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1950-07-21 第8回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十一日(金曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事辞任の件 ○昭和二十三年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十三年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)   —————————————
  2. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それでは只今より決算委員会を開会いたします。先ず最初理事辞任に関する件を議題に供します。理事池田七郎兵衞君より理事辞任いたしたいとの御申出がありましたが、これを許可することに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 御異議はないものと認めます。池田七郎兵衞理事辞任の件は決定いたしました。   —————————————
  4. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 次に昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算、二十三年度特別会計歳入歳出決算議題に供します。  先ず最初年度繰越の件を議題といたしまして御質疑を願いたいと思います。
  5. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 この年度繰越の件でございますが、これに対しまして決算検査報告、又は只今頂載しました説明書などを見てみますというと、年度区分をみだるものが段々こう非常に多くなつておるよう傾向もあるし、非常に多いように思われるのでありますが、殊に答弁書の中あたりにおきましても大義省承認が非常に遅れるというのを理由にしておるようなものもあるようでございますが、これに対しまして何とかこういう年度区分をみだるというものに対する措置が必要であろうと思うが、これに対して先ず御説明を頂きまして、それからいろいろと質問を続行したいと思いますがどうでしようか。
  6. 平井平治

    説明員平井平治君) 最近、終戰直後以来でありますが、会計職員が新らしい人が非常に殖えましたので、それからそれらの事務が複雑になりましたので、そういう影響がありまして繰越につきましても事務が非常に渋滯いたしましております。それで繰越制度につきましては、どういうふうにしたらよろしいかということを検討して参つたのでありますが、制度そのものを動かすよりも……、制度そのものを動かすとか、改正するとか、そういう考えも一部にあつたのでありますが、いろいろ研究いたしました結果、制度そのものを動かすまでのことはないのじやないかというふうに結論が出まして、只今のところでは繰越に関する制度そのもの改正するということは考えておらないわけであります。併しながら非常に繰越に関するものが多い。而もそれらが遅れるということはお話通りでありますので、取扱いを昨年度から改正いたしまして、従来でありますと、各省から繰越書類を全部大蔵省に持つて参りまして、大蔵省主計局でこれを審査いたしまして、繰越承認するという、こういう手続を取つてつたのでありますが、昨年度から大蔵省へ全部持つて来て、大蔵省で全部審査するのでは遅れるという考え方から、地方にある、各財務部審査を委しまして、それでよろしいというものを持つて来たものについては、直ちに主計局でこれを承認するというふうに手続改正いたしまして、二十三年度二十四年度につきましては、二十二年度以前に比べますというと、承認手続は相当早くなつておりまして、例年ですと今頃まで場……、例年と申しますと二十二年度以前でありますと、今頃まで各省から来ました繰越に関する承認書類が溜つておるのでありますが、本年度は全部承認済みなつておるようなわけでありまして、そういう取扱い改正して、なるべく早くしたいと、こういうふうに只今のところ考えておるわけであります。
  7. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 次いで御質問したいのですが、この大蔵省法令によりますというと、締切りが四月三十日というようなつておるように思います。それにも拘わらず、説明書等を見ますというと、非常に遅れております。例えばこの説明の第五十一等におきましても、繰越承認が七、八月頃になつておる。或いは四百四十二のところにおきましてもかなり遅れておる。五百七十六号におきましても九月頃になつておるというような、例を見ますというと、これは実にその書類が余り複雑過ぎる結果ではなかろうか。若しこれが余り複雑なためにそれが遅れるようであれば、先ず一応簡單書類承認して、後から詳細なる報告をするというようなことにでもしたならば、幾らか早いと思うのでありますが、そういう点に対しての御見解はどうですか。
  8. 平井平治

    説明員平井平治君) お答えいたします。お話通り書類は相当只今のところ複雑でございまするので、各財務部審査に当りまして、全部の書類が揃わんというと、審査を始めないというようなことのないように、一部でも書類が出て来た部分については審査を始めて、若し書類が直ぐできないような場合には、後からでもよろしいということを、一部分については今でもやつておるわけであります。併し、この繰越承認する上に必要な書類が欠けた場合には、どうしても書類を揃えさせるということで、各省書類を作るために遅れるというようなことは、お話通りの点があろうかと存じます。それでこの書類が非常に、その外の書類もそうなんでありますが、繰越書類も多いのでありまして、これは一つ何とかもう少し簡單にしたいと、こういうふうに考えておるのでありまするが、繰越承認するという上において、幾ら金額が確定しなかつたり、その残つている金額がどのくらいあるのか、そういうふうなことを確めないというと、どうも繰越承認することができないので、そういう書類は簡素にするといたしましても、そう簡單にはできないようであります。併しながらお話の点もよくわかりまするので、尚研究いたしたいと思つております。
  9. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 次いでお尋ねいたしますが、先刻の説明によりましても、全国的に全部まとまらんでも、大分承認を與えるというよう方法が講じられつつあるというお話ですから、全国の書類を全部まとめて……、無論予算関係が伴いますから、金が幾らなければ十分承認もしにくいでしようけれども、やはり一つ一つ片附けて行くというような大体の方針を採られたら、それもかなりこれを早くする一つ方法になりはせんかと思いますが、この点に対してどうですか。
  10. 平井平治

