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国立国会図書館長(
金森徳次郎君) それはございます。それは
資料がないからと
言つてお話申上げて、それで御了解を得たということはございますけれ
ども、ただそれは余り名誉なことでもございませんので、そうはつきり言える
程度にたくさんはないと思いますが、そういう点は
資料の收集を專ら目がけて来ておるわけであります。それから印刷のほうは、これは
程度問題で、私
どもが貧乏だからということは口実になり得ませんけれ
ども、実際個個のこの
印刷費をほかのほうで食われてしま
つて、いつも赤字を出して、
年度末に至
つてほかのものからどうしてこれを解決するか、ひどい場合は私もかすかにしかわかりませんけれ
ども、印刷業者との間に多少のこちらが申訳をするような場面もあるように聞いておりますが、これは結局
金額の問題でありまして、あらゆる
節約をしながらもなお成るたけサービスをするという、こういう段階でございます。
それから
資料のないものについてどうするかというような点でございまするが、これはもう極力集めなければならんので、大分手も揃
つて来ましたので、集める方法をと
つておりまするが、現在内部の
資料につきまして只でもら
つて来れるような書類は、十分
自分の足で以て国内のものは集めておりますが、
外国のものになりますと、交換でもらうとか、寄贈でもらうとかということがありまして、
お答えのできないような場面が起れば、できるだけその方面の
資料は集めておりますが、併しこれは系統的に集めなければいつでも役に立つというわけには行かないものでありまして、その点はまだヨーロツパとの
関係は今日道順が甚だ不十分でありまして、ただ交換を申込んで向うから書類をもらうという
程度であります。それから買えるものにつきましては先ほどの第四の点になりまするか、つまりほかの各
機能との間に何か不完全なところはないかというお話でありましたが、現在のところその間に
考え方から来るもつれはございません。これは実際から申しますればいろいろ早い遅いという議論はあるかも知れません。折角頼んでも早く本を取
つてくれないというような噂なんかを出す面がないとは言えませんけれ
ども、
現実には大
よそ物を買う
予算を大体観察して、
調立で使うものはこれだけというふうに分けまして、その分けた分につきましては、本を選択いたしまする権能は主として
調立の人に任して置く、それで
要求すれば、
予算のある間は他の部局は決して苦情を言わない、ところがだんだんそれが殖えて来まして、遂にそこに割当てられた
予算を超えるということになりまして、この超えるものはやはり必要でありまするから、他の部局に讓歩してもら
つて、そこの一応の割当を何とか話をつけて
調立の川に供するということは、これは現にや
つておるのでありまして、従いまして、
調立に食われる、俗つぽい
言葉で言えばそういうことはございましたけれ
ども、
調立の不利益において
予算の配分を変えるということはや
つておりません。ただいずれにいたしましても規模の雄大ということを伴わなければなりませんので、私
どもが本当の建物を持つというところの
一つの着想もそこにあるわけであります。私
どもよく見ておりまして、
外国の
資料が非常にうまく事実上整理してありまして、事実上というのは帳面の上で整理するのでなくて、列べ方の上によく注意がしてありまして、そこをただ歩いて見れば、おのずから
自分の必要なものが眼につく、それを利用すれば非常に効果が挙るという実例を見ておりまするので、そういうふうにしたいという気持を持
つております。
それからP
Bリポートとこの
調立との
関係のバランスということを仰せになりましたが、P・
Bリポートは
調立專用の
調査ではございませんし、大体から言えば
調立よりも縁の遠いほうに位するものであ
つて、
一般国民にサービスするという面のものだろうと思います。けれ
どもそうばかりもございませんで、例えば特許局とかいうような、或いは通産省というようなものにも非常に
関係がございますし、或いは又各国立大学等のほうからも非常にお話がございまするが、これは今度買いまするのは約十万点買うということにな
つております。併し向うのカタログによりますと十五万点ぐらいあるらしいのでありまして、その中に分類の
関係上重複しておるものもございまするから、正味どのくらいあるかわかりませんが、今日
一般に開放せられておるものが約十万余であるというふうに思われます。これが
日本へ入
