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1950-11-25 第9回国会 参議院 人事委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十五日(土曜 日)    午後一時四十二分開会   —————————————  委員氏名    委員長     木下 源吾君    理事      加藤 武徳君    理事      西田 天香君    理事      千葉  信君            草葉 隆圓君            西川甚五郎君            森田 豊壽君            重盛 壽治君            森崎  隆君            小野  哲君            川上 嘉市君            大隈 信幸君            紅露 みつ君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員給與問題に関する調査  の件  (調査報告書に関する件)  (給與改訂勧告に関する件) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでは委員会開きます。  先ず最初にお諮りしたいことは継續調査の件でありますが、御承知の通りこの委員会では閉会中も引續いて国家公務員給與問題について調査を継續して来たのでありますが、この調査は問題の性質上未了になつておりますから、現に今国会が始まつておるので一応この経過内容を附して報告書を提出して、引續き本国会調査を継續することにいたしたらよいと思いますが、お諮りいたします……。それでは今、調査未了の案文を読んで貰いますから、それで御承認を願いたいと思います。
  3. 川島孝彦

    專門員川島孝彦君) その経過並びに結果の報告内容を朗読いたします。    国家公務員給與問題に関する調査経過概要      本委員会国家公務員給與問題に関しては、公務員生活実態民間給與との比較、物価の趨勢並びにその人事行政に及ぼす影響重要性等に鑑み、十分の検討を要するとともに、時期の遷延するを許さん状態にあるため、国会閉会中といえども引續いて調査を行う必要を認め、第八臨時国会終了後も継續して調査を行うこととなり、別記のごとく現地調査を行い、又閉会委員会を二回開会して、関係政府委員説明を求め、質疑行なつた。   先ず公務員給與ース改訂の問題に関しては、第八臨時国会終了人事院より国会に提出された「国家公務員給與水準改訂に関する勧告」、並びに「一般職職員給與に関する法律の一部改正に関する意見」について人事院説明を求め、次いで池田大蔵大臣淺井人事院総裁上野人事官郡物価政務次官等に対して人事院勧告内容給與改訂補正予算との関連給與改訂物価に及ぼす影響有無等について詳細な質疑行なつたが、補正予算との関連については未だ十分の答弁を得られず、閉会中においては結論を得るに至らなかつたが、本問題の解決は緊急を要することであり、早急に何らかの結論を得る必要がある。   なほ給與ベース改訂の問題に関連して勤務地手当合理化を要望する声が強く、現行の勤務地手当の不合理に対する不満人事行政にも悪影響を與えている実情である。   次に寒冷地手当及び石炭手当の問題が解決を迫られている重要な問題として取上げられた。先ず第八臨時国会において政府提出の資料の不一致等のために結論を得るに至らなかつたが、石炭の価格並びに所要量の問題を中心とする石炭手当及び寒冷地手当についての諸問題に関しては、現地における実情調査する必要を認め、北海道並び青森県に現地調査を行い、又委員会の席上においては池田大蔵大臣岡崎内閣官房長官西川大蔵政務次官、運輸省、日本国有鉄道当局者等に対して石炭手当寒冷地手当に関する政府の方針、補正予算との関連、支給の実情等に関して説明を求め、質疑行なつた。なお現地調査の結果については、九月二十二日の委員会において千葉委員北海道派遣)より報告行なつた。   又国家公務員給與問題に関連して営林労務者の待遇の問題が取上げられて、四国地方現地調査を行い、つぶさに営林労務者実態調査し、多大の成果を收めたが、これに関してはなお調査を継續して検討を加えたい。   以上が調査経過概要であるが、国家公務員給與問題に関してはなお未解決のまま残されたものが多く、その解決は緊急を要するので、本委員会としても閉会中の調査引續き更に検討を加え、早急にその合理的な解決を図りたい。   閉会中における現地調査日程、第一班、北海道、十日間、千葉委員重盛委員。第二班、青森県、六日間、木下委員。第三班、高知県、徳島県、香川県、愛媛県、八日間、加藤委員吉田委員。  以上であります。
  4. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 御異議なければその通り決定いたします。   —————————————
  6. 木下源吾

    委員長木下源吾君) その次にはもう一つ、この地方公務員法がまだ付託されておりませんが、やがてこれは付託されることになりましようが、地方行政委員会に付託になつた場合に、当委員会としては合同審査をするということを申入れたい、こういうのでありますが、これはまだ付託されていませんから、事前に了承を求めて置く程度一つ御決定願えれば……。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり。〕
  7. 木下源吾

    委員長木下源吾君) じやそういうふうに決定いたします。   —————————————
  8. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでは質疑をお願いします。
  9. 千葉信

    千葉信君 実は今日の委員会淺井総裁出席を要求したのですが、只今非公式に承わりますと、所用のために出席できないということでございますので、一応御出席になられました山下人事官に対して御質問申上げる次第であります。従来いろいろな経験からいいますると、三人おられる人事官意見というものは、心ずしも一致しておるとは考えられないような場合が往々あつた。こういう点から見ますると、私ども時に今後の委員会においては淺井総裁出席をお願いしたいと思うわけでございますから、その点については人事院におかれても十分御考慮を拂われることをお願いしたいと思いますが、併し今日は所用ということでございますればこれもこのまま御質問申上げたいと思いますし、そして又前提としては従来のような意見の相違とか、或いは或る程度の食い違いというようなものは全然ないものと考えて御質問申上げるわけでございます。いろいろな情報によりますると、吉田内閣では必ずしも人事院勧告通り給與ベース改訂する意向を持つておらないような様子でございますが、勿論吉田内閣性格そのものからいつて吉田内閣のこういう態度は我々としては絶対承服できない点でございまして、この臨時国会を通じ徹底的に吉田内閣給與ベース改訂に関する方策に対して追及をする必要があると思うのですが、その以前に人事院が八月に行いました給與ベース改訂勧告に関するいろいろな諸問題の中に、例えば勧告内容であるとか、或いはその後における人事院態度というものの中にも、吉田内閣のこういうやりかたを誘発するような、或いは馴致するような点もないではなかつた。そういう点について私はこの際人事官にいろいろ御質問申上げて御答弁を承わりたい点もございますし、更に又以下大体七、八項に亘つて質問申上げる質問の中には、人事院に対して御質問申上げ、その答弁の中から給與ベース改訂に有利な方向へ結びつけて行くような含みを持つて質問申上る点もあるのでございますから、決して單に非難されておるという気持や、追求されておるという気持だけではなく、その答弁内容如何によつて給與ベース改訂の問題に有利に作用する点もあるだろうということについて、十分お考えの上御答弁をお願いして置きたい。勿論私どもこの給與ベース改訂の問題については、只今專門員かたから朗読されましたように、現地調査の結果によりますると、公務員諸君生活実態というものは非常に予想以上に困難である。どうしてもこの臨時国会の中で何らかの適切な結論というものを出すのでなければ、公務員諸君生活ばかりではなく、政府行政機能、或いは政府事業のいろいろな能率的な運営というものが阻害されるというところまで進んで来ておるというふうに我々は見て参りました。  特に最初に申上げて置きたいことは、例えば今度の視察の中におきまして北海道網走現地調査に参りました。その現地調査における懇談会の席上で、單に私の地方ばかりではない、これは全国的な傾向だと思いますけれども、非常に困難な生活が具体的な懇談会話合の中から私ども痛切に感じて参つた点がありますので御参考までに申上げますと、網走郵便局に勤務しておりまする十五年、二十年、三十年というふうに、もうすでに当郵便局における幹部級諸君、主任であるとか或いは主事というような役割を持つておられるかたがたが多数相談して、職場の長である郵便局長に対してこういうことを申出ている。若し自分たちが役所の都合でもうそろそろ転任の時期ではあるし、特にその転任というのがまあ地方局長であるとか、或いは課長というような形において転任させられるというようなことがあれば自分たちとして非常に困ることがあるから、当分の間網走郵便局にそのまま置いてくれないか、そういうふうなことをみんなが申し合せて頼んで来ましたので、郵便局長は非常に話が腑に落ちないので一体どうして君たちはそういうことを言うかと聞いたところが、そのときの答弁がこうなんです。自分たち同僚の中から最近他の地方局長、或いは課長になつて転任されたかたがおる、ところがそのときに自分たちが多数駅頭に見送りに行つたけれども、そのときの栄転されるその人の奥さんや子供さんの恰好を見たときに、つまり服装なんかを見たときに、これが自分たちが明日同様な目に会うような状態ではないかと思つて非常に慓然とした。もう終戰後におきまして五年以上経過する公務員諸君の実際の生活状態というものは、非常にみじめな苦しい生活状態が續いたために、もうすでに自分たちが元持つていた著物は売拂つて、やつと食べ繋いで来ているし、而も代り衣服なんかを買うほどの余裕自分たちでは全然なかつた。そういうために、自分たちが十五年、二十年という勤續のその代償として、やつと栄転するというそういう晴がましい場合に、みじめな自分の家内や子供たちに着せて行く晴着がない。而もそういうような恰好自分同僚の目の前で自分家族をさらすということは自分として到底忍びない。家族のそういう状態考えた場合に、自分たち自分の栄転なんていうことを到底喜ぶ気にはなれない。だからどうか自分を当分の間この郵便局にそのままとめて置いて欲しい。課長にするとか局長にするとかいうことによつて自分たちを他のほうへ転任させるということについては願い下げにしたい、こういうことを局長に申し出て来たというのです。この人たちは本当に長年の間事業の中枢的な存在として、非常にまじめに仕事をし、殆んど一生を通じてその事業に献身して来たその人たちに対する代償が、実際現在のこういう状態なのです。従つてこういう状態から言いましても、單にこれは一地方の問題ではない。恐らく全国的な状態だろうと思いますので、できるだけ人事官におかれてもこういう公務員諸君実態をよくお考えになつて、この委員会における質問の中からも、できるだけ公務員諸君生活をこの際救済してやる、何とか或る程度水準まで引上げてやるということについて十分御協力なさるようなお気持を持つて答弁を願いたい。  前置きは非常に長くなりましたけれども、先ず一項ずつに亙つて質問を申上げたいと思うのですが、最初に御質問申上げたいことは、人事院当局から出ているという情報の形において出されておることの一つに、今度人事院から勧告されました八千五十八円というあの賃金ベース勧告は、実は人事院が七千八百七十七円ベース勧告以後におけるまじめな、若しくは又率直な科学的な基礎に基く検討の結果出た結論であるというよりも、すでにそういう勧告をする以前に八千円前後の賃金ベース勧告をした、つまり枠をはめられていた。そうして人事院がその枠を正直に守つて自分たちの実際に検討を加えた結論よりは下廻つた勧告をした、こういうふうな情報が出ておるのでございますが、而もこれは相当広汎に国内に流布されておるようですが、一体こういう事実があつたかどうか、この点について先ず御質問申上げたいと思います。
  10. 山下興家

