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1948-12-22 第4回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十二月二十二日(水曜日)     午後零時二十二分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 大上  司君 理事 島田 晋作君    理事 堀江 實藏君       石原  登君    佐々木秀世君       高田 弥市君    松井 豊吉君       松田 正一君    宮幡  靖君       川合 彰武君    佐藤觀次郎君       重井 鹿治君    北村徳太郎君       内藤 友明君    本藤 恒松君  出席政府委員         経済安定政務次         官       中川 以良君          総理廳事務官 内田 常雄君          大藏政務次官 塚田十一郎君          大藏政務次官 平岡 市三君           大藏事務官 河野 通一君           大藏事務官 阪田 泰二君           大藏事務官 愛知 揆一君  委員外出席者         復興金融金庫理         事長      北代 誠彌君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月二十二日  委員苫米地英俊君及び野原正勝君辞任につき、  その補欠として高田弥市君及び佐々木秀世君が  議長指名委員に選任された。 同日  川合彰武君が委員を辞任した。 同日  川合彰武君が議長指名委員に補欠選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  大藏省預金部特別会計外特別会計昭和二十  三年度における歳入不足補てんのための一般会  計からする繰入金に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第一号)  復興金融金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第四号)  公認会計士法の一部を改正する法律の一部改正  に関する件     —————————————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  まず先日御審議をいただきました大上司君外四名提出公認会計士法の一部を改正する法律案は、諸般の事情によりましてその施行期日を改正する必要が生じましたので、これを改正する法律案委員会より議長のもとに提出いたしたいと存じますが、これが案文につきましては、ただいまお手元に配付してあります印別物通り、すなわち   公認会計士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案   公認会計士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律   公認会計士法の一部を改正する法律昭和  年法律第  号)の一部を次のように改正する。   附則中「公布の日から」を「昭和二十四年四月一日から」に改める。     附 則   この法律は、公布の日から施行する。  と決定いたしたいのでありますが、本案委員会提出法律案とするに御異議ごいませんか。
  3. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。  なお提出手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
  4. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。     —————————————
  5. 島村一郎

    島村委員長 次に大藏省預金部特別会計外特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。——質疑ございませんか。
  6. 堀江實藏

    堀江委員 この法案予算委員会よりも先に本委員会で議決することは、もし予算委員会において予算変更があつた場合、当然その金額変更になるので、そういう場合の取扱いはどういうぐあいにされるのであるか。当局の御見解を伺いたい。
  7. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいまのお尋ねの点に対しましてお答えいたしますが、万一さようなことに相なりまして、予算法律とが一致しないことになりますれば、後日機会があるときに、法律の方を予算に合すように訂正いたす。こういう手続になろうかと思います。
  8. 堀江實藏

    堀江委員 そういうぐあいでありましたら、予算委員会は非常に大きな紛糾を経て、一時から開会されるそうでありますから、予算委員会諸般の情勢から予算をいずれかに決定すると思います。そうすればそのあとでまた変更するというよりも、予算委員会が済んでから正しい法案を議決した方が、いいじやないかと思いますので、これはしばらく延期すべきだと思つております。
  9. 石原登

    石原(登)委員 大藏委員会予算委員会に何ら拘束されることなく、独自の見解をもつてこれは審議すべきものであつて予算委員会がたとえ右しようが左しようが、これは当委員会としてはちつともそれに干與されるものではないと思います。でありますから、むしろ当委員会はこの法案が妥当であるということであれば、これを指導的立場において、予算委員会をわれわれの立場通り指導することがよいと私は考えますので、本件は予算委員会とは別箇に審議を進められることを希望するのであります。
  10. 堀江實藏

    堀江委員 今石原君の意見が出ておつたのでありますが、そうするとわれわれはその繰入金金額が妥当であるかどうか。予算に照し合せて審議して、それが妥当であるという妥結が得られなかつたら、その法案は通すことはできぬのですが、予算に関することは大体分業的に、予算委員会に付議されておるのであります。われわれは予算委員会の決定した後に可決するならする。われわれの責任において独自の見解においてやるとすれば、われわれが予算委員よりもよく審議して、この法案を可決せねば、われわれの責任が勤まらぬと思います。その点よろしくおはからいを願いたいと思います。
  11. 石原登

    石原(登)委員 この問題は堀江君も一生懸命に審議せられたのであつて、またこの大藏委員会審議したものが、予算委員会審議に劣つているとは、われわれは絶対考えていないのであります。予算委員会審議が重要で、大藏委員会審議惡い。こういうような前提の考えは非常に迷惑であります。こういう点は特に大藏委員としての堀江君の反省を求めたい。
  12. 島田晋作

    島田委員 ただいまの手続の問題でありますが、先ほど堀江君が申されましたように、予算委員会の方でなるべく早くいずれにしても決定したいという方針で、委員会審議中でありますから、純理論理窟は抜きにしまして、時間的に予算委員会通つてすぐこちらでやるならば間に合うと思いますから、石原君の意見は一應成立ちますけれども、今後すべて法律案はここでやつて予算委員会をリードするということも一つ理窟でありますけれども、ことここに至りましては、実際上現実に円満にすることが大事だと思いますので、この際は堀江君の提案通りよく委員会動きを見て、すぐ上げるものなら上げておいて、暫時休憩して、予算委員会でやり直して通すことも遅くないと思います。
  13. 内藤友明

    内藤委員 政府委員予算がかわつて來ればこれもかわらすとおつしやつた。そうすれば予算が本ぎまりになるまで待てばいいじやないか。こういうことになるのじやないかと思います。堀江君の御説を大藏省政府委員も認めておるのですから……。
  14. 阪田泰二

    阪田政府委員 先ほど申し上げましたことについて、いささか誤解を受けたようでありますから、補足して申し上げたいと思いますが、万一予算がかわるようなことがあればこれをかえなければいけない。こういうことを申し上げたのでありますが、すでに給與法案も両院を通過いたし決定いたしております。今回の繰入金の内容は給與によつて大体きまつて來る。こういうものでありますから、大体その結果予算の影響を受けて、この繰入金の額がかわつて來るということは、すでに給與法案が通過しております以上はまずない。こういうふうに考えておるわけであります。そういう場合が万一あればという仮定で申し上げたわけでありますが、実際はさように考えてよいかと思います。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それではこれは今度別個に審議していいものであるかどうか。現在の場合において、そこを政府からはつきりした答弁をしてもらいたいと思います。
  16. 阪田泰二

