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1955-06-28 第22回国会 衆議院 本会議 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十八日(火曜日)     —————————————  議事日程 第三十三号   昭和三十年六月二十八日     午後一時開議  第一 航空業務に関する日本国カナダとの間の協定締結について承認を求めるの件  第二 船舶滅失又は沈没の場合における失業補償に関する条約(第八号)の批准について承認を求めるの件  第三 海員の雇入契約に関する条約(第二十二号)の批准について承認を求めるの件  第四 海上で使用することができる児童最低年齢を定める条約(千九百三十六年の改正条約)(第五十八号)の批准について承認を求めるの件  第五 船員健康検査に関する条約(第七十三号)の批准について承認を求めるの件  第六 商品見本及び広告資料輸入を容易にするための国際条約への加入について承認を求めるの件  第七 観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約批准について承認を求めるの件  第八 観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約に追加された観光旅行宣伝用資料輸入に関する議定書批准について承認を求めるの件     ————————————— ●本日の会議に付した案件  議員細野三千雄君逝去につき院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞議長に一任するの動議石田博英提出)  米価に関する緊急質問足立篤郎提出)  第二次漁港整備計画に関する決議案綱島正興君外三十九名提出)  日程第一 航空業務に関する日本国カナダとの間の協定締結について承認を求めるの件  日程第二 船舶滅失又は沈没の場合における失業補償に関する条約(第八号)の批准について承認を求めるの件  日程第三 海員の雇入契約に関する条約(第二十二号)の批准について承認を求めるの件  日程第四 海上で使用することができる児童最低年齢を定める条約(千九百三十六年の改正条約)(第五十八号)の批准について承認を求めるの件  日程第五 船員健康検査に関する条約(第七十三号)の批准について承認を求めるの件  日程第六 商品見本及び広告資料輸入を容易にするための国際条約への加入について承認を求めるの件  日程第七 観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約批准について承認を求めるの件  日程第八 観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約に追加された観光旅行宣伝用資料輸入に関する議定書批准について承認を求めるの件  風俗営業取締法の一部を改正する法律案眞鍋儀十君提出)  銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  砂糖消費税法案内閣提出)  日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣提出)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出)  関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案大蔵委員長提出)     午後三時六分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御報告いたすことがあります。議員細野三千雄君は、去る六月二十五日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  この際弔意を表するため石田博英君から発言を求められております。これを許します。石田博英君。     [石田博英登壇
  4. 石田博英

    石田博英君 ただいま議長から御報告に相なりました故衆議院議員細野三千雄君に対し院議をもって弔詞を贈呈し、その弔詞はこれを議長に一任するの動議提出いたします。(拍手)  細野さんは、去る二十五日、病のため逝去されました。私は、この際、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼の辞を申し述べたいと存じます。  細野さんは、愛知県の御出身で、明治三十年に生まれ、大正六年第八高等学校から東京大学法学部に進まれたのでありますが、その翌大正七年、わが国社会運動史上に大きな事績を残した新入会東大学生を中心に結成されたのであります。細野さんは、進んでこの運動に参加し、ここにその全生涯を社会主義運動に捧げる発端を作られたのであります。  大学御卒業の後は、弁護士を開業するかたわら、大原社会問題研究所において社会問題について研鑚を重ね、また、立教大学及び法政大学の教壇に立って、学生指導と誘掖に努められたのであります。大正十四年には農民労働党、翌十五年には日本労農党結成がありましたが、細野さんはそれぞれその本部会計就任、引き続き昭和三年には日本大衆党本部役員に、同七年には社会大衆党中央執行委員となり、わが国社会主義政党の発展に大きな足跡を残されたのであります。(拍手)  細野さんを、第二の故郷であり選挙区であった秋田県と結んだのは、昭知初年、当時天下の耳目を聳動した北秋田郡前田村の小作争議でありました。小壮気鋭の若き社会運動家であった細野さんは、恵まれない小作人諸君期待の中に、雪深き山村に入り、農家に起臥をともにして、数年にわたる争議指導、訴訟の解決に、文字通り心骨を注いだのであります。(拍手)官憲の強圧と封建の遺風のもと、その苦しさとその困難さは、今日法の許容のも、に行われるものの比ではなく、強い情熱と不抜の勇気のある人のみのなし得ることでありました。(拍手細野さんは、一見弱々しく見える体躯と温容の中に、この強烈な気魄を包んでいたのであります。この戦いで、細野さんの同志のある人々戦いの中で倒れ、また今日この議場の中に幾人か数えることができるのでございます。(拍手)私は、その同僚諸君の感懐いかがかと拝察いたすのであります。  私は、幾たびか、細野さんが農民諸君に迎えられて、箱そりでかかえられるように行かれるのに邂逅いたしました。それは文字通り農民の慈父の姿でありました。細野さんは、また、農民とともに鉱山労働者諸君のよき友人でもありました。小坂鉱山、尾去沢鉱山等労働争議に際し、常に労働者諸君の味方であったのであります。  戦後、混乱の中に、昭和二十年十一月社会主義陣営の統一がなり、日本社会党結成を見るや、推されて中央執行委員に御就任、翌二十一年の第二十二回選挙に、ゆかりの深い秋田県第一区より立候補して、衆議院議員当選されました。秋田県の農民及び労働者諸君の輿望が細野さんの献身的努力と誠実なる御人格におのずから集まつたからであります。