    政府委員山下興家君) 只今千葉委員からの御質問でありますが実は驚き入つたことでありまして、私は初めてそういうことを聞きました。人事院ということについて多少でも知つておる人の仲間では、こういう評判は立てられない筈だろうと私どもは思つておるのであります。どこから枠をはめられるか、我々は何ら枠をはめられる、はめ得る人がないように私は思うのであります。そういうために人事院が存在しておるのでありますから、そういう御心配は全く御無用であります。
  11. 千葉信

    千葉信君 大変に立派な御答弁でございまするけれども、この前の臨時国会最中におけるところの賃金ベース改訂に関する勧告がなされなかつたという経緯から考えましても、只今人事官の御答弁は余りに立派過ぎる御答弁じやないかと思うのです。ああいう経過から考えても、私どもはこういうふうに枠をはめるというようなものは、人事院に対しては絶対に存在しないということをおつしやいますけれども、私どもは一応そういうものが存在するということをはつきり考えております。従つて若し山下人事官が今この速記を取つている公式の席上でおつしやることができないというのであれば、私どもは喜んで速記を止めてもこういう点については或る程度明らかにして置きたいと思うのですが如何でしよう。
  12. 山下興家

    政府委員山下興家君) 速記を止める必要も何もありません。もうこれは全く間違いのないところでございまして、どこからもそういう枠をはめられておりませんから、御心配なく。
  13. 千葉信

    千葉信君 了解。  次の御質問申上げます。朝日新聞などの伝えるところによりますと、地域給の問題その他について大蔵省当局、或いは内閣官房長官等人事院が三者会談行なつて、そうして給與に対する最後案の打合せを行なつたとか、或いは又相談をしたというようなことが出ておりましたが、果してこういうことが行われたかどうか。そうして又将来人事院給與問題等についてこういう会談を行うことを考えておるかどうか。又それが正しいと思つておるかどうか、その点について御答弁願いたいと思います。
  14. 山下興家

    政府委員山下興家君) 地域給につきましては、我々人事官の中でそういつたような政治交渉をしたことは一切ございません。そして又これから先もそういうことはすべきものでないと確信しておるのであります。私ども給與ベース勧告しました場合に、よくここでもいじめられるのでありますが、勧告し放しでなしに、もう少し政治的に活動したらどうかとか何とかいつてしきりと責められますか、私どもはそれはやりたくないのであります。誰かに会うと政治的な交渉をやつたとか何とか言われますから、それが心配なので直接会うとかいうことは絶対にないのであります。その代りにこの前御説明したように、ここに提出しましたように細かな経緯が書いてありますから、それを官房長官なり何なりは部下の者に十分読んでその得心の行かないところを聞くとか、了解をして貰うより外に途がないのでありますから、そういうほど心配しておりますから勿論地域給なんかについては一切交渉をしたことはございません。
  15. 千葉信

    千葉信君 今度の給與ベースの問題について私が一番不満に思つておりますることは、政府のほうで人事院勧告しました俸給表のあの上下開きというものは一層拡大した。そうして最高俸給のごときは伝えられるところによりますると、現在の俸給よりも一万四十円近くの増額が行われようとしておるということを私は聞いております。これはまだ正式に給與法案が提案されておりませんので果して事実かどうかは分りませんけれども、一応私どもはそういう情報を耳にしておる。こういう政府態度に対しては私は到底承服することはできないし、当委員会においても相当この問題については論議を要する点であろうと思うのでありますが、この問題について人事院当局に追及したいところは、こういうふうな政府が現在の低い八千五十八円とか、或いは六千三百七円とか、もう殆んど最低生活も保障することができないような生活給という体系予算の中で、そういう枠内で能率給の要素を加味しようとしておる。而もそういう政府の能率的な基本のものがどこにあつたかというと、やはりこれは人事院勧告した八千五十八円の俸給表の中に、人事院勧告した俸給表を見ますと、成るほど政府考えておるああいうような極端に上下開きはないけれど、あの人事院一般俸給表を見ますと、最低一級の一号の場合を見ますと七百円しか殖えていない。而も十五級の四号の最高の俸級に至つては八千円も増額されようとしておる。こういう点について人事院閉会中の委員会において質問をいたしましたところが、人事当局答弁としては、二級一号の場合におけるところの三千三百四十円というものは勧告の中にも出ておりますけれども独身成年男子、中等の労働に従事する職員最低生活を営むために要する費用は、本年五月において勤務地手当の支給されない地域においては三千三百四十円、二級の一号、低い水準の殆んど一級、二級というような諸君に対しては、この勧告にも今読み上げたような最低生活、やつと食うことができるような生活、もう殆んど現在エンゲル係数が示しているような、平均して六五%の食糧費を支出しておるというそういう平均よりももつともつと下廻つた七五%若しくは八〇%にまで、エンゲル係数がいうところの食糧費自分俸給から支拂つておるではないかというようなこういう部分に対しては、非常に安い賃上げしか行なつてない。そして今言つた最低生活給という体系を以てこの一般俸給表というものを勧告しておるけれども、而も一方は高給者に対してはどういうことを言つておるかというと、高給者の場合にはこれは非常にあくどい考えかただと思うのでありますが、人事院当局ではこういうことを言つておる。人事院が行なつた調査の結果に比較すると、概ね職務給の低位にある職員給與額はさしたる変化がなかつたのに対しては、民間給與実態調査を見ると、職務給の高位にある職員給與額はかなり上昇していることは明白である。そうしてその民間給與に鞘寄せをするために、高給者の場合には能率給という形の考えかたを以て一般俸給表勧告されている。今度の政府のとつているああいうあくどい能率給的な考えかた高給者に対してとつて上下の幅の開きを極端に開いて持つて来ている。政府の今度の伝えられているところの俸給表というのは、例えば一級一号というような場合においては六百円程度しか増額ということは考えられておらない。而も一方最高受給者はどういう金額かというと、今度の増額分だけでも一万四千円という高額が見込まれている。一方はたつた六百円、而もその六百円の一級一号の職員は、仮に東京都の在住者という場合には今度は従来の三割の地域給が減額されて二割五分になろうとしておる。そうすると二割五分に地域給が減らされれば六百円増額という今度の本俸表の分は地域給で約百五十円減額される。そうすると四百五十円が今度の政府やろうとしている給與改訂ということに結論が出て来る。一方は四百五十円で、高額者の場合には一万四千円も増額されるというような、こういうあくどい考えかた俸給表というものを用意している政府態度は、結局その基本は今申上げたような人事院勧告基礎になつておる。而も人事院がそういう方向に向うような措置を、今度の勧告一般俸給表の中で原因を作つたと、私はこういうふうに考えているのですが、人事院はこれに対してどういうふうにお考えでございますか。
  16. 山下興家

    政府委員山下興家君) これは今度ばかりじやありませんが、前にも六千三百七円の時分にもその方法をとつたのでありますが、我々は二元的に考えておるのであります。その一つは、結局生活をすることができるかどうかという最低生活費考えるのが一つ。それから同時に民間給與に合わすという考えかた一つ。この二つで進んでおるのであります。即ち只今おつしやいました二級一号の三千三百四十円を出しますときは、理論生計費によりましてカロリー計算その他から、どうしてもこれだけは生活に必要だと、衣服その他を皆勘定に入れましてこれだけ必要だということを出したのであります。それはどこに持つて来るかといいますと、扶養家族が誰もないたつた一人の場合を算定しております。結局年齢によつて扶養家族数が出て来ております。そのカーヴをずつと引延しまして結局扶養家族が零というところを見付けるとそれが二級一号のところに来るのであります。この十八歳くらいの成年者自分一人が生活すればよろしいというので、最低生活費最低賃金に先ず相当するような額をきめてあるのが一つであります。  併し同時に我々は公務員として国民にサービスをしておるのでありますから、国民生活水準に合わす権利を持つておる。そう思うのでありますから、それで民間給與はどういうふうな形になつておるかという調査をする必要がある。これについては随分細かく調査いたしましてそれでその調査もただ民間給與調査したのではいけない。やはり公務員と同じような仕事に従事しておる人が、どれだけ收入があるかということを調べる必要がありましたので、沢山の人間をここにサンプルにとりましてそれを測定した結果ああいつた給與カーヴが出て来たわけでございます。  それでこの給與生活を保障する点が一つと、それから民間給與に合わすという点が一つ、その一つから出して来た結果がこうなつたのでありますから、我々としては十分に科学的な行き方をしておると思うのであります。勿論給與それ自身から申しますと、尤もそれは民間が今は大体は生活給が主なるものでありますから、それに合わして我々のできたものは生活給というものが大部分のものであります。併し給與それ自身はそんなもので終始すべきものとは私は思つておらないのであります。現に地域給とか或は扶養手当とか、そんなものは給與からいうとこれは邪道でありますから、できるだけ早くそういうものを除けてしまいたい。除けてしまうということは減らすということではなくて、給與余裕ができてどこに住んでもそれだけの給與の中から生活ができる。即ち地域給というものが要らない。そういうような時代が早く来ることを私どもは希望しておるのであります。併しそれから見ましても我々の給與体系というものは生活費による給與体系であるということがはつきりしておるのであります。それでああいつたような恰好にできたのでありますが、それによつて今度噂されておるような下と上との非常に開きのあるものを誘発したということは、少しどうも受取りがたいのでありまして、私どもは完全にできるだけ科学的にやつておるつもりでおるのでります。
  17. 千葉信

