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鈴木寛君 去る二月十六日及び十七日の二日間、
富山県及び岐阜県において、
初等中等教育等に関する実情を
調査してまいりましたので、その
概要を御
報告申し上げます。
派遣委員は、
野上委員長、
那谷屋理事、
橋本理事、
水落理事、
斎藤委員、
藤谷委員、
熊谷委員、
山本委員、
柴田委員、そして私、
鈴木でございます。
一日目は、まず、
富山市立芝園小学校及び
芝園中学校を訪問いたしました。
両校は、
PFI事業によって同一敷地内に
一体型校舎として
整備された
学校であり、
相互に
連携した活動が展開されております。
芝園
小学校では、少人数
指導を行う五年生の授業を参観いたしました。ここでは、
学級担任及び少人数
指導担当の
教員が、三つのクラスを四つのグループに分けて授業を進め、それぞれのグループでは、児童の習熟度に応じた目標に沿ってきめ細かな授業が展開されており、児童が主体的に授業に取り組んでいる様子が印象に残りました。
また、
芝園中学校では、いわゆる中一ギャップと言われるものが全く感じられないとの御
説明を伺いました。現場の先生方のお話から、小学生が日常的に中学生の姿を目にする
環境や、小学生と中学生が合同で参加する
学校行事などの小中一貫的
教育の
取組が中一ギャップの対策に大変有効であることを実感いたしました。このほか、災害時に
学校施設を避難場所として
機能させるための
対応、研修部活動の
取組、小中合同で行う
地域美化清掃活動、
PFI事業による
学校施設整備の
教育への効果などについて
学校関係者の
方々と意見交換を行いました。
次に、
富山県庁に移動し、
富山県及び
富山県
教育委員会から、
富山県の
教育に対する
取組について
説明を聴取いたしました。
富山県は、
児童生徒の
科学に対する関心を高め、論理的な思考力を伸ばすことを目的とした「とやま
科学オリンピック」の開催や、中学生が
地域の事業所や福祉施設などで様々な体験活動に取り組む十四歳の挑戦など、特色ある
取組を行っております。特に、中学一年生については、各
学校が少
人数学級と少人数
指導のいずれかを選択する「中一・三十五人
学級選択制」が
実施され、その選択は、
学校、
教育委員会、PTA三者の円滑な意思疎通の下に行われていることが紹介されました。また、
児童生徒の心の問題の解決にも
全力で取り組んでおり、積極的なスクールカウンセラー
配置などによって、いじめや不登校は減少傾向にありますが、引き続き
教育相談体制を
充実させていきたいとのことでありました。数々の意欲的な
取組に、
富山県の
教育に対する意識の高さを再確認いたしました。
なお、三十五人以下
学級の
推進に当たっては、
教職員の加配定数について先進的に取り組んできた県に不利にならないよう配慮されたいとの要望をちょうだいしました。
続いて、
富山大学五福キャンパスを訪問いたしました。
富山大学は、
平成十七年に、県内の三つの
国立大学法人が再編・統合され現在に至っております。再編・統合によるスケールメリットを生かすため、一体的な運営体制を今後も
強化していきたいとのことでありました。また、同
大学では、
地域の特徴を生かした総合的な
研究を
推進しており、中でも、医薬学
研究の分野では、医学と薬学が
連携する特徴的なカリキュラムを有し、和漢医薬学総合
研究所は
我が国唯一の和漢医薬学
研究の
世界的
拠点として知られております。同
大学は、東洋医学の
基礎と臨床がそろうという特色を持っており、西洋医学と、個人の体質に合わせたオーダーメイド治療とも言える東洋医学との融合により、一層高い治療効果が期待されます。
次いで、同
大学の杉谷キャンパスにある和漢医薬学総合
研究所民族薬物資料館を視察いたしました。
同資料館は、
世界の諸民族の伝統薬物に関する
共同研究を
推進しております。約二万七千点に上る生薬標本を収集、
保存し、保有資料数や収集範囲の広さでは
世界第一の生薬博物館であり、収められている生薬についての適応症や伝統医学における使用法などをまとめたデータベースによって、
世界に
情報を
提供しております。資料館を視察した後、和漢医薬学総合
研究所における
共同研究の
取組状況、伝統医薬学の観点から統合医療を
推進する
意義などについて和漢医薬学総合
研究所の
方々と意見交換を行いました。
その後、公共交通を軸としたコンパクトな
まちづくりを目指し
整備が進められている
富山ライトレールに乗車し、
富山ライトレールの通学による利用
状況、交通
環境学習の
取組などについて
富山市から
説明を聴取いたしました。
二日目は、岐阜県に移動し、東京
大学宇宙線
研究所神岡
宇宙素粒子
研究施設を訪問いたしました。
同
研究施設は、神岡鉱山内の地下千メートルに設置されたスーパーカミオカンデや重力波検出器を始めとする観測装置を用いて、究極の
イノベーションとなる
可能性を持つ素粒子や
宇宙の物質についての
研究を行っております。最先端の施設を御案内いただいた後、同
研究施設での
研究成果を広く
社会に認知してもらうための試み、
科学技術に関する
政策と現場の
研究との双方を理解する
人材を
育成することの
重要性、諸外国における重力波観測の
取組状況などについて、
研究者の
方々と
充実した意見交換を行うことができました。
以上で
報告を終わりますが、今回の
調査に当たり、大変お世話になりました訪問先の
関係の皆様方並びに、私どもの受入れのため準備を進めていただきながら、悪天候のため今回訪問することができませんでした飛騨市立古川
小学校、岐阜県
教育委員会及び飛騨市
教育委員会の
関係の皆様方に、この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
以上でございます。