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1949-11-25 第6回国会 参議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十五日(金曜 日)    午前十時四十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○食糧管理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○郵政事業特別会計昭和二十四年度  における歳入不足補てんのための一  般会計からする繰入金に関する法律  案(内閣送付) ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○復興金融金庫に対する政府出資等に  関する法律の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○復興金融金庫法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○大蔵省預金部特別会計外特別会計  の昭和二十四年度における歳入不足  補てんのための一般会計からする繰  入金に関する法律の一部を改正する  法律案内閣送付) ○所得税法臨時特例等に関する法律  案(内閣送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○織物消費税法等廃止する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。最初に本日本委員会に付託になりました議案の説明を願います。食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案提案理由の御説明を願います。
  3. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案提出理由を御説明申上げます。  今回の改正の第一点は、食糧証券及び借入金等限度額千五百億円を千七百億円に引き上げようとすることであります。即ち第三回国会の議決を経て改訂されました千五百億円の最高限度額は、昭和二十三年産米生産者価格を四千百九円と見込んで計算されたものでありましたが、今般昭和二十四年産米政府買価格を四千四百円程度見込み、又輸入食糧増加等理由もあつて食糧証券発行高は一時的に増大することが予想され、その結果昭和二十五年一月末においては約千六百七十億円に達するものと見込まれるのであります。従いましてこの会計運営を円滑にするため、食糧証券及び借入金等法定限度額千五百億円を千七百億円まで引き上げようとするものであります。  第二点はこの会計歳入不足を補填するため、昭和二十四年度において一般会計から百七十億九千三百万円を限りこの会計繰入金をすることができることとするための改正であります。即ち食糧輸入は順調に進捗し年度当初の予想より相当量増加が予定されるばかりでなく、更に食糧価格改訂等も影響して明年度に持越される手持食糧の価額は、二十三年度末に比し相当の増額が予想されるのであります。然るに食糧証券増加を防止し、この面からの通貨の発行増加を抑えるため、その年度残高を前年度末と同額の千百八十億円に据え置くことといたしたいのであります。その他従来主食の生産者価格引上消費者価格引上と同時に行なつて参りましたが、今回は家計費への影響、特に年末を控えての時期的面に対して考慮を拂うとともに補正予算の眼目である減税措置と併せ実施することを適当と認め、消費者価格は今年十二月末まで現行価格に据え置くことといたす予定でありまため、その期間に生ずべき損失等についても考慮しなければならないので、この会計歳入不足一般会計から繰入金以つて補填する必要があると存ずる次第であります。  以上二点の理由によりまして、この法律案提出した次第であります。何とぞ御竜議の上、速やかに御賛成あらんことを希望致します。  次に郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案に対しまして、提出理由を御説明いたします。  今回この法律を制定しようといたしますのは、郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足を補填するため、一般会計から同会計繰入金をなし、以つて会計運営を円滑にいたそうとするものであります。  郵政事業特別会計の本年度牧政事業收入のおきましては、本年五月に行われました牧使料金の値上に臼う利用減による收入減が、当初の見積りよりも相当多額となりまして、先に本国会提出致し、可決になりましたお年玉附年賀郵便葉書等発売に関する法律に基く年賀郵便葉書発売等により收入増、並びに過去の実績に基く年度間の收入上昇率等見込みましても、尚四億一千二百七十一万七千円の收入不足はどうしても避け得ない状況でありますが、郵政事業の円滑な運営を図る必要上、この收入不足額は何らかの手段を以て補填する必要があるのであります。そこで本会計独立採算建前であります上から、この金額借入金によつて賄うことも考えられますが、総合均衡予算建前からいたしまして、この不足額一般会計からの繰入金以つて補填することにいたしたいと存ずるのであります。  尚繰入金につきましては、その性質に鑑みまして、後日郵政事業特別会計財政状況が健全な状態となりました場合には、その繰入金相当する金額予算の定めるところによりまして、一般会計へ繰り戻すことといたしたいのであります。  以上の理由によりまして、この法律案提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上速やかに御賛成あらんことを御願い申上げます。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は国民金融公庫法の一部を改正する法律案、本案に対する政府提案理由の御説明を願います。