    千葉信君 御答弁がどうもピンと来ない点が沢山あるのですが、勿論只今意見として申された地域給であるとか或いは扶養手当であるとか、こういうものを早くなくして、本俸でみんなこういう給與というものを賄つて行くというような段階に行くことが望ましいことでありまして、それは勿論私どもも早くそういう時期を招来させなければならないと考えておりますが、少くともそういうことは單に現在の状態からいうと殆んど空想であつて、なかなかそういう段階が来そうだなんということは我々としては考えられない。今お話のように單に食糧費だけではなく生活費も十分に賄えるような給與、本当に正しい意味の労働に対する反対給付が行われる、能率給の形が実現するそういう段階というのは、これは勿論一日で申上げると、現在のような段階において八千五十八円であるとか或いは七千八百七十七円であるとか、こういう給與状態では、先ほども申上げたようにエンゲル係数の中で、全体の公務員諸君食糧費に支出しておるところの経費というのは総收入の六〇%乃至六五%だ。こんな高い食糧費自分俸給の中から支拂つてそうして暮しておる公務員諸君の現在の給與というのは、これは只今お話のような地域給であるとか扶養手当というものではなくて、早く本俸に繰り込んで給與の本格的な状態に行きたいなんということをおつしやるのは、これは殆んど夢物語にもひとしい。私はそういう問題について今お尋ねしておるのではなく、現在の民間給與状態が少くとも九千六百円から七百円の水準に移行して来ておる。そういう状態の中でも、今山下人事官が言われたように、なお且つこの民間給與状態生活給の域を脱しておらない。そういう生活給の域を脱しておらない民間給與の場合において能率給を直ちに採用しようということは、これはもう初めから無理なことであるし、況んや公務員諸君の場合のように八千五十八円というような、こういう低い水準では、これはもうとことんまで切下げられておる生活給だ、こういう生活給の中で考えられた俸給表というものは、今お話のような二様の形をとつて、一方は生活給、一方は民間給與状態に鞘寄せをするということが人事院の理想だと言うけれども、全体としてこういう低い水準の八千五十八円べースの形では、能率給だなどというものを加味することは初めから無理なことはわかつておる。そういう無理なことがわかつておるにもかかわらず、俸給の低い者の場合には最低生活給ということを考えて、そうしてそういう答弁をぬけぬけとやつておりながら、一方では高給者の場合には、民間給與状態に成るべく近付けるためにやつたのだ、一方では民間給與に鞘寄せするということを口実にしてどしどし殖やして行く、そうして一方の低いほうは生活給という形で、独身の成年男子で生活できる給與構成という恰好で抑え付けるということは、これは私は何と人事官答弁されようと、私ども納得できないと思う。併しこれは一応この俸給表が、政府の今度のああいう考えかたを誘発したかしないかということについては、幾ら追及しても、人事官から誘発したろうという答弁が得られるということを考えておりませんので、私はこの程度でこの問題を打切つて次に移つて行きたい。  次にお尋ねしたいことは、閉会中の人事委員会において、現在政府がやろうとしておるところの給與べースの改訂に当つて、これはこの前の第七国会におきましても、人事院から勧告が出ました当時に、政府のほうでは公務員の実際の給與額というのは、現存は二十四年度七千三百円、二十五年度は超過勤務手当を増額するから七千四百円になる、こういうふうな給與白書の数字の発表に対して、人事院から資料を頂いたときにな、相当実際の給與額開きがあつた。ところが今年の八千五十八円のベース勧告に対しても、政府のほうでは又ぞろ今度は半年も経たないうちに、そのときの実際給與したという金額から五百円も六百円も減らして、六千八百円程度の実際給與だ、こういうことを政府のほうでは盛んに言つて、そうして国民の目を瞞着しようとした。こういう点が問題の正確な解決に非常に悪影響を及ぼすという立場から、私は人事院当局に対して、現在の公務員諸君に対する実際の給與額調査を至急提出して欲しい、これは明確に私から要求してございますし、人事委員会出席せられました淺井総裁のほうからも、至急その問題については調査をして、現在進行中であるから、成るべく速かに国会に提出する、こういうことを言つておりましたが、これが今似て提出されておらない。政府の吉つておるところの実際給與額が嘘であつて、而もそういうことが前の経験からして相当その数字に信憑することができない点が沢山あるのですが、そういう状態で、この給與べースを臨時国会で決定するということになつたら、非常にこれは最後の結論がゆがめられたもので決定される虞れがある。こういう点で私は実際面の給與額調査というものを非常に重視しておるのですが、今以て人事院からこれが提出されておらないのは一体どういうことであるか。調査ができなかつたのであるか、それとも出す意思がなくて、今まで出すという答弁をしておりながら出さなかつたのか、この点を明らかに御答弁願いたいと思います。
  18. 山下興家

    政府委員山下興家君) この前の国会の場合に政府から七千四百円の予算が見積つてあるから十分だという話がありました。私どもも実に不思議だと思つて調べて見ますと、それは超過勤務が入つている。我々の勧告の中には超過勤務は入つておらないのであります。それで大分まごついたようであつたのですが、それで今度の勧告には、はつきりと超過勤務は入つておりませんということが断わつてあるのであります。それで恐らく政府の出して来ておる給與ベースというものは、今度は超過勤務が入つておらないもので持つてつておる。それで新聞によりますと、六千八百円とか、何とかというようなことをよく見るのでありますが、これは実は我々が調査しましたところもほぼ同じなんであります。併しこれは月々に変化しておるわけです。これはちよつと不思議に思われるかも知れませんが、六千三百七円というのは、あの切り換えのときの活でありまして、それからはベースは次第に上りつつある。これをべースを釘付けにしなければならないというわけもないのです。それでべースと申しますと、平均給でありますから、その平均は時間的構成がいろいろ変つたり、或いは年月によつて皆が昇給したりする関係上、だんだんと平均給與というものは上りつつあるわけであります。それと政府が千円アツプだと言われたときに、我我はいつの千円アツプの話なのか、実はわからなかつたのであるが、最近に至つて新聞によるというと、十二月ですか、何かの予想の給與ベースの千円増しである。それで結局八千円に近いのだというようなことが、近頃になつて新聞紙上で私どもは知るようなわけで、だから給與ベースそれ自身は実は変つておるのであります。これは確かに我々も認めております。そうして又大体において今度の政府のあの数字は余り違つていない。この前みたいに超過勤務なんか入つておらぬのでありますから、今度はごまかされてはいないつもりでおるのであります。
  19. 千葉信

    千葉信君 只今の御答合弁からははつきりいたしませんが、一体実際給與額調査ということを人事院でおやりになつたかどうか、それとも出す意思がなくておやりにならなかつたのか、実態を掴んでおられるかうか、この点だけでも御答弁願いたい。
  20. 山下興家

    政府委員山下興家君) これは掴んでおります。併し実態調査でありますから、非常に時間がかかりまして、今我々の子に入るのは大体六月とか、七月の実績なんです。それですから、これから先にどう進んで行くかということは予想するより外にない。それで政府は十二月の予想としては、今のように大体七千円近くのものに予想しておられる。我々も六月七月の数字から十二月の数字を予想するので骨が折れますが、この中には昇給時期も含んでおりますし、いろいろな関係上当るか当らぬかはわかりません。それで結局これは十二月の切り換えのとき、十二月末に切り換えられるときの実態から、それの千円アツプとなるのだろうと私は思います。それでその細かな数字は政府と違つておりますが、大体においてはこれは間違いないということを私は信じております。その数字はできるだけ早くお目にかけます。
  21. 千葉信

    千葉信君 昨年九月十五日の公務員諸君給與実態調査というので、政府給與白書を発表した当時に人事院に要求しましたところが、直ちに国会へ提出された。これは三月でございます。約半年後でございましたけれども、非常に正確無比な資料が人事院から国会に提出された。勿論人事院としては、あれだけの厖大な機構を持つておるわけですし、給與簿というものも各官庁に全部渡してある。こういう状態から行けば、何も十月や一月の分については予想した数字なんかでごまかさなくても、当然国会から要求があつて、誠意を以て調査しておられるはずだと思います。九月、八月ということは一応困難ではあるにいたしましても、少くとも六月や七月頃の調査くらいはすでにできておつたはずです。山下人事官は今いろいろなことを答弁されますけれども、私の聞いておるのは、国会から正式に要求して、而も淺井総裁も提出いたしますということを約束した調書を今以て提出しておらないで、而も私の質問に対して、山下人事官は出すのか出さないのかということもはつきり答弁されておらないし、調査研究したかどうかということについても、ちつとも御答弁にならぬのですが、私の尋ねておるのは、実際給與額調査というものを進めておつたか。つまり調査しておつたかどうかということ、この前お約束したように出す意思があるのかないのか。この給與実態調査というのは、今度の俸給の引上げの問題についても非常に大きな関連がありますので、この点についてはつきり御答弁を願いたいのですが、どうでしよう。
  22. 山下興家

