○石井
繁丸君 ただいま
提案されました
予算委員長の
中間報告要求の
動議に対しまして、
日本社会党を代表して
賛成の
討論をいたすものであります。
ただいま
菅家喜六君は、
国会法五十六条に基いて、かような要求は不当である、こういうことを申されたのでありますが、一点この点について申し上げますると、大体におきまして、
国会において長く
審議が続けられ、あるいは重要なる案件については、一応
中間報告等をいたしまして、
国会全員にこれを知らしめ、あるいは
国民にこれを知らしめるということは、
民主政治の原理であります。従来におきましても、不当財産取引
委員会あるいはその他、長い間、かかる重要なる案件については、再々
中間報告等がいたされまして、そうして
議員全員、
国民にこれを訴えて了承を願
つたのであります。
中間報告を要求されるということでなく、重大なる問題であり、長きにわたつたる案件においては、進んで中間において
報告をするということが
民主政治のルールであるということを御了承願いたいと思うのであります。(
拍手)
私は、以下三点にわたりまして、本
提案に
賛成をいたすものでありますが、まず第一点においては、なぜ
一般質問が打切られたかという点について
中間報告の必要があると思うものである。御承知の通り、最近新聞におきましては、
予算委員会、あるいはその他重要なる
国会の
委員会の
審議を尊重いたしまして、練達な新聞記者を派遣いたしまして、これを新聞に詳細に
報告いたし、あるいはラヂオ等においてこれを報道いたしておるのであります。これによりまして、
国民の
政治に対する関心が高まり、あるいは
予算に対する内容を熟知いたし、そうして
政治が民衆のものになるという、かようなる状態にな
つておるのであります。今度の
予算の
審議にあたりまして、初め新聞紙上では、
野党の攻勢が低調であるということで、
自由党はたいへん喜んでお
つたのであります。ところが、かんじんな
重要法案が一つも出て来ないのであります。警察の関係、あるいは教育費の金額国庫負担、あるいは独禁法、スト禁止法、かような
法案は一つも現われない。そうして、数字を並べた
予算だけが来て、かんじんの点をつきますと、目下閣議で
審議中と言うのであります。いかに
野党といえ
ども、これでは攻撃のしようがないのであります。
野党の切なる要求によりまして、せめて要綱でも出してくれと言いましたらば、そこで、
吉田内閣におきましては、あるいは警察関係、あるいは教育関係の要綱を出して来たのであります。ここにおきまして、
野党側各
予算委員は、これに基き、
予算に対するところの追究をいたし、詳細なる論議をいたしたのであります。ところが、
政府においては不用意でありまして、教育費の問題あるいは警察費の問題等におきまして答弁の不一致があり、特に十七日、
警察法の問題が論議されますや、
大蔵大臣は補正
予算を組むと言い、主計局長も組むというようなことに
なつた。これを追究いたしまするや、閣議は夜にわたりまして、そこで、これは間違いであるということから食言問題が起りまして、これに対しまして、
野党側の激烈なる追究によ
つて、二十一日、
吉田総理みずから陣頭に出まして、慎重に陳謝的答弁をいたしまして、一旦問題は解決いたしたわけであります。(
拍手)
こういうふうに、その後におきまして、今度は教育費の問題、独禁の問題、これを追究しようといたしまするや、初め
警察法で組みかえると言つた
自由党は、
吉田内閣は、もうかような
野党の攻撃ではやりきれない、われわれの
醜態が暴露する、幸いに
委員会は若干多数である、そこで何とか打切ろうというこの作戦のもとに、昨日
一般質問の
打切りの
動議が出たということは、皆さんがよく御存じのことであろうと思うのであります。
国民も、それからわれわれも、十分に聞きたい、これから教育費の問題あるいは独禁法の問題、スト禁止法の問題は聞きたい、こういう熱願を持
つておるときに、突如質疑が打切られた。これはいかに
自由党が無理をしておるか。——あるいは
野党側に何か間違いがあるのではなかろうか。あるいは考えておることもあるかもしれない。この問題について、
委員長は、なぜ、これから重大な
