○
重盛壽治君 大体
千葉委員、森崎委員その他の委員から、特に
千葉委員から数字的な問題を挙げていろいろ論議されたのだが、私共は
淺井総裁に来て貰いたか
つたということは、決して
山下人事官を軽視するわけではないが、
答弁が私の聞くところによると一貫しておらん。成るほど今度の人事
委員会そのものだけを
考えるときは、一応ごまかし的な
答弁で納得のできるものがある。併し
人事院本来の使命と、前
国会におけるところのあなた方の
説明と
態度と、今日この
勧告をした後における
態度を総合して見ます場合は、
人事院としては
政府が
国民の批判を受けるというようなことではなく、
人事院自体が
国民の批判を受けなければならん
状態に追い込まれておると私は
考えておる。
最初千葉委員から言われた
人事院が出されたことに対してどうであ
つたかというような、枠をはめられておるということがあるかどうであるかと言
つたが、毫末もさようなことはないと大見栄を切られたのであります。
千葉委員は恐らく心の中から
了解されたのではなく、このようなことを最早聞いても仕方がないという諦らめの上において
了解されたと私は
考えております。併し実際にはもつと真劍にな
つて貰わないと、
人事院を創設した意味を、私はここで今更喋々する必要はないと思うのですけれ
ども、日本の政治運動全般がいわゆる分派的行動であり、縄張りという根性のために、
人事院ができた……、もつと遡
つて言いますならば、経済安定本部ができるときに、私はGHQと
労働組合の代表としていろいろ折衝した。ところが大蔵省に行げば大蔵省の勝手なことを言い、運輸省に行けば運輸省の勝手なことを言い、或いは逓信省に行けば逓信省の勝手なことを言うとい
つたように、個々ばらばらの形……、いわんや
予算の問題につきましては国内全般の経済
状態を見渡して、その本当の姿というものは打ち出されない。そこでGHQのサゼツンヨンによ
つて、むしろ命令によ
つて経済安定本部なるものが確立せられた。この中で国の経済全体を総合して国家経済を確立して行く。そういう意味で安定本部が作られた。そのときには我々はそういうものを作
つて、その中で
諸君の要望、
考え方を国全体の姿の上に立
つてやらせるから、経済安定本部設置について
一つ政府に圧力を加えてくれというくらいのお話があ
つて、我々誠に尤もだ、こういうことがなされたならばさだめし日本の経済
状態、日本の現実を把握した形においてものがやれるようになると
考えて、や
つたところが、経済安定本部の今日の
状態では僅かに資料を出し、数字を出しておるというような姿で、実際依然として大蔵省に牛耳られておるというような姿にな
つておる。
人事院が設立されたときにおいても、御承知のように官公吏の政治運動が、或いは国交が……いわゆる
労働組合法が改悪された。その
代りに
人事院を作ろうじやないか。その
人事院は国の経済
状態を中心にして、今日の日本の官公吏はどういう
生活状態に置けばいいか、どういうふうにして正しい
給與を打ち出すか
人事院の使命であるし、これを庇護せしめるというのがマツーカーサー司令部の書簡の中に明確にされておる。
従つて第一回の六・三べースを出した当時におきましては、
人事院とは結構なものができた。成るほど
労働運動にも一部相当行過ぎがあ
つた。我々自体、
労働組合の中におる者すらこの行過ぎには可なり困難を感じて困
つた。日本の民主化を一部阻みはしないかということすら
考えて、そこで
人事院の
考え方は、
淺井人事院総裁の堂々たる
態度は、
人事院の信念によ
つて六・三べースが確立されて、非常に結構なものができた。ところがその後第二次七・八
ベース、国鉄の裁定等も殆んど今言
つた政府の
実情に応じて牛耳られてしま
つて、これらの実現を見ることができなか
つた。
従つてこの前の
国会において
国会冒頭、吉田首相が
給與ベースを引上げよう、或いは
淺井総裁が
給與ベースの
勧告をしようということを大見栄切
つたにもかかわらず、あなたの言うように毅然たる
態度で
給與ベースの
勧告がなされておるならば、当然出されなければならないはずであるにもかかわらず、右顧左眄した結果、遂に
人事院としての
給與ベースの
改訂を出すことができなか
つた。これは何とい
つても、幾ら人見栄を切
つても実際にどこからか引ずられておるか、或いは信念がない、乃至は又
人事院が僅かな
人事院としての面目を保
つために、あの
国会が終了すると同時に、あの八千五十八円というような、今日の経済
状態から言えば或いは
地方税が上り、米価が上るという姿からい
つても、現実には即さないと
考えるけれ
ども、これは別に議論するとしても、そういう形からい
つて出されたものに対して、私共は決して
人事院のあなたの言われるような、毅然たる
態度において出されたものとは
考えられない。而もこの前の
国会のときに、
給與べースの引上げをしようということが、
補正予算も許されず、GHQのお許しもとれない。それだから出せないのだということで、その後出されたということであれば、当然そういう経路の……
予算の見通しを持
つたということ、又一面OKをと
つて来て出したということを我々も明確に言えるのであ
つて、これは当然本
国会で、これが又日本の現在の
政府のあり方というか、従来よりの官僚主義といいますか、縄張り主義といいますか、
人事院が出したものは何としても
政府、或いは大蔵省が一応ひね
つて見なくては治まらんという姿が実は歎かわしいことであると私は
考えるが、そういう形をと
つて、
山下人事官が言うような毅然たる
態度を以て、そういう感覚でやるならば今森崎委員から言われたように、どういう形で
政府に原案を出し、どういう折衝をしたかということを……、出し放しで、我々はこの
勧告を出せば事足れりとすることであれば、本当に僅かに
人事院としての使命を保
つために出したように
考えられる。本当に
給與を引上げてやろうという熱意から出したものではないというように
考えるが、どうなんですか、それは。