    政府委員山下興家君) 出します。最近出します。そうして我々は、私の記憶は間違つておるかも知れませんが、大体七月までに数字がわかつております。そのきまつておるものは無論差し出します。ただこの間言われました、今まで出しておらないというのは怠慢なようでありますが……。
  23. 千葉信

    千葉信君 怠慢です。
  24. 山下興家

    政府委員山下興家君) 私どもは非常にこれを重視しなかつたと言つては工合が悪いのですが、この前みたいに違つてつたのでは大変でありますが、今度は大体政府のと数字が合つているようだから……。
  25. 千葉信

    千葉信君 感じですか……。
  26. 山下興家

    政府委員山下興家君) いや、感じではありません。合つておりますから……。それでまだ出してないのです。調べてはありますけれども、無論数日間に差出しますが。
  27. 千葉信

    千葉信君 そんな甘い気持でいるから政府にいつも騙されるのです。  次にお尋ねいたしますが、第七国会当時におきまして、私は今山下人事官が先走つて答弁されましたことに関連するのですが、要するに現在の給與というものが総平均或いは又平均給という形で考えられようとしておる政府のやり方というものと、私どもが昔承知しておつた人事院当局勧告基礎は、いわゆるベース体系というものの中には基本的に開きがある。私はこういう点十分考えておるわけですが、これについては御答弁如何によつてなお掘り下げて御質問申上げたいと思いますが、端的に申上げますと、第七国会当時において山下人事官は私の質問に対して、現在の公務員諸君給與ベースは六千三百七円から一銭も増額されておらない、六千三百七円そのままだということをはつきり御答弁されておる。そういう点からいうと、私はベースというものと平均給與というものと、どうも山下人事官が先ほど御答弁になつたようなことについては、俄かに承服できない点があるのですが、まあそれはそれとして、一体今度の伝えられておる、政府のやろうとしておる千八百円の給與引上げの問題と、人事院勧告しました八千五十八円の賃金ベースというものと、つまり政府がどういうふうに現在の実際の給與額を押えておるかどうかは知りませんけれども人事院当局勧告した八千五十八円の給與ベースというものと、政府がやるということを言つておるところの千八百円の引上げに結局よるところの俸給給與の是正ということと、どういう相違があるかないか。その相違があるとすれば、その点を山下人事つ官からはつきり御答弁願いたいと思います。
  28. 山下興家

    政府委員山下興家君) 千葉さんの言われますベースと、それから平均給ということをここではつきりして置きたいのであります。我々が申しますのは平均給でありまして、六千三百七円から後は、勧告いたします場合に皆平均給で申しております。御承知のように三千七百円ベースというようなときは、ベース基礎としまして、先ずベース考えて、それからこう割り振りをして行つたのであるけれども人事院がそれを引継ぎましてから後は、先刻申しましたように最低給、それからして民間給與に倣う、それでずつと計算して行きまして、その一つずつの給與の級の実際人員を調べて見ますと、同じ級の中でいろいろなところに号俸がありますから、それをすつかり調べて見て、平均がこういうふうになりますということを六千三百七円のときに申上げたのでありまして、今度もやはり八千五十八円も、そういう意味において申上げておるのでありますから、これはベースとは称しながら、前の三千七百円時分のベースと、今我我が申上げますべースとは違うのであります。今申上げますのは平均給であるのでございます。それで、これから先、余り先を申しましても、法案も出ておらないのでありますから、法案が出ましてから後に我々ば少し批評を申してみたいと思つております。そのベースだけの点は一つ御了承を願つて置きたい。
  29. 千葉信

    千葉信君 平均給という問題とベースという問題については、私は他の機会に讓つて、相当この問題は重要な問題なので御質問申上げたいと思うのですが、まあそれはさておきまして、今の問題にちよつと関連するのですが、今おつしやるような、いわゆる平均給という形になりますと、現在の公務員諸君給與の制度の中には昇給というようなものが含まれておりますし、それから又、家族構成が増大するというような形になれば、当然これは扶養手当のようなものも増額されて、その他の條件なんかも、或る程度やはり勤續することによつて引上げて行くというような状態の場合には、給與は自然的に増額されて行く。こういうかうな点を考えますと、山下人事官が言われたような平均給という形で行われることになりますと、その平均給というのは常に時間的にどんどん変更されて行く、こういうふうに考えてよろしうございますか。
  30. 山下興家

    政府委員山下興家君) その通りでございます。どんどん変つて参ります。それで実は細かいことまでも知つてからでないと、切換表なんかが作られないのであります。この前例えば六千三百七円、あのときは六千三百七円であつた、それが暫らく経つて我々が調べた随分はそんなに上つておらなかつたのでありますが、近頃になつて、六千八百円ぐらいになつて来たという原因はいろいろのところにありますが、一例を申上げますというと、級別定数というのがあるのであります。一つずつの級の中に定数があるのであります。それを給與実施本部が解散の間際にきめましたその定数によつて、えらく大きく影響しました。こういう状態になつたわけでございます。それを今度も若し政府が細かなことについて発表され、それが法律になると、これは実際に行う責任を持つておる我々は、これは給與ベースなんかどこへ行くか分らぬという心配が相当あるのであります。併しこれは出てみないと、ちよつと心配していいのか悪いのかわかりませんから、又そのときに御説明申上げます。
  31. 千葉信

    千葉信君 さあ、おかしくなつて未だぞ、今の給與制度からいうと昇給というのがありますね。そうすると、人事院ではその昇給であるとか、家族構成が殖えるということによつて、一年間にどれくらい変動が起るということについて大体お調べになつたことがありますか。
  32. 山下興家

    政府委員山下興家君) それが例えば昇給の標準の期間及び昇給してよろしいかどうかという紋別定数とかいうもので制限を受けてあるのであります。それでどちらで制限を受けるかわからないのでありますが、級別定数というもので制限を受けているときに、級別定数を緩やかにしますと、ぐつとべースが上つて来るという結果になるのであります。それで新聞によつて見ますと、その昇給時期が変つたり級別定数が変つたりしますと、大変なことになりはしないかということを新聞紙上で心配しているだけの話であります。
  33. 千葉信

    千葉信君 その点について大体お調べになつたことがございますでしようか。
  34. 山下興家

    政府委員山下興家君) 調べると申しましても、今のようなものが途中で変更いたしますと、ぐつと変つて来る。それで例えば七月には六千八百円のものが幾らになるだろうかということを政府自身もわからないのは、結局どこに出て来ておるかというと、級別定数が途中で変つたからであります。それで切り換えの時期の十二月には幾らになるかということははつきりしない。それで結局は大体八千円くらいだろう、あの切換表に出て来るものが八千円くらいだろうと申しますが、あれが八千円になるかならぬか、そこは推定でやりますから、そして結局過去の事実でなくて、過去の事実から将来を推定するのだから、はつきりしたことが申上げられないのであります。
  35. 千葉信

    千葉信君 推定じやなく、私の聞いているのは、人事院が六千三百七円というものを勧告なさつた当時、それが実施された当時は明らかに六千三百七円であつた。ところが山下人事官は第七国会で、現在も六千三百七円だということをはつきり答弁されましたけれども、今の答弁を聞いておりますると、いささかその点が違つて来ております。こういう点についての追及はあとに廻すことにいたしまして、少くとも昇給しているか、していないかということにつきましては、そして又給與が自然的に増大しているかどうかということについて、それが一年間にどの程度増大するかどうかということについては、先ほどのお舌では、政府の今発表している数字と人事院調査というものと大体余り違わぬじやないかというお話があつた。そうすると、六千三百七円の実施当時から比べて、実際に若し仮説を以てすれば、そうだとすれば、それは何年間にそれだけのものが順々に給與が増大して来ている、こういうことになるわけです、平均給の考えで行けばですよ。そうなりますと、一年間にどの程度かの昇給とか何かによつて給與が自然的に増大する。三年間に一千円ならば、一年間に三百円程度明らかに出て来る。そうすると、これは調査するとしないにかかわらず、現在出ているいろいろな統計とか、いろいろな調査によつても、その推定の金額というものは出る。そうすると、六千三百七円の実施から仮に三年間経つているといたしますると、その間に千円程度給與の増大が自然的になつたということは、少なくとも一年間に三百円程度給與増額がなされただろうということになります。これは私のこういうことを聞いているのは、いわゆる賃金ベース体系をべース計算で考えるか平均給に考えるかということについて、あとで御質問申上げることに関連を持つて、非常にその点が重大なのですが、今申上げたように一年間に三百円の自然増加がある。そういうことになりますと、昨年の十二月に人事院から七千八百七十七円という賃金ベース勧告されておる。ところがそれから約九ケ月経過したあとで、人事院のほうから八千五十八円という給與ベースが再勧告でなされている。私は七千八百七十七円から第二回目の勧告が八千五十八円の賃金べースに増大して行つたということは、これは人事院当局調査によつて、実際における現在の消費者価格、CPSの増加によつて、増嵩によつて人事院はこういう結論を出した、或いは実際の配給食糧の価格が値上りしたとか、これは人事院当局ではつきり言つているのですが、いろいろそういう客観的な、素から、人手院はこういう金額が増額、つまり百八十八円増額した給與ベースというものを九ケ月後出している。そうしますと、自然に増加して行くのが三百円であつて人事院が九ケ月経つて百八十八円しか増額しないところの給與べースの勧告行なつたというところに矛盾が生じて参ると思いますが、この点は如何でございますか。
  36. 山下興家

