運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-03-13 第15回国会 参議院 農林委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十三日(金曜日)    午後二時八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山崎  恒君    理事            瀧井治三郎君            三橋八次郎君            東   隆君    委員            小串 清一君            西山 龜七君            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            楠見 義男君            小林 亦治君            岡村文四郎君   衆議院議員    青木  正君   政府委員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省畜産局長 長谷川 清君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○有畜農家創設特別措置法案衆議院  送付)   —————————————
  2. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 只今から委員会を開きます。  先ず有畜農家創設特別措置法案を議題といたします。本案につきましては去る三月九日に提案理由説明を聞きましたので、本日は本案内容その他資料に基いて主な参考事項について説明を聞くことにいたします。提案者只今代議士会をやつておりまして見えませんので、畜産局長が見えておりますので、一応政府委員からお聞取り聴いたいと思います。
  3. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 只今提案なつておりまする有畜農家創設特別措置法案の概要について申上げたいと思います。御承知のように、昨年当国会の御決議に基きまして二十七年度より有畜農定の創設事業実施して参つておるのであります。本年度の実績は、お手許に配付してあります「有畜農家創設特別措置法案説明資料」というのがございますが、これの真中くらいところの表の第七に「有畜農家創設事業進捗状況」というのがございますが、この資料で御覧頂きますとわかりますように、昨年度の、二十七年度資金割当は合計いたしまして二十二億六千七百三十万二千円でございまするが、それの昨年十二月三十一日現在の進捗状況は、最後の欄にありますように十六億八百二十六万一千円、比率にいたしまして七二%に相成つております。本年三月三十一日までの見込といたしましては大体これが全部消化できるであろうというふうに考えておるのであります。この資金につきましては五分の利子補給をいたすということに相成りまして、本年度予算は約八千万円でありますが、二十八年度予算は約一億九千万円を目下御審議を願つておりまする予算案要求をいたしてておるような次第であります。その利子補給仕事制度といたしまして確立するために、今度の法案では法律にはつきり利子補給をするということを明記をいたすということが先ず第一の点でございます。  それから第二の法案の要旨は、この資金農林漁業中央金庫その他県の信連及び単位農業協同組合資金によつて運営をせられております関係上、若し単位農業協同組合資力が薄弱で信用力がないというような場合におきましては、仮にその地帯家畜導入することが必要であるといたしましても資金が円滑に流れない虞れがあるのでありまして、二十七年度実施状況を見ましても、自分の所属しておりますところの単位農業協同組合資力が薄弱なために農林中金資金融通を受けられないというような事例があるのであります。こういうものに対しましては何らかの措置を講じまして、真に家畜導入する必要のある地帯家畜を入れることを適当と考えまして、その一つ方法といたしまして、県がこの資金に対しまして約三割の損失補償をするので、その場合におきまして国がその半額を県に助成をする。つまり県と国とが一割五分ずつの損失補償をすることによりまして、今申上げましたような地帯への家畜導入を促進しようということがこの法案の第二の狙いでおります。  第三の要点は、併しそれでもなお家畜導入ができないような地方等におきましては、県みずからが有畜農家創設事業を行う。つまり、県が資金を持ちまして、みずから家畜を購入いたしまして、いわゆる県有家畜にして、これを必要なる地帯に貸付けるという制度をとる。その場合に国は県の必要としまする資金に対して五分の利子補給をするということによりまして、仮に一般の融資制度では有畜農家創設が困難なる地帯にも現物で有畜農家を作り得るという制度をとるということでありまして、この点につきましてはすでに大多数の府県におきまして実は実施しておる状況であります。これを、この際、法律としまして制度の上にはつきり乗せる、そうして国がそれに所要なる資金斡旋すると同時に、それに対しましても五分の利子補給をする、こういうことを確立しようということが第三点であります。  それから第四点は、そういうふうな一般的な家畜導入以外に、特別なる必要がありまして国家がみずから国有の牛を農家に貸付けるというような必要があります場合には、それをも国がなし得るということを制度に認めたいということであります。この点は実は法律といたしましては、物品を国以外のものに無償又は時価ようも低い対価で員付けることができる場合の法律というのがございまして、その法律によりますると、国が今のような場合に貸付けることができる場合は、家畜の改良又は増殖を図るために貸付ける場合に限るという規定になつております。で、今回それを、その場合のほかに、国が有畜営農普及を図るためにも、国は家畜無償又は時価よりも低い対価で貸付けることができるというふうに附則で改正をいたすことによりまして、今申上げましたような目的を達成をいたしたい、こういうふうに考えたのであります。結論的に申上げますると、いろいろの目的有畜農家を奨励いたしまするに必要なる柱を一応四本立てることによりまして、一応制度的には整備をして参るということに相成ろうかと思うのでありまして、若しこの法案が成立いたしますれば、政府といたしましては、この法律趣旨に基きまして、更に有畜農家普及促進を図ろうと考えておるような次第でございます。
  4. 山崎恒

    委員長山崎恒君) それでは続いて質疑に入ります。
  5. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この法案について逐条の質問をする前に、総括的な質問を五、六点したい。それは提案者若しくは、政府のほうで適当に御答弁を願いたいと思います。  先ず只今畜産局長提案理由趣旨の御説明がありましたが、これは有畜農家創設要綱に基いての実施状況から考えると、私は一段の前進だと考えて、この点については特に長谷川局長の就任以来の可なり大きなこれは力瘤を入れた問題でもあり、私は誠にその労を極めて高く評価をしておる一人でありますが、なお、この法案について、先ず第一点に、政府考えておいでになる有畜農家創設計画の全貌はどういうことになつておりますか。これは資料等もお持ちのことと思いますが、要点だけを一つかいつまんで御説明願います。
  6. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 農家家畜を持つ必要がありますことはあえて申上げるまでもないのでありますが、併し農家家畜を持たせます以上は、その農家家畜を持ち得る態勢というものを整えさして、それに家畜導入するということでなければ、真に有畜農家として安定した経営を期待することは困難であろうと考えますので、有畜農家創設するに当りましては、一応、厳重なと申しまするか、特に飼料自給度というような点、或いは地域的に農業経営の広さ、大きさというようなものとの関連考えまして、お手許に配付してあります有畜農家創設要綱というものを策定し、これに基きましてこの事業を推進をしておるような状況でございまするが、これを数字的に申上げますると、実は昨二十七年度にこの事業を開始いたしましたときは、一応二十七年、二十八年、二十九年の三カ年をとりあえずの問題として計画を立てたのでありまするが、現在は二十七年以降約十カ年間の想定を以ちまして、現在無畜農家戸数約三百万戸の農家のうち、家畜導入し得る農家、又導入をする必要のある農家約百五十万戸に家畜導入せしめるという考え方で今後事業を進めて参りたいというふうに考えたのでありまして、その具体的な数字につきましては、先ほど来申します説明資料の四枚目に有畜農家創設計画戸数というのがございます。これを御覧になりますると大体おわかりが願えると思いまするが、一番最初の欄に掲げてありますのがこの有畜農家創設事業に基く導入戸数でございまして家畜別は別といたしまして合計十カ年間に約百十七万六千戸、それから自力で、こういう資金斡旋するということを待つまでもなく、自分でやれると考えられるものが約四十四万五千、それから一つ飛びまして開拓者による家畜導入というようなこと、これは特に御承知開拓者資金融通法によりましてやはり資金融通斡旋をすることによつて家畜導入を図るというものを一応二十四万五千、計百八十六万七千というものを一応の目安として考えておるような次第でございます。
  7. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 次に、以上の計画関連して昭和二十八年度融資額並びにそれを算定した基礎をお伺いいたします。