以来、当選五回、在職五年有半、今日に及ばれたのであります。その間、わが国農村民主化基本法たる自作農創設特別措置法案の審議に際しては特別委員会理事となり、農民運動家としての多年のうんちくを傾けて、この画期的な法律の制定に尽力いたされました。また、憲法付属重要法案である国会法案及び裁判所法案のそれぞれの特別委員会理事として、民主的な国会並びに裁判所制度の確立に尽されました。昭和二十三年には芦田内閣文部政務次官として文部行政に参画され、さらには農林委員文部委員建設委員あるいは裁判官訴追委員として御活躍になるなど、戦後議会政治のために尽した功績ははなはだ大なるものがあります。(拍手)  私は、細野さんと単に同じ選挙区の選出であるばかりでなく、地域的に主力地盤が全く同一であり、しかも政治的信条を異にするいわゆる政敵であります。総選挙に相対すること五たび、九カ年に及び、そのほか各種選挙にも当然相争つて参りました。しかし、私は、顧みて一点のわだかまりもなく、さわやかな思い出につづられていることを仕合せに思います。私たちは常に紳士の争いに終始したことを誇りに思います。(拍手)しかし、それはひとえに細野さんのすぐれたお人柄良識の結果にほかなりません。私はいつの間にか細野さんに徳化されていたのであります。私たちは幾十たび立会演説会演壇に並んで立ちました。その最後は、先般の総選挙告示直前仙台市で行われた放送討論会でありました。  選挙が始まるとともに、細野さんは、先年手術された宿痾が再発して、秋田市の日赤病院に入院されたのであります。演壇を交代するとき互いにかわす細野さんの微笑を、私は今目に浮べることができます。御入院中、私は時折お見舞に参りました。初めのころ、面会謝絶の札に戸口から帰ろうといたしますと、看護婦さんが呼び戻しに来ました。鼻から胃の洗浄の管を通していて、苦しそうでありました。細野さんは、ただ手をあげて会釈されるだけでした。しかし、次第に快方に向われ、加えて病床のまま御当選になって、間もなく退院されたのであります。私たちは、細野さんがそのまま御健康になられることを願い、また信じたのであります。しかし、病はようやく重く、手厚い御家族の看護のかいもなく、ついに御本復を見るに至らなかったのであります。  細野さんは、資性温厚、誠実、しかも強固な意思を内に持つ典型的な外柔内剛の人であり、名利を追わず、文字通り清貧に徹し、三十年の星霜を通じて農民労働者諸君のために働き続けたのであります。きわめてきちようめんな学者はだの御性格であるとともに、春風をもって人に接せられたのであります。また、細野さんは、お酒が好きで、かつ非常に強かったのであります。しかも、そのお人柄そのまま、静かに一献々々を楽しまれたのであります。あの満員列車のころ、秋田への行き帰りで、窓を通す風雪の中を、毛布を分け合い、ひざを突き合せて、お互いに工面した杯をかわしたことも幾たびかございました。最後に、仙台に行く車中、向い合つた寝台車で、私は例によってお酒を取り出しました。細野さんは、相変らずだなあと、ちょっとうらやましそうでありました。私は、御健康がほんとうでないことを思い出して片づけようといたしますると、少しはやつているんだと言うのであります。私によけいな心づかいをさせまいと思われたのでありましょう。そのときわずかずつかわした酒が、酒友細野さんとのお別れでありました。  私にとつて細野さんの思い出は尽きません。諸君もまた同じであろうと信じます。(拍手細野さんは、接する人に善意と親切をのみ与える人でありました。わが国議会政治に今や最も良識が求められておりまするときに細野さんを失つたことは、痛恨きわまりなく、哀惜の情尽きぬものがあるのであります。  ここに、細野さんの長逝に対し、その人となりを追慕し、敬弔の誠をささげ、その御冥福を心からお祈りして、追悼の言葉といたします。(拍手
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) ただいま石田君から提出されました動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって動議は可決せられました。  ここに議長の手元において起草いたしました文案を朗読いたします。  衆議院ハ議員細野三千雄君ノ長逝哀悼シ恭シク弔詞呈ス     〔拍手〕  この弔詞贈呈方議長において取り計らいます。      ————◇————— 米価に関する緊急質問足立篤郎提出
  7. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、足立篤郎提出米価に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  8. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  米価に関する緊急質問を許可いたします。足立篤郎君。     〔足立篤郎登壇
  10. 足立篤郎

    足立篤郎君 私は、米価並びに食糧政策に関しまして、自由党を代表して政府所信をたださんとするものであります。  昨日新聞に発表されました本年度米価一万六十円につきましては、全国農民はまさに落胆をいたしております。政府がすでに決定しました予約買付制度につきましては、集荷第一線に立つべき農業団体等はすでに協力能勢をとりまして、予約買付数量の末端における割当等さえもやつておるのでありますが、この米価では全く集荷の見通しが立たないということで、いわばお手上げの形になっておるのであります。今後困難なる集荷第一線に立つべき人々がかかる状態でありますことは、重要なる国の食糧政策の観点から、まさに憂うべき事態と申さねばなりません。そこで、私は、生産者はもちろん、消費者立場にも立ちまして、以下、政府の率直なる答弁を求めんとするものでございます。  米価一万六十円の内容については、本日の新聞紙上ほぼその内容が明らかになっておりますが、政府早場米奨励金を考慮し、その格差を二百十円としている模様でありますので、包装代を差し引き、等級間格差等を勘案いたしましても、正味三等米の基本米価は九千七百六十一円となる勘定でございます。これは政府予算米価とほぼ同一価格でございますので、言いかえますれば、あれだけもみにもんでようやくきめられた米価が、実は予算米価に対して早場奨励金をちよつぴりとつけたということになるのでありまして、農林大臣の面目はいずこにありやと申したい。のみならず、与党である民主党が公表されました米価一万二百六十円はどうなつたのでありますか。そもそも、今回の米価決定については、政府は当初から全くこれを政治的に取り扱いまして、政府行政責任として信念をもってこれを決定すべき用意も努力も見られなかったことは、遺憾しごくと申さなければなりません。(拍手)  さらに、従来は奨励金が免税されておりましたので、全国平均して農民手取りの二割ないし二割五分が課税を免除される特典が与えられておつたのでありますが、本年度はこの点はいかに取り扱おうとされておるのか。