    説明員平井平治君) お答えいたします。昨年度から、大体その前までは大体の繰越の総額というものを見当づける評うな傾向を持つてつたのでありますが、昨年度からはもう来たものはその来た順序によつてどんどん承認をいたしております。
  11. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今お話でかなりよく分かりましたが、まだ法令でこれを変えんでも、いろいろの外の方法によつて改正をすれば早く行くであろうというようお話でありますが、これに対しまして三つばかりの改正をしてはどうかというようなことをお伺いしたいと思います。  先ず第一番にこの法令によりますと四月三十日が締切期の励行になつておるのでありますが、これを一ヶ月繰上げて三月下旬を提出期限にするということにすれば、そこにおいて先ず一ヶ月の余裕ができると思います。  その第二には、この書類が出ましてから或いは二週間、三週間してもなんら大蔵省からの通知がない場合は、すでに許可されたものと思うて工事を続けるというようにすれば早くできると思います。尚一般にこの全体の決算書類を拝見いたしましても、かなり悪質なものを極く簡單に、或いはこれに対して懲戒とかなんとかいう程度に止めておるようでありますが、悪質なものはもつと厳重に懲戒するというよう方法をお取りになれば、期日も案外早く締切が行くのではなかろうかと存じますが、かかる三つ方面につきまして改正をされる御意思がございますでしようか、その点につきまして一応お伺いしたいと思います。
  12. 平井平治

    説明員平井平治君) お答え申上げます。第一の四月末日締切期限を三月下旬としたらもつと早くなるではないかというお話でありますが、これは最終期限が四月末日なつておるのでありまして、例えば十二月中或いは一月中、二月中に繰越承認の必要なものはその都度財務部に提出すれば、その都度承認することになつております。尚四月末日を三月下旬に繰上げたらもう少し早くできるのではないか、こういうお話でありますが、四月三十日は出納整理期限と申しまして、年度締切が三月末日なつておりますから四月末日にならんというと、金の方の締切ができないので、その前に繰上げますと各省仕事をやつておる方で困る結果になりやしないか、かように考えますので、お話ように繰上げるこによつて繰越関係が早く済むというようなことは如何かと考えるのであります。と申しますのは三月中に各省が出して来れば、私共の方は三月中にでも承認いたすのであります。四月三十日が最終期限でありますから、さように考えておるわけであります。  それから第二番目の承認要求書を提出したならば、繰越一定期限を過ぎたならば、繰越承認せられたものと見做して仕事を進めさせるようにしたならばどうかという話でありますが、この点は尚一つ研究いたさなければならないかと存じます。ただ附加えて申上げておきますのはこの繰越承認大蔵省に出して承認にならないというのは、二十三年度、二十四年度を通じまして一件もないのでありまして、全部書類を訂正して貰つて承認しておるのでありまして、大蔵省側からとすれば、出て来たものはそう二週間も三週間も遅れておるようなものは昨年度からはないのでありまして、先程お話があつた提出する方の側の書類の作成に相当手間がかかつておるようでありまして、この書類簡素化を考えれば、もう少し早く行くのではないか、かように考えております。  尚期限付のそのお話の点は、研究してみたいと存じます。  それから第三番目の悪質者に対する厳罰を考えたら如何なものか。こういうお話でありまするが、これは御承知の通り先般の国会予算執行職員責任に関する法律が出まして、国に損害を與えた者に対しては弁償責任を負わせる、或いは懲戒処分をするという法律が出ましたので、今後はこの方面から来るところの違反不当処理というものは相当減少して参ると、かように考えております。
  13. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 谷口委員にちよつと申上げますが、今主計局長がお見えになつたのですが、今の問題、非常に大事な問題だと思いますが、主計局長の御答弁を御要求になりませんか。
  14. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 是非どうぞ。
  15. 河野一之