    阪田政府委員 予算がかわつたらどうするかというお話でありましたので、万一そういうことがあればこの法律あとで直すということを申し上げたのでありますが、実際問題として私どもの考えておりますところでは、今回の繰入金特別会計の繰入れを必要とするのであります。ところが給與法案はすでに國会において決定せられておりまするから、それに基いて必要とする繰入金がかわるということはありますまい。從いまして万一あつたらという仮定で申し上げたわけでありますが、実際問題としてさようなことはこれに関する限りはない。かように考えております。
  17. 大上司

    大上委員 本案につきましてはそれぞれ質疑が出ましたが、なお愼重審議の結果、大体質疑も終了したと思われますので、討論を省略してただちに採決に入られんことを望みます。
  18. 島村一郎

    島村委員長 大上君の動議のごとく決するに御異議ございませんか。
  19. 島村一郎

    島村委員長 御異議ないものと認めます、さよう決定いたします。  これより採決に入ります。採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。
  20. 島村一郎

    島村委員長 起立多数、よつて本案は原案のごとく可決確定いたしました。     —————————————
  21. 島村一郎

    島村委員長 次に復興金融金庫法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。先日の本会議におきまして大臣出席の御要求がありましたが、大臣はただいま関係方面との定例会見の時間でありますので、ただいまは御出席がないかと存じます。
  22. 堀江實藏

    堀江委員 私は先日安定本部長官出席要求しておいたのですが……。
  23. 島村一郎

    島村委員長 先日出席されたのですけれども、御質疑もなかつたようであります。その後重ねて御要求もないため、今日は呼んでおりません——ちよつとこのまま暫く休憩いたします。その間に迎えに参ります。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  24. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。本藤君。
  25. 本藤恒松

    ○本藤委員 大体私は大藏大臣に質問いたしたいと思つてつたのでありますが、大藏大臣が見えられないから、どうか政府委員の方々は大藏大臣思つて聞いておいて、政府として処置をとつていただきたい。大体私は以前にも申し上げましたが、復金回收の問題が一番問題になるのでありまして、私ばかりでなく、ほかの委員からもよく言われましたが、とかく復金の金は仮拂いのような感がする。こういうようなところから、これをどういうように今後解決されて、國民の頭、事業家の頭を直して行くか。要するにこれから來る政界腐敗墮落、または財界腐敗墮落——今の内閣官界政界財界淨化ということを一枚看板として、行政に当つておられるのでありますから、復金の金を借りた、または借りる氣持、これから発する問題が幾つかある。この回收方法をいかにするか。これは幾つかの点を私はなお聞いてみたいのでありますが、今当面として私が強くこの点を主張するのは、まず石炭肥料鉄鋼重点産業に対して、ことにこれが融通されているのであります。そこで、まずこの選挙直前において、ことに候補者日本全國で相当立つということも聞いているのでありますが、うわさによると、すでに公認の問題と、いわゆる事前選挙をする問題といたしまして、百万、二百万、三百万、五百万——これはデマのような話だが、千万使うというような説もあります。こういう説を立てている人たちはとかく石炭関係ありはしないか。肥料関係にありはしないか。鉄鋼関係にありはしないか。いわゆる鉱山関係にある人たちや、肥料製造会社関係のある人たち、ややもするとそういう人たち立候補が今うわさされている。二百万、三百万、五百万という金を使つて出ようとして、計画しておるように聞いておるのでありますが、そうするとこういう人たちは一体どこからその金を持つて來るか。われわれ思うに、とかく復金の金を借りたのをやるか。借りた金を自分事業使つて、そのあとを返すべき金を返さないとか、または回收すべきものを回收しないで、こういう方面に惡用しておりはしないかと、われわれは思うのでありますが、一体大藏省としてはこの復金の金を通じて、將來どういうふうに回收をやられるか。今の回收から見ると、運轉資金におきましても、実に回收率惡い。また設備資金におきましても、これはある程度まで、その会社利益があつたら、やはり回收を督励するというように行かなければ、要するにますますインフレを助長する。その金がいろいろな方面に惡用されて行く。これが政界財界腐敗墮落になつて行く。ひいては官界墮落までになつて行くというようになりまするから、そのほかの今の金融面から、経済面から、今日選挙に何百万という金を使つて出ようというのだが、金のくめんが困難である。私は復金関係から多分出るのではないかと思いますが、これは政府として、むろん大藏関係ではそういうことはありませんということは、当然自分の職責上言われるけれども、われわれはそういうことの答弁をされたとしても納得できないので、実際問題として鉱山関係肥料関係鉄鉱関係人たち立候補する場合に、必ず使うことは明瞭であるのであるが、私は選挙の方まであまり進んで話をすると、取締りの方までは関係ありませんが、少くともこの復金の問題はただ増額ばかりするのでなくて、インフレの防止のためにいたしましても、政界財界腐敗墮落をしないために、これは政府の案を修正願いたいというところから、この回收ということをひとつ突つ込んで伺いたいと思うのであります。第一にそれを伺つた後になおまだ二、三点聞きたいことがあります。
  26. 塚田十一郎

    塚田政府委員 回收の問題につきましては、本委員会において本法案審議が始まりましてから、しばしば御指摘になりまして、すでにもうお答え申し上げておる通りでありまして、政府といたしましては、この復金が当初貸し出した時分に、多少十分な注意の届かない点などがあつたために、復金の金は借りもらいという感じを、民間に與えたというような前例にかんがみて、その後の動きにおきましては、十分注意をいたさせておるのであります。それから回收の具体的な方法といたしましては、先日もちよつと申し上げましたように、むろん当初貸出しをいたしましたときの事業計画從つて、やつておるのでありまして、利益が出たらばそれで償還して行く。また利益の出ないものに対しましても、長期のものにつきましては、適当の時期に自己資本に切替えをさせる。こういう形において極力回收をいたしておりますし、また相当その後実績が上つておることは、先日理事長から申し上げた通りであります。  なおこの問題に関連して、復金資金が今度の選挙などに必ず使われておるという疑がある。ことに復金資金の出るような事業に携つておる人の立候補の場合は使われておる。そういう場合をどうするかというお尋ねであります。これは私など先日來いろいろと考えておるのでありますが、今日の段階におきましては、選挙相当多額の金を使うということは、まず普通の状態では考えられない。そういう場合にたとえば復金その他の金融機関から、事業に使う金として出たものが、あるいは流用されておりはせぬかということは、私どもも一應考えて、それらに対しては何らかの措置をあるいは必要とするのではないか。こういうふうに考えておるのです。しかし今のところまだ告示にもなつておりませんし、選挙運動も行われておらぬのでありますから、これは將來告示でもあつて選挙運動一般に行われるようになつた場合において、当然とるべき措置である。こういうふうに考えておるわけであります。
  27. 本藤恒松

