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1956-05-22 第24回国会 参議院 大蔵委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十二日(火曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員異動 五月十九日委員成瀬幡治辞任につ き、その補欠として村尾重雄君を議長 において指名した。 五月二十一日委員大屋晋三君辞任につ き、その補欠として菊田七平君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡崎 真一君    理事            藤野 繁雄君            岡  三郎君            前田 久吉君    委員           大野木秀次郎君            木内 四郎君            菊田 七平君            天田 勝正君            栗山 良夫君            野溝  勝君            平林  剛君            村尾 重雄君            土田國太郎君   政府委員    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局法    規課長事務代理 中尾 博之君    大蔵省銀行局長 東條 猛猪君    大蔵省為替局長 石田  正君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    外務省経済局第    一課長     安倍  勳君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○国際金融公社への加盟に伴う措置に  関する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○金融制度調査会設置法案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) これより委員会を開会いたします。  議事に入ります前に、委員異動について御報告いたします。五月十九日付をもって成瀬委員辞任され、その補欠として村尾重雄君が委員に選任されました。また二十一日付をもって大屋晋三君が辞任菊田七平君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) それではまず会計法の一部を改正する法律案議題として質疑を行います。
  4. 岡三郎

    岡三郎君 建設委員会との連合審査でいろいろと質疑が行われたと思いますが、重複する部分は一つお許しを願って、簡単に質疑を行いたいと思います。  提案理由説明の中に、「工事の投出、竣工遅延等により完全な履行がなされない場合」の顕著な具体例というものが相当あったと思うのです。それについて一つ説明を願いたいと思います。
  5. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 岡委員の御質問の顕著な例でございますが、ただいま手元に資料がないのでございますが、件数で申し上げますと、たとえば昭和三十年度の契約状況を見てみたのでございますが、全体の契約件数二千四百六十件に対しまして、事故の発生いたしましたのが全体で三十四件になっておりますが、具体的な顕著な例につきましては、さっそく調べまして御報告いたしたいと思います。
  6. 岡三郎

    岡三郎君 どうもそれだというとちょっと勉強不十分だと思う。やはり本法律を改正するというのはそこにポイントがあるわけですから、そういう具体的な事実に立って、やはりこういうふうに改正するのがよろしいというふうに言ってくれると、われわれも明確に賛意を表するということになるのだが、ちょっと用意不十分というところです。  次に、実際問題として入札をするということになる場合に、その最低入札した者がどうも履行する場合にあやふやだというふうなことがあるというふうに考えていく場合の基礎を、政令案要綱の中で基準を作るというふうになっておりますが、実際問題としてどういうふうなことを考えておるのですか。
  7. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 今回会計法の一部を改正する法律案を提案いたしました趣旨は、御承知のように、会計法原則からいたしまするならば、国がたとえば建設工事をいたします場合に、財政支出をできるだけ少くして負担を少くするという意味におきましては、最低価格でやるのが原則だと考えるわけですが、先ほど申しましたような件数で見るように、業者間で不当競争などいたしまして価格を不当に低くする。そのために工事手抜きが行われましたり、不履行が行われまするような事態に備えんとするのが趣旨でありますので、あまりにこの基準なり金額というものを、あるいはまた対象となりまする工事を広げますと、会計法の例外を非常に広くするわけでございます。かと申しまして、また、これはあまりにしぼるような格好になりますと、せっかく法律の一部を改正する意図が失われることになりまするので、工事につきましては、とりあえず建設工事を予定しておるのでございますが、その建設工事のどの程度金額のものを対象にするかにつきましては、全国的に一件当りの金額等を勘案いたしまして、高からず低からずという線で定めようと思っておりまするし、また基準につきましても、たとえば八割以下は駄目にしたらどうかというような御意見もあると思いますが、この辺のところも実はただいま建設省と相談中でありまして、政令の中におきまして、八割にいたしますか、九割にいたしますか、その辺の間あたりが適当ではないかと考えておるのでありますが、ただいまのところは、はっきりしたどの程度の割合にするかはきめておりません。
  8. 岡三郎

    岡三郎君 そういうところを一つはっきりさしてもらわんというと、なかなか実際問題としてむずかしいと思うのです。だから、それは一つはっきりさしてもらいたいと思うのですが、時間的に間に合いませんから次に聞くことにして……  次の質問は、次善のものを価格で言うと採ってくる。しかし何と言ってもやはり安いのに落すということが原則だと思う。その場合に、疎漏工事なり、途中で工事をやめて金をもらって逃げてしまうとか、あるいは竣工遅延等、いろんな問題があると思う。そういった場合に、そういう弱体の会社なり、札つきの会社というものに対しては、それは応募してはいかんとは言えんから、何らか保証金なり担保なりをとるというふうなことをお考えになったことはないのですか。
  9. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいま御質問の点につきましては、現在の予算決算及び会計令の第八十一条によりまして規定しておりまして、現金または国債をもちまして見積金額の百分の五以上の保証金を納めさせることになっております。
  10. 岡三郎

    岡三郎君 その百分の五というのはやはり適当な場合が多いと思うのですがね。こういうふうな建設事業というものにつきましては、やはりちょっとこれは少いのじゃないか。だから私としては、従来の具体的な事例にかんがみて、いわゆる事件として統計的に見て、こういうふうな工事は非常に危険性が多いというふうなことは出てくると思う。だからそういうふうな画一的な考え方ではなくして、やはり入札する内容によって、物件の内容によってはもう少し大幅の保証金をとるなり、あるいは担保なりをとってやるという考え方、私はそれが実際的ではないかと思うのですが、それはどうですか。
  11. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 実は今回法案を改正するに当りまして、岡委員のおっしゃいましたような保証システムによりまして、手抜き、あるいは竣工遅延等の起らないようにいたすことも考えられるわけでございます。その点も考えたんでありますが、実は、はっきり申し上げますと、御承知のように第二十二国会におきまして建設業法の一部改正法案がございまして、契約予定価額の八割以下のものはアウトにしようというような法律が出ておるわけでございます。で、それにつきましては、私どもといたしまして、会計法の大原則にまっこうから反対されるような趣旨法律でございますので反対いたしまして、何らか保証関係、あるいは御承知のように東日本建設保証会社西日本建設保証会社というような保証会社もございますので、この保証会社による保険システムの拡充によりまして、そういう価格が低いために手抜きが行われたり、あるいは工事ができなくなって国に損害を及ぼすようなことを避けることができるのじゃないかというようなことを、いろいろ検討してみたのでございますが、なお技術的に十分カバーできるというような見通しを得るに至りませんでしたので、今回かような法律を改正いたしまして、せっかく現在起りつつあるような事態に処するようにいたした次第でございます。
  12. 岡三郎

    岡三郎君 なぜ私がこういうことを言うかといいますれば、契約担当職員当該契約内容について検討するという場合に、やはり業者の方からいろいろと働きかけが行われて、なかなかむずかしい問題がやはり発生してくる予見がするわけです。そういうふうなことを考えた場合に、やはり入札のときには、すぱっと業者が、まあとにかく考えて入れた価額ですね、それをやらせること、ただし、それがインチキがあった場合は他の方法によってこれを拘束して、絶対にインチキが行われないというふうな保証を固めていくことが、私は一番まぎらわしくなくていいのじゃないかと、こう思うわけです。そうでないと、これは内容的に検討してみると、履行の確率がどの程度だということは人によって相当違ってくるのじゃないかと私は思うわけです。そこに業者の方から働きかけが行われることになると思う。ですから今言ったように、とにかく業者の方へ入札というものを慎重に考えさせるような保証のワクというものを確立することの方が、私はてきぱきと事業を遂行するという上にいいと思うのですが、その点どうですか。
  13. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ごもっともな御意見でございまして、私どももその点非常に苦慮いたした点でございます。契約担当職員恣意によりまして特定の業者が排除をせられる。その間、業者裏面から工作するというようなことになって、いわゆる不正事件などを起すような余地があってはいけないと考えまして、ぴったりといくような案を考えたんでございますが、なかなか名案がございませんので、せめて契約担当職員恣意あるいは業者裏面工作というようなものが入る余地を少くしようというような意味からいたしまして、二番札のものを入れることになる一定基準になるものを、各省、各庁の長が定めまして、その基準によらしめるとか、それから当該契約担当職員の一人の判断だけでこれをきめるのではなくして、契約審査委員、これは各省、各庁の長あるいはその委任を受けた職員、私ども一応三名を予定しておりますが、三名の契約審査委員に諮りまして、その同意を得た後やるというふうにいたしまして、その間の不当あるいは不正事件が起ることを排除いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  14. 岡三郎