  8. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 二十八年度計画につきましては、先ほど申上げました有畜農家創設計画戸数の二十八年度の欄の数字を予定しておるのであります。具体的に申上げますと、乳牛は一万五千、役肉用牛四万三千五百、馬五千五百、それから緬羊が二万一千を予定いたしております。融資の単価は家畜価格の七割を融資するというふうに考えておりまして、その具体的な金額は、乳牛は五万四千五百円、役肉用牛は二万六千六百円、馬は二万四千五百円、緬羊は五千二百円、これを先ほど申上げました頭数に乗じますと、二十八年度融資総額が出て参りますが、その金額は二十一億八千九百六十万円であります。この二十一億八千九百六十万円は、家畜によつて若干違いますけれども、生育期間を含めて四年乃至五カ年に償還することになつておりますが、その四年乃至五カ年の利子補給額は三億七千七十五万一千円に相成ります。併しこの三億七千万円は償還期限までの間の延べ金額でありますから、本年度支払を要する利子補給金額は別でありまして、本年度に要しまする利子補給金額は八千三百万円に相成ります。ところが昨年、先ほど申上げましたように二十二億の融資をいたしておりますものに対する二十八年度利子補給額が一億八百万円要しまするので、二十八年度に、この事業に伴うて、政府が具体的に利子補給しなければならない総額は一億九千百万円でございまして、目下この数字を以て要求をしておる次第であります。
  9. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 次に、さきに有畜農家創設要綱実施した直後に、家畜価格が可なり大巾に騰貴をして、而もその騰貴は、いたずらに仲介人の利益をもたらす結果を見たことは、これは万人の見ておるところでありまするが、これらについて政府はどういうふうにお考えなつておりますか。特に今度の新しい特別措置法を出されるについて、こういうことを繰返してはならないと考えますので、政府見解を承わりたい。
  10. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) お話のように、この事業開始以来家畜の値段が若干騰貴をいたしております。特に乳牛につきましては二割乃至三割程度値上しりをしておるのでありまするが、その原因一つは、こういうふうに大量的に家畜が新たなる需要の下に動くということが一つの大きな原因をなしておるということは否めないと思うのであります。併し我々も、実はこの仕事を始めます場合に、一番この点に頭を悩ましたのであります。従つて、例えば昨年度都道府県からの要求は、乳牛について申上げますると約五万頭程度希望があつたのでありまするが、我々といたしましては家畜資源関係と睨み合せまして、今申上げましたように一万五千程度にこれを査定をするというようなことをやりましたのも、実は価格騰貴を抑止しようという一つ狙いからであります。それから又、家畜を買いますにつきましても、各県が同じ県に殺到して買付けるというようなことも面白くありませんので、これはやり方としては必ずしもいいわけではありませんが、購入地割当をすると言いますか、各県別割当てて、お前の県はどこで買えというようなことも実はやつたのであります。更に又具体的に家畜買付に当りましても、個個の組合が個々に買付に行くというようなこともできるだけ避けて、少くとも県の連合会においてこれをまとめて買付けるというような措置を講ずるとか、或いは又家畜の購買に当りましても、できるだけ現金取引を避けて、金融機関の発行する証明書で決済をするというような方法等もとつたのであります。併しながら、遺憾ながら先ほど申上げましたように若干の騰貴を見たのでありまするが、併し又これが一面には相当家畜生産を刺戟いたしまして、去年来相当家畜生産は増加しておるような状況でありますので、本年度家畜導入につきましては、価格は安定を来たしつつあるものというふうに考えております。  それから、この事業が単に一、二年のものでなしに、十カ年というような相当長期の間に亘りまして地道にこれを行なつて行くというような趣旨が漸次農家に徹底いたしますれば、当初の年のようなことは将来はなくなるであろうというふうに期待をいたしておる次第でありますが、なおこの問題については今後とも十分注意をいたして処理して参りたいと思う次第であります。
  11. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今の御答弁では私は納得できませんが、まだ他の委員のこれらについては御質問もあろうかと思いますから、そちらに譲つて、次に質問を進めて参ります。  次は、家畜導入を促進するためには家畜の需給の均衡を得せしむるということが先ず第一だ。次に、この前の有畜農家創設要綱をこの委員会で取上げたときにも、これが姉妹法として流通過程をもつと調整をする必要があるということは、非常に強い論議が出たところでありますが、その流通機構を改善整備することに関して、政府の現在の準備なり見解なりをここで明示して頂きたい。
  12. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 実は御指摘の家畜及び畜産物取引機構に関しまする制度が極めてほかのものに比較して不如意である現状であります。終戦前には、家畜市場につきましても、市場法がございましたし、或いは家畜商につきましては、いわゆる免許制度が布かれておつたのでありまするが、終戦後、家畜商免許制度届出制度になり、市場法は廃止をされているような状況でございます。併しながら、今後畜産を振興いたしまするためには、どうしてもこの面をより整備する必要が痛感をいたされるのであります。併しながらこの問題はなかなかいろいろ問題と申しますか、地方的な特殊の事情もございまして一刀両断的にこれを解決するということもなかなかむずかしいような点もございます。併しながら何といたしましても、この点を早急に規制をする必要があると考えまして、これは役所の内部の小さな話でありますが、昨年の八月以来特に畜産局経済課を新設いたしまして、専ら家畜及び畜産物消費流通、その経済面の検討に当らしめておるのであります。二十八年度予算にも約三百五十、万円の経費をお願いいたしまして、家畜実態調査、特に取引の実情を、主要なる府県について、家畜市場状況或いは家畜商状況、或いは家畜の輸送の状況等を、実地について調査をいたそうというふうに考えておりまして、この調査基礎にいたしましてできるだけ早い機会に、私の気持では是非この次の通常国会までには家畜に関する流通機構に関する何らかの制度を確立するように努力をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  13. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは総括的な質問はこれで一応終りまして、次に逐条的な問題を三つ四つお伺いしたい。第二条に言う農林大臣の定める有畜農家創設基準というのは何ですが。
  14. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) これは先ほどもちよつと申上げましたが、これも別途お手許にお渡ししてあると思いますが、有畜農家創設要綱というのがございます。こういうパンフレットでございます。これの中に家畜導入いたしまする場合のいろいろの条件を規定しておるのでありまして、特に具体的に申上げますと、十頁の有畜農家基準というのがございます。これは地区別に、経営規模別に、或いは家畜別に、農家が少くともこの程度家畜を持つことが必要であろうと考え一つ基準を想定しておるのであります。この有畜農家基準と、その次の十二頁にございまする家畜導入標準というのを考えているのでありまするが、これは乳牛役肉用牛馬等に関しまして、それぞれ、例えば乳牛について申上げますると、乳製品原料乳供給地帯、或いは市乳用原料乳供給地帯というふうに分けまして、それぞれ主として飼料自給度、或いは製品の販売度というようなものを勘案して一つ基準考えておるのであります。主としてこの二つの基準をここでは有畜農家創設基準というふうに表わしておると思います。
  15. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは次に第三条、政府に沸ける資金融通斡旋の方針及び計画方法並びにその条件等について……。
  16. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 現在考えておりまする資金農林中金資金を主に、そのほかに県信連及び単位農業協同組合資金、及び特に必要がありますときには、地方銀行の資金等を、政府においてできるだけ斡旋をしようというふうに考えておるのであります。その所要資金は、先ほど申上げましたように、二十七年度二十二億、二十八年度も約二十二億、将来は、これは家畜増殖頭数との関連もあります。又予算との関係もありまするが、将来は更にこれを二十五億にも、或いは年によりましては三十億、三十五億というふうに、できるだけ必要なる資金斡旋をいたしたいと考えるのであります。  それから融資条件でありまするが、これは大体乳牛につきましては、一年の据置、三カ年以内の償還役肉用牛、馬は、一年以内の据置、四カ年以内の償還めん羊は一年以内、二ヵ年以内の償還、こういうことを一応の条件にしておる次第であります。
  17. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 では次に、本資金融通は、農林漁業金融公庫法、又は開拓者資金融通法などに見られるように、これも、この前の有畜農家創設要綱のときに問題になつておつた点でありますが、なぜ一体財政資金によることとしなかつたのか。又この財政資金によることの現在の見通し、或いはその間の経過等についての折衝の御様子を伺いたい。
