○階
委員 後段の民間の就職状況が好転しているというのは、私は
理由として当てはまらないのではないかと。なぜならば、私の
資料の一番最後に、予備試験の受験状況についてグラフを掲げさせてい
ただいておりますけれども、予備試験の方は、景気がよくなっても別に減っているわけではありませんね。堅調に推移しております。ここ三年ぐらいは一万二千人台後半で推移しているわけですね。
結局、就職状況がよくなっても、司法試験を受けたいという人はいるんだと思うんですね。でも、
法科大学院に入りたいという人は激減している。ここに大きな問題があるわけですね。質量ともに充実した
法曹養成を目指すということで
法科大学院を立ち上げて、逆の効果になっていると私は
考えています。
そこで、さらにお尋ねしますが、読売新聞でも取り上げられていましたけれども、
法科大学院入試の前に適性試験というものを受けるというこれまでのルールでした。この適性試験で下位一五%ぐらいに入ってしまうと、事実上、
法科大学院を受けられない、あるいは受けたとしても入れない、こういったことで
法科大学院入学者のレベルを一定以上に確保してきた、こういうものがあったと思います。
ところで、新聞報道によりますと、この適性試験をやめて、いきなり
法科大学院入試を受けられるようにするようなことが検討されているとありました。私はとんでもないことだと思っています。
と申しますのも、
法科大学院の入学試験の競争倍率というのもグラフでつけさせてい
ただいております。下から三枚目ぐらいにあるかと思いますが、
法科大学院入学者選抜における競争倍率の推移ということで過去からずっと調べておりますけれども、当初、競争倍率四・四五倍だったということで、競争水準はかなり確保されていたと思うんですが、近年は一・八六倍ということで、最低のレベルになっていますね。
かつ、本来は二倍以上なくてはいけないというのが文科省の方針だったと思います。一・八六倍まで下がっておきながら、ちょっと語弊があるかもしれませんが、さらに足切りをするための適性試験もなくすということは、ますます
法科大学院入学者のレベルが下がってしまうのではないか。
競争倍率が上向いてきている、高くなっているという中で適性試験を廃止するならまだわかるんですけれども、まさにこれは、貧すれば鈍するといいますか、本末転倒といいますか、競争倍率がどんどん下がって不人気が高まっている中で、レベルを確保するための適性試験をやめるというのは、とんでもない過ちだと思っております。
この点について文科省の
見解を伺います。