○
斎藤(昇)
政府委員 警察の
教養施設について深い御関心をお持ちにな
つて、御心配くださいますことを感謝いたしております。先ほど
公安委員長からお答えいたしました
通り、今日われわれの
仕事といたしましては、まず
警家官の素質の
改善、
能率の増進、それから裝備、
施設の
充実によ
つて人員の
不足を補うということを除いてはただいまやるべきことがないというので、これに全力を注いでおるのであります。
教養施設につきましては、御
承知のように
管区学校は
警家官全部について再
訓練をいたす、それと同時に常時一定数の
警察官を集結をして置く必要があるという二つの見地からいたしておるのであります。六
管区にそれぞれの
管区学校を置きまして、これに
本科生といたしまして、
計画といたしましては各
学校に千五百人、総計九千人を絶えず入れて置き、そして絶えず
訓練を重ねて行くという
計画をいたしておるのであります。それで
予算と
施設との
関係からいたしまして、ただいまは約五千人を入れるだけの
程度の
施設が
充実いたしました。この十一月に五千人
あまりの約半分の二千五百人を入れ、十二月にはさらに二千五百人
あまりを入れることにな
つております。二十四年度になれば、九千人を入れるだけの
施設に
充実をさせたいと
思つて、
せつかく工事を急いであります。また
予算の足らないところも
努力をいたしておるのであります。それから
警察大学は、御指摘の
通りわれわれもまだ
施設がきわめて不完全であると
考えておりますので、現在の
警察大学の
收容人員は、全部收容いたしますならば二百人を常時收容できるのでありますが、資材の
状況からいたしまして、通年百人から二百人の間を入学せしめて置く。
幹部の
教養としては、数の点からは大体その
程度でいいのではないかと
考えております。もちろん現在は
過渡期でありまするから、もう少し余計入れまして
教養をすることも、一面必要なのであります。まだ
現有勢力の
幹部を一時に取上げるということの困難な点もありまするので、ただいま二百人
程度の
收容力でありますが、しかしわれわれの
考えといたしましては、現在のあの
施設では十分とは申せないので、今進駐軍に接收されておる建物にきわめて適当なものが一箇所ありますから、これに主力を注ぎまして、これをわれわれの方に使わせてもらうようにいろいろ
努力をいたしております。これが実現いたしますれば、これに
警察大学その他の
教養施設も含めましてきわめて理想的な
施設ができるので、深くこれに期待をいたしているのであります。しかし一時
状況がきわめて有利でありましたので、安心をいたしておつたのでありまするが、最近また若干安心を許さないような
状況にな
つて來ております。われわれこれに主力を注いでおりますために、現在の
警察大学自身の
整備ということは、あの現地においてはちよつと躊躇しておるという現状であるわけであります。これがどちらかにはつきりいたしましたならば、それによ
つて対策を立てたいと
考えております。
それから
人員の点でありますが、御指摘の
通り國家地方警察三万、
自治体警察九万五千の力をもちまして、十分とはどうしても申せないと思います。ことに今
お話のように進駐軍の数がだんだん減り、あるいは撤退するというようなときのことも
考えますと、まつたく寒心にたえないと
思つているのであります。
警察官、あるいは少くとも
國家地方警察は何万を必要とするかということは、そのときの情勢によ
つていろいろかわ
つて行くだろうと存じまするので、私はただいま何万あればよろしいということをここに申し上げることを差控えたいと思うのでありますが、現状をも
つてしては足りないということは、断言できると思うのであります。しかしながらわれわれの態度といたしましては、われわれの傘下にあります三万の
警察官が全機能を発揮し、あらゆる
努力を盡して、なおかつこれ以上もう
能率のあげようがないというところまでやることがわれわれに與えられた目下の責務である。これをやることによ
つて三万の
警察官を五万あるいは六万に活用ができるということを
考えるべきである、私はただいまとしてはさように
考えているのであります。
公安委員会におかれましてもこれに同意をせられておるのであります。その
方法といたしましては、先ほど
坂口委員の御指摘の
通り、もつと
警察官の
教養を高め、
能率を増し、また專門知識をこれに注ぎ込むということが一点であり、他は通信を極度に完備をする。有線、無線は
逓信省に移管をいたしたのでありまするが、
逓信省も非常な
努力をも
つて、進駐軍に次いで重点を
警察の有線の
改善にただいま注いでもら
つておるのであります。残るところは、今後われわれの手といたしましては無線であります。無線は、これもGHQの非常な援助によりまして、短波の無線はもちろん、さらに超短波にまで進みたいというので、ただいま
努力をいたしておるのであります。この
通信施設を完備する。それから
警察の
機動力を発揮せしめるために、自轉車、あるいはサイドカー、あるいは
自動車、トラツクといつたようなものを少くとも必要の
最小限度備える。そのほか
警察のいろいろな
施設てあるいは犯罪捜査に、あるいは暴動の鎭庄に当る各種の
施設、裝備と申しますか、
設備と申しますか、そういうものが必要なのでありまして、これらが完備できるならば、今よりはもす少し
能率のあがつた
警察ができ上
つて、國民の方々に今よりは御満足が得られるようになるのじやないか。そうしてそう
なつたその基礎の上に立
つて、さらに
人員の増員ということが順序として出て來るのじやなかろうか。國際情勢その他から
考えまして、
人員の増員は困難な点もありますけれ
ども、一面またやむを得ずというような傾向に私はなりつつあるのじやないかと
考えておるのであります。さように
なつた場合に、われわれがこれを実施し得る基礎を今からつくつとおきたいというので、その基礎をつくるのに
努力をいたしておるような次第であります。從いまして先ほどの
教養施設、それから通信機関、あるいは
機動力その他の
設備施設というものを
充実いたしますために、われわれも一應の
計画を立てました、これだけできればまずわれわれとしては最善であるというのが、先ほど
委員長が申されました百五十億の新規の
予算であります。この新規の
予算は、今日の國庫の現状におきましては非常に困難な点があるのでありますが、前
内閣におかれましても、また現
内閣におかれましても、この点は深い理解を持
つてくださ
つておるのであります。從いまして國庫に余裕のつく限り、あるいはむりのできる限りはこの
考えを取入れてもらえるものと私は
考えておるのでありますが、また
國会側におかれましても、御援助をぜひお願いいたしたいと
思つております。ただ今までこの
予算についての
計画を、この
委員会等におきましても進んで積極的に申し上げませなかつたのは、今日の國庫の
状況と、それから
政府におかれましても非常に
努力をしようとしておられまする
関係から、ただいままで申し上げなかつたのでありますが、場合によりましては、さらに詳細にわれわれの意のあるところをこの
委員会にでも訴えまして、その御協力をお願いしなければならぬ時樹が來るかもしれないという氣がいたしておつたのでありますが、今日御
質問でありましたので、この点を申し上げておきたいのであります。
なお
人員を増すといたしましても、
警察官一人を増すにつきましては、今日の
状況といたしましては、大体年間いろいろ全部の
費用を入れますと二十万円ぐらいかかると思うのであります。從
つて二万人増すといたしましても、四十億ないし五十億をその
人員増加によ
つて必要といたすのであります。私は今日の
状況といたしましては、まず
人員を増す前に
警察の基礎を固め、そうして
人員を増した場合にその基礎が二倍にも三倍にも働けるように、同じ金がいるならば、その根本的の方にかけてもらう方がいいのじやないかということで
努力をいたしておるのであります。しかしながらこの
人員の増加ということは、いろいろな國際
関係その他がありますから、こういつた基礎的な
考えも、いろいろな情勢によりまして、こちらを先にやらなければならぬということもあるであろうと思いますが、今日の情勢といたしましては、こういつた情勢で進む方がよいのじやないかという
考えで、
公安委員の方、また
内閣の方にも話をいたしておるような次第であります。