  18. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) この事業を開始いたしまするときは、本資金農林漁業特別融通資金のごとき、政府資金によつて賄うという意思がないのかという御意見が、衆参両院委員会等からもいろいろ御希望があつたのであります。私たちも、できますならばそういう処置をとりたいということを考えまして、一昨年も昨年も相当強力に財務当局と打合せをいたしたのであります。ところが、一方、農林漁業特別資金に対しまする他の事業要求も非常に多くございまして、二十八年度計画はたしか二百十億になつたと思いまするが、それでもなおまだ足らない。農林省といたしましては、たしか三百五十億でしたか、これが是非必要だというようなことを要求しておるのでありまするが、それがまあ二百十億ということに一応財政都合なつておるような状況でありまして、それに更にこの有畜農家の二十億乃至三十億の資金財政措置に求めることをいろいろ折衝はいたしたのでありまするけれども、遺憾ながら実現を見なかつたのであります。  もう一つの、これは事務的な理由になるかと思いますが、特別融通資金は、これは主として長期資金、十年から十五年という資金であります。この家畜導入資金は、先ほど来申しまするように、長く借りる一種の中期資金だというようなことも、折衝上はなかなか困難であつた一つ理由というふうにも考えられます。で、実はその事業を二十七年度から始めたのでありまするが、このときにはすでにこういう法案を制定いたしまして、制度的にこれを立案したいと考えたのでありまするが、若しできれば政府資金実現をしたいという気持で、昨年これが法案にならなかつたのであります。併し昨年の折衝経過からみまして、今のところ直ぐ政府資金による融資を得る見通しが困難でありますので、今回はそれに代ると申上げましては語弊があるかと思いまするけれども、政府資金と或る程度同じような機能を果し得るこの損失補償制度を取入れることによりまして、一応この制度を立法化いたしたいというところから、今回これが損失補償制度を伴う利子補給制度としてこういうような形になつたものでございまして、経過を申上げますと、そういうことでございます。
  19. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは次に第五条の補助金の額についてでありますが、「都道府県ごと家畜種類別農林大臣の定める金額」と、こうありますが、その「範囲内」とありますが、これが算定基準並びに右に該当する従来の都道府県別補助金はどうなるか。
  20. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) この計画は、第二条にもございまするように、先ず都道府県が市町村の有畜農家創設事業計画を斟酌して、先ず都道府県有畜農家創設計画を立て、これを農林省に提出をするということになつておるのでありまして、農林省は、その県の計画を審査いたしますと共に、家畜資源を全国的に調査をいたしまして、それと睨み合わせまして県別割当を県と御相談の上で決定をするという仕組みにやつておるのであります。で、具体的な昨年度県別割当は、先ほど説明をいたしました有畜農家創設事業進捗状況の表の一番最初の欄にございますので、これによつて承知を願いたいと思います。
  21. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 次に第五条、第六条第一項並びに第六条第二項、それから第七条第三項、第八条などの、これは政令によるものが大分多いようですが、その政令内容等をおわかりだつたらここで一つお知らせを願います。
  22. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 第五条の「政令の定めるところにより年五分で計算した金額」と申しまするのは、利子補給計算方法、これは家畜種類別融資期間に応じて計算することについて定めるつもりであります。その他各条にございまする政令省令等のあらましの要点は、別にこういう「有畜農家創設特別措置法政令省令通牒資料」というのがございますので、これで御覧おき願いたいと考えます。
  23. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この法案は、いつか長谷川さんが局長なつたとき、何か目新らしい事業をやつて下さいと、こう頼んでおきましたが、その後御熱心に有畜農家創設事業をお始めになつて、今までやつておられたのは、単なる臨時の措置で、今度は本格的におやりになろうというのでございます。非常に賛意を表し、この努力には大いに感謝をいたします。そこで、残念なことには、議員提案なつておりますが、これはそのほうが都合がよいと、こういうのだろうと思いますが、私はそうでなくて、畜産局それ自体にあれと思つたら、そうしてもらいたかつたのでありますが、それで今までやつた例で、一番困つておりますことは、五分の利子補給をしてもらうことが建前でございまするから、そのために非常な手数がかかつて、とてもこれじや駄目だ、こんな金を借りるにこういう手数じやいつそ貸してもらわんほうがいいじやないかという、こういう議論がありまして、私たちは困つておりますが、二十八年度に出そうという五分の補給金額をお付けになりましたり、二十七年度もわかつておりますが、その金額を見ると、日本全国のあれだけの補給のために非常な手数がかかつて、どうにもならんと思うのでございますから、何とかこれをもう少し簡単に、地方庁にその事務をやらすから、国からそういう援助を受けることは当然、ただそうかというわけに行かんと思うのですが、もう少し手数のかからんように何かしてやる方法が一体ないか、こういう考えを持つておる。ところが、この家畜導入基準そのものを、若しこれを都道府県に流しますと、これを見ておつたらこれは書いただけなんで、つぶさに検討したら恐らく不可能だと思います。ですから、こういうものを相手にして盛んに吟味されると、なかなか事が面倒で、農林漁業特別融資のような、金額の大きなものは多少手がかかつても、ひまがかかつても……ところが、これはそうでないですから、何とかこれを、簡便ということは余り行過ぎか知りませんが、もう少し今までのような、面倒をかけないで一体やる方法がないかどうか。局長はどうお考えなつておるのか。私のほうでは相当これを使おうといたしておりますが、それも預けてしまつて困つたものだと泣き言ばかり聞いておりますから、その点先ず御質問して見たいと思います。
  24. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) お話は誠に御尤もだと思うのであります。ただ金の貸借の問題に結論的にはなるのであります関係上、金を貸すほうの立場から見ますると、一応書類を整備しなければならないというようなことになりまして、それが延いては個々の零細なる農家にそういう面倒をかけるというようなこと等がありまして、今の御指摘のような非難が相当あることを承知するのであります。まあ私たちといたしましては、実は中央金庫等ともしばしば会議をやりまして、できるだけ手続及び書類の簡略を期しておるのであります。幸いこの事業も始まりまして満一年を経過いたしましたし、地方のかたにおかれましても、事情がだんだんお分りを願えれば、その煩らわしいというものも多少緩和されるのではないかと思いますが、同時に我々といたしましても一年の成果を更に検討いたしまして、できるだけ簡素にするという趣旨で今後とも努力をいたしたいと考える次第であります。
  25. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この貸付主体のことでございますが、建前は農業協同組合を建前にして融資をしようという考えのようでございます。これは誠に結構でございますが、万やむを得ぬものは市中銀行もやつてやれぬことはないようでございます。そこで中央金庫が扱うものでございますから、その主体さえはつきりしておれば、融資ができるかできないかは、都道府県信連に責任を持たすべきだと思うのです。そうすると、何と申しましても、金庫は全国のことを考えておりますが、信連そのものはその都道府県組合内容が十分にわかつております。そこで、これは貸してよろしい、貸してはいかんと、こういうふうになると物事が簡単に行くと思いますが、そうでないものですから非常に事が面例だということと、五分の利子補給があるから都道府県が非常にそれにぷら下つていろいろと文句をつけると、こういう二つにあると思いますが、大分、まあ金を借りに行くことですから、無論貸すほうでは相当に審議をするのは当然でございます。借りるほうも払わなければならんのですから、私に言わしめますと、貸すほうより借りるほうが先ず吟味して行くのが建前で、若しそうでないと大変なことになる。このように大事な金を融資をし、あなたのお考えのような有畜農業を創設して、そうして日本の農業をより以上有利にしたいというお考えでありますから、その通り進むと思います。ですから、もう少し現在の信連をお使いになつて、信連が十分なる査定をして、その査定の上で金庫が決定をする。こういうふうにならんと、今のようでは、通るは通つておりますが、単なる通つたのではいけないので、今の通り方は県信連都道府県の協同組合が何ぼくらい借金をしておるか知らんようでは仕事にならんものですから、それを知る程度でございます。そうでなくて本当に責任を持たすことが非常にうまく行くと思うのですが、その点どうお考えなつておるか、どういうのか、お聞きしたいと思います。
  26. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) お話の通り信連が一番地方の実情を知つておりますので、信連の意見を尊重するということが最も手近な方法であろうと考えます。実は二十七年度の実績を見ましても、二十億のうち約二億四、五千万円は信連資金で賄われておる状態であります。そこには実は問題が、余りその意味の手続上というような問題については余りない、割りかたスムースに行つておるということであります。ただ中金資金ということになりますると、やはり一応自分のところでもこれを査定と言いますか、審査をするという関係上、若干信連よりも書類その他において窮屈な点があろうかというふうに思いまするが、なお今後その点につきましては、更に中金とも連絡をいたしまして、できるだけ御趣旨の線に沿うてやるように努力をいたしたいと思います。
