運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-04 第15回国会 参議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月四日(木曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            菊川 孝夫君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            小林 政夫君            杉山 昌作君            森 八三一君            野溝  勝君            波多野 鼎君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 向井 忠晴君   政府委員    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主計局法    規課長     白石 正雄君    水産庁生産部長 永野 正二君    農林事務官(水    産庁漁政部漁船    保険課勤務)  上田 忠造君   —————————————   本日の会議に付した事件漁船保険特別会計法の一部を改正  する法律案内閣送付) ○金融並びに租税一般に関する調査の  件  (金融機関における第二封鎖預金の  処理に関する件) ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より委員会を開会いたします。  漁船保険特別会計法の一部を改正する法律案議題に供します。先ず政府側より提案理由説明をお願いいたします。
  3. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今議題となりました漁船保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  第十三回国会において成立した漁船乗組員給与保険法が施行されることとなるのに伴いまして、漁船乗組員給与保険にかかる政府の再保険事業経理を、その保険事故の性質が、漁船損害補償法規定による特殊保険事故相互関連性を有しております関係上、特殊保険にかかる政府の再保険事業に関する経理取扱つている漁船保険特別会計をして取扱わせることができることとしようとするものであります。  即ち、同特別会計に従来の普通保険特殊保険及び業務の各勘定のほか、新たに給与保険勘定を設け、当分の間、漁船乗組員給与保険にかかる再保険に関する経理取扱うことができることとすると共に、その歳入及び歳出決算上の剰余金又は不足金処理借入金、一時借入金積立金運用及び歳出予算の翌年度への繰越使用等に関する所要規定を設けようとするものであります。  何とぞ、御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) なお、只今法律案につきまして、白石主計局法規課長より御説明を願います。
  5. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 漁船保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その内容の御説明を申上げます。  去る十三回の国会におきまして、漁船乗組員給与保険法が成立いたしたのでありまするが、それは本年の六月二十五日に公布せられまして、公布の日から六ヵ月を経過しない日のうちに実施せられなければならないことになつておるのでありまするが、従いまして十二月下旬までにはこれが施行になることになります。その場合におきまして、漁船乗組員給与保険法によりますると、漁船保険組合がその地域内に住所又は事業所を有しておりまする事業者との間におきまして、漁船乗組員給与保険保険契約を締結することになるわけであります。この保険に関しまして、政府は再保険契約をすることになつておりまするので、政府といたしましては、この再保険事業に関する特別の経理を設ける必要が生じて来るわけであります。この再保険事業只今漁船損害補償法に基きまして、漁船損害保険取扱つておりまする漁船保険特別会計法取扱つておりまする経理と相関連しておりまするので、同特別会計の中において経理を実施することが適当であろうと考えまして、この会計法の一部改正をいたしまして、その経理を実施しようとしておるわけであります。  先ず第一に、漁船保険特別会計法附則によつて、本経理を実施しようといたしました理由は、漁船乗組員給与保険法の第一條は、「この法律は、当分の間、」という文字を用いておりまして、本法律が暫定的なものであるということを予定しておりまするので、従いまして、これに関しまする経理も又一応附則において取扱おうと考えた次第であります。附則は五項から成つておりまして、その第一項におきましては、現在漁船保険特別会計におきましては、普通保険特殊保険の二つを取扱つておるのでありまするが、そのほかに漁船乗組員給与保険にかかる再保険事業経理をもこれによつて扱うということを先ず規定したわけであります。第二項におきましては、特に給与保険勘定という特別の勘定を設けるということを規定しておるわけであります。第三項におきましては、この給与保険勘定歳入歳出の内訳を規定しておるわけであります。その歳入となりまするものは、再保険事業の経営上生じて来るところの再保険料、それから積立金より生ずる収入借入金、それから給与保険法第二十九條によりますと漁船保険組合が解散をした等の場合におきまして、剰余金がある場合は政府に対しまして納入をするということになつておりまするので、その納付金及び附属雑収入歳入といたしまして、歳出といたしましては再保険金、再保険金還付金借入金償還金及び利子、一時借入金利子その他の諸費を以て充てることにしておるわけであります。なおこの再保険経理をいたしまするにつきましては、事務費その他の雑費を必要とするわけでありまするが、これらの事務費につきましては、漁船損害補償法に基く経理に関しましては、業務勘定といたしまして、現在の特別会計の中に特別の経理をしておるわけであります。従いまして、その同一業務勘定におきまして、この漁船乗組員給与保険法に基く再保険事務費も又賄うようにしようとするものでありまして、その所要歳入及び歳出業務勘定の中において取扱うことができることとしようといたしまするのが第四項であります。  第五項につきましては、決算上の剰余金借入金保有現金運用、一時借入金積立金規定等につきましては、現在の普通保険勘定特殊保険勘定同一規定によろうとするものであります。  以上がこの法律案内容であります。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) なお本案に関しまして水産庁側の意見を徴したいと思います。
  7. 上田忠造

    説明員上田忠造君) 終戦以来、この漁船乗組員相当多数の抑留者があるわけでございます。この抑留者に対しましては、抑留中にその雇主であるところの事業主俸給支払は免れない建前なつておるわけでございまして、事業主といたしまして、この乗組員抑留によりまして事業は中止せざるを得ない状況にあり、且つ又俸給支払わなければならんというようなことになるわけでございます。そのためにこの漁船乗組員抑留された場合におきまして、その抑留期間中の事業主支払うべき給料、これをこの漁船乗組員給与保険によりまして補填をするということがこの法律建前でございます。  先ずこの保険を行う主体は漁船保険組合でございます。この漁船組合漁船損害補償法に基いて設立された組合でございまして、この漁船保険組合が元請保険をし、そしてその保険金額の百分の九十を政府が再保険することになつておるのでございます。それで保険に付けるもの、即ち保険契約者は雇用主たる事業主でございます。で、これは漁船損害補償法漁船保険と異なりまして、相互保険でなく保険契約に基くところの、丁度営業保険のような形体をなした保険でございます。先ず事業主保険に付けるところのものは、抑留中に事業主乗組員に対して支払うところの給料、それを保険に付けるのでございまして、それは予め事業主乗組員の同意を得て定めた金額といたすのでございます。そうしてこの保険料支払はすべて事業主において負担することになつておるのでございます。各船ごと乗組員が半数以上の要求があつた場合には、この漁船乗組員給与保険事業主が付けなければならないということになつておるのでございます。それで乗組員抑留された場合には、その抑留されたときから抑留が終つたときまで保険組合保険金支払うことになるのでございます。そうしてその保険金は要するに事業主乗組員に対して支払うところの給料に代るべきものでございまして、その限度におきまして、事業主乗組員に対する給料支払を免れるわけでございます。  以上のように、この乗組員に対しまして事業主支払うべき給与につきまして保険を付けるということによりまして、半面におきまして事業主俸給支払の責を免がれしめ、半面におきまして、事業主抑留中に給料支払うということが若しできないような場合におけるところの乗組員を擁護しようということになつておるわけでございます。  そこでこの保険の本年度の十二月以降の予算を見積つておるわけでございまして、この総額といたしまして収入が一千二百十万九千円になつておるのでございます。このうち保険料収入が七百万八千円、これだけにつきまして、若し保険金支払不足を生ずるようなことがあつてはならないということを考慮いたしまして、借入金について五百万円を決裁してやるわけでございます。このほかに雑収入として十万一千円を見積つておる次第でございます。  以上が大体この制度の概要と予算関係でございます。
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) 本案に対しまして、これから質疑に入るのでございますが、本日は一般的の御質疑を願いまして、一応本日は簡単な質疑でおとどめ頂きまして、又資料要求等をなさつて頂きまして、次の所得税の問題に移りたいと存じまするが、それでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは御質疑をお願いいたします。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この提出された資料を見ますと、非常に拿捕抑留と言いますか、非常に多いのですが、これをもう少し詳しく御説明願いたいのです。その最近の状況、今後の見通しですね。こういうふうに非常に激増すれば、更に又繰入れの問題は今後も多くなつて来ると思われるので、その実情をもう少し詳しく、なぜ昨年十二月頃から非常に殖えておるか。こういうことになつておりますね、説明では……。一つ一つということは申しませんが、その実情を詳しく御説明願いたいのです。今後の見通しはどうでありますか。水産庁のほうの漁船保険課から出された資料……。
  11. 永野正二

