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1953-02-25 第15回国会 衆議院 本会議 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十五日(水曜日)  議事日程 第三十一号     午後一時開議  一 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案内閣提出)の趣旨説明     —————————————  第一 海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案關谷勝利君外九名提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  議員本間俊一君を懲罰委員会に付するの動議並木芳雄君外十四名提出)  国会法第五十六条の三による予算委員長中間報告を求むるの動議井出一太郎提出)     午後四時十七分開議
  2. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 並木芳雄君外十四名より、成規賛成を得て、議員本間俊一君を懲罰委員会に付するの動議提出されております。右動議議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。並木芳雄君。     〔並木芳雄登壇
  4. 並木芳雄

    並木芳雄君 私は、ただいま上程されました本間俊一議員懲罰動議に対する趣旨弁明を、野党各派を代表していたしたいと思います。(拍手)  民主政治暴力を否定することは、鉄則中の鉄則であります。いやしくも議院内に暴力行為が行われました際は、政党政派を超越してこれに対処することが、民主政治を擁護せんとするものの当然の行為でなければなりません。(拍手)  一昨二十三日夜八時五十分、予算委員会において、その審議中、突如として予算委員にあらざる本間議員酒気を帯びて侵入し、中曽根委員に対し暴言を浴びせ、ネクタイをつかみ、あげくのはてに首を締め上げたのであります。(拍手)ために、中曽根議員の呼吸は苦しくなりました。(笑声拍手)気絶しようとしたのであります。その時間は、まさに一分間になんなんとしたのであります。中曽根は歯を食いしばつた。彼とても、かつては警視庁の監察官でありました。自衛力の心得があるのであります。しかしながら、彼は歯を食いしばつて、がまんをしたのであります。しかるに、一方、本間議員柔道の大家であります。最近、岡野文部大臣柔道を奨励するという言葉にそそのかされて、彼は腕前をこの国会でためそうとしたのであります。(笑声拍手)  かくのごとき驚くべき事態が起つたのであります。実に、新憲法下議会において、いまだかつて見ざる不祥事でございます。(拍手)もつとも、殴打事件のごときものはなかつたわけではありませんが、正式に取上げるところまでは行つておりませんでした。この種の事件を不問に付するがごときは、民主政治を擁護するゆえんにあらざるのみならず、民主政治に携わる者の自殺行為と言わなければならないのであります。(拍手、「野党の方はどうだ」と呼ぶ者あり)われわれは、人から殺されるのもいやですし、自殺をするのも、まつぴらごめんでございます。かかる明白なる事実であります以上、太田予算委員長は、ただちに、国会法第百二十一条並びに衆議院規則七十五条によつて議長に対しこの事実を報告し、処置を求めなければならないのにかかわらず、この法文によらず、単なる報告をなしたにすぎなかつたことは、まことに遺憾のきわみでございます。(拍手)  また、右報告を受けた岩本議長は、ただちに議長と諮つて、その職権において、予算委員会における暴行の事実を調査しなければならないのであります。正しく、かつ公平に調査をいたしますれば、この事案は一目瞭然になるのでございます。かくて、議長は、その職権において本間議員懲罰に付すべきであるにもかかわらず、岩本議長は、昨日の議院運営委員会の発言中、太田委員長から口頭による報告を受けておりながら、越権にも、ただ単に本間議員には戒告を与えたと報告しているだけであります、しかしながら、この戒告を与えたこと自体が、本間議員行つた暴行懲罰事犯に該当するものであるという認定をした証拠になるのであります。(拍手)もしそうでないならば、いかなる資格をもつて本間議員戒告したか、こういう問題がここに残つておるのでございます。さすがに、大野議長は、これが解決に一応の熱意を示しました。しかしながら、与党の反撃にあつて遂に手を引くに至つたことは、これまたまことに遺憾とするところであります。  かくなりました以上、私どもは、野党各派こぞつて、ここに正式に本動議提出せざるを得ざるに至つた次第であります。(拍手)  思えば、本間議員は、進歩党民主党時代の私の同志であります。この古い同志に対し懲罰動議趣旨弁明をしなければならないということは、私情において忍びがたいところであります。しかしながら、一方、愛する他の同志暴力を受けておることを、私どもは見殺しにするわけには行かないのであります。(拍手民主政治の確立のためには、かくのごとき、いばらの道もあろうかと思うのであります。私にとつては、まさに義を見てせざるは勇なきなりの感がいたすのであります。(拍手国会内において暴力取締ることができないならば、どうして国会外における暴力取締ることができましようか。(拍手)  何とぞ、民主議会権威秩序保持のために、党派的感情に支配されず、満場一致本動議に同意せられんことをこいねがいまして、私の弁明を終りたいと思うのであります。(拍手
