○稻村
委員 私は本
委員会でまず、吉田総理に対して
予算の点についてただしてみたいと思います。
その
一つは、
予算委員会は言うまでもなく、一国の
財政に関するものを審議するのでありまして、
国会中最も重要な
性質を持
つておる機関であります。最近しばしば総理が衆参両院の議員の
質問に対して、答えておるところに徴して見ますると、はなはだ遺憾な点が多いのでありますが、こういうことはわれわれ
委員会の一員として、これをあくまでも糾明しなければなたないと思うものであります。たとえば過日参議院の星野議員が
質問したのに対して、
国会特に参議院が公
会議に関して、軽々に論ずることは慎んでもらわなければならないというような意味合いのことを言
つておりますし、また昨日の本
委員会における
西村委員の
質疑に対して、渉外
関係の人には会つた、しかしだれに会つたかということは答えるべきことではないというような返答でありました。私たち議員が総理に対して一応の
質問をしたのに対して、かような態度というものは、それは議員を愚弄し、かかる態度をも
つてする場合には、
予算委員会の審議権を無視するというような傾向になる危険があるので、特にこの点について
質問する次第であります。議員が
国会においていかなる言動をなさなければならないかということは——今の国際情勢下において事国際問題に関しては、特に慎重でなければならないということは、もちろん言うまでもありません。しかしながらそうだからとい
つて、それは行政長官たるところの総理大臣がこれに干渉すべき
性質のものではありません。われわれは行
政府という立場から見た場合の
国会というものは、あくまでもいかなる言論をなしてもこれは自由であります。ただわれわれは議員が慎重な態度をとらなければならないということは、それは議員みずからの自粛にまつだけでありまして、行政長官たるところの総理大臣の監督を承け足るがごとき感じを持つような言動は、絶対に慎んでもらはなければならないと思うのであります。むしろわれわれは総理大臣を選任したのでありますから、
国会こそ、総理大臣を監督すべき責任を持
つておるのであります。また総理大臣が外国の、ことに渉外
関係の人に会つたということは、これを一々
国会内に報告すべき
性質のものでないということは、常識でわか
つております。しかしながらこのごろややもすると、
政府の官僚たちが、渉外に事寄せて、しばしば重要な席をはずすことが多いのであります。従
つて閣僚が重要な席をはずしたために、
国会の審議がしばしば澁滞しがちであるということは、これまた否認することはできないのであります。私は、
西村君はこの点に対して
質問をしたのであろうと思うのであります。時あたかも一昨昨日は、本
会議に
予算の審議がなされようとしておつたのでありまして、これはことに今日の時勢から申しますれば、きわめて重要であ
つて、
政府自身が一日も早く、一時間も早く、これを審議してくれと言
つて、われわれ議員に督促をしておるのであります。その即即をしているときに、渉外
関係の人に会わなければならないということであつたから、そこで問題が起こつたのであります。私は渉外
関係の人に総理あるいは閣僚の人が会うことにこれを一々報告せよとは決して言いません。また占領下においては、連合軍司令官の命令が憲法以上のものであるということは、国民すべてが知
つているところであります。従
つて重要な会見のある場合には、あえてこれに対して干渉するという
意思は少しも持
つていないのであります。しかしながら過去においてしばしば渉外に事寄せて重要な席をはずしたという事実に徴しまして、われわれははたしていかなる
性質の人に会うのかということをただしかつたのであります。そして翌日の読売新聞に書いているのを読んでみますと、この渉外
関係という人が、連合軍
関係あるいはアメリカ
政府の公式要務を持つた人でないように私は察せられたであります。そこで私たちはこの際において、単に個人としての外人と会うということと、公式要務を持つた外人に会うということとは、区別しなければならないと思うのであります。これくらいなけじめは、賢明なる吉田総理は百も
承知の上であろうと私は
考えております。従いましてもし読売新聞に書いているがごとき
性質の人であれば、私どもは総理がこの重要なるところの本
会議の席をはずすことができないからと言
つて、その会見を一日やあるいはまた五時間ぐらいは引き延ばすことは、少しもさしつかえない
性質のものであろうと思うのであります。しかも私はかようなことが新聞にも出ていない、新聞記者もこういうことがわか
つていないというならば、それは
国会の権威のために、こういう人に会うために本
会議をはずしたことを、そのまま渉外だと言
つて済ましておけるかもしれません。しかしながら議員が知らないのにちやんと新聞記者はこれを知
つております。そして翌日の新聞にはこれを
報道しておるのであります。新聞記者が知つた以上は、われわれとしては、黙
つているわけには行かぬのであります。総理の責任をここに追究しなければならないという問題は、
国会の権威にかけてもやらなければならぬのであります。私はこういうふうな態度をも
つてこの
予算委員会を続けて行くならば、
予算の審議が澁滞しても、それはわれわれの責任ではなくて、総理のかような
考え方の責任であるといわざるを得ないのであります。その点に関して総理の率直なる所見を承りたいと思います。