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1955-07-05 第22回国会 参議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月五日(火曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 榮一君    理事            石井  桂君            赤木 正雄君            近藤 信一君            武藤 常介君    委員            石原幹市郎君            小沢久太郎君            西岡 ハル君            酒井 利雄君            宮本 邦彦君            横川 信夫君            北 勝太郎君            村上 義一君            湯山  勇君            田中  一君            永井純一郎君            堀木 鎌三君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    建 設 大 臣 竹山祐太郎君   政府委員    大蔵政務次官  藤枝 泉介君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    建設政務次官  今井  耕君    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省計画局長 澁江 操一君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省住宅局住    宅建設課長   鎌田 隆男君   —————————————   本日の会議に付した案件日本住宅公団法案内閣提出衆議  院送付) ○住宅融資保険法案内閣提出衆議  院送付) ○公営住宅法第六条第三項の規定に基  き、承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件   —————————————
  2. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  議事に入ります前に、御報告申し上げたいことがあります。  去る四日の前田穣君の葬儀に対しましては、委員会を代表いたしまして私が会葬いたしましたが、非常な盛儀でありまして、県民はもちろん、全国的な視野から、鉄道関係その他の有志がたくさん列席されまして、非常な盛儀でありました。委員諸君の弔意のあるところを御遺族の方にも申し上げまして、つつしんで敬弔の意を表して参りました。   —————————————
  3. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に、委員長理事に御一任を願いました東北地方水害状況調査委員派遣の件でありますが、この件は議運でいろいろ協議があった結果、もう一度相談してほしいという申し出がありましたので、理事会を開きまして打ち合せました結果、新たに北海道方面水害も発生し、現に台風気がまえのような状況下にありますので、本委員会審議にも重大案件等もありますので、しばらくの間審議状況を見まして実施することにいたすことにいたしまして、延期をするということに申し合せをいたしましたから、さよう御了承願いたいと思います。
  4. 田中一

    田中一君 延期じゃないのでしょう。延期ですか。
  5. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 今度行くのは延期——行くのは行きますが、延期をするということであります。   —————————————
  6. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ちょっと北海道災害のことについて……。
  7. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 建設大臣から発言を求められましたから、発言を許します。
  8. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 東北につきましては、その後、昨日秋田から初めてつなぎ資金の正式な要求がありましたので、大蔵省と直ちに折衝に入りました。ただいま閣議でも大蔵大臣にも、その後岩手その他から要求が当然ありますが、すみやかに出すように要求をいたしております。  北海道につきましては、御心配をかけておりますが、今までの状況は、切れ切れな情報でありまして、まだすっかりそろった情報はありませんけれども、結論的に申すと、部分的には非常にはんらんいたした所がありまして、主として、相変らずの梅雨前線による豪雨でありまして、日高支庁管内、それから空知支庁管内石狩支庁管内といったような所でありまして、一時は非常に水が出まして相当混乱をいたしたようでありますが、夕刻からみな河川とも減水をいたしておりますので、被害の程度等はまだ詳報は得ませんけれども、非常に広範囲のひどいものはなさそうであります。しかし広い北海道でございますから、今までの情報としましては、死者が七名、負傷者が三十八名、行方不明二十五名、建物としては床上浸水五千戸、床下浸水六千戸、耕地は水田冠水八千町歩、畑は九千町歩、道路が百三個所、橋梁百三十五個所、堤防決壊百個所というようなことでありますが、なお自後の情報によりまして申し上げたいと思います。  なおこれらと無関係でございますが、補助金等適正化に関する問題につきまして、実は前国会以来懸案の問題でありますが、この法律をどうやるかということについて、閣議でも話が一、二回出まして、私は一応市町村長厳罰に処する前に、行政官庁としての処置の万全を期するべきだという主張をいたしまして、法案そのものについては、なお検討はいたしますが、建設省として今までやって参りました線をなお徹底をする、要するに検査の励行をする、あるいは従来災害等は部分的の査定しかできませんでしたが、それが間違いのもとでありますので、全面的に査定をするためには、地方建設局ども必要のつど総動員をして、これに協力をせしめるというようなことで、間違いを起さぬように——必要以上に地方機関に迷惑をかけたり、またこれを厳罰に処するような事態を起さぬように、しかし一面においては、当然悪いことは悪いとして処置をすべきでございますから、補助金の返還なり、あるいは当然不正と思うならば告発の処置をとるなり、会計検査院は成規処置をとるべしということの連絡もいたすといたしまして、一つわれわれの力で最善の努力をいたしまして——ただ厳罰法律を出すということにまで持っていかないように、今日の段階としては努力をいたしたいという考えで、今日閣議に、建設省としての補助金等適正化に対する措置の要綱というものを報告をいたしておきましたので、あと御参考にごらんおきをいただいて、また御注意をいただきたいと思います。
  9. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この際もう一度伺いますが、公共土木災害復旧事業費国庫負担金の問題ですが、一日の閣議にかけたというお話を伺いましたが、その後の成り行きはどうなっておりますか。本国会提案になりますか。
  10. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) すでに提案をいたしまして、ただいま衆議院委員長とも御連絡をいたしましたが、明日一応これは衆議院の方の先議を願いまして、明日から審議に入っていただくことにいたしております。  これの大体の要点は、一つ連年災害に対して全額国庫負担の制度をとるということ、それから一つは、三年以内に災害の予算を計上しなくてはならないということを法ではっきりと明文化そうというのが大体改正の要点でありますが、いずれまた、こちらの御都合によって御説明を申し上げます。   —————————————
  11. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 政府出席は、建設大臣石破官房長鎌田住宅建設課長鮎川住宅経済課長澁江計画局長南部住宅企画課長の六氏であり、さらに大蔵省河野銀行局長ももう間もなく見えることになっております。  住宅融資保険法案及び「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」につきまして質疑を続行いたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  12. 田中一

    田中一君 大蔵省の方はいつごろ来るのですか。
  13. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 間もなく見えます。ですから、そのほかのものをおやりなすって下さい。
  14. 田中一

    田中一君 この国会できめた限度といいますか、三十年度の五十七億というものに一応きめるとするならば、金を貸すものが全部金融機関であり、この五十七億という限度を各金融機関に一応のワクを与えて振り向けるのか、それとも来たものから順次やっていくのか、勝手に約款に示されたものでもってどんどん契約していいのか、こういう点はどういう扱い方をしようと考えておられるのか。
  15. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともでありまして、これは初めてのことでありますから、いろいろ今後の研究もありますが、今考えておりますやり方は、前段のお話のように、一応契約を、各金融機関ごと限度を約束をきめまして、その範囲内で貸付をいたしたものについて個々契約が成り立つように、あらかじめワクをきめていくつもりであります。
  16. 田中一

    田中一君 そのうち、まあ銀行局長が来れば一緒に聞きたいのですが、銀行は、この金融機関は、ほんとうの意味で協力して貸付をしようという意図でやる場合と、それからまあまあこういう法律を作ってやれやれというから、大蔵大臣から言われるから、やるんだというものと、おのずから貸付状態が違ってくると思うのです。ことにわずかな五十七億程度のものを分けるにしても、中央と地方銀行と合せても数百に上る銀行がありますし、それからほかの金融機関といいますと、これも相当大きな数になるわけでありますね。それでまたその金融機関においては、自分の方では主としてこの貸付をやろうという、長期資金を持っているところがあれば、月賦式無尽式なものを持っているところもあれば、あるいは商業資金だけを回しているような一般市中銀行のようなものがあるのです。従ってその実態をつかまないで政府がそれに対してワクを与えるということになりますと、それはやはり貸付契約の問題なんですね。そういう点は十分調査していただいておりますか、現在。
  17. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まだ初めてのことでありますので、御指摘の点はよく話し合いをいたしまして、無理にやる気のないところへワクをやるほどの額でもありませんから、これは十分に貸付のできるようなところにそのワクを持っていって、有効に使うようにいたしたいと考えておりますが、まだ個々金融機関に、法案の成立前に話し合っているわけではありませんが、大体のそれぞれの機関を通じて、よく趣旨は理解をいたしてもらっておりますから、十分いくものと考えております。
  18. 田中一

    田中一君 いくものと考えるのはけっこうですが、実際において金融機関は幾つあるとお考えになりますか。今法律で示しているところの金融機関というものの数はどのくらいあると考えているのですか。
  19. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは今銀行局長が参りますから、専門の方で一つ説明いたします。
  20. 田中一

    田中一君 もう一つ伺いたいのは、抵当権設定というものは、銀行はするのかしないのか。
  21. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはやはり従来の銀行やり方をやっていくわけで、特に新しい要求とか、また別の方法というようなことは考えておりませんが、おそらくやっておるものだと考えております。
  22. 田中一

    田中一君 いや、やっておるものじゃないですよ。この法律で必ず担保をとるということになるのですかと伺っているのです。担保をとるのですか、とらないのですか。
  23. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) この法律文面には、はっきりそのことは書いておりませんけれども法案の第十一条をごらん願いますと、「金融機関は、保険関係が成立した貸付について、貸付金回収に努めなければならない。」こういう規定がございます。この規定精神を受けまして、業務方法書なり、保険約款におきまして、所要物的担保を必ずとるように、あるいはそれがない場合にはこれにかわる確実な保証をとっておくようにというようなことでやっていきたいと考えております。
  24. 田中一

    田中一君 私は、そういうことになりますと、法律で明記したらいい。何も法律にそれを明記するのは不当ではない。ちょっとおかしいのは、一般商業資金融通の形と、こうした固定した——融通資金と違った同定したものに対して国が百分の八十を責任を持ち、そうしておそらく一回、二回というものは順当に、初めから債務にしようと思って借りるものもおらぬでしょうから、なおかつ担保をとるなんということはありようがないと私は思う。そういう点から考えて、こういう何といいますか、抵当権設定というものを立法化してないと思う。おそらく回収しなければならぬということは当然ですよ、これは。ほんとうにそういうことが、抵当権設定というものの理由にならない。
  25. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話通り、この法律文面にそういうことを書くのも確かに一つ方法だとは考えますけれども、私どもといたしましては、法律としてはこの程度でありましても、それに基く業務方法書並び建設大臣の認可を受けて定めますところの保険約款に必ずそういう規定を入れさせることにし、さらに十分の指導をいたしますれば、そういう間違いの起る余地は全然ないものと確信いたしております。
  26. 田中一

    田中一君 私はそういうことを聞いているのじゃなく、この法律精神というものは、抵当権を設定するのかしないのかということを伺っているのですよ。そうすると、するものと考えているとか、回収に間違いないようにするとかということを聞いているのじゃない。一般商業資金の場合には、信用でやるものもあれば、いろいろあります。これは物件担保にするならば、何も国家保証がなくてもいいのですよ、担保物件があるならばですよ。そうすると一般融資というものと住宅融資というものに、いやがる金融であるから、銀行がいやがるから保険もつけてやる、百分の八十までの限度保険政府責任をとってやる。なおかつ、その借りる人間に相当な担保物件を出せ、こういうことは過酷なことなんです。いいですか、二重の保証をしなければならんということになるのですよ、結局ね。問題は、そういうことがいやだから、私はこういうようなあいまいな法律にしてあると思うのです、表わすのは。業務方法書その他契約約款というものは、建設大臣大蔵大臣の両大臣が、主務大臣が認可する契約約款に基いて貸付をするのだという契約約款の内容というものは、今建設大臣が言うように、多分そうなるだろうと思いますじゃ困るのですよ。そうして根本的に言うのは、繰り返して言いますけれども一般融資というものとこれとがあまりこちらの方に安全値を高く見過ぎておるということなんです。一般融資から見る場合には、私は十分の八というものを国が責任を持つというならば、百分の二十だけは担保として設定していいのです。抵当権を設定していいのですよ。いいですか、また逆に保険精神というものは、その借りたやつが借りた金を返さないというやつに対する保証じゃないのです。返してやろうというところにねらいがあるのだろうと思います。しかし銀行だけにそういうものを二重に持たす必要はないのじゃないかと思うのです、銀行だけにそういう保証を。抵当権設定の分も保証ですこれは。同時に百分の八十をやるのも保証なんですから、それははっきりと、銀行との話し合いはどうなっておるのか。これは大蔵大臣建設大臣が認可するのですからね。銀行局長を呼んで下さいよ。はっきり聞きたいのです、そういうあいまいでなくて。委員長呼んで下さい。やはり主務大臣というのは二人ですから、両方から聞かなければ話にならないですよ。この法律主務大臣は二人ですから……。
  27. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 今呼んでおります。
  28. 田中一

    田中一君 建設大臣にあまり質問するのはそういう点は無理かもしれませんから……。
  29. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話の御意見の点はよくわかりますけれども、私どもは、第十一条の法律といたしましては、こういう規定を置いて、必要に応じまして業務方法書及びそれに基く保険約款におきまして、所要債権確保をはかる方法を講じたいとかように考えております。お話のように政府保証をし、さらに物的担保もとるということになりますれば、あるいは場合によりますれば、銀行としては不必要に多くの担保をとる、一方金を借りる方は不必要に多くの担保を課せられる、負担を課せられるというようなことになりまして、過酷な場合も、不当な場合もあるかもしれません。従いましてどの程度担保をとるかというような点につきましては、全然保証のないときの担保政府保証のあるときの担保というようなものにつきましては、場合によりますれば、これからよく研究したいと思いますが、不必要な担保はもちろんとるようなことのないようにいたしたいと思います。しかし債権確保方法だけはきちんととりたいと思います。
  30. 田中一

    田中一君 そういうことにならなければ困ると思うのですよ。それからもう一つ伺いたいのは、この貸付の主眼というものが、この目的にも書いてありますけれども、「居住性を良好にするために」と書いてあるのですが、そこで良好というものは質に重点を置くのか、量に重点を置くのか。今までの民主党の四十二万戸という公約は、これは質じゃなくて量だと思うんですよ。どれを見ても全部質が低下していますから量だと思うのです。やはりこの点は重点を、これは読みかえる場合には量をふやすという考え方でいいのですか。
  31. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは別に量とも質とも特にそういうことは考えておりません。自由に貸し付けられる範囲であります。
  32. 田中一

    田中一君 そうしますと、御承知のように住宅というものは一坪五十万円の住宅もあるのです。一坪一万五千円ないし二万円のバラックもあるのです。従って契約約款あるいは業務方法書というものがあるかどうかしらぬけれども、少くともそういうものでどういう面の指導をしようとするのか。一坪十万円も二十万円もある、極端になると五十万もあります。どういうものをやるんですか。
  33. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話通り建物によりましては一坪十万円はおろか三十万円、五十万円の建物もあるわけでございまして、こういう建築費の高い住宅はまさに居住性を良好にする一つ方法であろう、かように考えますが、私どもといたしましては、この法律の第一条に目的を書いておりますが、「健康で文化的な生活を営むに足りる」というところでまあ押えておきたい。この何が「健康で文化的な生活を営むに足りる」ものかどうかという具体的な標準につきましては、そのときの社会の状態なり経済状態というものがやはり大きなこれをきめるポイントになるかと思いますが、抽象的に申しまして、そういう考えで不必要にぜいたくな建物融資もちろん認める意思は持っておりません。
  34. 田中一

    田中一君 むろんわれわれも不必要なぜいたくなものを認めてくれということを願っているんじゃありません。同時にまたあまりに悪いものは認めてはならぬと思うのです、あまり悪いものは。一万五千円から二万円でもバラックができるんですよ。そんなものの貸付をする意図があるのですか。ないでしょう、おそらく。
  35. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) この法律全体の建物民間資金をできるだけ民間自力建設に動員するというのがねらいでありまして、政府保証するとは言いながら、これを全部建設費政府が持つというような建物でありません関係上、公営住宅でございますとか、公団住宅というほどまあ厳格な制限をつける必要もなかろうかと考えておりますけれども、一応約款等におきまして、お話のような、まるで家にもならないというようなもの、ましてこれはもともと不可能なことをやろうという——理屈からも通らないわけですから、そういうことのないようにある程度の最低の坪当り単価というものは制限をしたらどうかと一応考えております。
  36. 田中一

    田中一君 大体住宅金融公庫が貸し付けておる程度のものというふうに了解していいのですか。
  37. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 具体的には、まあいろいろ御意見もよく承わりまして適当なところにきめたいと思います。
  38. 田中一

    田中一君 御意見はこちらから伺っているんですよ。私はあなたの方が答弁しやすいように、今現在政府指導してやっているところの住宅金融公庫というものがある、この建築基準程度のものでいいかと言ってあなたの答弁しやすいようにしてやっているんじゃありませんか。どうも困るな……。あなた方が指導している住宅金融公庫、その程度のものをねらっているのかといえば、さようでございますといえば済んじゃうんです。
  39. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) まことに御親切な御質問でありまして、私どもお話通り、まあ大体のところはその辺に考えたらいいかと思っておりますけれども、先ほども申し上げましたように、この法律趣旨もありますので、必ずあの通りにいくというふうに今はっきり申し上げかねるのでございます。大体あの標準でいきたいと思っております。
  40. 田中一

    田中一君 私こんなことを伺うのは、やはりこの法律案ができたら、運営の面において銀行その他が勝手気ままなことをされては困るのです。実際に国民のために住宅融資をしようというなら、この法律を作っている当面の責任者である建設大臣大蔵大臣にはっきりこの法律をどういう形で運営するかということを速記録に残したいのです。これは、非常に銀行などというものは、やはり御承知のように利潤追求の親玉なんですから、これがその面のみに融資されたのではほんとう建設大臣考えているような四十二万戸の住宅建設は達成しない。そこでこまかく審議の過程において、具体的な持っていき方を記録に残しておきたい。かように考えておるのですから、さようなつもりでもって、あなたの方のプラスになるような質問をしているつもりですから、虚心担懐に、警戒しないで御答弁願いたいと思うのです。住宅建設融資するのですから、投資的な商業的な住宅にはむろん投資をなさらぬのでございましょうね。もう一ぺん言いましょうか。対象住宅なんです。私がかりにここでもってまあ二百坪の敷地があるものですから、そこに八十坪ちょっとくらいの住宅を、二階なら二階、三階なら三階の住宅を作ろうという考えを持って、その計画を持って頼みに行く。そうするとこれはむろん住宅を作る、これは目的にはっきりあげてあるような健康で文化的な住宅を作るのだから、これに対しては融資対象になるでしょうね、と聞いているのです。
  41. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) もちろん第四条に「保険関係が成立する貸付」ということをこまかく書いてありますが、御質問の中の御設例になりましたような場合に、二百坪でございましたか——二百坪の土地で……。
  42. 田中一

    田中一君 こうなんですよ。これは個人、特定なる個人に対して融資しようという法律じゃないのですね。家を建てるものには融資しようということなんです。従って私がまあ零細な金を集めて、最小限度資金を集めて、金が足りない、そこで銀行に頼む。これは何を作るか、アパートなんです。自分が住むアパートなんです。アパートを建てる場合なんです。そういう場合には対象になりますね、と伺っているのです。
  43. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 対象になると考えております。
  44. 田中一

    田中一君 なりますね。
  45. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) はい。
  46. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この際、申し上げますが、外務委員会出席しておりました河野銀行局長にこちらへおいで願いましたのでありまするから、また外務委員会に行かなくちゃならぬ事情があるのでありますから、この際銀行局長に対する質問をお願いしたいと思います。
  47. 田中一

    田中一君 この法律大蔵大臣建設大臣主務大臣なんですよ。大蔵大臣がそういうけしからんことがあっちゃならぬですよ。この法律主務大臣は二人なんですよ、大蔵大臣主務大臣です、そんな馬鹿な話はないですよ。建設大臣だけの主管ではないのです、これは。銀行局長どう考えますか。
  48. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私から申し上げますが、今ほかの委員会でやっておるということの実情を申し上げたわけでありますから、どうぞ、必要の審議には必要の出席を求めることにいたします。
  49. 田中一

    田中一君 本来ならば大蔵建設大臣がここに出てわれわれの質疑を聞かなくちゃならないのですよ。——これははっきり書いてありますよ。主務大臣は二人なんですから……。
  50. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よくその事情は了承しておりますが、御承知のように大蔵関係法案も非常に当面の委員会にたくさんありますので、必要とあれば出席を求めますけれども、なるべくならば私で済むことは一つお願いをして、なお専門的な大蔵省所管の直接の問題についてお尋ねをいただきまして答えられなかったような、また責任のある答弁を要するような場合におきましては、私も御趣旨に沿うように努力をいたします。
  51. 田中一

    田中一君 私はこの法案を一日も早く上げようと思っているのですよ。一日も早く通そうと思っているのですよ、私としては。だから、先ほど建設大臣質疑してもあなたわからぬとおっしゃる。それじゃやはりこの法律政府提案している限り、この主務大臣が当然二人並んでわれわれの質疑を受けるのは当然じゃありませんか。
  52. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御質問をいただいて当然御質問に応じて大蔵大臣としての責任において申し上げなきゃならぬことにつきましては、もちろん出席を求めることに反対をいたしておるわけじゃありません。なお先ほど私が申しましたのは、銀行局長があとから参りますからその節答弁をいたしますということを申し上げたわけで、私も何も知らぬと申すわけじゃありませんが、むしろ大蔵省の答弁をいたすことの方が適切かと思いましたので、答弁を留保いたしたようなわけであります。
  53. 田中一

    田中一君 そういう銀行局長の都合が悪ければ、すぐに退席するというのでは審議できないと思うのですよ。従ってこの法律を内閣が責任をもって出している以上、主務大臣が二人出てこなければならない。当然出席して——われわれは真剣に質疑をやっているのですよ。ですから片輪な審議じゃ困るのですから、建設大臣大蔵大臣ちゃんと並んで質問を受けて下さい。
  54. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今銀行局長質問の間は全部おることに申しておりますから、どうぞ……。
  55. 石川榮一

    委員長石川榮一君) では、どうぞ銀行局長はこちらの質問の終るまでおるそうですから、どうぞ御遠慮なしに……。
  56. 田中一

    田中一君 ちょっと速記をとめて下さい。
  57. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。
  59. 田中一

    田中一君 建設大臣の方は借りる側の代表なんです。貸す方が大蔵大臣なんですよ。だから、建設大臣の気持はよくわかります。それで、私は国民の代表として金を借りたい方なんです。だけれども貸す方が心配なんです。ほんとうに貸してくれるかどうかの問題をわれわれは論議しているのです。この法案精神には賛成なんですよ。実際に貸してくれるかどうか。貸すならばどういう条件で貸すのか。どういうむずかしいことを言うのか。従って三十二万戸の公約が減っちゃ困ると思うのです。実現さしてやりたいのです。従って実際に大蔵省指導して貸すのだという証拠を、言質をとりたい、言明をとりたいのですよ。それでもってこの速記録に残しておきたいのです。そうすれば国民は安心しまして借りに行けるのです。で、うるさいでしょうけれども、事こまかに貸す方の側の御意見を聞かなきゃならぬ。貸してくれなきゃしようがないのですよ。あってないものですよ。そういう点を伺いたいのですから、そういうこと、銀行局長もそういう点よく腹を据えて御答弁願いたいと思います。  まず伺いますが、この法律、むろん御存じでしょうけれども、この金はどういう程度住宅に貸すつもりですか。たとえば鉄骨鉄筋の住宅もありますし、木造のバラックもありますし、従ってどういう程度のものに貸すのでありますか。
  60. 河野通一

    政府委員河野通一君) すでに建設省の方からお答えもあったことと思いますが、この法律の第一条に書いてございますような趣旨におきまして、できるだけ健全な国民生活ということの確保のために似つかわしい住宅ということでありまして、ぜいたくにわたるようなもの、あるいは華美にわたるようなものを対象にいたさないことは当然であります。ただそれらを具体的にどういうように区切るかという点につきましては、今後あるいは業務方法書でありますとか、あるいは約款等によってこれを具体的にきめていくより仕方がない。法律の上にそういうことをはっきり書くことはいかがかと思いまして、法案にはごく抽象的に書いてあります。趣旨は今申し上げました通りでございます。
  61. 田中一

    田中一君 保険約款ですか、業務方法書ですか、これは案があるならお示しを願いたいと思います。
  62. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それはなお検討をいたして、初めてのことでありますので、十分によく研究をしたものでやりたいと思いますので、構想は持っておりますが、まだ最後的な成案を持っておりません。二の際は趣旨について申し上げておるような次第であります。
  63. 田中一

    田中一君 これは問題は、実際に具体的にどう貸すか、どう借りるかということが主眼なんです。従ってそういうものを特定なるものにだけ貸すものとか、あるいは相当大きな担保をとって、そして信用のあるものを一名でも二名でも保証人になって、そうしてなおかつ保険契約をするものだということにするのか、根本的な構想というものはなければならぬと思うのですが、おまかせできないのですよ。おまかせする範囲というものは、こういう構想をもってやるのだということを示してもらわなきゃいかぬと思うのです。銀行局長に伺いますが、この融資の形式というものは、ここに示されたところの金融機関は全部双手を上げて賛成してぜひやりたいという意思表示が大蔵省の方にございましたか。
  64. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点につきましては、建設大臣からも金融界の首脳の人々に対してこの法案趣旨に協力を求められております。金融界といたしましても、できるだけこの趣旨を生かしていきたいという気持は持っておると、私も全部の意思を一々聞いたわけじゃございませんが、私の接触いたしました限りにおきましては、この法案趣旨にはできるだけこれに協力していきたい、こういうことは言っております。
  65. 田中一