  5. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) 只今議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由を御垣明いたします。  国民金融公庫は、一般金融機関から資金供給を受けることが困難な国民大衆に対して、その生活再建を図るために必要な資金供給するため、本年六月発足いたしたものでありますが、現在までに生業資金三億五千万円、更生資金二億二千万円の貸付を行い、鋭意その目的の完遂に努力して来たのでありますが、何分にもその資金量が不十分でありますので、この種の資金需要に対して充分応じ難い事情にあつたのであります。従いまして今般国民金融公庫資金量を拡充し、国民大衆生活再建のための緊急な小口事業資金の円滑な供給を図りたいと考えまして、昭和二十四年度補正予算におきましては、国民金融公庫出資金として五億円、更生資金貸付金として三億円を予定し、御審議を願うことになつたのでありますが、これに伴いまして、国民金融公庫法の一部を改正し、国民金融公庫資本金を十八億円に増加し、且つ国民金融公庫は、政府から公庫予算に定められた金額借入金をすることができることにしたのであります。  尚、以上の外、公庫役職員は、現在一般職国家公務員でありますが、公庫事業の特殊な性質に顧みまして、公庫役職員に対しては一般職国家公務員に対する給與の外、その俸給総額の百分の十に相当する金額の範囲内において特別手当を支給することができるようにいたしました。又公庫金融機関的な業務に顧み、公庫余裕金運用といたしまして、銀行に対する預金及び郵便貯金方法を認めることにしたのであります。  以上が、国民金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容の大要であります。何とぞ御審議の上速やかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  6. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案政府提案理由の御説明を願いたいと存じます。
  7. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) 復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。  復興金融金庫におきましては、復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律第二條の規定により、毎事業年度における剰余金はこれを国庫に納付することになつておりますが、今回復興金融金庫法第十七條第二項の規定に基く復興金融審議会の決議によつて、本年十月以降は、新たに資金の融通、債務の引受又は保証を行わず、單に従前の保証債務履行及び債権保全にかかる振替貸付のみを行い得ることとなりました関係上、今後各事業年度において回收いたします元金は、当該年度における復興金融債券償還に要する経費、本金庫において従前引き受けた保証債務履行に要する経費及び本金庫に属する債権保全に要する経費に充当し、その残余につきましては、これを国庫に納付させるのを適当と認めまして、これを先に申上げました剰余金国庫納付とは別に、国庫に納付させることを規定したのが改正の第一点であります。  右の改正によりますと、昭和二十四年度における国庫納付額は五十億円の増加が予定されますので、別途御審議を願つて居ります昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)及び昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一号)においてこれに関する措置を講じたのでありますが、国庫納付の額は、決算の結果左の五十億円を超過する可能性もありますので、その予算額を超過する額につきましては、翌年度において納付し得るように規定致したのが改正の第二点であります。  尚、この回收金国庫納付に関連しまして、本金庫資本を減ずる必要がありますが、この点につきましては、復興金融金庫法改正を別途提出し、御審議を願う考でございます。  以上の理由によりまして、この法律案提出致しました次第であります。  何とぞ御審議の上速やかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  8. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次に復興金融金庫法の一部を改正する法律案提案理由の御説明を願います。
  9. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) 只今議題となりました復興金融金庫法の一部を改正する法律案につき提案理由説明いたします。  先づ改正の第一は、復金審議会の十月七日の決定により、復金は爾後新規業務を一切停止することになりました。これに伴つて不要となる未拂込資本金昭和二十五年三月末現在で約二百五十億円に上る見込であるので、復金の現在の資本金千四百五十億円から二百五十億円を減資して千二百億円とすることにした次第であります。復金法第十八條第二項で復金債発行額保証債務現存額の合計は、未拂込資本金額を超えることができないことになつております。  第二は復金は本年度予算からその剰余金国庫に納付することになつていたが、補正予算からは融資の回收金国庫に納付しなければならないことになりました。従つてこの同收金国庫に納付した場合には、その相当額を減資する必要が生じた次第であります。  この法律案は右の二点の改正を行わんとするものであります。  尚、因みに十月末現在の未拂込資本金は九百億円で、これに対して復金債発行残高が六百四十七億円、保証債務残高が四十四億四千八百万円で未払込資本金余裕は五百八億五千二百万円であるが、その後復金債償還保証債務履行の進捗によつて、明年三月末には未拂込資本金は二百七十五億三千三百万円で、これに対して復金債発行残高は零、保証債務残高が二十一億九千万円となり、未拂込資本金余裕は二百五十三億四千三百万円となる見込であります。  又本年度補正予算においては五十億円の回收金国庫納付が計上せらてれおります。  以上復興金融金庫法の一部を改正する法律案につき、提案理由説明致しましたが、何とぞ充分御審議の上、速やかに御賛成相成るようお願いたします。
  10. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次に大蔵省預金部特別会計外特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案提案理由の御説明を願いたいと存じます。
