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1950-02-02 第7回国会 参議院 人事委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二日(木曜日)    午後二時三十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件派遣議員報告国家公務員職階制に関する法律案  (内閣送付) ○国家公務員給與問題に関する件 ○請願及び陳情の取扱に関する件   —————————————
  2. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは只今より人事委員会を開会いたします。本日は先ず派遣議員の御報告を願いまして、それから職階制に関する法律案の例の我々のお打合せいたしました問題につきまして経過を御報告申上げ、今後の行き方を御協議申上げたいと思います。その次には非常に沢山請願陳情が出ておりまするので、これを一応整理いたしましたので、これらについての御協議を煩わしたい、かように考えております。尚時間がございましたらば、或いは試験その他の人事院に関する問題につきましても御質疑をして頂きたいと思います。
  3. 木下源吾

    木下源吾君 私は只今委員長の日程で御報告ありましたが、今国会においては人事院勧告がありましたり、ベース改訂……この勧告を我々人事委員としては、それが正当であるかどうかということを慎重に調査をして、その結果、この問題に対する態度を明確にする必要がある、かように考えますので、当面やはりこのベース改訂に関する人事院勧告の問題を重点的に一つ取上げて貰いたいということを提議いたします。
  4. 中井光次

    委員長中井光次君) 今日の予定はいいんですか。もとよりおつしやる通りのことと私共心得ておりますけれども、今日の予定は今のようにしておるのです。
  5. 木下源吾