    田中一君 限界が五十七億ということになっておりますが、先ほど建設大臣に伺うと、この五十七億は各金融機関に一応のワクを与えてそうしてこれを受け付けさせよう、こういうことを言ったのですが、今現在この法律に示されている金融機関の窓口というのは何千何百ございますかわかりますか。
  66. 河野通一

    政府委員河野通一君) 店舗の数から言いますと何千何百ということになりますが、これは普通銀行だけの店舗は約五千ございますから、非常に数が多くなります。しかし銀行ごとと申しますか、店舗の数じゃなくて、銀行の数あるいは金融界の数から言いますと、この対象になりますものは約千足らずだと思います。
  67. 田中一

    田中一君 それじゃ恐縮ですが、おわかりならば日本銀行を除く銀行、それから保険会社、無尽会社、信用金庫、労働金庫及び信用協同組合、これが全国に幾つあるか、お示しを願いたいと思います。
  68. 河野通一

    政府委員河野通一君) 銀行の数は、まず銀行の中に普通私ども分けて考えておりますのは、大都市の銀行とこれは皆銀行法に基く銀行でありますが、都市の銀行地方銀行、信託を兼営いたしております銀行とそれを分けておりますが、都市銀行が十一、信託銀行が六、地方銀行が六十七、それから相互銀行が七十一であります。信用金庫が五百五十七、信用協同組合、いわゆる信用組合と言っておりますが、これは府県の監督に属しております、これが三百三十二、労働金庫が四十三、それからこれは銀行という名称を使っておりますが、普通銀行でない特殊銀行として債券発行銀行、長期信用銀行が、これが二行、それから生命保険会社が二十、損害保険会社が二十、無尽会社が三、この無尽会社というのはいわゆる住宅無尽であります。これが三行。
  69. 田中一

    田中一君 これに五十七億をどういう工合に配分してワクを持たせるつもりですか。
  70. 河野通一

    政府委員河野通一君) これは従来から、たとえば中小企業信用保険法の運用その他につきまして、やはり非常に多くの金融機関、多くの種類の金融機関契約の相手方にいたしておりますが、これらの場合におきましても、各金融機関ごとに大体の契約を予想される契約高の割り振りを、ワクと申しますと非常に言葉が悪いのでありますが、大体予定の総額をきめまして、それを各金融機関の種類ごとに割り振りいたしております。これはあくまでも一応の割り振りでありまして、相当程度のリザーブをとっております。従って非常に成績のいい金融機関があります場合には、そのリザーブの中からさらに追加をするということはしょっちゅうやっておりますから、普通の場合におきましては、従来の中小信用保険法の運用の経験から申しますると、大体そういうふうなやり方で、あるところでは、円滑にいってはおります。ただ今般御審議いただいておりますこの保険法律は、そういう制度として、住宅金融というものに対しての保険というものは実は初めてでありますから、どの種類の金融機関がどの程度までこういうものに対して積極的になってくるかといったような点につきましては、今後やはり相当実情を見て直していかなければならぬということになると思います。従いまして、当初の出発といたしましては、私はやはりリザーブをとる、相当程度リザーブをもってそうして一応割り振る。そうしてリザーブで成績のいいところはどんどんリザーブを解いていくというような形で実際やっていくのが適切じゃないかと思います。どの程度のリザーブを入れたらいいかという点も、建設省ともこれから十分相談して適切を期したいと思っております。
  71. 田中一

    田中一君 そうすると、大体半分くらいリザーブすることになりますか。おおむね今までは貸付しようという意図がないと、もう自分の方はワクがないのだ、ないのだというのが現状なんですよ。片方ではあまりない。地方的にはあまりない。地方的にはないというのが現状であります。これはどうもそういううるさい金融がしたくないという気持のところはそういうことになるのですね。それでその場合に地域的に、私が東京におって北海道銀行に申し込んで借りることも可能ですか。
  72. 河野通一

    政府委員河野通一君) 別段不可能ということはございません。ございませんが、ことに銀行でやりますれば大体大きな銀行は全国に店を持っておりますから不可能とは申しません。しかしながらやはり私、その地域間の融通ということを少し弾力的にやっていくということは、要するにリザーブを非常に使うということでなければいけないと思います。従いましてリザーブを半額程度おくかどうかという点につきましては、十分建設省と御相談しなければいかぬと思いますが、半額とか三分の一ということはまだきめておりませんけれども、できるだけ当初の出発におきましては、リザーブを多くしていくということでなければ、そうしてあとでチェックしてバランスをとっていくということでなければいかぬじゃないかというふうに考えております。
  73. 田中一

    田中一君 抵当権はその物件に対して設定するような考えでおるのですか、構想は。
  74. 河野通一

    政府委員河野通一君) 保険以外の点につきましては、普通の貸し出しと同じようにやっていく、債権確保ということは金融機関として当然責任をもってやらなければならぬ。保険以外の点については、普通の貸し出しと同じように、できるだけ債権確保方法は講じていく、こういうことにしております。
  75. 田中一

    田中一君 増築の場合には、増築分ごとに抵当権設定になりますか。それともあるいは、安全率を見て、その増築というのは、二十坪の家に対してあと五坪増す場合に、五坪分の抵当権の設定をするのですか。あるいは合計二十五坪になったところに抵当権を設定しようというのか。必要とする場合に、銀行によっては非常に、よほど十分に厳重に指導しませんと、おおむねそういう超過したような抵当権の設定をしようという傾きがたくさんあるわけですね。その点はどうですか。
  76. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点は普通のやはり担保付の金融の場合と同じように考えておりまして、私ども担保の価値というものは十分にとれ、十分にとることを教えております。しかし、必要以上に多額に担保をとる必要はない、どの程度とったらいいかということにつきましては、私どもは、金融機関の判断良識にゆだねていきたい。個々の場合について増築分だけしか担保をとっていけないということも適当でないと思います。また、しからば増築されたもとの部分も全部担保をとらなければいかぬということを言うのは行き過ぎであります。個々の場合について、十分な担保力の範囲において担保を設定する、こういうことでいいと思います。
  77. 田中一

    田中一君 結局そうしますと、銀行にすれば、十一条でしたか、回収に努めなければならぬということになるから、無理やりにとろうということになりますね。そうすると、今言う通り、百万円借りたために、五百万円、六百万円という価値のあるものを担保にしなければならぬという条件を銀行が付けるならば——おおむねそうなんです。今までは貸したくないのです。なるべくそういうような零細ないわゆる信用のない者には貸したくない。信用のない者には貸したくないから、保険制度のもとならば、まず百分の八十までは安全だというので貸そうという意欲になる。ところがそれに加えて——多過ぎるという限界が僕にはわからぬのですけれども、それでは結局信用のない貧乏人には住宅資金が回ってこないということになるのです、結論としては。そういう危険が多分にあるのです。従ってもし実際の銀行の安全率をはかるならば、二〇%だけの担保でいいのじゃないですか。
  78. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今のお話の点は私はそういうふうに考えておりません。八〇%が保険に付せられるからといって、残りの二〇%だけの担保をとっておくということだけで満足すべきものでないと思います。これは結局政府に対して負担を負わせるのみならず、理論的に申しましても、八十というものと二十というものと按分で回収されていくのでありますから、二〇%の担保ということでは問題は解決されていかない。私はやはり保険というものがない場合においても、普通の取引として担保にとっていくという場合と同じような管理の方法を普通の金融と同じようにやっていく。それでも住宅金融というものの特殊性からいって、なかなか金融機関というものがこの際としては積極的になり得ないような状態にありますから、それをカバーするために、保険制度がプラスになっていく、こういうふうに考えなければならぬと思います。従いまして保険制度ができたから担保その他はルーズにとっていいということにならぬと考えております。
  79. 田中一

    田中一君 今二十坪の自分の家を持っておる。五坪増築したいというので、借りる。その場合に二十坪というものはほかに担保に入っておる。金があるならば自分でやる。ないから借りる。その場合には貸す対象になりますか、なりませんか。
  80. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私はそれは個々の信用力は、家についての担保力がない場合につきましても、ほかに信用の十分あるかないかといったようなこともありましょうし、私は今持っておられる家がすでに担保に入っておるから借りる能力なしと断定することは適当でないと思います。たくさんの金融機関があり経験者がたくさんおるのでありますから、普通のこの保険制度がない場合における金融の問題におきましても同じような問題がある。これらはやはり個々の取引において相手方の信用なりあるいは弁済の能力なり、そういうことを十分見た上で、個々にそれは担保がなくても貸せるという場合もありましょう。また二番抵当につけていくということで問題が解決する場合もありましょう。従いましてこれらの問題はやはり個々銀行の当事者とよく話し合っていくということが必要であろう。その場合において銀行等が俗な言葉でいうと、非常に極端に高利貸的な考え方に立って、たとえば今お話しがありましたように、百万円を借りるのに六百万円も七百万円も価値のあるものを担保にとるといったような行き過ぎがないように私どもは十分に注意しなければならぬと思いますが、原則はあくまでも当事者の間で貸借の信用関係の設定についての取引が普通行われておるのでありますから、その一環として、この問題についても考えていくということが適当であろうと思います。
  81. 田中一

    田中一君 結局そうすると、あなたの考えを聞いておりますと、やはり持てる者に対する融資なのですね。そうでない者には金を貸してやらない。せめて国が保証してやるのだから、月給は少いけれども、どうしてもそこに六畳一間がなくちゃならぬという場合には、やはり危険を冒しても貸すというような気持がなければほんとうの意味の住宅融資にはならないのです。あなたのお考えのように、安全で、これなら心配ないという者なら保険に入らないで、自分でやります。銀行に一ぺんも取引のない人間が借りにいくのです。結局それが普通なのです。月給をたくさんもらっておる者は、たとえばあなたたちにしても、やはり共済組合があり、なにがあり、あなたたちのように五万六万と月給を取っておれば、それは信用力が高いから貸してくれます、銀行に借りにいかなくても。結局どこからも借りられない人間に対して貸してやろうというような気持でなければ、政府が言う四十二万戸はできませんよ。だから保険の制度があろうがなかろうが、信用のある者に対して個個に貸すという考え方だけではこの法律は死んでしまう。実際そういうことはよほど考慮されないと、この法律を作った趣旨というものがなくなってしまうと思う。そういう点はどういう形でもって、どういう階層に、あなたは個々ということを言われるが個々ということになると、われわれのようなものは借りられなくなる。だから個々に相談するのでなくて、全体を見て、現在の住宅困窮者というものはどの層におるか、それを分析したことがありますか。どの層におるか。従ってこの層に対して少くとも増築分、新築分、改築分、修繕分でも貸してやりたい。こういう考えのもとにこの立法をされたものと思うのですが、その対象はどういう層なのか。普通の所得の側から割り出してみても、結局今おなたの説明されておるような者は対象外になるというような危険が多分にあるのですね。それではこの法律を作った立法趣旨が消えてしまうのです。それを大蔵省はどう考えておりますか。
  82. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私が今申し上げておりますのは、この保険制度ができたから担保というものはある場合には十分にとらない、つまり保険制度があるから、従来ならば担保に入っておるものはとらないで済ませるといったようなことがあってはいけないということを申し上げておるのでありまして、普通の債権確保方法をやはりとっていくということが必要であろう、こう申し上げておるのであります。従って私の申し上げておる層が金持ちとか、要するに非常に物を持っておる人でなければこの融資保険対象にならないということを実は申し上げておるのではないのでありまして、従って私の申し上げたいことは、今御説明がありましたような場合に、いろいろ不動産を持っておられ、あるいはそれによって不動産を立てられ、それを担保に入れるということが許されるならば、それは担保に十分とっていくというのが原則であろう、こういうことを申し上げておるので、担保がなければ絶対に融資対象にはならないということは言っておらないのであります。担保があるならば担保を十分にとるということは、保険があってもやらなければならぬ、こういうことを申しておるのであります。  なお今お話がありましたように、実際問題としてなかなかその限界というものはむずかしい、取引の問題でありますからむずかしいと思いますが、この制度というものはやはり普通の単純なるコマーシャル・ベースに立っての金融だけでは解決はなかなかつかない。従ってそれを補てんする意味において、この保険制度というものを作ろうといたしておるのであります。私はこの保険制度がプラスされることによって、従来ならばそれがなかりせば、なかなか融資というものがむずかしいというものが、この保険制度ができることによって融資が促進されるという効果が十分にあるということを、私は確信いたしております。
  83. 田中一

    田中一君 担保がない場合でも、サラリーマンでかりに三万円もらっておる、そのうち月々三千円程度払う、これは六カ月以上になっておりますから、五年、六年たって払うということ、そういう条件ならばいいというのですか。それもはっきり第三者執行というみたいにして、自分の勤めておる会社の方からちゃんと来るということになれば貸せるということになるのですか。
  84. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私は必ずしも物的担保がなければならぬとは考えておりません。そこはやはり当事者同士で、月給三万円ならばどうという問題ではないのですが、十分に信用があって、それから保証人ももちろん必要だと思いますが、そういうものがあれば私は必ずしも物的担保がないからといって、この金融対象にならないということはないと思います。しかしながら少くとも私はこの金融によって家が建つことは間違いないのでありますから、増築であろうか、新築であろうかは別といたしまして、建つことは絶対間違いないのであります。それに対して担保はこれは原則としてとらるべきものではないかと考えております。
  85. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫融資方法をあなたは御存じですか。条件は御存じですか。
  86. 河野通一

    政府委員河野通一君) 存じております。
  87. 田中一

    田中一君 そうすると市中銀行の方が過酷といいますか、住宅金融公庫よりもそうしたものが率が、安全率というものが見過ぎているという形になりますね、住宅金融公庫よりも。
  88. 河野通一

    政府委員河野通一君) これはやはり私は政府金融機関というものと民間金融機関というものとの程度の差異であると思います。ことに、たとえば開発銀行と市中の一般銀行の間においても問題がありましょうし、それから普通の民間の市中金融機関と国民金融公庫とか中小金融公庫でありますとか、そういうものとのニュアンスの相違が当然ある。従ってこれはそういう面において住宅金融公庫民間金融機関と、つまり預金者の保護ということに重点を置いて考えなければらぬ民間金融機関というものと、融資の態度においてこれは程度の差異、二ュアンスの差異かと思いますが、違って差しつかえないのじゃないかと私は思っております。
  89. 田中一

    田中一君 あなたは国と保険契約を結ぶのだからといって、国に損害をかけるわけにはいかない、従って安全率を十分見るという答弁であった。住宅金融公庫の場合には、国の機関だからとれなくてもその物的な担保でいいのじゃないかということにとれるのですが、私はそれは矛盾していると思うのです。金融公庫は国家機関なら国家機関だと、あるいは一般市中銀行はそうでないとおっしゃる。おっしゃる通りそうでないから保険をする。百分の八十まで見るのだと、同じではないのですか、結局。それに対して市中金融機関が過酷なり過当な担保をとったり、あるいは保証人は何人とか、どうとかこうとかいうことがあっては、結局信用のある者でないと金が借りられないという矛盾があると思う、あなたの御答弁では。
  90. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私の申し上げているのは、住宅金融公庫の貸し出しはとらなくてもよろしいと申しているのではないのです。ニュアンスという言葉を申しましたが、若干、そこに取扱い上の程度の差異は私はあると思います。しかしながら租税等国民の血税からできております政府資金でありますから、この運用に当っております各政府金融機関というものは、その回収が滞ったり、損失を出すということは一厘一銭でも出さないように努力をすることは当然であると思います。従ってそこに質的差異はないと思います。ことに保険に付せられているからということで、その分はとらなくてもよろしい、国損をかけてもいいのじゃないかということにはならないと思う。できるだけ国に損をかけないような金融方法あるいは担保なり、そういう信用の裏づけの方法は万全を期するということは、国の保険があろうとなかろうと、これはやらなければならない、国に損をかけないようにするために。こういう対策を立てることは、金融機関としてそういう義務はあると思います。しかしながら今お話のように過酷になってはならない、この点はお話通りであります。高利貸的な条件を付してはいけないということであります。この点は私どもとして、個々に一々具体的な限度をきめるということは、これは実にむずかしいことでありますが、できるだけ今の御趣旨のような点については十分配慮していきますが、個々の場合、それを私の方から命令して、こういう場合に、この程度担保をとってはいけない、保証人は何人とってはいけないということは、私どもの方として言うべきではない、全体としてできるだけ過酷にわたらないように、この金融公庫本来の法律目的に沿うように、今後とも私は努力していきたいと考えております。
  91. 田中一

    田中一君 住住宅金融公庫と同じように考えられるならば、その部分だけの担保でいいのでしょう。その部分だけの担保でいいと思う住宅金融公庫になりますと保証人がちゃんといますね。担保物件はその部分だけです。新築の場合には、新築部分だけでほかに何も持ってこないというのじゃないのです。だから私があなたに望むのは、少くともこの住宅金融公庫と同じようにその部分だけの担保をとって置くという御答弁が望ましい、またそういうように指導していただかないと信用のない者は借りられないのです。実際からいえば、また金融機関等に信用のない者が金を借りたいのです。御答弁にしちゃそういう答弁が私はほしかったのでありますが、あなたにこれ以上言ったってしようがないから大蔵大臣が来たときに聞きます。あなたの立場上それ以上言えぬでしょうから、それはその問題はあとに残しましますが、この六カ月以上というのは、一番の長い期間は何年を想定しておりますか。
  92. 河野通一

    政府委員河野通一君) これは住宅金融という事柄の性質からいいまして、私は相当長期にわたるものじゃなければいかぬと思います。何年以上はいけないと言う必要はないと思います。ただ一般金融機関は預金を集めてその預金を資金として金融をいたすのでありますから、三十年とか二十年とかいったような長いことは、なかなか預金保護としてむずかしいのじゃないかと思います。私は五年であろうと七、八年であろうと長ければ長いほどいいと思う。それが十年、二十年となるとなおさらけっこうだと思います。これを今どの程度のことを考えているかということは、今も申し上げましたように、その金の性質からいって、長ければ長いほどいいということを申し上げざるを得ないのであります。
  93. 田中一

    田中一君 そうしますと両大臣が認可するという保険約款、あるいは業務方法書には、期間というものは、貸付期間の最低を示しております、六カ月以上という。この最長はいつになるか示さぬというのは、これはやはり個々の当事者にまかせるというつもりじゃないですか。
  94. 河野通一

    政府委員河野通一君) 現在のところでは、先ほどお答え申し上げましたようなところで、最長期限についての制限は置かないつもりであります。
  95. 田中一

    田中一君 これもちょっと聞かなくちゃいけないのですが、長ければ払えるのがわれわれ勤労者なんです。長ければ払える、短かければ払えないというのが今の住宅困窮者なんであります。金を持ってない人は長ければ踏み倒すつもりで借りるのじゃない、払うつもりで借りるのです。しかしながら建築単価というものは同じなんです。今さっきもちょっと質問いたしましたが、それは二万円程度のものもあれば、さっき言ったように、四万二、三千のところもありますが、また五万、十万というところもあるのです。あるいは一坪三十万、五十万という住宅もある。従って長くなれば払えるのであって、家を建てる負担は同じなんですよ、金を持っている者も持たない人も、単価というものは。これはやはり銀行にまかしてその期間をきめるというと、これは信用がないと借りられない、信用のない者は短かいということになる。そこが一番大事なんです。実際に四十二万戸の住宅を間違いなく建てようとする意図なれば、これは建設大臣に伺いますが、一体大蔵省のそのような措置で、やはり必ずしも借りたくない者に貸せるというのが趣旨じゃなくて、借りたい方に貸すという趣旨を持たなければならないと思うのであります。これは建設大臣、四十二万戸はそうでなければ建ちませんよ。
  96. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私はこれでいくと思っております。これは個々の独立した金融機関住宅のための資金の年限を制限するということは、これは私は行き過ぎだと思いますので、今銀行局長が申したように、多々ますます弁ずるわけですから、銀行としては極力長い資金を出してもらうように希望はいたしますけれども、それを約款制限をしてみたところで、資金確保されるものとも考えられませんから、御趣旨のような点に努力をするということはいたしますけれども、これを強制をするということは私はむしろ効果は大したことはないし、それで金が出なければ目的に合いませんから、相手が自由の金融機関である以上は、銀行局長の申すことが精一ぱいで、私はそれで今の政策の見地からいえば十分だと考えております。
  97. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっと関連して。法律の筋としては今の御答弁でわからないことはないのですけれども、しかし実際問題としては、国の経済の状態とか、国民生活状態とかいろいろ考慮しなければならない問題がたくさんあると思うのです。そこで今日の国の状態において、大体六カ月でやれといったってなかなかできる性質のものではないと思います。大体常識的にと申しまするか、希望的な面もあるかと思いますけれども、これは局長はどの程度をお考えになっていられますか。
  98. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私は住宅というものの資金の性質からいって、六カ月で自分の収益なりあるいは収入のうちから弁済していくという形におきましては、とてもそれはできないと思います。できるだけ長い方がいいと思いますが、さればといって、先ほども申し上げました通り、それじゃ五年以上でなければならぬとかりにいたした場合に考えてみますと、おそらく大部分の金融機関からは五年以上じゃとてもそれは、政府保険がついておってもそれは貸せませんということになるおそれが非常に私はあると思います。従いましてある適当の程度、これは六カ月がいいか一年がいいか、これは非常にいろいろ御議論が私あると思います。まあほかの保険の前例等を見ますと、まあ大体今言っております中期というものが六カ月でありますので、六カ月以上のうちでできるだけ長いものにするということにするのが適当じゃないかと思います。今建設大臣からお話がありましたようにあまりこれを長い期間を最低といたしますと、結局その金融がかえってつかなくなるおそれがある——今少くとも現在の事情からいいますと、おそれがあるものでございますから、私はその最短六カ月の範囲内においてできるだけ長いことを希望いたしますけれども、この際最短期間をさらに高くする、たとえば三年にするとか五年にするとかいうことは、現在のところでは私は少し無理だと考えております。
  99. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは立場が両者反対なものですから、今のようにいろいろ議論が出ると思うのです。金融機関の立場に立てば、局長の言われたことは納得できますけれども、今度は建てる方の立場に立てば、やはり逆なことが言えるわけであって、そうすると、こういうことについてはやはりある程度金融機関に対する指導ということが心要になってくると思うわけです。その指導の場合に、局長、これは貸す方に主に権利があるわけですから、貸す側に対してどういう程度指導をなさろうとしておるか、野放しにすればおそらく六カ月から一年以内ぐらいのものがもう大多数になるおそれがある。それだとせっかくこの保険法を作りましても、実際は価値のないものになるわけですから、そこで大体まあこの程度が常識じゃないか、中小企業金融公庫のときに、二千万という限度があったにもかかわらず、大体まあ三百万という限度をとられた前例もありますから、指導によって——そうすれば大体の腹がまえというものがなくてはならないと思うので、その辺を少し話していただいたらと思うのです。
  100. 河野通一

    政府委員河野通一君) これは先ほど実は御答弁申し上げました通り、なかなかむずかしいと思うのです。いろいろ計算をいたしてその収入等から返していくという場合に、一体どの程度のことが適当であるかということはなかなかむずかしい問題だと思います。大事を踏めば、私は現在住宅金融公庫において行われておりますように、相当長い期間を与えるということが、回収を確実にし、金を借りた人の立場からいってもそう強い苦痛にならないでも済むことになるのではないかと思います。そこと一般金融機関融資というその方の立場からいうと、借りる方は長い方が適当であるという要請と、これをどこで調和するかということがこれはむずかしいのだと思う。私はまあ今のところでは、やはり普通に確実に収益のうちから、あるいは収入のうちから返していくということで、この金融というものの目的を達成しようとすれば、私はやはり五年程度は少くとも期間としてなければ、五年でも足らぬと思います。それ以上要るのではないかと思いますが、さればといって五年以上でなければならないんだということを言うかどうかにつきましては、先ほど申し上げましたように、私としてはこの際自信を持っておりません。しかしながら住宅金融の特殊性から見て、できるだけ長い金融をつけてあげるということが、結局回収の確実性を確実にするために金融活動としても着実なわけでありますから、その点は指導していきたい、この程度でこの際はごかんべんを願いたいと思います。
  101. 田中一

    田中一君 今度は金利のことを伺いたいのですがね。今市中銀行は普通、まあこのような住宅融資というものからははずれるでしょうけれども一般商業融通資金として貸す場合にはどれぐらいになっておって、それから担保をとった場合に融資の種類と金利、それを今現在やっておるものを一つお知らせ願いたいと思います。
  102. 河野通一

