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嘉田由紀子君 ありがとうございます。
このことによって
子供を産むことを外側から圧迫するとか、そういうふうな問題ではないということ、それはきちんと切り離して、
子供を産むか産まないかは個人の、また御
夫婦の自主的な判断ですから、社会的にプレッシャーを与えるというものではないと私自身ももちろん理解をしております。
そういう中で、毎回お
伺いをするんですけれ
ども、この
生殖補助医療は二〇〇三年から二十年近く方向が見えなかった。同じことが、この離婚後の
子供の親権の問題、これももう二十年近く前から
議論されながら、なかなか出口が見えない。その間に片親ロスになる
子供、毎年二十万人ほど、十年で二百万人もということで、ここも放置できないと、私自身は毎回家族の問題として取り上げさせていただいておりますけれ
ども。
離婚後の単独親権
制度の違憲性を争う訴訟が今三つ提案されております。今日、新聞資料を出させていただいておりますけれ
ども、
一つは、二〇一九年十一月二十二日、八
都道府県、男女十二人による東京地裁の訴訟です。
二つ目は、二〇二〇年十月二十一日、男女六人による、これもやはり東京地裁。そして三点目が、つい最近です、二〇二〇年十一月十一日の、離婚後の面会交流
制度が不十分だとして国家賠償を求める訴訟です。
最初の二つは原告が父や母、祖父母など大人ですが、三番目の十一月十一日に提訴された裁判には三人の
子供さんが原告として含まれております。そのうちの二人の声について紹介をしたいと思います。というのは、本当に日本の場合には
子供の声を代弁する母体あるいは政治家も大変少ないので、ここはきちんと
子供さんの声、ちょっと長くなりますが、御紹介させていただきたいと思います。
まず、原告のN君です。今、十三歳です。
僕のお母さんとお父さんは離婚して、僕はお母さんと
一緒に暮らしています。お父さんとは前は月に一回会っていましたが、僕のお父さんは普通のお父さんです。僕はお父さんのことが大好きです。お父さんと会っているときは楽しいです。お父さんとはゲームの話をしたり、
一緒に映画を見たり、お母さんとはしない遊びをして過ごすからです。
ここが実は大変重要なんですね。外遊びとか、私は自然教育を専門にかなりしてまいりましたけれ
ども、やはり父親がいないと、どうしても自然教育がおろそかになるということもございます。補足ですけれ
ども。
僕が小学校五年生のときから、お父さんとは会えないことが増えました。お父さんに電話やメールで次に会える日を尋ねても、返事が一か月くらいもらえないこともよくあります。お父さんに会いたい、もっと会いたいと言って無理だと言われたり、会う回数が減ったら嫌だなと思って、お父さんに直接言ったことはありません。次はいつお父さんに会えるのか、とても気になります。それだけではなく、本当は僕はもっとお父さんに会える回数を増やしたいのです。お母さんがお父さんに会えるように裁判所に手続をしてくれました。僕は裁判所の調査官に会いました。調査官から、お父さんとこれからどうしたいと五回くらい聞かれました。会いたいですと答えました。お父さんと会えるようにしたいのに、どうして何回も聞くのだろうと思いました。調査官の報告書には、お父さんが面会交流に消極的だから、
現状を変える必要はないと書かれていました。
ここに、この僕の、当人の失望があるわけですね。実は、調査官の聞き取りとか、現場では大変ないろいろ問題を聞かされておりますけれ
ども、この十三歳の
子供さんでももうそのことを気が付いている。
僕はお父さんに会えるようにするために裁判所に行って調査官に話をしたのに、最低限の月一回お父さんに会えるかどうかも分からない
状況、変えてもらうこともできないのだと分かりました。できるなら、毎週末、土日にお父さんと会いたいです。お父さんと会えるなら、ほかの予定より優先します。もっとたくさん会いたいけれど、せめて必ず月一回は会える約束を守ってもらえれば、もう少し安心してお父さんに会えるのに、今は不安がいっぱいです。
なぜ離婚、親の離婚がこんなに
子供さん、父子を分断してしまうのか。父子の、まさに今、生物学的な親子の話ありますけれ
ども、父子の生物学的な、あるいは情愛、変わらないわけです。ですから、この
生殖医療の話とある
意味で近い問題、本当に本来の親子を何で
法律のたった一行で、
民法八百十
九条でこういうふうに
子供さんと離してしまうのか。お互いに不幸になる。
私は、今の単独親権は子育て三方悪しだと言っております。子に悪し、親に悪し、そして世間に悪し。もちろん、DVや虐待で共同養育、共同親権を阻止しなければならないケースはあります。でも、そのケースがあるからといって、残り全てを共同養育、共同親権を否定するというのは、
国民の願い、まさに今のN君のような
子供さんの願いを踏みにじっていることになるのではないでしょうか。
次に、原告Pさんです。十一月十一日に訴状を出した原告Pさんです。既に二十歳になっていますが、過去十年のことを思い起こしながら声を上げています。
今でも私は、過去十年、北海道の母と千葉県の父の間を行ったり来たりしていたことが、PTSDによるフラッシュバックなど悩まされています。それほど強烈な影響を受けました。
子供がいる家庭で離婚を
検討中の方々がいましたら、いま一度
考えていただきたいと思います。ほとんどのケースでは、離婚という選択肢は
子供に悪影響しか及ぼしません。影響は大小様々ですが、ゼロ歳でも
子供は人間です。
夫婦げんかなどがあれば怖いと思いますし、兄弟がいれば離れ離れになると寂しい思いを常に抱えることになります。
考えられる悪影響はたくさんありますが、それは一生続く不治の心の傷として残る可能性も十分あります。
なので、離婚する前によく
考え直してください。そして、仮に離婚するとしても、母、父にはいつでも会えるようにしておくこと、兄弟姉妹がいるのなら決して離れ離れにしないこと。
子供は
基本的に生まれ育った家族と
一緒に過ごしたいと思うものです。母、父問わず甘えたい、頼りたい、相談したい、感謝の気持ちを伝えたい瞬間というのはいつ訪れてもおかしくありません。誰も争いたくありません、平和が一番なのです。このために、私は一番最初にお話ししました。いまだに時々離婚していなかったらと想像して、父と母がいる幸せな日々が欲せられ、そして願ってしまうということが今でもあります。
最後にこの場を借りて、一生懸命面倒を見てくれた父に感謝しています、ありがとうございます。私の話は以上です。
ということで、
子供さんの例を二つお話しさせていただきましたけれ
ども、上川大臣にお聞きします。
今、国が被告となっている訴状、裁判ですので、コメントは困難かと思われますけれ
ども、このような
子供さんの声を聞かれてどう思われるでしょうか。可能な限りで結構です、御感想いただけたら幸いです。