○塩川
委員 日本共産党の塩川鉄也です。
極めて短時間な時間でありますので、最初に、
国会の秘密保全体制、
情報監視審査会の始動についての意見表明を行います。
安倍政権が成立を強行し、昨年十二月十日に施行した秘密保護法は、国民の知る権利を侵害し、日本国憲法の基本原則を根底から覆すものであり、国民の多くが不安や疑問を抱き続けています。秘密保護法は廃止すべきです。
ところが、本日、
自民、
公明の政権
与党は、
国会を
政府の秘密保全体制に組み込むため、秘密
国会法に従って、
国会職員に人権侵害の
適性評価を行う
基準を決定し、常設の秘密会、
情報監視審査会を始動させようとしています。これは、
政府を監視するという
国会の第一義的任務を投げ捨てる、
国会の自殺行為であり、断じて認められません。
秘密
国会法というべき法改定は、昨年六月、第百八十六通常
国会の会期末、
自民、
公明両党が、当
委員会でわずか七時間の
質疑で採決を強行し、さらに法案の問題点が噴出する中で、参院でも七時間で
質疑を打ち切り、結局、自公両党のみの
賛成で強行成立させたものであります。
本日の
国会職員の
適性評価の
実施基準の審議も、極めて短時間で、責任ある答弁が十分に担保されないものであり、こうしたやり方で
国会の秘密体制を始動することは到底許されません。
なぜ、
国会の
委員会や
国会議員などが秘密を漏らさない厳格な仕組みをつくらなければならないのか。
秘密保護法第十条には、
政府、
行政機関は、
国会が秘密保全の
措置をとらなければ
特定秘密を
提供しないと定められており、
国会に厳格な秘密保全体制をつくる
国会法改定は、この十条の
規定に従ったものであります。
常設の秘密会である
情報監視審査会は、
委員八人で構成され、審議内容も
会議録も全て非公開です。担当
国会職員に
適性評価、身辺
調査を義務づけ、電波傍受を遮断する、防護された特別の
会議室まで設ける等の体制をとろうというのであります。
自民、
公明両党は、こうした
国会の秘密体制は、
政府から
特定秘密の
提供を受け、その
運用を監視するためだと言い、
国会に提出された
特定秘密が万が一にも漏れることのないよう、さまざまな
措置を講じると
説明してきました。
しかし、もともと、何を
特定秘密にするかは秘密であり、
国会がどんなに厳格な秘密保全の仕組みをつくっても、
政府が
特定秘密を
国会に提出するかどうかは
政府の判断次第というのが秘密保護法であります。
たとえ
政府から秘密が開示されても、
情報監視審査会の
審査は秘密会で、
会議録は公開されず、
委員ですら許可なく閲覧できない。秘密の開示を受けた
議員は、その内容を
国会の外で漏らせば刑罰に処され、
国会質問で取り上げたら懲罰の
対象となり、除名処分まで受けかねないのであります。憲法五十一条が保障する、
議員の
発言、質問、討論の自由を奪うものであります。
仮に、予算
委員会が、
議院証言法、
国会法に基づき、
政府に対して資料提出を求め、
政府が
特定秘密が含まれるとして提出拒否を疎明した場合、
情報監視審査会は、その疎明を
審査し、受諾し、提出しなくてもよいとの決定を行う場合があるとされています。五十人の
委員で構成する予算
委員会の決定を、八人の
委員で構成する
情報監視審査会が、その
理由も明らかにせず覆すことになるのであります。常任
委員会による国政
調査権の行使を制約するものにほかなりません。
情報監視審査会は、
政府が拒否した
特定秘密の提出の勧告を行うことも
規定していますが、その勧告には強制力はありません。
不十分であっても
国会の監視機関が必要だという議論がありますが、今進められようとしている体制は、
特定秘密体制にお墨つきを与えるだけでなく、
国会が
政府の秘密体制にみずから取り込まれ、
政府の秘密を国民の目から隠す、秘密の共犯者にしてしまうものです。
政府監視とは全く逆で、
国会議員を監視するものにほかなりません。
国会が
政府を監視するとはどういうことでしょうか。
国会は、主権者国民を代表する唯一の立法機関であり、国権の最高機関です。憲法は、
国会に国政
調査権を保障し、
国会の公開原則、
議員の
発言権保障を明記しています。
このもとで、
国会は、国政のあらゆる分野で国政
調査権を行使し、とりわけ日米安保の秘密を初め
政府、行政の実態に迫り、国民に明らかにする役割を担っているのであります。
国会の資料
要求に対し
政府が提出を拒否するなら、その
理由を
内閣声明として明らかにせよというのが、従来の
国会法の
規定です。
政府が
内閣声明で、国家の重大な利益に悪影響を及ぼすと拒否すれば、それが拒否に値するかどうかが国民の前で問われることになります。提出拒否が国民に公開されることが大事であります。
国民に知られない秘密会で
政府の
説明を
審査し、何を議論をしたかも国民に明らかにしないで、どうして
政府監視の役割が果たせるでしょうか。
国会の資料提出
要求に対して
政府が
内閣声明で拒否した事例は、一九五四年、造船疑獄事件をめぐり吉田
内閣の法務大臣が検察当局に指揮権発動した問題での証言拒否の一件だけです。それ以外では、
政府が
国会の
要求に応じてきたわけではありません。
現実の
国会は、国政
調査権を行使する主体である
委員会が
政府に資料
要求することを
委員会の多数を占める
政府・
与党が阻むため、
委員会の正式な
要求にならない場合がほとんどです。
内閣声明を
要求するところまでいかないのが実態です。
国会が本来の権限を行使できていない現実の上に、秘密保全のハードルをつくれば、
国会は一層無力化されてしまいます。
今、
国会に問われているのは、
国会に秘密保全体制をつくって
特定秘密を
提供してもらうことではありません。国民の目と耳、口を塞ぎ、国民の言論、表現を抑圧し、日本国憲法の基本原則を根底から覆す希代の悪法である秘密保護法を廃止することこそ求められているのであります。
以上、申し述べるものです。
その上で、最初に
官房副
長官にお尋ねいたします。
職員への
適性評価についてでありますけれども、
国会への
特定秘密の
提供というのは、秘密法十条の公益上の必要による
特定秘密の
提供に基づいております。
お尋ねするのは、事前の質問要旨にありました2ポツの2、3にかかわってのことでお尋ねしたいと思うんですが、十条一項一号は、
国会以外の業務での
提供においては、政令で定める
措置を講ずることを求めていますが、
政府は、その
措置の中で
適性評価を求めておりません。
そうしますと、
政府の監視機関とされる
独立公文書管理監、
情報保全監察室への
特定秘密の
提供も、公益上の必要による
特定秘密の
提供に基づいています。
独立公文書管理監、
情報保全監察室の
職員は
適性評価を受けるんでしょうか。
また、十条一項一号は、
国会以外の業務での
提供においては、政令で定める
措置に
適性評価を含めていない。その
理由は何かについてお答えください。