    岡三郎君 私は、方針をきめれば、大蔵省方々は頭がいいのですからできるのじゃないかと、こう思うのだが、やはりやる意思がないのじゃないですか、その点どうなんですか。
  15. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ちょっと御質問の御趣旨がわかりかねますが、やる意思とおっしゃると……。
  16. 岡三郎

    岡三郎君 つまりね、保証をとって工事の正確を期すると、保証のとり方をどうするということがわからぬくらいな大蔵省方々じゃ私はないと思うんだが、実行上どこがむずかしいのですか。
  17. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) それは画一的に定められておりまして、建設工事等につきまして果してこの保証金というものをどれくらいにしたらいいか。また保証金をたくさんいたずらに積ますことも能ではありませんし、保証金だけで果してカバーできるか、あるいは、むしろ、先ほど申し上げましたように、保証会社保証の方がカバーするシステムとしてはベターではないかというふうにも考えたのでございますが、今回のところは、とりあえず、かような法律改正によりまして、著しく低い値段で入札をして、そして工事履行を怠るということの事態が生じまして、これによって国に損害が及ぶことを防止しようと、こういう趣旨から提案いたしましたような次第でございまして、なお御趣旨のようなことにつきましても十分今後とも検討を加えたいと思います。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 私は、保証制度というものを新しく作って、そうして中小土木事業者ですか、こういった者に対して掛金をさして、その完全を期するという方法もあるし、そのほか土建事業一般については非常にまあ不正工事が多いというふうな点からいえば、やはりそういう方向にいかなければ、なかなか私は工事の不正を絶滅できないと思うのです。今言ったように、契約担当者なりあるいは契約審査委員というものが置かれるようですが、こういう方々に対する働きかけというものは、私は相当強力だと思う、今後においては。それでまた件数が多いから、どの程度まで正確に調査できるかどうかという点については、ある者に対しては相当正確にやるけれども、ある者に対しては、うのみにするというふうなことも、なきにしもあらずで、そういうふうに心配したら、きりがないかもしれませんが、なかなか私はむずかしい要素があるんじゃないかと、こう思うのです。だから結局こういうふうな工事を正確にさせるためには、それに伴う保証金なり担保なりというものを明確にしておいて、この人がこれがいい価額だという点を入れさせれば一番無難だと思う。これが確立されれば、途中で投げ出すような入札をなした場合、業者みずからがそれを受けるわけです。だから私は、そういうふうな点で、そっちの方に一つ考え方を向けていくということが、工事全般の安全を期する方向だと私は確信しておるのですが、これは決算委員会等においてわれわれが検討した部面においても、そういうふうな方向が望ましいんじゃないかと私は思っておるのですが、これは今後十分検討してもらいたいと思うのです。そうしないと、どうしたって八百長というものが行われるということを私は絶滅を期しがたいと思うわけです。
  19. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) まことにごもっともな御意見でございまして、私も先ほど御答弁申し上げましたように、一応基準を作り、あるいは契約審査委員というシステムを設けることによりまして、そういう弊害が除去できると思っておりますけれども、これでもって絶滅できるという確信は持ち得ないのでありまして、御指摘の点は確かにあろうと思います。こういうふうな契約価額が低くて、それがために途中で工事を投げ出し、あるいは手抜きをするというような事態を防止するためには、もっと何らかの的確な方法があろうかと私は考えます。この点は、本来ならば、この法律を御提案申し上げる前にもっと検討をいたしまして、さらにベターな案を御提案申し上げるのが本筋だと思いますが、何分ただいま申し上げましたように、建設業法の一部を改正する法律との関係がございまして、一応これでもって当面の事態を救おうとするものでございまして、今後御意見の点は十分検討して参りたいと考えております。
  20. 岡三郎

    岡三郎君 それでは一応会計法の一部を改正する法律案に対する質疑を終って、あしたこれを採決する場合に、その事前に一つ質疑が残った分をやりたいと思う。こういうふうにお取りはからいを願いたいと思います。
  21. 土田國太郎

    土田國太郎君 この法律案通りました場合に、三公社現業等はどうなりますか。
  22. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 適用ございません。
  23. 土田國太郎

    土田國太郎君 適用はない、ないが、政府だけこうやって、三公社現業が従来通りということになりますと、もうこれは国家的なものだから、同じ歩調でいくべきものと思われるのですが、その点についてのお考えはどうですか。
  24. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) ちょっと今の点でございますが、三公社には適用はございません。五現業には適用がございます。従いまして問題は三公社になるわけでありますが、三公社につきましては、一応これは国とは別の体系になっておりまして、向うで相当自主的な、経営上一番これが好ましいという方法を技術的にある程度きめる方向が出ておりまするので、会計法全般原則といたしまして、本則が必ずしもこれに適用されるという形になっておりません関係上、これを直ちに適用するという形をとることは適当でないと存じます。なお内容につきましては、三公社といえども会計法的な規定でございまして、その規定を守らなければ、直ちに不適当といいますか、もう不適当であるというような規定につきましては、三公社も同じような規律をもってやっておるわけであります。今回のように、多少、何といいますか、これによらなければ不正であるという意味でなくて、より経済的に中ろう、より適当な、工合のいい方法をとろうというような面につきましては、三公社についてはまた三公社考え方というものもございましょうと思われますので、この種の規定は必ずしも平仄が合わないということもやむを得ないと存じます。なお参考までに申し上げますが、現在三公社におきまして、ことに国鉄、電々でございますが、これにおきましては、現在提案いたしておりまするやり方よりも、もっと自由裁量によりまするところの公開協議という形でやっておる。これは入札制度からほとんどもう離れるのでございまして、一応入札はいたしまするが、そのあとで、その入札者を相手といたしまして、公開の席上におきまして折衝をいたします。それで相対の話し合いでだんだん値を適当なところへ持ってくるということをやっておるわけであります。このやり方は、ただいまいろいろ御質疑もございましたような点から考えますれば、さらに担当職員裁量の、幅の広いやり方になっておるようなわけであります。
  25. 土田國太郎

    土田國太郎君 だいぶゆるいのですね。三公社やり方は。だいぶ国としては厳重にやろうというような方向に向っておるにかかわらず、三公社は今の御説明のようであるとすれば、だいぶ勝手な仕事もできるのではないかというような疑問も起きて来ざるを得ないと思うのだが、それはそれで、そういう現在の方法ですから、いたし方がありませんが、府県等についてこういうような指導をやりますか、やらないのですか。
  26. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 直接には実はこれは自治庁の所管になりますので、そちらの方から御答弁を申し上げませんと誤解を招くかと思いますので、その点はちょっと申し上げかねますが、実情を申し上げますと、府県におきましては、相当多くの府県におきまして最低価格制をとっております。ことに東京都あたりが有名でありますが、その結果につきましては、具体的なその成果につきまして、数字は必ずしも握っておりませんが、いろいろ問題があるやに承わっております。ことに取締り当局あたりからも、御意見として私ども内々に承わりましたところでは、非常に取締り的な面から見まするというと、不適当なる事態が生じておるという御意見でございます。従いまして、国におきましてこの制度を実施いたします。これは実施いたしまして、だんだん例を積んで参りますれば、それがどの程度効果があるかということもおのずから明らかになって参ると思いますが、そうなりますと事実上これにならうということも十分考えられるところでございます。
  27. 土田國太郎

    土田國太郎君 過般のこの委員会におきまして、政令要綱に、「一定金額以上の建設工事とする。」ということについて御意見もありましたし、質疑もあったようですが、大蔵省としては、これらの適用ということについてお考えは決定されたのですか。
  28. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) この点につきましては、先ほど岡委員の御質問にお答えいたしましたように、ただいま建設省と、各地域別にどういうような工事分布状況になっているか、すなわち百万円以下の工事はどれくらいあるか、あるいは百万円から二百万円以内の工事はどれくらいあるか、そういうような工事量をよく分析して見まして、この法律精神に沿うようなところをきめたいと思っているところでございまして、ただいまのところまだどの程度金額にするかはきめておりません。
  29. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 他に御質疑がなければ、本案の質疑は一応この程度にとどめます。   —————————————
  30. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案議題として質疑を行います。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕   〔委員長退席理事藤野繁雄君着席〕
  31. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) 速記を始めて。  国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案議題として質疑を行います。
  32. 岡三郎

    岡三郎君 この国際金融公社を作られた趣旨についてはわかっておるわけですが、実際問題として、これに出資するということによって、日本はどういうふうな利益を受けるのか。その点について一つ詳細に解明してもらいたいと思う。
  33. 石田正