    政府委員河野一之君) 只今司課長が申しましたのと大体同様なことを御答弁申上げるのでありますが、この年度区分の問題につきましては、いろいろ会計検査院検査報告にあります通り随分と紊れたものもあるように思います。この理由はいろいろあるかと思うのでありますが、最近漸く会計官吏の素質もよくなりつつありまするし、又そういつた会計経理に対する観念もだんだんと昂揚して参りましたので、よくなつて来つつあるのでありますが、尚又現在の状況といたしましては、交通、通信の関係もありますし、まだ十分でない点もあります。例えて申しますと、歳入徴收済報告書、或いは歳出支出済報告書というものは各四半期、各月の分を取ませまして翌月の十日でありましたか、或いは二日でありましたか提出することになつているのでありますが、これが現在の状況で参りますと半年も遅れて参るよう実情でございます。会計官吏の不馴れな点もありまして、なかなか期限通り行きにくいという、そういつたような点で幾多の問題が起つておるわけであります。四月の三十日という期限はもう少し早めるということも考えられるのでありますが、現在のよう状況で法規的には四月三十日となつておりましても、実際はそこまでに書類が整つて参らないというのが実情でございます。特別会計、例えば鉄道は特別会計ではなく公社であります。専売、これも公社でありますが、郵政、電通といつたよう特別会計、それから公社会計におきましは発生主義ということで、歳入歳出ということでなしに、債務を負つたり或いは債権を取得したりという時期を以て收入支出と考えて、三月三十一日を以て区切つておるのでありますが、その他の会計におきましては現金会計ということに相成つておりますので、現金整理期間がどうしても要るわけでございます。従つて三月三十一日に一応歳入調定、或いは債務の契約をいたしましても現実收入、或いは支出が整理する期間がどうしても必要である。そういう関係で四月三十日となつておるわけであります。こういつた問題、もう少し早くするという問題につきましては、今後のやり方の問題として十分考えなければならん問題だと思いますが、現実はまだそこまで行くにはやや遠いかと考えております。それから悪質者の問題でありますが、これは先程司計課長が申しました通り、今回予算執行職員責任に関する法律というのが出まして、予算執行に当りまして、故意又は重大な過失によつて政府損害を與えたという者は、これの賠償責任があるというふうなことになつております。それから故意又は重大な過失であつても、そうして国に損害を與えなかつた場合においても、事情によつて懲戒に付することができる。こういう厳重な会計官吏に特有なる責任を負わせるということにいたしまして、こういう悪質なことができないことを期しておるのであります。この結果はこの法の施行後まだ僅かでありますので状況はわかりませんが、この関係におきまして相当会計官吏自体において自粛と申しますか、大いに留意しておる傾向が見えることは事実でございます。それだけお答え申上げます。
  16. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 これは大蔵省自体年度区分をかなり紊しておるようなことがこの検査報告には出ておるのでありますが、例えば三百二十五号、三百二十六号、三百二十七号などにおきましては、年度を紊して翌年度なつてそれを支出したり何かしておるよう関係があるようでございますが、これに対して一応御説明を願います。
  17. 河野一之

    政府委員河野一之君) これはまあ法律上から申しますと適当でないのであろうと思います。三月までの間に作業は完了をし、或いは納入があつたのでありますから、その年度予算から出すべきことは当然であります。ただ予算が不足する場合におきましては、これは補正予算を取つて支出するというのが正当であろうと思いますが、すでに年度の終りになつてそういう余地がなかつたといつて支払いをしないというわけには参りませんので、過年度支出をしたということに相成るのであろうと思います。ものによりましては、これは繰越制度があるのでありますから、そういつた繰越措置をしてやるのが正当であるかと思うのでありますが、繰越ができるものにつきましては、そういう措置をとらなかつたというのは甚だ遺憾だと思つております。こういう点につきましては、たびだび会計当局にも注意しておるのでありますが、いろいろ不慣れな点もあり、又緊急止むを得ざるというよう事情のために、こういうことになつたのであると思うのであります。これは甚だ遺憾だと思つております。
  18. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 外に何か年度繰越の件について御質問ございませんか6それでは会計検査院の本件に関する御意見を承わりたいと思います。
  19. 大澤實

    説明員大澤實君) 只今年度区分を紊りました件に関しまして、会計検査院見解を一応申上げておきます。実はこの年度区分を紊るという件は従来から非常にありまして、その都度注意を與えては来たのでありますが、特に最近といいますか、二十一年度、二年度等に非常にその例が顕著になつたというので、二十二年度までの検査報告には特に最初概要のところに、年度区分を紊るものを掲げまして、概要としまして記述してあつたのでありますが、二十三年度におきましては、同じことではありますが、記述簡單にいたしまして、概要検査報告で申しますると、二十一頁のところに工事に関しまして、第四の「工事施行」というところの末行の「なお書き」で附評しておきましたのですが、「年度内に完成しないのにこれを完成したものとして処理し、経費の年度区分をみだつている事例も少くない。」と記述してあります。依然としてこの例は多いのでありまして、先程からお話がありましたように、二十三年度決算検査報告にも確か全部十八件が載つておると思います。これは検査院としましても、全部を掲げることが余りにも検査報告を厖大にさせるというので、金額の大きいものだけを掲げました点で、この外にもまだあるのであります。ところでこれの原因としましては、先程からお話のありました繰越承認関係、これが確かに一つの大きな要素でありまして、当事者が殆んど口を揃えて申しますことは、繰越すると承認手続が遅れる、そうするとその間工事を中止しなければならない、だから悪いとは知りながら年度内に完成したものとして処理してしまうのだというよう答弁が殆んど揆を一にして出て来るのであります。これに関しましては先程かや主計局長及び司計課長から御説明がありましたように、承認手続も非常に従来から見れば簡單なつているのでありますから、各省会計当局者がそのつもりで、予め早くそれぞれの承認手続をとりますれば、まあさしたる故障なしに繰越ができるのではないか、結局繰越手続が煩瑣であるという声におびえてその手続をとらん、もつと簡單な、まあなんといいますか、文書を少しごまかして年度内に完成したことにした方が簡單ではなかろうかというよう気持でやつておるのではなかろうか、こういうふうに考えられる点があるのであります。これに関しまして、会計検査院としては、これは飽くまでも会計法規上の違反である。又開き直つて考えれば、或る意味におきまして、公文書の偽造でもある。であるからそうした繰越手続が困難であろうというよう気持でやるのは甚だよろしくないと思いまして、毎年のことながら検査報告に掲げておる次第であります。この繰越手続簡素化ということと、もう一つ関連しまして、年度区分を紊る弊を打破するのには、やはりこの工事などの支払計画示達というものを成るべく早期に行う、特に寒冷地域或いは積雪地という方へ参りますると、例えば第四・四半期工事予算示達がありましても、もうすでに雪にとざされて工事施行でごない、そうしますと、いいところは三月頃、少し工事に著手してどうしても繰越なつてしまう。而も先程申しましたように、繰越手続が困難であろうというので、でき上つたようにして処理してしまうというのでありましてこの支払計画示達を少し早めるということが、この年度区分を紊すことを阻止する一つの手段ではなかろうか、こう考えております。ともあれそうしたことは成規繰越手続をとれば何ら違法な処理をしなくても済むのに拘わらず、そうした処理をするということは、やはり根本的に突き詰めますれば、各会計処理職員遵法精神といいますか、会計法精神というものを十分に咀嚼して、それに則つて行こうというこの気持が多少弛んでいるのではないか、これがやはり一番の原因ではなかろうか、そういうように考えております。これに関しまして先程からお話もありましたように、今年の五月国会を通過して公布になりました予算執行職員等責任に関する法律によりましてたとえ国に損害がなくても、故意又は重大な過失で違法な行為をしたというものに関しましては、会計検査院懲戒処分要求することができるということになりましたので、勿論年度区分紊つたもの全部に対してというわけには行かないかも知れませんが、その中で特に悪質であると考えたものにつきましては、将来の問題といたしましては、これに対しては責任追究の途を講じまして、そうしてこうした違法経理の絶無を期したい、会計検査院としてはそう考えている次第であります。
  20. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 会計検査院に対する御質問はございませんか。それでは年度繰越の件はこの程度で止めておきまして、次に二十三年度批難事項の第一号、石炭手当等の件を議題に供します。最初会計検査院の御説明並びに御意見をお願いいたします。
  21. 大澤實