  11. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) 大蔵省預金部外特別会計昭和二十四年度における歳入不足補填のための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案提出理由を御説明申上げます。  農業共済保險特別会計農業勘定におきましては、異常災害発生により昭和二十四年産麦の再保險金支拂増加し、これに対する支拂財源が四億四千六十六万四千円不足するのでありますが、これを借入金を以て補填することは現下の財政方針より適当でないと認められますので、一般会計からする繰入金を以て補填する必要があります。従いまして、大蔵省預金部外特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律におきまして、農業共済保險特別会計農業勘定歳入不足を補填するため昭和二十四年度において一般会計から繰入金をする限度額が八億五千六十八万八千円と規定されておりますのを、四億四千六十六万四千だけ引き上げ、十二億九千百三十五万二千円とする必要があります。  これが、この法律案提出する理由であります。何とぞ御審議の上速やかに御賛成あらんことを希望いたします。
  12. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は、所得税法臨時特例等に関する法律案物品税法の一部を改正する法律案織物消費税法等廃止する法律案、三案について質疑を行いたいと存じます。御質疑がございましたら……
  13. 川上嘉

    川上嘉君 私は、先ず逐條審議に入る前に一般的なことをお尋ねしたいのですが、昭和二十四年度の当初予算の際におきましても、本年度租税税收入を無理なく合理的にこれを徴收するのは不可能である。これだけの理由からでも私は本年度予算に反対したものであります。そこでもうすでに本年度も第三四半期も過ぎようとしておりますが、本年度税收入の確保につきましては非常な危惧を私は感じております。これに対する今までの租税徴收状況、並びに今後の見通し、又合理的に無理なく本年度税收入を果して確保することができるかどうかといつたことについての政府の御見解を御発表願います。
  14. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 本年の十月末におきまする各税の歳入状況の表は先日お手許に資料としてお配りいたして置いた次第でありますが、今回の補正予算におきましては、專ら最近までの歳入の実情を主として基にいたしまして、予算の見積替をいたした次第であります。そういたしまして、最近状況のいい種目につきましては、それぞれ自然増收見込み、状況の悪いものにつきましては後で減收見込み、差引きいたしまして約二百十何億程度自然増收を計上いたしたような次第であります。今御質疑の問題でございますが、源泉所得税相当実績を上廻つております。それから法人税もすでに相当いい成績收めておるようであります。源泉所得税は本年の十月末で当初予算に対しまして六一%、前年同期におきましては四八%の成績法人税は当初予算に対しまして十月末ですでに九三%、前年度の場合におきましては二七%という成績でございます。次は酒税でありますが、酒税も甘藷の増加等によりまして相当成績を上げております。十月末現在で五八%、前年同期は三七%、こういう種類の税目につきましては、従いまして先程申上げましたように、最近までの課税実績を基にいたしまして年間に通計して自然増收を計上いたした次第であります。その反対に御指摘通り成績の面白くないものもあります。今度の見積替におきましては、申告所得税、それから織物消費税物品税取引高税、まあこういう税目につきましては、それぞれこの税目を存置する場合におきましても、本年度においては或る程度減税ができるという計算をいたしております。それに対しまして、織物消費税取引高税等につきましては廃止になりまするので、廃止によつて幾ら減少するかということを計算いたしておるのでございます。そこで一番問題は結局申告所得税の問題であろうと思いますが、申告所得税は当初予算千九百億円に対しまして、十月末現在で三百九十九億、二割一分であります。前年同期は一割九分九厘、若干はよくなつておるとは言えるが、成績は御指摘通りよくありません。これに対しましては、目下国税庁におきましては各国税局、税務署を督励いたしまして、できる限り実際の調査を徹底いたしまして、実額調査を励行いたしまして、それに基きまして適正な更正決定をやつて税額を確保しようということで、目下非常な勉強をいたしておるところでございます。大体におきまして、年末から来年の初めにかけまして、或いは大多数の地方におきましては十一月末から十二月にかけまして、最近までの調査に基いてその更正決定をやる計画を進めております。勿論その前に極力申告による指導というところに力を置きまして、納税者の自発と申しましようか、納税者と事前に話合いまして、納税額を円滑に確保するという方向努力しておるようでありますが、話の付かなかつて者に対しましては、政府調査するところによりまして更正決定をやり、それによりまして極力税収入を確保するということで目下進んでおるようであります。ただ当初の予算額に対しまして、最近までの調査実績等に基きまして、更に詳細に計算いたしました結果、当初の予算の千九百億の計上は聊か無理のようですから、今回の補正予算額におきましては、これを相当改めまして、千七百三億円程度収入見込むことにいたした次第でございます。従いまして申告所得税につきましては、尚政府におきましても余程の努力を要するかと思いまするが、今後納税者の理解と努力によりまして、この程度の額は来年の年度末いつぱいまでには何とか確保できるのではないかという考え方をとつておる次第であります。
  15. 川上嘉

    川上嘉君 今回の税制改正案はその方針としてどこまでもやはり国民租税負担経減と、更に一番問題になつている租税課税適正化、こういつたことに重点が置かれていると思います。これだけの措置によつてそういつた目的が果して果せるかどうかという問題、又年度末による見通しを非常に楽観しておられるようでありまするが、私は恐らく昭和二十三年度年度末における徴税恐慌のように、非常な徴税恐慌が二十四年度年度末にも必らず出て来るということを今でも非常に心配しているのです。そこでただこれだけのことによつて果してそういつたことが十二分にできると政府は考えておられるかどうか。もつと更に大きな問題として、税率の問題に触れたら、更に運用面充実合理化、こういつた点に重点を置かるべきではないか。然るに今回の税制の重要な一環であるところの運用面充実合理化ということには一つも触れていない。これは御承知の通りシャウプ勧告の附録の第四款の中にもありまする通り、人員の増加ということが非常に力強く主張されております。そういつたことについて何らの措置も講じていない。職員増加については大体次のようなことを言うております。「人事の関する前述の一切の勧告及び提案した行政上の改善の一切のもととなる基本的な要請は、税務職員の数を増加することである。十分な数の税務職員を雇うのを拒むことは「一文斉みの銭失い」である。税法の施行に支出される金は徴税額著増によつて十分報いられる。この金は賢明に支出されなければならず、追加職員は適正に人選され、且つ任命されなければならない。