農民のやることでありますから限界があろうと思います。それにも対抗して、市場開拓と同時に、国内生産コストにいろいろな尺度をもって対策をとっていきたい、こういうふうに考えておりますが、なお詳しい数字その他については、次の機会かあるいは資料にして差し上げてもけっこうだと思っております。
  130. 芳賀貢

    芳賀委員 資料等はこの次でいいです。  そこで先ほどの共販態勢を整備強化するという問題ですが、先ほどの構想によると、輸出共販会社のようなものを作るというお考えらしいのですが、これはだいぶ案が固まっているのですか。
  131. 本名武

    ○本名説明員 案はまだ固まっておりません。そこで今、初めてのハッカの輸出共販会社ですから、ほかの生産物と若干事情の違うところがあるように思われますので、ほかの例とは別にハッカ自体に対する行き方というものを検討しておりますが、ここで行き方がどうこうということは今申し上げられないと思います。ただ考え方といたしましては、輸出対象のものは全部ここで買い取って適当な価格輸出をするということで、この一、二年はやはり損を見越さなければいかぬ。これは必然の状態に置かれていますから、ぜひ一つ何らかの手を打ちたい。同時に、そこまで持っていきますためには、勝手なお願いのようですけれども、自主的な団体の一つの御創意というものを生かしていただいて、この会社の運営その他に対して御協力をいただくようにしてはどうかというようなことも考えております。そこで本質的に、この会社の計画として、数字の扱い並びに計算の上でどういう数字になって、負担の工合がどうなって、損失の見通しはどうであって、そうして会社が採算点に乗った場合には、将来どうするかというようなことは、実は今まだ申し上げるまでの段階に至っていないわけであります。
  132. 芳賀貢

    芳賀委員 構想としては一つのあり方と思うのですが、これをやる場合、ハッカの場合は特殊性があって、生産地は主として北海道、岡山県なんかですが、北海道の場合にはほとんど農協の北通に原料出荷をして、北通の工場で製品化して、その販売処理したものを今度また生産者に配分するという完全な無条件委託製品処理というようなことになっておるのですが、そういう形が北海道等においてはしっかりできておる。それともし今後の共販会社というようなものを考えるとすれば、どういうような結びつきで農民の組織したところの農協のかかる事業というものをこの共販会社に対応させてやっていくかということは、それはだいぶ大事な点だと思います。そういう場合には十分その点を特殊性と考える必要があると思いますし、もう一つは、当分の間は出血輸出のような形になるかもしれぬということであれば、やはりある程度政府が責任を持った根拠のある共販会社にしなければならぬと思います。一例をあげれば、臨時硫安輸出会社等、これは法律の根拠の上に立って硫安の輸出を振興するために、五年なら五年というものを一定の期間として、その間における輸出業務を通じての出血分というものはたな上げして、そうして将来安定した場合において赤字を解消するというような形で硫安等の輸出会社はやっておりまして、そういう点は今直ちにどうするという言明はできないと思いますが、今後やはり輸出農産物としてこれを取り上げて積極的にやるということになれば、そういう問題は当然出てくると思うのでありますけれども、この次の機会あたりまでにもう少し具体的な案を立ててお示し願いたいと思います。  それから最後に、当面した問題について、ことしの価格安定等に対して直ちに実効の上るような方法というものはやはり必要だと思うのですが、そういう点に対して特別な配慮が準備されておるとすれば、この際聞かせてもらいたい。
  133. 本名武

    ○本名説明員 先ほど私が自主的な御協力と申し上げたのは、実は芳賀先生が端的に名前を出されないと思いまして申し上げましたが、お話があったので申し上げます。実は私ども相談いたしておりますうちに、自主的な御協力というのは、北連の今の機構あるいは今日までの運営のお扱い方の仕方、そういったものをさして考えているわけなんでございます。このことについても今後また具体的に御相談しなければならぬと思っております。それからなるほど硫安輸出会社のような構想ももちろん話し合いの中にはいたしておりまして、ああいうような姿の行き方も検討いたしております。  それから当面の価格安定策について、これは全く当面の問題でありまして、急いで何らかの手を打たなければならぬというので実は一生懸命やっておるわけでございますが、これももうちょっとお時間をいただきたいと思います。きょうはちょっと申し上げる段階に至っておりませんので、この次の委員会にでもまた御報告申し上げます。
  134. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうはその程度でいいと思いますが、ただ今言われた北連の問題ですが、端的に共販会社を作るという場合、既存の輸出業者というのはそういうメーカーが主体になって、それに北連を参加させるなり吸収させるというようなことでは、これはむしろ逆効果になるような場合もあります。そういう点は農業団体等が今日まで築いた実績と地歩というものを十分尊重して、それをさらに生かすような形で考えるような場合にはいいかもしれませんが、そういうものを押えて、そしてしゃにむにメーカーの勢力に屈伏せよというようなことでは好ましくないと思うので、抜かりはないと思いますが、そういう点も十分考慮されたかどうか伺いたいと思います。
  135. 本名武