    説明員大澤實君) 第一号の「制規によらない給與を支給したもの」というのに関しまして御説明を申上げます。検査報告の二十九頁に書いてある点でございます。各省各庁で昭和二十三年の十二月十九日の閣議決定に基きまして、北海道及び東北、北陸、山陰等寒冷積雪地に在勤する政府職員に対しまして、北海道に関しましては特別俸という名義で、そうして又寒冷積雪地に在勤する者に関しましては勤務地手当という名義で、実質上は石炭手当又は寒冷地手当というものを支給しているものがありまして、検査院で調べ上げたところでは、その金額が約九億四千万円ということになつております。この特別俸とか或いは勤務地手当という名義で支給しました石炭手当、又は寒冷地手当法律にも根拠がなく、予算にも計上がないものであつて、こうしたものを支給するのには立法手続を取ると共に予算的措置を講じた上で実施すべきであろう。こう考えましたので、ここに正規によらない給與を支給したのは妥当でないものとして検査報告に掲げた次第であります。  尚記述簡單に過ぎて或いはおわかりにならないのかとも思いますので、若干敷衍して申上げますと、先ず北海道に関しまして申しますると、これは二十二年には特に法律を出されまして、北海道在勤者に対しまして石炭手当を支給されたわけであります。越えて二十三年度になりまして、それぞれ関係方面その他に御折衝になつようでありますが、それが容れられなかつたというよう関係もありまして、石炭手当としての立法措置、又は予算措置というものが講じ得なかつた。そこで特別俸を支給する、こういう名義閣議決定によりまして特別な給與を支給されたわけであります。その内容を見ますると、二十三年の四月に遡りまして俸給を二号俸から甚しいのは九号俸まで一度に引上げまして、そうして最高金額は五千百何十円でしたかに抑えましたが、そうしてそれだけの金額を十二月に一括して北海道在勤者給與する、そうしてその引上げ給與が終りますと、又元に戻つて元俸給に戻る、こういう方法を取られたわけであります。そうしてこれを特別俸という名義で処置されたわけでありますが、特別俸といいますのは従来の観念からついたしましても、或いは特に職務上加俸を要つする者に給與する、その他動務の困難な者に給與するというよう俸給一定の率を加えたものを定期に給與しておるというのが従来の観念における特別俸であろうと思います。それを一挙に十二月におきまして四月まで遡つて計算上の特別俸、而も今までの俸給昇級の例によらずに一度に二号から九号までの段階を飛び越えたものを計算されまして、一度に支払う、その支払が終ると又元へ戻る、而もその上増した分に関しましては、恩給法、或いは共済組合法、その他のいわゆる掛金などの引去りというものに対しては考慮していないということになりまして、結局名前は特別俸ではありますが、実質においては一時手当を與えたものと何ら相違がない。こうした特別俸は従来の給與法規の予想しないところでもあり、又予算にも何ら積算がないものでありますから、この支給は妥当ではないのではなかろうか、こういう結論に達したわけであります。  次に寒冷積雪地給與しました寒冷地手当でもありますが、これは二十二年度までは古い大正九年の勅令四百五号によりまして、こうした特殊な場所に勤務しておる者に対しては、一定手当を支給することができるという規定に基きまして出しておられたのでありますが、これも二十三年の十月にこの勅令は廃止になつております。従いましてこの寒冷地手当というものを支給する何ら法令根拠がなくなつたわけであります。そこでこれを寒冷地手当としては支給できないので勤務地手当という名義で支給されておるわけでありますが、この勤務地手当といいますのは、政府職員の新給與実施に関する法律というのが二十三年の五月に施行されておりますのですが、そこに謳つてありますように、勤務地手当生活費の高い特定の地域に在勤する職員に対して支給するのである。そうして勤務地手当月額は、俸給月額と扶養手当月額との合計額に一定の割合を乗じて得た額とする。こういう規定を置きまして結局この勤務地手当というものも毎月コンスタントに俸給及び家族手当一定の歩合を掛けたもの、これを支給するのだ。こういうのが勤務地手当の性質であろうと思います。そうしてこれを決定するのには一応法律上は地域給審議会というものの議を経て決定することになつておりますが、これができない間は結局給與当局者、当時においては大蔵省が決定されたということになるわけであります。それで結局勤務地手当の本質は毎月コンスタントに俸給及び家族手当一定の比率を掛けたものというように解釈できまして、尚これに関しまする勤務地手当の支給準則というものによりましても、只今ありますのと同じでありますが、特地は三割、甲地は二割、乙地一割を支給するのであるというのが、大蔵省給與局で決定されまして二十三年の十月に給発第七百二十七号というので各方面に通知されておるのであります。でありますから、この新給與実施法による勤務地手当というものは、この範囲のものが毎月コンスタントに支給される。この支給準則に基いて交付されるものが勤務地手当である。ところがこの寒冷地手当の変形として出されました勤務地手当は、確か九月から十二月の間におきましてそれぞれ地域によつて違いますが、一割とか五分とかいうものを附加して、その期間だけに支給されている。而もこれも先程申しました特別俸と同じように計算しまして、一括いたしまして十二月に支給されているという点から見まして、いわゆる新給與実施法による勤務地手当というものとは相当懸離れた、やはり一種の手当ではなかろうか、手当だとしますればその法令根拠としまして従来ありました大正九年の勅令第四百五号が廃止になつておる今日におきましては、この支給の法的根拠がないのではなかろうか。又予算にもそうしたものは組んでいない。以上申しましたところを総合いたしまして、結局この十二月十九日の閣議決定に基いて給與されました特別俸及び勤務地手当というものは法律根拠のない、又予算に積算ないものを支給されたのであつて妥当でない。こういう結論に達したのであります。もとより当時の情勢としましてこうした給與を支給しなければならなかつたであろうと思われる当時の社会情勢といいますか、そうした関係会計検査院といたしましても十分に諒察できるのでありますが、手続としては十分でなかつたのではなかろうかと、こういうことが検査報告に掲載された次第であります。
  22. 千田正