    政府委員河野通一君) 普通銀行の金利につきましては、御承知のように現在臨時金利調整法という法律に基きまして、政府が金利の告示をいたしておりまして、それが最高限度になっております。現在におきましては、いわゆる並手形というものが——一番普通の手形でありますが、これが金利調整法上は二銭四厘になっておるわけであります。先般六月十日以降、金融機関が自主的な申し合せによりまして、一律にこれを一厘引き下げるという措置をとりましたので、現在では二銭三厘、そのほか商業手形が二銭一厘、貿易手形については二銭といったような、おのおの違った手形の種類によりまして最高金利がきまっております。その最高金利の範囲内においては引き下げをすることは、自由なんです。それからここでお断わりいたしておきますのは、二つの例外が金利調整法上の取扱いにはある。一つは、長い金融、つまり長期金融でありますが、これは貸し出し期間が一年以上にまたがっておりますものにつきましては、これは金利調整法上の告示からはずしております。それからもう一つはずしてありますのは、丙種、つまりあまり緊要でない資金——これは甲、乙 丙というものがありまして、丙種というものがありますが、この丙種に対する金融の金利はこれもはずしてございます。これは高くしてもよろしいという意味ではずしてございます。今この問題に関連を持ちますものは、やはり長期の金融でありますから、一年以上の金融はどういうふうになっておるかということが一番問題だと思いますが、これは現在普通銀行においては大体二銭七、八厘から三銭ぐらいが大体普通であります。現在では、たとえば造船とか電力等につきましては、大体三銭ぐらいが中心になっておりますが、一般の中小企業等における不動産担保資金の貸し出し、これは二銭七、八厘から二銭九厘といったようなところじゃないかと考えております。しかしこの資金は今申し上げましたように、大体事業資金、いわゆる何と申しますか、中小企業に対します事業資金でありますから、大体収益のうちから返していくという資金であります。今ここで問題になっております資金住宅資金、消費資金とは申せませんが、いわゆる事業資金ではないわけでありますので、そこらあたりの金利の関係をどういうふうに調整していくか、今後残された問題だと思いますが、現在まで行われた長期の金融の金利は今申し上げましたようなことであります。
  103. 田中一

    田中一君 これもむろん個々銀行と、借りる者と貸すものとの間におまかせいたしますというような御答弁があると思いますが、大体どういう程度のものを考えておるのです、この住宅金融の場合には。
  104. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今申し上げましたように、事業資金として大体少額の金融、大体二銭七厘から九厘くらいのところであります。大体それよりもやや高い、つまり二銭九厘から三銭くらいのところがおそらくこの金融対象として考えられる金利ではないかと思いますが、ただこれには先ほど来お話がありましたように、期間が非常に問題になる。期間が非常に長くなりますと、勢い金利も高くならざるを得ない。今申し上げました中小企業金融の不動産担保金融につきましては、大体一年から一年ちょっとこえるくらいのところが普通でありますから、五年とか七年とかいう長い期間の金融ということになりますと、それよりも若干高い金利にならざるを得ない、こう考えます。的確にちょっと今どの程度の金利が適当かということは、私も自信をもってお答えするだけの材料を持っておりません。
  105. 田中一

    田中一君 しかし、二銭九厘から三銭くらい、一年くらいならば。大体五年くらいならばどのくらいになるのですか。あなたの方はたくさんのを知っておるから大体考えられるでしょう。単にこの法律に関連してきめるわけではないのですから、今までの慣例でどのくらいになっているかというのです。
  106. 河野通一

    政府委員河野通一君) 五年くらいの普通の金融、たとえば、先ほど申しました電力、これはやはり五年程度のものが多いのでありますが、それから船、これもやはり五年程度でありましょう。これらの金融の金利は大体三銭一厘から三銭と御了承いただきたいと思います。この住宅金融の場合におきましては、その金額が小口になることが一つと、それから手数が相当、金額の割には手数が同じにかかるわけでありますから、コストの方をやはり考えますと、それよりも若干高くなるのではないか。期間がもし五年とか七年とか長くなれば、若干高くなるのではないかと考えられます。
  107. 田中一

    田中一君 どのくらいになるでしょう。
  108. 河野通一

    政府委員河野通一君) 先ほど申し上げましたように、ちょっと適当な金利ということを私から申すのもなかなか、立場上適当でないかと思うのでありますが、今申し上げましたように、三銭なり三銭一厘よりもやや高くなるのではないかというところで一つごかんべんをいただきたいと思います。
  109. 田中一

    田中一君 次に伺いたいのは、保険料の三分以内というのは、これはどのくらいに考えていますか。
  110. 河野通一

    政府委員河野通一君) これは中小信用保険その他の先例等もございます。また融資保険のいろんな損害率等を勘案いたしまして、現在のところは、建設省とお打合せいたしましたところ、大体百分の二程度で出発いたしたいと考えております。なお、御参考までに申し上げますと、中小企業信用保険保険料は、現在二・一九%になっております。
  111. 田中一

    田中一君 ちょっと少し前に戻りますが、先ほど伺った金利は、全部市中銀行の金利ですね。従って、生命保険のような長期貸出資金を持っているところは、利率はだいぶ違ってきますね。違うと思うのですがね。あなたの言ったような要素から割り出してくると、やはり、同じ長期でも、長期資金を持っている生命保険というような場合は、これは利率は多少変ってくるのじゃないかと思うのですが、これは全部どの銀行も一律にある標準というものを示すのじゃなくて、個々契約するといえば金利の相違があるのじゃないかと思うのです、各銀行の窓口で。この場合それでもいいんですか。
  112. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今お話の点は、保険会社につきましては、その資金お話のように長い資金であります。従って、長期金融には向く資金でありますが、それだけにコストがやはり高いのであります。それから長期信用銀行というのがございます。長期信用銀行というのは長い資金を集めております。そして長い貸し出しをいたしております。これは長い期間で、適当な期間でありますが、コストの高い金を集めております。従って、長期にそれを貸すような場合におきましては、危険率とか、コストとか、いろいろなものを勘案をいたしますと、やはり、長期信用銀行における長期の貸し出しと、普通銀行の長期の貸し出しとは大体変りはない。保険会社についても大体同じようなことで現在まできておりますし、先ほど来申し上げました船、あるいは電力等につきましても、やはり長期の金融につきましては、生命保険会社、長期信用銀行、普通銀行、大体同じようなレベルで資金を貸しております。長い資金であるかわりに、コストが高くなっている、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  113. 田中一

    田中一君 今銀行局長は、危険負担を考慮に入れると言っておりますけれども、この保険制度とすれば危険がなくなると思うのですね、銀行自体を考えるというと……。従って今お話のように金利よりも回収の危険がない、回収の危険というよりも実質的の損害がないということならば、多少今のような金利の金利高というものも軽減されるという見方をしてもいいと思うのですがね。今、金利というのは回収不能ということを一応考えながら金利をきめているというようなことが、今ちょっとあなたの言葉の端に出ましたけれども、それを考慮されていながら、この上保険制度を持つならば、その分だけはなくなるでしょう、百分の八十というような問題は。従って現在考えられている金利よりも、その分だけ、危険負担だけはなくなるというようなことになると、金利は安くなっていいと思うのです。
  114. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点は、先ほど来ちょっと申し上げました通りであります。非常に遺憾なことでありますけれども、この保険制度がないと、金融機間はなかなか住宅金融資金を出さないのであります。少くとも非常に消極的になっていく。それはいろい危険とか、長期になるとか、いろいろな条件があると思いますが、その条件を、そういういわば不利な条件を、この保険によってカバーしよう、そして、普通の金融に乗り得る資金と同じ程度にこの保険という制度が加わるということによって、同じ程度金融対象になる程度が上ってきたのだ、こういうふうに、非常に抽象的なものの言い方でありますけれども考えておるのでありまして、保険制度ができたから金利を普通の場合に下げるということではなく、普通の場合には、この保険制度がなければ金利を高くしなければならぬ、金利を非常に高くしなければならぬであったであろう、ところが、この保険制度によって高くしないで済むようにした、まあ、こういったところがこの保険制度の結果出てくるところじゃないかと私は考えております。
  115. 田中一

    田中一君 先ほどの百分の二の保険料というものは、これはむろん金を借りている者に加算されるわけですね。どういう……。
  116. 河野通一

    政府委員河野通一君) この保険料の負担の問題、これは金融機関負担にするのがいいか、あるいは金を借りる人の負担にするのがいいか、これはいろいろ問題があると思います。現に中小信用保険におきましては、この保険料の負担は、三分の一が金融機関負担、三分の二が業者と申しますか、金を借りる人の負担ということになっております。これらの点も、十分前例等を見まして、そうしてきめて参りたいとは考えておりますが、必ずしも全額を、何と申しますか、金を借りる人の負担にしなければならぬということもないと思います。これらの点につきましては、建設省とも十分お打ち合せの上できめて参りたいと思っております。
  117. 田中一

    田中一君 そうすると、結局いろいろ問題は金利の問題ですが、金利の問題が、全部保険料の問題も三分の一を銀行が持つとか持たぬとかというのじゃなく、それは論外であって、そういう形を示しておっても、金利が高ければ何にもならぬと思うのですね。そこで、まかしておくだけじゃなくて、何とかやっぱり指導を、通牒なり何なりで指導するでしょう。これが、結局金融に対する——これが各金融機関がばらばらな金利でもってやるということでは、法律を作ったなにがないと思うのですね。やっぱり一応基準というものは、各銀行金融機関を通じて同じような金利になるのではないですか、その点はどう考えているのですか。
  118. 河野通一

    政府委員河野通一君) 具体的に、こういう政府による保険の裏づけのある場合における貸し出しの金利を政府においてある程度きめる——これは法律的に根拠を持ってか、指導によってかは別といたしまして、きめるということは、今までいろいろ中小企業信用保険等の先例を見ましても、私は適当でないと考えております。しかしながらできるだけ、こういう国の施設によってカバーされておるものでありますから、これによって許されるだけ金利の安い方がいいということで私は指導して参りたいと考えております。ただ、お話の点について若干念のために申し上げておきますが、あらゆる種類の金融機関の金利が同じであるということは私はむずかしいと思います。先ほど御指摘のありました生命保険とか長期信用銀行とか、あるいは普通銀行等については大体同じでよいと思いますが、これが信用組合あるいは信用金庫になりますと、やはり預金のコストが非常に高いものでありますから、おのずからコストという点で普通銀行の金利と同じわけにはどうしても参りますん。それから資金の金額の程度がやはり小さくなります。そういった点等を考えますと、やはり信用組合、信用金庫等の金利は、普通銀行の出す金利よりも一応高くなる——これは程度の問題でありますけれども、一応高くなるということは、これは私はやむを得ないのではないかと考えております。
  119. 田中一

    田中一君 住宅ならば、居住の用に供する家屋ならば、これが営利事業であろうとも、個人自分のものであろうとも、大蔵省としてはそれに対する何ら制肘は加えませんね。
  120. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点はよく建設省とも御相談しなければならぬ問題だと思いますが、私は別に制限を加える必要はないと思います。ただしかし、特定のところにこの保険の制度が集中してしまうと、この恩典に浴するものが集中してしまって、つまり広く公平にこの保険の恩典というものに浴し得ない程度に一部に片寄るということに、これは遅けるべきだと思います。なお、この点については建設省ともよく御相談いたしたいと思います。
  121. 田中一

    田中一君 先ほど石破官房長から御返事を伺ったのですが、そういうものも対象になるというお話ですが、建設省としては、今の銀行局長の答弁とにらみ合せて、この点はどう考えておりますか。家がたくさんできればいいのであって、アパートを作ってもかまわぬ、あるいは東急のような土地会社と提携して、そこに新しい家をたくさん建てる、それに銀行は一手に融資しようと、そういうような考えでおるのが、現に御承知のように東急と第一相互と竹中工務店と三軒が一緒になって新しい宅地造成とか、新しい家を作ることを計画しているのは、新聞で御承知通りでしょう。ああいうものにも保険制度を適用していくのか、これはどうですか。
  122. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よく実際の実情に合うように住宅政策に沿って適当なものは私はやってかまわないと思っております。
  123. 田中一

    田中一君 そうすると大蔵省の方でも、今建設大臣のああいう趣旨の御答弁があったので、営利アパートであっても融資をとめるというか、抑制する意思はないというように了解していいですね。
  124. 河野通一

    政府委員河野通一君) その通りでございます。
  125. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、だいぶこの委員会に欠席しましたので、大体もう質問は皆さんから出ておるものとは思うのでありまするが、二、三ちょっと承わっておきたいと思います。  まず第一に、三十年度に入ってすでに四、五、六と四半期過ぎたわけでありますが、大体どのくらいすでにこの四十二万戸計画のうち手をつけておるものがあるか、わかる範囲一つ伺いたい。
  126. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実は暫定予算のうちで四、五月の暫定予算には政策的な予算は入れないという原則に立ちまして、住宅政策の従来のものは実は政策的なものとは考えませんけれども、一応全体的に見て新しい政策も加わるという見地から除きましたわけであります。そこで六月暫定予算になりましたときに、一般の政策も大体入れるということになりまして、六月暫定予算の際に、六月までの分を計上いたしたようなわけでありまして、従って六月暫定予算が決定をすると同時に、その分までの分を公営住宅及び公庫につきましてそれぞれ割当指示をいたしたようなわけでありますので、それが現実にどの程度建ち始まっているかという状況等については、一部はわかっておると思いますが、まだ全部集計をいたしておらないと思いますので、また適当な機会に御報告をいたしたいと思います。
  127. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 かりにそれが着手されておるとすれば、戸数はどれくらいですか。
  128. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) ただいま大臣からお話し申し上げました通り、四、五、六月までの暫定予算におきましては、住宅の経費は、住宅公団の分を除きまして、大体他の公共事業費並みに寒冷地は多く、その他の地方は少く、平均しまして約四・五カ月分程度でございましたか、大体その程度の予算を配賦いたしております。なお、住宅金融公庫につきましては、すでに計画を立てまして、前回の委員会におきましてもお答えいたしましたが、北海道についてはもうすでに早く募集を始めておりますし、内地につきましても一般貸付の受付はこの七月の十日ごろから受付を開始したいという状況に相なっております。なおそれの実績につきましては、お尋ねでありましたが、ただいまのところ手元に持っておりません。しかしながら御承知通り公営住宅につきましては、前年度にいわゆる後年度分の宅地造成といいますか、用地の取得その他の手配をしておるものが若干ありますので、そういうものを活用いたしまして、地方においいは住宅建設に力を入れてくれておるものと、かように考えております。
  129. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうしますと、例の予算の裏づけのない二十四万五千戸分、この方は一体どういう見込みで二十四万五千戸分出されたのか、これも大体論議は尽されておると思うのでありまするが、どういう見込みで出されておるか、根拠ですね。と同時に、これはなかなかむずかしいかと思いますが、四、五、六の間にこういうものも若干進んできておるのかどうか、わかる範囲一つ伺いたい。
  130. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはある程度いっておることと確信はいたしますが、統計的にはまとめたものがございませんので、毎月の住宅建設の報告が参っておりますから、なお取り調べまして御報告申し上げます。
  131. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 今そこにはないのですか。
  132. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) ここには持っておりません。ただ、たしか最近のは今年の四月分は来ておったかと思いますが、よく取り調べます。
  133. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それからその二十四万五千戸を出された根拠というか、簡単でいいのですが、どういう見込みでこういう数字が出たかということですね。
  134. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはきちっとした科学的なものがあるといえばあるのでありますが、今までの実績約二十万戸弱というものをもとにしまして、今御論議をいただいておる融資の問題やら減税措置等をあわせて大体二十三万戸というものを建て得るという計画考えたわけでございます。別途に一万五千戸の増改築を考えましたので、二十四万五千戸ということになったわけであります。
  135. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから、予算委員会でもちょっと私伺ったのですが、例の今度の公団住宅二万戸、これはすでに三カ月おくれてしまってこうなっておるのですが、一体消化の見込みがあるかどうか。同時にまたどのくらいの見通しを今立てておられるか。
  136. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはなるほど御指摘の通り月数は非常に制限をされておりますので、困難があるとは存じますが、一番の住宅建設の問題は資金であり、また土地の問題だと思いますが、その二つの大きい問題については、資金は百六十六億というものの範囲を大体見当をつけて、全額もってかかるわけでありますから、ほかの公営に伴う地方負担であるとか、あるいは公庫の頭金の問題であるとか、そういう点は公団については心配がありませんので、直ちに必要な資金によって建設にかかれるということと、土地につきましても、急速に土地造成はいたしますが、現在の状態におきましても、二万戸分は約三十万坪ほどになろうかと思いますが、これは大体地方的には確保できるという見通しを持っておりますから、法案の成立を見ますならば、直ちに準備を始めれば、年内の建設はさして困難ではないと、かように考えております。
  137. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 四十二万戸計画というのは、この内閣の一枚看板で大いにやっておられるわけでありますが、予算の成立が三カ月もおくれたというようなこともあり、いろいろ気の毒な事情はあると思いますが、率直なところ、大体四十二万戸のうち、どのくらいいくと見ておられるのか、おそらく四十二万戸全部いくとは現在では考えておられぬと思うのですが、どうですか。
  138. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) このうちで、ただいま申すように、公用は全力をあげて計画通りいく決心でありますし、公営につきましても、無理にことしは拡充をいたしませんし、地方起債等についても、大体はっきりと見通しを立てておりますから、従来東京都で返上をしたというようなことのないようにいたしますならば、地方の消化は十分いき得ると考えます。公庫の点につきましては、これは資金の需要が従来通り承知のように多いわけでありますから、これが計画を消化しないということはまず考えられません。残る問題は民間住宅の二十四万五千戸でありますが、これはあらゆる点で努力をいたしてやって参るということでありまして、今日これが何戸、どれだけということは、全く根拠的に立証する方法はありませんので、われわれとしては、さようないろいろな方面から、四十二万戸の建設の目標を達するように最善の努力をいたしたいと考えております。
  139. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから今ここで田中君から議論されました住宅融資保険法の五十七億の融資、これも大体この融資建設を期待されておるものは何戸くらいになっておるのですか、およその目標を持っておられるのだと思いますが。
  140. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはいつも御質問を受けるわけでありますが、五十七億をある程度割ってみれば出るわけでありますけれども、これはあくまでも二十三万戸の民間住宅に対する融資でありますので、他のように規格統一をいたしておるわけではありませんので、戸数は平均で割ったよりも多くなるかもしれませんし、あるいは少くなるかもしれませんし、最初の試みでありますので、率直に申し上げて、これで何戸分ということは机の上でいえばいえるわけでありますが、実際の実情を考えますと、二十三万戸の中につっかい棒をするという政策でありますから、これで何戸ということを私申し上げることは実際にだいぶ遠くなろうかと思いますので、実はそういう数字的な根拠というものは申し上げておらぬわけでありますので、御了承いただきたいと思います。
  141. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それからこれはここで非常に論議され、本会議でも論議されたのでありますが、例の公庫住宅融資率の引き下げと、貸付規模の縮小、ことに融資率の引き下げなど、私もまことに遺憾と思うのでありますが、それで七万五千戸を計画しておられるようでありますが、昨年通り貸付坪数と融資率で計画していったら、一体何戸ということになると見ておられますか。
  142. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはお話通り、去年通りいたしますと、去年通り融資をしておるものもあるわけでありますから、全部を一律に引き下げたわけではありませんから、また坪数の関係等も変ってきておりますので、きちっと何戸というふうになりますか、計算をしてみないとわかりませんが、まあ二、三千戸くらい違うことになりますかとも思いますが、しかしこの点につきましては、なおよく実行の面におきまして、できるだけ委員会の御要望に沿うように今後とも努力をいたしたいと考えております。
  143. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから住宅公団法の提案理由の説明のところで、衛星都市的配慮のもとに土地区画整理事業を施行することもできるような機関の設立が必要である、こういうことがうたわれておるのでありますが、実は私も戦争中東京都におりまして、東京都というものがあまりに膨大になって一番困ったのは、食糧の問題と、それから屎尿処理などで非常に困ったのでありますが、今ごろまた非常に都市の地域が大きく、化けものみたいになってきておるのであります。この住宅公団で住宅を建てられる際に、衛星都市というか、今ごろのニュー・タウンというか、こういう考え方を相当入れてやってゆかれるつもりであるかどうか。これも大体お話は出たことと思うのでありますが、私この委員会にあまり出なかったので、簡単でよろしゅうございますから。
  144. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは従来もこの委員会で御論議いただいた衛星都市の考え方というものを、今取り入れて参りたいと考えておりますが、公団の建てます分が全部それにゆくとは考えておりませんので、できるだけ都心部においても充足をいたし、また一面においては衛星都市的な構想へも一歩前進をして参りたい、かように考えております。
  145. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 非常に今の大臣のお答えは抽象的なんでありますが、しかし住宅公団はいろいろこれからかかるのは、この法律案が通ればすぐ現実の具体的な問題になってくるのでありますが、現実問題として都に集中されておる、この密集地帯の中にこういうものを建ててゆくのか、大体一応離れた所に建てて、まあ衛星都市というか、ニュー・タウン的のものになるようなもので構想を立ててゆくのか、さしあたりやる考え方はどっちでしょうか。
  146. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話通りでありまして、これは時代の要請が両方あるわけでありまして、急速にできるだけ便利な所でなるべく家賃の安  い住宅を供給しろという要請にこたえるためには、やはり都心部、都内においてもできるだけ土地を考えて建ててゆくことが要求をされておりますが、また同時に将来のことを考えた衛星都市的な構想というものもやらなければならぬということでありますので、ことしの二万戸を、どっちにどう分けるかということにつきましては、公団の成立を見ますならば、急速に各方面の御意見をもとにして具体案は立てられると考えておりますが、衛星都市的な構想というものをことしの二万戸でもって直ちにそれを完成をするということは、実行上から見ても無理があろうかと思いますから、今後数年を継続をいたして完成をするということに持ってゆくべきものと考えますので、今のところ、どういう比率でやるかということはまだ確定はいたしておりませんけれども、両方の面から進んで参りたい、かように考えております。
  147. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これから都心というか、密集地帯に建てられるいろいろな住宅、ことに公団なんかでやられるやつは、いずれもやはり水道といいますか、下水と結びついた、衛生というか、屎尿処理のできる住宅をずっと考えておられるのかどうか、その点はどうでございましょうか。
  148. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 公団で建てます建物は、大体標準は四階建の集団的なアパートということを考えておりますので、お尋ねの点につきましては、いわゆる水洗式の屎尿処理ということになると考えております。
  149. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 公団ばかりでなく、公庫、公営もいろいろあるわけでありますが、ことに公営など、これは大きな都市が——このごろは幾らか変ってきたかもしれませんが、屎尿処理で非常に困った、今まで非常な苦痛をなめてきておるのでありますから、今後こういうことはなるべく下水道と連結した屎尿処理の様式を持ったものにわれわれはしていかなければならぬと思うのでありますが、公営住宅なんかもやはり大体そういう構想のもとに進んでおるのですか。
  150. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 公営住宅につきましても、公営住宅はご承知通りいろいろの規模の、規格の建物がありまして、できる限りお話のような趣旨にのっとりまして下水道と結びつけた屎尿処理の方針を考えていかなければならぬわけでございますけれども公営住宅につきましてはいろいろの方式もあり、また建てる場所も全国広くわたるわけでございますので、なかなか理想通りにはすべてがいくというわけに参りませんで、相当部分が従来の方式の屎尿処理にとどまらざるを得ない実情と考えております。
  151. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この点は、屎尿処理なり下水のことは厚生省の主管になっておると思うのでありますが、これはやはり建設省住宅建設をずっとやっていかれろ場合には、相当環境衛生の方と連携をとって将来に禍根を残さぬように私はやってもらわなければならぬと思うのでありますが、そういうような点について、何か建設、厚生両省の間で連絡というか、配慮をめぐらされておるという事実が今までありますか。
  152. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御注意の点は今後も努力をいたしたいと考えておりますが、今主として首都の問題、東京の問題につきましては、首都建設審議会でお話のような構想をこの際急速に立てる必要を——今までもあったわけでございますが、痛感をいたしておりますので、各省と連携をいたしまして大きな構想のもとに、また具体的な問題を一つ話し合いできめて参りたいと考えております。
  153. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これはこれからきめていきたいということで、今までは何もないのですか。
  154. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いや、今までも実はできるだけ連携をとって水道法案その他の問題について話し合いはいたしておりますが、まだ率直に申して十分でない点も認めますから、私も就任以来、いわゆる官庁のセクショナリズム的なことに陥らぬように双方が協力をして早く実現をするようにということに心をつかっておりますが、御期待に沿うように努力をいたして参りたいと思います。
  155. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は水道法の関係についてももう建設、厚生両省のなにでなかなかできるものでもできない、非常に遺憾に思っておるのでありますが、下水なんかの関係になると、一そう問題がやはり大きいと思うのでありまして、ことに今度大住宅建設で大きくスタートされるとすれば、やはりこの環境衛生、それから屎尿処理、こういう問題について、よほど配慮をめぐらしておいてもらいませんと、この前の戦争のようなことはもう再びあってはならぬし、ないと思いますが、大へんな問題が生ずるわけであります。ここらについては一つ早急に、せっかくこれから大計画のもとにやられる住宅建設であれば、こういう点について十分な配慮を、一つ都市計画、首都建設、あらゆる見地からこれは当然私はやらなければならぬことだと思うので、これから話し合うだなんということ自体が、非常に私としてはもう遺憾というか、どういうことかと思うのです。これはおそらく下水道であるとか、こういう問題が建設省の中にあればこれは当然考えられなければならぬ問題、当然私は議題になる問題だと思うのです。こういう点について、一つ建設大脱の今後の非常な処善というか、大きな見地から下水道なり水道なり、こういう行政をもう少しセクショナリズムでなしに、私はどっちでもいいと思う。すらっとゆくように一段の善処を希望するのですが、厚生大臣の抱負を一つここで伺っておきたい。(「建設大臣だよ」と呼ぶ者あり)
  156. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私は今度の住宅政策立案に当りましても、官庁中心でありますけれども、それの委員会を作りまして、厚生省もそのメンバーになってもらいまして、この計画を進める上においての今御指摘のような問題については、できるだけ話し合いを進めて参っておるわけでありますが、御期待に沿うところまで十分に参っておらぬ点にはまことに申しわけないと、もちろん御指摘の通り、急速に事態に対応するように努力をいたしたいと考えております。
  157. 湯山勇

