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2014-05-20 第186回国会 参議院 国土交通委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年五月二十日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  五月十四日     辞任         補欠選任      大野 泰正君     森 まさこ君      北村 経夫君     世耕 弘成君      酒井 庸行君     長峯  誠君      豊田 俊郎君     宮沢 洋一君      河野 義博君     山口那津男君  五月十五日     辞任         補欠選任      江島  潔君     大野 泰正君      世耕 弘成君     北村 経夫君      長峯  誠君     酒井 庸行君      森屋  宏君     豊田 俊郎君      野田 国義君     江田 五月君      山口那津男君     河野 義博君  五月十六日     辞任         補欠選任      宮沢 洋一君     森屋  宏君      森 まさこ君     江島  潔君      江田 五月君     野田 国義君  五月二十日     辞任         補欠選任      田中 直紀君     浜野 喜史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤本 祐司君     理 事                 赤池 誠章君                 渡辺 猛之君                 田城  郁君                 広田  一君                 魚住裕一郎君     委 員                 青木 一彦君                 江島  潔君                 大野 泰正君                 太田 房江君                 北村 経夫君                 豊田 俊郎君                 中原 八一君                 野上浩太郎君                 森屋  宏君                 田中 直紀君                 野田 国義君                 浜野 喜史君                 前田 武志君                 河野 義博君                 室井 邦彦君                 田中  茂君                 和田 政宗君                 辰已孝太郎君                 吉田 忠智君    国務大臣        国土交通大臣   太田 昭宏君    副大臣        国土交通大臣  野上浩太郎君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       中原 八一君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 利幸君    参考人        一橋大学大学院        商学研究科教授  根本 敏則君        筑波大学社会工        学域教授     石田 東生君        環境経済研究所        代表       上岡 直見君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○道路法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  道路法等の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。太田国土交通大臣
  3. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  高速道路建設開始から半世紀が経過し、今後その老朽化対策として計画的な更新を推進する必要があります。また、都市再生地域活性化観点から高速道路活用を図るため、所要措置を講ずる必要があります。  このような趣旨から、この度この法律案提案することとした次第です。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構高速道路株式会社と締結する協定や、機構が作成する業務実施計画に、更新事業に関する事項を定めなければならないこととしております。また、高速道路更新財源を確保するため、建設債務償還満了後の一定期間において、継続して料金を徴収することができることとしております。  第二に、道路上部空間活用し、都市再生事業高速道路維持更新事業との連携を図るため、立体道路制度を既存の高速道路にも適用できることとしております。  第三に、高架道路下部空間活用を図るため、占用許可基準の緩和や、占用者を公平に選定するための入札制度を創設することとしております。  第四に、地域活性化観点から高速道路活用を図るため、スマートインターチェンジ整備に対する新たな財政支援を行うこととしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上がこの法律案提案する理由であります。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  4. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  5. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  道路法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会一橋大学大学院商学研究科教授根本敏則君、筑波大学社会工学域教授石田東生君及び環境経済研究所代表上岡直見君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記を止めてください。    〔速記中止
  7. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  8. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 道路法等の一部を改正する法律案議題とし、参考人方々から御意見を伺います。  この際、参考人方々に御挨拶を申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  参考人皆様方から忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の審査参考にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。  まず、根本参考人石田参考人上岡参考人の順序でお一人十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと思います。  なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長許可を得ることとなっております。よろしくお願いします。  それでは、まず根本参考人にお願いいたします。根本参考人
  9. 根本敏則

    参考人根本敏則君) 御紹介ありがとうございます。根本でございます。  私は、今回の法律ポイント高速道路更新費用財源調達問題だというふうに考えました。  この問題を考えるに当たり、問い三つ作ってその答えを考えてみました。まず、高速道路費用は税で賄うべきか料金で賄うべきか、高速道路費用にはどのようなものが含まれるか、それから、地方部の非混雑道路無料化すべきなのか、その場合には更新費用はどういうふうに調達できるんだろうかということでございます。  さて、問い一でございますけれども、道路高速道路国道、県道、市道と仮に分けて考えてみたときに、車を通過させるトラフィック機能を主に担う高速道路、それから沿道からの出入りを保障するアクセス機能、こういうものがございます。そして、トラフィック機能を担う高速道路受益者道路利用者であり、アクセス機能を担う市道受益者沿道居住者あるいは土地所有者と考えることができます。  さて、そのトラフィック機能を担う道路については自動車関係税を充てるのが適切というふうに思うわけですけれども、自動車関係税のうち燃料税道路利用量と関係しますが、高速道路利用しない道路利用者もいます。あるいは、燃料を消費しない次世代自動車などが出現してきております。また、自動車保有税も、これは自動車関連税でございますけれども、これは道路利用量とは直接連動していません。そういうわけで、料金がより適切というふうに考えるわけであります。消費税所得税などの税は道路利用とは全く無関係で、不適切と思うわけであります。  また、料金がより好ましいと思う理由一つに、最近の情報通信技術の発達がございます。日本で使われているETC、これは道路と車が短い距離で通信しますので、専用域通信といいますけれども、GPSを使えば走行距離が分かるようになってきました。また、ナンバープレートをカメラで認識してその車を同定するということもできるようになってまいりました。ということで、昔に比べて非常に安価に料金が徴収できるようになってきたというふうに思います。また、後ほど述べますけれども、混雑に応じて料金を変えるということも世界的にいろいろ導入されるようになってきまして、これはとても税ではなかなか対応できないことなので、ここでも料金のより優位性というものが認められるわけです。  ということで、結論的に、高速道路道路利用者に走った距離に応じて徴収する料金の形で負担を求めるのが公平ではないのかというふうに思うわけです。また、効率的ということも言えます。それは、料金の取れるところだけしか道路が造れない、料金が取れる範囲で道路が造れるということで、効率的とも考えられます。  参考までに、欧州において高速道路大型車距離課金導入する国が増えているということを参考資料として付けております。三ページ目、四ページ目をちょっと参照いただきたいと思うんですけれども、ヨーロッパでは、欧州連合ができまして国境を越える長距離移動が活発になってきました。自国の道路外国大型車が通行するようになり、道路損傷などを起こすその外国大型車にも負担をしてもらいたいということが強まってまいりました。  従来、ドイツとか北欧の国々は、ビニエットといいまして、ステッカーを貼ってあればその車は一年間、例えば十五万円ぐらい、大型車がそのステッカーを買わなければいけないんですけれども、買ってあればもう高速道路は使いたい放題ということだったんですけれども、これは非常に安いわけですね。走行量に応じてやっぱり料金を取るべきではないのかということで、ドイツGPSを使った大型車距離課金導入されました。高速道路で取りましたら今度は国道の方が混みましたので、ドイツ国道有料道路に組み入れることになりました。フランスは、日本のような高速有料道路はあったんですけれども、ドイツ、隣の国で有料が、ネットワークが広がるにつれて大型車フランスを走るようになりまして、フランスでも国道有料制をしこうと今計画しているところであります。  あるいは、アメリカについても、元の方に戻りますけれども、オバマ政権は新しい法律を今準備しているところですけれども、ガソリン税道路特定財源にして、それで州際高速道路費用として充当しようという、そういう六年間の法律を今審議しているところですけれども、その中で、州際高速道路原則有料道路禁止というそういう条項があったんですけれども、その撤廃を提案中です。この十年くらい、州際高速道路線増レーンを増やすときに、そのレーンを増やすのに併せて有料制というのは次々と導入されてきてはいたんですけれども、それはあくまでも例外措置です。その例外を改めて、もう原則的に有料をまず禁止するというのをやめようというふうなことを提案中です。これはまだ議会で通っているわけではなくて、今議論をしているところですけれども、ガソリン税がもう当てにならない財源であると、ガソリン税に代わる新しい財源として有料制導入しようとしています。  ということで、まさに世界の動きは税金から料金だというふうに思っています。  二番目の、高速道路費用に含まれるものは何かということになりますけれども、インフラ費用外部費用と二つに分かれます。インフラ費用建設費用維持管理費用ですけれども、今回、更新費用というものが重要だということが分かってまいりました。考えてみれば、高速道路耐用年数の異なる様々な設備、施設から成り立っているわけであります。しかも、ほかの国道などに比べてトンネルや橋などの構造物の比率が高いわけで、その意味でも更新ということが非常に大事な道路であります。そのほかに、外部費用として環境費用混雑費用などを考えることができます。これは、道路管理者に生じる費用ではなく第三者に生じる費用ですけれども、道路管理者にそれを負担させる、あるいは気付かせるということにより量を制約する、より最適な量に減らすことができるというようなこともあるわけです。  さて、有料道路が誕生したときには償還期間は三十年でした。三十年ということでは、余り更新のことを考える必要はなかったかもしれません。しかし、その後、プール制導入により、現在ではもう五十年たってまだ料金を徴収している路線ももちろんありますし、公団民営化に際して、今後三十六年間、すなわち平成六十二年度まで料金を徴収するということになったわけで、この償還期間の間に更新ということをしないということはもう避けられない、更新は避けられないということになったと思います。  そして、笹子トンネル事故以降いろいろ精査していく中で、必要な更新規模、それからその費用、そういうものが明らかになったわけで、それを償還計画に組み込むというのは当然のことではないかというふうに思うわけであります。  さて、参考までに、その混雑の問題についても一言だけちょっと触れさせていただきたいと思います。  首都圏環状中央環状外環圏央道などが概成する中で、代替ルートが確保できるようになりました。東名筋から常磐の方に抜けるに当たっても、いろいろなルートが使えるようになる。そのときに、もし料金混雑状況が反映できれば、交通を非混雑路線にシフトすることができます。混雑料金収入は、当該道路車線数を増加したり、あるいは非混雑時の割引に活用が可能であります。日本も諸外国に倣って、この混雑というものを料金に反映させる仕組みを是非導入していきたいものだというふうに思っております。  さて、三番目の地方部の非混雑道路無料化すべきかどうか、更新費用はどうなるのだろうかという問題に入っていきたいと思いますけれども、経済学者の中でも、過去の投資は回収できない埋没費用である、過去のものである、ですから、現在の施設を有効活用するためには無料化が有効であるという考え方は、短期的には説得力のある論理であります。しかし、私はこの意見には反対です。  当該高速道路更新が必要になったときには、別途財源を調達する必要が出てきます。地方部にあっても、税による更新というのは受益者負担観点からは正当化は難しいと思います。また、地方財政事情から見て、現実的に税で更新をしていくというのもまたこれは困難であります。したがって、結論的には、利用者更新費用を含めて、節度を持ったプール制の下、一定程度料金として負担すべきではないかというふうに考えるわけであります。  ただ、人口が急激に減少している地域で、地域高速道路ネットワーク全体の容量を縮減するということが必要になっている地域、その場合はひょっとしたら更新が必要ないかもしれません。その場合には、またちょっとこれは別途議論が必要になるかもしれません。しかし、基本的に更新は必要なわけです。それは利用者に払ってもらわなければいけないのではないかというのが私の意見であります。  さらに、今回の法律には直接関係しませんけれども、私が懸念することとしては、新直轄などの無料の高規格専用道路が次々とネットワークを広げて、NEXCO高速道路ネットワークとつながろうとしています。もしこの新直轄専用道路長距離でつながっていくということになれば、これは公平性の点でも問題でありますし、NEXCOの経営上の問題としても少し重要な問題を提起してくると思います。  アメリカでも、有料道路会社が経営している道路に並行して州道ができたときに、有料道路交通量が大きく減りました。結局、州はその有料道路を買い取らざるを得ませんでした。やはり、無料道路有料道路ネットワークをどういうふうにつくっていくかというのは、これは有料道路を考える上、無料道路を考える上でやはり非常に重要です。相互に関係します。  あと、道路損傷の主たる原因者である大型車にだけ負担を求める路線導入というのも是非将来の検討課題としていただきたいと思っております。  フランスでは、有料道路大型車普通車も払います。しかし、今検討されている新しいエコタックスという税金では、国道は、乗用車はただですけれども、大型車負担してもらうということで、大型車にだけ負担してもらう道路というのも考えているんですね。もちろんそういうのも技術的に容易にできるようになっていますので、そういうふうな、特に道路損傷原因者である大型車負担を求めるというので路線を決めるということも非常に有効ではないかと思っております。  以上でございます。
  10. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 根本参考人、ありがとうございました。  次に、石田参考人にお願いいたします。石田参考人
  11. 石田東生