    ○千田正君 今の会計検査院当局からの御説明によりますと、この問題は非常に決算上重大なる問題だと思います。というのは今の特別給與に関するところの特別法の問題並びに寒冷地或いは積雪地におけるところの処置に対しましては、衆参両院を通過したところの議決に基いたものであつたにも拘わらず、政府はその法規手続をやつておらなかつたというところに大きなミステイクがある。そこで会計検査院の立場をいうというと、法律に何らの根拠のないものをこういうふうにして、会計法上からいうと誠にこれは妥当を欠いているという意味でこの問題が起きて来ると思うのであります。然らばその会計検査院法律に準拠しないところのこういう支出をしたというところの、責められるところの一体立場におるものはどこか。閣議決定をしたところの当時の政府がその責任を負うべきであるか。それとも衆参両院が議決したのにも拘わらず、それに対して立法処置をとらなかつたというところの、そのときにおけるところの衆参両院が、その責任をとるべきであるか。非常に法的根拠としてこの問題は重大であると思います。  そこで私からもう一度御伺いしますのは、会計検査院としてはこの法律根拠がなかつたにも拘わらず、実施したということについては、その責任をどこがとるべきであるかということを、会計検査院としての立場からその責任の帰趨を一体誰がとるべきかということについて、一体あなた方はどう考えておるかという点についてお伺いしたいと思います。
  23. 大澤實

    説明員大澤實君) 本件に関する責任の帰属がどこにあるかと、会計検査院としましては、会計検査院の対象になりますのは、会計事務執行する職員であります。でありますから、各職員が結局こうした法律根拠のない給與を支給したということが責任ではなかろうか。つまり全国といいますか、寒冷地及び北海道に勤務する会計事務職員、いわゆる支出する職員、これがいわゆる第一の責任ではなかろうかとこう考えております。  で閣議決定したことの責任如何ということになりますと、会計検査院といたしましてはいわゆる何といいますか、会計行為そのものの責任を一応考えておるのでありまして、その背後に行われた……、背後という言葉は悪いかもしれませんが、その前段に行われた行為に対しましては深く検討いたしましておらないのであります。只今の御質問に対しましてはつきりしたお答えはできないのでございますが、申上げできることは検査院責任者と考えておるのはこうした違法の給與予算にない給與を支給したところの会計職員であると考えております。
  24. 千田正