  27. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 特に、購入しようとする家畜価格の見積りでございますが、乳牛では今の見積りの価格は安いと思うのです、それから馬も、年齢によりますが、どうも安いのじやないか、それから緬羊は高いと思います。で、日本の一体緬羊はどうなつておるかということは御承知だろうと思いますが、非常に緬羊熱は下火なんでして、安いのです。ですから、私の家なんかも、家へ帰つてみると一頭も種付けいたしておりません。どういうわけかと聞くと、しようがないから種付けをやめたというので、たくさんありますが、綿を売つて儲けた綿を売つて儲けたいというくらいに考えをいたしておりますが、それは全国ではございませんから、緬羊を飼わす時分に指導しなければならんと思いますが、緬羊価格は余り安くはない、こういうのですが、馬と牛との価格をこの価格で買われるということでは、融資なり或いは五分の金利の補給は非常に困難だと思います。そこで、先ほど飯島さんから、この制度ができたために、家畜価格を吊上げて非常に困るではないかというお話がございましたが、去年はそうでございましたが、ところが、あなたのおつしやるように今では大体追つついております。ですから、私は今この制度法律化いたしましても、特に家畜価格が去年のように飛び上ろうとは考えておりません。ですからこの用途別にお考えなつてやつて頂きたいと思うのですが、日本全国考えて見ましても、例えば高知の或る一部では乳牛を主にして牛を養つております。それから島根、鳥取のほうでは耕牛のみを主にしてやつております。ですから島根、鳥取に参つて見ましても、大体両県とも一年度の売上げが五億というので、非常にいい収入を取つておりまして、非常にいいことだと思つておりますが、そこでそれを区分して価格をお考えなつていると思いますが、乳牛はそんなわけには参りませんから、これはこの基準におきめになつて、これは基準ですから、これをすらつと読んで見ましても、そして乳牛を入れるということは非常に困難です。ですから集団的に入れて、そうしてでき上つた結果が、ここにあるようにすることは結構でございますが、この基準を示して、これによつてよければ金を貸すとか貸さんとかいうことになると、これは入らんと思います。ですから、そういう面はよくお考えなつて下に示してやりませんと、私に言わしめますと、できる限り集団的に入れるのが本当はいいんじやないか、こういうふうに考えておりますが、その点は局長はどういうふうにお考えなつているかお伺いしたい。
  28. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) お話のように、この基準は我々役人が一つの目標として考えているものでありまして、現実の問題に対しましては、多少理想的な面も含まれているかと思います。併し我々は農家家畜を持たせます場合に、無批判的にどこにでも家畜を入れるということであつては、却つて農家に御迷惑をかけることになるのではないか。特に御指摘のように、乳牛等につきましては、これはどうしても市乳の関係或いは乳牛の処理の面から見ましても、集約的にやる必要が考えられますので、まあそういう条件をやかましく一応言つているのであります。実施面に当りましては、地方の実情等を十分斟酌をいたしまして、余り理想にのみ走るというようなことのないようにいたしたいと思う次第であります。
  29. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 先ほど局長の御努力に賛意を表しておきましたが、殊に非常にいいことは、損失の補償がついております。これは三割でございますが、これが一割五分は国が負担することになつておりまして、飯島さんからどういうわけで低利の所要資金が出ないか、こういうお話がございましたが、私も実は逆で、一割五分の損失補償政府がするだけの肚があるなら、どうして僅かな一年二十億や二十二、三億の金が出ぬのだろうという気がいたしておりますが、やがて今はこうでも、一つ今後大いに努力して政府の低利の金を、期間が短いのでございますから、出すように今後しようという努力があるかないか。それを一応お聞きしたい。
  30. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 私といたしましては、昨年来政府資金だけによるようにできるだけの力をいたしたのでございますし、又実は皆さんのお力を相当得まして財務当局にもしばしば御折衝を頂いたのでありますが、如何せん先ほど申上げましたように、農林漁業特別資金さえ農林省考えているほど獲得できない現状でありまして、それが仮りに若干動きましても、それらの資金にまずそれが向いてしまうというようなことになりまして、この三十億がいつも瘤のようになります。その理由が、農林漁業資金は十年乃至十五年の長期資金でありますから、これはなかなか中金の資金で賄うことは困難だ。ところがこの有畜農創設資金は五年の資金だ、そんなら新年度から或いは中金でも今相当資金があるからそれで賄つたらどうかというようなことになりまして、内輪話を申上げるようでありますけれども、そんな事情でいつもこれが実現を見ないのでありまするが、将来財政の許すような時期がありますれば、私たちは更にその方面につきましても努力を惜しまないつもりであります。
  31. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 無畜農家調査もされ、ここに数字が出ておりますが、今畜産局でお考えなつているほど無畜農家の解消することは不可能だと思つております。と申しますことは、非常に狭隘な畠、田圃を持つております関係で、どこでも現在までに家畜を飼わなくてもいい、こういう考えで飼つておらんのじやないと思います。若しこれを家畜を無理に入れようとすると、無理が参りますから、恐らく現在の計画ほどはこの程度のものでは入らんのではないか。よしんばそれが入りましても、非常に簡単にただ単にそのときだけ家畜を入れた、こういうだけでは目的は達せられないのでございますから、その点は大いに督励をする必要があると思います。そこで問題は、家畜導入に附随した、当然やらなければならない事業がございます。そこで若しこれなりで家畜だけ入れておいて、もうその効果があつたからというだけでは、せつかくのこの御努力は実を結ばんと思います。ですから、それをお考えなつているだろうと思いますが、実は私は恥を申上げますが、北海道が今のところ日本で畜産国と称せられ自分も実はそう解しておりました。ところが恥かしいことには、鳥取、島根へ行つてみますと、県営の食肉加工処理場がある。北海道には一つもございません。そこで状況を見ますと、北海道におきまして肉は大体一年に九十万トンでございます。その中の僅か五分か三分しか我々の組織ではやつておりません。そんなことで畜産も何もあつたものではないのでありまして、北海道に畜産がたくさんあるとはいえない。島根、鳥取の県営の食肉処理場があることは実に感心して見て参りました。これはどうしても畜産局のほうで食肉の処理を今後お考えにならないと、今せつかくお骨折りになつてこういう案を出して国の助成も仰いでやろうといたしますことの実を結ばんと思いますが、その点どうお考えなつておりますか。
  32. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 家畜導入に当りましてはその前提条件といたしまして、家畜導入基礎条件が整備されなければならないということにつきましては、私もその通りに考えているのでございまして、実は飼料作物の奨励、或いは牧野の改善というようなものにつきましても昨年度より相当金額を増額しているのであります。これを以ちまして十分とは思つておりませんが、更にそういう面につきましても努力をいたしたいと思いますし、又サイロ、堆肥舎というような問題につきましても、昨年秋以来、農林漁業資金による融資が認められることになりまして、本年度は約サイロ三億、堆肥舎三億の融資を予定しているような状況でございます。又乳牛の処理場等につきましても年間一億ぐらいの農林漁業資金融資斡旋するような計画を立てております。特にお話のありました食肉の処理加工場の問題につきましては、鳥取県に県営のものがあるというお話でございますが、これは相当やはり公共的な色彩を持つてやらなければなかなか運営がうまく行かないというような面もありまして、実は先ほど申上げました経済課におきましてもこの問題につきましていろいろ研究を進めているのであります。併し取敢えずの処置といたしましては、実は今度厚生省で屠場法の改正をこの国会にお願いをしているのでありまして、それに際しまして農林省から特に二点強くお願いを申上げまして、大体その趣旨を入れてくれたのでありますが、その第一点は、簡易屠場の設置を認めるということと、農家が自家用に食するものにつきましては、一年未温の牛馬は自家屠殺を認めるというふうに改正になる予定でございます。併し仮りに簡易屠場ができ、自家屠殺ができましても、同時にこれと加工処理の施設が随伴しなければ首尾一貫をいたさないのでございまして、これは実は非常に恥かしい金額でございますが、来年度四百万円の助成費を今予算にお願いをしておりまして、全国に十カ所の食肉簡易加工処理場を今の簡易屠場と併置いたしましてモデル的に先ず本年十カ所やつて見よう。そうしてその成績によりまして、更にこれを拡充するような体制をとりたいというようなことで、本年予算要求をしておるような次第でございます。