    ○湯山勇君 昨年清掃法というのができまして、屎尿処理の浄化槽については補助をするということになったのですけれども、実際本年度の予算を見ますと、この補助は一つも組まれてないわけであります。いろいろただしてみますと、失業対策等の関係があって、下水道の方には相当たくさんの予算が組まれておりますけれども、今石原委員のおっしゃった屎尿処理の浄化槽はもう全くこれは補助なし、起債の裏づけもほとんどないという状態でございまして、今おっしゃったような心配は、特に大都市へこういうものを建てるとすれば最も大きな問題だと思いますので、今後起債等について、補助の方はもうこれは予算がああいうふうになった以上、今さらどうにもならないかと思いますけれども、起債等については、ぜひ一つ建設大臣の強力なお働きによって何らかの措置がとれるようにお願いをいたしたいと思います。
  158. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よく厚生大臣連絡をいたしまして……。
  159. 石井桂

    ○石井桂君 関連。ただいま石原委員と湯山委員の御質問がありましたが、御答弁がちぐはぐのように私は思います。大体公団法によってアパートを集団的に建てる場合に、屎尿処理の方法が二つあると思います。放流下水、なまのままで流す場合、それから放流下水のないところでは浄化槽を通じて浄化したものを普通の下水に流す方法と二つあるわけであります。ただいまお話が行ったり来たりしちゃってはっきりしないわけですね。そこで大都市におけるようなところは放流下水があるのですから、放流下水ヘアパートの管を直結すればそれで済む。ところが町の中でない所で、野原へそういうものを建てるときには、放流下水まで持ってゆくのは大へんなんです。えんえんとして作ってゆかなければならぬ、そういう所は浄化槽を設けて害のないようにして普通の下水へ流す、その御答弁がはっきりしないで、石破官房長の屎尿処理のお答えは、水洗ですということなんですが、お便所を水洗にするのはこれは間違いない、両方ともそうなんです。ただ先へ行ってからの処理の方法が違うわけです。それを別々にはっきり分けてお答えいただかぬと混乱しちゃうわけです。ですから、たとえば衛星都市のようなものを作る場合には、放流下水の様式でやれば、放流下水で集めた大きな浄水場みたいなものが要るわけです。そういう設備がなければ、個々アパートに浄化槽をつけて、そうしてそこで処理して流さなければならぬ。しかしその浄化槽は年に一ぺんくらいはすっかり清掃して、そうしてまた再び浄化作用ができるようにしなければならぬわけです。そういう御配慮がどういうふうになっているかというお答えをしていただかぬと、石原委員と湯山委員のお答えにならぬわけです。
  160. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よく理解をいたしました。公団につきましては、一つ具体的に今御指摘のような地域に応じました施策を講ずることにいたしますし、なお下水政策全般について御注意の点につきましては、厚生省とよく連携をいたしまして努力をいたすということと、それから湯山委員の最後の、今度の補助金の処理、廃止に対する処置につきましては、これまたよく厚生省に連携をとって善処をいたしたい、かように考えております。
  161. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 では最後にちょっと住宅問題とこれは直接ではないかと思うのでありますが、今問題になった水道、下水道について、これは私はぜひ竹山建設大臣在任中に水道法なり下水道法の問題をもう少し真剣に、地方にも迷惑を与えないように、またほんとうにこの住宅問題なんかと関連して、こういう問題がほうっておけないやはり現実の問題として出てくるわけでありまするから、国民の福利増進、民主安定に沿うような一つ法制の体系になるように、次の国会あたりまでに真剣にこれは検討してもらいたい。私は今度社会労働委員会へ出てもこれは厚生大臣に言いたいと思うのですが、ぜひこれを一つやってもらいたいと思うのでありますが。重ねて一つ建設大臣の所信なり決意をもう一回承わりたい。
  162. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実は率直に申し上げますと、水道法案の問題は、私も就任と同時に、前の国会でのいきさつも若干心得ておりましたから、これに対処する考えを持って話し合いを進めたのでありますが、何しろ国会が予算を対象とする法案で精一ぱいという、私の力足らず、さような状況でありますので、御議審をいただく上におきましてもいかがかと考えましたので、決して等閑に付しておるつもりはありませんので、これは建設省責任からいいましても、役所同士の考え方の食い違いで、国民に迷惑を及ぼすということは、はなはだ相すまぬと思っておりますから、私がどうこうというのじゃありませんが、建設省として、すみやかに御希望のような線に沿ってこの問題は対処して参りたい、かように考えますので、できるだけ早い機会に御審議をいただくような用意を進めたいと考えております。
  163. 田中一

    田中一君 この金融機関のうち、ここに示された銀行保険会社、無尽会社、信用金庫、労働金庫、信用協同組合、これ以外の金融機関があるはずなんです。それからもう一つは、住宅を主たる業務とする土地会社、電鉄会社なんかがある。主たるじゃなくても傍糸の仕事とするものがある。そういうものも、もしもこうした融資機関というものに新しく加えようという考え方はありませんか。
  164. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは両省の一致した考え方で、私からお答えいたしますが、お話のように、できるだけ広くすることは望ましいので、このほかの組合等も考えなかったわけじゃないのでありますが、何しろ最初の制度でありますし、金額を一応まず五十七億として出発をするとして、窓口ばかり広げてしまいましてもいかがかと考えましたから、純粋の公的な筋の通った、といいますか、当然の金融機関をまず第一に考えたわけでありまして、将来これが非常にスムーズに拡大をされていく段階になりますれば、これはわれわれも希望するところでありますから、よく大蔵当局とも話し合って、実際の需要に応ずるようにいたして参りたいという希望は持っておりますが、現在の段階はこの程度で参りたい。
  165. 田中一

    田中一君 もう一つ住宅無尽というのは、たとえば殖産住宅とかあるいは電建とかいうものと考えていいのですか。
  166. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはまあ銀行局長から……。まあ一応はこの際始めるのは、いろいろそういう特殊のものもありましょうけれども、制度的にこういうはっきりしたもので出発をいたすのがよかろうというように考えたわけであります。
  167. 田中一

    田中一君 ですから銀行局長から御答弁願いますが、先ほど銀行局長住宅に関する無尽会社として三つをあげたわけですが、三つはどこどこですか。
  168. 河野通一

    政府委員河野通一君) いわゆる殖産住宅はこの無尽会社には入らない。無尽会社は東京に一社とあと大阪に一社……。
  169. 田中一

    田中一君 名前をあげて下さい。
  170. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今はっきり……東京にありますのは、日本住宅、それから大阪にありますのは関西住宅、松山にありますのは東邦住宅、それでこれは要するに無尽業法という法律に基いて物品無尽の一形態として住宅無尽をやっておるわけであります。今御指摘のありました殖産住宅というのは、無尽会社としては取り扱っておりません。従ってこの中に入ってこないのであります。
  171. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  172. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始じめて。  それでは住宅保険法案の総括質問は、大蔵大臣出席を求めまして午後に譲ります。   —————————————
  173. 石川榮一

    委員長石川榮一君) そこで「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」を議題に供しまして、これの総括質問をお願いいたします。  質疑のあります方は逐次御発言を願いたいと思います。  大蔵大臣は、衆議院大蔵委員会と参議院の内閣委員会から呼ばれておるのであります。午後二時までは渉外事務で多忙だそうでありますが、それ以後に衆議院と参議院においでになる、この参議院においでになるとき、こちらに先にお出ましになるように建設大臣から御配慮願いたい。
  174. 田中一

    田中一君 私は、この問題は今ここでもってすぐにやって、今から三時まで飯も食わぬでやるのですか。
  175. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 三時までかからぬで終ると思います。
  176. 田中一

    田中一君 この問題は資料要求をしたいのです。なぜかというと、過去三カ年間の実績というものを明らかにしていただきたい。これは今の民主党の内閣へ要求しても無理かもしらぬけれども、しかししようがないことですが……、分布状態はどうなっているか、どこへどう建っているか、割当はどうなって、返したのはどうなっているか。第二次はどうなっているかというこの実態を知りたいのです。
  177. 石川榮一

    委員長石川榮一君) その程度の資料はあるでしょう。午後持ってきてくれませんか。
  178. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いや、この場でお答えできるものは大体お答えできると思いますし、できないものはすぐ後刻……。
  179. 田中一

    田中一君 それは資料を見ながらやらなければ質問にならない。
  180. 石川榮一

    委員長石川榮一君) あなたはどうでも、ほかの諸君がありますから……。ほかにありませんか。
  181. 石井桂

    ○石井桂君 この公営住宅三カ年計画の十五万五千戸は、第一期計画の十八万戸と比べて非常に小さいと思います。しかし政府で三十年度の四十二万戸計画においては、よく考えてみますと、国の施策による計画が十七万戸、民間自力建設が二十四万五千戸ですが、二十四万五千戸の見込みをつける際におきましては、先ほど大臣が御説明になりましたように、税金措置とそれから融資保険法の措置だけで、あまり科学的な根拠がないとおっしゃったのです。そこで第二次三カ年計画の十五万五千戸だけは非常に潔癖なまでに消極的である点は、三十年度住宅計画の四十二万戸のうちの二十四万五千戸を考え出した態度とどうも一致しないように思うのです。つまり公営住宅の力は非常にシビアに、これは間違っては大へんだと慎重にやっておられるが、十五万五千戸のうちの三分の一を今回の四十二万戸にはほうり込んであると思うのです。その同じ四十二万戸のワクの他の民間自力建設の二十四万五千戸というのは、どうも公営住宅を厳格に計画された態度とは少し違うように思うのですが、その辺はいかがでございましょうか。
  182. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実は公営住宅考え方につきましては、いろいろ御意見おありということはよく私も承知しておりますが、法律に基きまして、三カ年計画国会承認を求めるという今の段階といたしましては、われわれはもちろん将来の希望も持たないわけでもございませんけれども、今の本年度の計画は現実に五万戸といたしましたことと、それから今後二カ年間の情勢を見通しまして、地方財政の現状が急速に好転するとも考えられませんし、従いまして今の公営住宅法できめられました建前を堅持いたすとするならば、本年度の五万戸程度を引き続いてやっていく、その上にわれわれからいえば、六カ年計画を、国民所得の漸増に対応して、若干の増加を見込んでいくということの結果、十五万五千戸ということを考えて御審議に供したわけでありまして、お話通り民間自力建設との間にはどうも調子が合わないじゃないかということでありますが、これもわれわれは、公営あるいは公庫、民間住宅計画等は、公営住宅地方分担との関係とは別途でありますから、今後明年度予算に、拡大均衡に入りまして、資金的な処置等になお一そう拡大し得る情勢になりますならば、公営の分についても考えなければなりませんと思いますが、民間資金等の増強等が得られますならば、公団の戸数の増加も期せられましょうと思いますから、民間住宅の方とあわせまして、全体計画を進めて参りたいと、一応法に認められました公営住宅につきましては、さような意味におきまして、最も現在の状態を基礎にして堅実な数字を出したわけであります。もちろん今後これをふやすということが可能な場合におきましてはちゅうちょいたすわけではございません。
  183. 石井桂

    ○石井桂君 ただいまの大臣のお答えがわからないわけじゃございませんが、公営住宅というのは、今までの建設委員会審議でもずいぶん明らかになって参りましたように、一番国民から要望される種類のものだと思うのです。少くとも国民の一番要求している層に公営住宅が必要だということであれば、まず第一に、前の計画よりももっと力を入れてやりたいという熱意が住宅政策にあってほしいと私は思うのです。そこでこの数を打ち出すその内容として考えますと、六坪とか八坪の小さな住宅であるのでありますから、そういうような小さな住宅ならばよけい何かもっと戸数がふえてゆかなければならぬ。それが第一期計画よりも少くとも戸数において二万五千戸も減ってくるようでは、どうも四十二万戸と打ち出された政府の熱意がこの点で少し疑われるように私は考えるのですから質問をしたわけです。しかしこれ以上御質問申し上げましても、別のお答えが私は得られようとも思いませんから、さらに機会を得て、財政等の見通しがつけば、途中でもこの三カ年計画を変える御意思があるかどうかということをお聞きしたいと思います。
  184. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともなことで、われわれとしても、そういう希望を持っておることには決してちゅうちょいたすものではありません。同時に私は熱意の点につきましては、まことにお話通りでありますが、実は十五万五千戸にいたしました一つの付帯的な理由といいますか、従来公営でやっておりましたところの中層アパートを公団に移した、実質的には公団の住宅建設が公営をバックするものであるという考え方もあわせて、公営を中心とする住宅政策を進めて参りたい、かように考えておるわけでありまして、しかし公営住宅法に基く戸数は、あくまで法律に基いて提案をいたした結果、御指摘のような結果になりましたようなわけで御了承をいただきたいと思います。
  185. 石井桂

    ○石井桂君 この公営住宅建設について、三カ年計画のうちの三の「公営住宅建設にあわせて、共同施設を必要に応じて建設する。」というのは、実際に、具体的には何をどのくらいお作りになる計画でございますか。この席でお答えを願います。
  186. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 三カ年計画につきましては、戸数の点だけははっきりいたしておりますけれども、先ほどもお話がありました通り、その質につきましては、まだ十分の計画を固めておりません。なお、お尋ねの共同施設につきましては、これもやはり具体的にはまだ固めておりませんけれども、ある程度公営住宅を建てますれば、共同の浴場でございますとか、児童の遊園地でございますとか、その他やはり集団的になって参りますと、相当施設が要るわけです。従来われわれとしても努力はいたしましたけれども、過去の例を見ますと、必ずしも十分とは参っていないと思います。従いまして総戸数におきましては、いろいろな事情もありましたけれども、やはり固い数字をあげておりますが、共同施設等につきましても、できるだけの措置をやってゆきたいと、ただいまのところは抽象的にさように考えております。
  187. 石井桂

    ○石井桂君 そういたしますと、三十年度にはこれに見合う予算はないわけでございますね、三十年度計画には。
  188. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 三十年度予算には直接これに見合うという予算は計上いたしておりません。
  189. 田中一

    田中一君 資料を……。過去三カ年の府県別あるいは府県から市町村別の割当、それから、それの府県市町村の財政全体の……骨折れるかな、(笑声)地方財政のこれにかけた金の問題、それから第一期の割当等、決算ですね、決算する場合にどういうふうに、返した場合に、これはそこからどこに移ったかということ、それから大体の、今申し上げたのは過去三カ年ですよ。それから三十年度の五万戸をどう配分するかというような考え方ですね、それを資料として出してほしいのです。
  190. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 御要求でございますけれども、できるだけ御要求の資料を作りたいと思いますが、不十分の点につきましては、私なり担当の課長から口頭で説明さしていただくことで御了解願いたいと思います。
  191. 湯山勇

    ○湯山勇君 この三カ年計画は、お尋ねしていけば際限……住宅対策の骨格をなすものだと思いますけれども、いろいろ諸般の事情からそこまでお尋ねすることもいかがかと思いますので、この十五万五千戸に対する予算の総額の大体見当が立っておられるかどうか。それから第二は、これの年次別です、今年度は五万戸、来年度は幾ら、再来年度、これがおわかりになっておられれば、大体でようございますけれども、今石井委員の言われたように、変更する場合もあり得るということもあると思いますが、現在のところの年次別計画、それから同時に地方財政とこれとの関係をどういうふうに御調整になられるか、その三点だけ一つお聞きしておきたいと思います。
  192. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 年次別の計画は、それにも示してありますように、五万戸に漸増をいたして参ることであります。  それから予算は何ぼかということでありますが、これはことしの予算はすでにきまっておりますが、明年度につきましては、本年度の予算計画につきましていろいろ委員会の御注意等もありますので、われわれの不十分でありました点をできるだけ改ためた予算に明年度は直して参りたいと考えておりますので、金額の最終点はまだきめておりません。今年度を基礎にいたして、よりよいところへ持って参りたいということを考えております。  それに見合う地方財政の関係でありますが、これは御承知のように、再建整備の問題も起っているときでありますので、二年、三年先の情勢を、われわれの立場からだけ判断するということはなかなか困難であろうと思いますが、しかし一応の見通しとしては、今年度の状況を基礎にいたしまして、あまり急激な変化をしないような状態確保をいたして参りたい。再建整備法の中にも、住宅などは特に別に取り上げられるように、一般的な処理はされないように法的考慮も払っておりますわけでありますから、急激な変化は起らないものと考え計画考えております。
  193. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 暫時休憩いたします。午後二時から再開いたします。    午後零時五十四分休憩    ————————    午後二時二十八分開会
  194. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから委員会を再開いたします。  午前に引き続きまして、住宅融資保険法案及び「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」の総括質問を続行いたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。  大蔵大臣が間もなく出席されることになっております。これは住宅融資保険法案を中心とする住宅政策に関しまして、大蔵大臣質疑をいたしたいという意向がありましたので、出席をしていただくわけでございます。それが済みますれば、住宅融資保険法案の総括質問が終るわけでございまして、ただいまやっておりますのは「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」の総括質問の続行中なのでございます。これに関しまして御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  195. 田中一

    田中一君 資料がもう少したつと出ると思うんですが、その資料が来てから質問したいのですが……。
  196. 石川榮一

    委員長石川榮一君) けっこうです。大蔵大臣が間もなく見えますから、だから、田中委員の請求の資料は間もなく来るはずですから、それから田中委員質問願うことにして、ほかの方の御質疑を……。
  197. 湯山勇

    ○湯山勇君 住宅融資保険についてですが、本年度は今の五十七億という総額が決定したわけですが、これは非常にむずかしいと思いますが、従来大体どれくらいが民間住宅資金として金融機関から回っておったか、そういう資料がございますでしょうか。
  198. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実はこれはなかなか困難でありまして、この額以上に行ったか、その辺は的確な数字が得られないのであります。
  199. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこでまあ、本年ケースとしてこれをおやりになって、なおこれで非常に有効だということになれば、次年度以降におきましてはこの五十七億の総額をさらに増大するというようなこともお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  200. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話通り、ぜひ拡大をいたしたいと考えております。
  201. 湯山勇

    ○湯山勇君 これはまあ大蔵大臣にお聞きした方がいいかもしれないと思いますけれども金融機関がどの程度積極的にこれに協力するかどうか。先ほどの銀行局長の御説明では、かなり消極的なようなふうにもとれるような御説明があったわけですけれども、これについて大臣はどういうふうに御把握になっていらっしゃいますでしょうか。
  202. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私もう、銀行保険会社等会合の席にも参ったり、代表者の諸君にも会っておりますが、これはもちろん銀行の性質上、何でも無条件にやってやるということを言うわけもないと思いますが、非常に協力的で、大蔵省もこのことについては非常に熱心に呼びかけておりますし、労働金庫などもぜひ協力をしようというようなことまでも申しておってくるわけですから、具体的に進めば十分期待するところまでは行き得ると考えております。
  203. 湯山勇

    ○湯山勇君 最後にお尋ねいたしたいのは、本年は地固めでかたくやっていこう、来年から拡大均衡に移っていこうというのですけれども、まあこれは見方、考え方の相違はあるにしても、本年度予算はすでにある程度のインフレ要因を含んでいるということが一般常識になっていると思うのですが、これで来年度以降の、特に六カ年計画等との関連においてさらに拡大均衡という形に持っていった場合には、こういう長期の貸付ということについては、金融機関は今よりももっと消極的になるのではないかというような心配もあるのですけれども、そういう拡大均衡とかあるいは経済六カ年計画、そしてまたさらに将来における通貨の膨張、こういった面とこれとの関連については、大臣としてはどういう御観測をしておられるか、その点について一つ伺いたいと思います。
  204. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 金融の見通しは、私よりも大蔵大臣にお尋ねいただくことが御要求に応ずると思いますが、まあせっかくの御質問でありますから、私しろうとでこのことに関して感じておりますことは、やはり今までのような投資の方向が変ってきて、個人も、また金融機関も、住宅金融というようなことに非常に興味を持ち出してきたといいますか、投資の方向が、住宅というものを政府が言うからやっていくということでなしに、非常に関心を持ってきたということは、金融機関ばかりでなくいろいろな会社等もそういう傾向にあるわけでありますから、従って、金融機関もそういう方向に向いてきておるということは、保険会社などが政府要求しなくともみずから住宅金融をやろうという向きも御承知のようにあるし、最近は関西などの金融機関が中心になって、住宅関係機関を特に作ってやろうとしておるような状況等もありますので、私は経済の安定と、また拡大均衡へ向うその方向に沿って、住宅の問題は一段と高まってくるというふうに考えておりますが、全体の金融政策についてはまた大蔵大臣からお答え申します。
  205. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、まあ今大臣のおっしゃった点を肯定して参りまして、保険会社等においてはそういうことはあり得ると思いますが、まあ一般地方銀行とか市中銀行、こういう面ではやはり相当問題があると思いますし、それから一般の人もこういうやり方についての理解というものはまだまだ不十分だと思いますが、一般への宣伝啓蒙と申しますか、そういうことについては、何か対策をお持ちでございましょうか。
  206. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは一ついろいろな方法でやりたいと思いますが、むしろ実はおそれることは、要求に対して資金が充足し得るかどうかということの方が心配なくらいでありまして、非常に宣伝をしても、五十七億では、分けてみたら幾らにもならなかったというような結果をおそれるくらいなところでありまして、もちろん御趣旨のように、この制度の活用についてあらゆる機関を通じて徹底をいたして参りたい、かように考えております。
  207. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の問題は、一般と申しますのは、一般国民に対する宣伝啓蒙という面ももちろんありますけれども一般の今の市中銀行とか地方銀行で、この制度がうまくいくかいかないかは、もちろんこれに対する需要が多くあればでございますね、銀行なり金融機関もこのことを積極的にやるようになってくると思いますし、今大臣のおっしゃったように、多過ぎて困るというような事態は、私はむしろすべり出しとしてはそうあることの方が望ましいのではないかというようなことを考えておるものですから、お尋ねをしたわけでございますが、大体今の御答弁でわかったようなものですけれども、重ねて今の点について御質問申し上げたいと思います。
  208. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話通り金融機関に対してもっと徹底をさせることは、法案の御決定をいただけば、全力を注いでやりたいと思っております。実はあらかじめそういうことを考えておるということは、銀行協会の寄り合い等あらゆる機会を通じて申しておりまして、大体商売柄、従来の中小企業金融のこともありますし、のみ込みの早い諸君でありますから、十分のみ込んでおってはくれますが、いよいよ実際にこれを適用し、運用をしていくということにつきましては、法案の御決定をいただいた上において、それぞれの処置を講じたいというわけで、その努力は十分いたしたいと思っております。
  209. 田中一

    田中一君 公営住宅三カ年計画でありますが、年次計画は、三十年度は五万、三十一年度は幾らですか。
  210. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 五万二千戸、五万三千戸というふうに漸増して参る計画です。
  211. 田中一

    田中一君 これは、竹山さんもよく御存じの通り、過去の三カ年計画というものが結局実行していないのです。五万一千戸ですか、十八万戸の五万一千戸というものはとうとう建設していないのです。こういう三カ年計画というこの計画そのものには、今まで実績があるのです、うそをついたという実績が。そこで慎重に伺いたいのです。私は具体的に伺いたいのです。各府県、市町村にどのくらい過去において配分して、第一回は割当を希望によってこうした、結局その決算の面においては、あるいは東京都のように二へんも三べんもそれをキャンセルした、それをほしい所があってどこに向けたというような、具体的なことを知りたいのです。これは大臣何人かわっても、こういう官僚諸君が地方行政の実態とにらみ合せながら正しい配分をしないから、そういうことになるのです。地方行政担当者のほんとうの真意、財政計画その他の問題を検討しないで、ただやりゃいいのだというところに、そうした間違いがあったのです。これはおそらく今までの歴代の建設大臣ばかりの罪じゃないと思う。従って、その計画というものは、石破君は新住宅局長であるけれども、やはり鎌田君その他、配分をする諸君が実態を知らないでやったというところに今の五万一千建てる予算上の措置ばかりでないと思います。断ったとかなんかすることがあったのですから、そういう点において十分検討してみたいと思いますが、建設大臣は過去の三カ年計画に対してそのようなこまかい検討をしたことがございますか。
  212. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 一応やることはやりましたけれども、過去のことを大いに将来のための参考にいたさなければなりませんけれども、情勢が漸次変ってきておりますから、過去のことが必ずしも今後の問題と同一ではないと考えますが、御指摘の通り、従来のやり方について不満足な点は今後十分注意して参ります。従って、私は今回提案をいたしました第二期計画というものは、具体的にもうすでに本年の予算で実行をするという建前のものを基礎にして漸増をいたして参るのでありますから、第二期計画につきましては今までのようなことにならないよう、今までも決して不用意にやったわけでないと思いますけれども地方財政のきわめて急転する時期に際会をしたものですから、思うように進まなかったということがあったと思いますが、今後も決してそのことが安易には考えられない。が、しかし、前者の轍を踏みませんように、よく慎重に考えまして進めて参りたいと考えます。
  213. 田中一

