運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-11-25 第15回国会 参議院 図書館運営委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月二十五日(火曜 日)    午後一時五十四分開会   —————————————  委員氏名    委員長     西田 天香君    理事      青山 正一君    理事      羽仁 五郎君            岡田 信次君            徳川 頼貞君            徳川 宗敬君            金子 洋文君            小泉 秀吉君            木内キヤウ君            櫻内 辰郎君   —————————————   委員の異動 十月二十四日委員西田天香辞任につ き、その補欠として宮城タマヨ君を議 長において指名した。   —————————————   委員長補欠 十月二十四日西田天香委員長辞任に つき、その補欠として宮城タマヨ君を 議長において委員長に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     宮城タマヨ君    理事            羽仁 五郎君    委員            徳川 宗敬君            小泉 秀吉君            木内キヤウ君            櫻内 辰郎君   国立国会図書館側    国立国会図書館    長       金森徳次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度国立国会図書館の  補正予算に関する件   —————————————
  2. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) それでは只今から図書館運営委員会を開会いたします。  本日はお手許に差上げてございます昭和二十七年度国立国会図書館予算補正要求書について御審議を願い、それが終りましたら二十八年度予算に関連いたしまして、共に金森館長から御説明を伺いたいと存じております。それでは先ず二十七年度補正予算につきまして、金森館長から御説明をお願いいたしたいと存じます。
  3. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) お手許に出しておりまする、この補正予算要求書の中衆の実質三つ項目になつておるわけでございます。印刷物になつておりまする初めの頁の上のほうのこの小さい四角な表が四つございますが、そのうち初めの三つ実質関係するもので、四つ目はこれを集計した結果でございます。  第一の一番上のほうの欄にございまするのが国会職員給與改善等に必要なる経費でございまして、これは一般の他の公務員の振り合いと同じように給與改善をするために必要なる経費でございまするが、個々内容はその紙の下から次の頁に繋がつておりまする細かい表の中に姿を現わしております。大体のこの眼目は給與の実態を調査いたしまして、それを基本にいたしまして、大蔵省のほうとの相談の折合うところといたしまして、図書館は一人の単価を二千六百七十八円増加するということがほかのほうとの釣り合いがとれる、こういう計算が出まして、この二千六百七十八円という單価につきまして、十一月から年度末までの五カ月分を見込みまして、これに人数を掛けまして、そのほか若干の補正をいたしまして、超過勤務手当とか、共済組合負担金金額とかというものをそれに対応して不足額をここに加えて計上したものであります。なお下のほうの表の中に姿を現わしておりまするが、勤勉手当という項目がございまして、これはこの給與一般的な増額とは違いまして、特に勤勉手当という制度ができることを予想してここに予算を計上するわけであります。それが下の表にございまするように大よそ五百万円余でございまして、この中に加えております。これを合算いたしましたものが千八百四十八万二千円になるのであります。  次に第二の項目といたしましては、従来大よそ定まつておりまする予算上の経費節約をいたしまして、若干の金額をここに出して来る。この操作でありまするが、これは旅費一割を節約いたしまして一又物件費につきましては五分の節約となつておりまして、それらの金額もこの紙の下のほうにございまする表の中におきまして三角印をつけて明らかにされておるのであります。いろいろ細かいことを申上げるようでございまするが、職員旅費は十七万円を節約する、庁費は百五万円余を節約する。本箱とかカードとかの作成費法令等印刷費国際図書交換通信運搬費、その他につきましておのおの大よそ五分の節約をいたしました。但し書物を買いますることは、これは図書館としての本務でありまして、如何に節約をしようとしてもこれを節約することは非常に無理でございまするから、この購入費節約はいたさないことに計算されております。  次に第三の項目になりまするのは、P・Bリポートを購入する必要なる経費でございまして、これは追加額が六千九百七十万円余となつております。このことは前々からF・Bリポート図書館に備え付けたい希望を持つておるということは申上げておきましたが、大体その分量を嚴密に調査いたしまして、実際今どれだけ手に入れることができるであろうかという計算をして見ますると、今手に入りまするものの、マイクロフイルムで手に入りまするものと、マイクロフイルムでは手に入らないフオートシユタツトとか、或いはプリントで手に入るというものがございまするので、それを細かに計算をいたして見ますると、現在のところマイクロフィルムで手に入りまするものは大よそ八万件弱でございまして、その価格は四千五百八十四万円になるのであります。それからマイクロフイルムでなくして、少し大きい形のフオートシユタツトとか、プリントの形式を持つておりますのが大よそ二万七百種でございまして、これの価格計算しますると一千三百七十八万円、それに多少の運賃もかかるのでありまして、大体これが九万六千円ばかりになろうと思います。その金額をここに計上いたしまして、そのほかにかようなものを入手いたしますると、これに応じていろいろの経費が必要になつて参りまして、例えばこれを入れる容物とか、或いはこれを読む閲覽機を若干、それからどうせこれはフイルムを焼付けてもらいたいというような希望も出て来ると思いまするので、フイルム焼付機現像機を一応備え付けるということが必要になりまして、そういうものを見込みまして、全部を合計いたしますると六千九百七十万円余になるわけであります。この三つのものを合せ集めましたものが初めの頁の三つ目の表にありまする金額となつておりまして、差引計算をいたしますると、八千五百七十八万二千円だけ増加することになるりと思います。このマイクロフイルムのことはもとより予算もございませんので、堂々とこれを外国に注文して買付けるということはできないのでございまして、まあ事実上の行為といたしまして、あちらこちらとの協定をいたしまして、そしてアメリカ政府日本の外務省を経由して果して單それが供給せられ得るであろうかというような具体的な照会を発しまして、それが向うのほうで一遍にこれだけのものを供給し得るということは断言できないけれども、成るべく早くこれを日本に送ることができるであろうというような返事を得ております。その線で若しできることなら進行したいと考えております。  以上が概略でございまして、どうぞよろしく御審査をお願いいたします。