    参考人石田東生君) 筑波大学石田でございます。お招きいただきまして、どうもありがとうございます。  私のメモを御覧いただきますとお分かりになりますように、大きく三つから構成されております。まず、法律案、今回の道路法の一部を改正する法律案への総括的意見というものをまず述べさせていただきます。それで次に、若干技術的な細部に入ってしまうかも分かりませんけれども、改正の各点に関する意見を述べさせていただき、最後に、今般の改正、大規模更新及び料金政策空間活用ということに関して、更にこういうことを御検討いただければ有り難いという要望を述べさせていただければと思います。  まず、総括的意見でございます。  道路だけではなくて、多くの社会資本が、建設整備する段階から健全に維持管理し活用を図っていくと、そういう時代に入っているんだというふうなことが言われております。今回の道路法改正は、道路ネットワーク活用を更に加速、充実させるという意味で非常に高く評価をすべきであろうかと思います。  高速道路の計画的な更新というのは、これまで築き上げてきた貴重な資産次世代に継承するために是非とも必要なことでもございますし、道路空間活用とかスマートインターチェンジ整備環境を良くするということも、資産を更によく活用するという、そういう観点から、三つの大きなポイントには共通性があろうかと思います。  しかし、活用に入ったからといって、これは整備とか建設を全くやらないということを意味するものではないというふうにも思います。やっぱり道路資産ネットワークとして見た場合には、道路ネットワーク利用価値を更に上げるためのミッシングリンクというのをどう整備していくかとか、安全、安心のための代替的経路、リダンダンシーの確保とかと申し上げますけれども、そういうことをどうするかとか、あるいは自動車だけではなくて、今回は高速道路でございますけれども、道路ネットワークということを考えた場合には、高速道路も全体のネットワークの一部でございます。自動車だけでなく、人、乳母車、車椅子、自転車、最近話題の超小型モビリティーをどううまく導入していくんだという、そういうふうな質的な整備必要性もまだまだ高うございます。そういう場面がまだ多数残されているということを忘れてはいけないと思います。  また、活用段階に入ったと申し上げましたけれども、具体的な実践はまだまだ緒に就いたばかりだろうと思います。このことを今後更に加速していくということも重要で、本法律案はこの最初のスタートの一部を切ったものであるという観点からも評価できるんじゃないかなというふうに思います。  二番目が、改正の各点に関する意見でございます。  まず、高速道路の計画的な更新実施のための改正でございます。  冒頭申し上げましたように、高速道路資産、非常に貴重なものでございます。これを健全な形に保ち、次世代へ継承するということから見て、是非とも必要なことだろうと思います。  今回、各社における検討は、私自身も首都高委員会に参画させていただきましたけれども、非常に豊富なデータと現在最高の知見に基づいて、かつ現場等も十二分に視察し、評価を踏まえた上でのものでございますので、結構信頼性は高いんではないかなというふうに考えております。償却期間中に次々と更新必要性が出てくるというのは考えにくいんではないかなというふうに思っております。しかし、未来永劫大丈夫かというと、それはそんなはずがあるわけではなくて、いずれ維持更新のための有料制永久有料ということも考えなくちゃならないのかなというふうに思います。  ただ、費用の見積りも出ておりますけれども、やっぱり国民負担を軽減するという観点からは、特に大都市域におきましては都市再生事業との連動性を高めて、都市のためにも良くなり、かつ費用も安くするという、そういう検討が今後必要になろうと思います。  二番目が、道路上部空間活用でございます。  立体道路制度というのができましてもう三十年以上経過してございますけれども、適用件数というのはなかなか多くなっておりません。一年当たりに直しますと一件強という、そういうものでございます。いろいろ理由はあるんでしょうけれども、一つには、立体道路制度が適用されるのが道路新設あるいは大規模改築のときのみに限定されていたということがあろうかと思います。今回の改正によって、この新設改築時の限定が解除されるということは、立体道路制度、これ都市のためにとっても非常に重要なものでございますので、高く評価できると思います。  ただ、今回の改正は、首都高速道路の築地川区間を非常に色濃く想定したものというふうに理解しておりますけれども、民間のディベロッパーの方なんかと話をしておりますと、あそこは地形、区画の形が余り良くないとか、アクセス道路余り整備されていないとかということで、あの道路空間だけで考えると余り魅力的じゃないんだけどなというふうなことをよく伺います。ですから、先ほども申しましたように、区画の大街区化とか、あるいは今、東京の八重洲口というのは、八重洲口も新しくなりましたし、あるいは再開発事業なんかも進捗しておりますので、そのこととの連動性なんかも含めて広い視野で考えるべきだろうというふうに考えております。  次が高架下空間活用でございまして、これも非常に貴重な空間でありまして、これを促進するということで、かつ入札制によって、いい利用の仕方を応募するということで、評価したいと思います。  ただ、今の道路局長通達というのを拝見いたしますと、高架下利用については、都市計画土地利用計画との整合性、公共的、公益的利益の優先という非常に大事なことが述べられておりまして、お金さえ払えば何に使ってもいいんだということにはしてはならないと思います。この精神は承継されるべきであると考えております。  次が、スマートインターチェンジへの財政支援でございます。  欧米に比べると、日本高速道路インターチェンジの間隔は二倍から三倍程度長いというふうに言われております。これは有料高速道路でございますので、料金収受のためのコストとの見合いで決まっていることでございますけれども、ETCの広範な普及によって料金収受が非常に安くなってございます。そうすると、スマートインターを更に設けることによって、これも高速道路の使い勝手が良くなる。これは活用につながるということで非常にいいものでございます。従来、利便増進事業で財政的支援が行われておりましたけれども、これがなくなるということで、これも必要な支援だと思います。  ただ、ここでちょっと細かくなってしまいますけれども、スマートインターの整備の形というのを少し考えてみなくちゃならないんだろうというふうに思います。  大きく言うと、サービスエリア、パーキングエリアから出るものと、本線の直結型というものがございます。SA・PA接続型は、整備費用はそれほど掛からないんですけれども、アクセス道路整備負担となっているというふうに伺っております。本線直結型は、従来、スマートインターを整備をしておりましたときには、ダイヤモンド型と申しまして、立体交差をする幹線道路高速道路からすっと降りていってすっと延びていくと。そうすると、トランプのダイヤの形に、ひし形になりますのでダイヤモンド型というんですけれども、実際、現在この形は非常に少のうございます。それはどうしてかというと、ETCを装着していない車とか誤進入があった場合にまた復帰しないとならないだろうということで、普通の高速道路インターチェンジの形に非常に近いものがございまして、当初は大体従来のインターチェンジの三分の一ぐらいでできるんじゃないかなみたいなことを言っておったんですけれども、ダイヤモンド型は実は少なくて、安いことは安いんですけれども、思ったほど安くないというふうなことでございますので、この辺の技術的な工夫も含めて更に政策の展開が要請されるところでございます。  三番目になります。  今回の改正に関連して、今後の道路政策に望みたいことでございます。  高速道路料金を含む負担の在り方についての検討の加速を是非お願いをしたいと思います。  今回、必要な料金徴収期間、更新分については償還が終わった後利用者の皆さんにお願いするということでございます。このことの意味を考えますと、四十五年間を固定化して考えなくてもいいという、そういう意思決定だと思います。そういう観点からすると、高速道路料金制度を検討を更に加速するいい機会としても捉えられるんじゃないのかなというふうに思います。  これをもうちょっと前に進めて申し上げますと、建設する時代はその借金を返し終えればいいという償還主義だったわけでございますけれども、これからは、高速道路という資産、一般道とのネットワークということを考えた場合にも非常に貴重な資産です。それをどううまく活用するかという、そういう政策主義とでもいうべきものを、料金を考えるということから更に進めてはどうだろうというふうに思っております。  いろんな料金の実験が行われておりますし、環境ロードプライシング等についてはもう実践でございます。こういうことを更に進めて、いろんな負担も含めた形で検討を進めるべきであると。先ほど根本先生もおっしゃいましたけれども、技術的な進歩によって全国でロードプライシングということが技術的には可能になってきております。そのための検討を進めるべきであろうかと思います。  燃料税から一部思い切って転換してはどうだろうかというふうにも思います。燃料税は、利用に応じて負担する公平、あるいは徴収費用が安価であるとか、あるいは道路特定財源時代には利用が増えるとそれが道路財源になるという、いろんな意味で良かったんでありますけれども、低燃費車が増加をしてきたりとか、あるいは自動車の社会的費用がこれまでこのように大きな問題となってきた中で、全国一律の燃料税というのは何かどうもそぐわないような気がいたします。地域の実情に応じたプライシングということを考えるべきであろうと思います。  最後になりました。高架下活用あるいはスマートインターの支援ということでございますけれども、それに関連して、道路のオープン化に向けての議論を更に加速すべきであろうというふうに思います。  私が思いますのに、道路のオープン化というのは、占用のオープン化、空間のオープン化、事業のオープン化ということでございまして、特に事業のオープン化に関しましてはメンテナンスの問題がありまして、これにつきましては特に市町村道でいろいろな問題もあろうかと思います。このことについて、メンテナンスを包括的に一括的に地域建設会社等にお願いするというふうな、こういうことも考えてみてはいかがだろうというふうに思います。ただ、このときに、勝手気ままにやるんではなくて、議論もオープン化をして、地域のためにそこでの公益性ということをきちんと考えた上で進めていくべきだろうというふうに考えてございます。  以上でございます。ありがとうございました。
  12. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 石田参考人、どうもありがとうございました。  次に、上岡参考人にお願いいたします。上岡参考人
  13. 上岡直見