つて来ましたときに如何に使われるかということになりますると、これは学問の問題であり産業の問題でありまして、私
ども素人の眼からこれを非常に明確に
答えることはできません。先ず私
どもといたしましては、各官庁の
希望、それから民間の丁度まあそれにぶつかつたような、局部的ではありまするけれ
ども、実業家の見解を質し、そして更に学術会議へ参りまして、学術会議の
意見を質したいのであります。そうすると疑惑といたしまして、マイナスになるような疑惑も
一つ二つは出て来るかと思います。と申しまするのは、何しろこれが
アメリカの手に入つたのは今から六、七年前のものでありまして、ドイツ、オーストリアといえ
どもその後に
相当の進歩をしておるものがあり、折角これを買いましても、時期が遅れて研究の役に立たないという
一つの疑問がございます。それから第二の点といたしましては、何しろどこの国だ
つてこういう
資料はそんなに公開するということも保証されませんので、これは比較的公知公認というような点のために価値の低くな
つてあるものが
一般に公開されておるのではなかろうかと、こんな疑問から、これは素人の抱く疑問でありまするが、それがあるとなりますると、專門家の
意見を聞かなければいけないということになりまして、学術会議等に行きまして聞きましたら、それは何とい
つてもドイツ
自身ではもうこれは大した役に立たん、今はそれより遥かに進歩している、こういう宣伝をしているということであります。それもあろうと思います。けれ
ども日本の目から見ますると、各研究
機関が一生懸命にや
つておりましても、まだその段階まで到達しないようなものもたくさんあるのであります。これを自由に見るといたしますれば、産業
機関及び学術研究
機関におきまして少くとも三十年の学問的進歩が得られると
言つております。もとより三十年というのは例えた
言葉であ
つて、そんなに正確に言うことはできません。それから向うで公開したのは何か目的主義であ
つて、つまり極く不用なものだけ公開しておるのじやないかというような、疑惑をちよつと持つたのでありまするが、これもそういう方面のわかる人に聞きますると、やはり
アメリカは理想主義であ
つて、こういうものは世界の共通の価値に使わなければならん、こう言つた限りそれはやはりその言をふむのであ
つて、ここに現われて来るものは先ず尊敬すべきものが出て来る。
あとに保留しておるものがよしんばあつたとしても、それは特殊なものに過ぎないであろうと、こう
言つております。これは大阪方面の実業家たちは私
どものほうP・Bレポートのいろいろな発表をいたしますると、それに応じて基金を集めまして、それも大した金ではございませんでしようが、これで以て向うに頼んで買おうとして折々やりかけたという話も聞きましたが、それは国会のほうでと
つてくれるならば、
自分たちは手を控えるということで来ておるようであります。それから民間のほうはこれに反響して参りまして、P・Bレポートを仮に十万件とこう仮定をいたしましても、十万件というものは精密な目録がなければこれは役に立ちません。というときにその目録が
日本に二種来ておるのであります。一種はたつた一行ぐらいでその件名を
説明しております。つまり表題だけ、中味は本当の推測で発見しなければならんという
意味のインデツクスが来ております。それからもう
一つは、
一つの
項目につきまして若干の記述をいたしまして、中味はどんなものであるかというようなことが一応わかるという、まあ五行か八行の
説明で、ありまするが、そういうものが来ております。その他に民間の反響といたしまして、先ず第一に初めのインデツクスだけ、一番
簡單な目録を複製しようじやないかということで、本来から言えば私のほうでやるのが本当かも知れませんが、
予算の
関係もありまして手を出さずにおりましたところ、これは民間のほうで
計画をいたしまして、今その一部分を写真製版で市場に出しております。これはまあその方面から聞くと、
相当に需要があるということになりまして、これはきつと実際にも民間に使われるのではないかと
考えております。それから更に精密ないろいろの目録を作るとかいう議が起
つておるそうでありますが、これとても
材料は実は私のほうにしかないのでありまして、きつとこれを使
つてやるのじやないかと想像いたしますが、これが企業的に成立するかどうか、目録
一つが五万円ぐらいかかるものでありまして、成立するかどうかわかりませんが、併し気運はそういうところに来ておるのでありまして、まあ
相当これで
日本の学問と経済とに影響を持つ、かように思
つております。これは素人の見解と、ただ客観的な知識を集めて来たと、こういう
程度のものであります。