もしもこの既得の恩恵ともいうべき減税措置が剥奪されるようなことになりますれば、本年の米価従前に比して明らかに引き下げになるのでありまして一万六十円は全くの見せかけ米価と申さなければなりません。大蔵大臣はこの従来行われてきた供米に対する減税措置をどのように扱われんとするのか、具体的な内容をお伺いいたしたい。  なお、ついでに大蔵大臣に伺いますが、今回の米価決定によって必然的に起つて参ります予算上の措置をどのようにされんとするか。食管会計に生ずる百億余りの赤字対策として酒造米を増石されんとしている模様でありますが、一時しきりに伝えられた三級酒問題はどうされるのか、具体的な御答弁をお願いいたしたい。  また、政府は、業務用と称しまして、非常な高値によって米の販売考えておられる模様でありますが、農林大臣は、全国農民を代表される立場で、農民からたたき買いしました米を、やみ値にひとしい価格政府みずからが売りさばくということは、政治道義として果してできるとお考えになっていらつしやるか。政府が率先やみ行為を行なって、それで今後も取締りができるのでありますか。この点の農林大臣のお考えを伺いたい。  さらに、農林大臣に伺いたい最も重要な点は、この米価で、あなた御自身が御計画になっている配給所要量二千四百万石の米が果して集まるとお考えになっておられるかどうか。あなたは、総選挙に際しての消費者大衆に対する公約を果されるためには、まず政府計画数量をどうしても確保しなければならない大きな責任を持っていらつしやいます。しかし、集荷については予約買付制度を実施されますので、農民政府に対する従来のごとき供出の義務を負いません。食管法を改正せず、いまだ政令も出さずに、これからおもむろに米の予約買付制度をおやりになろうとしているのでありますが、こんな八方美人的な安易な考え方で、しかも米価を不当に押えつけておいて、果して米が期待通りに集まると正気でお考えになっていらつしやるのでありますか。もし農林大臣にその確信ありとするならば、その根拠を具体的に御発表願いたい。  日本農民は、戦争以来今日まで、統制による犠牲に耐え忍んで参りました。しかし、もはやこれ以上農民にのみ忍従をしいることはできません。予約買付制度のもとにあつては、農民は当然、自由価格めどに置いて、汗の結晶であるとうとい米の売り先を選択する自由を主張するでありましょう。政府が、任意売り渡し制度、すなわち予約買付制度をみずから選び、しかもみずから米のやみ売りを行わんとしていながら、もしも農民が自己の生活を守るために政府以外のものに米を売り渡した場合、この農民行為をあえて統制違反として罪に陥れることができるのでありますか。  かかる矛盾と欠陥に満ちた予約買付制度政府はあえて強行せんとしているのでありますが、事の成否はすでに行わずして明白でございます。もちろん農林大臣自身も無理を御承知でやろうとなさつていると私は思うのでありますが、一体、この制度をどこへ持っていこうとお考えになっていらつしやるか。もしもこの中途半端の制度を将来続けようとするならば、おそらく米価は必然的にますます引き上げざるを得ないでありましょう。少くとも全国やみ価格平均以上に米価を上げなければ、半分の米も集めることができないと私は確信いたします。それとも、食管法現行通りのまま予約買付制度をなさろうとしておるのでありますから、その御意図は、もしも米が期待通りに集まらない場合は、供出制度に再び切りかえて、強権発動でもなさろうという強い御決意でもお持ちになっていらつしやるのですか。それとも、また、米価は一応この辺にきめておくが、今年の作柄等を見た上で、さらに多少の色をつけて集荷をしようという二段がまえでもしておられるのか。なおまた、食管法は必然的に改声を要するものと考えますが、農林大臣の御所信を伺いたい。  さらに、予約をした農民につきましては前渡金をお渡しになると新聞紙上にも伝えられておりますが、どういう条件で、どれほどお渡しになろうとしているのか。従前青田売買によると同様の弊害を生ずるおそれがないか。この点に対する御答弁もお願いいたしたい。  さらにまた、農民が米の減収のために予約をした数量供出し得ない場合、政府はいかなる処置をとろうとしておられるか。私は予約供出をする者については予約奨励金を当然お考えになると思っておつたのでありますが、本日の新聞紙上によりますと、これは出さないと言明されております。私どもの考えでは、この制度を一応成功せしむるためには、どうしてもこの予約奨励金を大幅に出す以外には方法がないと考えております。なぜならば、ただいま私が申し上げました通り農民は当然自由価格めどに置いて米の赤り渡し考えますので、平均米価早場奨励金の加算されるいわゆる早場米地帯におきましては、もともと自由価格も安いのでありますから、相当量の米を政府はつかむことができるであろうと私も考えます。しかしながら、もともと自由価格の高い関東、東海、近畿、西日本一帯にかけましては、早場奨励金恩恵を受けることはほとんどありませんので、平均米価以下に米価が下ることは必至であります。自由価格との価格差は極端に開いてくる道理でございます。このことは、集荷技術という点から見ますると、全く実態に逆行する結果になるのでありまして、拙劣きわまる方法と申さなければなりません。この点に関しまして農林大臣はいかようにお考えになっていらつしやるか。  さらに、私が最も憂慮いたします点は、政府食糧政策の失敗から、日本国内には米がありながら、一方、政府配給の形式上の責任を全うするために、かえつてむだな外米輸入しなくてはならないようなばかげた事態が起きはせぬかという点であります。これは、国家にとつて大へんな損害でありますと同時に、外国食糧によって日本農民が圧迫される結果にもなるのであります。農林大臣は、全国農民生活を保障する意味におきまして、この点について確信を持ってさようなことはないと断言することができますか。  最後に、鳩山総理に伺いますが、以上私が申し述べました通り予約買付制度は、今度おきめになつたやり方では、成功の見込みは全くございません。そこで、総理大臣は、内閣責任者としてかねて公約された消費者に対する配給を維持し得なくなつた場合、どのように処置されるお考えであるか。もしも計画通り実行ができなかった場合には、事が国民の食糧の問題でありますだけに、事態は重大であると申さねばなりません。総理は当然に大きな政治責任を負われると考えますが、御所信のほどを伺いたい。  さらに、友愛精神を常に説かれる総理は、米の統制によってひとり農民犠牲をしいられ、善良なる農民や食わんがためのかつぎ屋が法の名のもとにいたずらに罪に陥れられ、他方、法網をくぐる料亭などで公々然とやみ米が食膳に供せられている矛盾をどうお考えですか。ましてや、政府自身がやみ取引にもひとしい行為を行わんとするにおいては、もはや論外であります。この状態で、法の権威が保たれ、法治国としての体面が維持されるとお考えでありますか。総理は、この際、予約買付制度を一つの準備期間として、思い切つて統制を撤廃される御意思はないか。  この際、政府は厳密なる検討を行なって、一体、この方法で、この米価で、確実にどれだけの数量を集め得るか、その数量でどれだけ配給が維持できるのか。たとえば、暫定的には、都市の配給を行なって地方の自由販売を認める等の措置をとりながら、農業団体共同販売態勢を育成助長し、農民に対する価格保障制度を確立し、他方輸入食糧政府管理によって国内食糧需給調節をはかり、価格安定の方途を確立していくことが最も望ましいと私は考えておりますが、この際統制撤廃に関する総理並びに農林大臣の御所信を明確にお伺いいたしたいと存じます。  以上、私の質問を終ります。(拍手)     〔国務大臣河野一郎登壇