    参考人上岡直見君) 上岡でございます。  本日は五点ほど申し上げたいと思います。  まず一点目でございますけど、横の方の資料ですけれども、二ページ目を御覧いただきますと、これはもう何遍も出てくる資料ですのでこれ自体は説明いたしませんけれども、今後メンテナンスの負担が非常に大きくなってくるということを示したものでございます。  それで、ちょうど先月の四月十四日ですが、社整審道路分科会で、大変強い表現で、最後の警告ということで、今すぐ本格的なメンテナンスにかじを切れという提言が出ております。これは確かにそのとおりなんですけれども、じゃ、メンテナンスにかじを切れというのはいいんですけれども、財源とかいろんなリソースが幾らでもあればいいんですけど、そうではないわけですから、やはりその優先度というものを考える必要があると。極端なことを言えば、今後は、第一点目ですけれども、維持、防災をまず第一とする、その後余ったら新設するというくらいの方向転換をしてもいいのではないかというふうに思うわけであります。  二点目でありますけれども、三ページ目を御覧いただきますと、上のグラフですけれども、これは一般道と有料道路事業との予算概要の最近の変化です。これを見ますと、有料道路事業の方が非常にその額が、事業費が大きいということが分かりますが、交通量との比較で見ると、これはかなり、いささか有料道路事業偏重ではないかというふうに思うわけでありまして、道路というのはやはり、有料道路といいますか、一般的に言われる高速道路ですが、これだけでは道路ネットワークというのは成り立たないわけで、一般道のことを考えなければいけないわけであります。  そうしますと、地方道等の特に実情を見てみますと、もう本当にがたがたのところがたくさんあります。また、後に出てきますけど、防災面を考えましても、幾ら高速道路だけ立派にあっても、一般道とのアクセスのネットワークで成り立っているわけであります。そういうことから考えましても、今後は、繰り返しになりますが、維持、防災を先とする、新設は従とするというくらいの方向転換がはっきりなされるべきではないかと思います。  三ページ目の下ですけれども、これはたまたま東日本のデータですけれども、当然のことですけれども、管理費用はそれほど変わっておりません、経年で。ただ、料金収入ですね、これが減っております。これは、無料化の補填とか東日本の被災者の方の無料化補填とか、そういうものを含めても減っているということです。  一方、首都高、阪神、それからNEXCO、合計、今後十年から十五年で概算で四十兆円ぐらいの維持費用が必要ではないかというふうに試算されているという、ちょっと数字載せておりませんけれども、そういうふうに聞いております。そうしますと、これは当然賄えない、賄うのは非常に難しいということになります。先ほど根本先生のお話にもありましたように、それをどこから出すかということになりますけれども、そうしますと、考えてみますと、これは当然もう新設というような余裕は乏しいのではないかというふうに思うわけであります。  四ページ目ですが、これは二点目ですけれども、道路はストック効果とともに経済的に見てフロー効果もあるというふうに考えられるわけであります、GDPとか雇用に関するフロー効果ですね。これはいろんな評価があると思いますけれども、産業連関分析というところから見ると、新設事業であっても、あるいは補修事業であっても、それほどそのフロー効果というのは変わらないということが考えられます。そういうことから、これまではとかく新設偏重という方向性があったと思いますけれども、これを仮に補修の方に転換したとしても、別に経済にマイナスの影響があるということではないということであります。  それからもう一点は、五ページ目ですけれども、これは将来交通需要という観点から見ますと、これは局所的にはいろいろばらつきがあるかもしれませんけれども、全国的に見ますと、この将来の生成交通量というのを推定する手法はいろいろあるんですけれども、単純に言いますと、一人当たり発生トリップ数掛ける将来人口ということで、大まかに言えばですね。その上の表は、一人当たり発生トリップ数ですが、これはもうそれほど大きく動かないと思われます。その掛ける将来人口の方ですね、これが、いいことかどうかは分かりませんけれども、人口は今後大きく減る傾向であろうということになると、将来交通量は減ってくるということはもう当然であろうと思われます。  それから、六ページ目ですけれども、これは経年で走行台キロで見た、上のグラフですが、走行台キロで見たグラフで、二〇〇〇年あるいは二〇〇一、二辺りからもう減少傾向が始まっておりまして、これがまたV字回復をするというようなことはまず考えられないであろうと思うわけであります。一方、下のグラフですが、これは、ある意味では整備効果を示す一つの指標で、整備効果はいろんな評価法があると思いますけれども、全国平均で見た自動車の平均走行速度という面で見ると余り大きな変化がないということから考えると、全国的な整備レベルを上げるということにもうそれほど大きな社会的価値は見出せないのではないかと思うわけであります。  七ページ目、上の写真でありますけれども、これは国道の三桁号線ですけれども、広島県の例なんですけど、この上の高架道路は、これは高速道路ではありません、下の平面道路のバイパス道路ですけれども、これに三キロ百十億円という事業費が掛かっているというような例であります。それに見合った社会的便益があるのかという点で考えますと、計算上は出ていると思うんですが、ただ、平成二十二年センサスで一日六千三百台というのが費用便益評価上の計画交通量八千八百台というようなことで、言い方は悪いかもしれませんが、ちょっと水増しの評価をされていると。  一方では、そんなに将来交通量が増えるとは思われないというようなことで、乱暴に言わせていただければ、全国でこういう無駄な道路事業があるという一方でその整備費が足りないというのは、これはちょっと政策的なバランスを欠いているのではないかというふうに思うわけであります。  四番目、防災との関連でありますけれども、七ページ下の写真を見ていただきたいと思いますが、これは落橋防止装置というんですが、ほかの道路あるいは河川、それから鉄道なんかをまたいでいるところの橋が落ちてしまうのを防ぐ装置ですね。単純な話ですけれども、こういう鎖でやっていたり、ワイヤーでやっていたり、いろんな緩衝装置でやっていたりというのがあります。  これは、実は阪神大震災のときに落橋が多くて非常に苦労したという点からこの整備が進められてきたものでありますが、ただ、まだまだこれ道路新設等に比べたらはるかに少ない費用でできるものにもかかわらず、まだまだ整備率は完全ではないというところがあります。しかも、阪神から造って相当、二十年ほどたっているので、これ、落橋防止自体が大分傷んで、ボルトの引き抜き力が不足しているところが見付かったりとか、そういうような状況でもあるわけであります。防災との関連で考えましても、これはやはり新設よりも維持、防災を主とするというような根本的な方向転換が必要ではないかと思うわけであります。  道路も、例えば防災の観点から考えますと、東日本大震災でも見られたとおり、道路のひび割れ等、こういうものはなかなか構造的に防ぐことができないものであります。それから、高架構造ですね。これは当然耐震設計がしてありますので、一挙に崩壊するとか倒壊するということはないと思いますけれども、ただ、強い震動を受けた場合はよほど点検しないと再開ができません。一方、平面道路の場合は、ひび割れ等生じても、鉄板敷きあるいは砂利充填とかそういう比較的簡単な対策によりすぐ啓開することができるということで、これは東日本のときにもくしの歯作戦ということで一般道路の簡易的な迅速な再開ということがかなり有効であったということが示されております。  こういう総合的な防災の観点からも考えて、どういうことを優先すべきかという点について再考が必要ではないかというふうに思うわけであります。  それから八ページ目ですが、これは、先ほど根本先生、それから石田先生からも言及がありましたとおり、自動車外部費用という問題についてです。これ引用が抜けてしまいましたが、これ、神戸商科大学の兒山先生という方の著書をコピーさせていただいております。  以前、高速道路無料化という名称で議論がされましたけれども、そもそも無料道路などというものは世の中にないわけでありまして、ただ料金所でお金を集めているか集めていないかということの違いだけであるわけであります。道路は必ず費用が掛かっております。  一方で、先ほど御指摘ありましたとおり、自動車外部費用というものが現在はまだ負担されていないということであります。これの適切な反映ということ、これは高速道路でも一般道路でもあるわけでありますけれども、そういう適切な反映ということも、今後、道路政策の、環境面も非常に深刻なことが指摘されている中で、これをどうやって反映させていくかということになると思います。もちろん、集めただけではなくて、それをどう配分するかという問題になるわけですけれども、現在は、自動車ユーザーはまだ道路費用を完全に負担していないという現状があろうかと思います。  まとめでありますけれども、本改正法案のもちろんメンテナンスという点についてはこれは当然異論のないところであろうかと思いますけれども、ただ、道路法できたのが昭和二十七年ということですから、もう相当ですね。当時はもう本当に確かに、国道といえども砂利、水たまりというような状態であったわけで、確かにそういう道路整備は重要であったわけですけれども、ただ、現在に至って、五十年たって、その性格といいますか道路法の継ぎ足し継ぎ足しということではちょっともう間に合わない、基本的な道路政策の転換ということがやはり考えなければいけないのではないかというふうに思うわけであります。  それから、細かい話ですが、道路の立体構造の高架下空間活用等、これはできるところはしてもいいかもしれませんが、ただこれ金額的にどのくらい大きなものになるのか、そんなに大きなものにならないのではないかということ。それからもう一つは、例えばコンビニ等というような例示がされておりますけれども、こういう民間事業に貸し出しますと、状況が悪くなれば当然撤退してしまうわけでありまして、その財源の永続性という点から、その辺はどう考えられているのかということに疑問があるわけであります。  時間の関係でもう終わりますが、もう一回まとめますと、今後の道路政策は維持、防災を第一として、その後、もし余ったら新設というくらいの基本的な方向転換が必要ではないかというふうに思うわけであります。  以上でございます。
  14. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 上岡参考人、ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、大変恐縮でございますが、各委員質疑時間が限られておりますので、参考人皆様方におかれましては簡潔に御答弁をお願い申し上げます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 森屋宏