    田中一君 大体三十年度五万戸、以下五万二千戸、五万三千戸というのに対しましての内容の内訳ですね。これは大体計画が立っているのですか。
  214. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 大体今年度の計画を基盤にして進めて参るつもりであります。
  215. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 一萬田大藏大臣出席せられました。
  216. 田中一

    田中一君 大藏大臣に伺うのですが、本委員会に上程されておる住宅融資保険法案というのを御存じですか。
  217. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 承知しております。
  218. 田中一

    田中一君 この法律をよく検討してみますと、第十四条に「この法律における主務大臣は、建設大臣及び大藏大臣とする。」とこう書いてあるのを、大藏大臣御存じですか。
  219. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 承知いたしております。
  220. 田中一

    田中一君 大蔵大臣は、大蔵委員会並びに予算委員会で、それぞれ御自分提案される法案並びに予算に対して必ず委員会に御出席なすって、そして審議の経過あるいは質疑について御答弁をしておるように伺うのですが、提案理由の説明建設大臣に伺いました。しかしあなたが主管しておるこの法律案というものを、あなたは一ぺんも出ないで、われわれに審議をせよということは、おかしな話です。委員長を通じまして前々から出席要求をしておるのですが、どういう考えでただいままでお出にならなかったのですか。
  221. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) できるだけ出席をいたしたいと考えておったのでありますが、ほかの委員会がいろいろありまして、大へん相済まないと思っております。別に他意があるわけでも何でもないのであります。どうぞ御了承いただきたいと思います。
  222. 田中一

    田中一君 だいぶお忙しいようですから、やむを得ぬと思いますけれども、しかし一応提案理由の説明をするときくらいはあなたは顔を出すべきです。あとはほかの政府委員でもいいと思っておるのですが、今日はこの問題をなるべく早く採決したいとわれわれども考えておりますから、今日は少し時間をとりますけれども、何時ぐらいまでいらっしゃいますか。
  223. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 三時に衆議院の本会議がありますので、それにまた出なくてはなりません。
  224. 田中一

    田中一君 四十二万戸の住宅建設を、大蔵大臣、あなたの口から初めて本会議において提案されたのでございます。そこで今住宅建設法律というものが幾つあって、その法律案というものはおのおの対象を異にしておるという、目的をはっきりと御存じになっていらっしゃいますか。たとえば住宅金融公庫法とか、産業労働者住宅金融通法とか、あるいは公営住宅法とか、またここに提案になりますところの日本住宅公団法、こうした法律の内容、ことに目的とするところは、国定のどの層を対象にしておるかということを、御承知なすっていらっしゃいますか。
  225. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今日国民の多くの方々が住宅難にあると存じます。こういう方々の住宅難を緩和したいというのが、おもな目的になっております。
  226. 田中一

    田中一君 どうも、大蔵大臣は数々ある住宅立法について御存じないと思います。私が申し上げますと、住宅金融公庫法というのは、国民大衆の、相手はだれでもいい、家を建てようとする者で金のない者には金を貸してやろう、これが目的なのです。それから産業労働者住宅金融通法という法律は、産業労働者で住宅を建てようとする者に対してその必要な資金を長期かつ低利に融通してやる、これが目的になっておるのです。それから公営住宅法というのは、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することを目的としておるのです。  そこで、お伺いしたいのは、住宅融資保険法案に基くところの市中銀行並びに各金融機関が金を貸し出そうとする対象は、日本人のうちのどの層を目的にしておりますか。
  227. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私ども考えでは、一番やはりお困りになっておる、特に働く方々で家を作りたいという方を、できるだけ対象といたすべきだと考えております。
  228. 田中一

    田中一君 大体勤労者としてどのくらいな月収のある者が対象になりますか。どのくらいの収入の者を考えておりますか。
  229. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはまあ、考えようによってはいろいろと抽象的に考えられましょうが、実際家を建てておる従来の実績等から見て、これはいろいろな階層が含まれてくるだろうと私考えております。
  230. 田中一

    田中一君 階層はいいんですけれども、金を借りるのですから、やはりその信用というものは、その金を借りる人の所得というものが一応信用の対象になると思うのです。その場合には、どのくらいの程度の、この法律はですよ、どのくらいの程度の収入の者を対象にして立案されておるのですか。
  231. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはまあ幾らの人以内というようには、具体的には私は考えて、ないだろうと思うのですが、まあごく平たくいえば、大体月給取りという階層が入るのではないかと私は考えております。
  232. 田中一

    田中一君 午前中銀行局長にいろいろ伺って、大体においてこの法律では六カ月以上の月賦償還という形で貸してやるということになっておるのですが、自分の口から言えぬけれども、大体五年くらいが一番長い期間じゃなかろうかとこういうように言っておるのです。そうしてその金利も大体において三銭一厘以上だろう、三銭一厘よりもやや高いのじゃないか、それから保険料の三分というものに対する負担も、三分の二は大体その金を借りるものに負担をさせるようになるのじゃなかろうかと、このような答弁があったのです、銀行局長から。そうして、むろんある財産に対する抵当権は設定してもらう、またその貸す金の額に応じて相当な保証人がほしい、こういうような扱いをしたいということを銀行局長は言っておるのです。そういたしますと、一体どの程度の階層、どの程度の月収のある者が対象になっておるかということは、おのずから集約されてくると思うのです。
  233. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 具体的にたとえば月収幾らの人ということについては、私まだ十分研究をいたしておりません、率直に申しまして。非常な私はこれはいろいろな方々がおいでになるだろうと思っております。なお、この金利と、それからこの保険料もまあ三%になっている。これはまあ私はもう少し、三%が最高ですから、二%くらいとか、これはまあ何ですが、それからまあ担保という問題もありますが、これもなかなか家屋の、特に自家用の家の建築に金を貸すということは、貸す人の方から見ると、なかなかか一般金融としてはむずかしい金融に私はなるだろうと思うのですが、そういう意味におきまして、担保もとらなくちゃならぬというふうに話してあると思いますが、これについてはまた、しかし、私は無理ないわゆる金貸しが担保をとるようなことは考えなくてもいいのじゃないか。これは実際において今後この制度の運営については、私はできるだけ金を借りる人の立場から考えてゆきたい、そういうふうに考えております。
  234. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫法では、その金を借りて建った土地、家、これが担保になっております。そうしてこれには保証人が一人付いております。それ以上の担保要求していないのです。従って、この法律は、銀行局長に聞きますと、その金を借りて建った家以外のものも、安心できるような担保をとりたい。おそらく市中銀行は通例今日までやっておるところの融資の形式をとるから、そういうような場合もあるかもわからぬ、こういう答弁をしているのです。そうしますと、住宅金融公庫貸付対象よりももっと高い収入の層の者が、この保険法の対象になるのではなかろうか、こう考えるわけなんです。それはどうお考えになりますか。
  235. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それは実際の場合ですから、相手の人によっても違うものでございますが、原則としてそういろいろの担保を持ってこさせる、そういうことは実際考えなくてもいいのじゃないか。そうしてほかの銀行との扱いをそう異にすることも私はないだろうと思っております。
  236. 田中一

    田中一君 私に二十坪の家がありまして、そこに五坪の増築をしたいという場合に、その増築の五坪の分だけを担保にして金を貸してくれるというふうに措置しますか。
  237. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これも実際の問題ですが、原則的に申し上げますれば、増築したところで、どういうふうな増築になりますか、実際をこれは見なければわからぬと思いますけれども、増築分ができるということになれば、担保も要るということになれば、それもいいのじゃないかと思います。
  238. 田中一

    田中一君 そうしますと、大体担保というものは住宅金融公庫が扱っているような範囲担保でいいというように、各金融機関指導いたしますか。
  239. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はやはり原則的なことを申し上げますが、原則としてはそう区別すべきじゃない、それでいいと思っております。ただしかし、実際金を貸す人が強制するわけにもゆきませんから、そこで幾らか融通についていろいろとまた若干の問題があるかもわかりませんが、法律的な考え方としては、原則的には御説のようでいいのじゃないかと思います。
  240. 田中一

    田中一君 先ほど銀行局長がこう言っておるのです、市中の金融機関でも、たとえこのような法律ができても、保険事故というものが起きることはむろん望んでいるのじゃない。これはよくわかります。わかりますが、銀行自体が民間金融機関としての立場から考えた場合には、このように保険法があるんですから、従って、その回収というものに対しましては、保険事故があった場合には住宅金融公庫か八割だけ払ってくれるのだということになれば、何も貸付の条件を放漫にせえというのじゃないのです。住宅金融公庫程度に運営する。しかしながら、こいつは大蔵大臣、幾ら何といっても、強制することはできません。従って、そのような措置をするかどうかをはっきり伺っておきたいのです。
  241. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはまあお話のように、強制してどうというわけにはできません。がしかし、指導としてはお考えのような指導を私はやっていいじゃないかと思っております。ただ、若干私今ここで考え及びますことは、何さまこの作る家がいろいろありまして、たとえば家を作る、それが同時に商売をするお店になるということであれば、よほどまた事態が違う。またある家においては、みな家族が住んで全くの住宅である。これはまあ、なかなかどうにもならないというふうな、貸す方から見れば、なかなかこれは返済が……。しかしこれは立ちのきなんかとうていできないのですから、そのままになるというふうなこともあります。率直に申しまして、その辺の若干の問題が実際のときにはあろうかと私は思うわけです。しかし考え方としては、私はこれはこういうふうな住宅難、そしてこういうふうないろいろな特別な施策をするのですから、ただ普通の担保を十分にとる、それを出さなければ金を貸さぬというふうなものよりも、もう少し貸す方も社会性を考えてやった方がいい、そういうふうな指導をしてよかろうと思います。
  242. 田中一

    田中一君 これを住宅以外、居住部分以外には貸さないのです。住宅だけに貸するのですから、店廠になんかならないのですね。従って、今伺うと、まああなたあまり法律読んでいないからですよ。わからないのですがね。今伺うと、大体住宅金融公庫程度担保力でいいのだということでよろしゅうございますね。
  243. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほど申し上げましたように、私はこういうふうな同じ住宅に対する政府金融機関としてそう区別をせぬでよかろう、こう考えております。
  244. 田中一

    田中一君 一般金融機関一般資金を貸し出すのと違って、区別をつけてくれといっているのだ、私は。こちらに保険というものが、百分の八十の保険というものがあるのだから、区別をつけてどんどん、むずかしい条件を言わないで貸すようにしてくれと言っているのですよ。区別をつけてくれと言っているのですよ、一般の貸し出しよりも。
  245. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 市中の一般金融とは区別がある。また政府住宅のいろいろ金融機関がある、これとはあまり区別しない、こういう考え方です。
  246. 田中一

    田中一君 もう一つ伺いたい。これは先ほど建設大臣に伺ったのですがね。アパートその他企業としての住宅というものに投資も自由でございますね。個人の持つものでなくて、法人にしても何にしても、ただ商売をするため、企業としてアパートの経営をするための資金もこれで借りられますね。
  247. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) できます。
  248. 田中一

    田中一君 できますね。
  249. 湯山勇

    ○湯山勇君 さっき建設大臣にお尋ねしたのですけれども、なお大蔵大臣の方へ聞いておくようにという慎重な御答弁がありましたので……。実はこの五十七億でしたか、本年のワクがきめられておりますが、これが来年は拡大均衡に移っていく、それから順次六カ年計画ができ上っていくということになりますと、これはまあ大蔵大臣すでに御承知通り、本年度予算でもすでにある程度のインフレ要因を持っております。そういう要素を持つ状態において、来年も、一兆をこえると、予算が。その次はもっとこえてくるかもしれない。そういう情勢の中で、こういう長期金融について金融機関が積極的な協力をするかどうか。先ほどまあお尋ねすると、大体常識的にも五年程度貸付しなければこの法律趣旨がなくなるのじゃないかというような御説明も、これは銀行局長の方からあったわけでございます。そうすると、五年以上という長期のこういう貸付を、今日の特殊な金融機関は別として、一般市中銀行なりあるいはもっと長期金融を建前にしていない金融機関が、まあ喜んでと申しますか、積極的にこういう制度に協力するかどうか。こういう見通しについて私はまあ非常に疑問があるわけでございますが、これについては大蔵大臣はどうお考えになっていらっしゃるか。さらにまた、将来この制度がだんだん拡充されていって、希望者も多いと、政府はさらにこのワクを増大していくと、これが将来百億にも二百億にもなっていこうとする場合に、果して今日の状態あるいは今考えられる将来の状態において、金融機関が協力できるかどうか。何らかの強力な措置を政府がとらなければ、積極的に協力をしないではないか。これらのいろいろな心配があるわけですが、これについての大蔵大臣の明確なと申しますか、一つ御見解を伺いたいと存じます。
  250. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) この住宅建設につきましては、申し上げるまでもなく、大体十年という一応の年度計画でやっておるわけであります。今後のいわば資金方面の見通しはどうかということでありまするが、私の考えでは、今後の日本の産業が拡大生産にかりに向っても、そう私は、設備の合理化は非常にしなくちゃならないが、設備自体の拡大はもう今でも相当アイドルな部面が多いのでありますが、むしろ私はそういうような資本投下はそう期待をしなくともよかろうと。同時に、また他面において、私はなるほど住宅建設に乗り出す以上は、他の不急不要と言うと悪いですけれども、目に余るような建築がずいぶん今日出ております。これを私抑制することによりまして、十分住宅の方に資金を回す。その措置は私、今後どういう政府でありましょうとも、強力にとる。そういうことをやらずに、何もかもやって、そして同時にこれだけの住宅建設を、インフレも起さずにして、確実にやろうということは、非常にむずかしいじゃないか。私はそういうふうな、従ってそういうような施策は今後ほんとうにやってもらう、こういうふうに考えております。
  251. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、今の重点になりましたのはインフレとの関係でありますが、これは今ここでお聞きするのもどうかと思いますけれども、インフレになっていけば、当然長期融資というふうなことはできないと思います。そこで将来のインフレ要因は絶対に排除するという前提がなければならないと思うのですが、それについては大蔵大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  252. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それは私はもう、日本の経済がインフレに向った場合は、これは壊滅する以外に何ものもございません。これは何もかも、貿易が、輸出ができなくなってしまうことは、言うまでもありません。これはどうしても、通貨価値の維持というもの、これは私は至上命令に考えておるわけでありますから、今後ともだれが財政当局になりましょうとも、健全財政というものは絶対に私は確保して維持していかなければならない。財政が健全であれば、金融面からくるインフレというものはまあ私それほどあまり心配ない。この金融自体がそんな投資というものを、非常に資本がティミッドですから、やるものではない。銀行にしても、貸し出しの回収がなかなか困難というものに、やろうというものももちろんありません。これはまあ大体自然に金融の本質から規制されていきまして、私は率直にインフレになる情勢があれば、これは非常に精密機械のようになっておりますから、中央銀行の施策で、これは金融独走というような非難があっても、この面から私はインフレは確実に防げる。問題は要するに財政なんです。これはわれわれは十分考えなければなりませんが、健全財政は必ず確保するというかたい決意でいって、そうして、まあ大体私はやり得るのじゃないかと、これはしかし非常に今後ほんとうに皆さんの協力が必要でありますが、十分今のことは心配はないという見通しをいたしております。
  253. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 大蔵大臣は、衆議院の本会議から二、三回要請がありますから……。
  254. 近藤信一

    ○近藤信一君 一点だけ。
  255. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それでは、あなただけ。
  256. 近藤信一

    ○近藤信一君 住宅家屋の増築、改築はもちろんのことでありますが、ここに修理もしくは模様がえにも今度は金を貸すと、こういうふうになっているのですが、これは事実ですか。その通りですか。
  257. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 増築、模様がえもその通りでございます。
  258. 近藤信一

    ○近藤信一君 そういたしますと、これはよくあることですが、これは基地などによくあるのです。納屋を直したり、鶏小県を直して、住まうようにいたしまして、そうして女の人に部屋貸しをするわけなんですが、そういうものにも貸し出しすることになるのでしょうか、どうでしょうか。(笑声)
  259. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 明確に御答弁願います。
  260. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それは実際の場合に一つ……。ほんとうにやはり住宅になるのでしたら、もとがなんでありましょうとも、ほんとうに改築、模様がえして住宅になるというなら、これはいいんじゃないかと思います。
  261. 近藤信一

    ○近藤信一君 これは先ほどのアパートの営利的な面にも貸すということになるのですから、これは事実どんどん基地にあるわけなんです。だから、実際その場になってというのじゃなくて、もうそういうところに現在起っておるのだから、この点は十分に聞いておかなければならぬと思うのですが、そういうことになりますると、ほんとうにその方にどんどん貸し出しができて、実際に住宅に困窮して、まあ少しでも増築しようかといって申し込みした場合に、そちらの方に申し込みしたけれども予算がなかったという危険性があるのですが、この点はどうお考えですか。どちらを優先的にやるか。
  262. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは実際に即しまして、ほんとうに働く人、こういう人の住宅になるようにやはり私はこれは運用していく以外に方法がなかろうかと思っております。
  263. 近藤信一

    ○近藤信一君 それと同じように、やはり旅館と称するもの、こういうのも借りる対象になるわけですね、いわゆる住居の方を作る、増築するということになりますと。旅館、下宿屋。
  264. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 旅館はならぬ。
  265. 近藤信一

    ○近藤信一君 下宿屋の方はどうですか。
  266. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 下宿屋も対象にならぬと思いますが、住宅であって、自分でお建てになって一部屋で……。事実はそういうことはあとで起るかもしれませんけれども、下宿屋はいかぬと思う。
  267. 近藤信一

    ○近藤信一君 アパートの方にあって、下宿の方がなぜできないのですか。(「アパーは下宿屋だよ」と呼ぶ者あり)
  268. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) アパートを建てて人を置くのですが、これは私はしかし住宅を貸すということになって、これはいいんじゃないかと思います。
  269. 田中一

    田中一君 どうも、下宿屋にはまかない付きのものもあれば、まかないの付かないのもありますよ。あなたは下宿屋に行ったことがないからわからないかもしれないけれども……。
  270. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そういう実際的な運営は、両省事務当局が連絡をいたしまして、良識をもって行いたいと考えております。
  271. 田中一

    田中一君 これは重大な問題ですよ。なぜならば、パンパンさんにしても、その方は銀行にすれば貸した方が得なんです。早く金が返ってくるという見通しがつくんです。二万や三万のものを持って、子供の四、五人もおれば、なかなか貸したって思うように回収がない。しかしながら、からだ一つでもって、今近藤君が言うように納屋を改造してやった場合には、これは回収が非常に早い。六月たてば返してしまいますよ。従って、銀行というものは、何もそうした社会性や国家性を考えないで貸すのです。融資しているというのが実態なんです。そこで大蔵大臣が、少くとも指導の面において、今言う社会性とあなたおっしゃったけれども、そのような形で運営しなければならないのです。たとえば金利でも、なるべく安く、それから信用がない、いわゆる銀行屋から見て信用がないものでも、実際に住宅の困窮度を見て、これは貸してやろうという——。そして担保力がないやつが多いんですよ、借りるやつは。その場合の、貸してやろうというような措置を大蔵大臣がとらなければ、これは死文化しちゃうのです。そうして、われわれが望まないような、好まないような方向に資金が流れていくというきらいが多分にあるのですよ。そういう点は、そのような指導をするというような決心でおりますか。
  272. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) その点につきましては、先ほど私十分御了承を得たと思って、十分御答弁申し上げたはずでありますが、これは十分金融機関も、その社会的な性格を多分に持っておることですから、そういう点を考えてくれると私は考えております。同時に、そういう指導もするつもりでおります。
  273. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 大蔵大臣は、ただいま衆議院の本会議から呼ばれておりますから、この程度でお帰り願いたいと思います。
  274. 田中一

    田中一君 また聞きたいときは、主務大臣として来てくれるでしょうね。
  275. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 参ります。
  276. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 住宅融資保険法案の総括質問はこの程度で終結したものとみなします。
  277. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」に関して質疑を続行いたします。
  278. 田中一

    田中一君 ちょっと、この資料について御説明願います。
  279. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お手元に差し上げました資料は「第一期公営住宅建設三カ年計画の都道府県別実施状況調」でございます。先般御要求のありました資料でございます。大へんおそくなりましたが、御説明申し上げます。一番左の欄に都道府県の名前が書いてありまして、その次の欄に三カ年計画としてずっと分けて、最下段に合計十八万ということに相なっております。その右に建設戸数を、実績を二十七年、二十八年、二十九年、合計と、こういうふうに分けて出しております。二十七年度の実績は、合計二万五千三百七十九戸であります。  なお、その表の中にカッコ書きを苦干つけておりますが、これは下の注に御説明申し上げております通り建設戸数の内数で当初の計画からの増減分でございます。たとえて御説明しますと、茨城県の欄が、二十七年度にプラス八十となっております。これは当初計画よりも八十戸ふやして、その結果が三百五十二戸になっている、こういう意味でございます。  二十八年度は合計五万二十六戸に相なっております。二十九年度は四万八千六百七十六戸でございます。総合計いたしまして、三カ年間に十二万四千八十一戸でございまして、当初の三カ年計画と実績を比較しますと、約七割程度の実施率に相なっておるかと思います。  なお、こういうことに相なってはおりますが、十八万戸と実績との食い違いでございますが、実施の途中におきまして、必ずしも財政だけの都合じゃございませんが、ある県では減らし、ある県ではふやすというようなことを若干いたしてはおりますけれども、総合計におきましては国の予算は全部消化いたしておるような次第でございます。  以上簡単でございますが、御説明を申し上げます。
  280. 田中一

    田中一君 たとえば、この表を見ましても、北海道は大体七割以上、七割強というものを実施しておる。東京の例を見ますと、東京は五割にも達しないという現状なんです。大阪は相当行っております。そういう工合に見ますと、これは責任の所在はどこにあるかというのです。これは大臣やそこらにないでしょう。これは当面住宅建設課長をしている鎌田さんなどに責任が当然あるのじゃないかと思うのですが、今提案されているこの承認の問題も、このようなことじゃ困るのです。従って、伺いたいのは、三カ年計画は、この頭の数字というものは、これは三カ年の当初にきめた数字ですか。それともそれを全部年次ごとに出たり入ったりを調整して、十八万戸というトータルを持ってきたものですか、どうなのですか。
  281. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) この三カ年計画の各府県別の戸数でございますが、これは大体におきまして、当初各地方の要望と地方住宅不足数の実情に応じまして計画をいたしたものでございます。
  282. 田中一

    田中一君 そうすると、これは地方政府と、それから住宅の不足数というものをにらみ合せて、各都道府県と話し合いの上で決定したものだということなんですね。
  283. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) これは建設大臣が決定したものでございますが、これを決定するに当りましては、地方住宅の不足の現況と、それから都道府県知事からの要望——要望書が参っております、その要望に基きましてきめたものでございます。
  284. 田中一

    田中一君 その数字をもう少し伺いたいのですが、そのほかに、たとえば東京都のように、国の補助を受けないでやっている住宅があると思うのです。これはどのくらいありますか。東京都住宅協会じゃなくてですよ、全額都道府県が負担してやっているものがあると思うのですが、それはどうなっているか、各府県にわたって。
  285. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 東京都におきましては、国の資金の援助なしに、都知事の考えによりまして融資をいたしましてやっております分が若干ございます。その確かな数字は今ここに資料はございませんが、大体におきまして、昨年二十九年度は二千戸だったと思います。二十八年度も若干あった、千戸程度あったかと思います。それからはほかの府県でありますが、茨城県におきましても若干ございますし、それから長野県におきましても、知事の考えでやった分が若干ございます。
  286. 田中一

    田中一君 茨城県などは二十七年度には八十戸もふやして、多く要請している。これは文句ないと思うのです。東京、神奈川のように、少くとも二十八年に千戸とか二十九年に千五百戸、そうして自分の方の都の財政支出をしている分が二千戸あるというのならば、結局東京都というものはいわゆる公営住宅法に基く住宅というものの補助はほしくないということを立証していると思うのです。従って、公営住宅法に基く補助金というものを歓迎しないということになるのじゃないかと思うのです。多分これも全部二分の一補助の分だと思うのですが、二分の一補助のものを二十九年度千五百戸キャンセルして、そして全額のものを二千戸建てるというのは、どうも割り切れないのです。そうして金かない、金がないということを言っている。割り切れない話なんてす。これはどういう工合に政府としては現実に考えておられますか。
  287. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話しのような点、私どももそういう感じもいたすのでありますけれども、やはり一応のこういう計画を立てまして、また地方公共団体もこの金が、政府の補助がほしくないというわけでは毛頭ないと思いますけれども、やはり公営住宅におきましては一定の規格もきまっており、その他条件も大体きまっておるわけでございます。またこれを実施するにつきましては、相当の地方負担もしなければならぬわけでございます。そういうようないろいろの関係で、公営住宅建設、特に御指摘の通り、東京都におきましては、その実施率がそうよくなかったというのでございますけれども、決して東京都といえども、この公営住宅に反対だとか、この補助金はもらいたくないというようなつもりじゃありませんのです。相当の負担も伴い、いろいろの事情で、これはこの程度にとどめまして、一方、この公営住宅の規格には該当しませんけれども、東京都民のために若干の都費をもってする住宅施策をやっておるものと、かように考えております。
  288. 田中一

    田中一君 建設大臣に伺いますが、私はどうしてもこの計画承認する前に、神奈川県知事、それから東京都知事を呼んでいただきたいのです。そうしてどういう形で、こういう結果になったか、どういう理由で——これを伺いたいと思うのです。ことに先般、四月末でしたか、五月末でしたか、予算委員会でもって建設大臣に私は質問しました。そのときにあなたは、東京都に何とかして起債を認めてやろうといって、川島国務大臣と御相談になって起債を認めたように伺っておるのですが、そこでこういう、兵庫県の例にとりましても、こういうことはあり得べからざることなんです。何か都知事も誤解があるのじゃないかと思うのです。で、本年の選挙の前には、都知事もちょうど民主党と同じように、住宅何十万を建ててやるという宣伝をやっておりました。何十万とか何十億とか出してやると宣伝をしておりました。従って、非常に不安なんです。今までの三カ年計画はこのような実績であり、かつ一番住宅不足と目されておるところの大都市、これがこういう工合に全部補助金を返しているというような現状は、再び本年度五万戸の計画を立てても、こまかい配分をするのは建設大臣の権限ですから、われわれはそこまで介入できません。従って、この計画承認を求めるの件は、これを承認する前に、東京都知事並びに神奈川県知事を呼んでいただきたいと思うのです。そうして、実際に対策というものを立てているかどうか、どういう考えを持っているかを伺いたいと思うのです。そういう点について建設大臣はこの両知事に向って折衝したことがありますか。
  289. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 過去のことを私にいろいろ御追及になっても、私も事務的にわかる以外のことは、政治的には何とも申し上げられません。しかし今回提案をいたしました三カ年計画については、内輪だといわれるように堅実な計画でいたしておりますから、この計画につきましてはさようなことのないように十分話し合いを進めておりますから、お呼び下さることは御自由でありますが、お呼び下さらなくとも、責任をもって三カ年計画は遂行できる自信を持っておる次第であります。
  290. 田中一

    田中一君 この三十年度の五万戸の配分は、大体においてもう内定といいますか、考え方がきまっておりますか。
  291. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 先般も申し上げたように、暫定予算の範囲においては一応割当をいたして事務的に用意を進めておりますが、本予算が決定をいたしましたから、あらためて地方要求等も考慮いたしまして、近く全体的に決定をいたしたいと思います。
  292. 田中一

    田中一君 これは委員長にお願いしますが、近いことですから、都知事と神奈川県知事を呼んでいただきたいのです。それで、実際にどういう計画をもって、たとえば公団住宅の場合にはこう、公営住宅はこうというようなことを聞きたいと思うのです。
  293. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御要請でありますけれども、私はおそらく都知事としても、今急に要求をされても、公団は幾らやるのかやらぬのか法律もきまらぬときに、われわれも知事に何ぼやれということを要求する方法もありません。従って、おそらくそれは考えもありましょうけれども、今公営で何ぼ、公団で何ぼ消化するかと言われても、なかなか私は、御要求は御自由でありますが、困難だと思いますが、御趣旨はよくわかりますから、われわれは今度は公団と公営及び公庫等を組み合せまして、東京は東京の要請に応ずるよう最大の努力をするつもりでありますから、努めて従来のようなことになりませんように打ち合せをいたしてやるつもりで、現に大体その方向で進んでおるつもりであります。
  294. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいま建設大臣の御説明によって、責任をみずからとるという建前をとって三年計画を立案された、これらに対して、法案通りませんうちには関係都府県知事とも直接自主的な交渉に入り得ない状況だということであります。今田中君のお話の、東京都知事あるいは神奈川県知事等をこの際お呼びするということは、今建設大臣の誠意ある答弁、責任ある答弁に信頼されまして、時を見て、この法がたとえば採決されまして決定を見た上において、適当の機会に準備ができましたら、あるいは両都県知事ばかりでなしに、他の今までの成績の悪い県等に来てもらいまして、そうしてそういういわゆる督励といいますか、考え方に対して是正をしてやる、あるいは意見を述べさして、それに対してある程度までは追及するという必要はあると思いますが、この際はどうでしょうか、建設大臣責任ある答弁によって進めていただきたいと思いますが。
  295. 田中一

    田中一君 御承知のように、今衆議院に上程さておる地方財政の再建法にしても、ただ考え方の問題よりも、もっと現実に地方負担の分の立て方の問題がいろいろあるのです。これは先ほど石原君の直間にも大臣答えておりますけれども、これは非常に重大な問題なんです。幾ら建設大臣が今度はさせる、今度はさせると言っても、地方負担ができないから、だめなんです。といって、財政があいたから、たとえば滋賀県なんというのは赤字ではないのですけれども、金があるから家を建てられる。ところが、家をそんなに必要としない区域もあるのです。そういうものもわれわれはにらみ合せてしなければならない。そこでこれを承認してしまった後ならば、あとはもう何をか言わんやです。建設大臣の権限でやれるのですから、国がいろいろな条件を見て。先ほど石原君が聞いたのも、そのことだと思うのです。その心配があるから、ああいう質問をしたと思うのです。そういう点からかんがみて、遠い所から呼ぶのじゃないのです。電話をかければ、一時間もあったら来るのですから、ぜひとも実際の実態というものをやはり知りたいと思うのです。  ことに、今までこうして自分の方から要求し、かつまた重要度が高いからといわれて、そこに割当をして、補助金をやってやらせようとしたにもかかわらず、このように東京都は今まで公営住宅については一再、二再、三べん断わっておるはずです。ありようがないのですよ。ですから、これはわれわれもこの三カ年計画をもっと戸数をふやしてやってほしいという気持でおりますけれど、これはおのずから地方財政に限度がありますから、あるいは東京都で起債をくれるならやってみせる、やりますと言うかもしれない。これは承認する前に、われわれは検討しなければならない義務があると思います。従って、建設大臣のお言葉ですが、もし各同僚委員の方々にこれを了承願えるならば、ぜひ呼んで、徹底的に一つの例としてお調べ願いたいと思います。
  296. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お言葉を返すようで恐縮でありますが、私は三カ年計画を御承認をいただくということは、計画そのものを一つ国会で御承認をいただいて政府責任においてこれは実施をするものと心得ておりますので、従って、これを個々の件について具体的に決定をするということは、今予算が決定した直後でありますし、なお全体の計画を御承認を見ない前に何ぼやるかということは、これは私は政府責任においてなすべきことであって、御津音のような点を実行上において特に留意してゆくということには、決してわれわれやぶさかではありませんけれども、そこまで私は今直ちに御要求を下さっても、各県との間に具体的な計画ができておるということ自身が私は無理だと、率直に私の立場を申し上げておきます。
  297. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この際、懇談に入ります。速記をとめて。   〔速記中止〕
  298. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。   午後三時三十九分休憩    ————————    午後四時二分開会
  299. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから、休憩前に引き続きまして会議を開きます。  まず、日本住宅公団法案の逐条審議に入りたいと思います。日本住宅公団法案の逐条審議は、第一章の総則を一応御審議を願いまして、次に第二、第三章を合せまして質疑をいたし、逐次そのつど私のほうから申し上げますが、章を分けて逐条の審議を進めて行きたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  300. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議がないようでありますから、さよう取り計らいます。  まず、日本住宅公団法案に関して逐条審議をいたしますが、第一章につきまして質疑をお願いいたします。質疑があります方は御発言を願います。第一条から第九条までです。
  301. 田中一

    田中一君 第四条の第六項、評価委員ですが、この評価委員というのは土地区画整理法の第六十五条の評価員とむろん同じものだと思うのですが、現在たとえて例をとりますと、東京都には評価員というのは設けられてありますか。
  302. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは御質問でありますが、全然別のことを考えておりまして、今回の政府出資の——政府出資といいますか、現物出資を評価するための特別の評価委員を設ける制度でありまして、ごく少数で専門家に委託をして調べようというわけであります。
  303. 田中一

    田中一君 そうすると、この三十八条の区画整理に伴う評価員がありますけれども、三十八条の二項で「第十九条の規定は、前項において準用する土地区画整理法第六十五条第一項の規定により選任される評価員について準用する。」……そうすると、結局ここに現われるところの評価委員というものはどういう権限を持つ評価委員であって、そうしてどういうような政令を作るつもりなんですか。
  304. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは政府及び地方公共団体が出資する土地または建物の評価を、それぞれ関係の立場に立って協議をしてもらってきめようというのでありますから、これをごく少数の委員を定めて評価をしてもらうつもりであります。
  305. 田中一

    田中一君 これは評価委員、向うのは、区画整理の方は評価員になっていますね。こちらの方は評価委員。そこで公団法が施行されますと、やはり全国的に評価委員というものが選任されなければならぬと思うのです。そこで区画整理法に基くところの評価員、これが非常にあいまいな、混同するところがあると思うのです。おそらく区画整理法に基く評価員というものが全国的に選ばれる。そうすると、現在あるような土地区画整理委員というようなものもあります。これは全国的な組織を持っておる、組織といいますか団体を。
  306. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 土地区画整理の方は、その地区を、土地区画整理事業というものをやる場所について起って参りますときに、評価員というものを置きます。それからこの出資をする土地またはその他の評価をするのは、これは建設大臣が任命をいたしまして、全然別個の評価委員という制度でやるつもりで、名前が大へんまぎらわしくて恐縮でありますが、そういうつもりであります。
  307. 田中一

    田中一君 これは常置するものですか、そのつどそのつど評価委員を選定するのですか、政令の内容では。
  308. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そのつどでありますけれども、まあ最初にどうしても出資をしますから最初に置きますが、その後に必要もありましょうから、置いておくようになろうと思います。
  309. 田中一

    田中一君 どういう範囲から評価委員を選ぶですか。どういうところからどういう範囲
  310. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは率直なところ、大蔵省の方の国有財産を出しますから、大蔵省側の関係の人が出る、建設省側の者が出る、あるいは公平な立場の者が出るといったようなことで、専門的な立場で協議の上できめるという建前をとって、これはほかにもこういう例があるものですからこういう制度をとったわけで、一方的に大蔵省が言うままの値で受け入れるということも少々無理があろうという、一般的なこれは立法例に基いております。
  311. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 第九条までに質疑がありませんようでしたらば、第二章管理委員会から第三章の末尾まで十五ページの三十条までです。
  312. 田中一

    田中一君 一章目からやって下さい。一章目の方から……。
  313. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 第二章管理委員会、第二章を議題に供します。
  314. 田中一

    田中一君 この十二条の「組織」の委員五名は、主としてどういう方面の人を選ぶつもりです。
  315. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはいろいろ欠格条項がありますから、こういうことでおのずから規制をされると思いますが、公団の管理運営に適任の人を選びたいと考えております。
  316. 田中一

    田中一君 この十五条の「委員の欠格条項」から見ると、相当狭まると思うのです。何といいますか、委員の選定が……。そうすると、一つの例をとると、どの辺の人ならいいのです。どういう範囲の人なら……。
  317. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) このうちの二人は地方公共団体の長の推薦をする者ということでありますから、おのずからこれはもうはっきりして参ります。あとの三人でありますが、これはどういう人ということは今具体的に申し上げかねますが、政府の役人でもないわけでありますから、民間の人で十分その知識経験を持って運営に役立つ人ということに考えております。
  318. 湯山勇

    ○湯山勇君 十三条ですね、ここでこの「地方公共団体の長が共同推薦した」と。地方公共団体にはたくさん数があることが予想されるわけですが、そうすると、その議がまとまらないで共同推薦されなければ、これは欠けることになると思います。そうすると、結局は大臣が任命した委員だけでこの委員会が運営されるという場合を考えられるのですが、そういう場合があるということも予想しておられるでしょうか。
  319. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実はそういうことを予想はいたしておりません。「出資した地方公共団体」ということでありますから、そう非常な多数になるということはないと思いますから、まあよく話し合いをして共同の推薦を得られるようにしなければ、仕事もできませんし、一致しないという場合ということは実は予想をいたしておりませんが、そういうことになるようなことはないと考えております。
  320. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは委員会のまあ権限と申しますか、この力が強くなれば、地方公共団体の数も必ずしも二とは限らないで、五とか六とかいうことになってくれば、自然に、二カ年という期間があるものですから、相当激しい競争がある場合も予想されると思うのですが、そうすると、この地方公共団体推薦の委員なしである期間は運営しなくてはならないという場合も予想されると思いますが、これは私はそういう心配は若干あるのじゃないかという気がするのですけれども、いかがでしょうか。
  321. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 努めてそうことにならぬように進めて参りたいと思いますので、法律はそういうことを予想しておりませんが、あるいは時間的におくれるようなことがありましても、ぜひともそろえて運営をいたすようにいたしたいと思います。
  322. 湯山勇

    ○湯山勇君 それではもこの地方公共団体の推薦による委員が欠員の場合には、まあ重大な決定とかそういうものはしないというように理解してよろしゅうございますか。
  323. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まあ関連のある問題でありますから、おそらくそういうことになろうかと考えております。
  324. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一点は十五条なんですが、十五条で地方公共団体の議会の議員は委員の欠格条項に入っておりますが、地方公共団体の職員ですね、これは入っていないわけです。それについてはいろいろ御見解があることと思いますが、政府職員はなれない、地方公務員はなれるというのには、何か理由がおありになるでしょうか。
  325. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはまあ実態に応じて考えたわけでありまして、地方公共団体の代表者というものを委員にすることは便利な場合も予想されますので、そういうことを考えてかようにいたしたのであります。
  326. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういたしますと、地方公共団体の議会の議員も同じように有資格者とすることも考えられるのではないかと思うのですが、議会の議員はだめだ、しかし地方公務員はかまわないというところが、どうも了解しがたいのですが、これはどういう見解に立っていらっしゃるのでしょうか。
  327. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 地方の議員は国会議員同様に考えまして、一応原則的には抜いたわけでありますが、地方代表ということになりますと、全く役員も職員も何もなれぬということは、地方団体の上からいうと非常に実際問題といたしまして困難な場合が起るということで、まあ地方自治庁方面の要望もありまして、実情に合うようにかような規定にいたしたようなわけであります。他に別に何ら特別な理由はありません。
  328. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは地方公務員、地方公共団体の職員というのを一応予想しておられるようにもとれますから、どういう者を、どういう職の者をお考えになっていらっしゃるか、御腹案があればお示ししていただきたいと思います。
  329. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは別に確定的なことは予想しておりません。率直に申して、地方公共団体の長が入ってきてくれることもけっこうだと考えますが、長が忙しければそれに次ぐ者とか、実態に合うように、しかも地方公共団体を代表するという形を実質的に備えておるものが運営の上からいってもよくはないかと、かように考えております。
  330. 近藤信一

    ○近藤信一君 委員会の構成は、委員五名と総裁をもって組織することになっておるのです。第二項に「委員会委員長一人置き、委員の互選により選任する。」とありまするが、この場合に総裁も含まれての委員長互選ですか。総裁もなる場合があるのですか、互選された場合。
  331. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 総裁を含んで互選ということを考えております。
  332. 近藤信一

    ○近藤信一君 総裁が互選されることもあるわけですね。
  333. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そのことは法律としても、今とらわれて考えておりません。運営上総裁がなる場合も予想されますし、また総裁外の人間がなる場合もあり得る、かような形になっております。
  334. 田中一

    田中一君 それはおかしいよ。最高の執行者とそれから重要案件をきめる者と同一の者ということは、あり得ないと思うのです。どういう考えを持っておるのですか。
  335. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはまあ一般にこういう建前をとっておるのですから、特にことさら変えた考え方ではありませんので、他の機関の経営委員会の組織と同様に考えておるわけであります。
  336. 田中一

    田中一君 じゃ、他の機関はどうなっておるか、実態は。
  337. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) こういう立法例は、高速度交通営団にも設けておりまして、大体それと同様の規定をいたしておるつもりでありますが、先ほど大臣が御説明申し上げましたうち、言葉が足りませんで、あるいは誤解をなさった向きもあるかと思いますが、事務的に申し上げますと、(「了解心々」と呼ぶ者あり)第十二条の二項には、「委員会委員長一人を置き、委員の互選により選任する。」と、かように規定いたしておりまして、この第一項の「委員会は、委員五人及び公団の総裁をもって組織する。」と、この上の方の委員五人をさしたものと、かように考えますので、総裁は委員長になることはないものと、さように御了解願いたいと思います。
  338. 田中一

    田中一君 それから十六条二項の「職務上の義務違反」というのはどういうことをさしておるのですか。
  339. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) この「職務上の義務違反」ということにつきまして、具体的にどういうものが該当するということは、ちょっと思い当るものもありませんけれども、(「それはいかぬ」と呼ぶものあり)管理委員会委員には、そこの第十一条に「権限」というところの規定がございます。これは権限ではございませんが、こういうものを議決するまあ一応義務があるものと、かように考えておる次第でございますが、一番よく当る一つの例といたしましては、こういう権限であると同時に義務である、こういうものを、まあ率直に申し上げますと、こういうものに全然審議に加わらない、故意に何らの理由なくしてこういうものを履行しないというようなのもその一つの例に該当するものと、かように考えております。
  340. 田中一

    田中一君 そうしますとね、第十八条の「議決の方法」のうちですよ、これは委員及び総裁のうち二名以上出なければならないということになっているのですよ。すると、あとの三名——六名ですから、三名出ない場合は三名は必ず首になるのですか、解任されるのですか。おかしいじゃないですか。
  341. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 私がただいま申し上げましたのは、そういう場合でございませんので、こういう権限があり、同時にそれは責任であり義務であると考えるのでありますが、これを理由なく、故意にこういうことを履行しないというような場合には、やはり管理委員として適当でないと、かように認定すべきではなかろうか、かように申し上げたわけです。
  342. 田中一

    田中一君 十八条じゃ、場合によれば出席しないでもよろしいということを規定しているのですよ、これは……。場合によれば、出席できない者は出席しないでもよろしい、議決はいたしますということなんですよ、これは。こういう規定があるのですよ。それにもかかわらず、今官房長というか、住宅局長というか、別に説明を聞くと、必ずしなければならないということになるならば十八条の1、2、3は要らなくなっちゃうのですよ。
  343. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 第十八条、なるほど御指摘の通り、必ず管理委員全部が出席するという前提でならば、十八条は御指摘の通り要らないような規定になるわけであります。もちろん、この管理委員の方は、他に職業を、これを本業とする方はまずほとんど実際問題としてなかろうと考えております。それぞれの職業もあり、それぞれの社会に活動しておる方法であります。また個人的の病気その他事故のために御出席願えないという場合もあろうかと思います。そういう場合は、これはまあやむを得ぬ事情でございまして、それが先ほど私が御説明申し上げました、まあ義務違反があるとき、こういうふうには解釈すべきではなかろう、かように考えております。
  344. 田中一

    田中一君 これは、「職務上の義務違反」ということは違うと思うのだな、実際は。堀木君なんかまあその方面にくわしいので、堀木君なんかから説明を聞くとわかるが、実際はどういうものかつかめると思うが、今の説明では満足しませんがね。今言ったように、権限すなわち義務だと、こういう解釈のもとにですよ、議決云々というならば、これは十八条というものは要らなくなっちゃうのですよ。  もう一つ、ここに十九条の刑法その他の罰則の適用については公務員と同じだと、こうなっております。これに対してはまあ十七条の「委員は、報酬を受けない。」——そうすると、全くこういう人が日本にたくさんいると、もっといい国になるんですがね。どうもここのところが関連しておかしいと思うんですけれども、これもやはりどこかにこういう法律の条文があって、それをそのまま引用したと思うんですよ。その実態についてお調べにならなければいかぬと思いますよ。
  345. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話通り、管理委員にお願いする方は、報酬も差し上げるわけでもありませんし、また、にもかかわらずいろいろむずかしい責任のある仕事をお願いするわけでございまして、そういう適任の方が世間にそう多いとも考えませんけれども、こういうことをお願いするのは非常にまあ本人には御迷惑の場合もあろうかと思いますが、やはり公団の管理委員会というものの性格に照らしまして、こういう仕事をやっていただきますのに最も能力のある適任者を選んでお願いするということになろうと思います。
  346. 田中一

    田中一君 こういうことをやっていると時間がたってしようがないのですがね。「職務上の義務違反」というものはどういうものかということを、説明してもらわないと困りますよ。とても、五時までに済みっこないですよ。私一人がわからぬと言っているのじゃない。皆さんがわからぬと言っているじゃないですか。
  347. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) まことに御答弁が不十分で恐縮でございますが、この管理委員の権限、同時にまあ責任と解せられる規定は、第十一条に規定しているわけでございまして、こういうのを、こういう事務をやっていただけないというのを「職務上の義務違反」と解するより私どもはほかに解しようがない、かように考えております。
  348. 田中一

    田中一君 私は了解できないのですが、どなたか同僚議員で今の言葉を了解できた人があったら、説明していただきたいと思いますなあ。
  349. 永井純一郎

    永井純一郎君 あのね、これはどうもよくわからないんですがね、これはこういうことじゃないのですかね、私にもよくわからないから聞いているんですが、十九条には、管理委員が、「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」となっておりますね。一つは、こういうことから、これは公務員としていろいろな義務がありますがね、管理委員がね。そうしてその管理委員が公務員としてみなされるわけですが、その立場からの義務違反が出てきますね。もう一つは、地方公共団体の職員がなった場合、やはりそういう問題が出てくるのじゃないかと思うんです。それから職務上の義務はこれこれだというのは、別途に作るんでしょう、これから……。内規みたいなものが、省令か何か知らぬけれども、そういった場合には、たとえばそのいろいろな管理委員としてどうも適当でない行いがあったり、それは公務の場合に当てはまるかもしれませんが、そういうことはいけないとか、いろいろありますね。そういったことを義務違反といっているのじゃないのですか。さっきの権限は、これを「議決を経なければならない。」というこの権限については、議決の方法が別にちゃんときめてあるんだから、そうしてそれは定足数の過半数できめるとこう書いてあるから、そこから義務違反が起りっこないのです。だから、今言うようなことじゃないですか。どうもわからないのです、そこのところが。
  350. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 第十九条の、刑法の適用に関しましては公務員と同様に取り扱うということになっておりますが、これはあくまでも、管理委員は刑法の適用だけについては公務員と同様に取り扱われるというだけであります。なお、後段御指摘になりました点でございますが、第五条をごらん願いますと、「管理委員会及びその委員に関する事項」ということを定款に定めることになっております。従いまして、第十一条の権限を受けまして、管理委員会及びその委員に関する事項を定款に定めることになっておりますが、具体的に申しますれば、それに違反すればまあ義務違反というようなことになろうかと思います
  351. 田中一

    田中一君 十七条の、報酬はなぜやらないのです。やったっていいじゃないですか。やった方が今の職務上の義務違反はありませんよ。
  352. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 報酬は出さないことにいたしておりますけれども、旅費その他職務の遂行に要します実費は支弁することにいたしておりますので、まあ別に報酬を出さなくても、具体的に義務違反というようなことは起るまいかと思います。なお、立法論といたしましては、この管理委員に相当の報酬を出すというのも一つの御意見であろうかと思います。
  353. 田中一

    田中一君 そうしますと、その職務の遂行に伴う実費を受けるということは、たとえば月収三十万円を取っている人が一日こちらの方面に来て公団の方の仕事をした場合には、一日分の一万円はこれは職務を遂行するに要する実費とみなしていいですか。
  354. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) これはまあ具体的な場合について考えたいと思いますけれども、大体管理委員になる人は、これはまあ地方公務員でございますとかそういう別に職を持っている人は別でございますけれども、個個の人の報酬によって差等をつけるというようなことは実際問題としてむずかしいと思います。従いまして、大体この管理委員になるような方の普通の、まあ何と申しますか、そういう方に一日働いてもらえば大体どのくらいの実費を支弁したらいいかということは、おのずからわかるであろうと思うのですが、なお、これにつきましては他に前例もあることでございますので、そのままを踏襲するというわけじゃございませんけれども、それらも参考にいたしまして適当にきめたいと、かように考えております。
  355. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に第三章を議題に供します。役員及び職員。第二十条から三十条までであります。
  356. 湯山勇

    ○湯山勇君 一点だけ……。三十条ですね、委員の場合はまあ一応そのままで了解したのですけれども、今度は職員の公務員たる性質、そこで同じような規定の準用があるわけでございます。こうなりますと、罰則の適用だけは公務員並みになって、今度は権利ですね、これはなるほど恩給なんかについて若干の特典はあるにしても、公務員に準ずるようなそういう何かの特権がなければ片手落ちだと思うのですが、これについてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  357. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話通り、公団職員につきまして公務員と同様の刑罰規定を適用することになるわけでありまして、これに対応する何らかの、一般民間に比べまして特別のことを考えておるかというお話でございますが、これはまあ公務員と一般民間の方との場合を考えてみますれば、まあ一般民間の方に比べて刑罰定等が公務員に非常に強く規定される関係上、給与が高いとか、恩給があるとか、まあそういうわけにも実は参っておらぬのでございまして、この刑罰規定はやはりその仕事の性質上、当然これはやむを得ず適用に相なるものと考えております。従いまして、これに対応する何らかの特権があるかというお尋ねでありますが、それに対応するものとしては実は考えておりません。  ただ、純粋の公団の職員と一般の公務員と比較してみますと、公団だけに就職した職員につきましては、恩給法の適用等はございません。この点は一般公務員に比べますと非常に不利になる点であろうかと思います。もちろん公団の給与規定その他では、それらの点を十分勘案しまして、一般公務員とそれから公団職員、この取扱いに差等のないように、公団に適当とする優秀な職員が吸収できますように、給与規定その他で考えて参りたい、かように考えております。
  358. 田中一

