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1952-06-10 第13回国会 衆議院 本会議 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十日(火曜日)  議事日程 第五十一号     午後一時開議  第一 畜犬競技法案原田雪松君外四十四名提出)  第二 離島航路整備法案關谷勝利君外四十八名提出)     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  運輸審議会委員任命につき同意の件  木村法務総裁不信任決議案井之口政雄君外二十二名提出)  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出撤回の件  日程第一 畜犬競技法案原田雪松君外四十四名提出)  日程第二 離島航路整備法案關谷勝利君外四十八名提出)  事業者団体法の一部を改正する法律案内閣提出)  警察法の一部を改正する法律案内閣提出)  集団示威運動等秩序保持に関する法律案内閣提出)     午後二時五十四分開議
  2. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) お諮りいたします。内閣から、運輸審議会委員木村隆規君及び三村令二郎君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて同意するに決しました。      ――――◇―――――
  5. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、井之口政雄君外二十二名提出木村法務総裁不信任決議案は、提出者要求通り委員会審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  6. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  木村法務総裁不信任決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。高田富之君。     〔高田富之登壇
  8. 高田富之

    高田富之君 私は、日本共産党を代表して、木村法務総裁不信任決議案趣旨弁明をいたします。  まず案文を朗読いたします。   衆議院法務総裁木村篤太郎君を信任せず。   右決議する。  諸君、去る五月一日のメーデー事件、五月八日の早大事件、さらに五月三十日の板橋事件簿売国條約発効後、相次いで武裝警官による人民大量殺傷と大彈圧事件が頻発しているのであります。これは單独講和安全保障條約によつて日本を侵略しつつあるアメリカ帝国主義者に対するほうはいたる抗議の高まりを意味しておる。木村法務総裁は、この不法なる侵略者抗議し、日本独立と平和のために闘う愛国者に対し、ワシントンの命令のままにこれを虐殺し、逮捕し、裁判にかけようとする最高責任者であります。  メーデー事件に際し、田中警視総監事件直後発表した談話の中で、デモ隊広場に入れてしまつてから、実力行使によつて解散させる方針であつた旨を発表しております。またニユーヨークのワールド・テレグラム紙さえ、三百、日本メーデー事件について、東京からの秘密情報として、日本警察は騒乱の起るのをあらかじめ知つていたが、これを未然に阻止しようとしなかつたと指摘して、政府政治的な、計画的な意図のあつたことを暴露しております。  それのみではありません。官憲がみずからの不法きわまる暴力行使によつて労働者高橋正夫君をその場で射殺し、婦女子を含む千余名の人民重傷を負わせるという前代未聞の暴虐を働いておきながら、逆にこの負傷せる国民騒擾罪の名のもとに手当り次第に検挙し、今日まですでに一千名を越える大量検挙をやつている。しかも、重傷者を病院で取調べるという人権蹂躪の限りを盡し、遂には学生近藤巨士君を病床の長時間尋問によつて死に至らしめたのである。天皇制の残忍なる暗黒警察時代にさえ、かかる大規模な、破廉恥な不祥事件は、かつてその例を見ません。かかる狂気に満ちた大彈圧は、植民地的なフアツシヨ態勢戰時態勢の確立をあせる政府世論捏造のためのでつち上げであつて、許すべからざる政治的陰謀といわなければなりません。(拍手騒擾罪に関わるべきは、国民大衆の側ではなくて、警察であり、政府であります。  次いで起つた早稻田大学事件は、諸君もよく御承知の通り学生大学当局者責任ある監督のもとに整然として事の処理に当つていたのに対し、数百の武裝警官隊が、完全に一方的に終始暴力を働き、数百のまつたく無抵抗の学生に重軽傷を負わせ、教場を破壞し去つたのであります。ここにおいて、政府は、完全に挑発とでつち上げに失敗し、その暴力団的正体をいよいよ明白にみずから暴露するに至つたのであります。(拍手)  さらに、今回の五・三〇板橋交番襲撃事件なるものこそは、まぎれもないでつち上げ事件であるとともに、前二回の大暴虐事件にまさるとも劣らない、まつたく鬼畜同然の殺人行為であります。当日、警察は二万二千の武裝警官を出動させ、不法なる交通遮断、通行人の尋問を片つばしから行い、遂にはデモ労働者ピストルを発射して、三名の労働者を射殺し、数十名に負傷を負わせるという暴虐の限りを盡したのであります。デモ隊交番などを襲撃しようとしたのでは断じてないことは、参加者はもとより、目撃者がひとしく証明するところであります。交番前付近の道路をデモ隊が通過したにすぎないものであり、特に当日は、デモ隊は非常に注意して、武器とみなされるおそれのあるものは何一つつていなかりたのである。これに対してピストルでねらい撃ちをし、殺してしまつてから、死体交番の前に引きずつて来て、あとから、あたかも交番襲撃の暴徒であつたかのごとくでつち上げんとしておるのであります。(拍手死体の解剖にさえ、弁護士も立ち会わせていなかつたとのことである。当日のデモは、三年前のこの日、東京都議会公安條例が上程され、勤労大衆基本的権利たるデモ行進の自由が奪われんとしたのに対する抗議のためデモ行つた労働者の一人橋本金二君が、都議会の二階から警官に突き落され、踏み殺された日を記念し、毎年この耳は、自由と人権を守り、当局の不法に抗議するためのデモをやつて来たのであつて労働者にとつて、これはきわめて当然の権利行使であります。(拍手)特に当日は、破壞活動防止法を粉砕し、またメーデー事件犠牲者たる高橋近藤両君人民葬を訴え、田中警視総監木村法務総裁の罷免を要求し、民族独立を叫んだ、まさに愛国的な示威運動であつたのであります。これらの三大不祥事件は、明らかに官憲による殺人暴行行為であります。この殺人行為を教唆扇動し、これを弁護するものは、人民殺傷の元兇であるといわなければなりません。(拍手法務総裁は、人民生命財産を保護すべき最高責任者であみにかかわらず、事実は人民を殺傷する国家的暴力組織の総指揮官になり果てておるのである。(拍手)これは、過日のメーデーに際して示された、独立と平和のための断固たる人民の鬪争に恐れおののいて、正気を失つた売国政府狂態ぶりを暴露したものであります。メーデー彈圧に際し、人民はこの武裝彈圧に対して、断固として英雄酌に抵抗し、その偉大なる力量を全世界に示したのであります(拍手)これは、一つには、内外反動どもの心胆を寒からしめ、一つには全世界、特に全アジア民衆の絶大なる支持と同情を呼び起した歴史的事件であります。(拍手)えんえんと燃える外国自動車の煙を見て、何万の都民は沸き返る感激と拍手を送つたのである(拍手)これこそ、民族独立と平和を願う国民の真情であります。政府が狂暴になればなるほど、人民実力と団結の力を固め、売国両條約の破棄、売国政府の打倒はいよいよ強く、全国的闘争にまで発展せずにはおりません。メーデ当日、五十万労働者の口々に叫んだ、アメ公帰れの叫びは、日本人すべての完全に一致した叫びであり、要求であります。国家暴力に対しては、国民実力をもつてこれを粉砕する当然の権利があります。全日本の津々浦々にまで人民広場の憤激は広がり、やがて今日の彈圧者は人民の手によつて峻烈なるさばきを受ける日が来るでありましよう。(拍手)  しかも、木村法務総裁は、かつて治安維特法とまつたく同一の、いな、それ以北悪法である破壞活動防止法国会に上程し、国民の猛然たる反対を押し切つてこれを通過成立させるために、メーデー驚擾事件その他一連挑発によるでつち上げ事件を利用しておるのであります。田中軍閥内閣によつて制定された治安維持法が、いかに、日本労働者農民勤労階級はもちろん、一切の平和と民主主義を守らんとする日本の真の愛国者彈圧し、一切の言論、出版、表現の自由を彈圧し、無謀なる戰争に日本をかり立てたかは、われわれの記憶に新たなるところであります。  しかも、このたび木村法務総裁によつて提出された破防法は、アメリカ帝国主義者日本国土軍事基地化と、日本人民肉彈化のための植民地立法であるがゆえに、かつて治安維持注に比し数倍の残虐さと悪質さを持つものであります。このことは、木村法務総裁が、原爆とジエツト機を持たなければ軍隊ではないと放言して、警察予備隊の増強に狂奔している態度にはつきりと現われておるのである。木村法務総裁、この破防法のほか、さらに行政協定に基くアメリカ軍機保護の名目で、刑事特別法を制定し、さらには刑事訴訟法を改悪し、人権を蹂躪し、日本植民地化軍事基地化に狂奔しておる。しかも、木村法務総裁は、さらに集団示威取締法を制定し、一切の憲法で保障された人民基本的権利をことごとく奪い去らんとしておるのである。(拍手)  このような一連悪法は、明らかに日本国土人民をあげてアメリカ帝国主義者に売り渡す売国法であり、そのための彈圧法である。かかる悪法は、民族の自由と平和と独立を希求する日本国民の断じて許し得ざるところであります。(拍手)それゆえにこそ、今や労働者実力をもつてこれらの悪法を粉砕すべく立ち上り、第三波、第四波ゼネストは必ずや農民、市民、学生その他に拡大され、全国民的規模をもつて鬪われるでありましよう。  わが党は、かかる木村法務総裁の就任を一日も許すことは、国民に対する許しがたい重大な犯罪行為であると確信するがゆえに、日本国民の名において、彼の即刻退陣を要求するものであります。(拍手
  9. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 討論通告があります。これを許します。鍛冶良作君。     〔鍛冶良作登壇
  10. 鍛冶良作

    鍛冶良作君 ただいま不信任案理由説明を聞いておりますると、まともな人間ではとうてい言えないことを言うておる。さらにまた、よくもかようなことをでつち上げて、恥もなくここで述べられるものだと、あきれ返らざるを得ませんでした。われわれは、かような理由の言葉に相手になるだけのやぼ入ではありません。諸君とともに、かようなものを一笑に付すべきものだと考えるのであります。(拍手)  ただ一言、私が容赦ならぬと思うのは、過日来数々に起るあの暴力事件騒擾事件を、ここで正当なる行為だとこれを認め、しかして、かような犯罪者を検挙したるものをもつてこれが暴力行為だと言うに至つては、容赦のならぬ暴言であるといわざるを得ません。これこそ、破壞活動防止法に並べるところの暴力破壞行為を正当現するものであつて、まことに今日の日本として許すベからざる思想であり、言動である。かようなことを言う者がおる以上は、ぜひとも一日も早く破壞活動防止法案を通過させてもらいましてそのような者を全部ふんじばつてもらわなければならぬ。(拍手)その意味において、諸君は破壞活動防止法案の通つたときを覚悟の上で言つておるのがもしれませんが、われわれは一日もすみやかにあれを通して、かような思想の持主、かような暴力行為主義者を縛らなければならぬと考えるのであります。  この意味におきまして、木村法務総裁不信任どころではありません、ますます木村法務総裁建在を祈りまして反対討論にかえます。(拍手
  11. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  12. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立少数。よつて本案は否決せられました。(拍手)      ――――◇―――――
  13. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) お諮りいたします。内閣から、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案撤回したいとの申出がありました。これを承諾するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて撤回を承諾するに決しました。      ――――◇―――――
  15. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第一、畜犬競技法案議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員会理事平野三郎君。     〔平野三郎登壇
  16. 平野三郎