    ○本名説明員 私の話の中に輸出共販という言葉を使っておりますが、これは純然たる輸出会社として買い取りを一手にやる、あるいは買い取りをやりまして、過去の実績者その他の輸出業者に一定の価格でこれを売り渡して輸出をしていただくということは、当然運営の問題になってきますので、その点も実はいろいろ検討をしております。     —————————————
  136. 小枝一雄

    小枝委員長 川俣清音君。
  137. 川俣清音

    ○川俣委員 土曜日で恐縮な感じがするのですが、小倉さんに一つわからない点をお尋ねしたい。政府が七月の五日に三十二年度産米の集荷についての閣議決定をいたしておりますが、これによりますと、三十二年度産米総平均価格、一−四等の平均は、集荷の確保をはかるための申し込み加算金百円を含めて、玄米石当り一万三百二十二円五十銭とする、こういう決定をしておりまするし、さらに時期別格差百四十三円を上げることによって、こういう結果を来たしたんだ、こういう説明になっておりますが、百四十三円を幾ら上げたということの計算の結果出てきた数字ですか。一万百七十円のときは百四十三円、時期別格差をさらに上げて一万三百二十二円五十銭になった、こういうのでありますか、幾ら上げたのでありますか。
  138. 小倉武一

    小倉説明員 たしか百八十三円だと思いましたが。
  139. 川俣清音

    ○川俣委員 百四十三円から百八十三円に上げたということでありますが、それでは百八十三円になったのはどういう根拠でありますか。第一期が幾ら、二期が幾ら、三期幾ら、四期幾らと集荷数量をお示し願いたい。
  140. 小倉武一

    小倉説明員 ちょっと正確な記録がここにございませんので、あるいは私の思い違いかもしれませんけれども、早場の時期すなわち十月末日までの総集荷量は一千六十万石程度でございます。九月末までが二百八十二万石、十日までが百四十三万石、二十日までが二百七十四万石、十月末までが三百六十一万石、計一千六十万石であります。
  141. 川俣清音

    ○川俣委員 千六十万で百八十三円に平均なるという計算は、どこから出てくるのですか。それでは八十三円になるという計算は出ない。これは百四十三円のときの計算でしょう。
  142. 小倉武一

    小倉説明員 これは全体の数量の見方もあると思いますけれども、私ども計算ではさように相なるつもりであります。
  143. 川俣清音

    ○川俣委員 大体常識で考えて一万石、それは五十億、そういう計算をすれば大体百四十三円前後になる。百八十三円に上げたというのですから、その上げられた根拠の数字がなければならないじゃないか。それで百八十三円にはなりっこないでしょう。大づかみでならない。二千九百万石と見ても三千万石と見ても、ちょっと違いますけれども、大体基本の数字が大きくなければ五十億が——五十億だということになりますると、それではなりません。五十億を三千万石で割っても、二千九百万石で割っても、そんな数字は出てこない。概算そうです。これが六十億だということになってくると、三千万石で約二百円近いということになりますから、そうなると出てきます。それでは出てこないでしょう。それが一つ。そこでもしも一期に予定された、二期三期四期に予定された数量が下回るというようなことになりますと、農民の手取り価格と申しますか、政府の支払い額が減ってくるわけです。減ってきた場合は、農民に還元するのですか、それとも消費者に恩恵を与えるのですか、この点一つ伺いたい。
  144. 小倉武一