    ○本藤委員 今の日本復興のために基本産業として石炭肥料鉄鋼というものは重要であるから、國をあげてむりでもやらなければならぬという点は、われわれはあえてその制度を否定するものではありませんが、たまたまそれがいろいろ間違いに行くのであるから、今の基本産業のこういうものに携わつている、要するに資本家というか、またその資本関係のある家族にいたしましても、直接その会社にいろいろ関係のあるような人たちは、むしろこれは國家事業のようなものであるから、一体そういう人たちがそういういろいろな惡評が飛ぶのであるから、まず少くとも一千万円とか、またはどのくらいの限度以上この政府の金を使つているような人たちは、ほとんど立候補させないというところまで、大藏省はむしろ進んでいたすべきだと私は思うのであります。  それから五千万円以上は委員会の承認を得るということになつておりますが、むろんこの委員会委員制度としていたすのであるが、商工省または農林省安本でいろいろ計画を立てていたすのである。その計画を立てるとき、おそらく有力な一つ事業、そのメンバーは、すでに商工省または農林省安本とある程度までは話を進めておいて行くのだと私は考えておりますために、これは計画を立てたものと、監督というものと、いろいろその行政面についてよほど研究しなければいかぬから、この委員制度というものはむしろ廃してはどうか。むしろこれは復金なら復金という一本で十分な一つ制度方法を設けていたして、政府がこれを十分に監督するということで、五千万円以上は委員会の決定というようなことの特例があると、これがまたいろいろな腐敗墮落の問題が起きると思う。そうしてなお重要なそういう問題だけは委員会に特権があつて、実際の復金運営に対しては、前にも申し上げたように、うわさに聞けば大臣はあまり出席しておらない。重要な案だけはつくつて、利用するというか、惡用しておいて、実際面の運用に対しては、あまりやつておらぬように、われわれはちよつと感ずるのでありますから、これは廃してはどうか。むしろもちもち屋で、復金関係だけで十分政府監督でやつてはどうか。どうか政府当局からこの点も承りたい。
  28. 塚田十一郎

    塚田政府委員 御指摘の点はまことにもつともな点で、おそらく復金を改組いたします場合の改組案主眼になる点だと考えます。そこで政府におきましても、先般もお手元に届けております今度の改組案におきましては、貸出しは復金理事当局責任において行う。復金委員会は廃してはどうかという御意見のようでありましたが、廃すということも一應考えられますけれども、廃さなくとも、やはり復金委員会というものはそれ自体に別の使命を持つているから、復金委員会の機能というものをかえまして、そうして復金委員会はどこまでも復興金融の大きな根本方針、大綱をきめるということにとどめて、貸出しの具体的な問題については今後関與いたさない。こういうふうに大体改組案を立てている次第でございます。
  29. 島村一郎

    島村委員長 本藤君にちよつとお願いいたしますが、安本に一時半から重要会議がありますから、安本の方を先にお願いいたします。
  30. 本藤恒松

    ○本藤委員 大体安本でいろいろ計画を立てられるようにわれわれは思つておりますが、安本計画を立てる上においては、むろん商工省または農林省関係を経ることと思いますが、石炭なら石炭については、ただ石炭だけではなくして、日本石炭はほとんどある年限を経れば埋藏量がだんだんに減つて將來石炭では立たぬということをわれわれは考えるのであるから、これに対して電力で行くのも一つであり、あるいは亞炭とか、天然ガスとかいろいろな方面を利用されて、日本のの將來燃料問題を解決しなければならないと思います。これも安本においてはただいまの石炭一本で行くということは、日本將來建設に危險があると私は思うので、今のうちから復金の金をいろいろな方面に今後貸し出す方法をして、日本の再建の基礎産業を盛んにしてはどうか。また肥料問題にいたしましても、むろん農林省としていろいろな計画を立てますが、現在昭和電工事件が起つておりますが、ああいうような関連した一つ肥料会社だけに特別に融資をしないで、監督を十分にして肥料の増産をはからなければならぬ。基本的なこともやらなければいかぬが、そのほかにいろいろな畜産事業も何も盛んにして行く。一例を言えば日本の高冷地の山々の草を全部肉とし、また乳とし、なおそれを肥料として農業を盛んにやればいい。それにはやはり本來の農業だけではとうていいかぬ。今後農村の行き詰りを打開するために、いろいろな農業経営をするにしても、資金がいるから、こういう方面復金使つて、要するに全山の草を全部肉とし、乳とし、それを肥料として、いわゆる一大農業の改革をして行けば、食糧問題のいろいろな面が解決できると思う。私は復金の金の運用は、商工省並び農林省の今までの頭を一歩改革して、安本でこれを計画させてはどうかと思いますが、この点安本の方にお伺いいたします。
  31. 中川以良

    中川政府委員 ただいまの御指摘の点はまつたく私どもも同感でございまして、復金が設立されましたことは、戰後きわめて混乱をいたしておりまする経済状態におきまして、この過渡時代に一日も早く日本経済復興に資するために、特に復金融資ということが考えられたわけでございます。日本経済復興を総合的にながめて見ますときに、まず第一に取上げられることは、何といたしましても基礎産業の培養、これを復興をせねばならない。そこでもつて当初石炭並びに電力方面に、復金融資が主として向けられておりました。しかしながらこの復金融資に対しましては、先ほど御指摘のあつたようにいろいろな問題もございますので、今後は今までございましたような赤字融資は絶対にしない。これは先般の三原則に示されておりますし、さらにこのたびの九原則の中にも明らかに示されておる次第でございまして、今後は市中銀行でまかなうことができない主として長期建設資金というような健全な資金に、復金融資を向けて行こうと考えております。しかもこれの制度につきましては、委員会民主化復金自主性をとりもどすという点は、ただいま大藏政務次官の申された通りでございます。しこうして今後は日本経済の総合的の開発をながめますときに、先ほどの御説の通り石炭はなるほど限度がございますので、今後は電源開発という方面に、非常なる力を向けなければならぬと考えております。こういう方面に対しましても、今後災害防除対策とつれまして、電源開発対策というのが大きく取上げらるべきであろうと考えております。そのほか関連いたします日本農業生産改善合理化につきましては、今御指摘のあつたような畜産によります有畜農業化による日本農業合理化等につきまして、必要な部面におきましては、この方に有効に資金を向けることが当然と考えられるのでありまして、経済安定本部としましても、今後は商工省なり農林省計画を十分取入れまして、これら関係省とも連絡を密にいたし、御趣旨に沿うべく有効な処置をいたしまして、日本経済復興に十分貢献いたすという点に、主眼を置いて考えて行きたいと存じておる次第であります。
  32. 本藤恒松