  4. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 只今の御説明につきまして何か御質疑がございましたら、どうぞ御質疑を願います。
  5. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今の御説明についていろいろ伺いたいことがあるのですが、第一に伺いたいのは、この只今の御説明では、大体三点についての御説明であつたのですが、私どもやはりこの図書館運営委員会館長から予算について御説明を伺うときに、第一に伺いたいことは、現在図書館は何をなそうとしているのかということについての説明を伺いたいと常に思つております。でこの点についてやはり最近新聞などで報道されております記事についても、あとから御説明を伺いたいと思うのでありますが、或いは建物の問題につきましてもそうですし、それから絶えず私は新聞にああいうことが書かれて誠に遺憾に堪えないのですが、国会図書館議員が本を読みに来ないということを新聞が年に二、三回ずつ書きます。これは国立国会図書館という所が、議員がそこに本を読みに来る所だというふうに、世間が了解されている点があるからじやないか、若しそうだとすれば、国立国会図書館は何をしている所なのかということが、世間にも十分了解されていないのじやないか、世間に了解されていないということは、即ち図書館運営委員会においても十分了解されていないのじやないか、従いまして、何をしているのかわからないのに、予算を取つて、国民の血税を使うということになつては、誠に相済まないので、補正予算要求せられます際に当りましても、どうか一つ館長からこの補正予算要求するについて、現在国立国会図書館は何をなそうとしているのかということを、この運営委員会を通じて社会に向つて明らかにして頂きたい。そうでないならば、この補正予算というものを要求することができないのじやないかというように思いますが、現在国立国会図書館は何をなそうとしているのかという点についてどうか一つどもが納得し、従つて新聞その他世間がこれを納得するような説明をして頂きたいと思います。
  6. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 現在図書館のやつておりますのは、もとより法律に掲げてあるところを具体的に実施するということでありまして、今まで個々の場合に申上げておることと甚だしく違つたことはございません。ただその線に沿つて漸次拡大して行くというふうに努力をしておるのであります。併し、将来に向つてどういうことを考えて行くかということはもとよりあるのでありまして、その点につきましては、今回のこの補正予算経費要求を離れまして、次の年度においてどういうような計画を立てて行こうかという一つの不十分ながらも案を持つておりまして、これを若しこの案のあとにおいて機会を與えられますならば、そのときに申上げたいと考えております。まあそれは機会を與えられましたときに、個々の事柄を列挙して申上げたいのでありますが、要するに今までの仕事を拡大強化するということが一面であると共に、新しい図書館を建設して、いわば本格的な線に出て行きたいという考えを持つておるのであります。  それから先ほど仰せになりました図書館任務世間で知られていないというお話は、実際まあそれに近いような面がたくさんございまして、何としても世間がこれを快よく受入れてくれないのであります。いろいろな努力をいたしまして、その任務のあるところをまあ私どもといたしましては、機会あるごとに表明しておりますけれども、まだ残念なところがあります。先ほどこの議会のかたが図書館に見られないというようなことを新聞等が書いておるということでございましたが、これは事実そういうふうに書いておるものが見られますけれども、どうも新聞紙というものは、ものを真正面から見て簡單批判をするという傾きがございまして、これは残念なことでありますが、私どもといたしましては、図書館勤務を根本として我々の図書館議員さんが見て下さるというところに重点が置かれておるのではなくて、議員さんの要求せられる調査を始終揃えて行くということと、それからそのほかに議会の側において要求されるであろうところの基本的な資料を整備するというところに狙いを持つておるということは常々言つておりまして、大体新聞でもまじめに書くときはそういう方向を承認しておつてくれるように見えますけれども、あの二行か三行の批評をいたしますときは、これはどうも一種の常習犯常習犯言つては語弊がありますけれども日本ジヤーナリズムの持つておる悪癖でありまして、いつもその蒙を啓くことは努めておりますけれども、なかなかうまく行きません。まあ私どもも心配と申しますか、甚だ不満足であります。ついこの間のことでありましたが、東京都下の比較的大新聞政治部長及びそれに接近するような人たち二十数人集つてもらいまして、一時間半ばかり若干の図表を示してそういうことを詳しく申しました。来た人は成るほどそういうものかと言つて了解してくれましたが、新聞を見ますと、必ずしもそうでないという実情でありまして、今後の計画については私ども微力であつて一足飛びに飛躍する力を今までは持つておりませんでしたけれども、まあこれは五年までは一極の準備期間に近いものでありまして、第六年目から本格的に飛躍する、三年鳴かず飛ばずという言葉がありますが、少し延びまして五年になつてしまいましたけれども、六年目からは少し飛躍したいと考えておりましたが、それがこのあとで御説明を申上げたいと考えております図書館建設の問題であります。これとてもそれを申しますと、大掛りな計画ではございませんで、ただ我々の腹案、従来の伝統もございますので、そう思い切つた案も示せませんけれども、これは一つ御覧下さいまして、御批判を下すつて、十分これがもつと形の整つた立派なものが実現するようにできるならば、私ども喜びこれにしくものはございません。この点はちつとも確定した見解はまだ持つておるのではございません。