併し若しこれらの注意が守られれば、たとえ單に支出された金と受取られた金のことだけを見ても終局の結果は確かに政府にとつて有利となるであろう。」かような勧告をしておりますが、ここで先ず税制改革並びにこの税制課税適正化には、税務職員増員がその前提であるということを力強く主張しております。尚税率の問題におきましても同じことでありまして、次のようなことを言うております。「租税の仕事から腐敗と賄賂を除去する方向に向つて強固な決意をもち、活溌な且つ不断の努力が傾注されなければならない。現在問題を悪化させる特殊な要因が存在していることが認められる。すなわち税務官吏の大多数が若年で、無経験且つ薄給であること、税率が高過ぎること、および闇市場の活動が普遍的であること、その結果賄賂や贈與が無理矢理に且つ執拗になされるとそれに対する抵抗力が弱化する。しかしながらこのような状態は容認し得るものではない。その解決策の一部は税務官吏のよりよき訓練給與である。」こういうような面で、更に次には税務職員待遇改善を強力に主張しておるのであります。ところがこういつた点については何らの考慮を拂つていない。今後の補正予算において運用充実とか合理化の面については何らの措置を講じていない。こういつたことに対して政府の御見解一つ御発表願います。
  16. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今回の改正案補正予算に併いまして、応急実施を必要とする事項につきまして、税制改正案提案いたしたような次第でございます。大体間接税の方は一月から貨物の運賃の引上げ、或いは米価の引上げ等がございますので、若干繰上げて実行するということになつたのであります。直接税につきましては、差当り一月から、勤労所得税につきましては暫定処置を講じまして、一般恒久的措置につきましては来るべき通常国会提案いたしまして、十分御審議を煩わしました上で、これが適正を期したい、かようなことで始めておる次第であります。従いまして今回の措置税法におきましても、応急的な合理化措置を謳つております。ただ一番重要な問題の一点でありますところの帳簿制度につきましては、これも一月からかかりませんと、来年度に間に合いませんので、差当り準備的措置といたしましては、帳面記載事項等を政令で決めることができる。それによりまして納税者がこの帳面を付けますれば、それに基きまして、勧告書趣旨にありますように、更正決定はその帳面を調べた上で必ずするというような趣旨規定、そういう規定を来るべき通常国会におきまして、全面的に盛り込んで改正案提案いたしたいと考えておるのであります。従いまして法制的措置といたしまして、今回の提案は一応応久的準備措置に止めておるのでございまして、全般のシャウプ勧告案に基きまする税制改革案の大部分は、来るべき通常国会で十分御審議を煩わしたいと考えておるのでございます。  尚御指摘税務職員充実訓練増加といつたような問題につきましては、確かに御指摘のようなことを私共痛感するわけでございます。單に税法改正するだけでは、負担の公平は期し得られないので、税務行政の徹底的な改善を図らなければならないということは全く同感でございますが、まあこの方面におきましても、来年度予算にそういう計画を盛り込みまして、十分御審議を煩わした上で決定した貰いたいと、かように考えておるのでございます。なかんずく、職員訓練等につきましては、格段の措置を講ずる必要があるのではなかろうかと、かように考えておる次第であります。
  17. 川上嘉

    川上嘉君 もう一点。私は第五国会におきましても、速やかに緊急措置を講ずべきであるということを政府にも進言し、そうしてその緊急措置こそは、只今私が申上げましたところの税務職員増員並びに待遇改善、それから増加、そういつた全般的の徴税額大幅引上げである。かようなことを強力に主張したのでありまするが、現在においてもこういつた問題こそが緊急的な応急的措置である。かような私は見解を持つております。これに対する政府の御見解をもう一度お伺いします。
  18. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 税務官吏の素質を急激に引上げなければならんということは、これは御指摘通りでありまして、本年度の当初予算におきましても、そういう訓練につきましては、予算相当計上いたしまして、目下各般の施設をやりまして極力これに努めておるわけでございます。ただシャウプ勧告案に基きまする広汎な計画に基きましては、更に一層よく慎重審議いたしまして、来年度予算に計上いたしまして、徹低的な改善を図るようにいたしたいということで、目下具体案等につきましても考究中でございます。大体の額等につきましてもすでに案ができておるわけでありますが、これは通常国会提案いたしまして、十分御審議の上、適切な方法を図りたいと考えておる次第であります。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私も逐條的な点については沢山質問があるのですが、その前に一般的な問題について若干御質問したいのですが、先ず第一にシヤウプ勧告案によつて減税措置を講じたと言つております。又来年度予算もそれによつて税制改革をやられるわけですが、吉田首相はです、シャウプ勧告案の大綱を発表されたとき、これは朗報中の大朗報であるということを言われたのです。従つて政府シャウプ勧告案をどの程度にまでこれをその通りに実行するのかどうか。その点について率直な意見を伺いしたいのです。
  20. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 大体基本的な考え方と申しますか、基本的なラインはシャウプ勧告従つてやりたい。ただその後の財政事情を検討いたしまして、来年度予算は総額が若干シャウプ勧告よりも変つております。そういう点を考えまして、所得税、物品税は今回シャウプ勧告以上の改正を実は提案しておる次第でありますが、所得税その他の租税についても極力日本の実情に即応するように、適当な調整を加えて提案いたすようにいたしたいと考えておるのでございます。尚勧告案の中には相当技術的にいろいろ問題にすベき点もあるようでございますが、非常な細目的な点に亘りましては、日本の実情に即するように極力調整を図りつつ、合理的な改正案のできるようにしたいと考えておる資第であります。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今技術的と申されましたけれども、シャウプ勧告案の中で、これを実行したならば、相当今の日本経済の実情としていろいろな困難が起る点があると思うのです。例えば附加価値税なんかについても、又資産再評価に対する措置及びその税についても、シャウプ勧告案の内どういう点が日本の今の実情として実行困難である、従つて政府シャウプ勧告案の内どういう点を税制改革に盛り込むつもりであるか。その点お分りであつたら、又分つていなければならない筈ですが、お伺いしたいのです。