    政府委員山下興家君) 千葉さんのお話がはつきり私にはわかりませんが、これにあのべースそれ自身を動かすものが沢山あるのです。ベースは定期昇給があります。定期昇給があれば、結局その昇給はどういうふうな率で昇給するかということをきめることによつてベース影響して来る。それから整理がありますと、若い人を整理すると平均給が上ります。年をとつた者を整理すると平均給は下がるのです。それですからこれは非常な複雑なものがあつて、そうして今の級別定数といつたようなものもあるし、それから昇給時期があります。そういうものが皆からみ合つて来るのだから、これははつきり幾らになりますということを申上げることは困難なのです。そういうものが全部固定したらどうだとかいうことなら言えるでしようけれども、この頃みたいに非常に複雑に変りつつある状態の下で、一年間幾ら昇給するのかと問われましても、それに変化を及ぼす係数が、因子がたくさんありますということを申上げるわけなのです。それだからですね、こういうものは、給與というような非常に複雑なものは、どこか一ところではつきりと科学的に研究するより外はないと思うのです。
  37. 千葉信

    千葉信君 複雑だとおつしやいますけれども人事院はこの問題について、わざと問題を複雑にして答弁しているに過ぎないのです。と申しますのは、一体給與というものの考え方というのは、平均給で行つた場合には常に給與にでたらめが行われる虞れがある。ベース体系で行つた場合にはそういうでたらめな操作は行われない。このことは九十三万人もいる国家公務員を対象にした厖大な国家予算の中でこの問題を考えるから非常に複雑になるけれども、仮に百人くらいの使用人を持つている中小工場なんかの場合を例にとつて考えて見れば、私は非常にこの問題は簡單にわかるのじやないか。平均給で行くという場合とベース体系で行くという場合の違いは、ベース体系で行く場合には、例えば年齢が二十八歳、それからその人の家族構成は一人半であるとか、或いは二人であるとか、或いは又その居住している地域がどういう地域だとかいう事実は、この点ははつきりしているわけです。そういう場合、その人の給料が仮に六千三百七円、こういう場合において、年齢二十八歳、家族構成一人半、勤續年数は何年、こういう人を対象にして、ベース計算で六千三百七円なら六千三百七円とはつきりきめて、その條件から上廻るものは順次それに増額したところの給與で行く、これを下廻るものは更にそのベースから切下げた形において計算して支給して行く。そうした場合には、その使用されている人の條件が変つて行けば、そのベース体系の中ではちやんとその通り賃金が上廻つて行く、殖えて行く。併しその場合といえども、たとえ殖えても、百人使つておるところの工場の賃金体系というものは、どこまでも一定したベース体系の中ではつきりした基準の上で行われている。ところがその百人の全体の使用人に対して総平均で行つた場合、どういうことが出て来るかというと、仮に総平均で行つた場合には、いろいろ條件の違つた人に、これの総平均、全体の給與が百万円なら百万円出している。そうすると、一人一万円である、こういうことの平均給與の計算で行くというと、実際この場合には、中小工場主の考え方によつて給與ベースの引下げとか、変更とかいうことが一方的にどんどん行われて行く。自分の支拂う給與というものを下げたいと思えば、同じ百人を使つても、片端から安いし使用人をどしどし使つて、そうして高給者の首を切つて行くという方法もとれる。つまり平均給という場合は、その使用者の考え如何によつては幾らでも給與べースというものはでたらめに変更をされる。ところが一定のべース体系でやつた場合には、一定の條件を備えている場合には、その使用されている人の賃金ははつきりきまつているから、そういうわけには行かない。こういうことになつて行くと私は思う。今の山下人事官の御答弁は、複雑であるからできないということで、これ以上追及しても仕方がありませんから、私は大体この問題についてはあとで又機会を見て御質問申上げることにして、その次に御質問申上げたいことは、今山下人事官からも、ちよつと御答弁がありましたが、政府のほうで今用意しているという案の、上下開きが非常に大きい俸給表に対して、人事院としては、どういう考え方を以てこれを見ておられるか。新聞にもちよつと出ておりましたが、この席上でもはつきり人事院当局の御見解を伺つて置きたいと思います。
  38. 山下興家

    政府委員山下興家君) この上下開きというものについては、いろいろな理想がありましよう。それは能率給であつたらば、まだ非常に開きがあつたほうがいいという考えの人もたくさんあると思います。併し生活給だとそうも行かない。どれだけにすべきかということは、人一人ずつに皆恐らく違いがあると思います。併し我々は今ベースを上げたいというのには、一つのよりどころがあるわけです。それは国民に訴えるのであります。我々が国民に訴えるのは、とにかく一番下のところは、何とかして食える状態にして、これが最低だと、併しその後は民間給與に合せるのであつて、決して民間給與よりも高いものを貰おうというつもりはないのである。それだからそういう下に立てば、結局ストライキもできない公務員を保護する上からいつて、これは幾らのお金が要るのだといつても、これは国民は承知してくれるだろうと思う。自分らの生活水準よりも公務員水準を下げる気持は一人もないと思う。それならば我々はいいか悪いかわからんが、現在の世の中のある姿に先ず合わして行く。そうしてこれだけは給與国民から公務員拂つて貰えるはずであろう、こう言おうとするから、我々は理想は別としましても、とにかく民間給與実態のありかたに合わしてこしらえているというのが、今の人事院の行きかたであります。それをそれは余り上げ方が少いから、もう少し大きくしろとか少くしろとかいろいろ議論があります。とにかく我々の立つているところは国民に訴えるのが主眼でありますから、そこへ持つてつておるわけです。いいとか悪いとかは申上げません。
  39. 千葉信

    千葉信君 それでは重ねてお尋ねいたしますが、私のお尋ねしたことは、今度政府のほうで考えている一般俸給表考え方を見ますると、あれはまだ正式なものではございませんけれども、非常に上下開きが極端になつている。先ほど申上げたように、人事院勧告しました一般俸給表の中では、一級一号の場合には、現在の俸給に対して大体七百円の増額になつて来ておる。ところがそれが十五級の四号になりますと……、人事院勧告いたしました案は八千円、政府ではこれに対して、一級一号に対しては六百円、これは先ほど申上げたのですが、それから十五級四号に対しては一万四千円の増額の形になつておる。人事院勧告いたしたものに比べて非常に上下開きが大きいばかりでなく、問題となります点は、政府のほうでは予算がないという理由で、恐らく今度の給與ベースというものを人事院勧告通り予算を計上しない、その関係で人事院水準を遥かに下廻る一千八百円ということを考えておる。ところがその場合、高給者に対しては、人事院勧告した以上の給與増額を行おうとしておる。一体現在給與に対する基本調査であるとか、基準の決定であるとかということについては、明らかに国家公務員法でこれは人事院仕事である。人事院給與に関する基準であるとか、その他の決定をやる。人事院が一応給與に関する中心官庁の形になつておる。その人事院勧告し、人事院がとろうとしておるところの給與体系を、一方においては遥かにその勧告を減額しながら、他方においては人事院考えを蹂躙して殖やそうとしておる。こういう点に対して人事院はどういうふうにお考えになつておられるか。そういうことを内閣でやることも止むを得ないというふうにお考えになつておられるか、それともこれは人事院として承服できないというふうに考えておられるか、その点について簡單に御答弁を承わりたいと思うのであります。
  40. 山下興家

    政府委員山下興家君) 実は政府から一応の意見の申出がありまして、我我は審議して見たのであります。併し今千葉さんが言われましたような点について、我々はどうしても承服することはできないから、承服することができないということをはつきり答えました。それがいいか悪いかは国会で御審議を願うより外はないのであります。その点はここではつきりして置きます。
  41. 千葉信

    千葉信君 次に九月八日でございましたか、七日でございましたか、人事院のほうから今度の給與べースの改訂勧告に伴う改正法律案について、更に内閣のほうへ申入れをされたようでございます。たしかそのときに人事院は、今度の新らしい法律案の勧告の際には、地域給の問題については、その支給区分等を別表附則第六号を以て、国会において最後の決定をするという形で出されております。この別表第六に対しましては、参議院の閉会中における人事委員会におきまして、淺井総裁答弁されましたことは、国会開会前にこの地域給の別表を提出する。こういうことを言われておつたし、私ども八千五十八円の勧告というものをどこまでも強力に実施させるという建前から行けば、八千五十八円の給與体系の中に当然考えられなければならない地域給の別表というものを非常に重視しておつた。ところが人事院では今以てこの地域給に関する別表を、国会開会されてすでに五日を経過しておるにかかわらず、今以て提出されないのはどういうわけか。これは單に国会において答弁したことを蹂躙しておるばかりでなく、私ども人事院のこういう地域給の別表を公表しないという立場にも、八千五十八円の案を最後まで強硬に実現するとか、頑張るとか、或いは人事院自分たちの義務ということを履行しないというふうにまで追及せざるを得ないのですが、その点人事院はどうするつもりでありますか。
  42. 山下興家

    政府委員山下興家君) これは法律の別表にいたしましても、又別の法律にしてもよろしいのでございますが、今のところは別の法律にしたほうが或いはよくはないかという気持を持つておるのであります。それでそれを国会開会前に発表するということを総裁が言つたはずはありません。又我々も今以てその思つておらないのであります。これは今日も朝から大分詰めかけて来ておるくらい陳情がたくさんありまして、その陳情者の言うことを聞きましても、中になかなかいいと思うこともあります。これは非常に複雑でございまして、仮に一つの町だけお考えになつても、その町の中の物価と、それからそこから川を渡つた向うの町の物価とは、そうえらく物価の段があるはずはないのに、現在では段がある。それではどこで区切つたらいいかというたつた一つの問題につきましても、その町から電車が通つておる所と通つていない所、そういう交通機関のあるのとないのとでは、物価差が大分違つて来ます。だからこれはどこまでも詳しく研究をして、誰にも喜ばれるような恰好に仕上げたいと実は思つておるのでありますが、これは私共も頼まれたつてそうでございますがと言つて、それに合わすようなことはいたしません。併し、資料を提供せられることは、私共は非常に歓迎するのでありまして、間違いのないような判断をしたいと思つておる。それで今でも盛んに資料を持つて来られておるのであります。それを十分に研究して、そうして間違いのないものをお出ししたほうが親切だと思つておるのです。そんな関係でまだ完成しないものでありますから、これは法律ができて、法律を出しましたら、それは当然地域給ははつきり我々から別表を差出すより外ないのであります。併しまだその法律出がないのでありますから、その先からそういうことを発表しますと、今度は折角いいことを聞きましても、訂正することができなくなりますから、それでその問題は成るべくゆつくりと、できるだけの期間を私共に與えて貰うことを希望するわけであります。
  43. 千葉信