    平野三郎君 ただいま議題と相なりました、原田雪松君外四十四名提出にかかる畜犬競技法案に関しまして、農林委員会における審議の経過並びに結果の大要を、委員長にかわつて報告いたします。  本案は、去る第十国会におきまして本院を通過し、参議院において審議結了を見なかつたものに若干の改訂を加えて、再び提出せられたものであります。  すなわち、本法の趣旨といたしますところは、畜犬能力検定を行い、犬その他の動物改良増殖及び輸出の促進をはかり、かつ動物愛護に寄與するとともに、地方財政の改善をはかる目的をもちまして、優勝投票券を発売して行う畜犬競技を公認するというにあります。  畜犬競技施行権は、都道府県都道府県区域内において競技場のある市とに與えられております。しかして競技実施面については、これを畜犬改良会に委任し得ることと相なつておるのであります。畜犬改良会は民法上の公益法人でありまして、畜犬競技を実施するほか、動物改良増殖等目的として、畜犬所有者によつて設立される団体であります。しかして、各都道府県畜犬改良会は、各種の登録競技の調整、畜犬の訓練、動物改良増殖等目的としまして、全国一個の畜犬改良クラブを組織することになつております。  次に、競技による収入と、その使途につきましては、次のように定められております。すなわち、施行者収入優勝投票券売上げ金額の百分の二十五以内、しかして、このうちの百分の三を国庫に納付し、政府はこの納付金を犬の伝染病予防等家畜衛生費天然記念動物の保存、家畜登録事業等に要する経費に支出することと相なつております。さらに施行者は、納付金競技開催経費を除いた残額のうちから、その四分の一を下らぬ額を、先に述べた衛生費等必要経費に充当することにしているのであります。また今回の提案中には共同募金会に対する寄付金條項等も追加いたされておるのであります。  法案の概要は以上の通りでありまするが、農林委員会は、本案に対しまして、五月九日提案理由説明聽取質疑、十五日さらに質疑を行いました。その内容は会議録でごらんを願うことといたします。さて、質疑終了後、改進党の吉川委員より修正案提出いたされ、その趣旨弁明が行われたのであります。修正案は、およそ次の五点であります。  第一点は五大市施行権を認めましたことであります。第二点は、競技施行者収入使途に関する修正であります。すなわち、原案では、施行者は百分の二十五以内の収入から、国庫納付金並び開催経費を除いた残額のうち、その四分の一を下らない額を動物関係経費等に支出することとなつておりますが、修正案においては、畜犬改良会に実施委任いたしました際は、売上げ金額の百分の三以内を畜犬改良会に交付するように改め、地方財政との配分関係を明確化した点であります。  第三点は、「畜犬改良クラブ」とあるのを「畜犬改良会連合会」と改めたことであります。  第四点は、社会福祉事業にさらに一段と寄與させますために、畜犬改良会連合会に二つ以上の都道府県区域とする畜犬競技施行権を認め、その収入の中から、国庫納付金開催経費を除く残額の二分の一ずつを社会福祉関係経費動物関係経費に支出させることにした点であります。  第五点は、附則に規定する輸入犬使用禁止規定を削除した点であります。  修正案大要は以上のごとくであります。  この修正案並び修正部分を除く原案議題として討論採決に付しましたところ、日本共産党竹村委員日本社会党石井委員並びに日本社会党第二十三控室足鹿委員より、近来パチンコの流行等嘆かわしい世相の折から、さらにかくのごときばくち法案は不適当である等の、それぞれ反対意見の開陳が行われ、自由党小笠原委員より、競馬、競輪を許している以上、ドツグレースのみを否定する理由はないとの賛成意見が述べられ、採決の結果、多数をもちまして、改進党吉川君の修正案並び修正部分を除く原案はともにこれを可決すべきものと議決した次第であります。  以上をもちまして御報告を終ります。(拍手
  17. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永健司君から、本案はさらに審査するため農林委員会に付託すべしとの動議提出されております。本動議は先決問題でありますから、ただちに議題といたします。椎熊三郎君から発言の通告がありますこれを許します。椎熊三郎君。     〔椎熊三郎登壇
  18. 椎熊三郎

    椎熊三郎君 ただいま議題となつております畜犬競技法案に関する取扱い、ことに福永君の動議に対して、私は国会ルールを堅持するために反対します。そういうことを、あなた方やつてはいけない。この議席に着いておる自由党諸君は、きようはたいへん欠席が多いようですけれども、あなた方の方に党籍を置く者の八五%は、このドツグ・レースに賛成署名をしておる。そもそも、この世にいわゆるドツグレース法案なるものの沿革を申し上げますると、前の衆議院議長幣原喜重郎先生が非常な愛犬家でございまして、日本愛犬協会か何かの総裁でありました。なくなられましてから、その跡を継いでおるのは自由党有力者である石橋湛山先生、これらの人々を中心とする日本愛犬家というものは、驚くべし、日本全国にわたつて鑑札をとつて犬を飼つておる者は六十万戸あります。一戸五人当りの人口と考えると、実に驚くべき愛犬家ということに相なる。そういうことが基礎になつておりますけれども、犬に関する保護規定、あるいはこれほど人類の生活に密着しておる動物に対する何らの法的根拠がない。しかるに、これは愛玩用でもあり、実用的でもあり、あるいは、ときとしては軍力にもなるものではあるけれども、たまに、これは人類社会にも害毒を流す、すなわち狂犬病蔓延等は恐るべきものだ。しかるに、厚生省におきましては、これらの狂犬病予防のごときも、口では大いにやつておるように言いますけれども、財政上の関係で、徹底的にできないのです。ワクチンを買うことはできない。そういう点で、愛犬家動物愛護の観点から、何らかこういうものに法的根拠を與えよう、そうして狂犬病予防ということは非常に恐るべきことだから、これは徹底的にやらなければならぬ、国家の費用はどうしても出すことはできないから、何か方法を考えなければならぬというので、前国会において、あなた方の大部分、ほとんど自由党の全部が賛成して、このドツグレース法案は一旦衆議院を通過しておる。そして、参議院では審議未了になつたのです。  今度の法案は、去年の十二月の下旬に、当時いまだ占領治下でありましたから、GHQのオーケーをとつて参りました。オーケーをとるにあたりましては、この国会内から、同好者が、この法案に対する賛成署名を得た。三百名を越える賛成者です。ここにおられる自由党の大部分は、これはみな賛成者なんです。そういうことを基礎にして、あの法案議員提出として出た。議員提出として出すまでは、それほどの注意をしたのです。国会の大部分賛成でなければ、議員提出法案はみだりに出すべきではない。  そういう本質的の土台を組み上げておいて、これが提出せられたのは去年の暮れです。それ以来、国会審議を継続されておること、まさに六箇月になつておる。しかして、この法案は、今から二十七日前に委員会を通過しておる。農林委員会においては、大部分――わが党からもこれに修正意見など出まして、その修正部分が大部分認められまして、大多数をもつて委員会を通過して来たものが、令日まさに一箇月近くもかかつて初めて本会議に上程された。委員会から上つて来たものは、諸君緊急上程さえ認めておる。いわんや、一箇月もこれを延ばすということが、一体国会ルールにあるだろうか。努めて早くこれを上げなければならぬ。  自由党の八割五分まで賛成した法案が、委員会を上つて来て、議長の手元にあるのに、日程に上らぬということはそもそもどういう理由によるのか。それが世間においても伝えられておる。自由党は八五%が賛成しておるにもかかわらず、ただ一入のワンマン、いわゆるワンマン反対したという。犬の法案ワンマン反対した。(拍手、笑声)そこで、自由党諸君は、私はふがいないと思う。あなた方は、新憲法下における国家の重大な責任を持つておる第一党です。民主主義を標榜する自由党諸君として、ワンマンの一ほえによつて押えられるというのは、一体どういうことなんです。(拍手)これはボスの政治じやないか。そういう醜態を暴露してはいけませんよ。私は、自由党には尊敬する人がたくさんある。そうして、これがいよいよ上つて来ると、自由党総務会なるものば――総務会長益谷さんのごときも、これは本心は賛成なんです。しかるに、ワンマンのお声がかかると握らなければならぬという、実に気の毒なはめになつておる。党員八五%の賛成を無視して、強力に増田幹事長反対しておる。副幹事長田中元君のごときは賛成署名者の一人であつて幹事長の命を受けて反対奔走をしておる。何たる醜態でございましよう。これは、しかし、自由党党内事情ですから、私は何とも申し上げません。ただ、国会としては、委員会上つた法律を、自由党の單なる党内事情によつて握りつぶしておくということは、これは国会では悪例です。(拍手)  そこで、私は運営委員会委員長に質問した。なぜそういう不当なことをやるのか。委員長石田博英君は、国会運営に練達の士であつて、私のこの主張に対しては一言反対することができない。ごもつともでございます、私は、党はどうあろうとも、断固としてこれを上程することに奔走いたしますと言つて、先週、さきの土曜日にはちやんと日程に載せた。なかなか石田君は、自由党の中にあつても、ワンマンの言うことは聞かない人らしい。どういう系統であるかわからぬが、順慶会ということで、見ておる人なんだそうです。それで、ワンマンの威力は石田君には及ばず、遂にこれが日程に上せられた。そこで、うろたえたのが増田幹事長益谷総務会長である。(拍手総務会は、まるでけんかであつたという。そうして、遂にこれを握りつぶす方策について彼らは考慮した。それが今日の動議となつて現われた。  もとより、この動議は、議事規則の百十九條によつてなされておる。この百十九條というものは、前の帝国議会当時における議事規則の中には私はなかつたと記憶する。しかし、先例としては、二、三そういうことをやつた例はあるという。それはどういう場合にこの百十九條適用するかといえば、委員会審査に重大なる瑕疵、欠陷があるか、しからずんば、委員会より上つた後における情勢変化によつてあのまま審議では物足りないという場合において、これは返すことができるという救済法です。それですから、法律的には私はこの動議を違法だとは思わない。しかし、この動議の本質は、この法案審議に瑕疵ありとしての動議ではないですよ。これは委員長報告通り、堂々たる審議をしておるのです。その後の情勢変化というものはどこにあるか。ワンマンの心境の変化、ただ一つじやないか。(拍手)それによつて、これを委員会に再付託して握りつぶさんとする。  自由党は、もともとこの法案が世にいわゆる賭博法案であつて選挙を目前にして、そういうものは反対だ。選挙がなくとも、そういう賭博法案議員提出として国会を通過させてならぬものとあらば、それは堂々たる議論です。なぜ諸君は、そのことを本案上程の際に暴露して、これは賭博法案だ、自由党は絶対反対だと言つて大多数をもつて葬り去らぬのか。(拍手)聞くところによると、次の国会には必ず通してやると公約しておるという。それは何のことだ。選挙で、賭博法案を通すことが非難される一つの材料となるので、選挙後まで態度を留保しようというのか。それなら卑怯千万ですぞ。(拍手)私は、そもそもこの法案賭博法案ではないという信念を持つておる。それは、ただいまの委員長報告によつて明らかである。しかしながら、自由党諸君は、八五%もこれを信じて賛成署名しておる。しかるに、諸君は何だ。今日の代議士会で、賛成署名した人がなぜこんな決定に同意を與えたのか。長い間、ワンマンのしつけ、薬がきき過ぎて、諸君は一人前の議員の自由意思を持たぬのか。何たる醜態だ。そんなことで、ほんとうの国会諸君は守れると思うのか。これは單なるドツクレースという一つ法案にすぎないけれども、そんなふがいない議員的不当の良心であつては、独立後の日本諸君の力をもつて守ることはできないのだ。(拍手)もつと確固不抜の正義感を持つて、勇気を持つて、正しきは正しきとし、邪は邪として、諸君はこの壇上でなぜ争わないのか。ドツクレースを葬り去ることもできず、これに反対することもできず、そうして次の国会には通過さしてやると公約せねばならぬという卑怯未練な態度、これは何だ。(「本質論を言え」と呼ぶ者あり)  そこで、彼は今本質論を言えと言うが、本質論を言う場合でないのだ。本質論をやる場合を知らないのだ。君は……。今、委員会に返せという取扱い上の動議が出ておるのだぞ。その取扱いの動議反対しておるのだ。もう少し国会法を研究して来なさい。こういうのばかりおるのだから困る。何にもわからずにそういうことを言う。(拍手)今は本質論の論争ではない。案の取扱いに対する論争なんです。(「反対なら、反対理由を言え」と呼ぶ者あり)そうじやない。わからないのだ。そこで、反対理由……。     〔「時間だ」「時間だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  19. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 椎熊君に申し上げます。――椎熊君に申し上げます。時間が……。     〔発言する者多く、議場騒然、聽取不能〕
  20. 椎熊三郎