  33. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 牛とか、馬とか、豚とかいうようなものは現在でもどうにか処理がされると言つても過言でないと思いますが、これは一般に処理されているのでございますが、今から心配をしなければならんのは緬羊でございます。北海道に現在恐らく七十万頭いると思います。そういう表が出ておりますが、併しながら老緬羊の処理が思うようにならないので、これはもう行き詰りを生じております。そこで今北海道の予備隊と交渉をして何とかそれを処理しようと思つてつておりますが、アメリカのほうでも研究をしてもらいまして、いろいろとその処理を考えるに当つて緬羊のやつばかりではいかんというので鯨の肉をまぜて罐詰にしたほうが価格が安くていいと、こういう向うのお話でございますが、問題は、肉はできますけれども、皮の問題でございます。そこで春の五月に毛を刈るが、すぐそのときに全部刈取るものは、毛は取つてありますから、毛と肉は分けられるのであります。緬羊は体が十貫目あれば毛も一貫目あるという大体一割標準で行けばいいのです。私の家には十七才になる緬羊があります。ところが、これがどうにもならんので、それでも種付すれば生れます。生れますが、それではいかんので、大体六才、遅くても七、八才になれば老緬羊として処理する、こういうことにならんといけない。そこで急には間に合いませんから、今から緬羊、老緬羊の処理を畜産局のほうでお考えなつてやりませんと、折角普及してもこれが北海道のようになると思います。そこで毛の処理は、たくさんその会社はございますけれども、北海道は協同組合で毛の処理をする会社もありますから、……それでも北海道にできる緬羊の毛の大体四割くらいの処理きりできません。ですから、あとの毛は全部いろいろな加工の方面に使いますが、いろいろな方面で普及する一方、これを今から考えてやつて参りませんと、今から急には間に合いませんから困ると思いますが、その点は一体どうお考えなつておりますか。
  34. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 緬羊終戦後非常に増加しておりまして、統計的には全国に七十万頭というふうな数字なつておりますけれども、実際は恐らく百万頭を超えておるだろうという状況でありますことは、私たちといたしましては非常に喜ばしいと思うのであります。一面、羊毛の値段が、国外の交易が自由になるに伴いまして濠洲羊毛の値段によつて国内羊毛が左右をせられるという事態になつて参りまして、これが極めて不安定でありますことは、折角百万頭に達しました緬羊の将来に対しまして重要な問題でありますので、我々としてはこの対策についていろいろ苦慮しておるのであります。昨年は一つ方法といたしまして緬羊の無条件委託加工に対しまして資金融通をするというような処置もとりまして、相当の成果を挙げたと考えておるのであります。本年度は更にそのシステムを整備してやりたいというふうに考えております。今お話の中にありました警察予備隊との関係につきましては、これは実は結論を得ておりませんので、こういう機会に私申上げるのは甚だどうかと思うのでありますが、お言葉にありましたから申上げてみますると、実は私は是非一つ警察予備隊が拡充せられるこの機会にこそ、国内の緬羊を警察予備隊において買上げるというような一つ制度をとることが必要なんではないかというように考えまして、警察予備隊の係りの連中とは一、二度話を進めたこともあるのであります。趣旨においては、警察予備隊員は主として農村の子弟であります関係もありまして、皆、無条件に賛成をするのであります。ただ現在の警察予備隊の物品の購入規則が、法律によつて競争入札によつて買うと、而もそれは原料でなしに製品を買う、こういう規定に相成つておりますので、直接農家との結び付を考えることは非常にまあ困難でございます。従いまして、その点を是非法律改正をする必要があると同時に、その納入いたしまする場合の農家のほうの組織を如何に考えるか。北海道は御承知のように北紡が中心になつておつておられまするから割り方簡単でありますが、これを全国的な組織としてどういう組織がいいであろうかというような点にも一つの問題がありますので、今経済課を中心に、その納入機構と申しますか、そういう方面の改正を研究をし、それに対する見通しがつきましたならば、先ほど申上げました法律改正なり適当の処置をとりまして、警察予備隊との密接な結び付き、これによる緬羊価格の安定というようなものを具体的に解決をしたいというふうに、これはただ考えておることを申上げて、甚だ恐縮でありますが、そういうことで努力をいたしたいと思つております。なお肉の処理につきましても誠に同感であるのでありまして、先ほど申上げましたような簡易屠場というようなものと関連をして、その加工施設の充実を更に強化するようにいたしたいというふうに思う次第でございます。
  35. 東隆

    ○東隆君 協同組合資金を借りる場合には、これはお話があつたのでありますが、私は大体協同組合から組合員に貸す場合に、非常に条件がつきますと大へんむずかしくなるのですが、昔ありました農業動産信用法という法律があつたわけです。あの法律を生かすほうが非常にいいのじやないか、こう思うのですが、その方面の何か御研究がございますか。
  36. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) お話の農業動産信用法によりまして、家畜類の抵当権を設定するということはできるこする場合にも、その抵当権を設定するという事例も若干あるようであります。併しこれこそ非常に手続が煩瑣な関係上、実際問題といたしまするとなかなかこれが行われないのありまして、むしろこの資金を、農家に対する貸付債権を質入れするというような方法だとか、或いは家畜の共済代金の受領を組合に委任するというような措置のほうが多いと考えておるように承知しておる次第でございます。
  37. 東隆

    ○東隆君 私は農業動産信用法の運営が却つて組合員に面倒だと、こういうのは、登録の関係であるとか、いろいろな問題があるわけです。そのために非常にむずかしいというのですが、今の家畜共済の場合をもう一つ進めて、協同組合家畜保険の仕事をやるということを考えますと、農家は今抵当に提供し得るところの財産は、これはもう家畜よりほかにないわけです。ほかにないわけですから、それで、その家畜をどうしても抵当物として活かさなければならない、こういうことになりますし、殊に資金を借りる場合にはこれが唯一だろうと思うのです。信用評定の条件の中にはこれは当然入つて来る。こういう考え方から見て参りますと、どうしても今の一年限りのあの農業災害補償法による家畜共済、これは実際のところを申すと、余り大きな効果がない。却つて協同組合家畜を保険の対象に持つて来て、そうして協同組合に入つておるということを条件にして資金融通をする、又購入したものを保険に入れるということの前提の下に、資金導入を図る、こういうようなことをすれば、これは協同組合は比較的容易に家畜導入するということについて条件が備わるのですから、これは私は割合にスムースに行くと、こう考える。協同組合までのいろいろな手続その他は、これは非常に煩雑になりましても、それは協同組合には事務屋がいるのですから、そつちのほうでやればいいし、それから組合から農家に行く間の仕事も、それさえできれば、あとは十分にやれると、こういうようなことになろうと思うのです。そういうような意味で、家畜共済の問題もありますけれども、これは大きく一つ目を上げて、今の農家が持つておる財産の中で抵当になり得るものは、もう今家畜ぐらいだと、こういうような観点から、農村金融の関係を円滑にやるために、保険の対象をもう少し大きく拡げると同時に、先ほどの農業動産信用法を、これを再び……、これは二十年間眠つて、大かた二十年くらいになりますが、眠つておるわけでありますが、これを一つ大きく動かすべきじやないか、こういう考え方をするわけです。これをやらなければ、恐らく農家はこれからの資金導入に際しまして、基になる資金なんかはこれは恐らくできんと思います。政府資金をいつも待つて利子補給だとか、補償なんかの問題を持ち出して見ても、結局農家にはそう大きな利益にはならないと思うのです。  それから、まあそういう問題があろうと思いますが、もう一つ関連をして申しますが、損失補償は、これは協同組合の場合には、なんですか、協同組合が損失したものに対して補償するのですか。それから銀行から参つた場合には、協同組合を通して、銀行が協同組合に……、銀行から協同組合が借りて、そうして組合員に融通すると、こういう場合には、これは非常に損失補償の問題がむずかしくなつて来るわけです。それで恐らく銀行を通して組合員に出た場合には、この損失補償というのは、何らの効果をなさんのではないか、こう考えまするが、その点はどういうふうになつておりますか。
  38. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 非常に根本的な問題についてのお話でありまするが、勿論、担保の関係等から、この家畜導入資金償還……、担保というような観点からのみ考えますれば、農業協同組合による家畜共済というような制度がありますれば、これは最も手取り早いということになると思いますが、農業協同組合ということになりますると、組合員の中には家畜を持つておらない者もあるでありましようし、又いろいろな関係がありまして、協同組合家畜共済的な事業がやれるかどうか、これは更に我々といたしましても研究をいたしてみたいというふうに思つております。  なお、この損失補償の相手方でありますが、これは資金を出しました者に対して損失補償をするということに相成りまするので、農業協同組合自分資金を以ちまして家畜導入をやりました場合には、その農業協同組合損失補償が行われ、地方銀行の資金によりまして資金が出ました場合には、地方銀行に対して結果的に損失補償が行われる、こういうことになるわけでございます。
  39. 東隆

    ○東隆君 銀行の場合は、直接農家資金融資するのですか。協同組合を通して恐らく出るのじやないかと思いますが、その場合、銀行は飽くまで協同組合に対して償還要求すると、そうすると協同組合では、これは組合員から回収がなくとも払うと、こういうような形が起きて来ますから、私は損失補償の問題は、これは銀行に対する場合にはあり得ないようなことになるのじやないかと思いますが、この点……。
  40. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) この損失補償の建前は、第六条にございますように、都道府県と、それから有畜農家創設事業資金融資しまする金融機関との間における損失についての補償を考えておりますから、建前は、その融資機関に対する補償をするということになるわけでございます。先ほどお話のありました地方銀行が融資をいたしまする場合には、これは農業協同組合を通じて組合員に融資がなされるということでありまするが、損失補償の相手方といたしましては、やはり地方銀行がその相手力になるわけでございます。
  41. 東隆

    ○東隆君 そういうふうに考えますと、やはり銀行系統から資金が出る場合には、担失補償というのは画に描いたぼた餅のようなことになるわけだと思います。そういう点からも、協同組合の抵当金融を当然使うべきだと考えますが、その場合、やはり銀行の場合と同じように、協同組合の場合にも、相当、中金から信連に対し、信連から単協に対しての問題は、これはいろいろな販売代金の差引きだとか、いろいろな形で行われると思うのですが、そういうような場合における、これは何か限度といいますか、そういうようなものがあらかじめきめられるわけですか。
  42. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) この融資をいたしまする場合の保証条件でございまするが、これは結論的には金融機関と借受主体との間の契約によつてきまるのでありますが、併しやはりこれが一つ制度となり、損失補償も行われるということになりますると、おのずからそこに一つ基準というようなものが考えられて然るべきだというふうに考えまして、今いろいろ現に、実は損失補償制度をすでにやつておる各府県が全国に五つか六つあるのでありまして、その府県の保証条件はどういうふうになつておるかというようなことも今調査をしておるのであります。まだ最終的に結論を得ておりませんが、やはり先ほど来お話のありました家畜を中心にする担保、家畜そのものとか、或いは家畜共済代金を担保にするというようなことが、これは勿論当然に成立つているわけであります。そのほか組合の役員の個人保証というようなものも要求をやられるのが普通であろうというふうに我々考えます。併しながら、更にそれを進めて、組合の物的施設等にもそれを及ぼすか、或いは更には又、今お話がありましたその他の米麦の収入というようなものにまでこれを拡充しなければならないかというようなことにつきましては、更に研究をしてみたいというふうに考えておる次第であります。
  43. 東隆

    ○東隆君 私はこの損失補償関係を実は少しばかり仕事関係で手掛けてみたのですが、普通の場合ですと、この損失補償があることによつて金利が普通は上るのです。金利が高くなるのが常識なんですが、国や地方自治体がやる場合には逆に資金融通が滑らかにやれると、こういうようなことでこの資金損失補償があると考えるわけです。ところが、それは実のところを言うと、損失補償のようなことには決してならないのだ、こういうことで、大抵地方庁では損失補償の何というのですか、予算外の何といいますか、決議をとつてそうしてこれをやる。こういう形になつておるので、予算外の決議で以て大抵きめて行きますから、それであとの始末はこれは大変にむずかしくなるのがこれは普通なんです。だから私は、そういうようなことを考えたときに、もう一つ入り込んで行つて、借りたものは必ず払える体制、こいつを確立することが必要だと、こういうことを痛切に考えるものですから、先ほど一番先に言つたような農業動産信田、それに関連して家畜保険を一つ協同組合にやり得るような体制に、今の農業災害補償法によつてつたのではこれはどうも面白くないから、こういうことを申上げたのですが、そういう問題があろうと思うのです。これは今後協同組合がやるところの火災保険の共済関係、それから生命保険の共済関係、こういうようなものと相待つて農家の恐らく長期金融の担保を満たして行く面になるわけですが、農家が待つておる家畜そのものが長期資金に肩代りし得るようなもの、こういうような体制を作り上げることが一番必要だろうとこう考えるので、非常に関係が深いものですから、そういう問題をお聞きしたわけです。
  44. 楠見義男

    ○楠見義男君 坐つたまま質問しますから、坐りたままお答えを頂きたいと思うのです。それから局長でも課長でもどちらでも結構ですからお答えを願いたいと思います。  それで最初にお伺いしたいのは、実はこの第四次吉田内閣ができて、最初に、農林大臣として小笠原農林大臣が施設方針についてこの委員会で御説明なつたときに、畜産については長期的の計画を立てる、目下検討中であるというお話があつたのですが、長期的な計画が立つて、その計画の下に、この法律の、例えば第一条に「計画的且つ効率的」というので、ここに「計画的」という言葉が出ておりますが、この「計画的」という言葉と長期計画との関係がどういうふうになつておるのか。この点を先ず伺いたい。
  45. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 勿論農林省考えておりまする畜産振興の計画と、その有畜農家創設計画というものは、密接不可分の関係において実施して参る法律なのであります。ただ、ここで言つております計画と申しますのは、先ほど説明をいたしましたように、一応有畜農家創設十カ年計画というものを元にいたして考えておる次第でございます。その表は、この説明資料の第五、四枚目に載せておりますので、御承知を頂きたいと思います。
  46. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、長期計画というものは、一応十カ年の長期計画といいいますか、それを農林省としてはお立てになり、その計画がこの五の有畜農家創設計画戸数、こういうふうに解釈していいのですか。
  47. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) その通りです。
  48. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、この畜産十カ年計画というものに関連した飼料計画というようなものはありましようか。
  49. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 一応資料といたしましては持つております。
  50. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつとこれは別の機会に出して頂きたい。ということは、例の肥料需給安定法、そのほうの関係もあつて事業計画なり、或いは予算面における将来の財政計画なんかとの関係もありますから、近い機会で結構だと思うのですが、出して頂きたい。  それから第二番目の問題は、こういうふうに農家に有畜奨励をやつて行くところが、これは極く最近にもあつた例なのですが、一方で乳牛を奨励しておきながら、一方ではこれは実現は、この前の国会がやかましく言つたの実現しなかつたと思いますが、例えばニュージーランドから安いバターが入るとかチーズが入るとかいうことで、一方で有畜農家の奨励をしながら一方ではそれに冷水をかぶせるようなことがあつたわけです。そういう愚は今後敢えて繰返してやられぬと思いますけれども、問題は、ここで農家に対して有畜経営を奨励して行く、ところが、かねて畜産当局もお話があつたように、畜産物流通過程というものが一番遅れており、それが畜産対策の何と申しますか、一番癌になつておる、盲点になつておるというようなことを、畜産局自身もお認めになる。そこで、一方でこういうふうに有畜農家を奨励して、同時にこれと併行して流通過程の改善対策というものが私はなければいかんじやないか、こう思うのですが、その流通過程改善合理化対策というものは、これと併行したものは何か参老資料に載つていましようか。
  51. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 実は先ほど質問がありまして、特にお答え申上げたのでありますが、御指摘の通りその面が畜産行政の盲点をなしておりますので、昨年来研究会を作り、その問題を中心に研究をし、なお明年度予算が三百五十万円程度予算を以ちまして実態調査を更にやるというようなことで、私といたしましては、来年の国会には是非畜産及び畜産物消費流通に対する一つの基本的な政策を作り上げるように努力をいたしたいというふうに考えておるものであります。只今のところ具体的にこうするという結論を得ておりませんような状況でありますが、しばらく日時をおかし願いたいと思つておる次第でございます。
  52. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは、これから実態調査をせられるということなんですが、まあその具体案がなければこれは申上げても無理なんですが、我々の希望するところは、できればこういうものと併行してそういうものが出て欲しかつた。例えば資金融通をしましても、これは地方の声をお聞きになるとよくわかるし、又よく御存じのことだよ思いますが、いろいろの資金融通されても、その相当部分というものが流通過程の経費として消えてなくなるということが非常に大きな問題にされておるし、それから、これは重大な問題ですが、その生産物についてもこの点が非常に大きな癌になつておる。先ほど申上げたように、今具体的にないものならばこれは幾ら追及しても無理なんですから、おつしやるように早く一つつて頂きたい。これはまあ希望です。  次には簡易屠殺場と処理設備の問題ですが、先ほどお話を承わると、この国会で屠殺場法の改正があつて簡易屠殺場の設置が認められるということになつた、これは私は非常に結構だと思うのですが、その簡易屠殺を認められる、何と申しますか基準と言いますか、それはどういうふうにお考えなつておられますか。
  53. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) その点は法文上は政令を以て定めるということに相成つております。ざつくばらんに申上げますると、その基準につきましては、我々の考えと厚生省当局の考えとの間に若干の、或いは気持のしかも知れませんが、気持の相違があるのではないかというふうに思うのでありますが、私たち考え方といたしますると、成るべく普遍的に、公衆衛生上支障のない限り簡易なものにしたいという考え方であります。厚生当局の気持の中には、余り簡易なものにいたしますると、これによつて公衆衛生に支障があるのではないだろうかというような気持があるようであります。併しいずれにいたしましても、政令基準を定めるにつきましては、農林省と厚生省とでよく打合せをした上できめるということを文書で取交わしておるような状況でございます。
  54. 楠見義男

    ○楠見義男君 これはできるだけ両省の意見をまとめて頂いて、ということは、若しまとまらなければ結局簡易屠殺を認めても、その政令がまとまらないからというので政令が出ずに、法律上認められても実際は認められないと同じことになりますから、できるだけ農林省のほうとしては御努力を願うと同時に、例えば協同組合あたりでできるように、簡単にできるように一つこれは御努力を願いたいと思うのですが、そこでその次の問題は処理施設の問題です。  さつきの御説明を伺うと、来年度四百万円で十カ所助成をやる、こういうことなんですが、実は例えば豚なら豚これは農家が今申上げたように協同組合の施設あたりで簡易な屠殺ができて、自家用にも供せられ、それから一部は販売に供する。その販売の場合に今売れば相場が安い、もう二、三カ月置いておけば必ず値が上がるということがわかつていても、併しその設備がないために売らざるを得ない。そのために又、豚なら豚を飼うということもだんだんとためらつて来る。従つて家畜増殖という問題の場合には、そのことは乳牛の場合もそうなんですが生産物を農家ができるだけ食べることによつて食生活を改善して、そうして米麦を出してもらう。米なら米の供出をできるだけ出してもらうということの狙いと同時に、農家としては食生活を改善してもらいたい。その一番基本になるものは簡易屠殺場と処理施設。特に今の豚で申上げますと、例えば三月目なら三月目のときには必ず値も上がるということがわかつているのに売らざるを得ない。その場合に肉の冷蔵設備がない。そういうような冷蔵設備も助成の対象になるのか、ならないのか。それから助成という場合には、この十カ所に、これには一カ所に四十万円になりますが必ず十カ所設けなければならないのか、それからその助成は何分の一助成されるのか、それに対する資金はどうせられるのか。こういう点を伺いたいのであります。
  55. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 簡易食肉加工施設の設置につきましては、実は御承知の農林漁業資金、で本年度約三千二、三百万円の融資をいたしている実情でありまして、我々といたしましても、御趣旨のような簡易な食肉処理加工施設を考えており、奨励をして参りたいと思つているのでありますが、併しなかなか農家のことでありますので、経済情勢によつて資金が円滑に回転し得ないような場合も考えられるのでありまして、特に屠場とこれを併置するというようなことになりますと、相当公共的な性質も持つて参りますので、明年度からは、簡易屠場ができるのに伴いまして、特に国の助成で簡易加工場を作ることを奨励をしたいという意味で、四百万円の計上をいたしておるのであります。内容は一カ所大体二百万円の施設に対する二割の補助、それで予算面上十カ所ということに相成つております。これは実はもつと大きなことを要求しておつたのでありますが、いろいろの関係で取りあえず初年度この程度でモデル的にスタートしてみようということで、僅かでありますが、こういう金額に落ち着いた次第であります。お話の冷蔵庫は勿論この補助の対象にいたしております。
  56. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは公共的と言いますと如何にも大袈裟なんですが、そう大袈裟にお考えにならないで、農家自分のものを一部は自家で消費し、一部は出す、むしろ自家消費の延長くらいにお考え頂いて、そう大袈裟に考えずにやつて頂きたいと思うのです。その次は、豚の入つていないのは、これはどういうわけですか、家畜の中に。
  57. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) この「有畜農家創設事業」の中に、広い意味で我我がいろいろ計画をいたしおりますものの中には、山羊及び豚が入つておるのであります。それは融資斡旋をするという意味であります。ここに言つております有畜農家創設計画は、その斡旋した融資に更に五分の利子補給するという狭い意味の計画でありまして、豚、山羊を落しましたのは、実は一頭当りの金額が比較的小さく、それの五分の利子補給ということは、実際問題とすると手続ばかり多くなつて、実効が余り挙らないのではないだろうかというような趣旨から、金額が余りに少いということが理由で今一応落ちておるわけであります
  58. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは意見になりますけれども、ここに書いてあるものは「農業経営の合理化」というので、農作業上の合理化だけではなしに、農家経済の合理化も考え従つて食生活のこともすべて入つておるのだろうと思うのです。その場合にも、乳牛——乳とそれから豚というものは私は両柱だと思うのです。同時に、豚については、一頭々々は金額は仮に安くとも、むしろこれは大量的にと言うか、各農家が購入しやすいものでもあるわけで、従つてここに書いてあるように、農業協同組合が中心になつてやるという場合には、ほかのものと違つて、例えば乳牛を十頭入れる場合には豚は百頭入れるとか、二百頭入れるとか、そういう金額としては数でこなす金額になるのではないかと、こう思うのです。ですから、そういう意味から行くと、豚が落ちておるというのはどうかと思いますけれども、これは意見になりますから、別の機会に聞くこととして、そこで第二条の「農林大臣の定める有畜農家創設計画」、これについては、さつきお伺いした有畜農家創設計画戸数というものがその計画というふうにもとれるのですが、これは都道府県ごと計画ができておるわけですか。
  59. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 主として国と都道府県関係を中心に書いてあるので、こういう文章になるのでありますが、実際問題としては、都道府県がこの計画を立てるにつきましては市町村の計画基礎にいたしまするし、特に最近は単作地帯法等いろいろ特別な法律によつて農村振興計画が規定せられておりますので、それらの計画にあります有畜農家創設計画というようなものを県で取りまとめ、これを農林省へ出す、こういう仕組に考えておるわけでございます。
  60. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、ちよつと私の了解しておつたところと違うのですが、伺う意味は、ここに『計画的』という言葉があつて、この計画長期計画関連はどうかと聞いたときに……。
  61. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) いやどうも……。
  62. 楠見義男

    ○楠見義男君 何か違うのでしよう、今のお答えは。
  63. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 大変失礼しました。実は先ほど申上げました畜産振興十カ年計画につきましては、一応我々のところで試案を得まして、今それぞれ関係の方面に意見をも聞いて成案を得るように努力をしておるのでありますが、その一つ方法としまして、各府県と、この国の計画との調整ということも同時にやつておるわけでありまして、従つてこの計画が最終的にきまります場合におきましては、府県計画と国の計画とが一致して行われるというようにお考え頂きたいと思う次第であります。
  64. 楠見義男

    ○楠見義男君 なぜ私そういう質問をしたかと申しますと、この法律は、附則にあるように、『四月一日から施行する。』と、こうありまして、そうして五条には「都道府県ごと家畜種類別農林大臣が定める金額の範囲内』、そうあつて、この金額は恐らく家畜頭数がわからなければ金額は出て来ない。その頭数は第二条における「有畜農家創設計画」のこの計画と一致し、その計画が又同時に第一条の『計画的』のこの計画にも一致する、こういうことでなければこの法律は動かないのじやないかと思つて、それで伺つたのですが、それは四月一日までに間に合うのですか。
  65. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 畜産振興十カ年計画につきましては、今申上げまじたように、いろいろ検討いたして成るべく早く最終結論を得るように考えておるのでありますが、取りあえず来年度事業計画につきましては、すでに各府県といろいろ打合せをいたしまして一応の目安を得ておるわけであります。多少この計画という意味が、或る場合には十カ年を意味し、或る場合には初年度を意味するようで、どうかと思いまするが、我々といたしましては、こういう事業でありますだけに、その場限り的な仕事でなしに、長期計画の一環として地道にやつて行きたいという気持をこういう言葉で表わしたのでありまして、御了承頂きたいと思います。
  66. 楠見義男

    ○楠見義男君 次に内容へ入つて、四条の一号、二号のそれぞれの昭和二十八年度における予算はどれくらいありますか。
  67. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 細かい金額はなんでありますが、大ざつぱな……大ざつぱなというと誠に恐縮でありますが、今ちよつと資料が見当りませんので、端数金額を省略して申上げますと、二十八年度に予定しておりまする利子補給金額は一億九千万円でございます。そのうち約八千何百万円が二十八年度導入いたしまする資金二十億に対する利子補給でありまして、これは大体九カ月をみておるわけであります。それからあと残りの約一億何がしの金額が二十七年度融資いたしました約二十二億の金額に対する二十八年度一カ年分の利子補給金額であります。
