○義家弘介君 私は、
自由民主党・
改革クラブを代表して、いわゆる高校
授業料無償化
法案に対して
反対の立場から討論いたします。
まず、これまでの高校
授業料無償化
法案に関する国会での審議は何であったのか、心の底からの怒りを抑えることができません。
高校
授業料無償化は、戦後の学制改革以来の六十年ぶりの大改革であり、本来なら中央教育審議会に諮問し、各界各層の
意見を聞くなど、最低でも一年を掛けて
国民的な議論を行うべき重要
政策であります。
にもかかわらず、
民主党は、急ごしらえのずさんな
法案のために、数々の致命的な問題が
指摘されたにもかかわらず、国会での審議を考慮することなく、参議院選挙に間に合わせるために審議を打ち切りました。その目的は、まさに利益誘導のばらまきであり、決して子供たちのためではありません。
まず、
法案について、最重要
事項である、何のために高校
授業料無償化を行うのかという後期中等教育の理念、在り方を含む本質的ビジョン、そして無償化による成果や
効果に対する
考え方が極めてあいまいであるということを明確に
指摘しておかねばなりません。
代表
質問の際に、
民主党からすら、初等中等教育に優先
課題が幾つもあるのにもかかわらず、高校
授業料無償化を最優先にし、四千億もの膨大な予算を確保した
政策意図及び目的を端的に
説明してほしいと
質問がありました。しかし、川端文部科学大臣の答弁は、
法案の
趣旨説明を機械的に繰り返すのみで、初めから理念などない、選挙対策の利益誘導であったことを改めて示す結果となりました。
ほかにも、低所得者への
支援にならない、公私間格差を拡大する、
地方公共団体の間での格差が生じるなど数多くの問題が
指摘されています。
子供たちの将来にかかわる重要な
政策であることから、我が党としましても、所得制限を設け、低所得者
支援や公私間格差是正のための財源を確保するなどの対案をもって国会審議に臨んでまいりました。しかし、野党が十分な審議を求めたにもかかわらず、
民主党は、本日、
法案を強権的に成立させようとしています。
施行日は明日です。周知
期間や準備
期間はありません。しかも、無償化の
対象となっている外国人学校や
地方公共団体への
交付金の額などは政令、省令で定めるとしており、
法案成立後も未決定のまま残ります。また、
実施主体である
地方公共団体や私立高校などにはいまだ
制度の詳細を明示できておらず、大きな不安と混乱を現場に与えております。さらには、公立高校で
授業料を徴収する際の
基準や、公私間格差、地域間格差の是正などの
課題は
地方公共団体に丸投げにされております。また、十分な財源を確保できなかったため、選挙中は国の
負担ですべて賄うと
説明していたにもかかわらず、地方の
負担が残ります。
民主党は教育の地方分権を標榜していますが、面倒な
課題や責任、不足分の財源を地方に押し付けるということは教育の地方分権ではなく、公教育に対する国の責任放棄にほかなりません。
私は、代表
質問の際に、
民主党が公教育の根本的な改革を行う適格性を問いました。その後、小林千代美
衆議院議員への裏献金疑惑に関して、北教組の幹部などが政治資金規正法違反で起訴されるに至りました。しかし、小林
議員はあくまで
議員辞職を否定しています。これは、今
議員辞職すれば補欠選挙が参議院選挙と同日になり、政治と金が争点になるから不利だという
民主党の思惑からにほかならないでしょう。しかも、小林
議員は、地検側の事実誤認もあるのではないかと思うと捜査への疑問まで口にし、連合北海道幹部は、逮捕された四人は完全黙秘で頑張った、小林
議員が辞めたらはしごを外したことになると述べたと報道されています。自らへの反省のかけらもない、あきれ果てた発言です。
既に北海道議会では、三月二十四日に小林千代美
衆議院議員の
議員辞職を求める決議が可決されております。これこそが民意であり、進退を個人の判断に任せ自浄能力を発揮しようとしない
民主党の態度は、到底、道民、
国民の
理解を得られるものではありません。さらに、小林
議員の事件では団体としての北教組も起訴され、組織として選挙違反などを行っていた疑いが強まっています。
だからこそ、我が党は教育の政治的中立を確保するために、教育公務員特例法の
改正案を今国会に
提出いたしました。しかし、これに対し、日教組の中村委員長は、
法案を時代錯誤とし、教育の政治的中立が求められるのは当然だが、労働条件の改善が必要となる以上、必然的に政治活動は必要だと述べました。
本当に労働条件の改善を目的とした教育
内容に中立かつ適法な活動であれば、それも一理はあるでしょう。しかし、日教組が行っているのは、日の丸・君が代や道徳教育
反対などの学習指導要領違反、あるいは靖国神社参拝
反対や日米地位協定の
見直しなど、労働組合運動と政治運動が一体化した、それこそ時代錯誤なイデオロギー闘争なんです。それに現場の教師や子供たちを巻き込むから、法による規制が
検討されることになったのです。にもかかわらず、自らを公教育の中心とうそぶき、一切の規制を許さないという傲慢は断じて許されるものではありません。
北教組事件に関しては、
民主党内から批判の声が出ないばかりか、赤松農林水産大臣は、非常にまじめな一生懸命な組合なものですから、場合によってはそういうおしかりも受ける点があったのかもしれません、罪に問われるようなことがないよう私自身は希望しておりますなどと述べ、模範解答だとまで言い切っております。日教組に対しては模範解答でしょうが、
国民に対しては落第です。
組合に人、物、金を丸抱えされているために、
民主党からはもはや健全な批判精神が失われてしまっているのです。
国民の健全な倫理感覚から完全に懸け離れた
民主党に、教育
行政に携わる適格性はないと断じざるを得ません。
教育
制度や教育現場を党利党略の道具として子供たちを犠牲にする
民主党の大罪を我々は決して許しません。
民主党が数の力で欠陥を残したまま強引に
法案を成立させようとも、教育再生の流れを止めようと画策しようとも、我が党は不退転の覚悟を持って、子供たちを守るためにそれと対峙していくことを約束します。
法案には
見直し規定がありますが、重大な欠陥が明らかな
制度を三年も放置するわけには
いきません。自民党は、直ちに真に子供たちのためになるきちんとした理念を持った
制度にすべく、責任を持って改めていくことをこの場で
国民にお誓いしたいと思います。
そして、
民主党には、
国民と歴史、その双方の審判が近日中に下されるであろうことを申し上げ、
法案への
反対討論といたします。(
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