    椎熊三郎君(続) そんなことはない。これは時間の制限はありません。時間の制限を受けておりません。そんな不当なことを言つて、言論まで暴力をもつて封鎖しようとするのか。それは君、卑怯じやないか。みんな賛成しておるじやないか。  そこで、福永君の動議国会に悪例を残すものであつて、かくのごとき取扱いをすることはいけない。これはひとりドツグ・レースの問題じやない、他にもそういうものが出て来るかもしれぬ。それは百十九條の正当な解釈の上に立つて行われるべきである。各党それぞれ成をして、諸君が嘆願までしておいたこの法案を、党内の事情により、多数の暴力的行動によつて衆議院規則を歪曲するがごとき解釈をすることは、国会の悪例であるということを私は言うのだ。(拍手)  私は、実はこの動議に対する反対討、論は、時間の制限を約束しておりません。しかし、せつかく議長が心配して、ああ言われるし、大体諸君もみずからの良心に聞いたら、はなはだいかがわしい気持に恥じ入つていると思うから、これ以上は私は申し上げません。  ここに明らかに、私は福永君の委員会に再付託すべしとの動議には反対いたします。(拍手
  21. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永提出動議採決いたします。福永提出動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  22. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案は再付託するに決しました。      ――――◇――――― 第二 離島航路整備法案關谷勝利君外四十八名提出
  23. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第二、離島航路整備法案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長岡村利右衞門君。     〔岡村利右衞門君登壇
  24. 岡村利右衞門

    ○岡村利右衞門君 ただいま議題となりました離島航路整備法案につき、運輸委員会における審査の経過並びに結果を報告いたします。まず、本法案趣旨を簡單に説明いたします。離島航路事業は、地方民生の安定、地方産業の発達に、あるいは文化の進展に密接な関係があり、特に離島民にとりましては、この航路なくしてはその生活すら維持できない唯一の交通機関でありまして、陸上の道路にも比すべきもので、この事業はきわめて重要で、かつ公共性の強いものであります。しかるに、現状を見ますと、物価騰貴による支出の著しき増大に対し、この事業は海上運送法により種々の規制を受け、特に運賃は認可制となつておりますが、現行運賃のこれ以上の値上げは、利用者の負担力から見てすこぶる困難であり、その経営はきわめて困難な状態にあります。また、就航船舶の約半数は老朽船であり、その他の船舶も戰時中、戰後における経済の混乱のため、ほとんど整備が行われず、大部分が代替または改造に迫られており、航路の改善はおろか、その維持すら危ぶまれている実情であります。かような窮迫した実情に対処して、国の特別な助成措置を講じまして、航路の維持及び改善をはかろうとするのが、本案目的とするところであります。  次に、その内容の要点を申し上げます。従来の海上運送法による補助金制度を、離島航路事業の経営助成のための補助金制度に整備確立するとともに、金融機関が離島航路事業に対して船舶の建造または改造に要する資金を融通するときは、政府はその金融機関とその融資について三割を限度として損失を補償し、また年四分の利子を補給する旨の契約を結ぶことができるようにしようとするものであります。  本法案は、五月三十日、本委員会に付託され、即日、提出者の代表として關谷勝利君より提案理由説明を聽取し、六月五日質疑に入り、まず塚田予算委員長の出席を願い、本案に対する意見を徴しましたところ、航路補助金については、従来の額になお考慮を加え増額すること、融資に対する損失補償はこれを削除し、そのかわり、政府関係当局において必要な融資措置に格別の考慮を願いたいことを希望する旨述べられましいた。  次に大蔵当局の意見は、航路補助金の増額は、国の財政面を勘案し、妥当な基準を設けて算出した金額につき、これを予算に計上するよう努力する、また金融措置については、国会の熱意に動かされ、従来の考えを改め、開発銀行等をして十分期待に沿うような措置を講ずるとのことであります。  なお経済安定本部財政金融局長は、融資措置については極力趣旨に沿うよう努力する旨の答弁がありました。  質疑は五日、七日の二回にわたり熱心に行われましたが、内容は会議録に譲ることといたします。  次に、黒澤富次郎君より修正案提出されました。その趣旨並びに内容を申し上げますと、政府当局の答弁により、金融の道が開けると認められるので、本法案のうち、融資に対する損失補償を削除しようとするのであります。  かくて、討論を省略し、修正案について採決の結果、起立総員をもつて可決され、次いで修正部分を除く原案について採決いたしたところ、起立総員をもつて可決されたのであります。  続いて、關谷勝利君より附帯決議を行いたい旨の動議提出され、これまた起立総員をもつて可決せられました。決議の内容は、離島航路事業の現状にかんがみ、政府に対して、当該事業の助成策の一環として、船舶の建造または改造に要する資金の融通の円滑をはかるため、当該事業を日本開発銀行の融資対象事業に指定し、資金の確保について強力適切な措置を講ぜられるとともに、なお対日援助見返資金からの貸付につき特に考慮すべきことを要望するものであります。  以上をもつて、本法案は附帶決議を付して修正議決すべきものと決した次第であります。右報告を終ります。(拍手
  25. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ――――◇――――― 事業者団体法の一部を改正する法律案内閣提出
  27. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出事業者団体法の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  28. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。事業者団体法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。経済安定委員会理事多田勇君。     〔多田勇君登壇
  30. 多田勇

    ○多田勇君 ただいま議題とりました事業者団体法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。御承知のごとく、本法は、昭和二十三年七月公布施行されまして以来、日本経済の実態に沿わないものがあり、ことに中小企業の協同化または組織化及び事業者団体の正常な活動の促進等に関しまして、本法第二條の事業者団体の定義の規定並びに第四條及び第五條の規定による事業者団体の活動の規制の方式が問題となつていたのであります。従つて、本法の目的とする公正かつ自由な競争を阻害しない限り、これらの規定を緩和して、中小企業の協同化、団体活動の促進等の障害を除去するとともに、この機会に、昭和二十四年六月改正の私的独占禁止法の規定と、本法施行四箇年の経験に照して第八條の排除措置の規定及び第九條以下の手続規定を適当に調整することが、本法改正の目的なのであります。  次に、本改正案の内容についてその要点を申し上げます。  第一は、現行法第二條の事業者団体の定義の規定があまりに広汎に失し、そのために会社等の共同企業体の存立を不可能にしていた点を是正して、本法の適用を受ける団体の範囲を、原則として本来の事業者団体である産業団体や同業組合に限定して事業者の共同企業体である会社等を本法の適用から除外したことであります。  第二は、現行法が、事業者団体の活動を、第四條の許容活動及び公正取引委員会の認可を必要とする行為並びに第五條の禁止行為の三つの面から厳格に規制し、団体の活動を狭いわく内に封じ込めていたのを改めまして、第五條に規定する禁止行為以外の行為はすべて自由にいたしたのであります。  第三は、現行法第五條の禁止行為の規定が、公正かつ自由な競争の秩序を直接侵害するおそれのない行為までも規制して、団体の正常な活動をも阻害していた点を是正し、それらの行き過ぎの規定を削除したことであります。なお、現行法の第六條及び第七條の條文を整理し、第八峰に関しては、本法違反事件につき、必要に応じて、事業者団体だけではなく、その役員や構成事業者にも適当な排除措置を命じ得る旨の規定を新たに設けて本法運用の適正をはかり、第九條以下の各條文を整理し、第十四條の罰則については、私的独占禁止法の罰則に照し、新たに偽証の罰を加えたほか、條文の整理に改正を加えたことであります。  本案については、去る四月に十四日に提案理由説明を聽取し、五月十七日には参考人を招致して意見を聽取、引続き五月二十日及び六月四日に審議を行いましたが、本法に関しては、従来本委員会においては国政調査の項目として取上げ事業者団体法等経済法令に関する小委員会を設置し、多田委員をその小委員長として、今日までに、あらゆる角度からの研究を盡した問題でありますので、六月四日に多田委員から事業者団体法の一部を改正する法律案に対する修正案提出され、その趣旨弁明があつたのであります。  本法改正案に対する修正案の要点を申し上げますれば、第一は、第二條の定義條項中、「目的に含む」を「主たる目的とする」に改めて、共通の利益を増進することを「主たる目的とする」事業者団体のみを本法の対象とするよう、事業者団体の定義にさらに限定を加えることといたしたのであります。第二は、第五條の禁止行為條項を独禁法の保護法益と一致させるため、同法の保護法益以上に拡大している條項を緩和したことであります。  第三は、第六條の適用除外団体の届出義務を廃止したことであります。  なお、以上の修正に基き、各條項を整理したことであります。  右審議の詳細については、すべて委員会の速記録に譲ることといたします。かくて、本日、右修正案並び修正部分を除いた原案を一括して討論を行いましたが、自由党を代表して私が、改進党を代表して笹山委員がそれぞれ賛成の意見を述べられました。  次に採決に入りましたが、全員一致をもつて修正案並び修正部分を除いた原案を可決いたしました。右御報告申し上げます。(拍手
  31. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  32. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り決しました。      ――――◇―――――
  33. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出警察法の一部を改正する法律案集団示威運動等秩序保持に関する法律案、右両案を一括議題となし、地方行政委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  34. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  警察法の一部を、改正する法律案集団示威運動等秩序保持に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。地方行政委員長金光義邦君。     〔金光義邦君登壇
  36. 金光義邦

