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2013-02-28 第183回国会 参議院 本会議 第8号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十五年二月二十八日(木曜日) 午後二時四十六分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第八号
平成
二十五年二月二十八日 午後二時四十分
開議
第一
国務大臣
の
演説
に関する件
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり ─────・─────
平田健二
1
○議長(
平田健二
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
国務大臣
の
演説
に関する件
内閣総理大臣
から
施政方針
に関し、
外務大臣
から
外交
に関し、
財務大臣
から
財政
に関し、
甘利国務大臣
から
経済
に関し、それぞれ
発言
を求められております。これより順次
発言
を許します。
内閣総理大臣安倍晋
三君。 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君登壇、拍手〕
安倍晋三
2
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 強い
日本
、それをつくるのは、ほかの誰でもありません、私
たち自身
です。 「一身独立して一国独立する」 私
たち自身
が、誰かに寄りかかる心を捨て、それぞれの
持ち場
で自ら運命を切り開こうという
意思
を持たない限り、私
たち
の
未来
は開けません。
日本
は、今、幾つもの難しい
課題
を抱えています。しかし、くじけてはいけない、諦めてはいけません。私
たち
一人一人が、自ら立って前を向き、
未来
は明るいと信じて前進することが、私
たち
の次の、そのまた次の
世代
の
日本人
に立派な国、強い国を残す唯一の道であります。 「
苦楽
を与にするに若かざるなり」 一身の独立を唱えた
福沢諭吉
も、自立した
個人
を基礎としつつ、
国民
も
国家
も
苦楽
を共にすべきだと述べています。
共助
や
公助
の
精神
は、単にかわいそうな人を救うことではありません。懸命に生きる
人同士
が、
苦楽
を共にする
仲間
だからこそ、何かあれば助け合う、そのような
精神
であると考えます。 「みんなで声を掛け合って、励まし合っている。」
総理就任
以来、私は、毎月
被災地
を訪問し、
避難生活
を強いられている
方々
の声を直接伺ってまいりました。
仮設住宅
の厳しい
環境
の下でも、思いやりの心がそこにはありました。自立して支え合おうとする
気概
を感じるのです。
個人
の
意思
や努力だけではどうにもならない問題が今なお立ちはだかっています。
高台移転
は、ようやく動き始めたものの、
土地
の買収や様々な手続により、大幅な遅れが目立ちます。
仮設住宅暮らし
の
長期化
による先の見えない不安。お
年寄り
の方からは、時間がないという悲痛なお話も伺いました。 「どんなに小さくてもいいから、
自分
の家に住みたい」 今を懸命に生きる
人たち
に、
復興
を加速することでこたえていかねばなりません。
解決
すべき
課題
は
地域ごと
に異なりますが、
復興庁
が、
現場主義
を徹底し、
課題
を具体的に整理し、
一つ
一つ
解決
します。 福島は、今も
原発事故
による
被害
に苦しんでいます。
子供たち
は、屋外で十分に遊ぶことすらできません。除染、
風評被害
の防止、
早期帰還
に、
行政
の
縦割り
を排し、
全力
を尽くすべきは当然です。しかし、私
たち
は、その先にある
希望
をつくらねばなりません。
若者たち
が
希望
に胸を膨らませることができる
東北
を私
たち
はつくり上げます。それこそが真の
復興
です。 既に、
再生可能エネルギー産業
や
医療関連産業
など、将来の
成長産業
が
東北
で芽吹きつつあります。
復興
を更に強力に進めるため、
復興予算
十九兆円枠を見直し、必要な財源を確保することとしました。 今年も、間もなく三月十一日がやってきます。厳しく長い冬が続いた
東北
にも、もうすぐ春が訪れます。冬の寒さに耐えて春に咲き誇る花のように、新たな創造と
可能性
の地としての
東北
を、
皆さん
、共につくり上げようではありませんか。 さて、
日本経済
の将来に今の
若者たち
は
希望
を持てるでしょうか。
若者たち
が
未来
は明るいと信じることができる力強い
日本経済
を立て直すことが、私
たち
の
世代
の
責任
であります。 三本の矢を力強く射込みます。大胆な
金融政策
であり、機動的な
財政政策
、そして
民間投資
を喚起する
成長戦略
です。今までと同じやり方では、激変している
国際経済
に立ち向かうことはできません。
日本
の
経済成長
は、
世界
を覆う大
競争
の
荒波
にためらうことなくこぎ出していく私
たち
の
意思
と、それから
勇気
に懸かっています。 まさにそうした
勇気
を示し、遠くアルジェリアの砂漠で働いていた
方々
が
犠牲
となりました。彼らに非業の死を遂げさせた
テロリストたち
の卑劣と非道を
我が国
は決して許しません。テロの
犠牲
を繰り返さないため、何をなさねばならないかを検証し、具体的な
対策
を進めます。 私が恐れていることは、今回の事件によって
日本人
が
世界
に羽ばたく
意思
と
勇気
を失うことです。
世界
の
成長センター
は、
アジア
から中南米、
アフリカ
へと広がっています。今回
犠牲
となった
方々
の志を無にしないためにも、
海外
の
成長
を
日本
に取り込むべく、
世界
のどこへでもフロンティアに果敢に飛び込んでいかねばなりません。 その
かばん
に詰め込むべき魅力ある商品は、たくさんあります。健康的な
日本
食は、
世界
で
ブーム
を巻き起こしています。四季の移ろいの中できめ細やかに育てられた
日本
の農作物。
世界
で豊かな人が増えれば増えるほど、人気が高まることは間違いありません。そのためにも、攻めの
農業政策
が必要です。
日本
は瑞穂の国です。息をのむほど美しい棚田の風景、伝統ある
文化
、
若者たち
がこうした美しい
ふるさと
を守り、
未来
に
希望
を持てる強い農業をつくってまいります。 健康は、誰もが求める
世界共通
のテーマです。
日本発
の
技術
である
iPS細胞
を利用した
再生医療
、創薬など、
最先端
の
医療技術
を積極的に活用して
世界
に先駆けて
健康長寿社会
を目指します。
世界
に誇る
国民
皆
保険制度
が育んだ
我が国
の
医療技術
と
サービス
に更に磨きを掛け、国際的な
医療協力
なども通じて
世界
に積極的に展開してまいります。
日本
のコンテンツやファッション、
文化
、伝統の強みも
世界
から注目されています。アニメなどの
ブーム
を
一過性
のものに終わらせることなく、
世界
の
人たち
を引き付ける
観光立国
を推進することに加え、クール・ジャパンを
世界
に誇るビジネスにしていきましょう。 それから、
環境技術
です。
資源制約
を抱える
世界
で、その
解決策
を
日本
は持っています。ここにも商機があります。
世界最先端
の
技術
で
世界
の
温暖化対策
に貢献し、低
炭素社会
を創出していくという
我が国
の
基本方針
は不変です。 詰め込む
かばん
の中身が
技術
、
サービス
、
知的財産
など多様化する
現代
では、活発でフェアな
国際競争
を確保するため、貿易や投資の
ルール
を国際的に調和していかねばなりません。
我が国
は、受け身であってはなりません。グローバルな
レベル
でも、
地域レベル
や二
国間レベル
でも、
日本
は、
ルール
を待つのではなく、つくる国でありたいと考えます。
アジア太平洋地域
、
東アジア地域
、欧州などとの
経済連携
を戦略的に推進します。
我が国
の
外交力
を駆使して、守るべきものは守り、
国益
にかなう
経済連携
を進めます。 TPPについては、
聖域
なき
関税撤廃
は前提ではないことを、先般、
オバマ大統領
と直接会談し、確認いたしました。今後、
政府
の
責任
において、
交渉参加
について判断いたします。
意欲
のある全ての
日本人
が、
世界
の
成長センター
で存分に活躍できる
環境
を整えます。 一方で、
日本
から
世界
へという流れだけではなく、
世界
から
日本
に優れた
企業
や人を集め、
日本
をもう一度
成長センター
にしていく
気概
も必要です。 優れた
人たち
は、今、
日本
で能力を発揮したいと考えるでしょうか。
日本
での
研究環境
に満足できない
研究者たち
が、
海外
にどんどん流出しています。
世界
で最も
イノベーション
に適した国をつくり上げます。
総合科学技術会議
が、その
司令塔
です。大胆な
規制改革
を含め、
世界中
の
研究者
が
日本
に集まるような
環境
を整備します。 その萌芽とも呼べる
希望
に、私は
沖縄
で出会いました。 「非常に素晴らしい
研究機会
が与えられると考えて、
沖縄
にやってきた。」 アメリカから来たこの学生は、かつて
ハーバード大学
や
イエール大学
で
研究
に携わってきました。その上で、昨年開学した
沖縄科学技術大学院大学
で
研究
する道を選びました。 最新の
研究設備
に加え、
沖縄のちゅら海
に面したすばらしい雰囲気の中で、
世界中
から卓越した
教授陣
と優秀な
学生たち
が集まりつつあります。
沖縄
の地に
世界
一の
イノベーション拠点
をつくり上げます。
世界初
の
海洋メタンハイドレート産出試験
、
世界
に冠たるロケット打ち上げ
成功率
、
世界最先端
の
加速器技術
への
挑戦
など、
日本
は
先端分野
において
世界
の
イノベーション
を牽引しています。 将来の
資源大国
にもつながる
海洋開発
、
安全保障
や
防災
など幅広い活用が期待できる
宇宙利用
、
テレワーク
や
遠隔医療
など
社会
に変革をもたらし得る
IT活用
、
日本
に新たな
可能性
をもたらすこれらの
イノベーション
を、省庁の
縦割り
を打破し、
司令塔機能
を
強化
して、力強く進めてまいります。
世界
の優れた
企業
は、
日本
に立地したいと考えるでしょうか。 むしろ、
我が国
は、深刻な
産業空洞化
の
課題
に直面しています。 長引くデフレからの
早期脱却
に加え、
エネルギー
の
安定供給
と
エネルギーコスト
の低減に向けて、
責任
ある
エネルギー政策
を構築してまいります。
東京電力福島
第一
原発事故
の反省に立ち、
原子力規制委員会
の下で、妥協することなく
安全性
を高める新たな
安全文化
をつくり上げます。その上で、安全が確認された
原発
は再稼働します。省
エネルギー
と
再生可能エネルギー
の最大限の導入を進め、できる限り
原発依存度
を低減させていきます。同時に、
電力システム
の抜本的な
改革
にも着手します。
世界
で一番
企業
が活躍しやすい国を目指します。
国際先端テスト
を導入し、
聖域
なき
規制改革
を進めます。
企業活動
を妨げる
障害
を
一つ
一つ
解消していきます。これが、新たな
規制改革会議
の
使命
です。
行政
や
公務員制度
の
在り方
も、これまでの
改革
の成果に加え、国際的な大
競争時代
への変化をとらえ、
改革
します。
公務員
には、
誇り
と
責任
を持って
世界
との
競争
に打ち勝つ
国づくり
をそれぞれの
持ち場
で能動的に進めるよう期待します。 魅力あふれる
地域
をつくります。その鍵は、
地域ごと
の
創意工夫
を生かすための
地方分権改革
です。
大都市制度
の
改革
を始め、
地方
に対する
権限移譲
や
規制緩和
を進めます。また、
地域
の
元気づくり
を応援します。 小さな
町工場
からフェラーリやBMWに果敢に
挑戦
している
皆さん
がいます。自動車ではありません。東京都大田区の
中小企業
を経営する細貝さんは、
仲間
とともに
ボブスレー競技用そり
の
国産化プロジェクト
を立ち上げました。 「
世界最速
のマシンをつくりたい」 三十社を超える
町工場
が、これまで培ってきた
物づくり
の力を結集して、来年の
ソチ五輪
を目指し、
世界
に挑んでいます。 高い
技術
と
意欲
を持つ
中小企業
・
小規模事業者
の
挑戦
を応援します。
試作品開発
や
販路開拓
など、新しいチャレンジを応援する仕組みを用意します。ひたすらに
世界
一を目指す
気概
、こういう
皆さん
がいる限り、
日本
はまだまだ
成長
できると私は確信しています。 いま一度申し上げます。
皆さん
、今こそ
世界
一を目指していこうではありませんか。 なぜ、私
たち
は
世界
一を目指し、
経済
を
成長
させなければならないのか。それは、働く
意欲
のある
人たち
に
仕事
をつくり、頑張る
人たち
の手取りを増やすためにほかなりません。 このため、私
自身
、可能な限り報酬の
引上げ
を行ってほしいと
産業界
に直接要請しました。
政府
も、税制で、
利益
を
従業員
に還元する
企業
を応援します。既に、この
方針
に御賛同いただき、
従業員
の
報酬引上げ
を宣言する
企業
も現れています。うれしいことです。
家計
の
やりくり
は大変な御苦労です。日々の
暮らし
を少しでも良くするために、私
たち
は強い
経済
を取り戻します。
経済
だけではありません。様々なリスクにさらされる
国民
の
生命
と
財産
を断固として守る、強靱な
国づくり
も急務です。 旅行で、
仕事
で、ふだん何げなく通る
トンネル
でその事故は起きました。
笹子トンネル事故
です。 私の育った時代、
高速道路
が次々と延びていく姿は、
成長
する
日本
の象徴でありました。しかし、あのころできたインフラが老いつつある。人の命まで奪った現実に向き合わなければなりません。 命を守るための
国土強靱化
が焦眉の急です。
首都直下地震
や
南海トラフ地震
など、大規模な
自然災害
への備えも急がなければなりません。徹底した
防災
・
減災対策
、
老朽化対策
を進め、
国民
の安全を守ります。 治安に対する信頼も欠かせません。
ネット社会
の脅威である
サイバー犯罪
、
サイバー攻撃
や、平穏な
暮らし
を脅かす暴力団や
テロリスト
などへの
対策
、取締りを徹底します。
悪質商法
によるトラブルから
消費者
を守らねばなりません。
地方
の
相談窓口
の充実や
監視強化
などによって、
消費者
の安全、安心を確保します。
世界
一安心な国、
世界
一安全な国、
日本
をつくり上げます。 さて、今この
演説
を聞く
国民
一人一人が悩みや不安を抱えておられます。
家計
の
やりくり
、
教育
、
子育て
、
介護
、こうした不安に目を向け、
一つ
一つ
対応
することも政治の
使命
です。
車座ふるさとトーク
を始めました。
皆さん
の声を直接お伺いするため、閣僚が
地方
に足を運びます。一人一人の思いを直接、具体的な
政策
につなげていきます。
子供
を持つ親は、常に
子供
の
教育
に頭を悩ませています。
いじめ
や体罰を背景に
子供
の尊い命が絶たれる事案が発生しています。
子供
の命は何としても守り抜くとの強い
意思
と
責任感
を私
たち大人
が持って、直ちに
行動
に移さねばなりません。六年前に改正した
教育基本法
を踏まえ、現場での具体的な
改革
を進めます。まずは、先般、
教育再生実行会議
が取りまとめた
道徳教育
の充実を始めとする
いじめ対策
の提言を実行します。
教育現場
で起きる問題に的確で速やかな
対応
が行える
体制
を整えます。現行の
教育委員会制度
について、
責任体制
を明確にすることを始め、抜本的な
改革
に向けた
検討
を進めます。
学力
の向上も、
公教育
に求められる重要な役割です。
世界トップレベル
の
学力
を育むため、力ある教師を養成し、
グローバル化
に
対応
したカリキュラムなどを充実していきます。
大学
力は
国力そのもの
です。
大学
の
強化
なくして
我が国
の
発展
はありません。
世界トップレベル
となるよう、
大学
の
在り方
を見直します。 私も、
子供
のころ、
野球選手
や警察官などと、いろいろな夢を見ました。
教育再生
とは、
子供たち
が夢を実現する
意思
を持って
自分たち
の道を歩んでいけるよう手助けするためのものにほかなりません。その主役は、
子供たち
です。六三三四制の見直しによる
平成
の
学制大改革
を始め、
教育再生
に向けた具体的な
課題
について今後
検討
を進めます。
子育て
に頑張るお父さんやお母さんが、育児を取るか
仕事
を取るかという二者択一を迫られている現実があります。
待機児童
の解消に向けて
保育所
の
受入れ児童数
を拡大します。多様な
保育ニーズ
にこたえるためには、休日・
夜間保育
なども拡充していかねばなりません。
放課後児童クラブ
を増設し、
地域
による
子育て支援
も力を入れてまいります。
仕事
との
両立支援
と併せ、
仕事
への復帰を応援します。
両立支援
に取り組む
事業者
への助成、マザーズハローワークの拡充に取り組みます。 年老いた親の
介護
と
仕事
の両立に御苦労される方も増えつつあります。
介護
と
仕事
も両立しやすい
社会
をつくっていかねばなりません。まずはその第一歩として、両立するための知識やノウハウを働く
方々
や職場に周知して、様々な
支援
を受けられるようにします。
地域
のお
年寄り
の
皆さん
に、質が高く、必要な
介護
が行われる
体制
も整えます。全てを
家庭
に任せるのではなく、
社会
も共に
子育て
や
介護
を支えていきます。 他方、
家庭
に専念して
子育て
や
介護
に尽くしている
方々
もいらっしゃいます。
皆さん
の御苦労は、
経済指標
だけでは測れない、かけがえのないものです。
皆さん
の
社会
での活躍が
日本
の新たな活力を生み出すと信じます。
皆さん
がいつでも
仕事
に復帰できるよう、
トライアル雇用制度
を活用するなど、再
就職支援
を実施します。
仕事
で活躍している
女性
も、
家庭
に専念している
女性
も、全ての
女性
がその生き方に自信と
誇り
を持ち、輝けるような
国づくり
を進めます。
皆さん
、
女性
が輝く
日本
を共につくり上げていこうではありませんか。 老いも若きも、
障害
や病気を抱える方も、
意欲
があるならば、世のため人のために活躍できる
機会
をつくります。その先に活力あふれる
日本
が待っています。 個々の事情に応じた
就労支援
をきめ細かく行います。
若者
・
女性活躍推進フォーラム
の場を通じて、更なる
課題
を抽出し、
具体策
を
検討
していきます。 一度の失敗で烙印が押され、
負け組
が
固定化
するような
社会
は、頑張る人が報われる
社会
とは言えません。何度でもチャレンジできる
社会
をつくり上げてまいります。 しかし、どんなに
意欲
を持っていても、病気や加齢などにより、
思いどおり
にならない
方々
がいらっしゃいます。 こうした
方々
にも
安心感
を持っていただくため、持続可能な
社会保障制度
をつくらねばなりません。
少子高齢化
が進む中、
安定財源
を確保し、受益と負担の均衡が取れた
制度
を構築します。
自助自立
を第一に、
共助
と
公助
を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べます。自由民主党、公明党、民主党による三党間での協議の進展も踏まえ、
社会保障制度改革国民会議
において御議論いただき、
改革
を具体化してまいります。 国、
地方
のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対
GDP比
の半減、二〇二〇年度までに
黒字化
との
財政健全化目標
の実現を目指します。 さて、
外交
・
安全保障
についてお話しいたします。 私の
外交
には
原則
があります。さきの
ASEAN諸国訪問
の際には対
ASEAN外交
の五
原則
を発表しましたが、私の
外交
は、戦略的な
外交
、
普遍的価値
を重視する
外交
、そして
国益
を守る、主張する
外交
が
基本
です。傷ついた
日本外交
を立て直し、
世界
における確固とした
立ち位置
を明確にしていきます。 その基軸となるのは、やはり
日米同盟
です。 開かれた海の下、
世界最大
の
海洋国家
である米国と
アジア最大
の
海洋民主主義国家
である
日本
とが
パートナー
を成すのは理の当然であり、不断の
強化
が必要です。 先日の
オバマ大統領
との会談により、緊密な
日米同盟
は完全に復活いたしました。政治、
経済
、
安全保障
だけではなく、
アジア太平洋地域
、さらには
国際社会共通
の
課題
に至るまで、同じ
戦略意識
を持ち、同じ目的を共有していることを確認したのであります。緊密な
日米同盟
の復活を内外に示し、
世界
の平和と安定のために
日米
が手を携えて協力していくことを鮮明にすることができました。
日米安保体制
には
抑止力
という大切な
公共財
があります。これを高めるために
我が国
は更なる役割を果たしてまいります。同時に、
在日米軍再編
には、現行の
日米合意
に従って進め、
抑止力
を維持しつつ、
沖縄
の
負担軽減
に
全力
で取り組みます。特に、
普天間飛行場
の
固定化
はあってはなりません。
沖縄
の
方々
の声によく耳を傾け、
信頼関係
を構築しながら
普天間飛行場
の移設及び
嘉手納以南
の
土地
の
返還計画
を早期に進めてまいります。
北朝鮮
が
核実験
を強行したことは、断じて容認できません。
安保理決議
にも明確に違反するものであり、厳重に抗議し、非難します。
北朝鮮
が平和と繁栄を求めるのであれば、このような挑発的な
行動
を取ることが何の
利益
にもならないことを理解させるべく、米国、韓国を始め、中国、
ロシア
といった
関係国
と連携して、断固たる
対応
を追求します。
拉致
問題については、全ての
拉致被害者
の御家族が御
自身
の手で肉親を抱き締める日が訪れるまで私の
使命
は終わりません。
北朝鮮
に対話と圧力の
方針
を貫き、全ての
拉致被害者
の
安全確保
及び
即時帰国
、
拉致
に関する
真相究明
、
拉致実行犯
の引渡しの三点に向けて
全力
を尽くします。
拉致
、核、ミサイルの諸懸案の包括的な
解決
に向けて具体的な
行動
を取るよう、
北朝鮮
に強く求めます。 尖閣諸島が
日本固有
の
領土
であることは、歴史的にも
国際法
上も明白であり、そもそも
解決
すべき
領有権
の問題は存在しません。 先般の
我が国護衛艦
に対する
火器管制レーダー照射
のような、事態をエスカレートさせる危険な行為は厳に慎むよう、強く自制を求めます。国際的な
ルール
に従った
行動
が必要であります。 同時に、
日中関係
は、最も重要な二
国間関係
の
一つ
であり、個別の問題が
関係
全体に影響を及ぼさないようコントロールしていくとの
戦略的互恵関係
の原点に立ち戻るよう求めてまいります。私の対話のドアは常にオープンです。 韓国は、自由や
民主主義
といった
基本的価値
と
利益
を共有する最も重要な隣国です。
朴槿恵新大統領
の就任を心より歓迎いたします。
日韓
の間には困難な問題もありますが、二十一世紀にふさわしい
未来志向
で重要な
パートナー
シップの構築を目指して協力していきます。 もう
一つ
の隣国である
ロシア
との
関係
は、最も
可能性
に富んだ二
国間関係
の
一つ
であります。本年に予定されている
ロシア訪問
を、
日ロ関係
の
発展