    政府委員石田正君) これは、協定の本文にございますように、加盟国特に低開発地域に対しましていろいろ資金の供給をしようというのが、この公社の目的とされておるところでございます。そこで、加盟国とございまするから、その点から申しますれば、日本はもちろん加盟いたしますれば、加盟国の扱いを受けるわけであります。しかしながら、特に低開発国開発を促進するということでございまするので、公社といたしましては、やはり加盟国一般考えるよりも、低開発国開発ということを重点に考えるのがほんとうであろうと思います。そこで、一体、日本という国は低開発国に入るか入らぬか、こういう問題になるのだろうと思います。この低開発国をどういうふうに定義するかということは、きまった定義がございませんので、むしろ常識的に考えなければならぬことかと思うのでございまするが、実際問題としまして、日本は、いわゆる低開発国と、それから高度な工業国の、まあ中間にあると考えるのが、一般の常識になっておるのではないか。従いまして、この公社ができてどういう利益日本にあるかということになりますれば、むしろ直接融資を受けるということに期待いたしまするよりも、低開発地域が、この公社活動によって開発が促進される、その間接的な効果が、世界各国に及ぼすところの利益に、日本も均霑する、かように考えるのが実際的ではないかと考えておる次第でございます。
  34. 岡三郎

    岡三郎君 アメリカ中心になってこの公社を作るわけなんで、日本もいろいろと検討してみたが、まあ大した利点はないが、アメリカが言うのだから、しようがないというところなんじゃないですか。どうなんですか。
  35. 石田正

    政府委員石田正君) 御承知通りに、現在、国際復興開発銀行というものがございます。これは世界各国、数十カ国が加盟いたしまして、現に活動をいたしておるわけでございます。この今度の公社はそれを補助するところの機関として、機能的にそういう世界銀行だけでは足りないところを補うという意味でできたということは、御承知通りでございます。従いまして、その運営もやはり世界銀行と同じ精神で運営される、かように考えるのが自然だと思います。これは、何と申しますか、日本は、アメリカが入っているから、世界銀行へ入るというのではなく、やはり世界各国がこういう機関を作ることが適当であろう、こういう判断加盟いたしておるところでもございますし、今度この新しい公社加盟するものも同様な精神から出ておる次第でございます。
  36. 岡三郎

    岡三郎君 世界銀行があって、これを作るという理由は、世界銀行の方はいろいろときびしい条件がある、まあこれの方が少しゆるい、だから、これによって低開発地域への投資を盛んにして産業を興すということはわかるのですが、しかし実際問題として、アメリカ中心になって、一種のひもつき融資のような形になるおそれがあると見ている東南アジア地域が、これをほんとうに喜んでいるかどうか。まあ加盟はするにしても、一体これによってどれだけの利益を受けるのかという点については、相当問題が私はあろうと思う。そういうふうな点について、東南アジア諸国加盟するような動きがある、台湾だけはちょっと加盟権の問題で入らないような情勢ですが、ソビエトが相当近東から東南アジアに対しても最近積極的に投資活動というものを行なってきておるという点から考え合せて、この銀行融資条件というものは、それほど飛びつくほど、べたぼれするほど大したものじゃないと私は思うのですがね。その点どうなんです、実際問題として。
  37. 石田正

    政府委員石田正君) 世界銀行が過去におきましていろいろと事業を営んできたわけでございます。その実績を見ながら、岡委員承知のように東南アジア諸国も入ろうというわけでございまして、私は、この機関がまだ活動いたしておりませんので、活動した場合のことをここで断定的に申すことはできませんけれども世界銀行の例から言っても、東南アジアの諸国も、やはり世界銀行の場合あるいはそれに劣らずに、この新しい公社から融資を受けるということはあり得ることであるし、また歓迎しつつ受けるであろう、かように考えております。今御指摘がございましたソ連その他のいわゆる共産圏の国々が、中近東その他におきまして、非常に低利で、かつ非常に長期に、非常に有利な条件でやっている、それに対しまして、これが対抗できるかどうかという問題につきましては、これはやはり、それだけ申しますれば、対抗できないのじゃないか、こういう問題はあろうかと思いますが、実際問題といたしましては、世界銀行活動というのは、ソ連のああいう活動ができてから、すぐとまってしまったというわけではございません。私は、この機関活動いたしますればどの程度になりますかということは、はっきり申し上げられませんけれども、しかし活動する余地はあり、東南アジアも受け入れていくであろう、かように考えております。   〔理事藤野繁雄君退席、委員長着席〕
  38. 岡三郎

    岡三郎君 実際問題として、東南アジア諸国がこの国際金融公社から融資を受けるといった場合に、いろいろと産業が興って消費部面が拡大される、それで日本も物資その他が出ていくというふうに私は簡単には考えられないのじゃないかと思うんですがね。つまり向うの方でいろいろと産業が興るということによって、あるいは逆に日本の品物が出ていかぬようになるのじゃないだろうかと思うんですが、この点どうです。
  39. 石田正

    政府委員石田正君) いわゆる低開発地域と、それから工業国、あるいはその中間の段階もございますが、そういうふうに、国々の間で経済交流とか貿易とかいうふうなものがどうなっていくんだろう、低開発地域というものが発展するに従って、いわゆるそれより一歩進んだ国々の貿易というものは一体減っていくのかどうか、これは考え方がいろいろございます。いわゆる低開発地域が発達すればするほど、もう工業国の経済活動というものが影響を受けるんだ、こういう考え方もございます。またそういう部面もあり得ると思います。しかしながら、過去の実際の状況を大局的に見ますならば、むしろ経済が——特に低開発地域の経済が開発されて参りますと、やはり購買力がふえまして、全体といたしましては、経済交流その他がふえるというのが実際ではないか、かように考えております。
  40. 岡三郎

    岡三郎君 まことに簡単に割り切られたお説をされるようですがね、まあ真意はそうでないと私は思うのですが、実際問題として、今の貿易状況というものを見ますれば、やはり相当強いひもつきをしなければ、なかなか買ってくれないという条件があると思うんです。だから日本自体としても開発投資活動をもっと盛んにしなければならぬ、しかし財政がそれに伴わぬ。しかし実際問題として、東南アジア自体に対して日本というものは相当今後における大きな問題を持っている、そういうことになるならば、日本がもっと自主的に、積極的に、日本自体がもっと力を持ってやれるような構想に立たなければ、私は人のふんどしで相撲をとるなんということはできぬと思うんですが、この点どうなんですか。
  41. 石田正

    政府委員石田正君) 私は、この公社活動いたしますならば、間接的な効果がすぐ目に見えてきて、日本がそれによってすぐ得をするのだと、こういうようなことには私は直接ならぬと思います、もちろん。従いまして、もっと効果をお説のごとく上げるために、日本自身が直接東南アジアなら東南アジア投資する、こういう努力をやめてこういうところにいくのだという考え方をとるべきでないと思います。もちろん日本といたしましては、個々のいわゆる日本の資本なりあるいは経営というものを受け入れるところの国、あるいはそれに適当であるところの事業があれば、もちろんそれに向って手を差し伸べるべきであって、またそれに努力を払わなければならないと思います。しかしながら、特定な国から、ひもつきとかなんとかいうことじゃなく、やはり世界的な機関から受ける、その方がよろしい、こういう投資の面から言いましても、受け入れる面から言いましても、そういう考え方があり得る場合には、そういう機構によっていくということもけっこうなことだと、こういうふうに考えております。
  42. 岡三郎

    岡三郎君 実際問題として一萬田構想というものが前に出されたというふうに聞いておりますが、これは固まったものではないと承わっておりますが、実際問題として、日本自体というものが東南アジアの経済のまあ一応中心になると言えばおこがましいかもしれませんが、実際的な効果を出すという場合には、やはりそこまで積極的にいかなければならないのじゃないか、賠償問題が一方に大きくあるわけですから、それとタイアップして、もう少し積極性を持ってそういう構想を樹立するという方にいくのかいかんのか、実際大蔵省自体としてはその点どうなんですか。
  43. 石田正

    政府委員石田正君) お話がございましたところの一萬田構想につきましては、私から、とやこう申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。しかしながら、一般的なものの考え方から申しまして、やはり低開発地域なら低開発地域開発というものに日本が相当力を入れていくと、こういうことは私は必要だと思います。ただその過程において、やはりとの開発とかあるいは提携とかいうものは、これは私は地道な仕事であると思うのであります。一挙にこういうものを作ったから、それでもういいのだと、そういうふうな、何といいますか、紙に書いただけで提携ができるものか、あるいは金を調達したらそれでもう片づくと、そういうものではないだろうと思います。実際問題としては、やはり何と申しますか、こういうふうなことをすれば望ましいと、一つの構想なら構想がありますれば、その構想に沿ったラインの手は、いろいろと、こういう道もある、ああいう道もある、そういうふうな道を一つ一つ、これをやるから、あれをやめろということじゃなくしで、やはり地道に一つ一つ片づけていくということも、非常に大切じゃないかと、かように考えております。
  44. 岡三郎

