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1953-07-29 第16回国会 参議院 本会議 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十九日(水曜日)    午前十時四十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十七号   昭和二十八年七月二十九日    午前十時開議  第一 戦争犠牲者保護に関する千九百四十九年八月十二日のジユネーヴ条約への加入について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第二 世界気象機関条約への加入について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第三 日本国フイリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第四 地方鉄道軌道整備法案衆議院提出)(委員長報告)  第五 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 港湾整備促進法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 農業機械化促進法案衆議院提出)(委員長報告)  第九 特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第一〇 木材防腐特別措置法案衆議院提出)(委員長報告)  第一一 武器等製造法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 漁業法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第一三 久六島周辺における漁業についての漁業法特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一四 学校図書館法案衆議院提出)(委員長報告)  第一五 危険校舎改築促進臨時措置法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一六 砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一七 富裕税法を廃止する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一八 有価証券取引税法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一九 閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二〇 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二一 日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二二 国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二三 健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二四 船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二五 厚生年金保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二六 医師等の免許及び試験の特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二七 保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二八 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二九 昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二十五年度特別会計歳入歳出決算昭和二十五年度政府関係機関収入支出決算委員長報告)  第三〇 鹿屋、野里両駅間鉄道路線変更に関する請願委員長報告)  第三一 鹿児島大隅地区測候機関設置請願委員長報告)  第三二 東北本線複線化等促進に関する請願委員長報告)  第三三 熊本県牛深港に警備救難署等設置請願委員長報告)  第三四 富岡駅に急行列車停車請願委員長報告)  第三五 宮崎日向福島改修工事施行に関する請願委員長報告)  第三六 福岡県若松港修築工事施行に関する請願委員長報告)  第三七 参宮、関西両線の列車増発に関する請願委員長報告)  第三八 広島県重井西港防波堤修築工事施行に関する請願委員長報告)  第三九 国道十号線中宮崎都城市内鉄道橋拡張等に関する請願委員長報告)  第四〇 木津駅に名古屋行準急行列車停車等請願委員長報告)  第四一 小型船舶職員養成に関する請願委員長報告)  第四二 西明石、京都駅間電車草津町まで運行延長に関する請願委員長報告)  第四三 西日本定期航空路開設等に関する請願委員長報告)  第四四 鹿児島県宮之浦港修築工事施行に関する請願委員長報告)  第四五 参宮線鉄道延長に関する陳情委員長報告)  第四六 浦安駅舎移転反対に関する陳情委員長報告)  第四七 めん類の鉄道貨物等級改正に関する陳情委員長報告)  第四八 草津京都駅間電車化に関する陳情委員長報告)  第四九 甲府、長野両駅間鉄道電化促進に関する陳情委員長報告)  第五〇 海上観光事業振興に関する陳情委員長報告)  第五一 関釜連絡航路再開に関する陳情委員長報告)  第五二 山陰急行列車を下関駅まで延長陳情委員長報告
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、離島振興対策審議会委員選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。本院において指名する委員は四名であります。
  5. 榊原亨

    榊原亨君 離島振興対策審議会委員は、成規手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  6. 杉山昌作

    杉山昌作君 私は只今榊原亨君の動議賛成いたします。
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 榊原委員動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、離島振興対策審議会委員に西川彌平治君、山川良一君、森崎隆君、松浦清一君を指名いたします。      ——————————
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、中央青少年問題協議会委員選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。本院において指名する委員は二名でございます。
  11. 杉山昌作

    杉山昌作君 私は、中央青少年問題協議会委員選挙成規手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  12. 榊原亨

    榊原亨君 只今杉山君の動議賛成いたします。
  13. 河井彌八

    議長河井彌八君) 杉山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、中央青少年問題協議会委員横山フク君、加賀山之雄君を指名いたします。      ——————————
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して国有財産虎門公園地原形復旧に関する決議案東隆君外十四名発議)、(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては、東隆君外十四名より委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対    〔東隆登壇拍手
  18. 東隆

    東隆君 先ず決議案を朗読いたします。   東京都所在の国有財産、虎の門公園地は、その一時使用許可条件通り、これを原形公園)に復旧せしめるため、政府は、速かに適切なる処置を講ずべきである。   右決議する。  提案の理由説明いたします。東京都千代田区霞ヶ関三丁目にある虎の門公園地は、国有地であり、明治四十五年以来東京都が公園用地として内務省から無償貸付けを受け、これを公園使用して来たのであります。終戦後、最初連合国軍に接収されていましたが、昭和二十三年十二月にこの土地ニュー・エンパイヤ・モーター株式会社使用を許可することを条件接収解除になりました。接収解除理由は、連合国側の必要に基き、連合国のシビリアンのために自動車及びその部品の販売及び修理等に関する営業をニユー・エンパイヤ・モーター株式会社に経営させるためであつたと言われております。そこでこの公園地管理者東京都は、この連合国側の要請と貿易庁希望もあつて昭和二十四年二月一日附でこの土地使用ニュー・エンパイヤ・モーター会社に許可しました。その際監督官庁建設省は、大蔵省に、即ち国有財産総括的所管庁大蔵省に、連絡をしておいたのであります。東京都が建設省の指示の下に与えた一時使用許可条件要点は、左の通りであります。  公園地の一部六百五十坪。期限は、昭和二十四年二月一日から二十八年一月三十一日まで四カ年。期間満了後は更新せざること。使用料は、坪当り一カ月五円十銭。建築物は、仮設用材による木造二階建とすること。使用期間満了の際は、使用者において一カ月以内に東京都の指定する方法に従い、自己の費用使用地原形に復旧して返還すること。但し、これを履行しないときは、東京都は直接又は他人をして、使用者に代りこれを執行し、その費用は、すべて使用者から徴収すること。東京都の公園使用条例並びに関係規則命令を遵守すること。  以上が、この許可条件要点であります。この許可書に対し、出願者ニュー・エンパイヤ・モーター会社の社長は、請書を出してその許可条件を遵守することを誓約をしておるのであります。会社がこの土地建築をしようとする際、この土地甲種防火地区に指定されているので、大きい木造建築が許されないことがわかりました。このため東京都は建築基準法に従い、組立式鉄骨建築に変更することを許可したのであります。組立式鉄骨建築は、普通の鉄骨コンクリート建築と異なり、解体も容易で、解体後の利用価値も大であるから、これを許可したのであると東京都は説明しております。  大蔵省では、二十四年九月以来、東京都及び建設省に対して、この土地永久的建造物が設置せられ、営利目的使用されており、公園としてこのまま存置させることは不当であるから、速かに除籍して大蔵省へ返還すべき旨を交渉しております。併し大蔵省が、この土地の一時使用許可は、四ヶ年を期限とするものであることを承知しながら、使用許可後僅か七ヶ月にしてこのような交渉を開始していることは、その動機が不可解であります。公園としての用途を廃止して、その土地大蔵省に返還すれば、普通一般国有地となりますから、これを営利会社貸付又は売却することが、大蔵省の自由になるのであります。これに対して建設省及び東京都は、飽くまでこの土地公園地として存置したい意思を表示し続けて最近に至つたのであります。而も東京都は、会社に対し建物の撤去につき、昨年六月には予告を与え、更に本年7月には一ヵ月の猶予期間を与えて撤去要求しておるのであります。又一方、会計検査院は、昭和二十六年三月に大蔵省に対して、この地が公園用地以外の目的使用されているから、その用途を廃止して大蔵省へ引継ぎ、別途、貸付又は売払処置を講ずべきものと認める旨の照会を発しております。この照会を受けた大蔵省では、建設省に対し重ねて同じ趣旨の申入をしております。併し会計検査院も、この土地使用許可が四ヵ年であることを知つておること並びに会計検査院当該係長及び班長が、この公園地処置方について会社から収賄の容疑の下に起訴されて、目下裁判中であるという事実を不問に付するわけには参らないのであります。本件はすでに、世上の問題となつており、衆議院は、本年二月十三日以来、参議院は三月六日以来、慎重に審議を重ねていたのであります。三月十四日に衆議院解散されるまでの大体の情勢は、以上述べた通りでありました。従つて政府並びに東京都としては、国会意向をも尊重して、本件処置につき最大の注意を払わねばならない情勢の下に置かれていたはずであります。  然るに三月から四月にかけて衆議院解散両院議員選挙等が行われている間に、一瀉千里の勢いを以て公園用途の廃止が決定され、虎の門公園地一般普通財産として大蔵省に返還されてしまつたのであります。このことから、建設省東京都の態度が最近に至つて急変し、この公園地は永久に国民の手から失われ、一営利会社の利益のために貸付又は売却の運命に曝されるに至つたのであります。ここにも又明朗ならざる一面を包蔵するのであります。そこで五月十八日に召集されました只今国会において再びこの問題を取上げ、大蔵大臣及び建設六百の意向を質しました。六月二十五日に至り、大蔵省の省議は、従前の態度を改め、期限を定めて、この公園地明渡し会社要求することを決定したのであります。  以上述べた通り本件虎門公園地の取扱については、終戦以来幾多の明朗ならざる経過を含んで今日に至つているのであります。この土地は、大きな面積ではない。併し明治以来の由緒ある公園地であり、その中には保存を要する史蹟も含まれておるのでありますから、今般政府の決定が、会社に対する原形復旧要求となりました以上は、政府は速かにこれがために適切な処置をとり、一日も速かにこれを公園に復元して、国民一般利用に供されることを痛切に要望するものであります。  更に思いを馳せるならば、戦前及び戦時中の陸海軍、或いは終戦後の占領軍等は、多くの国有財産使用していたのであります。前者は終戦後において、後者は独立後において、次第にそれぞれ処理されて来たわけであります。その間、いろいろな不明朗な事情の下に、国民一般は、幾多国有財産が不当に処理されておるのではないかとの深き疑惑の念にかられておりました。本件虎門公園地のごときもその一例であり、氷山の一角が現れたとすら考えられているのであります。従つて政府は、国有財産管理及び処分を将来に向つて最も適正ならしめると共に、過去に遡つて不当行為の厳正なる是正を行われるよう切望してやまない次第であります。  本決議案に対し、切に諸君の御賛同をお願い申上げます。(拍手
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本決議案採決をいたします。本決議案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  20. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて決議案は、全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、戦争犠牲者保護に関する千九百四十九年八月十二日のジユネーヴ条約への加入について承認を求めるの件、  日程第二、世界気象機関条約への加入について承認を求めるの件、  日程第三、日本国フィリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定締結について承認を求めるの件、(いずれも衆議院送付)、  以上、三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。外務委員長佐藤尚武君。    〔佐藤尚武登壇拍手
  23. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 只今議題となりました戦争犠牲者保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約べの加入について承認を求めるの件につき、外務委員会における審議経過と結果を御報告いたします。  政府説明によりますると、一九四九年八月十二日のジュネーヴ条約とは、第一に、戦地にある軍隊傷者及び病者状態改善に関する条約、第二に、海上にある軍隊傷者病者及び難船者状態改善に関する条約、第三に、捕虜の待遇に関する条約、第四に、戦時における文民保護に関する条約、以上四つの条約を言うのであります。  この四条約は、第二次大戦の経験にも鑑みて、赤十字国際会議が行なつた研究を基礎として、一九四九年四月二十一日から同年八月十二日までジュネーヴで開催された外交会議において作成されたものでありまして、一九五 ○年十月二十一日に効力を生じ、その締約国は、本年四月二十日現在で二十三ヵ国に上つております。これらの条約目的は、戦争又はその他の武力紛争の場合において、戦争犠牲者、即ち傷者病者難船者捕虜及び文民戦争の危険から保護し、以て戦争の惨禍を国際的協力によつて、でき得る限り軽減しようとすることにあるのであります。従つて我が国本件条約加入することは、不幸にして国際紛争が発生した場合、我が国民の保護に資し、且つ積極的に国際的人道主義の立場から、他国の戦争犠牲者保護のための活動を容易ならしめるゆえんであるというのであります。我が国は、一昨年の九月の対日平和条約署名に際し、平和条約最初効力発生後一ヵ年以内に、これら条約加入する意思を宣言いたしておりまするので、政府は、本件条約への加入については、事前に国会承認を求めるべく準備中のところ、第十五国会が解放されたため、止むを得ず政府の責任において、平和条約附属宣言期間内にこれら条約への加入手続をとり、国会に対しては、今回事後に承認を求めることになつたことを諒とせられたいという説明でありました。条約の内容の詳細についてはお手許の資料を御参照願うことといたします。  委員会は七月十日以降三回本件審議いたしたのでありまするが、さしたる質疑もなく討論を了し、七月二十七日の採決において、本件承認すべきものと全会一致を以て決定いたした次第であります。  次に、議題となりました世界気象機関条約べの加入について承認を求めるの件につき、外務委員会における審議経過と結果を御報告いたします。  政府説明によりますと、世界気象機関条約は一九四七年九月にワシントンで開催された国際気象機関気象台長会議で作成され、一九五〇年三月二十三日に効力を発生し、現在の締約国は五十六ヵ国に上つております。気象機関が真に人類の活動に寄与するためには、各国の気象機関が協力して観測網を完成し、同一基準による観測を行い、その結果を交換するという国際協力が必要なのでありまして、この条約は、気象業務の遂行に不可欠なこの国際協力実施するための機関として世界気象機関設立を定めたものであります。我が国国際気象機関設立当時から戦前まで、長年に亘つてこれに協力して参りましたが、戦後これに代つて発足した世界気象機関に対しても、その趣旨に副つて再び世界気象業務の円滑な運営に協力しておるのであります。而して世界気象機関への加盟は、本件条約加入することによつて行われるのでありまするが、我が国の場合は、条約への加入に先立つて加盟申請を行い、国である構成員の三分の二の承認を得ることを加入条件とせられておるのであります。即ち我が国は、一昨年九月八日にサンフランシスコにおいて平和条約署名に際し、同条約最初効力発生後の六カ月以内に世界気象機関条約への参加の承認申請する意思のあることを宣言いたしておりまするので、政府は昨年十月、加盟申請を行いましたところ、先般これが承認されて参りました。よつて今回この条約加入しようとするものであるとの説明であります。  委員会は、七月二十三日及び二十七日に本件審議いたしましたところ、質疑において羽生委員より、「この条約には、共産圏諸国はどうなつておるか」との質問があり、これに対し政府委員より、「ソ連はラジオ放送を行なつて気象観測通報に協力しているが、中共北鮮からは現在気象通報がないため、我が方としては不便を感じておる」との説明がありました。討論に入りましたところ、佐多委員より、「朝鮮休戦も成立することでもあり、世界は一つの姿になるべきであるから、中共等加入が促進されることが望ましいとの希望を附して本件賛成する」旨の発言がありました。次いで採決に入りましたところ、本件承認すべきものと、全会一致を以て決定いたした次第であります。  最後に、議題となりました日本国フィリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議経過と結果を御報告申上げます。  政府説明によりますと、政府は、フィリピン共和国との国交調整のためには、できるだけ早く賠償実施を開始することが必要であると認め、本年一月、マニラ湾等にある沈船の調査目的として、君島丸を派遣したのでありますが、一方この調査と並行してマニラにおいて我が在外事務所フィリピン外務省との間で沈船引揚に関する取極の交渉を行わしめておりましたところ、双方の意見一致を見て、本年三月十二日、マニラにおいて日本政府在外事務所長フィリピン国外務次官との間に、この協定署名が行われたのであります。我が国は、この協定に基いてフィリピンに対し、その領海にある沈没船舶引揚げるための役務を提供するという形において賠償実施することになるわけでありまして、「このように賠償実施に対する我が国の誠意を示すことはフィリピンとの友好関係樹立に寄与するところが大きいと考えられる」、とのことであります。なお、本協定締結につきましては、第十五国会承認を求めましたところ、衆議院解散のために審議未了となりましたので、今回改めて承認を求めるものであるとの説明でありました。  委員会は、七月二十日、二十一日及び二十八日の三回に亘り、本件審議を行いました。質疑において佐多、杉原、高良各委員質問に対し、政府委員から、「第一に、船別調査を完了したものはマニラ湾の五十二隻とセブ港の十二隻で、合せて六十四隻であり、ほかに調査未着手のも、が数ヵ所に点在しており、引揚の対象となるものは、総数において百八十隻乃至二百隻に上ると予測されておること。第二に、引揚作業は、本件に対する国会承認後直ちに実施したいが、起重機、曳船等を曳航する関係上、モンスーン季節の終るのを待ち、従つて本年十月頃になると予定しておること。第三に、引揚に必要な費用は、マニラ湾セブ港だけで約四十億円見当であること。なお、マニラ湾における沈船引揚は、港湾内及び航路上の障害物を取除いて航路を開通するという点から見て、金銭価値以上にフィリピン国民に好影響を与えるものと信ぜられること」等の答弁がありました。  かくて質疑を了し、討論を経て採決に入りましたところ、多数を以て、本件承認すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申上げます。(拍手
  24. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三件の採決をいたします。先ず戦争犠牲者保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約への加入について承認を求めるの件、世界気象機関条約への加入について承認を求めるの件、  以上、両件全部を問題に供します。委員長報告通り両件を承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて両件は承認することに決しました。      ——————————
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、日本国フィリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。委員長報告通り本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  27. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本件承認することに決しました。      ——————————
  28. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第四、地方鉄道軌道整備法案衆議院提出)、  日程第五、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案、  日程第六、道路運送法の一部を改正する法律案、  日程第七、港湾整備促進法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、  以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長前田穰君。    〔前田穰登壇拍手
  30. 前田穰