に新たな弾みを与えるものとしたいと考えています。
アジア太平洋地域
の
パートナー
としてふさわしい
関係
を構築すべく、
日ロ関係
全体の
発展
を図りながら、最大の懸案である北方
領土
問題を
解決
して
平和条約
を締結すべく、腰を据えて取り組みます。 緊密な
日米関係
を基軸として、豪州やインド、
ASEAN諸国
などの
海洋アジア諸国
との連携を深めてまいります。G8やG20や
我が国
で開催する第五回
アフリカ開発会議
などの
国際的枠組み
を通じ、貧困や
開発
といった
国際社会
に共通する
課題
の
解決
に向け、
我が国
は
世界
の大国にふさわしい
責任
を果たしていきます。
我が国
の
領土
・領海・領空や主権に対する挑発が続いており、
我が国
を取り巻く
安全保障環境
は一層厳しさを増しております。 先般、
沖縄
を訪問し、最前線で
任務
に当たっている
海上保安庁
や警察、
自衛隊
の諸君を激励する
機会
を得ました。その真剣なまなざしと、みなぎる
緊張感
を目の当たりにしました。彼らを送り出してくれた御家族にも、感謝の念でいっぱいです。 私は、彼らの先頭に立って、
国民
の
生命
、
財産
、
我が国
の
領土
・領海・領空を断固として守り抜く決意であります。 十一年ぶりに
防衛関係費
の増加を図ります。今後、
防衛大綱
を見直し、
南西地域
を含め、
自衛隊
の
対応能力
の向上に取り組んでまいります。
我が国
の
外交
・
安全保障政策
の
司令塔
となる
国家安全保障会議
の設置に向けた
検討
を本格化します。同時に、
安全保障
の
法的基盤
の再構築に関する
懇談会
において、二十一世紀の
国際情勢
にふさわしい
我が国
の
立ち位置
を追求してまいります。
危機
にあって大切なことは、大局を見失わないことです。
我が国
の
国益
は、万古不易です。
我が国
の
存立基盤
である海を徹底してオープンなものとし、自由で平和なものとすることであります。 「全
世界
にとっての
基本
的に重要な
原則
、すなわち何よりも
国際法
が力の行使に勝たなくてはならないという
原則
を守ろうとしていた」
フォークランド紛争
を振り返って、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相はこう語りました。 海における法の支配、私は、
現代
において、力の行使による
現状変更
は何も正当化しないということを
国際社会
に対して訴えたいと思います。
安全保障
の
危機
は
人ごと
ではありません。今、そこにある
危機
なのです。 今、この瞬間も、
海上保安庁
や警察、
自衛隊
の諸君は、強い
意思
と
忍耐力
で
任務
に当たっています。
荒波
を恐れず、乱気流を乗り越え、極度の
緊張感
に耐え、強い
誇り
を持って
任務
を果たしています。
皆さん
、与野党を超えて、この場から、彼らに対し、感謝の意を表そうではありませんか。
江戸時代
の高名な学者である
貝原益軒
は、
牡丹
の花を大切に育てていました。ある日、外に出ていた間に、留守番の
若者
がその花を折ってしまいました。怒られるのではないかと心配する
若者
に対して、
益軒
はこう述べて許したといいます。 「
自分
が
牡丹
を植えたのは、楽しむためで、怒るためではない。」 何のために
牡丹
を植えたのかという初心を常に忘れず、そこに立ち戻ることによって寛大な心を持つことができた
益軒
。 私は、この議場にいる全ての国
会議
員の
皆さん
に呼びかけたいと思います。 我々は、何のために国
会議
員を志したのか。それは、この国を良くしたい、
国民
のために力を尽くしたいとの思いからであって、間違っても、政局に明け暮れたり、足の引っ張り合いをするためではなかったはずです。 全ては
国家
国民
のため、互いに寛容の心を持って、建設的な議論を行い、結果を出していくことが私
たち
国
会議
員に課せられた
使命
であります。 議員定数の削減や選挙
制度
の見直しについても、各党各会派で話し合い、しっかりと結論を出していこうではありませんか。 憲法審査会の議論を促進し、憲法改正に向けた
国民
的な議論を深めようではありませんか。 政権与党である自由民主党と公明党が、政権運営に主たる
責任
を負っていることは言うまでもありません。その上で、私は、各党各会派の
皆さん
と丁寧な議論を積み重ね、合意を得る努力を進めてまいります。 この議場にいらっしゃる
皆さん
には、是非とも国
会議
員となったときの熱い初心を思い出していただき、どうか建設的な議論を行っていただけますよう最後にお願いして、私の
施政方針
演説
といたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ─────────────
平田健二
3
○議長(
平田健二
君)
外務大臣
岸田文雄君。 〔
国務大臣
岸田文雄君登壇、拍手〕
岸田文雄
4
○
国務大臣
(岸田文雄君) 第百八十三国会に当たり、
外交
の
基本方針
について所信を申し述べます。 私は、昨年十二月、
日本外交
が
危機
的な状況にある中、
外務大臣
に
就任
いたしました。それから僅か二か月の間に、
北朝鮮
が
核実験
を実施しました。また、中国公船による度重なる
領海
侵入や、中国
政府
航空機による
領空
侵犯、中国海軍艦艇による火器管制レーダーの照射事案などの事態も発生しており、
我が国
を取り巻く
安全保障環境
の厳しさを改めて実感しております。 また、アルジェリアにおけるテロ事件やグアムの無差別殺傷事件に直面しました。
世界
各地で
活躍
する
日本人
や
日本
企業
を多様な脅威から守り、
支援
していくことの重要性を痛感しております。 私は、この二か月で実感した
日本
を取り巻く
危機
に正面から立ち向かう覚悟です。
外交
の
責任
者として、
日本
と
世界
の平和と安定を脅かす
危機
や脅威から
我が国
を守り、平和と繁栄を確保していく
外交
を推し進めてまいります。 同時に、自由、
民主主義
、
基本
的人権、法の支配といった
基本的価値
に立脚した戦略的
外交
を展開し、
日本
の考え方や信念を
世界
に発信し、
信頼
を勝ち得ていきます。 こうした現状の下、私は、三つの柱、すなわち
日米同盟
の
強化
、近隣諸国との協力
関係
の重視、
日本経済
再生に資する
経済
外交
の
強化
を軸に、大局的な観点から
全力
で
外交
を推進してまいります。 現下の
地域
の厳しい
安全保障環境
や
世界中
の様々な脅威に対処するためには、第一の柱として、
我が国
の
外交
・
安全保障
の
基軸
たる
日米同盟
の
強化
が不可欠です。先般の安倍総理大臣の訪米で、首脳間で主要
課題
についての
戦略意識
と目的を共有し、
日米同盟
の強い絆を内外に示すとともに、
世界
の平和と安定のため、
日米
が手を携えて協力していくことを鮮明にすることができました。私も同行し、ケリー国務長官との会談で、緊密な
連携
を取っていくことを確認しました。今後も、
日米同盟
の一層の
強化
に努め、幅広い分野での協力を進めます。 先般、私は
外務大臣
として
沖縄
を訪問しました。
普天間飛行場
の移設を含む
在日米軍再編
については、
現行
の
日米合意
に従って進めながら、
沖縄
の
負担軽減
を実現いたします。特に、
普天間飛行場
の
固定化
はあってはなりません。
沖縄
の
方々
の声によく耳を傾け、
信頼関係
を
構築
しながら、
普天間飛行場
の移設及び
嘉手納以南
の
土地
の
返還計画
を
早期
に進めてまいります。 次に、第二の柱として、近隣諸国との
関係
を重視し、大局的・戦略的視点を持って協力を推進します。力でなく、法の支配によりこの
地域
の平和と安定が図られるよう努力してまいります。二国間のみならず、
アジア太平洋地域
における三国間、東
アジア
首脳
会議
、EASといった多国間の枠組みも
活用
した
外交
を展開します。
北朝鮮
による昨年のミサイル発射や先般の
核実験
は、
我が国
として到底容認できず、
断固
としてこれを非難します。
米国
、
韓国
を始め、中国、
ロシア
といった
関係国
と
連携
し、国連安保理が新たな強い決議を速やかに採択するよう働きかけるとともに、
北朝鮮
に対し、ウラン濃縮活動を含む核・ミサイル
開発
の即時停止等、
安保理決議
及び六者会合共同声明に基づく具体的
行動
を強く求めます。
我が国
としては、引き続き、日朝平壌宣言にのっとり、
拉致
、核、ミサイルといった諸
懸案
の包括的な
解決
を図る考えです。特に、
拉致
問題の
解決
なくして国交正常化はあり得ないとの
方針
の下、
拉致
問題の
解決
に
全力
を尽くします。さらに、来月の国連人権理事会において、
北朝鮮
の人権状況に関する新たな調査メカニズムを設置すべく、
関係
各国と協力を進めます。 中国との
関係
は、
我が国
にとり最も重要な二
国間関係
の
一つ
であり、大局的な観点から
戦略的互恵関係
を推進していきます。一方、中国の透明性を欠く軍事力増強や周辺海域における海洋活動の活発化は
地域
の懸念事項です。尖閣諸島は歴史的にも
国際法
上も
日本固有
の
領土
であり、現に
日本
はこれを有効に支配しています。尖閣諸島をめぐり
解決
すべき
領有権
の問題はそもそも存在しません。尖閣諸島をめぐる情勢については、
我が国
の
領土
・
領海
・
領空
は
断固
として守り抜くとの決意で冷静に取り組みつつ、中国側に対しては、
意思
疎通を通じて、事態をエスカレートさせないよう、自制を強く求めていきます。
北朝鮮
等
地域
の脅威に対処する上でも、
基本
的な価値や
地域
の平和と繁栄の確保という
利益
を共有する
韓国
との
関係
は重要です。
韓国
は
日本
と共に歩む
パートナー
です。個別の問題が全体を損なうことがないよう、大局的な観点から
未来志向
で重層的でより強固な
日韓
関係
を
構築
していきます。
日韓
間の貿易・
投資
や第三国における
日韓
企業
間の協力の促進など、
経済
関係
も一層
強化
していきます。竹島問題は一朝一夕に
解決
する問題ではありませんが、言うまでもなく、
韓国
側に対して、受け入れられないものについては受け入れられないとしっかり伝え、粘り強く
対応
していきます。
ロシア
とは、戦略的な視点に立って、
地域
の
パートナー
としてふさわしい
関係
を
構築
すべく、
安全保障
、
経済
等あらゆる分野における協力の進展に向けて努力をいたします。両国間の
最大
の
懸案
である北方
領土
問題については、両国の立場に依然として大きな隔たりはありますが、四島の帰属の問題を
解決
して
平和条約
を締結すべく、
解決
に向けて粘り強く取り組みます。その観点から、本年中に行う総理訪ロを
日ロ関係
の
発展
に新たな弾みを与えるものとしたいと考えます。 私は、日・ASEAN友好協力四十周年を迎える本年の年頭に
ASEAN諸国
とオーストラリアを訪問いたしました。 先般、安倍総理が発表した対
ASEAN外交
五
原則
を踏まえ、十二月の日・ASEAN特別首脳
会議
も
活用
し、更なる
関係
強化
に取り組みます。また、
日本
は、
ASEAN諸国
、インドやオーストラリアなど
地域
の国々との間で戦略的
パートナー
シップを始めとする友好
関係
を
構築
しており、協力
関係
を
強化
してまいります。中でも民主化、
経済
改革
を進めるミャンマーに対し、その取組を後押ししていく考えです。さらに、
民主主義
が定着し、
成長
著しいモンゴルや大洋州諸国との間でも
関係
を
強化
し、
基本的価値
を共有する欧州、
国際社会
での
発言
力を強めている中南米や民主的
改革
が進みつつある中東、北
アフリカ
との協力にも取り組みます。
世界
経済
の
グローバル化
が加速する中、
我が国
の
経済
の再生に取り組むことは、
我が国
の力を
強化
し、
世界
の更なる
発展
に貢献する道でもあります。そのため、第三の柱として、
日本経済
再生に資する
経済
外交
を
強化
します。 まず、輸出の
機会
を拡大し、
日本
企業
の対外
投資
のための
環境
を整備し、同時に、
日本
を魅力的な生産拠点、
投資
先とするため、
アジア太平洋地域
、
東アジア地域
、欧州などとの間で高い
レベル
の
経済連携
を戦略的に推進します。その際、
外交力
を駆使して
国益
にかなう
経済連携
を進めます。TPPについては、さきの
日米
首脳会談も踏まえ、今後、
政府
として
交渉参加
について判断いたします。さらに、WTOやAPEC、G8、G20等の場を
活用
し、
経済
分野における国際的
ルール
の整備と実行に積極的に取り組みます。 また、諸外国の活力を取り込んでいくため、ODAや、在外公館をも
活用
しつつ、
地域
の
中小企業
も含めた
日本
企業
や自治体の
海外
展開を積極的に
支援
いたします。さらに、
エネルギー
、鉱物資源、食料等の安定的な確保のため、供給国の多角化なども含め、資源
外交
を
強化
します。 アルジェリアにおけるテロ事件で亡くなられた
方々
に対し、改めて心より哀悼の意を表します。尊い
犠牲
を決して無駄にしないためにも、
海外
の最前線で
活躍
する
日本人
や
日本
企業
の安全
対策
を
強化
していきます。現在進められているこの事件の検証作業も踏まえ、北
アフリカ
やサヘル
地域
などの各国機関との
関係
強化
等情報収集・分析
体制
の
強化
、
海外
での緊急事態の際に迅速に現地に赴く緊急展開チームの創設、また、在留届
制度
の運用の見直し、官民間ネットワークの
強化
や、メールやホームページ等、ITの一層の
活用
などを通じた在留邦人に対する迅速かつ的確な安全情報の提供、周知等に取り組みます。 また、脅威の多様化にも適切に対処します。
国際社会
と
連携
し、
断固
としてテロと闘うため、第一に国際テロ
対策
の
強化
、第二にサヘル・北
アフリカ
・中東
地域
の安定化
支援
、第三にイスラム・アラブ諸国との
対話
、交流の推進を三つの柱とし、具体的な取組を迅速に実行していきます。 また、海上航行の
安全確保
については、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処
行動
に加え、
関係国
の海上保安
能力
や訴追
能力
の
向上
などへ
支援
を継続します。 さらに、サイバー空間を利用した脅威への
対策
の
強化
や、宇宙分野での国際的な規範作りにも積極的に貢献します。 私は、地球規模
課題
の
解決
にも積極的に取り組んでいきます。 まず、私は、核兵器の惨禍を経験した広島の出身者として、軍縮・不拡散イニシアティブ、NPDIの枠組みを通じ、核兵器不拡散条約を基礎とした国際的な核軍縮・不拡散
体制
の維持
強化
に
全力
で取り組んでまいります。
北朝鮮
に加え、イランの核問題の現状にも深刻な懸念を有しています。イランが速やかに平和的・
外交
的
解決
のため実質的
行動
を取ることを求めます。 また、
日本
が原子力
事故
から得た知見と教訓を
国際社会
と共有し、国際的な原子力安全の
強化
に貢献します。 気候変動問題に関しては、本年十一月の国連気候変動枠組条約第十九回締約国
会議
、COP19までに温暖化ガス二五%削減目標をゼロベースで見直すとともに、
技術
で
世界
に貢献していく攻めの地球温暖化
外交
戦略の策定に取り組みます。 平和維持、平和
構築
を推進するために、
日本
は、国連平和維持活動、PKOへの要員派遣や人材育成を始めとする多様な協力を継続いたします。現在、国連南スーダン共和国ミッションに
自衛隊
の部隊を派遣しており、同国の安定と
国づくり
のため、引き続き積極的に
支援
を行います。また、
我が国
が貢献をより迅速かつ効果的に行えるよう、
法的基盤
の整備について
検討
や
能力
強化
を進めます。 アフガニスタンの平和
構築
は、
国際社会
の重要な
課題
です。テロとの闘いの観点からも、これまでの国際公約に従って引き続き積極的な
役割
を果たしていきます。 中東和平については、二
国家
解決
の
早期
実現を働きかけるとともに、パレスチナへの
支援
を継続し、
強化
していきます。また、人道上の
危機
にあるシリア情勢に対しても、積極的で目に見える
役割
を果たします。 ODAについても、戦略的、効果的に
活用
します。ミレニアム
開発
目標に続く枠組み策定に向けて、人間の
安全保障
の理念に基づき、保健、人材育成、
防災
といった
課題
への取組を
強化
し、持続可能な
成長
に貢献します。 近年高い
成長
を見せ、注目を集めている
アフリカ
には、依然として
国際社会
全体で
解決
すべき多くの
課題
があります。本年六月、横浜で開催される第五回
アフリカ開発会議
、TICADⅤでは、
アフリカ
での人間の
安全保障
や平和と安定の定着のための協力を推進するとともに、
日本
企業
の対
アフリカ
ビジネスの展開を
支援
し、
アフリカ
の
成長
の質の
向上
に資する取組を行います。 地球規模の
課題
を効果的に
解決
していくためにも、国連の実効性を高めるための組織
改革
と機能
強化
は欠かせません。
我が国
は、安保理
改革
の
早期
実現と
我が国
の常任理事国入りに向けて積極的に取り組みます。 また、人権・人道問題の改善を目指し、国連や二国間人権
対話
の場を通じた働きかけを行います。
女性
の権利保護等にかかわる国際的な取組にも積極的に参加してまいります。国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約、ハーグ条約は、子の
利益
を最重要に考えた国際的な
ルール
であり、今国会に条約及び条約実施法案を提出し、
早期
締結を目指します。速やかに審議の上、今国会での御承認をお願いします。 厳しい東
アジア
の
安全保障環境
に対処し、
世界
の様々な脅威に立ち向かうためにも、
外交
実施
体制
の抜本的な
強化
は焦眉の
課題
です。
外交
・
安全保障
の
強化
は現内閣の重要
課題
であり、外務省としても積極的に取り組んでまいります。 同時に、
外交
政策
の国内外における情報発信を
強化
し、中でも
我が国
の
領土
保全に係る立場を効果的に伝達していきます。
日本
の存在感を高めることも
外交
上の重要な
課題
です。この観点から、
文化
を含む
我が国
の魅力や価値の発信、
海外
での
日本
語の普及に取り組んでいきます。 震災からの力強い
復興
を
世界
にアピールするあかしとして、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの東京招致を
全力
で
支援
いたします。
我が国
外交
を取り巻く
危機
的な状況を反転させる、それが今何よりも求められていることです。平和で繁栄した
日本
と
世界
をつくるために、私は
全力
で
外交
の指揮を執る決意です。 議員各位、そして
国民
の皆様の御
支援
と御協力をお願い申し上げます。(拍手) ─────────────
平田健二
5
○議長(
平田健二
君)
財務大臣
麻生太郎君。 〔
国務大臣
麻生太郎君登壇、拍手〕
麻生太郎
6
○
国務大臣
(麻生太郎君)
平成
二十五年度予算の御審議に当たり、
財政政策
等の
基本
的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明させていただきます。 一九九〇年代以降、グローバル
競争
が激化するなど、内外の
経済
環境
が構造的に大きく変化する中、
日本経済
は、長きにわたりデフレが継続いたしております。 賃金の下落が続き、消費や設備
投資
が伸び悩む中で、
成長
期待の低下やデフレ予想の
固定化
が見られ、将来不安などから
国民
の間に生じた閉塞感を払拭できない状況が続いてまいりました。戦後、こうしたデフレ不況を経験しているのは
世界中
で
日本
のみであります。 デフレは、
未来
への
投資
を阻害するという意味で
日本
を劣化させるものであり、
日本経済
を衰弱させてきた根深い問題であります。こうした状況を打破し、デフレ不況から脱却するためには、従来の延長線上にある
対応
では不十分です。第二次安倍政権では、これまでとは次元の違う
政策
パッケージとして、大胆な
金融政策
、機動的な
財政政策
、
民間投資
を喚起する
成長戦略
の三本の矢を一体的かつ強力に実行して
経済
再生を推し進めてまいります。 第二次安倍政権は、発足後一か月余りの短い間で、
日本経済
再生に向けた緊急
経済
対策
の策定、
平成
二十四年度補正予算の編成、
日本
銀行との共同声明の取りまとめ等、果断かつ的確な
政策
対応
を矢継ぎ早に重ねてまいりました。 こうした第二次安倍政権の
経済
政策
に対しては、去る二月十五、十六日、モスクワで開かれたG20においても諸外国から強い関心が寄せられました。私からは、新政権が
日本経済
の再生に着実に取り組んでおり、
日本
が再び活気を取り戻すことで
世界
経済
にも良い影響を与えることをしっかりと説明してきたところです。 昨年後半には、
世界
経済
の減速等も背景に、
日本
の景気は弱い動きとなり、景気の底割れが懸念されておりましたが、最近では、株価も回復し始めるなど、明るい兆しが見え始めてきているところです。今後とも、為替市場の動向について引き続き注視するとともに、こうした動きを
民間投資
の喚起や雇用、所得の拡大を通じて確かな
経済
の再生につなげていかなければなりません。 そのためには、さきに成立した
平成
二十四年度補正予算の速やかな執行を期すとともに、十五か月予算として同補正予算と一体的に編成した
平成
二十五年度予算、
平成
二十五年度税制改正を着実に実行に移していくことが必要であると考えております。さらには、本年半ばをめどに、
日本経済
の
競争
力と
成長
力の
強化
に向け、
経済
構造の変革を図る観点から、大胆な規制・
制度
改革
を含む野心的な
成長戦略
を取りまとめることとしており、引き続き切れ目のない
政策
対応
に
全力
で取り組んでまいります。 一方で、いつまでも
財政
出動を続けるわけにはいきません。依然として非常に厳しい
日本
の
財政
の現状も踏まえ、
日本
の
財政
に対する
信頼
を確保していくことも重要であります。
社会
保障・税一体
改革
を継続するとともに、二〇一五年度までに国、
地方
のプライマリーバランスの赤字の対
GDP比
を二〇一〇年度の水準から半減し、二〇二〇年度までに
黒字化
するとの
財政健全化目標
の実現を目指し、
財政
健全化と
日本経済
再生の双方を実現する道筋について
検討
を進めてまいります。 続いて、
平成
二十五年度予算及び税制改正の大要を御説明させていただきます。
平成
二十五年度予算につきましては、緊急
経済
対策
に基づく
平成
二十四年度補正予算と同様に、
復興
・
防災
対策
、
成長
による富の創出、
暮らし
の
安心
・
地域
活性化を重視いたしております。また、
老朽化対策
など
国民
の命と
暮らし
を守れる公共事業予算や
国民
の
安心
のための防衛予算を
充実
させる一方で、生活保護や
地方
公務員
給与等について適正化、見直しを行うなど、予算の効率化を図っております。こうした取組を通じて、四年ぶりに税収が公債金を上回る状態を回復させるとともに、プライマリーバランスを着実に改善させ、
財政健全化目標
の達成に向けた第一歩となる予算といたしております。 基礎的
財政
収支対象経費は七十兆三千七百億円であり、これに国債費二十二兆二千四百十五億円を合わせました一般会計総額は九十二兆六千百十五億円となっております。 一方、歳入につきましては、租税等の収入は四十三兆九百六十億円、その他収入は四兆五百三十五億円を見込んでおります。また、公債金は四十二兆八千五百十億円、年金特例公債金は二兆六千百十億円となっております。 次に、主要な経費について申し述べます。
社会
保障
関係
費につきましては、
国民
負担
の増大を極力抑制する観点から、生活扶助基準、医療扶助の適正化等の生活保護の見直しを行うとともに、
暮らし
の
安心
を確保するため、生活困窮者の自立・
就労支援
及び生活保護世帯の
子供
に対する学習
支援
等を推進することといたしております。また、
待機児童
解消のための
保育所
の定員増加等
子育て支援
の
充実
や、難病・がん
対策
の
充実
強化
に取り組むことといたしております。加えて、
成長
による富の創出を実現する観点から、医療関連分野における
イノベーション
の一体的推進に取り組むこととしております。 文教及び科学振興費につきましては、
学力
の
向上
に向けた施策や
いじめ対策
等の施策を
充実
するほか、奨学金等の就学
支援
、
大学
改革
、学校耐震化等の施策を推進することといたしております。また、科学
技術
関係
予算につきましては、
研究環境
を
改革
して
研究
支援
人材の確保と安定的雇用の実現を図るとともに、
研究
資金の
改革
や産学
連携
を進めることといたしております。
地方
財政
につきましては、震災
対応
に万全を期すほか、
地方
歳出について
地域
の
課題
に迅速かつ的確に
対応
するため、
地方
公務員
給与の削減を要請するなどという取組を行いつつ、
地方
の安定的な
財政
運営に必要な
地方
税、
地方
交付税等の
地方
の一般
財源
の総額を適切に確保することとしており、
地方
に
最大
限配慮をいたしておるところです。
防衛関係費
につきましては、
日本
を取り巻く
安全保障環境
が一層厳しさを増している状況を踏まえ、周辺の海空域における警戒監視の
強化
、
安全確保
や島嶼防衛態勢の
強化
、各種事態への即応性の
向上
等を図ることとしており、実質的に十一年ぶりに対前年度増額となっております。 公共事業
関係
費につきましては、引き続き、
投資
の重点化、効率化を図りつつ、
国民
の命と
暮らし
を守るインフラの
老朽化対策
や
防災
・
減災対策
等の
課題
に
対応
するため、真に必要な
社会
資本整備等に取り組むことといたしております。
経済
協力費につきましては、
日本
の
成長
にもつながる分野等への重点化を進めるなど、経費の見直しを行いつつ、ODA全体の事業量の確保を図っております。
中小企業
対策
費につきましては、
中小企業
の活性化を図るため、
小規模事業者
に係る
支援
を拡充しつつ、資金調達の円滑化に関する施策、
研究
開発
支援
等に重点化を行うほか、最低賃金
引上げ
に向けた
中小企業
支援
にも取り組むことといたしております。
エネルギー
対策
費につきましては、原子力規制、
防災
対策
の推進、
再生可能エネルギー
導入及び省
エネルギー
推進に対する
支援
や
海外
資源権益の確保等に重点化を図っております。 農林水産
関係
予算につきましては、攻めの農林水産業を推進するため、担い手への農地集積の加速化や新規就農者の確保、育成、六次産業化や輸出拡大等の推進、
農業
基盤整備の
充実
等を図ることといたしております。 治安
関係
予算につきましては、
国民
の
暮らし
と命を守るため、
警察
活動基盤の一層の
充実
や、出所者等の再犯防止に向けた処遇の
強化
等に取り組むことといたしております。
国家
公務員
の人件費は、給与改定臨時特例法による給与減額のほか、退職手当の引下げや定員縮減等を的確に予算に反映させております。 なお、震災からの
復興
につきましては、
平成
二十七年度までのいわゆる
復興
財源
フレームを見直し、
平成
二十五年度を含めた今後の事業費が十九兆円を上回る部分について、
日本
郵政株式の売却収入等の六兆円程度を充てることとし、
復興
財源
に対する
被災地
の不安を払拭することといたしております。その上で、
平成
二十五年度東
日本
大震災
復興
特別会計におきましては、歳出について、東
日本
大震災
復興
経費三兆七千百七十八億円、
復興
債費六百六十二億円、
復興
加速化・
福島
再生予備費六千億円を計上し、歳入につきましては、
復興
特別税一兆二千二百四十億円、一般会計からの受入金一兆二千四百六十二億円、その他収入百十二億円、
復興
公債金一兆九千二十六億円を見込んでおります。
平成
二十五年度
財政
投融資計画につきましては、緊急
経済
対策
等を踏まえ、長期リスクマネー等を呼び水として供給し、
民間投資
の喚起、
中小企業
等の
支援
や
日本
企業
の
海外
展開
支援
等に積極的に
対応
することとし、計画の規模は十八兆三千八百九十六億円となっております。 借換債等を含む国債発行総額につきましては、百七十兆五千四百五十二億円と、
平成
二十四年度と比べて減額となりましたが、国債発行総額・残額共に極めて高い水準にあります。
財政
規律を維持して、市場の信認を確保するとともに、市場との緊密な
対話
に基づき、そのニーズ、動向等を踏まえた発行を行うなど、国債管理
政策
を適切に運営してまいります。
平成
二十五年度税制改正におきましては、現下の
経済
情勢等を踏まえ、
成長
による富の創出に向けた税制上の
対応
、
社会
保障・税一体
改革
の着実な実施、震災からの
復興
支援
のための税制上の
対応
、円滑、適正な納税のための
環境
整備等、所要の措置を講ずることといたしております。 具体的には、生産等設備
投資
促進税制及び所得拡大促進税制の創設、
研究
開発
税制の拡充、事業承継税制の見直し、所得税の最高税率の見直し、相続税の基礎控除及び税率構造の見直し等を行うことといたしております。 以上、
財政政策
の
基本
的な考え方と、
平成
二十五年度予算の大要について御説明をさせていただきました。 長引く円高・デフレ不況を脱却し、
日本経済
再生の道筋を確かなものとするためには、本予算の一刻も早い成立が必要であります。 何とぞ御審議の上、速やかな御賛同をいただきますようお願いを申し上げますとともに、グローバル
競争
の激化や
少子高齢化
などは、
日本
だけが直面している問題ではありません。諸外国も、デフレ不況からの脱却を目指す
政策
パッケージとして、
日本
の
経済
政策
に高い関心を寄せております。
日本
は、先駆者として、デフレ不況からの脱却を実現し、
世界
にその
解決策
の
一つ
の形を提示していかなければなりません。強い
日本経済
を取り戻すため、私も諸般の
課題
に
全力
で取り組んでまいります。
国民
各位の御理解と御協力を切にお願いを申し上げます。(拍手) ─────────────
平田健二
7
○議長(
平田健二
君)
国務大臣
甘利明君。 〔
国務大臣
甘利明君登壇、拍手〕
甘利明
8
○
国務大臣
(甘利明君)
経済
財政政策
を担当する内閣府特命担当大臣として、その所信を申し述べます。 第二次安倍内閣は、まずは強い
経済
を取り戻すことを
最大
の
使命
としてまいります。
日本経済
は、長年にわたりデフレに苦しめられ、幾度もその克服に
挑戦
してははね返されてきました。そこで、安倍内閣では、従来の考え方にとらわれない大胆な手法であらゆる
政策
資源を投入し、現在、デフレ脱却への光明が見え始めております。 強い
経済
の再生なくして、
財政
の再建も持続可能な
社会保障制度
の
構築
もありません。長引くデフレから
早期
に脱却し、雇用と所得の増加を伴う景気回復を実現するとともに、
イノベーション
や新しい事業の創出により
成長
力を
強化
していくことが必要です。そのため、大胆な
金融政策
、機動的な
財政政策
、
民間投資
を喚起する
成長戦略
の三本の矢を一体として実行してまいります。 また、これを推進する
体制
として、
日本経済
再生本部を創設し、
経済
財政
諮問
会議
を再起動しました。これら二つの組織が
司令塔
となり、総理のリーダーシップの下、府省の壁を越えて、迅速かつ着実に
政策
を実行していきます。 こうした
基本
姿勢の下、以下、今後の重点
課題
を申し述べます。
我が国
の景気は、昨年夏以降、
世界
経済
の減速等を背景として輸出や生産が減少するなど弱い動きとなり、底割れが懸念される状況でありました。こうした状況を打破して、自律的な
成長
に向かうためには、まず第一の矢として大胆な
金融政策
を行うことが重要です。本年一月、デフレからの
早期脱却
と物価安定の下での持続的な
経済成長
の実現に向けて、
政府
及び
日本
銀行は、
政策
連携
を
強化
し、それぞれの
責任
において実行すべき内容を盛り込んだ共同声明をまとめました。デフレ予想を払拭し、
消費者
物価の前年比上昇率で二%の物価安定目標を
日本
銀行においてできるだけ
早期
に実現するよう、大胆な金融緩和を推進することを強く期待をいたします。 デフレが継続する下では、
財政政策
の民間
経済
への波及効果も、
成長戦略
による
経済
活性化効果も、限定的なものになります。その意味でも
金融政策
は極めて重要です。
金融政策
を含むマクロ
経済
政策
運営の状況、その下での物価安定の目標に照らした物価の現状と今後の見通し、雇用情勢を含む
経済
財政
状況、
経済
構造
改革
の取組状況などについては、
経済
財政
諮問
会議
において定期的に検証を行います。 第二の矢である機動的な
財政政策
としては、国費十・三兆円程度、事業規模二十・二兆円程度の
日本経済
再生に向けた緊急
経済
対策
を取りまとめました。この緊急
経済
対策
については、
早期
の実行及び効果発現に
全力
を挙げ、各施策が
国民
生活の
向上
につながっているか、しっかりとフォローアップを行います。 また、
平成
二十五年度予算は、緊急
経済
対策
に伴う
平成
二十四年度補正予算と一体的なものとして、いわゆる十五か月予算として編成されており、これらを切れ目なく実行し、景気の底割れの回避とデフレからの
早期脱却
及び
成長
力の
強化
を図ります。 さらに、景気回復を働く人の所得の増大につなげていくという好循環を生み出すことが必要です。このため、
政府
、
経済
界、労働界が一致協力して
対応
する必要があり、
平成
二十五年度税制改正において、
企業
による給与等支給の増加を促進する措置を創設するとともに、
経済
界に対して業績が改善している
企業
においては
報酬
の
引上げ
を行うなどの取組を要請したところであります。また、雇用問題が喫緊の
課題
である
若者
、
女性
が
成長
の果実を
最大
限享受するとともに、その
活躍
を積極的に推進することで
成長
を押し上げていくことが重要であり、
若者
・
女性活躍推進フォーラム
を開催し、
若者
や
女性
の声を幅広く伺いつつ、効果的な取組を進めてまいります。 これらを踏まえ、本日閣議決定した
政府
経済
見通しでは、
世界
経済
の緩やかな回復が期待される中で、着実な需要の発現と雇用創出が見込まれることから、
平成
二十五年度の国内総生産の実質
成長
率を二・五%程度、名目
成長
率を二・七%程度と見込んでおります。 第三の矢は
民間投資
を喚起する
成長戦略
です。
日本経済
の回復を自律的な
成長
につなげていくためには、民間
企業
の
投資
と消費を拡大させることが必要であり、
日本経済
再生本部の下に設置した産業
競争
力
会議
において、各界の有識者の知見を集めながら、年央をめどに新たな
成長戦略
を取りまとめます。
日本
は、
少子高齢化
や人口減少、公共インフラの老朽化、
エネルギー
・
環境
制約など、
世界
に先行して深刻かつ難しい
課題
に直面しています。他の国に先んじてこれらの諸
課題
に
挑戦
し
解決
することにより、処方箋を示し、
世界
に対して貢献をしてまいります。
成長戦略
の策定に当たっては、
課題
解決
のため、将来のあるべき
社会
像を戦略目標として特定します。その上で、目標実現のために、コア
技術
への
研究
開発
集中
投資
、
規制改革
、関連する
投資
の促進などの
政策
資源を一気通貫で投入するためのロードマップを策定し、
民間投資
を促してまいります。また、立地
競争
力
強化
と雇用の拡大による所得増加、
海外
の
成長
の
日本
への取り込みを図るための国際戦略の策定に取り組んでまいります。 以上のような観点から
成長戦略
を取りまとめることとしておりますが、
成長戦略
を成功に導き、活力ある
民間投資
の誘発につなげていく鍵は、
政府
が
成長戦略
にコミットし、着実に実行し、結果を出していくということです。
会議
で出てきた喫緊の
課題
については、戦略の取りまとめを待つことなく、
日本経済
再生本部において、総理の強力なリーダーシップの下、直ちに実行に移してまいります。 以上のように三本の矢の取組を進める中、最近はデフレ予想が緩和される兆しが見られ、月例
経済
報告で二か月連続で景気判断を上方修正いたしましたように、実体
経済
も変わりつつあります。こうした好ましい変化を、適切な
政策
対応
により、確実な景気回復につなげてまいります。 これらの施策と併せて、中長期的に持続可能な
財政
構造の
構築
を目指し、取り組んでいく必要があります。
平成
二十五年度予算については、
財政健全化目標
を踏まえ、国債に対する信認を確保するため、公債発行額をできる限り抑制したところ、四年ぶりに税収が公債金を上回る状態を回復しました。しかし、同年度の国、
地方
のプライマリーバランスは依然大きな赤字となる見込みであります。 国債に対する信認が揺らげば、長期金利の上昇や、国債費の増加による
政策
の自由度の低下など、様々な要因を通じて、
経済
、
財政
、
国民
生活に重大な影響が生じかねません。二〇一五年度までに国、
地方
のプライマリーバランスの赤字の対国内総生産比を二〇一〇年度の水準から半減し、二〇二〇年度までに
黒字化
するとの
財政健全化目標
の実現を目指します。 今後、
経済
財政
諮問
会議
において、年央の骨太
方針
の取りまとめに向け、
日本経済
再生のための
政策
の
在り方
とともに、中長期の
財政
健全化を実現するための取組の
在り方
や
経済
再生との
両立
を実現するための道筋について
検討
を進めます。
少子高齢化
が進展する中で、
暮らし
の
安心
を確保していくためには、
安定財源
を確保しながら、受益と
負担
の均衡が取れた持続可能な
社会保障制度
を
構築
することが不可欠であり、
社会
保障・税一体
改革
を着実に推進してまいります。
社会保障制度
改革
推進法に基づき、
社会保障制度改革国民会議
で設置期限である本年八月までに結論を得るため、精力的に議論するなど、
改革
の更なる具体化に向け、取組を進めてまいります。 第二次安倍内閣が発足して二か月余りが
たち
ました。この間、三本の矢を中心に矢継ぎ早に
政策
を打ち出してまいりました。先般、ダボス
会議
に安倍総理の名代として出席をし、
世界
から注目されていたアベノミクスについて説明をしたところ、国際的にも高い評価を得ました。 今後とも、
成長
していく明るい
未来
を目指し、安倍総理のリーダーシップの下、
緊張感
を持って、迅速かつ着実に施策を実行することにより、
国民
の皆様とともに強い
日本
を取り戻してまいりたいと考えております。
国民
の皆様と議員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
平田健二
9
○議長(
平田健二
君) ただいまの
演説
に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平田健二
10
○議長(
平田健二
君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十分散会