    木下源吾君 でき得れば、小串君の御報告を承わり、只今私が申上げたことに対する準備的協議一つお願いしたい、こういうふうに思います。
  6. 中井光次

    委員長中井光次君) 承知しました。  小串さん御報告をお願いいたします。
  7. 小串清一

    小串清一君 私共は去る一月、寺尾理事と共に専門員を一名連れまして、兵庫、中国、九州地方における給與問題に関する実情調査をいたしたのであります。この調査は大体、勤務地手当実情超過勤務手当並びに夜勤手当、休日給の支給状態特殊勤務手当実情、年末手当に関する反響といいますか実情、それから寒冷地手当支給状態、それから実質賃金向上の問題などにつきまして主として調査を進め、尚職階制度についての意見定員法の結果、高級官吏試験の問題についての地方考え方公聴会の形式を以て聴き取ろうといたしたのでありまして、予めこの地方にお願いしておいて、この出先機関人事関係官地方庁の関係官労働組合職員組合等関係した人が多数集りまして、大抵一回に六、七十人の人が揃つていろいろの意見を聴いたのであります。この報告書には、大体その意見を聴取して議事録も作り、尚その意見の一々を大体書いて置きましたが、これを一々申上げるということは大変だろうと思いますので、まあ後程これはプリントか何かにして皆さんにお配りしたてと思つております。その歩きました県は、島根、福岡、長崎佐賀び大分の一部をちよつと見て帰つたわけであります。大体これらの県においての意見は、例の国鉄としては、この第七国会で問題になりました暮の年末給與並び仲裁委員裁定に関する熱烈なる意見が、殊に労働組合その他から出ております。又給與ベース改訂についても非常な議論がありました。これを一々御説明申上げなくとも、公務員及び労働組合の人としては当然のこととして新聞その他にも現れておるのでありますが、ただ私共がここで非常に感じましたことは、いわゆる地域給であるとか超過勤務手当とかいうようなものの手当が甚だ不公平である。でこの一般物価人事院でも相当調べて、特地甲地乙地等作つたのでありましようが、実際現地に行つていろいろの意見を聞いて見ると、無論組合員は自己の利益を主張されることは当然でありますけれども、又それを伺つておるうちに、成る程それは無理だという点が非常に感じられたのであります。つまり甲地において勤務しておる者が乙若しくは丙地に転任になりますと、急に給料が一割とか二割とか減つてしまう。ところが殊にこの長崎県のごときは、非常に離島の多いところでありまして、その離島の生活を、ただ話に聞いたのですが、聞いて見ますというと、却つて甲地たる長崎佐世保等よりあらゆる物価が高い。物価の高い所に転任されるとあべこべに給料その他は一割乃至二割減るということでしたから、これは大変無理をして、即ち人事院がそういう差別をして作つた点に、まだ余程考える余地があるのじやないかと、かように感じました。  それから寒冷地手当のごときは島根は非常に寒い国ですが、県では、これは岩見は大体除いておるのであります。ところがこれに対して非常に不平が起つて、いろいろと陳情をされましたが、併し我々の通つたときには、やはり非常に吹雪で、松江からいわゆる出雲は非常に寒かつたのでありますが、たまたま出雲から汽車で山口の方に、日本海に沿つて数百マイル行く間に、岩見に行くと非常に天気が変つて、第一柑橘類が盛んにあるのでありますから、これらは却つて初め県でいろいろの事情を聞いたときには、その県ではそう差別をしないでもいいのじやないかと思いましたが、実地に見ると、むしろ人事院がこの地方寒冷地手当を除いた方が本当だということを、ちよつと私共一度通つただけでありますけれども、感じたのであります。  その外危険に従事する、伝染病の問題であるとか、それから一番やかましく言われておるのは気象台人達気象台勤務晝夜であつて、主としてその超過勤務というものに対する予算がありませんから、非常に気象台の方は半面からいうと晝夜を分たんで働きながら、その手当は殊んどないというようなことで、非常にやかましく言つております。  要するにかような地域給の問題、超過勤務手当その他は、実際においては非常に不公平に行われておる。中には給與を受ける人達の幾らか自分勝手の主張も見られますけれども、非常にそういう点が我々に考えられた。尚将来私は特殊地域は一応人事院においてもお調べになつて、そうしてこれらの公平なる分配のできるにようにしないといけないのじやないかというふうに、給與改訂をしなくちやいけないのじやないかと思うのであります。  それから、これはまあ併し政府予算関係もありましようが、公務員の出張の旅費などは、どこでも旅費は近頃不平が強く、我々お互いが調査行つても、旅費は非常に足らないのです。こういうような問題について、やはり公務員の非常に給料の問題について、出張されることが辛いというような主張をなす者があちこちに見えておるのであります。これで私は、幾つも例がありますけれども、成る程実際について細かく見ると、例えば佐賀の市内に家を持つてつて、そうして郡部の方、出先機関や何に勤めておる者は、その勤める土地が丙地であるために、給料が、同じ仕事で佐賀の役所に出ている者は、同じ所に住んでおるけれども、その人よりも一割五分も手当が余計貰える、そういうことが沢山あるのであります。それと伝染病やああいう危險な業に従事する者の手当というものは少い。それでまあ給料全体のベースを上げるということは、今非常な輿論になつておりますが、これは政府財政政策その他で一概に言えませんけれども、現在において渡しておるところの給料が不公平である。殊に昨年の年末には非常に遅く決つたものですから、方々の県で、これは県が立替えて貸金の形でやつたり、或いはそれでやれないで一月になつて暮の金を貰うといつた実情であります。そうして同時に所得税が、特に納期が、ひどいのは旧年の年末に手当を三千円、四千円貰つても、すぐそこで税金をそのうちの相当のものを取られてしまうというようなことで、納税期の変更もして貰いたいし、折角年末に歳取り手当貰つて、これでいいと思つているところへすぐ税を取るというようなことは非常に苦しい、こういつた陳情を主に聞いたのでありまして、ただこれらの陳情及び我々がここに聞いたことを検討する場合に、人事院に対してもこちらから少し御忠告申上げる必要があるのじやないかというようなことを感じたのであります。これに対する結論、若しくは問題をここに大体書きましたけれども、非常に長くなりますから、大体私の感じておること、又寺尾君も同感でありまして、適当の機会に御検討頂きたいと思いますから、ここに十余日に亘つて見て来ましたその極く概要を簡單に申上げて、他は文書で以て皆さんに御覽を願いたいと思います。以上で報告を終ります。
  8. 中井光次

    委員長中井光次君) 寺尾君、別にお話はございませんか。
  9. 寺尾博

    寺尾博君 私はございません。小串君の御報告で十分でございます。
  10. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは、その他の御報告は次の機会に讓ります。  ここで国家公務員職階制に関する法律案につきまして一応御報告を申上げたいと存じます。昨年非公式に御協議を願いました修正案につきまして、関係方面と十二月の十六日に、私と寺尾木下理事が参りましていろいろ交渉をいたしたのであります。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  11. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは速記を始めて下さい。職階制の問題につきましては尚それでは御研究をお願い申上げます。  先程木下委員から、給與ベースの問題が極めて重要であるからそれを先議せよと、御尤もであります。先般、委員長理事の打合会においても重要な問題として取扱わなければならないと決めたわけであります。実は併し今日のこの請願陳情もこういう方面のものが大分沢山出ておりまするので、一応その沢山来ておるやつの状況を一ぺんお話してという考えもあつて請願陳情を一応ぽんと出してしまえということを言つておいたわけなんですが、何かその前に給與ベースの問題について御意見があるのでしたら、向うの、人事院の方も見えましたから……。
  12. 木下源吾