    ○千田正君 私は、今の会計検査院の当局の説明からいうと、その担当した職員が間違つておるというふうに考えておられるようでありますが、これは決して会計職員の間違いではないと思う。といふのはこの閣議決定と同時に、これは衆参両院の或る一応の賛成を得ている筈であります。でありますから、賛成を得たと同時にこれは立法処置をとるべきであつて、にも拘わらずその立法処置をとらなかつたとろにこの当時の責任があると思う。でありますからこれは当時の支給に関係したところの会計職員責任ばかりでなく、当時の政府も責任があると思うのであります。でありますからこれは我々決算委員会としましては、ここで十分法的責任を研究すべきであると思います。で私は一応ここで質問は打切りますが、委員長からこのことをお諮り願いたいと思います。
  25. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 千田委員に申上げますが一応政府の御見解を承つては如何でしようか、この問題について……。これに対する政府委員の大体の御意見を承わります。
  26. 河野一之

    政府委員河野一之君) 昭和二十三年度におきまして、この石炭手当及び寒冷地手当を出すに至りました政治的背景につきましては、只今御指摘の通りであります。私これに関係いたしたのでありますが、昭和二十二年度におきましてはこれは單行法が出ましてこれは千八百円べースの時代であります。それから二十三年度のときには当時六千三百円べースになつたのであります。従つてベースも上つたのであるから石炭手当は支給すべきでないという関係方面の強い意向がありました。併し、私共はやはりこれは同じレベルの職員のものであつて北海道職員は特別であるから出さねばならん、衆参両院の御決議もありましたし、いろいろ折衝をしたのでありますが、遂に法律案についてオーケーを取ることができなかつたというのが実情であります。それで御指摘の点は、如何に実現するかということを私共は苦慮いたしたのでありますが、当時ば新給與実施法及びこれを施行ずる新給與実施本部というものがありまして、新給與実施法の第十三条に「各職員の受ける給與は、その職務の複雑、困難及び責任の度、勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤労に関する条件に基いたものでなければならない。」ということになつておりましてそういう職俸、俸給を決めるのは、新給與実施本部長が決めることができる、この新給與実施本部長は当時は内閣官房長官であります。ができるという解釈をいたしまして、特別法の制度を作りました。それから寒冷地給でありますが、これは一種の勤務地給であります。従いまして当時の法制上の新給與実施法におきましては、大蔵大臣が勤務地手当を決めることができる、こういう法律上の根拠がありましたので、その根拠に基きまして一定期間だけ当該寒冷地に支給するものについて勤務地手当の割合を増加した、こういう惜置を取つたのでありまして、私共はこれは法律上の根拠なくして出したものとは考えておらないのであります。
  27. 千田正

    ○千田正君 今大蔵省の河野局長か上のお話によるというと大蔵省当局はいわゆる当時閣議、衆参両院の決議に基いていろいろ関係方面と折衝をしたけれども、遂に十分な答えを得られなかつた、併し現実においてはどうしても支給しなければならない現状であつたが故に、特別法によつて措置をしたことは法定根拠においては間違いないと思うという考え方でありますが、そうしますと結論において、会計法上の問題からすると、会計検査院のいわゆる法律に準拠していないという考え方と、大蔵省としては当然そのときにおいては万遺漏のない方法によつてこれは支給した、ここで論が二つに分れるのであります。この点については我々といたしまして慎重に審議する必要がありますから、この点を委員長からお諮り願いたいと思います。
  28. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 只今千田委員から御発言がありましたことは、これは全く本委員会としては非常に重大な問題として研究しなければならんと思うのでございます。この点について皆さんの御意見を承わりたいと思います。
  29. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 今法的根拠のことが問題になつておるのでありますが、二十四年度以降はどういうようなつておりましようか。それを伺いたい。
  30. 河野一之

    政府委員河野一之君) 二十四年度におきましては国会から発議せられまして法律案ができまして、そうして石炭手当及び寒冷地手当を支給する、これは現在問題になつておりますが、石炭手当について申しますれば、法定小売価格を基礎として世帶主については三トン、非世帶主については一トン当を掛けた金額を超えない範囲で支給する、その金額については、その法定小売価格につきましては、人事院の御出に基いてやる、こういう国会提出の法律案ができまして、それが現在有効になつております。
  31. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 三十三年度は先程の御説明によれば、法的根拠があるということでありましたが、然るに更に二十四年度にそのようなことを制定しなければならなかつた理由はどこにあるか。
  32. 河野一之