    小倉説明員 ちょっと申し上げますが、数字が違うというようなお話でございますが、私どもは違わないというふうに存じます。先ほどの数量に予定早場米の単価をかけまして約五十億近く、四十九億三千幾らになりますけれども、それを二千七百万石で除して百八十三円になるというふうに考えます。それはともかくといたしまして、実際やってみました結果、百八十三円をこすかこさないか、これはやってみなければわかりません。それはその通りでございます。場合によってはこすかもしれませんし、場合によっては下るかもしれないわけであります。一万三百二十二円五十銭と申しますのは、それ自体が政府の買い入れ価格ではありませんので、これは政府の買い入れ価格を農家の手取りとして平均して推算したものでございますから、一万三百二十二円五十銭ということ自体は異動する、こういうことは初めから御了承願っておるべき数字でございまして、それ以上にはしないという約束もしておりませんし、それ以下にもしないという約束でもないわけでございます。大きく動きまするが、これは早場の関係でございますが、たとえば予約申し込み加算金を百円にいたしましたところ、予約外のものが相当出てくるということになりますれば、この百円とて平均すれば百円未満になるということもありますし、そういうことがあるからと申しまして、ふえたからどうする、減ったからどうするということを、今年産米の価格に直ちに織り込むというふうなことは、実は考えておらなかったのであります。
  145. 川俣清音

    ○川俣委員 それは、小倉さんの答弁おかしいです。閣議決定政府支払い平均額をきめておる。農民の手取額をきめておるのじゃない。普通、農民の手取額と言われておりますけれでも、農民の手取額ということになれば、五等も入ります。政府決定されておるのは一等から四等です。わざわざ閣議で一等、四等平均総額、総平均支払い額、そういうふうに発表されております。従って農民の手取り額というのと政府の平均支払い額とは違います。これだけ少くとも支払うという約束をされているという形になっている。国民に対する要求額としては、これだけ政府に支払い権を与えてくれという閣議決定だった、出資するぞという決定だったのです。これは動かないものと見なければなりません。農民の手取り額はあるいは動くかもしれないが、政府はこれだけの支払い権を持つということは動かないですよ。その後にさらにそういう状態ができた場合は、あらためて閣議決定をして追加請求をしなければならないという形になっております。結局そうでしょう。それは赤字が出たらどうするのだ、こういう問題が出てきますから必ず次の段階を経なければならないのです。ところが農民の手取り額というものは、これは結果を見なければわからないということはあなたの言う通りです。しかし閣議決定農民の手取り額をきめているのではない。農民の手取り額や民間の手取り額なんて閣議決定できるものではありません。これはやはり政府の支払い額ですよ。そうだと思う。決してあげ足をとる意味ではないですよ。あなたの方がそういうふうな頭でやっていただかなければならぬので私は尋ねているのです。そこでやはり支払い権というものがそこに確立したのでありますから、検査の場合におきましてもやはりそれだけの支払い権のようなきまった方向で進まなければならぬであろう、こういうことを言うのでございます。  次に移りますが、消費者価格の算定の要素になっている中間経費のことですが、先ほども金利でちょっと触れておきましたが、この中間経費として出されておりまする資料は、これは正確なものだという自信をお持ちになっておるのですか。一応の算定でございますか。政府支払い経費、これは非常に疑問があるのです。と申しますのは、たとえば酒米でありますとかあるいは特別配給米というような収入の面は、これから差し引いておられないようであります。集荷数量を直接支出で割られてこれらの政府経費というものが出ているようですが、酒米にいたしましてもこれは特別収入になるかわりに特別な検査費用もかかっているだろうと思います。それらは支出の面では事務人件費の中に入れておられると思うのですが、特別な収入の点はこれを変えておって、これだけ経費がかかったというようなことを政府経費と見ることは消費者に多くの負担をかげ過ぎることになる。もちろん酒米の金額などは少い。あるいは石当りに直しますと一円にも満たない、人件費等においては一円にも満たないであろうと思いますが、輸送あるいは集荷手数料等におきましては、当然これらの収入をやはり見なければならぬ。特別な収入を見なければならぬ。御承知通り酒米は別送しておりますから、それだけの輸送費は酒米についてはより多くかかっていなければならない。輸送費の総額をもって総受け入れ数量を割っておるのでは不穏当だと思います。この点はそういうふうにお思いになりませんか。これが自信があるなら別です。これは大よそだ、こういうふうに理解するなら、これは別問題です。
  146. 小倉武一

    小倉説明員 むろん簡単に申してしまえは大よそでございます。予算のベースを基礎にいたしまして石当りにそれを直しますればこういうことに相なる。実行上の問題はこれはある程度変って参りましょうし、あるいはお話のようにものによって普通の配給米よりは若干出入りがある、その他ございますからでこぼこはございますが、大よそこういう見当であるというように御了解いただいて差しつかえがないものである、こう私も考えます。それから先ほどの平均米価でありますが、私正確に閣議決定をどういうふうにいたしましたか文章は覚えていませんけれども、これは御承知通りのことで私も別段補足的な説明をしないのでございますけれども、平均米価ということが閣議決定の中に入りましたことが当然それだけ政府が支払って差しつかえないものあるいは支払うべきもの、こういう意味ではございません。今回の生産者米価の決定、基本価格、早場その他を総合して平均すればこういう価格になる、こういういわば見通し的なものを申し述べている趣旨でございまして、そこに特別の約束が生ずる、こういうものではない。国会に対しましてもあるいは農家に対しましてもそういう性質のものではなかろう、こう存ずるのであります。
  147. 川俣清音