  22. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) シャウプ勧告案に対しましては、民間からも非常な意見が出ております。それは木村委がも御承知の通りでありますが、私共よく民間から出ております意見等につきましても、仔細に検討を遂げまして、先程申上げましたように実情に即応するようにしたい。所得税につきましても、例えば勤労控除を一挙に一割に引下げておりますが、これを一五%程度に戻すということもこれは問題だろうと思います。税率等につきましても、三十万円以上から百分の五十五になつておりますが、この三十万円というのをもう少し引上げたらどうか、これも一つの問題かと思います。  それから物品税につきましては、シャウプ勧告は、来年度は二百七十億円くらいの税收を期待しておるようであります。これは生活必需品的の物は除外して、あとは大体現行税率でやつたらどうか。收入は同額程統を考えておりますが、これが大幅に変りまして、私共今度提案しておるところでは百七十億円程度の收入を手て提案しております。課税範囲は大体必需品的の物を除外する考え方からいたしまして、税率も必需品的性質の比較的多い物は極力引下げる方針で行つておりまして、これはすでに提案いたしておるわけでございますが、そういうふうに適当な調整を加えておるのでございます。その他例えば相続税等につきましても、果して日本の実情に即するかどうか、目下検討しております。  尚地方税につきまして御指摘がございましたが、附加価値税は確かに新しい税でございますので、いろいろ問題があるようであります。なかんずく税率につきましては、四%乃至六%という提案になつておりますが、その後いろいろ検討して参りますと、六%まで行かなくても、所要の歳入額は確保できるのではなかろうかということで、目下各般の資料を集めて検討いたしております。税率は極力低いものにいたしまして、歳入計画を確保し得る範囲内におきまして低いものにいたしますれば、経過的な期間の変動と申しますか、これは余程緩和できると考えておりますので、そういう点につきましても目下慎重に研究いたしておる次第でございます。尚再評価につきましても、まあ一応は建前を表から強制するかどうか、これは私は必ずしも表から強制する必要はないのではないか、ただ一遍限りしか認めないということはどうしても必要だろうと思います。その辺のところはやはり検討の必要があるのじやないが、結果においては皆の企業を一斉にやるということで、併し法制的な在り方としては尚研究の余地があるのじやないかと思います。納税の時期等につきましても三ケ年で一応画一的に納付せしめることになつておるが、将来は利益が出て来るが、差当りとしては利益が貧弱であるというような企業につきましては、まあ若干納期をずらす、徴税を猶予するといつたような方向を認めまして、適正化を図つた次第であります。そういうような諸点につきましていろいろ目下検討中でございまして、これはまだ本国会提案するまで方々の意見を聞きまして、愼重を期した上で、できるだけ実際に即した案を作成いたしまして提案いたしたいと考えております。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ固定資産、あれについての御見解を伺いたい。
  24. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 固定資産につきましては、大体趣旨は私共あれでいいのではないかと思つておりますが、これも税率が一・七五%、賃貸価格の千倍、この辺は歳入額を確保し得る範囲内におきまして若干の検討の余地があるのであります。その他の固定資産につきましては、これは現在の地租、家屋税の欠陥を、一番大きな欠陥を突いたいい提案でございます。評価にいろいろ困難がございますが、評価が慣れて来ますと、そういうこともやり得ると考えられます。大体においてあの線を実行したらどうかという問題について、税率、評価額等につきましては、検討いたしたいと考えております。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一度お伺いしたいのですが、今度の補正予算、これはやはしシャウプ勧告の線に沿つてまあ臨時的措置を講じたということになつております。シャウプ勧告によりますと、二十三年度の所得の五割増しに対して勤労所得税、それから源泉課税申告納税を課して行く、こういう計算になつておると思うのです。そうするとシャウプ勧積によりますと、本年度課税対象には勤労所得、これは税金ですが、千三百九十六億円になるわけですが、自然増收を見積つておる勤労所得税に大体一致しておるのです。ところが申告納税の方はシャウプ勧告によれば二千四百十七億円にならなければならない、ところが申告納税のみは先程お話がありましたように非常に自然減收になつておる、逆に……。これはシャウプ勧告案と非常に柔盾しておると思う。勤労所得税の方は大体シャウプ勧告案通りに見積つておる、自然増收で……。ところが申告納税の方はむしろ当社予算よりは多くならなければならん、二千四百十七億にならなければならないのが、逆に自然減收見込んで非常に少くなつておる、この点は我々どうしても了解がつかない、一般国民は……。大蔵大臣は財政演説に対する質問に対して所得が殖えるから税金が殖えるということを言つておる、勤労所得の方は所得が殖えれば税金が殖える。ところが申告納税の方は減るというのはどうしても理解が行かない。どういう事情で勤労所得税の方は多くなり、それからどういう事情で申告納税の方は自然減收としたのか、その具体的な事情をお伺いしたいのです。