  5. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 懲罰動議討論を用いずして採決をいたすのであります。ただちに採決いたします。この採決記名投票をもつて行います。並木芳雄君外十四名提出議員本間俊一君を懲罰委員会に付するの動議賛成諸君白票反対諸君青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名点呼〕     〔各員投票
  6. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  7. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百五十九    可とする者(白票)  百六十五     〔拍手〕    否とする者(青票)  百九十四     〔拍手
  8. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 右の結果、並木芳雄君外十四名提出動議は否決せられました。(拍手)     —————————————     〔参照〕   並木芳雄君外十四名提出議員本間俊一君を懲罰委員会に付するの動議を可とする議員氏名     秋田 大助君  荒木萬壽夫君     有田 喜一君  安東 義良君     井出一太郎君  石坂  繁君     石田 一松君  五十嵐吉藏君    生悦住貞太郎君  宇田 耕一君     臼井 莊一君  小川 半次君     大麻 唯男君  加藤 高藏君     金子與重郎君  川崎 秀二君     菅  太郎君  菅野和太郎君     北村徳太郎君  清瀬 一郎君     楠山義太郎君  栗田 英男君     小泉 純也君  小島 徹三君     小畑虎之助君  河野 金昇君     後藤 義隆君  笹森 順造君     椎熊 三郎君  白浜 仁吉君     鈴木 正吾君  園田  直君     田中 久雄君  高岡 大輔君     高倉 定助君  高瀬  傳君     高橋 長治君  高橋 禎一君     武部 英治君  竹山祐太郎君     舘林三喜男君  千葉 三郎君     床次 徳二君  内藤 友明君     中曽根康弘君  中野 四郎君     中村庸一郎君  長井  源君     並木 芳雄君  楢橋  渡君     長谷川四郎君  早川  崇君     平川 篤雄君  廣瀬 正雄君     古井 喜實君  町村 金五君     松浦周太郎君  松野 孝一君     松本 瀧藏君  三浦 一雄君     三木 武夫君  宮澤 胤勇君     粟山  博君  柳原 三郎君     山下 春江君  山手 滿男君     山本 粂吉君  吉川 大介君   早稻田柳右エ門君  淺沼稻次郎君     井伊 誠一君  石井 繁丸君     受田 新吉君  大矢 省三君     岡部 周治君  甲斐 政治君     加藤 勘十君  春日 一幸君     川島 金次君  川俣 清音君     河上丈太郎君  菊地養之輔君     木下  郁君  河野  密君     杉山元治郎君  鈴木 義男君     田万 廣文君  辻  文雄君     堤 ツルヨ君  戸叶 里子君     土井 直作君  冨吉 榮二君     中崎  敏君  中澤 茂一君     中村 高一君  西尾 末廣君     西村 榮一君  日野 吉夫君     平岡忠次郎君  平野 力三君     細野三千雄君  前田榮之助君     前田 種男君  松井 政吉君     松尾トシ子君  松岡 駒吉君     松前 重義君  松本 七郎君     三宅 正一君  三輪 壽荘君     門司  亮君  矢尾喜三郎君     山下 榮二君  吉川 兼光君     吉田 賢一君  吉田  正君     足鹿  覺君  阿部 五郎君     青野 武一君  赤路 友藏君     赤松  勇君  伊藤 好道君     井手 以誠君  稻村 順三君     加賀田 進君  加藤 清二君     勝間田清一君  上林與市郎君     木原津與志君  久保田鶴松君     佐々木更三君  佐藤觀次郎君     坂本 泰良君  志村 茂治君     島上善五郎君  下川儀太郎君     鈴木茂三郎君  多賀谷真稔君     田中織之進君  田中 稔男君     辻原 弘市君  永井勝次郎君     成田 知巳君  西村 力弥君     長谷川 保君  原   茂君     原   彪君  帆足  計君     正木  清君  松原喜之次君     武藤運十郎君  八木 一男君     柳田 秀一君  山口丈太郎君     山崎 始男君  山田 長司君     山中日露史君  山花 秀雄君     山本 幸一君  横路 節雄君     和田 博雄君  渡辺 惣蔵君     館  俊三君  川村 継義君     辻  政信君   否とする議員氏名     阿左美廣治君  阿部 千一君     相川 勝六君  逢澤  寛君     青柳 一郎君  赤城 宗徳君     秋山 利恭君  淺香 忠雄君     淺利 三朗君  麻生太賀吉君     新井 京太君  荒舩清十郎君     有田 二郎君  安藤 正純君     伊藤 郷一君  伊能繁次郎君     飯塚 定輔君  池田  清君     池田 勇人君  犬養  健君     今松 治郎君  今村 忠助君     岩川 與助君  岩本 信行君     宇田  恒君  宇都宮徳馬君     上塚  司君  植木庚子郎君     内田 常雄君  内海 安吉君     江崎 真澄君  江藤 夏雄君     遠藤 三郎君 小笠原八十美君    小笠原三九郎君  小澤佐重喜君     緒方 竹虎君  尾崎 末吉君     越智  茂君  大泉 寛三君     大倉 三郎君  大島 秀一君     太田 正孝君  大西 禎夫君     大野 市郎君  大橋 武夫君     大平 正芳君  大村 清一君     岡崎 勝男君  岡田 五郎君     岡田 忠彦君  岡野 清豪君     岡本  茂君  奧村又十郎君     押谷 富三君  加藤 精三君     加藤 宗平君 甲斐中文治郎君     河原田稼吉君  勝俣  稔君     川村善八郎君  川野 芳滿君     菅家 喜六君  木村 公平君     木村 武雄君  木村 文男君     北 れい吉君  熊谷 憲一君     黒金 泰美君  小金 義照君     小坂善太郎君  小平 久雄君     小西 寅松君  小林 絹治君     木暮武太夫君  近藤 鶴代君     佐々木秀世君  佐治 誠吉君     佐藤 榮作君  佐藤善一郎君     佐藤虎次郎君  佐藤洋之助君     坂田 英一君  迫水 久常君     重政 誠之君  篠田 弘作君     島村 一郎君  首藤 新八君     周東 英雄君  薄田 美朝君     鈴木 善幸君  鈴木 直人君     砂田 重政君  砂原  格君     關谷 勝利君  田口長治郎君     田子 一民君  田嶋 好文君     田中伊三次君  田中 萬逸君     高木吉之助君  高木 松吉君     高橋 英吉君  高見 三郎君     谷川  昇君  玉置 信一君     中馬 辰猪君  塚田十一郎君     塚原 俊郎君  辻  寛二君     綱島 正興君  坪川 信三君     戸塚九一郎君  束郷  實君     徳安 實藏君  富田 健治君     中  助松君  中井 一夫君     中田 政美君  中峠 國夫君     中村 梅吉君  中村 幸八君     中山 マサ君  仲川房次郎君     永田 良吉君  永野  護君     長野 長廣君  灘尾 弘吉君     南條 徳男君  丹羽喬四郎君     西川 貞一君  西村 英一君     西村 茂生君  西村 直己君     貫井 清憲君  根本龍太郎君     野澤 清人君  野原 正勝君     羽田武嗣郎君 橋本登美三郎君     橋本 龍伍君  濱田 幸雄君     濱地 文平君  林  讓治君     原 健三郎君  馬場 元治君     日高 忠男君  平井 義一君     平塚常次郎君  平野 三郎君     福井  勇君  福井 順一君     福井 盛太君  福田  一君     福永 健司君  船田  中君     古島 義英君  保利  茂君     星島 二郎君  本多 市郎君     本間 俊一君  前尾繁三郎君     前田 正男君  牧野 良三君     益谷 秀次君  松浦 東介君     松岡 俊三君  松岡 松平君     松田竹千代君  松永  東君     松野 頼三君  松山 義雄君     三池  信君  三和 精一君     水田三喜男君  水谷  昇君     南  好雄君  宮幡  靖君     明禮輝三郎君  村上  勇君     持永 義夫君  森 幸太郎君     森   清君  森下 國雄君    山口喜久一郎君  山崎 岩男君     山崎  巖君  山田 彌一君     山本 正一君  雪澤千代治君     横川 重次君  吉江 勝保君     吉武 惠市君  亘  四郎君      ————◇—————
  9. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 小坂善太郎君外一名提出懲罰動議は、提出者から撤回の申出がありました。よつて右動議は撤回されました。      ————◇—————
  10. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 井出一太郎君から、国会法第五十六条の三による予算委員長中間報告を求むるの動議提出されております。この際右動議議題といたします。その趣旨弁明を許します。井出一太郎君。     〔井出一太郎登壇
  11. 井出一太郎

    井出一太郎君 私は、野党各派を代表いたしまして、ただいま議題と相なつておりまする国会法第五十六条の三による予算委員長中間報告を求むるの動議に関し、その趣旨弁明いたしたいと考えます。(拍手)  昭和二十八年度総予算は、独立後最初の自主的予算でありまして、占領から解放された新日本進路を示すべき画期的な予算であります。しかも、本国会においては、本予算案と表裏一体でありまする幾多重要法案提出せられようとしており、予算案との関連において並行的に審議せられる必要があるのでございます。従いまして、その取扱いにあたりましては、あくまで慎重審議、十分にその論議を尽さなければならないことは言うまでもございません。かかる見地から、二月四日以来、全国民注視のうちに予算委員会は開かれ来つておるのでございます。当初理事会を開き、とりあえず一般質問には五十時間を割当てる、こういうとりきめがせられました。さらに、重要法案提出をまつて、これに関連した諸問題には別途審議の時間を考慮する、こういう申合せの上に審議は開始せられておつたのであります。  この間の審議を通じて、幾多の問題が解明せられたのでありまするが、政府当局の不用意と無準備とは至るところに露呈せられました。大蔵大臣は答弁に窮して立往生いたすというがごとき醜態も現出いたしました。(拍手)これに対しては、太田委員長みずからが助け舟を出すというよりも事態もしばしばあつたのでございます。一国財政の骨組みを構成する予算と、この予算を規定する実体法とが相並行せざるところに最大の難点があつたのでございます。現在に及んでも、まだ恩給法は出ていない、警察法またしかり、独禁法の修正案またしかりでございまして、政府の怠慢はまつたく言語道断でございます。(拍手)われわれは、ただ一片の要綱を示されたのみでありまして、法律案の全貌を知ることなしに審議を続けることを余儀なくせられました。しかも、野党の場合におきましては、夜間深更に及ぶまで審議を続けて、うむところを知らず、野党側の協力はまことに涙ぐましいものがあつたのでございます。(拍手)  しかるに、先刻懲罰事犯に問われましたるごとく、一昨二十三日夜は、本間俊一議員のごとき、酒気を帯びて委員会に闖入して暴力を振うがごとき行為もございまして、予算審議の前途に一大暗影を投ずるに至つたのであります。(拍手)われわれは、なおも忍びがたきを忍んで審議の継続に応じまして、委員会本来の任務に精励をいたして参つたのであります。しかるに、昨二十四日に至りまするや、わが党北村徳太郎委員質問の終るや、間髪を入れず、与党側一般質問打切りの方針に出で、委員長またこれを取上げて、一方的打切りを宣言せられました。当初約束審議時間は、まだ四十数時間を使つたのみであつて、なお数時間を余しておるのでございます。練達堪能でありまする太田委員長にして、なおかつこの挙に出で、ただすべき幾多の疑点を残したるまま、本日より分科会に入るに至つたことは、まことに遺憾千万でございます。(拍手)一体、何ゆえにかかる暴挙に出でたるかは、太田予算委員長の平生を知る私といたしましては、まつたく理解に苦しむところでございます。(拍手)静かに顧みるときに、太田正孝氏の議員生活における一大汚点なりと言わざるを得ないのであります。(拍手)  われわれは、さきに、審議の参考に供するため、いろいろな資料の要求をいたしてあります。たとえば、義務教育関係費府県別配付表のごとき、防衛関係費用契約別明細表のごとき、これらはいまだ委員会には提出されておりません。また、重要法案にして予算に関係ある諸法案が未提出でありますることは、先ほど申し述べた通りでございます。われわれは、ここにおいて、太田委員長から予算審議に関する中間報告を求めまして、さらにただすべき点を大いにただし、もつて予算審議の完璧を期したいと考えるものでございます。(拍手)私は、太田委員長の良識を信頼するものであり、自由党という名の政党の名誉を惜しむものであります。願わくは、独立日本進路を決する昭和二十八年度予算審議をして有終の美をなさしめるために、委員長におかれましては、勇を奮つて、本会議場を通じ、従来の審議経過を明らかにし、もつて国民の期待にこたえられまするよう、国会法第五十六条に従つて委員長中間報告を求むるものであります。  以上をもつて私の趣旨弁明を終ります。(拍手
  12. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 討論の通告があります。順次これを許します。菅家喜六君。     〔菅家喜六登壇
  13. 菅家喜六

    菅家喜六君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま上程になりました井出提出動議反対するものであります。(拍手)  まず、本動議が、国会法第五十六条の三に基くものであるということでございますが、本条立法の趣意を明らかにすることが第一に必要であると考えるのであります。この点につきましては、先刻の議院運営委員会において、同僚の武知君からも述べられたところでありますが、本条は、第一国会における臨時石炭鉱業管理法案審議経緯にかんがみまして、第二国会において改正挿入された条文であります。その当時の議院運営委員長でありました淺沼稻次郎君の提出理由説明速記録を見ましても明らかなるごとく、本条は、中間報告を求めた事件について、議院委員会審議に期限をつけ、またそのいとまのないと思つたとき、本会議において、ただちにこれを審議する道を開くために設けたのであります、と述べておるのでございます。(拍手)はたしてしかりとすれば、今回本条による中間報告を求められるならば、特に条文に明らかに明記しておりまするごとく、客観的必要性というものが示されなければなりません。(拍手)  先ほど提出者の御説明を承りますと、予算委員会における昨晩質問打切り約束の時間をたがえているということを申し述べております。これは、天下周知のごとく、予算委員会における経緯をごらんになつ諸君は、いかに野党諸君議事の引延ばしのために連日尽されたかということは明らかでございます。(拍手約束の時間などというものはないのであります。これは当然なる成規の手続によるところの予算委員会運営でございます。先ほど、運営委員会において、権能君は、予算委員会審議をあるいは延長するということを主張するかもしれないと述べられました。これはまことに暴論でございます。委員会審査期間を延長するためならば、かえつて中間報告を求めない方がよろしいのであります。(拍手)この反対に、中間報告を求めて議事を延引しようという作戦にほかならないのでございます。(拍手国会法第五十六条におけるこの条文というものは、審議が長引いたときに初めて発動さるべき条文でございまして、これを長引かせるためにこの条文を適用するというような暴論には、私どもは断じて反対いたすものでございます。(拍手)しかも、昨晩光景——もし懲罰事犯によるところのものを中間報告せよというならば、先ほどの本議場において、この問題はすでに決定を見たのでございます。鎧袖一触、多数をもつてかくのごとき動議はとることができないということに決定をいたしたのであります。  かく考えて参りますと、この五十六条によるところの提案というものは、ただ議事の遷延をするというのにほかならないのでございます。しかも、よく考えてみますと、この条文説明は、諸君よく了承の上で出しておる。わかつてつても、なおかつこの動議を出さなければならなかつた理由は、不意打ちに昨晩質問打切りをされてしまつた、こぶしの上げどころがなくなつてしまつたので、せめてこの条文によつてその埋め合せをしようという提案にほかならないと私は思うのでございます。  私どもは、以上の理由によりまして、国会運営に信頼と権威を持たせるために、第一点としては、立法趣旨から見てこれに反対である。第二点は、条文の適用の上から見てこれに反対である。第三点は、すでに中間報告緊急必要性を失つておるものであるという観点から、本動議反対いたすものであります。(拍手
  14. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 椎熊三郎君。     〔椎熊三郎登壇
  15. 椎熊三郎

    椎熊三郎君 ただいまの案件につきまして、私は何も討論を希望しておつたのではなかつたのですが、菅家君がわざわざ私の氏名さしましたので、一身上の弁明をも兼ねて、いささか諸君の耳ざわりの悪いところを一席弁じたいと思います。(拍手)たいへん絶好のチャンスを与えられまして、菅家君には感謝する。  さて、先般来の予算委員会の状況を見ますときに、実に醜態続出ではないか。多数を頼んで、その多数といえども原子爆弾を抱いたる民同派などというものをかかえつつ、氷の上を踏むような、たつた四名の多数をもつて、あの暴挙をあえてせんとする諸君の行動は、実に非民主的であると私は思う。(拍手)たとえば、昨夜の一般質疑打切りにいたしましても、長年にわたる予算委員会における慣例を無視し、蹂躙し、野党側の持時間を無視いたしまして、間隙に乗じて、多数をもつて討論打切りを敢行しておる。よつてつてこの重大なる予算に慎重な審議を与えなかつたということは、天下明白な事実であります。(拍手)なお、この予算に重大責任を持つ向井大蔵大臣のごときは、重大なる論点に立つて、一つとして満足なる答弁を与えられない。(拍手)その無責任なる態度は、われわれ国会議員として断固これを許すことはできない。(拍手)あまつさえ、それでも足らずして、本間俊一君をもつて、泥酔の余り、酒に事寄せて、委員にもあらず……。(発言する者多し)よく聞きなさい。予算委員でも何でもない者が、予算委員会委員長の席に迫つて委員長の眼前において同僚議員の首を絞めるがごとき暴力行為をしておる。(拍手)  そういうことになると、われわれ一般議員は、予算審議の内容に疑問を持つのです。審議の経過について、われわれは疑いを持ちます。それでは国民に対して相済まぬ。よつてつて太田君の出席を求めて中間報告を要求することは、国会法の精神にちやんと明らかになつておる。何が違法であるか。菅家君は条文をよく御勉強なさい。武知君のごときも、この条文は旧憲法時代にも存在したということを明言しておる。ところが、武知君は、この条文の解釈は、議事促進のためにのみ設けられたという狭義な解釈をしておるだけだ。われわれは、期限を付せというならば期限を付すであろう。諸君といえども予算案は三月二日に上げたいと言つたではないか。われわれは、三月七日という期限を持つておるのです。期限を付してもらいたいというなら、期限をただちにつけますぞ。そういう必要はないから、太田君の出席を本会議場に求めておるのであります。  私は、かような事理明白な事実でこの席上で論争することなどは避けたいと思つたが、あえて私の感情を刺激して、わざわざこの演壇にひつばり出すに至つては、断固私は責任をもつてこの動議の成立のために一言せざるを得ないのであります。(拍手)  なお、予算委員会における暴力事件のいきさつにしても、実は本会議場で明らかになつておりません。あの予算委員会における暴力事件は、中曽根君の処分請求が原因となつて委員長議長報告したのであります。その報告書の中には、中曽根君の処分請求書がついておる。従つて、この報告は、国会法の規定するところの処分の要求であることは明白なのです。それにもかかわらず、委員長は、わざわざ処分の要求にあらずということを付言して報告しておる。(「その件は否決されたじやないか」と呼ぶ者あり)そこで、懲罰の問題でも、諸君は同僚暴行議員を理不尽にもかばつて、前の懲罰動議を否決はしておるが、なぜわれわれの同僚の懲罰動議を出しておきながら撤回したのか。(「かんべんしてやつたんだ」と呼ぶ者あり)そこが諸君の卑怯なところだ。暴力議員懲罰に付さずして、暴力を受けた者を懲罰しようというそのことは、諸君の良心の許さぬところであります。(拍手諸君にも一片の良心のあつたことを、私は国会のために喜ぶ。(笑声)しかしながら……。
  16. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 椎熊君に申し上げます。なるべく簡潔にお願いいたします。
  17. 椎熊三郎

    椎熊三郎君(続) よけいなことをするから、こういうことになるのだ。黙つておれば、私は黙つてつたのだ。菅家君が刺激するからだ。  そこで、議長の注意もありますから、いいかげんにいたしますけれども諸君は、そんなふまじめな態度で、わずかばかりの多数を頼んで暴力行為をするなら、民主主義政治の根本が破壊されます。(拍手)今にして反省するところなくんば、日本の再建復興というものを期待することはできない。どうか諸君は、ただいま提出せられました動議の内容をよく御検討の上、諸君とともに、賛成して、太田委員長の出席を要求しようではありませんか。  私の賛成意見は以上でございます。(拍手
  18. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 石井繁丸君。     〔石井繁丸登壇
  19. 石井繁丸

    ○石井繁丸君 ただいま提案されました予算委員長中間報告要求の動議に対しまして、日本社会党を代表して賛成討論をいたすものであります。  ただいま菅家喜六君は、国会法五十六条に基いて、かような要求は不当である、こういうことを申されたのでありますが、一点この点について申し上げますると、大体におきまして、国会において長く審議が続けられ、あるいは重要なる案件については、一応中間報告等をいたしまして、国会全員にこれを知らしめ、あるいは国民にこれを知らしめるということは、民主政治の原理であります。従来におきましても、不当財産取引委員会あるいはその他、長い間、かかる重要なる案件については、再々中間報告等がいたされまして、そうして議員全員、国民にこれを訴えて了承を願つたのであります。中間報告を要求されるということでなく、重大なる問題であり、長きにわたつたる案件においては、進んで中間において報告をするということが民主政治のルールであるということを御了承願いたいと思うのであります。(拍手)  私は、以下三点にわたりまして、本提案賛成をいたすものでありますが、まず第一点においては、なぜ一般質問が打切られたかという点について中間報告の必要があると思うものである。御承知の通り、最近新聞におきましては、予算委員会、あるいはその他重要なる国会委員会審議を尊重いたしまして、練達な新聞記者を派遣いたしまして、これを新聞に詳細に報告いたし、あるいはラヂオ等においてこれを報道いたしておるのであります。これによりまして、国民政治に対する関心が高まり、あるいは予算に対する内容を熟知いたし、そうして政治が民衆のものになるという、かようなる状態になつておるのであります。今度の予算審議にあたりまして、初め新聞紙上では、野党の攻勢が低調であるということで、自由党はたいへん喜んでおつたのであります。ところが、かんじんな重要法案が一つも出て来ないのであります。警察の関係、あるいは教育費の金額国庫負担、あるいは独禁法、スト禁止法、かような法案は一つも現われない。そうして、数字を並べた予算だけが来て、かんじんの点をつきますと、目下閣議で審議中と言うのであります。いかに野党といえども、これでは攻撃のしようがないのであります。野党の切なる要求によりまして、せめて要綱でも出してくれと言いましたらば、そこで、吉田内閣におきましては、あるいは警察関係、あるいは教育関係の要綱を出して来たのであります。ここにおきまして、野党側予算委員は、これに基き、予算に対するところの追究をいたし、詳細なる論議をいたしたのであります。ところが、政府においては不用意でありまして、教育費の問題あるいは警察費の問題等におきまして答弁の不一致があり、特に十七日、警察法の問題が論議されますや、大蔵大臣は補正予算を組むと言い、主計局長も組むというようなことになつた。これを追究いたしまするや、閣議は夜にわたりまして、そこで、これは間違いであるということから食言問題が起りまして、これに対しまして、野党側の激烈なる追究によつて、二十一日、吉田総理みずから陣頭に出まして、慎重に陳謝的答弁をいたしまして、一旦問題は解決いたしたわけであります。(拍手)  こういうふうに、その後におきまして、今度は教育費の問題、独禁の問題、これを追究しようといたしまするや、初め警察法で組みかえると言つた自由党は、吉田内閣は、もうかような野党の攻撃ではやりきれない、われわれの醜態が暴露する、幸いに委員会は若干多数である、そこで何とか打切ろうというこの作戦のもとに、昨日一般質問打切り動議が出たということは、皆さんがよく御存じのことであろうと思うのであります。国民も、それからわれわれも、十分に聞きたい、これから教育費の問題あるいは独禁法の問題、スト禁止法の問題は聞きたい、こういう熱願を持つておるときに、突如質疑が打切られた。これはいかに自由党が無理をしておるか。——あるいは野党側に何か間違いがあるのではなかろうか。あるいは考えておることもあるかもしれない。この問題について、委員長は、なぜ、これから重大な法案とからんで予算質問がされようとするときに、質問打切りをしたか、これについて十分に中間報告をするということは、太田予算委員長はみずから考えていることであろうと思うし、また自由党の皆さんも、当然予算委員長に堂々とひとつ報告をするように要求する、これが当然の筋合いであろうと私どもは考えるのであります。(拍手)  次に第二の問題でありますが、この予算案は、御承知の通り、非常に国民は関心を持つておるのであります。この予算がインフレ予算であるか、あるいはまたインフレ予算でないかということにつきましては、全国民の関心の的であります。御承知の通り、千五百億円の散布超過を来すという予算である。政府は御承知の通り減税国債四百億円を組むという、こういうような問題である。インフレになるのではないか、国民は、どうなるであろうと、非常に関心を持つておる予算であります。公聴会における、あらゆる人々は、インフレの危険があるというわけである。こういう状態のこの予算が、公聴会も終りまして、そうして各公述人もインフレの危険のある予算であると言つておるときに、当然この辺で委員長は中間の報告をいたしまして、そうして、今までの審議の経過はこうだ、——政府は無能でありますから、自分ではインフレは抑制できない、そういう力はないが、財界人は、われわれも、これは骨が折れるが、何とかインフレ抑制には協力しなければなるまい、こういうような討議がかわされておる。つまり、政府は無能であつて、全部インフレの抑制はこれを金融貯蓄に救済させようとしている。これが現在の状態である。国民中間報告をいたしまして、了解を求めるということは当然なる姿でありまして、これは、われわれの要求を待たずに、自由党が、吉田内閣が率先いたしまして、太田委員長中間報告をせしむべきところの問題であろうと考えるのであります。(拍手)  次に、本予算において非常に重大な問題があるのであります。御承知の通り、それは対日援助費の問題であります。今まで日本国民は、対日援助費といいますると、国民は、この点につきまして、アメリカから援助を受けた、アメリカからもらつたと考えておつた。そこで、皆さんもここで再三にわたりまして感謝の決議をいたしたのであります。われわれは、御承知の通り、ずいぶん虫の食つたパンであるとか粉であるとか、ああいうものをもらつたのでありますが、ただでもらつたのであつてはというわけで、援助に対して感謝の決議をいたしたのであります。これが金を払つたのであれば、虫の食つたようなパンや粉や何かは、ただちに返還をいたすというわけで、感謝の決議どころではなかつたのであります。しかるに、御承知の通り、今回の予算におきましては、平和回復処理費の名目のもとにおいて百億円の予算が組まれておるのであります。その説明の中に、どういうことがあるかというと、対日援助費の返還に充てるということを説明しておるのであります。この問題は、日本国民が非常に関心を持ちまして、そうして心配をいたしておつたのであります。何とかこれを日本の借金にしては困る、これは日本の借金にしないで済ましたい。借金ではない、援助である、もらつたものであるというような、この気持でおつたのに、この予算委員会において質疑が展開せられまするや、大蔵大臣は何と言つたか。まことにあつさりと答弁をいたしております。よそから出してくれたのであるから、これは借りたと考える方が間違いがあるまい、もらつたと思うと間違いであると言つておるのであります。しかしながら、御承知の通り、対日援助費は二十億ドル、日本の国の一箇年の予算にも匹敵するものであります。これが借金になるか、もらつたものであるかということになりますと、日本の今後における運命が決定せられるという重大なる問題であります。(拍手)御承知の通り、ダレス国務長官は、これから来るこの対日援助費は貸しであるぞ、そこで、再軍備をするならば、この金をとらないで、再軍備の方に貸してやろう、こう出るであろうというわけで、再軍備問題にもからんで、国民の関心の的の重大なるところの予算の論点であります。
  20. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 石井君——石井君——石井君に御注意申し上げます。なるべく簡潔に願います。
  21. 石井繁丸

    ○石井繁丸君(続) 予算委員長が、この問題に対しまして、かような問題が予算委員会において審議の結果、政府の方針はこうであると、この点を十分に暴露いたすということは、緊急の問題であろうと考えるのであります。(拍手)かように、本予算は、この予算の内容におきまして、対日援助が借金であるという政府の見解が現われて来た。あるいはまた、インフレ予算に対する態度等につきましても、まだ不明朗の問題が残つている。こういう重大な段階においてこの質疑が打切られたということは何ゆえであるかということは、重大な問題である。われわれは、自由党が、野党の各法案にわたる峻烈なる追究に恐れをなし、もうこの辺で多数を頼んで食い逃げをしよう、あるいはまた、これで逃げ込みをかけようというところの考えであると考えざるを得ないのであります。(拍手)  どうか、この点につきましては、自由党の代議士も、太田予算委員長に対しまして、この重大なる段階において中間報告をすべきは民主主義のルールである、本質であるという見地に立つて、本動議賛成せられんことを心から願いまして、私の討論を終る次第であります。(拍手
  22. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 成田知巳君。     〔成田知巳君登壇
  23. 成田知巳

    ○成田知巳君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提出されました予算委員長中間報告を求めるの動議に対して賛成の意見を申し述べるものであります。(拍手)  太田委員長は、学識ゆたかで、人格円満、日ごろ私たちの尊敬おくあたわざる人であります。また委員長は、自分は一個の常識人であると常日ごろ口にされておりますが、このことも私たちに認めるに決してやぶさかではございません。この常識人である太田委員長が、昨日の予算委員会において、いまだ一般質問の通告者が多数残つているにかかわらず、突如質疑打切り動議を採択し、強引に採決を行つたことは、まことに意外であり、太田氏の学識と人格のために心から惜しむものであり、(拍手)私たちは太田氏の常識人であることも疑わざるを得ないのであります。(拍手)  思うに、太田委員長は、学識ゆたかで人格円満ではありますけれども、あまりにも善人であり、性格がお弱いのではないでしようか。予算審議の進行につれまして、予算案のずさんさ、政府の不用意が次々と暴露されることをおそれた自由党諸君は、この太田委員長の性格の弱さにつけ込んで、太田氏に強引に圧力を加え、遂に昨日の暴挙に出でしめたものと私たちは解釈いたしております。(拍手太田氏の常識をもつてするならば、昨日の質疑打切りは、国会予算審議権を蹂躪した、まつたく常軌を逸した行為であることはおわかりになるはずであります。  自由党諸君は、口を開けば、ばかの一つ覚えのように、野党議事引延ばし作戦に出たと言つております。しかしながら、はたして予算審議が遅延しておるかどうか、ここが問題である。予算審議を開始したのは本月四日であり、いまだ三週間しか経過いたしておりません。過去の実例から見ても、本予算審議には少くとも一箇月を費しておる。国民の権利義務に重大な関係ある予算案審議するのに、最低一箇月を要することは自明の事実であります。自由党諸君審議をおあせりになる理由というのは、実は来月二日までに衆議院を上げて参議院に送付し、参議院審議の結果いかんにかかわらず、三十日経過せば自動的に会期内に予算案が成立することをねらつておるためであります。(拍手)かかる意図のもとに、十分の審議を行わしめずして質疑を打切ることは、私たちの、衆議院予算審議権を無視するのみならず、政府並びに自由党諸君が、参議院工作にまつたく自信がないことを雄弁に物語つておるのであります。(拍手)一歩譲りましてかりに審議が遅延しておるといたしましても、その責任の大部分はまつたく政府及び自由党にございます。先日の与党野党の衝突によりまして、二日間の審議の空白が生じましたが、その原因をなしたものが、政府予算案に対する無定見、無方針と、与党暴力行為にあることは、天下周知の事実であります。  最初の紛争は、中曽根議員の追究にあいまして、大蔵大臣が黙秘権を行使したことに端を発しておる。