法案とからんで
予算の
質問がされようとするときに、
質問の
打切りをしたか、これについて十分に
中間報告をするということは、
太田予算委員長はみずから考えていることであろうと思うし、また
自由党の皆さんも、当然
予算委員長に堂々とひとつ
報告をするように要求する、これが当然の筋合いであろうと私
どもは考えるのであります。(
拍手)
次に第二の問題でありますが、この
予算案は、御承知の通り、非常に
国民は関心を持
つておるのであります。この
予算がインフレ
予算であるか、あるいはまたインフレ
予算でないかということにつきましては、全
国民の関心の的であります。御承知の通り、千五百億円の散布超過を来すという
予算である。
政府は御承知の通り減税国債四百億円を組むという、こういうような問題である。インフレになるのではないか、
国民は、どうなるであろうと、非常に関心を持
つておる
予算であります。公聴会における、あらゆる人々は、インフレの危険があるというわけである。こういう状態のこの
予算が、公聴会も終りまして、そうして各公述人もインフレの危険のある
予算であると言
つておるときに、当然この辺で
委員長は中間の
報告をいたしまして、そうして、今までの
審議の経過はこうだ、——
政府は無能でありますから、自分ではインフレは抑制できない、そういう力はないが、財界人は、われわれも、これは骨が折れるが、何とかインフレ抑制には協力しなければなるまい、こういうような討議がかわされておる。つまり、
政府は無能であ
つて、全部インフレの抑制はこれを金融貯蓄に救済させようとしている。これが現在の状態である。
国民に
中間報告をいたしまして、了解を求めるということは当然なる姿でありまして、これは、われわれの要求を待たずに、
自由党が、
吉田内閣が率先いたしまして、
太田委員長に
中間報告をせしむべきところの問題であろうと考えるのであります。(
拍手)
次に、本
予算において非常に重大な問題があるのであります。御承知の通り、それは対日援助費の問題であります。今まで
日本の
国民は、対日援助費といいますると、
国民は、この点につきまして、アメリカから援助を受けた、アメリカからもらつたと考えておつた。そこで、皆さんもここで再三にわたりまして感謝の決議をいたしたのであります。われわれは、御承知の通り、ずいぶん虫の食つたパンであるとか粉であるとか、ああいうものをもら
つたのでありますが、ただでもら
つたのであ
つてはというわけで、援助に対して感謝の決議をいたしたのであります。これが金を払
つたのであれば、虫の食つたようなパンや粉や何かは、ただちに返還をいたすというわけで、感謝の決議どころではなか
つたのであります。しかるに、御承知の通り、今回の
予算におきましては、平和回復処理費の名目のもとにおいて百億円の
予算が組まれておるのであります。その
説明の中に、どういうことがあるかというと、対日援助費の返還に充てるということを
説明しておるのであります。この問題は、
日本の
国民が非常に関心を持ちまして、そうして心配をいたしてお
つたのであります。何とかこれを
日本の借金にしては困る、これは
日本の借金にしないで済ましたい。借金ではない、援助である、もらつたものであるというような、この気持でお
つたのに、この
予算委員会において質疑が展開せられまするや、
大蔵大臣は何と言つたか。まことにあつさりと答弁をいたしております。よそから出してくれたのであるから、これは借りたと考える方が間違いがあるまい、もらつたと思うと間違いであると言
つておるのであります。しかしながら、御承知の通り、対日援助費は二十億ドル、
日本の国の一箇年の
予算にも匹敵するものであります。これが借金になるか、もらつたものであるかということになりますと、
日本の今後における運命が
決定せられるという重大なる問題であります。(
拍手)御承知の通り、ダレス国務長官は、これから来るこの対日援助費は貸しであるぞ、そこで、再軍備をするならば、この金をとらないで、再軍備の方に貸してやろう、こう出るであろうというわけで、再軍備問題にもからんで、
国民の関心の的の重大なるところの
予算の論点であります。