    説明員永野正二君) 只今のお尋ねによりまして、日本漁船拿捕状況につきまして概略御説明を申上げたいと思います。  御承知通り講和條約が発効するまで、日本漁船マツカーサー・ラインというもので行動が制限せられておつたのでございます。当時はこのラインを出ましても相手国と申しますか、利害関係国がこの漁船拿捕するというようなことは認められておらなかつたのでありますけれども、これに名を借りまして我が方の漁船拿捕し、その船員抑留したいという例が相当多かつたのでございます。講和條約が発効いたしましてから、当然日本漁船公海における操業の自由を回復いたしたわけでございます。相手国領海侵犯というようなことがない限りは、これを拿捕するということは当然国際法上の不当行為になるわけでございますけれども、たまたま中央と国際政府との間の戦闘行為が激しかつた時分に、その交通機関としての価値からであろうと思うのでありますが、あの間の海域に出ました船に対しまして相当拿捕が行われた。又韓国のほうからは、朝鮮半島の戦闘が激しくなつた時分に、これ又同じような理由からであろうと思いますが、船の一種の掠奪とも申すべき拿捕相当多かつたのでございます。講和條発効と共に、韓国関係は殆んど本年の八月頃まで、この船の拿捕ということは全く影をひそめておつたのでございまするが、八月の中旬及び九月の中旬と二回に亘りまして合計三隻の船が韓国の手によつて拿捕されておる。これは先方の申します理由は、領海侵犯したということでございますけれども、我々が漁船のほうから無電その他の方法で入手しましたところによりますと、この漁船公海の上で明らかに拿捕されたものであるというふうに我々は考えております。  それから中共関係でございまするが、これは只今も御質問の中に御指摘がございました通り我が国講和條約の調印をいたしました前後におきまして、たまたま非常多くの拿捕があつたことは事実でございまするが、講和発効後この方面も一時影をひそめておつたのでございまするけれども、本年の六月を手始めといたしまして、最近に至りまして相当中共による拿捕が積極的に行われておるような状況でございます。船の数で申しますと十五隻、これは本年の十一月十三日現在でございまするが、講和発効後におきます拿捕が十五隻ということになつております。  それから北のほうのソ連との関係でございまするが、これは領土と申しまするか、勢力範囲地域が非常に近接いたし、且つ錯綜いたしておりますので、この点の領海の限界というものはなかなか普通の漁船にははつきりしない点が多いのでございます。従いまして日本漁船としては、善意相手国領海以外で操業しておつたというつもりであるにかかわらず、相手国のほうから見ますると、相手国領海侵犯したというような見方が成立ち得るわけでございすま。こういう見方からいたしまして、過去におきまして相当拿捕が行われておつたのでございまするが、講和発効後はこれも非常に、我が方の漁船行動がだんだん訓練された結果だと思うのでございまするが、合計三十五隻の船が先ほど申上げました十一月十三日現在で一応向う拿捕されたのでございまするが、その殆んど大部分、三十三隻がすでに船が帰つておる。乗組員もその大部分帰還いたしておるわけでございます。未だ帰らない拿捕船というものは二隻にとどまつております。  それから国民政府関係でございまするが、これは先ほど申上げましたように、マツカーサー・ラインのありました当時におきまして、合計五十四隻の拿捕が行われたのでございまするが、そのうちの二十三隻はすでに帰還をいたしておりますので、帰還いたさない船が二十九隻ということに相成つております。この点につきましては、先般の日華條約の交渉の際に、我が国の側の請求権を確保するという意味で交換公文を交換されておる次第でございます。  今後の見通しということでございまするが、北のほうのソ連関係につきましては、なお今後とも我が方及び先方領海に関する解釈の食違いもございまするが、漁船行動範囲としてできるだけ水産庁及び海上保安庁の指導を加えまして、こういう拿捕事故を防止いたしたいと考えております。これは殆んど領海線の錯綜しておるための善意拿捕水域事故、こういうふうに考えられるのでございまして、できるだけそういう点を防止いたしたいと考えております。問題は韓国及び中共による拿捕でございます。国民政府関係は先ほど申上げましたように、講和発効後は一隻も拿捕という事件が起つておらないわけでございます。中共関係におきましては、これは未だ国交も開けておらず、我が方の公海における漁業の自由という主張に対しまして、相手国が如何なる主張をしておるかということも必ずしも明瞭でございませんが、要するに先方勢力範囲に深く入りますことは非常に拿捕の危険が濃厚でございまするで、この点につきましても水産庁及び保安庁の監視船を以てその時々刻々情勢判断しつつ、漁船行動について指導をいたしておる次第でございます。ただ残念ながら時々刻々情勢によりまして、相当先方勢力が強く出ています場合と、それほどでない場合がございます。そのためにその判断が必ずしも全部の事故を防止するというふうに正確な判断というわけに参りませんので、不幸な拿捕事件というものが講和後も相当発生をいたしておるわけでございますが、この点につきましては、当業者の損失につきましては、漁業保険制度又は只今問題になつております給与保険制度によりまして、できるだけ当業者の負担を軽減したいというように考えておる次第であります。一番今差迫つて大きな問題となつておりますのは韓国関係でございます。この関係につきましては、御承知通り本年当初、韓国大統領李承晩氏によります李承晩宣言によります一方的な漁業管轄権主張がございまするが、これに対しましては、当方はこれは国際法上到底認めがたいものであるとの見解を明らかにいたしております。その後も韓国といたしまして、必ずしもこの李承晩宣言内容通りを実施するという体制にはないのでございます。先ほど申上げまして講和後の拿捕につきましても、その理由相手領海侵犯ということを理由といたしておる次第でございます。李承晩ライン主張して当方漁船拿捕し、船員抑留したという例は現在のところございません。今後はこの問題につきましては、相当困難な事情もあるかと存じますけれども外交当局を通じまして、一日も早く正常な話合いのできる時期に入ることを我々としては切望をいたしておる次第でございます。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 八月以後韓国拿捕された三隻の問題はどうなつているのですか。
  13. 永野正二

    説明員永野正二君) 八月の中旬に拿捕されました一隻の船につきましては、すでに韓国側の一方的な裁判によりまして判決が下りました。これにつきましては、この船の船長その他は相当強迫その他によりまして、領海侵犯をしたという自認書をとられておるのでございまするが、これは彼らがその生命の危険を感じて止むを得ず承認したものであると我々は考えております。それにつきまして、具体的な資料も添えて外務省当局を通じて交渉をいたしておりますが、すでにこの自認書を基礎にして、殆んど当方の抗弁、釈明、介護等を用いず、一方的に韓国語を用いる裁判を以て判決が下されております。この判決の結果は、船体及び漁具、漁獲物は没収する、それから船長及び漁撈長は二ヵ月の懲役及び日本円に換算いたしまして五万円の罰金、その他の乗組員につきましても若干の罰金を伴つております。こういう判決が下されまして、ただ懲役になりました船長漁撈長等も健康の理由を以て当方にすでに帰還をいたしております。残りましたその次の九月の中旬の二隻につきましては未だ裁判が行われておりません。船体韓国側抑留をいたしておるわけございまするが、乗組員の大部分のものはすでに帰還をいたしました。船長その他主要な船員がなお韓国側の拘留するところとなつておるわけでございます。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、韓国側関係については今後もまだそういう可能性があるわけですね。その点はどうなんですか。
  15. 永野正二