  26. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) シャウプ博士の所得税の見積りの計算は、非常に短期間であつた関係かも知れませんが、非常に簡單な指数を一律に適用して出しておるようでございます。源泉或いは勤労所得も申告納税所得も営業所得も一律に計算して一応出しておるのでありますが、これは期日の関係上止むを得なかつたのではなかろうかと考えまするが、私共の計算しておりますのは、最近の課税の中でそれぞれ勤労所得は勤労所得で、申告所得税につきましては各種所得のそれぞれの増加状況を基にいたしまして計算したのでございます。例えば補正予算におきましては、農業所得は前年度課税実績に対しまして二四%程度の増ということで計算しております。営業所得は三五%の増ということで計算いたしております。農業所得の二四%は大体最近までの調査実績などと、それから今一つは農産物の価格の上り方、生産の増加等を顧慮いたしまして見込んだものでございますが、勤労所得に比較いたしますと、増加率は遥かに少いようでございます。それから営業所得に三五%もさつき申しましたように、実態調査の結果に基きまして見込んだ教字でございます。各種所得によりましてそれぞれ見込みが違いまして、出て来ました結果の総合計が今申しましたように勤労所得は増收になりまするし、申告所得税は若干減收になるというわけでございます。その点シャウプ博士の計算はむしろ各所得を一律にやつておられるところにまだ検討の余地があるのではないかというように私は考えております。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 勤労所得説について自然増收ということはそれは解釈として当るのですか。実は勤労所得税については物価が上り賃金が上る場合、税法を変えなければ増税になるわけですね。これは御承知の通りだと思うのです。今度の勤労所得税改革によりましても、月收五千円の夫婦、子供二人の人の税金が九十一円、その税の負担率が一分八厘二毛、これが一万円になつたときには今度の税法では、改革税法では一万円の所得になつたときには八百円の税金で、この税負担は八分なんです。却つて賃金が上るに従つて税金の負担率は上つておる、増税なんです。これを自然増收というのは私はおかしいと思う。勤労所得税について自然増收というのはおかしいので、勤労所得税税法を変えないと、物価が上る度に増税になつておるわけです。これは自然増收というのは私はおかしいと思うのですが、普通の申告納税の場合と少し違うのではないかと思う。この点主税局長はどうお考えですか。
  28. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 最近正に物価が上りまして、それに伴つて賃金が一緒に上つて行くという場合におきましては、御指摘のようなことが確かにあると思います。最近の足取りを見てみますと、木村さんも御承知でしよすが、購買力の指数に重大な関係があるのはなんです。井藤博士が何か卸売物価を元にして議論をしておられましたが、これは正しくない。C・P・Iで考えると、昨年の七月に比べますとC・P・Iは最近の九月に二割九分上つております。八月に比べますと一割六分上つておる。昨年物価改訂を七月に行いまして、一連の改訂があつて八月で済んだのですが、昨年の基本計画は八月の結果において現われておるのでありますが、八月に比べますと一割六分の騰貴であります。これに対しまして御承知の通り名目賃金は工業平均賃金ですと、七月に比べましても七割七分、それから八月に比べましても五割七分であります。こういうふうに賃金が物価を遥かに追い越しまして、過去一年間において上つておるようですが、こういう場合におきましては、御指摘通りに必ずしもそういうことにならない。むしろこういう場合におきましては私共現行税法の下におきまして出て来る税金は、大体やはり自然増收と観念していいのじやないか、かように考えます。従いまして、こういうことになつて来ますと、本当の税を変えましても、減税の効果が出て来る。こういうふうに考える次第なんであります。最近の数字は去年の今頃に比べまして、余程事情が変つて来つつあるということをお考え願えると幸いであると思います。
  29. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今日は大蔵大臣は後からお見えになりますか。
  30. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 後から見えるでしよう。
  31. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そうですか。その前に主税局長にお尋ねして置きたいのですが、今度の補正予算を見て行きますると、例えば取引高税とか物品税とか、織物消費税とかいうものは皆自然減ということになつておりますが、自然減の現象はどういうところにあるのですか。
  32. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは当初予算は、前説明しましたように、昨年の十一月頃までの実績を基にしまして、それに生産の増加等見込んで計算いたしたわけでございますが、本年度、最近までの課税実績を基にしまして、それぞれ間接税につきまして検討して見ますと、生産が面白くなかつたのと、それから或いは売行不振といつたような事情があるだろうと思いますが、相当つて参りましたので、一方に増收を出す半面、減るべきものは減るというふうに計算した方が正しいということでかような提案をいたしたのであります。これらの税はすべて最近までの課税実績を基にしまして計算いたしております。例えば織物消費税につきましては、三月から九月までの課税実績を基にしまして、それに対しまして十月から以後の課税見込額を最近の実績で計算しまして、それで算定いたしますると、かような減税前の收入見込額になります。それから取引高税につきましても同樣な方法で計算いたしましてやりますると、いずれ間接税は、どうも税法をそのまま据置きましても減少になる。それと織物消費税は若干シャウプ案等によりまして、廃止勧告がなされましたようなことに基きまして、取引が不振になつておるというような点も結果において出て来ると思いますが、そういう点を考慮しましてかような補正予算を先ず税減をしまして、それから更に減税にする。こういう計算をいたしております。
  33. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それでは一体法人税が非常に殖えているんですが、これはどういう……
  34. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 法人税は率直に申上げまして、当初の見積りが少しどうも低かつたんじやないかというふうに考えるのであります。それからそれよりもむしろ更に大きな理由といたしまして、最近申告成績が実によくなつております。これは一面から申しますと、いろいろ非難もあつたようでございますが、調査査察部等におきまして、相当適正な調査ができまする関係上、一般の会社におきましても、申告に余程の注意と、今までより一層の関心を拂つておるようでございまして、正しい申告をしたという希望が非常に出て来ておる、そういう結果が一つは出ておるようであります。それからもう一つは、大きな会社の方面が、最近は特経会社が大体多れまして、通常の決算ができるような状態になつておる会社が大分殖えて来ておるようでございます。そういつたような事情が競合いたしまして、さような成績を上げておるような報告であるのであります。