    田中一君 関連して。ここで建設大臣にもう一ぺん御答弁願いたいのですが、この間もこの問題についてはずいぶん質問したのですが、少くとも現在は、住宅金融公庫以上の程度のことは給与を支給しよう。同町にまた、住宅金融公庫のたとえば退職手当やその他の問題はどうなっているか存じませんけれども、少くとも公務員の義務だけを受けて、待遇がよくないということになれば、これは問題になる。首を切るとかいうのなら、そこにやむを得ずいくという人もあるかもしれないけれども、そこで建設大臣指導するのですから、今までの住宅金融公庫の例から見ましても、相当剰余金は出るわけなのですがね。使える金はあるわけなのですがね。公団もおそらくそういう意味の余裕が出ると思うのです。そうすると、公団自身の内規でもって相当大幅に将来のことも考えてやる、いわゆる公務員の恩給に準ずるような措置をとってやるというような心がまえは、ここで今あなたがしてくれれば、あなたが言明すれば必ず実行するのですから、内規でそのようなことを考えようと、こういうふうに御措置願えると幸いだと思うのです。
  359. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 当然公庫その他の似たようなものと同様の給与規定は、考えることはもちろん考えております。ただ、何ぼ割をよくするかということになりますと、これは関連がありますので、その実態に沿うように、今御注意のような点は、当然考えて参りたいと考えております。
  360. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に第四章、第三十一条から三十四条まで、業務の問題を議題とします。
  361. 石井桂

    ○石井桂君 三十一条の第六号の、委託する先は大体どこを予想しておられますか、御答弁を願います。
  362. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 第三十一条の第六号の規定は、公団本来の業務の遂行に支障のない範囲内におきまして、他から委託を受けまして、住宅建設、賃貸、その他をすることができるということを規定しておるのでありまして、公団の業務を他に委託するということに関しましては、この点につきましては別に制限はなくても当然できるものと考えております。ただ、これが一番起り得ると考えておりますのは、他方公共団体について起ると思いますが、これも現在の地方自治法のままで、特別の規定がなくても委託できる、かように了解いたしております。
  363. 田中一

    田中一君 三十四条ですが、これは地方公共団体の長の意見を聞くことになっているのですが、同時にまた、二名でしたか、公共団体の出資者からは理事に入れることになっているのです。当然出資者であるところの民間金融業者ですね、これも執行部といいますか、理事の中に何名か入るということは、前提として考えてよろしゅうございますか。
  364. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 民間の方からのことは当然は考えておりません。
  365. 田中一

    田中一君 そうすると、民間の投資先はこの執行部に入らない。むろん委員会の管理委員にもならない、こういうことでよろしゅうございますか。
  366. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それは今のところ考えておりますことを具体的に申せば、保険会社等は資金を借りる形でありまして、出資でありませんので、そこで役員等には考えておりません。
  367. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次は第五章、土地区画整理事業、第三十五条から第四十三条まで。
  368. 田中一

    田中一君 建設大臣はまじめに宅地造成のために、公団の宅地取得のために土地区画整理をさせるつもりではないのですか。
  369. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まじめに考えておりますが、しかしこれはいつかも申し上げましたように、これをやたらに振り回す意味であげておるのじゃありません。万やむを得ない場合には、これを使いませんと仕事ができない場合をやはり予想して、これをあげておるのです。
  370. 田中一

    田中一君 それじゃ、だいぶ問題があるのです。現在計画局長が当面の責任者だと思うのですが、御承知のように、あなたの方で地方計画として認可したもの、あるいは行政施行の場合でも、地方施行の場合でも、区話理整事業がなかなか困難である。従って、公団にその権限を持たせないでも、あなたの方の仕事が十分にすらすらと行っていれば、必要ないのです。ところが、本年度は二万戸といいます。二万戸をこれに乗っけようという考えがないならば、これは一応いいのです。やたらに振り回すのじゃなくて、振り回せば振り回すほど宅地造成はできないのですよ、実際いうと。ことに現在まで戦災都市その他でやっておりますところのものは、十年の経過を経てできたものもあるし、できないものもある。できないものは、十年もやはりそうしたどうにもならないこぶになって残っておるわけです。従って、この考え方は、新しく宅地造成のために土地区画整理法をやろうという考えに違いないのですよ。今三十年度に一ぺん計画して、これが成成するまでに五年、十年かかってしまう。従って、これは一応あるけれども、これは使いませんという答弁なら了承しますけれども、これを振り回してやるならば、二万戸の住宅建設はできません。そこで、本気でやらないのだ、やるならば、できるならば、本来建設省が持っておるところの今までの計画というものでやっていけるのだ、そして将来における特別な大規標な宅地造成、宅地開発をしなければならぬ場合にはこれを使うのだということならば、やらないということなんです。そうなれば何もここでもって言う必要はない。計画局長、自分で現在やっておる仕事なんですから、やれるのですよ。何も公団にお願いしてやってもらわなければならぬ理由は一つもないのですよ。私は議論すると長くなりますからやめますけれども、こういうものを入れたこと自体において公団の実現性というものは非常に薄くなってきておる、弱まってきておるということを考えるのです。  これを議論すると本質論になりますから困るのですが、社会党から出しております私どもの案というのは、御承知のように、空間に乗っける、宅地造成はしないで、空間宅地開発をしようというのがわれわれの案のねらいです。これなら可能なのです。おそらく私は公団が出発していく間においていろいろアドヴァイスいたしますから、この法律の中に区画整理事業を持ち込んでいくということになりますと、宅地造成はできないということになります。だから、これは将来使うときに使うのであって、この際はそう今すぐに使いませんというような御答弁があるならば、これは逐条審議をしないで飛ばします。もしもそうでなければ、これは重要な問題ですから、逐条審議をしなければなりません。それでは本年度二万戸の住宅は建ちません。間に合いません。一つ御答弁を願います。
  371. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御趣旨はよくわかりましたから、御注意のような処理はいたしたいと思いますが、絶対使いませんということを言い切れということも、これも少々無理な御要求と思いますから、実情に合うように、法律を無理に振り回わすのではないという趣旨に御了承いただきます。
  372. 田中一

    田中一君 一つだけ聞きます。第四十二条の、保留地というのは公団が取得するとありますが、御承知のように、土地区画理整法というのは補償金その他何もないわけです。やはりその区域の者が、その区域の区画整理をした後における地価の値上りその他の利益、形にならない利益、こうした目的によって区画整理をする。組合施行にしましても、市町村施行にしましても、行政施行にしましても、みなそうなのです。そこで保留地を地元の利害関係者、いわゆる区域内の者が取らないで、この公団がそれを取得するということをこの法律できめることは、これは違法だと思う。こういうことはその土地の所有者、利害関係者が保留地に対するところの権限を持つならよろしいけれども、これは土地区画整理法の精神を没却しておると思う。かりに公団が補償するなら補償する、買収するなら買収するというのなら別ですけれども、これはありようがないと思うのですが、計画局長どうですか。
  373. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 保留地そのものは、前々国会でございましたか、御審議願いました土地区画整理法で制度上認められております。これはいわゆる公共団体または行政庁が施行する場合、この制度を取り入れまして、保留地は起業者すなわち公共団体でありますとか、あるいは行政庁でありますとか、そういう土地区画整理事業をいたします事業主体がそれを取得する建前になっております。同様の考えにおきまして、公団がこの事業主体としてそれだけの環境を整備するだけの事業をいたしますから、それに対応するものとして保留地は起業者たる公団が取得する、こういう趣旨であります。
  374. 田中一

    田中一君 これはたとえば行政施行にしても、市村町施行にしても、やはりその地元のその施行される区域の人たちのための保留地であり、同時にまた、むろんそれに対する取得権というものは事業主が持つことは当然なんです。こははだれが見ても当然なんです。しかしながら、かりに都市の環境と全然相反したようなものを公団というものがやった場合は、これはえらいことになるのです。たとえば、いいですか、区画整理事業をして十字路ができた。そうして商店街になった。そこから一番の適地の所に保留地を持つ。その保留地に街の繁栄を阻害するような住宅を、一階から六階くらいまでの住宅を建てたということを想定するならば、これは直ちに権限だけを、そのものを持っているということであってはならない。地方公共団体というその町ならその町全体が責任者なんです。全体の市民なら市民のための繁栄をはかっているのです。ところが、全然人格の別な公団というものが、地元の人間に関係のない公団が持つということはありようがない。まして、公団というものは建設大臣が総裁を任命する、いわゆる建設大臣の産んだ子なんです。地方公共団体はこれは行政庁ですから、その長は全部国民が選挙したものなんです。こういうものが公共性のある保留地を自分で取得することがいいと思うのです。一建設大臣が産んだ子供がそういうものを自由にするということは、何かの条件をつけなければありようがないと思うのです。
  375. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 公団の性格そのものはなるほど、ただいまお話がございましたように、市町村と違っていることは事実でございますが、公団の事業の土地区画整理事業をいたします場合は、それには私はやはり公益的な立場でするものと了解すべきであると考えております。従いまして、その土地区画整理事業を施行する地域と無関係な、あるいはその利益に反して土地区画整理を行うということは、公団の本質そのものからいたしましても、考えられないというふうに考えておりますが、なお念のために、公団の施行いたします土地区画整理事業の施行方法につきましては、あるいは計画におきましても、そのやり方におきましても、この法律案規定いたしておりますごとく、建設大臣の監督下に属しております。それから施行地域を適用いたします、土地区画整理事業を適用いたします地域との関係において、その公共団体の長の協議同意を得る建前になっております。それからなお、土地区画整理事業の実施計画そのものについては、地元の土地区画整理審議会、あるいはこれのために構成される土地区画整理委員会、かようなそれぞれ地元の利害関係の代表するそれぞれの委員会の議を経て執行するという建前になっておりますから、さような点等からいたしまして、公団の施行する土地区画整理事業そのものが当該関係地域の利益に反して行われるというふうには考えておらないわけであります。
  376. 田中一

    田中一君 これはあなたが一番よく知っているはずなんです。特に地方のボスが、あるいはその事業執行者も、やはり権力とか金力に左右されて正しい事業執行ができないところに、大きなトラブルが起ってくるわけです。それが現在、十年たってもみなそうなんです。それで、もし法律の建前からいってこれを持たせるならば、はっきりとこの公団の総裁というものは、これは国民から選ばれたものではない、建設大臣が任命する人間なんです。従って、組合施行の場合でも、組合施行というものは、組合というものは、組合員全部が集まって多数議決をやるのです。公団というものはそういうものではないのです。これはいわゆる建設大臣の落し子なんです。そこでこの本法が土地区画整理法がそうなっているからといって、それをそのまま持ってくることはいけない。やはり条のこととか、公共性云々とか、今本法を調べてみますが、そういうことが全部建設大臣の権限で、建設大臣が任命した総裁がやるのですから、これは少くとも民主的な形で選ばれた者でない。そういう者にこの保留地を持つ権限があるのじゃないのです。私はそれならもう少し精神規定でもいいから、何かなくちゃならないと思うのです。
  377. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 土地区画整理事業の地元の施行の場合において、いろいろ地元のボス等の勢力関係からこれが施行上ゆがめられるということは、実はこの前土地区画整理法そのものを御審議されましたときに、田中委員等から熱心に御議論のありました点であります。すなわち、これらのことは起業主体が、これは府県の場合でありましても、あるいは市町村がやる場合でありましても、いわゆる知事の専断、あるいは市町村の専断にゆだねないで、今お話しになりましたように、一部の利益のために行われるという形でないような制約を必要とするという観点に立ちまして、この前土地区画整理法そのものの御審議のときにも、そういう前提に立ちましてこの法案ができたわけでありますが、その建前を公団施行の場合にも同じく踏襲するような考え方に立っております。すなわち、公団が起業主体であっても、公団の独断専行にゆだねないという前提に立ちまして、この土地区画整理事業を行わせるという建前を踏襲いたしているような次第であります。この点はそういう立場で御了解をいただけるのじゃないかというふうに私は考える次第であります。
  378. 田中一

    田中一君 土地区画整理法には何も保留地はお前のものだという規定がないのです、お前のものだという……。これには公団が取得するとはっきり明記してあります。そういうものはどこにもないのです。これはお前のものだと宣告するのですね。どこにありますか。
  379. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 土地区画整理法の本法の百四条の第九項を見ていただきますと、これはそれぞれ起業主体であります国、都道府県または市町村がそれぞれ取得するという建前になっております。同様の考え方に立ちまして、この場合は公団がやはり取得するという規定をいたしたのであります。
  380. 田中一

    田中一君 それをちょっと読んで下さい。
  381. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 百四条の第九項でありますが、「第九十六条第一項又は第二項の規定により」途中のところを飛ばしますが「換地計画において定められた保留地は、前条第四項の公告のあった日の翌日において」「土地区画整理事業にあっては施行者が、」それからこれは組合施行の場合等を指摘しているわけでありますが、行政庁施行その他の場合における「土地区画整理事業にあってはそれぞれ国、都道府県又は市町村が取得する。」こういうことであります。
  382. 田中一

    田中一君 そこで言いたいのは、公団というものが、国、都道府県、市町村、それから組合施行の場合の施行者、こういう場合の人格の問題なんですが、これは同等にみなすべきものだというふうに考えますか、また同等にみなしていると考えますか。
  383. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この場合は、御意見はありましょうけれども、公団がやらなければならぬ場合においては同等の取扱いをするということが、原則の法律からここへ持ってきたつもりでありますから、そう考えております。
  384. 田中一

    田中一君 これは私ばかりが問題に出すのは——これは私は不当だと思います。なぜ公団が、事業を施行するのに公団が宅地を造成したりあるいは金を出したり——そうして都道府県に、あるいは市町村にやらしたってできることなんですよ。これは都道府県、市町村というものが、御承知のように、公選の建前をとっているのですよ。私は公団の総裁が国会承認くらいならば、まだ一応これは了承しましょう。国会承認ならば、国会はやはり国民の代表が集まっているのですから。けれども建設大臣が任命する。その際に、都道府県、市町村の長と同じような権限を与えることは、これは不当であります。
  385. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 土地区画整理事業の起業主体になれる資格というものが、公選による市町村長だけに限っておるという建前でありますならば、今の田中さんのお話しになった議論がそのままその通りだというふうに考えられますけれども、しかしそうではございませんで、土地区画整理事業法の本法をごらんいただきますと、国、行政庁そのものが土地区画整理事業の主体になり得る。これは公選の原則によるという組織に必ずしも立っておりませんので、その場合の国というものを建前にいたしまして仕事をする場合においては、建設大臣が直轄して仕事をするということも考えられる。すなわち、地元の利益を代表する公選制を裏づけにしなければ土地区画整理事業ができないという建前に、必ずしもなっていないということを勘案いたしまして考えますならば、この場合における公団の構成そのものは国の資金だから、府県が、やってもらいたいという府県がそれぞれこれに対して出資をしているという地方の利害、それらが公団の性格の裏づけになっておるわけでありますから、さような関係から公団が起業主体になることをあえて妨げる性質のものではないというふうに私ども考えております。
  386. 田中一

    田中一君 それは公社の性格を持っているならかまいません。公共企業体ならまだいいのです。これは公共企業体でないのですよ。民間資金も入っていますよ。もし、あなたがそう言うならば、これは国に準ずるものではないと思う。
  387. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) ただいまの民間資金は、これは先ほど大臣からもお話がございましたように、事業資金を得るための借入金であります。この組織自体を構成する資金としては、国の資金、それから地方公共団体の資金、こういう形になっておるのであります。
  388. 田中一

    田中一君 まあこれは私が不当であると思うのです。結局建設大臣が任命する総裁の自由になるということになるのですから、何か精神規定でもいいから、地元の何といいますか、利益というものを考えながらそれを使うと、取得したものを使うということの規制がほしいと思うのです。建設大臣、どう考えます。
  389. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いろいろご指摘の点はわかりますし、最初申し上げたように、私はこれを振回す意思は毛頭ありませんが、仕事をやっていく上において、これがあった方が両方ともに便利な場合にこれを使おうという趣旨でありますから、御趣旨のように、運用の面において十分注意をいたします。
  390. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次は第六章財務及び会計、第四十四条から第五十五条まで。
  391. 湯山勇

    ○湯山勇君 第四十四条と第四十五条ですが、これは公団の方の事業年度は四月一日——しかしながら、公団の事業には当然政府の、国の予算、そういうものが関係してくると思います。そういたしますと、たとえば、極端な例をいえば、本年度のような場合、とても四月一日までには事業計画もできないし、当然予算もできないと思いますが、そういう場合はどうなるのでございますか。
  392. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはやはり政府の会計年度と一致しておきませんと、いろいろ国会等の関係で不便でありますから、会計年度は一致させておきますが、お話のように生きた仕事をする機関でありますから、会計法上いろいろこまかい規定等もいずれ作ることになりましょうが、政府の予算と同様に繰り越しを認めていただいてやっていくということ等で、実際の運営はやって参るつもりでございます。
  393. 湯山勇

    ○湯山勇君 次に、四十七条ですが、これは「決算完結後二月以内に建設大臣に提出し、その承認を受けなければならない。」こういう条文があるということは、逆にいえば、承認大臣がしない場合があるということも予想されるのではないかと思うのでございますが、そこで承認しない場合というのも想定しておられるかどうか。おるとすれば、どういう場合です。
  394. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは予算を承認をする結果、決算も承認を受けていくことと大体考えておりますが、お話のように、何ともそれでは処置のできないような問題が起れば、一応再考を命ずるなり、あるいは修正をさせるなりというようなことが起ろうかとは思いますが、一応これは予算と決算との関係でこういう規定ができているのでございます。
  395. 湯山勇

    ○湯山勇君 予算の場合は、今の修正なり何なりいろいろなことができると思うのでございます。しかし、もう、ここにあげられておる諸表は、これはもうすでにでき上ったものですから、修正せよといっても、ちょっとできない性格のものだと思います。そうすると、これの承認が得られないということになれば、これはもうどうにもならない。直すわけにもいかないし、そうかといって、まあ、なお重ねて承認を得るというわけにもいかない。非常にこの規定はそういう融通のきかない性格を持っていると思うのですが……。
  396. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まあ融通がきかないといえば、きかないのでありますけれども、これは悪いところがあれば、直させて承認をするということに理解をいたしておるわけで、どうにもならない場面というのは、いずれにしても跡始末をしなければならぬことですから、事実の問題としては、そういう場面はないと私は考えております。
  397. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは最後に結論的に言えば、もしこういう場合ができた、かりにできたとすれば、そのときは公団のまず総裁以下辞任するときだと、それくらいに考えておってよろしゅうございますか。
  398. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まあ、それは政府が総辞職をすると同様に、承認を受けられないということであれば、何らかの政治的な処置が起るということも、お話のように考えられると思います。
  399. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一ぺん、この五十四条ですが、役員、職員に対する給与及び退職手当の支給の基準、あるいはこれの変更は、大臣承認を受けなければならない。さきには、予算を大臣は認可すると。で、そうなっておりますれば、この給与の問題は、もう任命権も総裁にあるわけでございますから、それ以上大臣が立ち入って給与の支給基準なりこれの変更、そういうことまでしなくてもいいと思うのでございますけれども、これをすることにはどういう意味があるか、これを一応御説明いただきたいと存じます。
  400. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは率直に申しますと、お話のように、事業をやる団体だから、十分やるだけやったらいいという考え方もありますが、一面においては、政府がほとんど出した金でやる団体でありますから、幾らでも出していいというわけにもいきません。そこでまあ、主としてこれは財務当局の希望もあったのでありますが、他の団体、かような似よったものとの関係等もありますから、勝手にやるということはいかがかという意味で、これは何も一々一人々々の給与を承認を受けろというのではないのでありまして、大体のベースというものはどのくらいにするかということを一応政府承認を得て、全体があまり不均衡なことにならぬようにという趣旨であります。
  401. 湯山勇

    ○湯山勇君 今大臣のおっしゃったような意味程度のものであれば、私は予算で十分できるのではないかと思うわけでございます。と申しますのは、公社等におきましても、給与総額というものはありますけれども、この内容がどこまでかわりませんが、ここまで監督官庁が立ち入るということになりますと、私はかえって問題が大きくなる問題点がたくさんできるのではないかという懸念を持っておるわけですが、たとえて申しますと、労働大臣が言われたように、この公団の職員は一般の労働組合法の適用を受ける、そういうことになりますと、たとえば給与の交渉とか、夏季手当その他の手当の交渉とか、そういうものは本来ならば公団の総裁との間に交渉がなされなければならない、そういう性格を持っております。ところが、こういう法律によって、五十四条の規定があれば、結局その最終的な権限者は大臣になりますから、公団の職員は少くとも、他の勤労条件は別として、給与に関する交渉は直接建設大臣としなければならない、こういうことになると思うのですが、これは大臣もそういうふうにお考えでございましょうか。
  402. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この条文から直ちに建設大臣対象になるとは、私は理解をしておりません。どこまでも総裁の責任であると思いますが、お話のような場面も想像されぬわけではありませんけれども、この際はそういう窮屈なことを言うよりも、今申し上げたように、各政府関係機関と歩調を合せる意味において、総裁の権限で自由にどこまでも行くということは、かえって混乱を招くおそれもあるものですから、一応こういうことで標準をまとめて参りたいという考えでおるわけであります。
  403. 湯山勇

    ○湯山勇君 私はどうも納得できにくい点がありまして、重ねてお尋ねいたしたいのですが、もちろん大臣の御発意だけでこの条文ができたのではないというふうにもとれますので、非常にその点はお尋ねするのに、何といいますか、ちゅうちょされる面もありますけれども、しかし今日各公社にいたしましても、やはりそういう交渉は必ずしも総裁限りではこれはとまっておりません。総裁よりもむしろ大臣の方が直接権限を持っている。しかし公社は普通はいわゆる争議権、罷業権は持っておりませんから、その点では、大臣もそういう交渉の相手になるのになりやすい面もあるわけでございます。ところが、公団の職員組合は労働法によって直ちに、端的にいえばストライキ権を持っております。そうして交渉に入って、仲裁裁定でなくて、これはもう明らかに労働委員会によって裁定が下される。そういう場合の交渉相手は結局、このままこの条文でいけば、大臣になるわけでございまして、大臣を相手にストライキをやったり、それから大臣が労働委員会へ出ていっていろいろやらなくちゃならないというような事態が、このままではどうしても予想されるわけでございます。そういう形ができることは、逆に非常に私どもとしては望ましくない状態であって、むしろ大臣としては、予算を作るときに、本年度の給与予算はこれだけだということがちゃんとできるような規定になっておりますから、そこで本年度の給与はこれだけ、その他、他の事情があった場合には、予算の修正を大臣がお命じになるなり、公団総裁の要請によって大臣がお認めになれば、この給与総額といいますか、給与の基準はきまるわけでございまして、それを越えて出すことはこれはできないようになっておりますから、この条文があるために、かえって給与の問題は混乱してくるし、そうしてまた大臣の立場も非常に変な形になってくるのじゃないかということを私は心配するのですが、その点についてはどういうふうにお考えでございますか。
  404. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 大へんおもんばかりのある御注意で感謝をいたしますが、お話のように、この条文があるから私が真正面の責任を負わなければならぬというふうにも考えられますが、今前段でお話しのように、予算そのものを認可して、その中での給与の総額というものをきめますから、やはり結果的にみれば、最後責任を回避するわけにもいくまいかと思いますが、私自身の気持からいえば、決して事を荒立てる趣旨で置いてあるつもりではない。そうかといって、最後まで責任を回避していくつもりもございません。このことは事を多くするために置いたつもりはないので、やはり予算全体をきめる中で、給与について特に一つの基準を置いたということは、先ほども申すように、他の機関との間の給与の調和をはかる意味において、公団の財務状況から幾ら上げてもいいというようなわけにはいきませんという趣旨で置いたようなわけでありますので、御注意の点はよく理解をいたしましたが、運営につきましては責任を負いますが、またこれによってことさら事を繁くするようなことのないようによく留意をいたしたいと思います。
  405. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 第七章、第八章を一緒にやります。
  406. 田中一

