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1949-11-21 第6回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十一日(月曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 稻田直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 米窪 滿亮君 理事 佐伯 宗義君    理事 大西 禎夫君 理事 木下  榮君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    高橋 定一君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       滿尾 君亮君    松井 政吉君       清藤 唯七君    柄澤登志子君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         運輸政務次官  原 健三郎君         (運輸大臣官房         長)         運輸事務官   荒木茂久二君         (大臣官房観光         部長)         運輸事務官   間嶋大治郎君         (鉄道監督局         長)         運輸事務官   足羽 則之君         (鉄道監督局国         有鉄道部長)         運輸事務官   石井 昭正君         (自動車局長)         運輸事務官   牛島 辰彌君  委員外出席者         運輸事務官   紙田千鶴雄君         專  門  員 岩村  勝君     ――――――――――――― 十一月十九日  陸運局分室地方庁移讓反対に関する請願(田  中彰治紹介)(第九五七号)  同(木村榮君外二名紹介)(第九五八号)  同(保利茂紹介)(第九五九号)  同(佐々木秀世紹介)(第一一一一号)  同(井出一夫郎紹介)(第一一一二号)  同外一件(三池信紹介)(第一一一三号)  同外二件(北川定務紹介)(第一一一四号)  同外一件(永井英修紹介)(第一一一五号)  同(柄澤登志子君外一名紹介)(第一一一六  号)  同外一件(木村榮君外二名紹介)(第一一一七  号)  広尾修築請願伊藤郷一君紹介)(第一一  三一号)  紙及びパルプの貨物運賃制度改善に関する請願  (片岡伊三郎紹介)(第九七〇号)  盛岡市に鉄道局設置請願外一件(山本猛夫君  紹介)(第九八〇号)  様似村から幌泉村を経て広尾町に至る間に鉄道  敷設請願篠田弘作紹介)(第九八四号)  鳴門港改修の請願生田和平紹介)(第一〇  〇一号)  久美浜港修築請願前尾繁三郎紹介)(第  一〇〇二号)  千葉鉄道局設置請願田中豊君外一名紹介)  (第一〇二四号)  三陸鉄道敷設促進請願大石武一紹介)(  第一〇三四号)  岩原駅を荷物駅として存続の請願長野長廣君  紹介)(第一〇四二号)  亜炭の鉄道運賃軽減請願野坂參三君外二名  紹介)(第一〇六〇号)  貨物運賃通算制実施請願早稻田柳工門君紹  介)(第一〇六三号)  甲浦港口の暗しよう除去工事施行請願長野  長廣紹介)(第一〇七〇号)  大山口駅改築の請願稻田直道紹介)(第一  〇八六号)  野岩羽鉄道を西那須野駅まで延長並びに大宮、  白河間電化請願森山欽司紹介)(第一〇  八七号)  草軽電気鉄道株式会社線路縮反対に関する請  願(林百郎君外二名紹介)(第一一三七号)  仙台陸運局所管区域を東北六県に変更請願  (庄司一郎紹介)(第一一四九号)  花釜線上有住村に新駅設置請願鈴木善幸君  紹介)(第一一六三号)  千葉佐倉間電化促進請願外三件(竹尾弌君  紹介)(第一一七一号)  河下港修築工事促進請願大橋武夫紹介)  (第一一七六号)  大宮、宇都宮間及び大宮高崎間並び高崎、  小山間電化促進に関する請願山口好一君外二  名紹介)(第一一七八号)  気象官署拡充に関する請願柄澤登志子君外一  名紹介)(第一一八三号)  四国地区国営バス拂下げ請願大澤嘉平治君  紹介)(第一一九九号)  姫路市に鉄道局設置請願立花敏男紹介)  (第一二一〇号)  貨物運賃値上げ反対請願田中堯平君外一名  紹介)(第一二一六号)  貨物運賃値上げ反対並びに運送業務複数制実施  促進請願田嶋ひで君外二名紹介)(第一二  一七号)  佐川、松山間国営自動車別府村森まで延長の  請願長野長廣紹介)(第一二一九号) の審査を本委員会に付託された。 同日  盛岡市に鉄道局設置陳情書  (第二四二号)  府県道大曽根山形停車場踏切こ線橋架設の陳  情書(第二四  四号)  げた貨物運賃値上げから除外陳情書  (第二五三号)  石灰石に対する鉄道運賃引下げ陳情書  (第二五五号)  米原、姫路間鉄道電化陳情書  (第二七二号)  げた貨物運賃値上げから除外陳情書  (第二七三  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第三二号)     ―――――――――――――
  2. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより運輸委員会を開きます。  議事に入る前に御報告申し上げます。去る十九日本委員会に付託になりました請願は三十六件、送付になりました陳情書は六件でありますから、念のためお知らせいたしておきます。これより日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたし、審議を進めます。前会に引続き質疑を行います。石野君。
  3. 石野久男

    石野委員 私は鉄道法の一部改正に関する法律案の中で、二、三の点について政府に御質問を申し上げたいと思います。  本法案国有鉄道法の中の、特に会計に関する部門について、新たに国鉄公共企業体なつたことによりまして、会計法規をかえることになるわけでございますが、国鉄公共企業体となりまして後におけるところの企業形態は、さきにも大臣からいろいろ説明がありましたように、企業体にはなつたけれども、大体従来の国鉄と同じような形で運営されるものであるということを、しばしば言われておるわけであります。しかしながら公共企業体企業運営に対しましては、従来国鉄政府機関として持つておりましたものとは、また非常に違つた面もありますし、また会計法に対しましていろいろな改正点を加えるにあたりまして、特にこれによつて行われまするいろいろな面については、われわれとしましてその公共企業体性格の点からいたしまして、いろいろと考えなければならぬ点があると思うのでございます。特にこの法律を通じまして、ほとんどの面が、運輸大臣権限のもとに強く行われるというような点が強調されておるのでありますが、この点につきまして、公共企業体という性格からいたしましても、鉄道総裁権限運輸大臣権限との間において、もつと鉄道総裁の方の権限が、法の中では強く盛られていいのではないかと考えられるのでありますが、こういう点についての政府見解をまず第一番にお聞きしたい。
  4. 足羽則之

    足羽政府委員 国有鉄道法現行法におきましては、大臣国有鉄道に対する権限は御承知のように比較的少うございまして、国有鉄道運営自体に関しては総裁がその責任の衝に当つて、相当いろいろな権限を有しておるように私考えております。ただ政府が全額を出資して特別にでき上つた国有鉄道であるという点と、交通業であるという点から、運輸大臣交通に対する一般監督と、それから大蔵大臣財政上の観点からの監督、こういうものが現行法において規定されておるのでありますが、政治改正法におきましては現行法よりもさらにその監督をきつくしておる点はないのでありましてむしろ経営根本中心になるものが会計財務でありますので、その点でいろいろ従来御説明申し上げましたごとく、総裁国有鉄道を動かし得る幅が相当にゆるくなつたと申しますか、自主性に富むようになつて来た。ただその程度の問題につきまして、これをどういう程度にするかという点については、いろいろ見解相違はあろうかと思いますが、関係方面あるいは関係庁といろいろ討議をいたしました結論が、今回の改正案として御審議を願うような程度なつたのであります。それは会計財務の点について経営の最も根本に触れる。そうした点についての国有鉄道自主性と申しますか、そういつた点は現在よりもゆるくなつておる、こういうふうに私考えおります。
  5. 石野久男

    石野委員 そういたしますと予算の問題でございますが、特にこの予算議決については第三十九條の四において、「日本国有鉄道予算議決に関しては、国の予算議決の例による。」ということになりまして、国有鉄道予算は国の予算議決の例によつて行うことになるのでありますが、公共企業体としての性格と、その企業性を強調する意味におきまして、将来この公共企業体性格は、国の予算に縛られるということのみでなくて、企業体独自で予算的な内容のいろいろな活用ができ得るという余地を、将来に対して残すということについては、全然今のところは考えていないのでありましようか。あくまでもやはり国の予算で縛るという考え方中心になつて行くのであるかという点についてお伺いしたい。
  6. 足羽則之

    足羽政府委員 やはり国有鉄道経営に関するいろいろな歳入歳出の問題は、予算によつて議会にかける。こういう点はかわりございません。
  7. 石野久男

    石野委員 この企業体で行われるいろいろな経営、あるいは事業というものについての、そうした関連性から見まして事業に従事するところの公共企業体関係従業員の問題でございますが、この問題については、さき公務員とそれから公共企業体関係労務者の間には、それぞれの法案が別個に制定されまして、違つた取扱いが行われるようになつておるわけであります。この今度改正される法律案におきまして、そういう面から来るところの労務者に対する取扱いの点について、特に公共企業体関係労務者諸君に対するところの取扱いの点については、どのような御見解を持つておられますか。
  8. 足羽則之

    足羽政府委員 公共企業体になりまして、その従事員公務員との違いと申しますと、労働関係は御承知のように公共企業体労働関係法によつて律せられるわけで、その点が違う点でございます。また給與の点につきましては、現在の国有鉄道従事員給與は大体どういうふうにきまつておるかと申しますと、現在のところでは国有鉄道総裁によつて給與に対する規程がきめられております。ただその内容は、従来公務員であつたときの給與と、内容において大体同様でございます。ですからただ法律的には根拠が違う、こういうようなことになるわけであります。
  9. 石野久男

    石野委員 法律的には根拠が違うのであるが、従来と同じだというお話でありまして、そういたしますと特に会計と関連するわけでございますけれども、労務者給與の問題で、特に前にも問題になつておるというお話でありますが、四十四條の「予算の中で給與の額として定められた額をこえるものであつてはならない。」その年度内の予算の中できめられた額より以上にその給與を拂うことができぬというこの考え方は、企業のその事業年度における成績なり何なりを一方に考え、また客観的には一般生活水準の問題、そういうものと考え合せまして公共企業体における労務者給與という問題は、われわれにとつて非常に重要な問題になると思います。この第四十四條に規定されておりまするところの、当該年度予算の中で給與の額として定められた額を越えてはいけないということについて、われわれとしてはあまりにもこれは理不盡な考え方のように思うのでありますけれども、政府といたしましては、これに対してどのような考え方を持つておるのでありましようか。
  10. 足羽則之

    足羽政府委員 現在給與がどうきめられておるかということは、今御説明申し上げた通りで、総裁達によつて給與根拠がきめられておるわけでありますが、現在の国有鉄道法におきましては、職員給與に対する原則と申しますか、それは二十八條規定されておる点であります。すなわち抽象的に書いてあるのです。「職員給與は、その職務内容責任に応ずるものでなければならない。」それから第二項には「生計費並びに国家公務員及び民間事業従事員における給與その他の條件を考慮しで定めなければならない。」つまり給與がどういうふうな点を考慮してきめらるべきかということが、抽象的に二十八條規定してあるのであります。なお改正法の四十四條におきましては予算が定められるのですが、二十八條精神によつて国有鉄道自体で、職員給與準則というものをきめなければいけないという点をまずはつきりいたしまして、そうしてその給與準則によつていろいろ給與というものがきめられるのです。しかしそれに対する予算というものは、予算審議されるわけでありまして、その予算の中の給與の額として定められたものを越えるような給與準則であつてはいけない。こういう点が明示してあるのですが、これは一方、予算として年初にいろいろ定められたものを、ただ自由に動かすという点も、一面から申しますとやはり予算の性質上、何らかの制限があることは一応やむを得ない点で、あながち不当とも言えない、こういうふうに考えます。給與の額をもし変更する必要がある場合には、そのときの実情により、そのときどきの必要なる手続によつて適正に修正さるべきもの、こういうふうに考えております。
  11. 石野久男

    石野委員 ある程度制限のあるのはやむを得ないものであるというふうなお話でありますが、ここで私は本質的な問題として、今度の日本国有鉄道法によつて公共事業体になりました基本的な問題は、鉄道独算制の立場をはつきり打出すべきであるということが、基本精神だと思うのでございます。そのことの意味するものは、あくまでも鉄道自体がそれの赤字を埋め合せ、そして黒字を出すようにして行けということだろうと思います。企業に対して、企業独立性を強く要望しているのが、今度の貸本国有鉄道法というものができた根本精神であろうと思います。こういう意味におきまして企業自体に対して、またそれに従事する従業員諸君に対して、企業公益性はもちろんのこと、独算性を十分に要求している一面において、それに従事する従業員に対しては、国の予算においてきめるその額を越えてはならないということがきめられているということは、非常に矛盾するように考えます。私の見るところでは、鉄道に対して公共企業体としての採算制企業性を十分に発揮しようということを、あくまでも要求している。ところがそれに対するいろいろな給與問題等ついては、国がある線で押えて行く。もちろんあとで御説明のありましたように、そのときどきの変化に従つて変更すればいいんだということは、なるほどよくわかります。わかりますが、現実の問題としてそれはなかなか困難なことであるというのは、すでに今日この年末におけるところの、国鉄諸君がいろいろと給與の問題について要請しているにもかかわらず、それが容易に実現しにくい実情にあるということ自体から見ても、わかることだと私は思うのであります。このような意味において、私は法の特に第四十四條で、こういう規定をしておくということは、企業体に対する国の制約をあまり強くし過ぎるのじやないか。少くとも公共企業体としてこういう法案をつくり、その企業形態を確立さしている今日において、こういうきめ方は非常に矛盾した規定と考えるのであります。このこと自体公共企業体としての国有鉄道に大きな制約を加えることになり、やがて独算制をはばむものになつて来るのであろうと思いますので、この点についてはただいまの御説明だけでは非常に納得しにくい点かあるのであります。独算制の基本的な考え方に基きまして、ただいまの点についてもう一度政府の所信をお聞かせ願いたい。
  12. 足羽則之

    足羽政府委員 その点につきましては、しばしば御説明を申し上げましら次第ですが、必ずしも私今御質問のようにも考えておりませんので、これは多少見解相違かと考えます。
  13. 石野久男

    石野委員 ただいま見解相違かと思いますという御答弁でありますが、もちろん見解相違になれば話にならないわけでございますけれども、私は第五国会公共企業体法案はつきりと可決しまして、国鉄公共企業体なつたということの根本精神は、今までのように赤字一般会計から補つて行くというやり方ではよくない。国がいろいろしりぬぐいをしているようではいけないから、それ自体として特にお前らしつかりやれ、ということが基本精神であつたわけです。そのお前らしつかりやれということで、いろいろむりな中で、一方では黒字を出させるようなことをしているにもかかわらず、こうした職員に対する給與は、国の一般的な予算の事情からそれを押えて行くということは、これは見解相違だけでは、私は済まないと思うのであります。これのみならず、先ほど私が申し上げましたところの、運輸大臣が今度の改正される諸点において非常に大きな権限を持つて、いろいろな点を押えて行くという点などにつきましても、その企業独立性を非常に抹殺する結果になるであろうということを私は恐れるのであります。あくまでも独算制精神にのつとつたやり方をやつてもらわなければ困る、こういうふうに私どもは考えます。ことに現にこの問題と関連しまして、ただいま見解相違ということを言われたのでありますけれども、国鉄の労組の職君は現に九千七百円のベースを要求しております。このことはだれが見ても妥当だ。現在の実情で、昨年の十二月にきめました給與ベース、六千三百円ベースをそのままずつと持ち越して行つて、この年の瀬を越せというのはむりだということはわかつている。政府当局でもわかつているはずであります。人事院諸君でもわかつている。うすうすわれわれが聞くところでは、人事院では勧告しなくてはならぬという腹を持つておりながら、予算処置の上でこれを制約されているということを聞いているわけでありますが、そのことが四十四條を改正される法案の中に盛り込まれたということは、われわれとして容認することができないのです。あくまで企業独立性を発揮させるためには、その企業体において採算の度合いを、企業責任を持つている総裁がその腹によつてきめたものは、やはり独算制建前において執行させるのが当然であろうと思う。名前だけは與えておつても、お前らひとりぼつちで歩いてはあぶないんだ、やはりおれが見ているところ以外には歩いてはいけないのだ。こういうきめ方では、とても独算制の本質というものは生きて行かないと考えますけれども、こういう点についての見解は、ただ見解相違だけでは済まないだろうと思うのでありますが、それをどのようにして政府として補備して行こうというように考えておられるか。こういう矛盾をどういうふうにして補備して行こうと考えておられるか。それともただ見解相違で、そういう矛盾は全然ないものであるとおつしやられますか。その点をはつきりお伺いしたい。
  14. 足羽則之

    足羽政府委員 国有鉄道職員給與が、どういうふうに定められているか。またどういう根拠法規によつて定められるべきかということは、今御説明した通りでありますが、給與変更等も含めて、国鉄経営財政面に、もう少し潤達性を與えなければいけないという御意見のようでございますが、むしろその点を申し上げますと、問題はしばしばこの委員会で御質問がありましたように国有企業活動に対する根本財政面を、議会予算として出すか、あるいは財政計画といつた姿で出すか、あるいは予算として出すにいたしましても、これを包抱予算の形で出すか、あるいは国の予算提出するのは同様な手続によつて出すか、あるいは同じ予算として出すにいたしましても、議会拘束がある款、項、あるいはそれ以下の予算行政面制約がある目、節といつたようなものを、どういうふうに組みかえて行くか。そういつたような問題にこまかく触れて行くと思うのであります。それらの点につきましては、従来申し上げたように、いろいろ検討をいたしまして、そして鉄道が非常に大きな独占的な公共企業体であり、かつ公共性のある大きな事業である。そういう大きな事業経営であり、公共性のあるという観点から考えて、やはり相当な国の制約というものも、現状においてはなければならぬであろうという点から、予算の形で出すことに落ちついて、この改正案の骨子となつておることは、今しばしば御説明申し上げたような点であります。そこで給與の問題でありますが、給與の点につきましても今まで御説明申し上げたごとく、改正案におきましても多少いろいろな拘束もございますが、これは予算として組み入れたという形において当然のことでありまして、この程度のいろいろな拘束はやむを得ないかと思います。また給與変更の問題につきましては、法律内容とは全然別個なことでありまして、具体的にいかに給與がきめらるべきかということの解決につきましては、法規の運用に帰着いたすのでありますが、おのずから財政上の観点、あるいは一般産業とのにらみ合せ、そういうものから考えらるべきものでありまして、今御説明申し上げた点とは別個なものであろうかと考えております。
  15. 石野久男

    石野委員 給與上の問題は別個の法規がこれを処置するという、ただいまの御答弁でありましたが、私は四十四條の規定は、やはり給與問題を考える基本的な問題になつて行くと考えるのでありまして、これは見解相違というよりも、むしろこの法文自体に書いてある意味が、給與問題の限度というものをはつきり押えているということが言えると思うのでございますけれども、それでもやはり別個な方法でやるのだというふうに解釈されるのでありましようか。
  16. 足羽則之

    足羽政府委員 一定の給與の基準が給與準則できめられておりまして、それが予算の範囲内でならば、別段問題はないわけであります。そこで予算を越えるような問題の場合には、あるいは会計実情とにらみ合せまして、あるいは追加予算提出するとか、そういう所定の手続によつて、それをどう扱うかということが扱われるということになるかと思います。
  17. 石野久男

    石野委員 別に私は、この二十八條の「職務内容責任に応ずるものでなければならない。」というふうに、給與規程の仕方のこまかい問題について申し上げるのではなくて、いわゆる給與問題自体の大きなわくというものが、いつの場合でも給與の本質的な問題であろうと私は思うのであります。給與一つ職階級におけるところの問題などというものは、もちろんこれも給與の問題には相違ありませんけれども、少くとも国会で論議される問題といたしましては、その給與の総額が、こうした法案の中で規定されるということ、それ自体の問題だと私は思うのであります。もちろん職階級内容の区分についての処置の仕方も問題でありますけれども、それ以上にこの四十四條の問題が大きな問題であると私は思うのであります。これはやはり法案の中でこういう規定をすべきでないと私は考えるのであります。ことに先ほど申しましたように、独算制を特に強要しておる建前からいたしまして、給與自体についてはその企業責任において処置すべきであると思うのであります。おそらく公共企業体としての国有鉄道は、その独算制帳じりは、あくまでも公共企業体としての国有鉄道自体が、責任を持つて行かなければならぬものだと思います。その帳じりが黒であるか赤であるかということの責任を持つこと自体が、問題であるのであつて給與の問題はそれに内包される問題だと私は思うのであります。こういうところまで政府が干渉すべきでないこういうことを干渉するのならば、むしろ公共企業体としての国鉄を置く必要がないので、何ら独算制公共企業体責任づけるという意味にはならないと考えるのであります。前にも申しましたように、あまりにも運輸大臣の職権的な面での、干渉面が多いと考える一つの証左であろうと私は思うのであります。先ほど御答弁にありましたような給與問題の他の面は、この二十八條規定の方向で処置されるのであつて、これとは関連性がない。そういうこまかい問題としてではなくて、大きな問題としての、企業自体の問題としての立場から、やはり私は四十四條の規定の仕方は間違いであると考えますので、いま一度その点についての御所見を伺いたい。
  18. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 今給與の額を、運輸大臣のところでわくをきめるというふうにおつしやることを拜聽いたしたわけでありますが、給與予算はどのくらいになるか、建設の予算は幾らになるということは、一應政府で案をつくりますが、それは国会の承認を得て、国会において議決されるわけでありまして、その給與の額を運輸大臣がきめる、こういう趣旨ではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  19. 石野久男

    石野委員 今荒木政府委員のおつしやられた点は、私はそういうふうに言うたのではないのであります。運輸大臣がきめると言つたのではない。四十四條には国会がきめると書いてあります。私は前にも運輸大臣の職権的な面で非常に多方面にわたつて、特に会計面については強く出ておるということを言つたのだが、そのこととの関連性において、この四十四條の規定は正しいけれども、政府の干渉が非常に強く出るというふうに考えるのであります。特に国会がきめるのだからというのは、非常に民主的なように見えるけれども、私は給與の総額について国会といえども、こういうような文面に現われたような形での規定の仕方は、間違いである。こういうふうに思つておるということを言うわけであります。
  20. 滿尾君亮

    滿尾委員 四十四條について私も一言お聞きしたいのでありますが、これは非常に今問題になつております給與準則が、将来予算の範囲内でどうきめられるかということになるのであります。そうすると二十八條でもつて国家公務員及び民間従業員におけるものその他の條件を考慮してきめなければならぬと書いてありますから、当然に予算審議のときに、国家公務員給與準則がものさしになつて、この国鉄給與準則も定められる危険が将来において多分にあると思う。そうしますと先ほどかち論議になつております国鉄の独立採算制に基く独立制、ないしは国鉄従業員の従事しております業務の特質と、一般国家行政事務を扱つております者のの職務内容、その勤務の実態は相当開きがありますが、ひよつとするとその国家権力を背景にしてデスク・ワークをしておる人の給與の準則が、国鉄の将来の準則になるというおそれはないかどうか。この点を考えなければ、今回のこの四十四條の精神というものは、非常に危険になると思うのであります。この点についてどういうふうに考えておられるか。また予算の総額できめてあるのだから、ある程度操作ができるというような見解も、この四十四條の裏づけにあるようでありますけれども、国鉄総裁は普通の状態におきまして、国会の承認を経ました予算を実行して参りまするが、何かよくよくの事情ができまして、例外的事態が発生した場合に、責任支出というようなことができるようになつておりまするかどうか。私はざつと見ましたところでは、その間の事情がはつきりしておらぬ。せいぜい予備費くらいのものは出せるように、予算は当然つくられてあるだろうと思いますけれども、予備費というものはあくまでも予備費であつて国会を開いていただくひまはない。予備費では足りないのだというような場合に、国鉄総裁責任支出をして、事後に運輸大臣なり、さらに国会の承認を得るというようなからくりが一応ないと、国鉄総裁というものは困つた立場に置かれるのではないかというような気がするのであります。  さらにもう一つ伺いますが、予算の総額がきめてあれば、給與を高めようと思つたならば、事業の実態にかんがみまして国鉄総裁は相当の人員整理をすることができるだろうと思うのであります。そうすれば個人々々の單価を上げることもできる。だから国鉄総裁はみずから選ぶところに従つて、やりにくいでございましようけれども人員整理をして、この一人当りの單価を上げることができるのかどうか。もし人員整理をいたしますということになれば、前回は国家公務員法の改正でやつたようでありますが、将来はそういうような法規上の手続というものはいらなくなるのではないかと思いますが、どういうふうに考えておられるのでありますか。会社が将来人員を整理する場合は、経営上の見地に立つて、独自の考えをもつて整理の案を立てることができ、かつこれを実行することができるかどうか。この三点をちよつと教えていただきたい。
  21. 足羽則之

    足羽政府委員 公務員給與によつて、将来国鉄職員給與というものが減らされはしないか。こういう第一点の御質問でありますが、それは現在二十八條にも明らかなごとく、公務員給與生計費及び民間事業従事員における給與その他の條件とともに、国有鉄道職員給與を考える場合の一要素であるというふうに考えております。ただ現在の実情が、国有鉄道政府から離れましてまだ余日もありませんので、ただいま御説明申し上げましたごとく、現在は日本国有鉄道職員俸給等支給規程という総裁達によつて、支給される給料の内容がきめられておるのでありますが、これはしかし政府から分離する前の規程と、ほぼ同様のものを総裁達規程をしておるのだ、こういう御説明を申し上げたわけでありまして、これは実際そうした現在日がまだたつておらぬという実情に基くものというふうに考えております。  それから第二点の、何か非常に不時のことでもあつた場合に、責任支出をなし得るかいなかという点でありますが、まつたお話のように、予備費がきめてありまして、それ以外に責任支出を自由になし得るという点は、現在の法規上はないように考えております。  それから第三点の、今後総裁給與を高めたり何かする必要のために、人員整理を自由にやり得るか。こういう法規上の根拠なくやり得るかどいうお話でございますが、これは先般の整理の場合に、定員法によつたという意味での法規上の制限はなく、総裁が自分で国有鉄道運営の一事項として、一つの重要な問題として考慮されるものと思うのでありますが、しかし現在の国有鉄道法におきまして、職員の降職及び免職に関する規定がございます。あるいは休職に関する規定なんかもございます。そうした現在の現行法によつて制約される点があるというふうに考えております。
  22. 滿尾君亮

    滿尾委員 それではもう一言伺いますが、二十八條の二でもつて国家公務員ということははつきりうたつておるのです。これはうたつてなくとも、国有鉄道みたいに大世滯の給與でございますから、当然国家公務員給與基準というものを参酌するにきまつておる。これを事実上無視してきめるようなことはない。従つて政府委員の御答弁のように、国鉄従事員給與の準則をきめるときに、公務員給與の準則を参考にすることは、事理明白のことといいますか、当然のことです。ところが二十八條は、わざわざここに国家公務員給與を参酌するということを法律上明文をもつて書きましたことは、これは非常に強い拘束を與えているのと、ほとんど相去ること遠からずというようなことになりはせぬか。ことに人事院の関係だが、国鉄の将来の給與に対して何らか勧告する力があるものかどうか。ただそれは国家公務員給與の準則をさすという間接的の立場にあるのかどうか。人事院も相当に国鉄従事員給與基準に対して何らか関連ある発言をする力があるかどうか。これを一つ伺いたいということと、お話のように、考慮の一要素であるということは、おそらく間違いである。それよりもずつと強いものだということを想像できるのですが、そういうふうに政府委員は見ておられないかどうか。またもしそういうふうに強い拘束をするものであるとするならば、それが将来の国鉄従業員の準則として、そうすることがよいと考えておられるのであるかどうか。それからここに民間事業と書いてありますが、この民間事業とは、国鉄と同じ鉄道運輸の事業に携わつておる民間事業という意味であるか。広く何でもかでも世間一般民間事業意味であるか。どういうふうに解釈しておられるか、それを伺いたい。  それからちよつと人員整理の話をいたしましたが、これは二十九條の四で、業務量の減少その他経営上必要なときはできることに、法律上は書いてあるのですが、将来人員整理等の問題につきましては、運輸大臣の承認を経ないでもやるのかどうか、大臣はそれについて干渉せられる意思があるかどうか、これを伺つておきたい。  それから総裁責任支出の方法がないということは、この法律の非常な欠陷であろうと思う。ぜひ修正していただきたいと思う。予備費の程度でそれを一応きめてこれだけ大きな責任を待たして、どうして事態が起るかわからぬのに対して、責任支出の方法がなくては、実際運営の衝に当る人はだまらぬと思う。国鉄の要求によつて臨時国会を開くという保証があれば別でありますけれども、その点で私は非常に欠陷があると思う。     〔大澤委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 足羽則之

    足羽政府委員 人事院の勧告の点については、国鉄には関係がないものと考えております。  第二点の、公務員給與というものを考慮條件として、單なる一つの要素以上に強く見ているかいないかという問題でございますが、生計費並びは国家公務員給與、あるいは事業体としての一般民間事業従業員給與、こういう要素を三つつかまえまして、法律にそれを考慮してきめなければいけないと書いてあるのでありまして、いずれの点に軽量の差はないと考えます。  それから従つて公務員給與も標準にとるということは、当然だと考えるかどうかという御質問の第三点でございますが、それは今第二点に申し上じた点で御了解いただけることかと思います。  それから整理に大臣の承認が必要かどうかという御質問でありますが、これは必要がないと私考えます。あるいは実質的には私ども相談を受けることがあるかもしれませんが、しかし総裁個人、国有鉄道としてこれはやられることだと考えております。  最後に、責任支出の方法に備える点を考えなければならぬという御意見につきましては、事実現在の法律にその改正はございませんので、なお私たちとしてはよく研究をいたしたい、こう考えます。
  24. 滿尾君亮

    滿尾委員 私の質問は終りました。
  25. 石野久男

    石野委員 四十四條の問題につきましては、十分釈然とする御説明をいただけないのでございますけれども、一応これで打切りまして、あと四十二條の二に「鉄道債券を発行することができる。」というふうになつているわけでございます。この鉄道債券の発行ができるということにつきましては、これはもちろん国会議決を経るということになるものと思われるわけでございますが、これについては現在の政府の提案される意図といたしまして、鉄道債券の最高額とかいうようなものについて、別段の規定をこの際設けておく必要も何もないということをお考えになつているのでありましようか。それはそのときどきで処置したらよいとお考えになつているのでありますか。
  26. 足羽則之

    足羽政府委員 鉄道債券を発行するにいたしましても、その額につきましては予算で定められると考えております。それから鉄道債券がどういう形で、どういうふうに発行されるかということにつきましては、今後政令でその準拠する点を規定するようになろうかと考えております。
  27. 石野久男

    石野委員 政令でそれが規定されることになるというふうに承つたのでありますが、もちろん政令といえば政府できめることになるのでございましようけれども、政府から長期借入金、あるいは短期の借入金をするということは、もとより独立採算制をやるためには必要でありましようけれども、こういう鉄道債券をどういう形で運輸大臣の認可を受けて発行するかということについては、私としましてはいろいろな点で問題があるように思うのであります。それでただいま政府の御説明によりますと、それを政令で出すことであろうというふうになつたわけでございますが、これについて全然何らかそうしたことについての現在のところでは構想がなくして、ただ国会予算の事情に基いてそのときどきで出して行くのだという点、そういうことだけにしか現在はまだ考えが至つていないのかどうか。いま一度承つておきたいのであります。
  28. 足羽則之

    足羽政府委員 実はまだその点については、個々の点について詳しく検討中でございまして、今まとめてここでまだ御説明申し上げる程度に至つておりませんが、鉄道債券の応募、あるいは拂込みとか、交付の方法とか、いろいろ鉄道債券の発行に関する條件などについて、今検討中でございます。
  29. 石野久男

    石野委員 鉄道債券の問題につきましては、まだ検討中だという御説明でありますので、私はこれ以上追究はいたしませんが、ただ私どもといたしましては、鉄道債券の発行される形態なり、あるいはその額なりというものが将来の鉄道企業の上に及ぼす影響というものが、非常に大きいと私は思うのであります。そういう点でわれわれは鉄道が、国のものから公共企業体にかわるに際しましても、特にそういうようないろいろな点で懸念を持つているわけであります。将来にわたりまして、鉄道に対する民間投資というものがどういう形で出て来るかということについての観点からいたしまして、ここの鉄道債券の発行ということの内容については、政府としてもう少し具体的な案なり方針なりをお聞かせ願いたいと私は思うのでありまして、今日十分な御答弁を得られなかつたのでありますが、もしでき得ますならばそうした構想と後日承りたい。こういうことを、私は條件といたしまして、一応私の質問を終ることといたします。
  30. 關谷勝利

    ○關谷委員 簡單にお尋ねをいたしたいと思います。先ほどもちよつと石野君からも出ておりましたが、鉄道債券の発行ができいるいうことになつておりますが、これはわが国民間の引受けだけを考えておるのか。あるいは将来外国民間の資本は取入れて鉄道施設改喜をやるというお考えがあるのかどうか、こういうことをお尋ねいたしたい。
  31. 足羽則之

    足羽政府委員 現在のその問題に触れておりませんので、大体は国内の問題として考えておりますが、なお詳しくは将来その点は検討いたし、研究して参りたいと存じます。
  32. 關谷勝利

    ○關谷委員 第四十九條におきまして、契約はすべて一般競争入札に準ずる。こういうふうになつているのでありますが、政令で定める場合は一般競争入札によらないでよい。こういうふうになつておりますが、政令で定める場合というのはどういうふうになつておりますか。なお省炭の輸送でありますが、以前機帆船対策の立場から、海陸運賃の調整が終るまでは、この省炭の輸送は一般競争入札によらないで、従来の通り随意契約にしてもらいたい。こういうことを本会議において決議をしたのでありますが、そういう決議は無視せられたような形になりまして、省炭輸送が鉄道に切りかえられ、あるいはその一部を競争入札にせられたということを聞いているのでありますが、従来省炭は機帆船で輸送をいたしておつたものが、鉄道輸送に切りかえられたものがどのようになつているのか。あるいは機帆船輸送をやつてつたものが、鉄道にどれだけ切りかえられているか。いまなお機帆船でやつているのがどれくらいあるかということを、詳細御説明を願いたいと思います。
  33. 紙田千鶴雄

    紙田説明員 ただいまの契約の中で、政令において特に定める場合はどういう場合であるかというふうな御尋ねでございましたが、この点は目下準備中の政令に含まれているわけでございまして、ただその場合におきましては、現在の会計法において規定されておるものと、ほぼ同様のことによつて規定をいたしたいと考えます。大体は競争入札ということをすることが適当でない場合、あるいは事業に有利でない場合、あるいは非常に金額が小さい場合、こういうふうなことが会計法規定されてあるのでございますが、この趣旨を参考といたしまして政令を考えて行きたい。こういうふうに思つておりますが、現在のところはまだ政令がきまつておりませんので、この程度にお答えをいたしたいと思つております。
  34. 石井昭正

    ○石井政府委員 国鉄の用炭の陸送、鉄道に輸送を切りかえる問題についての御質問でございますが、大体御承知のように従来は約三分二程度は、北海道炭及び九州炭の国鉄用炭は、海上輸送になつてつたのでございますが、本年の七月末にこれを改めまして、全面的に陸送をやるという方針に決定をいたしたのであります。それは御承知のように当時の国鉄の貨物輸送の状況から見まして、非常に貨車に余裕がある。特に大型の無蓋車につきましては、相当の遊休車を生ずる。また機関車につきましても、当時の貨物輸送力以上に機関車の能力もあるというような観点からいたしまして、いろいろそのための経費を比較いたしますと、海上輸送によるよりは、自分の持つております陸上輸送力で運んだ方がより経済的である。かような観点から、八月分から実施することにいたしたのでございまするが、八月はたまたま石炭の統制撤廃によりまして、購入方法がオープン・ビッドになりましたために、これは時期的にうまく参りませんので、九月からこの陸送の点を本格的に切りかえたわけでございます。従いまして現在国鉄事業用炭は、原則とし、て全部鉄道で輸送されておりまして、汽船あるいは機帆船によつて運送されているのではないのでございます。しかしながら実績はと申しますると、計画は大体北海道炭にいたしますと、月約十三万トンちよつと越す程度の計画をしておるのでありますが、九月、十月の実績は七万四千トン、あるいは七万八千トン程度でございます。九州炭の方も約十七万トン程度の関門通過を予定しておるのでございますが、九月の実績が約十二万六千トン程度でございます。これは一つには現在石炭の購入が思わしくなく、入札量がきわめて少い。ことに北海道方面の入札量がきわめて少いというようなことに事情があるのでございますが、こういうような程度でございますので、現在におきましてもこのために一般物資の輸送を抑制してまで、国鉄用炭を運んでおるというような事実は、まだ見られないのでございます。今後この点についてどうするかということでございますが、海陸運賃の調整ができましたあかつきにおきましては、それぞれのルートによります場合の経費を比較いたしまして、適当な姿にもどることであろうと考えております。
  35. 關谷勝利

    ○關谷委員 省炭輸送のことにつきましてはいずれ将来、機帆船をどの程度に利用するかということ等、配炭公団廃止後の動きというものは、別にこの席上でなくて、詳細に書面をもつてお知らせを願いたいと思います。  次に国有鉄道の資産でありますが、これは不動産その他に対して再評価をやるのかやらないのか。もしやるのであれば、その際には資産評価において民間企業との間に開きのないように、そういうふうなことをよく御留意願いたいと思いますが、この点に対する御意見並びに第四十二條の四、第二項に「相当の利子」ということが記してあるのでありますが、これは陸上と海上との借入金におきますところの利率ということが、非常に現在問題になつておりますので、その点海上の海事金融関係と、この利子はにらみ合してやるべきかどうか。そういうような点を簡單に御説明願いたいと思います。
  36. 足羽則之

    足羽政府委員 最初の御質問の再評価の問題につきましては、まだ政府の方針がきまつておりませんので、ただいまのところはつきり説明を申し上げかねます。  なお第二点の四十二條の四の相当の利子は、今いろいろ打合せ中でございまして、真実は私たちもはつきりまだ承知してないのでございます。
  37. 關谷勝利

