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1956-04-03 第24回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月三日(火曜日)     午後二時十八分開議  出席委員    委員長 廣川 弘禪君    理事 志賀健次郎君 理事 薄田 美朝君    理事 松田 鐵藏君 理事 渡辺 惣蔵君       大橋 忠一君    川村善八郎君       北 れい吉君    笹山茂太郎君       首藤 新八君    瀬戸山三男君       田中 正巳君    南條 徳男君       本名  武君    小平  忠君       永井勝次郎君    芳賀  貢君       三宅 正一君    森 三樹二君       岡田 春夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         北海道開発政務         次官      白波瀬米吉君         北海道開発庁次         長       田上 辰雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    加治木俊道君     ————————————— 四月二日  委員安藤覺君及び伊藤郷一君辞任につき、その  補欠として林唯義君及び笹山茂太郎君が議長の  指名委員に選任された。 同月三日  委員橋本龍伍君、林唯義君及び渡邊良夫辞任  につき、その補欠として田中正巳君、大橋忠一  君及び北れい吉君が議長指名委員に選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道開発公庫法案内閣提出第六三号)     —————————————
  2. 廣川弘禪

    廣川委員長 これより会議を開きます。  北海道開発公庫法案を議題とし、質疑を継続いたします。質疑通告順にこれを許します。大蔵大臣が出席されましたので、大蔵大臣に対する質疑をお願いいたします。永井君。
  3. 永井勝次郎

    永井委員 大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、北海道開発重点的に進行さしていく、重点主義によっていろいろな施策考えられる、そのうちの一つとして、この開発公庫法案がこの委員会に提案されたわけでありますが、大臣はこの公庫共管当該大臣でありますので、お伺いするわけであります。  北海道に対する現状をどういうふうに把握されておって、そうしてこれを振興するための重点的な施策としては、第一に何、第二に何、第三に何、こういうような一つ計画のもとに推し進められることと思うのでありますが、この公庫法を第一に取り上げて重点施策一つとして具体化されて参りましたその理論的な根拠というものを、一つ明確にお伺いをいたしたいと思っております。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。北海道開発が非常に急務であり、日本としてぜひやらなければならぬことは、申すまでもないと思います。また開発は、どういうふうな順序で、どうしてやるか、これはそれぞれの関係者において十分計画されておることと思うのでありますが、私の関係におきましては、そういうことをする場合に、何としても長期資金が要ることは、いうまでもありません。この長期資金についても、従来とて、できるだけのことはしておったのであります。しかし今日の北海道開発という段階におきましては、北海道開発仕事を専門として、特に資金面から担当するこういう公庫ができることが望ましいというのが、この公庫を作ります考え方の基本であります。
  5. 永井勝次郎

    永井委員 北海道の振興を重点的にはかる一つの具体的な施策としての公庫、こういうふうに考えて参りますと、財政投資が十億、金融関係が七十億、合計しましてわずか八十億で、あまりに資金規模が小さいわけであります。でありますから、これは第一年次としてこれだけ、第二年次としてどういうふうに今後やっていく考えかということを、第一にお尋ねいたしたい。今後の公庫運営についてどういう構想を持っていられるか、一つ伺いたいと思います。