    ○川俣委員 今の最後の閣議決定については非常にこれは問題です。閣議決定一つの行政権の表現です。またこれは国民に対しまして承諾しようとすまいと制約を与えるものです。従ってこれはどうでもいいんだという結果になるのだという閣議決定は閣議決定自体が不穏当だと思う。しかもこれは農林省編さんですから、あなたも責任があると思う。昭和三十二年産米の集荷についで、昭和三十二年閣議決定として一、昭和三十二年産米の集荷は事前売り渡し申し込み制によることとし、以下により集荷の万全を期する、こういう閣議決定です。二は事前売り渡し申し込みに基いて政府が買い入れるものの昭和三十二年産米の総平均価格(一−四等平均)は集荷の確保をはかるための申し込み加算金百円を含めて玄米石当り一万三百二十二円五十銭とする。こういうので、大よそこのぐらいじゃない。こういうふうに決定しているのです。こういう農林省編さんの発表です。だから私はこれを信ずるよりほかない。私はへ理屈を言うのでなく、やはり一応決定したものについての責任が当然出てきている。内閣に出てきていると同時に、行政官庁はやはりこの決定に服するものと私は思うのです。服しない閣議決定なんて意味をなさないと思う。従ってここに責任が明確にされたものと見なければならないと思う。従って手取り価格という意味とは違うという見解を私はここで述べた。それで問題は大よそこのくらいの政府経費だ、こういうことになると、大よそこのくらいの赤字が出るから消費者はこれだけ負担せい、こういうことになると消費者が負担しきれない、もっと政府計算であるからこれこれは正確なものであろうという一般に期待がある。大体このくらいであろう、これでは縁日商人みたいなものです。大体これくらいだろうというような、しかも協議で価格決定するのではなくて、政府が責任を持って消費価格決定するからには、その基礎がやはり正確でなければならないと思うのです。おおよそこのくらいが政府経費だと言うが、おおよそがもっと正確にやると政府経費が少くなる。こういうことになると、消費価格をそれまで上げなくてもよかったのじゃないかということになってくる。その前にやはり責任区分として、一体政府経費はどれだけかかるのかということを、私は今後とも明確にしなければならぬと思う。大臣答弁の中でも、小倉長官答弁の中でも、食管会計全体としてこれだけの赤字である。それには私も別に疑問は持ちませんよ。しかし一体ほんとうに米として赤字はどれだけなのかということについて、これは明らかにしていないということになる。食糧関係全体の赤字の基礎ではなくして、米自体の赤字の基礎になるということになりまするから、やはりこれは総計としては赤字になるかしらぬけれども、米だけについては一体どれくらいの赤字であるかということを正確にしなければならぬ。そうでなければ消費者の負担ということは言えないのじゃないか。この点、どうですか。
  148. 小倉武一

    小倉説明員 お話のように正確でありますれば、あるいは正確度を増せば増すほどけっこうなことで、当然そうあるべき筋のものかもしれません。ただ御承知通りこれは変動の要素を含んでおるものでございまして、たとえば金利にいたしたところで、糧券の金利というものはほぼきまっております。これだって長期になれば変るわけでございます。しかしながらその糧券の発行がどの程度になるか、あるいは国庫予備金の利用率がどの程度になるかという変動の要素を含んでおるわけでございます。収量の点においてもまた変化の要素がございまするし、そういう諸般の変動要素がございまするから、年度途中でこうだということはなかなかむずかしいわけでございます。従いまして、そこにお示しいたしておりますのは本年度の予算編成でございますが、諸条件を前提にいたしましてこうなるということでございます。それ以上正確なものというふうにお話がございましても、年度の途中ということがございまするし、また個別の原価計算を明確にやるというような経理のシステムには現在のところなっておりません。あるいは部門別勘定というようなことをある程度やりましても、これはどこの会社でも総合経費その他でやっておれば正確な原価計算といったところでなかなかむずかしい問題だろうと思うのです。そういうわけで、的確に、一円も間違わない原価がこうだというものをお示しするところまでいっておりません。のみならずかりにそういうことがある程度可能だといたしましても、やはりそれにはいろいろの約束が前提にならなければできない。その約束についてはおそらくまたいろいろ異論が出てくるわけでございます。そういうわけでその約束にまでさらにさかのぼれば、何人もそれでよろしいという原価というものはなかなか出て参らないようなことに相なろうかと思いますので、今回あるいはこれまでやっておりましたように、計算いたしますればほぼこういう見当になる、今回の消費価格の値上げがいわゆるコスト主義でもって厳密な意味でそれを消費者に転稼するという趣旨でもございませんし、むしろ消費者家計から見てどの程度引き上げても耐え得るか、そういう限度がむしろ目安になりまして、コストというものはいわば二次的な要素にもなっておるわけでございます。家計米価の範囲内でございましても、コストがすれすれであるとかあるいはコストが家計米価の範囲外であるといったような場合には、コストの正確さが相当要求されるわけでありましょうと思いますが、そういうわけでもございませんので、こういうことで御了承願えるものだ、こうわれわれは考えておるのであります。
  149. 川俣清音