  11. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えをいたします。  この価格で予期するところの集荷ができるかというお尋ねがありました。われわれは、もちろん、米価につきまして農民諸君からいろいろ御要望のありましたることを十分承知いたしておりまするが、私といたしましては、農民諸君並びに全販連その他の団体の御協力を得、十分なる御理解を得て、所期目的を達することに努力をいたしまして、ぜひ予定の集荷をいたしたいと思っております。  第二に、集荷方途はどうするのかということでございますが、私といたしましては、この予約集荷制度をとるに至りました経緯としていろいろ米の問題について専売論もあり自由販売論もあるのでございますけれども、現在の情勢におきまして直ちにこれらの徹底したる方途に進むということは、なかなか事情が困難でございますので、それにはそれぞれの準備が入り用でございますので、いろいろ各方面の御意見を承わつて、今日の予約集荷制度をとるに至つたのでございます。もちろん、この制度に対しまして、政府といたしましては万全の処置を講じまして、この制度によって所期目的を達して参りたい。ただし、将来にわたりましては、われわれといたしましても十分研究をいたしまして、それぞれ所定の必要なる改良を加え改善を加えていかなければならぬことは、申し上げるまでもないと思うのであります。  第三に、前渡金の問題でございます。前渡金につきましては、大体二千円差し上げることにいたしております。もちろん、その他予約奨励の問題につきまして、価格において十分というわけに参りませんので、政府は、あらゆる面から努力いたしましてひとり前渡金の問題のみならず、各般の点について十分努力をして、農民諸君の御協力を得たいと思っております。  さらに、減収の際に前渡金その他はどういうふうになるか、また、減収の際には予約の関係はどういうふうになるかというお尋ねでございますが、私といたしましては、減収の際には、予約はいたしてありましても、これまでとり来たりましたように補正をいたしまして、その減収の度合いによりましてその予約を減じて参る、双方合意の上これを減額して参ることは、当然の処置と思うのでございます。従いまして、その際には前渡金を返していただくということになると思うのであります。  さらに、外米輸入のことについて申し上げたいと思います。これによって米が集まらなかった際には、外米輸入してそれで当面を糊塗することによって、農民に非常な迷惑を与えることになりはせぬかということでございますが、先ほども申し上げましたように、あらゆる努力をいたしまして、また各方面の絶大なる御協力によりまして所期目的を達するようにいたしまして、政府といたしましては、予定の集荷に対して必要なる外米輸入することによってまかなっていきたいと思うのでございます。  最後に、統制撤廃の問題についてお尋ねがございました。今申し上げましたる通り、この予約集荷制度は、われわれといたしましては、この制度によって現段階はやつて参ることが一番妥当であると考えて、この処置をとつたのでございます。しかし、顧みますれば、わが国の米に対する制度をいろいろ研究いたして参りますると、人口の問題もありましようし、農業改良の問題もございましょうし、これら食生活のあらゆる点からいろいろ客観情勢が変化して参りまするので、戦争中もしくは終戦後の数年間は別といたしまして、その以前の情勢について考えましても、米に対する政策は必ず両三年を一期として変化して参っていると思うのであります。どういう制度をとりましても、今後一つの制度でこれを数年続けて参るということは、情勢が変つて参りまするので、その情勢に即応してやつていかなければならないのが過去の実例でございまするし、将来につきましても、その準備を常に怠らずに研究して参る必要があると思うのであります。そういう意味合いからいたしまして、今日はこの予約集荷制度でわれわれは責任をとつて参ります。これによって集荷がないだろう、なければ統制撤廃にするつもりだろうというようなことを、いろいろお疑いを抱かれる方もございますが、これは、私としては、そういうことは絶対考えておりません。おりませんけれども、将来にわたっての問題といたしましては、まだ、これはただいま申し上げましたるような意味合いにおいて研究は続ける必要があるし、十分努力しなければならぬと考えておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣一萬田尚登君登壇
  12. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 三十年度産米の予約買い入れと減税の点でありますが、従来は、供出米につきまして供出奨励金の部分について臨機に所得税を免除いたしておりました。今回は、米穀管理制度の運用の改正によりまして、従来の供出奨励金が廃止されまして米価に織り込まれることになりましたことに伴いまして、予約に応じ政府に対しまして売り渡しをして参つた者につきましては、売り渡し価格の一定部分を非課税といたしまするよう、目下検討を加えております。  なお、今回の米価によりまして食管に生ずる赤字につきましては、輸入食糧の買い入れ値の減少、食管会計諸経費の節約、準内地米の業務用の売却、酒米の売却価格の引き上げ、その数量の増加等によりまして、その赤字が十分補てんができるという考えでおる次第でございます。  お答え申し上げます。(拍手
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 内閣総理大臣答弁は適当な機会に願うことといたします。      ————◇————— 第二次漁港整備計画に関する決議案綱島正興君外三十九名提出)     (委員会審査省略要求事件)
  14. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、綱島正興君外三十九名提出、第二次漁港整備計画に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  第二次漁港整備計画に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。田口長治郎君。     [田口長治郎君登壇
  17. 田口長治郎