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この公庫が今後どういうふうな発展をしていくかということにつきましては、北海道開発計画自体がどういうふうになっていくか、それによることが多いと思います。私の承知しておる限りでは、北海道開発について、こういうような計画のもとで、あるいはこういうものを優先的に、かつどういうテンポでやるということは、必ずしもまだ具体的にきまっていないと承知いたしております。しかし三十一年度におきまして、こういう程度資金は用意しておくことが必要であろうというような考え方をしておるのでありまして、今後の開発計画いかんによりましては、むろん資金面からもこれを増額しなければならぬことは、いうまでもありません。
  7. 永井勝次郎

    永井委員 この公庫性格及び運営、その経済的な効果というようなものを考えて参ります場合に、やはりその基盤となるべき日本の国の全体の経済計画あるいは産業計画、あるいは広い意味における国土開発というものがあって、そうしてその一環としての北海道総合開発というような計画が樹立されて、その中の一つ財用政金融の面の補完的な役割として公庫が生まれてくる、こういう順序でなければ、わずか八十億の資金にしても、効果的な活動、機能というものが期待できないのではないか。ところが大臣は、そういう北海道開発計画というものはまだはっきりしていないのだ。しかし、これだけのものは必要だからというので、めくら勘定握り勘定でこれだけのことをやろう、そうして効果を期待する、こういうお考えであるように承わったのでありつますが、そうであれば、この効果というものは非常に期待ができなくなってくるのではないか。大臣のただいまのお話からすれば、こういう具体的な公庫法案を出す前の、その前提条件をもっと整備してかからなければならないわけではないかと思うのでありますが、この点についてはいかがですか。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 理屈といっては少し言葉が思いのでありますが、理屈の上では、仰せの通りであります。全体の国の国土開発総合計画をして、その一環として北海道考える、これはその通りと私も考えます。これは異存はありません。そういうような計画をすみやかに樹立すべきであります。しかし今のところ実際問題としまして、この国土開発という場合に、特に移民というような人口問題も考えていたす場合に、どうしても北海道開発ということが最も重点になると私は思います。そういう意味におきましても、ともかくさしあたり、こういう程度の金で初年度はいけるだろう、そういう計画のもとにおいて、こういう公庫ができることは、私は少しも差しつかえない、かように考えておるわけであります。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 北海道開発の歴史的な足取り考えてみます場合に、第一期といわれる開拓使時代は、第一回の拓殖計画として、明治五年から十カ年計画で、国費を当時の金で一千万円投入するという長期計画をもって、この長期計画の中の年次計画をもってこれがなされたのであります。第二期といわれる三県一局時代、これも国の財政投資を相当これに注入して行うということであり、第三期は、北海道庁という庁制がしかれた明治十九年から昭和二十二年までの期間であります。第一期拓殖計画、第二期拓殖計画、こういう場合は長期計画がちゃんと樹立されて、その中で年次計画が立てられてそうしてその全体の財政規模の中で、公債を発行して、これを繰り上げてこれだけをやる、全体の規模としては大体これだけをやるというような計画で進んだ。第二期拓殖計画は、御承知のように昭和二年から二十カ年計画でやって参つたわけであります。ところが、従来そういう計画が樹立されて参ったのでありますが、御承知のように日清日露、第一次世界大戦あるいは第二次世界大戦というような戦争のために、この北海道開発が犠牲になって、予定だけの財政投資が行われない、あるいは経済的な効果が上らないままに、これが進んで、終戦後の北海道開発というものに持ち込まれて、終戦後における北海道はどうかというと、長期計画は持っておらないのであります。出たとこ勝負で、毎年々々大蔵省に予算の折衝をして、そうして予算がきまって、そこでことしの北海道開発はこうやる。こういうようなことをやって参った結果といたしまして非常にでこぼこの状態が具体的な形として出てき、あるいはちょっとこっちを食いかく、あるいはちょっとこっちを食いかく、こういうような食いかきで、総花主義で、少しも経済効果が上らないというような結果になってきたのであります。従いまして私は、こういう現在の北海道開発現実というものは、正直にいって、正常な足取りをたどっていない、太陽を向いて歩いていない、太陽を背にして自分の影を踏んで歩いておるような状態だと思うのであります。そういう状態の中で、いかに言葉の上で北海道重点だと言いましても、これは具体的な形として私は現われてこないと思う。