    木下源吾君 人事院のいわゆるシグナルが上つたわけです。勧告という形において……。そこでいろいろ考えるまでもなく、当然国会においてはこれに対する何等かの意思表示をする必要があると考えて、実は政府はその勧告を受けました曉におきましては、政府又これを法律化するか、何等かの措置を講ずべきであると考える点があるわけであります。と申しまする理由は、すでに諸君御案内の通り、昨年七月二十二日にマ書簡によつて公務員のいろいろの活動制限、そういうものが述べられており、同時に公務員厚生福利、そういう方面に対しては義務づけられておることが明瞭になつておるわけであります。従つてそれの結びが勧告ということで結ばれておるのであります。考えまするのに、国家公務員法に基いて人事院勧告は、別にある公企労法仲裁委員会裁定ともいうべきものと私共は考えるのであります。一方公企労法においては、裁定政府並びに労使相方共これに服従するよう義務づけられておる。国家公務員の場合はそういうように法文化はしておりませんけれども、当然私共は人事院勧告只今申上げる公企労法仲裁裁定というものと同一な意味である、そういうようにまあ考えられるわけであります。従つて政府はこの場合正式に意思表示をする必要があるとかように考えまして、実は人事院勧告ありまして以来、今日までそれを期待しておつたわけであります。然るに政府はこれに対して何等意思表示をなさない。一方国会においてはどうかといえば、国会又この勧告に対して何等意思表示をしておらない。これは実は人事院というものを我々は考える場合に、予算の権限がないのであるからして、人事院の手では何ともならないのです。従つてこれは政府か又は国会が全責任を負わなければならん問題になると思うのでありまして、この国会において、殊にこの人事委員会においては、人事院のあの勧告が妥当であるかどうかを巖密に調査の結果、これが妥当であるとするならば、国会立場からこれが実現をするために人事院勧告を支持し、これを国会立場からこの実現のために方途を講じなければならん。従いまして第一点においては、人事院勧告が妥当であるかどうかということを調査して、その結論を出して、次にその結論によつて人事院並びに当委員会国会といたしましては、一つの具体的な案を作つて、そうしてそれを実行に移すべきだ、かように考えるのであります。以上がこのべース改訂取扱いに関する私の考え方であります。
  13. 中井光次

    委員長中井光次君) 木下議員のお説は至極御尤もな点もございます。国会勧告をされたのでありまするから、国会意思を決定する必要もあるかと存じますが、この給與ースの問題につきましては、実は国会全体に対する勧告として来て、その取扱い人事委員会に付託して来ないという状態にあるのです。併しながら我々は、我々の検討すべき問題であるという立場一般調査の範囲に入れて、これを調査しておるという扱い方をいたしておるのでありますがね。そこでまあ、それはただ扱いの形だけでありまして、実質の問題といたしましては、これは国会がいずれか決定する、こういうのはお説の通りであります。
  14. 木下源吾

    木下源吾君 只今委員長扱いに対する考えはその通りだと思うのですが、人事委員会の、この常任委員会のあるゆえんのものは、人事院という政府機関がある故に、人事院勧告をしたということが先づこれは妥当であるかどうかということの究明が、この委員会のやはり私は責任としてなさなければならん。そうして先づ第一に私共は国会常任委員会である故に、その專門的な調査の結果国会に対して、若しこれが妥当であるとするならば、国会全体としてこれを実行する上において我々は動かなければならん。この二点であります。私は先づ最初に第一段階において人事院勧告が妥当であるかどうかということが、人事委員会態度でなければならん、かように考えるのであります。
  15. 中井光次

    委員長中井光次君) お説御尤もでありまして、勧告については説明は一応廳いただけであります。尚政府改訂をしないといつておりのでありますが、改訂をしない理由あるや否やということも、我々は究明しなければならない義務があると思います。その順序に従つて調査を進めて行きたいと私は思つております。
  16. 木下源吾