    ○田口長治郎君 私は、ただいま議題となりました、民主党、自由党、両派社会党の共同提案にかかる第二次漁港整備計画に関する決議案について、各派を代表いたしまして、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。  まず、決議案文を朗読いたします。   第二次漁港整備計画に関する決議案   政府は、第二次漁港整備計画を立案し、漁港審議会に諮問し既にその答申を得たとのことである。   よつて政府は、第二次漁港整備計画を速かに決定し、漁港法第十七条第二項の規定に基き、今会期中に国会提出し、その承認を求むべきである。  右決議する。  食糧を増産いたしまして、その自給度を高め、そうして輸入食糧の抑制をはかることとともに、輸出の振興によりまして国際収支の改善を期することは、わが国経済の再建、国民生活の安定上最も必要でありますことは、今さら申すまでもありません。この施策の一環として、今日すでに国民保健食糧として必要でありますところの脂肪、蛋白の八〇%を供給しておりまして、輸出貿易におきましては総額の一〇%を占めておりますところの水産業を発展せしむることは、わが国の地理的条件あるいは国民性等から考えまして適切かつ不可欠であることは論を待たないどころであります。  御承知の通りわが国の漁業は、世界第一と称せられまして、はなばなしく活躍して参ったのでありますが、敗戦の結果、千島、樺太あるいは朝鮮、台湾、南洋諸島等の領土を喪失いたしました結果、必然的にこれら各地に求めておりました漁業の前進基地をすべて失うとともに、連合軍の占領当時にありましては、いわゆるマッカーサー・ラインがありまして、日本の公海漁業は極度に制限されておったのであります。これがために、日本のあらゆる漁業は沿岸漁業に集中をいたしました。この沿岸漁場は、皆さん方も御承知の通り、戦時中食糧を確保するために酷漁乱獲し、資源を枯渇しておったのでございますが、ここにあらゆる漁業が集中されたのでありますから、沿岸漁業の荒廃に全く拍車をかけたような状態となりまして、その結果は、沿岸漁業の不振と沿岸漁民の生活の困窮、配給米もとれないような実情を呈して参ったのでございます。  従って、これが打開策といたしましては、いろいろな方法がありますが、そのうちで最も重大なることは、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へと漁業の転換を推進することが最も重要でありまして、今日まで強力にこのことを実施して参りました。すなわち、沖合いに転向する日本の漁業、また前進基地を失った日本の漁業は必然的に漁船の大型化と近代化が要請されるのでありまして、これを数字的に見ますと、昭和二十二年、海水動力船八万九千六百隻、このトン数が六十三万トンでありましたものが、昭和二十九年十二月末におきまして、十三万七千隻、このトン数実に九十八万五千トンとなりまして、急速に増加いたしておるのであります。従って、漁獲高におきましても、二十二年の六億二千五百万貫から二十八年度には十二億七千三百万貫という、戦前を凌駕する長足の発展を遂げておる次第でございます。この漁船の近代化、大型化による漁業の発展は、当然漁港の整備を伴わなければならないのであります。  しかるに、漁港の整備は遅々として進まず、今日におきましては、各地ともに著しくアンバランスを呈しておるのであります。一例を申し上げますと、漁港法によりまして指定をせられました漁港が全国に二千六百余港もあるのでございますが、そのうち修築に着手したものは、わずかに第一次整備計画として承認せられた四百五十港のうちで三百七十五港にすぎない実情であります。全国漁民の漁港整備に対する要望があのように熾烈であるゆえんも実にここにある次第であります。  漁港の使命は、皆さん御承知の通り、漁民のただ一つの財産でありますところの漁船を保護する施設であるばかりでなしに、ときによりましては漁民の生命を守る施設であります。これがゆえに、漁業の能率は増進し、漁獲物の処理は迅速に運び、魚の鮮度は保たれ、漁業の経営が成り立つのであります。漁港の整備なくしては漁業の発展はあり得ないのであります。従って、私は、全国漁港の現況から考えまして、漁港法の定めるところに従い、漁業の発展に即応して、計画的になるべく数多くその整備拡充をすみやかにはかり、もって危険を未然に防止することはもとより、漁業経営を合理化し、生産の増強をはかるとともに、漁民の生活の安定に資することは、けだし適切妥当なる処置と思うのであります。加うるに、昭和二十六年国会において承認いたしました第一次整備計画漁港中、未着手のものも残り少くなりました。しかも、これら未着手の漁港中には、今日では直ちに着手することが必ずしも妥当でないものもある現状から考えまして、政府はさきにみずから立案し漁港審議会に諮問して、すでにその答申を得た改訂整備計画、すなわち第二次整備計画案を今会期中に国会提出され、その承認を求める処置をとられるよう、院の決議として強く要請いたす次第でございます。  なお、この際政府に対し一言しておきたいことは、漁港整備計画と表裏一体をなしますところの予算の確保の問題であります。せっかく整備計画が整いましても、予算の裏づけがなくては、計画は画餅に終る次第でありますから、今後特段の考慮を払われ、これが確保についてはいま一段の熱意と御努力を要望する次第でございます。  何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案は可決いたしました。  この際、農林大臣から発言を求められております。これを許します。農林大臣河野一郎君。     〔国務大臣河野一郎登壇
  20. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま御決議の趣旨は、全く、私は、最も必要な、機宜に適することと考えまして、すでに政府におきましても、それぞれ関係省との間に連絡もしくは協議をいたしまして、近日のうちに御要望の通りにいたす所存でございます。一言申し上げます。(拍手)      ————◇—————  第一 航空業務に関する日本国カナダとの間の協定締結について承認を求めるの件  第二 船舶滅失又は沈没の場合における失業補償に関する条約(第八号)の批准について承認を求めるの件  第三 海員の雇入契約に関する条約(第二十二号)の批准について承認を求めるの件  第四 海上で使用することが、できる児童最低年齢を定める条約(千九百三十六年の改正条約)(第五十八号)の批准について承認を求めるの件  第五 船員健康検査に関する条約(第七十三号)の批准について承認を求めるの件  第六 商品見本及び広告資料輸入を容易にするための国際条約への加入について承認を求めるの件  第七 観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約批准について承認を求めるの件  第八 観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約に追加された観光旅行宣伝用資料輸入に関する議定書批准について承認を求めるの件
