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小串清一君 私共は去る一月、
寺尾理事と共に
専門員を一名連れまして、兵庫、中国、
九州地方における
給與問題に関する
実情の
調査をいたしたのであります。この
調査は大体、
勤務地手当の
実情超過勤務手当並びに
夜勤手当、休日給の
支給の
状態、
特殊勤務手当の
実情、年末
手当に関する反響といいますか
実情、それから
寒冷地手当の
支給の
状態、それから
実質賃金向上の問題などにつきまして主として
調査を進め、尚
職階制度についての
意見、
定員法の結果、
高級官吏の
試験の問題についての
地方の
考え方を
公聴会の形式を以て聴き取ろうといたしたのでありまして、予めこの
地方にお願いしておいて、この
出先機関の
人事関係官、
地方庁の
関係官や
労働組合、
職員組合等に
関係した人が多数集りまして、大抵一回に六、七十人の人が揃
つていろいろの
意見を聴いたのであります。この
報告書には、大体その
意見を聴取して
議事録も作り、尚その
意見の一々を大体書いて置きましたが、これを一々申上げるということは大変だろうと思いますので、まあ後程これはプリントか何かにして
皆さんにお配りしたてと思
つております。その歩きました県は、
島根、福岡、
長崎、
佐賀又
び大分の一部を
ちよつと見て帰
つたわけであります。大体これらの県においての
意見は、例の国鉄としては、この第七
国会で問題になりました暮の年末
給與並びに
仲裁委員の
裁定に関する熱烈なる
意見が、殊に
労働組合その他から出ております。又
給與ベース改訂についても非常な議論がありました。これを一々御
説明申上げなくとも、
公務員及び
労働組合の人としては当然のこととして新聞その他にも現れておるのでありますが、ただ私共がここで非常に感じましたことは、いわゆる
地域給であるとか
超過勤務手当とかいうようなものの
手当が甚だ不公平である。でこの
一般の
物価を
人事院でも相当調べて、
特地、
甲地、
乙地等を
作つたのでありましようが、実際現地に
行つていろいろの
意見を聞いて見ると、無論
組合員は自己の利益を
主張されることは当然でありますけれども、又それを
伺つておるうちに、成る程それは無理だという点が非常に感じられたのであります。つまり
甲地において
勤務しておる者が乙若しくは
丙地に転任になりますと、急に
給料が一割とか二割とか減
つてしまう。ところが殊にこの
長崎県のごときは、非常に
離島の多いところでありまして、その
離島の生活を、ただ話に聞いたのですが、聞いて見ますというと、
却つて甲地たる
長崎、
佐世保等よりあらゆる
物価が高い。
物価の高い所に転任されるとあべこべに
給料その他は一割乃至二割減るということでしたから、これは大変無理をして、即ち
人事院がそういう
差別をして
作つた点に、まだ余程
考える余地があるのじやないかと、かように感じました。
それから
寒冷地手当のごときは
島根は非常に寒い国ですが、県では、これは
岩見は大体除いておるのであります。ところがこれに対して非常に
不平が起
つて、いろいろと
陳情をされましたが、併し我々の
通つたときには、やはり非常に吹雪で、松江からいわゆる
出雲は非常に寒か
つたのでありますが、たまたま
出雲から汽車で山口の方に、日本海に
沿つて数百マイル行く間に、
岩見に行くと非常に天気が
変つて、第一柑橘類が盛んにあるのでありますから、これらは
却つて初め県でいろいろの事情を聞いたときには、その県ではそう
差別をしないでもいいのじやないかと思いましたが、実地に見ると、むしろ
人事院がこの
地方の
寒冷地手当を除いた方が本当だということを、
ちよつと私共一度
通つただけでありますけれども、感じたのであります。
その外危険に従事する、
伝染病の問題であるとか、それから一番やかましく言われておるのは
気象台の
人達、
気象台の
勤務が
晝夜であ
つて、主としてその
超過勤務というものに対する
予算がありませんから、非常に
気象台の方は半面からいうと
晝夜を分たんで働きながら、その
手当は殊んどないというようなことで、非常にやかましく言
つております。
要するにかような
地域給の問題、
超過勤務手当その他は、実際においては非常に不公平に行われておる。中には
給與を受ける
人達の幾らか自分勝手の
主張も見られますけれども、非常にそういう点が我々に
考えられた。尚将来私は
特殊地域は一応
人事院においてもお調べにな
つて、そうしてこれらの公平なる分配のできるにようにしないといけないのじやないかというふうに、
給與の
改訂をしなくちやいけないのじやないかと思うのであります。
それから、これはまあ併し
政府予算の
関係もありましようが、
公務員の出張の
旅費などは、どこでも
旅費は近頃
不平が強く、我々お互いが
調査に
行つても、
旅費は非常に足らないのです。こういうような問題について、やはり
公務員の非常に
給料の問題について、出張されることが辛いというような
主張をなす者があちこちに見えておるのであります。これで私は、幾つも例がありますけれども、成る程実際について細かく見ると、例えば
佐賀の市内に家を持
つてお
つて、そうして郡部の方、
出先機関や何に勤めておる者は、その勤める土地が
丙地であるために、
給料が、同じ仕事で
佐賀の役所に出ている者は、同じ所に住んでおるけれども、その人よりも一割五分も
手当が余計貰える、そういうことが
沢山あるのであります。それと
伝染病やああいう危險な業に従事する者の
手当というものは少い。それでまあ
給料全体の
ベースを上げるということは、今非常な
輿論にな
つておりますが、これは
政府の
財政政策その他で一概に言えませんけれども、現在において渡しておるところの
給料が不公平である。殊に昨年の年末には非常に遅く決
つたものですから、方々の県で、これは県が立替えて貸金の形でや
つたり、或いはそれでやれないで一月にな
つて暮の金を貰うとい
つた実情であります。そうして同時に
所得税が、特に納期が、ひどいのは旧年の年末に
手当を三千円、四千円
貰つても、すぐそこで税金をそのうちの相当のものを取られてしまうというようなことで、
納税期の変更もして貰いたいし、折角年末に
歳取りの
手当を
貰つて、これでいいと思
つているところへすぐ税を取るというようなことは非常に苦しい、こうい
つた陳情を主に聞いたのでありまして、ただこれらの
陳情及び我々がここに聞いたことを検討する場合に、
人事院に対してもこちらから少し御忠告申上げる必要があるのじやないかというようなことを感じたのであります。これに対する
結論、若しくは問題をここに大体書きましたけれども、非常に長くなりますから、大体私の感じておること、又
寺尾君も同感でありまして、適当の
機会に御検討頂きたいと思いますから、ここに十余日に亘
つて見て来ましたその極く概要を簡單に申上げて、他は文書で以て
皆さんに御覽を願いたいと思います。以上で
報告を終ります。