    岡三郎君 話は違いますが、日本の組合もこれは世界的な労働組合に参加しておるわけです。ICFTUですか、その国際自由労連、まあそれによって直接どの程度日本の組合が利益を受けるかというふうなことが相当問題になってくるわけです。これは組合自体としても、加盟金を出すということは、日本の経済事情から言ってそう安易なものじゃないです。しかし積極的に加盟費を出して、そうしてそれに基く活動というものを強力に要請するというふうになって、組合というものは比較的民主的に協議して運営されるということになるが、しかし何といっても一番大きな問題は、ヨーロッパが優先して、アジアというものはどうしても置いておかれてしまうということに私はあったと思うのです。今回の場合は、まあこういった低開発地域開発するということで趣旨は明確になっておるわけですが、実際問題として、東南アジア地域というものがこれによって受ける利益というものがどの程度か、とにかく日本としてもこれに加盟し出資するのですから、日本の財政から見ても、まあ多額とは言わぬけれども、やはり相当の金を出すわけだから、だから、そういった点についていろいろと御検討になっておると思うのですが、私としては、こういうふうな公社加盟することも、あながちいかぬとは言っていないわけです。いかぬとは言っていないけれども、これによってやがては何らかの利益日本にくるというふうな、ばく然としたことでは、なかなか簡単にこれだけの金を出していいと善い切れないものがあるわけです。ですから、もっと率直にいって、日本の国がこの金融公社から融資を受けるということは、これはちょっと考えられないのですか、どうなんです、その点は。
  45. 石田正

    政府委員石田正君) 一番初めに申し上げましたような工合に、日本融資を受けるという道は全然ないとは言い切れませんが、私は実際問題として、日本にくれるよりも、むしろ東南アジアの諸国の方に金を出すというふうなことの方が公算が多いのだ、そういう性質のこれは公社なんだと、かように考えております。
  46. 岡三郎

    岡三郎君 次に、少し先にいきますが、かりに東南アジアに対して日本が自主的に海外投資を積極化するといった構想について、いろいろと検討されておりますが、その場合において輸出入銀行、これはずいぶん先の話になるけれども、輸出入銀行との関連というものはどうなるかというふうな点についてもいろいろと検討されているやに、または話の過程かもわかりませんが、これは将来の問題で、まだそこまで検討しておりませんと言われればそれまでですけれども、そういった点はどうですか。
  47. 石田正

    政府委員石田正君) これはちょっと私からその点を申し上げるのは、公式にはいかがかと思いますが、もしお許しを願いまして私個人の考えております感じでもよろしいということならばお話申し上げたいと思うのでありますが、輸出入銀行が活躍をいたしまして、そうして日本のいわゆるプラント輸出といいますか、その他の輸出といいますか、そういうふうな日本の産業の中で比較的輸出関係について力の劣っている部面につきまして、その輸出に貢献した、また貢献しつつあるということは争えないと思います。その次の問題としては投資の問題でございまするが、これは輸出入銀行投資に必要な資金を供給することができるというような状況にあります。たとえば、ある産業が東南アジアの某国の某事業投資をしたい、しかしながらどうも資金的に自分の力だけでは工合が悪いというような場合に、輸出入銀行からその資金を借りる道があるわけでございます。現在までにその投資が割合に、あまり数字の上に現われてきておらないということは、いろいろな原因があると思いますが、これからだんだん輸出入銀行投資金融と申しますか、そういう部面はこれから伸びていくべき性質のものであり、また伸ばさなければならぬ性質のものだと思っております。でありますから、これは輸出入銀行という一つのもうすでにでき上っている機関があり、提携も進んでおるものでありますから、これを活用していくということが、私はまず考えて実際的じゃないか、それがうまくいかないで、これではだめなんだということが、個々の具体的な案件によって判定された場合に、さてそれじゃ違った形の投資機構というものを作った方がいいか悪いかということを考えるという方が実際的ではないか、かような感じを私は持っております。
  48. 岡三郎

    岡三郎君 だから実際に海外投資活動を積極化して、日本自体としてもその中にさらに積極的な活路を見出していくということになれば、今お話のように、日本輸出入銀行のそういった部面を強化し、そこにその金を集めてやるということが私も実際的だと思うのですよ。ですから、この金が相当あればかまわぬが、そういう部面に資金を集中していくように考えた場合に、何かこの法案の金融公社というのは二階から目薬的な感じを受けざるを得ないわけです。ですからそういった点で、輸出入銀行投資活動というものを私自体としては積極化していくことが、より日本ベターな道だというふうに考えているわけなんですが、この程度の金だから、まあ国際的なおつき合いだという程度のものではないかと思うのですが、それはどうなんですか、もう一ぺんくどいようですが。
  49. 石田正

    政府委員石田正君) 私は、先ほど来、御質問に対しまして、結局低開発地域開発という問題、これには二通りの行き方がある、一つは、個々の国がそれぞれ自分がそこへ進出していく行き方、もう一つは、各国が資金をプールして、そうしてその資金でもってやっていく行き方、この二つがある。片方がよくて片方が悪いのだというふうに一がいに断定すべき性質のものではないということを申し上げた次第でございます。その観点から申し上げまして、たとえば日本が輸出入銀行だけでやっていくということになりますと、相当な金が要るということになると思います。しかし、いろいろと御疑念の点もあるようでありますが、かりに公社なら公社というものがうまく機能するということでありますならば、わずかな、一つの国としてはわずかな金でありますけれども、トータルとしては相当量の金ができる。その金で低開発地域開発ができる、こういうことも一つの行き方ではないか、かように考えておる次第でございます。おつき合いという意味ばかりでなく、やはりそういうものの考え方があっていいものだというふうに私は考えておる次第でございます。
  50. 岡三郎

    岡三郎君 それもわかりますが、実際問題として、これが発足するということになった場合に、まあ協定に書いてあること以外に、実際に日本の発言権というものはどの程度になるのですか。
  51. 石田正

    政府委員石田正君) 先ほど来、日本としては、加盟しても加盟し放しで、何も業務に関与できないのじゃないか、こういうお話がございました。私はこれは程度問題であろうと存じます。現に世界銀行におきましても、日本国がタイ、ビルマ、セイロンと、四ヵ国が一つに組みまして、日本から理事が行っておるわけであります。これは、理事会等に出まして、そして日本政府の、まあ向うの機関でありますけれども日本政府意見というものをよく聞いて、そうして不公平だと思う点は理事会において発言をいたしておるわけであります。それから、先ほど来、東南アジアの問題が出ておりますけれども、御承知通りに、年一回世界銀行の大会がございます。この場合におきまして、やはり日本の大蔵大臣は、東南アジア方面というのは比較的に閑却視されておるので、世界銀行に、もっと東南アジアに力を注ぐべきである、こういう発言をいたしております。発言をいたしておるばかりでなく、やはりそういうことは数字的に……この発言をしたからなんぼということではございませんけれども、やはりそういう気分を持つようになり、それから実際の運営にもそれがあがってくるというふうに、私は何がしかの貢献はいたしておる、かように感じております。
  52. 岡三郎

    岡三郎君 ここがまあ意見の分れどころになると思うのだが、実際問題として、この金融公社に参加して日本の発言力というものが私はそれほど大きく評価されるようになるとは思えないのだな、実際問題として。従って、やはり東南アジアに対するいろいろな投資についての日本の発議がどの程度までいくか、直截に今のところ相当いくのだという意見もあるけれども、われわれは相当にもいかぬというふうに実は考えているのですがね。理事会というものによって発言をするというふうに言われておるので、その点はこれ以上言ってもしようがないと思うのですが、東南アジア諸国自体というものが、それではどれだけ金融公社によって発言力があるのか、そういった点はどうなんですか、これは日本が全部背負うという形になるのですか。
  53. 石田正

    政府委員石田正君) 先ほど私が申しましたような工合に、セイロンとビルマとタイにつきましては、これは日本が代表して行っております。しかしながら、理事代理と申しますか、そういうふうな人は交代でそれぞれの各国から出てきておる。実際問題として理事理事代理とは非常によく連絡をとっております。それから理事といたしましていろいろ発言をします場合には、やはりそれらの国の代表者といろいろと打ち合せをいたしております。それからまた、いろいろな、こういうふうなことがあったとか、こういうふうな経過になっているとかいうことは、その都度その都度、詳細に理事から、ビルマ、タイ、セイロンに連絡をいたしております。そういう点におきまして、何と申しますか、日本理事になっておりますけれども日本の立場から発言し、日本だけのことを言っておるものじゃございませんので、やはりこの四カ国の代表として話をしておる、この点は非常にうまくいっておると思っております。それから今の三国以外の東南アジアの国が加盟いたしますれば、これはまたその国といたしまして理事者を出して、そうして発言するわけであります。これもやはりそれらの国々の考え方というものが盛られてくるわけであります。東南アジアの国がよけい参加するということは、やはり東南アジアの国の考え方というものがその公社なら公社の運営の上に比重を増してくるものだというふうに考えます。
  54. 岡三郎