    前田穰君 只今上程になりました地方鉄道軌道整備法案日本国有鉄道法の一部を改正する法律案道路運送法の一部を改正する法律案、及び港湾整備促進法案につきまして、運輸委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず地方鉄道軌道整備法案につきまして御報告申上げます。  この法律案の内容を簡単に申上げますと、この法律案は、地方鉄道軌道のうち天然資源の開発その他産業の振興上必要な新線及び設備の維持が困難なため老朽化したもので他に代替機関のないものを認定し、又産業の維持振興上、特に重要なもので改良を必要とするものを承認して、これを助成しようとするものであります。そしてその助成方法としては、補助金の交付、固定資産税及び事業税の減免及び利子の補給を規定しでおります。なお右のほかに日本国有鉄道の運輸開始により、地方鉄道軌道の廃止又は減益についての現行補償規定に若干の改正を加え本法案に移行しております。  本法律案につきまして主なる質疑事項を申上げますと、第一は助成すべき地方鉄道軌道の範囲並びにその認定、承認についてでありまして、なおこれに関連して地方鉄道軌道建設助成の意義、特に国鉄による新線建設との比較につき質疑が行われました。又国鉄新線建設の場合における地方鉄道軌道の補償に関連し、船舶等の異種交通事業に対する補償に関して質疑が行なわれました。これらの事項について申上げますと、「第一の助成すべき地方鉄道軌道の範囲が、第三条によりますと、自由裁量の余地が多いことは好ましくない」との質疑に対しましては、「具体的な事項は、第二十七条の命令に譲る」とのことでありましたので、その適否につき立案に関与した法制局の意見を聴きましたところ、衆議院法制局長より、「第三条で或る程度はつきりした枠が出ているのではないかと思えるが、第二十七条の命令でも賄えるものと考える」という趣旨の答弁がありました。なお地方鉄道軌道の新線の助成に関しましては、これに補助金を交付して新線を建設させるより、建設当初採算性の乏しいにもかかわらず予算を割いて国鉄に新線を敷設させておる現状に鑑み、むしろ国鉄の新線建設を更に助成すべきではないかという質疑、又は不採算線路はむしろ民営を主にし、これを助成して、将来国営に還元するの是非等、鉄道政策につきまして、各委員よりこもごも質疑が行われました。これに対し運輸大臣より、「国鉄、私鉄共、その性格、使命又は資金の調達等にそれぞれ特異性があるので、必要な私鉄は産業の発達、民生の安定の見地より、なお助成すべき必要があると認めておる」との答弁でありました。次に、交通事業に対する国の助成政策につき、海上運送事業に対する補償等均衡を失してはいないかという検討が行われましたところ、運輸大臣より、「補償につきましては、従来は同種交通事業についてのみ考えて参つたのでありますが、異種交通事業の補償につきましても将来篤と研究したい」とのことでありました。その他、この法律施行に関して明確にしておくことを要する事項につき、各委員よりそれぞれ質疑がなされましたが、詳細は、委員会速記録により御承知願いたいと思います。以上にて質疑を終り、討論に入りましたところ、一松委員より、本法案に賛成する旨の意見の開陳があり、続いて第三条の解釈が茫漠として他日問題を生じた場合、運輸大臣の責任が重く、且つ政治問題を生ずる虞れもあるので、これが運用に当つては、特段の注意を要望するとして次の附帯決議案が提議されました。    附帯決議案   一、第三条第一項第一号の認定又は第二号の承認を行うに当つては、政府は、広く関係各方面の意見を聴取する等飽くまでも公正且つ妥当を期すべきである。   二、国有鉄道の新線に要する財源については、本法との関連を充分考慮し、政府において特段の措置を講ずること。  以上で討論を終り、直ちに採決に入りましたところ、全会一致を以ちまして、原案通り可決すべきものと決定いたしました。次に、一松委員提議の附帯議案につきましては、全会一致を以ちまして、これを附することに決定いたしました。  以上、御報告申上げます。  次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして御報告申上げます。  この改正法律案の要旨は、日本国有鉄道の事業の能率的な運営を図り、公共の福祉を増進するため、日本国有鉄道の会計及び財務に関する規定の整備をなしますと共に、監理委員会に代えて、重要事項の議決機関として新たに経営委員会を設けようとするのがその主体でありまして、このほか役職員の特別給与に若干の弾力性を与える等の改正を行わんとするものであります。右の会計に関する規定の改正中、眼目とも見られますことは、従来大蔵大臣が国鉄予算の調整を行なつておりましたのを、運輸大臣が行うことに改められた点であります。  委員会審議におきまする主な質疑は、経営委員会に関すること、予算調整権の所在に関すること、及び本法施行に伴う国鉄将来の運営に関する事項でありました。経営委員会に関しましては、二、三の委員より、従来の監理委員会を廃止し、新たに経営委員会を設けた事由、委員の選任方法、その資格、特に労働代表を加える意思の有無等、あらゆる角度より質疑が行われました。これに対し、政府委員よりは、「現在の監理委員会は、その権能が不明確であるため、経営委員会を設くるに至つたこと、及び知識経験者と認められれば、労働関係者からも任命される余地のあること」の答弁がありました。ついで予算調整権を運輸大臣に移しました衆議院の修正について、政府の所信を質しましたところ、「企業的立場から考えて、企業の責任を持つ運輸大臣が予算調整権を有することは妥当と認める」とのことでありました。その他、国鉄がこの度の改正案により、独立採算制を確立したことと、これに伴うサービスの普及向上及び労務管理の実態について、各委員よりこもごも質疑が行われましたが、政府委員よりは、「国鉄は企業体としての会計処理方式に則り、能率の向上を図るべきこと、又その性格上公共の福祉を増進すべきことは原則とすべきであるが、企業体である以上、併せて企業性も保持しなくてはならない」との答弁があり、なお労務の実態についての説明がありましたが、詳しいことは速記録によつて御覧を願いとうございます。  以上を以て質疑を終り、討論に入りましたところ、加賀山委員より賛成の意見の開陳があり、なおこの法律案により、国鉄の自主性は強化されたが、更にこれを強化する要のある旨を強調されました。東委員よりも賛成の旨、意見の表明がありましたが、同時に、国鉄がその使命を達成するためには、むしろ一般会計よりの助成や独立採算制の再検討を要する旨及び経営の民主化につき意見の開陳がありました。大倉委員賛成の意見を述べられ、経営の民主化、国鉄の自主性の強化及び経営委員会委員の選出方法について要望がありました。そのほか、森田委員よりは、能率の増進を強調されて賛成の意見を述べられ、又、一松委員よりは、真に企業としての健全化を図るべきことを強く主張せられて、賛成の旨、意見の開陳がありました。  以上で討論を終り、採決に入りましたところ、全会一致、本案を原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に道路運送法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ずこの法律案の要旨を申上げますと、現行法施行後の自動車運送事業の急激な発達と諸情勢の変化に応じまして、自動車運送事業に対する若干の規定と道路運送審議会制度について改正し、行政手続の簡素化を図ろうとするものであります。  改正の主なる点は、第一は、自動車運送事業の種類ごとの定義を実情に即して改めたこと。第二は、免許基準を事業の種類及び地方の実情に沿うよう改めたこと。第三は、道路運送審議会を廃して自動車運送協議会を新たに設けたこと。この三点が主なる点でありまして、その他、従来の行政の経験に基きまして、事業の区域及び運賃制度を実情に合致するように改め、更に軽車両運送事業の届出制の廃止及び乗用自家用自動車の使用届出制度の廃止等、若干の改正を加えたものであります。  道路運送事業に関しましては、従来より種々批判の対象になつておりましたので、各委員より活撥な質疑が行われました。先ず第一に免許基準に関してでありますが、従来画一的な行政に流れたり、自家用トラックの営業類似行為を誘発するような結果を招いたり、需給の実情に合致しない点があるとして、今後の行政方針につき質しましたところ、政府委員よりは、この法の改正の趣旨は、それら従来の批判に鑑み、できるだけ需給の実情に沿うよう諸般の事情を勘案して法律秩序の確立に努めたとのことでありました。次に農業協同組合の行う自動車運送事業の範囲につきましては、従来問題もあり、限定範囲の拡張につき強い要望もありましたので、農林省と懇談した結果、組合のためにする特殊な利用承認、車両の集結、員外利用等につき結論を得たということでありました。なお自家用自動車の営業類似行為の取締についても、一方、免許の適正を図ると共に、他方その取締を厳重にすることにより、法律秩序の維持を図りたいということでありました。又、事業区域の観念についてこれを明確にするための質問につきましては、現行法における事業区域の観念は自動車の走行区域を基礎にしておりましたが、改正案では、本来の事業区域の観念を強調するため、営業所を中心とする営業区域に改めました。従つて区域外のみにおいていわゆる出稼ぎをなす行為は事業区域本来の思想から当然禁止さるべきものであるとの答弁でありました。次に、自動車運送協議会の設置、構成その他につき質疑が重ねられましたが、行政の民主化のため個々の処分について設けられました道路運送審議会を今回廃止することにいたしましたが、地方の実情把握と自動車行政の適正化のためには、個々の処分でなく、一般的事項を取扱うこの種機関の必要を認めましたので、利用者側を加えて新しい諮問機関を設くるに至つたということでありました。又この諮問機関の構成委員に労働組合中よりも選ぶかとの質問に対しましては、一事業者の組合ということではなく、全般的な組合員中に経験者であり利用者として適当な人を得るならば参加を考えているとの答弁でありました。  続いて討論に入りましたところ、岡田委員よりは、本法案に賛成する旨の意見の開陳がありました。なお、道路運送の問題は国民生活並びに経済活動に関連するところが大きく、業体も大小区々に亘るので、本法の適用に当つては緩急よろしきを得て利用者及び事業者の不便のないように運用して欲しいとの希望が述べちれ、続いて自動車運送事業の免許については特に注意を必要とするものとして、次の、ごとき附帯決議案の提議がなされました。    附帯決議案   政府は、自動者運送事業に対する事業区域を定めるに当つては、行政区域にこだわらず、国民経済活動の実態に即してこれを行うべきであり、又、ハイヤー、タクシー等、路線を定めない自動車運送事業の免許に当つては、従来その免許基準は厳に失し、実情に反し、弊害の伴うこともある事情に鑑み、政府は将来これら事業者に対してよく実情に合致するよう免許の措置をなすべきことを要望する。  次に、大倉委員よりは、本法案に賛成する旨の意見の開陳があつて、自家用自動車の闇行為については、政府は今後責任を以て効果的な取締を励行すること、新規免許については既存業者の存立を危くしないよう輸送秩序の確立に努力すること、及び自動車運送協議会の委員の任命については労働者団体の代表者を参加させることの二点について要望事項を述べられました。木島委員よりは、本法案に賛成するが、とかく自動車運送事業の免許に当つては、他に牽制されることなく公平な取扱をすること、自動車運送協議会の運営に当つては、真に陸運局長の諮問機関としての実を示されるような機構と運営を希望するとの意見を述べられました。東委員よりは、本法律案賛成するが、自動車運送事業の免許に当つては、希望の多いところは統制する必要もあるが、少いところではできるだけ申請者の希望に沿い、自動車運送の普及を図るようにして欲しいという希望が述べられました。一松委員よりは、本法律案賛成する旨の意見の開陳があつてのち、本法は事業者の観点から整備されているように思うが、むしろ利用関係を考慮して整備するよう努力して欲しいとの意見が述べられました。  以上で討論を終り、採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  岡田委員提議の附帯決議案につきましては、多数を以てこれを付することに決定いたしました。  以上御報告申上げます。  次に港湾整備促進法案について申上げます。  この法案は、公共事業費の対象とされない荷捌き施設や港湾用地の整備等を促進するため、政府港湾管理者に対し、資金運用部資金又は簡易生命保険及び郵便年金積立金を融通し、又その他の資金の融通を斡旋することを定めておりまして、重要港湾又は政令で定める地方港湾に適用することとし、荷捌き施設等の整備計画は、運輸大臣が、毎会計年度、運輸省に置かれる港湾整備審議会の議を経て、内閣の承認を求めて定めることになつております。  質疑に入りましたところ、一委員より、本法を如何なる港湾に適用するかとの質疑に対し、政府委員は、重要港湾と政令で定める地方港湾に適用する。政令では、国土総合開発計画による特定地域の中心となる港、産業の開発上或いは又石炭の積出上極めて重要な港のうちから、千葉、大船渡、堺、橘、江迎、水島等、九港くらいを指定したいと答弁いたしました。その他若干の質疑がありましたが、詳細は速記録に譲ることとといたします。  討論ののち、採決に入りましたところ、本法案は原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定いたしました。
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。四案全部を問題に供します。四案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立〕 ○議長河井彌八号)過半数と認めます。よつて四案は可決せられました。      ——————————
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第八、農業機械化促進法案衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。農林委員長片柳眞吉君。    〔片柳眞吉君登壇拍手
  33. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 只今議題となりました衆議院議員平野三郎君ほか十六名の提出にかかる農業機械化促進法案について、農林委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  本法律案は、我が国の農業は生産手段の高度化において立ち遅れ、今なお多くの農民は苛酷な労働の下に耕作を続け、そのため生産増強の限界が低く、経営並びに生活の改善も期待しがたい状況にあるのであるが、併しながら最近農民の間に農業機械化に対する意欲が高まつて来たので、このときにおいて優良な農機具を急速に普及して、農業機械化の進展を助長し、以て農業生産力の増進と農業経営の改善に寄与せんとする趣旨を以て提出されたものでありまして、  その内容は、大要次のごとくであります。即ち、先ず最初に、国又は都道府県は農業機械化を促進する上において有効な事項はこれを積極的に行わなければならないことを宣言し、続いて、国は農業者が農機具を導入するため必要な資金について長期且つ低利なものを確保しなければならないこと、国は農業機械化を促進するため必要な試験研究を助長しなければならないこと、国は農機具に関する展示、教習、共同利用組織の育成指導、技能者の養成、或いは修理施設の整備等、これが普及利用に関する推進事業に対して補助すること、農林大臣は農機具の改良普及に資するため農機具の依頼検査を行うこと、及び本法の適正な運営を図るため農林省に農業機械化審議会を設置する等について規定されているのであります。  なお、衆議院において、原案に対し、農機具の範囲を拡大し、耕転、整地、肥培管理、調整加工その他、農作業に必要な機械器具に、新たに、動植物の防疫及び家畜家禽飼育管理のための機械器具を加え、融資の対象を非営利法人に限定せず、農家個人をも対象とすることとし、国の補助の対象に農機具修理施設の設置及び運営事業等を追加する等の修正を加えまして、当院に送付せられたのであります。  委員会におきましては、提案者代表及び政府当局との間に、日本の農機具の水準、農業機械化及び農機具改良の方針及び構想並びにこれが助長対策及びその当否、農機具専門技術者の配置状況及びその普及、本法案に関する予算的及び金融的措置、本法案と農林漁業金融公庫法との関係、本法案による農機具検査の実行方法及び農機具の検査と特許との関係、延いて農機具改良のため両者の協調、融資の対象を共同体とするか個人とするか、その当否、農機具に対する課税の減免、農機具の修理等、諸般の事項につきまして審議が重ねられたのでありまして、その内容は会議録によることを御了承願いたいと思います。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、別に発言もなく、続いて採決の結果、全会一致を以て衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  34. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  35. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  36. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第九、特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、  日程第十、木材防腐特別措置法案、(いずれも衆議院提出)  日程第十一、武器等製造法案、(内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。通商産業委員長中川以良君。    〔中川以良君登壇拍手
  38. 中川以良