    ○川俣委員 時間がありませんので、そう長くここで問題にしようとは思わないのですけれども、予算編成をする場合におけるおおよそといいますか、従来の実績を勘案して予算を立てるということは、私は必ずしもこれは不当じゃない、従って実行予算というものは相当変ってくるということは予想を立ててよろしいと思う。ところがことしは消費米価を上げるという段階です。それには基礎が少し悪いけれども、必ずしもコスト主義になっていないんだから、お前かぶれといってもそれは無理だ、コスト主義にやればこれこれになるんだ、そこにそれをかぶせるわけにはいかないからどうだ、これなら別です。あとで消費者に迷惑をかけないんだから、コストの内容はあいまいであってもよろしい、正確でなくてもよろしいということにならない、消費価格が今まで値上げをしなかった場合と、今度値上げをするというからには、従来の経費から見てこれだけになるんだ、これでは説明にならないと思います。何といっても先ほど説明した二十六年が金利九十五円です。三十二年度は消費者に負担をかけるという意味の金利の要素は二百四十六円になる、これは総金額ではなく石当りですから、金利が上ったために石当りが上ったというならばわかりますよ。金利も上りませんけれども、むしろ国の金のかからない資金を借りて、かえって安くなっているはずだというような大臣答弁等が行われているわけであります。そうすれば石当り九十五円よりさらに下らなければならぬという説明にならなければならぬ、しかも一割や二割上ったのではありません。石当り九十五円から二百四十六円となりますると、中間経費の中でこれほど倍増したものはないのです。総計これだけかかるだろう、おおよそは間違いない、おおよそ間違いないということでは済まされない。これをもっとこういう点から金利が百五十円引けると見たり、あるいは百円引けると見て、あるいは保管料運送費等はあまり上っておりませんが、保管料、金利等から三百円何がしというものを引き出して参りますと決して赤字ではなくして米の取扱いにおいてはとんとんまたは黒字だということが言えないことはない、総体食管会計としては赤字かもしらぬけれども、米だけで計算すると必ずしも赤字にはならないということになる。そうすると米以外のいわゆる行政的な必要上行うことによって赤字が出るというならばこれは行政費で負担すべきだ、こういうことになる。食管会計の中で一番もうけのあるものは米だということになってくる。一番もうけのあるものに損をわざわざ作って、そうして赤字だと称する必要はない。もっとほんとうから言うならば、その他の食品別にはっきり出てくる赤字というものを出してきまするならば、米の赤字というものは少いのではないか。戦前自由経済の時代においては、二割三分なり二割六分であったものが今直接統制をやっているために、一割六分か六分何厘かに当るから中間経費は決して高いものじゃない、こういいますけれども、これはうそです。それは、自由経済時代の中間経費には当然利潤も入っておる。当然これは営業として考えておったものの要素が入っておる。今は直接統制でありまするから、営業じゃない。営業でないとすれば、営業でない場合の金利負担というものは普通は利益です。これは資本金の配当になる部分です。全額とは言わないけれども、金利負担は当然株主配当分になっているから利益です。しかも自由経済時代においてはこのほかに二〇何%という税まで入っておるわけです。これは無税の操作でありまするから、当然このくらいではもっと以下に見ていかなければならないのではないか。地方に対しましても固定資産税は納めておりません。それだけの恩典を受けておるのでありまするから、当然もう少し中間経費というものは減ってしかるべきものだ。国民全体からいけば、中間経費はおのおの別な形においてもう少し負担をしておるのですよ。政府だけの負担がこれだけだ、こういうわけでしょう。国民一体から見ますれば、もっともっと負担をしているわけでありますから、従ってもう少し圧縮してよろしいはずだ。それをただ大臣のように、自由経済時代あるいは間接経済時代には中間経費はこれくらい、これより安いんだからかけてもいいんだろう、こういう意味で金利を出されたり、事務人件費を出されたり、保管料を出されておるところに非常に赤字の原因がある。米自体の赤字じゃない。食管会計操作上の赤字と見なければならぬ。操作上これだけの金利負担をしなければならぬ、倉庫負担をしなければならないというならわかります。食管会計操作上これだけ米に負わしたいという意味の負担金ならわかりますが、米自体の買い入れ、売り払いから生ずるところの金利でもなければ、保管料でもないと見なければならぬ。食管会計運用上これだけ米にかけたい、米に負担させたいというなら意味はわかります。この点はどうなんです。だから計算から出てきたのじゃなくて、食管会計操作上これだけの負担をさせたい、こういう意味じゃないのですか。それならよくわかります。
  150. 小倉武一