    岡三郎君 投資する地域ですね。中南米とかあるいは東南アジア、こういうふうに言われておりますが、その比率のようなものはどうなっているでしょう。
  55. 石田正

    政府委員石田正君) これは世界銀行の場合におきましても、東南アジアにどれだけ出す、中南米にどれだけ出す、中近東にどれだけ出す、こういうようなことはございません。あらゆる地域から、いわゆる借入申込みがございます。その借入申込みの中から見て、そうして、何と申しますか、優先順位をつけてやっております。公社の場合におきましても、やはり世界銀行の場合と同じような工合に、どこの地域からどれだけのワクがあるからそれで来て下さい、こういうことじゃございませんので、それぞれの借入申込みを受けて審査の上でしかるべきものは貸し出しをするということになるわけであります。
  56. 岡三郎

    岡三郎君 どうもそういうふうにいくと、やはり相当アメリカのひもつきという形が出てくるじゃないですか。この点どうなんです。
  57. 石田正

    政府委員石田正君) これは政治的には完全にとらわれないで、個々の事業、その事業がその国に及ぼすところの効果というものを重点として審査するわけでありまして、その事業自身がいいか悪いかということを判断する建前になっておるのでありまして、アメリカが好きだから、これはいい、アメリカがきらいだからこれは削る、そういうものではないと思います。
  58. 岡三郎

    岡三郎君 そういうふうな御答弁になると思うのですがね。しかし、実際問題として、今後日ソ、日中国交調整というものが登場してくる、そういった場合に、ソビエトと中国との関係というものが新しく日本としてここに登場してくるということになると、やはり新たなる一つの構想というものが立てられなければいかぬと私は思う。やはり実際的な問題としては、そういうふうな配慮を考えて、日本としても相当新しい施策というものを打ち出していかなければならぬというふうに考えるわけですが、中国、ソビエトに対する考え方はどうですか。
  59. 石田正

    政府委員石田正君) ちょっと御質問趣旨がよく……。
  60. 岡三郎

    岡三郎君 つまり、こういったものに加盟すると、将来新しくこの中に中国やソビエトが参加して、より世界的な金融機関になるということになったならば、東南アジア自体というものも相当オープンになると私は思うわけです。というのは、最近における——最近というより戦後ですね。世界戦争後における東南アジアは、民族独立という点が非常に強力に打ち出されて、やはりそういう基盤の上に立って、ひもつき融資反対だ、これはソビエトのいわゆる海外投資活動が活発になるにつれてさらにそういう気運が強くなると思う。そういう一つの動向を考えた場合に、日本としても対アメリカとの関連とかじゃなくして、そういうふうな一つの構想というものも考えられなければならないじゃないか。そういうことになれば、この中に中国、ソビエトが入ってもらえるというふうになればいいと思うのですが、そういった点はなかなか私はむずかしいのじゃないかと思うのです。そういうふうなことを考えていった場合に、まあそれが公社に入っていい条件になるかどうかは別として、新しい一つの構想として、まあ日本あたりが、東南アジアに対する金融としては、アメリカも、そういった、将来中国なり、ソビエトも入れて一つの大きな構想の中で、——まあ日本は力がないからそんなことはできんと言われればそれまでだけれども、新しい民族自立運動に対して経済協力をするというような形の構想というものをわれわれとしては考えてみたい、このように考えるわけなんです。つまりほんとう意味の全世界的な金融機関というものを作っていったらどうかというふうに考えるのですが、これにソビエトと中国が入る可能性はないのでしょうか、この点はどうなんですか。
  61. 石田正

    政府委員石田正君) どうも御質問が非常に大きな問題になりますので、私といたしましてはそういう大きな構想を申し上げる立場にございませんのを大へん遺憾だと思います。まあ私は、技術的な点から申しますならば、この公社というものは御承知通り世界銀行の子会社みたいなものとして法律的にできるわけであります。従いまして、この公社にソ連なり中共が入るか入らぬかという問題は、その前提といたしまして世界銀行にソ連や中共が入るか入らないかと、こういう問題になろうかと思います。この世界銀行なり、今度新しくできまするところの金融公社というものは、まあ御承知通りに政治的な考え方を抜きにしてやっていこうという建前になっておるわけであります。今の中共やそれからソ連の問題につきまして、ソ連や中共がどうお考えになるか、それからして各加盟国が全体としてどう考えるか、それからしてまた日本がこれをどう考えるかというふうな問題を御質問かと思いますが、この点は一つ私としてはごかんべんを願いたい、こう思います。
  62. 平林剛

    ○平林剛君 僕はその点で少し聞いておきたいと思ったのだがね。岡さんの質問に関連してお尋ねしますが、大体この国際金融公社加盟する国は現在までのところどのくらいになっているのですか、それを最初に聞いておきたい。
  63. 石田正

    政府委員石田正君) この公社は要するに世界銀行のメンバーが原加盟国になるわけです。この協定ができました、できましたという意味は、文書ができましたときにおきまして、世界銀行加盟国は五十六カ国あったわけです。で、現在までに参加したいという意向を表明した国は五十一カ国であります。
  64. 平林剛

    ○平林剛君 希望を漏らしたのはずいぶん数多いようだけれども、実際に今、日本の議会で議論しているように加盟の承認を与えたというのは何カ国になりますか。
  65. 石田正

    政府委員石田正君) あらゆる国内手続を完了いたしまして、そうして署名もして、もう発足すればすぐメンバーになるという国は、さっきの五十一カ国のうち二十九国であります。それから手続的なことになりますが、署名はいたしましたが、まだ寄託をしていない国が十カ国ございます。そのほか、加入のための国内手続は完了しましたけれども、まだ署名していない国が五カ国でございます。その他十六カ国が今国内手続をとりつつある。日本もその中に入っているわけです。
  66. 平林剛

    ○平林剛君 一番この国際金融公社ができることによって対象となるべき未開発地域の、特に東南アジア関係ではどのくらいの国がこれに対する加盟手続をとっておるか。
  67. 石田正

    政府委員石田正君) 大体まあ先ほど二十カ国と申しましたけれども、二十カ国の中で、ボリヴィアとか、セイロンとか、コスタ・リカ、ドミニカ、エクアドル、エジプト、エティオピア、グァテマラ、ハイティ、ホンデュラス、アイスランド、ニカラグア、パナマ、ペルーというところは、まあ大部分が私は低開発国に属するものだと思っております。それから署名はいたしましたが、寄託手続が済んでないところの国といたしましては、チリ、コロンビア、キューバ、ギリシャ、パキスタン、パラグァイ、シリア、これも大部分が低開発国であると思います。それから、加入のために国内手続は完了いたしましたが、まだ署名等をいたしておりません、対外関係を発生していない国といたしまして、エル・サルヴァドル、ジョルダン、タイとかいうような国は、これも低開発に属するのではないかと、かように思っております。
  68. 平林剛

    ○平林剛君 対象となる国、未開発地域あるいは低開発地域に属する国というものはわかったけれども、それらの国で国際金融公社加盟したというものはどのくらいあるかという質問をしておるわけです。
  69. 石田正

    政府委員石田正君) 今申しましたのは、加盟をしたか、 加盟もう寸前にあるところの国だけ申し上げたわけであります。
  70. 平林剛

    ○平林剛君 まだはっきりしないのですがね。それは、加盟した国と、そうでないところと、寸前と、こう言ったって、これはきわめて抽象的なことで、既成事実として加盟手続を終ったところはどこかという……。
  71. 石田正

    政府委員石田正君) 加盟手続を終りました国は二十カ国でありまして、これが第一のカテゴリーとして申し上げました国がみなそれでございます。
  72. 平林剛

    ○平林剛君 まだはっきりしないね。これは、こまかくしるしでもつけてもらわないと、頭にぴんとこないよ、今の答弁は……。ところで、それはそのままにして、この国際金融公社というものがいわゆる世界銀行と別に作られるということによって、いろいろ各国意見を持ったり反響を示したりしておると思うのでありますが、特にこれによってある程度恩恵を受ける、あるいは活用することができる国というような所で、どのような空気になっているか、またそういう反響が出ているかどうか、出てないかどうかという点について、二、三の大体の現況をお話しを願えませんか。
  73. 石田正