    木下源吾君 尚この点については、曾ては給與実施本部人事院の外にあつた法律改正によつて給與実施の事柄は人事院実施機関なつた。従つて私共はこの点に、委員会としては十分な注意を向けなければならん。でそのためには、同時に国会としては財政的な面の検討もできるのであります。又為さなければならない。人事委員から提唱いたしまして、大蔵その他の委員会とも連合協議等を重ねて、そういう私は手続きが採らるべきだ。そういうことをば私共人事委員会としては当然なさなければならん問題じやないか、同時にそれは国会の、又人事院としては国会全体に対しての一つ責任と申しますか、我々のやらなければならないことを忠実に盡すことになると、かように考えるのであります。
  17. 中井光次

    委員長中井光次君) そのお話はそれでいいのですが、具体的に進めるのにはやはり人事院の、本会議で欠席しておりましたが、改めて人事官から追加説明といいますか、というようなものもあつたということでありまするから、委員会において、人事院主張ももつと掘下げて聽き、且又政府の、いわゆる大蔵大臣でありまするか、官房長官でありまするか、その系統の方面主張も、如何なる根拠に立つておるかということを究明して行くのが必要じやないかと思つておるのでありますが、何か、やり方についての御意見がありますか。
  18. 木下源吾

    木下源吾君 私は一応ベース改訂に関する説明を承つたらどうかと思うのであります。説明で、これが妥当であるかどうかということを先ず我々ははつきりここで表明するためには、その方法を一つ研究したらいいだろう、かように考えるのであります。そうして次に財政上の問題は財政上の問題として我々は究明しなければならん、こういうふうに考えております。
  19. 中井光次

    委員長中井光次君) 木下さん、今のやり方ですね、もつと人事院から具体的に聽くのですか。もう皆さんは一応説明を聽いたことはこの間聽いたわけなんです。私はそのやり方の問題なんです。もつと詳細に、いろいろな参考資料も出ておりますが、ああいうものについての御質問を続行して行かれて、これを妥当とするかしないかという判断ができるのじやないかと私は思うのですがね。
  20. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今の木下さんの御発言に全面的に賛成なんですが、その後まあ輿論が大体においてこれを支持している問題であり、政府は併し非常にはつきりしない。又議運なんかでも問題になつておるわけですが、この際至急この委員会において、人事院がその後どのように考えておられるか、そういうような点をぜひ伺つて、そうしてこの委員会としてはつきりした結論を出して頂けばいいのじやないかと思うのですが……。
  21. 木下源吾

    木下源吾君 速記を止めて懇談したらどうです。
  22. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を止めて。    〔速記中止
  23. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは速記の始めて。給與ベースの問題につきましては、只今打合せをしたように、明日関係当局を喚んで両方の主張を聽く、そうして御質疑を願うということにいたします。  尚本日議題にいたしておりまする沢山請願陳情がございますが、この全体について専門員から一応御説明を申上げます。
  24. 川島孝彦

    説明員川島孝彦君) 只今議題になりました請願陳情は今回は大変沢山ありまして、現在までのところ四十三件ございます。そのうちで公務員給與ベース改訂に関するものと、それから同じ給與ベース改訂でございますが、教職員関係でその方面の方から請願されたものとが半分以上占めておりまして、あと八件程は越年資金支給に関するもの、それから地域給に関する件が二件ございます。このうちの一件は前の国会にも出ました島根県の地域給に関するものでございます。その外に超過勤務手当に関する件が二件、その他雑件が六件ございまして、これには矢追博士の転勤問題とか、その他いろいろなものが混つております。その四十三件のうちで越年資金に関する請願につきましては、大体通覺して見ますと、すでに去年の年末手当に関することで、大体事件は片付いておるように思われますのであります。それから公務員給與ベース教職員給與ベース関係する件につきましては、これは人事院給與ベース改訂の問題に関するものでありますので、差当つて請願陳情として先に審議を済ましてしまうのを適当と思いますのは、地域給に関する件と、超過勤務手当に関しまする件、その他雑件、これだけが先ず差当つて審議を済ましてしまつたらいいんじやないかと思われます。
  25. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後三時二十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     中井 光次君    理事            木下 源吾君            小串 清一君            寺尾  博君    委員            大山  安君            羽仁 五郎君            岩男 仁藏君   政府委員    人事院事務官    (給與局長)  瀧本 忠男君    人事院事務官    (法制局長)  岡部 史郎君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