    千葉信君 実際人事院というものは無責任至極ですよ、怠慢主極ですよ。この前の臨時国会の最中における勧告の問題も同様の問題だつたのですけれども、あの勧告が遅れたために、公務員諸君の立場というものは、非常に給與べースに関する限りは不利な立場に置かれた。ところが今度の地域給の別表の問題もこれと同様に、少くとも今度の新しい地域給の支給を受ける地域、或いは人事院勧告通りに引上げられれば非常に有利になる地域、こういう地域は明らかに、只今人事院の御答弁にありましたような怠慢至極な結果として、或いは又不誠意至極な結果として、不利な取扱を受けようとしておる。これは明らかに出ておりまするが、二十一日の閣議で大体の決定を見ておりまする地域給に対する態度というものは、一応地域給に関しては人事院勧告を尊重して、最高二割五分にして五分刻みにする地域給の決定をしたい。但しそれは法律を以て制定されてから後であつて、それ以前は従来三割貰つたところは二割五分、二割貰つたところは一割五分、或いは一割貰つたところは五分というように、五分刻みにして下げられる。ところが今度の人事院勧告しようとしておるところの地域給の支給区分の中には、従来貰つておらなかつた所も貰う所が出て来るし、それから又従来貰つてつたと所で上る地域も確かにあるはずなのです。而もそういう地域などは明らかに今度の人事院態度のために不利な取扱を受けるということは、これははつきりしておるのです。而も、政府のやろうとしておるのは、單に従来の貰つてつた地域を五分ずつ全部下げるという非常に機械的なやり方をされておる。こういうやり方をされることによつて人事院勧告政府の言つておるような新しい法律で以て決定されるまでは、少くとも非常に不利な取扱を受けるということは明らかなのです。そればかりでなく、政府の方では法律を以て制定されるまでということを言つておりまするけれども、一体法律で以てこの地域給が新しく制定されるのはいつになるのか。この点についても、従来のいろいろな経過から言うと、実際上従来貰つたようなところの給與というものを下廻るような措置については、これは單に地域給の関係ばかりでなく、実績を下廻るような措置については、給與ベース全体の変更等の場合でなければ容易にこれは行えない。そういうことになりますると、この給與ベース改訂の機会を逃してしまつて、一体いつになつた地域給の問題が新しく法制化されるかどうかということについては、非常にこれは暗い見通しなんです。いつになつたらできるか分らない。こういうふうな重大な問題に対して、今山下人事官は、そういつたようなことを言つた覚えはないような御答弁でありまするが、ここにありまする九月十五日の参議院の人事委員会における速記録においても、こういう答弁がなされております。「これはいずれ正式に国会が開かれます際に、そういうものを払出いたしたいというふうに考えております。」而も人事院ではまだその結論が出ていないというような只今の御答弁でございます。これに対して私は、相当人事院で責任をとつて貰わなくちやならんと思う。一体人事院では、この臨時国会の会期中に地域給に関する支給区分の原案というようなものを出すつもりか、それとも出さないつもりか、この点も併せて明確に御答弁を願つて置きたいと思います。
  44. 山下興家

    政府委員山下興家君) それは国会に差出しますという意味なんであつて、その国会に出すのは我々はできるだけ早くこれを出したいと実は思つておるのであります。この国会に必ず出したいと実は思つておるのでありまするが、それは給與の法律がもう少したつたら恐らく政府から出るでありましようが、それの中にもあるでしようし、それとの関連もありますから、大体はそれを先ず御審議になりながら、或いはその途中か、或いはそれより少し遅れるか、とにかくこの国会に我々は出したいと思つております。そうしてこの国会で御審議を願いたい。そうしてできるだけ早く実行して行きたい。今千葉さんがおつしやつた経過規定でございますね。経過規定が、なぜこういう変な経過規定を入れなければいかんかということは、政府から、提案者から、御説明があるだろうと思うのです。なぜそういうものを入れなくちやならんかということは、私から説明をするはずのものではないと思うのです。
  45. 千葉信

    千葉信君 非常に問題が関連するところが大きいし、問題自体も重大な問題ですから、人事院のほうから会期中に提出いたしますなんというのは、この前の第八国会給與べースの勧告でもう私共懲りておりますから、国会中に出すなんということを今言われたことも、この前の第八国会のように、国会が終る間際に行つてから実は出せませんでしたというようなことのないように、給與ベース結論が最後のところに到達する前に、早く出すようにして貰いたい。一応その時期について、人事官からはつきり見通しを御返事項けませんか。
  46. 山下興家

    政府委員山下興家君) それは今度の議案を御審議になるときに、十分御審議下さると結構だと思います。私共のほうはいつでもこちらの都合のいいときに出しますから、我々は何もそれを控えておる理由は一つもありません。できるだけ早く出したいと思つておりますけれども、それはいろいろな関係でお困りになることもあるかも知れんと思うし、それで、とにかく今度の政府からお出しになる審議の中にあるはずでございますから、その地域給の問題は地域給拔きではできないはずでありますから、そのときに御審議を願いたいと思います。
  47. 千葉信

    千葉信君 何か山下人事官は勘違いされておるのではございませんか。その地域給の支給区分の原案のようなものを国会に出されて困るようなことは絶対ないはずなんですが、一体困るだろうというのはどういうことでございますか。それから政府のほうから出されて来るところの法律案の中には、恐らく地域給に関しては、この要綱がすでに発表されておりまするから、要綱通りだとすれば、従来の支給地域に対して支給する割合をおのおの五分ずつ下げると、これだけの点ははつきりしております。従いまして、こういうふうなでたらめな決定をしようとしておるところの政府に対抗するためにも、私共は人事院のこの新しい別表を是非とも必要とする。従つてそういう人事院勧告、支給地域、支給区分に対する勧告が主となつて利益をこうむる地方に対しては、人事院としては非常に責任がある。この点については、只今のような誠に妙な納得の行かない御答弁をしないで、是非至急にお出しを願いたい。従つてその支給の時期等についても、この際人事官から是非具体的に伺つて置きたい。
  48. 山下興家

    政府委員山下興家君) 地域給の問題につきましては、私共随分長く研究しておりまして、大丈夫と思いますけれども、これはやはり合理的と申しますと、皆上げるばかりじやない。上げるのもあれば下げるのもあるわけです。下げるほうは余りいい気持のものではない。理窟が幾らあつてもいい気持のものじやないと思いますから、これは私共としてはどうもやつぱり根本的な地域給の御審議があつて、そうして最後にそれが地域的にどうなるかということは、最後に御審議になつたほうがどうも工合がいいのではないかと私共は思うのです。ちよつとこれ以上は申上げかねます。
  49. 千葉信

    千葉信君 お出しになるおつもりですか、お出しにならないおつもりですか。お出しになるとすればいつ頃お出しになるか。これだけは私、是非承わつて置きたい。
  50. 山下興家

    政府委員山下興家君) 先刻申上げましたように、この国会中に御審議が完了するように出したいと思つております。
  51. 千葉信

    千葉信君 一応終ります。
  52. 森崎隆

    ○森崎隆君 給與の問題では随分私共自然と人が悪くなつてしまつております。甚だ失礼な言い分かも知れませんけれども、直観といいますか、或いは非理論的かも知れませんけれども、どうも私端的に申上げると、大蔵当局と人事院との間がどうも臭いような気持がして仕方がないのであります。今も千葉委員のほうから申されました勤務地手当の問題にいたしましても、当然これは本当に勧告に附帶いたしまして、多少の時期は遅れましても、今度の国会が開かれる少くとも直前までには当然はつきりしたものが出るはずでありましたし、八月中程の委員会のお話も、当然私たちは、常識的に考えましてもそういうように了解できる御発言もあつた考えております。そこで、若し必要とあれば、速記も止めて頂きますし、秘密会でも結構でございますが、この勧告案を出されましてから今日に至るまで、政府人事院との間に如何なる交渉がこれまで行われて来られましたか。良心的に一つ正直に、できましたならば経過の御報告をお願いいたしたいと思います。といいますのは、法的といいますか、こういう建前からは、山下さんのおつしやるように、政府がまだ法案を提出しない限りは知らぬ存ぜぬと言えばそれまででございますけれども、現実に昨日でありましたか、国立国会図書観の運営委員会がございましたときに、すでに国立国会図書館の方々につきましても、年末の手当半月分の計算がちやんとでき上つております。並びに一月以降の三ケ月分につきましての給與改訂の具体的な予算の計算作業は全部完了いたしまして、そうして昨日出されておる。勿論そんなことは私としては今審議すべきときではないといつて拒否いたしましたけれども、そういうように部内ではすでに作業がここまで運行しておるということになりますると、人事院が全然そういうことを、幾ら何でも知らぬ存ぜぬでは私は済まないと考える。もう一つは、ここまで作業が行われておりまするし、一方においては今日一応これを形の上で閣議決定で、一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案というのが出ておりますが、政府がこういうことは閣議決定するまでにはやはりあちらからのOKもあつたろうと思います。ところが給與に重大な関心を持たれておりますGHQにいたしましてもOKを與えるまでには公務員生活を本当に保障するたつた一つの機関である人事院、こういうものの意向を全然無視いたしまして、人事院に一言の連絡もなくして、政府に対してOKを與えるということは私にはとても考えられない。そういうように考えると、当然そこに政府人事院との間におきましては相当混み入つた政治折衝はやつたことはないとおつしやいますけれども、何かそこに單に勧告案の説明とかという程度ではなくしてもつと混み入つた折衝というか、話合いというか何かのことがあつたのではないか。私たちは決してそういう点について責めるとか何とかいう気持はないのでありまして、過程だけはやはり人事院といたしまして、我々に正直に一つお話し頂くことが本当に公務員生活を擁護する上に最も大切な機関であり、人事院の責任者の方々といなしましても、国民の代表である我々にお重し頂くことは当然のことであると思いますので、必要がありますれば、重ねて申しますが、速記を止めて秘密会にして結構でございます。簡單に、端的に包まず隠さずはつきりして頂きたい。今一ついでに申上げたいと思います。いずれ近いうちに政府から法律案が出ることと思いまするから出まして慌わてて、これに対して我々の意見を出すということも勿論考えられますが、会期も短いことでございまするし、年末を控えており、それまでに何とかして人事院のほうでも相当やはり準備はなされておると思います。即ち人事院が良心的に出された勧告案であります限り、あの勧告案を下廻る如何なる政府の案に対しましても、人事院は当然私は反対されることであるし、不満であるし、当然政府の案に対しましては徹底的な批判もされる責任があると思いまするが、少くとも法案が提出されて以後におきまして、如何なる肚構えを以ちまして、この政府案に対しまして人事院は取組むか。その辺の御覚悟を具体的に第二段として伺いたいと思います。
  53. 山下興家