    ○中川以良君 只今議題となりました三法律案につきまして、通商産業委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず第一に、特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について申上げます。  御承知の通り、現行法は、中小企業の工業部門に関して不況時において適切な需給調整を図ることを目的といたし、去る十三国会において制定をみたものでありますが、その後、経済界、殊に中小企業の実情に徴しました結果、種々改正を加える必要が生じましたので、今般衆議院議員小笠公韶君ほか十八君により、ここに本改正法案の提出を見た次第であります。  本法律案要点を申上げますと、第一に、本法を恒久法とし、題名を中小企業安定法と改めること、第二に、業種の指定は法律によることを改め、政令で指定し得ることとしたこと、第三に、業種指定の条件といたしまして、不況事態の要件を緩和し、コスト割れによる損失が発生しておる場合のみならず、その虞れがある場合にも指定し得ることとしております。第四に、調整組合及び連台会の事業範囲を拡大して、販売方法及び原材料の購入方法の制限並びに一定の条件の下に販売価格及び原材料購入価格の制限を認め、生産数量、出荷数量及び販売価格等の制限の実施に必要な検査に関する規定を整理をいたしております。第五に、総合調整計画、及び調整規程の認可要件に、「関連事業者の利益を不当に害しないこと」を加えております。第六に、設備制限を命令した場合に、その有効期間に限り、設備の新設を抑制することができることといたしております。第七に、調整組合又は連合会が生産調整資金を借入れる場合、特に必要ありと認める場合に限り、政府は予算の範囲内で金融機関に対し年五分を限度として利子の補給ができることといたしております。第八に、行政庁の手続審議会の構成をそれぞれ簡素化いたしております等であります。  以上が本法律案要点でありますが、本委員会では、審議に際しまして、経済安定委員会とも連合審査を軍ね、又農林委員河野君ほか一名に委員発言を許すなど、極めて慎重に審議をいたしましたが、質疑に関する詳細は速記録において御了承願いたいと存じます。  なお農林委員会並びに厚生委員会より、本法の指定業種に属する事業がそれぞれ農林厚生の所管するものについては、それぞれの大臣の所管とされたい旨の申入れがあり、又、岸、石原両委員よりも、所管を主務大臣に改められぬかということの質問がありました。右に関しまして提案者代表より次のような答弁がございました。即ち「本法は、第一条にもある通り、中小企業の安定を確保するという目的から生れたものであり、又、中小企業に関しては、中小企業庁設置法が示す通り、中小企業庁がその育成指導に当つているので、その意味から本法の所管が通産大臣となつていても差支えないと思う」とのことでありました。但し政府側より「本法の実施の上において支障を来たすようなことがあれば、成るべく早い機会において本法を修正する考えがある」という旨の答弁があつたのであります。かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、先ず豊田委員より「中小企業の本質に鑑み、恒久立法として、特に政令による業種の指定を廃止すること、なお調整組合の借入資金に対する利子補給を年五分を限度とするのは低きに過ぎるから、むしろ制限を撤廃されたい」との希望条件を付して賛成意見が述べられました。次いで海野委員より「消費者並びに関連業者への影響を考慮して運用に留意せられたい」と、又石原委員よりは「中小企業としての総合指導と業種別の指導との間には複雑な問題があるから、将来その調整に関しては善処されることを要望する」と、それぞれ希望条件を付して賛成意見が述べられました。又、岸委員よりは本法律案に対する修正案の提出があまりしたが、その案文は長文でありまするから、その内容はお手許に只今配布をいたしました文書で御覧を願うことにいたしまして、その要旨を申上げさして頂きます。  第三十条の改正の規定中の修正は準用する場合を含めるための修正でありますが、第三十条の二では特に主務大臣との関係を新たに規定いたしたもので、その第一項においては、通商産業大臣が、本法による認可等の処分、勧告、命令又は省令制定などを行う場合には、その事業を所管する大臣の同意を要し、第二項では、本法による届出を受けたときは、これを通知しなければならぬことを規定し、これにより本法における各省間の権限の調整を図ろうとするものであります。  討論を終局し、採決に入りましたところ、先ず岸委員提出にかかる修正案は全会一致を以て可決されました。次いで右修正部分を除く原案も、これ又全会一致を以て可決されました。よつて法律案全会一致を以て修正議決すべきものと決定いたした次第であります。  次に木材防腐特別措置法案について申上げます。  本法案は、衆議院議員提案で、共産党を除く各派共同提案になつております。  その内容は、鉄道及び軌道の枕木その他特定の用途に供する木材は省令の定めるところによる方法で防腐措置を施さなければならないというのが本法案の骨子になつております。併しながら種々適用困難な場合も予想せられますので、これに対する除外規定を設けてあります。次に、需要者が所要資金調達に困難な場合は、政府はその資金融資の斡旋をすることができることになつております。  以上が本法案の内容でございます。  なお、本法施行による適用対象は約百万石に達する予定で、防腐措置を施した場合、その耐久力は約三倍に増強され、木材使用の節約に寄与するところ大なるものがあると思われます。委員各位からは終始熱心なる質疑がなされましたが、それらの詳細は速記録に譲ります。  討論採決をいたしましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定をいたしました。  最後に武器等製造法案について申上げます。  先ず本法案の提案になりました経過を簡単に申上げます。  武器の製造については、終戦直後の昭和二十年十月十日より、ポツダム共同省令「兵器航空機等の生産制限に関する件」により全面的に禁止されておりましたところ、昨年九月同省令の改正により、例外的に武器の製造が許可されるようになりました。特に昨年五月頃から駐留軍の武器の発注額が相当額に上りました。このため、いわゆる特需としての武器の製造は漸く活撥になつて来ました。然るに先に述べましたポツダム共同省令は昨年十月二十四日を以て失効いたしましたため、その後の武器の製造については法的規正がなくなり、公共の安全を維持するため何らかの措置をとる必要を生じました。而もこの間にありまして、関係業界の受注に対する熱意は、ややともいたしますると製造者の濫立による出血受注の弊害をさえ示す傾向となつたのであります。このような情勢に鑑みまして、武器製造事業について何らかの規正を加える必要があり、今回の法案が提案されるに至つた次第でございます。  以下本法律案の概要を申上げます。第一に、この法律案は、公共の安全を確保するため武器及び猟銃等の製造販売その他の規正を行うだけでなく、武器製造事業について国民経済との均衡を失わしめず、この事業の濫立による弊害を排除し、余り製造能力が過大とならないよう武器製造事業を許可制とし、その製造能力を必要限度にとどめることといたしたことであります。第二に、この法律の適用を受けるものは、武器については、銃砲、銃砲弾、爆発物等、公共の安全を確保すると共に、事業の調整を行う必要が特に大きいもの、その他政令で定めるものに限定をいたし、又、猟銃、捕鯨砲、銛銃、屠殺銃が本法律案の適用武器となつております。第三に、武器製造事業の許可制と並行して、武器の製造販売等を行うものの契約内容を届出でさせ、契約が不当なものであるときには戒告をすることができることといたし、不公正な競争が生ずるのを防ぐことといたしてあります。なお通商産業省に武器生産審議会を設置をいたし、通商産業大臣の諮問に応じ、本法運営の公正妥当を期しております。  以上が本法案の大要でございます。  次に本法案審議を通じての主なる質疑応答の内容を申上げます。  先ず第一点は、憲法第九条の「その他の戦力」の保持と、この法律との関係如何との質問に対し、次のような答弁がなされました。即ち憲法第九条にいう「戦力」とは、近代戦争遂行に役立つ程度の装備、編成を備え、人的、物的に組織化された総合力であつて、武器そのものは戦力の構成要素ではあるが戦力そのものではない、従つて本法は憲法第九条に違反するものではないとの答弁がございました。  質問の第二点は、武器製造に対する政府の基本的態度如何との質問に対し、現在の武器生産は、現有機械産業の余力を以て、その大部分は駐留軍からの受注によるドル獲得産業で、輸出産業に準ずる特需産業の性格を持つものであります、従つて、武器生産については、特需としての取扱はしつつも、武器生産の特殊性より見て、日本経済を撹乱するがごとき作用なからしむるよう、適当な生産分野の確立、生産施設の無駄排除、安値受注の解消等に努力して行く旨の答弁がございました。  質問の第三点は武器生産の現在までの実績及び将来の見通し如何との質問に対しまして、武器生産は昨年四月から本年六月末までに約七千万ドルの発注を見ている、その順位を種類別に見ると、迫撃砲弾、榴弾、ロケット弾、手榴弾、火砲の順になつており、今後の見通しについては、駐留軍の発注如何が武器の生産を左右する現状においては、非常に困難ではあるが、大まかに推定をいたして今後一年間に七千万ドルを下るとは思わない、併しMSA受諾内容の如何によつては、この数は変化するものと思われる旨の答弁がありました。  次に質問の第四点は、出血受注の抑制の具体策如何との質問に対しまして、武器の種類ごとに需要に見合つた生産能力を保有させるのが最善の策で、法第五条の事業の許可に当つて、その目的を果し、なお第十六条により製造事業者の行う契約を届け出させることにより、それが不当な場合には事業者に戒告することにより、安値入札の弊害は除去できるとの答弁でございました。  質問の第五点は、本法施行により中小企業者及び下請業者を圧迫する虞れはないかとの質問に対し、武器製造事業の性格からして勢い大企業になるきらいはあるが、一方、中小企業が不適格であるというのではなく、特に部品なり工程の一部には中小企業が非常に多く利用され、その分については下請に出した方が合理的である、政府としては生産系列の企業別確立を図つて、不当に下請業者の圧迫されるようなことのないように努力する旨の答弁がございました。その他、委員各位から熱心な質疑がなされましたが、それらはすべて速記録に譲ります。  かくて慎重審議の結果、討論採決をいたしましたところ、多数を以て原案通り可決すべきものと決定をいたしました。  以上御報告を申上げます(拍手
  39. 河井彌八