    政府委員河野一之君) これはいろいろ昔の沿革の問題になりますが、二十三年度の際には二十二年度限りの法律として制定された、そうして特別にまあ予算が計上されました。併し寒冷地、積雪地の方はこれは予算を流用してやりました。二十二年度限りでありますから、まあそれで失効いたしまして、後の給與の根本的改訂の際には又別途考えられる、こういう考え方であつたわけです。それで二十三年度のときには六三べースになりましたので、これをどうするかという問題があつたのでありますが、六三ベースの中に、石炭手当というものを含めて行くということにつきましてもいろいろ疑惑もあつたので、そういうような問題が起つたわけでありますが、このとき丁度予算上としてはそういうことができるという財源と申しますか、流用いたしてやつたわけでありますが、寒冷地、積雪地の方としましては流用してやつたのでありますが、法律上としてはそういうような解釈でやはりできるものであるという解釈をやつたのであります。二十四年度につきましてはそういつた問題がありました関係上、又まあ国会によつて、そういう法律が制定されたというふうに私共了解いたしております。
  33. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 只今主計局長の御答弁に対して、重ねて会計検査院の御意見を承わる必要がありませんか。
  34. 千田正

    ○千田正君 どうぞお願いします。
  35. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 只今の問題について会計検査院の御意見を承わります。
  36. 大澤實

    説明員大澤實君) 又繰返すことになりますので、恐縮でございますが、会計検査院といたしましては最初に御説明いたしましたように、特別法というものはやはり一定の職務或いは職務の困難性、又は勤務地の事情その他によりまして毎月同じ額が加えられている、本俸に加えられている。こうしたものが特別法である。これは従来から特別法の観念がそれであつたと思いますし、又考えからしましてもそうした性質のものが初めて特別法として認められるべきものではなかろうか。今回この二十三年末に支給されましたように、いきなり号俸を二号から九号程引上げまして、そうして而もそれを纏めて十二月に支給されまして、それが終ると又元の点に戻る。こうした特別件というものは、今までの特別法の観念からいつても非常にその観念に入らないものだ、又同時に若しも特別法が俸給の中に入るといたしますれば、恩給法も共済組合の料金も、すべてこれを含めたもので計算すべきであるのに、それは除外されて計算されているというところから見て、特別法とはいいながらも、それはいわゆる勤務の困難性、或いはその責任の度合いというものに応じて付加ざれたところの特別法とは見られない。一種の手当としか考えられない、こう考えますので、特別法であるとして考えるのは無理ではなかろうか。そうして結局手当として考えればその法的根拠もない、こういうことに落着くと思います。尚勤務地手当に関しましても又前言を繰返すことになりますが、ただ一定期間だけ、九月から十二月というよう期間だけを区切りまして、勤務地手当を支給しますということが新給與実施法に規律されております。勤務地手当俸給及び家族手当月額一定の率を加えて支給するという精神から見まして、これはやはり毎月一定のものをコンスタントに出すのが勤務地手当としての性格ではなかろうか、尚且つこれは大蔵大臣がその率を決められますことは特地三割、甲地二割、乙地一割こう決められておる、それに加えるならばその支給準則を改正して又何とか考慮の余地があろうということも一応考えられまするが、その支給準則の改正措置も取らずに出された、而もこれは纏めて国会に出されておるということから見て、これも勤務地手当とはいいじよう、その実質は従来の寒冷地手当と何ら変りはないのじやないか、だからこれも当時においては法律根拠のない給與ではなかろうか、こういう結論に達したわけであります。尚又先程からお話のありましたように、若しもこれが、合法的な給與であれば、何ら二十四年度において特に法律において新しく石炭手当及び寒冷地手当を支給する法律を制定しなくてもいいのじやなかろうかという、これは一つの附け加えの解釈でありますが、そう考えますので、結局法的の根拠のない法律だという会計検査院結論が出たわけであります。
  37. 千田正

    ○千田正君 従来の観念から一応伺いましたが、こういうような重大なる国の支出というような問題が新らしい議会、或いは閣議において決定して施行されるような場合において、これが国の会計を検査するところの会計検査院に対立てこういう新らしい方法によつて給與する、或いはその他の新らしい方法によつて国の支出をせざるを得なくなつたというようなことについては、何らの通達もいつたしておらないのでありますか、それとも曾てはそういうこともやり得たのでありますか、その点を一応お聞きしたいと思います。
  38. 大澤實

    説明員大澤實君) 今まではそういうことはありませんでした。今まではといいますか、結局昭和二十二年の会計検査院法の改正前はそうしたことに対しましての事前通知という規定はありませんでした。そうしてその後におきましても、何か法令改正するという場合には、事前に通知を受けるという規定になつておりまするが、閣議決定というものについては事前にも通知はありませんし、事後にも通知はありません。現在においてもそれは同じであります。
  39. 千田正

    ○千田正君 それで私はこういう現実の問題が起きて来たのを契機としまして、これは我々決算委員会として特に考えなければならんことは、若しも将こういう問題が必ずしも起きないとも限らない。それで我々参議院の決算委員会としましては、ああいうような問題が起らないように、こういう国の支出を決定したような場合、たとえそれは閣議で決定しようが、或いは両院において決定した事項であつたにも拘わらず、すべて国の支出、或いは收入に対しては、これは会計検査院に事前通知すべきであるというようなことを決算委員会としては立法措置を取つてもよろしいし、或いは又申入れという方法を取つてもよろしいですから、この問題については解決の後においてはそういう方法を取るよう申入れなり、或いは立法措置を取るべき方法なりを十分研究願いたいと思います。
  40. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 只今千田委員の御発言になりましたことは、決算委員会としては非常に重大な問題と考えますので、委員長においても十分研究いたしますが、委員各位におかれましても御研究下さるようにお願い申上げます。そうして改めてこの問題は検討をしたいと思いますが、いかがでございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) ほかに何か御質問はございませんか。
  42. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今の問題は打切るわけですか。
  43. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) いや打切りません。
  44. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じやあ一つ質問しますが、あの給與は当時の社会情勢と、それから政治情勢から閣議並びに国会で決定して給與したものでしよう。それをどうして法的に疑点の残るような形で給與したのでしようか、その点御答弁  願いたい。
  45. 平井平治