    小倉説明員 操作上ということも、言葉の使いようによっては操作上といってもよろしいと思うのです。けれども川俣先生のおっしゃるような意味で操作上内地米に経費をよけいかけているものじゃない。金利のことをよくお話しになりますけれども、たとえば金利にいたしましても、昭和二十六年当時、その後若干の年間と最近時と比べますると、米価の値上りその他から見まして、食糧管理特別会計で借り入れるべき金額というものは膨大にふえております。従いまして、国庫余裕金の利用率という点から見ますると、往時よりは近年の方がむしろ利用率が減っております。大臣お話しになっているのはごく最近の場合の比較で、去年とことしと比べてどうだということで利用率がふえておるということであったかと存じますが、二十六年当時と最近と比べますと、むしろ国庫余裕金の利用率は減っておるわけです。ことしはまだ実績がわかりませんけれども、往年のところまでいくかもしれませんけれども、昨年なりことしの予算上の見方というものは、二十六年あるいはその後二、三年の利用率から見るとうんと減っておるわけであります。そのことが金利の負担増ということに相なります。それからまた持ち越しの関係を見ましても、昨年なりあるいは今年の年度末のような持ち越しは従来いたしておりません。何といいますか自転車操業というようなことがいわれますけれども、ほとんど古米の持ち越しがなくて、新米でやり繰りをする、こういうことであったのでございまするから、どうしても金利、保管料等のかかる部面もここ一、二年と比較すれば少かった。こういったこともありまするし、いろいろ事情が違っている面があるわけであります。また統制前の中間経費と最近の中間経費と比べてどうだという御説ごもっともでございまして、比較するベースが違っておるわけでありまするから、比較すべきでないものを比較しておるわけでありますが、そういうお話がよく出るわけでございます。私の方から積極的にそういうことを理由にして中間経費の節減をする必要はないという証拠の一つとして申し上げているのじゃなくて、昔はもっと安かったろうというような話が出ますから、やむを得ず必ずしもそうでもなかったのだろうというふうなことの一端として申し上げている、その程度のものだというふうに御了承願いたいと存じます。
  151. 川俣清音

    ○川俣委員 今の金利の問題で、だからあなた方は大臣に誤まった答弁をさしておる。三十年は中間経費等を織り込んだのは百八十一円です。これはまたいろいろ理由があるらしい。会計年度とか米穀年度とか、いろいろ理屈は言うようですが、しかし消費者に負担させるものとして計算された数字をとるのだから、会計年度を使ったり米穀年度を使ったりするのはいわゆる食管会計の操作上出てくるものだろうという。ほんとうに負担させるべきものとして出てくるのか、全体の食管会計をまかなう上から起ってくる経費か。一体米の金利と麦その他のものの金利と一々分けていない。これは分けて出てきた数字じゃない。総金額から割り出してみて、これだけは米にかぶせてよかろうというだけの計算ですよ。米を買っただけの金利として一々計算されていないはずです。そういう機構になっていない、そういう帳簿になっていないはずですよ。従って私は食糧会計制度運用の上からこれだけ米はかぶらなければいけないといってかぶせる、これは一つのやり方だとこう言っているんです。米自体の買い入れ、売り渡しから出てくるところの金利ではない、そのものの金利ではないということです。この米そのものの金利がおかしいですよ。九十五円であったものが三十年百八十一円になったものが二百四十六円にならなければならないという理由がどうつくんですか。豊作で米を多く取り扱えば赤字になるんだという説明が一体世の中にできますか。ものが多く生産されればそれだけ赤字になるんだという説明が農業機構上においても普通の産業上においても、合理化されればコストが下るという説明には使われますけれども、できればできるだけ赤字がふえるんだという説明ができますか。金利負担分がふえるんだ、倉庫料もふえるんだという説明にはならないはずですよ。これは一つの飢餓対策として貯蔵をしておくために保管料がふえているんだ、これならわかります。去年できた米はこれだけ配給する、新しい米はこれだけ配給するといってなしくずしでいきますならば、そんなに保管料がふえるわけはない。数量がふえただけ消費に回すということになれば保管料はふえるはずはない。これは石当りですよ。石当りふえるはずはないですよ。だから貯蔵のためにあるいは備荒貯蓄の意味において、今備荒貯蔵という観念もないだろうけれども、そのために保管をしていくならば、これは当然行政費で受け持つべきものなんだ。一体郵便でも鉄道でも災害が起きた場合には無賃輸送をいたしておりますけれども、これは政府負担です。食糧庁だけなぜ一体自己負担で送らなければならないのか、災害地に米を送ったりする場合なぜ食糧庁の負担で送らなければならないのか。災害救恤品は政府負担でみな送っておりますよ。重要な米だけがなぜ一体消費者に負担をさせて送らなければならないのか。消費者の共同において負担をして送らなければならないということはないじゃないですか。個人が災害地へ衣類を送る場合でも無料受付をしております。米だけは消費者がみんなで負担をせいということは、どこから出てくるのですか。金額はもちろん少いでありましょう。しかしその観念です。そういうことで赤字が出るからということは、これは負担すべからざるものを負担させるという考え方です。どうですか。災害地へ救恤品を送る場合、鉄道でも郵便でも無料受付をしております。鉄道及び郵政関係では、国から負担をしてもらってそれをなしくずししている。食糧庁はあなた方の負担じゃない。消費者に赤字を負わせるなら、消費者の負担において救恤品を送るということになる。早く言えば、病人であろうと老人であろうと、少くとも米を食う者は、救恤品を送ったのだからみんな負担をせいということになる。これは負担の公平な配分にはなりません。従ってその赤字を消費者にかけるということは、これはできないはずです。金額のいかんではない。わずかな金額でも考え方において不当な負担だと思う。そう思いませんか。
  152. 小倉武一

    小倉説明員 御質問の趣旨が実はよくわからないのでございますが、食糧庁が救恤品を取り扱っておるということはいたしておりません。従ってそういう運賃の免除ということもいたしておりません。類似の場合といたしますれば、災害が起きた農家に、安売りと俗に称しておりますが、そういうものについて一般会計の補てんを受けつつやるというようなことはございますけれども、他にそういう類似の場合はございません。それからなおこれは一つの例としてお話しになったのでございましょうが、消費者価格の中で消費者に転嫁すべからざるものを転嫁さしておるものがあるのではないか、こういう御趣旨からいろいろお述べになったと思います。これは現在の食糧管理のための政府経費の中にそういうものがありはしないかという点は、いろいろ各方面から議論がございます。しかしきっぱりと、これは理論上といいますか、事柄の性質上当然に消費者負担にすべからざるものであるというふうに簡明に割り切れるものはなかなかないのではないか。それはやはり政策的意義を加えてその上での判断でなければ、ただ一般の原価の考え方を持ってきて、そして性格論をやったところで、これはいわば水かけ論的になるものがどうも多いのではないか。中にはございましょう。それは現在政府経費として——必ず消費者負担ということにして解決しているわけではございませんけれども、実質的に政府経費として負担をしておる。一般会計の負担なりあるいは食糧庁の物資を買う相手方なりが負担をしておるというものがあろうかと思います。そういうものの仕分けはしなければなりませんけれども、その場合重要なことは、論理上の性質の区分と同時に、あるいはそれ以上にどの程度の政策的な考慮を加えるかどうかということになろうかと思います。その点については私どもなお今検討を重ねておるときでございまして、いずれ御批判を仰ぐ時期があろうかと存ずるのであります。
  153. 川俣清音

