○
本島参考人 松野委員長、ありがとうございます。
最初に、
松野委員長及び
委員の
皆様方に、私を
参考人として呼んでいただきましたことに感謝申し上げます。
核融合エネルギーの
実用化に向けての
現状と今後について
意見を述べさせていただく機会を得ましたことを大変感謝しております。
松野委員長には、二〇一一年の秋に
国会議員の
先生方と一緒に
ITERまで来てくださいまして、大変勇気づけられました。そのことをきのうのことのように覚えております。おかげで大変元気が出た次第でございます。
きょうは、お手元にございますこの二枚ずつの、全部で二十五
ページになりますけれども、その
資料に基づいて説明をさせていただきます。それからもう一部、「激動する
世界に思う」という、ことしの二月号「
電気評論」でございますが、これは
参考資料としてお配りさせていただきます。
では、二
ページ目です。
まず申し上げたいことですが、
核融合エネルギーの
開発を進めることは新たな
時代の
イノベーションを生み出します、このことを
先生方にまず申し上げたいと思って参りました。
我が国は、
エネルギー資源に乏しく、破壊されつつある
地球の
環境を守りながら、
エネルギー需要の増大にどう対応していくのか。
地球の
温度上昇を二度C以下に抑えるためのCOP21は二〇一六年十一月に発効いたしましたが、いまだに
世界の足並みはそろっておりません。
核融合エネルギーを
我が国主導で早期に
実現して大
規模な
エネルギー生産を開始することが、この問題の主要な
解決策であると考えております。
核融合エネルギーの
実証を目指す
ITERでございますが、後ほど詳しく説明させていただきます。安全で持続可能な
社会の
実現に向けて、長期間使用可能な、これはもう十万年とか二十万年の
規模で使用可能になります、
エネルギーの
実現に向けた
人類の挑戦です。新たな
時代へのステップになるわけです。
我が国には、
核融合科学研究所、岐阜県土岐市、
自然科学研究機構に所属します。
那珂核融合研究所及び
六ケ所核融合研究所、茨城県の那珂市、それから、
大学等に高度な
研究基盤と優秀な
人材を擁しております。これをぜひ活用いただきたいと思います。
核融合エネルギーの
開発、
研究は
プラズマ物理学を基本としておりまして、必要な
キーテクノロジーというのは多岐にわたります。真空、ダイバータ、
超電導、
材料、溶接、
電力、ブランケット、
トリチウム制御、安全、
組み立て、
品質管理、
プラズマ応用といったことでございます。
産業応用の幅も広いと言えます。
続きまして、
先生方御承知のとおりではあると思いますが、三
ページ目です。
核融合研究の
目的は、地上の
ミニ太陽を
実現することであります。その
目的を
一言で言いますと、安全かつ恒久的な新しい
エネルギー源の
実現にあります。
基幹エネルギー源としての
核融合エネルギーはどういうものか、その属性というのはどういうものかと申しますと、
燃料となる
重水素が海の中に多量に含まれています。水の中に〇・〇三%ございます。
皆様の体の中の水分にも同じ量が含まれているわけです。
左上の図をごらんいただきますと、この
重水素、それからもう
一つの
燃料である
三重水素、これは人工的につくり出します、それを一億度に
磁場の中で加熱しますと、
核融合反応が持続的に起こります。一億度は
磁場を使って十分に断熱されますので、それから、一億度というととんでもない高温ではありますが、圧力としては十気圧
程度ですので、十分制御できるということが申し上げられます。
反応を起こすと、
ヘリウムが出るわけでして、それから
中性子が出ます。
中性子は安全に遮蔽する必要がありますが、その
技術はもうできているわけでして、この
中性子を外側に置きました同じく海から取り出しますリチウムに吸収させますと
トリチウムが発生する、こういう
燃料を増殖するサイクルがつくれるわけなんです。三十万年ぐらいは使えるであろう。
排出ガスは
ヘリウムである。低
コストの
水素ガス生産も可能になります。
水素エネルギーシステムの構築にも貢献いたします。
左の
真ん中の図ですが、
核融合反応を
エネルギー源として使って、そこから百万キロワットぐらいの
エネルギーを取り出して、水蒸気をつくって、電気を発電する、こういう仕掛けでございます。
我が国が引き続き
世界をリードしていくための
科学技術の
イノベーションを生み出すことができます。そして、
科学技術立国に必要な優秀な
人材を育ててきましたし、育てることができます。
ちなみに、
ポリタンク一個の海水からは、一番
左側の下の図にありますとおり、
石油二百五十本分の
エネルギーが取り出せます。これを使わない手はないのではないか、こういうふうに申し上げられます。
成功の暁には、
地球環境の保全と
世界平和に貢献します。
人類の
高度文明を一万年の単位で続かせるためでございます。
ここで、持続可能で発展する
世界をつくるための
条件について見ていただきたいと思います。
ページ四です。
右下の番号で申しております。
炭酸ガスの排出を抑えること。地域的に偏らない
エネルギー源を持つこと。
材料等の資源が再生可能であること、これは、繰り返し繰り返し使う必要があるからです。
コストがリーズナブルであること、当然、安くないと
社会には受け入れてもらえません。
社会的受容性を持つこと。安全でなければなりません。そして、
ビジネスとして
民間の積極的な
参入が得られることも必要でございます。そのほか多数の
条件が複雑に絡み合ってまいります。
下の三枚を見ていただいて、どう思われるか。
私も思うのですが、北極海の氷は解けております。毎年解けているのが今問題になっているわけです。
日本の衛星「いぶき」が、平均の
炭酸ガス濃度が四〇〇ppmを超えたということを一昨年の十二月に検出しております。東京は、この部屋の中も結構高くて、多分一〇〇〇ppmぐらいにはなっているんじゃないかと思います。ただ、我々は二〇〇〇ppmぐらいまでは呼吸ができるんです、生物というのは意外と厳しい
環境で進化してきましたので。ですから、緊急の問題という認識になりにくいところがあるんですね。これが
環境問題の大きなところではないでしょうか。
そして、
真ん中が
原子力発電所です。これを見ると
緊張感が走る場合が多いんじゃないか、特に一般の
皆様は。右側が縄文、
弥生時代の
竪穴式住居で、これは見ると
安心感を感じるのではないか。なぜかというと、我々は、進化をして、非常にすばらしい
環境に生きているわけです。しかし、下手をすると、私たちの子孫が再びこのような家に住まないといけなくなるということもあり得るわけです。
それから、
日本海側の
原子力発電所について申し上げますと、
東南海地震が来たときに
太平洋岸それから
大阪湾岸の
発電所が津波で大きなダメージを受ける
可能性があるので、やはり震源から遠い
日本海側に
発電所を持っておくということは、そういう
緊急事態には非常に重要なんじゃないか。これは申し上げるまでもないことではないかと思います。
それで、五
ページ目に移らせていただきます。
では、
核融合エネルギーの
開発がなぜ
イノベーションを生み出すのか。
これは、具体的な例は後ほど申し上げますが、
核融合エネルギーが
宇宙の本質にかかわっているからだ、こういうふうに私は考えております。
核融合エネルギーは
宇宙に普遍的に存在しています。なぜなら、恒星の
エネルギー源は
核融合反応です。太陽もそうです。
宇宙の物質の九九%は
プラズマなわけです。
その下はもう閑話休題でございますが、私が思うには、今、
宇宙空間に
地球型の惑星を見つけ出すということが科学的にも
天文学等で活発になっています。
これには
目的がありまして、
宇宙空間で我々と同じような
高度文明を見つけることができると、そこから電波なりが飛んでくるのに数万年かかるわけですね、それを検出するということは、確率論的にこの文明が数万年続いているんだということになるんです。これは、ドレイクの法則という法則があります。我々の
人類も数万年続く
可能性があるんだということを確率論的に証明できるわけなんですね。
私が
核融合研究者として申し上げたいのは、そこの百万キロワットの
核融合発電所からは、一秒間に一兆の百億倍という大量の
ニュートリノ、これは
梶田先生が
ノーベル賞をもらわれた
ニュートリノです、発生していますので、
ニュートリノは何の障害もなく飛んできますので、
物理天文学の総力を挙げてこの
ニュートリノの検出を試みると、
宇宙文明がいるんだということの証明の近道になるんじゃないか、こういうふうに申しています。これは、少し道筋がずれましたけれども、私の夢としてです。
その次の
ページ、六
ページ目です。
世界をリードする
我が国の
核融合研究ですが、
トコマック、
ヘリカル、
レーザーという三
方式、
日本は
基盤を持っております。
トコマック型は、元
原子力研究機構、現在の
量子科学研究開発機構でしてきて、大変な実績を持っております。
ヘリカル型は、
トコマックとは違うんですが、
ヘリカルコイルを使います。
核融合科学研究所でしております。それから、
レーザー方式というのがありまして、これは
レーザーを使ってばしんと
反応を起こそうという、大阪大学で
基盤があります。
この六
ページで申し上げたいのは、この三つの
方式が、
日本で長い実績があり、
基盤を持って、
世界的にも評価されているということです。
次の
ページですが、ここで
世界の
研究の最前線を説明いたしますと、多くの
装置を擁して
研究が進んでおるわけです。
ITERについてのスケジュール、それからその後の
段階、
DEMO炉でございますが、示しております。協調と競合の
世界でございます。
日本も負けていられないということがございます。
日本については、一番
真ん中、上にありますように、LHD、
核融合科学研究所です。それから、
量子放射線機構、略して申し上げますが、
トコマックの建設が現在進んでおります。それから、
右下の方にありますのが、IFMIFという
材料試験装置の試験が
六ケ所村で進んでおります。こういった
研究が進んでいます。
そして、
我が国の
研究の着実な
進展、
核融合研究開発については八
ページにまとめました。
時間がかかっているということは事実でございますが、ゼロからの出発で、急速に進んできたということを示しております。加速器やスーパーコンピューターに比肩できる
進展をしております。
九
ページでございますが、私の
研究歴をごく簡単に自己紹介させていただくためのものでして、今まで
ITERを含めて三
段階の
チャンスをいただいております。私のこの
研究の発展の中で、いろいろな
チャンスをいただきました。
ITERですが、七カ国・地域から成る公的な
国際プロジェクト、九
ページの一番下のところです。
フランスの
原子炉法規で規制される
核施設、ニュークリアファシリティーでありまして、
出資者のみならず
参入企業を含め多くの
民間の
ステークホルダーを擁する
大変チャレンジングな
プロジェクトです。それだけ難しいということも言えます。
そこで、次の
ページ、十
ページに行っていただきますと、
ITERの
目的をまとめてあります。
ITERですが、インターナショナル・サーモニュークリア・エクスペリメンタル・リアクターの略ではありますが、ラテン語で道という意味も持っております。
ITERは、
炭酸ガスフリーな
エネルギー源となる
商業用核融合炉に至るまでの道です。
ITERは、
国際協力でして、パワーの増幅器です。約十倍の
増幅能力を持っております。後ほどまた説明いたします。それに対して
商業炉は、私はマネーアンプリファイアーだと申しています。
電力を出しますので、売れるわけです。したがって、
ビジネスになるわけです。その前の
段階が
ITERです。
二つ目の
ポチは、
核融合エネルギーの
安全性の
実証です。それから、科学的、
技術的に利用可能であることを
実証するための
実験炉であります。
ITERは、五万キロワットの
エネルギーを入れて、五十万キロワットの出力を出します。ですから、十倍の
エネルギーを出します。これで
核融合ができるということを
日本の
皆様及び
世界に示すことを
目的としていまして、その次に進むかどうかは、この
ITERの
参加国も独自に進めていく手はずになっております。
日本は間違いなく行ってくれると思いますし、
ヨーロッパ、
アメリカも恐らく。ただ、
アメリカは石炭をたくさん持っておりますので、少しおくれるかもしれません。
中国は非常に強力に進めております。
全ての
知的財産、
ノウハウですが、七つのメンバーが共有いたします。
日本の出資は全体の九・一%ですが、結果は一〇〇%もらえる、こういう取り決めでございます。
ヨーロッパは約四五%、やはり
サイト国ですので。
設計、
組み立ては
ITERが行い、参加七極は製造して、それを物納、物で納めるという形です。約二万三千トンの重さを持ちまして、部品の数も二万点。それから、建物は全体で三十五万トンの重量になります。非常に大きな
プロジェクトです。
次の
ページですが、
ITERの
現状を申し上げたいと思います。
私も
ITERを離れて二年ぐらいたっておりますので、その内情は一〇〇%理解していないところがございますが、まず、私のいるときから申し上げていたことは、
ITER計画はターニングポイントを通過し、夢が現実の目標になっているんだ、これが重要なことです。頂上はまだ先だけれども見えているということが申し上げられます。したがって、各国の取り組み方は
真剣度も増してきていると私は見ております。
現在、やはり大きな
プロジェクトであるがゆえの困難というのはありまして、正直に申し上げますが、数々の、種々の要素を加味して、
コストと
計画の改定が行われました。
これは
文部科学省からいただいた
資料です。
運転開始が、二〇二〇年の十二月が二五年、約五年のおくれ。
核融合の
運転開始、先ほどの五十万キロを目指しての
燃焼実験、
重水素、
三重水素、これが二〇二七年から二〇三五年。終わりはなるべくおくらせないようにしようという
計画ですし、そのめどもつきつつあります。
やはり
先生方にぜひお願いしたいのは、
計画が延びるということによって、
経常経費、インフレの影響、それから、新しい
技術の
開発の結果、新しいことを入れてくるといったことも発生いたしますので、どうしても現在の見積もりで五百七十億円ぐらいが必要になってくるということが
現状でございます。しかし、
投資効果は十分にあるはずだ、こういうふうに強く申し上げたいと思います。
そして、
我が国が準
ホスト国としてのリーダーシップをさらに発揮していただきたい、こういうふうに思うわけです。
その下の
写真ですが、こういう一こまも五年間の私の在任中にありました。
左側は、二〇一三年の
大臣級会合でございます。EUの
エネルギー担当コミッショナー、エッティンガーさん、それから
フランスの
科学技術大臣が、女性の方です、来ていただいています。それから、
日本からは
文部科学省の福井副大臣が来てくださいました。
そして、その次の年には、当時のEUの
バローゾ大統領が訪問してくださいました。この
写真は、スタッフの前でスピーチをしていただいたときの
写真です。
その次の
ページを見ていただきたいんですが、建屋の建設が進んでおります。
トコマックピットの大きさは、八十掛ける百十の、建物の高さは六十メーターです。左下のとおりです。四百九十三本の
免震構造体が支えております。これは、
フランスの
原子力発電所は全てそういう
構造になっていまして、
免震構造体が下にあります。
日本では、ないことですね。
右側の図は、最もクリティカルなパスである建屋です。横軸がちょっと見にくいんですが、一番右が現在、それから右から三番目が二〇一五年で、私が離任したあたりですが、青い線が
作業量、
作業者の人工を示していまして、
右肩上がりで
作業量がふえている。これは、順調に進んでいるんだということを示すわけです。私も大変心強く思っております。
それから、次の
ページへ移らせていただきますが、
主要機器を示しております。
超電導コイル、
真空容器等で、旗がありますが、各国の分担でして、大事なことは、二万三千トンの
機器のうち、
我が国は主要な
機器をとっているということでございます。これは、
技術的な
ノウハウが十分たまる
構造になっております。
それを示したのが十四
ページでして、いろいろな分担で、詳細は省かせていただきますが、
超電導関係、
材料関係、赤い字が
日本のところです。
計測装置等も
日本はとっております。
日本は、基本的にはおくれは発生しておりません。大変頑張ってくれております。
次が、やはり
安全性というのは非常に重要なので、二
ページ使って、簡単ですが説明させていただきます。
まず十五
ページですが、福島やチェルノブイリのような事故は
核融合プラントでは起こりません。その理由は、
燃料の
プラントの中の量が一グラムだからです。十六
ページにもありますが、
原子炉との比較をしています。
核融合炉の場合は、炉心にある
燃料が一グラムで、
石油八トン分の
エネルギーしかありません。ですから、万一何か起こっても、その
エネルギーの被害の範囲でおさまるわけです。これは大きい。
ところが、
原子力の場合は、これも非常に
安全性に配慮はされているわけです。私は批判するつもりは全くありませんが、五百トンの
燃料をあらかじめ炉心に入れて、少しずつ燃やしていくわけです。だから、制御ができなくなると福島のようなことになってしまう。この違いが大きいわけですね。
核融合炉は、
原子炉より
技術的に高度であって、複雑でございます。したがって、つくることは難しいわけです。
原子炉に比べると随分おくれて、まだ
実現していないという事実がそれをあらわしております。しかし、
安全性は高いということが言えます。これが大きな点です。ですから、十五
ページの
三つ目の
ポチに書きましたが、どのような異常が生じても
プラズマを停止できるんだと。
それから、十五
ページの上から
三つ目の
ポチにありますように、私はニュークリアオペレーターを務めましたので、
日本でいえば
原子力規制委員会の対象になるわけでございます。その中で、安全に求められる要素というのは、
放射性物質の閉じ込めと周辺への被曝、その
二つだけでございます。
では、ちょっと急がせていただきます。
十七
ページ、これは
日本の今後を示しております。やはり
ITERを成功させて、今の
日本の
基盤を有効に使って次の
段階に進もうという
計画です。二〇五〇年を目途にしております。
それから、十八
ページ目ですが、
世界も
実用炉に向けての
ロードマップが
ITERの
進展とともに進んできています。
特に
中国について述べさせていただきます。
習近平主席が二〇一一年に
研究所を訪問している
写真を見せておりますが、
中国は本気でありまして、大学に
核融合学部を新設して、
人材の
養成等も進めております。それから、
ITERの
装置もつくろうとしております。
日本は絶対負けてはいられないと思います。
それから、低
放射化材料の
開発が必要ですが、これは
六ケ所村の
研究所で進んでおります。
それから、十九
ページ、二十
ページは、もう
一つの
方式でありまして、私が二〇〇九年まで所長をしておりました。こういう
ヘリカルな
コイルを使います。絶対にできないだろうという
装置を一九九八年に完成して
世界をはっと言わせたんですが、これは、私は
プロジェクトマネジャーをしましたが、期限内に予算内につくらせていただきました。そういうことも評価して
ITER機構長に推挙されたと思っております。
最近、
重水素の実験が地元の御了解も得て始まって、一億度の発生に成功しております。こういうアクティビティーがあります。
それから、その次の
ページ、二十一
ページを見ていただきたいと思いますが、
民間活力の
参入とその
必要性です。
世界的には数多くの
企業が
参入し出しております。
左側のリスト、ちょっと見にくいと思います。
アメリカ、
カナダ、
ヨーロッパ等ですが、
日本も一社ございます。
我が国にはまだその機運は醸成されていないというふうに思います、もう少し活発になってほしいと。
民間の
開発意欲は、
ビジネスそのものですから、高い活力を持ち、
リスク評価もきちっと厳格に行って、決断も早く、責任の所在も明確です。
右の方に、ジェネラルフュージョンという
カナダの
企業がございますが、百億円を集めて、七十人の社員を雇って、
ビジネスとしての
研究をしております。私はその
科学アドバイザーも務めております。
イノベーションについてですが、
二つ御説明したいんです。
一つは、二十二
ページ、地磁気が今消滅しようとしています。千年後にゼロになります。そうしますと、生命体の危機が訪れる
可能性がありますので、
核融合の
技術を使って、十二本の鉢巻きを巻いて、今の約十分の一の地磁気を発生させると、飛行機にも乗れるし、地上の水とか空気が太陽風、太陽からの放射線ではじき飛ばされて火星とか月のようになることを防ぐことができるという構想です。火星と月は地磁気がないんですね。ですから、ああいう
世界になっております。詳細は省かせていただきます。
コストですが、私の見積もりでは一千兆円です。GDPと比べて、
人類がもし滅亡するかもしれないというときにはこれぐらいの出資は得られるんじゃないかと。これは極端な
イノベーションです。
もう
一つは、次の
ページ、二十三
ページを見てください。これは、私が学事顧問をしております春日井にあります中部大学の超伝導センターでの結果を紹介しております。やはり
超電導技術です。
既に、一キロメーターの五万キロワットの送電線の
開発に成功しておりまして、この応用例は、シベリアにある豊富な天然資源をシベリアまたはサハリンで発電して、ロスがほとんどない
超電導線で持ってくると、海の中を通すわけですが、
日本に大量の
エネルギーを確保できる、そういうことに役立つはずだということで
開発しております。現在、次の十キロのラインの建設を進めようとしております。これは比較的近未来の
イノベーションです。
そのほか、先ほど申しましたが、多くの
イノベーションがありますし、例えば、
超電導になりますが、NMR等の
技術にも使われております。
二十四
ページ、二十五
ページ目は私のまとめでございますが、読んでいただければと思います。
機構長
時代に、各極との契約行為、プロキュアメントアレンジメントを九〇%結んだということが非常に大きなことの
一つと考えております。その結果、現在、物がサイトへ搬入され出している。
二十五
ページでございますが、七つの参加極と
ITERチームに対して、
ITERの
進展に対する大きな努力に心から敬意をこの場をおかりして表させていただきます。そして、感謝しております。
設計
段階から製作、インフラ建設に移行しており、物品も製作が開始され、
ITERは、建設の
進展により、既に折り返し地点を通過しております。
ITERにかかわる我々の
目的と責任というのは、
ITER建設の
進展を
社会に開示して、その全容、
コスト、スケジュールにかかわるリスクを関係者と
ステークホルダーが容認できる範囲に抑えることだと肝に銘じております。
そして、
我が国に強くお願いしたいことは、今後も準
ホスト国として最大の努力を傾注して全ての課題に挑戦していただきたい。巨大かつ複雑な国家
プロジェクトの性質、初期
条件に由来する困難を乗り越え、
ITERの
プロジェクトを完成へと導くためでありますが、それが
我が国が得られる利益の最大化につながると確信しております。
我が国の強力なコミットメント参画によりまして、
ITERプロジェクトを俯瞰する
ITER機構の組織、協力の文化そして仕事のプロセスに抜本的な変革が進むと期待できます。これを確信しております。
御清聴ありがとうございました。(拍手)