そこで大藏大臣予算査定に当つて北海道開発費予算というものを査定されておる過程においては、北海道現実というものをはっきりとつかまえて、この関係においては公共事業費はこのくらい、産業費はこのくらい、こういう予算の配分をしておられることと思うのであります。そういう積み上げの上に立って公庫法が必要である、こういう結論からこの案が出て参つたものと思うのでありますから、単に私は公庫法の条文がこれこれだ、予算規模がこれこれだ、こういう資金規模というようなものだけで、論議しても始まらない。公庫法がよって立つべき北海道というものの基盤、それからこれを背景とするところの日本産業なり経済、そういうものの背景の上に立ってこれを考えなければいけないし、また将来に対する公庫展望というものを今後持たなければ、私ははっきりとした現在立っておる位置を明確にすることができないと考えるので、この予算査定に当った大蔵大臣北海道に対する現在の把握の仕方、それから将来に対する展望、そういうものの中において公庫法展望、そういうものを一つ総合的に、簡単な言葉では、いかに表現力の豊かな大蔵大臣でも、とうてい一口、二口では言えないと思うから、少し言葉をかけて、これらの問題を総合的に一つここで解明していただきたい。その上に立って質疑を私は具体的に展開していきたいと思います。
  10. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 北海道開拓に関する歴史的な点は、お説のようであると思います。ただ終戦後においての日本の国情からいたしまして、従来のように国土を広げるという意味開発は困難であります。従いまして、現在の領土のうちにおいて国土開発していかなければならぬという運命に、今日日本はある。そういう従来とは違った意味において、北海道が見直されていかなければならぬ。従来は北海道が非常に大切であるが、しかし朝鮮に行き、満州に行く、こういうふうに、いろいろな行き方も可能でありました。それが不可能になりましたから、私は、北海道というものが、国土開発の上で非常に従来と違った意味を持って重大になってきた、それで終戦後においても、国土開発の上においてすみやかに北海道重点的に取り上げて、北海道一つ資金的なものを集中するようにしたらどうだろうか、こういう考え——私の一つの見解でありますが、持ちまして、それで私はまだ銀行員をしておるころに、実は農業に非常に深い造詣を有する人とか、あるいは北海道の出身の方、あるいは北海道長官も、みなお集まりを願つて一つ協会みたいなものを自分が率先してやりまして、そういうふうなことを考えた。従いまして、考え方としては、あなたのお考え方と私そう違わないと思う。ただ、そういう計画が、思うようになかなか実際の上に進まなかったことは、私遺憾に存じております。私も責任者でもありませんから、いかんともいたし方なかったのであります。ただ、大蔵大臣になったから、やつたらいいじゃないかと申しますが、こういう具体的の計画については、大蔵大臣としても、そう自分で率先してやる立場にもございません。ただしかし、そういうふうに重大だから、一つ北海道開発というものは本気で取り上げようじゃないかということを、大蔵大臣としての熱意を示す意味合いにおいても、今日公庫というものをまず作つていこうというのは、私は決して意味のないことではないと思うのでありまして、今後北海道開発庁中心といたしまして、あるいは北海道庁といいますか、この開発の主体にどういうふうな形でだれがなるか、これは別個でありますが、すみやかにそういうふうなことがはっきりしまして、私は北海道開発、まあ日本国全体というのもいいでしょうが、とにかく北海道だけでもいいと思う。北海道だけの全道について、総合的な開発計画を立てて、そして開発計画重点的におやりになる。そういうふうに重点的におやりになることがはっきりすれば、この公庫から資金を出していけばよろしいし、またそういうことがはっきりしなくては、公庫を作りますけれども、あるいは動かないかもしれない。私はやはりこの公庫作つて北海道開発一つ資金的中心にする以上は、一つ計画性に基いてやりたいと思いますから、ただ公庫はできた、計画は何もわからない、ただ金が要るから、ぼんぼん出すというわけにはいかないのではないかと思っております。少くともそういうふうにした方が、将来いいだろう、こういうふうに思っておりますが、今のところは、計画については私自身まだ十分相談を受けておりませんから、何とも申し上げられません。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど来大臣は、盛んに北海道移民々々ということを言われるわけであります。