    森屋宏君 おはようございます。自由民主党、森屋宏でございます。  それでは、座ったまま質問をさせていただきます。  三名の先生方には、大変本日は御参加ありがとうございました。ただいま先生方のお話、それから、事前にいただきました、今まで先生方がいろんな場面で書いていらっしゃる、発言をされているペーパーも見させていただきました。総じて皆様方高速道路、特に特定の、利用する人たちが受益に応じた負担をしていくんだという議論については、総じて皆様方同じ御意見をお持ちであるというふうに理解をいたしました。  あわせて、これから、それを今回の法案にあるような十五年で済ますのか、あるいは先ほど先生方の方からありました永久的にいただいていくのかというふうな議論は、これは政治的な判断ということになろうかと思いますので、明後日法案審査が、この審議がこの委員会でございますので、その中で私の意見も述べていきたいというふうに思っております。  そこで、今回の先生方のお話にもございましたように、基本的に、社会資本整備審議会道路分科会答申にもございましたように、道路全体の整備重視から利用重視へということでステージが変わっていくんだというふうなことでありますけれども、私は、道路というのは、高速道路、それから国道、それから都道府県道、市町村道とそれぞれあるわけでありまして、これから地域の中でそうしたそれぞれの、先ほど石田先生のお話もございましたけれども、役割をどういうふうに果たしていくのか、あるいは役割分担をどうしていくのか、あるいはお互いに時間帯によって使い分けをするというふうなこともあろうかなというふうに思います。  私たちは政治家ですから地元要望というものを受けていくわけですけれども、時々、高速道路整備をされていて、そこに並行して国道がある、そうしますと、時間帯によりましては、朝夕のラッシュ時間帯に国道が渋滞をするというふうなことになりますと、バイパスを造ってほしいというふうな議論はとかくありがちな話であります。  単純に考えると、その時間帯だけ高速道路無料とは言わないけれども安くして、国道のバイパスを造るぐらいの費用を考えるのであるならば、それは料金ということではなくて税という形の中でそこを高速道路に投入して、利用者をそこに政策的に誘導するというやり方の方がむしろ現実的であるし、すぐできるわけですから。先ほどのお話のように機械的な装置も大分進んでまいりましたので、そういうことはできるわけでありまして、そういうやり方の方がいいんじゃないかという部分があるわけですけれども、しかしながら、現実的にはなかなかそうした議論地域の中で行うことがなかなか難しい。特に高速道路につきましては、民営化されて以来、同じテーブルの上でそうした議論をすることがなかなか難しいという場面がございます。  そこで、今日はお三人の先生方に、地域の中で、交通政策という一つのテーマの中で、それぞれ高速道路、都道府県道、市町村道、あるいは国道、この使い分けを、一つ地域の中で交通政策としてどういうふうな使い方をしていくんだ、あるいは役割分担をしていくんだという、既存で現実的にはなかなか難しい枠組みなんですけれども、これについてどういうふうにしていくことがいいのか。あるいは、先ほどからお話には海外事例なんかもございましたので、何かその辺のお考え方がございましたら、お一人ずつお話を伺いたいというふうに思います。
  16. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) それでは、根本参考人石田参考人上岡参考人の順でお答えいただければと思います。
  17. 根本敏則

    参考人根本敏則君) 御指摘のように、道路は階層構造になっていますので、それぞれの道路にどんな役割を担ってもらうべきかということをきちっと決めていかなきゃいけないと思いますね。そのときには、その道路を使っている人がどこにお住まいの人なのか、どれぐらいの長さのトリップをしているのかということがまず基本ですよね。  そういった中で、私は今日のプレゼンの中で単純に、道路利用者から取るのか、その地域の人たち、沿道の人たちで取るのかというような話をしましたけれども、やはりその使っている方、使い方に応じて、それこそ本来そこは県が管理すべきだ、市が管理すべきだという管理者も決めて、それで財源を決めていくという、そういう本当は順番で考えていくべきじゃないかなというふうに思います。
  18. 石田東生

    参考人石田東生君) 今議員がおっしゃったまさにそのとおりだと思います。  私、大学で交通計画を教えておりますけれども、道路段階構成論というのを教えております。幹線道路高速道路区画道路といった段階的に構成するんだよというんですけれども、日本地域の中でこういうのが実現しているのは実はニュータウンしかございません、筑波もそうなんですけれども。先生方の地元の市町村の市街地で、ここが幹線道路でここはというのはなかなか分かりにくい状況にあろうかと思います。  そういう観点から、私、今本当に必要だと思っておりますのは、道路利用という観点からのネットワーク論でございます。そのためには、高速道路料金どうするんだという問題とか、交通規制の在り方どうするんだろうかとか、あるいはコミュニティーの皆さんとどういう話合いをして道路の性格付けをするんだろうかというふうな議論是非とも必要でございまして、先ほど時間不足で説明をすっ飛ばしましたけれども、議論のオープン化というのはまさにそのことのために必要じゃないかなというふうに思っている次第でございます。
  19. 上岡直見

    参考人上岡直見君) 道路の階層的な利用ということについては、根本先生、石田先生御指摘のとおりだと思いますが、やはり議論のオープン化といいますか、今、森屋先生おっしゃいましたように、なかなか地域ではそういう議論が起きないということをおっしゃいましたが、やはりこれは情報提供の不足といいますか、もっと積極的に情報提供をすると。一般のユーザーは、一般道はあたかもただで使っているように思いますけれども、実際はそうではないので、払っているわけでありまして、そういうような費用負担とかそういう面につきましてもっと積極的な情報提供というものが必要ではないかというふうに思います。
  20. 森屋宏

    森屋宏君 ありがとうございました。  私は、実は地元で県議会議員を長くさせていただいていました。高速とか国道については国にお願いをしましょう、都道府県に都道府県道についてはお願いしましょう、市町村道については市町村、それぞれが本当に縦割りの中で、もっと既存の施設利用価値を高めてもっといい効果的な使い方というのはあるんだろうというふうに常に思ってまいりましたけれども、なかなかそれが今できないというのが現状でございます。是非、先生方には、これからそうした分野に注目していただいて、是非いろいろな研究成果をお出しをいただければ、私どもに御示唆をいただければというふうに思います。  本日はありがとうございました。
  21. 田城郁