  7. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今の御説明で御趣旨はよくわかるのですが、どうかその点について私が館長にお願いしたいことは、勿論幾ら説明しても新聞のほうで、いわゆるジヤーナリズムのいろいろな面の一つとして興味中心というか、或いは面白おかしく、或いは場合によつては皮肉というものもあることは私もよく了解しております。併しながら只今説明下さいましたような国立国会図書館は何をなそうとしているのかということがもう少し常にあらゆる機会に徹底せられるということを私は深く希うものなんです。従つてこの補正予算の御説明に当りましても、同じように現在国立国会図書館がその最高の使命である議員立法のための機関であるということの機能を如何に果しているのか、それはますます機能を果しつつあるのかどうか。或いは現在の国立国会図書館予算機構ではその議員立法活動を補助する機関としての活動において多々欠ける点があるのかないのか、そういう点についての御説明を承わつて、この予算要求が妥当なりや否やということを私どもとしては考えることができるんじやないか。それで一体議員立法活動についてその機関としての国会図書館に対してどれくらいの仕事がかかつているのか、その仕事がどれくらいのスピードで解決されているのか。或いはそれが議員各位の御要求というものを満して余りがあるのか、それとも議員各位要求を満すことができないで、いろいろな点で議員の苦情を伺つているというようなことがあるのか、その点についてどうか一つ館長から伺いたい。現在国立国会図書館の最も主な任務であるところの議員立法活動について国立国会図書館はどれだけの仕事をしておいでになるか、その仕事について館長の御覽になるところでは、現状それでよろしいというふうにお考えになるのか、それではいけないというふうにお考えになるのか、それに基いてこの予算というものが妥当であるのか、妥当でないのか、我々が考えることができますように、その点についてこの際補正予算要求に当つて説明を煩わしておきたいというふうにお願いをいたします。
  8. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この調査立法関係のことは私のほうの仕事の中でも一種特別な姿を持つておりまして、その実行の上におきましてかなり苦心をしております。けれども日本で新らしい仕事でありまして、従来日本官庁面調査、それから民間面調査、いろいろこうございますけれども、どれとても政治の実際の上にぴつたりとこれでいいというような調査は余りできていないような気がいたします。そこで私のほうの調査機関といたしましては、何と言いますか非常に学術的ではないけれども、実際上の役に立つような調査をする、こういうところに重点を置きまして、現在もかなりそこに重点を置いております。そこで初めのうちは調査立法ということにつきましての御理解がそんなにまだ議会のほうでも十分でなかつたものか、そんなにたくさんの調査の御要求はなかつたのであります。ところが先に機構を大きくして百二十人ばかりの増員をいたしまして、調査の部局の内容をまあ或る程度、どうせ完全なことはございませんが、或る程度充実いたしますと同時に、自然に機運がめぐり来たつたものか、随分たくさんの調査の御依頼がございまして、数だけで申しますと、今まで約一年の間に調査要求のありましたものが二千八件ばかりであります。勿論このほかに調査の種類によつて調立以外の、つまり一般考査の面に対する考査依頼もございますけれども、大体そこは打切りまして、調立專門意味考査というものが最近の一年間につきまして二千八件もあるのであります。そしてその御依願になりますものの項目は非常に簡單なものもございまするけれども、案外そうでなくて、場合によりましては、ただ書物の上から調査できるのではなくて、現実にアンケートを出してから調査をする、各種の意見を具体的に聞き質してから初めて答えが出るというような調査のものもできております。まあいろいろの角度から考えられますけれども政党といたしましては各政党が大体調査要求をせられております、大体という言葉は少しあいまいでございますけれども衆議院参議院とを通じますれば、全部如何なる部分からも調査要求を受けておりまして、なかなかこの件数を見ておりますると、或る政党衆議院からは御質問になりますことは少いけれども参議院側からは非常にたくさんな調査の御要求があるというような数字が出ておりまして、何かそこの中にいろいろの意味も含んでおるような気がいたします。これに対しまして、それでは完全な調査ができておるかと申しますると、これはできておるとはお答えすることができませんので、私自身はいろいろ自分の注意の行き届く範囲のもので、仮に自分依頼者であつたならば、これで満足できるかという角度で見ておりますと、いいものもできておると同時に、そんなに十分でないものもございますが、これは立ち上りましてから本当に活動を始めて四年くらいのものでありまして、職員を充たす上におきましても、なかなか思うように行きません。みだりに放言をして、これがよくできておるということはお答えできませんけれども、併しまあときどき活版印刷に付しまするもの等につきましては、相当類似機関に対しまして、劣らざる程度調査はできておるような気がいたします。ただ残念なことは、個々調査自分が案を立てるということよりも、確実な材料についてそうしてお答えをするというのが本格でありますが、その確実な材料はなかなか一朝一夕には集りません。その集りませんのは、国内のものでありますれば、何とかして一生懸命に出張してでも必要な資料を獲得することはできますけれども外国関係になりますと、随分各部門に亘りまして何でも備えておかなければ即座に答えられないのでありまして、どうも残念なことに、時には調査資料がございません、こういうふうな答えをすることもございます。それからアメリカ政府関係するものは比較的資料は揃つておりますけれどもヨーロツパ大陸の面になりますと、まだ十分な連絡ができておりません。ただ偶然に探り当てたもの、或いは書類の形で日本に入つておるもの等があるのでありまして、現実に生きた材料、つまり最近の資料政府が出しておるとか、重要な実際家と申しまするか、会社というような面が出しておるというような資料を取揃えることはできません。そのほかは次第々々に充実せしめるように努めております。なお、日本の中におきましても、どうも今までの調査というものはお役所仕事と申しまするか、自然に得られる資料によつて調査しておりますが、私ども仕事は何と言つたつて全体の一部分に過ぎません。実際家のほうには、例えば或る種の企業をやつておるところにおきましては、そこに立派な調査機関があつて、ほどほどに適当なところから材料を獲得しておるというような民間施設会社どもございまして、そういうものとの連携もうまくやつて行かなければならない。