今、終戦後の日本がどういう状態にあるかといえば、あり余つているのは人間だけである。本州においてあり余つている人間を裸のまま、北海道は土地が広いから、人口密度が薄いからといって、これをほうり込んでいく、こういうことなら、ばかでもできるわけです。それでは生活ができませんので、やはり移民さして、そこに定着さして、そうして生活の向上のできる希望を与えるというには、それだけの基盤を確立しなければいけない。こういうことで、私は今後の北海道開発がどういう性格において、どういう形において、そうして具体的にどういうプログラムで行くかということ、これが今日われわれが解明していかなければならない、まず手初めにやらなければならない題問であると考えるから、私はお尋ねしているわけであります。そこで、明治初年から第二次大戦終了後までにおけるところの北海道開発性格は、北門の鎖鑰という軍事的な要件と、それから拓地植民という植民地的な性格において計画され、推進されてきたと思うのであります。ところが終戦後における北海道開発は、先ほど来私が申し上げているように、長期計画は立っておりません。その年度々々の予算で、ただこれをこま切れのようにくっつけてやつてきた、こういうことで、長期計画というものがないわけであります。従って今後、そういう計画のないところに公庫ができる、そうして、ことしは八十億の予算だ、こういうことで、この八十億の予算開発をやっていくということができた以上は、この公庫は何月ごろに発足しますか、おそらく七月ないし、おそければ八月ごろになると思うのでありますが、そういたしますと、七月ごろから発足して、年度内に八十億の資金ワクを消化してしまうことによって、そうして来年度資金ワク、あるいは財政投資をさらに獲得しなければならない、こういう一つの刺激を受けて参るわけであります。それでありますから、大臣のように、予算はあるけれども、計画がなかったら使わぬでいいじゃないかと、こういうわけにはいかないので、やはりこれができて、予算があれば、これを今年のうちに消化してしまう。消化してしまうことが、来年度予算をさらに獲得することになるのだというので、これはそういう計画がなかったら、この予算を使うことに専念するという結果になって、乱費の形が出てくるわけです。でありますから、この乱費の形を押えるためには、そうしてこの計画効果的に活動いたしますためには、やはり正確な、行き届いた計画の骨格があって、肉があって、これに血液の形で金融が流されていく、こういう形になってこなければ、乱費の結果を生むばかりであります。でありますから、私は単に、移民をすればいいじゃないか、北海道は宝庫じゃないか、こういう空々漠々たる話ではなしに、この公庫前提条件となるべきものを明確にすることが必要であるのだ、こういうことです。でありますから、大臣が、今計画がないのだという場合に、この八十億の予算を、年度内にどういうふうに乱費を押えて、公正にこれを運用していくか、その具体的な運用の措置について案がありますならば、一つこういうふうにしてやるのだということを、具体的にお示しを願いたい。
  12. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この公庫ができたからといって、決して乱費になるわけではないのでありまして、この公庫ができたことと、この公庫資金を使うことは、何も次年度において予算獲得するためにという意味は毛頭ない。この公庫ができ、資金運用が、すべて北海道をいかに有効に開発するかということの目的をもってやるのでありますから、これは予算獲得とは思わない。有効に使われていくということになれば、自然、資金政府で援助すべき点は援助していく、こういうようになるわけでありますが、何か予算獲得のために、何でもかでも年度のものを八十億全部使ってしまうということにはなりません。この公庫一つ金融機関的な役割も果すのでありますから、めちゃな融資もあり得ない。計画も今後においてできるのであります。資金量においても、乱費になるような資金量でもないので、責任者が十分の注意をもって運用すれば、私は北海道開発に必ず役に立つと思うのです。それなら、かりに八十億の計画もなく、北海道にこういう公庫がないときと、あるときを考えれば、やはりある方が北海道開発に有効に役立つ、こういうふうに私は考えるものであります。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 それならば、一つ具体的にお尋ねいたしたいと思います。われわれに資料として配付されました昭和三十一年度北海道開発公庫法業種別投融資計画試案、こういうものが出されている。