    ○本藤委員 御説明によつて基本的な一つ方針はわれわれ大体了承いたしますが、その運用については今後よほど研究願いたい。一般國民中小企業はほとんど瀕死の状態にありまして、ひとり基本であるこういう特別な恩惠のあるものだけがはでに行くということは、國民として非常に不公平な感がいたすのでありますから、これは趣旨はいいけれども運営において間違いますと、この不平が國民の思想上、経済上に影響いたしまして、ひいては政治的に大きな動きをなし、また政界財界、いろいろな方面に行くのであるから、安本としてもただ一つの基本的な方針だけでなく、運営目的の小さいところまで入つて行けば、私はああいう昭和電工の問題のごときは起きないと思う。どうか今後の運営に対しては、安本でも復金運営回收ということに対しては、もつと細目にわたつて研究されることが必要だと思うのであります。こういう点は安本でできないとすれば、一般市中銀行にある程度のものは委託して、もち屋もち屋としての道を開いて、もちろん安本なり商工省農林省なりのそういう基本的な案を立てる人たちとも、一切のものはやらなければならぬが、この運営回收ということに対しては、復金とそれに付随して日本のあらゆる金融界を入れてやつた方が、むしろ公平に行くのではないかと思いますが、今後の行き方に対する方針を承りたい。
  33. 中川以良

    中川政府委員 ただいま御指摘の点は、これまたごもつともな御説でございまして、ことに日本の今後の輸出工業の振興等を考えますときに、現在の中小企業は非常に重要視しなければならぬ部面でございます。現在ややともすると中小企業が重要産業に押されまして、まま子扱いされておるという点がしばしば見受けられるのでありまして、これらの点は從來いわゆる傾斜生産方式、重点主義によつてこうむつた中小企業の大きな犠牲であろうと存じますが、今後中小企業を育成する上においては、中小企業の今最も困つておりますのは資金難でございます。かような場合におきまして、中小企業に対する融資を活溌に適正にいたしますために、去る九月に復金のいわゆる市中銀行を通じての代理貸、また補償貸等の制度を設けて、ただいまこれらが活溌に運営されつつあるような状態でございます。こういうような面を通じまして、市中銀行が一番よく中小企業の実態を把握しておりますので、復金におきましても、これら市中銀行の意向、希望等を十分聽取いたしまして、これらを加味いたしました適切なる運用をいたすべく、考えておる次第でございます。ことに安本におきますところの施策立案が、ただ單に作文に終ることなく、今日の日本経済の実態、國民の眞の叫びに直結いたしますような施策立案をいたし、金融方面もさような面におきまして十分なる改善をいたしたいと、念願いたしておる次第でございます。
  34. 堀江實藏

    堀江委員 まず安本当局にお伺いしたいことは、金融政策の問題であります。前の内閣から、日本経済再建のためにはインフレーションを收束しなければならないという方針のもとに、いろいろの施策をやつて來られたわけでありまして、前内閣時代におきましてわれわれがこの委員会であつたかと思いますが、年末の通貨の発行高の見通しを聞きました場合に、年末には二千七百億の見込みであるという答弁があつたのでありますが、不幸にして見込みが違つて、今日においては三千百億を超過しておるというような状態になつております。現内閣方針は大体に言いますと、現在までの統制を廃して、なるべく自由主義経済にもどすというような経済政策がとられるというようなことが、発表されておりました。しかし経済原則、あるいは最近の経済原則によりまして、経済政策における大きな轉換をぜひやらなければならない状態になつて來た。特に金融等の問題に重い制約を受けることになつたことは、御承知の通りであります。しからば復金の問題とも関連しまして——時間が迫つておるのでなるべく簡單に結論だけにいたしたいと思いますが、復金は私の記憶によれば、本年に入つてからも四回目の増資であるように記憶しております。これは金融計画がずさんであつたのではないか。なお今回百億の増資の案が提出されておるのでありますが、現在の復金の行き方をもつて、非常に大きな資金需要があるというような大藏当局答弁であつたのでありますが、はたしてこの一回百億限りで、復金は今の形において増資されるものであるかどうか。それと関連して、復金の増資によつて、いわゆる從來言われておつた復金インフレーションが起つて來ることは、当然なことでありまして、復金の増資によるところのインフレーションの問題と、経済原則安本が今後の金融計画をどういう見地において立てられるのであるか。その具体的な問題として、復金將來増資をやるのかやらないのか。現内閣経済政策は、前の内閣インフレを收束すると言いながら、現実においてはインフレを高進するような政策をとつて來たということ、しかもこの内閣インフレをやるような内容の政策であるが、それを経済原則によつて大きな轉換をしなければならないという段階に立つた場合において、どういう金融政策をとられるのであるか。経済政策の一環として、金融政策をいわゆるデフレの政策をとられるのであるかどうか。それと関連して、先に質問しました復金將來の増資の問題、そして金融に対する九原則の関連についての方針を、まずお伺いしたいのであります。
  35. 内田常雄