    ○金光義邦君 ただいま議題どなりました警察法の一部を改正する法律案に関し、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概要を報告いたします。  まず本案提案理由説明いたします。申すまでもなく、国内治安については、政府がその最終責任者でありまして、この際警察行政に関する内閣責任を明らかにすることは、治安の確保の上に特に重要と考えられますので、本案により次のような改正を行うことといたしたのであります。  すなわち、第一に、国家地方警察本部長宮は、内閣総理大臣が国家公安委員の意見を聞いてこれを任免するようにすること、第二に、特別区の警察は、その特殊性にかんがみ、特に政府と緊密な関係を保持せしめる必要があると考えますので、その警察長は、内閣総理大臣が特別区公安委員会の意見を聞いてこれを任免し、また特別区の警察に要する経費の一部は予算の範囲内において国が負担することができるようにすること、第三に、内閣総理大臣は、特に必要があると認めるときは、国家公安委員会に対し、公安維持上必要な事項について指示することができることとし、この場合における内閣総理大臣の指示に関する事務を国家地方警察本部をして処理せしめるよう1にすること、第四に、附則として、この法律施行の際、国家地方警察本部長官または特別区警察の長の職にある者は、改正の相当規定により、それぞれその職に任命せられたものとみなすようにすること、といたしたのであります。  本案は、五月十日内閣より提出せられ、同日地方行政委員会に付託せられましたので、本委員会におきましては、五月十四日、木村国務大臣から提案理由説明を聽取した上、引続き委員会を開いて、あるいは各委員より木村国務大臣及び政府委員との間に質疑応答をかわし、あるいは青木均一君、牧野英一君等約十名の学識経験者から意見を聽取する等、愼重に審議をいたしました結果、六月九日質疑を打切りました。  六月十日、前尾繁三郎君外五名より自由党を代表して修正案提出せられ、同時にまた、鈴木幹雄君外三名より改進党を代表して修正案提出せられました。  前尾君外五名提出修正案は一、国家地方警察本部長官の任免権を国家公安委員会にもどし、これを行う場合に内閣総理の意見を聞くこととしたこと、二、警視総監の任免権を特別区公安委員会にもどし、これを行う場合に内閣総理大臣の意見を聞くこととしたことを、その内容といたしております。  また鈴木幹雄君外三名提出修正案は、一、国家公安委員の数を一名増加し、委員のうち一名は、内閣総理大臣が国務大臣中よりこれを任免することとしたこと、二、国警長官の任免権を、改正案に規定せられた内閣総理大臣の手から、現行法通り国家公安委員会の手にもどすこととしたこと、三、市町村公安委員の数を一名増加し、委員のうち一名は、市町村長が当該市町村の助役その他の吏員の中からこれを任免することとしたこと、四、特別区公安委員の数を一名増加し、委員のうち一人は都知事が都の副知事の中からこれを任免することとしたこと、五、各種の公安委員を通じ、そのうち一定数については、その任用資格の緩和をはかつたことを、そのおもな内容といたしております。  地方行政委員会におきましては、本日書討論の上採決をいたしましたところ、多数をもつて、鈴木幹雄君外三名提出修正案は否決せられ、前尾繁三郎君外五名提出修正案を可決し、次いでこの修正案を除いた部分原案を可決し、ここに本案修正議決いたしたのであります。  次に、ただいま議題となりました集団示威運動等秩序保持に関する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本案提案理由について説明いたします。終戰後、集会、多衆運動等に対しては何らの規制方法がなかつたのでありますが、その後、国内各地には多衆による運動が頻発し、その中には、刑罰法令に触れ、国民一般の迷惑を来すような無秩序、無統制なものも少くなかつたのであります。そこで、これら集団示威運動、集団行進、集会に関しては、これに対処する国内法制定の必要が痛感せられるに至り、各地に府県または市町村の條例が設けられたのでありますが、これらの條例は、その内容において区々であるばかりでなく、條例の制定のない地方も少からずあるのであります。そこで、本案は、これら集団示威運動等が公衆の生命、身体、自由、財産に危険を及ぼさないよう秩序を保持しつつ行われることを確保することを目的として作成したものでありまして、集団示威運動、公共の場所における集団行進、屋外集会に関して届出制をとり、公衆の生命、身体、自由、財産に対する直接の危険が認められる場合にのみ、公安委員会に対して、一定の條件を付し、または一定の事項の変更を命じ得る権限を認めるとともに、警察官吏に対して警告、制止、解散の権限を認め、もつてこの目的を達成せんとするものであります。  本案は、五月十三日、本委員会に付託せられましたので、三月三十日、木村国務大臣より提案理由を聽取し、爾来引続き愼重に審議をいたしました。それらの詳細は委員会議録でごらんを願うことといたします。  本委員会は、六月九日質疑を打切りましたところ、本日、吉田吉太郎君外五名より、第三條第一順中「七十二時間前」の下に「(行進を伴わないものについては四十八時間前)」を追加すべき旨の修正案提出せられました。  そこで、討論採決の結果、多数をもつて修正案を可決し、次いで修正部分を除いた政府原案を可決し、本案修正議決いたした次第であります。右御報告いたします。(拍手
  37. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 両案中、警察法の一部を改正する法律案に対しては、藤田義光君外三名から成規により修正案提出されております。この際修正案趣旨弁明を許します。藤田義光君。     〔藤田義光君登壇
  38. 藤田義光

    ○藤田義光君 ただいま議題となつております警察法の一部を改正する法律案に対するわが党の修正案趣旨弁明を行いたいと思います。  そもそも昭和二十二年十二月十七日付法律第百九十六号をもつて公布されておりまする従来の警察法は、いわゆるアメリカの輸入法でございまして、日本の国情あるいは警察の能率を無視した立法であることは、皆さん方も御存じの通りであります。(拍手)当時の記録あるいは新聞等で御存じの通り、総司令部当局があまりに日本の民主化に急であつた余り、これら警察の最も必要とする能率に関しまして、ほとんど日本の国情を無視しておるのが従来の警察法であります。従いまして、私は、従来の警察法を改正することに対しましては、政府当局とまつたく同じ見解のもとに立つております。  しかしながら、改正の目標は、あくまで現在の警察法の前書きにあります憲法の精神に従い、地方自治の真義を推進する観点から、国民に属する民主的権威の組織を確立することを目的とすべきでございます。しかるに、今回提案せられましたところの政府原案によれば、先ほども委員会で前尾委員から説明がありました通り、まつたくこの警察法の精神を沒却してしまつていることは、すでに御承知の通りであります。しかも、先月の五月一日、メーデーの大騒擾事件が起きまするや、にわかにこの立法を急いで拠出いたしましたために、動機においてすでに不純であります。  しかも、政府の改正案の内容は、治安の責任をこの法律によつて明示するということを説明して、総理大臣に最も重大なる人事権をまかせてしまおうとするのであります。私は、民主警察の真髄は公安委員会によつて把握されておると思うのであります。この公安委員会の行政管理の中心である人事権を剥奪いたしまして、どこに民主警察の面目があるかということを、私はただしたいのであります。かかる意味からいたしまして、現在国家公安委員長をいたしておりまする青木氏も、この観点から政府原案に絶対反対を表明いたしております。  先ほどの委員会におきまして、自由党の前尾君は、政府原案修正する理由として第一に、警察法の精神を蹂躪している、第二に、総理の指示権があるから、総理の任免権は不要である、第三には、首都警察法のごとき根本的な改正をやるべきであるということをあげて、その理由から政府原案修正をいたしております。この同じ異常である前尾君の説明にまりましても、政府提案の改正案がいかに不法であるかということを御承知願いたいと嵐います。また、自由党修正案によれば、政府提案の逆を行きまして、総理大臣の意見を聞きまして、公安委員が国警長官等の任免をやることになつております。これは社会党の二十三控室の八百板君の討論にもありましたが、これを悪用すれば、まつたく政府原案と同様な結果に陷る危険があります。  私たちは、これらの点にかんがみまして、改正の必要を推進しつつ、民主警察の軸心たる公安委員会の構成を強化したのであります。  その第一点は、国家公安委員会に国務大臣を追加したことであります。  第二点は、東京都特別区の公安委員会に、都の副知事を公安委員として加えたことであります。  第三点は市町村の公安委員会に、執行機関の代表として助役等の職員を入れたことであります。  第四点は、公安委員の前歴に関しましては、現行警察法に幾多の制限があります。しかし、就職の機会均等は新しい憲法の保障するところでありまして、独立復すでに追放の事態も解消いたしております。私たちは、従来アメリカの好みによつてつくられました、この無謀なる就職不均等の原則を打破いたしまして、前歴者をも公安委員の任命資格者として法律の改正を計画したわけでございます。  第五点は、政府原案にありまするところの、総理大臣が特に必要ある場合は指示できるという改正に対しましては、政府当局の答弁その他の説明によりましても指示の範囲が明確でない、憲法に保障されました人権の不法なる彈圧を来すおそれがある、この観点からいたしまして、私たちは、第一に、大規模な災害が発生し、そのため当該地方の民心に不安のある場合、第二に、地方の靜穏を害するおそれのある騒乱を生じ、または生ずべき危険のある場合、第二に、国家的重大な事案または国内全般に関係し、もしくは影響のある治安上重大な事案にかかわる場合、この三つの場合に限りまして総理大臣の指示権を認めるよう改正いたしたのでございます。一部に、非常事態の布告があるから、かかる指示は必要でないということを主張する向きもございまするが、過去四年間の警察法の実施の経験にかんがみまして、範囲を明示いたしましたる、特に必要のある場合の総理大臣の指示は絶対必要であるという意味から、以上の改正をいたした次第でございます。  私たちは、この警察法の問題に関連しまして、特に修正する場合の第一前提といたしましては、警察法にありまする大前提を置きながら、いかにして民主警察というイデオロギーと現実の警察の能率を調整するか、ここに最も限点を置きまして、しかも警察の限界を堅持いたしつつ、この改正案を立案いたした次第でございます。根本的な改正に関しましては、順次具体化の必要もありまするが、政府原案提出を機会に、わが党の修正案を以上のごとく計画いたした次第でございます。おそらく満場の諸君の一致して賛成されることを期待いたしまして、私の趣旨弁明を終りたいと思います。(拍手
  39. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより討論に入ります。川本末治君。     〔川本末治君登壇
  40. 川本末治