    議長河井彌八君) 武器等製造法案に対し討論の通告がございます。発言を許します。海野三朗君。    〔海野三朗君登壇拍手
  40. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は社会党を代表いたしまして、この武器等製造法案に反対をするものでございます。  その理由は、第一に、占領治下にありました我が日本の憲法は、ポツダム政令に優先せられましたことはやむを得ないのであります。独立後におきましては、我が平和憲法は、行政協定、安保条約に優先しておるべきはずでありまするのに、政府当局の答弁を聞きますと、確かに優先しておると言つておりながら、行政協定、安保条約が我が平和憲法に優先しておる現実の姿は、明らかに正道を逸脱しておると申さなければなりません。邪道に入つておるというのが現実の姿でございます。如何なる国をも敵視せず、平和を愛好する諸国民の公正とを信義に信頼して、我等の安全と生存を保持しようと決意した平和憲法の趣旨に違反して、ソヴィエト及び中共を仮想敵国とし、安保条約、行政協定によつて、現在武器製造が行われ、而もその砲弾がこの狭い国土内において実弾演習と称し我々同胞を傷けておる。即ち、現在平和であらねばならない我が国土内においてあたかも実戦さながらの状態は、実に言語道断と言わざるを得ないと思います。(拍手)この有様をも政府は違憲ではないと言う。憲法に反していないと言うこれは、あたかも赤毛の青い目玉の子供をつかまえて、これは日本人であると主張しておるのと同じでございましよう。(「その通り」と呼ぶ者あり)常に政府は、保安隊は軍隊でないと言うが、かく言う政府当局も、みずから良心に立ち返つて静かに考えてみたならば、軍隊であるということに内心では異存はないのであろうと私は思う。(拍手)飽くまでも戦力にあらず、軍隊にあらずと言つておる。与党多数の故に無理でも通るのが国会の現状でありまするが、私は申上げておかなければならない。この逸脱しておる現状から将来を思うてみますと、実に暗澹たる思いがするのである。平和を愛好する我が日本憲法下においては、戦争に協力するところの武器の製造はむしろ禁止すべきものであり、而も日本で作られたる砲弾が我々同胞を傷けておる現状ではなお更でございます。(拍手)これらの製造業者をして平和産業へと導くべきものであり、武器製造は決して恒久的な而も人道的な産業と申すことはできない。これが第一点。  次に、今やアジアは平和の方向に向いつつあるのであります。然るに平和産業の振興べと進まないで、政府は特需依存の一辺倒の経済政策に邁進しておる。企業は大なる負債を持つて武器製造への設備転換をして受注を競い、価格が叩かれて出血受注をみずから求めておる現象を呈しておるのである。それは直接調達という方式によつて異常な条件を押付けられておるからであつて、最近に至つて受注業者は間接調達を望んでおるといわれまするが、それすら政府は解決し得ざる現状では、本法案は根本的な出血受注解決の途を切り拓くものではない。却つてスト規制法と同じく、労働者に低賃金を強要し、強化労働を押付け、内灘のごとく或いは大高根村のごとく、日本で造つた砲弾や武器によつて、日本の農民や漁民の生活権と生命の安全すら奪い去らんとしている軍事基地の増大となるものであります。(拍手)  第三に、現内閣の方針として、政府は輸出第一主義を表明しておりまするが、現在、政府の輸出入の増大は、武器生産によつてますます国内物価の水準を釣上げて、輸出縮小の逆方向に進みつつある状態であります。過去三年の特需は、年間八億ドル余の外貨の獲得として、政府も財界も歓迎しておりまするが、注意せねばならないことは、この特需というものは動乱の結果生れた外貨払いの内需でありまして、世界経済の動きとは全く別個な動きを示しておるものであります。外貨払いの内需は、日本の国内物価水準は国際水準に比べまして割高になる原因をなしておるのである。自立経済の確立のための輸出増大とはならないで、逆に輸出縮小の方向へ進まざるを得ない現象を示しておるのである。それではいけないのである。恒久的な平和産業の発達を企図すべきである。変態的な特需景気は必ず裏が来るのであるということを忘れてはならない。武器製造より、先ず平和産業の振興と輸出入増大という、正常な而も恒久的な経済に引戻さなければならないと考えるものであります。本法案は直ちにMSAの受諾へのレールであり、軌道であつて、日本をして、恰もモルヒネ患者がモルヒネなくしては生きていられないと同様に、武器生産という特需がなければ、即ち、特需、戦争というものがなければ、経済均衡が保てないという悪循環の中へ突き落し、再び戦争の渦中に追いやることとなるでありましよう。(拍手)いや応なしに、皆さんの息子、皆さんの夫、皆さんの孫たちが、又再び人間の屠殺場であるあの戦場へと追いやられることになるのであると私は考えるのである。  以上申上げました理由によつて、私はこの武器等製造法案に反対の意を表するものでございます。
  41. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより三案の採決をいたします。  先ず特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  42. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  43. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に木材防腐特別措置法案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  44. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  45. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に武器等製造法案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  46. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  47. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十二、漁業法の一部を改正する法律案衆議院提出)  日程第十三、久六島周辺における漁業についての漁業法特例に関する法律案、(内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。水産委員長森崎隆君。    〔森崎隆登壇拍手
  49. 森崎隆

    森崎隆君 只今議題となりました漁業法の一部を改正する法律案につき、委員会におきまする審議経過並びにその結果につき御報告申上げます。  先ず提案の理由を申上げます。我が国民主化の一環として昭和二十四年十二月十五日新しく制定されました現行の漁業法によりなされた漁業制度改革は、昨年三月の新旧漁業権の最終的切替によつて、制度的には一応第一段階の結末に到達し、今後は漁業権証券の資金化を裏付けとする漁業協同組合の再編成と、これが育成の施策を強力に推進することによつて漁業制度改革の効果を恒久化すべき段階に至つているのであります。然るに、この間、現行漁業法に対して漁民から幾多の批判の声もあるが、特に、免許料、許可料の制度については切なるものがあり、全国漁民大会を初め、各地において撤廃を要望する漁民大会が開かれておりましたし、現に国会に対しても全国八十三万余の漁民の署名による陳情書が提出されている実状にございます。漁業法の規定による免許料及び許可料の制度は、旧漁業権等の補償金約百八十億円に加うるに、五カ年の利子約五十億円を以ていたしまして、総計二百三十一億円余を昭和二十七年度以降二十五ヵ年間に、免許料、許可料として、毎年漁民から徴集しようとするものでございまして、すでにその第一年である昭和二十七年度分六億円の徴集が現在行われておる次第であります。この免許料、許可料徴集制度は、立法当初から幾多の問題を残しまして、他の産業にも類例を見ないものであり、徴集それ自体に法的にも疑義があるばかりでなく、その上に旧漁業権に対する補償金に見合わせることについては、何らの合理性も見出し得ないのでございます。漁業制度改革の実効を挙ぐべき現在の段階において、大いなる支障となつて進展に禍いし、制度改革による効果も所詮その実効を漁民生活の上にもたらす余裕なく、漁家経済は苦難の途を迫ることは明らかでございます。従つて、本制度を撤廃しまして、漁業制度改革をより一層効果あらしめ、漁家経済の安定を図りたいというのが提案の理由でございます。  次に本法律案の内容について申上げます。先ず第一点は、漁業法第五章にあります沿岸漁業等の免許料、許可料の規定を削除いたしております。次に第二点は、同様に漁業法第百二十九条の規定を削除して、内水面漁業の免許料及び許可料を廃止いたしております。その他それに伴う関連条文の整理を行なつております。  なお附則において、この法律は昭和二十八年度分の漁業の免許料及び許可料から適用いたし、昭和二十七年度分はなお従前の例による旨を規定しております。  委員会におきましては慎重審議をいたしましたが、質疑応答のうち特に主なるものを申上げますと、秋山委員から、「免許料及び許可料の制度は不合理であり、又現在漁家経済を甚だしく圧迫しているので、この制度が廃止されることは誠に適切であるが、併し一方において漁業には曾つて漁業権税等の地方税が課せられて漁民経済を苦しめていたことがあるが、今、免許料、許可料が廃止されても、一方で又新たにこれに代るような地方税を課せられることになつては全く無意味となるが、政府は如何に考えているか」との趣旨質疑があり、これに対し塚田自治庁長官から、「地方税全般については地方制度調査会の意見を聞くなど検討を進めているが、免許料及び許可料の廃止は、それ自体独自の理由で行われるのであつてその間、地方税としての漁業権税等とは何ら関連はない。仮に漁業権税等が問題として取上げられることがあるとしても、それが漁業の進展を阻害するものであるときは実行できない性質のものであり、従つて免許料及び許可料制度が廃止されても、その代りとしての地方税を創設する考えはない」旨の答弁がありました。千田委員からの、「免許料、許可料の徴集事務に従事している職員は、この制度が廃止されることによつて如何になるか」との質疑に対しましては、政府当局から、「徴集事務に従事している職員は本庁並びに地方を通じ国庫負担職員が約二百人あるが、昭和二十七年度分の徴集事務もあり、又、調査研究、水産増殖等、水産政策の強化に是非必要な人員もあるので、昭和二十九年度の予算等において増員しなければならぬものもあり、配置転換その他によつて解決するよう努力をいたしたい」との答弁があり、これに関連して松浦委員からは、「瀬戸内海の開発増殖は急を要するが、その開発計画を樹立し、その人員を強化することに充当する考えはないか」との質疑があり、これに対し政府当局から、「瀬戸内海の調査研究、浅海増殖等とも併せて研究したい」旨の答弁がありました。その他、質疑応答の詳細につきましては速記録によつて御覧願いたいと存じます。  かくて質疑を打切り、討論に入りましたところ、千田、松浦、菊田、秋山の各委員から、それぞれ免許料及び許可料制度の撤廃は漁民多年の要望であり、それ自体としても不合理であり、漁家経済を圧迫して漁業制度改革の進展を阻害している点からも、これが早急撤廃は極めて意義深く、ただこれに代る地方税の問題及び職員の問題など憂慮されていたが、それも政府当局の答弁により解消したので、本法案に賛成であるとの趣旨賛成意見が開陳されました。  討論を打切り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。  以上御報告申上げます。  次に、久六島周辺における漁業についての漁業法特例に関する法律案について水産委員会における審議経過並びに結果について御報告いたします。  青森、秋田両県の沖合にあります久六島周辺の漁場につきましては、新漁業法により昭和二十六年その周辺に共同漁業権が設定されるに当りまして、漁場の利用関係と、これに関連して古くから不明確であつた同島地籍の所属について、青森、秋田両県の間に紛争が生じたのであります。爾来、政府におきましては、両県間の斡旋に努めると共に、漁場利用関係の調整のため漁業権の特例を設けた後に同島の地籍を決定する方針の下に、両県関係者とたびたび協議を重ねた結果、先般、両県沿岸漁民の漁業操業上に不安を与えないことを旨とし、両県とも漁業上の問題について完全に意見の一致を見たのであります。以上のような経緯によりまして漁業法特例を設けようとするものであります。而して、漁業法によれば、漁業の免許及び許可は、漁場を管轄する都道府県知事がこれを行うことになつておるのでありますが、久六島周辺の漁場に関し、将来万一紛争が起り、その調整のために必要がある場合は、農林大臣がみずから同属の周辺の漁場を管轄する県知事の漁業法に基く権限の全部又は一部を行うことができるようにいたしました。又その権限を行う場合には、その旨を告示すべき旨を規定したものであります。  委員会審議に際しましては、質疑もなく、討論に入りましても別に発言もなく、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告を申上げます。(拍手
  50. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  51. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  52. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十四、学校図書館法案衆議院提出)  日程第十五、危険校舎改築促進臨時措置法案内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。文部委員長川村松助君。    〔川村松助君登壇拍手
  54. 川村松助

    ○川村松助君 只今議題となりました二法律案について文部委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず学校図書館法案についてでありまするが、戦後の新教育の効果を真に達成するための必要不可欠な設備である学校図書館を充実する目的を以て、衆議院で議員発議せられました本法律案は、小学校、中学校、高等学校等に学校図書館を義務設置いたしますこと、学校図書館の任務、これが任務遂行のための司書教諭の設置、設置者の学校図書館に対する整備充実の任務、並びにこれについての国の負うべき任務を規定いたしておりますと同時に、これら学校図書館の充実向上を図るために、文部大臣の諮問機関として学校図書館運営審議会を設置すること、又、国は、地方公共団体が、その設置する学校の学校図書館の設備又は図書が、審議会の議を経て政令で定める基準に達していない場合において、これを基準にまで高めようとするときは、これに要する経費の二分の一を負担する等のことを規定いたしたものであります。而して本法案の施行期日は昭和二十九年四月一日といたしております。  本案が文部委員会に付託されまして以来、委員会は慎重審議いたしたのでありますが、その質疑応答の主要な点につきまして御報告申上げます。第一に、本法案によれば、学校図書館の設置については、公立私立の学校に対して共に義務付けをいたしながら、国の補助は公立学校にのみ行うこととしているのは不均衡ではないかという質問がありましたが、発議者からは、今後財政事情が許せば更に考慮したい旨の答弁がありました。第二に、第五条においては司書教諭を置かなければならないと規定しながら、附則においては当分の間置かないことができるとしている点について及び司書教諭の養成計画についての質問に対しては、司書教諭は三万五千人乃至四万人を予想しているので、速急な充実は困難であるため、当分の間の緩和規定として附則を設けたこと、及び講習計画は、図書館学等の専門科目について四乃至八単位を考えているとの答弁がありました。第三に、学校図書館の図書の売込みにかかる不正の防止、思想上から見て余りに極端な図書の備付けの防止、指導に当る教諭の思想が過激である場合の対策等について質問が、ございましたが、これらの諸点につきましては、今日そのような虞れは認められない旨の答弁がありました。第四に、本法案の実施に要する経費についての質問に対しては、五カ年計画で十八億五千万円支出することを考えているとのことでございました。第五に、最も問題となつた点は、国の負担義務を定めた第十三条の但書の、「但し、義務教育費国庫負担法の適用を妨げない」についてでございましてこれは本条本文の二分の一の国庫負担に対比して如何なる解釈をするかという質問が、ございましたが、これに対しては、本法案が成立施行されても、義務教育費国庫負担法による教材費のうちの図書費の額はいささかも減額されるべきものではないという解釈が提案者によつて全面的に肯定されました。なお詳細につきましては速記録で御承知願いたいと存じます。  次いで討論におきましては、大谷、荒木、相馬、深川、高橋の各委員より賛成意見が述べられまして採決の結果、全会一致を以て本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、大谷委員から、「学校図書館の設置について必要な経費は、私立学校に対しても国が補助するよう適当な法的措置を可及的速かに講ずべきものと認める」という附帯決議を附すべき旨の提案があり、同じく全会一致を以て可決いたしました。  次に、危険校舎改築促進臨時措置法案につきまして御報告申上げます。  先ず本法案の趣旨について申上げます。戦時、戦後の国の施策に起因して累積増大して参りました危険校舎の総坪数は、現在百敷十万坪に達しており、これらの校舎で勉学している児童生徒数は約二百万人に上り、教育上、生命身体の安全上、憂慮すべき状態に置かれております。義務教育学校の設置義務者であります地方公共団体は、現在財政上極度に逼迫状態にありまして、独力では到底これらの危険校舎の改築等を行うことは困難でありまするため、これら危険校舎の改築に要する経費を臨時に国が補助することを法制化し、義務教育の円滑な実施を確保しようとするのが本法案の趣旨であります。  次に、この法案の内容について申上げますと、第一に、危険校舎改築の国庫補助の対象は、義務教育諸学校の校舎のうち、その構造上危険な状態にあるものであります。その校舎の危険度、その他、国が補助を行いまする危険校舎の範囲決定について必要な事項は、政令で定めることになつております。第二は、国の補助率でありますが、予算の範囲内で三分の一以内ということにいたしております。その他、補助の申請、補助金の交付の取消、停止及び指示監督等の規定を設けております。  次に、委員会審議におきましての質疑応答によつて明らかになりました重要な諸点について申上げますと、第一に、危険校舎改築について政府は五年乃至七年の年次計画を立てているということであります。第二に、本法案による臨時の措置の対象として現在政府の考えている改築予定坪数は、約百六十五万坪であるということであります。第三に、危険校舎の改築に当つても、防火地区以外におきましては、鉄筋鉄骨改築は現在補助の対象となつていないことであります。その他質疑応答の詳細につきましては速記録に譲ることといたします。  かくて討論に入りまして須藤委員は、本法案の趣旨について反対するのではないが、改築についての年次計画が五年又は七年を要するというような実施内容の不十分な点を指摘して、本法案に反対する旨発言がありました。次に荒木委員は、防火地区外にも鉄筋造りの建物ができるよう国庫の補助を要望して賛成せられ、高橋委員よりは、本法案によつて一応危険校舎の改築に対する基礎が確立せられたが、更に本法案を一層強化することを期待する旨の賛成意見が述べられ、なお相馬委員、吉田委員よりそれぞれ本法案に対して賛成意思を表明せられました。  かくて採決に入り、本法案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  なお、次のような附帯決議を行う動議が提出せられまして、委員会は多数を以てこれを可決いたしました。附帯決議の内容は次の通りであります。   本委員会は、危険校舎改築促進臨時措置法案について、次の附帯決議を附して賛成する。   一、第二条第二項の政令を定めるに当つては、校舎の建築後の経過年数にかかわることなく、実態に基く危険校舎の総坪数を基礎とするよう措置すること。   二、危険校舎改築費国庫補助金の予算については、防火地区外にても  鉄筋造(鉄骨造を含む)が建築できるよう措置すること。   三、危険校舎改築については、その緊急性に鑑み、合理的な年次計画をたてて、速かに完了するよう予算措置すること。   四、高等学校の危険校舎についても、その実情に鑑み、改築に必要な経費について国庫補助の方途を講ずること。  以上を以て御報告を終ります。(拍手
  55. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  先ず学校図書館法案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  56. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  57. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に危険校舎改築促進臨時措置法案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  58. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  59. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十六、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、  日程第十七、富裕税法を廃止する法律案日程第十八、有価証券取引税法案、  日程第十九、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、  日程第二十、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案、  日程第二十一、日本専売公社法の一部を改正する法律案、  日程第二十二、国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上七案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。    〔大矢半次郎君登壇拍手
  61. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 只今議題となりました七つの法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず砂糖消費税法の一部を改正する法律案について申上げます。  本案は、砂糖消費税の負担の実情等に鑑み、分蜜白糖等につき、その税率を二割程度引上げると共に、含蜜糖については種別に応じて負担の調整を図り、又、課税済の砂糖等を原料として製造した第三種の砂糖以外の砂糖等を製造場から引取る場合には課税しないこととするほか、利子税を徴収する規定を新たに設けようとするものであります。    〔議長退席、副議長着席〕  本案審議におきましては、国内産甘味料である水飴、葡萄糖との関連、砂糖消費税を引上げる理由等について慎重なる質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、菊川委員より、「第一に、砂糖消費税の引上げは大衆に過重な税負担を課することとなること、第二に、製糖業者は庫出しの際徴収した税金を国庫に納付するまでの期間利用して、巨額の資金融通を行なつている事実、又、滞納の整理の規定が緩やか過ぎるため不当な利益を得ていること、第三に、法律の体裁が旧態依然としており、統一がとれていない」との反対意見が述べられ、次いで森下委員より、「砂糖はその六割が家庭用に消費され、酒、煙草と異なり、消費規正をやりがたい必需品であり、大衆課税と言わざるを得ない。又、戦前の物価水準に比して砂糖の値上りが低いから税率を引上げたという政府の見解は、所得税等において戦前の水準に復帰させておらない実績を見ても納得できないもので、一連の減税措置がとられておる際、遺憾に堪えない」との反対意見が述べられ、更に平林委員より、「今回の引上げ措置は千慮の一失ともいうべき失政であり、次年度において必ず是正を図るよう要望する」との希望を付して賛成意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に富裕税法を廃止する法律案について申上げます。  本案は、富裕税の施行状況等に鑑みまして、租税負担の調整と税制の簡素化を図るため、昭和二十八年分からこれを廃止いたそうとするものであります。なお、本年度において富裕税廃止による減収額は十八億九千九百万円でありまして、一方、所得税の税率引上げにより六億五千七百万円の増収が見込れております。  本案審議に当つては、慎重なる質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、菊川委員より、「今回の改正においては一応所得税の累進税率を引上げておるが、無記名預金制度、特別減税国債等、富裕階級に極めて有利な財産運用の途が講ぜられている、而も百パーセント捕捉されている給与所得者と比較して、これら富裕階級に対する捕捉が十分に行われていない点に鑑み、富裕税の廃止は、所得税の基礎控除、扶養控除の大幅な引上げと同時に行わるべきものである」との反対意見が述べられ、次いで森下委員より、「自由党政府は大衆に対して常に減税を宣伝しているが、実質的には富裕階級のみが特典を受けている。本税を存置したまま所得税の最高税率を六五%にするならば納得できるが、現下の情勢においては富裕税を廃止すべきではない」との反対意見が述べられ、更に平林委員より、「保守党内閣は大衆の信頼を受けねば存立の意味がないのに、今回の措置は極く少数の富裕階級のみに特典を与えるものであるから、本案の撤回を要請する」との反対意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に有価証券取引税法案について申上げます。  本案は、今国会に別途審議されている所得税法の一部を改正する法律案において有価証券の譲渡所得に対する課税が廃止されることとなりますので、これに代る措置として、有価証券の譲渡があつた場合に、軽度の税率により課税を行おうとするものであります。即ち、公社債券、株券、出資証券、証券投資信託及び貸付信託の受益証券の譲渡があつた場合に、その譲渡価額を課税標準として譲渡者に課税することといたしております。但し短期国債証券及び国民貯蓄債券の譲渡については課税しないこととし、又、公社債及び貸付信託の受益証券の譲渡については、向う一年間は課税しないこととしております。  次に税率につきましては、有価証券の取引を阻害しないことを考慮して、公社債券及び貸付信託の受益証券については万分の七、株券、出資証券及び証券投資信託の受益証券については万分の十五とし、又有価証券の譲渡者が証券業者である場合には、譲渡が頻繁に行われる点等を考慮して、それぞれ万分の三及び万分の六という低い税率を課することとしております。なお、証券投資信託の信託財産に属する株券の譲渡については、証券投資信託の育成の見地から、今後二年間を限つて万分の六に軽減いたしております。このほかできるだけ納税の簡素化を図る方法を講じ、利子税、加算税、罰則等についても所要の規定を設けております。  本案審議に当りましては、税収入見込の算出根拠、有価証券に対する課税方法の変遷、課税率に差異を設けた事由等について、慎重なる質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に閉鎖機関令の一部を改正する法律案について申上げます。  本案は、閉鎖機関の整理の一層の促進を図ると共に、その最終的な処理体制を整えるため、戦時中、主として外地で活動していた閉鎖機関につきまして、従来禁ぜられている社債の弁済及び残余財産の分配を認めるほか、閉鎖機関の指定を解除し、又、株式会社である閉鎖機関につきまして会社の継続又は新会社設立の途を開こうとするものであります。  以下、改正の主要点についてその概要を申上げますと、第一に、大蔵大臣の指定した外地銀行、外国銀行及び特殊戦時機関の、ごとき在外活動閉鎖機関は、現行法によりますと、社債の弁済及び残余財産の処分が禁止せられておりますが、これを改めまして在外債務の総額が在外資産の総額を超える場合の超過額と、政令で定める一定の額との合計額に相当する国内財産を留保すれば、社債の弁済及び残余財産の処分をなし得ることといたしますほか、大蔵大臣は閉鎖機関の指定を解除することができることとしたことであります。第二に、株式会社である閉鎖機関が国内財産を以て新会社設立することができることとしたことであります。即ち、株主の十分の一以上が特殊清算人に対し新会社設立の申立をいたしますと、特殊清算人はその申立の趣旨従つて会社設立計画案を作成し、株主総会の決議を経、大蔵大臣の認可を受けて新会社設立することができることとなるのであります。ただ、この場合、在外債務を有するものにありましては、前述のように、国内財産を留保しなければならないことになつておるのであります。第三に、株式会社である閉鎖機関が指定を解除された場合は、現行法では、民法及び商法の規定によつて清算を結了するほかなかつたのでありますが、これを改めまして株主総会の決議によつて会社を継続することができることとしたことであります。  なお、本案は衆議院において次のように修正せられたのであります。即ち、第一に、新会社設立計画案についての株主総会の決議は、政府原案では、株主二分の一以上の賛成を要することとしておりましたのを、出席株主の三分の二以上で、且つ株主の十分の一以上の議決を以てすればよいこととしたこと、第二に、金融機関再建整備法の規定により、金融機関から調整勘定の利益金の分配を受ける権利の譲渡を認めることができることとしたこと、第三に、閉鎖機関は調整勘定の利益金の分配を受ける権利及び大蔵大臣の指定する債券を信託することによつて、債務及び残余財産の分配義務を免れることとしたことであります。  本案の審議に当りまして、「国内財産を保留した後の財産を以て新会社設立する方法をとらないで、新会社に第二勘定を設けるような方法で処理したらどうか」。「清算はいつ頃完了するか」。「閉鎖機関の指定解除及び新会社設立の見込はどうか」。「中央食糧営団の残余財産はどう処理されるか。」等の質疑が行われましたが、その詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について申上げます。  御承知の通り、日雇労働者の生活基盤を安定せしめるために、これに健康保険制度を創設しようとする日雇労働者健康保険法案が、別途、厚生委員会において審議されておるのでありますが、この法律が施行されました場合に、日雇労働者健康保険事業の経理を明確にするため、本案は、厚生保険特別会計に新たに日雇健康勘定を創設しようとするものであります。  その内容を申上げますと、日雇健康勘定においては、保険料、一般会計及び郵政事業特別会計よりの受入金、積立金より生ずる収入、借入金並びに附属雑収入を以て歳入とし、保険給付費、借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子その他の諸費を以て歳出とするほか、決算上剰余を生じた場合の積立金の積立及び運用、借入金及び一時借入金をなし得ること等について規定し、保健施設及び福祉施設について業務勘定の規定を整備し、更に日雇労働者健康保険印紙の売りさばき代金の日雇健康勘定への繰入れについて、郵政事業特別会計法に改正を加えようとするものであります。  本案につきましては、別段の質疑もなく、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、日本専売公社法の一部を改正する法律案について申上げます。  本案は、専売事業の企業的運営を図るため、日本専売公社の会計制度に関する規定に所要の改正を加えようとするものであります。  改正の主要点について申上げますと、第一に、公社はその業務に関連し、且つ業務の運営に必要な事業に投資することができることとしたことであります。第二に、公社の予算の弾力性に関する一条を新設し、予算に、需要の増加、経済事情の変動その他予測することができない事態に応ずることができる弾力性を持たせると共に、予算の流用及び繰越に関する制度を緩和し、事業経営の一層の円滑化を図ることとしたことであります。第三に、専売納付金の計算に当つては、棚卸資金の増加額を控除しないこととしたことであります。第四に、能率の向上により収入が予定より増加し、又は経費を予算より節減した場合は、これによつて生じた金額のうち、その一部を、予算の定めるところにより、大蔵大臣承認を受けて、特別の給与として支給することができることとしたことであります。なお、このほか、予算の形式、内容、手続の規定及び現金の取扱に関する規定についても、それぞれ所要の改正が加えられております。  本案の審議に当りまして公社の行う投資の計画、公社の会計制度のあり方、たばこ消費税制度実施に関する当局の意向等について種々熱心な質疑が行われましたが、その詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、小林委員より、本案は、前国会、本委員会において要望せられたところを十分に取入れられている点は誠に多とするものであるが、専売益金制度は成るべく速かに改め、たばご消費税のような別個の税を徴収する制度を確立せられたいとの要望を付して賛成の意見が述べられ、次いで平林委員より、専売益金制度は速かに課税制度に改めると共に、鋭意、たばこ小売価格の引下げ、及び葉たばこ収納価格の引上げに努め、明年度はその実現を期せられたいとの要望を付して賛成の意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  最後に、国際復興開発銀行からの外資の受入れについて日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案について申上げます。  本案は、御承知のごとく、国際復興開発銀行からの外貨資金の借入金に対して支払う利子については、国際復興開発銀行協定に基きまして所得税を課税しないこととなつておりますので、同行からの外貨資金の借入契約に基いて、日本開発銀行又は日本輸出入銀行の発行する債券についても、国際復興開発銀行以外の本邦非居住者が所有する場合には、その利子に対して所得税を免税いたそうとするものであります。  本案につきましては、慎重審議の後、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  62. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより七案の採決をいたします。  先ず砂糖消費税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  63. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  64. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 次に富裕税法を廃止する法律案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  65. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  66. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 次に有価証券取引税法案閉鎖機関令の一部を改正する法律案厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案日本専売公社法の一部を改正する法律案国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案、以上五案全部を問題に供します。五案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  67. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よつて五案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  68. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第二十三、健康保険法の一部を改正する法律案、  日程第二十四、船員保険法の一部を改正する法律案、  日程第二十五、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、  日程第二十六、医師等の免許及び試験の特例に関する法律案、(いずれも内閣提出、参議院送付)  以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長堂森芳夫君。    〔堂森芳夫君登壇拍手