こんなふうに考えておりますが、今のような二千八件という数字が最近まで出ておりますが、この数字は漸次増加して行く傾向になつております。私どもの力が増加するということに応じて、相当の御希望を充たして頂けると思います。それにつきましては、私から見ておりますと、非常に不満足な点は幾多ございます。そのうちの一つを言えば、折角調査をいたしましても、これを印刷するところの経費が十分でない。従つて依頼を受けたかたに対して一枚書いて送るということはできますけれども類似の御希望もあろうと思う所へそのコツピーをお配りするというようなことが、なかなかこれは一つ一つならばわけございませんけれども数量がまとまつて来ますと、思うように行かないと思います。そこで私ども考えておりますのは、こういうふうにあちらからこちらから御調査依頼を受けておつて、これに対して一応お答えをしておる。そうして原則としては、できるだけ早くやつております。ただむずかしいものは、なかなかそうも行きませんし、調査機関一つの持ちくされがありまして、いじくり廻すと答えが出ない、長くかかるということになつておりますが、それはいろいろ督励をしておりますが、一番心配するのは、調査を御依頼なさつたかた満足を與えているかどうかということであります。私どもの直感的な答えは、それは御満足を得ていない、甚だ自己に不利益なお答えでございますが、そう思つております。まあ世間外交的辞令をお使いになることもあろうので、一応は満足した形でこちらのものを立てて下すつておることも実状でございますけれども、どうもそれは本当の気がしません。これはまだ実行まで入りませんけれども、今度頻々として御調査をこちらに求めて下さるかたがた膝詰一つ意見を伺つておきます。そうして比較的容易に変えられるような点は、先ずその辺から手をつけて行きたいというようなことを考えております。いろいろこれも思つておることもございますけども、まあ一端を申上げたわけでございます。
  9. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今説明下さいましたような点を絶えず我々議会に、我々図書館運営委員にもいろいろな機会に伺つて頂いて、その数字とか現状とかいうものは、いつでも我々の脳裡にそらんじているというか、そのはつきりした形をとつてつて、又従つて我々を通じて議員各位にもそれがはつきりしておる。従つて世間に向つてもそれがはつきりして行くというようにすることが望ましいと思うのであります。  それで只今の点で、いろいろ計画になつていることだと思うが、只今第一の問題はやはりスピードの問題だと思うのです。それでそのスピードについて、勿論調査の性質によつて非常に長くかかるのと早くできるのとございますが、その最も早いスピードはどのくらいであるのか、それから最もむずかしいこういうような問題の場合でも、これくらいのスピードでできるのだというようなことを次の機会にでも是非一つ我々の頭にはつきり記憶することができますように御説明を願いたいと思います。  それからその次に伺つておきたいのは、調査の結果を只今説明がございましたようにプリントで配つて頂きたいと思う。これは例えば破防法の際に、アメリカの上院のムント・ニクソン法案審議録というものは、私自身としては非常に役に立つて、五、六度ぐらい読み返し、それから多くの資料を得ることができて、非常に有益だつたのですが、ただ一つ問題は、ああいうガリ版プリントで多くの議員のかたが読まれるに適するかどうかということが、よほど疑問じやないかと思うのです。折角有益な調査ができて印刷されておりながら、ガリ版のために或いは議員かたがたが読まれるのに余り適当でないのじやないか。これは費用と設備との関係もあることでありますが、これを活版で読みやすいような形にされて行くというようなお考えが現在おありになるのか、ないのか、それが第二点。  それから第三点は、私自身の体験では、やはり材料がかなり偏在、片寄つているように思います。或る種類の問題については材料がないというお答えがございますが、十分な材料があるということは、只今のお話のように発足して四年ぐらいのことですから、私どもも勿論、どなたも御希望になるということはないのですが、一つも手がかりがないというくらいに材料がないという部門があるということは、私は至急に直して頂いたほうがいいのじやないかと思います。それで議員各位からの調査の御依頼がありました際に、そういう問題について全く材料がなかつたという場合が幾つかおありになるだろうと思います。その中でそれに対してどういう措置をおとりになつたか、そのままになつておりますか、それともその材料がないとすれば、これは各議員の個人的な趣味、そういう場合もございますから、私も随分自分の趣味によるようなことをお尋ねするようなことがありますから、それまで材料を揃えるということは無理であろうというようにお考えになろうという場合もあろうし、これは私だけでなく、多数の議員がこういう関係についての調査を御希望になる可能性がある。そうすればそういう方面の材料というものも至急備えなければならないというふうに措置をとつておられるのかどうですか、これが第三点。  それから最後は第四ですが、これは機能の問題でありますけれども図書館の各部、各課乃至予算というものが絶えず国立国会図書館の主な任務である調査立法機関というものとどういうふうに密接な関連を持つておられるのかどうか、この点について双方の関係が非常にうまく行つておるのかどうか、或いはその間に若干連絡の欠けておる点があるのじやないか、そうなりますと調査立法関係で例えばこういうふうな資料が欲しいと思つても、それが図書館にない、一応他の方面でそういう資料を得てそれで使つておるということがあるでしようが、それでいいのか悪いのか、それともそういうふうな問題が図書購入なり何なり、まあ端的に申せば、結局図書購入、そうして図書整理、調査立法、この三つ関係が私はどうもうまく行つておるのか非常に疑問だと思うので、館長はその点についてどういうふうにお考えなつおいでになるのか。  以上スピードの問題、それからプリントの問題、それから資料の問題、それから機能の問題というものについて現在どんなふうであるのかということを御説明つて、それで私の最後の結論は、要するに節約による経費の減少ということが妥当なのかどうかということですが、この節約による経費の減少は、金額は余り大した金額ではない、或いは館長のお考えでは、まあこの程度節約をするということの、何と言いますか、モラル的な価値のほうを重く見ておいでになるのか、それとも今申上げたような点で、国会図書館の主たる業務である議員立法活動の補助機関であるという機関活動において非常に欠けるところがあり、現在なさなければならんというほうが多いならば、こういうふうな減少をされるということが実情に即していないのじやないかというようにも思うのです。それでそれは延いては第三のP・Bリポートというものが、今も申上げておるような調査立法活動というものの現状というものとバランスをとつておるのかどうなのか、又P・Bリポートというものはどういう役に立つというふうに館長は御覽になつておるのか、一応国会図書館議員立法活動だけの機関じやないのですから、他の仕事もあり、その方面においてこういうふうに役に立つのだということを御説明願いたい。以上の問題についていずれも余り時間を取つては恐縮ですから、簡単に御説明願いたい。
  10. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) お答え申上げまするが、何しろこういうものは程度の問題でございまして、甚だ遺憾の点が幾多残つておることは包括的に認めなければならんのです。速度の点は今受理して回答したというものの表がございまして、早いものは即時にできておりますし、例えば九月三日に質問が来て、九月三日に答えたというものもございます。こういうものは一番早い部類に属すると思いますが、併しそうは行かないのでありまして、調査中という名前の下にいつまでもそれを研究しておるというようなものがあるのであります。今ここに出ておりまするものでも、主要各国の軍の統帥及び編制、こういうようなものは受理してそうしてその回答につきましてはまだ調査中でありますが、こういうふうに長くかかるものはその中間におきまして大体どの辺まで調査ができたかということのお答えはしております。
  11. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 お答えの全然ないというものはありませんか、答えられなかつたというのは……。
  12. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) それは今聞くところによりますれば、お答えをしなかつたというものはないと答えております。
  13. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それに何も答えられなかつたというのは……。
  14. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) それはございます。それは資料がないからと言つてお話申上げて、それで御了解を得たということはございますけれども、ただそれは余り名誉なことでもございませんので、そうはつきり言える程度にたくさんはないと思いますが、そういう点は資料の收集を專ら目がけて来ておるわけであります。それから印刷のほうは、これは程度問題で、私どもが貧乏だからということは口実になり得ませんけれども、実際個個のこの印刷費をほかのほうで食われてしまつて、いつも赤字を出して、年度末に至つてほかのものからどうしてこれを解決するか、ひどい場合は私もかすかにしかわかりませんけれども、印刷業者との間に多少のこちらが申訳をするような場面もあるように聞いておりますが、これは結局金額の問題でありまして、あらゆる節約をしながらもなお成るたけサービスをするという、こういう段階でございます。  それから資料のないものについてどうするかというような点でございまするが、これはもう極力集めなければならんので、大分手も揃つて来ましたので、集める方法をとつておりまするが、現在内部の資料につきまして只でもらつて来れるような書類は、十分自分の足で以て国内のものは集めておりますが、外国のものになりますと、交換でもらうとか、寄贈でもらうとかということがありまして、お答えのできないような場面が起れば、できるだけその方面の資料は集めておりますが、併しこれは系統的に集めなければいつでも役に立つというわけには行かないものでありまして、その点はまだヨーロツパとの関係は今日道順が甚だ不十分でありまして、ただ交換を申込んで向うから書類をもらうという程度であります。それから買えるものにつきましては先ほどの第四の点になりまするか、つまりほかの各機能との間に何か不完全なところはないかというお話でありましたが、現在のところその間に考え方から来るもつれはございません。これは実際から申しますればいろいろ早い遅いという議論はあるかも知れません。折角頼んでも早く本を取つてくれないというような噂なんかを出す面がないとは言えませんけれども現実には大よそ物を買う予算を大体観察して、調立で使うものはこれだけというふうに分けまして、その分けた分につきましては、本を選択いたしまする権能は主として調立の人に任して置く、それで要求すれば、予算のある間は他の部局は決して苦情を言わない、ところがだんだんそれが殖えて来まして、遂にそこに割当てられた予算を超えるということになりまして、この超えるものはやはり必要でありまするから、他の部局に讓歩してもらつて、そこの一応の割当を何とか話をつけて調立の川に供するということは、これは現にやつておるのでありまして、従いまして、調立に食われる、俗つぽい言葉で言えばそういうことはございましたけれども調立の不利益において予算の配分を変えるということはやつておりません。ただいずれにいたしましても規模の雄大ということを伴わなければなりませんので、私どもが本当の建物を持つというところの一つの着想もそこにあるわけであります。私どもよく見ておりまして、外国資料が非常にうまく事実上整理してありまして、事実上というのは帳面の上で整理するのでなくて、列べ方の上によく注意がしてありまして、そこをただ歩いて見れば、おのずから自分の必要なものが眼につく、それを利用すれば非常に効果が挙るという実例を見ておりまするので、そういうふうにしたいという気持を持つております。  それからPBリポートとこの調立との関係のバランスということを仰せになりましたが、P・Bリポート調立專用の調査ではございませんし、大体から言えば調立よりも縁の遠いほうに位するものであつて一般国民にサービスするという面のものだろうと思います。けれどもそうばかりもございませんで、例えば特許局とかいうような、或いは通産省というようなものにも非常に関係がございますし、或いは又各国立大学等のほうからも非常にお話がございまするが、これは今度買いまするのは約十万点買うということになつております。併し向うのカタログによりますと十五万点ぐらいあるらしいのでありまして、その中に分類の関係上重複しておるものもございまするから、正味どのくらいあるかわかりませんが、今日一般に開放せられておるものが約十万余であるというふうに思われます。これが日本へ入つて来ましたときに如何に使われるかということになりますると、これは学問の問題であり産業の問題でありまして、私ども素人の眼からこれを非常に明確に答えることはできません。先ず私どもといたしましては、各官庁の希望、それから民間の丁度まあそれにぶつかつたような、局部的ではありまするけれども、実業家の見解を質し、そして更に学術会議へ参りまして、学術会議の意見を質したいのであります。そうすると疑惑といたしまして、マイナスになるような疑惑も一つ二つは出て来るかと思います。と申しまするのは、何しろこれがアメリカの手に入つたのは今から六、七年前のものでありまして、ドイツ、オーストリアといえどもその後に相当の進歩をしておるものがあり、折角これを買いましても、時期が遅れて研究の役に立たないという一つの疑問がございます。それから第二の点といたしましては、何しろどこの国だつてこういう資料はそんなに公開するということも保証されませんので、これは比較的公知公認というような点のために価値の低くなつてあるものが一般に公開されておるのではなかろうかと、こんな疑問から、これは素人の抱く疑問でありまするが、それがあるとなりますると、專門家の意見を聞かなければいけないということになりまして、学術会議等に行きまして聞きましたら、それは何といつてもドイツ自身ではもうこれは大した役に立たん、今はそれより遥かに進歩している、こういう宣伝をしているということであります。それもあろうと思います。けれども日本の目から見ますると、各研究機関が一生懸命にやつておりましても、まだその段階まで到達しないようなものもたくさんあるのであります。これを自由に見るといたしますれば、産業機関及び学術研究機関におきまして少くとも三十年の学問的進歩が得られると言つております。もとより三十年というのは例えた言葉であつて、そんなに正確に言うことはできません。それから向うで公開したのは何か目的主義であつて、つまり極く不用なものだけ公開しておるのじやないかというような、疑惑をちよつと持つたのでありまするが、これもそういう方面のわかる人に聞きますると、やはりアメリカは理想主義であつて、こういうものは世界の共通の価値に使わなければならん、こう言つた限りそれはやはりその言をふむのであつて、ここに現われて来るものは先ず尊敬すべきものが出て来る。あとに保留しておるものがよしんばあつたとしても、それは特殊なものに過ぎないであろうと、こう言つております。これは大阪方面の実業家たちは私どものほうP・Bレポートのいろいろな発表をいたしますると、それに応じて基金を集めまして、それも大した金ではございませんでしようが、これで以て向うに頼んで買おうとして折々やりかけたという話も聞きましたが、それは国会のほうでとつてくれるならば、自分たちは手を控えるということで来ておるようであります。それから民間のほうはこれに反響して参りまして、P・Bレポートを仮に十万件とこう仮定をいたしましても、十万件というものは精密な目録がなければこれは役に立ちません。というときにその目録が日本に二種来ておるのであります。一種はたつた一行ぐらいでその件名を説明しております。つまり表題だけ、中味は本当の推測で発見しなければならんという意味のインデツクスが来ております。それからもう一つは、一つ項目につきまして若干の記述をいたしまして、中味はどんなものであるかというようなことが一応わかるという、まあ五行か八行の説明で、ありまするが、そういうものが来ております。その他に民間の反響といたしまして、先ず第一に初めのインデツクスだけ、一番簡單な目録を複製しようじやないかということで、本来から言えば私のほうでやるのが本当かも知れませんが、予算関係もありまして手を出さずにおりましたところ、これは民間のほうで計画をいたしまして、今その一部分を写真製版で市場に出しております。これはまあその方面から聞くと、相当に需要があるということになりまして、これはきつと実際にも民間に使われるのではないかと考えております。それから更に精密ないろいろの目録を作るとかいう議が起つておるそうでありますが、これとても材料は実は私のほうにしかないのでありまして、きつとこれを使つてやるのじやないかと想像いたしますが、これが企業的に成立するかどうか、目録一つが五万円ぐらいかかるものでありまして、成立するかどうかわかりませんが、併し気運はそういうところに来ておるのでありまして、まあ相当これで日本の学問と経済とに影響を持つ、かように思つております。これは素人の見解と、ただ客観的な知識を集めて来たと、こういう程度のものであります。
  15. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それらの点についてなお伺いたいことがあるのですが、時間の関係もありますから、たた一つつておきたいのは、今例として申上げたのですが、議員に配付する調査の印刷を、ガリ版をやめて活版にするというお考えはないかと、でそのためにここに補正予算において節約による既定経費の減少ということをなさらないで、せめてこれだけの金でも使つて印刷を活版にするか、或いはもう少し皆さんがよくお読みになりやすいようなものにするか、或いはさつきおつしやつたような印刷屋に向つて館長自身が暮の言訳をなさるというような御苦労をかけないようにするために、こういう節約するものがあるならば、それだけの金があるならば、費目を流用するということにはできないかも知れませんが、そういうことができるのならばせめてプリントだけの事情でも改善するために充てられたらどうかと思うのですが、その点について如何でしよう。
  16. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この印刷してお配りするということは、私どもの本当に狙つておるところでありまして、その方向に持つて行くようにしたいのでありまするが、実際は少数のものを印刷いたしますると非常に金がかかるのでありまして、議員のかたに配るとか、或いは中には著作権の関係がありまして、少し危いものでございますから、それなら少数を印刷する、少数を印刷いたしますと非常に高くつきまして、そこは煩悶しております。ガリ版は誠に読みにくくて私ども嫌いでございますが、だんだんいいガリ版の機械ができまして、殆んど印刷とそんなに違わないようなものもできております。それも今考えて、新しい機械を手に入れたいと思つておりまするが、これは漸次印刷に近いもの、印刷物又は印刷に近い方向に持つて行くつもりでおります。ところで先ほど節約で五分出すということを申上げましたが、これはお説御尤もだと思つております。印刷物の不自由な時代に印刷費節約してどうするかということでございますが、これはもう役人の一つの生活経験をしておりますと、そこに止むを得ない事情がございまして、先ず世間並みに何が節約して、そうしてその金で以てほかの方向に仕事をして行く、こういう空気が起りますと、そこに非常に反抗いたしますと、あとやりにくくなりまするので、この部分は、印刷費の部分は極く僅かの額でありまするが、節約をするということなのであります。ところが実際は二百万円今年の印刷に赤字が出ておるのでありまして、そこが実際の運営の面でありまして、余り大きく言えませんけれども、結局必要な金はどこからか出すことになりまして、又それが脇のほうへ響いて行きまして、どこか予算の動きのつく限度でほかのほうが減るということになりますが、併し余り徹底した理窟を言わないで、或る程度までは世間並みにくつついて、そうして結果はなだらかにやつて行きたいというのがこの案でございまして、来るべき年次におきましては印刷費相当強く大蔵省に希望したいという考えを準備しております。