    ○川本末治君 私は、自由党を代表いたしまして、鈴木幹雄君外三名提出修正案反対をし、前尾繁三郎君外五名提出修正案及びこの修正案を除く政府原案に対して賛成の意を表するものであります。  御承知の通り、現行警察法は、一九四八年、いわゆるマ書簡を根幹として作成せられましたものでありまして占領治下立法の尤たるものであります。従つて、早晩抜本的の改正は免れることのできない運命にあるのであります。     〔副議長退席、議長着席〕 なかんずく、最近のように犯罪現象が全国的に破壞的関連性を持つようになりますると、もはや従来の法規をもつてしては足りない部分が出て来るのであります。すなわち、現行法の規定によりますると、警察は自治体警察国家地方警察との二つにわかれ、それぞれの間に協力援助をなす義務はありまするけれども、この両者の間には指揮命令の関係はなく、また自治体警察相互間においてすら区々ばらばらな現状でございます。そこで、国家地方警察と自治体警察との間及び自治体警察相互の間において何とか適当の調整を保ち、押し寄せて来る全国的な破壞的犯罪態勢に対処することが必要となつて来ておるのであります。それがために今回の提案がなされ、それぞれの修正案もまた提出されたのであります。  まず改進党の鈴木幹雄君外三名提出修正案につきましては、ただいま藤田君の趣旨弁明によりまして御承知のごとく、私どもが賛成し得ない点はこの修正案は行政簡素化の面から逆行し、それのみでなく、地方におきましても、中央におきましても、その公安委員会に委員を一名ずつ――地方においては副知事を入れようとし、中央におきましては、内閣から大臣をここへ一名加えようとしておりまするが、いずれも、その議会の承認を得ることなくこれを入れようといたしておりますることは、明らかに民主政治に逆行するものであります。しかも、現在においてすら多くはないかと考えられておりまするものを、さらにここに一名ずつをふやすというようなことにつきましては、私どもは軽々に賛成をするわけには参りません。その他二、三の点につきましては、同修正案に対しましても、一方賛成し得られる点もないではありませんが、ただいまの現状におきましては、ただちに賛意を表するわけには参らないのであります。以上の理由をもちまして、私は改進党提案修正案に対しましては反対の意を表するものであります。  次に自由党前尾繁三郎君外五名の提案によりまする修正案を見ますると、国家地方警察本部長官の任免権は内閣総理大臣に與えるという政府原案修正いたしまして、現行法通り国家公安委員会の権限として、ただ任免権を行いますに際して、国家公安委員会内閣総理大臣の意見を聞くこととしております。次に、特別区の警察長、すなわ警視総監の任免権は内閣総理大臣に與えるという政府原案を、これまた修正しまして、現行法通り特別区公安委員会の権限とし、任免権を行うに際しては、特別区公安委員会内閣総理大臣の意見を聞くこととしたのであります。  思うに、国家地方警察本部長官の任免問題に関しましては一国治安の維持の責任内閣にあることは憲法の條章に明記するところでありますから、その任免権を国家公安委員会にのみまかせておくということは適当ではないと思います。しかしながら、その任免にはどうしても内閣総理大臣が一枚加つておることはわれわれ認めるまするが、しかし、政府原案のように、たとい公安委員会の意見を聞くとはいいながら、第一義的の任免権をもつばら内閣総理大臣の手中に収めておきますることは、民主的な運営方式を根幹といたしまする公安委員会の機能のうち最も重要な部分におきまして、これを單なる諮問機関の程度にするという点において、私どもは賛成しがたいのであります。そもそも国家公安委員会国家地方警察本部長宮の任免権を持つことは警察民主化の理想を達成し、警察国家の再出現を防止する上において重要な事柄でありますから、政府国家公安委員会の機能を十分に尊重しなければならないことは当然であります。しかのみならず、政党政治発展の過程にあります日本の現在並びに将来におきましては、内閣総理大臣はおおむね政党の首領がこれに当ります以上、治安担当の主要な執行官たる国警長官の任免を、政党の首領であるべき内閣総理大臣に行わしめる制度は、現内閣のごとき民主的内閣でありますれば、こうまつも心配はいりませんけれども、(笑声)将来、かつての東條英機のごとき思想を持つ内閣総理大臣が出ないと保証する人は何人もありますまい。かような意味合いからいたしまして、政府のかわるたびごとに国警長官の更迭が行われ、さらにこれが部下の警察署長にまで波及して、全国津々浦々の警察官までがその影響を受けるようになりますると、政党の弊がそこから生じて来ます。いわゆるスポイル・システムというがごときことが、昔のアメリカばかりでなく、日本の将来にも適用されるおそれがあります。私どもは、往年の苦杯を再びなめなければならぬということを、厳重にこの場合警戒すべきであると信ずるのであります。このことは、国警長官のみならず、警視総監についてもまた同様と言えるのであります。私どもは、かかる危険性をはらんだ政府原案には賛成することができませんので、右に述べましたように修正した次第であります。  次に警視総監の任免問題に関しましては、警視総監は、東京都という地方公共団体警察長ではありまするが、この地方公共団体は、他の普通地方公共団体とは著しく性格を異にした特異なものであることは申すまでもありません。東京都には皇居があり、国会最高裁判所、内閣を初め幾多の各省官衙もまたこの地にありまする以上、東京都が日本国の政治の中心地であることは申し上げるまでもありません。東京都は、地方自治法上一つの普通地方公共団体には相違ありませんが、それは單なる地方公共団体としての比重よりも、国家的要素としての比重をはるかに多く持つておるのであります。従つて、警視総監の任免権は、第一義的には特別区公安委員会に持たせ、また一方、国家的比重の面から、その任免に際しまして内閣総理大臣の意見を聞くこととし、もつて首都の治安維持はすなわち日本国全体の治安維持に通ずるものである事情のもとに即応せしめたものであります。この意味におきまして、私は自由党修正案賛成の意を表する次第であります。  次に、ただいま申し述べました修正部分を除きまする政府原案、すなわち改正法案の重要点といたしましては一、国庫は警視庁の費用の一部を予算の範囲内において負担することができるようにした二と、次に、内閣総理大臣は特に必要があると認めまするときは、国家公安委員の意見を聞いて、都道府県公安委員会または市町村公安委員会に対し、公安維持上必要な事項について指示をすることができるようにいたしたことであります。第一に、警視庁の仕事は、前述の通りに、多分に国家的要素を含んでおりまするから、国庫がこれに要する費用の一部を負担いたしますることは、こうもさしつかえなく、また国家にも予算の都合もありまするから、かかる支出は予算の範囲内において行うべきこととしたことは、きわめて時宜に適したものと存じます。次に、現下の重要犯罪は、前述の通り、単なる一市町村のみに限定せられるものではありません。国家全体にわたつて計画的に破壞活動が行われようとしておりまする傾向のもとにおきましては、治安の責任をもつ内閣の首長たる内閣総理大臣が、比較的見聞の広い国家公安委員会の意見を聞いて、都道府県会安委員会または市町村公要委員会に対しまして、公安維持上必要な事項について指示することができることといたしておりまするが、これまたきわめて時宜に適した妥当なる措置と存ずるのであります。  以上の理由をもちまして、私は修正部分を除いた政府の改正原案にもまた賛成の意を表する次第であります。(拍手
  41. 林讓治

    議長(林讓治君) 鈴木幹雄君。     〔鈴木幹雄君登壇
  42. 鈴木幹雄

    ○鈴木幹雄君 私は、改進党を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする警察関係法案について、わが党の態度を明らかにいたしたいと思います。結論を先に申し上げますると、警察法の一部を改正する法律案に関しましては、わが党の修正案を支持し、原案並びに自由党修正案反対であります。集団示威運動等秩序保持に関する法律案につきましては、修正案並び修正部分を除く原案賛成をいたすものであります。  警察法について、われわれ立場を明らかにいたしたいと思います。警察法は、占領中にマツカーサー元帥の書簡に基いて制定せられ、施行後すでに四年有余を経過いたしました。警察法趣旨とするところは、過去における警察国家的の性格を一擲し、基本的人権を尊重する立場に立つての、民主化されたる警察制度の確立であります。この目標のために、警察の地方分権化が立法せられ、国家地方警察と自治体警察が別個の立場において創設されましたことは、いまさら説明を要しないところであります。しかして、この四年余にわたる実施の経験と実績は、警察法による警察制度が真に日本の実情に適するものなりや、また占領終結、講和独立後のわが国の治安の現状並びに将来において予想し得る事態に対して、はたして万全なりやという問題につきましては、潰憾ながら全面的に肯定し得ないのであります。昨年、警察法の一部が改正せられて、町村警察の存廃が住民の意思によつて決定せられることになつたのも、この一部の現われであります。われわれも、日本の現状を思い、治安の重大なるを認識するとき、警察法の改正に愼重なる考慮を拂いつつ賛意を表するものであります、しかしながら、今回の改正案並びに自由党修正案は、警察法全体の検討を経たる上の全面的改正にはあらずして、警察行政に関する内閣責任を明らかにするという理由のもとに、国警本部長官と特別区の警察長、すなわち東京警視総監の任免を、内閣総理大臣が、それぞれ国家公安委員会及び特別区公安委員会の意見を聞いて、あるいは修正案によりますると、公安委員会内閣総理大臣の意見を聞いて行わんとするのが一点であります。  内閣総理大臣が直接任免権を握り、あるいは任免にあたつてその意見を必要とするとなすことは、実質的には警察の執行機関の人事権の掌握であります。理論的に申しまするならば、総理大臣が国会同意を得てその委員を任命し、内閣の所掌に属する国家公安委員会は、その任務の最も根幹であり、警察民主化の重点である国警長官の任免権を実質的に失いまして、その機能は諮問機関たるの地位に転落するものと言わなければなりません。また実質的運用の面よりいたしますれば、警察の政党化の弊はここに端緒を発するものであります。かつて日本警察は政争の熾烈化に伴い、その人事が濫用せられ、時の政府、與党のためにする運営がなされた実例をわれわれは想起するものであります。警察人権をあくまでも尊重しなければなりませんが、これと同時に、不偏不党の立場を堅持し、不正に対しては断固として強く正しくあらねばならぬのであります。過去において警察に政争の弊をもたらし、政治的堕落の原因をつくつたものは、政府による人事の不公正と濫用であります。われわれは、過去の実例を知るがゆえに、制度的に警察責任者の人事を掌握することによつて警察政府與党化を来さんとする原因を温存する内閣総理大臣の任免権につきましては反対せざるを得ないのであります。  さらに、警視総監の任免に総理大臣の関與することは、国警長官の場合より一層の理論上の混乱があると存するものであります。東京警視庁は、その所轄区域については日本の首都であり、その政治的、経済的、文化的の地位が全国に例を見ないところであることは言をまちません。従つて、首都警察として警視庁の性格と機能を改正せんとするならば、これまさに検討に値する問題であります。しかるに、この問題を飛び越えて、その長たる警視総監の任免についてのみ内閣総理大臣が関與せんとする自由党修正案並び政府原案は、われわれの了解に苦しむところであります。特別区警察は、現行法上、自治体警察であります。自治体警察は、国察地方警察とは独立し、自治の本義によつて設置されるベきでありまして、これに、内閣総理大臣が、自治体の意思に関係なく人事権に介入することは、はたして自治体警察の本質を害せざるものと言い得るでありましようか。しかして、この人事権を通じて、自治体警察たる警視庁を政争のうちに陥れる危険なしと断言し得ないのであります。  私は、以上の理由に基いて、内閣総理大臣を国警長官並びに特別区警察長の任免に関與せしめんとする修正案反対をいたすものであります。治安の責任はもちろん政府にあり、このことは單に警察の面のみの問題ではありません。政府全般の施策が治安に関するものであり、なかんずく経済政策を通じての国民生活、あるいは労働問題、文化、道徳の問題等がこの根幹であり、警察は治安の一部門にすぎないのであります。しかるに、政府は、治安の問題を、警察の部門に重点を置き、さらに最高執行機関の人事権を内閣に掌握することによつてこれを解決せんとするがごときは、本末を転倒せるものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  公安委員会を中心として、これに行政管理と運営管理をつかさどらしめ、もつて警察民主化をはかることを根幹とする警察法趣旨は尊重せらるベきであると信じます。公安委員会弱体なりとするならば、これに必要なる改正を加うべきであり、運営よろしきを得ざるものありとするならば、これが改善の方途を講ずべきであります。われわれの修正案は、かかる見地より、最小限度の現在の要求といたしまして、公安委員会の組織に改革を加え、もつて警察運営に支障なからしめんとするものであります。  次に、内閣総理大臣の公安維持上の指示権についてであります。国家非常事態については、特別措置として、内閣総理大臣による全警察の統制が行われるのでありますが、かかる事態は真に国家存亡にかかる重大なる時期に限定せらるべきでありまして、みだりに発すべきではありません。しかしながら、かくのごとき事態には至らないとするも、特に治安上重大な事由ある場合のために、特別の措置として、内閣総理大臣が公安維持上必要なる指示を当該公安委員会に行う権限を認むることは、警察法の建前と矛盾するものではなく、またその必要性を認むるものであります。しかしながら、この指示もみだりに行うべきでないのは当然であります。ことに、公安維持上ということに名をかりて人事に關與することは、嚴に戒むべきであります。われわれは、従つて、この條項にも、この趣旨を明らかにした修正を行わんとするものであります。  以上により、警察法に対して、自由党修正案並び原案に対して反対の立場を明らかにするとともに、わが党の修正案を支持するものであります。  次に、集団示威運動等秩序保持に関する法律案について申し上げます。集会、多衆運動等は、憲法の保障する基本的人権であり、みだりにこれに干渉すべきでないことは言をまちませんが、この種の運動が、その正当な範囲を逸脱して無秩序、無統制に陥るがごときは、公共の福祉を害するものと言わねばなりません。終戰後、国内各地に多衆運動が活濃化したることは、国民の自由な意思の表現として喜ぶべきことでありますが、中には民主主義の行き過ぎがあり、あるいは公共の安寧を害するがごとき事例をも見るに至つたことば事実であります。ことに、最近における五月一日のメーデーに際して、メーデー散会後においてとはいえ、皇居前広場における騒擾事件を頂点とする一連の各地における不祥事件は、多衆運動の正当なる範囲を通脱せるものありといおざるを得ないのであります。  本法は、従来、都道府県及び市町村において、條例をもつて個々に規制せる、この種運動に対する秩序保持に関するものを統一して法律化せんとするものであり、最近の事態に対して、この種の規制の必要が是認せられるのであります。  本法に関して、一部論者においては、過去における許可主義をとる條例の違反事件につき、地方裁判所によりなされたる判決により、違憲なりとするものがありますが、本法は、この種運動は届出をもつて足るとなしたる点より見ても、違憲論は成立し得ないと信ずるものであります。ただ、私は、法の執行にあたり、政府並びに警察機関に望むところがあるのであります。すなわち、国民の自由なる意思の表現として、この種運動は十分に尊重すべきであります。しかして、公共の福祉を害する最小限度においてのみその規制を行うべきことを銘記しなければなりません。このことを強く要望いたしまして、修正案並び修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。(拍手
  43. 林讓治