    田城郁君 こんにちは。民主党・新緑風会の田城郁と申します。よろしくお願いいたします。  今日は、三人の先生方、大変お忙しい中お越しいただきまして本当にありがとうございます。  端的にお伺いをいたします。  まず、石田先生がおっしゃられました償還主義から政策主義へ、あるいはその中で永久有料化も必要ではないかと、このような御発言、あるいは活字にもなっておりますけれども、この点、永久有料化について、ほかの根本先生あるいは上岡先生についてはどのようなお考えをお持ちか、まずお二人の方にお聞きします。  石田先生には、人口減少が起きて、何というか、人がいなくなる地域もあるというような中で、やがて必要のなくなる道路もあるんじゃないかという議論もある中で、一方で私は、例えば日本の新たな産業育成として観光の国際化、去年、一千万人の外国人の観光客を達成しましたけれども、これを二千万人、あるいは最終的には三千万人まで引き上げるという場合に、もちろん鉄道なども利用していただくということは前提ですが、当然バスや、あるいは場合によれば、リピーターを、大都市圏あるいは有名観光地だけではなく日本の原風景を見てもらうという場合には、レンタカーなどで細かく日本の隅々を見てもらうなどということを考えると、人がいなくなっても道路は必要だというような議論もあるのかとは思いますが、その点についてどうお考えか。  そんなところで、お三方にそれぞれお聞きいたします。よろしくお願いします。
  22. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) それでは、最初の質問につきまして根本参考人上岡参考人の順番でお答えいただければと思います。
  23. 根本敏則

    参考人根本敏則君) 以前より、永久有料というのを維持管理に限定して導入すべきではないかという意見がございました。私はそういう意見に賛成しておりましたけれども、今回、更新ということも非常に重要な費用項目としてあるんだということで、ますます永久に取った方がいいんではないかという、そういう思いを強くしているわけですけれども、その理由は、繰り返しになりますけれども、受益者負担という観点からいってやっぱり利用者負担してもらうべきだということと、あと、一万キロ超の高速道路税金負担、果たしてできるのか、維持管理していけるのか、更新していけるのかということを考えれば、当然そこはやっぱり利用者にお願いせざるを得ないという、そういうことでございます。
  24. 上岡直見

    参考人上岡直見君) これは、先ほど申し上げましたとおり、日本ではいろいろないきさつで有料道路、一般道路という区分ができてしまいましたけれども、そもそも無料道路というようなものはあり得ないわけでありまして、どのような道路でも建設費は掛かるし、一旦造ればその後の維持費は掛かるということで、名前を付ければ永久有料化という言葉がありますけれども、永久有料化にならざるを得ないと思いますね。どこでもお金が降ってくるわけではないのですから、実態としては永久有料化、どういう割合でどういう掛け方をするかという話は別として、これは当然永久有料化にならざるを得ないというふうに思います。
  25. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 続きまして、二問目の石田参考人、お願いします。
  26. 石田東生

    参考人石田東生君) 人口減少という本当に喫緊の課題をどう考えるかという重い質問をいただいたんだというふうに受け止めております。  そのときにまず考えるべきことは、人口減少で消滅してしまう集落というのを座して待つかどうかでございまして、そのためにも、先ほどから申しておりますように、やるべきことをやらないと駄目だろうと。そのための一つミッシングリンクの問題であったり、シビルミニマムとしての道路サービス、交通サービスをどこまでやるべきかということについて十分な検討をするということでございます。  これは地域地方の問題だけではなくて、実は東京問題にも絡んでいると思います。先進国の中で東京への一極集中度合いがこれだけすごいのは日本だけでございますし、なお恐ろしいことに、直下型地震が予想されている中でその集中度合いがますます加速化しつつあるということでございまして、そのためにも地方が頑張れるような環境づくりが必要だろうというふうに思います。  そのときに、人がいなくなっても道路は造るべきかという問題でございますけれども、さすがに人がいなくなって誰も行かないところに道路を造るというのはいかがなものかなとも思いますけれども、そのときの、例えば観光のため、いい自然を見てもらうと。でも、そこにはやはり人間の営みがあって、生き生きとした風景とかきちんとした一次産業が展開されていて、それが観光等と結び付いた六次産業になっているとか、伝統工芸がきちんとあるとか、そういったことは非常に重要だと思いますけれども、正直言いまして、誰もいなくなってしまうと自然にお任せするのがいいのかなとも思います。  とにかく、そういうふうな事態にならないように、できることは精いっぱいやるというのが今私なんかが思う大事なことではないかなというふうに思います。  以上でございます。
  27. 田城郁

    田城郁君 極論を言ったつもりで、ないところにも必要だと私も言うつもりはないんですが、ですから、そうならないために地方にも、何といいますか、新規の道路を云々ということになると結構反対論とかもあるとは思うんですが、私は、地方をそうしないためにも、必要なところにはやはりしっかりと整備をして、背骨、あばら骨をしっかりと構築していくという考え方が私は必要なのではないかと、そのように思っているんですけれども。  ちょっと時間がなくなって半端になりますが、鉄道とか道路とか、あるいはサイクリングも含めて自転車とか、そういうものの総合的な関連性とか、そういうものとしてどういうふうにマイカーなり自動車移動というものを位置付けるのかということについて、ちょっと短くて三人の方にというふうにはなりませんので、では石田先生、引き続きお願いいたします。
  28. 石田東生

    参考人石田東生君) やっぱりこれからの交通の在り方、特に地域の魅力付けとかあるいは活性化ということからすると、選択肢があること、いろんな方がおられますので、その人その人に合った交通手段が利用可能な形で残されている、利用できるということが大事だと思います。そのためにはある程度の公的な負担も必要かと思います。これは、特に最近では地域の公共交通を維持するための地域公共交通の活性化等の議論もございましたし、そういう方向であろうかと思います。  そのときにちょっとお考えいただきたいのは、先ほども申しましたけれども、いろんな交通手段をどういう形で道路ネットワークをお使いいただけるかということでございまして、これは余り議論にならないんですけれども、昔から、考えるときに、とにかく大型自動車が通行、対面交通できるようなそういう最低限の道路を造りたいということで、それがそのまま残っている。四十年ぐらい前にそういう整備がされた幹線道路が今そのまま残っておりまして、特に地方へ行きますとトンネル部等で歩道もないというふうなトンネルがございまして、危なくて仕方ないと。一般道なのに自動車専用道と化しているというようなこともございまして、これから、今、サイクリングツーリズムとか歩くこととかということで、そういう多様な使い方を実現するための道路の質的な整備、これまでのBバイCに代表されるような、交通量だけで、混雑しているから造るんだということだけではなくて、そういう質的な整備というのが今後ますます重要になってこようかと思います。そういうことが過疎の問題にも貢献するのではないかなというふうに考えます。  以上でございます。
  29. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。終わります。     ─────────────
  30. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、田中直紀君が委員辞任され、その補欠として浜野喜史君が選任されました。     ─────────────
  31. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  今日は、三人の先生方、本当に貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。  まず根本先生からお聞かせいただきたいと思いますが、高速道路料金、これを、この制度を恒久化するといった場合いろいろな問題点があると思いますが、まず一番の大きな問題点、やっぱり国民の理解をどう得ていくのかということになろうかと思いますが、そのほかいろんな問題点がありましたら、その克服すべき問題点、何点か簡潔に御教示いただきたいと思います。
  32. 根本敏則

    参考人根本敏則君) ありがとうございます。  そうですね、国民の理解を得ていくことが非常に重要であるということは御指摘のとおりだと思いますが、無料化の実験が大規模に行われたときに、無料化というものが必ずしも効果的な施策ではないということも明らかになったんじゃないかと思います。世論の評価としては、決して無料化というのがいいことだけではないというか、非常に混雑を招いたりとか、そういうこともあったということで少し勉強したと思います。  ですから、将来、平成六十二年度に例えば無料化すると言ったときに、そのときの国民は無料化することに賛成するでしょうか。やっぱりそのとき、利用者負担でやった方がいいんじゃないだろうかというふうに言ってもらえるんじゃないかと私は思っているところであります。  そのためには、諸外国の制度等もいろいろ勉強しながら、上手に料金を取るという仕組みというのをうまく説明していくことじゃないかなと思います。  以上です。
  33. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ありがとうございました。  私もトラック業者からえらい怒られたことがございまして、こんなに混雑させてどないするんやと言って怒られた次第でございます。  次に、石田先生にお聞きしたいんですが、先ほど、道路の階層的な構造といいますか、のお話がございました。  前にもちょっとこの場で質問させてもらったんですが、今年の二月に大雪が降りまして、中央高速で大月まで行って、その先がシャットアウトになりまして、二十号の方にずっと車が流れていったんですよね。で、情報がうまく行かなくて、またその二十号線が大渋滞して数日間止められたと。それで一方、その地域では、国道とか県道とか市道とかばらばらで管理しているものだから、今度は救急車が通れなくなって透析患者がえらい目に遭ったとか、そんなニュースがあったりしたわけでございますが、これを何とか、道路のこの区分の見直し等というものは考えられないのか、ちょっと先生の御所見をいただきたいと思います。
  34. 石田東生

    参考人石田東生君) 今の道路法上の道路区分というのは、高速自動車国道と、もうお分かりだと思いますけど、国道と都道府県道と市町村道ということで、管理の体制ごとに画然とした区分がございます。ただ、そういう緊急時の場合とか、あるいは一般の国民から見ると、別に道路国道と書いてあるわけでもございませんし、道路道路でございます。  本当の意味ネットワークとして面的に有効に活用する、あるいは緊急時の代替性、リダンダンシー等を追求するという観点からは、本当に道路管理者間の緊密なコミュニケーションが必要かと思っておりまして、そのことが本当に十分に実現できているかというと、そういうこともないような場面もあるんじゃなかろうかなというふうに思っておりまして、そのための何か仕掛けということを、活用の時代に入って、いい資産を引き継いでいるわけですから、それが本当にいろんな場面で効果を発揮できるような仕組みというのを考えるべきであろうというふうに思っております。  これが、手前みそになりますけれども、議論のオープン化ということでございまして、実際、欧米では、例えば異常時のことを考えた上でいろんなシミュレーションを連携をしてやっているというようなこともございますので、そういうことを参考にしつつ、うまい使い方、ソフトを考えるということが非常に重要だと思っております。
  35. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ありがとうございました。  次に、上岡先生に質問をさせていただきたいと思いますが、維持、防災を主、新設を従、分かるんでございますが、例えば、二〇一一年九月だと思いますが、台風が来まして、紀伊半島で和歌山とか三重県で大変な洪水があって、四十二号もぶつぶつになって、やっぱりミッシングリンクきちっと対応しなきゃいけないというような、本当にそれ今、工事進んでいるんですが、これは新設です。  それから、静岡県内、新東名がありますけれども、地域に大きな発展をもたらすわけでございますが、いや、東海地震、南海トラフに対応だといえば、山側に行っていますので、だからこの防災の幅が大変広くて、新設も全て防災に対応してきちゃうというような、そんなような感じにもなるわけでございますが、先生のおっしゃる意味も分かるような気もするんだけれども、もう少し、どの辺までのことを先生はおっしゃっておいでになるのか、御教示いただきたいと思います。
  36. 上岡直見

    参考人上岡直見君) おっしゃるとおり、防災ということになりますと、何でも防災ということはあるんですが、やはりその辺はもっと評価基準をオープンな形で、みんな議論しながら、政策担当の方も国民も、幾らでも財源とかあれば何でもやるにこしたことはないと思いますが、そうではないわけで、道路だけではなくて、建物、堤防云々、そのほか全部やらなければいけないことがありますので、その辺はきちっと評価して。ただ、私も幾つか全国を見学してみたところ、やはりこれはちょっと防災と言うには根拠が乏しいのではないか、もう少し、こんなことするんだったらほかのことに回してもいいのではないかと、そういうようなこともかなり散見しますので、その辺の評価基準をきちっとするということで、もう少し議論を深めた方がよいというふうに思います。
  37. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 時間ありますが、これで終わります。ありがとうございました。
  38. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 日本維新の会・結いの党の室井でございます。  今日は、先生方にはお忙しい中、お時間いただきましてありがとうございました。  早速、根本先生の方から御質問をさせていただきます。  先生は論説においてこのように語っておられます。現存する全ての生活道路を維持管理し更新するのは難しいと。国道を都道府県道へ、都道府県道は市町村道に格下げをして、一部の市町村道を廃道にする、そして、あるいはまた私道化することを検討すべきではないだろうかと、このようにおっしゃっておられます。  そこで、高速道路ネットワークについてはどのように考えておられるのか。また、少子高齢化時代におけるその活用方法等、併せて御所見をお聞きしたいと思います。
  39. 根本敏則

    参考人根本敏則君) 高速道路は、私はあくまで利用者負担してもらって維持管理、更新できる、そういう交通機能を、トラフィック機能を担う道路というふうに考えていますので、安全、安心とか、そういうものはできれば国道とか県道、市町村道で担っていくべきではないのかと。  国道で歩道のないような道路、非常に安全、安心が確保されていないようなところで高速道路を造るというのはちょっと待ってほしいと。まず国道で安全、安心を確保すべきじゃないかと。何か災害があったときに通じるということが大事なことだと思うんで、そのためにはそこまでの高速性はないだろう。まず国道をやろう。そして、やっぱり高速道路の方は、利用者負担で何とか持ちこたえられる、それだけの交通量がやっぱり維持できる、利用者負担で賄えるというところを主体に考えていきたいと。  それから、国道、県道、市道の役割分担ですけれども、国道でも、何か生活道路的な国道もできてきちゃったんじゃないかと思うんですね。それは、やっぱり国に負担してもらいたいから、そういう負担の問題からそういうふうなことが起きてきたと。やっぱりその道路の性格付けをする中で、管理者を決め、そして管理者を決めてその負担をどういうふうな税金でやっていくか、あるいは料金でやっていくかを決めていくべきだと思うんですね。ですから、そういう意味でも、国道が県道に移る、県道が市町村道に移るというのは人口減少時代ではどうしても避けられないと思います。
  40. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  石田先生にお聞きをしたいと思います。  利用重視に転換するとなると、負担とサービスとの関係を具体的に数字で示さなくてはならなくなると。そして、本四連絡橋の場合、フェリー、高速バス、JR、それぞれの関係性において料金の落ち着く水準を考えていくべきであると。そして、またさらに、高速道路料金値下げがフェリー存廃に影響することについて、客観的なデータを基に問題を明確化しモニターする、そういう総合交通体系的な仕組みを構築することが重要だということで石田先生おっしゃっておられます。  そこで、お聞きいたします。地域との連携を重視した視点に立ってどのような仕組みを構築をしていくべきとお考えなのか、御所見をお聞かせください。
  41. 石田東生

    参考人石田東生君) これも非常に短時間ではお答えしにくい問題でございますけれども、重要な問題だと思います。  基本的にはマーケットにお任せするということかなと思いますけれども、そのときに一つ大事なことは、これは移動権とか交通権の議論にも重なる部分が出てきますけれども、本当に地域の存続にとって、あるいはそこで暮らす人たちの文化的で創造的な生活にとって、どういう交通サービスが必要かということの議論があるようで実はないんではないかなというふうに思います。そういうナショナルミニマムとかシビルミニマム的な議論交通の分野で行われているのは、唯一インターチェンジを、一万四千キロの下では一時間圏内に必ず到達できるインターチェンジがあるようにしようというぐらいしかないと思います。  そういう非常に議論が遅れている状況でございまして、道のりは遠いんですけれども、マーケットを考えながら、あるいはナショナルミニマム、シビルミニマムを考えながら、負担の在り方をどう考えていくかということの具体策を検討するということを、ないわけですから、いろんなところで加速すべきである、活発にすべきであるということぐらいしか実はお答えができないような状況でございまして、逃げておりますけれども、お許しいただければなというふうに思います。  ありがとうございます。
  42. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 また機会がありましたら、ごゆっくりとまたお願いします。  上岡先生にお尋ねをさせていただきます。  先生は論文の中でこのようにおっしゃっておられます。道路容量が不足しているという主張が至るところでなされていると。東名高速道路もその典型であり、第二東名高速道路が必要だと言われる。しかし、どの区間にどのような自動車が通行しているかを分析すれば、第二東名が必要という短絡的な結論は導かれないと。また、都市環状道路、例えば首都圏なら外郭環状線や圏央道必要性を主張する議論は多い。しかし、それらの多くには誤解と歪曲が含まれている。このように論説をされております。  そこで、現在、東京圏、大阪圏等、大都市圏を始めとする新しい高速道路建設計画がございます。その高速道路整備について先生はどのように評価というかお考えなのか、ちょっと御所見をお聞きをしたいと思います。
  43. 上岡直見

    参考人上岡直見君) これは、先ほども申しましたけれども、その財源とかそういう政策的リソースが制限なく幾らでもあれば造るにこしたことはないと思いますけれども、やはりその制約がある中でどういうことを優先しなければいけないかということを考えていったときに、先ほどの資料の六ページ目の下の図等を御覧いただきたいと思うんですが、これまで相当な、累積で見れば莫大な投資をしてきたにもかかわらず、道路のサービスレベルというのが余り、例えば平均走行速度で見た場合それほど改善されていないということになりますと、じゃ、今後これをどれだけ入れていけばサービス改善につながるかということの見通しはもう少し慎重に考える必要があるのではないかというふうに思います。  それから、先ほどのほかの方の御質問にもありましたけれども、いろんな交通手段の適切な分担ですね。これまでとかく道路道路、鉄道は鉄道、航空は航空と縦割りの中で行われてきて、それぞれもっと総合的に調整すれば社会的な資源を効率的に使える場面があると思われるにもかかわらず、それぞれでいろんなゆがみをそのまま持って政策が続けられてきたというところがあると思います。  それで、今先生の御質問で気付きましたが、ちょっと離れるかもしれませんが、交通政策基本法ということでせっかく法律ができまして、これは恐らく交通関係の法律で初めて縦割りではなくていろんな交通手段の役割分担を考えようと、そういう条文が入ったと思います。これはせっかくそういうものもできましたところで、もう少し総合的な観点で考えていくべきであろうと。個別の、ここが混んでいるからこれを造れということの繰り返しでなく、もう少し慎重な検討が必要ではないかというふうに思うわけであります。
  44. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございました。終わります。
  45. 田中茂