    ○内田政府委員 堀江さんの御質問にお答え申し上げます。御質問の中に、本年末の通貨の現在額は二千七百億の計画であつたが、現在は三千億を超えておるというお話がございましたが、御承知のように現在の通貨の発行額は、日本が金本位制度をとつておりませんために、いわゆる管理通貨として、人間の理性によつて経済計画にマッチして、通貨の限度をきめて参るという仕組みで、通貨発行審議会というものがございます。その通貨発行審議会によりまして、今年の九月当時までの通貨の発行限度として、二千七百億ときめられておりましたが、十月以降年末までは、御承知のように経済関係が非常に複雜に動いて参る期間である。と申しますのは、産業的にも年末金融の問題があり、貨政におきましては、ことに食糧管理特別会計におきまして、供米の代金が非常に活溌に、大部分この期間に一年中のものが支拂われるという関係がございますために、それを九月末におきまして三千三百億円を拡張いたしております。從いまして私どもも、年末は通常の状態で行けるならば、この三千三百億の限度内で通貨は收まる。かように見て参りました。ところが最近におきまして、ただいまお話がございましたように、すでに三千億を突破し、年末ぎりぎりにはあるいは三千五百億程度にもなるだろう。こういう見通しが出て参りました。從つてそこに限外発行が行われるような状態になりました。これはお説のように必ずしもわれわれの計画を破るような、金融政策がずさんであつたということではないのでございまして、現状におきます限り、実は米の供出の成績が非常によ過ぎて、そのために、食糧管理特別会計から、当初見込みではこの十月から十二月までの期間に、大体千億円ぐらいの買上げ代金が支拂われるという見込みでおりましたところが、超過供出等のものもぽつぽつ出始める状態でありまして、これが千五百億を越えるような資金の支拂状況が現われて参りました。從つてその関係が主になりまして、年末には三千五百億ぐらい出て参る。これは一月あるいは二月等において供米があれば、その際に資金が出るものが、繰上つて十二月に一時的に出て参る。その見返りに米が政府の倉庫に積まれる。こういう形が現われて参つた。さようにひとつ御承知を願いたいと思います。  その次に復金の増資の問題でございますが、復金の増資についても、これはお話のように本年において何べんもやつておりますが、安定本部において一年中の総合資金計画のようなものを樹立いたしました。この総合資金計画復金等の貸出しばかりでなく、一般金融機関の貸出し、逆に申しますと、産業資金需要が、資材関係あるいは日本復興計画とマッチして、どのくらい資金が必要であるか。さらにそれに財政計画、國の予算、あるいは地方財政、それらの面において、今日一般会計においては、御承知の通り公債は一つも出しておりませんけれども、鉄道とか、通信とか、食糧管理特別会計、あるいは薪炭会計、その他の特別会計において、あるいは建設公債、あるいは品物と見合う運轉資金の借入れ等がございまして、そのために公債、借入金、証券等の類を本年度で申しますと一千億程度の公債発行増、借入れの増があります。それをいかなる時期に、いかなる程度において、それらの金を調達して参るか。こういう財政資金、特に特別会計における財政資金関係をも調整して、それらに対して一体貯蓄がどれくらいあるか。貯蓄の関係を組合せまして、大体大きな資金計画のわくを立てて参ります。さらにこれは全体を通じてインフレにならないように、経済の総合指標と言われております國民所得の推算をいたしまして、國民所得が一年間にあるいは一兆九千億円であるとか、あるいは物價、賃金の移動等によつては二兆四千億というような推計をいたしまして、國民所得の中から一切の財政資金も産業資金も、あるいは消費資金もまかなわれなければならない。これがまかなわれないときには結局インフレになつて、物價もどんどん騰貴する。それでできるだけ國民所得のわく内に納まるように、先ほど申しましたいろいろな資金を集めて参るということで、おおよその見通しもついて参つております。さよういたしました場合には産業資金につきましては、先ほど中川政務次官からもお話がありましたように、現在の過渡期の経済事情のもとにおきましては、一般金融機関からだけの貸出しができない。どうしても復金制度に頼らなければならぬ。しかして復金制度に頼ります場合には、復金一般の預金も取扱いませんから、増資をいたして、その増資に対して政府から拂込みをいたす。あるいは拂込みをいたすかわりに、増資のわく内で債券を発行して、その債券を消化して参る。消化して参ることは、先ほど申しました國民所得のわく内で消化ができる。言いかえますと、市中銀行等において消化ができるのであれば、これまたインフレにならない。たとえ何べん増資をいたしましても、結局それは國民所得の中でまかなわれるということになりますが、ただ現状におきましては残念ながら増資をしても、財政資金から増資の全額の拂込みができておらない。しからば、その発行する債券は一般國民所得、市中銀行で消化されているかというと、これもなかなかさように参つておりませんために、六割とか七割というものは日本銀行がこれを引取つて復金に金を入れておる。こういう事情になつてつておる。そこにおつしやるような復金インフレと言われる余地が残るのだろうと思います。從いまして今後復金というものは、安定本部にいたしましてもにわかにこの制度をやめて行くわけには行かないと思います。今後特に経済復興五箇年計画をやつて参ります場合には、長期資金一般金融機関からはできないから、そこで復金運用の形はいかようにいたしましてもぜひ使いたい。この場合に増資もいたすでありましよう。今度の百億ばかりでなしに、百億の限度が一ぱいになりました場合には増資をいたしましよう。ただその増資の中を、今後としては國が財政計画の中において拂い込んで参る。あるいはそれがどうしても拂い込めない場合には、日銀が背負い込んで通貨の増発にならないように、一般金融機関で消化できるように仕向けて参りたい。かような仕組みで資金計画及びその運用をやつて参りたいと思います。  なおまた全般的のインフレの問題でありますが、昨年十二月末における通貨の発行高は二千二百億がちよつと切れるくらい。二千百九十六、七億だつたと思います。それに今年末が三千かりに五百億になつたといたしますと、千三百億くらいの通貨の増発になりますので、この割合はおそらく六〇%増くらいでありましようか。しかるに、それは本年の事情でございますが、昨年に対比いたしますと、昨年の初め、言いかえますと、一昨年の末は通貨の発行高はおそらく九百億台だつたと思います。それが先ほど申しましたように、昨年末には二千二百億近くなつた、すなわち千二百五十億くらい昨年は通貨がふえた。ちようど昨年の通貨のふえ方と本年の通貨のふえ方は、大体絶対量においてとんとんである。若干今年の方が多くはございますが、パーセンテージにいたしますと、そこに非常な違いがあります。去年は通貨が一年間に一二五%くらいの増加に相なつたと思います。それが本年はただいま申しましたように六〇%程度で納まるということは、これは通貨のふえますことはいいことではございませんが、世間によく言われますように、本年はインフレの足並みも大分緩和して参つた。これは通貨ばかりではなしに、物價ことに公定價格は改訂がございましたけれども、公定とやみとをとりまぜました実効價格等の動き方も、昨年に比べまして非常に緩和して参つておる。その間通貨がふえておりますが、生産自身も昨年に比べて、私どもの計算で一六・七%パーセント昨年よりも実質的に生産がふえておると思います。これは昭和六年あるいは昭和十年、十一年等に比べますと、五、六十パーセントのところを低迷しておる困つた状態ではございますが、徐々にではありますけれども生産がふえて参つた。生産が一七・八パーセントふえ、物價は実効價格にして四、五十パーセント上つておる。こういう状態のもとにおいては、通貨が六〇%くらいふえておることは、物價なり生産の事情から見ると、必ずしも惡い状態ではない。しかし、これは油断するわけには参らない。通貨がふえて参るのは、信用取引も徐々に回復しているでしようし、退藏通貨も引出されて使われているでしようから、この辺でぜひとどめたいという氣持で、安定本部も大きなところから見ておりまして、一つの政党からの政策だけで左に動いたり右に動いたりしないで、日本経済安定のために、安定本部としては回復を着実にやつてつております。
  36. 堀江實藏