    政府委員山下興家君) 政府と我々とは交渉したことはございません。ただこの間今度出される法律の原案なるものを実は見せて貰つたのであります。それについて先刻申しましたように今の給與カーヴ、上と下との開きというようなことについては絶対反対を唱えまして、結局どうすることもできないから、我々のほうは勧告をしてあるのだし、それから政府政府で出される権利を持つておられるから国会へ出す。それで国会で御審議を願うということになつたのであります。地域給につきましてはもう、毛頭今も政府は誰もどこの地域はどうなるかということは知りません。そればかりでなく、無責任のようでありまするけれども、私自身知らないのであります。こういうものはこうして審査して行く、ああして審査するものであるということはやつておりますが、どこの地域如何になるということは、これを私が知りますと、陳情者の顔を見て、いい顔をしてみたり、苦い顔をしてみたりいろいろありましようから、だからこちらが顔を読みとられる虞れがありますから、わざわざこれは誰にも知らさんことにして、最後でなければ人事官会議にかけないという肚をとつております。その代り非常に精密には研究しております。それほど注意しておりますから、これを政府で見せてぱつとばらしましたら大変なことだろうと思う。この問うちこんなものは絶対に秘密にしておるにかかわらず或る所で人事院で聞いたとか何とか言つて大勢が我々のはうに押しかけて来たのであります。そんなことは全く嘘で、間違いでございまして、だからこれの秘密は絶対保障いたします。我々は知らない。それで今の交渉をしたのは今度の出される法律それ自体以外にはないと申上げて間違いないであろうと思います。
  54. 森崎隆

    ○森崎隆君 第二の点につきまして、案が出された後の……。
  55. 山下興家

    政府委員山下興家君) 出されてから後、我々はここで議論をするつもりはありませんで、国会で御審議を願うはずでございまして、我々は勧告をし、資料を提供するというのが我々の義務だと思います。政府とここで対決して議論をするつもりは絶対にありません。これは国会仕事だろうと私は思います。
  56. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の地域給の問題につきまして、私は具体的な問題をどうこういうわけじやない。私たちはこういうように、実は危惧いたし、一応自分として考えておりますので、非常に人事院に対しては申訳ない解釈かも知れませんけれども、当然私たちはやはり本国会の始まる前までに、結局はいつかは決定して出さなければいけない具体的案なのでございます。遅かれ早かれ出さなければならない。然るに九月二十二日の人事委員会におきましては、瀧本給與局長にこの問題を御質問申上げたときに、全体をよくするために一つの改正のプランを立てた。そういう点で御安心願いたいというはつきりした確約を頂いております。その原則から行きましたならば、殆んどすべての地域におきまして、いわゆる不満と言いますか、非常に差があるというふうなことは、少数の例外は別にいたしましても、殆んどないと実は安心して解釈していたわけです。それからもう一つの解釈は何かと言いますと、当然十一月の二十日以前に出すべきものが出されなかつたという場合に二つ考えられる。一つ人事院の怠慢で延びた。もう一つは結局大蔵省を中心といたしまして、政府の圧力で揉みつぶされて来たのではないかというように心配しております。そういう点からさつきの御質問を申上げたのでありまして、具体的な問題についてどうという意味ではございません。もう一つは非常に現在重大な段階に際しまして、例えますならば人事院におかれましてあの勧告案を出して、最低、絶対的なものであるから、是非とも良心と責任を似て、政府はこの勧告案をそのまま実施するように重ねて勧告するといつたような、何か確認的なようなものを総裁の名において政府になされるくらいの御意思と決意があるかどうかというようなことも含めまして、人事院の決意のほどをお聞きしたのであります。一旦良心的に作りました勧告案につきましては、相当やはり法的にどういうことがありましても、合法的な如何なる手段をも考えられまして、公務員に対する責任上、自分作つたところの勧告案につきましてに、人事院で責任を持つて何とか実施すべく全力を挙げることが人事院のなすべき当然のことじやないかと、私は考えるのであります。そういう点から御覚悟のほどを具体的にお願いしたわけであります。この点をお聞きしたかつたわけであります。決して政府と取組んでどうごうという意味じやありません。
  57. 山下興家

    政府委員山下興家君) 私共は再勧告をする意思はございません。何故かと申しますと、一遍の勧告で沢山だと思います。何遍勧告しましてもいけないものはいけないで駄目だろうと思います。それよりもここで国会で御審議願う、即ちこれによつて国民の批判を仰ぐというわけであります。我々公務員国民の公僕でありまして、その面から我々の要求するものは人事院が代表して要求しているのでありますから、無駄なことは決していたしません、国の国費を費すようなことはしない。併し考えて見て、これだけのことは国民に訴えても必ず国民は承知してくれるだろうという自信の下で、我々はやつているわけでありますから、それをここへ出しますから、何もかも……。そうしてここで御世判を願うということは国民によつて批判して貰うということであり、これほど大切なものはない。これほど権威のあるものはないと私は思う。ただ人事院が何かの手品を使つて、そうして国会に圧力をかけ、或いは政府に圧力をかけるものありとすれば、これはフアツシヨ以外に何もないと私は思う。そういうことは好まないのでありますから、政府国会は是非とも御審議願いたいのであります。
  58. 紅露みつ

    紅露みつ君 先ほどから要望があつたようでありますが、本国会は非常に会期が短いのでありますから、給與につきましても、只今地域給にしましても、審議のできるようにとおつしやいますけれども、今出てきてもそうゆつくりではないように私は思いますので、これは責任を似て本当に審議のできるように、いよいよ押迫つて非常に短い期間で審議せいというようなことのないように、私は繰返して希望して置きたいと思います。
  59. 山下興家

    政府委員山下興家君) その点についてちよつと不必要なことでありましようけれども、実は十分なる期間を持たすほうがいいと思いましたから、八月に勧告したのでありまして、八月から今までの間ありとあらゆる資料も出しますし、説明もしているのであります。それで政府では一日も早くここへそれを提案して、御審議を始められることを私共も希望しておりわけであります。
  60. 紅露みつ

    紅露みつ君 資料もあるけれども、さつきのように何か都合が悪いだろうというようなお話があつたのですが、併しそういうことをいつまでも都合が悪い問題があつても伏せて置くわけにはどうせいかないから、思い切つて、どういうふうなことになりますか、私共審議して見なければわかりませんが、資料は一日も早く出して貰うと、こういうことにお願いしたいと思います。
  61. 重盛壽治