  68. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、それは主として四条の一号に該当するのですか。
  69. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) それは一号と二号と合計したものになるわけであります。
  70. 楠見義男

    ○楠見義男君 それから六条の三項ですね、融資総額を毎年予算で定めるという、この毎年予算で定めるという言葉の意味は、財政資金融資するということを意味するのでか。
  71. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) これは損失補償の限度を毎年予算総則で定める、こういう意味でありまして、財政資金という意味ではありません。
  72. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、そのときに予算外国庫負担の契約というようなものはやるのですか。
  73. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) たしか今は予算外契約というのはないのではないかと思うのでありますが、毎年予算総則に書いて行く、この法律が成立いたしますれば、金額は別といたしまして、毎年予算総則に書かざるを得ないということになると了承しております。
  74. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 この家畜導入計画に対して楠見さんが御質問なつたように思いますけれども、同じかも知れませんけれども、この家畜をこれだけ急に増殖するためには相当の畜産設備が必要になつて来るのではないか、こういうものに対してはどういうお考えを持つておいでになりますか。
  75. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 先ほど来いろいろこの機会に申上げましたように、家畜導入に関しましては、これ以外に飼料作物でありますとか畜舎であるとかサイロであるとかというような、いろいろの附随的な施設が必要になつて参るのであります。政府といたしましても、或いは助成の方法により、或いは融資方法により、できるだけ家畜導入を容易ならしめるように努力をしておるのであります。畜舎につきましては、実は昨年サイロ及び堆肥舎につきまして農林漁業資金融通するということに相成りましたに関連いたしまして、畜舎につきましてもできるだけ融資を行い得るように、具体的事例に応じて処理をして参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  76. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今の局長の御説明でこれはわかつたのです。ただ、この計画にマッチするような資金の枠がとつておありになるかどうかということなんです。畜舎について、この計画にマッチするような資金の枠は畜産局のほうとして要求なつておいでになるかどうかということです。
  77. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 畜舎につきまして申上げますると、畜舎はできるだけ自己資金でやつて参りたい、止むを得ないものについて融資の処置を考えるというふうに思つております。サイロ、堆肥舎等につきましても全部これを融資で賄うという計画は、これはなかなか立ちにくいのでありまして、或いはモデル的な地域におけるサイロ施設或いは試験的なサイロ施設というようなものを中心に融資をいたしまして、それを一つの中心にしてその附近におのずからサイロ、堆肥舎ができるというふうな奨励措置考えたいというふうに思つておる次第であります。
  78. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私は、この間、食糧増産の現地調査の用務で以て長野と愛知県に行つたのです。そのときに愛知で豚コレラの問題を聞いて参つたのです。これは三重県に豚コレラが発生しましたので、三重県に隣接する愛知県の一部に豚コレラの予防注射をやつたところが、これがみんな真性になつちやつて、そうしてその地方に大恐慌を起したことがあるのです。私は予防注射の件についてはよくわからないのですが、話を聞くと、どうも畜舎が非常に悪い、こういうのではなかなか予防注射も容易じやない。こういう防疫施設は畜舎が大事だということを言つてつたのを聞いて参つたのです。実は私は昭和二十三年度のアメリカのセメント協会のセメントの報告を見ておりましたところが、アメリカでは昭和二十三年に、土木工事よりも、畜産関係の畜舎だとかそういうものに使われておるセメントの量のほうが多いというような実は報告を見たのです。畜産の今後のあり方というものは、防疫上優良な畜舎が奨励されて来るというと病気その他の対策というものが最も重要な一つの問題になつて来るのじやないか、そうすると畜舎というものの施設が最も大事じやないか。で、この増産計画には最も根本的な問題はそういうところからスタートしなきやいけないのじやないかという気が私はしているのでございます。融資等で何とか考えるというようなお話はあつたのですが、根本的にこういうことを将来計画的にお考えになるか、或いは現在そういう計画がおありになるか、愛知県の豚コレラの問題と一緒に……愛知県の豚コレラの事情がおわかりならば、それと、今私が申上げましたその考え方に対して畜産局はどういうふうな御計画でおいでになるか。腹案があつたら承わりたいと思うのです。
  79. 長谷川清

    政府委員長谷川清君) 愛知県で二月の中旬以降全県下に亘りまして豚コレラの予防注射を約五千頭に亘りましてやりましたところ、このうち二千数百頭発病いたした事件がありました。これは甚だ遺憾だと、こういうふうに考えておる次第でございます。併しこれにつきましては、目下このワクチンを作りました製造所の製造工程、或いはその薬の製品検査等を家畜衛生試験所で実施をしておりますので、その結果によりまして適当な措置を取りたいというふうに考えております。併しながら、とにかくこの注射によりまして、そういうふうに発病し、それからすでに死亡したものも相当数に上つておりますので、これにつきましては家畜伝染病予防法の規定に基きまして、時価と申しますか、評価額相当額を国で全額補償することに相成つておりますので、それに必要な金の一部はすでに愛知県に送付してございます。若し不足がありますれば、引続きその所要全額は取敢えず支出する用意を完了いたしておるような次第であります。  なお今後豚の新たな導入等につきましては、我々にいたしましてもできるだけのお力ぞえをいたしたいというふうに考えておる次第であります。  それから畜舎の問題でございまするが、私たちといたしましても、畜舎の設備の改良、特に畜舎に当然附属すべき堆肥舎或いは尿溜め設置ということは、これはどうしてもやらなければならない問題であるというふうに考えまして、これに対する助成、或いは融資方法についていろいろこれは研究したのでありますが、ただ如何せん畜舎が個人のものであるということは、これははつきりしているのであります。共同畜舎というようなものはなかなか、観念的には考えられまするが、実際問題としてはむずかしく、畜舎がやはり個人のものである。その個人のものに対して助成及び融資をするというようなことになりますると、農林省関係から申上げましても、例えば炭焼釜の問題だとか、或いは漁船の問題だとか、いろいろ財務当局のほうから見ますると、一つの個人補助を認めますると、ほかのほうへの波及が非常に恐れられると見えまして、なかなか、その一劃を突破することが困難な内輪話であります。そういうような事情で、なかなか思うように助成的措置が行われないのであります。幸い昨年サイロ及び堆肥舎につきましては、これは成るほど個人のものではありますけれども、農業協同組合の共同施設として強いて考えれば考えられないこともないというようなことから、これに対する農林漁業資金融資を認めて頂くことに閣議決定は相成つたのでありまして、その線で先ほど申上げましたように、サイロ、堆肥舎については二十八年度六億の融資を予想しておるのであります。堆肥舎には当然畜舎がこれは附随をする関係もありますので、必要なる畜舎に対しましては、先ほども申上げましたような範囲内において融資方法をとりたいと考えておるような次第でございます。
  80. 楠見義男

    ○楠見義男君 私はさつきの質問で一番大事なことを忘れておつたのですが、その農業動産信用法の問題なんですが、これは東さんからもお話があつたように二十年ほど眠つているのです。この法律を作るときには随分苦労して、而もその外国の事例をあちらこちら調べて、それがうまく行つているということで、まあやつたのが、今日眠つているのには、何か本質的な欠陥があるのか、運用上の欠陥があるのか、どちらかだろうと思うのですが、若し本質的な欠陥があるならば何とも仕様がないのですが、運用上の欠陥その他があるならば、これは改善をすればいいのだと思うのです。折角当時苦労をしてやつたものが、こうやつて陽の目も見ずと言うか、眠つているのは如何にも残念です。これは畜産局として、どういう点が欠陥があるか、それが本質的な欠陥なのか、或いは運用上の欠陥なのか、改善不可能の欠陥なのか、改善すればそれは直るという欠陥なのか、その点わかつておれば……どうも今日わからないようだから、次の機会でもいいのですから、それを一つよくお示し頂きたいのです。
  81. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  82. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 速記を始めて下さい。  本日の委員会はこれを以つて散会いたします。    午後四時二十九分散会