○
吉田参考人 お答え申し上げます。
まず、
人事官として何を気をつけているかというか、どういう心構えで臨んできたかという点ですけれども、
人事行政というのは、
人事行政といいますか、
人事というのは割と保守的でありまして、
改革についていうと慎重というのが、これは国だけではなくて、どこの
人事もそういう傾向があるのではないかなというふうに思っています。
しかし、
人事制度あるいは
給与制度というのはそういうことではいけない。
個々の
人事や
給与というのは慎重に丁寧にやる必要がありますけれども、
制度というのは
環境に応じて変わっていかなければいけないんだろうというふうに思います。
この点については、
事務方の時代から個人的には、改めるべきところは積極的に改めるというマインドで臨んできましたけれども、
人事官になってからはさらに、
国民に
信頼されて、かつ、よく機能する
人事行政という
観点からは、
社会の
変化に敏感に対応して、かつ
基本から適切に
見直していくことが重要だということを一層
考えるようになったと思っております。
例えば、現在、昨年の四月から
給与の
総合見直しということで配分の
基本的な
見直しに取り組んでおりますが、こういうことに当たっても、そういう
基本的な
考え方で臨んだということが言えると思います。
それからもう一点ですけれども、
日本の
公務員制度については、国内ではいろいろな御批判を受けて、私も、
個々の事例を見ますと改めなければいけないものも多々あるというふうに思いますけれども、全体を見たときに、その
パフォーマンスというのは欧米の
公務員に比べて遜色はないものと思っておりますし、
専門能力あるいは高い
士気、
倫理観、そういう面ではよい方の部類に属しているのではないかというふうに思っております。これは、東アジアの諸国などの
公務員担当の
方々と話をしていても、
日本の
公務員制度を見習いたいと彼らが言うときのバックグラウンドにはそういうものがあるということを実感しています。
このような
日本の
公務員の
パフォーマンスのよさというのを支えているのは何かというふうに
考えますと、
仕事あるいは
研修というものを通じて
公務員意識をきちんと継承していくというか伝えていっているということが今までのところうまくいっている。あるいは、適切な
給与等の
処遇が
確保されている。それから、
職員にとっても、
国民から
信頼されているという思いが一定限ある。それに加えて、
試験とか
人事行政を通じて
人事の
公正性が
確保されているという、
職員にとっての
安心感があるのではないかというふうに思っておりまして、こうした
職員からの
期待というか
信頼というのを裏切らないような公正な
人事行政のために頑張っていかなきゃいかぬということを
人事官としては意識していました。
次に、もう一点お尋ねでありました点ですけれども、
男女共同参画社会の
実現というのは現在の最
重要課題の一つでありまして、昨年十二月には第四次
男女共同参画基本計画が閣議決定されたところであります。
公務における
女性の
活躍というものの基礎には、
女性が安定的に
採用されるということが必要でありまして、現在、第三次
計画が定める
成果目標、
採用者の三割程度というのも
実現しておりますが、引き続きこれに努めていく必要があると思います。
そのためには、さまざまな
機会に
大学等でPRをするとか、そういうことを精力的にやっているわけですけれども、より抜本的には、例えば
理工系などは
大学の
学部に行っても、工
学部の
女性の割合というのは十数%しかいないということです。それを
官民が奪い合うということになりますので、むしろ、
高校等もっと早い段階から、
職業生活の
多様性ということをPRしていかなきゃいけないのかなという感覚を持っております。
さらに、
採用した後の
登用ということにつきましては、
男女を問わず働きやすい
勤務環境を整備するということと、それから
女性職員の
能力を伸ばす
研修、あるいは
女性職員を的確に使えるように
管理者を
研修するというようなことが大事だというふうに
考えております。
それから、ハンディキャップを持つ
方々の
雇用、
採用というものについては、その持てる
能力を十分活用して
公務に生かすことが大事だというふうに思っております。
人事院としては、例えば
公務員の
採用試験において
点字受験を導入したり、
拡大文字による
受験というのを認めるなど、
受験上の便宜といいましょうか
公正性を
確保するための
措置を講じてきております。
今後とも、
公務員法で定める
成績主義原則のもとで、
障害者雇用促進法の趣旨との双方を勘案して、
障害者雇用の
促進のために適切な
措置をとっていくことが必要だというふうに
考えております。