    説明員永野正二君) 今後韓国側日本漁船に対してどういう取扱い振りに出るかということは、私どもの側から必ずしも予測のできない情勢にあると存じまするが、只今申上げました通り、従来の扱い振りによりますると、領海侵犯したが故に船を拿捕し、船員抑留するという程度にとどまつておるということだけは申上げられると思います。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは大きい問題ですから事務的な答弁では困難だと思います。例えば今後韓国との関係はうまく行かないですね。こちらでは侵犯でないと思つているのに、向うでは侵犯したとして抑留しようとしたときに、アメリカから借りたフリゲート艦というものですね、ああいうもので無理に抑留されるというようなときには、正当防衛として発砲してもいいというようなことを木村法務相も言つておりますが、そういうことになると非常にデリケートな問題になつて来ると思うのです。そういうような、何かアメリカから借りたような艦艇で護衛しながら漁業をやるというようなことになつているのですか。又なつて行くのですか。
  17. 永野正二

    説明員永野正二君) 水産庁としてお答えできますことは、こういう漁船位置に関する紛争ということをできるだけ防止いたしますために、水産庁取締船をこの水域に成るべく数多く行動させまして、漁船位置の確認その他の情勢につきまして、常時漁船と連絡をとるということをいたしたいと存じております。その点につきましては、すでにマツカーサー・ラインがございました当時から、水産庁がこの水域行動をいたしておりましたわけでございますが、最近の情勢に基きまして、できるだけこの行動を強化して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外交的交渉はどの程度まで行つておるのですか。もう話合はうまく行かないので、結局今のお話ですと、そういう監視船みたいなものをたくさん付けてやつつおる。こういうようなことは今後はやはりずつと続いて行くのですか。今どの程度まで外交的な折衝、それによつて今後の拿捕の危険を防止し得る段階に来ておるのか。若しあなたが御答弁ができなければ、これは大臣から御答弁を願いたいのですが、事務的にもう行き詰つてしまつておるのですか、それともまだ打開の道が開けつつあるのですか。
  19. 永野正二

    説明員永野正二君) 直接の外交交渉の問題でございますようでございまするから、外務省からお答え願つたほうがいいと思います。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで結構です。
  21. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつと一つ。先ほどの韓国拿捕李承晩ライン侵犯理由としたのじやなくて、向う領海侵犯理由として拿捕したのだ。併しこちら側の調査によれば領海侵犯じやないというふうな証拠があるという話でしたが、韓国側領海を広くとつておるのじやないのですか。
  22. 永野正二

    説明員永野正二君) 韓国側領海主張ではなく、漁業に対する管轄権主張として、先ほど申上げました李承晩宣言という主張がございまするが、その主張相手国に対してそのまま具体化するということにつきましては、必ずしも明らかでございません。李承晩ラインというものの中は韓国漁業についての管轄権を持つということを主張し、希望をしておる状態である、こういうふうに我々は判断をいたしております。それで先ほどの拿捕につきましては、やはり領海三浬の中に入つてつたということを理由にいたして拿捕をしたのであります。
  23. 波多野鼎

    波多野鼎君 こちら側の調査ではどの辺におつたのですか。
  24. 永野正二

    説明員永野正二君) 私ども調査では、済州島の東の端から三十浬大体離れたところで拿捕が行われた。それから後の九月の二件につきましては、これは同じところで拿捕されたわけでございますが、大体済州島の東から二十浬離れたところであると、乗組員をいろいろ調べました結果、そういうことであります。
  25. 波多野鼎

    波多野鼎君 その位置領海李承晩ラインとの間ですか。
  26. 永野正二

    説明員永野正二君) 勿論先方の申しております李承晩ラインの中でございます。
  27. 波多野鼎

    波多野鼎君 領海からはうんと離れていますか。領海三浬から……。
  28. 永野正二

    説明員永野正二君) 只今申上げましたように、三十浬マイナス三浬の二十七浬、又は二十浬マイナス三浬の十七浬は少くとも離れております。
  29. 中川以良

    委員長中川以良君) お諮りいたしまするが、本日政府側より銀行の第二封鎖預金の払戻の件につきまして、本委員会において説明をいたしたいことを求められておりますので、只今議題に供しました法律案に対する質疑はこれを以て打切りまして、その説明を聴取いたしたいと存じますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと、さつきの件ですが、外務省のかたから説明して頂きたいと思いますが、幾日でもいいんですが。
  31. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは適当な機会に呼ぶことにいたします。  なお今の資料の御要求はございませんでしよう。
  32. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 大体今年の補正予算に組んだものの基礎になる細かいものがあるでしよう。どういう見込みで、どういうふうに歳入歳出についてそれは出ておりますか。
  33. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 予算書の十五頁のところに、給与保険勘定といたしまして、歳入歳出千二百十万九千円というように計上しております。その内訳といたしまして、給与の再保険料は七百万八千円と、こうなつております。これは大体今まで三ヵ年くらいの実績を実績と申しまするのは、これは漁船損害保険のほうの数字から抑留者その他を推定したわけでございますが、そういつたものから推定いたしまして、十二月以降本年度内に一万二千三百二十人程度の加入者があるだろう。一人月額一万円といたしまして、四ヵ月で大体四万円になる。そういたしますと、給与の総額が四百九十二万八千円と相成ります。これに対しまして、過去の抑留せられた者と、その地域に出漁いたしました者との比率をとつみますと、大体一・五八%になつておりまするので、保険料を一・五八%と、かように考えますと、七百七十八万六千円という保険料が入つて来るというように推定されます。これに対しまして、政府の再保険事業はその九割を再保険するということに予定しておりまするので、その九割といたしまして、七百万八千円、これを再保険料歳入と見ておるわけであります。なお借入金といたしまして五百万円を予定しておりますが、これは差当り保険料が入つて来る前に保険事故が発生をいたしまして、資金のほうが必要であるというような事態も一応予想せられまするので、概算的に五百万円の借入金を予定しておるわけであります。  大体数字といたしましては以上のような状態であります。
  34. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 大体今の御説明でわかるのですが、予算書の今御説明なつた基礎的な推定のものがどういうふうになつて、どうなつているかという内訳ですね。さつき水産庁のほうからも収入については大体の結果的のものはお話になつたし、今予算害に載つておるものを基にしての御説明だと思うのです。そういうものだけを資料として頂きたい。
  35. 中川以良