    政府委員石田正君) この問題につきまして、そういうふうな、こういう反響があるという具体的な報告は、在外公館その他から受けておりませんので申し上げられません。ただ結果から申しまして、先ほど申しましたもうすでに加盟手続が全部済んでしまった二十カ国につきまして、これらは、まあ、ある程度の期待を持ち、けっこうなことだと思ってこれは手続が済んだものと、かように考えております。
  74. 平林剛

    ○平林剛君 まあそう簡単には行えないでしょう。日本の議会でもいろいろな角度から検討されているように、その目的とか性格に何となく割り切れないものが残っておるのですから、私はまあ一がいにそういう今の答弁のような工合に理解するだけではこの法律判断を誤まる。どうも納得いかない点がありますが、これはまあ、あなたもよくわからないのだから、その点については深くは追及いたしません。しかしやはりこの法律で一番疑問になるというのは、世界銀行というものがあって、急に——それはアメリカでも大統領の諮問機関である国際開発諮問機関などがいろいろ検討した結論としてこれが出されたというように聞いてはいるのだけれども、今までの世界銀行の機構の中で、なぜこれがこういう問題についても取り扱うことができないのか。別個な国際金融公社というようなものを作らなければならぬ理由という点が明確ではないのです。あなたの知っている範囲において一つ聞かしてもらいたいと思うわけです。
  75. 石田正

    政府委員石田正君) まあ低開発地域開発と申しましても、これは私はピンからキリまであると思います。そこで世界銀行のやっていることはどういうことかと申しますと、非常にその国々において最も緊要と思われるところの産業部面、それだけに重点を置いているわけです。早い話が、港湾であるとか、あるいは鉄道とか、あるいは橋梁とか、あるいは製鉄事業とか、そういうところに重点を置いております。それと同時に、また一々政府保証というものを求めておるわけです。これがなかなか片っ方におきましては、なるほど重要性というものは、並べてみると、ないかもしらぬけれども、民生安定その他の点からいえば、もっと扱ってくれてもいいんじゃないかというものを扱ってもらえない。こういう問題がある。その問題については、やはり別の機関を作った方がいいのじゃないか、こういうことが私は根本じゃないかと思います。それから、同時にそういうことになると、一々政府保証してやるとかなんとかいうことは、なかなかできかねる事情があるだろう。そこで政府保証は除いてやろう、こういうところから、長年世界開発銀行が運営してみた結果、やはり反省しなければならぬところは反省して、こういう機関を作った方が補助的にうまくいくのじゃないか、こういうことが率直なところじゃないかと思います。
  76. 平林剛

    ○平林剛君 それでも、なおわからぬところがある。なぜかというと、国際金融公社加盟することができる権利を持つ国は、大体において世界銀行加盟しておる国と同一でありましょう。それならば、それらの代表者がお互いに検討して、今言ったような港湾とか橋梁とか、大きなものについて中心にやっていることの幅を広げて、今度のような項を含めて未開発地域開発をここでやる。そのためにこの中に特別の委員会を作って、そうしてやってもいいじゃないか。むしろこの国際金融公社加盟をする国々がきめているところのいろいろな規定でもあろうから、これについて修正したらよかりそうなものだという疑問が当然生まれてくるわけですが、その点は一体どういうことになっておるか。
  77. 石田正

    政府委員石田正君) 私はこういうふうに考えております。今の世界開発銀行というものがそういう緊要性のあるものだけを取り扱っておる。それでは金が余ってしようがない。だからもっと広げてやろうじゃないかということでありますれば、お説のようなところへいくだろうと思います。ところが世界銀行といたしましても、資金的に限度がある。先ほど申しましたような緊要な産業の中でも、さらに各国別に優先度をつけると申しますか、あるいはそれぞれプロジェクトごとに優先度をつければ、従ってそちらの方で手一ぱいである。それじゃ緊要産業に属さない民生安定とか、そういうものを閑却しておいて、全部済んだらそこへ回したらいいじゃないかというと、これはどうもそれじゃなさそうだ。いわば、やはりそれについては別個の機関を設けてやった方が適当であろう。こういうふうな考え方を私はしております。
  78. 平林剛

    ○平林剛君 私はこう思うということだけの答えでは、どうもぼくもわからぬし、大体ぼくも外交上の問題で、この問題については深く検討していないから、私も世界銀行に関する知識がないから、どうもこれはあまりやりとりしても意味がないことだと思いますが、しかし今言ったように、これから新たにかなりの金額、七千五百万ドル以上の株式を引き受けてもらうということであるから、世界銀行の方でも相談して、増資したらよかろうと、私はしろうと的にそう思うわけです。それが二つに分離されるというところに、やはり割り切れないものを持つわけですが、大蔵省は、これはこう思う、私はこう思うという人と議論しておってもしようがないから、大体私の感じだけを申し上げておきたいと思うのであります。  それからもう一つは、私は結局これは、外交上のいろいろな微妙な世界政策的な問題から、先ほど岡さんが指摘したようなめぐり合せで生まれてきたように判断をするわけですが、これは別問題としても、何となく東南アジア初め、未開発地域開発というものが、国際政策の道具に使われておるという感じだけはいなめないわけです。だからでき得べくんば、こうしたことについては、世界の大国が相談して、純粋な意味で未開発地域開発するという考えに立っておやりになるということが望ましいのだろう。私は機会があれば、日本の外務大臣くらいは、このくらいのことを提唱してもらいたいものだとは思うんです。しかしこれは先ほど申し上げたように、この委員会の管轄外のことかもしれません。そこで、こまかいことを聞きますが、出資の十億円、これは予算との関係はどうなっておりますか。
  79. 石田正

    政府委員石田正君) 前段の問題につきましては答弁は要しないわけだと思いまするけれども、少くとも大蔵省事務当局といたしましては、政治的な、あるいは外交的な観点というよりも、むしろ世界経済的に私は運営していくことがしかるべきものである、そういう考え方でこれからも進めたいと思っております。それからあとの方の予算の関係でございますが、これは予算はすでに通過いたしておりまして、協定も、御承知通り参議院を通過いたしましたので、この法律を御審議の上通過させていただきますれば、直ちにあらゆる手続は国内的に完了いたしまして、要するに署名及び寄託をすることができる、こういうことになっております。
  80. 平林剛

    ○平林剛君 まあ国際政策的な問題について私と大蔵当局の考えとは違ってもいいと思いますが、私ら判断に困っているのは、議会の中で、外務委員会の結論と大蔵委員会の結論が少し違っているので、その点で実は今お聞きしているわけです。第二段の質問に対する答えはちょっと明確でないように思いますが、これは日本の手続が完了しても、すぐお金を出すというわけじゃないんでしょう。だから私の質問しているのは、実際的に十億の金が出されるのは、いつごろになるかという見通しを聞いているわけです。
  81. 石田正

    政府委員石田正君) 私は国内措置と誤解いたしまして、へんな答弁をいたしました。これは、この公社は、先ほど申しましたような工合に、いわゆるオリジナルな加盟国となり得るところの国は五十六カ国であります。それが全部手続が終らなければ発足しないというのが不便であろうというわけで、三十カ国、それから一億ドルの資本金の中に、その三十カ国の占めるものは七千五百万ドル、その最低限を満たした場合に発足するということになっております。現在のところは、先ほど申しました工合に、この国数といたしまして二十カ国、それからして金額の点からいいまして六千百万ドルでございますから、日本加盟手続を完了いたしましても、すぐ発足するわけではない。従いまして資本金の払い込みも、そのときに実行するわけじゃございません。要するに加盟手続を完了した国が三十カ国以上になり、それからその出資金額が七千五百万ドルを超すというときに、なりますれば、それは通知がございまして、それから一月以内に払い込みを各国は完了しなければならぬ、こういうことになっております。
  82. 平林剛

    ○平林剛君 そうすると、実際に国の予算の中から支出をするというのは、まだ期間がある。場合によっては、他に加盟を促進する国がなければ、年度内には出さぬような事態もあるということに理解できるんですか。
  83. 石田正

    政府委員石田正君) 先ほど二十カ国と申しましたが、そのほかに、署名はしたが、寄託という技術的なことが済んでいない国が十カ国あるわけであります。この中にはもちろん日本は含んでいないわけであります。しかし、これもあれしますと三十カ国というものはすぐできる。しかし金額の点を合せてみますると、それは大体六千九百万ドルくらいになる。それから加盟のための国の手続を簡略にした国が五カ国ございます。その五カ国は、これは署名等はいたしておらない。その中にも日本は人っておらないわけであります。どっちかといいますると、日本は一番ビリとは言いませんけれども、だいぶ遅れた方の国に入っておるのでありまして、まあ日本が入るというようなことになりますれば、そのほかの国もいろいろ手続を進めておると思いますが、私は、いつ払い込みができるということは断言できませんけれども、普通の常識をもってすれば、年度内には成立し、かつ発足し、そしてまた日本政府といたしましても支出をする、かように思っております。
  84. 平林剛