  21. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一、航空業務に関する日本国カナダとの間の協定締結について承認を求めるの件、日程第二、船舶滅失又は沈没の場合における失業補償に関する条約(第八号)の批准について承認を求めるの件、日程第三、海員の雇入契約に関する条約(第二十二号)の批准について承認を求めるの件、日程第四、海上で使用することができる児童最低年齢を定める条約(千九百三十六年の改正条約)(第五十八号)の批准について承認を求めるの件、日程第五、船員健康検査に関する条約(第七十三号)の批准について承認を求めるの件、日程第六、商品見本及び広告資料輸入を容易にするための国際条約への加入について承認を求めるの件、日程第七、観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約批准について承認を求めるの件、日程第八、観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約に追加された観光旅行宣伝用資料輸入に関する議定書批准について承認を求めるの件、右八件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員会理事菊池義郎君。     [菊池義郎君登壇
  22. 菊池義郎

    ○菊池義郎君 ただいま議長において読み上げました八つの案件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げるのでありまするが、一々詳しく申しますると、一昼夜かかりましてもまだ足らないくらいでございますので、急所々々を押えて、要点をつまみまして、手ぎわよく簡単に御報告申し上げたいと存じます。  まず第一の、航空業務に関する日本国カナダとの間の協定について申し上げます。政府は、一昨年四月以来、この協定締結のための交渉を行なっておりましたが、昨年末に至りまして両国間の意見がまとまりまして、本年一月十二日、オタワにおきまして署名を了するに至りました。この協定は、さきに国会承認を得ました日米、日英、日本とタイ、日本とスエーデン等の航空協定と同一の目的及び意義を有しておりまして、その内容もほぼ同一でございます。カナダは、サンフランシスコ平和条約に基きまして、暫定的にわが国に乗り入れの一方的権利を持っておりましたが、この協定締結によりまして、わが国カナダとの関係においてこの片務的な状態を解消いたしまして、わが国の航空企業もまたカナダの航空企業と平等の条件でカナダに乗り入れることができるようになるわけでございます。  次に、第二から第五までの、国際労働機関、すなわちILOで採択いたしました四つの条約について申し上げます。  第一の、船舶滅失又は沈没の場合における失業補償に関する条約は、一九二〇年にILOの第二回総会で採択されました条約でございまして、その目的とするところは、要するに、船舶滅失または沈没によりまして海員失業いたしました場合に、船舶所有者が海員失業期間中賃金と同じ割合で補償金を支払わなければならないと規定し、これにより海員を保護せんとする趣旨でございます。この条約は、一九二三年三月十六日に発効いたしました。現在までに批准した国は、連合王国すなわち英国、カナダ、フランスを初め三十カ国でございます。  第二に、海員の雇入契約に関する条約は、一九二六年にILOの第九回総会で採択されたものでありまして、主として海員の利益保護の見地から、船舶所有者と海員との間に結ばれる海員雇い入れ契約の成立要件、契約内容等を一定の規制のもとに置くことを目的とするものでございます。この条約は一九二八年四月四日に発効しておりまするが、最近までに批准した国は、連合王国——英国、カナダ、フランスを初め三十カ国でございます。  第三に、海上で使用することができる児童の最低年令を定める条約は、一九三六年にILOの第二十二回総会で採択されたものであります。この条約は、同じ名称の条約大正十三年にわが国批准したものの全文の改正条約でありまして、その改正の趣旨は、前条約において十四才未満の者の船舶における使用を禁止していたのを十五才未満の者にまで拡張したわけであります。この条約は、一九三九年四月十一日に発効いたしました。最近まで批准した国は、米国、カナダ、フランスを初め十六カ国でございます。  最後に、船員健康検査に関する条約は、一九四六年にILOの第二十八回総会で採択されたものでありまして、その目的とするところは、健康証明書を保有する船員にのみ船舶乗り組みを認めることによりまして船員の健康を保護しようということでございます。この条約は一九五五年八月十七日に発効するのでありますが、最近までに批准した国は、カナダ、フランス、イタリアを初め十カ国であります。  これらILO四条約内容は、いずれもわが国の国内法においてすでに規定せられ実施せられておるところでありまして、わが国が当事国となりますることには特に法律的に意義があるわけではないのでありまするけれども、わが国が公正な国際労働慣行を順守している実情を世界に知らしめ、また将来もそれを維持していくことを国際間に約束いたすことになりますので、これによってILO憲章の趣旨に沿つた国際協力を進める点から、またわが国の海外における信用を高める点から申しましても、深い意義があることでございます。  次に、第六の商品見本及び広告資料輸入を容易にするための国際条約について申し上げます。この条約は、第七回ガット締約国団会議におきまして、一九五二年十一月七日にジュネーヴで作成せられ、翌年二月一日から六月三十日まで署名のために開放されましたが、その後は国際連合事務総長に加入書を寄託して加入することになっております。この条約は、わが国がさきに当事国となっている税関手続の簡易化に関する国際条約第十条の見本に関する規定を拡充したものでありまして、商品見本及び広告資料の転入に関する規則を国際的に統一いたしまして、もって国際貿易を促進することを目的としたものでございます。わが国は、この条約の当事国となることによりまして、わが国商品の海外進出と一そうの国際貿易の振興に寄与することができるわけであります。現在までに批准または加入を行なつた国は九カ国であります。この条約はいまだ効力を生じておりませんが、十五カ国の参加を待って、近く効力を生ずるものと予想されております。  終りに、第七及び第八の、観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約及び観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約に追加された観光旅行宣伝用資料輸入に関する議定書につき申し上げます。この条約及び議定書は、国際連合の主催で昨年五月から六月にかけてニューヨークで開かれた国際会議において作成されたものでありますが、わが国もこれに参加し、十二月二日に署名を行いました。この第一の条約は、外国からの観光客等一時旅行者が携帯搬入する身回り品、嗜好品、みやげ品の一定品目数量につきまして、再輸出を条件としてまたは消耗品の場合には再輸出を条件とせずに、免税輸入することを当事国が相互に承認することを内容としております。