  17. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 大変時間を取つて恐縮なんですが、もう一つ小さい問題で伺いたいのは、科目の三の勤勉手当ということですが、これはこういう制度が始まることを予想して要求せられておるということですが、こういう制度が仮に始まるとして、その金を要求するという以上は、勤勉手当というものをどういうふうに出すかということについての館長の方針はおきまりになつておると思うのですが、その点について伺つておきたいと思うのです。  なお重ねて起つのはあれですから、この際申上げておきたいのですが、館長国立国会図書館職員諸君が一勿論勤勉に與えられた職務を十分に果しておられるということを常時観察しておられると思うのでありますけれども、そのためにどういうふうなことをなすつておいでになるのか、私ども館長を完全に信じ申上げて、そういうことまで伺う必要はないと思いまするけれども、併し場合によつてはそれを伺つておくことによつて、一層私どもがこの予算要求というものについて確信を持つということにもなりますので、上のほうの局長諸君に対しては、その局長諸君が来してその局長たるの任に堪えるのか堪えないのかということについては、どういうふうな観察の態度をとつておられますか。下のほうのかたまで伺うということはないと思いますが、大体局長、部長、課長という者に対しては一年に何回くらい、どういう方法でそのかたがその任に堪えるかどうか、又図書館運営委員会においてそのかたがたが、そのかたがたに寄せられておるところの期待を果しているかいないかという問題について、絶えず十分御観察になつていることと信じて少しも疑わないのでありますけれども、併しそれを我々が一層その確信を強めるために、御説明願える点があるならば御説明を願つておきたいというように思います。  それから最後に、これは大きな問題でありますけれども、この補正予算と合せて本年度予算というものは一体幾らになり、そしてそれは図書館設立以来の予算と比較してどういうふうな経過を辿つておるのか、そしてそれが大体館長の御覽になるところでは、まずまず我慢せざるを得ないという程度のものであるのか、それとも極めて健全な、毎年の予算の経過を辿つているのか、或いはすこぶる憂慮すべき状態にあると御覧になつておるのか、それを伺つて私の質疑を終ります。
  18. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 勤勉手当のことは、これはまだ生れていないことでありまして、国会において論議せられることであつて、実際こういうふうなものになりますると、国会が将来どういうことにきめられるであろうかということを、予算関係においては大よそ推測をして予算金額を盛るのでありまして、もとより予算ができたからと言つてその法律ができなければ何ともできませんので、大体の方向だけ知つてあとは国会任せということになつております。要するにこういう制度がいいか悪いかも、若し私が議員であるならば、これに対して若干の批判を持つておりますけれども、併しそれは議員たる職責と……、実行者といたしますればいろいろな要望も受けておりますから、これは通れば結構であるということで盛り込んだわけであります。  中の職員勤務の態度或いは適不適ということは、これは図書館長の責任でありまして、常時気を附けております。私どもは今ちよつと六百人、アルバイトを加えて七百人近くの人の一々のことはわかりません。それは各系統を追いまして、そのヘツドに、その部局の長に信頼をして、大体観察だけを外から下しておるのでありますが、こういう者につきまして、非常に神様の前に出ても一点の間違いのないほど確実に精勤しておるものかどうかということになりますれば、これはもう人間わざのことでありまするから、そうであるとは私言えないと思います。けれどもよそ世の中に我慢できる程度の、何と申しますか、そこに余裕をおいて考えて見ますれば、私の現在のスタツフはすべて完全に働いておるという信念を持つております。当初五年前に人を集めたときに非常に苦労をいたしまして、それがために一人の人をとるためにもかなり骨を折りまして、もとより骨を折つて得た人といえども、正直に言えば自分の気持と全く一つということは言えません。世の中は人ごとに趣きを異にしておりますから、長所短所その他を合せまして、先ずこのポストにおいてはふさわしき職責を盡しておる、こういうふうに考えております。現在のところでは何らのこれに対して私自身の立場としては特に不完全であるという考えは持つておりません。ただ更にこれから末端のほうへ行きまして、勤務その他につきまして十分であるかどうかと言えば、これは人ごとに事情は異なつております。併し今日の制度は、そういうことを嚴重に実行するということができるような制度にはなつておりませんので、人事制度というものは或る程度まで安全率と言いまするか、そこに大きな目で、長い目で人事の適正を期するようになつておりますから、それがよしんば或る考え方から見て不十分であると思いましても、制度の規定に従つてやらなければならん、誤つて採用したものは、それだけの責任をどこまでもとつて行かなければならんようになつておりますので、その中には多少の申分は起つて来ますけれども、併し一般の秩序に従つて運営をしております。  それからちよつと飛んだかも知れませんが、予算の年々の増加率について、果してこれで我慢できるかという点でありまするが、これとても同様に解せられます。ただ今までの道行は、場所も狭い、それから知識もない、実力もない、資料はそんなに一足飛びに集まるものではない、いずれも漸進的に行かなければならん、その見地から今までは漸進的に動いて来て、年々の予算も、一番初めのときは八千万円ぐらいの年額予算で出発をいたしまして、それが年に三割乃至四割くらい増加をして参りまして、今日のこの補正予算を認めない前の瞬間においては二億九千何がしになつております。約三億になつております。だからその途中は、二十六年度が二億一千四百万、本年度が二億九千一百万ということになつておりまして、先ず三、四割の増になつております。併しその増の中には物価の趨勢によつて上るものもあります。図書館の規模が大きくなるということと直接、間接の関係のないものもございまするから、表向き通りとは言えません。けれども人員の増加というものも、事実初めは数十人でできたものが、今日は本館だけでも五百人くらいになつておりまして、まあ一つ満足は得られておるような気がいたします。ところが先にも申しましたが、五年目の飛躍時代に入つて来まして、建物その他を整えて大きく出ようという段階に至つてこれでいいかといえば、やはり希望したいところはあるのであります。来年度予算にこれを計上するというところまで行つておりますけれども、これは例の力の問題になりまするので、余り大きなことも言えないと思います。