    委員長中川以良君) 承知いたしました。   ━━━━━━━━━━━━━
  36. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今から銀行の第二封鎖預金の払戻しの件につきまして政府側から説明を聴取いたします。
  37. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今委員長からお話のございましたごとく、金融機関の再建整側の問題に関しまして、御承知のごとく調整勘定というものが現在存在しておるのでございますが、その後調整勘定の整備の進捗状況に鑑みまして、中間処理として、いわゆる第二封鎖預金相当部分について払戻しの措置をとることが適当であろうと考えておるわけでございます。その詳細な政府側の考えておりますことを銀行局長から説明をさせて頂きたいと、かようにお願いを申上げる次第でございます。
  38. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 調整勘定処理につきまして御説明申上げたいと思います。  案は、この問題は長い間の経過を辿つてつたのでございますが、本日私の名前で、各金融機関に対して中間処理をできるところについては認めて参りたいということで、申請をさせるように通達を出す予定にいたしております。この調査勘定と申しますのは、只今政務次官からもお話がございましたように、昭和二十二年の金融機関再建整備法に基いてできたものであります。金融機関再建整備法と言いますのは、あの当時、企業の再建整備、金融機関の再建整備、戦時補償打切と、この三つの大きな法律体系の下において、過去における戦争中からの何と言いますか、経済全般に対する大手術を行なつた措置であります。その後その金融機関再建整備法によつてやりました大体の概要は御承知かと思いまするが、簡単に申上げて見ますると、或る一定金額以上の預金なり、或いは保険金支払の債務なりを政府が補償をしても、これを新勘定に入れて必ずそれだけは確保する、それを超える分につきましてはこれは旧勘定に入れる、旧勘定の中で利益金が出て来ればそれを払う。それまでは支払を抑えるという措置であります。簡単に申上げますと……。その後いわゆる旧勘定といういう制度を廃止いたしまして、これが調査勘定という制度なつたわけであります。その後調整勘定がだんだん処理をいたして参りますに応じまして、或いはその当時とても価値がないと思われたような債権が上つて参りますとか、或いは有価証券、株とか、社債等でとてもこれは無価値であろうと思つたものがだんだん価値が出て来る、或いは不動産等で当時非常に価格が安かつたもので処分いたしてみますると、相当な値が出たといつたようなことで、調整勘定にだんだん利益金が実は溜つてつたのであります。数字は後ほど申上げますが、そういうわけで、これを或る程度支払われるならば、打切られた旧預金者等に支払をしたらいいじやないかということで、金融機関側からも長い間に亘つてこの支払をしたいということの要望が非常に強く案は出て参つてつたのであります。然るに私どもはこの問題については、これを最終的に処理するにつきましては、或いは御承知のように、渉外関係の債権債務、在外資産、負債或いは閉鎖機関に対すも債権債務、こういつたようなもの、或いは企業再建整備によつて行われました特経会社の債権債務、これらのものが非常に未確定な要素が多い。特に対外関係の債権債務につきましては、非常にこれが未確定な要素が大きいのであります。講和條約ができました際におきまして、これらの問題も或る程度並行して将来の見通しも付くかと実は考えられた点もありましたので、少くとも平和條約の発効を見るまでは、こういう未確定の要素が非常に多いので、調整勘定処理ということは見合せて参らなければならんということで参つたわけであります。然るに講和條約の発効を見ました後におきましても、これらの渉外関係の債権債務というものは、個々の外交交渉によつて今後きめられることに相成つておるわけありまして、この未確定要素が直ちに解決はできないような状態であります。併しながら、一方で先ほど申上げましたように、調整勘定の利益金はだんだん溜つてつております。一例を銀行について申上げますと、全国の銀行で打切られたいわゆる第二封鎖金が百八十億ございます。それに対して調整勘定の利益金が現在七、八十億に上つておるかと思うのです。そういつたふうで、相当な調整動定の利益金も出て参つております。従つていろんな要素を十分頭においた上で、支払えるものは支払つたほうが戦後の跡仕末の整理を進める意味におきましても適当ではないか、特に打切られた預金者の利益のためにも、払えるものは払つたほうが適当であるという観点に立ちまして、今般この処置をいたしたいと考えた次第であります。但しこれを行いますには、先般申上げました未確定要素が残つておりますので、これら未確定要素について十分なる準備を積んで、なお且つ支払える範囲において支払いをする。従いまして、この処理は対外関係の債権債務の処理が最終的にきまるまではどうしても中間的処理になる。最終的処理はどうしてもできませんので、中間的な分配をいたすということにいたしたいと考えておるのであります。これが処理をいたします際には、今申上げましたように、対外関係の債権債務が如何なる外交交渉の結果どういうふうにきまりましようとも、これの支払いに支障を来たさないというようにいたさなければならん。と申しますのは、仮にそれらの問題について、非常に甘い考え方の下に打切られた第二封鎖預金等を支払つてしまいまして、あとで強い対外関係からの要求が出た場合において、それが支払えない、そうすると、支払つた第二封鎖預金に対しまして、もう一遍取戻す処置、或いは国がいわゆる補償をしなければならんといつた措置、或いは再建整備をもう一遍やり直さなければならんということがないように、この三つのことはどちらも好ましいことではありませんので、そういつたことのないように十分のリザーブを持つて、払えるものは払う、支払方法は再建整備法に詳しく書いてありますが、打切つて参りました、切られて行つた順序の逆に支払つて行く、同じ預金でありましても、相当多額の預金と少額の預金と打切つて行く順序が違います。従いまして、今度支払いをする場合、多額預金のほうが先に打切られたのでありますから、少額預金、あとで打切られた預金のほうへ、先に返す。丁度打切つてつた逆のコースで支払つて行くという措置に相成るわけでございます。詳細は非常に複雑になつておりますので、大体のことで御了承願いたいと思います。  そういつた考え方でこの処理をいたしたい、一方で、金融機関の中には例えば生命保険会社等、総額で約三十八億に上る政府の補償を受けております。従つて今申上げましたように、打切られた逆のコースで支払つて参るのでありますから、政府から補償を受けましたものは、先ず第一に利益金のうちから払う。そういたしますと、生命保険会社等におきましては、恐らく今のところは中間的に支払える会社は先ずなかろうかと思います。銀行の中におきましては、大体の見当でありますが、大体三分の二程度銀行は或る程度程度の差はありますけれども支払いができるのではないかというふうに考えております。この中間処理只今申上げましたところでおわかり願えると思いますが、一種の、何と申しますか、清算勘定の、会社が清算した場合の残余財産の分配ということに相成るわけでございます。従いまして、その調整勘定の中で、いろいろ財産を処分したりして出て来ましたところの利益金のうちで残余財産を分配する、こういつた仕組になるわけです。従いまして、これは今生きておると申しますか、業務を続けておる金融機関自体の勘定或いは信用には全然影響のないことであります。旧勘定の調整勘定支払の打切られた預金の率も高いものと低いものとがありましようとも、これは昔のいわゆる新勘定、現在の生きておる金融機関の信用には全然影響がない。従いまして、場合によりましては、或る銀行においては例えば五割打切られた預金者に支払ができる。或る銀行においては三割しか払うことができない。或る銀行においては全然中間的な支払いができないということが起つて参りますが、これらは別にその銀行の信用がないために支払う率が少ないのではないのでありまして、何と申しますか、清算会社の残余財産の分配である、そういうふうに了解せられなければならん。生きておる新勘定、いわゆる現在の生きておる金融機関の信用とか、資産内容のよし悪しには影響のないことです。こういうことに相成るわけです。そういつた考え方で支払いができるものにつきましては、打切られた、迷惑をこうむつた旧預金者等に対して、できるだけ支払いを進めればいい。こういう結論に到達いたしまして、中間処理の処置をいたしたい、かように考えておる次第であります。  金融相当、過去の実は整理の問題でありますけれども、大きい問題でございますので、丁度国会も開かれております際でありますから、私から一応御説明を申上げた次第であります。御了承願います。
  39. 野溝勝

    ○野溝勝君 私はよくわからんのだが、お伺いするのですが、これはあれですか、別に法律案も出てないようでございますから、行政措置としてやるつもりなんですか、どういう御趣旨なんですか。
  40. 河野通一

    政府委員(河野通一君) これは法律に基いて行政措置としてできるわけです。大蔵大臣がその中間分配の承認を出せばいいわけです。今日実は法律に別に関係がございませんので、特に申上げることは必要がなかつたと思いますが、折角の機会でございますので御説明を申上げたのでございます。御了承を願います。
  41. 野溝勝