この中で、たとえばテンサイ糖に対して相当の資金を流す、こういうようなことが出ておるわけであります。私は現在商工委員をやつておるわけでありますが、日本における砂糖の対策というものについては、まだ具体的な政策が今の政府としても確立されておらない。毎年百万トンの粗糖輸入しておるわけでありますが、この輸入は、ただ砂糖の消費が国内にこれだけあるから、需給のバランスをとるために、百万トン輸入するというだけではなくて、貿易のために台湾から入れなければならぬ。キューバから入れなければいけない。その砂糖を入れるために、こっちからこういうものをやるというような関係において、現在粗糖輸入というものがなされておるのであります。ところが国内におけるビード糖は、国際的に見ましても生産コストが高い。キューバあたりから輸入する砂糖の一斤十九円のコストからすると、ビート糖における生産コストは、それよりも倍以上も高いのでありまして、正当な形で国内において競争するという意味においては、競争にならないわけであります。だから、百万トンの輸入というものは、日本の国における貿易上必要なバーター物資として、これにリンクすべきものとしてやるならば、輸入糖というものはそう減らすわけにいかないと思う。ところが、国内においてビート糖をどんどんやるんだというが、こういう国際貿易関係というようなものを無視しては、国内産業は競争できないわけであります。国内においてどのくらいの砂糖を生産し、輸入を、貿易関係においてどのくらいにするかというような、相互関係がまだ不確定な条件の中において、このような計画北海道のアウタルキー的な性格において、また独走的な性格において考えられるということは、非常に危険ではないかと思うわけであります。先ほど来の大臣のお説によると、計画はあとからでもいいんだというお話でありますが、そういうことになりますと、こういう矛盾があります。まだ木材糖化問題等一つ一つの問題を掘り下げれば、問題はたくさんあるわけでありますが、一つの具体的な例をあげましても、これは三十二年度、三十三年度の将来にわたってこうしろという計画ではなくて、当面三十一年度計画でありますから、これによって工場を作たりどうかしたという場合に、何年かの将来には、その工場遊休施設に化してしまうような結果になりますと、投資いたしました十数値はむだな投資に変つてしまう危険があるわけであります。でありますから、私は企業が起される場合には、その前提条件として、国際経済国内経済、そういう広い視野にわたっての長期展望を持たなければならぬ、行き当りばったりの計画ではいけないと思うのでありますが、この糖業というような問題を具体的な例として、一つ大臣の明快な答弁を願いたいと思うのであります。
  14. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまのお話計画という点、実は私まだ存じません。おそらくそういう計画政府部内のどこかでお作りになれば、これは北海道開発に関する計画として、政府全体の検討に付されるだろうと思っておりますが、まだその段階になっておりません。私今お話を聞いて、実は初めて承知したようなわけでありますから、従って政府として、そういう計画について検討を加えます場合は、ただいまるるお話のありました御意見は、参考といたしまして十分伺うことにいたします。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 これは奇怪なことを聞くものでありまして、この公庫共管大臣——主管大臣と言ってもよいのでありますが、主管大臣大蔵大臣、ところがこの公庫運用投融資計画について主管大臣が知らぬ、この資料がどこから出たか、その資料の内容については責任を持てない、それでは、こういう資料を土台にしてわれわれがここで幾ら論議しても、てんで問題にならない、これはどこから出たか、夢のような話になってしまうわけであります。これは大臣が知らないというならば、知らないでもけっこうです。この資料をわれわれに出されたけれども、これは信用するに足りない、こういうことでよろしゅうございます。またこういう計画書もなしに、三十一年度投融資計画すらなしに、この公庫を握り金で出発しようというのは、とにかく銀行家として法王的な存在であった一萬田大蔵大臣の行われる仕事としては、あまりに粗放、乱雑のやり方ではないか、こう思うのであります。この点について伺いたいと思います。  それから廣川委員長には、委員長はこの国会の委員長の中では大物委員長であります。この大物委員長のもとに配付されたこの資料が、へのようなものであるということが、今わかったわけであります。これは委員会の権威のためにも、われわれはこういう資料を対象として、配付されたこの資料を、一つ一つこれはどうなんだ、これはどこから出てきたか、出所不明な資料かどうか、もう一度一つ一つ吟味した上で、信用できるものと信用できないものと区分けしなければ、審議してもむだだと思うのであります。でありますから、大臣答弁が終ったら、暫時休憩して資料の吟味を願いたいと思います。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 北海道金融の問題でありますが、私は、北海道にはやはり長期設備資金を提供し、円滑にする意味で、何らかのものが必要であろうというのが、前からの実は考えであります。御承知のように、昔北海道拓殖銀行というのがあって、これは債券を発行して長期金融をしておった。最近はこれが普通銀行に変りまして——最近と言っても、ずっと前でありますが、長期債券を発行しておらないのであります。特に北海道開発ということが問題になってくれば、どうしても長期の信用を供給する機関が必要であることは常識ではないか、そういう意味合いにおきまして、この開発政府として取り上げる。それなら、公庫的な形のものがやはり適当であろうという意味においても、公庫を作りますことは、何も大蔵大臣としてそうそそっかしいことではないように私自身としては考えております。  それから資料のことが問題になりましたが、私は私の言葉が足らないために、ほかの官庁に御迷惑があっては悪うございますから、言葉を若干補足しておきますけれども、ただ私が存じませんということなのでありまして、ほかの官庁では十分あるいは御推敲にもなり、その官庁はその官庁としての御意見として、熱意を持って、少しでもお役に立てば、御参考になればというので、お出しになったのかもしれません。そういう点は誤解のないようにお願いいたします。
  17. 廣川弘禪

    廣川委員長 永井君にお答えいたします。私は、あなたが御出席になっておったか、おらなかったか、よくわかりませんが、審議の過程において岡田委員が、開発庁が持っておるところの資料を、どこからか入手いたして参つたのであります。そうしてその資料には、各省の課長あたりで今検討中であるというようなものがあったようであります。それが出たのは北海道庁でありますが、これもまだ未定稿であるというようなものをお出しいたしたようなわけであります。
  18. 永井勝次郎

    永井委員 今大蔵大臣の補足説明によりますと、それは大へん思いやりのある言葉だと思いますが、この公庫については共管大臣です。そうすると、一方の開発関係大臣はこれを知っているが、一方の大蔵大臣がこれを知らないということになれば、この資料の信憑性というものが五〇%しかない、半分しかないということになります。でありますから、やはりこの資料はあやふやなんだ、それも試案なんだ、これも不十分なんだということになりますと、審議する基礎になるこういうものがなければ、問題にならぬと思うのですが、これは後刻一つ休憩でも願つて資料問題の吟味をしたいと思うのであります。  さらに大蔵大臣にお伺いいたしたいと存じますが、私は公庫の必要性というものは認めるのであります。公庫が必要だという場合、どのような条件のもとにおいても、どのような場合においても必要だ、こういう一般論ではいけないのでありまして、こういう特殊な提案がなされました場合には、この特殊な条件というものが、どういう環境の中に、どういう基礎の上に、どういう計画の中にあるかということで、この公庫性格、今後の運営、その効果というものをわれわれは吟味するのでありまして、ただ一般論として論議をされるということは、現実の上に立つ大蔵大正臣の答弁とも思われないのであります。そういうことになりますと、やはり自由主義経済というような土台の上に、何か北海道だけで計画的なものをやろうというところに、基本的な矛盾がきておる。そんなものはできるものじゃない。計画経済の土台がきまっていないのに、北海道だけで、何か土台のある、計画のあるようなものを立てようというところに無理があるのであります。でありますから、たとえば金融関係にいたしましても、終戦後においては、金融というものは、どこか一カ所でボタンを押せば、それが全体に遅滞なくぴいんと響き渡って末端まで行くようにということで、特殊銀行とか、そういうつものが整理されてきた。ところがその経過を過ぎてから、さらに特殊銀行がやたらに生まれてくる。また相互銀行が生まれてくる。信用金庫が生まれてくる。やれ開発公庫だ中小企業金融公庫だ、商工中金だ、あるいは国民金融公庫だ、こういうふうにやたらに窓口ばかりたくさんこしらえておる。窓口をやたらにこしらえても、その中身はどうかというと、看板をかけただけであって、中身は何もない。