    田中茂君 みんなの党の田中茂といいます。  今日は、三人の先生、お忙しい中御臨席賜りましてありがとうございます。  私は、皆さんいろいろお話しされていて、そもそもこの問題は笹子トンネルの老朽化に始まっているわけなんですが、そこで災害対策をする、そういう意味で、大規模更新、大規模修繕、これはお金が掛かることはもうよく分かっておりますので、皆さんの、お三人の考えもよく理解させていただきました。  そこで、石田先生と上岡先生にちょっとお聞きしたいんですが、できれば根本先生にもそうなんですが、先ほどのスマートインターチェンジの話なんですが、スマートインターチェンジの利点というか、先ほど先生は、思ったより少しお金が掛かると。インターチェンジ、今さっき言いましたように老朽化が問題なのに、今ここでスマートインターチェンジをやる必然性があるのかと、そもそもがですね。我々は今、老朽化に更にますます修繕、更新が掛かると思うんですが、そういうことよりもスマートインターチェンジを優先される理由は何なのか、それをお聞かせいただきたいのが一つと。  このスマートインターチェンジそのものが果たして将来的に価値があるものになるのか。それはなぜかというと、都市再生、この間コンパクトシティーという発想をやりましたが、コンパクトシティーをやりながら、そもそもコンパクトシティーというのはなるべく低炭素で車を減らすべきではないかと、そういう話もあって、そういう中で何か矛盾があるんじゃないかと、地域再生の推進と。その辺のお考えをできればお聞かせいただければと思います。
  46. 石田東生

    参考人石田東生君) どっちを優先すべきということは申し上げたつもりはないんですけれども、誤解を与えたようでございましたらおわびしたいと思います。  老朽化は非常に大切でございます。それを更新をする、健全に次世代に引き継ぐということで今回の更新費用についての法律改正ができたわけでございます。それとスマートインターチェンジのために必要なお金というのは今の形の上では別会計になっていると思いますので、そういうことにはならないかと思います。  スマートインターチェンジでございますけれども、先ほども申しましたように、やはりインターチェンジの間隔が長くて、いい資産であるところの高速道路が使いづらくなっているという、これは誠にもったいないことでございまして、推進すべきというふうに考えております。  そうすると、スマートインターチェンジの周辺にまた新たな土地利用が起こってコンパクトシティーに反するんじゃないかという御懸念でございますけれども、私はコンパクトシティーということに関して、必ず機能的なコンパクトシティーという言い方を私自身はさせていただいております。物理的に移転を伴う、本当に中心部に集約するということをできればよろしいんでしょうけれども、本当にそれだけの財政負担ができるかどうかということと地球温暖化問題とか都市経営の問題を解決するための時間の切迫性ということを考えた場合に、物理的に移転をしてもらうということはなかなか難しいんじゃないのと、理想論としてはそうなんですけれども。  そこで、スマートシティーみたいな言い方をしますけれども、ICTとか新しい交通の在り方とかということで、人にも環境にも都市経営的にも優しい、できるだけ今の形でそういう新しい都市の在り方、交通の在り方というのを追求するということを機能的なコンパクトシティーと申し上げておりまして、そういう観点からすると、高速道路は環境にも、あるいは燃費も良うございますので、コンパクトシティーということには反することには必ずしもならないんではないのかなというふうに理解しております。  ありがとうございました。
  47. 田中茂

    田中茂君 ありがとうございます。
  48. 上岡直見

    参考人上岡直見君) スマートインターについてということでよろしいでしょうか。  インターチェンジというのは、幾つか見方によって側面があると思いますが、一つは物理的な自動車が出入りするということと、もう一つはお金を取る場所という、いろんな意味があるかと思いますけれども、物理的な面で、例えばこれは防災等にも役に立つというような見方もあると思いますが、そうであれば、これはもう防災は非常時ですから物理的に突破できる構造にしておけばいいのであって、これは別に特にインターチェンジということの本質的な問題ではないというふうに思います。  一方、利用する側から見ると、現在使っている人に対しては、横から車が入ってくるということはある意味では効用の低下になるという面もありますし、もう一つは、インターチェンジということは、何がインターチェンジしているかというと、一般道とのアクセスですね。それがあるからインターチェンジがあるわけでありまして、そういうことになりますと、スマートインターチェンジを造るのはいいですけれども、そこまでのアクセスはどうしているんですかという疑問もあって、これは一概にスマートインターは要らないというふうには思っておりませんけれども、ただその辺の人が便利になるからということでここにも穴を空けてくれということではちょっと評価が甘いのであって、もう少し慎重な評価が必要だというふうに思います。
  49. 田中茂

    田中茂君 ありがとうございます。
  50. 根本敏則

    参考人根本敏則君) 更新事業が重要か新設事業が重要かということでいえば、それは費用対効果の高い新設もあるだろうし、費用対効果の高い更新もある、そうじゃないものもあるということで、一概に更新新設かということは判定は難しいと思います。  その新設の中で、スマートIC、スマートインターチェンジ新設というのは私は特に費用対効果が高いというふうに思っていますし、特に日本はまだ高速道路の分担率というのは低いんですね。なるべく高速道路を使ってもらった方が日本道路全体の維持管理・更新費用も安くなると。大型車はなるべく高速道路を使って長距離を乗ってくださいというふうなことを促すためにも、インターチェンジの間の距離を短くして乗りやすくしてあげるということが日本の老朽化を防ぐという意味でも重要だということを申し上げたいと思います。
  51. 田中茂

    田中茂君 ありがとうございます。  根本先生にもう一つちょっとお聞きしたいんですが、根本先生が、資料によりますと、国土学のアナリストの大石先生との対談で、司会者の方が、国民に対して、四十五年償還をぎりぎりで延ばすより、維持管理・更新有料というものを明確に出す時期に来ているのではないかというようなニュアンスで話をされたと思うんですが、その場合、根本先生のお考えとしてお聞きしたいんですが、どのような働きかけをして、どのように国民に納得してもらうことがよいと思われるのか、お聞かせいただけますか。
  52. 根本敏則

    参考人根本敏則君) 先ほども答弁したところですけれども、やはり更新というものは非常に重要であると、金額的にも無視できないぐらいあるんだということが今回分かったわけですね。十五年取らなければいけない。ということは、維持管理有料ということで、維持管理費は少なくともずっと払い続けてもらわないとやはり難しいですよねというよりは、少し上乗せが必要になってきているといった中で、もうこれは税金では賄い切れないだろうということがよりはっきりしたと思うんです。ですから、このタイミングというのは、こういう議論を始めて国民的な合意を形成するちょうどいいチャンスじゃないかなというふうに思った次第です。
  53. 田中茂

    田中茂君 ありがとうございます。  ちょうど時間が来ましたので、私の質問はこれで終わりにします。どうもありがとうございました。
  54. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎でございます。  笹子トンネルの事故以来、大規模更新、修繕が必要だということになってきましたが、今回の、最後の警告ということで、社会資本整備審議会でも非常に辛辣な言葉で、今こそかじ切らないと、もう最後の警告だということを真摯に受け止めなければならないと思うんですね。  お三方全てが、維持更新、大規模修繕、更新については重要だということはここは違いはないと思うんですけれども、それを今回、十五年償還延ばしてということなんですが、私はやはり、それは国民ももちろん理解をすると。同時に、やはり民営化されたときの経過からしても、多くの国民はこれ以上不必要な道路は造ってほしくないという流れがあって、それもう今も続いているということは確かだと思うんですね。民営化の過程で不必要な道路は造らないということは看板には掲げられていたと思うんですが、しかし一方で、例えば新直轄の方式であるとか合併方式であるとか、税金道路を造っていくという方向にもかじを切ったということがあったと思うんですね。  私がお三人全ての参考人にお聞きしたいのは、やはり道路を計画を作る、建設の命令を出していく、これは政治の仕事、最終的には政治の決定になるわけなんですが、やはりそこのところが国民はなかなか、本当にこれが必要なのか不必要なのか、オープンに議論されているのか、国の政策決定の過程として今の国のこの制度が本当にこれで完璧なのか、いいのかというところを三人の参考人評価をお聞きしたいと思います。
  55. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) それでは、順番を、上岡参考人から、そして根本参考人石田参考人の順番でお答えいただきたいと思います。
  56. 上岡直見

    参考人上岡直見君) 何回か出ておりますけど、あの笹子トンネル事故で注目されたのは確かなんですが、私もいろんなところちょっと見学してみますと、県道の三桁クラスのものになりますと、橋梁の上に大きな穴が空いていたり、これどうなるんだというようなところが随分あるんですね。  一方で、高速道路を造っていたり、あるいはいろんな改築事業、こんなことをするんだったら、ちょっとやはりその地域の方にも、こんな心配なところを少し直してくれというような、言いたいところが随分あったわけであります。  あと、先ほどの私の資料の七ページの上の写真、橋の写真を御覧いただきたいと思うんですが、これは現況交通量が六千三百台に対して将来交通量は八千八百台というような評価をしていると。例えばこういうようなところに限っても、確かに費用便益分析をもう少し重視しようという方向で方向転換があったことはいいんですけれども、例えばそういう場合にも、こういう数字の算定根拠とか、誰がどうやってそれを決めているんだというような政策決定の、その意思決定の過程の明確化というようなこと、これはまだまだ十分ではないというふうに思います。  その辺の道路政策の在り方というもの、先ほど新直轄のお話ありましたが、ちょっと調べましたら、二千二百億ですか、一二年度で使っていると。結局、高速道路のいろんな過大推計であったり経営の非効率ということが指摘された中で、新直轄というようなまた枠外のものができてしまったりというようなことで、この辺の抜本的な見直しというのは、これまだまだ課題が済んでいないのではないかというふうに思うわけであります。
  57. 根本敏則