第二の議定書の方は、観光旅行等海外旅行の奨励を目的とする無料配布用宣伝資料を免税輸入すること、及び同目的の無料展示用宣伝資料を再輸出を条件として一時的に免税輸入することを、当事国が相互に承認することを内容としております。この条約及び議定書は、わが国の観光事業を発展せしめるのに大きな利益を受けるわけでありまして、署名期間中に署名を行なつた国は、わが国を含めて、条約三十二カ国、議定書二十五カ国の多数に及んでおります。  以上の八つの条約案件は、いずれも六月一日に外務委員会に付託されまして、四日、二十二日及び二十五日の三回にわたり会議を開き、政府当局の説明を聞き、質疑応答が行われましたが、その詳細は委員会議録によって御了承願いたいと存じます。  続いて、討論はこれを省略し、採決の結果、八条約案件はいずれも全会一致をもってこれを承認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  23. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 八件を一括して採決いたします。八件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって八件とも委員長報告の通り承認するに決しまた。      ————◇————— 風俗営業取締法の一部を改正する法律案眞鍋儀十君提出銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  25. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、眞鍋儀十君提出風俗営業取締法の一部を改正する法律案内閣提出銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  26. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  風俗営業取締法の一部を改正する法律案銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長大矢省三君。     〔大矢省三君登壇
  28. 大矢省三

    ○大矢省三君 ただいま議題となりました、眞鍋儀十君提案にかかる風俗営業取締法の一部を改正する法律案につき、本委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案の内容は、玉突き場を風俗営業取締法の適用対象から除外しようとするものであります。由来、撞球、すなわち玉突きは、健全なる室内スポーツとして世界的に認められてきたものでありまして、わが国の撞球界も幾多優秀な世界的選手を送り出して参つたのでありますが、その玉突きの行われます玉突き場自体は、従来その経営の方法において射幸心をそそるおそれあるものとされ、本法の適用対象となって参つたのであります。しかるに、最近における玉突き場の実情は、業界の自粛とも相待って、スポーツ場としての本来の姿に立ち返つたのでありまして、この際本法の適用を除外することが撞球界の健全なる発展のために適当であり、かつ必要であるという趣旨に基きまして、本改正を行わんとするものであります。本法案は、六月二十一日本委員会に付託せられ、同二十二日提案者より提案理由の説明を聴取、かつ質疑を行い、また二十五日には取締り当局の意見をも聴取しました結果、業者の今後におけるところの一そうの自粛を条件として適用を除外することに異論なく、よって本二十八日採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決したのであります。次に、上程になりました銃砲刀剣類等取締令等の一部を改正する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。本案は参議院より若干修正の上送付されたものでありますが、その内容は、本令の一部に改正を加えるとともに、武器等製造法等の一部をも改正して、空気銃、飛び出しナイフ、あいくち等による殺傷事故の発生を防止し、銃砲刀剣類の誤用や悪用による危険防止の徹底を期せんとするものであります。すなわち、空気銃につては、現在その所持について何らの規制も行われていないのでありますが、金属性弾丸を発射する機能を有する空気銃は、これを狩猟用の装薬銃砲と同様、公安委員会の許可を得て、特定の場合域外は常に包装容器に入れて携帯することとし、また空気銃の製造及び販売についても、猟銃と同様に、都道府県知事の認許可を必要とすること、また飛び出しナイスについては、現在携帯を制限されておりますが、さらに徹底を期するために、刃渡り五・五センチメートルをこえる飛び出しナイフ及び刃渡り十五センチメートル未満のあいくちもその所持を禁止すること、以上二点を主たる内容としておりますが、そのほかに、なお輸出用の刀剣類を製作する者及びその委託を受けて輸出の取扱いをする者については、その業務を行うための所持を認めるようにし、建設用びよう打ち銃等建設業の用途に供するところの銃砲については、従前の屠殺銃と同様に、公安委員会の許可を受けて所持することができること、その他は関係手続の事務的な改正を行わんとするものであります。  本案は、六月二十二日参議院より送付され、同日本委員会に付託され、翌二十三日政府当局より提案理由の説明があり、自来、本委員会は慎重審議をいたしました。  論議の中心となりましたのは、かかる警察の取締りは必要最小限度でなければならないこと、及び、取締りの結果事実上製造及び販売を禁止されることになる関係業者の救済対策についてでありましたが、その詳細は会議録に譲ります。  なお、今回の改正法令を実施するに当つては、政府当局は、その末端に至るまで法の改正の趣旨の徹底を期し、いやしくも不当過酷な取締りを行い、当業者及び一般国民に不測の損害や不当な自由侵害にわたることのなきよう、十分の注意をもって法の施行に当り、万遺漏なきよう要望せられましたが、政府はこれに対して善処を約したことを付言いたします。  かくて、本案に対する質疑は本日終了、討論省略、直ちに採決に入りましたが、全会一致をもって参議院送付案の通り可決すべきものと決せられた次第であります。  右、御報告申し上げます。
  29. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます、よって両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇————— 砂糖消費税法案内閣提出)  日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣提出物品税法の一部を改正する法律案内閣提出関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案大蔵委員長提出
  31. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出砂糖消費税法案日本専売公社法の一部を改正する法律案及び物品税法の一部を改正する法律案、右三案とともに、大蔵委員長提出関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は委員会の審議を省略し、  一括議題として、この際委員長の報告及び趣旨弁明を求め、その審議を進められんことを望みます。
  32. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  砂糖消費税法案日本専売公社法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。大蔵委員長松原喜之次君。     〔松原喜之次君登壇
  34. 松原喜之次

    ○松原喜之次君 ただいま議題となりました砂糖消費税法案外二法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、砂糖消費税法案について申し上げます。  本法律案は、最近における税法の立法例にならいまして、明治三十四年に制定された砂糖消費税法の全文を口語体に改めるとともに、その内容についても若干の改正を行おうとするものでありまして、そのおもな内容は次の通りであります。  まず第一に、たる入れ黒糖及びたる入れ白下糖以外の含みつ糖について適正な税負担の実現等をはかるために、従来糖度で区別しておりました税率を統合し、百行につき千七百五十円の一本としようというのであります。  次に、自家用の砂糖類のみを製造する者が製造した砂糖類並びにたる入れ黒糖及びたる入れ白下糖の製造者が自家消費する一定限度の砂糖には消費税を免除しようというのであります。  最後に、従来の引き取り課税制度を移出課税制度に改め、製造場から移出の際に砂糖消費税を徴収しようとするとともに、その手続の簡素化をはかろうというのであります。  本案につきましては、本日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  次に、日本専売公社法の一部を改正する法律案について申し上げます。  まず第一に、地方財政の現状にかんがみまして、本年度に限り、たばこ専売特別地方配付金として三十億円を日本専売公社が政府の交付税及び譲与税配付金特別会計に納付すべきこととし、第二に、たばこ専売法等において準用する国税犯則取締法に基く通告の処分により納付される金銭及び物品の取扱いは、従来国が日本専売公社の役職員に行わせていたのを改めて、日本専売公社が国にかわつてこれを行うこととし、これに関する所要の規定を設けております。  本法案につきましては、去る六月十六日、民主党の内藤友明委員より修正案が提出いたされました。修正案の内容は、先般の民主、自由両党による予算の修正に伴う国税の減税措置によりまして、国税の収入額は初年度六十七億円の減少が見込まれ、これに応じて、地方交付税においても、初年度十四億七千四百万円の減少が予想されるのであります。従いまして、当初交付税及び譲与税配付金特別会計に納付を予定していた三十億円に、さらに十四億七千四百万円を増額して、四十四億七千四百万円といたそうとするものであります。  本法案は、本日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決に入りましたところ、内藤君提出の修正案並びにその修正部分を除く原案はいずれも起立総員をもって可決され、よって本案は修正議決いたされました。  次に、物品税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  現在三〇%の物品税を課せられているテレビ受像機のうち、十四インチ以下のブラウン管を使用した小型テレビジョン受像機につきましては、その育成の見地から、本年六月三十日までの間は一二%の軽減税率により課税することといたしておりまするが、なおある程度の軽減税率を適用する必要があると認められますので、明年六月三十日までの一年間に限り一五%の軽減税率により課税しようというのであります。  その他、輸出免税物品等の横流れ防止の規定を強化し、譲渡または譲り受けの委託または媒介によりこれらの物品を所持することを禁止する等の規定を設けようというのであります。  本案につきましては、本日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  次に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、その提案の趣旨と内容を御説嬰し上げます。  関税定率法の一部を改正する法律の一部改正については、別途政府から関税定率法等の一部を改正する法律案提出されておりまして、目下大蔵委員会において慎重審議中であります。この政府提出案中には、従来暫定的に関税を免除されて参りました石油のうち、原油、重油及び粗油の一部に対して軽度の税率で関税を復活することとする改正規定が織り込まれており、こ改正規定を本年七月一日から実施することといたしておるのであります。しかしながら、この石油関税の一部復活ということはきわめて重要な改正で参りまして、これが是非ないし当否に関しましては今後なお日を重ねて十分慎重審議を必要とすると考えられまするので、とりあえず、六月一ぱいで切れる関税の軽減免除に関する現行法律規定の適用期限を本年七月三十一日まで一カ月間延長することといたしたいと考えまして、大蔵委員会におきましては、全会一致をもって本改正案を起草提出いたした次第であります。  なお、本改正案による減収は約一億三千八百万円と見積られるのでありまして、大蔵委員会は、本改正案の提案を決定するに際しまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、政府に対して意見を求めましたところ、政府においてはやむを得ない旨の意見を開陳せられました。   以上がこの法律案の提案の趣旨と内容であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことを切望いたす次第であります。
  35. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより採決入ります。  まず、砂糖消費税法案日本専売公社法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案、右三案を一括して採決いたします。三案中、日本専売公社法の一部を改正する法律案の委員長の報告は修正、その他の二案の委員長の報告は可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって三案とも委員長報告の通り決しました。  次に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案は可決いたしました。  明二十九日は定刻より特に本会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十四分散会