そして中小企業金融公庫という看板をさげれば、わが党は、中小企業については、公庫を作って金融面についてはこういうことをやつておるという。これは宣伝材料にするだけであって、中身はちっともない。中小企業の金融役割というものは、ちっとも果しておりません。そして最初の呼びかけとは違って、年々財政投資を減らして、政府資金運用資金を高い金利で中小企業のところにぶつけていく、こういうことをやつておる。開発公庫というものが生まれたが、これは性格と今後の規模というものをちゃんとつかんでいきますれば、展望がちゃんとできるのです。ところが中小企業金融公庫にしても、国是金融公庫についても、商工中金にしましても、看板だけかけて、中身のないものにしてしまった。これはただ、北海道についてはこうだという宣伝材料です。少くとも自民党における廣川委員会というものは、これはもう大へんなものなんです。最初は、日本の国会正体を北海道から吹く風で風靡してしまうだけの、非常に大げさなものであったのが、だんだんやっていくうちに、へみたいに消えてなくなって、この公庫が出てきた。この公庫の中身は八十億でありますけれども、これが今後生々発展するという条件の上に立つならいいが、これでお茶を濁してしまうのだという形になりましては、ほんとうに北海道開発振興を期待いたしますわれわれの立場といたしましては、承服できないのであります。ほんとうに計画的な経済計画を遂行してやるというためには、全国的な規模に立たなければいけない。そういう計画がありまするならば、わけのわからない公庫を、小さいものをやたらに作るよりは、一つの国の金融という関係、あるいは財政投資という関係、こういうもので総合的に、あるいは一貫的にやった方が能率的であると思う。それを、そういうことをしないで、こういう公庫みたいな小さな出店を設けるからには、それだけの特殊な意味がなければならないと思います。それだけの意味を持って生まれたものならば、今日は八十億であるけれども、将来は生々発展していくべきものである、こういうふうな期待を今日持てるものでなければならないと思うのであります。その期待が、先ほど来の大臣との質疑応答の中では、少しも生まれておらないのでありますが、大臣、あなたの専門であります金融政策では、こういう公庫を、地域開発のために一つ一つ設けなければ、現在の金融制度の中でやれないものかどうか。それから、特殊な使命を持ってこれが生まれたものならば、これをちゃんとそれに値するだけの力にしていかなければならないと思うのでありますが、そういう事柄についてはっきりとこの機会に承わっておきたい。
  19. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまの御質疑の点は、先ほどからの御答弁で十分申し上げたように存ずるのであります。しかし、どうもいやな感じがいたしますのは、いかにも宣伝のために何とかするというようなおっしやり方で、そういうことは毛頭ありませんです。そういうふうなお考えのもとでいろいろと申されると、非常に話がしにくくなるのでありますが、そういうことはありません。具体的に申しましても、かりに、何も計画がないのに、千億円の資本金で今おつ始めている、というようなことでありましたならば、また問題であろうと思うのでありますけれども、乏しい財政の中からではありますが、千億を産業投資から出しまして十億の資本金で、着実に北海道設備資金を出して下さい、そうして今後の計画性と発展性いかんによりましては、今年度内金融債として四十億、それから資金部から三十億を借りて何とか工面をいたしましょう、こういうようにしているわけです。そうして、今後さらに発展すれば、当然金融債の発行が増加していくことは、いうまでもない。また場合によっては、資本金も増加しなくちゃなりません。これは抽象的なものではなく、現実に即して、着実に着実に、そうして北海道開発に応じてこの資金もふやしていく、かように考えて、そういうように先ほどから答弁しているわけでありましてどうぞ御了承を得たいと思います。
  20. 永井勝次郎