  19. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) ほかに如何でございますか。  ちよつと私が伺いたいのでございますが、今問題になりました勤勉手当のすぐ下にございます超過勤務手当でございますが、これは超過勤務に対しましてはちやんと規定されておるものはことごとく渡つておりますのでございましようか。
  20. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 超過勤務予算は、図書館は国会それ自身とは違いまして、非常に分量は少いのであります。少いけれども相当のと申しますか、予算の額は配付を受けておりまするので、それを以て超過勤務に対する支出をしておりまして、たつて勤務のほうが多くなつて予算が足らんという面もございましたけれども、併しそれとてもあとでいろいろな工作をいたしまして、そこに不平の種、つまり超過勤務をしたけれども、超過勤務の金はもらわなかつたということは現在のところ少しもございません。ここに挙げました超過勤務予算は、いわばこの俸給が上りましたために、自然その響きがこの超過勤務の額に影響して来まして、それをここに計上しておるわけでございます。
  21. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) その次にございますこの職員旅費が修正減少額のほうで十七万円ばかり計上されておりますが、これは如何でございますか、減少されて賄えるのでございますか。
  22. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これはまあこういうものは減していいという理窟が若し立ちますならば、要求したときに嘘をついたということになりまして、私どもは非常に困るのでございますが、まあ止むを得ないからして、背に腹は替えられないから我慢をすると、こういう程度のものであります。併しまあこう客観的に眺めまして、旅費というものは彈力性のあるものでございまして、今年は我慢をして、来年に入つてその目的を果すということもできましようから、何とかしてうまく一割天引に応じて行こうと覚悟をしておるわけであります。
  23. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) ほかに御質疑はございませんでしようか……別に御質疑がございませんならば、本件の取扱いについて御協議を願いたいと思います。ちよつと速度をとめて下さい。    〔速記中止〕
  24. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) それでは速記をとつて頂きます。何か今の取扱いにつきまして御意見はございませんでしようか。
  25. 徳川宗敬

    徳川宗敬君 この補正予算につきましては、只今質疑応答がありましたが、まあこれはこの程度で我々も承認したいと思いますけれども、ただ我々の希望としましては、昭和二十八年度の本予算につきまして図書館当局としては、図書館創設以来の御経験に鑑みまして、図書館の事業が漸く軌道に乘つて来たのであります。今後一体どういう方向に向つて重点的に発展せしむべきかということを十分御研究になつて、そうして少い予算のことでありますから、重点的にどういうような仕事に向つて主力を注ぐかということを十分御研究の上、予算面にそれが現われるような御計画を願いたいと思うのであります。例を挙げて申上げますと、図書の未整理のものが非常にたくさんある。これは前からの問題でありますけれども、これは図書館事業として、これを整理しなければ、図書館本来の使命が達成できないのです。この調査立法という面から見ましても、図書館が独自の資料を以て立法調査に当るためには、どうしても今持つておる図書の整理を完全に一日も早くするということが、これは焦眉の急である。そういう点も御考慮願いたいと思いますし、又やはり立法調査に関することでありますけれども議員要求に対していろいろ調査をするのに、その連絡が、やはり先ほど羽仁先生からお話のあつたように非常に悪いところがある。ほかの常任委員会には專門員がありまして、そうして非常にその間の連絡をとつておりますけれども、この図書館運営委員会は、そういう專門員の制度もありませんので、そういう点で議員図書館との連絡というものが決して十分ではないというふうに思われる点もないではないのであります。そういうような例を挙げますと、たくさんあると思いますけれども、先ほど申上げましたような意味で、今後の国会図書館の発展に何を重点的に取扱うべきかということを二十八年度予算には十分盛り込んで頂きたい、こういう希望を附しまして、私はこの補正予算に対して賛成の意を表するものであります。
  26. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) それでは昭和二十七年度国立国会図書館予算補正要求書に関しましては、勧告を附さないで議長に送付することに御異議はございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) それでは御異議ないと認めます。   —————————————
  28. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 次に昭和二十八年度予算につきましては懇談会において金森館長から御説明を聞きたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) それではこれより懇談会に入ります。    午後三時十八分懇談会に移る    —————・—————    午後四時十六分懇談会を終る
  30. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) これにて懇談会を閉じます。  只今の懇談中に、参議院のこの委員会といたしましては、国立国会図書館の本建築については、その促進方を強力に推進するという申合せをいたされましたので、これを記録にとどめます。  本日は、これを以て散会いたします。    午後四時十七分散会