    堀江委員 九原則との関係を……。
  37. 内田常雄

    ○内田政府委員 九原則につきましては、第三番目に今後の金融のあり方は、日本経済復興に直接関係のあるものだけに重点化してやつて参る。かようなことが示されております。この九原則は御承知のように、実は今回初めてではございません。この前ドレーパー陸軍次官が來朝されましたその直後等に、これは今度のような書簡ではございませんが、司令部から安定本部に経済安定十原則として示されてございます。当時あるいは新聞等により一般には出なかつたかとも存じますが、その十原則の中に、今回とまつたく同じことがございまして、從つて安定本部の施策としては今回の九原則に始まるのではなしに、すでに今年の中ごろに示された十原則の線によつてつてつている。これを具体的に申し上げますと、御承知のように金融機関の貸出しにつきましては金融機関融資準則というものがございまして、金融機関一般に集めた預金でも、これを重点的に運用しなければならない。必ずしも担保がいいとか、利息がいいとか、償還がいいとかいうことで、運営してはいかぬというような融資準則が大藏省から示されている。さらにそれに関連して産業資金の貸出し優先順位というものがございまして、設備の新設拡張を認める範囲がどれ、補修の資金を認める範囲がどれ、運轉資金を優先的に取扱うものはどれだというような、甲乙丙等の順位をつけたものがございまして、さようなものによつて運営されている。これも今回実は一年間の経済動きによりまして多少の修正はいたすことにして、現在司令部と打合せ中でございますが、さようなものもある。復興金融金庫の貸出しにつきましても、融資準則は復金には直接適用はございませんけれども、精神は復金につきましてもまつたく同じで、國として設備の新設拡張あるいは補修等を、どうしてもやらなければならないところだけ重点的に、先ほど申しました資金計画の範囲内において出して参る。ことに、中川政務次官からお話がありましたように、運轉資金等はなるべく復金からは出さないで市中銀行の方にまわして、ちようど今度の九原則に合うような運営の仕方を、いろいろやつてつて來ているつもりでございます。今後さらにまた改善を加える場合が多かろうと存じますが、さような氣持でやつてつております。
  38. 堀江實藏

    堀江委員 経済原則日本はどうしても実行しなければならないということになれば、一本為替レートを早急に設定しなければならないと思われるのであります。一本為替レートを施行する場合において、日本経済はいわゆるインフレの傾向から、デフレーション傾向になるのではないかとわれわれは考えておりますが、それと現在厖大に貸し出されているところの資金計画による貸出し資金関係は、どういう御見解を持つておられますか。
  39. 内田常雄

    ○内田政府委員 九原則関係はむしろお説と反対に、一本為替をやるための準備工作として、日本政府としてやつて参らなければならないものだと、われわれ了解しております。從いましてこの九原則運営することによつてインフレーションを起さないで首尾よく單一為替レートの設定ができ、日本経済を國際経済と矛盾なく結びつけるようなふうに持つて参りたい。かように考えております。
  40. 堀江實藏

    堀江委員 資金計画につきまして安本の御見解をいろいろ聞いたのでありますが、次に大藏当局の御見解をお伺いしたいのであます。まず復金の本質の問題でありますが、先日來いろいろ質疑應答がかわされたのであります。簡單に申し上げますと、市中銀行融資できない金融を復金がやるのであるということは、事実のようであります。しかもそれは赤字金融をやらないということ、しかもその融通を受ける企業は私企業であり、そうして純然たるところの國家資金とも言うべき資金を融通するという問題につきまして、非常にそこに矛盾が起りはしないか。この問題についてこの間企業形態の問題について、島田委員と御質疑應答があつたのでありますが、まだ納得が行かぬのであります。資金計画では、資金の面において純然たる國家資金であり、しかも企業の面においては純然たる私企業である。しかもその赤字金融をやらない。回收してやるのだ。現在までの回收の未納の金額の見込みは三、四億にすぎない。なぜこのような厖大な貸付金があるにかかわらず、また三、四億くらいが回收不能として予想されるにかかわらず、一般市中銀行で金融がやれないのか。また復金の残高資産表を見ますと、復金の金利は一体に高いのでありまして、今まで聞いておるところによりますと、年九分五厘になつておるのであります。だから暫定的な十月末の残高資産表によると、二十億くらいの利益勘定が出ておるように考えております。この問題は島田委員との間に質疑應答がありましたように、全然政治的見解が違うということであります。実際にこの復金の本質としてこうした金融機関があつてよいものであるかどうか。企業の民主化とかあるいは國営とかいいますが、國営的な民主化がなされずして、資金の面の、しかも全金融機関でなくして、復興金融金庫だけのそうした形態というものには、大きな矛盾を大藏当局として感ぜられておりはしないかということを、考えておるわけであります。まずこの点についてお伺いいたします。
  41. 塚田十一郎

    塚田政府委員 復金で出します資金がもうかるならば、どうして市中銀行でやらないのかということでありますが、これは今まで貸し出しております先などの実際をお考えくだされば、市中の金融機関としてはやはり扱えない性質のものであるということは、十分に御理解いただけると思うのであります。どうしても金を出さなければならぬものの中で、ほんとうに営業的な観点に立つておる市中の金融機関では、どうしても扱えないものが十分あるはずであつて、そうしてまた今まで出しておるものは、確かにそういう性質の企業であつたわけであります。さらにこの復金資金というものが、國家的の性質を持つておるということも、これを借り受けるものが、私企業的な性質のものとの間に矛盾を感じないかということでありますが、これはほんとうに自由企業の形態で私企業の完全な形になつておれば、多少の矛盾が感ぜられるということは、先日私が申し述べた通りであります。ただ私どもは先日も申し上げましたように、これらの資金を受くべきものは、必ずしもほんとうに自由経済時代の自由企業の形態になつておらないということ、それから復金資金を貸すといたしましても、これが國家資金によつてただ補給をするという形のものではなくして、必ず回收をさせるという建前に立つておるのでありますから、その双方の面から決して矛盾はないもの、こういうように私どもは了解をいたしております。しかしもちろんそうかといいまして、運用の上においてこれを誤ることがあつてはならないから、貸すものはどこまでも健全なる企業に、そうしてほんとうに日本復興のために必要な企業、そうして借りたあと回收は徹底的に、安全にという両方の実際面の注意を合せて行うことによつて、そういう矛盾の発生しないように、極力努力いたしておる次第であります。
  42. 堀江實藏

    堀江委員 その貸出しの問題についてお伺いしたいのでありますが、ことしの当初ごろから金融が極端に逼迫しておる。この逼迫しておる状態下において金融を得るということは、非常に多くの努力を要するのでありまして、やみ金融というようなことは公然の祕密になつておるわけであります。こうした金融の逼迫事情における貸出しということは、市中銀行においてすらやみ資金が横行しておる。もちろんこうして非常に便宜の得られるところの何と言いますか、手放しのような融資と一面言える復金融資において、いろいろな昭和電工事件を初めとする不祥事件が起きた。なお発表されないにしても、もつと少い金額においても、必ずそういう事件が起つておるということを私は推測するのでありまして、復金の金を借りるためには一割なり二割なりのコミッションは当然出してもよいというようなうわさが、世間に立つておるくらいであります。これは必然的にまつわつておる不正なこうした貸出し方法が、現在の金融状況のもとにおいては必ず起るということが考えられるのであります。これはどうしても國家資金をそうしたことにやらしてはいけないという意味において、いろいろな御見解もあつたわけであります。こういうことはぼくはなかなか直らぬと思う。これを是正するためにそうした具体的な方策をお持ちになつておるか。お伺いいたしたいと思います。
  43. 塚田十一郎

    塚田政府委員 御質問の点は確かに私どもも、過去にそういう欠陷が相当顯著にあつたということを考えまして、今後の復金の改組に際しましても、十分そういう点を考えておるわけであります。要するに市中銀行におきましては、そういうようなスキャンダルがあまり起らない。復金において非常に起るということについては、そこにどういう違いがあるかということでございます。結局先ほどの御質問のように、國家資金でありますために、それを貸し出すいろいろの過程において、政治もしくは官廳というものが介在をする。そういうことのためにやはり多少はそういう機会が多くなるので、今後は貸出しを復金理事者に全責任を負わしてやらす。官に介在はさせないという処置をさせることによつて市中銀行と大体同じ形態に貸出しが行われるようになり、そういう弊害は少くとも大部分は取除かれるのではないか。こういうように私は考えるのであります。
  44. 堀江實藏

    堀江委員 回收の問題でありますが、回收の問題につきまして、復金当局が先ほどちよつと触れましたように、回收不能と認められるものは三、四億にすぎない。これは今の状態においてはそうであるかもしれませんと了解したわけでありますが、インフレの進行途上において、去年からことしでは物が倍になつた。その前に借りた金はことしでは半分借りたことに該当するわけです。そうしたインフレ途上においては相当の金を借りても、相当なるコミッションを出しても、それを不正に使つてもそれは何ら痛くはない。インフレが進んで三倍、四倍になれば四分の一とか五分の一の價格の返済をすればよいことになつておりまして、そういうことも行われ得ると思います。先ほど安本当局にお伺いしましたように、必ず今の九原則によつて日本経済は、その準備工作として為替一本レートが早急に設定されなければ、日本の貿易は進行して行けないということは当然なことであります。日本経済は大体——私は経済知識が低いのでありますが、インフレーションからデフレーションの形態に移行するのではないか、ということを予想しておるものであります。しかもそのデフレーションの行き方が、政策の面においていろいろな問題を惹起することも、考えられないではないのであります。大体においてそういう傾向が考えられる場合において、今回の百億の増資によつて厖大な貸付が行われる。なお從來の貸付が相当多額回收未納の状態にある場合において、デフレーションになつた場合にこの回收がはたしてやり得るかどうか。これは將來の問題でありますが、あるいは通貨の切捨てとか何とかいう問題も起るかもしれません。起らぬとしたならば、デフレーションになつた場合においては、非常に回收が不能になるというようなことが、当面の経済の見通しからして考えられる。こういう点についてどういう御見解を持つておられるか。お伺いしたい。
  45. 塚田十一郎

    塚田政府委員 こういうぐあいにインフレーションが急速度に高進する場合に金を貸しておくと、結局借りた者が物價の騰貴によつて得をするという御指摘の点、まことに過去の実例において御指摘通りであります。ただこれは復金資金だけについて言えることではないのでありまして、こういう問題は他の一般の金銭貸借全般においてあるものでありますから、そういう議論をいたしておりますとこれは経済全般の問題になるので……。ただそれと同時に、私どもはやはりそういう事態が起ることがもしやむを得ないとすれば、これは極力最低限度にとどめなくちやならない。一方でどんどん貸し出しておいて、一方でどんどんインフレが高進するようになれば、御指摘のような欠陷が非常に大きく出るということで、政府としましてはやはり経済はできるだけ早く安定さすという線に向つて、いろいろ強力な総合施策を講じておるわけでありまして、そういう一連の総合施策によつて、そういう欠陷がかりに出ても、なるべく最小限度にとどめたいというくふうをいたしておるということを、御了解願いたいのであります。  それから將來デフレになつたら、ますますとれなくなるのじやないかという御指摘の点であります。これは経済界が混乱でもいたすことになれば、そういう懸念は相当あるのでありますが、しかしその点につきましても、私どもはそういう懸念の起きないように、経済界の將來の見通しは急激なそういう事態の起きないように、徐々に安定をして行くというくふうを熱心にいたしておるわけでありまして、そういうことによつて將來この金がとれなくなるような事態の発生いたさないように、政策を総合勘案いたしておるわけであります。
  46. 本藤恒松

    ○本藤委員 政府委員の説明によると、今度の百億は五十億くらいはおよそ市中銀行で消行するのじやないか。五十億くらいが日本銀行で結局復興債券を持つてもらうのじやないかというふうに、私ども聞いておるのでありますが、五十億くらいわれわれは減らして、これはしつこく言うようであるが、結局借りもらいというような精神を除くには回收ということを強くやれば、國民の頭からそういう考えがとれると思う。今までに政府で出しているのが一千三百五十億になつております。そのうちむろん設備と運轉でありますが、私は運轉資金の方を強く回收すれば、一月、二月、三月のこの四半期の貸付に今なお二百億くらい残つている。そうすると百億くらいやつて、大体その四半期をまかなうというのだから、その間に私は五十億くらいの回收で、ひとつうんと馬力をかけてやつたら、いろいろな面にむしろ有効じやないかと思うのだが、そういう御意見があるかどうか、伺つておきたい。
  47. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 この点は前にも申し上げたように、私どもといたしましては、回收にも非常な力を復金当局でいたされておるものと考えておるのでありまして、それを基礎にいたしまして、先般申し上げたように、勘定の仕方によれば一月から三月までに二百五十億の増資が必要ではないかと思われる事態を、諸般関係からこれを百億にとどめて、しかも復興債券の引受先については、できるだけ市中の消化を勧奬して行きたい。こういうふうに考えておるわけであります。
  48. 島村一郎

    島村委員長 ほかに御質疑はございませんか。
  49. 大上司

    大上委員 本案につきましては、それぞれ各委員の熱心なる質疑が連日行われまして、大体質疑を完了したように思われますので、質疑を打切り、討論採決に入られることを望みます。
  50. 島村一郎

    島村委員長 ただいまの大上君の動議のごとく決定するに、御異議ありませんか。
  51. 島村一郎

    島村委員長 御異議ないものと認めまして質疑を打切ることにいたします。  これより討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  52. 宮幡靖

    宮幡委員 復興金融金庫法の一部を改正する法律案に対し、民主自由党を代表し、政府原案に賛成の意を表するものであります。その理由を簡單に申し述べます。  復興金融金庫は、日本の産業経済復興に寄與する特別の使命のもとに設けられたもので、その計画においてはまさに適切なものであると申すべきであります。しかるにその運営の面においては、しばしば物議をかもし、ややともすれば復金本來の使命を逸脱するものとの世評をこうむるに至りましたことは、まことに遺憾とするところでありますが、飜つて復金融資の産業復興に寄與した実績を冷靜に批判すれば、復金制度の功績を否定し得ないものがはなはだ多いものと信ずる次第であります。今や復金制度運営上の失敗や不正が世上一般に流布せられ、復金本來の使命を沒却してとかくの論議がかわされておりますが、復金そのものは日本産業復興のため存続を絶対に必要とするものでありまして、今日の段階において復金が正常の状態において、必要なる資金の調達を制約すべき理由とはなり得ないものと信じます。要は日本に未経驗の復金制度運営途上における失敗や欠陷を嚴格に反省し復金本來の使命が遺憾なく発揮せられ、日本産業復興に活力を注入し得るよう、制度の改正につきすみやかに檢討を加うべきでありまして、制度の改正を理由として今回の増資を阻止すべき理由なきものと認められます。よつて復金資本金百億円増資の原案に賛成の意を表する次第であります。
  53. 島村一郎

  54. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 復興金融金庫法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表して條件付で賛成いたします。復興金融金庫につきましては、世上いろいろなうわさがあり、國民疑惑の的になつておることは事実であります。今日までの貸出しの政策がずさんなところもあり、これがひいて種々の弊害を與えたことも事実であります。この百億の増資につきましては、わが社会党の党内におきましても種々議論がございまして、そのことについていろいろと檢討したのでありますが、政府及び当局の熱心なる説明がございまして、しかも貸出しにつきましては、今後綿密に調査し、これを合理的に監査するという塚田政務次官の答弁がありましたので、この意見を尊重しまして、今回の事情はやむを得ないものとして、これを認めるにやぶさかでないものであります。しかしそれと同時に今までのようなずさんな方法では、この改革が容易でありませんので、國会が直接にこれを監督して、さらに復金委員会を通じて、今までの弊害を除去して、新しい機構にかえることをわれわれは條件としたいと思うのであります。さらにこれを法制化しまして改組されることを切にお願いいたします。特にわれわれは中小工業者あるいは農村金庫等の方面に、資金の融通をされることを條件としまして、今後とも今までのような大資本ばかりでなく、庶民階級にもこの資金が融通されるように、特に切望したいと思うのであります。今回の復金の増資につきましては、われわれも種々檢討いたしまして、從來の弊害を非常に考えたのでありますが、今度の改組を條件としまして、本案に條件付で賛成をしたいと思います。以上をもつて社会党の本案に対する賛成意見といたします。
  55. 本藤恒松

    ○本藤委員 私は社会革新党を代表いたしまして、本法案を修正したいと思うのであります。  要するに第三條及び第四條第一項中千三百五十億を千四百五十億に改めるというのを、私は千四百億に改めるように修正したいのであります。その理由は、インフレを防止する。要するに日銀の引受けをやらないで、市中銀行だけでまかなつて行きたいということと、貸しもらいという國民の考え方を改めるために、どこまでも力を入れてやりたい。なおまた政界財界官界腐敗、堕落をさせないために、私は以上のようなことにしたいという修正案を出すのであります。
  56. 堀江實藏

    堀江委員 本法案に対して日本労働者農民党を代表いたしまして、意見を申し上げたいと思います。敗戰後における日本のこんとんたる経済情勢下において、復興金庫というような特別な機関が生れざるを得なかつたということについては、その当時の事情として認めるものでありますが、しかし敗戰後三年を経て日本経済も安定的な方向に向つて來ている。一方この復金融資の問題にからみましても、昭和電工事件を初めとして醜惡な事件がいろいろ現われております。なお基本的な問題としては、復金融資が結局独占大資本の援助という形になつて現われていることは、一般國民として見のがしてならないところの大問題と考えるのであります。なお根本問題としましては、復金のような金融形態をとるのであつたならば、企業において重要産業は形態を民主的な企業に、電力事業にしましても、石炭事業にしましても、あるいは肥料なり鉄鋼事業にしましても、民主的な國営の形態にしなかつたならば、この矛盾は永久に除かれない。また貸付けにおけるところのいろいろな不明朗な問題は解消しない。そういう意味におきまして今回出された法案につきましては、これを契機として大いに檢討する必要があるという意味におきまして、本案の増資に対しましては反対するものであります。
  57. 塚田十一郎

    塚田政府委員 ただいま御討論におきまして、社会党の委員から御條件が御提出になりました。政府といたしましては十分御條件の趣旨を体して善処いたしたいと考えております。
  58. 島村一郎

    島村委員長 本案に対しましては修正の動議がありますから、これを議題といたします。討論を省略することに御異議ございませんか。
  59. 島村一郎

    島村委員長 御異議ないと認めまして討論は省略いたします。社会革新党本藤恒松君提出の修正案を議題として採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
  60. 島村一郎

    島村委員長 起立少数、よつて本修正案は否決せられました。  次に原案について採決いたします。原案に賛成の諸君の御起立を願います。
  61. 島村一郎

    島村委員長 起立多数、よつて本案は原案通り可決確定いたしました。  しばらく休憩いたします。     午後二時十六分休憩