    議長(林讓治君) 門司亮君。     〔門司亮君登壇
  44. 門司亮

    ○門司亮君 私は、ただいま議題になつております警察法の一部を改正する法律案並びに集団示威運動等秩序保持に関する法律案、二の両案の原案に対しまして、さらに自由党、改進党から出されておりまするおのおのの修正案に対しましても、日本社会党を代表いたしまして反対の意思表示をするものであります。(拍手)  先ほど委員長報告にもあり、また改進党の藤田君のお話のうちにもありましたように、今日の警察法ができておりまするそのゆえんのものは警察法の前文に書いておりまするように、竹本の民主化と、日本国民の真に自由なる意思のもとに行われまする、組織のある、かつ秩序のある治安の確保をしなければならないということであります。すなわち、念のために前文だけを朗読いたしますならば、「国民のために人間の自由の理想を保障する日本憲法の精神に従い、又、地方自治の真義を推進する観点から、国会は、秩序を維持し、法令の執行を強化し、個人と社会責任の自覚を通じて人間の尊厳を最高度に確保し、個人の権利と自由を保護するために、国民に属する民主的権威の組織を確立する目的を以て、ここにこの警察法を制定する。」と規定いたしておるのであります。この警察法の前文から見て参りますと、当然国民最高の尊嚴を保持することのためにこの警察法ができておるのでありまして、従いまして、この前文から出て参りました警察法は真に日本の治安を維持するために、国民みずからが民主政治の建前から、みずからの責任においてその治安を確保して行こうという、きわめて民主的の組織にできておることは申し上げるまでもないのであります。しかるに、政府は、このきわめて民主的の運営をし、民主的にみずから治安を確保しようとするこの国民の意思に反しまして、権力をもつて治安の確保をいたそうといたしておるのであります。  およそ治安の確保をいたそうとする場合に、機構の改革や権力の政治において断じて治安の確保はでき得ないのであります。実例を申し上げまするならば、かつて日本警察国家の最も強かつたと目されておりまする大正七年における、かの富山県に起つた米騒動は、一体何を物語るかということであります。米一升が五十銭になつたということで、富山県の一角から、細君連中が、これではとうてい自分たちの生活ができないということがその口火となつて、遂に米の問屋を襲撃し、あるいは米の倉庫を襲撃することが伝播いたして参りまして、全国三十八箇所の県及び市にまで騒動が起つて、遂に單隊を出動せしめなければこれを錘圧することができなかつたことは、皆さんも御承知の通りであります。この事実は一体何を物語るかということである。警察の権力が最も強かつた大正七年当時、いわゆる天皇制のもとに、国民はその多くの自由を奪われておつた当時においても、国民が食うに困るという一つの現実にぶつかつて参りまするならば、生きんがためには、これは細君連中が考えたことにいたしましても、遂これから米騒動が勃発した。そのことを、よくわれわれは考えなければならない。  このことは治安の問題が單に権力や行政の改革のみによつて行われるものではないということである。先ほども改進党の鈴木君から申し上げましたように、治安の確保のためには、政治情勢がきわめて大きな役割を果すものであつて警察制度というものは、單にその一つ部分的な治安の確保に当るのみであつて、根本的な問題ではないということである。もし自由党にして、真に今日の治安を確保しようとするならば、まず国民大衆の生活の安定のことを、この警察法改正の前に、よくお考えになることが重要でなかつたかと私は思うのであります。(拍手)の国民生活の安定ということを十分考えないで、一方においては国民は重税にあえぎ、一方においては低賃金に労働階級が酷使されておりまする今日の現状において、私どもは、機構の改革と権力の集中のみによつては、治安の確保は断じてできないであろうということを、強く申し上げなければならないのであります。メーデー事件に際して、このことを喫機として、あるいはこれを一つ理由として、こういう法案提出されたかと思われるのでありまするが、メーデー事件にいたしましても、あの中で、一体極左分子は何人おつたかということであります。多くの諸君は、これに雷同し、これに同調したものであつて、真に計画的にあの騒動を起そうとした人はきわめてわずかであつたということを、諸君はよく知らなければならないのであります。(拍手)この扇動あるいはこの計画に雷同し、同調する者は、時の政府に対する、みずからの生活の不安定から来る一つの反撃であり、何かの衝撃に国民大衆の生活の不安が爆発したものであるということを、よく政府当局においては知つていただきたいと私は思うのであります。(拍手)このことを忘れて、いたずらに今日のように警察法を改正しようとすることは、まつたく本末を転倒するもはなはだしいといわざるを得ないのであります。  しかも、案の内容については、先ほどから、るる申されております通りに、今日、国家公安委員の運営管理のもとに、しかも民主的に定められ、同時に国会の承認を得た国家公安委員会国家地方警察本部長官を任命する、その任命権を内閣総理大臣が取上げ、さらに特別区の存しまする、いわゆる東京都の警視総監に対しましても、警察長に対しましても、これを今日のように公安委員会の推薦にまかせないで、内閣総理大臣が把握しようといたしておるのであります。しかいたしまして、その理由の中に、警察の権限を一本化し、さらに治安の責任の所在を明確にするためにこの法律を出したと言つておりまするが、治安の責任内閣にあるということは憲法通りであつて、しかも警察法の四條によりましても、国家公安委員は内閣総理大臣の所轄のもとにこれを置くということが明確に書いてあるのであります。そう考えて参りまするならば、何もこの国家地方警察本部の長官が総理大臣の任命でなくとも、その長官を任命する公安委員会は明らかに内閣総理大臣の所轄のもとにという文字を使つております以上は、当然内閣に治安の責任があることは明らかになつておるのであります。何もここに機構を改革しなくても、ちつともさしつかえのないことである。この、ちつともさしつかえのないことを、もつともらしい理由をくつつけて、これを内閣が握ろうとするところに今日の政府並びに與党の陰謀があることを知らなければならないのであります。(拍手)  すなわち、かつて日本警察国家のごとく、一切の国家権力を警察にゆだねて、それのすベての権限を内閣が握つて参るということになりまするならば、先ほど朗読いたしました警察法の前文の趣旨にまつたく相反するのであります。今日公安委員会を設けておりまするゆえんのものは、いわゆる政党政治であり、時の内閣の意向によつて、治安あるいは国民の大幅な人権権利義務が阻害ざれることのないように、基本的人権はあくまでも厳正公平にこれを維持することができるようにせんがためであります。しかるに、この制度をくつがえして、内閣がこれし掌握いたして参りまするならば、いかにして警察の厳正と公平を保ち得るか。もし警察の厳正と公平が保ち得なかつたならば、再び治安が乱れるであろうということは、火を見るよりも明らかであります。われわれは、かくのごとき改正案に対して賛成をするわけには参りません。  さらに改正案の最も重大なものは最後に書いてありまする内閣総理大臣の指示権であります。内閣総理大臣の指示権とは一体何であるか。内閣総理大臣は、必要な事項があるならば、これを国家地方警察、あるいは国家公安委員会、あるいは地方の公安委員会を通じて、全国にその処置を指示することができるということに相なつておるのであります。この指示は、単なる指示にあらずして命令であるということであります。日本警察法の中にすでに設けてありまする非常事態の宣言は、一体何を物語るか。地方においても、国家全体においても、もし今日の警察力において十分これを取締ることができない、鎮圧することができない事態に対しましたときには、当然この警察法に定めてありまする非常事態の宣言が行われなければならないのであります。非常事態の宣言は、都道府県の公安委員あるいは国家公安委員等の助言によつて内閣総理大臣がこれを布告いたして参りまするが、この国家非常事態に至らない前に、内閣総理大臣は各警察に対して指示をし、命令をすることができるということになつて参りまするならば、日本国家非常事態は二元化されるのであります。  それのみならず、先ほど本国会を通過いたしました保安庁設置法案の中には、その六十一條に、明らかに、内閣総理大臣は必要のある場合においては保安隊並びに海上警備隊を出動させることができるという規定を設けておるのであります。こうなつて参りまするならば、総理大臣は、必要のあるときには保安隊あるいは警備隊を出動せしめる、また必要のあるときには全国の公安委員会に対して命令をすることができる、さらにその次に、非常事態の宣言において、警察権を全部掌握することができるということになつて参りまするならば、国家非常事態に対する内閣総理大臣の権限は三元化するということに相なつて参るのであります。  この警察法改正によつて指示権を内閣総理大臣に與えようとすることは、以上の理由をもつて、すべての日本の治安に対する権限が内閣総理大臣にまつたく一元化されて参るということに対して、きわめて多くの危険性を持つものであります。すなわち、今日の保安庁は、陸海單を合同いたしました多謀本部、いわゆるアメリカのペンタゴンにひとしいものであります。この陸海單を一方に掌握し、一方においては警察官を掌握して、これで国民大衆権利なり、国民の基本的の人権を圧迫しようということになつて参りまするならば、かつて日本に、東條以外にこのような権限を持つたものがあるでございましようか。吉田内閣総理大臣は、東條内閣以上に、日本の治安確保ということに名をかりて、一切の権限を把握しようとする、きわめて恐るべき陰謀であり、その実力を與えるものであることを、私は強く主張しなければならないのであります。(拍手)  さらに、この問題に対する自由党修正案でありまするが、自由党修正案は、政府原案に、内閣総理大臣が公安委員筆の意見を聞いて長官並びに警察長をきめるどいうことになつておるが、これを逆にいたしまして、公安委員会内閣総理大臣の意見を聞いてこれを定めるということにいたしております。こういうことが一体なぜ行われるか。実質的にはまつたく同じようなものでありますけれども、なぜこうしなければならなかつたかといえば、公聽会その他の世間の輿論に抗しかねて、私はここにごまかしの警察法の改正案を出して来たということを申し上げても決してさしつかえないのであります。かくのごとき欺楠の政府修正案に対しまして、私どもは賛成するわけには参りません。さらに、改進党の修正案でありまするが、この修正案において、公安委員会内閣総理大臣が任命する国務大臣を一名加えるということ、さらに地方の公安委員会に対しても、おのおの副知事あるいは市の助役等がこれに入つて参りまするならば、私は実にこれはナンセンスだと思う。公安委員会をこしらえましたのは、先ほど来申し上げておりまする通り、これが厳正公平を期さなければならないということで、当然行政機関と別個にこういうものを設置しておるにかかわらず、行政庁の責任のある者がこの公安委員会の中に入つて参ることになりまするならば、一体何が行われるかわからぬということであつて、この修正趣旨を私どもは十分にくみとることができ得ないのであります。さらに、内閣総理大臣の指示事項に対しまして、これに制限を加えたということは一つり進歩のように見えまするが、実際上の運営にあたりましては、この指示事項の拡張解釈において、原案と同じようなものが私どもは執行されるであろうということを、きわめて憂慮するものであります。従いまして、両修正案に対しましても、同じように私は反対をしなければならないと思うのであります。  次に集団示威運動等秩序保持に関する法律案でありまするが、集団示威運動等に関しまして、今日日本の国において、これらの秩序を保持するために行われておりまするものは、各都道府県並びに市におきまして、公安條例その他において、これの秩序保持が行われておるのであります。政府に言わせますならば、これを一元化して法律化することが最も適当だと申されておりますが、日本の今日の各自治体における公安康例の実施状態を、私ども、つぶさに見て参りまするならば、四十六都道府県のうち二十三都府県しかこの公安條例を持つていないのであります。
  45. 林讓治