    重盛壽治君 大体千葉委員、森崎委員その他の委員から、特に千葉委員から数字的な問題を挙げていろいろ論議されたのだが、私共は淺井総裁に来て貰いたかつたということは、決して山下人事官を軽視するわけではないが、答弁が私の聞くところによると一貫しておらん。成るほど今度の人事委員会そのものだけを考えるときは、一応ごまかし的な答弁で納得のできるものがある。併し人事院本来の使命と、前国会におけるところのあなた方の説明態度と、今日この勧告をした後における態度を総合して見ます場合は、人事院としては政府国民の批判を受けるというようなことではなく、人事院自体が国民の批判を受けなければならん状態に追い込まれておると私は考えておる。最初千葉委員から言われた人事院が出されたことに対してどうであつたかというような、枠をはめられておるということがあるかどうであるかと言つたが、毫末もさようなことはないと大見栄を切られたのであります。千葉委員は恐らく心の中から了解されたのではなく、このようなことを最早聞いても仕方がないという諦らめの上において了解されたと私は考えております。併し実際にはもつと真劍になつて貰わないと、人事院を創設した意味を、私はここで今更喋々する必要はないと思うのですけれども、日本の政治運動全般がいわゆる分派的行動であり、縄張りという根性のために、人事院ができた……、もつと遡つて言いますならば、経済安定本部ができるときに、私はGHQと労働組合の代表としていろいろ折衝した。ところが大蔵省に行げば大蔵省の勝手なことを言い、運輸省に行けば運輸省の勝手なことを言い、或いは逓信省に行けば逓信省の勝手なことを言うといつたように、個々ばらばらの形……、いわんや予算の問題につきましては国内全般の経済状態を見渡して、その本当の姿というものは打ち出されない。そこでGHQのサゼツンヨンによつて、むしろ命令によつて経済安定本部なるものが確立せられた。この中で国の経済全体を総合して国家経済を確立して行く。そういう意味で安定本部が作られた。そのときには我々はそういうものを作つて、その中で諸君の要望、考え方を国全体の姿の上に立つてやらせるから、経済安定本部設置について一つ政府に圧力を加えてくれというくらいのお話があつて、我々誠に尤もだ、こういうことがなされたならばさだめし日本の経済状態、日本の現実を把握した形においてものがやれるようになると考えて、やつたところが、経済安定本部の今日の状態では僅かに資料を出し、数字を出しておるというような姿で、実際依然として大蔵省に牛耳られておるというような姿になつておる。人事院が設立されたときにおいても、御承知のように官公吏の政治運動が、或いは国交が……いわゆる労働組合法が改悪された。その代り人事院を作ろうじやないか。その人事院は国の経済状態を中心にして、今日の日本の官公吏はどういう生活状態に置けばいいか、どういうふうにして正しい給與を打ち出すか人事院の使命であるし、これを庇護せしめるというのがマツーカーサー司令部の書簡の中に明確にされておる。従つて第一回の六・三べースを出した当時におきましては、人事院とは結構なものができた。成るほど労働運動にも一部相当行過ぎがあつた。我々自体、労働組合の中におる者すらこの行過ぎには可なり困難を感じて困つた。日本の民主化を一部阻みはしないかということすら考えて、そこで人事院考え方は、淺井人事院総裁の堂々たる態度は、人事院の信念によつて六・三べースが確立されて、非常に結構なものができた。ところがその後第二次七・八ベース、国鉄の裁定等も殆んど今言つた政府実情に応じて牛耳られてしまつて、これらの実現を見ることができなかつた従つてこの前の国会において国会冒頭、吉田首相が給與ベースを引上げよう、或いは淺井総裁給與ベース勧告をしようということを大見栄切つたにもかかわらず、あなたの言うように毅然たる態度給與ベース勧告がなされておるならば、当然出されなければならないはずであるにもかかわらず、右顧左眄した結果、遂に人事院としての給與ベース改訂を出すことができなかつた。これは何といつても、幾ら人見栄を切つても実際にどこからか引ずられておるか、或いは信念がない、乃至は又人事院が僅かな人事院としての面目を保つために、あの国会が終了すると同時に、あの八千五十八円というような、今日の経済状態から言えば或いは地方税が上り、米価が上るという姿からいつても、現実には即さないと考えるけれども、これは別に議論するとしても、そういう形からいつて出されたものに対して、私共は決して人事院のあなたの言われるような、毅然たる態度において出されたものとは考えられない。而もこの前の国会のときに、給與べースの引上げをしようということが、補正予算も許されず、GHQのお許しもとれない。それだから出せないのだということで、その後出されたということであれば、当然そういう経路の……予算の見通しを持つたということ、又一面OKをとつて来て出したということを我々も明確に言えるのであつて、これは当然本国会で、これが又日本の現在の政府のあり方というか、従来よりの官僚主義といいますか、縄張り主義といいますか、人事院が出したものは何としても政府、或いは大蔵省が一応ひねつて見なくては治まらんという姿が実は歎かわしいことであると私は考えるが、そういう形をとつて山下人事官が言うような毅然たる態度を以て、そういう感覚でやるならば今森崎委員から言われたように、どういう形で政府に原案を出し、どういう折衝をしたかということを……、出し放しで、我々はこの勧告を出せば事足れりとすることであれば、本当に僅かに人事院としての使命を保つために出したように考えられる。本当に給與を引上げてやろうという熱意から出したものではないというように考えるが、どうなんですか、それは。
  62. 山下興家

    政府委員山下興家君) 私共が政府と何か交渉をしているだろうと思われることが一番心外なんでありまして、これぼど我々の名誉毀損のものは私はないと実は思つておるのです。なぜかと申しますと、若しも政府と初めから話合いをするものだつたらば、話合いというものは必ず一方ばかりの説によつて通るものじやないのですから、ギヴ・アンド・テイクで結局こつちから何らかの案を出すと、向うから何らかの案が出て来る。それで手を打つというところが交渉だろうと思うのです。そうして交渉したものならば、それならば勧告したらすぐそれが採用されて、成るほどと思うように世の中の喝采を博するだろうと思うのであります。併しそれをやらないからうまく行かないとも言える。結局主計局が大蔵省にあつて、主計局の案はすぐ大蔵省を通過する。そういうもののほうがいいという考えならばそれでよろしいのでありますけれども、そういうことは我々はどうもいかんと思う。この交渉はやはり闇じやいけない。みんなの中で交渉を始めるのが本当だろうと思うのです。それですから我々はこう思うのだ、これも確かだと言つて勧告をする。勧告をする前に交渉はしておらないのであります。それだからこういうふうに政府と対立状態が起つて来る。対立ができるということそれ自身が、即ち交渉をしておらんということを立証しておるのでありまして、それを判断するものは何かと言うと、即ち国会で判断をして貰う以外にない。即ち国民の前で、国民の眼の前でこれを交渉する。闇で交渉するのではないのだということが私共はこれが本当の民主主義の行き方だと心得ておるのでございます。それで仮にさつとこう通すことを御希望ならば、これは幾らでも私はできると思う。そうつと交渉さえすればいい。たた出しつ放しだと言われるのが私は非常に因るのであります。成るほどそうも見えるでしよう。併し勧告をして置いて、さてそれじや大蔵大臣と会つて話をするとか、総理大臣と会つて話をするとかということになると、そこで交渉ができる。それこそ政治的折衝になつて人事院のあり方がわからなくなる。それで出しつ放しのような恰好になる。これはどうも誠に痛いところでありまして、総裁が誰々と会つた、或いは政治折衝をしているのだろうとこうすぐ新聞に出されますから滅多に会うこともできない。その代り我々は材料は幾らでも提供します。説明は幾らでもしますと、そういうことで進んでおるのですから、人事院のあり方をよく御了解願いたいのであります。
  63. 重盛壽治

    重盛壽治君 これはさつき私が言う通りに、今現われた今度の勧告に対しての答弁としては誠に理の当然であるし、当然人事院としてはそうあらねばならんのでありますね。而もこの前の国会のときも私がさつきも説明するように当然出そうというものを出せなかつた建前から来ても、人事院としての真意は抹殺している。甚だ私の感覚と山下人事官の感覚と少し違つて相済まんけれども、そういう感覚の人事官では私共は困るので、個人的にに相済まんけれども辞めて頂こうとまで、この前の国会では考えたことがある。これらはいろんな対外的な関係から……、ちよつとこれは速記を止めて貰つて、一分間ばかり……。
  64. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  65. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を始めて下さい。  次はこれは山下さんにちよつと……。さつき千葉さんの質問に、この政府の今度出したものには承服できんということがあつたのですけれども、あれはつまり給與の額だとか、そういうものに承服はできないというようであつたのですが、つまり支給の方法だとか、割合だとかそういうものよりも、もつと根本に給與の支給率と、俸給表内容とするところの給與法の立案権というものが、あなたのほうにあるのだという前提の下に、政府がそういうことをやることに承服できないのだと、こういうような考え方も含んでおるのですか。
  66. 山下興家

    政府委員山下興家君) 私はまあ法律的に申せば、それは人事院如何にこしらえても、それを内閣でどんなに変えられても、これは不服というわけにも行きませんし、人事院としても法案をここへ提出するという権限はないのでありますから、これはもういたし方ないのでありますけれども、行政上の常識から考えますと、やはりその專門の省なり、專門の機関が立案をし、そうして又それに対する不満があれば、その不満の、例えばこれでは予算が賄えないから、予算が賄える範囲において最も合理的にしろとか何とかいうことによつて、それで案を立てる者が、やはりその立案者がやらないと、今度実行するときに責任がどこに帰着するかということになるのでありまして、先刻も申したように給與実施本部があつて、あれは両頭の蛇のようにああいうふうになつたので、いろいろな悪い影響を受けたのでありますが、やはり一つの責任のところで、実行の責任者が最後の案は作るという行き方のほがうが、行政的には私は正当だと思います。
  67. 木下源吾

    委員長木下源吾君) いやそこなんです。いろいろ問題がありますが、千葉君の質問の中に、額はどうだという、そういうものではなく、根本的に立案権が、あなたは今法律的にはないと、こう言われておるのだが、そうではなく、やはり職務と権限とこういう問題を研究して見られれば、それはやはり人事院に立案権があるのだというふうに考えておる側もあるのですが、こういう点で御研究を少しして見られて、次の委員会にもう少し常識的ではなく、或いは行政的ではなく、いずれあなたのおつしやるように国会においてこれは決定して行くわけなんですから、その際においても必要な事項だと思いますから、附加えてこの点を一つお願いしたいとこう思います。……それでは本日はこの程度で止めてよろしうございますね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 木下源吾

    委員長木下源吾君) では月曜の午後一時から開きたいと思います。  それからもう一つ、この前加藤さんと吉田君ですか、調査しに行つて頂いた国有林野労働者の問題、この問題について請願が来ておりますが、加藤さん、これは全員のとき紹介者が出したほうがいいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 木下源吾

    委員長木下源吾君) ではそういうふうに決定いたします。  では今日はこれで終ります。    午後三時四十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 源吾君    理事            加藤 武徳君            千葉  信君    委員            西川甚五郎君            重盛 壽治君            森崎  隆君            大隈 信幸君            紅露 みつ君   政府委員    人  事  官 山下 興家君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦君