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2020-01-23 第201回国会 衆議院 本会議 第3号
公式Web版
会議録情報
0
令和
二年一月二十三日(木曜日) ――
―――――――――――
議事日程
第三号
令和
二年一月二十三日 午後二時
開議
一
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続) ――
―――――――――――
○本日の
会議
に付した案件
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続)
佐藤勉
君の故
議員望月義夫
君に対する
追悼演説
午後二時二分
開議
大島理森
1
○
議長
(
大島理森
君) これより
会議
を開きます。 ――――◇―――――
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続)
大島理森
2
○
議長
(
大島理森
君)
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
を継続いたします。
斉藤鉄夫
君。 〔
斉藤鉄夫
君登壇〕
斉藤鉄夫
3
○
斉藤鉄夫
君
公明党
の
斉藤鉄夫
です。 私は、
公明党
を代表して、
施政方針演説等政府
四演説に対し、総理並びに
関係大臣
に質問します。(拍手)
自公連立
の第二次
安倍政権
が発足して七年。 昨年は、十月の
消費税率引上げ
に合わせて、
公明党
が導入を主張した
軽減税率
がスタートしました。先月実施した調査では、全体の約六割が評価すると回答するなど、順調に定着し始めていることがわかりました。 また、長年訴えてきた教育の
無償化
も、今春には
私立高校
の
無償化
が実現するなど大きく前進しています。 二〇二〇年度の
税制改正
では、
公明党
が粘り強く主張してきた未婚の一人親を
寡婦控除
の対象に加えることが決まりました。 こうした成果を着実に生み出す
自公政権
は、唯一の安定した連立の枠組みとして揺るぎないものになっている、これは著名な
政治学者
の言葉ですけれども、そのように私たちも確信をいたします。 一方で、予想を上回る速度で進む
少子高齢化
、年々激甚化する
自然災害
や厳しくなる
安全保障環境
など、解決すべき課題は山積しています。 これらの
難問克服
には政治の安定が欠かせません。今こそ、
自公連立政権
が責任を持って、その知恵を結集し、全
世代型社会保障
の構築や持続可能な
社会づくり
、
国際社会
の平和と安定へ果敢に挑んでいかなければなりません。 まずは、長期安定がゆえの緩みやおごりを排し、謙虚さと誠実さを持って
政権運営
に当たり、国民の
信頼回復
に努めるべきであると強調したい。
公明党
は、引き続き
安倍政権
を支え、国民に希望と安心をもたらすために、内外の諸課題に全力で取り組んでまいります。 以下、質問いたします。 初めに、防災、減災、復興について質問します。 昨年は
台風災害
が相次ぎ、各地で甚大な被害が数多く発生しました。 お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
被災地
では、厳しい寒さの中、
被災者
の方々の
健康状態
が懸念されます。
生活再建
、
農林漁業者
や中小・
小規模事業者
などの
なりわい再建
への道のりは、いまだ厳しく険しい状況です。また、一昨年発生した豪雨、
地震被害
などにおいても
復興途上
であり、政府においては、一日も早く安心した暮らしを取り戻せるよう、きめ細やかな支援に全力を挙げていただきたい。
公明党
も、国と地方の
ネットワーク力
を生かして、
被災各地
での数多くの声を取りまとめ、政府に対して二度にわたり
政策提言
を行ってまいりました。
補正予算案
を含む新たな
経済対策
には、
被災河川等
の
改良復旧
を進めるとともに、
被災者
の生活や
なりわい
の
再建支援
など、
公明党
の提言を踏まえた対策が随所に盛り込まれました。 また、次の
台風シーズン
に向けた
風水害対策
の予算も大幅に拡充しました。これらの対策を進めるため、今国会で
補正予算案
と来年度
予算案
の
早期成立
と円滑な執行を強く求めます。 加えて、二〇二〇年度は、防災・減災、
国土強靱化
のための三カ年
緊急対策
が
最終年度
を迎えますが、防災・
減災対策
は三年で終わるものではありません。インフラの
老朽化対策
も含めた二〇二一年度以降の
緊急対策
の拡充と継続を強く要請します。
安倍総理
に答弁を求めます。 昨年の
台風被害
では、
風水害特有
のさまざまな課題や教訓が明らかとなりました。これらを徹底して検証し、今後の
気候変動
の影響による豪雨の
増加等
を踏まえたハード、
ソフト一体
の
防災対策
を総動員して進めていかなければなりません。
河道掘削
や
堤防強化
、
浸水想定区域
や
ハザードマップ
の策定、調節池の整備や
既設ダム
の
機能強化
、活用、市街地での
内水氾濫対策
など、総合的な
治水対策
をどのように進めていくのか。 また、
自治体
、気象台、
河川事務所
などの
関係者
がしっかりと連携して、河川、
気象情報
の把握、発信、
危険度分布
の普及、
避難情報
の発令、
住民避難
につながる伝達なども一層の対策が必要です。
赤羽国土交通大臣
に答弁を求めます。 二〇二〇年度は、
東日本大震災
の復興・
創生期間
の
最終年度
となる重要な節目を迎えます。 本年、
東京大会
の
聖火リレー
は、かつて震災の
原発事故対応
の
拠点基地
にもなった福島の
Jヴィレッジ
からスタートし、
全国各地
をめぐります。野球・ソフトボール、
サッカー競技
の一部も東北の
被災地
で開催されます。 本大会は、
復興五輪
として、スポーツを通じて
被災地
の方々を勇気づけ、全世界に対して、復興が進む姿を発信し、これまでの支援に対する感謝を伝える大きなチャンスです。何としても成功させなければなりません。 昨年、政府は復興の
基本方針
を
閣議決定
し、
復興庁
の
設置期間
の十年間延長とともに、二〇二一年度以降の復興・
創生期間
後の取組や組織などの方針を明らかにしました。加えて、同期間後五年目となる二〇二五年度に組織のあり方や
復興事業
などが再検討されることとなりました。その際には、復興の進捗をよく見きわめながら、
被災地
の意向を十分に酌み取り、柔軟な対応を図らなければならないと考えます。 また、
被災地
の方々が安心して将来に大きな希望を持って復興に取り組んでいけるように、今国会における必要な
関連法案
の提出、成立を急ぐとともに、必要十分な
復興財源
を確保すべきです。
安倍総理
の答弁を求めます。 日本のみならず、毎年、
世界各地
で台風、大雨、熱波や寒波などが猛威を振るい、大規模な災害が相次いでいます。人々の生活や安全を脅かすだけでなく、世界じゅうで多くの命が奪われています。今後も、
気候変動
の影響で台風や
集中豪雨
などの
自然災害
は激甚化することが予想され、特に貧困層の人々に深刻な影響をもたらすことが懸念されます。 昨年のCOP25で、
グテーレス国連事務総長
は、危険な
地球温暖化
を抑えられるか、今がまさに節目だと強調しました。
地球温暖化
がこのまま大きく進んでしまうかどうかの分水嶺に差しかかっています。
国連事務総長
が述べているように、
気候変動
を
気候緊急事態
と捉え、
我が国
も対策を加速化させなければなりません。その目標として、
我が国
は、脱
炭素社会
の構築に向けて、二〇五〇年を視野に、
温室効果ガス
、CO2の排出を吸収源も含めて実質ゼロにすることを目指すべきです。 そのためには、
温室効果ガス
、CO2の最大の排出源である
石炭火力発電所
の新増設は禁止するなどの思い切った対策が必要ではないでしょうか。もちろん、
エネルギー
はあらゆる活動の基盤となるものであり、
安定供給
やコストの視点も欠かせません。この観点から、もう一度、CO2を出さない、若しくは低排出のいろいろな
エネルギー源
の組合せの
ベストミックス
について
国民的理解
を得る冷静な議論が必要と考えます。 同時に、イノベーションも重要です。CO2の回収、貯蔵、
光触媒等
を活用したCO2を再利用する
カーボンリサイクル
の推進や
蓄電技術
のさらなる進展などを通じて、
エネルギー
の転換、脱
炭素化
を追求すべきです。その際、
技術開発
や
基礎研究
に携わる
研究者
が力を十分発揮し、この分野を目指す
若者たち
の能力を引き出せる環境を整えることも政治の大きな役割です。
気候変動
問題、脱
炭素社会
、そして
ベストミックス
について、総理の見解を求めます。
プラスチック
は、生活に
利便性
と恩恵をもたらす一方で、海洋ごみ問題が一層深刻さを増しています。政府は、
プラスチック資源循環戦略
に基づき、資源、
廃棄物制約
や
海洋ごみ等
の幅広い課題に対する対策を講じていますが、発生を抑制する象徴的な取組として、本年七月から、
レジ袋有料化
が実施されます。
消費者
や
事業者
、特に
中小零細企業
の方々が混乱を生じないよう、
周知徹底
をお願いしたい。また、
マイバッグ持参
の
習慣化
などを通じてライフスタイルの変革を促すことも重要です。まずは、我々
国会議員
が率先して取り組み、国民的な運動へとつなげていくことを提案したいと思います。
気候変動対策
と
レジ袋有料化
の実施について、
小泉環境大臣
の見解を求めます。 全
世代型社会保障
の構築について伺います。 昨年十月からは
幼児教育
、保育が、本年四月からは、世帯の
所得制限
はありますが、
私立高校
や大学などが
無償化
され、全
世代型社会保障
への取組が大きく前進します。
公明党
は、さらに、年金、医療、介護なども含めた
中間提言
を取りまとめ、先月、政府に申し入れました。 年金については、短時間
労働者
の
社会保障
を充実するため、
厚生年金等
の
適用拡大
が重要です。
中小企業
への影響に配慮し、一定の時間をかけ、段階的に対象を拡大し、あわせて
支援策
を充実すべきです。
高齢期
の
長期化
など、人生百年時代に対応する
年金改革
も不可欠です。個人の選択により七十五歳からの受給を可能とし、その分一月当たりの年金の増額や、一定の資金を得て働く
高齢者
の年金を一部停止する
在職老齢年金制度
の
見直し
などを着実に進めていかなければなりません。 また、働く意欲のある
高齢者
が能力を十分に発揮できるよう、七十歳までの
就業機会
の確保や、転職、副業、フリーランスなど働き方の
多様化
に対応し、
労働法制
も適切に見直す必要があります。 人生百年時代に対応した
年金改革
と
労働法制
について、
安倍総理
の答弁を求めます。 人生百年時代を見据えると、
健康寿命
の延伸が大きな課題です。そのために特に力強く進めるべきは、
介護予防
、
健康づくり
です。 その重要な役割を担うのが、
高齢者
が地域で集まり、運動や会食、趣味などを楽しむ通いの場です。
公明党
は、二年前の
代表質問
で、その拡充を訴えました。当時、全国に七万カ所程度だった通いの場は、現在十万カ所を超え、着実に増加しています。今後は、通いの場をより魅力的なものにするとともに、
地域づくり
と重なる部分も多い通いの場の取組を他の
地域支援事業
とも連携して効果的に実施し、
地域包括ケアシステム
の深化、推進を図るべきと考えます。 また、
公明党
は、
認知症
の人が安心して自分らしく暮らすことのできる
地域づくり
も進めてまいりました。中でも、
認知症初期集中支援チーム
は、
早期発見
、
早期対応
の
支援体制
を包括的に行う極めて重要な施策の一つであり、
地方議員
とも連携しながら推進し、昨年、全ての市町村に設置されました。今後、社会から孤立している人たちへの対応も含め、適切な医療・
介護サービス等
に速やかにつなげるための取組を強化する必要があり、先進的な事例も踏まえたチームの質の向上が重要です。
がん対策
の強化も欠かせません。 その柱の一つが、がんの痛みを取り除く
緩和ケア
の充実ですが、いまだ現場では浸透していません。昨年、私はこの場で、
国立がんセンター
の調査結果をもとに、終末期の
がん患者
の方の苦痛からの解放を訴えましたが、この一年、具体的な対応はなされていないと聞きます。早急な対応を求めます。また、
がん教育
については、その意義が正しく理解されていないため、
自治体
の取組に差が出ています。
教育効果
に
地域格差
が生じないよう、国の指導を徹底すべきです。また、
医師等
の
外部講師
の授業は、講師の確保が難しく、
文科省
と
厚労省
が連携して
対応策
を強化していただきたいと思います。
介護予防
、
健康づくり
、
認知症施策
の推進、
がん対策
の強化について、総理の見解を伺います。
地方都市在住
の七十五歳以上の
高齢者
は、半数以上が
自家用車
を主な
交通手段
としている一方、
運転免許証
の
自主返納件数
も
増加傾向
にあります。これを踏まえ、
運転免許証
を自主返納した
高齢者
が
自家用車
に頼らず快適に移動できる
交通手段
の確保が重要です。 現在、政府は、
高齢者
の
移動手段
の確保に向けて
地方交付税措置
を講じるなど
自治体
の取組を後押ししていますが、今後、こうした施策を実施する
自治体
や
事業者
との連携を強化しつつ、積極的な支援を講じるべきです。あわせて、
電動車椅子
や
電動アシスト自転車
などの
小型モビリティー
の
普及促進
に向けた
購入支援
も必要と考えます。 他方、
高齢運転者
の
交通事故対策
も急務です。
公明党
は、昨年四月に東京都豊島区で発生した
高齢運転者
による
母子死亡事故
などの痛ましい事故が相次いでいることを受け、
安全運転機能
を搭載した
サポカー等
の
普及促進
や
購入支援
の
必要性
を訴えてきました。その結果、
サポカー補助金
が本年度の
補正予算案
に一千百億円程度計上されています。こうした施策の推進によって
サポカー等
の普及を急速に進めるとともに、既販車に対する後づけ装置の
導入支援
も有効と考えます。
赤羽国土交通大臣
の答弁を求めます。
少子化対策
について伺います。
少子化
、
人口減少
は、想定を上回るペースで進んでいます。子供を産み育てやすい環境を一日も早く整備し、若い世代が結婚や出産の希望を実現できる社会をつくらなければなりません。
公明党
は、
児童手当
や
出産育児
一時金の創設、拡充を始め、
育児休業制度
の充実、
待機児童対策
、
幼児教育
の
無償化
、母子の孤立を防ぐ
子育て世代包括支援センター
の設置、
不妊治療
への支援などに一貫して取り組んでまいりました。また、非
正規雇用
の
待遇改善
や
正社員化
など若者の
経済的基盤
の
安定化
とともに、結婚や
新婚生活
への支援を進めてきました。
少子化対策
は待ったなしです。これまでの施策を強化し、必要な財源を確保しながら、若者や
子育て世代
への投資を大胆に行う必要があります。その
支援策
をパッケージとして、結婚、子育てを社会全体、
ワンチーム
で応援するという力強いメッセージを明確に発信すべきです。
少子化対策
の抜本的な強化について、
安倍総理
の決意を伺います。
世界経済フォーラム
の二〇一九年報告書では、日本の
男女格差
が百五十三カ国中百二十一位という極めて残念な結果でした。スピード感ある対策が急務です。 昨年成立した
改正女性活躍推進法
では、セクハラ、マタハラなどの
対策強化
に加え、女性の活躍に関する
行動計画
の策定義務づけの
対象企業
が
従業員
三百一人以上から百一人以上へ拡大されました。
育児休業
や残業時間などの目標と、それに対する計画や
実施状況
を企業が公表すれば、働く女性が出産や育児など人生のプランを描きやすくなり、
就活女性
の
企業選び
の目安となります。
女性活躍
の推進には、この裾野の拡大が重要ですが、
中小企業
にはノウハウが少なく、
行動計画策定
のサポートや
財政的支援等
が不可欠です。
女性活躍
の拡大は、
多様性
を認容する社会の一つの指標であり、
地方議員
を合わせて
女性議員比率
が三割を超える
公明党
が強力に推進する決意でございます。
女性活躍
の取組について、
安倍総理
の答弁を求めます。 二〇二〇年度
税制改正
では、
公明党
の長年の主張が実り、未婚の一人親を
寡婦控除
の対象に加えることが決定しました。 同じ一人親でも婚姻歴の有無によって税制上の差別があり、親の事情で
子供たち
への支援に格差が生ずることは、到底容認できません。七年前、この問題を国会で取り上げて以来、
公明党
は一貫して子供の視点に立って制度の
見直し
に取り組んできました。 二〇一三年に与党における検討をスタートさせ、
地方議会
では未婚の一人親を
寡婦控除
の対象とみなして保険料などを軽減するみなし適用を進めてきました。その後、
各種事業
でみなし適用が全国展開され、昨年は、低所得の未婚の一人親の
住民税
を非課税とすることが決定。そして、本年、全ての一人
親家庭
の子供に対して公平な税制が実現します。 未婚の一人親にとっては、
税負担
の軽減に加え、
奨学金
など控除後の所得によって算定される
支援格差
が順次解消され、
経済的負担
の軽減が進みます。こうした措置ができる限り早く実施されるよう、政府の取組を求めます。 また、
公明党
は、一人
親家庭
の生活を支える
児童扶養手当
についても、
公的年金
との
併給制限
の
見直し
や
多子世帯
への
加算額
の倍増、
所得制限
の
引上げ
、
支給回数
の
見直し
など、制度の拡充を実現してきました。 他方で、
障害年金
を受給する一人親については、
児童扶養手当
が支給されないという課題が残されており、
公平性
の観点から、併給を可能とすべきではないでしょうか。
寡婦控除
の新たな
対象者
への十分な
周知徹底
とプライバシーに配慮した
制度設計
を求めるとともに、一人親の
児童扶養手当
と
障害年金
の併給について、総理の答弁を求めます。
日本経済
は、堅調な内需に支えられ、緩やかに回復を続けています。 心配された
消費税率引上げ
による影響も、
軽減税率
や二・三兆円の対策が功を奏し、
駆け込み需要
、
反動減
を小幅に抑え、景気の腰折れを防ぐことに成功しました。 特に、
軽減税率
については、昨年十二月に我が党が
民間調査会社
に委託して行った全国一万人
電話調査
によれば、約六割の方が評価すると回答し、全ての年代において、評価するが上回りました。その理由として最も多かったのは、食品の税率が据え置かれて安心だからです。
軽減税率
は、その
目的どおり
、国民の日々の生活に大きな安心感を与え、痛税感を和らげています。 力強い
日本経済
の実現に向け、本年は、引き続き、
消費税率引上げ
による
消費マインド
に留意しつつ、特に災害からの
復旧復興
、生活、
なりわい
の再建を急ぐとともに、
海外経済
による下振れ
リスク
に対し、機動的かつ万全な対応が求められます。
総合経済対策
の迅速かつ着実な実行によって、厳しい中でも果敢に
リスク
をとって挑戦する方々をしっかり支え、経済好循環のさらなる拡大を実現しなければなりません。
日本経済
の屋台骨を支える中小・
小規模事業者
の
生産性向上
と
賃上げ
への支援が極めて重要です。
公明党
は、
ものづくり補助金
や
業務改善助成金
など、
生産性向上
を後押しする施策を強力に進めてきました。今後は、時間
外労働
の
上限規制
や
被用者保険
の
適用拡大
なども見据え、
事業者
が
設備投資
や
従業員
の
賃上げ
に果敢に取り組めるよう、
各種補助金
や
助成金
の拡充、
価格転嫁対策
を含めた
下請取引
のさらなる改善を行わなければなりません。 他方、
事業承継
も緊急の課題です。
公明党
は、
個人保証
を不要にする新たな
信用保証制度
の構築に取り組んできました。今後は、これに加えて、全国に設置されている
事業引継ぎ支援センター
の
機能強化
を進めるなど、後継者未定の
事業者
が円滑に技術や雇用を次世代に引き継げるよう、第三者への
承継支援
を抜本的に講じるべきです。 中小・
小規模事業者支援
について、総理の答弁を求めます。
農林水産業
の
活性化
について質問をいたします。
日米貿易協定
が発効し、TPP11
協定等
とあわせ、世界の国内総生産の約六割を占める巨大な
自由貿易圏
が誕生しました。新たな
市場拡大
の好機となり、
農林水産物
・食品の
輸出額アップ
と所得の増大が見込まれます。世界的な
和食ブーム
や
東京大会
なども追い風に、高品質な
日本ブランド
が世界へ広がることが期待されます。 しかし、
農林漁業者
は、
高齢化
と
担い手不足
という難題に直面しています。
需要拡大
に対応した
生産基盤
の安定には、
規模拡大
だけではなく、その悩みを抱える
家族経営
など
中小規模
の
生産者
への支援も重要です。 国内で、豚や
イノシシ
の病気である
CSF
、豚熱が猛威を振るっています。
早期終息
のため、引き続き、
飼養衛生管理
の徹底や
野生イノシシ対策
の強化、被害を受けた方の
早期経営再建
に向けた対策を講じた上で、
風評被害防止策
にもしっかり取り組む必要があります。 一方、効果的なワクチンがない
ASF
、
アフリカ豚熱
の感染が中国や韓国などの
アジア地域
で拡大しています。対岸の火事とせずに、
水際対策
の強化と、万が一の場合には、予防的殺処分を万全の体制で実施すべきです。その際には、農家全体への理解を得るよう努めていただきたい。
農林水産業
の
活性化
や
CSF
、
ASF対策
について、
安倍総理
に見解を求めます。 中国の武漢市において、新型の
コロナウイルス
が原因と見られる
肺炎発症
が相次ぎ、世界的な
感染拡大
が懸念されています。今月十六日には、この
ウイルス
の
感染者
が国内で初めて確認されました。 中国では今月下旬から春節の
長期休暇
に入ることから、多くの
中国人観光客
の訪日が予想されます。そのため、まずは、検疫所における
健康状態
の確認など、
水際対策
の徹底に万全を尽くすようお願いしたい。 あわせて、国際的な
連携強化
により、人から人への感染があり得るのかどうか、
感染ルート
などを早期に解明し、それに基づいた
対応策
を講じなければなりません。 さらなる
感染拡大
の防止に向けて、
関係省庁
が緊密に連携し、万全を期すとともに、国民に対して迅速かつ的確な
情報発信
に努めていただきたい。
新型コロナウイルス
の
感染拡大防止
に向けた
対策強化
について、総理の見解を伺います。 昨年末から、アメリカと
イラン
が互いに
軍事攻撃
を行うなど、
中東情勢
は高い
緊張状態
となっています。ひとまず最悪の事態は免れましたが、引き続き注視が必要な状況です。そのような中で、総理がサウジアラビアなど中東三カ国を訪問され、
地域情勢
などについて意見交換し、日本の取組への理解を深めてこられたことを高く評価します。
中東地域
は、日本の
原油輸入量
の約九割を占める
エネルギー供給源
であり、
国際社会
の平和と安定にとっても極めて重要な地域です。海上封鎖されるようなことがあれば、
我が国経済
にとって重大な危機です。それを防ぐためにも、米国と
同盟関係
を結び、
イラン
とも
友好関係
にある
我が国
は、
緊張緩和
と地域の安定を目指し、最大限の
外交努力
を尽くさなければならないと考えます。
日本関係船舶
が昨年六月に攻撃を受けるなどの事件が相次いだことを受けて、
中東地域
における
日本関係船舶
の
安全確保
に必要な
情報収集態勢強化
のため、日本独自の取組として、
自衛隊
が派遣されます。
日本関係船舶
の
安全確保
に役立てるため、
周辺地域
で幅広い情報を集める必要があります。
現地周辺
で活動中の米国など、各国軍からの
情報収集
も重要です。しかし、派遣の
必要性
や目的、なぜ
自衛隊派遣
なのか、そして、
緊張状態
の続く
中東地域
で
自衛隊
の安全が確保できるのかなど、国民に十分に理解されているとは言えません。政府には丁寧な説明を求めたい。 今回の派遣の根拠は
防衛省設置法
の
調査研究
であり、本来は
防衛大臣
の命令で実施できるものです。しかし、
公明党
の主張により、
中東地域
への派遣という
重要性
や
特殊性
を考慮し、
閣議決定
としたのを始め、
派遣期間
を一年間に限定し、延長などの際には新たな
閣議決定
や
国会報告
を義務づけるなど、しっかりと民主的な歯どめをかけることができました。
中東情勢
への対応と同地域への
自衛隊派遣
について、総理の答弁を求めます。 次に、
核軍縮
への取組について伺います。 ことしは、広島、長崎への
原爆投下
から七十五年という節目を迎えます。当事者である日本は、
核兵器
のない世界の実現へ、
主導的役割
が求められています。一方で、昨今の
核軍縮
、核不拡散を取り巻く情勢は、北朝鮮の核・ミサイル問題や、
核兵器保有国
と非
保有国
の見解に大きな溝があるなど、困難な状況にあります。 こうした中、ことし四月から五月にかけて、
核兵器
不
拡散条約
、NPTの
運用検討会議
がニューヨークの
国連本部
で開催されます。今回は、
NPT発効
五十年であり、日本として取り組んできた、
核兵器保有国
と非
保有国
の
橋渡し役
を担う
賢人会議
の実施や、
国連総会
で採択された
核兵器
のない世界に向けた決議の提出などが実るよう、積極的な行動が求められていると思います。
核軍縮
の進展に向けた総理の決意を伺います。 今、広島に残る最大級の
被爆建物
である旧
陸軍被服支廠
の解体をめぐって大きな議論となっています。
平和学習
などに活用されてきた同建物ですが、劣化が進み、地震による倒壊の
危険性
があります。そこで、広島県は、所有する三棟について、巨額の費用がかかる保存、耐震改修はせず、二棟を解体、撤去、一棟を外観保存するとの原案を示していますが、全てを残してこそ、被爆の実相を後世に伝える訴求力があると確信いたします。 敷地内の他の一棟は、国の所有です。そこで、国として、積極的に県と話し合い、貴重な被爆遺構保存に向けた
支援策
を打ち出していただきたい。
自治体
任せではなく、国がリーダーシップを発揮し、
核兵器
の非人道性や戦争の悲劇、愚かさを伝える
平和学習
拠点として活用することで、唯一の戦争被爆国である日本の姿勢を国内外に発信すべきではないでしょうか。総理の見解を伺います。 最後に一言申し上げます。 昨年十一月、結党五十五年を迎えた
公明党
は、「大衆とともに」の結党の精神を堅持し、地方と国のネットワークの力で、生活者の声を政治に反映してきました。 昨年は、全国規模の調査を二回実施し、
政策提言
するなど、その姿勢は全く変わっていません。本年も、「小さな声を、聴く力」をより一層実践していきたいと決意しております。 これからも
公明党
は、国民のニーズを的確に捉え、内外の難題解決へ全力を挙げていくことをお誓いし、
代表質問
を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
安倍晋三
4
○内閣
総理
大臣(安倍晋三君)
斉藤鉄夫
議員にお答えいたします。
被災地
の
復旧復興
と
国土強靱化
の
推進
についてお尋ねがありました。 昨年の
台風
第十五号、第十九号等によりもたらされた甚大な
被害
に対し、
政府
としては、昨年取りまとめた
対策
パッケージに基づき、
被災地
の
復旧復興
に向けた
取組
を
全力
で進めているところです。 また、
集中豪雨
、
地震
、激しい暴風、異常な猛暑など、異次元の
災害
が相次いでいる現状を踏まえ、平成三十年に三カ年
緊急対策
を
策定
するなど、
国土強靱化
の
取組
を抜本的に
強化
し、
災害
に屈しない国土づくりを進めてきております。 その上で、
令和
元年
補正予算案
では、
災害
からの
復旧復興
と安全、
安心
の
確保
として約二兆三千億円を
確保
し、
復旧復興
の加速化のほか、昨年の
台風被害
等を踏まえ、
河道掘削
や
堤防強化
などの水害
対策
を中心に、更に
国土強靱化
の
取組
をパワーアップさせております。 これらの
予算
を活用するとともに、
防災
、
減災
をソフト面から進めるための法案を今
国会
に
提出
するなど、ハード、ソフトを組み合わせた
対策
を総動員できる
体制
を整えます。 引き続き、
被災者
の
生活
と
なりわい
を一日も早く取り戻すことができるよう、
被災地
の
復旧復興
に
全力
を尽くすとともに、
令和
三
年度
以降も、必要な
予算
を
確保
し、オール・ジャパンでインフラ
老朽化対策
を含む
防災
・
減災
、
国土強靱化
を進め、
災害
に強いふるさとをつくり上げてまいります。
東日本大震災
からの
復興
についてお尋ねがありました。
復興
・
創生期間
後の
体制
については、昨年十二月に
閣議決定
した
復興
の
基本方針
に基づき、今
国会
に所要の法案を
提出
すべく、準備を進めているところです。また、この
基本方針
においては、今後五年間の事業
規模
を一兆円台半ばとし、その
財源
の見通しについてもお示しをしたところです。これらを踏まえ、本年夏ごろを目途に、新たな
復興財源
フレームを定める考えです。 これらにより、
復興
・
創生期間
後も、
復興庁
を司令塔に、
政治
の責任とリーダーシップのもとで、福島の本格的な
復興
再生、東北
復興
の総仕上げに取り組んでいくこととなりますが、議員御指摘の五年目の再
検討
に当たっては、その際に、
復興
の進捗
状況
や
被災地
の実情等を踏まえて柔軟に
対応
してまいります。
気候変動対策
及び
エネルギー
政策についてお尋ねがありました。
我が国
は、五年連続で
温室効果ガス
の
排出
量を削減しています。これは、G20の中で
日本
と英国のみであります。合計で一一%を超える削減は、G7の中で英国に次ぐ大きさであり、パリ協定に基づく削減
目標
の
実現
に向けて、
日本
は
世界
の中で積極的に取り組んでいます。
エネルギー
政策においても、安全性という大前提のもと、
安定供給
の
確保
、
経済
効率性の追求、地球
環境
問題への
対応
といった
観点
について、バランスをしっかりとりながら、今後とも、再エネの主力電源化や
徹底
した省エネを進め、責任ある
エネルギー
政策を展開してまいります。 その上で、長期戦略に掲げた脱
炭素社会
の
早期
実現
には、非連続なイノベーションが不可欠です。このため、
米国
、EUなどG20の研究機関、
世界
の英知を結集し、人工光合成を始めとした革新的イノベーションによるビヨンドゼロにも挑戦いたします。 こうした
取組
を通じて、
日本
として、これからも
世界
における
気候変動
問題への
対応
をリードしていく考えであります。
年金改革
と
労働法制
についてお尋ねがありました。 全
世代型社会保障
は、
人生
百年
時代
の到来を見据えながら、働き方の変化を中心に据えて、
年金
、
医療
、
介護
、
社会保障
全般にわたる改革を進めるものです。 その中で、
年金
制度
においても、多様な就労への
対応
、より長期にわたって働くことへの
支援
、みずからの選択によって
高齢期
の
経済
基盤
の
充実
を図ることができるための
環境
整備を進めることが必要です。 このため、
年金
制度
について、パートの皆さんへの厚生
年金
の
適用
を、
中小企業
への
生産性向上
支援
、
社会
保険手続の負担
軽減
を行いながら、
従業員
五十人を超える
企業
まで段階的に
拡大
し、自分で選択可能となっている
年金
受給開始時期の上限について七十五歳に引き上げ、在職老齢
年金
については、働くインセンティブを失わせることのないような
見直し
を行っていくこととしています。 また、
労働法制
に関しては、働く意欲のある
高齢者
が年齢にかかわらず働くことができる
環境
を整えるために七十歳までの
就業機会
の
確保
を図り、労働
施策
総合
推進
法を改正して大
企業
に中途採用、経験者採用比率の開示を求め、多様で柔軟な働き方が可能となるような
見直し
を行い、兼業や副業で働く方については、セーフティーネットを
構築
するための法制化を進めます。 さらに、兼業や副業の
拡大
に向けて、
労働法制
における労働時間規制及び割増し賃金の取扱いについて
検討
を進め、いわゆるフリーランスについては、内閣官房において、
関係省庁
と
連携
し、一元的に実態を把握、整理した上で、全
世代型社会保障
検討
会議
の最終報告に向けて
検討
を進めます。 こうした改革を通じ、支え手をふやしながら、
令和
の
時代
にふさわしい
年金
制度
と
労働法制
を
構築
してまいります。
介護予防
、
健康づくり
、
認知症施策
の
推進
、
がん対策
の
強化
についてお尋ねがありました。
高齢化
が進む中、元気で
社会
参加意欲の高い
高齢者
がふえる一方で、閉じこもりがちな
高齢者
や孤独感を感じる
高齢者
もおられるなど、
多様化
する
高齢者
の
地域
での
生活
を支えていくためには、
介護
事業者
によるサービスに加え、住民が主体となった多様な
取組
を広げていくことも重要です。 御指摘のとおり、
通い
の場は、
全国
で十万カ所を超え、ほとんどの市町村で
取組
が行われています。 今後は、より多くの
高齢者
にとって魅力あるものとしていくため、例えば、体操、健康講話、会食、趣味の集いなど多彩なメニューを用意すること、保健師等の専門職が
節目
節目
にかかわって健康に関するアドバイスをすることなどを、
自治体
への
介護
インセンティブ交付金の抜本的な
強化
を通じて進めていきます。
認知症施策
については、昨年六月、共生と予防の
取組
を車の両輪として
施策
を
推進
する
認知症施策
推進
大綱を取りまとめたところです。
認知症初期集中支援チーム
については、御指摘のとおり、今
年度
において全ての市町村に
設置
されたところであり、今後は、大綱に基づき、先進的な
活動
事例の収集や横展開に取り組んでまいります。
人生
の最終段階で、
がん患者
が痛みや気持ちのつらさを抱えて過ごしており、痛みをコントロールする
緩和ケア
の
充実
が重要です。
がん対策
における
緩和ケア
については、
医療
機関の
医療
従事者への研修を
推進
しており、この一年間で昨
年度
を四千人上回る一万五千人が研修を修了しています。また、
令和
二
年度
には、
がん
の痛みを和らげるなど、在宅
医療
を担うかかりつけ医等の人材育成にも
対応
してまいります。
がん教育
については、
全国
において正しい
理解
や知識の
普及
が進むよう、教師等への研修の
実施
など各種
施策
に取り組みます。また、
医師等
の
外部講師
の活用については、文部科学省と厚生労働省が
連携
して、
体制
整備を積極的に
推進
してまいります。
少子化対策
についてお尋ねがありました。
少子化
の問題は、
結婚
や
出産
、
子育て
の
希望
の
実現
を阻むさまざまな要因が絡み合って生じており、
希望
出生率一・八の
実現
に向けて、これらを
一つ
一つ
取り除いていくことが重要です。 これまで、
公明党
との強固な
連立
政権のもと、さまざまな
少子化対策
、
子育て
支援
施策
を
実現
してきました。その上で、昨年、恒久
財源
を
確保
した上で、
幼児教育
、保育の
無償化
という、小学校、中学校九年間の普通
教育
無償化
以来、七十年ぶりの大改革を
実現
させたところです。 今後とも、必要な
財源
を
確保
しながら、総合的な
少子化対策
を
推進
することで、
希望
出生率一・八の
実現
を目指してまいります。その具体化のため、今
年度
内に
策定
を予定している新たな
少子化
社会
対策
大綱において、
目標
実現
に向けた道筋を示すとともに、
結婚
、
子育て
を
社会
全体で応援するという力強いメッセージを
発信
していきたいと考えています。
女性活躍
の
取組
についてお尋ねがありました。 安倍内閣では、
女性活躍
の旗を高く掲げ、
女性活躍
推進
法の制定などに取り組んできた結果、
女性
の就業者は二百八十万人以上ふえました。保育の受皿整備を進めるなどにより、M字カーブも確実に解消に向かっています。 また、有価証券
報告書
に
女性
役員数の記載を義務づけたほか、取締役のうち少なくとも一人は
女性
が含まれるようコーポレートガバナンス改革にも取り組んできました。その結果、この七年間で、上場
企業
の
女性
役員は三倍以上ふえました。 さらに、昨年、
女性活躍
推進
法を改正し、
行動計画
の
策定
義務の
対象
を
従業員
百人を超える
事業者
まで
拡大
したところです。二年後の施行に向け、
政府
としては、
中小企業
に対し、個別
企業
訪問による
計画
策定
の
支援
や
助成金
の支給など必要なサポートを行うことにより、
女性活躍
の裾野の
拡大
に努めていく考えであります。 今後とも、
政府
一丸となって、全ての
女性
が輝く
社会
の
実現
に向けて、あらゆる
施策
を総動員してまいります。 一人親に対する
支援
施策
についてお尋ねがありました。
未婚
の一人親に対する
税制
上の
対応
については、全ての一人
親家庭
に対して公平な
税制
を
実現
する
観点
から、死別、離別の場合と同様の条件で
控除
を
適用
することとしました。 今通常
国会
に所要の改正法案の
提出
を予定しておりますが、
早期
の
成立
をお願いし、改正法案の
成立
後は、新たに
対象
となる方に
控除
が適切に
適用
されるよう、
周知徹底
を図ってまいります。また、
控除
の申告の際には、
婚姻歴
の有無が職場などに知られないよう、プライバシーに配慮した
制度設計
とするよう努めてまいります。
障害年金
については、現在は、
障害年金
額が
児童扶養手当
額を上回ると
児童扶養手当
が受給できない仕組みとなっておりますが、
児童扶養手当
の受給が可能となるよう、
障害年金
との
併給
調整の方法を見直すこととしており、所要の法改正を今通常
国会
に
提出
することを予定しております。
中小
・
小規模事業者
への
支援
についてお尋ねがありました。
全国
三百五十八万者の
中小
・
小規模事業者
は、オンリーワンの
技術
やサービスで
日本
の
経済
成長を支え、
雇用
の七割を担う
経済
の屋台骨であります。 まず、成長の果実を
全国
の
中小
・
小規模事業者
の皆さんに広く行き渡らせるため、
下請取引
のさらなる適正化に取り組んでまいります。七年前、十年ぶりの大改正を行った下請振興基準を、更に改正し、
対象
を
拡大
します。大
企業
に対しても、新たに金属産業、化学産業で、自主
行動計画
の
策定
を求めます。業界ごとの取引慣行に詳しい専門人材を下請Gメンに採用し、監視、取締りを
強化
していきます。 昨年は、九割近い
中小企業
で
賃上げ
が
実現
しました。この流れを更に加速するため、三千億円を上回る、
ものづくり補助金
、IT
導入
補助金、持続化補助金により
生産性向上
を後押しするとともに、
社会
保険手続の電子化により負担
軽減
を進めます。 さらに、経営者の多くが六十歳を超える中で、
事業承継
は待ったなしの
課題
であります。
全国
四十七都道府県に
設置
した
事業引継ぎ支援センター
において、
事業承継
を
希望
する
企業
のデータベースの登録件数を倍増させ、マッチング機能を
強化
するなど、引き続ききめ細かな
支援
を行っていきます。 若い
世代
の承継を阻む
最大
の壁は、
個人保証
の慣行です。 この春から、先代の経営者と後継者から
個人保証
をとる、いわゆる二重取りを原則禁止いたします。商工中金では、今月から、年間三万件、二兆円の新規融資について、
個人保証
なしの融資を原則とする運用を開始しました。 信用保証協会では、
個人保証
なしで後継者の皆さんの融資を保証する新
制度
を四月からスタートします。経営者の磨き上げ
支援
も行い、専門家の確認を得た後継者には保証料をゼロとします。
個人保証
の慣行は新しい
世代
には引き継がないとの強い
決意
で、あらゆる
施策
を総動員してまいります。
農林水産業
の
活性化
と、
CSF
、
ASF対策
についてお尋ねがありました。 安倍内閣では、輸出促進や農地集積など、
農林水産業
を成長産業とするための政策を
全力
で進めてまいりました。これにより、
農林水産物
の輸出は六年連続で過去最高を更新し、昨年、EUへの牛肉や米の輸出は約三割ふえるなど、着実に成果があらわれています。 一方で、
我が国
の
農林水産業
が
高齢化
や
担い手不足
といった
課題
に直面する中で、こうした政策を更に進めていくためには、中山間
地域
や
中小
・
家族経営
も含め、幅広く
生産基盤
の
強化
を図ることが欠かせません。農地の大
規模
化、牛の増産や水産業の
生産性向上
など、三千億円を超える
予算
で
生産基盤
の
強化
を進め、国際競争や
災害
にも負けない強い
農林水産業
、農山漁村を
構築
してまいります。
CSF
については、一刻も早い終息に向けて、引き続き、防疫の基本である
飼養衛生管理
の
徹底
、経口ワクチンの散布等の
野生イノシシ対策
、発生農家に対する補償や経営再開への
支援策
を講じるとともに、
消費者
への
情報発信
など、風評
被害
対策
にもしっかりと取り組んでまいります。 また、
我が国
への侵入の脅威が高まっている
ASF
については、家畜防疫官の権限
強化
や検疫探知犬の増頭など、水際における防疫
対策
を
強化
するとともに、予防的殺処分の
実施
に向けた
体制
を整備することとしており、所要の改正法案を今
国会
に
提出
する予定です。
新型コロナウイルス
の
感染拡大防止
に向けた
対策強化
についてお尋ねがありました。 今般の
中国
・武漢市における
新型コロナウイルス
に関連した
感染
症については、現在、患者数が増加しております。 これを受けて、一月二十一日に関係閣僚
会議
を開催し、私から、検疫における
水際対策
の一層の
徹底
、
感染
症の発生
状況
等の
情報収集
の
徹底
、
国民
に対する迅速かつ的確な
情報
提供などに万全を期すよう指示を出しました。 昨日から本日にかけて、
世界
保健機関、WHOは、今般の
新型コロナウイルス
に関して緊急委員会を開催しましたが、今般の
事態
に係る
リスク
評価等については、本日、改めて委員会を開催し、
検討
を行うこととなったと承知しております。
政府
としては、現在、
中国
において患者が更に
拡大
していることを踏まえ、武漢市に対する
感染
症危険
情報
レベルを二に引き上げ、不要不急の渡航はやめるよう促すとともに、
中国
からの全ての航空便において機内アナウンスにより体調不良の自己申告を呼びかけるよう各航空会社へ要請すること、
我が国
に入国後、発熱やせきなどの症状が発生した場合に
医療
機関を受診するなど、滞在時の留意事項を記載した健康カードを配布する航空便の
対象
を
中国
からの全ての便に
拡大
するよう各航空会社へ要請すること、
全国
で患者の検査を可能とする
体制
を整備することなど、検疫における
水際対策
や
国内
における検疫
体制
の
強化
などを図ることとしています。 引き続き、
新型コロナウイルス
の
感染拡大防止
に向けて
全力
を尽くしてまいります。
中東情勢
への
対応
と同
地域
への
自衛隊
の
派遣
についてお尋ねがありました。
我が国
の
原油輸入量
の約九割を依存する
中東地域
における緊張の高まりを深く憂慮しており、船舶の航行の安全を
確保
することは、
我が国
の
エネルギー
安全保障上、死活的に重要です。
事態
のさらなるエスカレーションは避けるべきであり、全ての
関係者
が
緊張緩和
と
情勢
の
安定化
のために
外交努力
を尽くすことが必要です。
我が国
は、
米国
と
同盟関係
にあり、同時に
イラン
と長年良好な関係を維持するなど、
中東
各国と良好な関係を築いています。私自身、これまで、トランプ大統領、
イラン
のハメネイ最高指導者、ローハニ大統領と会談を行うほか、今月、サウジアラビア、UAE及びオマーンを訪問しました。これからも、
日本
ならではのさらなる
外交努力
を粘り強く展開していきます。 こうした
外交努力
と調和を図る形で、
自衛隊
の護衛艦及び航空機を
派遣
することとしました。これは、各国の軍が
中東地域
において艦船、航空機などを活用した航行の
安全確保
の
取組
を
強化
していること等も踏まえ、
日本関係船舶
の
安全確保
のため、
我が国
独自の
取組
として、
情報収集
態勢を
強化
する必要があるからです。 今般、
閣議決定
に当たっては、与党においても十分に御
議論
いただきました。
政府
一体となった総合的な
施策
を
関係省庁
が
連携
して
実施
することに加え、
自衛隊
を海外に
派遣
することの
重要性
や
国民
の皆様に対する説明責任の明確化のため、
閣議決定
を行いました。この中で、
活動
期間
を一年とし、さらに、
国会報告
も行うこととしましたが、この際、
公明党
からいただいた御意見も踏まえてこれらの判断をしたところです。
自衛隊
員の使命は
国民
の
リスク
を下げることであり、このため、
自衛隊
員の任務は常に
リスク
を伴うものですが、今般の
活動
においても、きめ細やかな準備や
安全確保
対策
により、
対応
に万全を尽くしてまいります。
核軍縮
の
進展
に向けた
決意
についてお尋ねがありました。
我が国
は、唯一の戦争被爆国として、
核兵器
のない
世界
の
実現
に向けた
国際社会
の
取組
をリードしていく使命を有しています。これは私の揺るぎない信念であり、
我が国
の確固たる
方針
です。 近年、
核軍縮
をめぐっては、
核兵器
国と非
核兵器
国のみならず、非
核兵器
国同士、さらには
核兵器
国同士の間で、各国の立場の隔たりが
拡大
しています。
我が国
は、唯一の戦争被爆国として、これらの国々の橋渡しに努め、対話のための共通の
基盤
の形成や相互の関与に向けて、粘り強く各国を促していく必要があると考えています。 本年は、議員御指摘のとおり、
広島
、長崎への
原爆投下
から七十五年、
NPT発効
五十年という
節目
の年であり、四月から五月にかけて
NPT
運用検討会議
が国連で開催される予定です。
政府
として、この
会議
が有意義な成果をおさめるものとなるよう、
核兵器
のない
世界
に向けた決議や
核軍縮
の実質的な
進展
のための
賢人会議
における
議論
の成果もしっかりと活用しながら、
核軍縮
の
進展
に向けた国際的な
議論
を積極的にリードしてまいります。
広島
県の旧
陸軍被服支廠
についてお尋ねがありました。 被爆者の減少や
高齢化
により被爆体験の風化が危惧されている中、
我が国
は、唯一の戦争被爆国として、
世代
や国境を越えて被爆の実相を承継していく務めがあると考えております。
自治体
が行う
被爆建物
等の保存の
取組
に対しては、従来から、保存工事に対する補助により
支援
を行っています。
広島
県が所有する旧
陸軍被服支廠
の取扱いについては、現在、
広島
県において
検討
が行われていると承知しており、
広島
県における
議論
を踏まえ、国としてもしっかりと
対応
してまいります。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から
答弁
させます。(拍手) 〔
国務大臣
赤羽一嘉君登壇〕
赤羽一嘉
5
○
国務大臣
(赤羽一嘉君)
斉藤鉄夫
議員から二問お尋ねがございました。 まず、一連の
台風災害
の教訓を踏まえた
防災
・
減災対策
についてお答えいたします。 昨年は、相次ぐ
台風
により
各地
で甚大な
被害
が発生し、さまざまな
課題
や教訓が浮き彫りとなりました。
我が国
では、今後も、
気候変動
の
影響
から、いつどこで激甚な水
災害
が発生してもおかしくなく、まさに、
国民
の皆様の命と暮らしを守ることのできる抜本的な
防災
・
減災対策
が喫緊の
課題
と認識をしております。 具体的には、昨年の
台風
第十九号では、利根川水系において、上流のダム群や遊水地で洪水を貯留することができ、また、平素より
計画
的な、下流から堤防を整備してきた
取組
が有効であったことが確認をされた一方で、本川の水位上昇の
影響
を受けて逆流が発生し、支川の堤防が決壊してしまった
河川
も少なくありませんでした。 こうした教訓から、
河川
の上流、下流や本川、支川の流域全体を見据え、国、県、市が
連携
して、遊水地の整備や、本川、支川のバランス等を考慮した
河道掘削
や堤防整備、
強化
などを進めていくことが必要であると考えております。 特に、昨年の
台風
で国管理
河川
の堤防が決壊した七つの水系では、速やかに再度
災害
防止
のための緊急
治水対策
プロジェクトに着手してまいります。 次に、ダムの活用につきましては、一部のダムで事前放流を
実施
したことにより
被害
を最小限に食いとめられたことから、平素より電力
事業者
など利水者との基本的なルールをつくり、事前放流を更に
拡大
する
必要性
が明らかとなりました。 このため、利水者と
連携
した既存ダムの有効活用の方策について取りまとめを行ってまいります。
情報
共有のあり方についても
課題
がございました。 例えば、大雨特別警報解除後に避難先から自宅に戻られて洪水
被害
に遭われた方がいらっしゃいました。こうしたことが再び起こらぬよう、警報解除後の注意喚起の
強化
など、住民の方が適切な避難
行動
をとれるように、正確でわかりやすい
情報
提供の
充実
改善
に努めてまいります。 さらには、
ハザードマップ
が作成されていたものの、十分な活用が図られなかったとの
課題
もございました。このため、適切な避難
行動
が行われるよう、
ハザードマップ
の
周知徹底
や活用の工夫により、実効性のあるマイタイムラインなどの避難
体制
づくりを進め、
地域
住民相互で守り合える自助、共助の
取組
を
強化
してまいります。 これらの教訓と
課題
を踏まえ、昨年十一月より、有識者から成る
社会
資本整備審議会
気候変動
を踏まえた水
災害
対策
検討
小委員会において、
気候変動
による降雨量の増加などを考慮した抜本的な水
災害
対策
への転換について
議論
を進めているほか、土砂
災害
時の避難
体制
の
確保
などのさまざまな
課題
に対しても同様に
検討
を進めていただいております。 さらに、こうした
取組
を
国民
の皆様にとってわかりやすいものとし、
国民
一人一人の
防災
意識を高めていくことが重要であることから、有識者の皆様による
検討
と並行し、今般、私を本部長とし、国土交通省の全部局が
連携
して総力を挙げて取り組む国土交通省
防災
・
減災対策
本部を立ち上げたところでございます。「いのちとくらしをまもる
防災
減災
」をスローガンに、
防災
、
減災
が主流となる安全、
安心
な
社会づくり
に
全力
を傾けてまいる所存です。 次に、
高齢者
の
移動手段
の
確保
や
高齢運転者
の
交通事故対策
のための
支援
についてお答えをいたします。 私は、昨年、池袋の
高齢者
の運転
事故
により御家族を亡くされた御遺族を含む交通
事故
の
被害
者団体の皆様から直接お話を伺い、改めて、あらゆる
施策
を総動員し、交通
事故
の撲滅を強く
決意
いたしました。
高齢運転者
の
交通事故対策
を、
関係省庁
と
連携
し、しっかりと進めてまいります。 私自身、一昨日、衝突
被害
軽減
ブレーキやペダル踏み間違い急発進抑制装置の体験をし、
事故
防止
の効果を確認したところですが、こうした装置が搭載された安全運転サポートカーの購入や装置の後づけ費用の補助の仕組みを
補正予算案
に盛り込ませていただいております。 なお、安全運転
支援
装置はあらゆる
事故
を
防止
することができるものではないことから、
普及促進
に当たりましては、自動車ユーザーが装置のみを過信しないよう、周知啓発にも取り組んでまいります。 あわせて、
高齢者
が運転免許を返納した後の
移動手段
の
確保
にも
全力
で取り組んでまいります。 その受皿となるべき公共交通は、
地方
部を中心に、
人口減少
の本格化、運転者不足の深刻化等に伴い、その経営
環境
はますます厳しくなっています。 このため、来
年度
予算案
には、
各地
の公共交通サービスの維持、
確保
に不可欠なバスや乗り合いタクシーの運行に対する補助等の所要額を計上しているところであり、各
地方
公共団体との密接な
連携
を図りつつ、これらを
最大
限有効に活用して、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 さらに、
地域
ごとに、
地方
公共団体が中心となって、公共交通はもとより、スクールバス等の多様な輸送
資源
を総動員し、移動ニーズに
対応
する
体制
を
強化
する必要があることから、そのための新たな枠組み等を盛り込んだ
地域
公共交通
活性化
再生法等の改正法案を本
国会
に
提出
すべく、現在、準備を進めているところです。 また、
高齢者
等の移動のための多様なモビリティーについては、
電動アシスト自転車
や
電動車椅子
に関する
普及促進
支援
や小型電動モビリティーの購入補助等が
経済
産業省の
補正予算案
等に盛り込まれております。国土交通省といたしましても、
経済
産業省の
取組
と
連携
し、
普及促進
に努めてまいります。 これらの
取組
を通じ、
高齢運転者
の交通
事故
の撲滅、さらには、
高齢者
等の皆様がみずからの運転に頼らずに暮らせる交通
社会
の
実現
に努めてまいります。 以上でございます。(拍手) 〔
国務大臣
小泉進次郎君登壇〕
小泉進次郎
6
○
国務大臣
(小泉進次郎君)
斉藤鉄夫
議員から二問、
気候変動対策
と
レジ袋有料化
の
実施
についてお尋ねをいただきました。
気候変動対策
については、二〇五一年も含めてできるだけ
早期
に脱
炭素社会
を達成するとの思いで、イノベーションに光を当てて、
徹底
した省エネ、再生可能
エネルギー
の主力電源化等に取り組んでまいります。 また、
気候変動対策
と関連して、石炭火力発電の
見直し
が不可欠であり、
国民的理解
を得る冷静な
議論
が必要という御意見がありました。私も同感です。 その上で、石炭火力の輸出について申し上げます。 石炭火力の輸出への
支援
を行う際には、
エネルギー
基本
計画
で定められた四つの要件、いわゆる四要件に従って判断されます。この四要件の中には、
我が国
の高効率石炭火力発電への要請があった場合というものがあります。 今、石炭火力輸出に関し、ベトナムのブンアン2という案件があります。本件は、プラントが外国製であることを考えると、四要件の定める
我が国
の高効率石炭火力発電への要請と言えるのか、
議論
が不可欠であると考えます。先月の
CO
P25でも問題提起をしましたが、
関係省庁
とも、この点についても更に
議論
を行ってまいりたいと考えています。 次に、
レジ袋有料化
について御
質問
がありました。
プラスチック
問題については、
中国
などの廃
プラスチック
輸入禁止
措置
などを真の
循環
型
社会
を
構築
するチャンスと捉え、製品や
社会
システムが廃棄、リサイクル段階までを見越した
循環
型に再設計されるよう、
プラスチック資源循環戦略
のさらなる具現化を進めていきます。 その
取組
の第一歩として、本年七月からの
レジ袋有料化
をきっかけに、
プラスチック
全体について、世の中の景色が変わり、
国民
一人一人の前向きな
行動
変容につながるよう、既に先進的な
取組
を進めてレジ袋辞退率九五%を達成している富山県などの
自治体
や
企業
を後押しします。 また、
マイバッグ持参
の
習慣化
を促すことも重要という御指摘につきましては、昨年十二月より、
環境
省、厚生労働省がある中央合同庁舎五号館のコンビニなど全ての店舗でレジ袋の配布を取りやめました。さらに、内閣府、国土交通省、防衛省でも
取組
が広がっています。これらの府省では
マイバッグ持参
の
習慣化
が始まっていますが、
国民
的な
運動
へとつなげていきたいと思います。 以上です。(拍手) ――
―――――――――――
大島理森
7
○
議長
(
大島理森
君) 志位和夫君。 〔志位和夫君登壇〕
志位和夫
8
○志位和夫君 私は、
日本
共産党を代表して、
安倍総理
に
質問
します。(拍手)
総理
、あなたの施政
方針
演説
を聞いて私が驚いたのは、桜を見る会のサの字もなく、カジノ汚職のカの字もなく、公職選挙法違反の疑惑で二人の閣僚が辞任した問題にも一言も触れなかったことです。 これらは全て、
総理
の直接の責任が厳しく問われる問題です。
総理
には、その自覚がないのですか。
国民
に進んで説明しようという意思がないのですか。まず、お答えいただきたい。 具体的に聞きます。 桜を見る会疑惑で第一に問われるのは、
総理
が
国民
の血税を使って地元有権者を買収していたのではないかという疑惑です。
総理
は、安倍事務所が、後援会の
関係者
を含め、幅広く参加者を募り、推薦を行っていたことを認めたものの、招待者は最終的には内閣官房と内閣府で取りまとめを行っているので公選法違反に当たらないと弁明しています。 ならば、聞きます。安倍事務所が推薦した人は何人で、そのうち内閣官房と内閣府の判断で招待者にしなかった人は何人いるのですか。事実上ノーチェックで招待されていたのではありませんか。そうであれば、血税を使った買収そのものではありませんか。 第二は、悪徳商法で悪名をはせていたジャパンライフの山口会長を
総理
自身の推薦で招待し、
被害
を広げた疑惑であります。
総理
は、この問題を問われると、招待者や推薦元については
個人
情報
なので回答を控えると言いますが、なぜ推薦元まで開示できない
個人
情報
なのか。また、山口会長自身が招待をされたことをみずから大々的に明らかにしている以上、
個人
情報
を盾に
答弁
を拒否することは成り立たないではありませんか。 悪徳商法の会長を一体誰の責任で招待したのか、しかとお答えいただきたい。 第三は、二〇一三年から一七年の招待者名簿が、公文書管理法に違反して、行政文書ファイル管理簿にも記載せず、
総理
の同意手続も行わないまま破棄されるという違法行為が行われていたことを
政府
が認めたことについてです。 そうなりますと、
総理
の昨年十二月二日の、内閣府は定められた手続にのっとって招待者名簿を廃棄しているとした
国会
答弁
は、虚偽
答弁
となるではありませんか。 内閣府の責任者は
総理
大臣です。
総理
、あなたは、違法行為の責任、虚偽
答弁
を行った責任を負っているとの自覚はありますか。お答えいただきたい。 さらに、
政府
が二〇一九年の招待者名簿を、会の終了後、遅滞なく破棄したとしていることにも重大な問題があります。公文書管理法に基づく行政文書管理ガイドラインは、森友問題などを踏まえ、事業の実績の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書については、原則として一年以上の保存を義務づけているからです。遅滞なく破棄したなら、みずから決めたガイドライン違反ではありませんか。 これらの全ての事実は、
安倍政権
が当初から、
国民
の知的共有財産である公文書を法律や規則を無視して廃棄したとすることで、招待者名簿の
組織
的隠蔽を図っていることを疑問の余地なく示していると考えますが、いかがですか。明確な
答弁
を求めます。 カジノ汚職にかかわっても、
総理
の責任は極めて重大です。
総理
自身が成長戦略の目玉に据えたカジノをめぐって汚職事件が起こり、
総理
自身が任命したカジノ担当副大臣が収賄疑惑で逮捕された。
総理
は、この責任をどう自覚しているのですか。
総理
は、事件とIRは別だとして、カジノ
実施
への暴走をやめようとしません。しかし、
国会
でカジノ
実施
法が強行された際の参議院の附帯決議では、収賄等の不正行為を
防止
することを国に義務づけています。この附帯決議が守れなかったのです。ならば、カジノ
実施
は中止すべきではありませんか。野党は、共同でカジノ廃止法案を
提出
しました。それへの態度も含めて、
答弁
を求めます。 暮らしと
経済
について
質問
します。 消費税一〇%への増税が、新たな不況を引き起こしつつあります。家計消費は前年比で二カ月連続のマイナス、景気動向指数は四カ月連続の悪化、日銀の世論
調査
では
個人
の景況感が六期連続で悪化し、五年ぶりの低さに落ち込みました。
中小
の商店は、増税による売上げの減少に加えて、大手店舗やポイント還元参加店に客を奪われ、複数
税率
で事務負担がふえるなど、三重苦、四重苦を押しつけられています。 スーパーマーケットの倒産は、七年ぶりに、昨年、前年比で増加に転じました。破産した高知市の幸町スーパーマーケツトの店頭に掲示されたおわびの文書には、このように書かれていました。
軽減税率
の
実施
に伴う新規レジ購入による負担や電子マネーの
普及
により、
想定
していた以上に資金繰りが難しくなった。これが声ですよ。
総理
、あなたが強行した消費税一〇%への増税が、
日本経済
に新たな不況をもたらし、
中小
業者を深刻な苦境のふちに追い込んでいるという認識はありますか。はっきりお答えください。 重大なことは、
安倍政権
が、
社会保障
のためといって消費税増税を強行しながら、その直後に、全
世代型社会保障
の名で、
社会保障
の全面的な切捨てを進めることを宣言したことです。
総理
は、若い
世代
の負担上昇を抑えるために、
高齢者
にある程度の御負担をいただくと言っています。しかし、実際にやろうとしていることはどんなことか。
政府
は、七十五歳以上の
医療
費窓口負担に二割負担、すなわち従来の二倍の負担を
導入
しようとしています。高齢になればなるほど複数の病気を抱え、治療にも時間がかかります。
総理
、あなたは、
所得
が少ない方に二割負担を押しつければ、深刻な受診抑制を引き起こす危険があると考えませんか。
政府
は、
介護
施設に入所する月収十万円から十二・九万円の
方々
の食費負担を月二万円引き上げる
計画
を打ち出しています。
介護
、
医療
の関係団体からは、この負担増案が実行されれば、負担を苦にした施設からの退所や入所断念が起こりかねないという強い懸念の声が表明されています。
総理
、
高齢者
への負担増の押しつけは、
高齢者
の命と暮らしを壊すとともに、現役
世代
の負担増に直結し、
介護
離職に拍車をかけることになるという認識が、あなたにはないのですか。
年金
では、マクロ
経済
スライドによって、現在三十七歳から三十八歳の人が
年金
を受け取り始めるときまで給付削減を続け、基礎
年金
を現行より約三割、七兆円も削ろうとしています。その
被害
を最も受けるのは、若い
世代
ではありませんか。 結局、
総理
、あなたの言う全
世代型社会保障
の正体は、
高齢者
も現役
世代
も若い
世代
も、文字どおり全
世代
を
対象
にした
社会保障
切捨てではありませんか。このような血も涙もない大改悪を、現役
世代
のためといううそをつき、
高齢者
と現役
世代
との間に対立と分断を持ち込んで押しつけるなどというのは、まともな
政治
のやるべきことではないと考えますが、いかがでしょうか。
日本
共産党は、消費税を緊急に五%に減税し、景気
回復
を図ることを強く求めます。
社会保障
切捨てをやめ、
充実
に切りかえることを強く求めます。
全国
知事会が提唱しているように、公費一兆円を投入して、高過ぎる国保料を大幅に値下げするべきです。マクロ
経済
スライドを廃止し、減らない
年金
にするべきです。
中小企業
支援
とあわせて最低賃金を直ちに
全国
どこでも時給千円に引き上げ、千五百円を目指し、
全国
一律の最低賃金
制度
を創設すべきではありませんか。全ての学生を
対象
に、授業料を速やかに半分に値下げし、段階的に無償にすべきです。
日本
共産党は、これらの
施策
のための
財源
を、富裕層と大
企業
優遇の不公平
税制
を正し、応分の負担を求めるとともに、トランプ大統領言いなりの
米国
製武器の爆買いを始め無駄遣いを一掃し、消費税に頼らない別の道で賄う具体的な提案をしています。 以上の点について、
総理
の
見解
を問うものです。
中東
における緊張激化と
自衛隊
派兵について聞きます。 トランプ大統領の指示によって行われた米軍による
イラン
司令官殺害をきっかけに、
中東
の緊張が激化し、軍事衝突から戦争に発展する危険が依然として続いています。私は、
安倍政権
の
対応
には三つの大問題があるということを指摘したいと思います。 第一は、
総理
が、米軍による
イラン
司令官殺害に対して一言も批判を述べていないことです。どんな理由であれ、主権国家の要人を空爆によって殺害する権利は、
世界
のどの国にも与えられていません。それは国連憲章に違反した無法な先制
攻撃
そのものです。
総理
は
米国
の無法な軍事力行使を是とするのか、非とするのか、明確な
答弁
を求めます。 第二は、今日の
米国
と
イラン
の軍事的緊張の根源は、二〇一八年五月、トランプ政権が
イラン
核合意から一方的に離脱したことにあります。にもかかわらず、
総理
が、
イラン
には核合意の維持、履行を要請しながら、トランプ大統領には核合意への復帰を求めないのは一体なぜなのですか。説明していただきたい。 第三は、
中東
の緊張が著しく高まっているにもかかわらず、トランプ大統領が呼びかけた有志連合に事実上応える形で、
中東
沖への
自衛隊
派兵を進めていることです。
政府
は、
自衛隊
は米軍に
情報
を提供し共有するとしています。そうなりますと、仮に
米国
と
イラン
に軍事衝突が起きれば、
自衛隊
は米軍とともに戦争をすることになるではありませんか。 こうした
安倍政権
の
対応
は、橋渡しなどとは決して言えません。
米国
のお先棒担ぎそのものではありませんか。
日本
船舶の安全のためにも、
中東地域
の
緊張緩和
のためにも、今
総理
がなすべきは、
自衛隊
を出すことではない、トランプ大統領に対して
イラン
核合意への復帰を説く
外交努力
じゃありませんか。
見解
を求めます。 最後に、ジェンダー平等について、
総理
の基本認識をただしたいと思います。
世界経済フォーラム
が公表したグローバルジェンダーギャップ指数で、二〇一九年、
日本
は百五十三の国のうち百二十一位となり、過去最低を更新しました。
総理
はこの結果をどう受けとめておられますか。恥ずかしい結果だという認識はありますか。 その上でお聞きしたいのは、そもそも
総理
がジェンダー平等という概念をどう
理解
しているかという問題です。 ジェンダーとは、
社会
が構成員に対して押しつける、
女性
はこうあるべき、男性はこうあるべきなどの
行動
規範や
役割
分担などを指し、一般には、
社会
的、文化的につくられた性差と定義されています。しかし、それは決して自然にできたものでなく、その多くが
政治
によってつくられてきたものだと考えますが、
総理
はどのように認識していますか。
日本
におけるジェンダー平等のおくれは、
政治
が大きな責任を負っているという自覚はありますか。まず、
答弁
を求めたいと思います。 その上で、
政治
の責任について、具体的に四点について聞きます。 第一に、
日本
の男女の賃金
格差
は、OECDの
調査
では、正社員でも男性の一〇〇に対して
女性
は七五・五。OECD三十五の国のうち三十三位です。この是正のためにも、賃金
格差
の実態を見えるようにすること、すなわち
企業
が実態を
情報
公開することは第一歩になります。 ところが、
安倍政権
は、昨年の
女性活躍
推進
法改正で、男女の賃金
格差
状況
の開示を義務づけることを、経団連の意向を受け入れて見送ってしまいました。これでいいんでしょうか。この態度を改め、男女の賃金
格差
状況
の開示を義務づけるべきではありませんか。 第二に、夫婦同姓を法律で強制している国は、
世界
で
日本
だけです。民法を改正して、選択的夫婦別姓を
実現
するべきではありませんか。同姓か別姓かを自由に選べるこの
制度
によって、不利益をこうむる人は誰もいないはずです。なぜ
総理
はこの
制度
の
導入
に賛成することをかたくなに拒むのか、説明していただきたい。あわせて、同性婚を認める民法改正を行うべきではありませんか。
答弁
を求めます。 第三に、二〇一七年の刑法改正は、性犯罪を非親告罪にするなど前進がありましたが、なお大きな問題点を抱えています。同意のない性交、強制性交であっても、
被害
者が拒否できないほどの暴行、脅迫があった、若しくは酒や薬、精神的支配などにより抵抗できない抗拒不能の状態であったことが認められなければ犯罪になりません。 強制性交等罪の暴行・脅迫要件を撤廃し、同意要件を新設すべきではありませんか。今、性暴力根絶を求めるフラワーデモが
全国
に広がっていますが、この声に
政治
が応えるべきではありませんか。 第四に、
総理
は、
安倍政権
のもとで、セクハラ罪という罪はない、LGBTは
生産
性がないなど、ジェンダー平等に逆行する発言が繰り返される原因はどこにあると認識していますか。自民党改憲案が
個人
でなく家族を
社会
の基礎的単位とあえて位置づけ直したことに象徴されるように、男尊女卑に貫かれた戦前の家
制度
への逆行の思想が根底にあるのではありませんか。しっかりお答えいただきたい。 ジェンダー平等
社会
を目指すとは、あらゆる分野で真の男女平等を求めるとともに、更に進んで、男性も
女性
も多様な性を持つ
人々
も、差別なく平等に尊厳を持ち、みずからの力を存分に発揮できるようになる
社会
を目指すということであります。
日本
共産党は、その
実現
を目指して、多くの野党の皆さんとともに、学び、自己改革を図り、力を尽くす
決意
を表明するものであります。
安倍政権
が発足して七年。
政治
モラルの崩壊、内政、外交の行き詰まりなど、
安倍政権
にこの国のかじ取りをする資格はもはやありません。他の野党の
方々
と力を合わせ、野党共闘の力で
安倍政権
を倒し、政権交代を
実現
し、新しい
日本
をつくるために
全力
を挙げる
決意
を述べて、
質問
を終わります。(拍手) 〔内閣
総理
大臣安倍晋三君登壇〕
安倍晋三
9
○内閣
総理
大臣(安倍晋三君) 志位和夫議員にお答えいたします。 施政
方針
演説
と説明責任についてお尋ねがありました。 まず、桜を見る会については、本年は開催せず、また今
国会
に
提出
した百兆円を超える来
年度
予算
には関係
予算
を全く計上していないことから、施政
方針
演説
に特段の記載を行っておりません。 また、捜査に関する事柄に関しては、内閣として言及することが個別の事案の捜査に
影響
を与える可能性があることから、記載しなかったものです。 いずれにしましても、これらについては、私の
演説
内容のいかんにかかわらず、
国会
における御指摘があることはもとより承知しているところであり、こうした御指摘には当然誠実に
対応
させていただく所存であります。 桜を見る会の推薦者についてお尋ねがありました。 私の事務所からの推薦に基づく招待人数の概数については、既に官房長官が、内閣官房及び内閣府の事務方を含む
関係者
からの聞き取りを踏まえ、
国会
にて報告をしたところですが、私の事務所から何名を推薦したのかについては、既に記録が残っていないことから、その詳細は明らかではありません。 また、内閣官房が確認した結果、私の事務所から推薦を行った者で、招待されなかった例もあったものと承知しております。具体的な人数については、名簿も廃棄されていることから、明らかではありません。 いずれにしても、桜を見る会の招待者については、
提出
された推薦者につき、最終的に内閣官房及び内閣府において取りまとめを行っているところであり、当該プロセスに私は一切関与していないことから、公職選挙法に抵触するものではないかとの御指摘は当たりません。 桜を見る会の招待者についてお尋ねがありました。 桜を見る会の個々の招待者の推薦元に関する
情報
は、その者
個人
に関する
情報
であるとともに、招待者に密接に関係する
情報
でもあることから、従来から回答を差し控えさせていただいているところです。 また、招待の有無等については
個人
に関する
情報
であり、個々の言動等を踏まえて、
政府
として明らかにすることは考えておりません。 なお、一般論として申し上げれば、桜を見る会が
企業
や
個人
の違法、不当な
活動
に利用されることは決して容認できません。 招待者名簿の管理についてお尋ねがありました。 御指摘の私の
答弁
については、あくまで昨年の招待者名簿に関して行ったものであり、昨年の招待者名簿は、内閣府において、公文書管理法などのルールに基づき、会の終了後遅滞なく廃棄する
対応
をしたところです。虚偽
答弁
との御指摘は当たりません。 また、御指摘の行政文書の管理に関するガイドラインについては、平成二十九年十二月にこれを改正し、保存
期間
一年未満の行政文書の取扱いに関する新たなルールを設けたところです。これに基づき、桜を見る会の招待者名簿については、会の終了をもって使用
目的
を終えるほか、
個人
情報
を含んだ膨大な量の文書を適切に管理するなどの必要が生じることから、保存
期間
一年未満文書として、終了後遅滞なく廃棄する取扱いとしたものです。このような
対応
は、ガイドラインにのっとった
対応
であると考えており、法律等を無視して
組織
的隠蔽を図ったとの御指摘は当たりません。 なお、菅内閣、野田内閣の民主党政権
時代
の平成二十三年、二十四年を含めて、平成二十三年から二十九年の間の招待者名簿の取扱いについては、公文書管理法に違反するものであり、当時の文書管理者である担当課長を厳正に処分するとともに、官房長官から内閣府に対し、改めて文書管理のルールの
徹底
を指示したところと承知しております。 IRについてお尋ねがありました。 副大臣も務めた現職の
国会議員
が逮捕、起訴されたことはまことに遺憾です。 かつて副大臣に任命した者として
事態
を重く受けとめておりますが、御指摘の事案については、捜査中の刑事事件にかかわる事柄であることから、詳細なコメントは差し控えます。 また、法律案の取扱いについては
国会
においてお決めになるべき事柄と承知しておりますが、IRは、カジノだけでなく、国際
会議
場、展示場や大
規模
な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設として、観光先進国の
実現
を後押しするものと考えています。 もとより、IRの
推進
に当たっては
国民
的な
理解
が大変重要であり、
事業者
の選定における公正性、透明性の
確保
についても、今月発足した高い独立性を有するカジノ管理委員会や
国会
での御
議論
も十分に踏まえて丁寧に進めてまいりたいと考えております。 消費
税率
の
引上げ
の
日本経済
への
影響
についてお尋ねがありました。
消費税率引上げ
の前の
駆け込み需要
やその後の落ち込みは、一部では
台風
の
影響
等もあって販売減が見られておりますが、現時点では、全体として前回ほどではないと見られています。引き続き、
引上げ
による
影響
には十分注意してまいります。 その上で、相次いだ
自然災害
からの
復旧復興
に加え、海外発の下方
リスク
に万全の備えを行うため、事業
規模
二十六兆円に及ぶ
総合経済対策
を取りまとめました。 この中で、
中小企業
、
小規模事業者
の
生産性向上
に資する
取組
を複数年にわたり継続的に
支援
することとしており、
我が国経済
の屋台骨を支える
中小
・
小規模事業者
をしっかりと
支援
してまいります。
東京
オリンピック・パラリンピック後も見据え、切れ目なく政策を実行していくことで、デフレ脱却と
経済
再生への道筋を確かなものとしてまいります。 全
世代型社会保障
の考え方についてお尋ねがありました。 全
世代型社会保障
は、
人生
百年
時代
の到来を見据えながら、働き方の変化を中心に据えて、
年金
、
医療
、
介護
、
社会保障
全般にわたる改革を進めるものです。 生涯現役で
活躍
できる
社会
をつくる中で、年齢ではなく
能力
に応じた負担への
見直し
を進めることで、現役
世代
の負担上昇を抑えながら、全ての
世代
が
安心
できる
社会保障
制度
を
構築
してまいります。
医療
費の窓口負担割合については、七十五歳以上の
高齢者
であっても
一定
の
所得
以上の方について新たに二割とすることとし、
高齢者
の疾病、
生活
状況
等の実態を踏まえて、具体的な
所得
基準とともに、長期にわたり頻繁に受診が必要な患者の
高齢者
の
生活
等に与える
影響
等を見きわめ、適切な配慮等について
検討
を行ってまいります。
介護
施設における食費や居住費への助成については、現行の助成
制度
においては
年金
収入の水準いかんによっては助成額に大きな差異が生じる場合もあり、
社会保障
審議会において、こうした
年金
収入段階ごとの助成額の差をなだらかにする
見直し
案が
検討
されているものと承知しております。 引き続き、厚生労働省において
検討
を進め、二〇二一
年度
からの次期
介護
保険
計画
期間
が始まるまでの間に成案を得ることとしています。 また、
介護
離職
対策
については、
介護
の受皿整備、
介護
人材
確保
対策
、仕事と
介護
が両立できる
環境
整備などを総合的に進めてまいります。
年金
については、昨年公表した財政検証の結果によれば、将来
世代
の給付
確保
のために行うマクロ
経済
スライドによる調整が終了した後の
所得
代替率は、前回よりも悪化するのではないかとの一部の臆測に反し、代表的なケースでは、前回検証時の五〇・六%に対し、五〇・八%と
改善
したところであります。また、基礎
年金
額は、物価上昇分を割り戻した実質価格で見ておおむね横ばいとなっており、三割も削ろうとしているとの御指摘は当たりません。 消費税の減税等についてお尋ねがありました。 今回の消費
税率
の
引上げ
は、
少子高齢化
という国難に正面から取り組むに当たり、お年寄りも
若者
も
安心
できる全
世代型社会保障
制度
へと大きく転換していくためにどうしても必要なものです。
他方
、景気については、事業
規模
二十六兆円の
総合経済対策
を取りまとめ、相次いだ
災害
からの
復旧復興
や海外発の下方
リスク
に対し、万全の
対応
を行ったところです。 国保
制度
については、毎年約三千四百億円の新たな財政
支援
を継続することにより、安定的な運営を強力に後押ししてまいります。
年金
のマクロ
経済
スライドについては、将来
世代
の給付水準の
確保
のために不可欠な仕組みであることから、廃止は考えていません。 最低賃金については、政権発足以降の七年間で、
全国
加重平均で百五十二円引き上げました。今
年度
は、現行方式で過去最高の上げ幅となっています。引き続き、
中小企業
、
小規模事業者
が
賃上げ
しやすい
環境
を整備することと相まって、
地域
間
格差
にも配慮しながら、
引上げ
を図ってまいります。 高等
教育
への進学の
支援
については、これまでも無利子
奨学金
の
対象者
の
拡大
などの
充実
を図ってきましたが、本年四月から、真に
支援
が必要な学生に対する高等
教育
の
無償化
を
実現
することとしています。引き続き、家庭の
経済
事情にかかわらず、
安心
して学べる
環境
の整備に努めてまいります。 なお、法人税や
所得
税については、これまで、法人税の課税ベースの
拡大
による
財源
確保
とあわせた法人
税率
引下げ、
所得
税の最高
税率
の
引上げ
、金融
所得
課税について
税率
を一〇%から二〇%に倍増するなどの
施策
を既に講じてきたところであり、今後の
税制
のあり方については、これまでの改正の効果を見きわめるとともに、
経済
社会
の
情勢
の変化等も踏まえつつ、
検討
する必要があると考えています。 また、これまでの歳出改革の
取組
を着実に進め、無駄を
徹底
して排除することにより、財政健全化も着実に進めてまいります。 米・
イラン
関係についてお尋ねがありました。 ソレイマニ司令官の殺害に関しては、
我が国
は直接の当事者ではなく、詳細な事実関係を十分把握する立場にないことから、法的評価について確定的なことを申し上げることは差し控えます。 その上で申し上げれば、
米国
は、国連の安保理
議長
宛てに、自衛権の行使として行ったものである旨の書簡を
提出
したと承知しています。
我が国
は、
イラン
核合意を、国際不
拡散
体制
の
強化
と
中東
の安定に資するものとして、今日に至るまで一貫して支持しています。同時に、
米国
とは、
イラン
の核保有を認めず、
地域
の平和と安定を
確保
するという
目標
を共有しています。 トランプ大統領との間でも、
イラン
の核問題が平和的に解決され、
地域
の平和と安定が
確保
されるよう、真剣な
議論
を行ってきています。 今後も、トランプ大統領やローハニ大統領との
個人
的な信頼関係を活用しつつ、
中東
における
緊張緩和
及び
情勢
の
安定化
に向け、粘り強い平和外交を展開してまいります。
中東地域
における
自衛隊
による
情報収集
活動
及び
米国
との
連携
についてお尋ねがありました。 現時点において、
米国
、
イラン
双方とも、これ以上のエスカレーションを回避したい意向を明確にしています。 具体的には、
米国
のトランプ大統領は、八日の
演説
において、軍事力を使いたくない旨の発言をしており、また、
イラン
のザリーフ外相は、八日、
イラン
は相応の報復
措置
を完了した、さらなる緊張や戦争を望まない旨発言しているものと承知しています。 こうした
状況
も踏まえれば、現時点において、米・
イラン
間で武力の行使が行われている
状況
ではないと認識しており、
自衛隊
が何らかの武力紛争に巻き込まれるような危険があるとは考えていません。 その上で、
我が国
としては、
米国
提案の海洋安全保障イニシアチブには参加せず、
我が国
独自の
取組
として
自衛隊
による
情報収集
活動
を
実施
し、
米国
との
連携
の一環として
情報
共有を行うこととしています。
米国
と
情報
共有を行ったとしても、
我が国
が
米国
の指揮統制を受けることはなく、また、
米国
のニーズに応じて
活動
を行うわけでもありません。 このように、
自衛隊
の
活動
は、あくまでも
我が国
独自の
取組
として行うものであり、他国による武力
攻撃
が発生しているような
状況
下で、
我が国
がみずから武力紛争に巻き込まれるような形で行うものではないと考えています。
中東情勢
への
対応
についてお尋ねがありました。
我が国
は
中東
に原油輸入の約九割を依存しており、船舶の航行の安全を
確保
するため、
外交努力
と相まって、
情報収集
態勢を
強化
する
観点
から、
我が国
独自の
取組
として
自衛隊
を
派遣
することとしました。
中東
に対する
日本
の外交的関与は、
イラン
からも、また先般訪問したサウジアラビア、UAE、オマーン各国からも高く評価されており、
米国
のお先棒担ぎとの指摘は全く当たりません。 トランプ大統領との間でも、先ほど述べたとおり、
イラン
の核問題が平和的に解決され、
地域
の平和と安定が
確保
されるよう、真剣な
議論
を行ってまいります。 ジェンダー平等についてのお尋ねがありました。
我が国
のジェンダーギャップ指数が国際的に低いことについては、
経済
分野における
女性
管理職の割合が低いことなどが主な要因でありますが、これらについては、
一つ
一つ
の
課題
にしっかりと取り組んでいくことが必要と認識しています。 安倍内閣のもと、強力に
取組
を進めた結果、
女性
の就業者は二百八十万人以上ふえました。保育の受皿整備を進めるなどにより、M字カーブも確実に解消に向かっています。また、コーポレートガバナンス改革などにも取り組んだ結果、この七年間で、上場
企業
の
女性
役員は三倍以上にふえています。今後とも、
政治
の責任において、
女性活躍
を後押しする
制度
整備などに
全力
で取り組んでいく考えであります。 一方で、例えば、
育児休業
などの両立
支援
制度
については、
政治
の側が幾ら
制度
整備を進めても、実際には、職場の雰囲気や
組織
風土によって利用しづらいという声が根強くあります。全ての
女性
が
活躍
できる
社会
をつくり上げるためには、
政治
だけの
課題
と捉えるのではなく、
社会
全体での意識改革を進めていく発想が不可欠であると考えています。 ただし、そのためにも、
政治
に果たすべき
役割
があると考えています。
女性活躍
推進
法の制定は、見える化を
徹底
することを通じて、経営者の意識改革、
組織
風土の変化を促すものです。今後とも、安倍内閣は、
社会
全体の機運を一層高めていくため、
女性活躍
の旗を高く掲げていく考えであります。 男女間の賃金
格差
についてお尋ねがありました。
我が国
の男女の賃金
格差
の要因には、管理職比率と勤続年数の差異を始め、さまざまなものがあると承知しています。こうした複合的な要因がある中で、一律に男女の賃金の差異の公表を行うと、求職者の誤解や混乱を招くおそれもあるとの指摘等もあり、
女性活躍
推進
法に基づく
情報
公開の
対象
とはしていません。 一方で、男女間の賃金
格差
の
改善
を図ることは重要な
課題
であると認識しております。
政府
としては、男女の賃金
格差
の是正に向けて、昨年五月末に
成立
した
改正女性活躍推進法
において、管理職比率の
目標
など自社の
課題
に基づいた
目標
を設定し、取り組むための事業主
行動計画
の
策定
義務の
対象
拡大
を図るとともに、
出産
や
育児
に関係なく
女性
が働き続けられる
環境
等のために、保育の受皿の整備等の両立
支援体制
の整備も
推進
しているところであり、こうしたさまざまな
取組
を総合的に進めていくことにより、男女間の賃金
格差
の解消に努めてまいります。 選択的夫婦別氏
制度
及び同性婚
制度
についてお尋ねがありました。 夫婦の別氏の問題については、
我が国
の家族のあり方に深くかかわる事柄であり、
国民
の間にさまざまな意見があることから、引き続き、
国民
各層の意見を幅広く聞くとともに、
国会
における
議論
の動向を注視しながら、慎重に
対応
を
検討
してまいります。 また、同性婚
制度
に関してでありますが、憲法二十四条は、婚姻は両性の合意のみに基づいて
成立
すると定めており、現行憲法のもとでは、同性カップルに婚姻の
成立
を認めることは
想定
されておりません。同性婚
制度
の
導入
の是非は、
我が国
の家族のあり方の根幹にかかわる問題であり、極めて慎重な
検討
を要するものと考えております。 性犯罪の要件の
見直し
についてお尋ねがありました。 性犯罪は、
被害
者の人格や尊厳を著しく侵害する悪質、重大な犯罪であると認識しております。 平成二十九年に
成立
した刑法の一部を改正する法律の附則においては、施行後三年を目途として
施策
のあり方について
検討
を加えることが求められており、
被害
者を始めとするさまざまな方の御意見に耳を傾けつつ、御指摘の点を含めて、適切に対処してまいりたいと考えています。 ジェンダー平等に関連し、各種の発言、自民党の改憲案などについてお尋ねがありました。
女性
差別、セクハラは、重大な人権侵害であり、あってはならないものであります。また、
社会
において
多様性
が尊重されるべきことは言うまでもありません。 発言に当たっては、こうした認識について誤解を招くことのないよう、また、
関係者
を傷つけることのないよう、細心の注意を払う必要があると考えます。 なお、御指摘の自民党の改憲案は、家族のきずなを重視するものであり、
個人
と家族とを対比して考えようとするものではないと承知しております。 いずれにせよ、男女共同参画
社会
基本法にあるとおり、
女性
も男性も、
個人
としての尊厳が重んぜられること、性別による差別的取扱いを受けないことなどの理念がこれからも貫かれるべきことは当然のことであると考えております。(拍手) 〔
議長
退席、副
議長
着席〕 ――
―――――――――――
赤松広隆
10
○副
議長
(赤松広隆君) 馬場伸幸君。 〔馬場伸幸君登壇〕
馬場伸幸
11
○馬場伸幸君
日本
維新の会の馬場伸幸です。(拍手) まず、
質問
に入る前に、
中国
で発生した
新型コロナウイルス
による肺炎の
感染拡大
問題について申し述べます。 あすから
中国
の春節に入り、多くの
方々
が訪日されることもあり、
国民
は大きな不安を抱いています。
日本
維新の会は、本日、
対策
本部を
設置
し、午前中に第一回会合を開催しましたが、
政府
においても、加藤厚生労働大臣始め内閣が一体となって、強い危機感を持って、
水際対策
など万全の防疫
体制
をしくとともに、
国民
への
情報
提供と説明責任を果たすよう、強く要望いたします。 それでは、
質問
に入ります。 我々
日本
維新の会は、
地方
から生まれた唯一の国政政党として、特定の
組織
、団体に依存しない唯一の国政政党として、身を切る改革を実行する唯一の国政政党として、八回目の通常
国会
を迎えました。 八年前、平成二十四年の秋には、
地域
政党である大阪維新の会が国政政党
日本
維新の会を立ち上げ、
最大
の政策
課題
として掲げた大阪都構想を
実現
するための大都市
地域
特別区
設置
法が
成立
をいたしました。 まさに明治維新の廃藩置県以来の大改革であり、この間の戦いは容易ではありませんでしたが、
全国
の支持者の皆様の御
支援
を得て、本年十一月には改めて都構想を
実現
するための住民投票を
実施
できる運びとなりました。 豊かな大阪を取り戻し、
東京
一極から二極、二極から多極へと、
日本
の繁栄を支えるエンジンを
拡大
していくために、何としても勝ち抜いてまいりたいと存じます。 ただし、私
たち
日本
維新の会にとっては、都構想はゴールではなくスタートであります。
国会
の中ではまだまだ小さな政党ですが、少子長寿
社会
を迎える
日本
のかじ取りを任せていただける大政党へと成長していくための飛躍の年にしてまいりたいと思います。
日本
維新の会の結党当時、公表した維新八策には、そのための基本政策が盛り込まれていましたが、今
国会
では、改めて、この維新八策をブラッシュアップし、
政府
・与党、自民党に対して本質的チャレンジを挑んでまいります。 私
たち
は、与党である自民党に対峙するという意味では正真正銘の野党ですが、政策の一致なき野合には加わりません。
政府
・与党のプランAに対して、包括的な政策パッケージ、プランBを掲げて論戦を挑むことのできる唯一の野党として、正々堂々と
国会
の論戦をリードしてまいりたいと存じます。 さて、維新以外の野党は、いわゆるモリカケ問題から始まり、昨年からメニューに加わった桜を見る会を含め、
政府
のスキャンダル追及に余念がありません。かれこれ四年近くにわたり、この本
会議
場から
予算
委員会が開かれる第一委員会室、さらには各常任委員会までを席巻し、
国民
はできの悪い茶番劇、猿芝居を見せ続けられてきました。 そろそろ棚卸しをして、本来の国政
課題
である憲法改正、
自衛隊
の
中東
派遣
など安全保障政策、
年金改革
始め
社会保障
制度
改革に関する論戦に
国会
の軸足を戻そうではありませんか。 確かに、桜を見る会のずさんな運営自体は、
安倍政権
のみならず鳩山政権でも行われていたものであり、その是正は不可欠です。ただ、政局にしても何も生まれません。 むしろ、モリカケから桜まで、一連のスキャンダルを通じてあらわとなった
安倍政権
最大
の
課題
は、公文書の改ざんであり、廃棄であり、それを罪と思わない
政府
の姿勢は言語道断です。 そうした
観点
から、
日本
維新の会は、既に公文書管理法改正案を
策定
し、
国会
に
提出
をしてきました。柱は、一、公文書の管理全般をペーパーレス化する、二、保存
期間
、廃棄の概念を廃止し、全ての公文書を永久保存とする、三、公文書の一元的管理の仕組みや
体制
を
構築
するというものです。今
国会
で与党や他の野党と
議論
し、成案が得られるよう尽力していきます。
総理
に伺います。我が党の公文書管理法改正案に賛同していただけますか。賛同できないなら、その理由も示してください。 公文書の意義を軽視する行
政府
の意識改革を
徹底
するために、憲法改正によって国立公文書館を内閣から独立した会計検査院のような憲法機関とするとともに、公文書管理の基本理念を憲法に明記することも一案と考えますが、
見解
をお答えください。
日本
維新の会は、特定のイデオロギーを表現するためではなく、ただいま提案した公文書管理の問題のような
日本
が抱える具体的な
課題
を解決するために憲法改正を行うべきと考えています。いわゆる脱イデオロギーの憲法改正であります。憲法改正が必要となる
社会
的事実、いわゆる憲法事実が明らかな項目について、憲法改正の発議に向けた審査を直ちに開始すべきであります。
日本
維新の会は、憲法審査会を定例開催し、憲法改正に向けた
議論
を広く展開することが、
国民
の皆様が憲法にしっかり向き合い、考えていただくためのきっかけになると確信をしています。 そうした
観点
から我が党は、平成二十八年三月、
教育
の
無償化
、統治機構改革、憲法裁判所
設置
という三項目の条文案を憲法改正原案として打ち出しました。 しかし、憲法を
国民
の手から奪い続けている、維新以外の野党は論外ですが、憲法改正を党是とする自民党からも覚悟が伝わってきません。 さきの臨時
国会
では、衆議院憲法審査会で二年ぶりに自由討議が行われましたが、実質的な憲法論議は素通りをされました。投票
環境
の
充実
を図る
国民
投票法改正案も、五
国会
連続で継続審議となりました。
総理
は、六日の記者会見で、憲法改正に対する
国民
的意識の高まりは無視することはできない、その責任を果たしていかなければならない、
令和
の
時代
にふさわしい憲法改正原案の
策定
を加速させていただきたいと述べられましたが、来年九月末までの自民党総裁任期中に憲法改正を
実現
させることは容易ではありません。 そこで、
総理
に伺います。 自民党総裁として、今
国会
で
国民
投票法改正案を
成立
させること、それに並行して憲法改正原案に関する憲法審査会での
議論
を深めることに指導力を発揮すると約束できますか。改憲論議が停滞するならば、衆議院の解散・総選挙に踏み切って
国民
の信を問う覚悟はありますか。
政府
は、
防衛省設置法
四条の
調査研究
の規定に基づき、
自衛隊
の
中東
派遣
を
決定
しました。
日本経済
、
社会
の血液である原油輸入の約九割を
中東
に依存する
我が国
にとって、
自衛隊派遣
は
日本
向けタンカーをみずから守る努力の第一歩であります。私
たち
日本
維新の会は、そうした
観点
から、今回の
派遣
自体には賛成をしています。 とはいえ、
課題
もあります。そこで、
総理
に
質問
します。
自衛隊
の
活動
対象
海域から、航行が集中するペルシャ湾とホルムズ海峡が除外されました。領海が多く、そこで
活動
すれば航行の条件である無害通航できなくなるからと言われていますが、なぜそのような
決定
をしたのでしょうか。
政府
として、沿岸国から許可を得る
外交努力
はなされたのでしょうか。 また、
日本関係船舶
が
攻撃
を受けるなど不測の
事態
が生じた場合、
自衛隊
法八十二条の海上警備
行動
を発令するにしても、
自衛隊
が武器を使って守れるのは、国際法上、
日本
籍船だけです。
日本
人や
日本
への積み荷を運ぶ外国籍船が
攻撃
を受けた際、
自衛隊
は徒手空拳で守るしかありません。武器に頼らないと対処できない場面に遭遇しても、見殺しを決め込むのでしょうか。 それが
調査研究
名目での
派遣
の限界です。瞬時に武器使用の判断を迫られる現場指揮官に負担を押しつけてはなりません。海賊対処についても必要な武器使用を可能にする特別
措置
法を制定したのですから、今回の
中東
派遣
についても立法
措置
を
検討
してしかるべきと考えますが、いかがでしょうか。 一方、防衛省の規則では、
自衛隊
員には海賊対処や弾道ミサイル対処など任務に応じた特殊勤務手当が支給され、今回の
調査研究
任務に当たっても、日額四千円の海上警備等手当が創設されたと承知していますが、今回のような重要かつ危険な任務に当たっては、更に
充実
した手当を支給することが必要と考えます。
中東
配備の米軍兵士
たち
には危険手当や家族別離手当などが支給されています。
日本
も危険手当を創設するなど自衛官の処遇を抜本的に
改善
すべきと考えますが、
総理
のお考えを伺います。 私
たち
は、自衛官の皆様が
派遣
先で直面する危険に歴代政権が正面から向き合うことができずに来た大きな原因は憲法にあると考えています。そうした意味でも、憲法に
自衛隊
をしっかりと位置づけることが喫緊の
課題
であると付言しておきたいと存じます。 既に紹介したように、私
たち
日本
維新の会が公表してきた憲法改正原案の柱の
一つ
は、国と
地方
の関係、つまり統治機構改革であります。 そこで、十一月に再び住民投票が行われる予定の大阪都構想についてお尋ねします。 この構想の
目的
は、無駄のきわみたる大阪府と大阪市の二重行政を解消することにより、大阪の成長戦略を一本化。同時に、住民サービスを
拡充
することにあります。域内の成長を担う広域行政を府に一元化、四つの特別区が大阪市にかわって住民に身近な行政サービスを提供するものであります。 これが
実現
すれば、明治維新の廃藩置県以来、約百五十年ぶりの統治機構改革であり、単に大阪の問題というよりも、
日本
の国の形を決めていく国家的意義のあるものと考えています。 大阪都構想は、平成二十四年に
成立
した大都市
地域
特別区
設置
法に基づく
取組
です。同法は、指定都市と道府県の間で深刻化する二重行政を解消すべく、共産党及び社民党を除く七会派によって共同
提出
され、可決、
成立
をいたしました。 ところが、その大都市法の制定をリードした大阪自民党は、五年前の住民投票で共産党と反対をし、その結果、〇・八%の僅差で否決をされました。 自民党府議団、市議団は、十一月に予定される住民投票においても、維新の会や
公明党
と一線を画し、既に共産党と反対する
方針
と承知しています。大都市法を
適用
するに値する最たる大都市が大阪でなくて、どこだというのでしょうか。大都市法の制定を
推進
した自民党の総裁として、立法事実の
観点
から御
見解
を伺います。 次に、持続可能な
社会保障
制度
の
構築
について
質問
をいたします。
政府
の全
世代型社会保障
検討
会議
が昨年末まとめた中間報告を見ますと、
医療
制度
にしろ、
年金
制度
にしろ、破綻寸前の現在の
社会
システムを実質的に維持するびほう策と断じざるを得ません。 国家百年の計に立った大きな
視点
の改革、
国民
に
安心
と信頼を与える
制度
の設計が
急務
であるのに、危機感は伝わってきません。 我が党は、対案として、
国民
生活
の根幹となる税と
社会保障
と労働市場という密接に相互補完し合う領域をパッケージで改革する三位一体改革案の取りまとめ作業を加速させているところであります。
税制
をフロー課税からストック課税に転換するとともに、低
年金
、無
年金
の
方々
、若い
世代
を含む
国民
に広く行き届く、
生活
保護と異なる新しい給付
制度
である最低
生活
保障
制度
を創設すべきと考えています。 我が党は、これまで提案してきた給付つき税額
控除
の
議論
から更に一歩進んで、新しい
時代
に合った再分配の仕組みを
構築
し直すという
観点
から、
税制
や
年金
制度
の改革に加えて、ベーシックインカムの
導入
も視野に入れた本格
検討
を行います。 そうした新しいセーフティーネットの整備とあわせて、低
生産
性の元凶である硬直化した
雇用
システムと労働市場にもメスを入れます。
総理
に伺います。 この三位一体改革こそ、大転換期を乗り越えるための未来志向の改革であると確信していますが、
政府
の全
世代型社会保障
改革と
日本
維新の会の三位一体改革という対案との間で
充実
した論戦を
実現
させるためには、厚生労働省始め
政府
の保有するデータの利用が不可欠です。十分な協力をするよう各府省を指導いただきたいと存じますが、お願いできますでしょうか。 カジノを含む統合型リゾート、IRをめぐる汚職事件で、自民党の現職
国会議員
が収賄容疑で
東京
地検に逮捕されました。我が党に所属していた議員も、関連
事業者
から選挙資金を現金で受け取りながら
政治
資金収支
報告書
に記載をしていなかった事実が判明したことは、大変遺憾であります。 IR事業に限らず、不法な金銭の授受は絶対に許されません。だからこそ、
日本
維新の会は、
企業
・団体献金を禁止し、IR
事業者
からの
個人
献金や
政治
資金パーティーなどのチケット販売も禁止してきたのです。 また、IRの誘致を目指す大阪では、IR
事業者
への
対応
について、大阪府綱紀保持
基本方針
等既存のルールに加えて、IR
推進
局における
事業者
対応
等指針を制定し、厳格に運用してきました。 その中身は、
一つ
、
事業者
との面会は原則として庁舎内で行う、二つ、職員一人でIR
事業者
と面会しない、三つ、
事業者
との
個人
の電話、メールでのやりとりを禁止、四つ、公職者等から特定の
事業者
に係る要望等を受けた場合は記録を作成し定期的に公表するなど、飲食のみならず面会自体を規制し、
徹底
した
公平性
、公正性を
確保
してきたのです。 そこで、
総理
にお伺いします。 今回の贈収賄疑惑とIR
推進
という政策とは全く別次元の問題であり、
政府
は今後とも必要な準備を粛々と進めていくべきでありますが、一方で、
政府
の
取組
の
公平性
、公正性について、
国民
に疑念を与えるようなことは二度とあってはなりません。そうした
観点
から、国においても、大阪で実行してきた
取組
を参考に、
事業者
との接触ルールを厳格化すべきではないでしょうか。
総理
の
見解
を伺います。 いよいよ、この夏、
東京
オリンピック・パラリンピックが開催されます。 一九六四年の前回
東京
五輪当時、
我が国
は戦後の焦土から奇跡の
復興
を遂げ、先進国入りもなし得ました。
国民
の間には、心血を注いで成長をつかみ取ろうとする活力と
エネルギー
が満ちていました。 それから半世紀余り。国際
情勢
の変化や
経済
不況、大
規模
自然災害
など幾つもの試練を乗り越え、
日本
は平和と繁栄を享受してきました。しかし、未来を直視すれば、放置できぬ深刻な
課題
が内外に山積しています。
赤松広隆
12
○副
議長
(赤松広隆君) 馬場伸幸君に申し上げます。 申合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
馬場伸幸
13
○馬場伸幸君(続) 私
たち
日本
維新の会は、
東京
オリンピック・パラリンピックの成功を期するとともに、二〇二五大阪・関西万博へとバトンを引き継ぎ、これからの五年、十年を戦後の
復興
に次ぐ第二の国家再生に向けた抜本的な大改革期と位置づけ、新しい国づくりを牽引していく所存であります。 しがらみを断ち切れない
自公政権
や他の野党には絶対になし遂げられない、真の改革を
実現
するために、これからも力を尽くしていくことをお誓いし、
質問
を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔内閣
総理
大臣安倍晋三君登壇〕
安倍晋三
14
○内閣
総理
大臣(安倍晋三君) 馬場伸幸議員にお答えをいたします。 冒頭、御指摘をいただきました
新型コロナウイルス
の
感染拡大防止
に向け、
政府
一丸となって
全力
を挙げてまいります。 公文書管理についてお尋ねがありました。
政府
としては、平成三十年七月に公文書管理の適正化に係る総合的な
施策
を
策定
し、
決定
した全ての
施策
について、これまで着実に実行に移しているところです。
他方
、今般発覚した行政文書の保管や廃棄における不適切な取扱いも踏まえ、独立公文書管理監を中心とした各府省におけるチェックの
強化
など、
政府
を挙げて、公文書管理のさらなる
徹底
方策について
検討
していく予定です。 現在、
政府
においては、文書管理の電子化に向けた
取組
を加速させているところであり、御指摘の法案の方向性と共通する部分もありますが、いずれにしても、公文書管理の憲法での位置づけや具体の法案の取扱いについて、
国会
及び各会派において御
議論
いただくべきものと考えております。 憲法改正についてお尋ねがありました。
日本
維新の会が憲法改正について具体的な考え方を示し、憲法審査会において建設的な
議論
を呼びかけておられることに、まずもって敬意を表したいと思います。 憲法審査会の運営については、
国会
でお決めいただくことであり、内閣
総理
大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきます。 その上で、お尋ねですのであえて申し上げれば、憲法改正は、
国会
が発議し、最終的には主権者である
国民
の皆様が
国民
投票で決めるものです。それゆえ、憲法審査会において憲法改正についての
議論
を重ね、
国民
の皆様の
理解
を深めていくことが私
たち
国会議員
の責任ではないかと考えています。 憲法改正のスケジュールについては、期限ありきの事柄ではないものと考えておりますが、さきの参議院選挙や最近の世論
調査
を通じて示された憲法改正に対する
国民
的意識の高まりをしっかりと受けとめていただき、憲法審査会の場において、
国民
投票の改正はもとより、憲法改正の中身について、与野党の枠を超えて活発な
議論
が展開されることを強く期待しております。 なお、これまで二度衆議院を解散し、
国民
に信を問うことで、
幼児教育
、保育の
無償化
など、大きな改革を
実現
してまいりました。現時点では解散は頭の片隅にもありませんが、今後も、
政治
を前に進めていく上で信を問うべきときが来たと考えれば、解散・総選挙を断行することにちゅうちょはありません。
中東地域
での
自衛隊
の
情報収集
活動
の地理的範囲についてお尋ねがありました。
我が国
は、
米国
と
同盟関係
にあり、同時に
イラン
と長年良好な関係を維持するなど、
中東
の安定に関係する各国と良好な関係を築いています。これを生かし、
中東
の
緊張緩和
と
情勢
の
安定化
に向けて、さらなる
外交努力
を行うこととしています。
自衛隊
による
情報収集
活動
については、
外交努力
と調和を図りながら取り組む必要があります。 また、いずれの国も、広大な海域を自国のアセットのみによりカバーすることは困難です。
自衛隊
による
情報収集
活動
についても、船舶の通航量や関係国の
取組
の
状況
等を踏まえて、効率的に
実施
することが必要です。 このような基本的な考え方のもと、
自衛隊
の
情報収集
活動
の地理的範囲について、
政府
として
検討
を行った結果、ホルムズ海峡からペルシャ湾に至る海域において
日本関係船舶
の航行が集中する分離航路帯は主に
イラン
、オマーンを含む沿岸国の領海内であること、もとより領海における船舶の安全な航行の
確保
には領海に主権を有する沿岸国が大きな
役割
を有していること、また、領海内における
情報収集
活動
は沿岸国から無害通航に該当しないと
主張
され得ること、ペルシャ湾及びホルムズ海峡の
情報
については
米国
や沿岸国を含む関係各国との
連携
を通じて
一定
の
情報収集
が可能であると見られることを総合的に勘案し、ペルシャ湾、ホルムズ海峡においては
自衛隊
の
情報収集
を行わないこととしたものであります。 また、この
地域
での船舶の航行の
安全確保
及びそのための沿岸国の
役割
の
重要性
については、私自身、昨年十二月の
イラン
のローハニ大統領との会談や、今月十一日から十五日までのサウジアラビア、UAE、オマーンを訪問した際に説明を行い、
理解
を得てきているところです。今後も、こうした努力を継続していきます。
自衛隊
の
中東
派遣
についてお尋ねがありました。 現時点において、
日本関係船舶
の防護を要する
状況
にはありませんが、不測の
事態
の発生など
状況
が変化する場合において、
自衛隊
によるさらなる
措置
が必要と認められる場合には、迅速な閣議手続により、海上警備
行動
を発令して
対応
することとなります。 その上で、公海上における外国籍船の防護については、国際法上、一般的には当該船舶への排他的管轄権を有する旗国がその責任のもとに行うべきとの旗国主義の考えに基づき対処することが基本です。 その上で、
日本
関係の外国籍船の防護について
自衛隊
がとることができる
措置
は、個別具体的な
状況
に即して判断する必要がありますが、例えば、
我が国
がこうむる法益侵害と比例する形で、
状況
に応じて呼びかけや近接といった、実力の行使を伴わない
措置
等をとることは考えられます。こうした
措置
は国際法上の旗国主義の原則を踏まえたものでありますが、
日本
関係の外国籍船の防護についても、適切に
実施
できるよう
対応
してまいります。 海上警備
行動
の発令に関しては、現場の部隊の対処に遺漏なきよう迅速に
閣議決定
を行うとともに、現場指揮官が適切な判断を行うことができるように、現場で
想定
される
状況
への対処のための
教育
訓練の
実施
を含め、
政府
全体で
連携
して実効性のある
対応
をとり得るよう万全を期してまいります。 また、今般の
活動
は現行の法令に基づいて
実施
可能であり、特別
措置
法の制定を含む新たな立法
措置
は必要ありません。なお、海賊の取締りといった場合を除き、旗国主義は国際法上の原則であり、仮に新規立法を行う場合でも、
国内
法で変更できるものではありません。 自衛官の危険手当の創設などの処遇
改善
についてお尋ねがありました。 海外
派遣
を始め、任務に当たる隊員に対しては、それぞれの任務遂行の困難性や
危険性
などの
特殊性
を考慮した各種手当を支給しております。 今般の
中東
に
派遣
される隊員に対しても、乗組手当、航空手当、航海手当などの各種手当のほか、任務遂行の困難性や
危険性
などの
特殊性
を考慮した海上警備等手当を支給することとしたところであります。
政府
としては、引き続き、任務遂行の困難性や
危険性
などを踏まえつつ、厳しい任務に当たる隊員の処遇を
確保
するために必要な
措置
を講じてまいります。 大阪都構想についてお尋ねがありました。 大阪都構想については、大阪府と大阪市において、大都市
地域
特別区
設置
法に基づく特別区
設置
協議会が
設置
され、構想
実現
に向け協議が行われているものと承知しております。 大都市
地域
特別区
設置
法は、大阪都構想の
検討
等が進められている中、平成二十四年に議員立法で
成立
したものであり、特別区
設置
の
対象
となる市町村は、人口二百万人以上の指定都市、又は
一つ
の指定都市及び同市に隣接する同一道府県内の市町村の総人口が二百万人以上のものとされています。 大阪都構想の
実現
については、同法の手続に従って、
地域
の判断に委ねられているものであり、
関係者
間の真摯な
議論
を期待しています。 全
世代型社会保障
についてお尋ねがありました。
人生
百年
時代
の到来を迎え、
高齢者
を始めとする意欲ある皆さんに就業の機会を
確保
し、支え手をふやしていくことは、
社会保障
制度
の安定のための重要な柱です。全
世代型社会保障
制度
への改革は、こうした働き方改革を中心に据えながら、
年金
、
医療
、
介護
、
社会保障
全般にわたる改革を進めるものです。 こうした改革の
検討
に当たって必要なデータについては、全
世代型社会保障
検討
会議
などの場において提示してきたところですが、引き続き、御党の御提案を含め、
社会保障
改革全般にわたる
国民
的
議論
に資する
観点
から、積極的なデータの提供に努めてまいります。
事業者
との接触ルールについてお尋ねがありました。 IRの
推進
に当たっては、
国民
的な
理解
が大変重要です。 現在、国土交通省において、IR整備法に基づく
基本方針
について、
関係省庁
との協議に加え、今月発足した高い独立性を有するカジノ管理委員会や
国会
での御
議論
も踏まえつつ、丁寧に
策定
作業を進めているところです。 議員御指摘のいわゆる接触ルールの
策定
についても、
基本方針
に盛り込むことを
検討
してまいります。(拍手)
赤松広隆
15
○副
議長
(赤松広隆君) これにて
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
は終了いたしました。 〔副
議長
退席、
議長
着席〕 ――――◇―――――
大島理森
16
○
議長
(
大島理森
君) 御報告することがあります。
議員望月義夫
君は、昨年十二月十九日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。 望月義夫君に対する弔詞は、
議長
において今二十三日贈呈いたしました。これを朗読いたします。 〔総員起立〕 衆議院は 多年憲政のために尽力し さきに国土交通委員長の要職につき また再度
国務大臣
の重任にあたられた
災害
対策
特別委員長議員従三位旭日大綬章 望月義夫君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます ――
―――――――――――
故
議員望月義夫
君に対する
追悼演説
大島理森
17
○
議長
(
大島理森
君) この際、弔意を表するため、
佐藤勉
君から発言を求められております。これを許します。
佐藤勉
君。 〔
佐藤勉
君登壇〕
佐藤勉
18
○
佐藤勉
君 ただいま
議長
から御報告がありましたとおり、本院
議員望月義夫
先生は、昨年十二月十九日、逝去されました。 昨年の九月ごろにお会いをしたときに、もっちゃん、痩せたのではないですかと心配する私に、ダイエットしているだけだよとお答えになりました。しかし、その後、
国会
でお見かけをしなくなり、電話したところ、実は入院をしていると打ち明けられました。ただ、心配ない、大丈夫、見舞いは不要だよとおっしゃったので、必ずや元気に復帰されると信じ、同僚議員にも、もっちゃんは大丈夫だと伝えていました。しかし、その願いむなしく、帰らぬ人となられたのであります。 まだ七十二歳、これまでの経験を生かされ、練達の
政治
家として、ますますの御
活躍
が期待されていました。そうしたやさきに、思いも寄らぬ訃報に接し、言い尽くせぬ驚きと深い哀惜の念を禁じ得ません。ましてや、御家族を始め、
関係者
の皆様の深い悲しみに思いをいたすと、御心中はいかばかりかと察するに余りあり、お慰めする言葉もございません。 私は、ここに、皆様の御同意を得て、議員一同を代表して、謹んで哀悼の言葉を申し上げたいと存じます。 望月先生は、昭和二十二年五月二日、良港清水港を有し、風光明媚で温暖な静岡県清水市、現在の静岡市清水区において、父長治様、母やう様の御次男としてお生まれになり、主に野菜を扱う食料品店を営む御両親のもと、周囲からの深い愛情に包まれ、幼少期を過ごされました。 中学生
時代
は、生徒会
活動
に熱心に取り組まれておりますが、あえて会長ではなく、丁寧で説得力のある説明が求められる書記長を進んで務められたというのは、人との対話を大切にされる望月先生らしいエピソードであります。また、小学生の
時代
から柔道に励まれ、中学三年のときには市の
大会
で優勝されるといった勇壮な一面もお持ちでありました。高校は地元の名門、県立清水東高等学校に学ばれ、中央大学法学部に進まれたのであります。 昭和四十六年に卒業された後、努力する人、汗をかく人が報われる
社会づくり
に
人生
をかけてみたいと強い信念を持って、
政治
の道を志し、代議士秘書を経て、昭和五十年五月、弱冠二十七歳で清水市議
会議
員に当選をされ、四期十六年務められます。その後、静岡県議
会議
員を二期五年務められ、地元の発展に尽力をされました。 平成八年十月、
我が国
初の小選挙区比例代表並立制のもと
実施
された第四十一回総選挙に、
地方議員
の経験を生かし、国と
地方
との結び目になるとの強い
決意
で、静岡県第四区より無所属で立候補され、見事に当選を果たされ、衆議院議員となられたのであります。 本院に議席を得られた先生は、以後当選すること八回、国土交通委員会、
災害
対策
特別委員会を中心に、多くの委員会で理事、委員を歴任され、さらには国土交通委員長、
災害
対策
特別委員長と重要な
役割
を担い、誠実にその職責を果たしてこられました。 特に、
災害
対策
特別委員長は、亡くなられるまで二年以上にわたって務められ、
災害
対策
の
強化
に大きく貢献されました。
災害
が発生すれば、率先して諸
課題
を把握し、
国会
開会、閉会時にかかわらず委員会を開会するなど、誠心誠意取り組まれ、こうした真摯な姿勢には、会派を問わず絶大な信頼が寄せられていたのは言うまでもありません。 さらに、委員長みずからリーダーシップを発揮し、各会派の調整を図り、委員会
提出
の法律案として、特定
災害
の義援金の差押えを禁止する法律案などの
成立
にも尽力をされたほか、多くの
被災地
に積極的に足を運び、現地の
方々
の声に丁寧に耳を傾け、昨今の激甚化、
多様化
する
災害
に、国としてどう対処していくべきかを真摯に考えておられました。 昨年十月、改めて委員長に選任をされた直後にも、
我が国
には
被災地
に多くのボランティアが駆けつけ助け合うすばらしい
国民
性があることから、こうした伝統などを生かすため、
防災
目的
で
国民
が積み立てる基金を創設してはどうかとの構想を熱心に話しておられました。こうした志が道半ばでついえてしまった今、先生の無念さに思いをいたすと残念でなりません。 また、
政府
においては、外務大臣政務官、
環境
大臣政務官を務められ、平成十八年には国土交通副大臣、そして、平成二十六年九月には
環境
大臣・原子力
防災
担当大臣に就任をされたのであります。 外務大臣政務官在任時の平成十三年二月、ハワイ・オアフ島沖で、宇和島水産高校の練習船「えひめ丸」が
米国
の原子力潜水艦に衝突され、九名が犠牲となった沈没
事故
が発生をいたしました。先生は、一カ月にわたり現地に滞在し、陣頭指揮をとられ、毅然と
米国
政府
と向き合うなど交渉に奔走され、その誠実な仕事ぶりが高く評価されたのであります。 また、
環境
大臣政務官在任中には、当時、
世界
遺産登録を目指していた富士山の
環境
改善
が大きな
課題
となっておりました。そこで、先生は、ごみ問題への
対応
や
環境
配慮型トイレの整備などに尽力され、平成二十五年の
世界
文化遺産登録へとつなげていかれたのであります。 国土交通副大臣としては、以前から熱心に取り組んでおられた港湾振興に努められ、十二に及ぶ港湾の整備事業を
推進
されたほか、初めて県境を越えた御当地ナンバーである富士山ナンバーの
実現
にも尽力されたのであります。 そして、
環境
大臣としては、就任直後より、福島、東北の
復興
なくして
日本
の再生なしとの思いから、福島の除染や
復興
に必要不可欠な中間貯蔵施設の問題に粉骨砕身して取り組まれました。建設予定地である大熊町、双葉町とは
徹底
した意見交換を重ね、その
必要性
を誠意を尽くして訴えられ、建設受入れを判断していただくに至りました。しかしながら、実際に除去土壌等を搬入することについては大変厳しい意見があり、こうした中、先生は、町のみならず、幅広い
関係者
との膝詰めの調整を進められ、搬入開始を現実のものとされたのであります。 このように、ひたむきに現地との信頼関係の
構築
を重視し、
復興
に献身的に取り組まれました。 また、地球
環境
対策
のため、
世界
を駆けめぐり、
日本
の立場を丁寧に説明され、平成二十六年十二月にペルーで開催をされた
CO
P20では、翌年に採択されたパリ協定への道筋をつけられました。 さらに、
環境
行政の原点である四大公害への思いも強く、全ての現地に足を運び、地元の方と意見交換を行うなど、公害問題にも積極的に取り組まれたのであります。 一方、自由民主党にあっては、
経済
産業部会長、国土交通部会長、幹事長代理などを歴任され、特に、平成二十四年には行政改革
推進
本部長に就任され、その要職にあるときには、温厚篤実なお人柄と、先生の座右の銘である至誠天に通ずの精神で、難攻不落と言われた公務員
制度
改革に取り組まれ、幹部職員人事の一元的管理を図ることなどを内容とする
関連法案
の党側の意見を取りまとめ、党と
政府
との調整役として、その
成立
に大きな
役割
を果たされたのであります。 望月先生と私は、当選同期で、何でも話し合える仲でありました。特に、平成二十一年の総選挙で落選をされたつらい時期には、毎日電話で意見交換をしました。大変苦労されたようで、一日も早く国政に復帰したいとの強い思いがひしひしと伝わり、数え切れないくらいの街頭
演説
に飛び回るなど、懸命に
活動
されている様子をよく伺いました。こうした思い出は今でも鮮明によみがえってまいります。 二十代から公私ともに先生を支え続けてこられた真由美夫人を平成二十二年に亡くされているのでありますが、大変大切に思っておられ、奥様のお話もたくさんたくさん聞かせてくださり、妻がいたからこそ今の自分がいるんだといつも言っておられたことを思い出します。そして、私には、奥さんを大事にしろ、私の妻には、会うと、丈夫でいなければだめだよと声をかけてくださいました。 また、お嬢様への思いも奥様と同様に深く、いつも近くにいて支えてくれるんだよとうれしそうに語られるなど、本当に家庭を大事にしておられる先生でありました。 明るい性格で、もっちゃん、よっちゃんと親しみを込めて呼ばれ、分け隔てなく人と接しておられた先生の周りには、いつも笑顔があふれていました。そして、フットワークが軽く、常に謙虚に、等身大の自分で、本音のコミュニケーションを重ね、物事を円滑に運んでいかれたのであります。このお人柄は、終生変わりませんでした。 昨年十月の天皇陛下の即位礼正殿の儀に出席された際には、隣り合わせたイギリスのチャールズ皇太子が腰に座布団を当てておられるのに気づかれ、
日本
の良質な座布団は腰によいと、御自身も愛用されている地元産の座布団を贈ることを約束されたようであります。そして、みずから生地を選び、そのできばえに大変満足されていたのでありますが、これは、お亡くなりになるつい一週間前のことだったそうであります。先生の心配りの座布団は、確かに海を渡り、イギリスに届けられたのであります。 一方、先生は、努力の人であり、深夜の二時、三時まで、内外の諸
情勢
について常に問題意識を持って勉強しておられました。こうした御努力によって培われた幅広い見識とバランス感覚のもと、多くの
人々
からの相談に丁寧に応じておられました。 誰からも愛され、常に庶民のための
政治
を心がけておられた
政治
家望月義夫先生の訃報は、地元のみならず、多くの
人々
にどれほど多く衝撃を与えたことでしょう。 先生は、確かな未来をつくろうと、国政に携わること二十三年、
政治
を志してからは、実に半世紀の長きにわたって、
日本
のため、ふるさと静岡のために駆け抜けてこられました。 内外ともに政策
課題
が山積している今こそ、先生のお力が必要であるにもかかわらず、もはやこの議場に先生のお姿を見ることはできません。しかし、万分の一でも先生の思いや理念をつないでいけるよう、残された我々は
全力
を挙げて取り組んでまいることをお誓い申し上げるものであります。 私は、ここに、望月義夫先生の御逝去を悼み、謹んで御冥福をお祈りし、先生を今日まで支えてこられたお嬢様、そして弟様を始め、御家族の皆様方の胸中に深く思いをいたすとともに、最愛の真由美夫人のもとに旅立たれたみたまの安らかならんことを心から願って、追悼の言葉といたします。(拍手) ――――◇―――――
大島理森
19
○
議長
(
大島理森
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十分散会 ――――◇――――― 出席
国務大臣
内閣
総理
大臣 安倍 晋三君 財務大臣 麻生 太郎君 総務大臣 高市 早苗君 法務大臣 森 まさこ君 外務大臣 茂木 敏充君 文部科学大臣 萩生田光一君 厚生労働大臣 加藤 勝信君 農林水産大臣 江藤 拓君
経済
産業大臣 梶山 弘志君 国土交通大臣 赤羽 一嘉君
環境
大臣 小泉進次郎君
防衛大臣
河野 太郎君
国務大臣
衛藤 晟一君
国務大臣
北村 誠吾君
国務大臣
菅 義偉君
国務大臣
田中 和徳君
国務大臣
竹本 直一君
国務大臣
武田 良太君
国務大臣
橋本 聖子君 出席内閣官房副長官及び副大臣 内閣官房副長官 西村 明宏君 内閣府副大臣 宮下 一郎君 出席
政府
特別補佐人 内閣法制局長官 近藤 正春君