○礒崎
陽輔君 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、
地方税法等の一部を改正する
法律案に反対、
地方交付税法等の一部を改正する
法律案に賛成の立場から討論を行います。
まず、
地方税法等の一部を改正する
法律案について意見を述べます。
民主党は、子ども手当の創設に伴い、
地方に負担を掛けない前提で個人
住民税の扶養控除の
見直しは行わないものとし、民放のテレビ番組における自民党の幹部の発言に対して抗議までしていたところであります。しかし、
予算編成過程において税制改正に個人
住民税の扶養控除の
見直しを盛り込んだことは全く支離滅裂と言うよりほかはなく、
地方を欺くものと言わざるを得ません。同様に、揮発油税等の暫定税率の廃止は民主党の極めて重要なマニフェストの柱であったにもかかわらず、党幹部の発言により急転直下これを継続することとし、暫定税率を当分の間と言い換えるだけの、まさに
国民を欺く改正案を
提出したことは、全く言語道断のことであります。
さらに、その穴埋めのように、揮発油税の税額が石油価格によって変動する前例のない極めて不安定なトリガー税制を創設しています。万が一
年度の途中で税額が変わるようなことがあれば、税の徴収現場で大混乱が起きることは目に見えています。また、その場合の
地方税の減収に対しどのように対処するのか、
法律上全く明確にされていません。一方で、軽油についても同様の扱いをすることとされていますが、軽油価格は揮発油価格と同じ値動きをするものではなく、価格の逆転など様々な弊害が予測されています。
我が党は、このような付け焼き刃の混乱した税制を
地方税制の
世界に持ち込むことには断固反対します。
たばこ税については、なぜ値上げをしなければならないのか全く不明です。当初、
財源確保のためのたばこ税の値上げが議論されていたにもかかわらず、急に健康問題を表面に出してきました。この問題でも
政府・民主党のぶれを感じさせます。この値上げは、不景気の中でたばこ小売業者やたばこ生産農家に与える
影響は甚大です。十分な検討がなく、思い付きのようなたばこの値上げを行うことは許されません。
このように、
地方税法等の一部改正法案は、税制のあるべき方向についての基本的な議論を欠き、単にマニフェストとの整合性を持たせるため、思い付きのようなことを積み上げたものになっています。さらに、その民主党のマニフェストすら守られていません。今、厳しい
地方財政を考えるとき、
政権交代によって
地方公共団体存続の最も基礎にある税制を一政党の思い付きでゆがめてしまうことは大問題です。今後、扶養控除の廃止に伴う
住民税の課税最低限の引下げ等、多くの弊害が顕在化してくるでしょう。このような
地方税法等の改正には、絶対に賛成することができません。
次に、
地方交付税法等の一部を改正する
法律案について意見を述べます。
原口総務大臣は、
地方交付税を一兆一千億円増額し、
地方が自由に使える
財源を増やしたと大宣伝をしていますが、実態が決してそうではないことは
委員会質疑を通じて明らかにしたところです。
地方交付税を増額する一方で、コンクリートから人へと称して
地方単独事業を一兆二千億円も
削減してしまいました。この
地方単独事業の中には、八千億円もの一般
財源が含まれていたのです。とらの子の
地方財源を一気に
削減してしまいました。
地方交付税を増額したといっても、
財源不足額は実に十八兆円を超え、
地方交付税額十六兆九千億円を上回っています。
原口総務大臣は、
予算編成過程で
地方交付税関係諸税の法定率の引上げを口にしながら、結局実現しませんでした。
地方交付税の増額とほぼ同額の
財政需要を計上したことには一定の評価をしますが、それを上回る額の
地方単独事業を
削減したことにより、その成果は相殺されました。
このように、
地方財政計画及び
地方交付税法改正案には大きな問題点を
指摘できるところでありますが、全国の
地方公共団体が
地方交付税法一部改正法の成立を一刻も早く待ち望んでいるところであり、我が党としても大局に立ってこの
法律案に賛成することとします。
以上のとおり、
地方税法等一部改正法案に反対し、
地方交付税法等一部改正法案に賛成し、討論を終わります。