    説明員平井平治君) お答え申上げます。御存じの通り、あの当時におき  ましては、衆議院・参議院の各党が出すよう処理しろという決議があつたと記憶しております。併しこれは各党の決議でありまして、法律的にはまあ根拠にならんわけであります。それからもう一つはそれによりまして内閣は閣議決定をいたしたのであります。閣議決定もこれも法律的にはまあ根拠にならんわけでありますから、従つてそういう両方の決議によつて処置いたしたのでありますが、法律上は、法律の制定ができなかつたので、そういう疑点が残つております。かように存じております。
  46. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この問題は政府側と大蔵当局と会計検査院意見が対立しているようですが、私はこういう問題は、現われた末梢的な、末梢的といつては失礼ですが、一つの問題を取上げて黒白を決することは相当問題でもあるし、無理とも思うのです。そもそも国の政治というのは、例えば官公吏の給與についても、人事院というようなものが人事院を創設した趣旨に副わないような存在に最近なつている。今度の国会における人事院総裁なり、或いは山下人事官の答弁あたりでもはつきりしております。場合によりますと、人事院は政府の傀儡になつているというような形態になつていると思うのです。そうして人事院が先般の国会に勧告したああいう給與ベースの問題についても、政府並びに国会に勧告したに拘わらず、政府は一顧だに與えないよう状況である。そういうようないろいろの給與法律とか、或いは人事院の設置とかいうような、一貫した給與に関する法律、機関というものができておりますけれども、それが本当に実情に即した政治というものが行われていないところに非常に無理が生じてくる。その無理を現実的に解決するためにとられた一つの例がこの給與の問題である、こう考えるわけです。そうなりますと、この会計検査院の純然たる法律見解から言えば、確かに先程申されたような問題が起つて来るでしよう。その一つを取上げて黒白をはつきりするというのは私は早急に断定できない。相当社会的な内容も含んだ、現在の日本の政治において非常に国民生活と直結した大きな問題である。私は黒白を早急に決定することには賛成しかねます。
  47. 千田正

    ○千田正君 矢嶋委員のおつしやるのは勿論でありますが、決算委員会は国の支出、或いは收入支出を明らかにしなければならないのが我々の責任であると同時に、もしそうしたいろいろな立法が不備になつているような場合においては、我々としては当然政府に勧告し、或いは立法処置をとらなければならない。それが我々決算委員としての責任でありますが故に、これは飽くまでも慎重に研究した上で国の処置に間違いのないよう方法をとらなければならない。そこで私は先程申上げたように慎重なる御審議を願いたいと思うのであります。
  48. 西山龜七

    ○西山龜七君 私は只今まで決算委員会に出ていなかつたのでありますので、他の委員から質問もあつたかと思いますが、私は会計検査院の検査を受けておりまする公団その他の諸機関に最近御承知のようなあらゆる不正事件が出ておりますが、会計検査院といたしましてはこの不正事件に関連いたしまして、何か検査院にこういうようなことをしたならばこれを防ぐことができるとか、或いは人間が少いからして検査が十分に行渡らないとか、何か検査院としてお考えがないのでありますか。これは御承知のように非常に国民の思想にも重大なる関係を及ぼしますので、検査院としましてこれに対する御所見を承わりたいと、かように思うのであります。
  49. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 西山委員に申上げます。実はこの問題は一昨日特にこの公団の不正問題に対して会計検査院と経済調査庁から参りまして一応の説明を聞いたのでございますが、特に複雑でありますので、印刷にして御配付を願いまして、そうして改めて質問をする、こういうことになつておりますから、その点どうか御了承願います。別に御質問ございませんか。別に御質問ございませんければ、本日はこれで散会いたしまして、改めて只今千田委員の御発言もありましたが、十分に調査いたしまして、重ねて質問する機会を作りたいと思いますからさよう御承知を願います。月曜日に薪炭需給特別会計の件につきまして会計検査院、中央経済調査庁、林野庁からお出を願つて説明を承わることにいたして御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それではさように取計います。今日はこれを以て散会いたします。    午前十一時四十六分散会  出席者は左の通り。    委員長    前之園喜一郎君    理事      溝口 三郎君    委員           池田七郎兵衞君            大矢半次郎君            寺尾  豊君            西山 龜七君            棚橋 小虎君            中田 吉雄君            赤澤 與仁君            杉山 昌作君            尾山 三郎君            岩男 仁藏君            谷口弥三郎君            千田  正君            矢嶋 三義君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君   説明員    大蔵省司計課長 平井 平治君    会計検査院総務    課長      大澤  實君