  35. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 法人税は大体ズレはどれくらいになりますか。例えば平均して、一年間の決算の税金が今年入つておるのか、或いは八ケ月とを半年とか……
  36. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 法人税は、申告分は御承知の通り決算の確定後二ケ月でございますから、申告分は来年の一月までに終了するのが入つて来るということになります。従つてこの方は余りズレはございません。併し申告に対してよく調査して更正決定をやるわけです。この方は法人税改正によりまして、地方によつて若干いろいろ違いますが、大体予算見込んでてるのは、更正決定の分につきましては、更正決定全体の税額に対しまして約二四%ぐらいの更正決定による増加額を見込んでおるのでございます。更正決定による増加額だけですと、大体五〇%、従いまして平均しますと、半年ズレる、さような点になるかと思つております。
  37. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そこで先程のお話ですと、生産が減退して売行きが不振だというような一面の何があつて、片方において法人税が大変殖えて行くというのは非常に矛盾なんです。それから今の半年のズレというのも、将来はこれは相当影響があると思うのですけれども、将来法人税が果してこういう率で取れるか取れないかというお見通しはどうですか。
  38. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 法人税は、恐らく中小企業の法人税は最近まで非常に業績を上げておる会社が大分ありましたが、こういう方面は業績として若干落ちているのではないか。その半面大きな会社は今日特経会社に大分なつておりまして、この方はどうも経理が適正でない、利益を決算で上げようという努力が足りなかつたのではないか、自然にそうなると思いますが。ところでこれが外れまして正常な決算ができることになりますと、企業も余程合理化努力しまして、今は利益を相当計上する、と申しますのは、賃金も適正な利益が出る範囲内において拂うようにする、或いは経費支出等についても合理化が加わりまして、相当利益が出て来るのではないか。従いまして、その方面の大きな会社の分につきましては、私は楽観しておるわけでございますが、併し来年度の見積りにつきましては、今目下各般の見地から検討いたしておりますので……
  39. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 次に、織物消費税関係になりますが、これは一月から廃止するということが決定されたのですが、シャウプ勧告では九月一日に遡つても実施すべきであるというふうな勧告が出ております。それに対して政府側で非常に御努力下さつたことは十分認められるのですか、大体十二月一日から遅くとも実施できるであろう。或いは相当軽減ができるだろうとかいうようなお話も再三伺つたのですが、結局一月までに持ち越されたために業者が非常に今日困難を加えております。これに対してどうして十二月にできなくて、一月まで延びてしまつたのですか。その間の経過をちよつと御報告願いたい。
  40. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話の通り、消費税につきましては私共も大体シャウプ勧告趣旨に従いまして、当初の計画では遅くとも十二月一日から一割に下げまして、来年度から全廃するという案を実は持つておつたわけでございます。ところがその後来年度予算案及び本年度補正予算案全体の総合的な検討の結果、運賃値上の問題と、それから米の値上の問題があるわけでございます。先程もちよつと申上げましたように、来年度予算見通しも大体においてできまして、取引高税もいずれ廃止することができる。それから織物消費税等も廃止ができるというような事態と相成りましたので、むしろこの間接税はそういう運賃、米価の引上と同時にこれを実行しまして、貨物運賃や米は上るが、他方におきまして取引高税を止めたり、織物消費税を止めたり、物品税を軽減したり、そういうことによりまして極力物価への影響を彼比相殺しよう、こういう考え方が非常に総合計画の一端として出て参りまして、その結果値上の方も一月から、減税の方も一月からというので、各税足並みを揃えましてやる、こういう原則論がどうも非常にはつきりなりまして、その結果織物消費税廃止の時期は繰上つたが、一割に下る時期は繰下つたということで辛抱せざるを得ないような事態になつたのでありまして、確かにこれによりまして、出荷が相当影響しまして、金融その他に非常に業者も困つておるようでございますが、いずれ一月から全廃になることでございまするし、金融等につきまして極力御努力願いますれば、何とか凌いで貰うことができやしないかと私共は考えておるのでございます。
  41. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 まあ根本的観念のことは大臣に又伺いますが、織物消費税が十二月一日から下るという期待の下に皆相当ストックを持つておるので、結局これはそうするというと一月になれば四割一躍下つてしまうというので、生産者或いは取扱業者というのが消費税を納めないというのが現在の実情です。結局売る方面においても、一月になれば四割も下るのだから今のうち買う必要はないというふうな事情から、無理矢理売ろうとすれば、消費税のない値段でなければ売れない、まあまじめな正直な者は織物消費税の納められていない品物を取扱わないのですが、その間にあつて相当消費税を納めない不正品を取扱い得るというのは万人の認めるところです。そうしますというと、十二月に四割の税金をかけようと思つても殆んど納税する者がない、これは却つて一割ぐらいに下げた方が納税は相当数が余計になる、政府の大体予算通りぐらいの額が納まるというようなことにもなるのじやないかと思われますが、局長といたしまして、これで行つても差支えないものかどうか、お伺いしたいと思います。