    ○川俣委員 まず小倉さんの説をそのまま受け取ったといたしますと、そうすると大臣はコスト主義によればこれだけの赤字が出ます、こう言ったことはあれは取り消さなければならない。一つの企業会計の上の厳密なコスト主義の計算ではやっていないのだ。幾らか政策味が入っておる。消費者が得をしようと不利益であろうと、今の見解ではこういう見解のもとに消費者に負担をかけるのだという意味になってくる。それならそれでわかるのです。時によると厳格に企業会計でコスト主義だ、こういうことになりますと、そんな原価計算は認められない。世間は通らないのですよ。そのことなのです。やはり普通のコスト主義をとりますなんて大きなことを言えないような会計内容になっているのじゃないか。それから出てきた赤字だなんということは口幅ったい言い分だ、こういうことなんです。今の輸送の問題でもそうですよ。確かに災害が起きたときには、従来計画いたしておりましたものより余分に急送いたしましたり、あらためて倉庫を指定して別送したりいたしている。火事で焼けた場合に保険金額は入りますけれども、米をまた別に輸送しなければならぬ。その輸送費が入っている。災害が起きた場合に予想しなかったところへ輸送しなければならぬ、その輸送費が入っております。災害があるたびに別な倉庫から、配給すべからざる遠地から輸送しなければならない。その積み出し、その輸送費というものがかかっている。それを消費者の負担でやっているのじゃないか、こういうのですよ。これはやはり災害救助です。ただで食わせるという意味じゃないですよ。消費者価格で食わせるでしょうけれども、特別な輸送費をかけて、予定以外の輸送費をかけているのであるから、これはやはり災害救助の輸送費として別扱いすべきじゃないか。それをあなた方自体は別扱いをしていない。火事の場合でもそうですよ。火事で農業倉庫が焼けた場合に、あるいは指定配給倉庫が焼けた場合に、保険料その他によって現金として入って参りますけれども、それを埋め合せるために別の倉庫から埋め合せなければならない。その場合の輸送費並びに人件費は保険会社からとるわけにはいきませんので、この会計から支出されている。これなんかは普通の会計からいえば応急臨時費の部類です。応急臨時費も経常臨時費も経常費もみなごったにしてこれだけかかるのだ、消費者が負担せいというところに、考え方において整理されていない点があると思う。整理されていないままに消費者にこれの負担をかけるということは改めなければならぬのじゃないか。もう一ぺん計算し直して、消費者価格をきめるべきじゃないか。それに耐え得るか耐え得ないかは別問題ですよ。たとえばコスト主義で黒字になっても、消費者にもっと負担をかけるという意味で高く売るというなら、これは考え方は別です。消費者の負担能力があるのであるから、黒字でもさらに消費者価格を上げるのだという根拠であれば、これは別問題です。そうじゃない。コスト主義によっても赤字だ赤字だという説明で、消費者に負担をかけようとするところに観念の整理がついていない。会計の整理をみずからつけなければならないのに、それを怠っておって消費者に負担をかけるということがあやまちだ。今後すっきり整理をつけた上で、どうしてもかけなければならないということでかけるなら別問題です。あるいは黒字が出ても消費者に負担を願おうというなら、これは別問題です。どうも世間に説明されております赤字だ赤字だという観念は、これは世間を欺瞞する言葉ですよ。もう少し負担区分を明らかにすべきじゃないか。今の会計はそれ自体できていないのですよ。小倉さん、それは一応どっかで、わからない人に説明するときには説明できますよ。本人自体が、食糧庁全体がわからないで、それでほんとうに説明しようとしてもできるわけがないですよ。だからその観念を整理することが必要じゃないか。まず消費者価格を上げようという前にみずからの考え方を整理して、しかる後に一体どれだけのコストがかかっているのだということを、あらためて示すことか必要ではないか。十月一日から値上げするというのであれば、まず十月一日前にこの整理ができれば一日でもいいですが、できなければできるまでこれは延ばすべきではないか。これは意見になりますから小倉さんから答弁を求めることは無理だと思います。しかし事務当局としては、みずからの内部の整理ができないままに消費者にこれを転嫁するということは無責任だ。少くとも小倉長官の今までの人格からいってそういうことが出てこなければならぬじゃないか。小倉さんは自分のわからないことは人にかぶせないというのが小倉さんの特長です。それをわからないで人に転嫁するのでは小倉さんの値打がなくなるようなおそれを抱くので、小倉さんの信用の上からも、これを明らかにしてほしい。きょうは答弁がむずかしいと思いますから、いずれの機会にお尋ねいたすことにいたします。
  154. 小枝一雄

    小枝委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会