  70. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 只今上程せられました健康保険法の一部を改正する法律案船員保険法の一部を改正する法律案厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び医師等の免許及び試験の特例に関する法律案、以上四案につきましての厚生委員会における審議経過並びにその結果について御報告申上げます。  先ず健康保険法の一部を改正する法律案について申上げます。  健康保険事業は、創設以来今日まで二十六年の間、種々の悪条件を克服してよく発展の途を辿つて参りましたが、特に終戦後は著しい普及率を示し、社会保険の中核として、労働者の生活安定にますます大きな役割を果すことになつて来たのであります。併しながら未だ本制度の適用を受けない者も又相当の数に上つておりまして、本制度の拡充に対する要望は極めて強く、又、他面においては、最近の社会的経済的情勢に応ずる必要がありますので、次のような諸点について法律改正をいたすことと相成つた次第であります。  先ず改正の第一点は、現行の適用範囲を拡大し、新たに土木、建築、教育、研究、調査、医療、通信、報道、社会福祉及び更生保護の事業を適用事業としたことであります。この適用拡大によります被保険者の数は六十一万三千人と推計されております。  第二点は、標準報酬を、現行最低二千円から最高二万四千円までの十九等級を改め、三千円から三万六千円の二十等級に改定したことであります。  第三点は、従来は標準報酬の変るたびに改定を行なつたのでありますが、この標準報酬は毎年一回、定時八月に改定することに改められたのであります。  第四点は、療養の給付期間を現行の二年から三年に延長したことであります。  以上が改正の内容でありますが、この準備期間二ヵ月を予定いたしまして、第一点乃至第三点の適用範囲の拡大、標準報酬の改定等は、昭和二十八年九月一日より施行するのでありますが、第四点の療養給付期間延長は、同年十一月一日より施行することに相成つております。  厚生委員会質疑におきましては、先ず適用範囲の拡大につきましては、私立学校の教職員は今回の改正によつて当然適用されることになるのでありますが、別に私立学校教職員共済組合法案が提出されておりますので、これが成立いたしますと、共済組合法の対象として適用される私立学校教職員に対しては、保険料も徴収せず、給付も行わないということになるのであります。傷病手当金の支給期間据置きにつきましては、保険財政の理由から、療養給付期間延長に応じて改定することができなかつたとのことでありますが、保険料率引上げの困難な現状においては、医療給付費に対する国庫補助を期待する以外には、傷病手当金の支給期間延長に対する財源がないとのことでありました。保険財政に若干の余裕を見出した今日において、社会保険本来の性質に反する被保険者の一部負担制の廃止につきましては、これを据え置いても、療養の給付期間延長することのほうが被保険者の利益となるとのことでありますが、政府の方針としては、これを早急に解決すべく努力するとのことでありました。  かくて質疑を打切り、討論に入りましたが、高野委員より自由党を代表して衆議院送付案に賛意を表した上、次の附帯決議案を朗読し、これに賛同方を要望されたのであります。附帯決議の案文は次の通りであります。  健康保険法第五十七条の三の療養給付期間延長に伴い、保険医療をますます適正ならしむるため、政府はこの際、健康保険の医療給付費に対する国庫負担の速かな実現を期せられんことを望む。  これに対しまして山下委員より社会党第二控室を代表して衆議院送付案に賛意を表し、適用範囲の拡大については、五人以上の制限を撤廃すること、給付の延長については、傷病手当金の支給期間延長することを強く要望し、附帯決議案については、給付内容の向上に努め、充実適正を図る趣旨の下に、国庫負担を要求するものである点を確認して、賛意を表せられたのであります。又湯山委員より社会党第四控室を代表して、衆議院送付案に賛意を表せられると共に、興行、サービス業等に適用範囲を拡大すべく努力すること、他の社会保険との給付内容を調整すること、健康保険組合の運営を民主化すること等を要望して、附帯決議案に賛意を表せられました、続いて有馬委員より改進党を代表して、衆議院送付案並びに附帯決議案に賛意を表せられ、保険監査等における運営上の欠陥を是正すること、保険財政に余裕を生じた今日、給付を制限せざること等を要望されたのであります。  かくして討論を終結し、衆議院送付案について採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。  なお附帯決議につきましても、全会一致を以てこれを承認することに決定いたしました。  次に船員保険法の一部を改正する法律案について申上げます。  今回の改正は、最近の社会的、経済的情勢の推移に鑑み、船員保険制度の拡充を図るため、療養の給付、傷病手当金及び家族療養費につきまして、その支給期間を二年延長し、これに関連して癈疾の認定の時期などについて所要の調整を行い、その経過措置を施したことであります。即ち改正の第一点は、療養の給付及び傷病手当金は、傷病が治らない場合は、療養の給付開始後二年経過の日から支給しないこととあるのを、三年経過の日から支給しないことになつたのであります。改正の第二点は、傷病が治らない場合における癈疾認定の時期は、療養の給付開始後二年経過のときとあるのを三年経過のときと改めたのであります。以上の二点でありますが、この改正は昭和二十八年十一月一日より施行されることに相成つております。  厚生委員会質疑におきましては、今回の健康保険法の改正におきましては傷病手当金の支給期間が据置されておるにもかかわらず、船員保険法においては、傷病手当金の支給期間を一年延長して三年に改正されたことが論点になりましたが、船員保険におきましては、従来短期給付の赤字補填のために千分の十四を徴収して積立てて参りましたが、本年いつぱいの積立で黒字になることになりましたので、今後はこれを傷病手当金の支給期間延長に対する財源に充当して行くとのことでありました。  質疑を打切り、討論を省略して、採決いたしました結果は、全会一致を以て衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  次に厚生年金保険法の一部を改正する法律案について申上げます。  厚生年金保険法におきましては、最近の社会的経済的情勢の推移に鑑みまして、健康保険法と同様に、強制適用の範囲を、土木、建築、教育、研究、調査、疾病の治療、助産その他医療及び社会福祉などの事業にまで拡張いたしますると共に、事務的簡素化を図るなどのために、標準報酬は毎年一回定時に決定することといたし、又、本法の障害給付の癈疾認定時期は、健康保険法による療養の給付期間満了のときと相成つておりますが、今回、同法の療養の給付期間は三年に延長することに改正されますのでこれに伴いまして所要の改正をいたそうとするのであります。  委員会におきましては各委員より熱心な質疑が提起されたのでありますが、特に厚生年金保険法の根本的改正の意思があるかとの質疑に対し、政府委員から、本年十二月坑内夫に対する養老年金が初めて支給されるまでに改正したいとの答弁があつたのであります。  かくて質疑を打切り、討論に入り、湯山委員より社会党第四控室を代表して、衆議院送付案に賛意を表した上、次の附帯決議案を朗読し、これに賛同方を要望されたのであります。  附帯決議案の案文は次の通りであります。   厚生年金保険法については速に根本的な改正を行い、新しい養老年金受給の該当者から適用するよう措置すること。  山下委員より社会党第二控室を代表して、衆議院送付案、附帯決議案ともに賛意を表し、速かに根本的改正を行うことを強く要望したのであります。  かくして討論を終結して衆議院送付案を採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。なお附帯決議につきましても、全員異議なくこれを承認することに決定いたしました。続いて医師等の免許及び試験の特例に関する法律案について申上げます。  医師等の免許及び試験の特例に関する法律案について、その内容の要点を申上げます。  第一は、昭和二十年八月十五日以前から引続きソヴイエト社会主義共和国連邦、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満州又は中国本土の地域内にあつて昭和二十八年三月二十三日以降引揚げた者、即ち今次の引揚者であつて、医師法第三十六条第三項、又は歯科医師法第三十三条第三項の規定に該当するものについて、昭和三十年十二月三十一日まで従前の規定によつて医師免許又は歯科医師免許を受けることができるようにしたのであります。  第二点は、今次の引揚者のうち、医師法第三十六条第三項若しくは第四項、又は歯科医師法第三十三条第三項若しくは第四項の規定に該当するものについて、医師国家試験予備試験、又は歯科医師国家試験予備試験の受験資格を、昭和三十一年十二月三十一日まで認めたのであります。  第三は、今次の引揚者のうち引揚の直前に診療エツクス線技師の業務を行なつていた者、又は引揚前に引続さ三年以上診療エツクス線技師の業務を行なつていた者について、引揚げた日から三カ月以内に、氏名、年齢、業務に従事していた施設の名称等の事項を届出させ、業務の暫定的継続を認めると共に、厚生大臣の行う試験を経て、診療エツクス線技師免許を受けることができるようにしたのであります。  第四は、今次の引揚者のうち、ソヴイエト社会主義共和国連邦、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満州又は中国本土の地域内において、いわゆる看護婦の業務を行なつていた者について、昭和三十一年十二月三十一日まで、准看護婦試験の受験資格の特例を認めようとするものであります。  厚生委員会における質疑におきましては、本法の対象となる人員はおよそ一千五百名と推定され、医師の試験につきましても、人命をあずかる医師として要求される最小限以上の試験を実施し、医師としての資格の低下を来たさないように、修練の面においても政府は十分の努力をするとのことでありました。  かくて質疑を打切り、討論を省略し、採決の結果は、全会一致を以て衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  71. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もけなれば、これより四案の採決をいたします。四案全部を問題に供します。四案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  72. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よつて四案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  73. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第二十七、保安庁法の一部を改正する法律案、  日程第二十八、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。内閣委員長小酒井義男君。    〔小酒井義男君登壇拍手
  75. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 只今議題となりました保安庁法の一部を改正する法律案について、内閣委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本法律案の提案の理由として政府説明するところを御報告いたします。保安庁の職員の定員は十一万九千九百四十七人であるが、本法律案によつてこれを十二万三千百五十二人に、即ち三千二百五人を増員しようとするものであつて、この三千二百五人のうち二千七百三十三人が警備官、残りの四百七十二人が保安官及び警備官以外の職員である。警備官の増員については、我が国海上警備力を増強するため、日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定に基き、政府は当初の予定に八隻のパトロール・フリゲートを追加し、総計パトロール・フリゲート十八隻及び大型上陸支援艇五十隻の貸与を受けたいと考え、追加八隻分のパトロール・フリゲートを運航する等のため必要な海上員を増加するほか、第二幕僚監部に勤務する警備官を増員し、警備隊の部隊、学校その他の施設を新たに設け、又は充実するため、必要な職員の増加を図ろうとするものである。保安官及び警備官以外の職員で増員される四百七十二人は、保安研修所及び保安大学校の教育訓練を行い、技術研究所の研究調査の充実を図り、且つ保安庁の調達、施設その他の業務遂行の円滑を期する等のため必要な職員である。  以上が本法律案の提案の理由であります。  内閣委員会委員会を四回開きまして、本法律案の審査に当つたのでありますが、その結果、明らかになつた諸点を御報告いたします。  その第一点は、昨年八月一日、行政機構改革によつて、元の警察予備隊と海上警備隊とが統合されて、保安庁が設置され、警備官の定員は七千五百九十人と定められて発足したのでありますが、今回の増員のうち、警備官の増員は、保安庁が設置されてからの最初の増員でありす。而してこの警備官の増員は、日米安全保障条約とは全く無関係であつて政府は将来警備船等の増加も計画しておるが、それらの船が完成した際には、更に警備官の定員増加の必要がある。他方、保安官は現在の段階においては現定員十一万人を増加する考えはない旨、政府の言明がありました。  その第二点は、今回増員の内訳は、政府の提案理由でもその大要は明らかにされておりますが、本法律案による増員のうち警備官の増員二千七百三十三人中、船舶乗組員の増員千三百四十三人、その予備員五百五十人、陸上員七百二十一人の増がその大部分を占めておつて、右の船舶乗組員の増員は、アメリカ合衆国より更にパトロール・フリゲート八隻の貸与を受くるに伴うそれらの船舶の乗組要員であり、予備員の数は、右船舶乗組員の約二割の数を指し、又、陸上員は、地方総監部、通信所、総合術科学校、ヘリコプター、軽飛行機等の関係の要員であり、次に、今回の増員のうち、保安官及び警備官以外の職員即ちいわゆる制服職員以外の職員の増員四百七十二人のうち、第一幕僚監部関係及び第二幕僚監部関係の各百二十八人と、保安大学校の百二人、技術研究所の七十五人がその大部分を占めておるとの政府委員説明でありました。  なお、本法律案に関連して、保安隊の現状、今後の我が国の治安問題、MSAと保安隊、警備隊の増強との関係等について、木村保安庁長官、岡崎外務大臣と、内閣委員との間に活溌な質疑応答が交わされたのでありますが、結局、本法律案関係する答弁としては、現段階においては現在の保安庁の状態で満足すべきであつて、現在の我が国の財力又は国民の精神力より見て、これより更に増大することは不可能である。併し我が国の治安の維持をいつまでも米駐留軍に依存することはできないから、将来我が財力を勘考して漸増の方向に進みたいとの答弁がありました。  一昨日の委員会においては、本法律案について質疑も終結いたしましたので、討論の段階に入りましたところ、松永委員は、現在の保安隊がすでに軍隊と見るべきものであるから、原案には反対する旨、成瀬委員は、元の警察予備隊が保安隊となつた際に、保安隊の性格は軍隊の性格に変つたものであつて、結局、保安隊は軍隊の卵であると断じ、原案に反対の旨、松原委員は、現行憲法の下において、戦力を持ち得ないとの原則は変えることができないが、国家が自衛力を持つことは当然であつて、保安隊、警備隊が国内治安に任ずるものとの建前からいつて原案に賛成する旨、竹下委員は、我が国の現状においては原案は適当と認めるから、それに賛成する旨、最後に上原委員は、長い海岸線を持つ我が国としては、海上の防備力を増強する必要ありと認めるから、原案に賛成する旨のそれぞれ発言がありました。  次いで本法律案について採決いたしましたところ、多数を以て可決すべきものと議決せられました。  次に、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の内閣委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  政府は、本法律案を提案する理由として、本法律案は、行政の簡素化、経費節約の方針に則り、昭和二十八年度の各省各庁の事業計画に即応して、必要最小限度の増員を認めると同時に、事務処理の合理化、能率化等による欠員の整理等に伴う定員の縮減を行い、以て行政機関全般の定員の適正化を図ろうとするものであると説明いたしておるのであります。  次に本法律案の内容を順次御説明いたします。  第一に、この改正によりまして、総理府及び大蔵、厚生、農林、通商産業、建設の五省はそれぞれその定員において縮小を見ることになつておりまして、その合計は千六百三十八人であります。法務、外務、文部、運輸、郵政、労働の六省は、その定員において増加いたしておりまして、その合計は六千四百四人であります。従つて各行政機関の定員総数は現在の六十八万九千五百八十一人が六十九万四千三百七十四人となりまして、差引四千七百六十六人の増員となるのであります。  次に、右の定員縮減の分の主なるものを御説明いたしますと、国立病院の地方移譲によるもの三百四十二人、これは厚生省の定員減であります。賠償指定解除国有財産管理事務の減小によるもの二百人、これは大蔵省の定員減であります。水産業基礎調査員制度廃止によるもの百十八人、これは農林省の定員減であります。又定員増加分の主なものといたしましては、郵政省に現に在職する賃金要員の定員法計上によるもの四千七百八十五人、旧軍人等の恩給復活のための事務増加によるもの五百九十人、これは総理府恩給局と郵政省との定員増であります。入国管理事務の増加による入国警備官等五百二十七人、これは法務省の定員増であります。私設保税地域の出願増加に伴う税関特派職員の増員二百人、これは大蔵省の定員増であります。これら定員のうち郵政省に現に在職する賃金要員の定員法計上の措置によるものがその大部分を占めておりますので、定員の純増は比較的少いのであります。  第二に、大蔵、農林及び通商産業の三省において事務の縮小に相当の日時を要するものにつきましては、それぞれの事情を考慮の上、必要な人員の定員を、一定期日を限り、経過的に新定員に附加して認めることといたしております。  第三に、海上保安庁は海上公安局法施行の日の前日までの間は運輸省の外局として存続いたしますので、附則においてこれに必要な経過措置を規定にいたしておりますほか、引揚援護庁は昭和二十九年三月三十一日までの間は厚生省の外局として存続いたしますので、これ又附則において必要な経過措置を規定いたしております。なお、定員の縮小に伴いまして四ヵ月間を限り新定員を超える員数の職員を定員の外に置くことができる旨を附則において規定いたしておりまして、実人員の整理を円滑に実施するための措置を講じております。なお、この法律案が成立すれば、この法律は本年八月一日から施行することとなつております。  内閣委員会委員会を七回開き、本法律案の審査に当つたのでありまして、総理府を初め各省別に、定員増減の理由について、つぶさに政府委員との間に質疑応答が重ねられたのでありますが、その結果明らかにせられた主な点を御報告いたしておきます。  その第一点は、今回の定員増加のうち、その七割強を占めておるものが郵政省の賃金要員、即ち特定郵便局において電々公社の委託事務に従事いたしている電話交換手であります。郵政省以外の各省にもこれと同じような賃金要員は多数おるのでありますが、郵政省の賃金要員は、過去における逓信省が、郵政、電通の両省に分離した際の特殊事情に基いて、今回特にその定員化が実現せられるに至つた次第であつて、他の一般の常勤の賃金要員の処遇問題については、今後十分政府において検討を加え、適当な措置を講ずる方針である旨、政府委員より答弁がありました。  その第二点は、この法律案によつて定員の減少する総理府初め各省におきましても、多くは配置転換等の措置が講ぜられる結果、現実に退職を余儀なくされる者は僅少の見込であるとのことであり、又退職を余儀なくされた者には、従前の定員法改正による人員整理の場合と同様の、率のよい退職金が給せられるとのことであります。  その第三点は、本国会で提案になつておる或る法律案の成立を前提として本法律案において或る特定の行政機関に定員増を定めておる場合に、若しその法律案が不成立になつた場合には、その定員は不用定員となり、又或る特定の行政機関に一つの局の新設を予定して本法律案においてその行政機関に定員増を定めておる場合に、その局の新設ができなくなつた場合には、事務量の増加に伴う部分の定員増は別として少くとも局長に充てられる定員一人は不用定員となる旨、政府当局より言明がありました。  質疑も終結いたしましたので、昨日の委員会におきまして、討論を省略し、原案について採決いたしましたところ、多数を以て可決すべきものと議決せられました。  以上御報告申上げます。(拍手
  76. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。先ず保安庁法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  77. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  78. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 次に、行政職員定員法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  79. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  80. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第二十九、昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二十五年度特別会計歳入歳出決算昭和二十五年度政府関係機関収入支出決算議題といたします。決算委員長東隆君。    〔東隆登壇拍手
  81. 東隆