  42. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) シヤウプ案が発表になりましてから、油井さん御承知のように、小売業者が卸業者に仕入れを極端に手控えておつたようであります。デパートのごときは一週間分とか十日分を見計つて仕入れているような状態でありまして、その点は当初予算にも十分見込みまして、例えば十一月におきましては、もうすでに通常の月の七〇%ぐらい減るだろう、十二月におきましては八〇%ぐらい減るだろうということでこの予算見込んでおるわけでございます。従いまして、今回一割に減税するということになりますと、逆に殖えやしないかということでございまするが、併しこの辺は今までぎりぎりいつぱいにしておりますので、実際におきまして売れる範囲内で仕入れて行つているので、これは一割にした場合と全部撤廃した場名とそう大きな差額がないのじやなかろうか、従いまして、私共は一割に削減すると結局更に若干減りまして極く僅かな数字でございまするが、税額といたしましては、織物消費税だけですと、約二億七千万円、メリヤスを入れまして三億一千七百万円、全部十一月一日から撤廃いたしましても、織物消費税におきまして四億六千万円となつておる、それからメリヤスを入れますと五億七千万くらい減る、これくらいの数字を出しておるのでございますが、大体これくらいの差は出て来るようなことになつております。
  43. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 十二月一日から一割に減税して貰いたいという修正案を出しております。それは政府の方でも今言つた納税をしないで不正な品物が出て行くことは十分防止できるし、又手持品の処分ということも順調に行くからという理由で出しておるのですが、これに対して局長としてはどちらが正しいと思われますか。
  44. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) やはり十二月から一割下げますと、無論私は結果として減る方が多くなる。その差額は今申しましたように、織物消費税の普通の月分ですと、月十億以上になるわけでございますが、まあ二億ぐらいにしかならない、全廃しましても四億ぐらい、こういう計算をいたしております。この点から減るというふうに見ざるを得ないのじやないかと思います。
  45. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 先程デパートあたりのお話が出ましたが、デパートあたりでは一月から全廃案を賛成しているということも実は耳にしているのです。通産大臣あたりもそういうことは言つておりますが、ああいう大資本系統の方では大体におきまして委託販売というようなものが相当今出ております。そういう点から言つても余り影響は少いのだと思われますが、中小企業の方が一番これは困つておる状況になつております。これに対して主税局といたしましては、当初の御意見のように十二月に一割に下げるということをもつと強力にお進め願えなかつたのは非常に残念なのでありますが、これは局長の今の御説明によつても大した違いがないという、それは国家予算の大きな面から見たら大した違いではないかも知れませんが、大資本対中小企業というような思想的な対立等から見れば、なかなか大きな問題になるのじやないかと思うのです。これについて局長の見解を伺います。
  46. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 全体から見ますと、四月廃止する予定の分が実は一月から繰上げまして廃止するということに相成りまするし、一〇%に下げるもの一ケ月ぐらいの間ということになりますから、全体としてはむしろ今度の方が最初の考え方よりも経過的な問題を除きましては、措置としてはいいのじやないか、経過的には二段階に分けてやるという場合に比べまして、若干問題は多くなると思いますが、併し四割が一割になりますのと、四割がゼロになりますのと、まあ時期一ケ月だけの差でございますが、私はどつちかと申しますると、結果は当初案に比べて悪いとは言いにくいのじやないか、ただ経過的には若干確かに問題が多くなつて来るだろうということは考えますが、これは主として生産者の金融問題に関係する、その辺の問題に問題が起つて来るのじやないかと考えておる次第であります。
  47. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 まあ一ケ月ぐらいのことは大したことはないというような局長のお考えだとすると、これは大変な間違いだと思うのです。業者はこの一ケ月の年末の肝腎なときに仕事ができないということによつて潰れてしまうのです。潰れてしまつてから回復することは到底困難なのです。そういう点を政治的もつとお考え願いたかつたと私は思うのです。いずれ修正案を出してありますから、それによつて我我の主張がどの程度通るか、国会としては御検討願いたいと思つておりますが、そういう場合には局長も極力御持支を願いたいと思いますが、その点はどうですか。
  48. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 政府としましては、愼重審議をいたしました結果、提案いたしておりますのでございます。どうかこの法案で御審議願いますようにお願いするような次第でございます。
  49. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外の御質議はございませんか。外に御質議がございませんければ、本案の審議はこの程度で中止をいたして置きまして、次回に延したいと考えます。  それから午後一時から経済安定、通商産業の両委員会と共に連合委員会を開くことになつておりますから、その午後一時からの連合委員会が済んだ後に大蔵委員会を継続するということで休憩をいたしたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ではさようにいたします。    午前十一時四十九分休憩    —————・—————    午後三時五分開会
  51. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今より再会いたします。本日はこれで散会いたします。    午後三時六分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            波多野 鼎君            黒田 英雄君            伊藤 保平君    委員            森下 政一君            西川甚五郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小林米三郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            川上  嘉君            木村禧八郎君            米倉 龍也君   政府委員    大蔵政務次官  水田三喜男君    大蔵事務官    (主税局長)  平田敬一郎