    議長(林讓治君) 申合せの時間が過ぎておりますから簡単に願います。
  46. 門司亮

    ○門司亮君(続) 二百六十七の市がありますときに、それに対しまして百三十の市しか公安條例を今日持つていないのであります。こう考えて参りまするならば、政府の言うように、全国都道府県並びに自治警察を持つておりまする市町村全部がこれを今日施行いたしておるわけではありませんときに、何を好んで政府はこれを一律化しなければならないかということであります。  しかも、この法案の内容を見て参り、まするならば、七十二時間以内に届出をして、二十四時間内に補正命令あるいは遵守命令を出すといつております。その提案理由の中には、届出制にして、許可制ではないから、民衆の権利を極度に圧迫するものではないと申されておりますが、なるほど一応七十二時間内に届出をして、二十四時間前に、いろいろな制限を加えて、これを命令するということでございます。すなわち、その命令の申には、時日の変更、場所の変更、集会の人員の変更等を命ずることができるということであります。およそ、今日示威運動を行い、屋外集会を行おうといたしまするものは、急迫事態があるか、あるいはその時期というもの、これらを施行いたしまするものにとりましては、きわめて重要なものであります。しかるに、そういうように一方的に公安委員会において時日を変更することができるということになつて参りまするならば、事実上示威運動はできないであろうということであります。さらに場所の変更が命ぜられ、あるいは人員に対しましてもこれを制限することができるということになつて参りまするならば、どこに一体民衆の自由があるかということであります。
  47. 林讓治

    議長(林讓治君) 申合せの時間が経過しておりますから、簡単に願います。
  48. 門司亮

    ○門司亮君(続) 法案趣旨の内容を考えまするならば、届出制であるといいながら、その案の内容は、あくまでも国民人権を剥奪し、さらに、当然労働階級の基本的の権利でありまする、憲法に定められたる集会その他の権利に対して極度に圧迫を加えようとする、まつたく羊頭狗肉の案と申し上げましても決して過言ではないのであります。  さらに、自由党の改正案は、これに対して七十二時間を四十八時間に訂正いたしておりますが、ただ届出のところだけ、七十二時間を四十八時間にいたしましても、一番重要な遵守規定あるいは制限規定ということに何ら一指も触れていないところに非常に大きな欺瞞性があるということを、私ははつきり申し上げなければならないのであります。以上の理由によりまして、原案並びに両修正案に対しまして、日本社会党断固として反対の意を表明するものであります。(拍手
  49. 林讓治

    議長(林讓治君) 立花敏男君。     〔立花敏男君登壇
  50. 立花敏男

    ○立花敏男君 私は、日本共産党を代表いたまして、ただいま提案されておりまする二つの政府原案並びにそれに対する與党提出の二つの修正案及び改進党提出修正案に対しまして全面的に反対するものであります。  安全保障條約及び行政協定によりますれば、日本の安全を守るという理由のもとに、アメリカ帝国主義、あるいは吉田政府の軍事植民地政策に反対するところの民族独立の運動に対しまして、これを間接侵略と称し、あるいは急迫した脅威と称して、アメリカ占領軍は自動的に出動し、日本警察予備隊国家警察、自治警察、すべてをその指揮下に入れまして、人民彈圧に協力せねばならぬということが規定されているのであります。しかも、現在三百万組織労働者によつて行われつつありまするところの第三波ゼネストは、アメリカ帝国主義者と吉田政府を完全に狼狽せしめつつあるのであります。この際、特にわれわれが重要な問題として指摘しなければならないことは、最近アメリカに帰りましたジヨン・フオスター・ダレスが、最近の日本国民の革命的高揚の鬪いを目しまして、これこそ共産主義諸国の侵略的計画に基くものであると述べている点であります。  今や、行政協定第二十四條の規定の発動は時間の問題となつているのであります。従つて、吉田政府にとつては、一日も早いアメリカ占領軍の忠実な下請彈圧機関としての全警察機構の掌握が、何よりも不可決の緊急の要務となつてつたのであります。従つて警察法の改正法案は、最も植民地的な彈圧法案にほかならないのであります。そのために、政府は、今回の警察法の改正案によりまして、国家公安委員会を排除いたしまして、総理大臣みずからが国警長官を任命し、東京都公安委員会を排除いたしまして、総理大臣みずからが警視総監を任命し、さらに必要に応じて、総理大臣みずからが全国都道府県及び市町村の全公安委員会に対しまして適当なる指示を與えることを規定したのであります。この三点の改正によりまして、吉田総理は完全に日本の全警察組織を自己の掌中に收めるのであります。この三点の改悪によりまして、憲法も、警察法も、地方自治法も完全に骨抜きにいたしまして、全警察組織は、国民のための警察から、政府のための警察、吉田ワンマンのための警察となり下るのでありまして、これを用いまして、思うままにアメリカ帝国主義の日本国民彈圧の具に供さんとするものであります。これは、かつて東條大将が内務大臣を兼ねまして内務省警保局を通じて全警察組織を掌握し、治安維持法を利用いたしまして全人民を断圧し、日本をあの恐るべき侵略戰争に追い込んだ以上の売国的、植民地的陰謀といわざるを得ないのであります。(拍手)  破壞活動防止法案は、治安維持法を上まわる未曽有の彈圧法案であることは明瞭であります。警察法の改正は破防法を裏づけ、破防法を実行するところの警察組織の未曽有のフアツシヨ化の法案であります。この二つの法案は、裏となり表となり、今後アメリカ帝国主義とその手先の吉田政府日本国民を収奪し、彈圧し、殺戮する最も有力な武器となることは明瞭であります。そのことは、政府がこの法案国会提出いたしましたのが、民族独立の歴史的な闘い、五・一血のメーデー彈圧直後であつたことを思い起せば明瞭であります。(拍手人民広場において労働者たちが流した、まつ赤な愛国の血潮の持つ革命的な影響力に驚きおののき、自分たちの彈圧の無力を痛感して気違いのようになりましたアメリカ帝国主義者とその手先である吉田政府が、人民広場血の彈圧全国規模に押し広げようとするのが、この警察法案であります。この法案は、しかるがゆえに、まさに全日本国民に対するところの血の彈圧の宣言文にほかならないのであります。  今や、全国至るところで、国民の生活を守る運動、民族独立の運動に対しまして、狂人のごとく武裝警官が襲いかかり、警察官による国民の射殺は日常茶飯事となつておるのであります。最近、国会議員の登院すら武裝警官によつて阻止された事実があるではないか。七日のごときは、武裝警官国会の門をとざして陳情団を拒否したではないか。裁判所もまた、数百名の武裝警官の保護のもとに、ようやく裁判を開いておるという状態ではないか。日本の立法も司法も、その他一切の政治行政が、警察暴力的援助なくしてはやつて行けなくなつておるのであります。この事実を合法化し、制度化せんとするのが、この改正法案のねらいである。これは李承晩のクーデターとまつたく軌を一にするものであるといわざるを得ないのであります。ゆえに、この法案は、明らかに日本国民に対する植民地的フアシズムの宣言文であり、警察クーデターの予告文であります。  しかも、特に注意しなければならないことは、審議の過程におきまして重要な問題は、警察官の持つ武器の問題であります。すでに催涙ガス、ジユネーヴの国際会議において、戰争においてすら使用を禁止されたものであることは、御存じの通りであります。しかも、これを議会にもはかることなく、單に国警長官の訓令一本をもつて国民に対して使用しておるのであります。斎藤国警長官の言によれば、いかなる武器でも訓令一本で警察官に使用せしめることができるとうそぶいておるのでありますが、国民のしもべであり、国民の召使であるところの警察が、御主人公の知りもしない、許しもしない凶器を用いて、どんどん御主人公を殺しているというのが、現実の警察の姿であります  さらに重大な問題は、ピストルの問題であります。木村法務総裁は、スピトルは日本の所有物であると言つておりますが、谷口国警次長は、アメリカから借りておると言つておるのであります。しかも、なお追究いたしますと、ピストルは、何ら国際的協定にも基かず、もちろん議会の承認も経ることなしに、日本警察が無断で、非合法で使用していることが明白になつたのであります。吉田売国政府は武器密輸入の元凶であると申しても過言ではないと思うのであります。日本愛国者たちは、まつたく非合法な、売国的なピストルによつて人民を殺傷しておるということを断じて許すものではないのであります。(拍手)  次に、集団示威運動等秩序保持に関する法律案について意見を述べます。以上のごとく、完全にフアツシヨ化され、中央集権化され、吉田ワンマンによつて握られました警察力を用いまして、今や完全に全国的に立ち上つております人民の反吉田闘争、独立の闘争に対しまして、実力をもつてこれに対抗せんとしておるのが、この集団示威運動に対する取締りの法案であります。国民及び労働者の集会、示威運動等は、民主日本のための基本的な推進力であることは間違いがありません。平和憲法の明記するところであります。この基本的権利を一方的に制約するいかなる法律も條例もすべて憲法違反であり、かつ無効であることは、すでに京都地方裁判所の判決によつて明瞭であるのであります。しかるに、吉田政府は、占領当時、占領單の指示によつて日本国民彈圧のためにつくられ、すでに裁判所の判決において憲法違反の明白なる公安條例を法律として統一し、全国規模において、一切の集会、デモを禁止制限せんとしておるのであります。  公安條例は、占領單が直接これを全国各自治体に強制的に制定せしめんといたしたのでありますが、現在いまだ大部分の自治体がこれを拒否しておるのであります。かくのごとき、占領当時の遺物であり、しかも大部分の市町村が制定を拒否している売国彈圧條例を、なぜ講和後の今日、全国的な規模にまで押し広げようとするのであるか。ここにアメリカ帝国主義と売国吉田政府の植民地的彈圧政策がはつきりと暴露されておるといおざるを得ないのであります。  しかも、許可制を届出制に改正するという形式上のごまかしをやりながら、実質上は、この届出制は補正命令と遵守命令というところの二つの命令によつて、完全に許可制以上の禁止的制度となることは明瞭であります。警察は、届け出られた集会あるいはデモに対し、まつたくかつてな條件を、命令として天くだり的に押しつけることができるのであります。たとえば、行進隊形、あるいは行進隊列の区分に至るまで命令することができるのであります。しかも、これに従わない場合は、実力をもつてこれを制止することができるといろのであります。かくて、この法案は、明白に大衆の実力行動に対する彈圧法案であるということは言うまでもないのであります。(拍手)打続く労働者のストライキ、それを中心とするところの国民各層の集会、デモの波は、今や全国的に、至るところに潮われつつありますが、これこそアメリカ帝国主義者日本支配を根底からゆり動かし、彼らを太平洋に追い落すところの原動力であります。また売国吉田政府を打倒する革命的な原動力であります。この国民大衆の革命的威力をひしひしと感ずるがゆえにこそ、吉田政府によつてこの法案提出されて参つておるのであります。ゆえに、この法案は、彼らの強大を示すものではなくて、逆に弱小を示すものといわざるを得ません。  今やほうはいとしてわき起りつつありますところの民族独立の鬪争は、もはや、いかんともすることができないでありましよう。八千万国民民族独立の愛国的闘争を禁止することは、いかなる力をもつてしても絶対に不可能であります。日本共産党は、八千万国民の行手をさえぎります一切の売国彈圧法案断固大衆の実力とともに粉砕することを誓うものであります。(拍手)  最後に、改進党の修正案に対して一言いたしておきます。改進党の警察法に対する修正案は、これは修正ではなくて改悪であります。あすこにいる木村法務総裁国家公安委員会に加えることが、いかなる意味においても警察法の民主的な修正でないということは、何人の目にも明らかであります。この一事をもつていたしまして、改進党の本体が暴露されておるのではないかと思うのであります。改進党は、最近選挙を控えまして、再軍備政策をひつさげて、大衆の気持に迎合せんといたしておりますが、しかし、再軍備の議論をひつさげただけで、逆に警察法のフアツシヨ化を推進する態度は、これこそ私は改進党のために惜しまざるを得ないと思うのであります。  以上をもちまして、共産党の反対討論を終らせていただきます。(拍手
  51. 林讓治