    ○野溝勝君 誠に結構ですが、これは一体こういう予算的に関係するものは、むしろ大蔵大臣の承認を得るということは便宜的処置であつて、本質は国会におけるべきもので、むしろこういう問題は国会に出されたことは大蔵省としては珍らしいことです。(笑声)質問の第二は、大体大蔵大臣はこれを承認したんですから、承認しようとしておるのですから、あらかじめどのくらい一体支払いの総額を考えておられるのですか。
  42. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 金融機関は、御承知のように銀行だけではなくて、信用金庫、相互銀行、生命保険会社、生命保険会社につきましては、大体調整勘定という整理を必要としませんから、これはございませんが、まあ非常に数の多いものであります。個々の数は農業協同組合まで入れますと、万に上るような数でございます。一々についてなかなか計算ははつきりいたしません。これから個々の銀行或いはそれらの金融機関から申請を出させ、その内容を十分に審査した上でないとはつきりしたことは申上げられませんが、銀行につい申上げますと、今申上げたように、大体百八十億の打切られた預金に対して七十億程度の利益金がある、併しその七十億の利益金のうちでやはり先ほど申上げました債権債務に対するリザーブをおく、これはどの程度リザーブをおくかということは、いろいろ研究してみましたが、この七十億全部を支払うということはむずかしいと思います。そのうちの大部分は外国債務債権の中間支払に当て得ると考えております。その他の金融機関におきましては、大体支払ができるものとしては非常に少いと思います。と申しますのは、政府補償を皆受けておりますから政府補償を受けてないものだけに中間分配として支払ができる、金融機関の数は銀行以外は非常に少いのではないかと考えております。全然ないとは言えないと思います。
  43. 野溝勝

    ○野溝勝君 それで、私もこれを実は石橋湛山君が大蔵大臣をやつたときにどういう御縁であつたか知らんけれども、再建整備委員会の一人として私がやりました。大蔵省から辞令を頂戴して、そこでたまたまこれに参加しておつたのですが、この封鎖にですね、そのときの話に、勿論これは支払わないということは言わないで、まあ一時的な措置として金融財政措置としてこれをやらなければならんという説明でしたけれども、まあその後今日利益が出て来たということで、かような措置をやることになろうというようなのですが、一体今やろうというのはどういう点で、そういう、この時期ですね、打ち出したわけですか。それをお聞きしておきたい。
  44. 河野通一

    政府委員(河野通一君) これは先ほどもちよつと申上げたと思いますが、打切られた預金者に返せるものならば成るべく早く返すという、この原則は私はいいと考えております。併しながら講和條約ができますまでは対外関係がありますが、併し講和條約の成立と同時に或る程度解決できるのじやないか、そうすれば若しそれが解決しますと相当部分は最終的に処理ができるかも知れないということもございましたので、これは講和ができるまで暫らく様子をみようということで少し延ばして参つたのでありますが、今日講和條約ができまして後におきましても、対外関係の債権債務の処理は成るべく早く片付けることが望ましいとは言え、まだやはりここ暫らくはなかなか解決がむずかしいような見通しでもありますので、もうそれを待つには余りにも打切られた預金者に対して迷惑が過ぎやせんか。従つて一方で利益金もだんだん重なつて参りましたので、この際支払をすべきじやないかということで、いろいろ法律論その他ありまして、研究を始めましたのは実はもう数ヵ月前からであるわけであります。いろいろ検討を加えまして、各方面の意見をいろいろ聞いてこの際実行いたしたいというふうに思つております。数ヵ月前から実は準備はいたして参りました。それが準備の都合で最近まで実はかかつたのでありまして、今日通達を出すという運びになつたわけであります。
  45. 野溝勝

    ○野溝勝君 銀行局長からのお話だと数ヵ月前から大体考えておつたということです。そうすると現在の補正予算並びに一般予算との関係においてどういうふうにお考えになつていらつしやるか。
  46. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この問題は全然予算とは関係ございません。今後政府補償を受けておつた金融機関がその補償金を返すか返さんかという問題については、予算上の問題が歳入として返る場合には上るわけですが、この問題は将来政府が積極的に財政措置、予算措置をしなければならん問題とは全然関係ございません。むしろそういうことが起らないような範囲でこの中間分配をいたしたい、予算には影響を及ぼさない範囲でいたしたいというのであります。
  47. 野溝勝

    ○野溝勝君 私はわからんです。七十億の利益があつて、いやしくも政府補償になつておるやつから支払つて行こうというのでしよう。一体政府の補償するときに、封鎖するときに予算に一応計上しておるわけですね、それから全然予算には関係ないということになると私はそういう大蔵省の予算のからくりというのか、技術というものが、よくわからんが、どうしてそれが関係ないというのか、もう少し説明願いたい。
  48. 河野通一

    政府委員(河野通一君) これはからくりも何もないので、政府補償を受けておるものは先ほど申しましたように支払いはできない。政府補償を受けない金融機関についてだけ中間分配ができるということを申上げたのであります。従つて政府補償を受けておるその他のたくさんの金融機関、生命保険会社などには中間分配はできないということを申上げておる。
  49. 野溝勝

    ○野溝勝君 それでは政府補償を受けていないところにそれを支払うというのは、大体どんなところを対象にするか言つてもらいたい。
  50. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 銀行は大体政府補償を受けておりません。それから生産保険会社は政府補償を非常に多額に受けております。それから一般の信用組合、信用金庫、農業協同組合、これらも多額の政府補償を受けております。
  51. 野溝勝

    ○野溝勝君 そうすると今河野君のお話だというと、銀行だけが大体において政府補償を受けていない、こういうふうに解釈してよろしいですか。すると更にお聞きいたします。一体銀行は今儲けておるじやないか。今それほどの利益があるならば銀行などはあと廻しにして、何とかほかに社会保障なり、一般的に要求している数々の賃上げの問題とか、いろいろ、なそういう問題が起つてやかましく議会でも何しているのだが、そういう点について考える余地はないのか、これが第一点。第二点は、それが事実上、法律上できないというならば、こういう利益を生みながら、利益を生んでおる銀行に返す。これはその当時は単に銀行だけでなくして、再建整備法に関係して皆影響を受けている、それを銀行だけを主に対象に考えておるという今の政府の考え方がわからないのだ。これについてあらかじめ予算を組む上において、減税などの問題などについても、大体こういう問題について主税局あたりと財政方面に対して打合せをやつたかどうか、その点を一つ聞きたい。
  52. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 大蔵省全体としてそういうことを申上げておるのであります。今のお話の銀行が儲けておるからそのほうにやる必要がないという御見解はあるかも知れませんが、銀行が儲けておれば税でとるとか何とかして、それを社会保障に廻すというより私のほうとしてはできないわけでございます。
  53. 野溝勝

    ○野溝勝君 第二点のそういう点について、今日の税制、財政の問題に関連をして相談をしたことがあるかどうかということを一つ聞きたい。
  54. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 先ほどお答え申上げましたように、大蔵省全体として相談した上でこういうことをしたのであります。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 火災保険は対象にならないのかどうか、五万円以上で打切られたあれとの関係はどうか。それから対外債権というのは、具体的にどういう内容のものか、それから個々に金融機関別に金融機関の調整勘定によつて、その整備如何によつては払い戻しの額は違うというのですね。これは今の活きておる勘定と全然別だろうという話ですが、併し銀行の信用関係から行くと、やはり相当大きな影響があると思います。やはり多く返せるところには魅力を持ちますからね。それは一つの大きな広告料みたいなものになると思うのですよ、広く見れば……。それは法律的には確かにそうでしよう。ここに金融機関再建整備法ではそうなつておるからいいとしても、何か多く返すところは多く競つて返すでしよう。それを広告料と量れば、ラジオで広告するスポンサーぐらいだと思えば何でもないのですから、そうすれば或る程度いろいろ競つてやるのは、今後の銀行信用上に相当出るのでそういう点どういうものか、私もよくその点はわからんのですけれども金融機関再建整備法をまだよく読んでいませんから……。何かどうも打切るときには法律によつて打切つたのですが、返すときには任意に返せるというのはどうもその辺がわからないのですが……。
  56. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 第一に、生命保険会社を五万円に打切られましたのは例の戦争保険とかそういう特殊の国営保険のほうで、その保険会社の一般の保険につきましてはこれは打切つておりません。殊に御承知のように損害保険は生命保険と違いまして短期のものでありますので、その資産も大体運用が満鉄の株であるとか、そういつたものに余り行つておりませんので調整勘定を作らないで処理ができたと、こういうわけです。  それから第二点対外債権は、例えば銀行について申上げますと、向うの上海とか或いはシンガポールとか、そういつた所に店を持つておる銀行向うにおける預金や貸出なんか、或いはそちらのほうに建物を持つておれば、その建物が在外資産になる、そういつたふうな債権債務の処理、殊に中国大陸における債権債務は非常に量としては大きいわけであります。上海、天津北京等に店を持つてつた銀行勘定、これらの勘定はどう処理されるかということが非常に大きな問題となつて残つております。従いましてこれらの処理についてできるだけリザーブを置いた上で処理する、こういうわけであります。これができませんと、又先ほど申上げましたように、これを政府補償をしなければいかんということが外交交渉次第によつてつて来るという心配があります。そういうことは国民の負担でやらせることはまだ適当でない。然らば新勘定をもう一遍整備しなければならんということになると、又大手術をやらなければならん、そういつたことがないようにいたしたい。そが第二点。  それから信用の問題でありますが、各金融機関支払ができる、金融機関の中でAの銀行は五割、Bの銀行が二割というようなことが信用にそれは事実問題としては非常にわからないように影響するということは確かであると思います。できるだけ私どもはそういうことがならされるように努力はしたいと思いますけれども、やはり法律の立場から言いますと、どうもこれは過去の清算会社の残余財産の分配というふうに考えない限りにおいては、どうしてもやはり国が何か入れてやるか、或いは今育て掛つておる新勘定に何かいたさないとどうも解決が付かない、この点に我々もいろいろ苦労をしておる。同じ払う率の問題だけでなくして、全然払えない金融機関と、払える金融機関との間の関係もこれはあるわけであります。どういうふうに措置すべきか、いろいろ財政当局その他にも相談いたしたのであります。やはり結論といたしましては、更に財政負担を加重するような措置は絶対にいけない、さればといつて或いは金融政策として、新勘定を育てて行こうという目的でできた新勘定を切つて、これを危くしてしまう旧勘定の預金者に払うということは絶対にいけない。そういたしますとできるだけ行政の許可範囲においてならされることを望むのであります。これらの利益金について十分にその辺の検討を加えまして、できるだけこれらのことが新勘定に影響しないように処置いたしたいと思います。具体的には、各銀行等におきましても多額に払える銀行がいろいろそれを悪い意味で自分の宣伝の具に供するようなことはできるだけ戒めるように配慮いたしたい、かように考えておる次第であります。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 前に私は戦時公債の利払い停止のときに、このことを問題にしてプールするというような考えを持つたわけですが、これもやはり打切るときは法律によつて打切つたのでから返すときに政府が個々に返すということは、何だか普通の事業会社の清算と違うような気がするのでやはりプール的な考え方をとつたらどうですか。対外債権の問題はいわゆる預け合勘定のあれじやなくて別なんですね。三菱、三井銀行等の対外支店の問題ですね。
  58. 河野通一

    政府委員(河野通一君) プールの考え方は、実はあの法律を作りますときにも内部でいろいろ議論がありました。確かにこの措置は法律によつて強行した措置でありますけれども只今申上げましたように個々の銀行の預金者にして見れば、これはやはり打切られた後において、その個々の銀行の中から利益が出て来たものは、その銀行の預金者に均霑すべきものでありまして、本来ならば均霑できるものを他の銀行の預金者のためにそちらの利益を渡すということは、これはやはり銀行が別な銀行であるにもかかわらず、そういう措置をすることは行過ぎじやないかというのが私の結論になつたわけであります。確かに議論はありました。木村先生もお考えになつて無理であることはおわかりと思います。何と申しましても独立の人格を持つた金融機関と取引した預金者でありますから、それを他の金融機関の預金者のためにそれをプールするということは、少くとも現在の株式会社の組織であります個々の銀行という立場からそれをやるべきじやないというのが私の結論であります。   ━━━━━━━━━━━━━
  59. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつとお諮りいたします。向井大蔵大臣は御就任以来、本会議又は予算委員会等には御出席でありましたが、当委員会には未だお出ましがなかつたのでありますが、本日予算委員会に出席中でございますが、特に本委員会に出席をされまして皆様に御挨拶を申したいということでございますので、大蔵大臣の御発言をお願いいたします。
  60. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 私は就任以来ずつとこちらに参らなければならんと始終気にかけておりましたけれども、新聞を見ましてもこちらの会議のことが出ておるので相済んと存じておりましたが、何にいたせ殆んど衆議院の予算委員会に没頭しておりまして、こちらに参る暇がございません。誠に失礼ではございますがどうか悪しからず御諒恕をお願いたします。衆議院のほうの委員会も間もなく終ると存じますが、終りましたらせいぜい勉強して参ります。どうかよろしくお願い申上げます。
  61. 中川以良

    委員長中川以良君) なお只今衆議院の予算委員会はまだ続行中ですが、本日特に委員長もお願いをして御出席を願つたわけでありますので、本日大蔵大臣に対する御質疑はお控え頂きまして次回にお願いいたしたい、さように御了承承願います。   ━━━━━━━━━━━━━
  62. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の封鎖の払い戻しで、例の在外公館の借入金の問題のときに、物価指数などを考えたり何かして相当物価の上昇、つまり貨幣価値の下落の点を勘案しておると思うのですが、そういう考慮は今度はしないのですか。
  63. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 対外関係の債権債務につきまして、物価その他の換算率の問題が大体主だと存じております。外貨建になつております債権債務の関係、これがどういう換算率で弾かれることになるか、私どもはできるだけ低い換算率を望みますけれども、どういうふうなことになりますか、この点が実はわからないわけです。今後の外交折衝に待たなければなりません。まあ言葉が非常に悪いのですけれども、その外交折衝で相当きつい條件が出た場合においても、それに対して支払ができるだけの準備はさせたい。ですから、折衝次第によりましてはそのリザーブを取つてもなお且つできないということもあり得るかと思いますけれども、少くとも最大限度のリザーブを取つて行きたい。実は再建整備のやり方は御承知だと思いますが、対外関係の債権債務の処理は……
  64. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつと、対外関係のことを言つているのじやなくて、私は預金を払戻す場合に物価指数などを考慮して払うかということなんです。
  65. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答えいたします。国内の問題で……、失礼いたしました。それはやはり預金としては、その当時打切られないで上に上つた、預金といたしましてもそれはずつと残つてつたということになるわけでございまして、払戻しに当つて物価指数で換算をいたしましていたすということは適当でないと思います。それからもう一点は、同じようにその利益の中でしか払えないのですから、これを物価指数で幾ら換算してみても、政府が何か金を出すというのなら別ですけれども、換算してみて利益が大体七十億なり何なりを、みんなに配分する場合に、物価指数が上つてつて対外価値が下つておるからこれを何倍するということは余りいいことじやないと思います。
  66. 波多野鼎

    波多野鼎君 そういう点はまあ利益の上つている銀行と上つていない、まあかつかつの銀行とあるだろうと思います。例えば上つている銀行が百円の預金を百五十円で払うというようなことをするのは認めますか、認めませんか。
  67. 河野通一