    ○平林剛君 まあ私の考えは、さっき言ったように、未開発地域世界の大国がいい道具に使って、国際政策上の競争を主眼にしているというところに不満を感ずるわけです。だから日本もあまりそういう正直に、アメリカが提唱したからと言ったって、国際外交上何も尾を振ってついて行くという必要はないという感じがするのです。これがほんとうに未開発地域の民族の人たちにとって大へんよい効果を現わす……。日本の今そうでなくても足りない中から十億円の金を出すことがほんとうに好意を持って迎えられ、喜んで、親善の関係に益するというなら、これまた別ですけれども、そういう点においては非常にわが国の出資は微々たるものであるからして、これが東南アジアの親善外交にさてどれだけの効果を与えるかという点は、私はまだ疑問が残っているわけです、さっきの質疑の中からいって……。そのなるというと、勢いどっちかというと、アメリカの国策に引きずられて、お義理で、さっき岡さんが言ったように、お義理でおつき合いをさせられるという印象の方が強いわけです。私はこのことについて、あなたは大蔵当局のようだから聞いても仕方がないのだけれども、何かこの措置をとることによって日本自身が、外交取引上、得をするというようなことを検討したことがあるのか。それは十億円ばかりでそんなことはあり得ないと思うかもしれないけれども、十億円だって、われわれの国内経済においては大きな金だから、そういう意味ではどうも日本の外務大臣が正直過ぎていけない。そういうような点について、多少アメリカの国策に協力をするということに相なるとすれば、何か日本に益する点なんか検討したことがあるのか。この点はあなたじゃわからないかもしれないが、できれば、期間があれば、そういうことについても、われわれ国費十億を使うのだから、少しは考えてもいいということを希望しておきたいと思うのです。答弁がなければよろしい。
  85. 岡三郎

    岡三郎君 私の方のは関連じゃなくて本質問ですが、外務省と大蔵省から出している協定の説明書の中にも「昭和二十六年に、米国大統領の諮問機関である国際開発諮問委員会がこのような機関として国際金融公社の設立を提案し、国際連合がこれをとり上げ、世界銀行にその研究を要請し、その後世界銀行は、国連に対して三回に亘って報告書を提出した。昭和二十九年にいたり、米国が公社に参加する意向がある旨を正式に発表してから、公社の設立は、急速に具体化し、」と、こうあるのですが、これは米国が先にこの問題を提起し、昭和二十九年になって米国が参加する、こういうふうなことになって急速に進捗したと、こうありますが、この中で、「世界銀行は、国連に対して三回に亘って報告書を提出した。」とありますね、こういうふうな経緯から考えて、一体この国際金融公社というものをなぜ作らなきゃならなかったのかということは前に書いてあるのですが、どうしてアメリカは二十九年になってそういうふうになったのか。もっとアメリカは真っ先に自分で音頭をとるのが、私はこの経過からいうと、当然だと思うのですが、その間の事情はどうなっておるのですか。
  86. 石田正

    政府委員石田正君) 私は、どうしてこういう機関が必要であるというふうに考えたかということにつきましては、先ほどお話申し上げたと思うのでございます。今、アメリカがこういうことを発案した、研究を始めた。一番初め自分はこういうものを作ってやるんだと言えばいいのに、何をぐずぐずしているのか、こういうふうな御趣旨かと思うのです。アメリカが、自分はこういうふうに思うという、非常に足りないと思う、しかしどうだろうかというので、国連というものを通じて、その意見を聞いて慎重にやって行こう、こういうことで、いろいろとまあ三回に亘って報告をして、こういうものは作った方がいい、また世界考えている、ほかの国もそう考えているというふうに思ったから、そこで私の方も入りますということを言ったのじゃないかと思います。
  87. 岡三郎

    岡三郎君 この報告書というものは、資料として出してあるわけですか。これはどうなんですか、この点……。
  88. 石田正

    政府委員石田正君) これは非常に膨大なものだそうでございまして、出してございません。
  89. 岡三郎

    岡三郎君 まあ根本問題として、低開発地域投資活動というものを盛んにするということは、やはり世界情勢の中で米ソの対立というふうなものが一つの起点になって、積極的に自分の範囲というものを拡大し、それを強化し、そうして一つのそこにブロックを作る。これは軍事的な方面だけではとてもいかんから、経済的な方面でこの裏づけをして、そうしてソビエトに対するいろいろな施策というものを裏づけしてゆこうという考え方ではないかと、先ほどから考えているわけなんですが、その点はさておいて、なぜソビエトが世界銀行加盟していないのか。国連には加盟しているわけですね。そのソビエトが世界銀行加盟しておらぬ理由というものを少し御教示願いたいと思うのだが……。
  90. 石田正

    政府委員石田正君) これは、世界銀行あるいは国際通貨基金ができますときは、これはまあ初あの構想から申しましても、全世界的な規模からスタートしようということであったわけです。(岡三郎君「じゃなかったら世界銀行じゃない」と述ぶ)ところが、できましたところが、ソ連はお入りにならない。どういう理由でお入りにならなかったかということは、私は、はっきり存じません。
  91. 岡三郎

    岡三郎君 とにかく世界銀行というのだから、全世界が入るのが当然だが、しかるに入らぬというところに、まあ経済的な対立が厳存しているということで、一応わかるわけですが、しかし結局その子会社みたいな公社ができた場合に、これがさらに世界銀行よりもラフな条件でやるということになれば、もうソビエトもこれに負けず劣らず、もっといい条件で経済基盤をつちかいながらその民族の関心を得て、さらに政治的な進出をするということは、これはもう当然だと思うのです。そうなると、東南アジアというものは、経済問題から発展して、非常に政治問題化してくるということも考えられるわけだ。だから日本の立場としても、将来広く東南アジア自体の民族の独立と言いますか、東南アジア自体の国民の意思を尊重するような方向の協調融資と言いますか、そういったものができるような構想を立てることが、日本の今後の発展に相当私は寄与するというふうに考えているわけなんです。実際は、ところが対立の中で日本が一方に加盟して、そうしてその中で施策を通じているということになるというと、非常に狭いものになって、今後大きな構想を打ち出して行く場合において、私は障害になるのじゃないかということまで考えるのですが、その点はどうなんですか。
  92. 石田正

    政府委員石田正君) 今お話がありましたが、実は大蔵当局といたしましては、先ほど来申しましたような工合に、経済的に、技術的に考えておるわけでございまして、政治的にどうこうというもので、これがいいとか悪いとかということをきめたわけではございません。  それから先ほどもお話がございました中で、ソ連が非常に有利な条件で出していく。これとの関係はどうかということでございますが、私は、この新しい公社というものは、やはり先ほど申しましたように低開発国開発ということは望みますけれども、それは政治的な条件を出すということではなくして、やはり経済的な条件を出すのだろうと思います。従いまして、これはまあ御承知通り世界銀行は三分とか三分五厘とかいう利率で、割合に低金利のものを出しております。今度の公社はどういう事業に出しますか、これは未定のことでありますが、普通の常識から考えますならば、また企業度の劣るもので、それでそれは政府保証のつかない、従いまして金利はこれは期間の関係がございますから、期間が短縮されるかもしれないのでありますが、その関係はわかりませんけれども、普通の常識から言えば、金利は世界銀行の場合より高いのがこれが常識であろうと思います。こういうふうに思うのでありますが、要するに、政治的に低金利を出していく、あるいは長期にしていく、こういうことはないと思います。
  93. 岡三郎

    岡三郎君 先ほど私が言った世界銀行にソビエトが加盟しなかった経緯について、これはやはり将来の一つの問題になると思うので、当然この国際金融公社についても参加しないということになってくると思うので、世界銀行加盟しなかった経緯を一つ調べて何かお知らせ願えないでしょうか。
  94. 石田正

    政府委員石田正君) これは先ほど申しましたような工合に、初めはソ連がお入りになるつもりであったところがお入りにならなかったということでございまして、これを詳しく何月何日にどうとかいうようなことはあるかもしれませんが、どういう理由で入らなかったのかというようなことにつきましては、ちょっと資料は見当らないのではないかと思っております。
  95. 岡三郎

    岡三郎君 外務省等にもないのですか。
  96. 安倍勳

    説明員(安倍勳君) 持ち合せておらない次第でございます。
  97. 岡三郎

    岡三郎君 まあ、ないものをねだったりしても出てくるわけがないのでしょうけれども、やはり……。
  98. 石田正

    政府委員石田正君) 非常に御質問があれだと思いますが、御承知通り世界銀行の通貨基金は、たしか戦争中ですか、太平洋戦争が続いておるうちにすでに発足して協定ができたわけです。その時分は、そういう従来から比べますならば、米ソ関係というものは割合緊密であった時代ではないかと思うのでございますが、どうしてソ連がお入りにならなかったのか、その点は、なかなか的確には、つかめないのではないか、かように考えております。
  99. 岡三郎