    議長(林讓治君) 八百板正君。     〔八百板正君登壇
  52. 八百板正

    ○八百板正君 私は、日本社会党第二十三控室を代表して、警察法の一部改正法案並びにこれに対する自由党、改進党の修正案にそれぞれ反対し、同時に集団示威運動等秩序保持に関する法律案及びこれについての自由党修正案反対する旨を明らかにいたします。  まず集団示威運動等秩序保持法案について見まするに、この第一條の法の目的を見ますと、一見この法律の適用は屋外集会についてのみ行われるように見えるのであります。また政府の答弁も、屋外集会の秩序保持だけを対象とする旨を答えております。しかし、第一條には「この法律は、集団示威運動、集団行進又は屋外集会が公衆の」云々と書かれておるのでありまして、法律として文字通りになりますと、屋内の集会でも集団示威運動であると認定され、この法律の対象に入れられる場合が予想されるのであります。しかも、それらの判定が、形式上は公安委員会の判断にあるかのごとき外見をとりながら、実際には、第五條に明かなごとく、この権限の行使警察長または警察官もしくは警察吏員を指定して委任できることを定めております。  さらに、この法律は、先に同僚議員の指摘もありましたように、法の体裁は届出制をとりながら実際は、ああせよ、こうせよと命令する権限を警察に持たせたもので、警察の思う通りにならなければ許さないという、普通の許可制以上にきびしい取締許可制となつておることが問題であります。憲法二十一條は、集会、言論の自由、その他一切の表現の自由を保障することを規定いたしております。また二十入條は、勤労者の団結する権利及び団体交渉の権利、その他団体行動をする権利を保障しているのであります。団体行動とは、集団をもつて個人では守れない自由を守ることであつて団体行動それ自体、集団示威的なものを固有のものとして包むものであります。この憲法上の権利を、一警官の判断と独断により制限し、ときには禁止と同様の処置をなさしめることは、公共の福祉に名をかり、団体の運動を彈圧する意図を示したものと判定せざるを得ないのであります。これが解釈のあいまいなるこの法律によつて、人によつて運用せられるということは、戰前の治安警察法よりもさらに野蛮な法律の退化となる危険を指摘しなければならないのであります。  次に警察法の一部改正について見まするに、まず第一に、私は警察の最も重要な機関たる公安委員会がそれ自身これに反対していることを申し上げたい。五月十四日、東京都で開かれた全国自治体公安委員会連絡協議会臨時大会の決議は、この警察法の改正案は、民主主義理念を基調とする現行警察法の根幹を否定し、中央集権的警察国家を復元するものと認められるので反対であると宣言いたしております。また東京都議会議長名による意見書によれば、これは橋本特別区公安委員長もこれを支持することを委員会において言明いたしましたが、これによれば、政府警察法の一部改正を提案し、特に東京都特別区の警視総監を内閣総理大臣の任命制に改め、公安委員会に対する総理大臣の指示権を認めんとするに至つたことは、たまたま都内に発生した騒擾事件に便乗し、警察権を実質的に政府の手中に掌握せんとする暴案である云々と述べております。  自由党修正案は、この輿論の反対を緩和するために修正を試みておりますが、この修正では、かえつて悪くなつたと申さねばなりません。すなわち、この法は、責任の所在を明らかにすること及び治安の確保に資することの二つを眼目といたしておりまするが、この修正見ますると、実質的には総理が警察権を握れるようにして、責任は自分ではとらないで、公安委員会をして長の首を切らせるという運営になることば必至と申さなければなりません。意見を聞くときは、聞いても聞かぬでもよいというふうなことでありまして、この点について、委員会において幾たびか明らかにすることを要求いたしたのでありまするけれども、さつぱりはつきりしておらないのであります。すなわち、運用の妙でうまくやるのだ、こういうふうに政府自由党は答弁いたしておりますが、われわれは、うまくやられては困るのであります。公安委員会独立の機能を持たせた、政党勢力の支配を排除するという精神がくずれてしまうということは、警察制度そのものの根本生命をも殺すということを忘れてはならないのであります。  ことに、自治体警察国家地方警察運営管理または行政管理に服するものではないということを警察法では定めております。すなわち、指示されないところの独立の立場をとらしめてありますところの警察法第五十四條の精神は、六十一條の改正によつて、まつたく踏みにじられているといろ点であります。すなわち、六十一條の二は、内閣総理大臣は特に必要があると認めたときは自治体警察に指示権を持つということになつておりますが、これを見まするに、この点、自治体警察の機能をまつたく総理大臣の指揮下に改め得るようにいたしているのであります。もともと警察法は、非常の場合において内閣総理大臣の行う全国的な警察権、全体に対する指示権を規定しております。しかしながら、この非常事態は布告宣言して行うことになつておりますが、この場合には、警察法第六十五條、第六十六條において、非常事態の在告は、これを発した日より二十日以内に国会の承認を得なければならないと定めてあります。さらに六十六條は、必要がなくなつたときはすみやかに廃止の布告をしなければならない、さらに、国会が命じたならば、総理は布告の廃止をしなければならないということを規定いたしております。  ところが、今回の改正では、單なる内閣の独断により、全国警察権を一手に掌握することができる。しかして、これを制限する何らの規定がないということであります。警察法の精神は、警察を一本化する場合は、憲法に反する変則であるから、国会の承認を規定して、権力の集中濫用を排除したものであります。すなわち、全国一本の統一的権力の行使は、国会の承認した限りにおいて一時的に許されることを規定したものであります。しかるに、この改年は、だれが見てももつともだと思うような場合でさえ国会の承認を條件としておりまするのに、あやしい場合でさえ、首相の独断で、全国的に警察権の指揮監督権を一手に持つことができるということは、まことに危険きわまりないものといわなければならないのであります。(拍手)これは、国会の監視から瞬けて、かつてにやれる便法を法制化したものと申さなければなりません。さらに重要なことは、特に必要だといつて、いつまでも、繰返し繰返し継続的に、必要だ必要だといつて、ずるずると常態化し、慣例化して、うやむやのうちに自治警の本質が失われてしまうという危険であります。  そもそも国の政治国民の信託によるものであつて、その権威は国民に由来するものである。国民意思の誠実なる代表がこれを行わなければならないものであります。警察権の行使は、国民行為の自由の拘束を伴うところの権力の発動という形になつて参るのであります。いうまでもなく、日本憲法は人間の自由の尊嚴を定めているものでありまするが、憲法に定められましたところのこの尊厳なる人間の自由を警察権の行使によつて拘束するものでありまするから、従つて警察運営というものは、ほかの機関よりも一層民主的な運用を必要とするものであります。すなわち、一部の独裁的な支配となつてはならないのであつて、この点、自治法による自治体警察が今日行われておりますところの意義であろうと思うのであります。人事委員会の制度が生れたのもここに基因するとわれわれは考えるのであります。ところが、警察の指導権というものは、いうまでもなく会議体でありますところの公安委員会、こういうようなものにまかしたのでは、迅速に集中的な権力の行使ができない、手取り早くやりたいために、こういうものを抜きにしたいという考え方が生れるのも一応うなずけるところでありますが、しかしながら、そういう形をもつて今日の治安の確保を期することはできないと私は思うのであります。だからといつて、本来の公安委員会制度の改善を怠り、人事権だけでこれを片づけようとすることは、本質を見ないものであると申さなければならないのであります。今日、治安確保の阻害は一体どこにあるかということを考えますならば、それは任免権によつて救済せられるものでは断じてないのであります。運営の民主化と、警察の質的向上こそ今日必要であるとわれわれは考えるのであります。警察は、民衆から信頼され、協力されながら秩序維持に当るにはどうすればよいかということを今日こそ考え、警察の眼目として法の中に考慮しなければならないと、われわれは考えているのであります。これを、ただ私兵化し、一部の者が利用することだけを考えるということは、やがて警察をして秩序維持の治安担当の能力なきに至らしめる危険を指摘しなければならないのであります。(拍手)われわれ日本社会党第二十三控室は、平和憲法を守り、非武裝憲法を強く支持する建前に立つているのでありまするが、われわれは、かるがゆえに、公正なる警察の秩序維持に特に期待することが多いのであります。この改正案は、そうした警察の民主的傾向に対して、まさに反対の逆コースをとるものであると考えまするがゆえに、われわれは強く反対せざるを得ないのであります。(拍手
  53. 林讓治

    ○霞岳(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  これより警察法の一部を改正する法律案につき採決いたします。まず本案に対する藤田義光君外五名提出修正案につき採決いたします。藤田義光君外三名提出修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  54. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて修正案は否決されました。  次に本案につき採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  55. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り決しました。(拍手)  次に集団示威運動等秩序保持に関する法律案につき採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  56. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り決しました。(拍手)本日はこれにて散会いたします。     午後五時九分散会