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津田弥太郎君
民主党・新緑風会の
津田弥太郎です。
私は、
提出会派を代表して、
ただいま
議題となりました
厚生労働委員長石井みどり君
解任決議案の提案
理由を説明させてい
ただきます。
まず、
決議案の案文を朗読します。
本院は、
厚生労働委員長石井みどり君を
委員長の職より
解任する。
右決議する。
以下、
良識ある
議員の皆様に、提案の趣旨を説明いたします。
解任決議案を
提出した最大の
理由は、石井君の
委員会運営が
与党による
与党のための
委員会運営そのものだからであります。まさに、終始一貫、徹頭徹尾、過去の厚生労働
委員長とは比較にならない極悪非道な
委員会運営でありました。
振り返れば、十一月五日、
与党は数の力に頼り、
議院運営委員会において、
採決で
生活保護法
改正案、
生活困窮者自立支援
法案を
厚生労働委員会に付託しました。これら二つの
法案は、石井君が
委員長に就任以来、初めて
審議を行う
法律案でありました。私
たち野党は、石井君が、
野党の主張に耳を傾け、当然に丁寧な
対応を行うものだと信じておりました。しかし、その
期待は見事に裏切られ、石井君は、有無を言わせず、
職権で
法案の
趣旨説明を強行したのであります。
極め付けは、十一月二十二日以降のいわゆるプログラム
法案をめぐる独善的な
委員会運営であります。同
法案については、
政府・
与党は厚生労働分野の最
重要法案と位置付け、
衆議院でも本
会議における
趣旨説明、
質疑を行い、不十分でありますが、一定の時間を掛けた
委員会質疑が行われてきました。だからこそ、
参議院でも、日本維新の会についてはいざ知らず、私
たち民主党を含む他の
野党は、一貫してプログラム
法案の本
会議における
趣旨説明、
質疑を求めてきたのであります。
しかし、
与党は、
法案の
趣旨説明、
質疑を拒み、十一月二十二日の金曜日に、再び
議院運営委員会で、
採決という強硬手段を用いて
法案を
委員会に付託したのであります。こうした
事態を受け、早速、私と
与党筆頭理事の間で協議が行われ、週明けの月曜日に理事懇を行うことがおおむね
合意をされました。ところが、事もあろうに、そうした
合意の直後に、石井君は
与党と日本維新の会の理事懇メンバーを非公式に
委員長室に集め、翌週の
委員会運営に関する協議を行いました。こうし
ただまし討ちを平然と行うことで、石井君は
与野党の
信頼関係を瓦解をさせたのであります。
石井みどり君、この場であなたに改めて問いかけを行いたい。週明けの十一月二十五日に開催された理事懇の場で、なぜあなたは
公正中立な
委員会運営を行わなかったのですか。あなた自身の独断によるものですか。それとも、悪名名高い
会派の幹事長など、執行部の言いなりになったのですか。
結果として、当日の理事懇談会では、石井君は、
民主党自身が本
会議における
趣旨説明、
質疑を外したのだという
与党理事の一方的な主張を迷うことなく採用し、翌日の
理事会及び
委員会を
職権でセットいたしました。
そもそも、本
会議の
趣旨説明が最大五本などという
与野党合意は全く
存在しません。そのような
合意があれば、誰でもいい、是非私の前に
合意文書を持ってきてい
ただきたい。持ってこれるものなら持ってこい。
衆議院と
参議院では、本
会議での
趣旨説明、
質疑案件についてのルールが異なるのです。多くの閣法は、当初
衆議院に
提出されますので、
衆議院にあっては、
国会の冒頭に各
会派の本
会議の
登壇本数を定めることが可能であります。しかし、
参議院は、
衆議院から送られてきて初めて
審議のめどが立つのです。ですから、これまでの伝統は、
野党第一党が本
会議において
趣旨説明、
質疑を求めた
法案については、
与党の
良識としてそれを認めてい
ただいてきたわけであります。こうした主張は、十一月二十二日の
議院運営委員会において、我が
会派の筆頭理事から心を込めて
与党に対しても訴えさせてい
ただいたところであります。
皆さん、考えてみてもください。仮に、
国会の冒頭で
登壇本数を決定してしまったら、
会期途中で重要な
法案を
政府が
提出した場合に、本
会議での
趣旨説明、
質疑が行えないことになります。あるいは、
衆議院では本
会議での
趣旨説明、
質疑が行われなかった
法案について、
衆議院の
委員会審議の過程で重大な問題が浮上した場合はどうでしょうか。そのような場合、当然に
参議院だけで
登壇することがあり得るでしょう。
大切なことは、
趣旨説明、
質疑を行う
法案を
本数で制限するのではなく、
国民にとって重要な
法案は漏れなく本
会議における
趣旨説明、
質疑を行って、丁寧かつ充実した
国会審議につなげていく、そのことに尽きているのです。石井君は、こうした小学生でも理解できることさえ分からずに、
野党理事の主張に一切耳を傾けず、強引な
委員会運営を加速化させました。
本来、
厚生労働委員会は、
与党理事四名、
野党理事一名で構成されているはずなのに、実質は
与党理事五名、
野党理事一名の状況が生じたわけであります。言うまでもなく、中立なはずの石井
委員長自身が最強最悪な
与党理事の役割を務めたからであります。
石井みどり君、
思い出してください。あなたは、八月七日の
厚生労働委員会における
委員長就任の挨拶で、「皆様方の御指導、御協力を賜りながら、公正かつ円満な
委員会運営に努め、重責を果たしてまいりたい」と述べられました。公正とは公平で偏っていないことであり、円満とは調和が取れていて穏やかなことであります。あの挨拶は全くのでたらめだったのでしょうか。それとも、委員部の作成した原稿を丸読みし
ただけで、そもそもそのような気持ちが皆無だったのでしょうか。
議場に集う
皆さんは、
委員長がどのような
委員会運営を行うべきか、その答えは分かっているはずであります。
与野党の主張が異なる場合には、
委員長は、自らが所属する側に対し、まずは再考を促すべきなのであります。特に
厚生労働委員会は、
国民生活に最も身近な
政策課題を扱うことから、
与野党の対立が先鋭化する場合もございます。だからこそ、
与党から厚生労働
委員長が選出された場合は、軸足を
野党に置きつつ、最大限に丁寧な
委員会運営を行う必要があるのであります。
石井君、あなたは、昭和五十五年に広島市中区にみどり小児歯科クリニックを開設されました。あなたの活動の原点は、地域の歯科医療の充実にひたむきに取り組むことにあったはずであります。残念ながら、今のあなたにはその面影を見出すことはできません。何があなたをそのように変えてしまったのでしょうか。
石井君の好きな言葉に、「愛は近きより」というものがあります。よもや、この言葉の意味を、自らが所属する
与党に愛情を注ぎ、
与党の
立場で
委員会運営を行うことと誤解されているのではありますまい。そうであるならば、まさにマザー・テレサが草葉の陰で泣いていますよ。
また、あなたは自己紹介で自らの性格を正義感が強いとしています。この上もないほどのブラックジョークに対し、私
たちはどのように反応したらいいのでしょうか。過去幾多の国際紛争においては、侵略紛争を仕掛けた側も正義を主張しているのだということにいま一度
思いを致す必要があります。石井みどり君、正義の名の下に行われる妄信的な
暴挙こそが最も怖いことであります。
さて、石井君については、当初から、
委員長としての適格性を疑問視する声がありました。
ここで、朝日新聞社の報道を紹介いたします。
八月二十八日、自由
民主党の党本部前で石井みどり厚生労働
委員長が記者団に語った言葉であります。何と、みんなの党を私
たちは喜美の党と言っているが、あんなファッショは
自民党ではあり得ない、まさに驚きの
発言であります。
参議院厚生労働委員会には、
野党第二党であるみんなの党から二名の委員がメンバーに加わっております。それにもかかわらず、同党をここまで侮辱する
発言を行った石井君に対し、
公正中立な
委員会運営ができるのかとの危惧がありました。今回、そうした危惧が不幸にして的中してしまいました。ファッショとは
議会制民主主義の基本的な制度に拒否反応を示すものですが、現在の石井みどり君の
委員会運営、すなわち、
野党第一党を排除して顧みない
姿勢こそまさにファッショと言わざるを得ません。
恐らく、石井君を擁護する
立場からは、
選挙で勝利したのだから好き放題やっても構わない、そうした声も聞こえてくるのかもしれません。しかし、言うまでもなく、少数
意見に丁寧に耳を傾けることこそが民主主義の根幹であります。
また、今回の発端は
議院運営委員会に帰するものだとの主張もあるでしょう。しかし、いかに
議院運営委員会や
国会対策
委員会が横暴であっても、さらには、いかに
厚生労働委員会の
与党筆頭理事に重大な欠陥があっても、
委員長には現場の
責任者として実りある
審議を可能とさせる絶対的な権限が与えられているのであります。少なくとも、石井君に僅かながらでも
良識というものがあれば、本日の
厚生労働委員会におけるプログラム
法案の
強行採決は絶対に行われなかったと断言できます。石井君を取り巻く周辺事情は、
委員長としての
責任を回避させる免罪符とは到底なり得ません。
以上、石井みどり君は、
議会制民主主義のイロハのイさえ分からぬままに、憲政史上に汚点を残す
委員会運営を行っているものであります。石井君におかれましては、直ちに厚生労働
委員長の職責を離れ、人として、
国会議員として研さんを積むことに専念してい
ただきたい。
石井みどり厚生労働
委員長の横暴な
委員会運営に断固抗議し、改めて猛省を促すとともに、
与党の皆様には、むしろ、この
解任決議案の可決こそが石井君自身が生まれ変わるための貴重なチャンスになることをお訴え申し上げ、私の提案
理由の説明を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
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