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滝井委員 どうもちょっと今の
お話だけでは、納得がいきかねるのですが、そうすると、三、四十万もよけいに見ておったにしても、今の説明の昨年の三月、四月、五月、十一月、十二月まで見ても、二十万人の減少はないようでもありますし、もう少しそこらあたり詳しく
あとで資料を出してもらいたいと思います。
それから
医務局長さんにちょっとお伺いしたいのです。これは労働
関係なんですが、
労働省の
予算の中に、労災
病院の新営費が十二億くらいあるのです。これは
労働省の方に
あとで尋ねたいと思いますが、現在日本の
医療行政というものが、非常に多元化してきたということです。今度は公的な
医療機関の整備として六千三百万円
予算に計上されております。これは昨日川崎厚生大臣の答弁では、地方で受け取るところはないだろうというような、
予算は計上しているけれ
ども、そんな
予算は使われないのだというような答弁だったので、非常に無責任な答弁だと思いましたが、とにかく現在労災
病院がある。日雇労働者
健康保険ができた、これでも日雇労働者の
病院を作ろうという意見が出ている。それから逓信
病院、国鉄の
病院がある。それから国民
健康保険の直営
診療所がある。それから県立
病院がある市立
病院がある。それから海員あたりは海員の掖済会
病院のようなものがある。
社会保険は
社会保険
病院を持っている。それから年金は年金
病院を持っている、こういうように、実に
病院は多岐多元にわたっている。しかもこれはおそらく
医務局長さん
自身も、どこがどういう工合に
病院を建てられておるかということも御存じないだろうと思う。こういうように
病院がばらばらに建てられ、しかも狭いところに
——いつかも佐藤君が
指摘しておりましたが、県立
病院ができる、労災
病院ができる。私の知っておるところでは、
社会保険
病院もできておる。海員掖済会の
病院ができておる。しかも
病院は、みんなりっぱな施設は作ったけれ
ども、
一定の人口がきまっているのだから、その人口の中から出る病人の数は大体大した開きがない。みんな施設はりっぱにできたが、赤字で悩んでいる。全部
病院が赤字経営であることはおわかりであると思う。しかも、そのそばには無数の弱少開業医が群がり寄っておる、これも食えない
状態になってきておる、こういう情勢が出ておる。しかも、それらのものがみんな
健康保険を取り扱っている。
健康保険の会計は赤字である。こういう情勢で、日本の
医療行政というものは、もう全く
社会保険が継ぎはぎだらけであるように、それよりさらに
医療機関の分布というか、あるいはその建設というものはむちゃくちゃなんです。しかも大衆は新しくできた施設のいいところに、初物食いでどんどん殺倒していく。従って前の
病院は、作ったけれ
どももうだめなんです。行き手がいないということで、新しいうちにもう何かこれは
考え直さなければならぬという
状態が出て来ている。すでに多くの国立
病院が、戦争中に群がり建った、ところが、それはみんなペンペン草がはえておる。大きな何百床という病床を持っているけれ
ども、それにはもうペンペン草がはえて使いものにならない。国はこれを地方公共団体に払い下げようとしても、もらい手がない。こういう愚を再び今
医療行政が繰り返そうとしておる。しかも、もしこれで
健康保険が
健康保険医の指定でもやってごらんなさい、そうしてそれぞれの
病院を指定して、特殊な
病院には行くことができぬということになってごらんなさい、それらの公立
病院はばったり倒れてしまう。おそらくこういう事態に対して、日本
医療行政を担当する
医務局長さんとしては、今にしてメスを加えなければ大へんなことになる。国費の二重、三重投資のむだどころではない、こういう情勢が、今私が言っただけでもあるのです。そのほかに、まだどれだけ
病院が、いろいろの形で、財団法人とか公益法人とかいう名前でできておるかわからない。枚挙にいとまがない。こういう形をこのまま放置されておることは、大へんだと思います。もちろん、これらのものを整備するために、
医療機関の整備審議会とかなんとかいうものが各府県にあります。ところがそれらの府県にある審議会にかかるときは、もう
病院は、
予算が組まれて敷地も決定して、できるようになってからかかるのです。だから、もうそれはみな事後承諾になっておる。こういうことでは、私は日本の
医療行政は大へんだと思うのです。そういう金があるならば、もっと保健所あたりの予防行政に金をつぎ込んで、病人の起らぬ措置を講ずべきだと思う。最近は、あまりにも予防医学というものが無視され出してきた。そうして
社会保険の危機とか医薬分業の問題とかいうことがはなばなしく取り上げられて、もっと前の病人を起さずして日本の財政を有利に使おうという面がうとんぜられる傾向が非常に出てきておる。これは私は、やはり日本の
医療行政の上においては大へんなことだと思うのです。
病院につぎ込む金があったら、国費をもっと予防医学につぎ込むべきだと思うのです。これは
山口公衆衛生局長さんもおられますが、がんばってもらわなければいかぬと思います。保健所の定員が七三%であったり五〇%であったりする、しかも
病院は堂々とそびえ立っておる。しかもその
病院には行く
患者がなくて、カンコドリが鳴いておる。しかも労災
病院が一般の
診療まで扱わなければ成り立たぬ。逓信
病院や国鉄
病院は、
自分の組合の組合員を対象としてできておるけれ
ども、一般の者も吸収しなければどうにもならぬということでは、それを作った組合員にも不幸なんです。昨日も国立
病院の組合員の方が言っておりましたが、国立
病院は不親切だと言われ出した。なぜか。それはつき添い婦を切られ、あるいは看護婦の定員がだんだん狭められて、しかも入っておる
患者というものは、みなボーダー・ライン以下あるいは
生活保護法の対象者、従って、いわば少しひがんでおると言っては語弊があるが、
社会の非常に下積みの人が国立
病院に入ってきておる。そうして職員の諸君は、独立採算制のために
予算を削られ、仕事はふえてきておる。従って、手一ぱいで不親切にならざるを得ない。そうでなくても、入っておる人はボーダー・ライン以下の貧しい階級、ある程度ひがんだ人、しかも圧迫されておる人、職員の人は独立採算で
予算を削減されて苦しんでおる。こういう人が国立
病院を構成しておるから、理想的な経営ができなければならない国立
病院に、非常にヒューマニズムをもって栄えなければならぬ
病院とは打ってかわった
状態が出てきておる。こういう情勢から、私は日本の
医療行政を担当される
医務局長としては、もはや現在はその根本にメスを入れる時機が来たと思う。今の時機をのがしては、メスを入れる時機はないと思う。幸い
社会保険も、もはや行き詰まって赤字です。ここで六十億円ぐらいの借入金をしても、一年を待たずして行き詰まることは火を見るよりも明らかである。しかも
社会保険も行き詰まり、
医療行政自体についても大きな行き詰まりが来ておる。国立
病院も内部的に行き詰まっておる。こういう情勢で、やはりここで剔抉を加えて、日本の
医療行政をやる時機が来たと思う。
医務局長、
一つ勇断をもって、幸い新進気鋭の、
社会保障
制度の専門家といわれる川崎大臣を迎えたのですから、
一つ意を決して、鳩山さんもまだ一年半ぐらい政権を担当されると言われるんだから、
一つやってもらいたいと思うのです。こそくなことではだめなんです。どうですか。(「五年やるよ」と呼ぶ者あり)五年やれると言われるなら、なおけっこうですが、どうですか。
医務局長、
一つ医薬分業に取り組むあの情熱をもって、根本にメスを入れてもらって、その上に医薬分業を実施してもらいたいと思うのです。
医務局長、
一つどうですか。
予算の問題よりも、私はこれが根本だと思うのです。御見解を承わりたい。