    東隆君 只今議題となりました昭和二十五年度の一般会計並びに特別会計の歳入歳出決算及び政府関係機関収入支出決算につき、決算委員会における審議経過並びに結果を報告いたします。  右決算は、第十三回国会に提出され、今回その審議を終つたものであります。  先ず一般会計について申しますと、歳入決算額は七千百六十七億余万円で、歳入予算額と比較すると五百二十二億余万円を増加しております。歳出予算額は六千六百四十五億余万円で——これに前年度からの繰越額百八十九億余万円を加えると、六千八百三十五億余万円となり、このうちから支出額六千三百三十二億余万円と翌年度への繰越額三百七十億余万円とを差引くと、結局百三十一億余万円の不用額を生じております。  次に昭和二十五年度の特別会計の数は三十二あります。    〔副議長退席、議長着席〕  これら各特別会計の決算額の合計額は、歳入決算額二兆九百二十億余万円、歳出決算額一兆九千億余万円であります。  次に、昭和二十五年度における政府関係機関の数は二十四であり、各機関の決算額の合計額は、収入決算額一兆千三百五十一億余万円、支出決算額九千八百七十五億余万円であります。  以上は決算の大要でありますが、これらに関する詳細は決算書類について御覧を願います。  次に、決算に関する審議の結果を報告いたします。会計検査院が検査報告中に指摘しておる不当事項については、その殆んど全部に亘り、当委員会会計検査院とその見解を同じういたしております。ただ若干の事項に多少見解を異にいたしておるものもありますが、その理由等については決算委員会の審査報告書で御覧を願います。以上の不当事項を除いて、決算に関するその他の事項には別に異議はありません。  決算審査の結果、次の二項目につき特に内閣に警告を与え、その善処方を要望いたします。  その一は、会計検査院の検査報告中に掲げられている不当事項増加防止対策についてであります。この不当事項が終戦後毎年非常な勢いで増加していることにつきましては、前年度決算審査報告の際にも報告されていますが、当年度の不当事項は一千一百十三件に及んでおりまして、昭和二十二年度の三百八十六件、二十三年度の六百二十三件、二十四年度の七百五十件に比較して著しい増加であります。このように不当事項が増加したのは、終戦後の一般社会情勢の混乱に連れて、公務員の間においても、おのずから綱紀の弛緩、遵法精神の薄弱、会計法規の軽視等の弊風を馴致した結果であると認めるのであります。会計経理の事務に当る職員は、その職務の性質上、複雑煩瑣な法令及び予算の運用に当るものでありますから、その執務の適正、能率の増進、一般教養の向上を期するため、内閣においては研修訓練の施設を充実する必要があると認めます。なお、適切な予算の配賦を初め、予算制度の運用に最大の注意を払い、以て国費の効率的使用を確実にする必要があると認めます。  その二は、架空経理についてであります。当年度の決算検査報告中、特に注意を引いた問題は、架空経理の事案が多いことであります。当委員会は特に小委員会を設けてその審議に当つたのでありますが、その取上げました事案は、法務府一件、大蔵省十件、文部省二件、厚生省五件、農林省一件、郵政省一件、電気通信省十三件、労働省二件、建設省三十六件、経済安定本部三件、日本国有鉄道一件、合計七十五件の多きに上り、指摘を受けていない省は極めて少いのであります。このように、経費使用の事実がないのに、その事実があつたように関係書類を作成して支払に立てるなどの方法により、その金額を別途に経理して使用する事例は、すでに二十三、二十四両年度、決算検査報告で指摘されておりますが、当年度は関係庁の数においても金額においても著しく増加しておるのであります。この架空経理の内容は千差万別であるが、その最も著しい例を挙げると、工事費から、架空の人夫賃、材料購入費等の名義で支払に立て、又は借入金をするなどの方法により、別途に資金を保有し、これを工事請負代金、労力費、材料費、給料、諸手当、借入金返済、食糧費等に使用し、或いは架空の自動車借上料等の名義で支払に立てるなどの方法により別途資金を保有し、食糧費等に使用しておるものでありまして、その総額は五億円に上るものであります。このような経理は、予算又は会計法規に反するばかりでなく、犯罪行為の誘因ともなるものでありますから、厳にこれを戒めるべきであり、かくのごとき不当経理が行われて恬として恥じざるがごときは、国家の威信を失墜すること甚だしいものであると言わなければなりません。よつて内閣は、一方には公務員をして安んじてその職務に、専心せしめ得るようその待遇に留意すると共に、他方には経理の厳正を図り、不当経理を未発に防ぎ、一たび違反者を生じた際には、一罰百戒、以てその禍根の絶滅を期すべきであります。  決算委員会は極めて慎重に審議した結果、多数を以て以上の通り議決いたしました。但し、討論に当り、改進党の一委員から、一、架空経理並びに汚職事件の頻出は官紀弛緩の結果と認む。行政各長官は一層官紀の振粛を図り、誤りを繰返さざるよう厳重自戒のこと。二、公共事業費の濫費と災害復旧工事の粗雑なる事実に鑑み、今次水害復旧主事の査定の厳正と工事の万全に特に細心の注意を払うこと。三、日本国有鉄道、電気通信省の電信電話事業の放漫なる経営の実情に鑑み、予算の効率的使用、経費の節約、金銭出納並びに物品の貯蔵、受払制度の整備を期し、公共企業体本来の面目を発揮するよう監督官庁において善処することの希望事項を附して賛成する。なお、決算審査報告の際には、内閣総理大臣の出席と、右決算審査報告に対する所見の開陳を求めることを強く要望する旨の発言があり、緑風会の一委員からは、国費の有効適切な使用を目途として予算執行に当つては最大の考慮を払うべきであるという条件を附して賛成するという趣旨発言があり、社会党第二及び第四控室の委員から、それぞれ、不当事項の発生を防止するために、不当行為並びに犯罪行為の当事者は勿論、その監督者等の上級者に対する処罰を厳重にすべきであるという条件を附して賛成するという趣旨発言があり、更に又無所属クラブの一委員から、国費の財源の大部分を占むるものは国民の血税であること、並びに我が国の再建と国民生活安定の実を挙ぐることは緊急を要する事項であることに鑑み、国費の節約と国費の有効適切な使用を期すべきであるにかかわらず、不当事項は年々増加しておるのみならず、会計検査院が指摘しているもののほかに、なお幾多の不当事項が潜んでいると予想されることは遺憾の極みであるので反対するという趣旨発言がありましたことを報告いたします。  以上、決算審査の結果を報告いたしましたが、毎年度の決算審査報告におきましても、不当事項の発生の根絶を期するため内閣の反省と考慮を要望しておりますにもかかわらず、不当事項の減少の実績が現われず、却つて増加の傾向にありますことは、誠に遺憾とするところであります。独立国家の内容を充実するために多額の国費を必要とし、而も租税がその財源の大部分を占めている現状に鑑み、国費の有効適切な使用と、不当な国損の発生の防止を期すべきことは説明を待たぬところでありますので、内閣はこの点に深き関心を払い、不当事項の発生の根絶に万全の方策を講ずるよう強く要望する次第であります。(拍手
  82. 河井彌八