    政府委員(河野通一君) これはまあ当然百円の預金は百円で、幾ら全部払つても百円以上は払わない。やはりこれは新勘定にそのまま預金が残つていてもその通りであります。
  68. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 関連するのですが、再建整備法の規定に関連いたしまして、旧勘定を整理して利益が現存しておる場合には、債権をのけたものを、利益を予定した限度において支払うというのは当然なことと思いますが、ただ地方におきましては旧勘定の方面において相当成績を上げておるにかかわらず、旧勘定の中で他の銀行よりも比較的支払ができない。いや殆んど全然支払ができないというのは、一般大衆を相手にして金融をずる銀行の措置としては非常に面白くない。従つて実はこれに対する救済方法を考えてくれという要望がありまして、そのうちの一つは、旧勘定の資産を新勘定に引継ぐ場合に、不動産の評価は、恐らくこれは物価はそのままで行くべきじやなかろうかと思います。然るに資産の再評価をいたしますと、そこに相当の利益が出て来る。その利益は実際から言えばこれは旧勘定に属すべきものだと思うのでありますが、そういうものをあえて旧勘定の利益として支払つて、そしてその金融機関の信用を保持したいというのは、誠に私は実質的な尤もなことだと思うのであります。もう一つは、新勘定において銀行相当収益を上げておるから、株主総会の決議を待つて勘定の利益の中から経費として幾らか差引いて、できるだけ他のほうに支払つて銀行並みにやつて行きたいということも尤もだと思うのであります。これらの点につきましては、先ほど銀行局長からのお話の中においても相当考慮すべきものがあるやに伺つたのであります。従いましてそういう点を十分検討して、そうしてできるだけ金融機関の全般の信用保持のために万全の措置を講じた上にこの支払をなされたらいいじやないか。然るにそれもしないで、再建整備の規定からいつてできるだけ早く支払うのがいいからと言つて、すぐ申請書を出さしてどんどんそれを承認して金をあれするというのは、まだ措置としては十分でないのじやなかろうか、こうい感じがいたしますが、如何でございます。
  69. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この問題は私ども急にきめて急にやるということではないのでありまして、先ほどもお答え申上げましたように、数ヵ月前から各方面といろいろ議論をいたしておりました。御指摘のように各金融機関の間に分配の率が違うということは理窟はさておいて、実際問題として新勘定自体の信用にも非常にそれはいろいろ利用される、場合によつては悪用されるということもあり得ようと思いますので、私ども金融全体の安定のためにはできるだけそれがならされることが適当であろうと考えております。そういう観点からいろいろな点検討して今具体的に御指摘になりました点が、これらの問題を検討する場合の一番大きなポインとであつた。結論を先に申しますと、やはり第一点の不動産のほうが非常に値上つておる。これが従来旧勘定に属しておつたものであるから、この値上つた分については旧勘定のほうに入れるべきだという意見もございました。この点につきましては、私どもは、この金融機関の不動産というものを少くとも営業用に使つておるものにつきましては、これはやはりそれを評価換えをして大きな利益を出してそれを旧勘定の預金者に配るということは、営業用不動産としては適当じやない。併し一般の私有不動産であつて、実際営業用に必要のないものもありますから、こういうものはできるだけ処分をする、そうして処分をした結果出て来た利益金は旧勘定の中に入れる、そうして旧勘定の預金者に支払うというような措置はできるだけ講じて参りたい。これによつて今お話になつたような弊害が若干でも除かれるならばそうふうな点については十分考慮して参りたい、こう考えております。第二点の、新勘定の利益金の一定部分を旧勘定の預金者の支払に当てるということは、再建整備法自体を作りました当時の趣旨からいいましても、現在やはり新勘定をできるだけ育成したいという観点からいいましても、これはとるべき措置でないと私どもは考えております。と申しますのは、これをやりますと結局新勘定相当弱い銀行におきましても無理をして支払をしなければならない。現に或る銀行におきましては一〇〇%旧勘定の預金者に支払ができる銀行もあるわけであります。ところが或る銀行では、一〇〇%支払をするために新勘定の利益を食うかということになりますと、銀行によつて相当強い衝撃を受ける。これらの点について私どもは新勘定を堅実に規制するためにとつたこの措置の基本的な考え方に反するように見受けられますので、第二の措置につきましては私どもは賛成いたしかねる。併しこの問題は検討の過程におきましては、一番問題になりました大きなポイントの一つであります。併し結論は、今申上げましたましたように長い間研究をいたしたのでありますけれども、どうも適当でないということに相成つたのであります。
  70. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 ちよつと伺いたいのですが、銀行の資産再評価価をした場合に、営業の用不動産は再評価をしたのですか、しないのですか。
  71. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 或る程度はいたしております。再評価をした分について、これは旧勘定に入れるべきじやないかという御意見は確かにあると思います。この点は十分に今検討を加えております。支払につきましては結局は、これからだんだん準備をいたしまして実際承認をいたしますまでには恐らく数ヵ月はかかると思います。来年の二、三月、早くても二、三月頃になると思います。これらの問題につきましても、個々に十分に金融機関からの申請の内容を見まして、法律の許す範囲においてこれは研究いたしたいと考えております。
  72. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 それから第二の新勘定のほうの基金の債権云々というのは、これは極端なことをすると、おつしやる通りになりますけれども、これは株主総会でも恐らく承知しない、できるだけ他の方面との開きを少なくしようという趣旨でやつた場合、大蔵省の考えによると、新勘定と旧勘定のバランスもこの程度でよかろうという見当ですぐ承認をするということもあり得るのじやなかろうか。然るにそれは全部いかんと頭からきめてかかるというのは少し行過ではなかろうかと思いますが、如何でしようか。
  73. 河野通一

    政府委員(河野通一君) まあ程度問題の点もございますが、私どもは新勘定をできるだけ堅実に育成をして行くという立場から、新勘定の利益を食つて勘定の預金者に支払をするというふうな措置は適当でないと考えております。
  74. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 大体趣旨はわかりましたが、私はそういう問題がありますので、一応申請書をとるのがいいが、それらの問題も十分考慮の上で承認をするというので、余り承認を急がれないほうがよかろう。慎重に御検討の上おやりになることを希望いたします。
  75. 松永義雄

    ○松永義雄君 大体今大矢さんの聞かれたことでわかつたと思いますが、先ほど利益、利益とおつしやつておりましたけれども、家具とか建築物の値上りなんかの利益ということもあるのですか。
  76. 河野通一

    政府委員(河野通一君) どちらも入ります。例えば旧勘定に属しておつた資産を処分して利益が出て来る。或いは有価証券で殆んど無価値であつたようなものがだんだん又値が上がつて来た。或いは債権で取れないと思つてつたものが取れて来たといつたようなものがございます。
  77. 松永義雄

    ○松永義雄君 在外財産の処分というと、預金額よりも、普通そういうことがあるのかないのか知りませんけれども、預金額より余計な、清算の結果財産が残るというのは、それは当然清算したものを預金者に分けるというのですか。
  78. 河野通一

    政府委員(河野通一君) これは御承知のように預金者はやはり、例えば百円の預金を持つておりますと百円の預金が限度であります。これは波多野さんのお話がありましたのと関連するわけですが、これはやはりそこまでが限度です。あと然らば残りました場合に、それの処置の方法は二つあるわけです。一つは、旧株主、打切られた株主に対して分配をするかしないか、この点は現在のところではまだ法律的には、打切られた株主に返す途はございません、再建整備法では。この点は十分に検討をいたしたいと思いますために、最終処理はしないで中間処理をいたすということにいたしております。もう一つの処置は、残つて来たものを新勘定に入れる、新勘定の内客の利子に当てることがいいか悪いか、こういつた問題がございます。預金は飽くまで質権でございますから、これは一般の清算の場合と同じように、貸金をしておる債権者には、幾ら清算会社の内容がよくても、元本まで勿論入りますが、あとはその清算会社の株主に入ります。その株主というのは打切られた株主に行くか、或いはそれがすわつてつた勘定の利益に入るか、今後研究いたして参りたいと思います。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今お話を伺いますと、預金者、預金者といいますが、預金者というのは自由に銀行に全部預けたように言われますけれども、その場合に預入令というのがありますが、強制的に銀行に預けさせられたんですね、現金をですよ。それですからその預入令との関係はどうなんですか。みんな個々に銀行の信用によつて預けたならいいのですが、強制的に預けさせられて、そうしてそれからそういつた措置が起つて来ているんでしよう。ですから、預けsaせられたときは、実は銀行預金になるのはおかしいと思うのです。政府が強制的に預けさせて……。本当は日銀勘定か何かにすべきでしよう。それを個々の銀行に預けたんですけれども、それとの関係はどうなんですか。
  80. 河野通一

