○東徹君
日本維新の会の東徹です。
会派を代表して、本日の
議題である
公的年金制度の
財政基盤及び
最低保障機能の
強化等のための
国民年金法等の一部を
改正する
法律の一部を
改正する
法律案について、
厚生労働大臣に
質問いたします。
質問に先立ちまして、
三笠宮崇仁親王殿下の薨去につき、謹んで
哀悼の意を表します。
それでは、
質問に入らせていただきます。
初めに、
国民年金保険料の
納付率の向上についてお伺いいたします。
国民皆
年金制度と言われている
国民年金の
納付率は、一九九〇年代の八〇%台をピークに低迷が続き、
平成二十七
年度末では何と六三・四%と四割近い人が納めておりません。また、この
納付率は
国民年金保険料の
納付を免除又は猶予されている五百七十六万人が除かれており、これを含めた実質的な
納付率は僅か四〇・七%にとどまるなど、
国民皆
年金とは程遠い状態にあります。
厚生年金の
適用拡大によって
保険料納付者を増やすことも重要でありますが、
保険料滞納者への対応など、実質的な
国民年金の
納付率について、いつまでにどの程度を目標に引き上げていくのか、御見解をお伺いいたします。
次に、
公的年金制度と憲法の関係についてお伺いいたします。
現在の
制度において
国民年金等の公的
年金の
受給資格を得るためには、
保険料を二十五年間納める必要があります。
本来、公的
年金は、長生きすることに対する保障のため国による保険として
制度化されたものであり、
受給資格を満たした場合に初めて納めた
保険料の対価として
年金が支給されます。それゆえ、
年金制度をどのように設計するかが、一定の
制度の存在を前提とする権利である憲法二十九条の財産権や憲法二十五条の生存権など、
国民の憲法上の権利に大きな影響を与えることになります。
無
年金者の
救済に加え、
税金等による
年金財源の確保や人口構成に合わせて
年金制度の
改革を
実施することは、
国民の憲法上の権利を保障していく上で重要であると
考えますが、
公的年金制度と憲法との関係について御見解をお伺いいたします。
年金受給資格の緩和と
財源についてお伺いします。
本
法案では、
年金受給資格を得るための
保険料納付期間を二十五年から十年に
短縮することで無
年金者対策を進めていこうとするもので、非常に重要でありますが、新たに必要となる
財源の確保が不可欠であります。
厚労省によると、追加の
財源が必要となる人数は四十万人とされ、その額は、平
年度ベースで一年間に六百五十億円程度必要と言われております。ところが、
平成二十四年の
社会保障・
税一体改革当時の試算では、十七万人で三百億円程度と見込まれておりました。余りにも当時の試算と懸け離れており、当時の試算が間違っていたとしか言いようがありません。
このように増えた
理由について、厚労省は
高齢化の進展と述べておりますが、そのようなことは当然予測できたことであります。仮に
高齢化によるものであれば、今後も
高齢化が進んでいく以上、この
受給資格の緩和に関し必要な
財源は増えていくばかりと危惧いたしますが、必要となる
財源額も含め、御見解をお伺いいたします。
また、追加
財源が必要となれば、五年に一度行われている公的
年金の財政検証についても見直しが必要と
考えますが、御見解をお伺いいたします。
本
法案と
消費税との関係についてお伺いいたします。
本
法案に定める
受給資格の緩和は、元々
消費税率を一〇%に引き上げた時点で行われるものとされていました。一方で、
安倍総理は、本年六月一日、
消費税の一〇%への
引上げを
平成三十一年十月へ
延期すると表明されました。
我が国経済の現状を
考えれば妥当な
判断ではありますが、今から三年後の
経済状況がどうなっているか不透明であり、再度の
延期も
考えられます。
この点、
日本維新の会は、本年の
参議院選挙でも、景気の現状等を踏まえ
消費税率一〇%への
引上げの凍結を主張し、本日午後、
消費税増税凍結
法案を参議院に提出いたします。我が党の主張どおり
消費税増税が凍結された場合、我が党は、身を切る
改革によって必要な
財源を確保していくことを