    ○關谷委員 その利率の決定にあたりましては、海上の金融関係とよくにらみ合いまして、やつてもらいたいということを希望いたしておきます。国鉄は国家の庇護によつて非常に有利であるというふうなことのないように、また国鉄が国家にたよるという気持を起すこと自体が、これが官業の能率低下の大きな原因になりますので、この点にも御留意を願いたいと思います。  なおいろいろ小さいことにつきましても、御質問を申し上げたいことがたくさんあるのでありますが、これは国有鉄道会計の事務的な能率を、高度に発揮するという意味でつくられておりますので、質問はこの程度で打切ちれんことを希望いたします。  質問打切りの動議を提出いたします。
  38. 稻田直道

    ○稻田委員長 ただいま関谷君の質問打切りの動議かありましたが、通告順で柄沢君が待つておりますから、簡單に柄沢君にやつていただいて、しかる後に動議の通り質問を打切りたいと思いますが、委員長におまかせを願いたいと思います。いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 稻田直道

    ○稻田委員長 ではさようにいたします。  柄沢君、簡單に願います。
  40. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 加賀山総裁が今日おいでになることを約束しておりましたが、仲裁があるので末弘博士に会うからとのことでお見えになりませんから、運輸大臣に簡單に御質問申し上げたいと思います。  国有鉄道の能率的な経営をやるためには、将来これを国家財政から完全に隔離する御用意があるかどうかということを承りたいと思います。
  41. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 その問題は、何分七十年の歴史のあるシステムを、コーポレーシヨンに切りかえたばかりでありまして、鉄道というものは国家の運営上非常に重大な役割を占めております関係で、遠い将来にはそういうふうな経路をたどるかもしれませんが、ただいまのところでは、その問題はさようにいたすと考えておりません。
  42. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは今度の改正によりまして、大体三十六條によつて国有財産法や会計法から切り離されるわけでございますが、第四十三條などにも会計検査院に通知するがごとき條項がございますけれども、会計検査の規定というものは別にお出しになるおつもりでございますか。それはこういうことです。たとえば政令などで会計検査の規定などを、新たにお出しになるおつもりでいらつしやいますか。その点を承りたいと思います。
  43. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 会計検査に付すると書いておきますれば、現在の会計検査法の定めるところによつて会計検査が行われるわけでございます。
  44. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、この新しい日本国有鉄道法の一部改正法律案が出ましたあと、ただいまの会計検査の法規でもつて会計検査がずつと行われるわけでございますね。
  45. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 そうでございます。
  46. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それから三十六條の條文に入るわけでございますが、三十六條の改正に関連して運輸大臣に伺いたいと思うのであります。これは結局国有鉄道の独立採算制の確立ということを主眼としておると思うのでありますが、今まで国家予算中心を置いてやつて来られましたあの帝国鉄道法を昭和二十二年に改正されて、今度はこの法律で資金を調達する制度の確立に向つておられると思うのでございますが、その点で能率的な経営條件としては、もちろん能率的な会計制度の確立と運営は必要だと思うのでございますけれども、さらに国内の経済情勢が、日本国有鉄道の独立採算制を達成するのに、好都合な條件でなければならないということも、非常に大きな條件となるのでございます。このことは足羽局長の御意見では、今日の赤字も経済九原則の実施によつてもたらされたものであるというようなお言葉でございますが、運輸大臣はこういうことにつきまして、ただいまの経済情勢が、今根本的な方針の大転換に向つております日本国有鉄道経営に対して、條件が備わつておるかどうかということを、御意見として承つておきたいと思います。
  47. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 もちろん御承知通りに、鉄道運営公共性に加うるに企業性をもつて、しかも今回は独立採算制というような制度が確立いたされましたので、日本の経済界が相当に不振をきわめ、いろいろな貨物の出まわりというようなことが十分でない場合には、どうも国鉄の成績が上らないことは、これは御承知通りなのでありまして、ただいまの状況におきましては、やはり柄澤委員の御指摘になりました通り、今日本の経済界の大手術をやつておりまするために、将来伸びんとして、まずインフレのごときは收縮して、将来の基盤をつくる今道中にありまする関係上、やはり国鉄経営というものが、採算的に見まして十分でないという現状に、今あることをは事実であります。
  48. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そうしますと、企業中心にして資金の調達が、今のような條件でございますと、なかなかうまく行かないような條件だということにもなると思いますが、その点はいかがでございましようか。
  49. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 十分ではないにいたしましても、たとえば鉄道債券を調達いたしますくらいの程度のことには、今の日本の経済界は十分に包容力があると考えております。
  50. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 資金の調達が成功することを條件として、自主性の確立があると思うのでございますけれども、ただいま具体的な鉄道行政の運営上に、重要な役割を占めているように漏れ聞いております運輸審議会に対しまして、これが当時決定されましたように行われているかどうか。法律的にきめられましたように運営されているかどうかということについてお伺いいたします。
  51. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 運輸審議会はまだ運営の日が浅いのでありまして、はたして所期の通り十分に百パーセント法律的に行われておるかどうか、まだ確信をもつて申し上げる時期に達しておりませんが、少くとも所期の目的に対しまして、各委員が大いに盡瘁しておるということは、十分に認識しておる次第であります。
  52. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 国有財産法から今度切り離されることになるのでございますが、財産の引継ぎは、会計検査院の方の御答弁では、まだ十分これが行われておらないということでございましたが、これはどうなつておりますか。
  53. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 会計検査院の局長がお見えになつたときのお話では、財産の引継ぎが完全に行われておらない、こういう趣旨のお話ではなかつたと思います。速記録を見ればわかりますけれども、財産の引継ぎが行われておることは事実でございまして、それが会計検査院の検査によつて、何か不当の点があるかないか、違法の点があるかないかという点は、検査ができていないので、その検査は相当将来にわたつて結論が出ることである。こういうふうに拜聽したと記憶しておるのであります。
  54. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 大臣に伺いたいのでございますが、来春の四月ごろになりますと、これが確実に検査ができるというようなお話でございましたが、この法の実施はその後になるのでございましようか。もつと簡單に申し上げますと、それが明らかになりましてから、この法を実施された方がよいのではないかと思いますが、運輸大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  55. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 大臣はよくわかりませんから、政府委員をして答弁いたさせます。
  56. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 われわれといたしましては、そこに違法も不当もないと確信いたしておるわけであります。しかしながらそれが違法なりやいなや、不当なりやいなやは、会計検査院の検査の結果によつてそれが国会に報告されることと思います。その問題とこの実施とは必然的の関係がないと考えますので、これはこの法律に定めてあります時期に施行されることが適当であろう、かように考えます。
  57. 石野久男