    参考人根本敏則君) 私は発表の中でも申し上げたんですけれども、新直轄道路はやはり見直す必要が出てくるんではないのかというふうに思っているところであります。  各国道事務所がそれを維持管理していく、その費用、人員、あるいは更新の時期に来たときに更新費用が出せるのか、国費で、そういうようなことを考えてみたときに、あとNEXCOの方の経営の問題、これはこれから延びていくに従って、やっぱり真剣にこれをどういうふうにこの費用を賄う仕組みをつくっていくのかということを考えなきゃいけないと思っています。その意味で、大型車だけでも料金を取るとか、何かの工夫をしていくというようなことが大事じゃないかと思っています。
  58. 石田東生

    参考人石田東生君) 不必要な道路というふうにおっしゃいましたけれども、なかなか、何が不必要でこれが必要だというのは難しい議論になろうかと思います。  高速道路で申し上げますと、現在もう既にインターチェンジの一時間圏域内にお住まいの方は九五%に達しておりまして、残り五%の方が必要だというふうにおっしゃっておられます。九五%の方にとっては、もうあるから要らないよということで不必要だというふうにおっしゃり、残された方は、命の道なんだから切実な問題なんだということをおっしゃいます。  社会資本というのは効果の波及範囲が非常に限定されておりますので、こういう国民の間で意見が分かれるような場面が多々出てくる問題でございます。そのときに、客観性、科学的に必要、不必要の判断をするのが費用対効果分析等でございますけれども、この方法が、私が思いますには、非常に限定的に計算をされるがゆえに過度に絞り過ぎているような嫌いがあろうかと思います。  例えば、今申し上げました命を救うという効果は現在の費用対効果分析の効果には入ってございませんし、企業の立地、地域の活性化ということも入ってございません。この辺についてどういう方式で判断すればいいのかということについても、我々大学にいる人間としても研究を進めていかなくちゃならないというふうに思っておりますし、先生方も更に活発に議論していただければなというふうに思います。
  59. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 ありがとうございました。以上です。
  60. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  三人の先生方には、大変貴重な御意見をいただきまして誠にありがとうございました。  端的に三人の先生方に同じ質問を二問させていただきます。  最後ですから総括的な質問になろうかと思いますが、一点目が、道路公団から高速道路会社に分割・民営化をされました。それで、この間、今の分割・民営化の現状についてどのように評価をされておられるか、今後の高速道路の運営管理はどうあるべきかということについて、まず一点目、お聞かせいただきたいと思います。  それから二点目、先ほど上岡先生が一番最後に、基本的な道路政策の転換が必要であるということを言われました。私もそう思います。小手先の部分改正や改善ではもう済まないような状況になっていると思います。維持補修費の財源をどうするのか、高速道路国道、県道、市町村道等の役割分担をどうしていくのか。あるいは、この間、無駄とも言われました農道や林道などもかなり大きな、大型の道路が造られております。  そういうものをしっかり踏まえながら、これからの道路政策をやっぱり総合的に見直しをしていく。全体のインフラの見直しも国土交通省としては今後検討していくと、今検討している状況でありますけれども、根本的な道路政策の見直しについてどのようなお考えか。これは上岡先生から先ほどありましたけれども、更に上岡先生もそのことについての御意見もいただきたいと思います。では、お願いします。
  61. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) それでは、根本参考人石田参考人上岡参考人の順でお答えください。
  62. 根本敏則

    参考人根本敏則君) 最初の民営化の評価ということですけれども、これは、それぞれの会社がいろいろ創意工夫しながら競争する面が出てきていると。SA、PAなど非常ににぎわいを見せているところでありますけれども、ただこれは、皆さんもそうお思いでしょうけれども、競争として十分なのかと、もっともっとJR各会社がやっているような競争みたいなものがあってしかるべきではないのかと。ホテルを経営したりとかいろんな、何ですか、小売部門を経営したりとか、JRは非常に広くやっていますけれども、もちろん運賃なども動かしてですね。  そういう意味でいうと、今回の民営化は少しそれに比べると中途半端だったと。特に資産を、今回の老朽化の問題でいうと、資産は国が持って、そしてそれを貸すという形ですから、民営会社としては、やっぱり資産も持たせて、それをちゃんと上手に維持管理、更新していく責任もあるぞといった中で経営を考えるというふうにしていく方がいいんではないかなというふうな意味では、そういう意味でちょっと、何というかな、いい面もあるし悪い面もあるしということかと思います。  以上です。
  63. 石田東生

    参考人石田東生君) 二つの御質問でございました。  民営化をどう考えるかということでございますけれども、やはりいろんな新しい工夫、試み、活性化が現れてきております。これはSA、PAだけではなくて、料金の在り方についても高速道路会社でいろんな工夫をされておられて、そういういい面はあろうかと思います。  ただ、私ちょっと思いますのは、分割をするということでやっぱり貴重な人的資産とか技術が分散化されてしまっている傾向もございます。インフラの海外輸出ということもありますので、何かそういうことに関しては結集できるような仕組みというのも考えることが必要なのかなというふうにも思います。  二番目に、道路政策あるいは道路法というものをどう考えるかと、部分的手直しでは駄目なんじゃないのかということでございますけれども、そういうふうに思う面も多々あります。ただ、いきなり全面ということではなくて、今回のような部分改正で対応できるところも多々あるんじゃないのかなというふうに思います。  そういう観点から、是非こういう議論をしていただきたいなということでございますけれども、道路法の目的、ここ変わると多分全面改正になるのかなと思いますけれども、やっぱり地域の活性とか地域への貢献という観点が今の道路法の目的の第一条には書かれておりません。何のための道路かというと、やっぱり地域貢献、人の暮らし、産業を良くするということが大事でございますし、先ほど申しましたように、道路管理者が画然と区分され過ぎて、もうちょっと情報交換をする、いろんな人と話合いをする、その協議の場をやっぱり法定してもいいのかなというふうにも思いますし、都市開発との連携性を更に強めてもいいなというふうにも思いますし、そういう改正はまた先生方のお力によって是非議論を推進していただければと思います。
  64. 上岡直見

    参考人上岡直見君) まず民営化の評価ということだと思いますが、せっかく民営化したわけでありますけれども、先ほども出ました新直轄とか合併方式というようなことで、ちょっと都合の悪いところは除いてということでは、これは一体何のためにしたのかという疑問があるところであります。  それから、交通政策の方ですけれども、道路政策と言ってしまうと道路の話になってしまうわけでありまして、目的は道路を造ることではなくて、国民の、あるいは自治体の観点でいえば、住民の生活の質を維持する。これもいろいろあると思うんですけれども、レベルがあって、どうしても生活に必要な交通と、それから生活の質を上げていく、あるいは文化的な側面とか、いろんなレベルがあると思うんですが、住民の生活に必要な交通をどうやって造っていくかということで、やっぱり道路政策と言ってしまうとどうしても縦割りの印象ができてしまうんですけれども、そうではなくて、これはむしろ、一つのキーワードとしてはやっぱり自治体があると思うんですけれども、最初に森屋先生がおっしゃったように、自治体から見ると、国道は国だと、県道は県だと、公共交通はバス会社がやっているんだというような、自治体がまだまだ住民の交通について人任せの面があるんではないかと思います。  そこで、本改正法とは違いますが、交通政策基本法というようなものもできた段階で、私の考えとしては、やはり自治体がもっと住民の生活に必要な、あるいは住民のQOLを上げていく交通というのはどうあるべきかということについてもっと関心を持って関わっていくということが、これは議員の先生方とともに我々の方の課題でもあると思うんですけれども、そういう道路という、もちろん責任の分担ははっきりしなければいけないですけれども、政策という面からいくと、道路、鉄道、バスと縦割りにしないで、交通というもっと包括的な考え方をしていく必要があるというふうに思います。
  65. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 根本先生、道路政策の、根本的な見直しについて、済みません。
  66. 根本敏則

    参考人根本敏則君) ちょっと私には難しい質問なんですけれども、今回の老朽化との絡みでこういう法律が出てきたということとの関連でいえば、いろいろな施設に共通する問題として老朽化問題がありますし、それを国の責任、都道府県の責任、市町村の責任ということもそこで明らかにしなきゃいけないと。しかも、施設の間にはいろいろな、交通の場合なんかそうですけれども、代替関係があるということですよね。それから、ハードでやるのかソフトでやるのかということにもやっぱり代替、補完関係がありますよね。  そうすると、道路法の、今、取りあえず十五年、高速道路については延ばそうというのは、それはそれでもちろん法律としては必要だし大事だと思うんですけれども、相当我々、今大きな問題に直面しているというか、ほかのいろんな問題に共通して取り組まなきゃいけない問題なわけだと思うんですよね。  ですから、そういうことを国会議員の先生方、どういう場で議論されるのか分かりませんけれども、それぞれの委員会のそういう意見を積み上げていく中で、やっぱり大きな、何というか、国、地方の役割分担、民間の力の借り方というのを大きな方針を決めていっていただきたいなというふうに思います。
  67. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 どうもありがとうございました。終わります。
  68. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々にお礼の御挨拶を申し上げたいと思います。  皆様方には、長時間にわたり御出席いただきました。大変有益な御意見をお述べいただきましたことを感謝いたします。ありがとうございます。  今後、皆様方の御意見委員会の審議の中で十分に活用してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。  委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十五分散会