    政府委員(河野通一君) これは金融緊急措置令、昭和二十一年でありましたか、金融緊急措置令を行いましたときに、封鎖預金というものがそのときに初めてできたのであります。一定部分の預金について封鎖をいたしましたときに、現金を持つておられる人は銀行にお預け願いたい、そのお預け願いたいというのは、何もどの銀行に預けなければならないということはいたしておりません。どの銀行でもかまわない、適当な金融機関を選んでなさつたわけですね。何々銀行にお前さんの持つておるその現金を預けなさいということは言つたわけではないのです。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはそうですけれども、実際問題として何々銀行と言わなくても、あの当時殆んど金融機関ならどこでも潰すようなことはあるまいというので、それでまあ預けたんであつて、皆どこでも近所に預けたわけです。あの時信用を選ぶということはあの時の通念としては考えられません。何々金融機関というと、一応政府が預けろというので金融機関一般として現金を持つておる人は預けたと思うんです。そのときに信用関係を云々するのはおかしいので、預けさせられるときは強制的に預けさせられて、今度は返すときにはああいう非常措置とは全然別な営利的な考えで個々の銀行によつて措置するということは、どうも少し何か無理があるように思うんですね。これはまだ私もよく検討してみたいと思いますが、金融機関再建整備海もよく読んで……。その点の御説明ではどうも私は納得行かないんです。
  82. 河野通一

    政府委員(河野通一君) これはどうも詳しく御説明しないとわからんと思いますが、それらの点は実は研究いたしました上での措置なのであります。封鎖の点は、御承知のように預入令によつて預入したものよりも、むしろ或る銀行に預けておつたものをそのまま封鎖されたほうが、選択の余地がなかつたわけなんです。これは金融緊急措置ということがいいか悪いかということに問題がかかるわけです。それからもう一つは、再建整備をいたしました措置が一体いいか悪いかという問題にかかつて来ると思います。これらの点は十分検討した上で金融緊急措置令も行いましたし、金融機関再建整備法の措置も行なつて参つたのであります。そういう措置がけしからんということであればこれは別問題であります。その措置の当然の結果として今申上げましたようになりました、こういうことであります。
  83. 中川以良

    委員長中川以良君) どうですか、今日はこの程度で以て質疑はよろしうございますか。   ━━━━━━━━━━━━━
  84. 波多野鼎

    波多野鼎君 最近、今年の九月ですか、十月ですか、日本の外貨債の処理の問題が決定したようで、津島全権が帰つて来てすでに報告されておるようですが、その外貨債に関する協定、これは聞くところによると国会には提出しないという話でありますが、まあ国会の議決を求めないという点はいろいろ問題があると思う。これは又別に議論をいたしますけれども、我々大蔵委員会としては外貨債の処理についての協定のいきさつ、内容、そういうものについて詳しく一遍聞きたいと思います。そこで相当多額の金額ですから予算上にも非常に大きな影響を及ぼすものでありますので、一応委員会として津島壽一氏を呼んで詳しい内容を聞きたいのです。その機会を一つつてもらいたいということを皆さんにお諮りして頂きたいと思います。
  85. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今波多野君から外貨債に対する問題の説明を聴取するという件についての御提案がございましたが、如何でございますか。    〔「異議なしと呼ぶ者あり」〕
  86. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今お話の通り一つ津島さんをここに呼んで説明を聞くことに、適当な機会に……。
  87. 波多野鼎

    波多野鼎君 できるだけ早くして頂きたいと思います。
  88. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) ちよつと私のほうでも積極的に御説明をいたすつもりでおつたのでありますが、津島さんと限定されますと、何か旅行中であるとか何とかという関係で遅れるような場合があつてもいかんと思いますが、御承知のように、随員として実際上やつておりました理財局長その他の人がおりますから、取りあえず早い機会にその人たちの説明を聞いて頂く、勿論津島さんの都合がよければ問題ないのでありますが、その関係はどういたしましようか、念のために。
  89. 波多野鼎

    波多野鼎君 僕は津島全権の名前を言いましたけれども、津島さんが最初からいなければならんということではないのですから、それでも結構です。事情がわかればいいです。
  90. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 成るべく速かな機会に。
  91. 中川以良

    委員長中川以良君) 大蔵省側から伺うことにして、津島全権に大蔵省のほうからお話を頂いて、できるだけ出席を願つて話をして頂くということでございましよう。
  92. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 了承いたしました。   ━━━━━━━━━━━━━
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 丁度銀行局長が見えておりますから、実は資料予算委員会要求したのですが、今度の補正予算の中に、炭鉱住宅の利下げの措置が雑件の中に入つておるのですが、河野主計局長から一応簡単に説明がありましたが、私どもがその資料要求しておるうちに、今度大きい政治問題になつたようですが、これは政治問題と別に、雑件の中でどういうように炭住の金利の問題が措置されておるか。これは資料でいいですが、前に要求してあるのですが、まだ出ていないですよ。そこで至急に丁度今愛知さんもおいでになりますから、至急早く、どういうふうに補正に織込まれて出ておるのかお願いしたいと思います。
  94. 中川以良

    委員長中川以良君) お諮りいたしますが、国民金融公庫法の一部を改正する法律案は、本日衆議院の委員会を通過をいたしまして、土曜日の本会議に衆議院では可決をいたしまする予定でございます。聞くところによりますると、何か附帯決議を付けておりますようであります。そこで本委員会では月曜日にこれを上げるようにいたしたいと思いまするが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 中川以良

    委員長中川以良君) 次回の委員会でございまするが、明日は本会議はございませんし、明後日は土曜日になるのでありまするが、月曜日まで休みますか、或いはその間やりますか、どうでございましようか。大して今急なものはないのですから、月曜日まで休みますことに……。
  96. 波多野鼎

    波多野鼎君 資料要求をしておきます。大蔵次官の専門のほうだからしつかりしたものを出して頂きたい。それは日本開発銀行の問題ですが、補正予算で見ていると、開発銀行からの国庫納付金が二十六億円減じておりますね、当初予算よりも。そこで、どういう事情でこれが減じたかということがわかるような詳しい資料を出して頂きたい。
  97. 小林政夫

    ○小林政夫君 先ほどの国民金融公庫の問題ですが、この前ちよつと金利の件を聞きましたが、遺家族援護公債及び母子家庭に対する融資十億と五億、これの業務方法害的な、貸付條件について月曜日までに書類を出して頂きたい。
  98. 中川以良

    委員長中川以良君) さように取計らいます。  月曜日の時間でございますが、本会議が午前中にございますれば午後一時から開会いたします。本会議がなければ午前十時から、それでよろしうございましようか。
  99. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 月曜日にやることは賛成ですが、関連して、中小企業の対策について聞きたいのですが、そこで通産大臣か通産省の人にそのときに来て頂きたい。
  100. 小林政夫

    ○小林政夫君 全般的な金融、例えば中小企業融資とか、全部関係者に出てもらつて討議する機会を持つたらどうかと思いますが……。
  101. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは別に異議ありませんが……。
  102. 中川以良

    委員長中川以良君) 中小企業庁長官でも呼びまして、今小林君の御提案は別個に考えることにいたしたら如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会