考えております。
政府としては、
消費税率引上げが
平成三十一年十月より更に
延期された場合、この
財源の確保をどのように行っていくのか、御見解をお伺いいたします。
受給資格緩和のメッセージ効果について伺います。
本
法案が
成立すれば、公的
年金の
受給資格期間が二十五年から十年に
短縮されることになりますが、このことが、逆に、
国民へのメッセージとして、
保険料を滞納してもよい
期間が十五年延びるということに受け取られかねません。更に言えば、十年間納めれば
年金がもらえると勘違いされかねません。
公的年金制度は、二十歳から六十歳まで四十年間の強制加入を原則としております。今後も、
国民に原則四十年間
保険料を納めてもらえるよう、
政府はどのように取り組んでいくのか、御見解をお伺いいたします。
高齢者の就労
促進について伺います。
本
法案が
成立すれば、新規又は
早期に
受給権を得る人が六十四万人見込まれています。一人当たりの金額は、
老齢基礎年金部分で平均すると月額約二万一千円、
厚生年金も受給できるようになる方は月額三万二千円と言われております。
我が国の
年金財政や四十年間
保険料を納めた方とのバランスも
考えると、この金額を急に増やすことはできないことから、まず、
高齢者が働きやすい
環境をつくり、働く意思も能力もある
高齢者に働いていただくことで経済力を確保していくことも重要であります。あわせて、将来の
我が国の経済や財政を
考えた場合、就労の
促進により、
高齢者に
税金や
年金保険料を納めていただくことで、
社会に貢献する実感を持っていただくことが肝要であります。
そこで、
年金受給者が働いて
収入を得た場合に
年金が減額される在職老齢
年金制度について、
高齢者の就労を抑制するものであり、廃止も含め、早急に改善が必要と
考えますが、御見解をお伺いいたします。
年金と
生活保護の関係について伺います。
高齢者の
収入源の大部分は公的
年金でありますが、公的
年金の本質は国が運営する保険商品であり、
国民の最低限度の
生活を保障する福祉ではありません。ここに、保険である
年金制度と福祉である
生活保護
制度との役割分担がありますが、
生活保護受給
世帯の半数以上が
高齢者世帯であるなど、両
制度は密接に関連しています。
本
法案によって新たに
年金受給資格を得る人が増えれば、
生活保護負担金は減っていくものと
考えますが、どの程度の影響があるのか、御見解をお伺いいたします。
年金制度改革について伺います。
我が国の
年金制度は賦課方式が取られております。賦課方式では、人口の年齢構成が長期的に不変であれば
世代間格差は生じませんが、現実は、
少子高齢化によって、将来の
世代ほど少ない現役
世代が多くの
高齢者を扶養することとなり、
世代間不公平が生じていきます。これを解消するためには、
公的年金制度を払い損がなく
世代間で公平な積立方式に移行することが不可欠であり、我が党は、
消費税増税凍結
法案とともに、公的
年金の積立方式移行
法案についても、本日、参議院へ提出いたします。
政府は、我が党の
法案に対する議論も含め、積立方式への移行に向けた検討を
早期に進めていくべきと
考えますが、御見解をお伺いいたします。
また、本年十月六日に行われた参議院
予算委員会において、我が党の浅田均委員の
年金に関する
質問に対し、
安倍総理が、
社会保障の
給付等におきましては、
高齢者の
方々についても
所得制限等についてもこれからも工夫していく必要があると答弁されております。
この工夫とはどういうことを想定されているのか、我が党の
参議院選挙マニフェストに掲げた
年金支給開始年齢の
引上げも含まれているのか、お伺いしたいと思います。
本
法案は無
年金者を減少させるという重要な意義を有するものでありますが、その
財源の確保というものが何より大切であります。財政状況が厳しいときこそ、まずは身を切る
改革でもって
財源を確保すべきことを申し上げて、
質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣塩崎恭久君
登壇、
拍手〕