○松野頼久君 私は、
日本維新の会を代表して、
麻生財務大臣の
財政演説について
質問いたします。(
拍手)
先般の
総理所信に対する代表
質問において、我が党の平沼国
会議員団代表は、
日本維新の会は、衆議院における第三党としての
責任を自覚し、
日本のため、是は是、非は非の基本姿勢で今後の
政治に
責任を持って対処する、このような旨を申し述べました。
私
たちが
政府に対して是々非々で臨むと申し上げているのは、
野党の何でも
反対という硬直化した対応が
政治停滞を招いてきたと
考えているからです。
日本維新の会は、これまでのような硬直化した対応とは一線を画し、
国民のためになることには賛成し、おかしなところには断固
反対し代替案を提示する、決められる
政治をつくり上げたいと
考えております。
さて、
安倍総理は、大胆な
金融政策、機動的な
財政政策、そして
民間投資を喚起する
成長戦略という三本の矢で
経済再生を推し進めると伺いました。
安倍政権が発足して一カ月。円高や
株価低迷の是正が進み、
デフレを脱却した
経済を
実現、競争力が強化されるならば、これは
評価に値いたします。
我々
日本維新の会は、制度疲労を来してきた中央集権、官僚統制の国家体制を打破し、明治維新以来百四十年ぶりの統治機構の大転換を
実現する改革派保守
政党を目指します。
改革派保守
政党とは、
日本のよい面を守り、国際社会の中で生き抜いていく国際競争力を持つため、改革を断行する
政党という意味であります。
今回の
予算案を見る限り、
自民党は、守旧派保守
政党のイメージが拭えません。
中央省庁の
仕事を根本から見直し、国の役割を外交、安全保障、危機管理、
マクロ経済政策に絞り込み、国の機能を強化する一方で、
地方に権限と
財源を移譲し、近い将来、道州制に移行するのが、
日本維新の会のビジョンであります。
自民、公明両党で道州制基本法を取りまとめられていると伺っておりますが、ぜひとも、早期に成立させようではありませんか。この件について、
総理にお伺いいたします。
さて、
バブル崩壊以降のいわゆる失われた二十年間、
日本の
政治は向かうべき方向を見失ってしまいました。
二〇一一年のOECD報告によれば、森林を除く国土面積当たりの
道路密度は一〇・三三%と、
日本の
道路密度は二位のベルギーを大きく引き離して世界第一位であり、この上、さらに
道路をつくっても、企業も
国民も喜ぶ時代は終わりました。
社会は成熟し、価値観も多様化し、地域の実情によって、
国民が求めるものが異なるようになってまいりました。かわって、地域のことはそれぞれの地域の実情に応じて地域が決めるという、
地方分権を求める声が高まってまいりました。
にもかかわらず、今回の
補正予算と来
年度予算案では、
公共事業の増額へと、ひた走りに走っています。
道路の維持補修や防災
対策は、
事業実施による新たな
経済効果や利便性を生む
効果に乏しく、将来にわたる
経済波及
効果は不十分であります。
防災
対策やインフラ整備の
必要性は認めますが、地域の実情を踏まえないままに突貫工事でつくられた
経済対策は、十兆円ありきで関係省庁に積み上げさせたものであり、地域の実情を踏まえない、ずさんな
内容と言わざるを得ません。
次
年度繰り越しを前提とした
補正予算は、来
年度当初
予算の見ばえをよくする前倒しであり、粉飾
予算と言っても過言ではありません。
特定業界団体への
ばらまきを何の展望もなく続ける旧態依然とした利益誘導
政治が復活したとしか言いようがありません。大きな
ツケを子や孫の世代に回すだけであります。
そこで、高度
成長期における
公共事業の
経済波及
効果と、今回の
補正予算における維持補修や防災
対策を中心とした
公共事業の
経済波及
効果との違いについて、どのようにお
考えなのか、
総理にお伺いをいたします。
財政規律の
観点からも、
一般会計ベースの
補正後
予算額は百兆円を超えるとともに、年金特例公債を含めた公債金は五十兆円を突破しており、
財政規律を無視した、
公共事業の
ばらまき予算であると断じざるを得ません。
この
ばらまきのために、今回の
安倍政権の
補正予算と二十五
年度当初
予算を合わせて四十八兆円の
国債を新たに発行することになりますが、こうした
財政運営が将来の
負担をふやすことについて、どのようにお
考えなのか、
総理にお伺いをいたします。
次に、地域の元気臨時交付金についての
質問です。
この交付金は、建設
国債を
財源とし、ハード
事業だけが対象となっています。しかし、
地方からは、むしろITや教育などのソフト
事業に使いたいとの要望が強くあります。地域の実情に応じ地域が決められるようにしなければ、
効果的な
経済政策にはなりません。
現に、過去の
麻生政権では、ハード
事業だけではなく、ソフト
事業にも柔軟に対応できる地域活性化・
経済危機
対策臨時交付金を創設した実績もあります。
まさに、先ほどから述べているとおり、既に時代は全国津々浦々同じものを求めてはおらず、地域のことは地域の実情に応じて地域が主体的に決められるようにしなければ、とてもではありませんが、
効果的な
経済対策になりません。
そこで、地域の元気臨時交付金の設計に当たり、
地方がハードにしか使えない交付金とした理由を、
総理に
お尋ねいたします。
また、
地方公共団体の裏
負担八割を補助する仕組みが導入されていますが、来
年度当初
予算に計上すれば裏
負担五割となる
事業が、
補正予算に計上すれば一割で済むのは、明らかにこれは不公平であり、地域における
事業執行において大きな混乱を招きます。
地域の元気臨時交付金制度が大きな混乱をもたらすおそれがあることに対して、どのように対処されるおつもりなのか、
総理にお伺いをいたします。
もう一点、重要な問題は、一括交付金の廃止であります。
安倍政権は、
地方自治体に相談することなく、
平成二十五
年度当初
予算における一括交付金の廃止を決めました。
一括交付金は、
地方の自由裁量を広げた制度であります。手続が煩雑で、交付総額が削減される問題もありました。しかし、省庁の縦割りを超える、一歩前進した仕組みであったと思います。
一括交付金の
予算枠を中央省庁が決めてしまう今の制度の弊害を改め、税源そのものを
地方に移管する方向に制度を進化させるべきだと
考えますが、これは
日本維新の会の基本的な
考え方であります。
ところが、
政府・与党は、一括交付金を廃止し、省庁縦割りのひもつき補助金に戻してしまいました。税源移譲
一つに及び腰では、本格的な道州制、分権改革は、到底、
実現不可能であります。
日本維新の会は、特定業界にしがらみがなく、霞が関にも何の遠慮もない、真の改革を進めることのできる
政党であります。
政府・与党が及び腰ならば、真の
地方分権改革を行うことができるのは我々しかいないと、意を強くいたしました。
そこで、省庁縦割りのひもつき補助金に戻すのではなく、
地方への税源移譲へとさらなる駒を進めるべきと
考えますが、
総理のお
考えを
お尋ねいたします。
次に、
補正予算の
財源について
質問いたします。
今回の
補正予算で一番の問題は、
復興のための
予算や
財源が被災地以外に流用されている実態があるのではないかということであります。
復興予算が被災地の復旧
復興の目的以外に流用された問題は、昨年十一月十三日の
予算委員会において既に取り上げましたが、今回の
補正予算においても、流用が繰り返されているのではありませんか。
例えば、今回の
補正予算において前
年度剰余金の受け入れが行われていますが、
復興財源確保法附則第十六条では、
復興債の償還
財源が確保される場合、
復興特別税の
負担の軽減を図ることとされています。にもかかわらず、剰余金を
一般会計に戻して
補正予算に充てることは、
補正予算の水増し流用と断じざるを得ません。
なぜ、剰余金を
一般会計に戻して
補正予算に充てたのか、また、附則の第十六条にのっとり、
復興特別税を減税するつもりはありませんか。
総理のお
考えを
お尋ねいたします。
与党
自民党の
平成二十五
年度税制改正大綱においては、自動車重量税の税収については、
道路の維持管理、更新等のための
財源として位置づけとして、
道路特定財源をあたかも復活させるものとも受け取れる記述がなされています。
これに対して、
安倍総理が、
道路特定財源を復活させるものではない旨の答弁をしたことで、
政府の見解が一応示されました。
しかし、同大綱では、自動車ユーザーに還元されるものであることを明らかにする方向で見直しを行うと文言が続いています。大綱を読む限り、特定
財源化すると理解されても仕方がないのではないでしょうか。
そこで、
政府・与党は、自動車重量税の税収は自動車ユーザーに還元されるものであることをどのような方策で明らかにしようとしているのか、また、それらの方策は一般
財源という位置づけと矛盾するものとはならないのか、具体的かつ明確な答弁をお願いいたします。
我々
日本維新の会は、現金主義、単式簿記による公会計制度を発生主義、複式簿記に改め、バランスシートなど予定財務諸表を作成し開示するという、
予算編成の仕組みを大改革する法案を準備しています。
国家
財政をコントロールする、国家経営を客観的な数字に基づいて行うことこそ、危機的状況にある
日本の
財政運営にとって不可欠だと
考えます。
イギリスやニュージーランドを初めとする公会計制度の改革の先進国では、既に、
予算ベースでの発生主義、複式簿記による財務情報の作成、開示が
実現をしています。
デフレからの脱却、
景気回復を目指す
財政政策を
実現するとともに、
金融政策の
効果を織り込んだ
マクロ経済政策を総合的に行っていくためにも、
予算ベース、決算ベース
双方で、
我が国の公会計制度を発生主義、複式簿記に改めるべきと
考えます。
国家
財政健全化のために避けて通ることのできない公会計制度改革を断行する意思があるのかないのか、このことを
総理に
お尋ねいたします。
最後に、我々
日本維新の会は、昨年十月に結党し、十二月の最初の衆議院
選挙において、比例区で千二百万票、議席数で五十四議席を獲得いたしました。
この得票を与えていただいた
国民の皆様に、この場をおかりいたしまして御礼を申し上げるとともに、この期待に応えるべく、国会の活動をしてまいることをお約束いたします。
この
補正予算の成立は、
上昇基調にある
株価や
景気、そして
地方の
予算執行に対して
影響を与えることは確実であります。
我々
日本維新の会は、この
予算案の中に含まれている問題点をしっかり議論する時間を確保した上で、いたずらに時間を引き延ばすことなく、賛否を決めて、成立に協力をしていくつもりであります。
ですから、
政府も、委員会審議を通じて
野党の
意見に耳を傾け、今までのように一行も変えないという姿勢ではなく、変えられるものは柔軟に変えていく姿勢で臨んでいただくことを期待いたします。
政府・与党、
野党ともに決められる
政治の
実現を提案させていただいて、私の代表
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