    岡三郎君 もう少し検討してもらいたいと思うのです。
  100. 前田久吉

    ○前田久吉君 私は一点だけお伺いしたいのですが、国際金融公社関係説明書の中に、わが国自身の生産的民間企業に対する公社からの融資をも期待することができる利益がある、こういうことがあるのですが、大蔵当局でほんとうにこういうことの利益をあるいは期待されておるのかどうか。私は、世界銀行の今日の金融のあり方から見て、さようなことは決して利益が起り得ないという見解を持っております。私は世界銀行融資を依頼すべきでないというように渡米中もそう考えたのです。日本の民間企業が多額の経費を使って、ワシントンなり、ニューヨークに滞在しておって、そうしてその与えられる金融というものはなかなか容易なものでないという、ことにイギリスのごときは日本をいじめることをそういう機会を通じて……。決してまだおそらく日本が出資しただけの額は日本が借りてないのじゃないかと思うのです。出資したものを借りるに際しても、なかなか世界銀行というものはそんなあまいものじゃない。借りる方は、長い間あの高い物価の所に滞在をして、そうして大きな金を使って、失敗することが多いでしょう。たまに借りたとしても、金利というものは低金利でも、相当高金利につくのじゃないか。こういう点から考えてみて、世界銀行すら私は日本は借りるべきでないという考えを最近強めておるのですが、これを、しかもこれは公社ですよ、この公社の資本金の中から、日本日本の生産事業に借り入れできて、利益を上げるということは、考えられないのですが、ほんとうにそういうことをお考えになっておられますかどうか。
  101. 石田正

    政府委員石田正君) 御質問の点につきましては、先ほど岡委員からも、どういう利益があるかという御質問のときに申し上げたのでございますが、協定の建前上からいえば、加盟国は借りられるということになっておるのです。しかしながら公社の建前からしても低開発国に重点があるのであるから、日本がかりに借りたいと言っても、なかなか借りられないでございましょう。そういうことを望むのはちょっと無理じゃないか、かようなことを考えておりますことを申し上げました次第でございます。
  102. 前田久吉

    ○前田久吉君 どうなんです、局長、世界銀行からもう金を借りないということをきめるわけにはいかないのですか。
  103. 石田正

    政府委員石田正君) 私は前田委員の御指摘がございましたような点があると思います。ただこれは私は、借りるとか借りないとかいうふうに形式的な決定をすべきではない。日本の国際収支というものは、今さしあたり順調でございますが、将来どうなるかわからないのでございまして、あるいはそれに頼らなければならぬという場合も起り得るということも考えまするならば、この現在の段階におきましては、前田委員の申されましたことについて、非常に私個人といたしましては共感するものがございますけれども、そういうことはわれわれの腹に入れておけばいいことであって、そういう形式的な決定をすることはあまり妥当ではないのじゃないかと思います。
  104. 前田久吉

    ○前田久吉君 衆議院でも局長と大蔵大臣の答弁が違っているような話がだいぶあったようですけれども、私はこれで打ち切りますが、ほんとう一つ世界銀行など脱退して、金を借りないことにきめて下さい。
  105. 石田正

    政府委員石田正君) お話でございますが、これは多少質疑応答の間におきまして誤解を招くような経緯がございましたけれども、しかしこれは両方とも意見が一致しておりまして、決してそういうものに期待して入るわけではないということは明確になっておると存じます。
  106. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 加入資格のある五十六カ国のうちで、加入の手続が済んだもの、あるいは手続中のものというようなものを、五十六カ国について一覧表として資料として出して下さい。それから、さっき世界銀行の話がありましたが、世界銀行から日本が借りているところの金額、そういうふうなものの資料を出していただきたいと思います。
  107. 石田正

    政府委員石田正君) 前段の資料につきましては直ちに出します。それから第二の資料も出しますが、これは借り入れ決定、向うから借りるという話のついたものも出しまして、何と申しますか、要するに借入限度額と申しますか、そういうふうな数字を出しまして、現実の借入額は相当少くなっておりますことは御了承の上でごらん願いたいと思います。
  108. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 他に御質疑がなければ、本案の質疑は一応この程度にとどめます。   —————————————
  109. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に金融制度調査会設置法案議題として、事務当局より補足説明を聴取いたします。
  110. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) それでは金融制度調査会設置法案につきまして補足的な説明を申し上げます。  この法案の提案の理由につきましては、先般政務次官から御説明申し上げましてお聞き取りいただいたのでございますが、最近の金融情勢の推移等に伴いまして、金融制度の面におきましてもいろいろ新しく検討すべき問題も生じて参りましたので、この際、金融制度の改善のために広く各方面の権威者の御意見を承わりたいというのが、本調査会設置の趣旨でございます。このために大蔵省に附属機関といたしまして金融制度調査会を設けようといたすものでございますが、この調査会の設置の目的は、法案の第一条にございます通り、金融制度の改善に関する重要事項の調査審議ということでございます。なお任務といたしましては、第二条に記載されてございます通り、大蔵大臣の諮問に応じて調査審議いたしまする外、調査会が必要と認める事項につきましては大蔵大臣に建議することと相なっております。  調査会の組織につきましては、第三条以下に記載いたしてあります通りでありまして、第三条にございます通り委員は二十名以内、また第五条でその任命は大蔵大臣が行うことに相なっております。また委員に任命されます者は、金融に関して深い知識経験を有する者、産業に関して深い知識経験を有する者、その他の学識経験者ということに相なっております。  なお調査会は、この委員の外、第三条第二項に記されております通り、「特別の事項を調査審議するため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。」ことと相なっております。この臨時委員の任命は、第五条第四項にございます通り、その特別の事項に関して深い知識と経験を有する者のうちから大蔵大臣が任命するということに相なっております。なお第五条第五項で、この臨時委員は、その特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されることと相なっております。  以上の委員、臨時委員の外、なお調査会は、第六条にございます通り関係行政機関職員の出席を求めてその意見を聞くことができることに相なっております。  なお調査会の会長につきましては、第四条で委員の互選によって定めることと相なっております。  以上でこの法案のほとんど全条文を御説明申し上げた次第でございますが、調査会の運営方法その他、この法律案規定されておらない諸点につきましては第七条に大蔵省令で定めるということに相なっております。  法案自体についての説明は右申し上げました通りでありますが、この調査会の審議事項といたしまして、一応私の方の考えておりますおもな点につきまして、次に御説明申し上げたいと存じます。  第一は、いわゆる支払い準備制度をわが国に導入することの可否、また、もし創設するとすればその内容といったような点でございます。申し上げるまでもなく、支払い準備制度には、金融の量的調節を目的といたしましたもの、あるいは預金者保護の趣旨に出でるものというふうに、いろいろの目的が考えられるのでございまして、支払い準備制度と申しましてもいろいろでございます。従いまして、これらの内容につきまして、十分この調査会で、その可否あるいは内容等につきまして御審議を願いたいという次第でございます。  支払い準備制度銀行法に関係いたしますが、現在の銀行法は昭和二年の制定でございますので、その後の情勢及び考え方の変化に伴いまして、銀行法に改正を要する点があろうかと考えられます。これにつきましても調査会の審議を経まして十分意見を承わりたいと存じております。  第三に、現在の日本銀行法でございますが、日本銀行には御承知通り政策委員会が設けられておるのでありまするが、現在の事態にかんがみまして、日本銀行の最高の意思決定機関としてこの政策委員会というもので適当であるかどうか、あるいはさらに検討を要する点があるかどうかという点が、日本銀行法自体を検討するということになりますと一つ議題になって参ろうかと存じておりまするが、政策委員会の問題のみならず、日本銀行法は戦時中の立法でございまして、その規定の仕方、内容等におきましてもいろいろと調査会の審議を要する点があると考えておりますので、これも調査会で御審議をいただく一つ内容考えております。  以上のほか、なお臨時金利調整法の金利規制の方式、あるいは各種の金融機関の業務分野の調整等につきましても、調査会の審議を得たいと考えております。  右に申し上げました審議の議題は一応私どもがただいま考えておることでございまして、これはなお本委員会等でいろいろと御審議をいただきました経緯等につきまして、いろいろ考えます点がございますことは当然のことであると考えております。  何とぞ十分に一つ御審議願いたいと存ずる次第でございます。簡単でございますが、補足説明を終ります。
  111. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 本案の質疑は後日に譲り、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十七分散会