    石野委員 大臣質問いたします。第四十二條の二に、運輸大臣の認可を経て鉄道債券を発行することができるということが書かれておるわけですが、この鉄道債券の発行の仕方とか、それについての構想について、大臣はどのようにお考えになつておられるかということを伺いたい。
  58. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 まだその詳細の規定は今考究中でございまして、きめておりません。
  59. 石野久男

    石野委員 まだ十分にきめていない点について、どういう規定が行われるのでありますか。先ほどの政府委員の説明によりますと、これはおつて政令で出すということになるやに承つたのであります。しかし債券の発行の仕方というものについては、将来の国有鉄道のあり方というものに対して、相当に大きく響くものだというように考えるのであります。この債券の発行方法なり、それの額なり、あるいはそれの引受けをどういうふうな形、構造のもとにつくるのかということについては、将来国会といたしましても相当重要視しなければならぬ問題だと私は思ずのであります。現在のところ政府としては、それを一片の政令で規定してしまうという御所存であるかどうかということを、あらためてお聞きいたします。
  60. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 その点は十分考究いたしまして、むりのないものをつくりまして、政令でやはり公布しようと考えております。
  61. 石野久男

    石野委員 私はここで、自分の意見で討論ということはあまりしたくはありませんが、ただいまの大臣の御説明にありますように、十分そつのないものを政令として出して行きたいということをおつしやられる前に、一応この法案審議過程において、国会はやはりそういうものについても基本的な考え方をもつて審議し、しかるのちこの法案を確実にしておくのが当を得ておるのじやないかと思つておるのでありますが、その点については政府はいかがお考えでありますか。
  62. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 そういう鉄道基本法の詳細にわたつた部分々々の点、総括して全部国会提出し、諸君の御審議を願えば、これは非常に完全無欠でありますが、残念ながらそこまでできなかつたわけなので、こしらえるものは早く言えば、これは会社にいたしますれば、つまり金融の一方式でありますから、十分そつのないものをつくつて行きたいと思つております。
  63. 足羽則之

    足羽政府委員 鉄道債券につきましては、これの限度あるいは償還計画につきましては、この法律規定されております。またいかなる條件でどういうふうに鉄道債券を出すかという詳細につきましては、しばしば御説明いたしましたように、政令でこれをきめることになろうかと思うのでありますが、企業の利益、あるいは債権者の保護、そういう点を十分勘案いたしまして、どういう点をどういうふうにきめるかという点について、まだ関係のところといろいろ研究中でございますので、まだ実は遺憾ながら御説明申し上げる段階になつておらぬ、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  64. 石野久男

    石野委員 政府説明で、現在は十分な説明をする段階に達していないということはよくわかつたのであります。そこで私は委員長にお願いいたしたいのでありますけれども、この問題は将来政令として、政府がそれを実施するということだけではなく、一応委員会といたしましても、この点についてはなお十分各党ともやはり意見をかわせてこういう問題についての考え方国会としての基本的なものをひとつ審議しておかれますように、委員長にお願いいたしたい。
  65. 稻田直道

    ○稻田委員長 先ほど關谷委員より質疑終局の動議が提出されておりました。しばらくこれを待つてもらつたのでありますが、この程度において本案に対する質疑を打切りたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 稻田直道

    ○稻田委員長 御異議なしと認めます。これによつて質疑を打切りました。     —————————————
  67. 稻田直道

    ○稻田委員長 これより去る十一月十五日に付託になりました道路運送法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。まず政府より本案に対する趣旨の説明を求めます。運輸大臣大屋君。
  68. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 道路運送の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  従来道路運送行政につきましては、道路運送法によりまして、全国各都道府県に設置されました道路運送監理事務所に、その一部を所掌いたさせておりましたが、本年六月一日より施行いたされました運輸省設置法によりまして、これら道路運送監理事務所は七月三十一日をもつて廃止いたし、八月一日よりは全国所要の地に陸運局分室を設置いたしまして、これに所掌いたさせることになりました。  政府といたしましては、地方自治強化の見地から、さきに中央出先機関は原則として地方に委讓いたす方針を定めましたので、陸運局分室設置に際しましても、これら分室は八月一日より陸運局所在地以外の各都道府県に設置いたした上、さらに十月三十一日をもつて廃止いたし、十一月一日より都道府県に所要の機構を設置いたしまして、これに分室の所掌業務を委讓するように決定いたしました。しかしてさる十一月一日地方自治法施行規程改正いたしまして、全都道府県に陸運事務所を設置いたしまするとともに、臨時物資需給調整法に基く運輸大臣権限の一部を、都道府県知事に委任する省令を制定いたし、さらにまた道路運送法に基く運輸大臣または陸運局長の職権のうち、貨物、軽車両運送事業に関するもの、及び自動車の検査、整備、登録簿に関するものにつきましては、道路運送法施行令を改正いたしまして、これを都道府県知事に委任いたしたのでありますが、陸運事務所の業務の根幹でありますところの自動車、運送事業に関する職権、及び自家用自動車の使用監督に関する職権の一部を、都道府県知事に委任いたしますためには、道路運送法改正を必要といたしますので、本改正法案を提案いたす次第であります。  本改正案は同法第四條第二項第一号におきまして、すでに運輸大臣の職権の一部を委任されております陸運局長の他に都道府県知事を追加いたしまして、自動車運送事業及び自家用自動車の使用に関し、おおむれ従来の陸運局分室長の所掌いたしておりました事項を、都道府県知事に委任いたさんとするものであります。なお本法案の附則におきまして、本法は公布の日から即日施行いたすよう規定いたしております。  本法案提出の要旨は以上申し述べた通りでありますが、何とぞ御審議の上、早急に御可決あらんことを切望いたします
  69. 稻田直道

    ○稻田委員長 本案に対する質疑は、次会よりこれを行うことにいたします。  なお念のために申し上げますが、午後は一時より第十委員室におきまして、国際観光ホテル整備法案の起草に関しまして観光事業振興方策樹立特別委員会、地方行政委員会、大蔵委員会、厚生委員会及び運輸委員会との連合審査会が開かれることになつておりますので、御出席を願いたいと思います。午後観光委員会が終りましたならば、引続きましてこの運輸委員会を開きまして、国有鉄道法の一部を改正する法律案の討論採決をいたしたいと思つております。なお時間がありましたならば、請願を議題として審議をいたしたいと思つております。そのおつもりでおられんことを希望いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた