○辰巳孝太郎君
日本共産党の辰巳孝太郎です。
TPP協定承認案及び関連十一
法案に満身の怒りを込めて
反対討論を行います。
TPPに
反対する最大の
理由は、多
国籍企業の利益を最大化する一方で、
国民の暮らしや
農業、
医療などを破壊する最悪の
貿易協定だからであります。
政府は、
トランプ米国次期大統領による明確な
TPP離脱表明にもかかわらず、自由
貿易か保護主義かと繰り返しながら、批准を強行しようとしています。しかし、今問われているのは、
国内産業を衰退させ、とりわけ中間層の所得を奪い、
格差と貧困を広げてきた自由
貿易、新自由主義一辺倒の政策であります。
TPPが
国民生活を更に危険にさらすものだからこそ、
米国でも
日本でも、
国民大多数に
反対の声が広がったのです。
そのような世界の潮流も分からずに、総理は
TPPにしがみつき、批准することが、
TPP並みのレベルの高いルールを
締結する用意があり再
交渉はしない意思を示すことになると強弁しています。
しかし、そもそも
TPP協定は、
発効後も
協議の継続が大前提です。しかも、
関税と非
関税障壁の撤廃の方向での
協議だけが許され、後戻りはできません。結局、
日本は
米国をつなぎ止めるためにも更なる譲歩を重ねざるを得ません。また、
米国が二国間
協議を求めてきた際には、
日本はここまで譲歩する覚悟があるということを示すことになります。
TPP批准は、
日本の経済主権を売り渡し、不平等条約への道を突き進むものと言わなければなりません。到底容認できません。
委員会質疑を通じて、
TPP協定の重大な
問題点が明らかになりました。
第一は、
TPPが
日本の
農業に壊滅的な
影響を与えるということです。
国会決議では、米、麦、牛・豚肉、
乳製品、甘味資源作物など重要五
品目は除外、再
協議の
対象とするとし、さもなければ脱退としています。ところが、
政府は、除外はできないと知りながら
TPP交渉に臨んだのです。
TPP参画
協議にも従事した元農水省の作山巧氏は、
国会決議が求めた除外は
TPP合意にはない、
国会決議が一〇〇%守られなかったと断言しています。そして、その結果どうなったか。重要五
品目約六百
品目のうち、約三割で
関税が撤廃、残りも無傷のものは何一つないことが明らかになりました。
国会を欺き、
国民をだまして
TPP協定の
採決を強行することは絶対に許されません。
TPPは被災地の復興にも逆行します。岩手県議会では、先月、批准に
反対する
意見書が採択されました。福島県須賀川市議会でも、九月、全
農産物の
関税撤廃が迫られるおそれがあるとし、これでは
地域農業は立ち行かないとの
意見書が採択されました。十二月六日の
参考人質疑でも、天笠
日本消費者連盟共同代表は、被災者は放射能で汚染されていない野菜や果物を作り出すことに大変苦労をされており、
TPPは生産者の努力を無に帰す
可能性があると強い
懸念を示しました。被災者の声に耳を傾け、被災地の復興を第一に考えるのなら、彼らのなりわいを根こそぎ奪う
TPPは許されるはずがないではありませんか。
第二に、
TPPは
米国や多
国籍企業の要求を際限なく受け入れることになるということです。
総理は国益を守ると繰り返しました。しかし、その言葉を到底信用できないことが、
日本がこれまで
米国の数々の身勝手な要求を受け入れ、命や暮らしに直結する制度がゆがめられてきたことからも明らかです。
米国からの年次改革要望書では、
日本の
薬価に対し米
政府と米製薬業界が
異議申立てできる制度の創設が求められ、完全実施されました。医薬品が見込みを大きく超えて使われたときに価格を引き下げる市場
拡大再算定制度も、
米国側から繰り返し廃止すべきと求められてきました。
TPP発効で医薬品の価格
決定の手続について各国
協議が約束され、さらに、サイドレターにおいて、将来の
医療保険制度についても日米の
協議事項を受け入れると表明をしております。これまで
米国の言いなりに次々と要求を受け入れてきた
日本が、条約という更に強力な
枠組みの中で世界に誇る皆
保険制度を守れる保証は全くありません。
食の安全も既に脅かされています。現在、
日本では使用上限を定める基準がないにもかかわらず、毒性が指摘をされているアルミニウム
食品添加物を更に四
品目解禁することをサイドレターで約束していることも明らかになりました。また、
食品添加物にとどまらずに、
外国貿易障壁
報告書の中では、防カビ剤などのポストハーベストに関しても
食品添加物指定をやめさせて表示をさせないように迫る
米国の身勝手な要求がなされています。
協定発効後に設置される
TPP委員会は、多
国籍企業や経済団体の
意見を聞く仕組みがあり、その下に置かれる二十二の小
委員会や作業部会、とりわけ規制整合性小
委員会は、
関税と非
関税障壁の撤廃を前提とした
協定全体の
見直しに関わります。これまでも屈辱的な譲歩を重ねている
日本政府が、
TPPでさらに
米国と多
国籍企業の利益のために、
国民の命に関わる
医療や食の安全を更に危険にさらすことになるのは明らかではありませんか。
第三に、
ISDS条項が司法権をもじゅうりんするこの問題です。
投資家が国家を訴えることができる当
規定に対し、
政府は、
日本は訴えられることはないと繰り返し答弁してきました。しかし、訴えられないというのは根拠のない楽観論にすぎません。そもそも、請求の妥当性は国際仲裁廷の判断に委ねられるものであり、現にNAFTAでは六十九件の提訴がなされ、先進国であるカナダ
政府も
米国企業に訴えられています。
米国企業の提訴が圧倒的であり、勝訴したのは
米国企業のみ。
政府が言う濫訴
防止は絵空事にすぎません。
そして、
政府は、
日本の司法判断において勝訴し仲裁廷で敗訴した場合、条約を遵守する
立場から、仲裁廷に従うとも答弁いたしました。
ISDS条項が
我が国の司法権さえ侵害するということを
政府が認めたもので重大であります。司法権の独立さえ脅かす
TPPを
承認することは絶対に許されません。
第四に、
TPPによって必要な
国内の規制も課税もできなくなることが明らかになりました。
TPP協定の
影響は、既に現時点においても
我が国の政策
決定に大きな
影響を与えています。
政府が検討している民泊新法において、当初は、安全衛生規制のために
外国法人である民泊仲介業者にも
国内の事務所設置を求めることが検討されていました。ところが、
TPP協定に
規定されている現地拠点設置要求の禁止
規定に抵触するとして、検討項目から削除されました。
TPPによって安全衛生規制ができなくなったのです。
このことは、恒久的施設なくして課税なしという租税原則の下で、
外国法人に対する課税の機会を縮小させることにつながります。これでは、世界で大問題となっている多
国籍企業の租税回避を助長、野放しにしてしまうことになりかねません。
最後に、与党の皆さん、このようなあらゆる
分野で主権を損なう亡国の
TPPに固執をするならば、
TPPが最大の争点となった東北で与党の皆さんが大敗をした
参議院選挙のような結果が今度は全国で起こるでしょう。