    議長河井彌八君) 少数意見者から報告することを求められております。発言を許します。平林太一君。    〔平林太一君登壇拍手
  83. 平林太一

    ○平林太一君 議題と相成りました昭和二十五年度一般会計、特別会計並びに政府関係機関の決算に対しましてここに少数意見を述べざるを得ざるに至りましたことは、国家の現状に鑑み誠に遺憾といたすところであります。  先ず第一に申述べたきことは、只今委員長より詳細に亘り殊に切々たる報告に接しましたごとく、会計検査院が指摘いたしておる不当事項が累年著しき増加を露呈し、暴露いたしておるという、この事実であります。即ち昭和二十一年度においては百七十五件、越えて二十二年度においてはその倍額に達する三百八十六件、更に二十三年度においては六百二十三件、二十四年度に至つては七百五十件に相成つたのであります。当年度、二十五年度におきましては、更にこれが増加いたしまして千百十三件、総額にいたしまして百四十九億四千九万六千七百円に至つておるのであります。その内訳に対しまして申上げますれば、総理府関係において六十五件、法務府関係において三十八件、大蔵省関係において四百十七件、文部省関係において八件、厚生省関係において三十八件、農林省関係において六十九件、通産省関係において九件、運輸省関係において二十八件、郵政省関係において六十件、電通省関係において五十二件、労働省関係において四十七件、建設省に至つては百五十七件を数えております。経済安定本部において四件、特に政府関係機関においては、日本専売公社を初めとする日本国有鉄道、当時存置中でありました食糧配給公団、肥料配給公団、食糧品配給公団、油糧砂糖配給公団、産業復興公団、鉱工品貿易公団等におきまして百二十件を算しておるという次第であります。勿論、二十五年度の当時の現状を指摘いたすのでありまするが、まさに綱紀の頽廃、官紀の弛緩極まれりと言うべきであります。私をして言わしむるならば、血税に喘ぎ、血税のために困窮疲憊しつつある我が多数国民の怒りに対し、政府、与党を代表する吉田茂君は、如何にしてその責任の所在を明示して、これら国民の不満に応えられんとせらるるや。あえて私は、本日この議場において、同君に対し、強き糾弾と反省を求めてやまざるものであります。殊に驚くべき事柄は、会計検査院の実地調査が行われましたのは、現在も、又当時の陣容においては、実地調査を要する案件の五割以下にとどまつておるという、この事実であります。故に、若し、その倍額に達する全部について実地調査が行われまするならば、不当の事項は更に倍加し、増大することは必然といたすのであります。且つ又、国会報告せられておりまする不当事項は、実地調査等によつて発見された不当事項のうち、事重大と思われるもののみでありますので、事実上の不当事項は驚くべき多数に上るのであります。  以下の諸要項につきましては、只今委員長より詳細なる報告に接しておりますので、これを省略いたすのでありますが、以上申述べました通り、不当事項、不当国損の発生は、近来極めて重視すべきことに相成つたのであります。従来のこれらの事例から見まして、二十六年度、二十七年度においては、潜在せる幾多の不正不当なるこれらの事項が、国家の現状に対し、我が国民生活の上に禍いをいたし、これが大きなる国家をして衰運に至らしめるところの障害と相成つておるということをも想像せざるを得ないのであります。故に、これらの事実を今後とも徹底的に糾明することは、まさに我が国国民をして、その正しきを正しとし、所を得ることにいたすべき重要なる措置であると申さざるを得ないのであります。不当事項は、前に申述べました通り会計検査院の指摘以外の、只今申上げました通り幾多の事例があることを二十五年度内においても予想せらるるのであります。これらについても十分なる審査をいたして、国民に国費使用の実態を知らしめ、且つ政府の反省を促すべきことは、我が国会に課せられたる唯一無二の使命なりと承知いたすものであります。そのために、当年度の決算の審査が延びましても止むを得ざる措置とすべきであります。  以上の理由を以ちまして、本決算審査報告に反対いたし、その少数意見を表明するの理由といたすものであります。(拍手
  84. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本件採決をいたします。本件委員長報告通り決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  85. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本件委員長報告通り決せられました。  緒方国務大臣から発言を求められました。発言を許します。緒方国務大臣。    〔国務大臣緒方竹虎君登壇拍手
  86. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) 昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五年度政府関係機関収入支出決算、について本院の議決を経ました機会に、一言所見を申述べたいと存じます。  予算の執行につきましては、かねてから予算の目的使用その他不当の使用を厳に戒めると共に、その効率的且つ合理的使用に極力留意いたして参つたのでありますが、只今の御報告にもありました通り、なお毎年会計検査院から不当事項として指摘を受ける件数が多数に上り、殊に昭和二十五年度においては一千百十三件の多きに及び、而も、年々増嵩の傾向にあることは、終戦後における一般社会情勢の混乱に起因する道義の頽廃その他種々の事情によることもあるとは申せ、誠に遺憾に堪えないところであります。これにつきましては、今後一層綱紀の粛圧、遵法精神の涵養、会計制度の整備、研修施設の充実を図り、経理職員の執務の適正、能率の増進等を期するとともに、予算執行の事前監査を強化して、経理の適正且つ効率的運営を確保し、御要望の趣旨に副うよう格段の努力をいたしたい所存でございます。(拍手)      ─────・─────
  87. 河井彌八

    議長河井彌八君) 参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  公職選挙法の一部を改正する法律案  修正議決報告書  日華平和条約附属議定書第二項の有効期間延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件議決報告書      ─────・─────
  88. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長内村清次君。    〔内村清次君登壇拍手
  90. 内村清次

    ○内村清次君 只今議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  本法案は衆議院提出にかかわるものであります。法案の内容は、選挙の一部が無効となり、その一部の区域のみで再選挙が行われることになりました場合、現行の公職選挙法の規定によりますと、選挙運動の期間、各種の選挙運動に関する制限、選挙公営など、殆んど本来の選挙と同様の規定が適用されるという、不都合、不合理が生じておりますので、今回この点を改正して、選挙の一部無効による町選挙につきましては、その区域の広狭や選挙の種類等を考慮して、選挙運動の期間を短縮し、或いは選挙事務所の数、自動車等の使用数、通常葉書及びポスターの枚数、個人演説会の回数等の、選挙運動や選挙公営を制限する等、政令で特別の定めをすることができるようにしようとするものであります。  地方行政委員会におきましては、七月二十八日、衆議院議員森三樹二君より提案理由説明を聞いた後、提案考及び政府側との間に質疑応答を重ねましたが、その詳細については会議録によつて御承知願います。本二十九日討論に入り、館委員からお手許に配付の印刷物の通り修正案が提出されました。  修正案の要点は、(一)選挙管理委員会又は裁判所が選挙無効を決定し、裁決し、又は判決する場合に、選挙の一部無効にかかわるものについては、当選に異動を生ずる虞れのない者を区分することができるときは、その者に限り当選を失わない旨を併せて決定し、裁決し、又は判決すべき旨の規定を加えたこと。(二)右の場合の計算方法を規定したこと。(三)右新規定の適用時期を明らかにしたこと。(四)参議院全国選出議員又は地方公共団体の議会の議員の選挙について、選挙の一部無効による再選挙は、当選人の不足数の多少にかかわらず、常に行うもものとすること等であります。  採決の結果、右修正案及び修正部分を除し衆議院送付案はいずれも全会一致を以てこれを可決すべきものと決定いたしました。よつて本法案は修正議決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  91. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  92. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  93. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、日華平和条約附属議定書第二項の有効期間延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件、(衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。外務委員長佐藤尚武君。    〔佐藤尚武登壇拍手
  95. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 只今議題となりました日華平和条約附属議定書第二項の有効期間延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議経過と結果を御報告いたします。  政府説明によりますと、我が国と中華民国との間の通商及び航海に関する事項は、昨年八月、日華平和条約効力を生じて以来、同条約附属議定書第二項の通商及び航空に関する取極によつて律せられて参りましたが、この取極は、元来、日華両国の間に通商航海条約締結されるまでの暫定取極であり、その存続期間も一カ年と定められておりまして、来たる八月四日を以て効力を失うことになつておるのであります。一方、我が国と中華民国との間には、未だ通商航海条約締結される段階に至つておりませんので、政府はこのたび現行取極の存続期間延長について中華民国政府交渉いたした結果、現行取極を更に二年間又は通商航海条約締結されるまでのいずれか早いほうの時期まで延長することに意見が一致し、七月十八日、外務大臣と在本邦中華民国大使との間において、その旨の議定書に署名を了したのであります。この議定書を締結いたしますれば、日華両国は、過去一年間に実施して参りましたと同様に、それぞれ相手国の国民、産品及び船舶に対して、関税、課金等に関する最恵国待遇を、又、海運、航海及び輸入貨物について、並びに自然人、法人及びその利益について最恵国待遇を与えることになるわけでありまして、このことは、両国間の通商貿易関係の増進に資し、相互の利益に合致するゆえんであるとの説明でありました。  本件議定書の内容は、日華両国間の通商航海に関する現行取極を、本年八月五日から二年の期間が満了するまで、又は両当事国間に、貿易、海運その他の通商の関係に関する条約若しくは協定締結されるまでのいずれか早いほうの時期まで延長すること、及び効力発生の時期について、各当事国がこの議定書の効力を発生させるため、その国内法上必要とする手続を完了したことを通知する公文が両当事国の間に交換されたときに効力を生ずるとの二点を定めたものでございます。  委員会は、七月二十七日、二十八日及び二十九日の三回、本件審議を行いましたが、別段の質疑もなく、討論を経て採決に入りましたところ、本件承認すべきものと多数を以て決定いたした次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  96. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本件採決をいたします。本件全部を問題に供します。委員長報告通り本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  97. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件全会一致を以て承認することに決しました。
  98. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第三十より第四十四までの請願及び日程第四十五より第五十二までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないものと認めます。先ず委員長報告を求めます、運輸委員長前田穰君。    〔前田穰登壇拍手
  100. 前田穰

    前田穰君 只今上程になりました日程第三十より第四十四までの請願及び日程第四十五より第五十二までの陳情につきまして運輸委員会における審査の結果を御報告申上げます。  これらの請願陳情趣旨は、国鉄のサービス改善、列車の増発、貨物等級の改正、鉄道の電化、港湾の修築、小型船舶職員の養成、西日本定期航空路の開設、海上観光事業の振興等でありまして、施設の改善、列車の増発、その他国鉄サービスの改善につきましては、利用者の利便を考慮し、電化につきましては、輸送力の増強、石炭の節約、旅行の快適等の見地から、麺類の貨物等級改正につきましては、我が国の食糧事情の現状に鑑み再考を要するものとして、その他いずれも願意を妥当と認め、以上の請願十五件、陳情八件は、議院の会議に付するを要し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  101. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます    〔賛成者起立
  102. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、離島振興対策審議会委員選挙  一、中央青少年問題協議会委員選挙  一、国有財産虎門公園地原形復旧に関する決議案  一、日程第一 戦争犠牲者保護に関する千九百四十九年八月十二日のジユネーヴ条約への加入について承認を求めるの件  一、日程第二 世界気象機関条約への加入について承認を求めるの件  一、日程第三 日本国フィリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定締結について承認を求めるの件  一、日程第四 地方鉄道軌道整備法案  一、日程第五 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案  一、日程第六 道路運送法の一部を改正する法律案  一、日程第七 港湾整備促進法案  一、日程第八 農業機械化促進法案  一、日程第九 特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案  一、日程第十 木材防腐特別措置法案  一、日程第十一 武器等製造法案  一、日程第十二 漁業法の一部を改正する法律案  一、日程第十三 久六島周辺における漁業についての漁業法特例に関する法律案  一、日程第十四 学校図書館法案  一、日程第十五 危険校舎改築促進臨時措置法案  一、日程第十六 砂糖消費税法の一部を改正する法律案  一、日程第十七 富裕税法を廃止する法律案  一、日程第十八 有価証券取引税法案  一、日程第十九 閉鎖機関令の一部を改正する法律案  一、日程第二十 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案  一、日程第二十一 日本専売公社法の一部を改正する法律案  一、日程第二十二 国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律案  一、日程第二十三 健康保険法の一部を改正する法律案  一、日程第二十四 船員保険法の一部を改正する法律案  一、日程第二十五 厚生年金保険法の一部を改正する法律案  一、日程第二十六 医師等の免許及び試験の特例に関する法律案  一、日程第二十七 保安庁法の一部を改正する法律案  一、日程第二十八 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案  一、日程第二十九 昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二十五年度特別会計歳入歳出決算昭和二十五年度政府関係機関収入支出決算  一、公職選挙法の一部を改正する法律案  一、日華平和条約附属議定書第二項の有効期間延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件  一、日程第三十乃至第四十四の請願  一、日程第四十五乃至第五十二の陳情