    田中一君 これは建設大臣に、これも議事録に残るように、一つうまい御答弁を願いたいと思います。第五十九条の恩給の問題ですが、いろいろ大蔵大臣と今までの折衝の間には、ずいぶん困難とまた御努力があったものと感謝しております。しかしながら御承知のように、二百二十名というものは首切られておる。そのうちの大部分のものは吸収してやろうという建設大臣も親心があるようですから、この際こういう処置をとっていただきたい、現在恩給年限の来ているものは、当然これはこの範疇に入るわけでありますけれども、公団に行って、公団が何年続くものか存じませんが、かりに三年でも五年でも続いた場合に、いよいよ首切る場合には、まことに恐縮ですが、あなたの、建設大臣の腹一つでできることなんです。どこかの地方または中央の公共団体に、半年でも一年でもあるいは三カ月でも、一ぺんどこかへ戻して下すって、そうしてもう一ぺん戻れば恩給がつくのだというような場合、それをばっさりここでもって首切っちゃうと、通算されないことになるのです。通算されるものはやはりどこかへちょっとでも戻せばいいじゃないですか。そういうことを考慮してやっていただきたいと思うのです。これは当然恩給年限がその短い期間に来ない者に対しては、やむを得ない場合もあるでしょう、事情によっては。しかし恩給年限はもう来るのだという場合には、それを一つ一ぺんどこかへ配置転換をして、恩給をやるような措置を一つとっておいてほしいと思うのです。それが速記録に載りますと、そうすると、向うに行く人も喜んで一生懸命やると思うのです。
  407. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この恩給の制度は実は、初めてというと語弊がありますけれども、全く新しく作ったようなわけでありますから、こまかい点についてはいろいろまだ不十分な点があるかもしれませんが、これが現在許し得る最大限度のところとしてやったようなわけでありまして、このねらいは私から申せば、決して恩給のための制度と考えておるわけではないのでありまして、住宅政策を広範に今後も推進をしていくためには、いろいろな機関、いわゆの公団なり民間機関政府との間に人事の交流をいたしまして、政府のプランニングをする者は、また現地において住宅建設に当ってくるというようなことをすることが、ほんとうに生きた、国民の要求する住宅政策を立案し、遂行するために必要だと考えまして、人事の交流を政府機関とこれらの公団との間に行いたいという趣旨で、この恩給法の制度を特に要求いたしたようなわけでありますから、結果的に今お話しのようなケースというものは、むしろ私は積極的に望んでおるわけでございまして、公団においてしっかり腕をみがいた諸君が再び政府計画立案に当るということが、生きた政治をやる上において必要だと考えておりますから、御注意の点は必ずそうなることを私は確信をいたしております。
  408. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に第九章罰則から附則まで、いわゆる末尾までを議題に供します。
  409. 田中一

    田中一君 附則の第三条ですが、「アメリカ合衆国政府の職員の居住の用に供する住宅の賃貸その他の管理」、これは今何か、百六十戸でしたか、現在何戸あって、どこがこれを管理しておるかということを伺いたいのです。
  410. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実はこれは目下営繕局で建設中の軍事顧問団の住宅であります。これは行政協定から見まして両方が負担するような関係にありまして、政府が持っておりますと、率直にこう申し上げていいのかどうかわりませんが、家賃が取れません。で、ざっくばらんに申しますと、政府以外のものの所有にいたしておきますれば、米軍もこれに家賃を払うことができるわけでありますので、そういうことも考えまして、公団が建設後これを所有いたしまして、米軍側からも家賃を必要量取る、こういうことでこういう建前をとっておるわけでありますが、これはざっくばらんな……。
  411. 田中一

    田中一君 何戸あります、現在。
  412. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 現在建設中のものが百六十二戸あります。
  413. 田中一

    田中一君 もっとふえますか、だんだん。
  414. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) もうこれ以上ふえない。
  415. 田中一

    田中一君 そうすると、これも出資という形で、現物出資の形でもって投資になるのですか。
  416. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そういう形になります。
  417. 田中一

    田中一君 第十二条ですが、この「日本住宅公団の施行する土地区画整理事業」、ここに「新たな市街地を造成する」こういう文字が初めて出てきたのです。この新たな市街地を造成するのは、やはり耕地、山林、緑地、その他全部を何とか始末をしなければならぬのですが、これは首都建設委員会でそれを決定したのかどうかの問題、それから農林省とこれに対して全面的に意見の調整ができておるのかどうか、伺います。
  418. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そういう点はよく話し合いを進めて参るつもりでありまして、農地については法律で規制をいたしませんで、具体的に農林省と話し合いを進めて参る。また首都建設委員会等での計画は今日も進めておる次第でありまして、「新たな」という意味は、別に特別の趣旨というよりも、本法の方を受けた考え方であります。
  419. 田中一

    田中一君 私はそういう簡単に、「新たな」ということが特別な意味がないなんていうことは考えられないのです。やはり新しい構想のもとに市街地を造成しようという考え方だと思うのです。そこで首都建設委員会におけるところの首都建設計画というものは、農地法に優先するように僕は理解しておるのです。その点はどうでしょうか。
  420. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それは法律的には優先する力はないと思います。
  421. 田中一

    田中一君 ちょっと僕は計画局長にその点伺いたいのですが、この首都建設委員会の決定というもの、首都建の建設計画というものは農地法に優先するように僕は理解しておるのです。
  422. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 首都建設委員会で決定されたことは、やはり一般のこの都市計画ないしは土地区画整理、それぞれの法律の適用を受けてこれの法律効果は発生するような仕組みにたしかなっておると私は考えております。おそらく田中委員の今仰せになったようなことを実行するとすれば、これは特別立法において、首都建設特別立法というものを別に打ち出しまして、特別の法律効果を出すというようなことでもいたしませんければ、そういう形にはなるまいと考えております。
  423. 田中一

    田中一君 新たな市街地を作るということは、これは全然農地には関係ない、あるいは緑地には関係ないというような考え方でいいのですか。
  424. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いえ、そういうわけではありませんので、この造成をする計画の内容として、農地との関係法律的に押えるということよりも、話し合いによって具体的に解決をいたして参りたい、かように考えております。
  425. 田中一

    田中一君 この十三条の設置法の問題ですけれども、これは定員法は通りましたかね。
  426. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まだでしょう。設置法は通りましたが、定員法はまだです。
  427. 田中一

    田中一君 そこで私は、建設大臣がもう少し、もう一つの愛情を持ってくれると、定員法の二百二十名、百九十七名でしたか、あれをもう一年待ってくれると、公団のこの法律が通って設置法の改正をみると、もう一年だけは一万戸程度を営繕局が受託して、そうして向うに出かけてりっぱな住宅建設をやるのも一つ方法ですし、また現在の営繕局においてりっぱな、あなたの手元において住宅建設をするのも一つ方法なんですよ。私はここにこうして十三条を設け、設置法の改正をしようという意図が、まあ一万戸程度のものは営繕局で本年度やらしてもいいじゃないかというような非常に思いやりのある親心から、この設置法の改正を出したものと考えておったのです。従って、まだ定員法もきまっていないとするならば、ここであのうちから百九十何名というものを一ぺん修正して、そしてまあこうして予算も通り、かつまた三カ月も済んでしまったのですから、発足までには二万戸可能でしょうけれども、それはまあ逐次公団の方は職員の整備をして、この改正に基いて営繕局へ仕事をやらすようなお気持がないものでしょうかな。
  428. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まあ大へん御親切なあれでありますが、まあものは考えようで、一年おくらすのも一つ考え方でありましょうけれども、私はやっぱり公団発足と同時に思い切って、身を挺して働いてもらう方が、若い諸君など張り合いがあるであろう。必ずしも私はこれを消極的に考えておりませんので、役人と両方で両またかけたようなことでは、思い切った仕事はできないんじゃないかというふうに考えておりますから、せっかくの田中委員のあれでありますけれども、どうも直ちにもとへ戻すということは、今の段階では考えておりません。
  429. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この程度で、御発言もありませんようですから、日本住宅公団法案質疑は終了したものと認めまして、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  430. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議がありませんようですから、次に、住宅融資保険法案の逐条審議に入ります。  住宅融資保険法案第一条から第十五条まで。
  431. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  432. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記をつけて下さい。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。(「質問なし」と呼ぶ者あり)——別に御発言がありませんようですから……。
  433. 田中一

    田中一君 これは私はいいですがね。ただ採決の場合には、大蔵大臣に来てもらって下さい。
  434. 石川榮一

    委員長石川榮一君) そういうことは大蔵大臣の都合もありますから……。  次に、附則を問題に供します。別にありませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)——それでは住宅融資保険法案質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  435. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議ないものと認めます。  まず、日本住宅法案の討論を行います。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  436. 石井桂

    ○石井桂君 私は自由党を代表いたしましまして、希望条件を付して、ただいま議題になりました日本住宅公団法案に賛成の意見を述べるものでございます。  日本住宅公団法案は、従来の公営住宅が都道府県単位であったものを、行政区域に拘束されずに広域的に住宅建設する意味と、地方公共団体の負担を軽減する目的民間資金を導入して、従来公営住宅として建設をしておりました中層耐火アパート建設し、また宅地を造成するものでありますが、本案は、なお三十年度住宅計画四十二万戸の一環として施策されたものであります。  ただいままでの審議の経過によりまして、明らかにされましたことは、政府の今年度の住宅対策に種々の短所があることがわかったことであります。その一つは、四十二万戸の計画中の民間自力建設住宅二十四万五千戸ははなはだ見込み過大のきらいがあること、第二は、公営住宅に六坪の過小住宅が多数含まれておること、第三は、公団住宅の家賃が相当に高価であること、第四は、公庫住宅一戸当りの融資率の引き下げと貸付坪数の減少が計画されていることであります。つきましては、これらの短所に対して左の条件を付して賛成をしたいと存じます。  第一は、今年度政府住宅建設計画四十二万戸の五八%を占める民間自力に待つ二十四万五千戸の促進対策として、消極的なる減税措置及び住宅融資保険の制度を設けようとするのみでありまして、他に積極的な方策を見ないのであります。よって政府民間資金住宅投資への促進、その他適切なる措置によって戸数確保努力せられたい。  第二は、日本住宅公団住宅、本年度の二万戸計画は、これを消化し得るやいなや疑わざるを得ないのでありまして、これが目的達成のため、資材の規格統一、量産方式の採用、新工法の導入によって、工期の短縮と工費の節減に努められるとともに、家賃の低廉化に努められたい。  第三は、公営住宅において六坪住宅八千三百戸を計画しておりますが、かかる過小住宅は、都市のスラム化を将来起す原因でありまして、看過しがたい。よって政府は六坪住宅建設は可及的最小限度にとどめるとともに、一面前段に要請した技術的方策によって建設費の節減、従って坪数規模の拡大に努められたい。  第四は、住宅金融公庫住宅においては、一戸当り貸付坪数の縮小及び融資率の減額を企図しておりますが、かかる施策は、おのずから賃借人の資力範囲について限定を来たし、公庫本来の目的に背馳するものと言わざるを得ません。よって政府住宅金融公庫の一戸当りの貸付限度を前年通り据置きの措置を講ぜられたい。  以上であります。
  437. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は日本社会党を代表いたしまして、日本住宅公団法案には反対するものであります。  鳩山内閣は、過日の総選挙に当り、住宅政策を選挙公約の最も主要な目標の第一番に考え、それを国民に宣伝いたして第一党をかちとり、第二次鳩山内閣が組織されました。その結果、今年度は住宅四十二万戸建設の公約を実行に移さねばなりません。これに対し、住宅不足で悩んでおる住宅困窮者は、この四十二万戸建設という数字をそのまま受け取り、鳩山内閣を支持したのであります。ところが、いよいよその計画に入りますと、四十二万戸の住宅建設とはおよそ縁遠い計画に、国民は欺瞞されたと憤激を感じておる次第であります。政府住宅四十二万戸建設を公約いたしました建前から、この数字のみにとらわれ、国民の意思、感情等は何ら考慮することなく、数字を合せることのみに血道をあげているということがこの住宅公団法案に表われております。さらに、今次の住宅公団法案は現内閣の選挙政策のにおいがぷんぷんといたしておるようにも思われます。法案提案されて以来、私どもがいろいろ内容について関係大臣から御説明をお聞きいたしましても、はなはだ納得しがたいものがあります。以下若干の批判を加え反対の理由を申し上げます。  その第一点は、まず初年度住宅四十二万戸建設の欺瞞性についてであります。国民の大多数は政府資金によって四十二万戸が建設されるものと考えておりました。ところが、今国会提案された内容で民間自力建設二十四万五千戸を含んでおることを明らかにされました。このことは全く国民を愚弄した欺瞞策であります。この点について政府は、従来も民間自力建設の数字は計算に入れておるから、決して欺瞞でないと言われますが、それなれば、なぜ選挙公約の折に民間自力建設をも含まれている点を明らかに国民の前に示して宣伝しなかったのでありましょうか。それを選挙中に明らかに示さなかったところに欺瞞性があり、明らかに公約違反と言わざるを得ないのであります。  第二点は、政府融資建設十七万五千戸のうち三万五千戸、民間自力二十四万五千戸のうち一万五千戸、合せて五万戸の増改築であります。一間増築したり、二階等を一間建て増ししても、政府住宅二月の計算に入れておられる点であります。一戸とは独立した家屋を称すると考えておりますのに、一間を一戸の計算でございまするから、ここにも欺瞞性があると思われます。一間を二戸と計算するならば、四十二万戸の建設は容易でありましょう。公営住宅建設について、昨年度は五万一千九百四十六戸であり、今年度は五万二千四十二月ですから、昨年に比べましてわずかに九十五戸の増加であります。ところが、その内容を見ますと、昨年度二戸建が十五坪、十二坪、十坪、八坪で、最低が八坪でありました。今年度計画は最高が十二坪で、十坪、八坪、七坪、六坪と大幅に建坪数が縮小され、なかんずく八坪、七坪、六坪の小さい坪数の建設が二万一千九百戸も計上されておりますが、ここにも欺瞞性があります。さらに、住宅金融公庫融資率が昨年度よりそれぞれ一〇%ずつ切り下げられている点は、住宅困窮者にとっては住宅建設をますます困難にせしめることになると思われます。以上の点批判してみましても、建坪数を小さくしたり、融資率を切り下げて戸数を若干増したといたしましても、決して進歩したという住宅政策でなくて、すべてが欺瞞によって計画されているのであります。  第三点は、今次の住宅公団法案住宅困窮者を対象としての法案であり、家賃はなるべく安くいたしたいと言っておられますが、実際問題として、政府が言っておられますように、安い家賃で入居ができるかどうか。この点を検討いたしますると、百六十六億の資金で二万戸建設計画ですから、一戸当りの建設費が八十三万円ということになります。従って、家賃は、決して政府がしばしば言っているように、安い家賃で入居できるとは思われません。結局最後には五、六千円の家賃になるのではないかと想像されます。そういたしますと、これは住宅困窮度の高い階層のための住宅ではなく、必然的に高給生活者の階層でなくては入居できないような住宅政策ではなかろうかと思われます。  第四点は、鳩山内閣がほんとう住宅問題を考えているならば、何も住宅公団法というようなものに力を入れなくても、既存の機構を生かして、いっても十分ではなかろうかと思います。今次の住宅公団法はただ機構を複雑化するのみではないかと思います。百六十六億という膨大な資金住宅金融公庫の方に回す施策をすれば、もっと数多くの住宅困窮者に便利をはかる結果になると考えられます。ところが、そういうことをしないで、住宅金融公庫によって潤うべき住宅困窮者はかえってその場を失った次第であります。住宅公団法案の条文中に機構、人事その他の点について私どもには納得のできかねる不明確な点がありますが、ただ機構のみが複雑になって参り、一般国民は非常に迷惑なことと存じます。特に住宅困窮者は今日まで住宅金融公庫になじんできまして、年年その利用度も増加してきておりますやさき、新たに住宅公団法案により住宅公団が発足いたしましたならば、屋上屋を作るような結果となり、住宅建設促進には、かえってマイナスになるのではなかろうかと考えられます。  以上若干の理由を申し上げまして、反対の討論を終ります。
  438. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私は緑風会を代表いたしまして、賛成いたします。  この法案が通過いたしますと、いろいろな点がありますが、特に注意すべき点は、土地区画整理事業との関連であります。つまり、この法案の通過した暁においては、ある地区に対しては公団が土地区画整理事業を施行することができます。その地区というのは、あるいは公団の行う住宅のために土地区画整理事業を施行すべきことが、都市計画として規定され得ることと思います。そういう観点を見ますと、やはり大きな数字の土地区画整理事業、まずこれを根本的に考えてほしい。それから単に土地区画整理にいたしましても、家を建てるばかりではなく、やはり交通機関もあります。ことにたくさんの人が住みますから、そこに行く電車とかいろいろの観点もあります。また今までややもすれば家を作るばかりに重点を置いて、あるいは浄化装置とか、水道とかそういうことに対しても非常に欠けた点がありますから、それらの点を十分考えて、言いかえるならば、ほんとうに土地区画整理という真の目的を達する意味において、この住宅公団の真の土地区画整理の目的を達してほしい。これを特に要望して賛成いたします。
  439. 田中一

    田中一君 私はただいま採決をしようとする日本住宅公団法に反対するものでございます。  その理由としては、まず第一点として、今日公営住宅法あり、住宅金融公庫法あり、また産業労働者住宅金融通法あり、そうしておのおのこの住宅建設に対する法律目的を異にいたしております。たとえば、住宅金融公庫法においては、国民大衆が健康で文化的な生産を営むに足る住宅建設に必要な資金を、銀行その他一般金融機関融通することが困難なものに融通する、こうはっきりいたしております。また公営住宅法を見ますと、これには住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸するものだ、かように定義いたしております。また産業労働者住宅金融通法には、産業労働者住宅建設しようとするものに対し、産業労働者住宅建設に必要な資金の一部を長期かつ低利で融通すると規定してございます。この日本住宅公団法は、一応その目的としては、住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅を供給するもの、こう規定いたしております。そこで審議の過程におきましても、いろいろ住宅に困窮する勤労者という対象は何であるか聞いて見ましても、この前も申し上げました三つの立法の目的のように、はっきりした対象をつかんでおりません。いたずらに、今近藤委員の言ったような四十二万戸の住宅建設の公約というものを、数字を合せるためにきゅうきゅうとし、そうして時代の要求であるところの耐火性能を有する住宅というものが、ただ数字を合せるだけの問題である。ことにその資金は当然財政投融資から求めなければならぬものを、民間資金から借り入れ、また困窮せる地方自治団体の財政から起債を認めるというような便法を用いて出資を求める等、少くとも国民大衆に対する、いわゆる住宅に困窮する勤労者のための施設でなくて、屋上屋を架すような特定なる階級、改装への住宅供給にとどまっておるという点にあるのでございます。ことにこの家賃というものは、民間資金よりの投入などによりまして、相当高価なものになり、公営住宅の求めるところの住宅に困窮する低額所得者に対して、低額な家賃で賃貸するものとはおよそ遠い存在であることはいなみがたいのでございます。  第二点といたしましては、この公団の内容が、ことごとく建設大臣の一方的な権限にゆだねられておる。ほかの公共企業体におきましては、おおむね国会はよってその長となる者の任免が行われておるにかかわらず、この公団法におきましては、どこまでも建設大臣の権限によって、建設大臣の独自の権限によって任免されるという点でございます。これは今日数々の公共事業体から見ますときに、はなはだその公共企業体の精神を没却したところのものであるというところでございます。これは先ほど審議の過程においても湯山委員からも言っているように、給与及び退職手当の支給の基準等を全く建設大臣が、どこまでも総裁に一任するとは言いながら、この運営のすみずみまで不当なる干渉をする余地を残している点でございます。  第三点といたしましては、私が本国会にこの日本住宅公団法に先立ちまして、日本分譲住宅公社法案並びに国設住宅法案提案いたしております。この二つの法案に盛られましたところの国民大衆に住宅を供給しようという精神と、あまりにかけ離れた点でございます。われわれが提案しておりますところの国設住宅法は、この当委員会で一応提案理由の説明は申し上げました通り、今日地方財政の困窮せる折柄、補助政策はとっておりません。全額国庫が負担いたしまして、今日の住宅政策、もろもろの住宅政策をここに統合いたしまして、家賃その他もすべて住宅を求めようとして求められない、住宅困窮者に、月収のある一定の割合をもって賃貸をしようという法案と、日本住宅公団法に基きますところの賃貸住宅の内容、並びに日本分譲住宅公社法に盛っておりますところの住宅の質と量を、国家資金によりまして大量に建設し、その一応住み得る程度の主体構造を提供いたしまして、あとは国民の協力、いわゆる国民の所得の中の幾分かを割いた協力によって、自分の家を完成しようという住宅供給の方法と、日本住宅公団の持つところの分譲住宅の形式と、はなはだ国民の負担において大幅な相違が見られる点でございます。おそらくこの日本住宅公団法が成立いたしましても、今日の住宅に困窮せる国民大衆は歓迎しないでございましょう。少くとも、われわれ社会党委員から提案いたしておりまするところの国設住宅法案並びに日本分譲住宅公団法案が万雷の拍手をもって迎えられておる現在、特定なる持てる者への供給方法としての日本住宅公団の誕生には絶対反対するものでございます。  以上反対討論を終ります。
  440. 武藤常介

    ○武藤常介君 私は日本民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております日本住宅公団法案に賛成の意を表するものであります。  現内閣が最も重要なるべきものとして取り上げた国民生活の安定上、勤労者住宅の充足、これは国民の重大問題としておる問題でありまするが、現内閣はここに見るところがありまして、これが充足のためにあらゆる努力を払い、あらゆる方策を講じて案出したものが、この日本住宅公団法であります。戦後十年になりまするが、まだ住宅の不足は三百万戸になんなんとするということでありまするが、その後あるいは公営住宅あるいは住宅金融公庫によりまして、住宅の充足に努めて参ったのではありまするが、これらをもってしては、この不足をどうしても急速に充足することはできない。こういうので、ここに見るところがありまして、計画をもって、本年は四十二万戸を充足する。この一つ方法としてこの法案計画いたしたのでありますが、これによりまするというと、耐火性の構造でしかも集団住宅である。しかも宅地のない者には供給までできるということであり、なお健全な新市街地の造成もできるというようなことになろうと思います。  これらの点から考えてみまして、本法案の実施の上は、必ず住宅の充足の上に一大曙光を見ることであって、必ずその成果は見るべきものがあると思いまするが、政府はこれが実施に当りましては、万全の注意と努力を払いまして本法案の使命の達成に努力せられんことを希望いたしまして、本案に賛成する次第であります。
  441. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 他に御発言もございませんか。——他に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めまして御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  442. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。日本住宅公団法案を問題に供します。本案を原案の通り可決することに賛成される方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  443. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 多数であります。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  つきましては、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条によりまして議院に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりましてこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  444. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっております。ついては本法案を可とされた方々は順次御署名を願います。   多数意見者署名     石井  桂   赤木 正雄     武藤 常介   石原幹市郎     小沢久太郎   西岡 ハル     宮本 邦彦   横川 信夫     北 勝太郎   村上 義一     堀木 鎌三   —————————————
  445. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に、住宅融資保険法案の……。
  446. 田中一

    田中一君 先ほど指摘した通り大蔵大臣出席を求めます。
  447. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいま大蔵大臣の居所を突きとめておりますが、わかりせん。やむを得ませんから、政務次官に急速に来るように出席を求めております。
  448. 田中一

    田中一君 大蔵大臣があれほどここで出席しますと言って帰ったのですから、そんなばかな話はないと思うのですよ。
  449. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  450. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。  住宅融資保険法案の討論を行います。御発言のある方は賛否を明かにしてお述べを願いたいと思います。
  451. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は住宅融資保険法案に賛成するものでございまするが、若干の希望意見を申し上げます。  この住宅融資保険法案は、運用いかんによって相当重大な問題があると思います。すなわち、運用いかんによっては悪用され、乱用される危険性があると思いまするから、その点一つ十分に規制されまして、そうして悪用、乱用されないように努力を払っていただきたいということを希望いたしまして、賛成いたします。
  452. 田中一

    田中一君 ただいま採決しようとする住宅融資保険法案は、民主党内閣の四十二万戸建設の放言に基いて計画されたものであることはいなみがたいのでございますが、少くとも各金融機関住宅に対する融資ということは、利潤追求の高度の資本主義的な形態を持つところの金融機関は、今まではこれを貸し付けなかったという点を打開いたしまして、究極においては国の保証、いわゆる保険制度に基く保証にたよって融資をさせようという法案でございますから、一応の賛成はいたします。しかしながら、審議の過程においても数々の疑問点がございました。ことに金を貸させるために作った法律か、資金を貸したいからこの法律ができたのか、はなはだ疑問とするところでございます。この運営につきましては、どこまでも従来の金融機関が安心して金を貸し付けられる層以外の、銀行としては貸付ができないと言われておるところの層の国民に対して、大幅な融資を行なっていただきたい。そうして、少くとも住宅金融公庫程度以上に国民の利用度が多くなり、かつまた負担の軽減されるような方途を考慮されて運営に当っていただきたい。かような希望条件をつけまして賛成するものでございます。
  453. 武藤常介

    ○武藤常介君 日本民主党を代表して本案に賛成するものであります。  従来住宅金融公庫のややともすれば保証の問題あるいは還付の問題で、十分に機能を発揮し得なかった点を、この保険法によりましてその欠を補いまして、十分に資金融通が迅速に行われるだろうということを考えますと、この四十二万戸達成に最もいい法案一つであるということを信ずるものであります。かような意味におきまして、私は賛成するものであります。
  454. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 他に御発言もございませんようですから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  455. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議ないと認めます。  それでは採決に入ります。住宅融資保険法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の御挙打を願います。   〔賛成者挙手〕
  456. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定をいたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他事後の手続につきましては、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  457. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  報告書に多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     石井  桂  赤木 正雄     近藤 信一  武藤 常介     石原幹市郎  小沢久太郎     西岡 ハル  宮本 邦彦     横川 信夫  北勝 太郎     村上 義一  湯山  勇     田中  一  永井純一郎     堀木 鎌三
  458. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  459. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。本日はこれで散会いたします。   午後六時二十分散会