大蔵大臣は、当初、新警察制度の改正を二十八年度に行うならば予算の組みかえを行うと言明いたしました。しかるに、その後野党の追究にあうや、新警察制度を実施するとしても組みかえは行わないと前言を翻した、綸言汗のことしというが、まさに重大なる食言であります。この点について追究されるや、大蔵大臣は石地蔵のごとく黙して語らず、まつたく一国の国務大臣として無責任きわまる態度であります。(拍手)しかるに、太田委員長は、中曽根議員が条理を尽して質問しておるにもかかわらず、この発言を中止するという措置に出たのでありまして、委員長みずから予算審議の神聖を冒涜したものといわざるを得ないのであります。(拍手)  かかる不法措置に対しても、予算審議の円満なる進行を希求いたしております野党のわれわれは、総理の釈明を了といたしまして、予算審議の再開に応じたのでありますが、またまた一昨日、自由党議員暴力行為により議場は混乱するという不祥事を惹起したのであります。平穏に条理を尽して委員長議事進行を協議しておる中曽根議員に対し、自由党の、しかも委員外の本間氏が——多分本間氏はお酒を召し上つておつたと思いますが、町の暴力団のごとく中曽根氏に襲いかかり、彼のネクタイを締めつけるという。まさに殺人未遂事件が起きたのであります。御承知のごとく、中曽根君は、紅顔可憐な青年であります。本間氏は、柔道何段とかいう、二十数貫の巨漢であります。この巨漢に襲われた中曽根君は、まさに大くまの一撃を受けた小羊のごときものでありまして。もし勇敢なる衛視諸君の助けがなければ、中曽根君はいかなる事態に陥つたかはかり知ることができないのであります。神聖なるべき議場で、かかる暴力行為が行われるといたしましたならば、われわれは安んじて議案の審議に当ることができません。かかる暴力行為に対し、委員長が言を左右にして、国会法の定むる成規の手続により、これが処罰の要求をなし得なかつたことも、委員長の性格の弱さによるとはいえ、その責任は決して免れることができません。(拍手)  申すまでもなく、今回の国会の重要議案は、予算案警察法改正案、義務教育学校職員法案、スト禁止法案、旧軍人恩給法案、独占禁止法案等であります。しかして、これらの法案はすべて予算案と密接不可分のものであります。それゆえにこそ、われわれは、これらの法案の早期提出政府に要求したのでありますが、政府は準備不十分のためか、予算審議が二週間を経過するもこれを提出することができない。今日に至つても、まだ全部の提出を経つておりません。われわれは、予算審議の進捗をはかるため、譲歩に譲歩を重ねまして、忍ぶべからざるを忍んで、法案にかわるに要綱の提出で満足して今日まで審議を続けて来たのでありますが、その要綱たるや、ずさんきわまるものであり、政府の御答弁も絶えず前後食い違いをいたしております。まつたく、われわれは、だれを相手にして、何を対象にして予算審議を行つていいか、判断に迷うものであります。(拍手)  かの警察法施行に伴う国家地方警察費と財政法の関係を見ましても、国家地方警察費二百二十億を都道府県警察費に移しかえて使用することはまつたく違法であり、予算総則十三条で逃げんとする政府の態度は、三百代言の域にすら達しておりません。(拍手)また、国債発行をなすときは、財政法二十二条の定めるところによりまして、予算総則に発行の限度を規定しなければならない。しかるに、政府は、財政法四十五条により、その必要なしと言う。しかしながら、財政法四十五条は、諸君御承知のごとく、特別会計法において必要ある場合は財政法と異なる定めをなすことができると規定しておるにすぎない。従つて、財政法の規定によらないためには、投資特別会計法におきまして、場財政法第二十二条の規定は適用せずとの積極的な排除規定がなければなりません。しかるに、投資特別会計法案には、かかる規定はどこを探しても見当らない。まつたくの財政法違反であります。(拍手)  以上は一、二の例を申し上げたにすぎませんが、その他これに類する多数の瑕疵、疑問点があつた。もし委員長中間報告があれば、おのずからこのことは皆さん方に判明するでありましよう。われわれは、これらのの諸点を、今後の予算委員会審議で明らかにしなければなりません。これは国民の負託を受けて国会に出ておるわれわれ国会議員の当然の職務であります。(拍手)もし委員長にして、審議が十分行われているから一般質疑の必要なしというならば、われわれは委員長の常識人たるゆえんを疑わざるを得ないのであります。われわれは、委員長の人格と、偉大なる常識人であることを信じて疑いません。自由党の横車に押され、良心の呵責に苦しみながら、質疑打切りの措置に出た、気の弱い太田委員長には大いに同情するものでありますが、あやまちを改むるにはばかることなかれという言葉があります。委員長は、すべからく勇を鼓して一般質疑再開のために努力され、予算案にある多数の問題の諸点の解明ができますよう措置されんことを希望いたしまして、賛成討論を終える次第であります。(拍手
  24. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) これにて討論は終局いたしました。  井出提出動議採決いたします。井出提出動議賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  25. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 起立少数。よつて井出提出動議は否決せられました。(拍手)     ━━━━━━━━━━━━━
  26. 山崎岩男

    山崎岩男君 議事日程は延期し、明二十六日定刻より本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  27. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十二分散会