    永井委員 言葉でどう着実々々と言っても、これは着実にならないのです。客観的に着実であるという資料が与えられなければ、そういう判断の材料がここにそろわなければ、いかに大臣が着実々々といっておれを信用せいと言ったって、そんなことでは信用ならないのです。この試案でさえ、これはいいかげんなものだというのですから、われわれは、法案以外には着実であるという材料が、現在ここには与えられておらないのであります。私は、大臣が着実と言われることを信用いたします。従って、着実であるという評価をわれわれができる条件、すなわち、いろいろな資料をここに提出していただきたいということを要求いたします。  それでお尋ねいたしますが、公庫法が健全に、公正に運用されていくためには、まず公庫の組織としての問題、それから運用としての問題、それから先ほど来申しましたところの、この背景となるいろいろな客観的な諸条件、こういうものを総合的に判断しなければならないと思うのでありますが、まずこの公庫の組織としての問題について、復金にいたしましても、現在の開発銀行の問題にいたしましても、相当いろいろ問題があるわけであります。そこで、この公庫が組織として健全に、公正に運用ができるというためには、現在の提案されたものでは、私は不十分であると思うのであります。たとえば運用についての管理制度の問題等、いろいろわが党において修正をしようとして、目下立案中の関係のものもあるわけでありますが、そういった関係について、専門であり、ことにその面においては権威のある大蔵大臣から、組織の面における公正妥当な運用を期待できるかどうか、その所信を伺いたい。
  21. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、この法案で御審議を願つておるところでよいと考えておるものであります。今お話のうちに、たとえば運営について何らかの委員会でも置いたらどうか、という御示唆があったように思うのでありますが、この公庫は今のところ国が全額出資いたしておりまして、十分監督の道もありますので、そういうことも今のところ必要はなかろう、かように考えておるわけであります。さよう御了承いただきたいと思います。
  22. 永井勝次郎

    永井委員 いずれ組織や何かはかの問題は、ほかの人からも御質問があると思いますから、最後に大蔵大臣にお伺いしたいと思います。明治初年から終戦時までにおける北海道開発が、不測の事態によって開発が予定通りいかなかったのは、幾たびかの戦争によるためだと思います。終戦長期計画が立たない、それからまた、現実において北海道開発の国の予算が縮減されて、期待したほどの予算がとれないという原因は、やはり終戦後における再軍備の問題が大きなファクターである、われわれはこう考える。でありますから、北海道開発を促進する、促進すると幾ら言葉で申しましても、国の政策として、大きく再軍備を推進していくのだという、こういう条件があります場合に、予算を天引きして、全体の予算の二割以上のものが再軍備に向けられていく場合、さらに今後これが増強されていくという条件のもとで、特に北海道重点的に財政及び金融の投融資を行うという場合には、本州におけるところの部分から、これを縮減して、削りとつて、これを北海道につけ加える、こういうことをしなければ、これはできないと思うのであります。終戦後こういう狭い国土になったにもかかわらず、北海道開発が促進できない、そしてそれに関する予算がこれに伴わないという原因は、今言ったようなものにあると考えるのでありますが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  23. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 終戦前のずっと前の北海道開拓ということについては、単に予算だけでなく、やはり国のあり方が非常に違っておりまして、特に北海道をどうしなくても、人口問題のはけ口もあったし、国民生活も向上しておったというようないろいろな問題があったと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、この国土開発する場合には資金が要るし、予算的措置が要る。従って、それを迅速に、かつ膨大な規模でもってやるということになれば、たくさんの予算なり資金が要ることは、いうまでもない。ただそれを、それならすぐやるかといえば、これはやはりいろいろと考えてみなければならぬのでありますが、原則的に言えば、やはり国土開発というようなものは、日本の国全体から見て一番重要なところに重点的に集中してやるのがよいというのが私の考え方です。しかし、これはいろいろな政治的関係もありまして、なかなか思うようにいかないことは、これは国会審議の上にもしばしば見られることで、どうもやむを得ないと考えております。しかし予算のことでも、できるだけ今後北海道開発重点的に考えていくということは、申し上げて差しつかえないと思います。
  24. 廣川弘禪

    廣川委員長 本会議が開かれますので、散会後に再開することとし、ここで暫時休憩いたしたいと思います。     午後三時五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかった〕